平成18年9月臨時会 第20回岩手県議会臨時会会議録

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〇36番(小野寺好君) 岩手県競馬組合は、財政貢献という本来の役割を果たしていくことができないのではないかという観点で質問いたします。
 偶然の大金獲得は勤労観念を麻痺させ、犯罪等種々の弊害を誘発するとして、刑法第185条から第187条では、富くじ発売等を禁止しています。しかし、例外として、地方自治体の財政への寄与という目的のもと、当せん金付証票法、いわゆる宝くじほか四つの特別法でかけごとが認められていることは承知のとおりであります。本県では、昭和39年に、岩手県競馬組合に一本化して以来、発売金額をふやし続け、県及び水沢市、盛岡市への配分金も累計で407億円となり、本来の目的を果たしてきました。しかし、全国的に公営ギャンブルは衰退し、本県競馬も下降の一途をたどっています。全国の競艇、競輪、地方競馬、オートレースの合計発売額は平成3年度の5兆5、000億円をピークに、平成17年度は半分以下の2兆3、000億円になり、本県競馬も全く同様で、平成3年度の689億円をピークに、平成17年度は半分以下の296億円に落ち込んでおり、売り上げ急落は全国的な傾向でありました。これにより、競馬組合に残っていた105億円の財政調整基金のすべてを取り崩して、地方自治体への財政への寄与という目的を果たせないでおります。配分金を出せなくなった平成11年度に抜本的な対策を講じなければならなかったにもかかわらず、経営難に陥った組合は、平成12年度から非常手段である繰り上げ充用を毎年続けてきてしまい、平成17年度までの累積損失額は137億円、借入残高は294億円に達してしまいました。今年度の発売金額は8月末現在で、対前年比94.5で141億円にとどまっていて、三連単、三連複、インターネット発売は期待されたほどではありません。しかも、18年度は17億円超の経常損失を補うため、種市と釜石の場外発売所を売却しなければならないとしています。発売金額の75%が払戻金ですから、財政貢献せずとも単年度の収支均衡を保つには、開催経費や地方債元利償還金等、合計額の4倍を売り上げなければなりません。つまり、平成18年度は594億円売らなければならないということになります。逆に、今年度当初案の約320億円の売り上げを見込んだ場合、80億円で一切を賄わなければなりませんが、開催経費その他で147億円計上しておりますので、初めから67億円の赤字を想定していることになります。財政貢献どころか、一般県民の納めた税金で穴埋めせざるを得なくなりますが、このような公営競馬は認めることができないと思われます。競馬組合は地方公共団体ですから、民間会社のような破産手続はできませんので、公営企業金融公庫等の金融機関が自主的に債権放棄してくれない限り、県民の税金で穴埋めせざるを得ないことになると思いますが、いかがでしょうか、確認させていただきたいと思います。
 また、このままでは400億円を超える配分金を出してきた功績は帳消しになり、それ以上の財政負担を生じるのではないかと懸念いたしますが、いかがでしょうか。
 以上で質問を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、競馬組合への財政負担についてお尋ねがございました。万が一、事業が廃止となり損失が生じた場合には、競馬組合の規約にのっとって、その損失は組合の構成団体である県、奥州市、盛岡市が負担しなければならないものと、このように考えます。したがいまして、収支が均衡し赤字が拡大しないことを条件に競馬事業を存続させることが、県民への負担を回避することにつながるというふうに考えております。今回、このような考え方で、収支均衡を基本とする事業存廃の基準を設定して収支均衡を実現して再生を図っていきたいと、このような考え方に立っているものでございます。
 今、財政競馬についていろいろお話があったわけでございますが、これを改めて岩手競馬の意味合いをそれとの関係で申し上げますと、近年は長期的な発売成績の低迷などによりまして、収支が悪化をして岩手競馬は平成11年度からは利益金の配分が困難となっているわけでございますが、過去からの累積で見れば財政競馬としての役割を果たしてきたと、このように認識をしております。また、地方競馬が所在する地域にとりまして、財政競馬としての役割のほかに、雇用の場の提供や地域経済への貢献という面でも大変重要な役割を果たしてきておりまして、特に本県では、馬事文化の継承や馬事振興という側面も担ってきたわけでございます。
 岩手競馬は、当面、単年度の収益を構成団体に配分するというその財政競馬の役割は難しい状況にございますが、廃止した場合の影響というものを考慮いたしますと、収支が均衡して赤字が拡大しないということを条件に競馬事業を継続するということが雇用の場の提供や地域経済への貢献につながるものと、このように考えているところでございます。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、阿部富雄君。
   〔25番阿部富雄君登壇〕

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