平成19年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(中平均君) 民主・県民会議の中平均です。
 千葉康一郎環境福祉常任委員長の委員会報告のうち、請願陳情受理番号第15号2008年4月実施の「後期高齢者医療制度」の凍結・見直しを求める請願について、賛成する立場から会派を代表して討論いたします。
 この請願は、昨年6月、与党の強行採決によって成立した医療制度改革関連法に基づき、来年4月から、高齢者を対象にした新たな高齢者医療制度を実施しようとしていることに対し、制度上の多くの問題点が噴出していることから、その凍結と見直しを強く求める内容となっています。
 まず、この医療制度改革関連法では、70歳から74歳までの一般的な所得者の窓口負担を、現状の1割から倍の2割に引き上げることとなっています。そして、75歳以上について新たに後期高齢者医療制度を創設し、保険料を個人単位で徴収することとなるため、会社員の子供などに扶養されているおよそ200万人が、新たに保険料を納めることとされています。また、現役並み所得者は、窓口で3割負担を求められることとなります。このうち、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度では、新たに200万人に負担が生じること、年金からの保険料の天引き、保険料滞納者の窓口での医療費全額負担、地域による保険料の格差などの問題点が多く噴出しています。これに加え、そもそも75歳以上を対象とした新たな医療制度の構築については、平均寿命の男女差がおよそ7歳あることや、75歳以上の人口比が男性1に対して女性1.7などとなっており、制度設計上合理的でないこと、高齢者は一般的な収入が減少する経済弱者であるとともに罹患率の高い健康弱者であり、現役並みの所得があるからといって、一律に現役並みの自己負担を求めるべきでないとの指摘も相次いでいます。
 このまま制度が実施されれば、高齢者の負担は増加するばかりであり、制度設計上から見ても、70歳から74歳と、75歳以上に分ける合理的根拠は揺らいでいると言わざるを得ません。
 ところで、与党プロジェクトチームは、強行採決まで行って成立させたこの医療制度について、先ごろ、70歳から74歳までの医療費自己負担増については1年間の凍結、そして、75歳以上の後期高齢者医療制度で新たに保険料を負担することになる者の保険料負担については6カ月の凍結、その後の6カ月についても、9割軽減することで合意に達したとの報道がなされました。これは、一見、この請願の趣旨に沿ったもののように見受けられますが、実態は、制度上の不備や問題点などを解決しようとするものではなく、今後の我が国の高齢者医療の根幹にかかわる見直しとは、遠く及ばない内容であると言えます。
 与党の今回の方針については、テレビ、新聞紙上において、早くも選挙向けのパフォーマンスとの批判が続出しており、まさにさきの参議院選挙の敗北を受けて、これ以上の負担増を求めては衆議院選を戦えないと判断したためであるとの論評がなされていることは、御承知のとおりであります。
 与党が強行採決までして成立させた医療制度を、今度は選挙に不利になるからといって一時しのぎ、先送りのみの方針を打ち出しているその姿勢には、高齢者を取り巻く現状の医療環境、福祉環境や将来にわたる医療福祉政策の理念は感じられないのであります。
 以上の理由から、私は、だれもが健康で安心できる我が国の高齢者医療のありようについて、根本的議論と抜本的見直しを強く求めるものであり、本請願に賛成するものであります。
 議員各位の御賛同を心よりお願い申し上げまして、賛成討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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