平成12年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(折居明広君) 折居明広でございます。
 順次質問いたしますので、簡潔明瞭、かつ内容の濃い御答弁をお願いします。
 まず、防災対策についてお伺いいたします。
 天災は忘れたころにやってくると言われておりますが、最近は忘れるいとまもないくらい頻繁に発生しております。昨年だけでもマグニチュード7以上の大地震が8月と11月にトルコ北西部を襲い、9月にはギリシャの首都アテネの郊外や台湾中部、さらにメキシコの南部から中部を直撃しており、アメリカでは同じ時期に今世紀最大級のハリケーン「フロイド」がニューヨーク州で大災害を引き起こしております。
 国内においては、雲仙普賢岳の噴火や阪神・淡路大震災の記憶は今なお生々しく、一方、県内でも、98年に前線停滞による大雨災害や岩手県内陸北部の地震、99年には岩手山の西側を中心とする地震、玄武洞の崩落事故、そして、県政史上2番目の被害額を出した県北の大雨洪水等々、災害が相次いでおります。
 日本列島は、地理的、自然的な条件から、地震や津波、火山の噴火、台風、豪雨、洪水などの被害に遭いやすく、常に有事の備えを万全にしておかなければなりません。国内では約2、000の活断層が確認されており、また、県庁所在地の半数近くの都市には活断層が存在していると言われておりますが、その真上や、そのごく近くで多くの人々が暮らしているのでありますから、常に大規模な災害への備えと心構えが必要なのであります。
 先般、防災対策特別委員会の県外調査で静岡県を訪ね、緊急防災支援体制について勉強してまいりました。静岡県では、東海地震説の発表から20年以上経過してもなお、日一日と東海地震の発生が近づいていると考えるべきだとしてこの対策に真剣に取り組んでおります。県庁内に緊急防災支援室、略称スペクトを整備して災害に備えておられましたが、私は、そのスペクトの存在に強い関心を持って帰りました。スペクトは、阪神・淡路大震災を教訓に、大きな地震などの災害が発生したとき、素早く被害情報を集め、対策を立てることを目的に、アメリカ合衆国の連邦危機管理庁にある現地被害調査チームにヒントを得て、平成8年につくられた全国でも例のない常設の防災支援組織であります。スペクトのスタッフは、無線、土木、建築などの専門技術を持つ県職員8人、そのほか警察官3人、消防士4人、教員1人、看護婦1人、市町村職員3人と、民間のライフライン事業者から電気関係が2人、ガス3人、電話1人、鉄道1人の、派遣社員も加えて合計27人で構成されており、それぞれの分野の専門知識を防災活動に生かしているのであります。大きな地震や台風などによって災害が発生すれば、直ちに県庁の災害対策本部へ駆けつけます。そして、県内9カ所にある県災害対策支部へ派遣され、災害情報の収集や対策が適切に行われるよう、コーディネーターの役割を果たすことになります。そのために、スタッフは日ごろから防災のスペシャリストを目指して図上訓練や実地訓練に励んでおり、また緊急時に備えて24時間の待機ローテーションを組み、いつでも直ちに出動できる体制をとっているのであります。
 大きな災害から県民の生命と財産を守る。このスペクトに要する経費は、人件費除きの事業費ベースで年間二千数百万円とのことでありますが、その規模の予算で本格的な常設の防災支援組織ができるのであれば、昨今の本県の状況からして岩手県版のスペクトを前向きに検討してみてもいいのではないでしょうか。静岡のSでスペクトですから、岩手のIでイペクトとなりますが、この緊急防災支援室の設置について、知事のお考えをお聞かせ願います。
 さて、地震災害や水害時には、道路が寸断されて通行できなくなることや災害が広域、広範にわたることなどが予想されますので、航空機による緊急輸送体制の整備も急務であります。現在、本県には防災ヘリと県警ヘリの2機が配備されておりますが、点検整備等に要する時間や広大な活動範囲等を考えれば、そろそろ2機目の防災ヘリコプターを考えてもいい時期ではないかと思いますがいかがでしょうか。
 また、防災、救助活動という観点から、自衛隊岩手駐屯地に航空隊の新設などを働きかけることができないものでしょうか。大規模な災害時には、自衛隊の人員、装備、資機材などが必要となることから自衛隊の派遣を要請しますが、あわせて食料についても、個々の市町村の対応は最小限にとどめて、全国を数ブロックに分け国家で備蓄するような体制を確立すべきと思いますがいかがでしょうか、御所見をお聞かせ願います。
 昨年、福岡市や東京都において集中豪雨によりビルの地下室や地下街などが浸水し、都市機能が停止するとともに、死者が出るという都市型災害が発生しております。その直後に、平成11年9月でありますが、国土庁、運輸省、消防庁、建設省から通達が出ておりますが、その通達に基づき、国、県及び市が連携して浸水対策にも早急に取り組み有事に備えるべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。
 次に、市町村合併についてお伺いいたします。このことにつきましては、きのうの代表質問でもいろいろと取り上げておられますが、あえて私もお伺いするものであります。
 昨年7月に成立した地方分権一括法は、いよいよ来月から施行されますが、地方分権の受け皿として市町村合併は不可避であり、時代の要請でもあります。先般、新しい地方自治体の枠組みづくりを目指して、全国29都県、73地域、321市町村で合併に向けた動きが活発化していると報じられておりましたが、その中で、1950年代のいわゆる昭和の大合併を経て、市町村数が比較的少なくなっている岩手、福井両県の動きが鈍く、大阪府なども低調だったとありました。最近の本県における市町村合併の動きや、広域連携等広域行政に向けた取り組み状況はどうなっているのかお聞かせ願います。
 知事は、合併パターンを盛り込んだ広域行政推進指針を策定することについて、新春のインタビューで今回を平成の大合併と名づけるとすれば、昭和の大合併のように上から合併しろというやり方では絶対うまくいかない。本当に大事なのは、合併について考えてもらうことで、それが後の財産につながる。考える材料を提供することが県の最大の任務。指針は住民が論議する上でのたたき台として提示したいと思う。問題点を整理し、論議を活発化させるという意味で指針を出したいと話しておられましたが、正論であると思います。しかし、合併特例法は2005年までの時限立法なのでありますから、のんびり悠長に構えてはおられません。合併特例法には合併促進策として、新都市建設のための地方債の発行など財政支援のための特例措置や、関係市町村に合併のための協議会の設置を勧告する場合の手続などが盛り込まれております。合併は市町村の自主的な取り組みが大前提とはいうものの、特例法には都道府県の役割として、積極的に市町村へ情報を提供し、合併に向けた機運の醸成を図るなど、住民を巻き込んだ論議を各地に起こしてもらいたいというねらいがあると言われております。県はこの際、一歩も二歩も踏み込んで指導力を発揮し、合併をより積極的に働きかけるべきと思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 昭和29年4月の町村合併計画試案の意見取りまとめに際して、試案とは異なる編入合併先を希望した地区住民の例もありますので、広域市町村圏にこだわらず、歴史に学び未来を見据えた構想、組み合わせも大切であると思います。今回、県が広域行政推進指針を策定するに当たり、地域住民や県民の声をどのように把握し配意しようとしているのかもあわせてお伺いいたします。
 次に、新エネルギーの導入についてお伺いいたします。
 平成9年12月に京都で開催された気候変動枠組み条約第3回締約国会議、いわゆる地球温暖化防止京都会議において、温室効果ガス排出の削減目標についての国際合意が成立しております。我が国の削減目標は90年対比で6%の削減、また岩手県はそれを上回る8%の減ということになっておりますが、一定の経済成長を維持しつつ、地球温暖化防止への対応とエネルギーセキュリティーの確保を同時に達成することは決して容易なことではないと思います。間もなく石油の時代と言われた20世紀は終わり、環境の時代と言われる21世紀が始まります。世界に誇る岩手のスタンダードをつくり、岩手をクリーンエネルギーの先進県とするためにも、省エネルギー対策の強化とともに、風力発電や太陽光発電、燃料電池といった新エネルギーの導入を積極的に進めていくことが大切であります。新エネルギーは、環境負荷の少ないクリーンなエネルギーであり、地域に密着した分散型エネルギーとして、従来から地球環境問題の解決とエネルギーセキュリティーの確保のために有効であるとされ、その開発と普及に大きな期待が寄せられてきたのであります。しかし、既存のエネルギーに比べて出力が小さく、コストが割高で、安定性に欠けることなどが阻害要因となり、その導入が必ずしも期待どおりには進んでいないと思われます。県では、これらの困難を克服しながら新エネルギーの積極的導入を目指すべく、9年度に岩手県新エネルギービジョンをつくり10年度には行動計画を策定し、22年度、すなわち2010年度の目標設定をしております。風力発電については、葛巻町で第三セクター方式による発電が開始されており、企業局では浄法寺町に新年度の着工を予定しているなど、活発な動きが見られますが、これまでにどのような取り組みがなされ、成果としてどのようなものが出てきているのかお伺いいたします。
 また、今後の新エネルギー導入について、どのように推進していかれるおつもりなのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、国際交流の推進についてお伺いいたします。
 21世紀を目前にして、社会を取り巻く国際化の情勢は大きく変化してきております。航空技術の発達や世界的な交通網の整備によって、以前に比べると海外との往来は格段に容易になりました。通信情報技術の進歩により、地球の反対側の出来事さえも瞬時に知ることができます。本県の国際化の状況を統計数字で見ますと、県内から海外に出国する人は10年前の1.9倍、県内に在住する外国人は1.8倍に増加しており、また今後さらにふえていくことが予想されております。まさに、21世紀の岩手は、人、物、情報などが地球規模で動く時代を迎えることになると思います。国際化の流れが単なる交流から協力へと進んでいく中で、今後の国際交流は、本県の得意分野における技術協力などを基本として、まず人と人との心の交流が非常に重要になってくると思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 人と人との交流を進める手法の一つとして姉妹友好提携という方法がありますが、本県では既に市町村レベルでさまざまな国や地域と提携を結び、相互訪問などの交流が行われております。また、民間の友好団体においても、研修員の受け入れなど継続的な交流が行われております。県では、三県総の中に、新たな施策の一つとして国際交流の推進を掲げており、その一環として、姉妹友好提携についても検討した経緯があります。そのことにつきましては、私も平成4年の12月議会で質問いたしました。当時、アメリカのインディアナ州や中国の黒竜江省など4地域が岩手県との姉妹友好提携の候補地として挙げられておりましたが、その後に県としては、当面、幅広い交流を積み重ね、その過程で交流の密度が深まり、県民の機運の醸成を待って後、提携を行うことが望ましいと結論づけられたのであります。そこで、お伺いいたしますが、かつて本県と外国の州や省との姉妹友好提携について検討したという経緯を踏まえて、また分野ごとに多くの国、地域と交流をしていくことの重要性を考え合わせて、今後の国際交流をどのように推進していこうとしておられるのか、知事の基本的な考え方、知事のスタンスについてお聞かせ願います。
 次に、介護保険制度についてお伺いいたします。
 いよいよ介護保険制度の施行まで1カ月を切ってしまいました。各自治体でも要介護者の認定作業を急ぐなど大詰めの段階を迎えております。本県の約3万人に上る要介護高齢者やその家族の方々が、新しい制度のもとで安心してサービスを利用できるよう、一層の取り組みを期待するものであります。介護保険の目的は、社会の最も基本である家族が長期の介護に疲れ果てて崩壊してしまわないように、家族の方々を社会的に支援しようとするものであります。申すまでもなく、お年寄りにとっては、介護が必要となっても、住みなれた家庭で家族に見守られながら一緒に暮らすことが望ましく、介護保険制度が実施され、介護サービスが提供されたとしても、家族の果たす役割はますます重要となっていくと思われます。そのため、介護保険制度がより効果を上げるためにも、介護を必要とする高齢者を抱える家族の方々に対して、何らかの支援が必要と考えます。先月24日の記者会見で知事は、家族に提供する介護手当補助を12年度も暫定的に残し、介護保険と併用したいと述べておられますが、県では、家族介護者に対する支援をどのように考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、介護サービスを利用した際の利用者負担についてもお尋ねいたします。
 介護保険制度においては、介護が必要な高齢者の方々がサービスを利用した場合、サービス費用の1割を負担することになります。これまでの福祉制度のもとで無料でサービスを利用してきた人たちも、これからは新たな負担を求められることになります。そのため、家計の事情によって必要な介護サービスを十分に受けられないのではないかと心配されている人も多いと聞きますが、こうした方々に対する利用者負担の軽減策をどのように考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、住宅の環境対策についてお伺いいたします。
 知事は、新しい総合計画の中で、夢県土いわての創造に向けて、自然と共生し、循環を基調とする社会、快適に安心して暮らせる社会等の実現のため、また環境首都を目指していくためにも、環境との共生に対応したさまざまな施策を展開していくとしております。今私たちが暮らしている地域の環境から、地球規模での環境問題まで、幅広く対策が求められておりますが、殊にも身近な暮らしの舞台である住宅についても環境対策が必要であると思います。既に産業、流通等の経済活動においては、省エネルギー、省資源といった各種の取り組みがなされており、一定の成果が上がりつつあるのに対して、建設省の建築審議会が住宅の暖房用エネルギーの消費量20%削減を提言しているにもかかわらず、家庭を中心とした私たちの日常生活におけるエネルギー消費の伸びが依然として大きく、なお一層の努力、対策が必要との指摘がなされております。私たちの郷土岩手は、豊かな自然環境に恵まれており、北国の風土と伝統に培われ、地域の環境にかなった住みやすい住宅を見ることができますが、岩手の気候、風土に合った環境に優しい住宅や住環境の整備が、今後もますます重要になってくるものと思われます。
 報道によれば、県では、環境共生、省エネルギー、耐久性、耐震性の四つの条件を満たすいわて環境共生住宅を整備するために、有識者による検討委員会を発足させており、この中で太陽熱利用、太陽光発電、雨水処理、風力利用、周辺の植栽、ビオトープなど環境への負荷の軽減と自然エネルギーの利用等も検討しておられるようですが、大いに期待するものであります。県は、これまで各種住宅施策に取り組んできていることは承知しておりますが、住宅に対する環境対策についてどのように考えておられるのか、民間住宅への普及啓発も含めて御所見をお伺いいたします。
 次に、国際観光の振興についてお伺いいたします。
 近年、海外から日本を訪れる外国人の数は年々増加傾向にあり、平成10年には410万人に達しております。また、2002年に日本で開催されるサッカーのワールドカップには、海外から1カ月間に約70万人が来訪する見込みであると言われております。平成10年に本県を訪れた外国人観光客は、アジア、特に台湾を中心に約4万人でしたが、最近、アジアの国々においては、日本の大衆音楽やテレビドラマ、あるいは日本の四季や自然美といったものに非常に関心が高まってきていることから、本県にとっても、外国人観光客誘致の絶好の機会ではないかと思うのでありますがどうでしょうか。国際観光の振興は、岩手の文化や自然への理解を深めるとともに、外国人観光客と地域住民との触れ合い、交流を通して地域の国際化、活性化に大きな役割を果たすものでありますし、また宿泊産業を初め、交通運輸業、飲食産業、農林水産業への波及効果も大きく、地域経済の活性化と雇用の創出に大きく寄与するものでもあります。
 先般、知事の記者会見において、台湾からの国際チャーター便7便が、ことしの4月中旬から5月中旬にかけて、いわゆるゴールデンウイークを中心に初めて花巻空港に乗り入れることが発表されました。岩手、青森、秋田の3県が官民挙げて取り組んできた誘客活動が実ったもので、約1、600人の台湾からの観光客が、平泉の中尊寺、北上の展勝地、小岩井農場などをめぐり、4泊5日の日程で北東北の観光を楽しむということでありますが、本県の国際観光の振興にとっても、非常に意義深いものと考えるものであります。今後、本県にとっても、アジア各国が観光客誘致の重要な市場になることは間違いのないところであり、今回の国際チャーター便の運航を機に、海外、特にアジアからの観光客誘致に一層力を入れていくべきと思いますが、今後どのように取り組まれていくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、オムニバスタウン構想についてお尋ねいたします。
 盛岡市では、平成9年から警察庁、運輸省、建設省の3省庁が推進する、公共輸送機関の活用による新たなまちづくりのためのオムニバスタウン構想に取り組んでおり、平成10年に基本計画を策定して、オムニバスタウン構想推進地域への指定の申請をしておりましたが、ようやく本年2月1日に地域指定を受けました。本年度の指定地域は盛岡市1カ所のみで、しかも浜松市、金沢市、松江市に続いて全国で4都市目とのことであります。近年、自動車登録台数は増加の一途をたどり、隣接町村から盛岡市への流入も相当数ありますので、朝夕、市内は慢性的な渋滞となっております。県内各地から盛岡市の入り口まではスムーズに来るものの、市内に入ってから目的地までへの時間がかかり過ぎると、よく言われます。県都である盛岡市の道路の混雑解消は、盛岡広域圏のみならず、広く県民のためにも必要なことであり、このオムニバスタウン計画は、まさに時宜を得た施策と思いますが、県はこれをどのように評価しておられるのかお聞かせ願います。
 バス優先システムを早急に構築して、バスの利便性を高め、利用しやすくすれば、自家用車からバスへの利用転換が進み、マイカーの削減はもとより、結果としてマイカーを利用せざるを得ない人たちにもスムーズで便利な交通環境が創出されます。すなわちオムニバスタウン構想は県内90分アクセス構想を促進し、補完する機能をも持つものであります。さらに、人、まち、環境に優しい交通体系の整備は、二酸化炭素や硫黄酸化物などの排出削減を急務としている県の環境施策の方針とも合致するものであります。このようにさまざまな有効性を持った構想を推進するための事業には、県も積極的に支援すべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。
 次に、県公会堂についてお伺いいたします。
 県は、昨年12月、県公会堂の耐震性についての診断結果を発表しました。耐震安全性を示す目安としている構造耐震指標を基準にして各階で縦、横の揺れについて調査した結果、今すぐ危険だということではないが、若干指標を下回っていたところもあり、また塔屋については、コンクリートの品質が劣化していることから、早い段階での補強が望まれると指摘されております。また、外観調査では外壁タイルの剥離、変色。コンクリートの劣化が認められたとのことでありますが、何しろ東京日比谷公会堂より2年古く、落成後72年を経た歴史的建造物なので、老朽化が著しいことは事実であります。老朽化によって大地震などの際の安全性が懸念されることや毎年維持管理費がかさむこと、低い利用状況が続いていることなどから年度内に外部有識者からなる県公会堂懇談会を設け、今後のあり方を本格的に検討していきたいとのことでありますが、結論はいつごろ出るのでありましょうか。
 県公会堂は、昭和の激動期の県民、市民の思いが凝縮した重厚な建物であり、まちの真ん中にあっても何の違和感もなく、多くの県民に親しまれてきた貴重な文化遺産であります。風格があり、かつて盛岡市が市の環境及び歴史的環境保全条例による保存建造物に指定しようとして県の関係部局と協議した経緯もあると聞いておりますが、多くの県民、市民に親しまれてきた県都のシンボルを心に残る建物として何らかの形で末永く残していくことも大切であると考えるのでありますがいかがでしょうか。
 また、この検討に際しては、過去の経緯を考慮して、盛岡市とも十分協議するとともに、県民、市民の声を聞きながら慎重に対応していただきたいと思いますが、御所見をお聞かせ願います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 折居明広議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、緊急防災支援室の設置についてお尋ねがございましたが、今お話がございましたとおり、静岡県で設けているものでございまして、これは東海地震に対処するためということで、この地震が静岡県全域及び隣接県の極めて広範囲にわたる地域で、同時多発的に著しい災害が発生するおそれがあると、こういうことから設けたものでございまして、災害発生時にすべての災害対策地方支部、静岡県内のすべての災害対策地方支部をサポートしていく、そういう専門家スタッフということで組織されたものと、このように伺っているところでございます。
 本県の場合、今想定される災害といたしまして、岩手山の噴火やまた三陸沿岸の津波、地震、林野火災、水害などが挙げられるわけでございますが、現時点での考え方では、今言った災害の多くは、ある程度被災エリアを想定することができますので、災害の態様ですとか発生する地域によって、それぞれ最もふさわしい組織体制のもとで、最大限に効果が発揮できるようにと、こんな考え方で、人的、物的資源をそれぞれの災害に応じて投入をしていくと、このようなことが特に肝要であると、こんなふうに考えているわけでございます。そうした考え方に立って災害対策本部、そして地方支部の体制整備、それから数多くございます防災関係機関との連携、協力体制の構築に努めてきたところでございます。特にも、やはり岩手山について一番警戒しておりまして、一昨年来の岩手山の火山活動の活発化に伴いまして、平成10年度には消防防災課の中に火山対策監を設置して、噴火対策防災訓練、これは先月2月にも実施しましたが、この訓練をたびたび実施しましたり、緊急対策ガイドラインに基づく初動体制の整備に努めておりますほか、国、県、市町村、そして防災関係機関からなる連絡会議をつくりまして、連携協力体制の充実強化を図るなど、積極的に取り組んできているところでございます。
 平成12年度でございますが、このようなこれまでの積み上げてきた成果ですとか、あるいは課題を踏まえまして、まず危機管理を担当する、一般的な広い危機管理を担当する組織というものを立ち上げて、そして庁内の総合的な危機管理体制を構築したいと、ここには県警からも人を出していただいて、そうした危機管理体制を構築したいと、このように考えております。今、議員から御提言ございました内容につきましては、必ずしも組織の新設ということにはこだわらないわけですが、想定される災害を念頭に、その中で御提言の趣旨を生かしていきたいと、まず一歩一歩体制の整備をしていきたいと、このように考えております。
 それから、市町村合併についてでございますが、地方分権時代の到来や本格的な少子・高齢化時代を迎えまして、市町村が多様化、高度化する住民のニーズに的確に対応していくと、そして地域住民の一人一人が実感として真に豊かさを感ずることのできる社会を築いていくためには、地域の実情に応じまして合併を含む広域行政を推進し、行政体制の整備、確立を図っていく必要があると、このような認識でございます。これは本議会でも申し上げたところでございます。この市町村合併を含む広域行政の推進におきましては、もとより、その前提としては、地域のあり方は地域で決めるという地方自治の基本的な考え方を踏まえる必要がございまして、あくまでも市町村が自治の担い手である住民とともに地域の現状や課題をともに考えて、将来の望ましい姿をみずから描きながら、それぞれの地域において自主的に取り組んでいく、これが前提だというふうに考えております。
 県では、まず、来年度早い時期に策定いたします広域行政の推進指針の中で、各地の実情がさまざま異なりますので、各地の実情に応じた合併を含むさまざまな広域連携の可能性を個別具体的にお示しし、地域の将来にとって望ましいと考えられる広域行政の方向性について、市町村や、そして、何よりも地域住民の皆様方に幅広く議論をしていただけるように努力をしたい。まず、県としてはそうした議論を興していきたい、そして、広域行政推進の機運の醸成を図っていきたいと考えております。
 また、その後、そうした取り組みが実って具体化するに至った場合には、行財政全般にわたる総合的な支援を行うなどによりまして、その円滑な推進のために積極的に対応していきたい、このように考えております。
 次に、国際交流の推進についてでございます。
 姉妹友好提携というのは、地域レベルでの国際交流を進める上で有効な方法の一つであると私も考えております。こうしたことについて、平成2年度から6年度にかけて、先ほどお話ございましたように、民間有識者で構成する岩手県国際交流推進懇談会の中で検討を行ったという経緯がありました。その中では、提携先を中国あるいはアメリカに特定しないで、ヨーロッパや東南アジアなども視野に入れながら幅広い交流を進めることが望ましいと、このような提言がまとめられております。
 近年、国際化が急速に、しかも加速度的に進展してきており、先ほどお話ございましたように、インターネットなどで国境を越えてどんどん情報を得ることがいながらにしてできる、このような状況になってきていますので、県民の皆さんの価値観が非常に多様化している。それから、行政レベルだけではなくて、むしろ民間団体や個人での国際交流というのも活発に進められている。そのような取り組みというのは県内の各地域でも随所に見られているという状況もございます。したがって、世界の中で岩手県が果たすべき役割というのを念頭に置きながら、国際交流の相手を特定の国や地域に限定するということではなくて、多くの国々や地域とさまざまな分野で随時相互の利益となるような交流を展開していくことが望ましいのではないかと、このように考えております。
 これはすべてではないんですが、近年におきましてもペルーやラインラントプファルツ州の首長さんも来ましたし、アメリカのノースキャロライナとも今いろいろ事業をやっております。それから、インドネシアの南スラウェシ州との交流もございます。技術研修員も受け入れております。また、一方で、同じインドネシアからバリ州の技術研修員を受け入れたり、それからまた、ことし芸能団が来る予定になっております。中国ともさまざまな省と技術研修員の受け入れなどを行っています。それぞれ相互に利益、メリットがあるということでいろいろな交流を随時展開しているところでございますので、こうした交流を展開していくのがいいのではないかと思っております。
 今後の国際交流の推進に当たりましても、当然のことながら、地球的視野に立った長期的な展望ということが必要でございます。また、そうしたことを通じて、国際性豊かな、やはり人づくりということにつながるものということが大事だと思います。また、一方で、外国人がこの岩手に住んでみて、住みやすい地域づくりという観点での取り組みも必要だと思います。幅広い国際交流や国際協力を一層推進して、世界に開かれた岩手の形成に努めていきたい、このように考えております。
 それから、国際観光の振興についてでございますが、観光産業は、21世紀の経済を牽引する基幹産業の一つ、これは本県のみならず、我が国全体の経済という観点から見ても基幹産業の一つでありまして、その発展が大いに期待されているものでございます。グローバル化が進展する中にあって、国際観光の振興を図ることは、産業だけでなくて、さらには地域の国際化ということからも極めて重要であると、このように考えております。ただ、この国際観光というのは観光行動が広範囲にわたる。やはり外国から来られた皆さんは、できるだけ多くの場所で見聞きし、そして体験していきたいというお考えがございますので、一つの県というよりも広域的な視点で取り組む必要があるのではないかと、こんなふうに考えまして、北東北3県で、特にも共同で協議会というのをつくって、そこで最近、台湾、韓国への観光ミッションの派遣、それから台湾の旅行代理店やマスコミ関係者をこちらにお招きするといったようなことで、北東北の魅力をこうした国々を含め、海外に向けてアピールをしてきたところでございます。こうした努力の結果と考えておりますが、先ほどお話がございましたとおり、台湾から花巻空港への国際チャーター便の運航が予定されるなど、これを契機に、海外からの観光客誘致の機運がまさしく高まっていると、このように考えております。
 こうした機会をとらえまして、今後とも、訪日観光客が増加している台湾、それから、今後大きな需要が見込まれる韓国といった近隣のアジアの諸国を主要なターゲットといたしまして、いろいろな取り組みをこれからも進めていきたいと思っております。
 外国語表記の固定的な観光案内板を設置したり、観光に従事している皆さん方に外国語研修、基本的な部分について、とにかくぱっと答えられるように外国語研修をするなどといった受け入れ態勢の整備に努めますし、それから、新たなホームページの開設や海外の観光情報誌といったものを活用していく。それからまた、岩手の魅力をいろいろ紹介するパンフレットもハングルでつくったり中国語でつくったりと、いろいろな言葉でそういったものもつくっております。そして、温泉や雪国の文化、そして多彩な祭りといった、アジア諸国では味わえない、そして北東北に来れば味わうことのできる、そうした北東北固有の観光資源を紹介するなどということを強めていきたいと思っております。そして、これは花巻空港の機能強化ということも視野に入れながら官民挙げて取り組むべきものでございまして、官民挙げてこうしたことに取り組んで、積極的な誘客活動を展開していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕

〇総務部長(武居丈二君) まず、防災航空体制の整備についてでありますが、2機目の防災ヘリコプターの導入につきましては、その活動範囲は、花巻空港1カ所を拠点とすることで現在おおむね30分以内で県内すべてをカバーできることでありますとか、また、整備等による運航不能期間につきましては、県警ヘリコプターとの連携でございますとか、東北各県との相互応援協定などによりまして十分な対応が可能であること、こういった状況にございます。一方で、特に経費面でございますが、新たな防災ヘリコプターの導入につきましては、機体の購入費、それから、特に2機目が入ってまいりますと新しい格納庫が必要になってくるということもございまして、大変粗い試算でございますが、初期投資的に10億円前後の経費がかかると考えてございまして、また、現在、維持管理費が2億円ちょっとかかっているんですけれども、これが増嵩すると。それから、新たな航空隊、今現在の航空隊にも市町村からも10名編成で来ていただいておりますけれども、新しい航空隊の増員が必要になってくるということで、運営面でも解決すべき多くの課題があるのではないかと考えております。
 しかし、こういった状況にはございますけれども、御案内のように、現在建設中の盛岡東警察署の屋上にヘリポートを設置する予定になってございまして、それが完成されますと、今後、救急搬送の需要が増加してくることも予想されますので、2機目の導入につきましては、こういったことも踏まえまして、将来的な検討課題とさせていただきたいと考えております。
 また、自衛隊岩手駐屯地への航空隊の新設につきましては、機会をとらえまして、まずはその可能性や、実際どのような課題があるのかにつきまして関係者に状況を聞いてみたいと考えております。
 続きまして、食料の備蓄についてでございますけれども、災害時における被災地の食料につきましては、基本的には、それぞれの災害の状況に応じまして、的確に対応していくことが肝要ではないかと考えておりまして、被災地に隣接する身近なところから供給が行われ、さらに状況に応じまして、周辺の市町村でありますとか、さらには中核的な都市からの供給が行われていく、こういった状況になっていくのではないかと考えてございまして、こういった考え方に基づきまして、現在、県では、食料備蓄・供給体制の整備を県内14カ所で行っているところでございますけれども、これにつきましても、想定外の大規模災害ということもこれから起こり得ますので、より広域的な備蓄のあり方につきましては、全国知事会を通じまして、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、岩手県公会堂の今後の検討についてでございますが、県の公会堂につきましては、御指摘ございましたように、昭和2年に昭和天皇の御成婚記念事業として建設されて以来、県議会議事堂、芸術・文化のイベント会場、さらには会議場として県民の皆様方に広く利用されてきたところでございます。
 県公会堂の今後のあり方につきましては、昭和初期に建設された歴史的建造物であることから、都市景観形成上からも長く保存すべきといった御意見、あるいは施設、設備の老朽化でございますとか、当初なかった県民会館でございますとか盛岡市民ホールなどの代替施設が設置され、その存在意義が薄れてきたことに伴いまして、廃止し跡地の有効利用を図るべきではないかといった御意見までさまざまな御意見をいただいておりまして、こういった御意見も踏まえまして、県といたしましては、これまで──庁内でございますけれども──関係課の職員で県の公会堂の現状の分析と今後のあり方を検討してまいりました。こういった一環としまして、耐震診断調査につきましても実施したところでございます。
 今後につきましては、さまざまな分野の外部有識者の方々を委員とする──これは仮称でございますが──岩手県公会堂懇談会、これを当初は年度内にもと考えておりましたが、若干ずれますが平成12年度新年度早々にも立ち上げまして、専門的な視野や広い視点から御提言をいただくとともに、地元の盛岡市など関係者とも十分に協議してまいりたいと考えております。
 また、この4月から実施されますパブリックコメント制度、これは県民の方々から広く意見をお伺いする制度でございますが、こういったものを活用しながら、さらに幅広い意見聴取を行いたいと考えておりまして、今後の懇談会における審議の進みぐあいにもよりますが、早ければ13年度内を目途に結論を出したいと考えております。
   〔土木部長中山隆君登壇〕

〇土木部長(中山隆君) まず、地下空間における浸水対策についてでございますが、国の通達で示されました緊急的な浸水対策といたしまして、豪雨及び洪水による地下空間での危険を防止するため、県では、年2回実施しております建築物防災週間におきまして、関係市町村、消防機関と一体となって、施設の管理者に対して洪水時における地下室での注意を喚起するための啓発を行っているところであります。
 また、北上川の浸水予想区域につきましては、パンフレットや建設省岩手工事事務所のホームページなどによりまして既に公表しているところでございます。さらに、盛岡市を初め、5市町村が国、県との連携のもとに洪水ハザードマップを作成し、各家庭に配布するなど、広く周知を図っているところでございます。
 また、大雨洪水情報の伝達につきましては、岩手県河川情報システムを通じまして、県内主要河川の流域内の降雨量や水位の情報を各市町村へ迅速に提供しているところでございます。
 今後とも、一層市町村との連携を図りながら、浸水時の地下室での危険性につきまして、建築物防災週間も含めて機会あるごとに啓発を図っていくとともに、地下空間管理者への大雨洪水情報の迅速な伝達や避難体制の整備並びに浸水被害の軽減のための方策なども含めまして検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、住宅の環境対策についてでございますが、地球環境問題に地域から取り組んでいく上でも、住宅の環境対策はますます重要になると認識しております。このため、岩手県総合計画におきましては、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現に向けた住宅施策に取り組むこととしており、省エネルギーに配慮した県営住宅の整備を進めるとともに、住宅供給公社の環境共生住宅モデル団地の整備を支援しているところでございます。
 平成12年度でございますが、新規事業といたしまして、環境共生型県営住宅の推進事業によりまして、県営住宅の建設工事における環境負荷を軽減するための仕様を定め、県営住宅の整備を進めるとともに、他の公営住宅等への普及を図ることとして、本定例会において御審議いただいているところでございます。
 また、民間住宅につきましては、今年度から本県の気候風土に適合し、太陽エネルギーなどを活用するとともに、省エネルギー、耐久性などに配慮しました優良な住宅を普及するため、いわて環境共生住宅の基準の策定作業を進めており、今後、住宅金融公庫の割り増し融資が受けられるよう、制度の拡充を図ることとしております。
 さらに、10月に本県で開催いたしますスーパーハウジングフェアin岩手におきまして、環境とひとにやさしい新世紀の住まいを基本テーマに、住宅の環境対策につきましても各種の情報提供を行い、民間住宅への普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、最近の本県における市町村合併の動きや広域連携等広域行政に向けた取り組み状況等についてでございます。
 平成3年の北上市及び平成4年の盛岡市の合併以降、合併協議会の設立に至るまでの市町村合併の動きは見られないところでございますが、最近におきまして、盛岡地区あるいは気仙地区を初めとする幾つかの地域において市町村合併に関しての論議が交わされているものと承知してございます。
 また、平成10年に気仙広域連合、平成11年に一関地方広域連合がそれぞれ設立され、さらに、介護保険事務を契機として、盛岡広域市町村圏の北部6町村において既存の一部事務組合を拡充して共同処理を行うこととしたほか、久慈地区において新しい広域連合の設置に向けた動きが見られるなど、広域連携に向けた市町村の自主的な取り組みが各地域で展開され、実を結びつつある状況となっているものと認識してございます。
 この市町村合併を含む広域行政の推進は、何よりも市町村、とりわけ地域の住民の皆さんの自主的な取り組みが前提となるものでございますので、こうしたことから、この広域行政推進指針の策定に当たりましては、県立大学の広域行政研究会の協力を得ながら、これまで各地方振興局ごとに地域住民の方々からさまざまな意見、提言をいただいてきたところでございます。
 今後におきましても、この指針の素案を県のホームページに掲載し、また各地方振興局において住民の皆さんへの閲覧に供するなどして、できる限り多くの県民の方々の意見を伺うよう努めながらこの指針を取りまとめ、そして公表してまいりたいと考えてございます。
 次に、新エネルギーの導入についてでございますが、本県における風力発電は、現在、平泉町束稲地区と葛巻町袖山地区の2カ所のみで稼働しており、その発電規模はあわせて1、700キロワットとなってございますが、さらに、新エネルギービジョンに基づいて、昨年度から本格的な風況調査をスタートさせたところでございます。
 昨年度実施した3カ所のうち、浄法寺町稲庭地区と釜石市和山地区の2カ所で風況が極めて良好でありましたことから、稲庭地区においては、来年度の発電所建設に向けて、現在、設計が進められ、和山地区においても大規模発電所の建設に向けた詳細な調査が実施されてございます。
 また、本年度調査中の宮守村寺沢高原、住田町種山高原、大東町室根高原においても良好な結果が得られており、開発を希望する事業者のために、そのデータを公表して開発可能性を検討する研究会を年度内に開催することといたしてございます。
 そのほか、葛巻町上外川地区において平成13年度の着工に向けた詳細な調査が実施されているほか、宮古市亀ヶ森地区、三陸町夏虫山地区、江刺市阿原山地区においても民間と地元自治体が協力して開発に向けた調査を進めております。今後とも、本県における風力エネルギーの開発を積極的に促進してまいりたいと考えてございます。
 また、今後の新エネルギーの導入についてでございますが、2010年度に向けて、県の新エネルギービジョンにおいて県民が一丸となって取り組む10種類の新エネルギーの達成目標を掲げまして、これを実現するための行動計画において、毎年達成状況の点検やそれと連動した適切な施策の見直しを行うとしたところでございます。この行動計画に基づきまして、今後とも県有施設への太陽光発電の積極的な導入、企業局による風力発電への取り組み等を行うほか、県、市町村、事業者、県民が一体となりまして、コージェネレーションなどの高効率エネルギーの利用や排水・排熱の未利用エネルギーの活用、太陽光発電やソーラーシステム、クリーンエネルギー自動車の導入等に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、オムニバスタウン構想に対する評価と、そして支援についてでございます。
 まず、この構想は、人・まち・環境にやさしいというバスの社会的意義を最大限に発揮したまちづくりを総合的に進めるものでございまして、盛岡市がお話のとおり全国で4番目の指定を受け、先駆的、モデル的に取り組むものでございます。
 盛岡市におきましては、都心部への交通集中が年々著しくなってきておりまして、大半のバス路線において定時性の確保、つまり時間どおりに発着するということですが、それが困難となりまして、バス離れとマイカー依存の増大による渋滞の激化という悪循環を生じているところでございますが、この構想は、地域にとって最も身近な公共交通機関でございますバスの円滑な運行を確保することによって、今日的な課題でございます公共交通機関の利用促進、道路混雑の緩和、地球環境の改善、さらには、中心市街地の活性化にも資するものとして、意義の大きいものと考えております。
 また、この構想に対する県の支援についてでございますが、これまでも、地域住民、とりわけ高齢者などの交通弱者の日常生活に必要不可欠なバスの利便性を向上させるため、県といたしましては、地域特性や地域住民のニーズに対応した市町村の取り組みを基本としながら、バスカードシステムや低床バスの導入などを積極的に支援するとともに、バス停留所やバス停標識、バス路線案内板の整備などの輸送サービスの改善を促進してきたところでございまして、このような考え方に立って、盛岡市のオムニバスタウン構想における個々の事業につきましても、その広域性や県内への波及効果などを総合的に勘案しながら必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、家族介護者の方々に対する支援についてでありますが、介護保険制度は、要援護高齢者を社会全体で支援し、ひいては家族介護者の負担の軽減を図るものでありますことから、介護保険制度の定着が基本であると考えております。
 その他、家族介護者の方々に対する支援策としては、介護技術等を習得するための介護者に対する家族介護教室やリフレッシュのための家族介護者交流会の開催など、市町村が地域の実情に応じて実施する家族介護支援特別事業を支援するとともに、住まいのバリアフリー化を図る高齢者にやさしい住まいづくり推進事業の拡充や、介護保険サービスを受けず、介護に当たった家族に手当を支給する暫定的な措置としての寝たきり老人等介護手当など、家族介護者の方々に対する支援を行ってまいります。
 次に、介護保険制度における利用者負担の軽減策についてでありますが、この制度におきましては、介護サービスの利用の程度に応じて、利用者の方々に公平に介護サービスの費用の1割を負担していただく仕組みとなっております。このため、低所得者の方々につきましては、費用の負担が過重とならないよう、毎月の負担額に上限額を設け、低所得者においてはこれを低く設定し、上限額を超えた部分が払い戻される仕組みや、特別養護老人ホームに制度施行前から引き続き入所する方については、これまでの負担額と同程度とする経過措置、また、これまでホームヘルプサービスを利用してきた低所得の要援護者の方については、負担が急激にふえないよう市町村が経過的に利用者負担を3%に軽減する事業、さらに、利用者負担に伴い、特に生活が困窮する方を対象として、社会福祉法人等がその状況に応じて利用者負担を減免する事業などが措置されております。これらの措置を適切に活用していただけるよう、県民、事業者、市町村等へ周知していくとともに、これらの措置を実施する市町村等を支援してまいります。

〇44番(折居明広君) 大変簡潔明瞭、まことに実りある御答弁をいただいたわけでありますが、なお一、二点再質問したいと思います。
 手元にあります資料によれば、昭和の大合併に際して、県は、昭和29年4月に、当時の国分謙吉知事名で県内各市町村長あてにこういう文書を発送しております。去る3月29日開催された第3回岩手県町村合併促進審議会を経て、町村合併計画の試案を作成したので、貴市町村内各方面の意見を取りまとめの上、4月30日までに所轄地方事務所を経由して御回答願います、という文書を発送しております。しかし、全市町村の各方面への意見を広く聞いたが、問題が問題であるために、4月末日の回答期限までに来た回答は極めて少なく、そして督促に督促を重ねた結果、6月上旬に至って大体大部分が寄せられたが、なお回答の来ないところもあり、そのため、5月上旬に予定されていた第4回の審議会も延期のやむなくに至り、6月25日になってようやく開催の運びとなったと、云々という記録があります。これは昭和の大合併もぐいぐいとやろうとしたわけでありますが、思いのほか難渋しているのであります。
 また、別の資料によりますと、下閉伊西部地区の──これは県の試案の中にあるんですが──川井、門馬では──川井村、門馬村のことです──昭和29年12月13日、川井村、門馬村の組合役場で県試案に対する村の態度決定について協議しましたが、門馬村の一部住民が盛岡市への編入合併を希望したと、川井じゃなく盛岡へ編入されたいと、合併したいという希望をし、議会にも数十名の地区民が陳情するなどして、結論を出せずに、その後、日を改めて現地で門馬地区住民の声を聴取し、さらに議会も盛岡市側の意見も確認すべきだとしたために、昭和30年4月4日、村長、村会議員、固定資産評価委員が盛岡市役所を訪れ、市の助役、議長、副議長と門馬村の盛岡市編入問題について協議したとあります。しかし、その結果でありますが、盛岡市側においては、現段階において門馬の編入の意思は薄いという旨を表明したため、下閉伊西部地区も県の試案に沿って結局は川井、門馬と小国の3村が合体合併して同年7月に新川井村が誕生したと言われておりまして、余り知られていない事実がやはり資料、記録の中には残っているのであります。
 今回県が策定する広域行政推進指針の中には、町村合併推進法の施行時、あるいは施行後におけるさまざまの経過や反省点、例えば広域市町村圏を越えた編入問題、地域、地区住民の生の声などに十分配慮したものになっているのか、その辺についてももう一度重ねてお伺いするものであります。
 それから、オムニバスタウン構想、これは確かに部長の答弁で大体納得したわけでありますが、ひとつ重ねてもう一度確認しておきたいことがあります。道路管理者である建設省、それから県、市、そのほかに県警察本部、岩手県バス協会、バス事業者は、11年度から5カ年計画で、全国初めてのゾーンバスシステムの構築など、ミニターミナル整備事業やバス走行環境改善事業など13の事業に取り組み、定時走行性にすぐれた路線バスの利用促進や渋滞の緩和、環境負荷の軽減などに努めていくことになるわけでありますが、これらに要する総事業費は、国、県の補助を含めて約20億円という金額が見込まれております。盛岡市の発展なくして盛岡広域圏の発展はあり得ませんし、県都である盛岡市の発展がすなわち岩手の発展にもつながるわけでありますから、今回のこの盛岡の街が周辺市町村と一体的に発展していく起爆的要素を持った久々の事業でありますこの13事業について、できる限りの支援策、部長はただいま公益性などを勘案しながら必要な支援を行っていきたいというありがたい御答弁でありましたが、特に財政支援も含めてぜひ強力なバックアップの決意のほどをお聞かせいただきたい、そのように思います。よろしくお願いします。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) 2点のお尋ねがございました。まず市町村合併についてでございますが、地方分権時代において市町村合併を進めるに当たっては、かつて町村合併促進法のもとで、国や県が一定の町村の規模を基準として計画的に合併を推進した、いわゆる昭和の大合併でございますが、それとは異なりまして、あくまでも何よりも地域住民の意向に基づいて市町村の自主的な取り組みを基本とすべきものと考えてございます。こうしたことから、現在策定を進めております広域行政推進指針につきましては、あくまでも市町村の自主性を前提として、市町村はもちろん、広域市町村圏の区域を越える点も含んで住民の日常生活の状況であるとか、市町村間のつながりの状況であるとか、国、県等の機関の区域なども調査するとともに、全市町村を訪問して、各市町村長や議会、さらには地域住民の皆さんから地域の歴史的経過も含めて、そういった実情についてさまざまな御意見をいただきながら、望ましい広域行政の方向性について検討を進めているところでございまして、今後におきましても、数多くの県民の皆様の意見を、地域住民の皆様の意見を伺うように努めてまいります。
 なお、この広域行政推進指針が策定された後におきましては、市町村やとりわけ地域住民の方々が、合併を含む広域行政について広く議論する場合のいわばたたき台、材料として活用され、大いにその議論が深まることを期待しているところでございます。
 次に、オムニバスタウン構想についてでございますが、この構想は、地域にとって最も身近な公共交通機関でございますバスの機能を回復、向上させ、地域の足として一層の活用を図るということによって、マイカーに依存しない交通体系の実現とまちづくりに向けて取り組むものでございまして、盛岡市及びその周辺部における交通問題の解決のためにも有効なものと認識をいたしてございます。今後とも関係機関とも連携をしながら、一方、財政状況等も十分考慮しながら、積極的に対応してまいりたいと存じます。
   

〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時45分 休 憩
   

出席議員(48名)
1  番  及 川   敦 君
3  番  樋 下 正 信 君
4  番  照 井 昭 二 君
5  番  柳 村 岩 見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  工 藤 大 輔 君
8  番  川 村 農 夫 君
9  番  佐々木 順 一 君
10  番  佐 藤 力 男 君
11  番  及 川 幸 子 君
12  番  阿 部 静 子 君
13  番  阿 部 富 雄 君
14  番  田 村   誠 君
15  番  岩 城   明 君
16  番  中屋敷   十 君
17  番  千 葉   伝 君
18  番  佐々木 大 和 君
19  番  水 上 信 宏 君
20  番  阿 部 敏 雄 君
21  番  川 口 民 一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉 藤   信 君
24  番  伊 沢 昌 弘 君
25  番  田 村 正 彦 君
26  番  上 澤 義 主 君
27  番  瀬 川   滋 君
28  番  藤 原 泰次郎 君
29  番  船 越 賢太郎 君
30  番  谷 藤 裕 明 君
31  番  菊 池   勲 君
33  番  黄川田   徹 君
32  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊 藤 勢 至 君
35  番  高 橋 賢 輔 君
36  番  小 原 宣 良 君
38  番  千 葉   浩 君
39  番  吉 田 洋 治 君
40  番  工 藤   篤 君
41  番  菅 原 温 士 君
42  番  佐 藤 正 春 君
43  番  山 内 隆 文 君
44  番  折 居 明 広 君
46  番  藤 原 良 信 君
47  番  及 川 幸 郎 君
48  番  菊 池 雄 光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君
50  番  那須川 健 一 君
51  番  吉 田   秀 君

欠席議員(3名)
2  番  飯 沢   匡 君
37  番  長谷川 忠 久 君
45  番  村 上 惠 三 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後4時4分 再 開

〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。藤原泰次郎君。
   〔28番藤原泰次郎君登壇〕(拍手)


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