平成18年9月臨時会 第20回岩手県議会臨時会会議録

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〇32番(及川幸子君) 民主・県民会議の及川幸子でございます。川村議員の質問に引き続き質問させていただきます。
 岩手競馬は、組合設立以来、多くの競馬ファンや関係者の努力によって多くの雇用機会をつくり、地域経済の活力にも多大な貢献を果たしてきました。また、その経営利益から、構成団体である岩手県、盛岡市及び水沢市に対し約407億円の利益の配分や、テレトラックを設置している地方公共団体への環境整備振興事業負担金の交付約22億円などにより地方財政に寄与してきました。私は、このことを改めて評価するとともに、財政競馬として果たした貢献は大きいものがあったと感じております。しかし、バブル崩壊後の経済の低迷や趣味の多様化などによる売り上げの大幅な減少などやオーロパークの建設に伴っての借入金負担などが重なり、毎年損失が増加し、現在の状況になったのであります。一方、このような状況にもかかわらず、適切な改革・改善が後回しになってきた感じがいたします。私は、岩手競馬に対しまして、水沢に在住する一人として、切なる思いで存続を求めるものでございます。
 そこでまず初めに、岩手競馬の存在意義についてでありますが、今回出された見直し計画案でも、平成18年度で過去の借入金利息6億6、000万円を含む経常損益18億円の赤字、平成19年度でも収支とんとんであり、たとえ計画が100%達成できたとしても財政への貢献は期待できる見込みはないのではないかと思われます。平成11年度から利益の配分も不可能となり赤字を累積してきた岩手競馬にとって、最大の課題は、債務を自助努力を基本とした経営改革によって解消していくこととしており、そのためには、徹底した業務の見直し等により安定した経営が持続していく体制を構築するよう全力を尽くすことを打ち出しております。しかしながら、示された見直し案では年度内収支均衡を図るための詰めが甘いのではないかと思われますが、今後どのような点について改革を示そうとしているのか、御所見を伺います。そして、存在意義を何に求めていこうとするのか、お伺いいたします。
 また、仮に廃止した場合、地域経済へ及ぼす影響額が約100億円に上ることがうかがえます。公共事業削減により建設関連への影響が大きい今日、新しい産業の進出も思いどおりにいかない現況の中、競馬関係者約2、500人と言われる人たちの雇用を県としてどう守ろうとしているのでしょうか。岩手競馬に従事する雇用を大きく支えていくべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、岩手競馬存廃の基準設定と見直し計画案の実効性についてでありますが、今回、競馬事業存続の基準として、収支が均衡し、赤字が拡大しないことが条件であると示されました。収支均衡が存続の条件であることに異論はありませんが、問題は、現状のままで果たして平成19年度に収支均衡に持っていけるのか。19年度の14億円のコスト削減の中に賞典費7億9、600万円を計上しておりますが、賞典費を下げることにより頭数が半減し、レースに魅力がなくなるなど客離れが生じるのではないかなどの意見が寄せられており、競馬関係者が大変危惧しております。つまり、見直し計画案に実効性があるのかということであります。コスト削減の内容に、果たして競馬関係者の馬主会、調騎会、厩務員会、競馬組合の4者の意見がどのように反映されてきたのか、お伺いいたします。
 また、街中場外の設置は予定どおりできるのでしょうか。設置については賛否が分かれておりますが、関係者とどの程度の協議を重ねてきたのでしょうか。今後の見通しをお伺いいたします。
 また、想定した金額で資産売却ができるとお考えなのでしょうか。信託の解除に伴うパルソビルの精算代金の資金調達ができるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、現段階で金融機関が借換債に応じてくれるのかも喫緊の課題であります。しかも、どれか一つでもうまくいかないと計画の達成はできなくなるという砂上の楼閣のような計画と思われます。知事は、見直し計画案が確実に履行できるとお考えなのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、廃止した場合の構成団体に及ぼす影響と累積債務解消の考え方についてでありますが、本年度中に競馬を廃止した場合、平成19年3月末時点での組合の債務は372億円と見込まれております。もし仮にそうなった場合は、組合規約どおり、構成団体である県が55%、盛岡市が20%、奥州市が25%負担するものと考えてよろしいのでしょうか。また、その場合、県、盛岡市、奥州市に及ぼす影響は非常に大きいと思われますが、具体的にどのようなことが想定されるのか、お伺いいたします。誕生して間もない奥州市が破産自治体に陥れば合併した意義さえも問われることになるはずです。競馬の存続ができたとしても、累積債務の解消が問題であり、知事は、累積債務をそのまま放置し続けるのか、御所見をお伺いいたします。
 以上申し述べてきましたが、無理な見直し計画案の中では、到底改善し、存続していくことは無理であります。そこで私は、1場体制を真剣に検討するべきと考えます。交通アクセスの悪い、しかもランニングコストの大きいオーロパークを廃止し、集客の多い、交通アクセスもよい利便性の高い水沢競馬場を残すことです。オーロパークについては運動競技場としての活用を検討すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。売却すれば200億円を超えると見込まれるみたけの県営運動公園を廃止して、オーロパークの新しい競技場としての活用を検討するなど、広く解決策を探るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、このたびの柴田副管理者の退任についてお伺いいたします。
 以前私は、出資法人等調査特別委員会の委員として、副管理者は県の執行部ではなく民間人の起用を強く要望しました。やあやあ、まあまあの競馬組合の古い体質にメスを入れるべく、民間人の採用を考えたものです。売り上げ低迷を理由に、任期6カ月を残しながら辞任することに対して、知事の御所見をお伺いいたします。
 一部に、実質的解任ではとの声もありますが、最高責任者の管理者たる知事の責任はないのでしょうか。柴田副管理者を起用したのは、知事だったはずです。他人事では片づけられないと考えます。今後、県民に負担を強いることのないような健全な岩手競馬構築のため、そのために猶予なきこの機を逃すことなく、関係者一丸となった取り組みを切に望み、質問を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、改革の方向性についてでありますが、計画の見直しに当たりましては、人件費や賞典費なども含めてさらに徹底したコスト削減を進め、売り上げ収入の25%の範囲で費用が賄えるような、このような収支構造への転換を図ることとしております。
 次に、岩手競馬の存在意義についてでございます。
 岩手競馬は、財政競馬という役割に加えまして、雇用の場の提供や地域経済への貢献という面でも、大変重要な役割を果たしてきておりまして、さらに、本県では、馬事文化の継承や馬事振興という側面も担ってきております。
 次に、岩手競馬従事者の雇用の確保についてでございますが、私は、収支が均衡し赤字が拡大しないことを条件に競馬事業を存続させることが雇用の確保につながるものと、このように考えておりまして、このようなことから、収支均衡を基本とする競馬事業存続の基準を設定して、収支均衡を実現して岩手競馬の再生を図ってまいりたいと考えております。
 次に、コスト削減の競馬関係者の意見の反映についてでございます。
 岩手競馬の再生には、競馬関係者と一体となって取り組むことが必要と考えまして、これまでも計画案の説明に努め、意見を伺ってきたところでございますが、今後は、さらに十分に、かつ幅広く意見を伺いまして、計画見直しに反映をしていく考えでございます。
 街中場外の設置につきましては、奥州市や盛岡市における民間事業者による設置に向けた取り組みに進展が見られない状況にございますので、当面、競馬組合がみずから設置・運営するという方針に変更することとしたところでございます。
 また、テレトラックの売却につきましては、新たに設置をする資産売却のルールに基づいて、売却に努力をしたいと考えております。
 パルソビルの精算代金の資金調達につきましては、信託契約の受託者であります金融機関から短期資金を借り入れて、信託勘定の精算を行う方向で協議中でございます。
 次に、廃止した場合の構成団体に及ぼす影響と累積債務解消の考え方についてでございますが、万が一岩手競馬が廃止となった場合には、競馬組合規約の規定にのっとりまして、構成団体である県、奥州市、盛岡市が借入金の返済等を行わなければならず、構成団体にとって非常に重い負担となりますとともに、地域の雇用や経済に大きな影響を及ぼすと、このように考えております。
 次に、この累積債務につきましては、競馬組合の自助努力を基本として、経営改善の手段がある限りは、まず、その具体化に努力をし、その解消に取り組むことが第一と考えております。こうした考え方のもとに、競馬組合が自助努力に取り組みました上で、将来に向けた見通しや計画見直しに係る競馬組合議会、各構成団体議会での議論も踏まえながら、構成団体が役割をどう果たしていくかも含めて、累積債務の扱いを検討していくことが必要と認識しております。
 次に、1場体制についてでありますが、2場体制にするか1場体制にするかの選択と、1場体制とした場合にどちらの競馬場を活用するかについて、今回の計画見直しに当たりましてもこの検討を行ったところでありますが、1場体制とした場合に、盛岡、水沢、いずれかの1場だけでの馬房数では、週3日開催の馬資源を確保できず、開催日数を減少せざるを得ないということ。現状の開催日数を確保するため、いずれかの競馬場に厩舎を移転して馬房数を維持する場合、多額の設備投資を要することなど、1場体制では現状の2場体制より収益が悪化すると、このように試算をされたところでありまして、2場体制を維持する案で見直しを今検討しているところであります。このため、現時点では、盛岡競馬場は2場体制のもとで引き続き競馬場として活用することが適当と考えられるわけでありますが、先ほどの議員の御提案の件につきましては、岩手競馬の枠組みの根幹にかかわることでもあり、また、他の行政分野にも大きな影響のある議論でございますので、今後とも、県議会や県民の皆様方の御意見、御提言に真摯に耳を傾けてまいりたいと、このように考えております。
 次に、副管理者交代の責任についてでございますが、現在、競馬組合は計画の見直しを進めているところでございますが、競馬組合の経営改革は新たな局面を迎えているものと、このように認識をしておりまして、執行体制についても、新しい体制でこの競馬の再生を期してまいりたいと、このように判断をしたものでございます。
 今後とも、新体制のもとで、私を初めとする役職員が一丸となって競馬組合の経営計画を推進していく、このような考え方でおります。
〇32番(及川幸子君) ただいまの答弁の中で、2点ほどちょっと疑問に思う点がありました。川村議員の質問もそうですが、私の質問もそうですが、計画の中で人件費と賞典費を削減すると何度もおっしゃっていましたが、私が質問の中で、その賞典費を下げることは競馬ファンが減るのだよという意見を申し述べております。
 実は私、先日、競馬関係者20名と意見を交わしてまいりました。計画見直しについて全く意見が交わされていないということを指摘されて、この賞典費を下げるということはレースに魅力がなくなりお客さんが減るんだよと、競馬に詳しい関係者が言っていたんですよ。ですから、私もこの賞典費について、管理者である増田知事がなぜそれを打ち出すのか。意見を聞いていると再三おっしゃっていますが、実際のところ、関係者の意見を聞いていないのではないかと私は思います。今までさまざまな議論の中で関係者の方々と私も話を進めておりますが、全く聞く耳を持たない体制であったという、そういう感想が持たれておりますので、その点について再度お願いしたいと思います。
 それから、2場体制の方が1場よりいいというのは、なかなか資料を見た上でも難しいということは、馬送の、輸送の部分でも大分経費がかかっていると思うんですが、それでも2場体制の方がいいのかどうか、ちょっとそれも疑問に思うところでございますが、盛岡競馬場の武豊の人気のあるレースに、私1度行ったことがありますけれども、知事もああいう人気レースにもいらしたんでしょうか。私、武豊の人気レースに行って、夕方、物すごいラッシュに巻き込まれまして、水沢に帰るのが大変時間を要したわけです。この盛岡のオーロパークというのは、帰り道1本しかないのではないでしょうか。その点、水沢競馬場は何本も帰り道、行く道もですが、アクセスがいいんですよ。それでも人気レースを盛岡でやりながら進めていくというのか、その辺のところ。
 まず、増田知事が、混雑時に実際にオーロパークに足を運んだことがあるのか、その点も含めてお伺いしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) まず、人件費、賞典費等の削減についての関係でございますが、この賞典費については、先般の組合議会の中でも御意見がございました。賞典費を下げると魅力あるレースにつながらないのではないかという御意見もありました。一方で、いずれにしても、コストは25%以内の中で下げざるを得ないと。聖域を設けずに見直しをするということでありまして、本当に25%の中ですべてのコストを賄うということになれば、人件費あるいは賞典費についても手をつけなければいけないのではないかと、こういうことをおっしゃる人もおります。したがいまして、この賞典費についても、私は当然のことながら、馬主さんたちにとりましてもなかなか厳しい話ではあるかと思いますが、これは議論の俎上に乗せて引き下げを図っていかなければならないのではないかと、このように考えているところでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、幅広く意見を聞くということで私どももこれから考えていかなければなりませんので、どのような水準にするかということは、いろいろ議論をしていただく必要があるかというふうに思います。
 それから、2場体制の関係で、そういった混雑時に足を運んだかということでありますが、私も帰りのときに、そういった下の106号までおりるときに、大変混雑したところに遭遇したことが何回かございますが、それぞれ方向がいろいろあって、私はその後大体知事公舎に帰ると、すぐ下のところなものですから水沢に帰るほどの時間を要するわけではありませんが、ただ、交通のアクセスについて、そういう終了時にあるいは大体終了の時間帯に大変込む競馬場であると、こういうことは認識をしております。
〇32番(及川幸子君) 2場体制ということで頑張っていかれるということですが、やはり今後の計画の見直しということについては、まだまだ関係者の意見を聞いている場面は少ないと思います。少ないじゃない、全くなかったのではないかと私の方は思うわけですが、今後、競馬関係者と意見を詰められて、一部の人はそう言っているかもしれないではなくて、競馬関係者全体と意見を交換するくらいの意気込みで管理者としての責務を任期中に全うすべきと思いますが、最後にいかがでしょうか。
〇知事(増田寛也君) 今の御意見は当然重く受けとめなければいけない御意見でございまして、先般、関係者が一堂に会した協議会のようなものがスタートいたしましたが、まだ関係者の範囲がさらに広くそのほかにも存在すると思いますし、そうした場でお互いの立場も十分理解しつつ、最終的には組合として意見を集約化する。そのために、私を初め競馬組合に関係する者が最善の努力をしていかなければならないと、このように認識をしております。
   
〇議長(伊藤勢至君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 3 時44分 休 憩
   
   出席議員(48名)
1  番 高 橋 博 之 君
2  番 亀卦川 富 夫 君
3  番 五日市   王 君
4  番 小田島 峰 雄 君
5  番 三 浦 陽 子 君
6  番 中 平   均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口 英 司 君
9  番 高 橋 比奈子 君
10  番 高 橋 雪 文 君
11  番 嵯 峨 壱 朗 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 関 根 敏 伸 君
16  番 野 田 武 則 君
17  番 平 野 ユキ子 君
18  番 大 宮 惇 幸 君
19  番 千 葉 康一郎 君
20  番 新居田 弘 文 君
21  番 平   澄 芳 君
22  番 工 藤 勝 子 君
23  番 平 沼   健 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村   誠 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 川 村 農 夫 君
30  番 佐々木 順 一 君
31  番 佐々木   博 君
32  番 及 川 幸 子 君
33  番 樋 下 正 信 君
34  番 柳 村 岩 見 君
35  番 小野寺 研 一 君
36  番 小野寺   好 君
37  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 小 原 宣 良 君
39  番 阿 部 敏 雄 君
40  番 吉 田 昭 彦 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 高 橋 賢 輔 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 藤 原 泰次郎 君
48  番 菊 池   勲 君
49  番 藤 原 良 信 君
51  番 佐々木 俊 夫 君
   欠席議員( 1 名)
50  番 佐 藤 正 春 君
   
   説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
   職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時4分再開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 緊急質問を継続いたします。千葉伝君。
   〔45番千葉伝君登壇〕

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