平成12年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇41番(菅原温士君) 自由民主クラブの菅原温士であります。
 通告に従いまして順次質問させていただきますので、県当局の積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初に、外部監査の結果及びこれに関連してお伺いいたします。
 地方分権の推進に対応した地方公共団体の体制の整備及び適正な予算の執行の確保を図る観点から、地方公共団体の監査制度の改革が行われ、本県においても、平成11年4月から外部監査人による包括外部監査が導入され、公認会計士の資格を有する方と契約を締結し、早速その業務を実施、昨年12月に報告書が提出されたと聞いております。
 今回の包括外部監査人は、外部監査の対象として県営住宅及び県営スポーツ施設の収支についてを選定しております。その理由として、県財政は、平成10年度末現在で県債残高が1兆円を超え、今後、その元利償還が財政を圧迫する要因となることから大変厳しい状況にあると言え、このような折、自主財源の確保は財政運営上の重要な課題の一つとして考えられることを挙げております。
 そして、この外部監査人は、監査結果として、まず、県営住宅については、県営住宅の家賃等の収入未済額は年々増加する傾向にあり、特に最近、滞納繰越額の増加が目立っているので、長期滞納者に対する一層の回収促進に努力されたいこと、また、有料県営スポーツ施設については、施設ごとの収支計算書が作成されていないので、各施設につき県民がどれほどの負担をしているかを示す趣旨から、施設ごとに収支計算書を作成し、事業から生ずる収支差額を明確にすること、その際、民間の発生主義会計的発想も取り入れて、県民が各施設に対して初期投資も含め総額で幾ら負担しているかが明確となるような計算も実施されたいと意見を報告いたしております。
 そこで、この監査結果に対する県の対応についてお伺いいたしますが、知事は、これらの外部監査人の意見をどう受けとめ、どのような取り組みを進めようとされているのかお聞かせ願いたい。
 特に、収入未済額については、平成10年度の決算では、今回の外部監査対象の県営住宅の家賃等はもとより、県税の収入未済額15億4、000余万円、中小企業振興資金の収入未済額12億8、000余万円など合計32億4、000余万円となっており、県監査委員からさきの12月議会に提出された平成10年度岩手県歳入歳出決算審査意見書でも留意、改善を求めておりますが、どのような解消策を講じたのかお聞かせ願います。
 次に、岩手県総合計画の推進体制についてお伺いいたします。
 みんなで創る夢県土いわてを基本とした岩手県総合計画がいよいよ平成12年度から実質的にスタートすることになります。この計画のこれまでにない特徴は、計画策定の過程で実に多くの県民の意見や考えを集約し、反映させたものであり、文字どおりみんなでつくった計画であることにあります。この計画をみんなで進めるため、計画のあらゆる箇所に県民へのメッセージや事業者の皆さんへのメッセージを挙げております。また、知事は、この計画の県民向けPR誌上で、県民に対し、新しい岩手づくりがこのシナリオのとおり進み、21世紀の岩手県が夢県土となりますように、引き続き皆さんの御協力と積極的な参加をお願いいたしますと呼びかけておりますが、一部関係者を除き、大部分の県民は、何をどう協力し、どう参加すればよいのか戸惑っているのではないでしょうか。
 これまで岩手県では、県民総参加の県民運動を、古くは岩手国体から昨年の全国高校総体まで見事に繰り広げてきました。また、新生活運動と新しい岩手をつくる県民運動を統合した岩手の県民運動や教育振興運動など民間主体の県民運動を展開し、大きな成果を上げてきました。これらの先人の実践活動から生まれ育った数々の県民運動が、今、愛ランドいわて県民運動協議会として引き継がれております。私は、こうした県民運動のノウハウを今回の総合計画の推進に活用することが望ましいと考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、このたびの計画をどのように推進しようとしているのかお聞かせ願います。また、こうした先人たちの築き上げてきた県民運動をどう認識されているのか、そして、今、引き継がれている愛ランドいわて県民運動協議会の現状をどう評価しているのか、今後果たすべき役割として何を期待しているのかお伺いいたします。
 次に、市町村総合補助金についてお伺いいたします。
 市町村の自主的な地域づくりを支援するための岩手独自の施策として、平成12年度に市町村総合補助金制度を創設するということでありますが、全国に先駆けて、このような市町村が自主的に活用できる新たな補助制度が設けられることは、市町村にとりまして朗報であると考えるものであります。この制度が積極的に利用され、各市町村において特色のある創意と工夫に満ちた地域づくりが促進されるよう期待するとともに、平成12年度は岩手県総合計画の実質初年度でありますので、この制度の創設によって、県と市町村とが連携した新しい岩手づくりが大いに推進されるよう願うものであります。
 そこでお伺いいたします。この市町村総合補助金の制度創設の基本的な考え方はどのようなものかお聞かせ願います。また、この制度の内容と特徴、他の県単独補助金制度と異なる点などについてもお聞かせ願います。
 さらに、この制度を創設するに当たり、市町村の意向把握はどのようにして行ったのか、そして、この制度は、市町村の意向が反映されたものとなっているのかお聞かせ願いたいと思います。
 次に、いわて男女共同参画プランについてお伺いいたします。
 私は、女性の地位の向上や社会参画の促進についてはかねてからその重要性を認識し、その推進のため、県議会の場においてたびたび質問いたしているところであります。これは、昭和50年を国連が国際婦人年と定め、これを契機に女性の人権尊重と男女平等の推進が課題とされて以来、大きなうねりとなって世界各国の取り組みがなされている中にあって、我が国の取り組みについて見ると、いささか物足りなさを覚えていたからであります。このような中、昨年6月、国においては、女性と男性がその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指して男女共同参画社会基本法を制定し、国、地方公共団体、国民の責務を規定したところであります。
 そこでお伺いいたしますが、県では、現在、いわて男女共同参画プランの策定を進めていますが、この基本法をどのように評価しているのでしょうか。また、県のいわて男女共同参画プランは、この基本法とどのような関連があるのでしょうか、お聞かせ願います。
 また、県では、男女共同参画の推進のため、平成4年3月にいわて女性さわやかプランを策定し、審議会等への女性委員の登用や女性リーダーの養成を初めとするさまざまな施策を展開してきたところであります。現プランを策定した当時と現在とを比較すると、女性の社会進出に対する国内外の動きは激しく、例えば、国においては平成6年に総理府に男女共同参画室と推進本部を設置して国を挙げた推進体制を整備し、基本法の制定につなげたところであり、また、国際的には、平成7年に北京で国連の第4回世界女性会議が開催され、女性の人権や女性への暴力などが論議され、各国の取り組みの一層の推進が決議されるなど、大きな流れとなっております。
 そこでお伺いいたしますが、現在策定中のいわて男女共同参画プランは、どのような基本的な考え方で策定作業を進めているのでしょうか。そして、現プランと比較してどのような特徴があるのでしょうか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、中小企業振興対策についてお伺いいたします。
 国の中小企業白書によりますと、我が国の中小企業は、事業所数で全体の98.9%、従業員数で77.6%となっており、我が国経済の中で大きな位置を占めているところであります。しかし、景気低迷が長引く中、これら中小企業は押しなべて厳しい状況に置かれており、経済の活力を取り戻し、新たな発展を遂げていくためにも、中小企業の振興が極めて重要な課題となっております。
 このような中、国においては、中小企業国会とも称された昨年の臨時国会で中小企業基本法の基本理念の改正や中小企業者の範囲の拡大などを行うとともに、中小企業に対する金融対策や経営革新、創業・ベンチャー支援など、政策体系の抜本的再構築を行ったところであります。本県においても中小企業の置かれている現状は大変厳しいものがあり、本県経済の活性化のためにも、中小企業振興への期待は大きいものがあります。
 そこでお伺いいたします。第1点は金融対策でありますが、多様化する中小企業の金融ニーズに即時、的確に対応するためには、これにこたえる制度の充実強化が必要と考えます。特にも、現在、中小企業者の緊急の課題である資金の借りかえ需要に対応するためには、融資枠の拡充はもとより、制度の弾力的運用が重要と考えますが、お考えをお聞かせ願います。
 第2点は中小企業振興公社についてでありますが、この公社は、県内中小企業支援の中核的機関としてその振興に重要な役割を果たしているところであります。そうした中、県では、この中小企業振興公社とテクノ財団を統合される予定と伺っております。私は、新たな財団において、これまでの公社機能がさらに強化されることを期待するものでありますが、新財団では、今後、どのような点に主眼を置いて中小企業振興を図っていく考えかお聞かせ願います。
 第3点は雇用対策でありますが、この4月から地方事務官制度が廃止され、地方労働局が発足すると聞いております。本県の雇用対策を一層推進していくためには、これら関係機関との連携強化が不可欠と考えますが、今後、どのような方策を講じるお考えかお聞かせ願います。
 第4点は、人材の育成であります。本県産業の発展にとって、しっかりとした技術・技能に裏打ちされた中小企業の集積こそが極めて重要であると考えます。このためには、これらものづくりを支える技術者、技能者の育成が大きな課題であると考えますが、県はどのようにして取り組まれるお考えなのか、現在、検討が進められている職業能力開発施設再編整備計画の検討状況とあわせてお聞かせ願います。
 次に、麦、大豆の生産振興についてお伺いいたします。
 小麦の国内生産量は、平成10年で見ますと57万トンで、総需要量622万トンの9%、また、大豆では、国内生産量は15万8、000トンで、総需要量487万トンの3%と、極めて低い自給率であります。国では、食料・農業・農村基本法の理念を踏まえ、昨年10月に水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱を決定し、麦、大豆等の本格的生産を推進することとしたところでありますが、私は、麦、大豆の生産振興は、自給率の向上はもちろんのこと、本県水田の有効活用の面から見ましても時宜を得た施策であると評価するものであります。
 大豆を利用した豆腐、納豆等の食品は健康によいことが知られるなど、国産大豆等に対する消費者ニーズには大きいものがあります。しかも県内の実需者は、県産小麦、大豆に対してロットの拡大と安定供給を求めていると聞いております。この期待にこたえていくためには、品質のよいものを安定的に供給していく生産体制を構築することが今後の生産拡大に向けて重要な課題と思われます。しかし、本県における麦、大豆生産の現状は、全国に比べて1戸当たりの面積が小さいことや、転作でのつくり捨ても見られるなど、思うように生産が上がっていないということも聞いております。
 そこでお伺いいたしますが、県では、麦、大豆の定着、拡大を図るため、販売対策を含めた生産振興対策についてどのようにお考えなのかお聞かせ願います。
 次に、公共サービスへのPFI導入についてお伺いいたします。
 いわゆるプライベート・ファイナンス・イニシアチブは、公共事業に市場原理を導入し、民間の創意工夫を活用することにより、効率的で質の高い公共サービスを提供すると同時に、財政負担の軽減を図るねらいがあります。さらに、民間企業の事業を拡大することにより、経済活性化や雇用創出につながることも期待されております。このことは、先般、阿部議員の海外調査で報告されておりましたが、もともと英国で小さな政府を目指す行政改革の一環として1992年に本格的に導入されたものであります。その後、PFIは有料橋や鉄道、病院、学校等の分野にまで拡大し、大きな成果をおさめております。
 我が国での公共事業への民間活力の導入は、民活法が制定されて以来、行政と民間が共同出資する第三セクター方式を中心に行われてまいりました。しかし、バブル経済の崩壊とともに第三セクターの破綻や経営危機が表面化し、多くの自治体の財政が圧迫されるようになりました。第三セクター方式の失敗は、官民の役割分担や経営責任があいまいであったためで、こうした失敗を繰り返さないためにも、PFIでは、事業選定に当たっては、国民の支払う税金に対し最も価値の高い公共サービスを提供すべきという考え方に基づいて行う契約によって官民の役割、責任、リスクの分担を明確にする。また、民間の創意工夫を生かすため、事業の運営を全面的に民間にゆだねる等の配慮が不可欠となります。幸い平成11年7月に民間資金等の活用による公共施設等整備促進法、いわゆるPFI法が成立し、国によるPFIの支援体制が整ったことで、地方公共団体や民間企業の間で急速に、しかも確実に意識が高まってきております。
 こうした中で、廃棄物発電施設、庁舎、美術館、移動通信実験施設など実際のプロジェクトを念頭に置き、PFIの導入を真剣に検討、あるいは既に実施しているところがあります。例えば、千葉県の木更津市、君津市、富津市及び袖ケ浦市が新日鉄と協力してPFIを導入し、産業廃棄物発電施設を検討しており、また、東京都水道局葛飾区金町浄水場にある発電施設の整備運営をPFIで実施する計画で民間企業を公募し、事業者を決定いたしております。
 本県においては、金ヶ崎町において堆肥センターの整備運営をPFI方式で計画を進めていると聞いております。これは時代の先取りであり、財政負担の軽減と公共サービスの質の向上につながるものと評価するものであります。県においても、時代の急速な変化と財政の効率的な運用と住民サービスの向上のため、PFIの導入を積極的に検討する時期に来ているのではないかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 特に、県において先般まとめられた盛岡駅西口地区県有地活用基本計画で示された今後の県施策や新時代の岩手を展望した長期的視点に立った21世紀の岩手づくりを進めるための拠点施設整備において概算で200億円から220億円と巨額の事業費が見込まれていることから、この手法を取り入れ、財政負担の軽減を図ることも必要と考えますが、県当局のお考えをお聞かせ願います。
 次に、道徳教育についてお伺いいたします。
 現在の教育基本法は、日本がアメリカに占領されていた昭和22年、その統治下において制定されました。したがって、この基本法は、被占領国としてさまざまな制約を受けながら成立したもので、独立国家の国民を育成するために必要と思われる理念を欠いた部分があったと指摘されており、また、日本人の魂を見出すことができないという論議がなされているところであります。加えてこの法律は、50年間、時代の変化に対応することなく今日に至っていることも不可解と思わざるを得ません。農業基本法も時代の変化に対応していることを考えるとき、同様に見直す時期が到来しているのではないでしょうか。
 戦後の教育は余りにも国家を軽んじ、個人の自由に重きを置いてまいりました。国家がなければ個人の自由がないことを認識させなければなりません。我が国は建国2660年という誇るべき歴史があります。まずは日本人であること、そして日本を愛する心を理解させなければならないと思います。
 戦後の教育は、徳に関する価値を全く顧みませんでした。むしろこれを否定することが戦後の教育の主流だったのではないでしょうか。
 近年、青少年による犯罪は多量化、低年齢化、凶悪化するとともに、学校内では子供の心の荒廃が進み、暴力事件の増加、いじめ、不登校、不純異性交遊、薬物依存者の増加が目立つようになり、学校・学級崩壊という現象が大きな社会問題となっていることは御承知のとおりであります。原因は多岐にわたると思われますが、道徳教育の欠如が最大の原因ではないかと思われます。
 今日の教育は、個人の尊重、国際社会への貢献に重点が置かれ、他人への思いやり、規律、節度、仲間意識、民族としての連帯感などの欠如が指摘されておりますし、価値観の多様化を理由に自由勝手な生き方が容認され、家庭、学校、社会の教育力の低下を招く結果となったのであります。こうした子供たちの心の荒廃が大きな社会問題となっていることを踏まえ、中央教育審議会は心の教育の重要性を答申し、文部省も家庭教育、しつけに関するノートを子育ての参考にと全国的に配布したと聞いております。
 そこでお伺いいたしますが、岩手県の学校教育の中で道徳教育をどのように認識してきたのか、今後、どのような方策で道徳教育を進めていくおつもりなのか、異例のことではありますが、あえて教育委員会委員長のお考えをお聞かせ願います。
 また、中央教育審議会の心の教育の答申を確固たるものにするためには指導力の向上が必要と考えるものでありますが、教員の資質の向上のための基本的な考え方をお聞かせ願います。
 最後に、英語教育についてお伺いいたします。
 戦後の教育は、機会均等のもと英才教育を無視し、平等の名のもとに不平等を強いてまいりました。つまり、学力の異なる学校、大学を認めるなど平等性の形を整えてきたその結果、無力な教養人を横溢させたと言われております。
 去る2月6日の読売新聞社説に、生きた英語を身につけるには、と題しての論評がありましたが、まさにそのとおりであり、私は共鳴いたしました。この件について、私は以前、話せる英語教育の充実について一般質問いたした経緯があります。その後、他県においては、小中一貫の英語教育の試みや、パソコンを使って個人の能力に応じて教育する試みがなされております。
 県当局においても、高校普通科に情報教育を取り入れる動きが見られるようになってまいりましたが、その動きはまだまだの感がいたします。だれしもが経験したことがあると思いますが、外国旅行をしたときに、英語が話せない情けなさがありました。世界共通語であります英語が、先進国と言われている我が国がアジア各国よりも劣っていることはまことに情けない次第であります。このことは、長年にわたる教育方針の中で、英語に対する認識の欠如があったものと思います。
 一方、昨年の我が国のパソコンの出荷は、前年対比31%、921万5、000台で、外国とは英語でメールをやりとりするインターネットの普及と低価格が追い風で、今後もこの傾向が続くと言われております。また、商取引、電子決済などの普及が進めばさらに増加すると言われております。そして、これらを支えているのがIT、すなわち情報技術産業であります。全世界の関連する会社はしのぎを削り、会社の運命をかけて開発を進めております。これも国際語であります英語なくしては目的が達成できないのであります。
 知事は、冒頭の知事演述の中で、田中舘愛橘博士の遺稿、「50年後の夢」から、21世紀初頭を見据えた「求めよ!汝は見いだすであろう」の言葉を引用し、それぞれの人が夢を持ち、その夢を実現するためにたゆまぬ努力をすることの大切さを訴えられました。
 まさに、そのためにもすぐれた国際感覚や社会性を持った岩手の人づくりが必要であり、英語教育の充実や英才教育も取り入れる必要もあるのではないかと考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 菅原温士議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、包括外部監査人の意見に対する認識と取り組みについてお尋ねがございました。この包括外部監査人から監査結果をいただいたわけですが、その際に、それに付随しました御意見をいただいたわけでございまして、内容は二つございます。県営住宅に係る滞納家賃などの回収促進と不納欠損処理手続の検討についてというものと、そして県営スポーツ施設に係る施設ごとの県民負担の明確化ということで御意見をいただきました。これを見まして行政運営に当たっての公平性の確保と、そして財務状況の公表の重要性を改めて強く私も認識をしたところでございます。
 このうち前者の県営住宅についての滞納家賃の回収につきましては、過般、長期にわたり滞納して、なおかつ支払いに応じない入居者2名、家賃が34カ月、そしてもう1人が22カ月滞納している人ですが、この入居者2名に対して滞納家賃の支払いなどを求める訴訟を提起したところでございます。県営住宅の入居者間の公平性の確保という観点から、このような滞納者に対しては今後とも、こうした法的措置も含めた厳しい姿勢で臨んでいく考えでございます。さらに、債務者が行方不明などの事情により明らかに回収が困難であると認められる場合もございます。こうした場合の不納欠損処理につきましては、現在、処理基準というものを作成しようということで、この処理基準の作成に向けて作業を進めているところでございまして、その上でその基準にのっとりまして手続を進めていく考えでございます。
 また、後者の県営スポーツ施設につきましては、行政サービスとそれに対しての県民負担についての関係を明らかにするために、平成13年度に、企業会計でいいますといわば損益計算書に当たる行政コスト計算書というものを作成することとしております。今その作成の手法、内容について具体的な検討をしているところでございますが、それに基づきましてコストを明らかにしたいというふうに思っています。監査委員の御意見は、この具体的な手法を検討しているその中に十分に御意見を反映させたいと、このように考えております。
 それから次に、岩手県総合計画の推進についてお尋ねがございましたが、この計画を着実に進めていくためには、計画の基本目標をみんなで創る夢県土いわてとしておりますように、県民の皆さん一人一人の参加と協力が何よりも大切でございます。こうしたことから、県民の皆さんに計画の内容を御理解いただくことがまず一番大事であるということで、私自身もそうでございますが、私自身はもとより、職員が県内各地に出向いて行う、いわゆる出前説明会というものを現在も積極的に開催中でございます。こうした出前説明会を初めとして、さまざまな方法で現在、計画の周知に努めているところでございますが、その一方で2010年時点、その2010年時点の県民の暮らしがどのように変わるのかということを数値目標で示さないとわかりにくいと思いますので、わかりやすく示した207の指標をつくりまして、それを中心に具体的には計画の進行管理を行っていくと、その結果を公表して、さらにその段階で御意見をいただくといったようなことで、広く県民の皆さんの参加を随時求めていくと、このような考え方でおります。
 また、この総合計画の中では、21世紀を通じて私たちが大切にしていかなければならないその計画の理念として、自立、参画、創造による持続的な地域づくり、この自立、参画、創造ということを強く掲げております。生活者や地域の視点に立って、暮らしや地域を見詰め直して、そこにしかない、この岩手にしか、しかもその岩手のその地域にしかない文化や資源を大切にし、それを育てながら、みんなで力を合わせて新たな地域づくりを目指すという取り組みとして、いわて地元学の実践というものを進めていくこととしております。こうした取り組みを、ボランティアや、またNPO団体など、それぞれの地域や分野で活動している人々の参画をいただきながら、積極的に推し進めていきたい。その際には、これまで岩手の地で多くの県民の参加のもとに展開されてきた多様な活動の実績や経験というものがございますので、それを十分に生かしながらこうした活動を推進していくということで、県内各地域でさまざまな地域づくりがそれぞれ活発に展開されて、それが県全体の総体として大きなうねりとなって、夢県土いわての実現に確かな足取りとなってつながっていくと、このように考えているところでございます。
 それから、愛ランドいわて県民運動についてお尋ねがございましたが、この県民運動は昭和45年の岩手国体の開催を契機に、県民総参加による豊かで住みよい郷土づくりを目指して、県民主体の実践活動が展開されてきているものというわけでございますが、中でも、先ほどお話ございましたように、昨年岩手で開催された全国高校総体の際には、この県民運動協議会が中心となって、そして県民の皆さんが一体となって、花いっぱい運動やクリーン運動等の環境美化活動に活発に取り組まれたわけでございまして、こうしたことが大会の成功を支えた要因の一つでございます。こうしたことを見ましても、この県民運動が果たした役割は極めて大きなものがあると、このように考えております。愛ランドいわて県民運動協議会は、県内の産業団体、教育団体、それから青年・婦人団体、行政、報道機関など全部で150の主要な団体で構成されておりまして、それぞれの組織を通じて、県民や事業者が一丸となって、幅広い活動を展開してきたそうした実績のある組織でございます。
 こうしたことから、今後の重点的な取り組みとして、総合計画を推進するためのキーワードとして環境、ひと、情報というこの三つの柱があるわけですが、この中でも特にも今日的な課題である環境問題への取り組みというのは、県民や事業者一人一人の意識の高まりや実践行動が大変重要でございますので、本協議会には、環境の保全と創造のための具体的な活動を推進するための実践母体として大いに期待をしているところです。構成団体などへのアンケート調査も行いましたし、また、この愛ランドいわて県民運動協議会の専門委員というのがございまして、この専門委員の皆さん方の場での審議も行いましたが、そうした中でも重点目標として適当とされたということがございましたので、こうした愛ランドいわて県民運動協議会としてのこれからの運動の重点目標として、環境首都岩手の実現のために、積極的な運動に取り組まれるということを私ども大いに期待をしているところでございます。
 次に、PFIの導入についてでございますが、本県では、平成11年2月に策定した岩手県行政システム改革大綱というものがございますが、この中で財政運営の健全化を目指して、さまざまな社会資本整備の方策の一つとして、PFIについて検討を行うということでそこに書いてございます。そのために、ことしの1月に、PFI導入の可能性について検討することを目的に庁内の関係部局からなるPFI研究会というものを設置して、その場でこのPFIになじむ導入可能な事業、それから官民の役割分担、リスク分担の明確化や、また地方自治法を初めとする他の法令による制約との関係などについて、今その場で研究をしているところでございます。その設けました研究会の活動の一環として、先月2月には外部から講師を招きまして、県そして市町村の職員を対象に、PFIに関する講演会を開催して、なおこの制度の理解を深めたところでございます。県では、現在国が検討しております公共施設の整備等の基本方針、これはPFI法にのっとりまして国が示すことになっておりまして、この3月中に策定予定と、こういうふうに聞いておりますが、この基本方針などを踏まえて、PFIにより整備することが適当な事業につきまして、さらに研究を深めていきたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕

〇総務部長(武居丈二君) 収入未済額の解消策についてでございますが、複数の部局にまたがりますので、私の方から一括して答えさせていただきます。
 まず、県営住宅に係る滞納家賃等につきましては、先ほど知事から答弁申し上げましたように、長期にわたる滞納者の一部につきまして請求訴訟を提起し、また債務者が行方不明などの事情による不納欠損処理につきましては、その処理基準の作成に向けた作業を進めているところでございますが、今後とも臨戸訪問、呼び出し等によりまして初期段階での納入指導を強化しながら、滞納の防止、解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県税につきましては、平成11年5月に県税滞納整理特別対策要綱を策定いたしました。具体的には、第1点目としまして、長期・大口滞納者に対する滞納整理を強化する。それから、第2点目は、特に自動車税につきまして、初動集中整理を実施するなど新規滞納の縮減に努める。それから、第3点目といたしまして、個人県民税につきましては、市町村との連携を図り、滞納整理の方策につきまして指導助言を行っているほか、徴収引き受けなどの支援策を講じる、こういったことにより収入未済額の縮減に努めているところでございます。
 次に、中小企業振興資金につきましては、収入未済額の主なものは商店街近代化事業やオイルショック時の構造改善のための協業化事業等の高度化資金貸し付けによるものでございまして、訪問回収のほか、平成10年度からは競売申し立てをするなど法的手段も講じて収入未済額の縮減に努めているところであります。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、市町村総合補助金についてでございますが、この制度は、県と市町村との対等、協力を基本としたパートナーシップのもとで、地方分権時代に対応した市町村の自主的な地域づくりを支援するために、既存の県単独補助金の一部を統合し、さらにその予算枠を拡充の上、市町村のより裁量的活用を可能とする新たな補助制度として創設するものでございます。
 この制度の内容でございますが、この制度は市町村及び広域連合が、岩手県総合計画に掲げる環境、ひと、情報の三つの視点を踏まえた施策を推進するための事業を実施する場合に補助を行うものでございまして、その特徴といたしましては、まず第1に、補助対象事業、補助基準等の弾力化を図り、市町村のより自由度の高い活用を可能にするものであること、第2に、事務手続の簡素合理化を行い、事務の軽減、行政サービスの向上を図るものであること、さらに第3に、事業の申請状況に応じて地方振興局間及び年度間の調整を行うことによって、市町村の計画的事業執行及び重点実施を可能にし、効率的な活用を図るものであることなどでございます。
 また、市町村の意向の把握につきましては、これまで市町村への文書による意見照会や説明会の開催、市長会及び町村会への説明などを行い、この制度の創設について理解を求めるとともに市町村の意向把握とその反映に努めてきたところでございまして、制度の内容につきましては、おおむね市町村の意向が反映されたものと認識しているところでございます。
 次に、盛岡駅西口複合施設にPFI手法を取り入れることについてでございます。本年1月に公表いたしました盛岡駅西口地区県有地活用基本計画の策定に当たりまして、県事業として整備する方式とともにPFI手法についても検討してきたところでございます。現在、PFI推進法を適用する事業に係る具体的な実施内容が明らかにされていない部分もあるわけでございますが、盛岡駅西口複合施設に限って申し上げますと、PFI手法の導入目的の一つとされます財政支出の軽減につきましては、当施設は優良な地方債を導入して整備することによって、財政支出の平準化が図られるとともに償還時に交付税措置が受けられますことから、PFI手法を取り入れる財政的なメリットは少ないと考えられるところでございます。
 また、公共サービスの提供につきましては、民間に管理運営をゆだねた場合、一定の財政支出でも将来にわたって質、量ともに高い水準の公共サービスの確保が可能なのかの見きわめが難しいと考えたところでございます。加えて、PFI手法の導入につきましては、官民の役割分担や責任分担の明確化など、その検討になお相当の期間を要すると見込まれる課題も多い一方、盛岡駅西口複合施設は平成17年度の開館を目指しまして、早期に整備する必要がありますことから、この事業につきましては県事業として整備することとしたところでございます。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕

〇生活環境部長(村上勝治君) いわて男女共同参画プランについてでありますが、男女共同参画社会基本法におきましては、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題というふうに位置づけておりまして、国と都道府県に対する基本計画の策定義務と、市町村に対する努力義務を課したほか、国民に対しましてもその社会づくりへの寄与を求め、総合的、計画的に推進することといたしております。この法律は、男女共同参画の推進の必要性を県民に対しまして明確にいたしますとともに、国、地方公共団体、国民の責務を規定した点におきまして、意義あるものと考えております。
 また、現在策定中の新しいプランにつきましては、現行のいわて女性さわやかプラン策定後の社会経済情勢の変化、それから本県の地域特性等を踏まえた、基本法に定める都道府県計画として位置づけるものであります。新しいプランの基本的な考え方でございますが、男女とも性別にかかわりなく、みずからの意思でさまざまな生き方を選択でき、その選択が尊重されるような社会の実現を目指すこととしまして、男女の人権の尊重と、男女がさまざまな分野に参画できるような機会の均等の確保や意識改革を進めまして、男女の対等なパートナーシップを確立するということを大きな柱として策定を進めてございます。
 特徴といたしましては、素案段階から県民の皆さんに公表しまして、幅広く意見を聞く方式をとりましたほか、現行プランでは、数値目標が審議会等における女性委員の割合、これ一つのみ掲げたものに対しまして、新プランでは男女共同参画計画策定市町村数、あるいは育児・介護休業制度定着率など52に上る具体的な数値目標を設定することといたしております。
 また、施策の方向としましては、農林水産部門に従事する女性の割合が高いということや、全国を上回って進行する高齢化などの本県の特性を踏まえるとともに、新たな課題であります、女性に対する暴力に対処することといたしましたほか、重点的に取り組むプロジェクトとしまして、政策、方針決定過程への女性の参画促進、仕事と子育て、介護の両立支援などを掲げますとともに、盛岡駅西口複合施設に男女共同参画推進センター──仮称でございます──を整備することとするなど、総合性と実効性のある計画を策定してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕

〇商工労働観光部長(合田武君) まず、中小企業金融対策についてでありますが、平成12年度当初予算におきましては、現下の長引く景気の低迷による厳しい経営環境にかんがみ、既存債務の借りかえなどにも対応するため、県単独の中小企業経営安定資金の融資枠を38億円ふやすこととし、今議会に提案し御審議をお願いしているところであります。また、制度の取り扱いにつきましては、これまでも中小企業の経営状況に配慮した貸付条件の変更や担保、保証人要件の緩和に努めているところでもあります。今後とも中小企業金融安定化特別保証制度の利用促進や制度資金の一層の弾力的運用を図るなど、県内中小企業の金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、新財団による今後の中小企業振興についてでありますが、昨年の臨時国会において中小企業基本法が改正され、国の中小企業政策は、経営革新や創業支援、経営基盤の強化などを施策の柱として、各支援機関が連携しながら、意欲ある中小企業を総合的に支援する方向に転換してきております。
 このような観点から、本県においても中小企業に対する総合的支援を行う中核的機関を整備することとし、岩手県中小企業振興公社及び岩手県高度技術振興協会を統合し、本年4月に、仮称でありますが財団法人いわて産業振興センターとして再出発することとしているものであります。この新財団におきましては、中小企業振興公社が長年培ってきた中小企業振興のノウハウと高度技術振興協会がこれまで積み重ねてきた新産業の創造や研究開発などのノウハウが相互に補完し合い、かつ有機的な連携が図られることから、経営、技術開発、情報、取引支援などさまざまな分野において、既存中小企業やベンチャー企業のニーズに合わせた総合的な支援が可能になるものと考えております。さらに、今般新たに国の施策として打ち出された県中小企業支援センター事業と既に実施されている地域プラットフォーム事業を新財団において一元的に実施し、県内の各試験研究機関や商工指導団体などの支援機関相互の密接な連携体制を整備することとしており、県内中小企業者に対し均一かつ質の高いワンストップ・サービスを提供できるものと期待しております。県といたしましては、新財団の事業活動を通じまして、既存中小企業の経営基盤の強化や経営革新はもとより、意欲あふれる新規企業の育成や創業の支援などを今後とも強力に進めてまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてでありますが、いわゆる地方分権一括法の成立に伴い、これまで地方事務官が処理していた職業紹介、雇用保険等の事務は国が直接行うこととなりますが、職業訓練、職業能力開発等の事務は、これまでどおり県も行うこととされております。また、雇用対策法が改正され、地方公共団体は国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるよう努めることとされたところであります。このようなことから、県といたしましても、地域における雇用対策の重要性にかんがみ、今後設置が予定されている雇用対策連絡調整会議等を通じ、地方労働局等の関係機関と密接な連携を図りながら、雇用対策が停滞することのないよう努めてまいる考えであります。
 次に、人材の育成についてでありますが、少子・高齢化、高学歴化の進展に伴い、若者を中心としてものづくり離れや熟練技能者の高齢化が進んでいることから、高度熟練技能者の確保や、今後成長が見込まれる分野での人材育成などが重要となっております。このため、ものづくりの大切さを初め、技能を尊重する機運の醸成や技能労働者の社会的、経済的地位の向上を図るため、岩手県卓越技能者表彰等の実施や、技能五輪全国大会への選手派遣、技能フェスタの開催など、各種の事業を実施し、技能振興に努めているところであります。今後におきましても、技能の重要性や技能労働の必要性について、県民一人一人が理解を深め、さらに社会的な評価が高まるよう努めてまいる考えであります。
 一方、産業構造の変化や若者の職業意識の多様化等、労働環境が大きく変化していることから、中長期的な観点に立った職業能力開発推進体制の確立が求められております。このようなことから、今後、県立職業能力開発施設のあり方について協議するため、外部の有識者等を委員とする再編整備検討委員会を設置し、数次にわたり鋭意検討を重ねているところであります。検討過程の中では、技術・技能の高度化・多様化に対応する訓練科目の見直し、民間との役割分担を明確にすることや、随時、柔軟かつ効果的に対応できる実施体制を整備すべき等の意見が出されておりますが、今後、当委員会で取りまとめられる報告書の内容を踏まえ、具体的な再編整備計画の策定に向け、取り組んでまいる所存でございます。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 麦、大豆の生産振興についてでありますが、本県の麦、大豆の生産は、議員御指摘のとおり、さまざまな問題、課題が山積しております。しかしながら、例えば、紫波町における40ヘクタール規模の丹後麦生産組合あるいは滝沢村における30ヘクタール規模の大沢大豆生産組合などのように、先駆的な取り組みによりすぐれた実績を上げている優良事例が各地に見られております。こうした生産集団は、地域の話し合いを重ね、担い手農家への農地の利用集積や団地化を進め、いわゆる水張り水田を解消しているほか、排水対策の徹底により、収量、品質の向上を図っているところであります。
 こうしたモデルとなる農家や集団の取り組みを全県的に拡大するため、昨年11月に水田麦・大豆振興指針を策定するとともに、普及推進のためのパンフレットを全農家に配布したところであります。
 また、新たな県独自の支援措置として、団地化を促進するための水田農業確立促進事業を創設するほか、新いわて農業再編総合対策事業を拡充し、小規模・簡易な排水対策への助成も講ずることといたしました。
 販売対策面では、新たに岩手県麦・大豆産地体制確立推進協議会を設立し、生産者と実需者との連携強化を図りながら、契約栽培など安定した取引を促進してまいる考えであります。
 さらには、農家が安心して麦、大豆を生産できるようにすることが重要でありますので、国に対し、経営安定対策の堅持を強く要望してまいる考えであります。
   〔教育委員会委員長西井信弘君登壇〕

〇教育委員会委員長(西井信弘君) 道徳教育についてでありますが、御指摘のありましたように、教育基本法は戦後間もない昭和22年に制定されたものでありますが、その理念は、日本国憲法に掲げられている民主的で文化的な国家を建設し、世界の平和と人類の福祉に貢献する国民の育成を目指す我が国の教育のあり方を示したものでございます。
 学校教育における道徳教育は、この教育基本法及び学校教育法に掲げられた教育の基本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を具体的な生活の中に生かし、豊かな心を持ち、個性ある文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献し、未来を開く主体性のある日本人を育成するため、その基盤となる道徳性を養うことを目標といたしております。
 各学校におきましては、この目標を実現させるため、学校教育活動全体を通じて、思いやりの心、正義感、郷土愛、自他を尊重する心、社会性や倫理観等の育成に努めてまいりました。しかし、近年の社会環境の大きな変化により、家庭における幼少時からのしつけの問題、児童生徒の多様な能力、適性に十分に対応できない学校のあり方、他人への思いやりや連帯感の希薄化している社会状況などの要因が複雑に絡み合い、青少年による犯罪の多発、暴力行為、いじめ、不登校といったことが発生し、まことに憂慮すべき状況にあります。
 このような状況に対しまして、県教育委員会といたしましては、家庭、学校、地域社会が相互に連携を図り、ボランティア活動や自然体験活動などの経験を通して思いやりのある仲間意識や連帯感等の醸成を図るとともに、基本的な生活習慣や善悪の判断、社会生活上のルールを身につけること、自主性や協力し合う態度を育てること、自立心や家庭、社会の一員としての自覚を育てることなどが肝要であると考えております。
 なお、最近、国において、生涯学習や道徳教育などの観点から教育基本法の見直しを図る動きがあり、今後のその動向に注目してまいりたい、そのように考えているところでございます。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕

〇教育長(大隅英喜君) まず、教員の資質の向上についてでありますが、心の教育を担うべき教員の資質としては、教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、幼児・児童・生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、それらを基盤とした実践的指導力などが求められているものと考えております。また、これからの教員には、変化の激しい時代にあって、子供たちにみずから学び、みずから考える力や豊かな人間性などの生きる力を育成することが期待されているところであります。そのような観点から、広い社会的視野、地域と一体となって教育実践ができる対人関係能力、問題発見やその解決能力などがますます必要となってくるものと存じております。
 県教育委員会といたしましては、教員の資質を向上させるために、教員の経験年数や職能等に応じた研修をより一層充実させるとともに、管理者等による職場における指導・援助、教員自身の自己啓発や相互啓発等の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、英語教育についてでありますが、御指摘のありましたように、国際化の進展に伴い、国際的に広く用いられている英語によるコミュニケーション能力を育成することは重要な教育課題となっております。国におきましては、こうしたことから、中学校、高等学校の新学習指導要領において、外国語を必修科目とし、原則として英語を履修することとされ、コミュニケーション能力の育成を図るよう改善がなされたところであります。小学校においても、総合的な学習の時間などでの国際理解教育の一環として英語会話等を取り上げることが可能となりました。
 また、文部省において、先ごろ英語教育を抜本的に見直すための識者による懇談会がスタートしたところであり、今後、その動向に注目してまいりたいと考えております。
 本県におきましても、第8次岩手県教育振興基本計画の中で、国際理解教育の充実という観点から、外国語指導助手の一層の活用、高校生の海外派遣研修の拡充、教員の海外派遣の充実などを図ることとしております。また、平成12年度から、小学校における国際理解教育、具体的には英会話にどのようにしてなれ親しんでいくかなどを検討する委員会を発足させたいと考えております。これらの施策によりまして、本県の児童生徒に実践的なコミュニケーション能力の育成を十分図ることができるよう、英語教育の充実に努めてまいりたいと存じます。
 なお、文化、スポーツなどにおいて広く内外に貢献できる人、科学技術について世界的に評価される研究者などのすぐれた人材の育成についても、それが図られますよう、児童生徒一人一人の才能や個性が生かされ、創造的に学び続けることができる教育を進めてまいりたいと考えております。

〇41番(菅原温士君) 再質問いたします。
 教育委員長の御答弁を聞いておりましたが、理解できないんです、私は。書いたものを読んだというような状況ではないでしょうか。
 私が質問いたしておりますのは、今の学校崩壊、今の現状を見たとき、道徳教育の欠如があるからではないかと。それに対して岩手県の学校教育の中で道徳教育はどうなんだということを聞いているので、何もそんな基本法の内容を聞いているのではないんですよ。まさしく道徳教育の低下が、これだけじゃないですけれども、それが大きな原因だということは国民は全部知っているわけですよ。それの的確な答えがないんじゃないですか。そんなことで岩手県の学校教育ができるんですか、あなたたちは。そんなことですからだめだと、こう言うんですよ。もっと具体的に、わかるように、あなたの主観を入れてもいいですから、今後やはりこういう方向に行くべきだというような気持ちをやっぱりお話ししていただかないと、我々納得できないです、これは。これは私だけの問題ではなく、国全体の問題を取り上げているわけですから、もう一回、あなたの気持ち、本当のところを教えてください。あなたも現場で一生懸命働いた人でしょうから。
 それから、もう一つ、近年、学校教員の不祥事件が多発しております。特に、若い世代、30代の教師の事件が起きているんです。岩手県でもその例外ではない。昔は──昔の教育が全部いいとは言いませんが──三歩下がって師の影を踏まずと我々は教えられたんです。それだけ先生は権威もあったし、尊敬されておったんです。今は教師の前に立って暴力をふるうと。主客転倒してしまったんです。これは一体何のせいですか。やはり教師たる者は、人を導く者は人の鑑でなければいけない。まあ、我々も気をつけなければいけませんけれどもね。そういうことなんです。
 ですから、やっぱりこれから、教師像、学校の先生、人格形成、これが重要なんじゃないですか。どのように認識しておりますか。これからどのように対策を考えていくんですか。これは非常に重要な課題でありますから、きちっとした説明をしていただきたいと思います。
   〔教育委員会委員長西井信弘君登壇〕

〇教育委員会委員長(西井信弘君) 非常に抽象的なお話を申し上げて申しわけございませんでした。
 私の経験などを踏まえて、道徳教育の進め方等についてお話を申し上げたいと思います。
 人間が豊かであればあるほど、自分ではどうにもならないようなことを子供たちに体験させること、経験させることが心の教育とのかかわりで非常に大事だと、そのように思っておりますし、子供が思いどおりになることだけを、はい、はいという形で、大人が子供たちの要望、要求、そういうものを徹底して認めていけばいくほど、子供というものは、何でしょう、何でも自分の思うとおりになる。思うとおりにならないことがあれば、他人のせいだ、先生のせいだ、親のせいだ、そういう子供がこのごろ多くなってきており、さらに、何か大人から指示を受けないと何もできない。お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんからあれをやりなさい、これをやりなさいという形での指示がなければ何も動けないで、指示を待っている消極的な子供がふえてきている。そういう中で、何としても心の強い、挫折感を乗り越えて頑張っていけるような、そういう子供を育てていくことが大事だと、そういうふうにこのごろ言われてもおりますし、私自身のつたない教育経験からしても、そういう自分の課題というんでしょうか、自分の問題に積極的に取り組んで、何としてもできそうもないようなものを何とか自分の力で、または大人の力を借りながら乗り越えていくという気持ち、そういうことなどをこれから特に大事にしていきたいと思いますし、幼児のしつけという問題を考えましても、非常にお父さん、お母さん方の価値観の多様化ということなどから、自分の子供たちに対するしつけというものが非常にあいまいである。
 ━━━━━━━━学校の先生に、うちの子供はニンジンが嫌いだから学校でニンジンを食べさせるように指導をしてくださいとか、そういう状況等々の中で、やはり家庭教育の中でのしつけの問題、道徳性の問題ということも当然大事なんですけれども、特にも小中学校の中においては、心の教育というものを成立させる一番のポイントは、教師と生徒の信頼関係、そのことを一番大事にしながら、子供たちに人の道、こうありたい、こうあってほしい、そういう人の道を説いていくというか、ともどもに考えて道徳性というものを高めていかないことには、今後、いろいろの問題が出ているその問題を解決していくことはなかなか難しいことではないか、そういうふうに考えておりますものですから、教育委員会はもちろん、それぞれの学校で、今まで以上に道徳性の育成という観点から努力をしてまいりたい、そのように思ってございます。
 全くあっちに行ったりこっちに行ったり、わからない話を申し上げたことをお許しいただきたいと思います。
   〔41番菅原温士君「答弁漏れ。」と呼ぶ〕

〇議長(山内隆文君) 西井教育委員会委員長に申し上げます。
 菅原温士君の再質問におきましては、教員の資質についてのお考えも伺っておりますので、その点についても簡にして明、御答弁をお願いいたします。

〇教育委員会委員長(西井信弘君)(続) 先ほどの教育長の答弁にもありましたけれども、今の、特にも若い先生方というのは、バブルの時代に青少年期を迎え、そしてマークシートで大学に入学し、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━そして、例えば教育に必要な体験的な学習だとか集団的な指導ということなどにも、余りにもそういう面についての経験がないままに━━━━━━━━━━━━━━━━育っている。そういうふうな先生方を、何とかしてやる気のある、子供たちとともに一緒に汗を流して頑張っていくような教員の育成ということを研修、その他の中で取り組んでまいりたいと思いますし、採用の段階においても、十分な工夫を凝らして、たくましい、しかもやる気のある先生をできるだけ採用していく、そういう方向で頑張ってまいりたいと、そのように思います。

〇41番(菅原温士君) 終わりにします。あとは予算委員会で続きをやります。

〇議長(山内隆文君) 次に、折居明広君。
   〔44番折居明広君登壇〕(拍手)


前へ 次へ