平成18年9月臨時会 第20回岩手県議会臨時会会議録

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〇45番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝です。会派を代表し、会派の考え方と日ごろの思いを込めながらあえて質問いたします。
 まず最初に申し上げたいのは、本臨時県議会の開催が9月定例会を控えた今、緊急性が本当にあったのかという点について、私ども自民クラブ会派は大きく三つの点から疑問を感ずるところであります。その一つとして、今問題となっている競馬組合の新たな計画策定に対する県議会の論議は、我々議会から推選された、県議会の代表としての競馬組合議員によって、競馬議会においてまず審議されるべきものでありますが、その内容についていまだ成案になっていない状況であり、競馬議会より先に県議会で議論することは、ある意味では競馬議会の立場に影響を与えかねないと考えるものであります。二つ目は、臨時会招集の趣意として、議員全員でただす場が必要であるとあるわけでありますが、本年6月定例会を初め、それ以降の常任委員会、県政調査会、出資法人等改革調査特別委員会において執行部や競馬組合関係者からの説明と多くの議論が実施されたと本臨時会招集の趣意説明がなされていること。三つ目は、議会の権能として臨時会の開催は可能であるが、本来、議会の通例として考えた場合、全会派一致した臨時会の開催とすべきものと思うこととあわせ、9月定例会を控えた今の時期の開催には疑問を抱かざるを得ないと考えるものであり、我が自民クラブ会派は当初から臨時会の開催に反対したものであります。
 以上申し上げた上で、県議会の立場からあえて質問をいたします。
 私は、これまでの岩手競馬の果たしてきた財政的役割、すなわち構成団体を通じ約400億円を超える収益が県民に還元されてきた地域への財政的貢献、盛岡、水沢競馬を通じ地域経済に与えている影響ははかり知れないものがあり、さらには、競馬ファンや馬の愛好家への健全な娯楽の提供のみならず、長い歴史の中で岩手に根づいている伝統行事としての馬事文化、馬産振興の継承等を思えば今後も存続、継続していくべきと考えるものであります。
 今、岩手競馬の置かれている現状は、平成17年度決算で繰り上げ充用額137億円と大変厳しい状況にあるものの、単年度の赤字は、平成15年度39億円、平成16年度24億円、平成17年度8億円と、一定の改善が図られている状況と見られます。これまでの県議会の論議を踏まえて考えれば、岩手競馬が仮に廃止するような事態に陥れば、雇用対策、地域経済への影響、さらには構成団体のそれぞれの借入金返済等はかり知れない状況を招くこととなるわけであり、今後も、さまざまな課題、すなわち経営上の考え方の基本である徹底したコスト削減、売り上げの拡大、民間活力の導入などを柱に収支の均衡を図り、現在の危機的状況を抜け出す体制をしっかりと構築する中で、経営計画推進に当たっては、競馬組合と競馬従事者とは運命共同体としてさらなるコスト削減の協力を得ることが大前提となること、すなわち、関係者に大きな痛みを伴うことを十分理解を得て、知事の言う不退転、乾坤一てきの言葉どおり取り組んでもらうよう強く申し上げるものであります。
 さて、質問の一つは、本年2月定例会で審議、可決した27億円の融資に当たって、平成18年度の第1・四半期をめどに新たな計画を策定されたいとした附帯意見に対し、第1・四半期を反映した新たな計画策定が出されるものと思うわけでありますが、これから提示される新たな計画策定への取組状況についてお伺いいたします。
 次に、岩手から目を離し、別の視点から考えますと、農林水産省が現在取り組んでいるものとして、平成17年12月24日閣議決定された行政改革の重要方針の中で、地方競馬に関連する部分、すなわち、公営競技関係法人の事業・組織形態の見直しとして、地方競馬全国協会を地方共同法人とし、地方競馬の開催日程、番組編成の調整、競争の実施の受託事業、共同利用施設の整備等の地方競馬の事業の改善に資する事業を新たに実施するなどが盛り込まれたものと承知しております。現段階でそれらの検討がなされ、既に取り組んでいるもの、あるいは今後取り組まれる予定があると聞いております。このことについては、平成18年2月定例会の佐々木博議員、平成18年6月定例会の柳村典秀議員の関連で飯澤匡議員も取り上げているところでありますが、これらの実行により、場合によっては本県競馬の存廃にも大きな影響を与えることもあり得るという観点から、地全協の見直しの進捗状況と、本県競馬がこれにどう対応していくお考えなのか、お伺いします。
 本県議会において県民の税金投入と言うべき27億円の融資を可決したことは、競馬関係者のためというより、競馬を廃止する影響を考慮した場合、これ以上赤字をふやすことができない中で、可能な限り岩手競馬を存続させることが県民のためとなると判断した上での結果であり、知事は、我々県議会の立場を十二分に念頭に入れ、まさに不退転の決意で関係者一体となって取り組まれることを強く求めて私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、計画策定の状況についてでございますが、改訂実行計画の見直しに関する附帯意見は大変重く受けとめておりまして、平成18年度第1・四半期をめどに新たな計画を策定するようにとの附帯意見の内容を十分認識して見直し作業を進めてきたところでございます。計画の見直しに当たりましては、競馬組合にコスト削減のプロジェクトチームを設置して徹底したコスト削減に取り組みますとともに、平成18年度第1・四半期の発売動向やインターネット発売、三連勝式かけ式などの新たな取り組みの動向なども踏まえて発売見通しを見直して、7月31日に開催いたしました競馬組合議会に見直し計画案をお示しして、さらにさまざまな御意見をいただいたところでございます。その後、構成団体議会で御指摘があったことも踏まえまして、9月1日に開催した競馬組合議会に論点を整理してお示しするとともに、収入の変動にコストを弾力的に対応させながら収支均衡を実現していく必要がある、このような認識から、他の地方競馬の例も参考に収支均衡を基本とする事業存廃の基準を設定することとしたい、このような考え方をお示しして御意見をいただいたところでございます。今後は、競馬組合議会や各構成団体議会の御意見なども踏まえながら、構成団体間で十分協議の上、事業存廃の基準を含めた見直し案を取りまとめて次回の競馬組合議会にお示ししたいと考えております。そうした見直し案を確実に実現できますように、構成団体や競馬関係団体と協議・調整を進めて岩手競馬の再生を目指して全力で取り組んでいく覚悟でございます。
 次に、地方競馬全国協会の改革の進捗状況についてでございますが、国では、平成17年12月に閣議決定した行政改革の重要方針で、地方競馬全国協会を地方公共団体が主体となって運営する地方共同法人に改組することとして、新法人が全国的な日程調整や番組編成方針の決定、連携、活性化計画の基本的な方向性の決定、地方競馬支援の基本スキームの決定等をみずからの意思と責任で行うことができるように競馬法を改正する方向で検討を進めているところでございます。
 競馬法の改正につきましては、競馬組合では、公営競馬主催者協議会の一員として、国などに対して、新法人への移行に当たっては、主催者の意思が新法人の組織、業務、財政等運営全般にわたり的確に反映されるよう要望しているところでございます。最近の地方競馬の発売動向を見ますと、各主催者が連携して行う広域場外発売が伸びていることから、これからの地方競馬は各主催者が連携をして競馬事業に取り組んでいく必要がある、このように認識しております。
 このようなことから、国が進める地方競馬全国協会の改革の方向性に沿いつつ、他の道県や主催者との連携も図りながら、地方競馬改革が岩手競馬の再生にとって望ましい対応となるように取り組んでまいりたい、このように考えております。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕

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