平成18年9月臨時会 第20回岩手県議会臨時会会議録

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〇29番(川村農夫君) 民主・県民会議の川村農夫でございます。
 出資法人等改革調査特別委員会が行ってきた岩手県競馬組合の経営改善に係るこれまでの調査の経過と結果につきまして、報告が吉田委員長からありました。この報告に基づき、岩手県議会としての共通の認識を図る観点からも、競馬組合の緊急的諸課題について管理者である増田知事に質問を行います。
 第1点目は、第1・四半期をめどに計画の見直しを求めていましたが、おくれた要因は何かという点であります。
 平成18年2月議会において、平成18年度を岩手競馬存続のための最後の機会ととらえ、新年度当初から実態に合わせた売り上げ計画の見直しや、徹底的な経費削減を前提とした改訂実行計画の見直しを開始し、第1・四半期をめどに新たな計画を策定するよう、意見を付して競馬組合に対する貸付金に賛成された経緯があります。しかも、心配されたとおりスタート時点から計画した売り上げに達しなかったにもかかわらず、計画の見直しがおくれたのはなぜか。去る6月議会でも、知事は、第1・四半期をめどに見直すという時間的な縛りについて大幅におくれることはできないと述べ、7月3日の県議会の会期終了後早々に競馬組合議会での了承を得て、構成団体の議会に内容を明らかにする考えを示したではありませんか。今の予測では、9月16日の競馬議会での成案提出が見込まれるというものですが、これを大幅なおくれだという認識はないのでしょうか。
 9月1日の競馬議会後の談話記事によると、柴田副管理者の辞任を受けて新体制でやっていこうとするのは、今泉事務局長を派遣したときから考えていたとの発言の意味するところは何なのか、大いに疑問が残ります。第1・四半期をめどとした計画見直しは、最初から新体制に移行してから見直し案を出そうというねらいを持っていたのではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
 第2に、改訂実行計画が破綻したその原因と責任についてであります。
 資産売却を除いた経常損益で17年度は約18億円の赤字であり、18年度も約20億円の赤字が見込まれております。2カ年で38億円の赤字であり、改訂実行計画の当初2年間の赤字見込み額20億円と比べても、赤字は倍増しております。改訂実行計画は策定から2年も経ずして破綻したと言えますが、その原因と責任をどう認識しているかお答えください。
 議会そして特別委員会でのさまざまな指摘に対して、自信を持ってそして強い決意で答弁してきたその姿勢は、今どういう姿に変貌したのか、顧みるにうら悲しい思いであります。
 第3に、競馬組合のコンプライアンスについてであります。
 知事は、7月3日の記者会見で、パルソビルの信託契約について、本年の5月まで知らなかったと言及しました。平成19年3月までに精算する方向で検討されているようですが、資金繰りが厳しい状況下において7億900万円の資金を調達しなければならず、見通しは大変厳しいと言わざるを得ません。
 ところで、この問題は、平成17年3月に受託者である三菱信託銀行から申し入れを受けてから双方で交渉してきた経過がありますが、このような経営に大きな影響がある問題を、経営の最高責任者で管理者たる知事に一切報告がされていなかったということは、コンプライアンス上、大いに問題だと考えますが、いかがお考えでしょうか。また、多額のリース契約も組合議会に諮られることもないなど情報公開も不徹底と思われますが、所見を伺います。そして、組織の責任者としてこの競馬組合組織をどうとらえていたか、組織管理の責任をどのように果たしてきたかを明確に答えていただきたいと思います。
 第4に、岩手県競馬組合と株式会社東北映像との合意書についてであります。
 平成18年3月29日付合意書では、第1条で、テレトラックの賃料については平成17年度から20年度までの4カ年に限り減額することとし、平成21年度からは前の金額に戻すこととしております。また、4年間の減額した分については、21年以降競馬組合が負担することとなっています。これでは一時的に支払いを減らしたにすぎず、繰り延べしただけで、リストラとは言えないのではないでしょうか。また、第2条では、東北映像のテレトラック4施設に係る金融機関からの借り入れ28億3、700万円について競馬組合に責めがあることを認識しているとありますが、これはどういう意味でしょうか。普通に考えれば東北映像の債務を保証したものと思えますが、もし保証ではないというのであれば、責めがあることを認識しているとは法的にどういうことなのか、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
 第5に、岩手県競馬組合改革見直し計画案に平成19年度計画が含まれていることについてであります。
 見直し計画の案が示されましたが、その中には平成19年度の計画も含まれています。知事は、平成17年、18年の2カ年間やってみて存廃を決定すると公約していたわけでありますが、平成19年度の計画も含めて見直し計画を策定しているということは、平成19年度も競馬を継続することに決定したということなのでしょうか。これは大きな政策の変更だととらえられますが、いかがでしょうか。2月定例会では、本年度を岩手競馬存続の最後の機会とらえてという文言が附帯意見に込められており、本年度までの成果を見て知事が本年度中に判断するというのが議会の共通の認識であります。また、もし公約に変更がないとするならば、本年のどの時点で決断するのか、その時期を明らかにしていただきたいと思います。
 先日の競馬組合議会で、存廃判断は、収支の均衡が図られることに基準を置く旨の案が示されました。その収支均衡とは、累積債務の返済をも勘定に入れた収支という見方でよろしいのでしょうか。存廃判断のその基準適用は、いつ、どの時点から効力を発するのでしょうか。
 以上の点で私の質問は終わりますが、引き続き及川幸子議員より質問させていただきます。なお、答弁によっては再質問させていただきます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 川村農夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、計画見直しについてでありますが、改訂実行計画の見直しに関する附帯意見がついておりますが、これは大変重く受けとめております。見直し作業を進めてきたところでありまして、去る7月31日に競馬組合議会に報告をして、これを受けまして、競馬組合議会、構成団体からさまざまな御意見をいただいたところであります。それを受けましてさらに現在見直し作業を進めている、こういう状況にございます。計画のさらなる見直しに当たりましては、構成団体、関係団体などから幅広く意見を聞く必要があることなどから、その検討に時間を要している、こういう状況でございます。今後は、9月1日の競馬組合議会や各構成団体議会の御意見などもいただきながら、構成団体間で十分協議の上に、事業存廃の基準を含めた見直し案を取りまとめまして次回の競馬組合議会にお示ししたい、このように考えております。
 なお、新体制への移行につきましては、現在、競馬組合は計画の見直しを進めているところでございまして、競馬組合の経営改革が新たな局面を迎えているものと認識していることから、この執行体制についても新しい体制で岩手競馬の再生を期してまいりたい、このように判断したものでございます。
 次に、計画を見直すに至った原因と責任についてでありますが、改訂実行計画では、平成18年度におきましても既存の売り上げは一定程度減少するものと見込んでおりましたものの、岩手競馬商圏内の購買力の大幅な低下など、計画策定時と比べて競馬を取り巻く環境が大きく変化して、改訂実行計画の想定を超えて発売額が減少しているわけであります。私は、競馬組合の管理運営の最高責任者である管理者として、その時々の情勢の変化を踏まえて、その対応が最良なものとなるように努めてきたところでありますが、結果として現在のような運営状況に至ったことは、ファンの動向など諸情勢の認識等が不十分であった、このように考えております。
 現在、こうした平成18年度の発売状況を踏まえながら計画の見直しを進めているところでございますが、これからの18年度後半に賞典費や人件費などのコスト削減などさまざまな努力を積み重ねて19年度以降の収支均衡を実現したい、このように考えております。このような取り組みにより、ぜひとも岩手競馬の再生に向けた道筋をつけられるよう全力で取り組むことが競馬組合の管理者としての果たすべき責任、このように考えております。
 次に、競馬組合のコンプライアンスについてでございます。
 平成17年3月末にパルソビル信託契約の受託者でございます金融機関から信託終了について申し入れがございました。競馬組合としては、テナント確保の問題であり、第一義的には信託を受託している受託者側が努力すべきもの、このような認識で協議を続けたものでございますが、その後、本年5月18日付で具体的な時期を示して裁判所への調停の申し立てをする旨の申し入れが相手側からございまして、この時点で管理者である私に報告があったものでございます。しかしながら、こうした重要な事項につきましては、競馬組合議会に対しても時宜に応じた十分な報告が必要であったものと考えております。今後、このような重要案件については、その都度管理者である私に報告するよう徹底を図っていくとともに、やはり議案とすべきものは議案として競馬議会に提案して審議いただくとともに、説明すべき案件につきましては、その説明時期にも十分に注意をして、できるだけ早い段階で説明させていただき、御理解を得ながら岩手競馬の再生を期していきたいと考えております。また、早急に岩手県競馬組合としての情報公開条例を制定して、適時適切な情報公開に努めてまいりたいと考えております。
 次に、岩手県競馬組合とテレトラック貸し主との合意書についてのお尋ねでございます。
 テレトラック賃借料の減額について、合意書におきましては、貸し主との間で減額した賃借料相当を将来において支払うという趣旨を定めているわけでありますが、一方で、この賃借料の扱いはあくまで両当事者間の協議によることとしておりまして、諸情勢を踏まえて改定するものであることも明記しております。いずれにいたしましても、当該年度の経費は減額分の賃借料負担が軽減されまして、結果として当該年度の収支改善に資するもの、このように理解しております。
 次に、貸し主のテレトラック整備に係る金融機関からの借り入れについてでございますが、責めがあることを認識している、こういう文言は、貸し主が金融機関に借り入れを返済することができるよう、組合としては貸し主との賃貸借を継続するために最善を尽くすことが必要である、このような信義則上の責務があるとの認識を示したものでございまして、この合意書は、あくまで相手方の債務を保証するものではなく、競馬組合がこれにより具体的な債務を負うものではない、このように認識しております。
 次に、平成19年度の継続の判断についてでございますが、18年度に決定するのではなかったか、このようなお尋ねがございました。私は、平成17、18年度の2年間で、岩手競馬についてきちんと方向づけを行うこととしていたところでございます。今回の見直しでは、事業存廃の基準を明確化して、その基準のもとで収支を均衡させることを中心としたルールを設定したい、このように考えておりまして、これが平成18年度に行うこととしていた方向づけに当たるもの、このように認識しております。そして、平成19年度継続の判断についてでございますが、岩手競馬が想定を超えて商圏内の購買力が低下している、このような状況でございますので、これからの平成18年度後半に賞典費や人件費などのコスト削減に向けた取り組みを一層進めていく必要がございます。このため、関係者の皆様方の御理解と御協力が得られますようにさまざまな努力を積み重ねなければならず、その結果として平成19年度の見通しが得られるもの、このように考えておりまして、現時点では19年度の競馬事業継続の決定をしているものではございません。
 次に、この判断の時期についてでございますが、平成17、18年度の2年間できちんと道筋をつける、このように申し上げてまいりました方針に従って事業存廃の基準を明確化したいと考えておりまして、次回の組合議会にそれを含む計画見直し案をお示しできるように準備を進めているところでございます。したがいまして、判断時期につきましては、その事業存廃の基準に従って、毎年度の収支均衡の見通しが立つかどうかを見きわめながら毎年毎年判断を行っていくことを想定しておりまして、平成19年度についての具体的な判断時期は、こうした19年度収支均衡の見通しが立つということを見きわめる時点、このような意味で、競馬組合の19年度事業計画を議論する時期がその時期に当たるのではないか、このように考えております。
 存廃基準についてでございますが、競馬事業が今後存続していくためには、収支が均衡し、赤字が拡大しないことが条件でございまして、収入の変動にコストを弾力的に対応させながら収支均衡を実現していくことが必要である、このように考えております。このため、収支均衡を基本とする事業存廃の基準を設定しようとするものでございまして、現在、他の地方競馬の例も参考に、構成団体等の意見も踏まえながら適用開始時期を含めて具体的な内容を検討しているところでございまして、次回の競馬組合議会でその内容をお示ししたい、このように考えております。いずれにいたしましても、平成19年度以降はそうした考え方のもとで収支均衡を図ってまいりたい、このように考えております。
〇議長(伊藤勢至君) 再質問の持ち時間につきましては向かって左側の表示計で行ってございますので、それを見ながら持ち時間の中で行ってください。。
〇29番(川村農夫君) 第1点目の質問の中で私は大幅なおくれという認識はないのかということをただしたところでありますが、それに対する答えがありません。
 それと、第1・四半期をめどにということは、第2・四半期に入ったら、もう見直した計画で進めるというような期待を我々はしていたわけでありますが、今まだということは、今年度後半からという言葉もありましたけれども、ことしの見直し案の実行に移せる時期は10月からというふうな受けとめ方でよろしいのでしょうか。その点について確認したいと思います。
 それから、第1・四半期をめどにということで、おくれた理由の中に関係団体との協議も進めているという言葉がございましたが、私は、コンプライアンスと管理責任についてでありますけれども、改訂実行計画を初め、見直し案についても県側が主導権を握って作成してきたものなのかという点について疑問があります。競馬組合が主体となって作成・提案してきたものであれば、馬主会や調騎会ほか各会との合意のもとに作成されてあるべきであります。ところが、案が出るたびに実効性が伴わず関係者側から不協和音が出るなどといった状況を見るとき、関係者との意思疎通が図られることなく、県側の一方的、机上の論理だけで、見せかけの計画だけがひとり歩きしているのではないかと思われる点であります。そういった点について、今進めているということでありますが、その点についてもう一度御認識をお伺いしたいと思います。
 そして、その計画を実行に移せない要因が組合組織の中にあるとすれば、その障害をどのように解消していくのかが大きなテーマでもあるのですが、その認識と取り組みはどのようになされてきたのかお示しいただきたいと思います。
 以上です。
〇知事(増田寛也君) 質問にお答えします。
 まず、第1・四半期を目途に計画の見直しを進めてきたが、おくれているという認識はどうかということでございますが、第1・四半期が終わるのが6月いっぱいでございまして、それを受けて、その発売状況なども踏まえて、1カ月以内の7月31日に競馬組合の議会の方に見直し案を提案したということでございまして、作業としては、私どもも附帯決議を重く受けとめて急いでやってきたところでございます。ただし、その議会の中でまた数多くの御指摘をいただいたということで、それを受けて、今再度さらに見直し作業を進めているということでございます。
 それから、見直し計画を第2・四半期からすぐに実行に移すという理解であった、こういうお話でありますが、やはり第1・四半期の売り上げ状況等を見ていろいろ分析が必要でありますので、翌日の7月1日からすぐに見直し計画を実行するというのは実際には不可能でありまして、やはりそこにはしかるべき時期が必要かというふうに思っております。具体的な見直し計画の案を今月の半ばに競馬組合議会の方にいろいろとまた御相談をしたいというふうに思っておりますが、ただ、それについてもいろいろ御意見があろうかと思いますが、コスト削減などで実行できるものは10月から実行していきたい。もう既にそのようなことを考えているところでございまして、全体の計画についての議論はまた競馬組合議会で御議論いただきたいと思いますが、コスト削減について、やれるものは早急に行っていきたいというふうに思っております。
 それから、関係団体との合意形成といいますか、意見聴取でありますが、これは、それぞれの団体からの意見などもお伺いしながら案をつくっているわけでありますが、組合全体として案をつくる際には、やはりまず一つの案をお示しして関係団体からいろいろ御意見をお聞きする、こういう手続を経るわけでありますが、どうしてもなかなか厳しい内容にならざるを得ないことから、それぞれの関係団体としてもいろいろ意見、御議論がございますので、全体の合意形成ということにつきましては、今議員からお話がございましたような、御指摘をいただいたような形にまだなっていないのが実情でございます。やはり今後は、一つの基準をお示しして、退路を断つという中で、関係者間のできるだけ合意形成、大変厳しい内容もその中に含まれざるを得ませんが、大きな周囲の状況を、さらに厳しい状況に置かれているということを全員に御理解していただきつつ、十分な意思疎通を図って合意形成を図っていきたい、このように考えています。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、及川幸子さん。
   〔32番及川幸子君登壇〕

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