平成18年9月臨時会 第20回岩手県議会臨時会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 解決が求められている県政の重大課題である競馬組合問題について、管理者でもある知事に質問します。
 第1に、2年前に策定した改訂実行計画が破綻した原因と責任について知事はどう認識されているでしょうか。
 第2に、知事は、改訂実行計画を進めるに当たって乾坤一てきで取り組むと言っていましたが、ことし7月の競馬議会ではまだまだ危機意識が不十分だったと述べています。危機意識が不十分とはどういうことですか。12年間にわたって競馬組合の管理者を務めてきた知事の責任は重大だと思いますが、いかがですか。
 第3に、柴田副管理者が辞任を表明したようですが、見直し計画がまだ定まらない中での辞任は、まさに責任放棄、逃げ出すようなものですが、辞任の理由は何ですか。知事は、副管理者に事実上丸投げしてきたのではないでしょうか。問われているのは知事の責任ではないでしょうか。
 第4に、9月1日の競馬組合議会で、今泉事務局長は構成団体の役割について検討すると繰り返し発言しました。これは、構成団体に新たな負担を求めるということではないでしょうか。何をどうするということでしょうか、具体的に示していただきたい。
 第5に、競馬組合事業の存廃基準を設定するとしています。競馬事業の存続は、収支が均衡し、赤字が拡大しないことが条件としています。具体的基準を示していただきたい。競馬事業の経常損益で見るということだと思いますが、地方債の元金償還約14億8、000万円を含めて見るのが当然ではないでしょうか。
 第6に、知事は、改訂実行計画に当たって、平成17年度、18年度の2カ年の計画実現に向けた非常に重要な時期、2年間で岩手競馬の再生をきちんと方向づけていきたいと答弁をしています。経常損益では、昨年度18億2、100万円、今年度も18億円の赤字です。2年間で36億円余の赤字では破綻は明白ではないでしょうか。これまでの議会答弁と存廃基準に照らして、知事はいつ存廃を判断する決意でしょうか。
 第7に、今後の見直し計画について具体的に質問します。
 一つ、魅力あるレース、レースの質の維持は極めて重要と言いながら、賞典費を7億9、600万円削減するとしています。これでどうして魅力あるレースができるのでしょうか。
 二つ目、街中場外発売所について、奥州市は見通しがなく、盛岡市に設置するとしていますが、中心商店街へのギャンブル施設の設置は行うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。競馬組合の直営の方向ですが、新たな設備投資が必要で、全体の売り上げが伸びなければ全く意味がなくなるのではないでしょうか。
 三つ目、資産売却について、種市12億円余、釜石5億9、500万円余のテレトラックの売却を予定していますが、JRAの発売等ができなければ売却の見込みはないのではないでしょうか。売却できなかった場合はどう対応されるのでしょうか。
 四つ、パルソビル信託契約の破棄について、県議会でもこれまで取り上げられてきましたが、知事は、これまでみずから状況を確認しなかったのでしょうか。7億900万円の精算金の支払いが求められていますが、どこからどう捻出するのでしょうか。これだけでも競馬組合は破綻するのではないでしょうか。
 五つ、岩手競馬組合廃止の影響額は372億円(19年3月末)と試算されています。事業整理関係費用の中身、オーロパーク関係の処理経費は試算されているのでしょうか。
 六つ、2年前に競馬組合の職員によって改善計画が作成されたということですが、それを出していただきたい。これがなぜ採用されなかったか、中身の問題について具体的に示していただきたい。
 最後に、事実上破綻状態にあると言うべき競馬組合については、廃止した場合の対策や1場体制への縮小などを含めて直ちに検討に入るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上ですが、答弁によっては再質問いたします。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、計画を見直すに至った原因と責任についてでありますが、岩手競馬商圏内の購買力の大幅な低下など、計画策定時と比べて岩手競馬を取り巻く環境が大きく変化して、改訂実行計画の想定を超えて発売額が減少しております。結果として現在のような運営状態に至ったことは、諸情勢の認識等が不十分であったと考えております。今後は、計画の見直しを進めて、ぜひとも岩手競馬の再生に向けた道筋をつけられるよう全力で取り組むことが競馬組合の管理者としての果たすべき責任、このように考えております。
 次に、危機意識についてお尋ねがございました。本年7月の競馬議会で危機意識が不十分であったとお答えいたしましたのは、競馬を取り巻く環境が大きく変化しているにもかかわらず、ファンの動向など諸情勢の認識等が不十分で、結果として現在のような運営状態に至ったことをもって危機意識が不十分と申し上げたものでございます。
 私は、管理者の責任の重さを十分に受けとめて、再建に向けた計画を策定すること、そして、策定した計画を関係者、県議会を初め県民の皆様に広く御理解いただき、計画の実行に向けてしっかりと基盤を築いていくことが私に求められていることだと、このように考えております。
 次に、副管理者の交代についてでございますが、現在、競馬組合は計画の見直しを進めているところでございまして、競馬組合の経営改革は新たな局面を迎えているものと認識しております。このため、執行体制についても新しい体制で岩手競馬の再生を期してまいりたいと判断したものでございまして、私は、競馬組合の管理者として、見直し計画案を取りまとめて競馬の再生に道筋をつけることが果たすべき責任と考えております。
 次に、構成団体の役割についてでありますが、将来に向けた見通しや計画見直しに係る競馬議会、各構成団体議会での議論も踏まえながら、構成団体が役割をどう果たしていくかも含めて検討していくこととしております。
 次に、存廃の具体的基準についてでございます。現在、他の地方競馬の例も参考に、その具体的な基準の内容について検討を進めているところでございます。また、その判断の時期についてでございますが、その定めます事業存廃の基準に従って、毎年度の収支均衡の見通しが立つかどうかを見きわめながら毎年毎年判断を行っていくことを想定しておりまして、平成19年度の具体的な存廃判断時期は、19年度収支均衡の見通しが立つということを見きわめる時点という意味で、競馬組合の19年度事業計画を議論する時期がその時期に当たるのではないか、このように考えております。
 次に、見直し計画の内容についてでございますが、まず、賞典費の削減は馬の確保に少なからず影響を与えるであろうということは認識しておりますが、今は、限られた財源の中で工夫を凝らし、優勝劣敗というレースの本質に立った魅力あるレース展開ができる賞金体系を構築できるよう努めていくことが重要と考えております。賞典費の削減は、岩手競馬存続のためのぎりぎりの選択でございまして、関係者の方々の御理解と御協力が得られるよう、今後も努力を積み重ねてまいります。
 次に、街中場外発売所の設置についてでございますが、街中場外は、周辺住民等の同意が得られることを前提として、岩手競馬のアンテナショップ的な効果や、手軽さ、利便性向上等によって、全体の売り上げの増加が期待できる場所への設置を検討したいと、このように考えております。また、設置費用につきましては、競馬組合保有の中古機の活用等によりまして最小限に抑えて、開設初年度の収益で賄える範囲で設置する計画でございます。
 次に、テレトラック売却についてでございますが、新たに設定する売却ルールに基づいて、売却に向けて努力したいと考えております。
 なお、売却交渉がまとまらなかった場合でありますが、引き続き売り上げの拡大などによる収益確保に最善を尽くしてまいりますが、平成18年度の経常損失を解消するための新たな対応を考える必要がある、このように考えております。
 パルソビル信託契約についてでありますが、これについては、受託者から協議が調わない場合は裁判所への調停を申し立てする旨の申し入れがございましたので、管理者である私に報告があったものでございます。その後、このような重要な案件については適時適切に報告するように指示をしております。また、精算金の支払いについては、現在、受託者から資金を借り入れることで協議中であります。
 次に、廃止の影響額についてでございます。お尋ねの事業整理関係費用の内訳でございますが、事業廃止に伴い対応が求められる職員の退職金や厩舎関係者への見舞金などでございます。施設撤去費につきましては、老朽化している水沢競馬場のスタンド及び厩舎のみを試算しておりまして、オーロパークについては、他に転用することを想定してこの撤去費用は試算しておりません。
 なお、今回お示しした廃止の影響額は、前提条件、試算時点、そして資産処分状況等によりまして増減するものであることを御了承願いたいと思います。
 組合職員による改善計画が2年前にあったというお話でございましたが、これは、岩手競馬構造改革基本構想中間報告(案)というものでございまして、競馬組合職員と県職員が経営改善策を検討して平成16年9月に内部資料として取りまとめたものでございまして、この中で人件費等のコスト削減、三連勝式かけ式の導入、インターネット発売などの取り組みの必要性について提言している、このように聞いております。これらの内容は、平成16年11月に策定されました岩手県競馬組合改革実行計画や17年2月に策定された改訂実行計画にも反映されているものである、このように聞いているところでございます。
 また、岩手競馬廃止・縮小の検討についてでございますが、廃止に伴う事後処理などの個別具体的な対応策を細かく検討することはしていないところでありますが、いずれにしても、今後2場体制を前提としつつ、存廃の比較検討を行いながら再生に向けた検討を進めてまいりたい、このように考えております。
〇26番(斉藤信君) 極めてあいまいな答弁でした。破綻の原因と責任を聞いたら、取り巻く環境が大きく変化したと。私たち、2年前にこんな売り上げ増の計画に根拠がないと言ったんですよ。取り巻く環境が大きく変化した具体的な内容を示してください。
 それと私は、今度の質問で一番大事だと思っているのは、構成団体の役割について検討すると競馬議会で述べたことです。この中身です。私は具体的に構成団体に新たな負担を求めるということではないかと聞きましたが、そういうことはありませんか。構成団体に新たに利子負担とか元金負担とか、そういうことを考えているかいないか、はっきり答えていただきたい。
 それと存廃基準でありますけれども、競馬事業の存続は、収支が均衡し、赤字が拡大しないことが条件、こういうことで受けとめていいのか。この際、皆さんから出されている資料の中には地方債の元金償還は入っていないんですよ。普通の企業だったら元金を返すということが前提に入るんですね。この元金はどうするんですか。経常損益の中にこれは入らないということになるのかどうか。
 街中場外の問題で、盛岡に設置すると言っていますが、具体的な場所、可能性があるのかどうかを示していただきたい。
〇知事(増田寛也君) お答え申し上げます。
 まず、最初の計画を見直しするに至った情勢の変化ということでありますが、特に一番大きいのは、自場売り上げが想定を超えて大幅に低下しているということが、競馬組合議会でも申し上げましたが、大変大きな要素であろうというふうに思っておりますが、そのほか、競馬組合議会で申し上げておりましたような他の要因も変化している、それが想定を超えているということであります。
 それから、今のお尋ねの構成団体の役割、それから存廃の具体の基準でございますが、こうしたことについては、まず、構成団体の役割ということについては、事業存廃の基準を今度競馬組合議会にお示しすると言っておりますが、そうした事業存廃の基準を検討する中で、他の競馬の例も参考にしながら、構成団体がどう役割を果たしていくのか、そのことについて検討していく考えでございます。
 また、存廃の具体的基準は今検討しているところでありまして、具体的には次の競馬組合議会にお示しします。まず、競馬組合議会にお示しするということがルールになっておりますので、そちらの方にお示しをしたいと思いますが、これも今他の地方競馬の例も参考にしながら、構成団体の中で検討しているところでございます。
 それから、街中場外についての、特に盛岡の関係についての御質問でございますが、今、直営の際にどの場所で設置するのかということを具体的に場所を決めて検討している段階ではないと、こういうふうに事務方からは聞いております。いずれにしても、周辺住民との同意が得られるということが前提でありますので、そうした前提条件の中で今後検討していきたいと考えております。
〇26番(斉藤信君) 核心に触れたところが、全く答えがないんですよ。構成団体の役割、新たな負担については、ノーともイエスとも言わない。そして、存廃基準の問題についても、収支均衡と言いながら、収支均衡の中身について触れていないんですよ。私ね、こんなでたらめな話ないと思いますよ。私が言ったことについて、ちゃんと答えていただきたい。地方債償還、元金分はどうなるんですか、利子分はどうなるんですか。これを構成団体が負担するなどということを考えているのですか。
 それと、存廃の時期ですけれども、知事は来年、知事選挙に出るというなら来年の責任もあるけれども、出る気がなかったら先送りですよ。無責任ですよ。そのことをはっきり答えてください。
〇知事(増田寛也君) 存廃の基準などについては、競馬組合議会にお示しするということがルールでございますので、今それを検討しているということで、今後お示しをすると申し上げたところでございます。
 それから、時期についてでありますが、競馬組合の19年度事業計画を議論する時期がまさにその時期に当たるのではないかということでございまして、今年度中にきちんとその判断をいたしたいというふうに考えております。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、小野寺好君。
   〔36番小野寺好君登壇〕

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