平成19年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第13号、第16号、第21号に反対の討論を行います。
 議案第13号県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、県立住田病院を来年度から診療所化するものであります。
 反対する第1の理由は、昨年度診療所化された紫波、花泉病院の場合、入院患者が6割以上減少するとともに、診療機能を維持するとした外来患者も、12%から28%も減少しています。地域医療の縮小、切り捨てとなっていることであります。今年度から診療所化された九戸、大迫の場合も、入院患者で5割以上、外来患者でも12.5%から30.6%も減少しています。
 入院患者の今年度の実績は、19床あるものの、1日平均の入院患者は、紫波で13人、花泉で14人、大迫で11人、九戸では8人にとどまっていることは極めて重大であります。
 第2の理由は、診療所化したものの、常勤の医師不足から、花泉診療センターでは5、533万円の赤字をふやし、紫波病院では4、100万円の赤字縮小となったものの、トータルでは1、433万円の赤字拡大となったことであります。
 第3の理由は、県立住田病院は、昨年度の1日平均入院患者数は31人で、93回、延べ476人の訪問診療、37回、延べ88人の訪問看護に取り組んでいます。住田病院の診療所化は、患者の追い出しと地域医療の縮小をもたらすものであります。今必要なことは、県立病院の創業の精神である県下にあまねく医療の均てんをの精神に立ち返り、医師確保に全力で取り組むとともに、地域医療を守り抜くことであります。
 議案第16号訴えの提起に関し議決を求めることについては、県営住宅の家賃を滞納した11人に対し、住宅の明け渡しを求める訴訟を提起するものであります。
 滞納者の実態を見ると、話し合いに十分応じていない問題はあるものの、所得実態は月10万円以下の方々がほとんどで、月3万円、5万円、無職の方もおられます。生活実態から見るなら滞納せざるを得ない事態になっており、他の滞納や多重債務さえ予想される状況であります。単に、県営住宅の家賃滞納を解決するというだけでなく、県民の命と生活を守るという地方自治体本来の役割から、生活保護の適用や多重債務の解決、安定した就職支援など、部局横断的な対応こそ求められているものであります。県営住宅から追い出して、あとは野となれ山となれという対応では、地方自治体の使命を放棄するものと言わなければなりません。
 議案第21号は、平庭高原自然交流館の指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。
 県が3億3、651万円の税金を投入して整備したいわて体験交流施設平庭高原自然交流館を、非公募で平庭観光開発株式会社に指定管理者を指定しようとするものであります。厳しい財政状況のもとで、県民の税金を投入し、県立で体験交流施設を整備し、管理運営は丸投げする手法は極めて無責任で、その必要性について疑問を呈するものであります。
 この施設は入浴施設でありますが、昨年度の平庭山荘の宿泊実績は1、606人、日帰り入浴者は1、819人で、合わせても3、425人となっています。ところが、収支計画書では、年間3万人が利用し、約1、800万円の収入を見込んでいます。また、人件費が全く計上されていないことも異常です。実態、実績と大きく乖離した収支計画と言わなければなりません。こうした無責任で見通しのない計画を認めることはできません。県の責任が厳しく問われる問題であり、議会のチェック機能が問われる問題であります。
 最後に、請願陳情受理番号第15号2008年4月実施の「後期高齢者医療制度」の凍結・見直しを求める請願の採択に賛成の討論を行います。
 第1に、自民・公明政権が強行した後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を他の世代から切り離し、際限のない負担増と差別医療を押しつける、世界に例を見ない最悪の医療制度であります。
 岩手の場合の年間保険料は平均5万8、433円、年金208万円の単身者の場合は7万2、200円であります。保険料は年金から天引きされ、2年ごとに医療給付費の増加や後期高齢者の人口増に応じて、自動的に引き上げられる仕組みであります。滞納者から、初めて保険証を取り上げることが明記をされました。また、診療報酬は包括払い・定額制が検討されており、病院から高齢者を追い出す早期退院と在宅でのみとりを促進し、安上がりの差別医療を行おうとするものであります。
 第2に、後期高齢者医療制度の実施主体を県レベルの広域連合としたことは、住民の声が届かず、一般財源もなく、国の悪政を上から押しつけるものであります。岩手県の広域連合は35市町村が参加しているにもかかわらず、広域連合議員はわずか20人で、市町村議会からの選出は10人であります。これでは、地域住民の声を届けることも議論することもできない、異常な非民主的な仕組みであります。
 第3に、来年4月実施を前に、政府・与党自身が、現在、サラリーマンの扶養家族として健保に加入している人だけを半年間保険料を凍結し、70歳から74歳の2割負担を、1年間、1割に凍結するなどの見直しを検討しています。これは、後期高齢者医療制度の破綻と深刻な矛盾を認めたものであります。
 厚生労働省の大臣官房総括審議官は、後期高齢者医療制度は、当初の制度設計で5年くらいはやっていけるが、その後は財源のあり方が問題になると、週刊東洋経済で延べています。5年で行き詰まると無責任なこういう医療制度でいいのでしょうか。日本医師会は、政府の後期高齢者医療制度を、財政主導、高齢者への配慮に欠けると厳しく批判をしています。
 後期高齢者医療制度の最大のねらいは、医療費抑制であります。既に、毎年、社会保障費は2、200億円も削減されています。日本の医療費は、GDP比で先進国中、最低であります。財源問題を言うなら、史上空前の利益を上げている大企業に対する行き過ぎた5兆円にも及ぶ減税と大資産家に対する2兆円の減税こそ、見直すべきであります。守屋前防衛事務次官逮捕で明らかになった、5兆円の軍事費に群がる政・官・軍需企業の利権構造にメスを入れ、むだな軍事費を大幅に削減すべきであります。
 こうした立場から、後期高齢者医療制度の来年度の4月実施の中止を強く求め、凍結・見直しを求める請願の採択に賛成の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第15号2008年4月実施の「後期高齢者医療制度」の凍結・見直しを求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第15号2008年4月実施の「後期高齢者医療制度」の凍結・見直しを求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第13号、議案第16号及び議案第21号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第13号、議案第16号及び議案第21号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第11号特定大規模集客施設の立地の誘導等に関する条例を採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正でありますので、まず、委員会の修正案を起立により採決いたします。
 委員会の修正案を、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、委員会の修正案は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、ただいま修正議決した部分を除く原案について採決いたします。
 修正部分を除くその他の部分を、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、修正議決した部分を除くその他の部分は、原案のとおり可決されました。
 次に、議案第1号から議案第10号まで、議案第12号、議案第14号、議案第15号、議案第17号から議案第20号まで、議案第22号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第10号まで、議案第12号、議案第14号、議案第15号、議案第17号から議案第20号まで、議案第22号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第24 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第24、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
1 継続審査
 環境福祉委員会
  請願陳情受理番号第3号 海に、空に、放射能を流さないことを求めることについての請願
  請願陳情受理番号第16号 障がい者への差別をなくすための岩手県条例の制定について請願
 商工文教委員会 
  請願陳情受理番号第20号 私学助成の大幅増額など教育関係予算の拡充を求める請願
 県土整備委員会 
  請願陳情受理番号第19号 耐震改修工事助成制度の創設を求める請願
2 継続調査
 総務委員会 
  平成20年度地方財政対策による本県財政の見通しについて 
 環境福祉委員会
  医療制度改革に関連する計画の策定について
 商工文教委員会
  地方独立行政法人岩手県工業技術センターの運営状況について
 農林水産委員会
  漁業の担い手育成について
 県土整備委員会
  北山トンネルについて
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長から、お手元に配付いたしてあるとおりそれぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第25 議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第25、議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕
〇副知事(竹内重徳君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第23号は、収用委員会の委員であります安達孝一氏、伊藤今子氏、同じく予備委員であります斎藤千加子氏の任期が12月24日で満了となりますので、3氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   日程第26 発議案第1号後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第26、発議案第1号後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉環境福祉委員長。
   〔環境福祉委員長千葉康一郎君登壇〕
〇環境福祉委員長(千葉康一郎君) 発議案第1号後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求める意見書につきまして、環境福祉委員会提案でありますので、環境福祉委員長であります私から提案理由の説明を行います。
 本発議案は、今期定例会において、請願陳情受理番号第15号2008年4月実施の「後期高齢者医療制度」の凍結・見直しを求める請願が環境福祉委員会に付託され、採択と決定したことに伴い、後期高齢者医療制度に関し、同趣旨の意見書案を提案するものであります。
 来年4月から実施が予定されている後期高齢者医療制度については、75歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収するため、これまで被用者保険の被扶養者となっていた高齢者に新たな負担が生じることや、年金からの保険料の天引き、保険料滞納者の窓口での医療費全額負担、75歳以上を対象とした診療報酬制度等の多くの問題点が指摘されており、このため、国においては、高齢者医療の負担の凍結措置などの方針を打ち出しているが見直しには至っていないこと、また、その内容が県民に十分浸透しているとは言いがたく、高齢者からは多くの不安の声が寄せられていること等から、意見書案においては、後期高齢者医療制度について、来年4月からの実施を当分の間凍結し、より高齢者に配慮した制度となるよう見直しをすること、及び検討の間、医療を受ける高齢者に不利益が生ずることのないよう、必要な措置を講ずることについて、国に対し要望しようとするものであります。
 議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております発議案第1号後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求める意見書は、委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたします。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第1号後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、発議案第1号後期高齢者医療制度の凍結・見直しを求める意見書は、原案のとおり可決されました。
   日程第27 発議案第2号民法第772条の嫡出推定に関する運用の見直し等を求める意見書から日程第34 発議案第9号地方議会議員の位置付けの明確化に関する意見書まで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第27、発議案第2号から日程第34、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第7号及び発議案第9号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、発議案第7号及び発議案第9号は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号から発議案第6号まで、及び発議案第8号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第6号まで、及び発議案第8号は、原案のとおり可決されました。
   閉会
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第4回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時4分 閉会

前へ 次へ