平成19年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(喜多正敏君) 民主・県民会議の喜多正敏です。
 今議会において初の質問の機会をいただき、先輩議員、同僚議員の御配慮に深く感謝を申し上げます。
 通告に従って順次質問をいたしますので、積極的な御答弁をお願いします。
 達増知事は、就任以来、県内各地を回り、市町村長やいろいろな方々とお会いする一方、出前授業や国内においては東北自動車関連技術展示商談会、農林水産物トップセールスや北東北大型観光キャンペーンなどに参加され、また増田総務大臣を訪問し、さらには大連市、マレーシアなど国外にも足を延ばされ、県民の声を聞き、県政課題や県産品の販売促進など積極的に活動されてこられました。
 こうした経過を踏まえ、初の当初予算編成となります平成20年度当初予算編成に当たられるわけでありますが、財政硬直化への対応や岩手競馬、医師確保、少子・高齢化対策、教育福祉、米価下落、飼料や原油価格高騰状況下において、第1次産業や中小企業、観光の振興、地域格差解消など、山積する課題にこたえるべく、また、新たに策定を進めている新しい地域経営の計画の実質初年度として、どのような方針で予算編成に臨まれるのか、まずお伺いいたします。
 次に、岩手県立大学についてお伺いします。
 人材養成は、地域発展、住民福祉の基本であります。岩手県立大学の建学は、本県の子弟に進学の道を開き、総合政策や情報、看護、福祉など本県に必要な人材を養成するとともに、大学としても、本県の振興に寄与することを目的としていたと認識しております。
 整備には466億円の予算を投じ、毎年約45億円の運営費交付金を負担しております。私は、開学以来、人材養成に取り組まれ、学生の研究活動が高く評価され、教官も自治体のよきアドバイザーとして活動されるなど大学の基盤を築いてこられたと思いますが、県及び大学当局は、どのように評価され、今後どのような期待、経営をされていこうとしておられますかお伺いします。
 県立大学は、県内子弟の高等教育を掲げておりますことから、県内高校、特に県教育委員会や県立高校との濃密な連携や働きかけが重要と思われます。県内高校に対する働きかけや連携はどのようにされておられますかお伺いします。
 県から交付される運営費交付金は、毎年度減額されてきております。大学として、教育のほか、研究活動により地域貢献や大学の向上を図ることが期待されます。このための財源獲得としても、また研究活動を実際に応用し、人材養成につながると思われる外部研究費資金等の獲得もまた重要性を増しているものと思われます。
 これらについてどのように取り組まれ、その実績はどのようになっているか、今後の対応も含めお伺いします。
 次に、教育振興施策についてお伺いします。
 全国学力テストの結果が公表されました。県教育委員会や学校現場では、今回のテスト結果について、成果や課題についてどのような評価をされておられますか、お伺いします。
 小・中学生は、学力だけではなく、人間形成や社会の中で生きていく力を涵養することは言うまでもなく大事であります。教育現場では、さまざまな工夫や努力がなされ、先般行われました上田中学校の学校公開でも意欲的な授業や多数の先生方の見学も行われ、先生みずから執筆された指導教材や資料などが多数展示紹介されており、敬意を表するところでございます。
 さらに子供たちの学力向上に努めていただきたいと存じますが、今後の取り組みについてお伺いします。
 県立高校は、伝統ある高校が多く、校舎によっては、老朽化し、また近年の教育ニーズにこたえられるような校舎や設備、耐震補強など、教育環境の整備が必要な校舎が多いのではないかと思われますが、高校の校舎建てかえや整備、耐震化などの計画についてお伺いします。
 本県の産業振興や就職、雇用確保のために、人材を養成し、技術、技能などの習得や各種資格取得が肝要であります。このために必要な目標設定や学校の運営、経営計画はどのようになされており、教育委員会では、これらをどのように把握され人材養成に結びつくような指導をされておられますかお伺いします。
 社会に出ますといろいろな職業につきますことから、商業高校においても、工業や農業に対して、逆に製造業や農林業でも流通や経営などの理解を得ておくなど、関連する業種を理解しておくことが望まれます。また、普通科においても、いろいろな産業や職業について触れることは、進路選択の参考となると思います。こうした異なる仕事や産業の相互理解教育について、教育長の所感をお伺いします。
 また、このため、専門高校の相互の交流連携や教師の相互派遣による授業実施を行うことが有効であると思われますが、御所見をお伺いします。
 次に、青少年の健全育成団体の支援についてお伺いします。
 活力ある岩手、あすのふるさとに希望を託するためには、青少年の健全育成は政治の根幹であります。達増知事は、公務多忙の時間を割いて、去る11月27日に岩手県青少年会館で開催された第1回岩手県青少年・社会教育関係者研究集会において講話をされ、懇談会に出席されました。
 知事は、こうした講話や懇談会に出席され、どのような感想を持たれたかお伺いいたします。
 集会では、岩手県PTA連合会やNPO法人岩手県地域婦人団体協議会など12団体から意欲的な活動報告がなされました。岩手県青少年会館は、県内青年団体が、みずからの拠点と青少年の宿泊研修を目的として建設され、現在9団体が入居し、相互に連携しながら、財団法人岩手県青少年会館により自主的運営、健全経営を行っている全国でも数少ない施設であり、次期岩手国体開催を控え、運動公園や武道館にも近接した青少年会館の果たす役割は大きいものがあります。
 こうした青少年健全育成の拠点となっている財団法人青少年会館の事業や運営にどのように支援、指導を行っておられるか、今後の方針も含めお伺いいたします。
 また、県では、青少年の健全育成のために、団体も含みどのような取り組みをしておられるのか、今後の方針も含めて、あわせてお伺いします。
 次に、伝統芸能の振興についてお伺いします。
 本県には、風土や歴史にはぐくまれた多様な伝統芸能が多数存在しております。伝統芸能は、地域の誇りやきずなを深め、子供たちや若者の教育の場ともなっており、広く内外からも関心を持たれ、本県の情報発信や交流促進にも大きく寄与しております。県内の各伝統芸能団体は、保存や後継者育成、公演活動に取り組んでおられますが、小・中学生までは後継者として参加されるものの、その後の世代の参加が難しいという声も聞かれます。
 そこでお伺いしますが、こうした伝統芸能について、どのように評価し、保存や振興にどのように取り組まれておられるのか、今後の対策も含めお伺いします。
 伝統芸能の振興には、公演機会をふやすことが関心と誇り、やりがいを高める上で重要と思われますが、県は、県内での公演機会の確保にどのように取り組まれておられるかお伺いします。
 また、首都圏などにおいて、観光物産展、企業誘致やUターンフェア、岩手県人会開催などと連携して、例えば、本県の民謡やさんさ踊り、鬼剣舞、神楽などを総合的に公演する場として、岩手伝統芸能の夕べや岩手の文化紹介の日などを開催することなども考えられます。
 平泉の世界遺産登録とあわせて岩手の魅力を幅広く強力に発信し、交流人口の増加にも寄与することとなり、各事業の相乗効果も上がると思われますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、情報産業の振興についてお伺いします。
 経済産業省の組込みソフトウェア産業実態調査によれば、組み込みソフトの開発規模は、2004年が2兆円、2007年には3.27兆円と拡大し、技術者不足は9.9万人とされ、優秀な人材確保のため、地方への外注や開発拠点の開設が検討されていると言われております。本県ソフトウエア関連企業は239社であり、盛岡市には、仙台市に次いで137社が立地しております。
 本県の組み込みソフト開発企業数と従業員数、売り上げはどの程度であるか、また、組み込みソフト関連技術者や開発企業の育成策とこれまでの企業誘致の現状、本県や地元市町村の企業誘致の優遇策は他県と比較してどのような位置にあるのかお伺いします。
 盛岡市では、岩手県や岩手大学の支援をいただき、盛岡市産学官連携研究センターを平成19年8月に岩手大学構内に開設し、さらに来年度、岩手県工業技術センター横に、連携センターの後の受け皿として貸し工場の完成を目指しております。
 また、今年、滝沢村では岩手県立大学と連携し、(仮称)滝沢村IPUイノベーションセンターを岩手県立大学地域連携研究センター隣接地に建設する計画を立てました。この計画では、1室50平米の貸し事務室10室、会議室2室で平成21年2月の開所を目指しております。県立大学ソフトウェア情報学部と滝沢村が連携し、組み込みソフト、IT企業の進出を支援するため、企業立地促進法による国庫補助対象事業として建設されます。
 岩手県立大学は、情報処理学会において平成18年度に学生奨励賞受賞者が6人と東京電機大学と並んでトップであります。県は、このような岩手県立大学を生かした産業振興についてどのような構想を持たれておられるかお伺いします。
 イノベーションセンターへの企業誘致は10社と計画されておりますが、県の企業誘致の見通しと今後の企業誘致の取り組みについてお伺いします。
 県立大学においても、昨年11月にIT企業の産業集積と大学発ベンチャーの創出、県内のものづくり企業との連携を深めるなどの構想を策定しておりますが、私も、イノベーションセンターや連携研究センターの周囲に情報系企業の誘致、集積を図っていくことが、県立大学のポテンシャルを生かし、新たに成長性の高い産業を起こし育てる観点からも必要であると考えております。
 そこでお伺いしますが、この地域の県有地の活用も含め、当地域へのIT関連産業の集積についての御所見をお伺いいたします。
 次に、盛岡西リサーチパークについてお伺いします。
 盛岡西リサーチパークは、面積11.4ヘクタールで、分譲開始以来10年を経過しておりますが、分譲されたのはいまだ21区画中9区画で分譲率は45%、実際に創業しているのはソフトウエア業やエンジニアリング業など6社であります。
 県では、分譲が余り進まない状況をどう分析し、今後どのように企業誘致活動を進めようとしているかお伺いいたします。
 次に、観光振興についてお伺いします。
 本県の地域格差の軽減や雇用の拡大において、すそ野の広い産業である観光産業の振興は効果的であります。最近の観光は、従来の団体旅行や旅行会社のパック旅行から、こだわりの個人、少人数型の観光にシフトしてきていると言われており、また、1カ所に滞在してじっくりとその地域の歴史や伝統文化、暮らしぶりなどに親しむ旅、いろいろな体験を楽しむ旅の人気が高まっております。観光の目的の多様化と深まりが見られるわけでありますが、本県には、こうしたニーズにこたえる素材が豊富であり、各地域の多様な観光素材を生かしつつ、つなげ、四季に応じて連携してPRや誘客に努めることが重要であります。
 観光振興のため、県では、観光の振興計画を策定し、また、各振興局単位でも観光振興事業が行われ、各市町村においても、交流人口の拡大のため観光事業が実施されております。財政逼迫、観光地の地域間競争や観光をも含めたどんな時間消費をするか、競争激化する中で、こうした県や振興局、市町村、観光団体などの事業が、相互に連携して実施されることが効果的であることは言うまでもありません。
 そこでお伺いしますが、県では、県内市町村の観光振興計画の策定状況や内容を把握しておられるでしょうか。県内市町村の観光振興計画とどう連携を図られておられるかお伺いします。
 観光振興は、旅館、ホテル、旅客輸送業などの観光産業はもとより、地場産業や観光施設などに対する理解が必要であり、その地域の風土や歴史、文化などを総動員して観光マーケティング、セールスプロモーションなどを展開する必要があります。その意味で、観光産業の振興には、業際型、学際型の知見が必要であると思われます。もちろん必要に応じて観光専門業者や知見を有する方の御意見を伺い、観光協会へは、関連業界の方も参画されて事業が推進されていることは理解しております。しかしながら、限られた予算や人員の中では、ともすればエージェントとの旅行商品の造成、観光行事など年中行事の実施や観光パンフレットやホームページの作成に追われ、他方、将来を見据えたハード、ソフトにわたる観光基盤整備や新たな観光ニーズへの対応、逆にこれらを掘り起こすような魅力ある企画創出など、戦略的な対応への注力がそがれているのではないかとの懸念があります。
 そこで、こうしたことについて、県立大学教官の知見やノウハウ、県大生の若き感性や実践力の活用が考えられます。全国には、商店街やまちづくりに大学生を積極的に活用している例もあります。県立大学には、優秀な総合政策学部やソフトウェア情報学部、社会福祉学部、短期大学部や大学院などがありますことから、本県の魅力ある資源を生かした地域振興策、これらを情報で結び、発信し、また看護学部や岩手医大などと連携し、温泉や森林浴、ホースセラピーなどを活用した、いやしと健康をテーマにした観光地づくりなど、いろいろ考えられると思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、観光の人材養成についてお伺いします。
 観光振興には、以上述べた学際型、業際型の知見、企画力、行動力に富んだ人材の養成と配置が必要であると思われます。このため、観光団体における観光関連民間人の採用、旅行業務取扱管理者など、資格取得推奨なども効果的と思われますが、御所見をお伺いいたします。
 また、観光事業者の人材養成には、今までの観光講演会や1日ないし二、三日程度のスポット的な講座はありましたが、もう少し計画的、組織的に行う必要があると思います。こうしたことについて、県観光協会や県立大学の活用が考えられます。講師には、大学の教官とともに、観光の第一線で活躍している民間企業の方やエージェントのシンクタンクなどの活用を行い、理論と実践をあわせ持った実学、実際の誘客にも通じる講座とすることが必要であります。また、講座受講は有料とし、民間企業などに冠講座を働きかけることも一つの方法であると思います。
 製造業や農林業においては産学官連携が活発に行われておりますが、観光においても、観光関連産業と大学、自治体との連携による計画的な人材の養成や観光振興を図っていくことが重要であると思われますが、御所見をお伺いいたします。
 ことしは平泉の世界遺産登録に向けてさまざまな取り組みが行われ、いよいよ登録が現実のものとなってまいりましたが、ことし、さらに次年度以降、この波及効果を県下に及ぼすため、特に県央、県北、沿岸地区の自治体や観光協会とどのような連携を図り誘客活動を行うか、お伺いします。
 当然、観光客誘致が、ことしや来年だけでなく息長く続いていくことが大事ですが、旅行商品の造成のみならず、長期的にどのような取り組みを計画しているかお伺いします。
 また、広く情報発信を行うため、テレビドラマや旅番組、映画撮影の舞台となることなどが有効でありますが、今後、世界遺産登録との関連を含め、また、特にテレビにおいては地元キー局との連携が欠かせないと思いますが、これらを含めてどのように取り組んでいくかお伺いします。
 次に、物産展との連動についてお伺いします。
 岩手県産株式会社の産地問屋としての実績は評価しているところでありますが、会場である各物産展会場の百貨店等には、友の会が組織されており会員数も多いと思われます。各物産展会場の友の会会員数や提携旅行会社があればお知らせください。
 こうした友の会、旅行会社は、企画旅行や頒布会を開催していると思いますが、こうした会と提携して、南部鉄器など、ものづくりのふるさと、啄木、賢治、平泉や三陸を訪ねる旅行企画などにより立体的な効果を生み出せるのではないかと思いますが、こうしたことにどのように取り組んでこられたか、今後の対応も含めお伺いします。
 次に、県産農産品の販売促進についてお伺いします。
 米価の下落は、生産原価をも割り込み農家に大変深刻な影響を及ぼしております。この原因は、需給調整である減反政策のほころびと需要の減退があります。
 農産品の需要については、一般家庭のほか、病院や職域の食堂、料飲店、ホテル、旅館、仕出し弁当などいわゆる業務用の需要があります。これらは今や家庭の消費量を上回っていると言われておりますが、県内外への業務用への県産米や野菜、酪農製品などの売り込みはどのように取り組まれておられるでしょうか。
 また、大規模な誘致企業の職域食堂において県産品を活用していただければ、消費拡大のみならず県外へのPRにもなると思われますが、県産品の使用状況や売り込み活動についてお伺いいたします。
 また、県産品は、料飲店等には単体ではなく、米と野菜、地酒や調理の器として南部鉄器など工芸品を一連で売り込むことも魅力あるものになると思われますが、御所見をお伺いいたします。
 こうした業務用への販売には、土壌管理や栽培管理も含めた品質や最終加工食品に合わせた作目、品種の開発や適切な価格で提供することも効果的ではないかと思われます。米穀卸や関東圏の青果卸の視察において、こうした意見や取り組みなども目の当たりにして、こうした観点に立った岩手のブランドづくりが必要であると一層感じてまいりましたが、御所見をお伺いします。
 次に、滝沢村の国道や主要地方道の整備などについてお伺いします。
 国道4号茨島跨線橋から分レに至る国道4号、分レから一本木までの国道282号は、県南・盛岡と県北をつなぐ大動脈であり、また八幡平に向かう観光道路でもあります。また、分レから滝沢村大釜に至る主要地方道盛岡環状線は、国道4号から国道46号を結ぶ観光交通幹線道路であります。これらの道路は、近年、交通量が増加し、地元からは道路や歩道の整備、交通信号機の設置が要望されております。
 そこで、これら盛岡北部の幹線道路の交通状況をどのように認識され、道路の拡幅や歩道などの整備について、国との協議を含め今後どのように取り組んでいこうとされておられますかお伺いいたします。
 交通信号機の新設には、原則として国の補助制度がなく県単独事業となり、財源確保が困難な状況下にあって、ここ数年、設置数が少しずつではありますが増加しており、当局の御努力には一定の評価をしております。信号機を初めとする交通安全施設は、交通の安全と円滑を図る県民の暮らしに直結した重要な施策であり、盛岡環状線沿線を初め、県内各地からも、毎年交通信号機の設置などの要望が多数寄せられているところであります。
 県警察としては、厳しい財政状況下にあって、今後、こうした地域からの要望に対してどのようにこたえていこうとお考えか、方針をお伺いいたします。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 岩手競馬は、御案内のとおり、県や盛岡市、奥州市の財政や関係団体の雇用、地元経済に対する影響も大きく、今後、収支均衡の上、県民の負担の増加とならないような経営が求められており、競馬組合管理者を初め、関係者が日夜努力されておられると思います。
 このたび競馬組合議会から提言されました主要業務の民間委託について検討されておられますが、その検討の状況と委託による収支均衡や運営コスト節減、サービス面などにおいて、どのような効果があると考えておられますか。また、委託による効果も含め、今後の競馬事業継続の見通しについてお伺いいたします。
 最後に、県職員の人材養成と配置についてお伺いします。
 達増知事は、中央や本県内のいろいろな地域格差の克服を目指し県政の執行に当たられておられます。こうした課題に、限られた財源、人員で目的を達成するためには、効率的な行財政の運営はもとより、各種県営事業や出資団体を含めた公社運営、県政各領域において、すぐれた経営感覚が不可欠であります。実際に多額の欠損や事業継続には改善を要する事業も散見されることから、計画、運営各段階において十分なチェックや適切な見直しが必要であり、このため経営や専門的知識を有する人材の養成や配置が必要と思われます。
 こうした経営感覚、例えば中小企業診断士や各領域での専門的な知識を有する人材の育成や配置について、どう取り組まれようとされるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきますが、答弁によりましては再質問をいたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 喜多正敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成20年度当初予算編成方針についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県は多くの課題が山積しており、私たちの暮らしは、さまざまな危機に直面しております。こうした危機を希望に変えていくため、平成22年度までに重点的・優先的に取り組んでいく政策などを新しい地域経営の計画として策定しているところでありますが、平成20年度当初予算は、この計画に沿って、緊急性・優先性に基づいて、その取り組みを具体化する最初の予算となるものであります。
 一方、本県の財政は、県債の償還が当分の間、高い水準で推移することなどにより多額の財源不足が見込まれており、今後の財政運営は、これまで以上に厳しくなるものと考えているところでございます。したがって、来年度の予算編成に当たりましては、あらゆる角度から歳入確保の取り組みを進める一方、歳出面でも、政策評価、事務事業の総点検等により歳出の徹底した見直しを行い、これまで以上に選択と集中を図って、持続可能な行財政構造の構築に向けた第一歩となる予算としつつ、新しい地域経営の計画に掲げる二つの戦略と政策の6本柱をベースに、平泉の世界遺産登録を契機とした岩手の知名度やブランド力の向上対策、県民所得の向上に向けた産業振興策や雇用対策、医師確保対策、県北・沿岸振興などを重点課題として、希望王国の実現に向けた取り組みを本格的にスタートさせる予算としたいと考えているところでございます。
 次に、県立大学についてでありますが、県立大学は、自然、科学、人間が調和する新時代の創造に向け、県民の進学ニーズにこたえる高等教育機関として設置したものであり、これまでに県立大学が行ってきた教育研究は全国的にも高い評価を受けていると考えますが、開学以来の実学実践を重視した教育研究により育成された2、600名余の卒業生についても、これまで高い就職率を確保していることや、採用企業等のアンケートにおいて高い満足度を得ていることなど、建学の理念にかなった有為な人材を輩出しているものと評価しております。
 また、教員の活動についても、毎年、延べ600名から800名の教員が、県や市町村の各種審議会の委員や研修会等の講師を務めていることや、気仙地域における災害専門の看護師養成、二戸地区における行政との保健福祉分野での連携、紫波町における産直運営のITシステム構築、金ケ崎町における岩手地域づくり大学の協力など、地域課題の解決に向けた活動を着実に積み重ねてきたものと評価しております。
 県立大学に対しては、教育研究水準の一層の向上、県内産業へのさらなる貢献、本県で活躍する人材の輩出、県内の高等学校との連携の強化などを期待する声も伺っておりまして、これまで築いてきた大学の基盤を礎として地域の諸課題に対応し、地域の主体的な発展を支える原動力となる人材の育成、本県の産業経済や文化のさらなる発展に貢献する、地域における知の拠点としての発展、これらに向けまして一層の努力をお願いしたいと考えており、県としても、来年、開学10周年を迎えることを機に、大学との連携をさらに深め、ともに努力してまいりたいと思います。
 次に、先日、岩手県青少年会館で開催された県内青少年・社会教育関係団体等との懇談会に参加しての感想についてでございますが、岩手県PTA連合会や岩手県地域婦人団体協議会など、14の青少年・社会教育関係団体が、それぞれの設立趣旨に基づき、子供たちの健全育成や地域づくりのために、県内各地において、特色ある活動の展開に御尽力いただいておりますことを改めて認識したところでございます。
 次代を担う青少年が、心豊かにたくましく成長していくことは県民すべての願いであり、ふるさとへの自信と誇りを持ち、活力ある岩手を創造するためにも、今後、県や市町村、関連団体等が、より一層、力を合わせていかなければならないという思いを強くしたものでございます。
 次に、県職員の人材養成と配置についてでありますが、現在、本県が直面しているさまざまな危機を希望に変えていくため、平成22年度までの4年間に、重点的、優先的に取り組んでいく政策などを取りまとめた新しい地域経営の計画を策定中でありますが、こうした政策や必要な改革を効果的に推進するとともに、質の高い県民本位のサービスを提供していくためには、職員体制のスリム化を進める一方で、御指摘がございました経営の分野を含め、県政の各分野において県の組織の力を高めていくことが必要であり、このような視点から、専門的知識を持った職員の採用や職員の能力の向上、そうした能力を十分に発揮できるような職員配置などに取り組んでいくことが重要と認識しております。こうした観点に立った人材育成を充実するため、各行政分野に必要な専門性を高めるための研修や、外部の専門知識を有する人材とともに働く機会の充実を通じたノウハウの吸収、必要な所属への専門的知識を有する職員の重点的な配置などを進めているところでございますが、複雑化、専門化する具体の行政課題に応じ、御指摘を踏まえ、今後も職員の適切な育成や配置に留意し、専門的知識やノウハウの発揮という面での県庁の組織パフォーマンスの向上を図られるよう、努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 県立大学についてでございますが、県立大学は、各学部の特性から、それぞれの育成を目指す人材像が明らかでございますので、これに合致した資質と意欲のある学生をいかに確保するかが重要でございまして、県内の高校や教育委員会との連携は不可欠であると考えております。
 県立大学におきましては、教育委員会と連携し、高校の冬休み期間に、大学を会場として、研究のおもしろさや研究者の姿に触れる機会を高校生に提供するウィンターセッションを開催したり、大学と高校の校長との意見交換を深めるため、高等学校長協会との教育懇談会を開催したりしているところでございます。また、県内高校とは、各高校の要望に応じ、大学の教員が高校に出向き授業を行う出前授業を実施するとともに、各高校からの講義の聴講を含めた大学の見学も受け入れており、今後も、こうした取り組みに力を入れていくこととしております。
 次に、外部研究資金の獲得等についてでありますが、県立大学が、地方独立行政法人として教育・研究の質の向上を図っていくためには、御指摘のとおり、外部研究資金の獲得などに取り組むことが重要になると認識しており、県が定めている中期目標にも、積極的に外部研究資金の増加に努めることを盛り込んでおります。また、大学においても、中期計画におきまして、外部からの研究資金の導入や外部資金申請のための支援体制の整備を進めることとしており、これまでの実績を見ますと、共同・受託研究や研究の奨励を目的とした民間からの寄附、国の科学研究費補助金などのいわゆる外部研究資金は、法人化前の平成16年度の68件1億2、500万円に対し、平成18年度では90件1億4、500万円と増加しているところであります。こうした外部研究資金は、運営費交付金算定に際して収入額には算入せず、大学の獲得インセンティブを保つ仕組みとしているところでございまして、今後とも、法人化のメリットを最大限に生かし、機動的に外部研究資金の増加に取り組み、県立大学の教育・研究の一層の活性化につなげていただきたいと考えているところでございます。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 青少年の健全育成の取り組みについてでありますが、県内には、青少年の健全育成に携わる多くの団体が活動し、大きな役割を担っておりますことから、県といたしましては、青少年団体等のリーダーを養成する講座の開設、各種団体の活動拠点となるアイーナ内の青少年活動交流センターの運営、さまざまな活動の活性化に向けた優良事例の収集・提供などの取り組みを行っております。また、民間の立場から、青少年健全育成の中心的な役割を担っております岩手県青少年育成県民会議におきましても、フォーラムや研修会の開催、アドバイザーの派遣や普及啓発、情報提供などの活動を行っておりまして、こうしたことが、青少年育成団体の活動の支援にもつながっているものと考えております。
 こうした県と県民会議の取り組みに加え、それぞれの団体の活動の活性化と相互の連携・協力が一層図られることによりまして、青少年の育成活動の活性化につながるものと考えており、今後におきましては、こうした観点から、県民会議を中心とした協議の場を活用しながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 情報産業の振興についてでありますが、まず、本県における組み込みソフト産業の実態につきましては、財団法人いわて産業振興センターの調査によりますと、県内の組み込みソフト開発企業は29社、従業員総数は1、232名、また、これら企業の組み込み並びに一般ソフトを含めた売上額は、年間約213億円となっております。
 また、組み込みソフト産業の振興に向けましては、現在、最新の組み込み技術に関する情報共有や技術講習を行う産学官ネットワーク組織、組み込み技術研究会の開催、首都圏等の開発案件を県内IT企業にあっせんする取引支援事業、新たに組み込みソフト開発分野に参入したい企業の技術者への座学研修事業等を内容とした戦略的IT産業強化育成プロジェクト、これらを実施しているところであります。このような中、組み込みソフト開発企業の誘致につきましては、ことし8月に、トヨタグループの自動車関連組み込みソフトウエア開発のアイシン・コムクルーズ株式会社が、10月には、ソフトウエア開発の東京コンピュータサービス株式会社がいずれも盛岡市に立地するなど、組み込みソフト開発企業の立地に向けた動きが出ているところでございます。
 また、ソフトウエア業の誘致に係る優遇策につきましては、多くの県において、一定規模以上の固定資産投資を行う場合に補助を行う制度を設けており、本県でも、固定資産投資額と雇用人数の要件を満たす場合に企業立地促進奨励事業費補助として助成を行っております。また、盛岡市では、固定資産投資にかかわらず、事務所の賃借料について助成を行っているところであります。
 次に、県立大学を生かした産業振興についてでありますが、県では、平成18年11月に策定した産業成長戦略において、県立大学の多様なポテンシャルを生かしながら、IT産業の集積と活性化の取り組みの強化を図ることとしており、今後、県立大学の技術シーズを生かした産学官共同研究の実施や、技術開発型ベンチャー企業の育成、ソフトウェア情報学部卒業生の地元就職へ向けた取り組みなどを推進するとともに、本県ものづくり産業との連携を深め、技術の高度化につなげてまいる考えであります。
 次に、(仮称)滝沢村IPUイノベーションセンターへの企業誘致等の見通しについてでありますが、組み込みソフト開発企業につきましては、今年度、盛岡市に2社の新規立地があり、また、それ以外にも、企業と県立大学との間での共同研究が行われるなど、組み込みソフト開発企業の同センターへの入居や周辺地域の立地が今後活発に動くものと見ているところであり、県といたしましては、県立大学や地元市町村との緊密な連携のもと、企業ニーズを的確に把握しながら、入居企業へのフォローや業務拡大に向けた支援を行い、同地域での組み込みソフト開発企業の新たな立地展開が図られるよう、取り組んでまいる考えであります。
 次に、県立大学周辺へのIT産業、組み込みソフト企業の集積促進についてであります。
 産業成長戦略に位置づけられた県立大学のIT産業集積構想の中で、ソフトウェア情報学部の人材育成と研究開発機能を柱に、大学周辺に県内外からのIT関連企業の集積を進めることとしており、今後、大学との連携を強化し、必要な調整を行いながら、県としてもこの構想の具体化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、盛岡西リサーチパークについてでありますが、同団地は、旧頭脳立地法に基づき整備され、対象業種がソフトウエア業、エンジニアリング業などの特定業種に限定されており、また、景気低迷による企業の設備投資抑制などの影響の中で立地が進まなかったものと認識しているところであります。このような状況下で、昨年度からは、旧頭脳立地法の対象業種の制限が緩和されるとともに、特定区域における産業の活性化に関する条例に基づく特定区域の指定や、企業立地促進法に基づき策定した基本計画において、盛岡西リサーチパークが重点区域の一つに指定されたことから、今後は、分譲主体である中小企業基盤整備機構や滝沢村と一層連携を密にしながら、ものづくり産業の分野や組み込みソフト、IT関連企業を中心に、団地の販売促進に努めてまいる考えであります。
 次に、本県の観光振興についてであります。
 まず、県内市町村の観光振興計画につきましては、県内35市町村のうち15市町村が観光振興計画を策定しており、策定しない市町村においても、市町村総合計画の中で観光振興に関する施策について定めているところであります。
 また、観光振興計画との連携につきましては、県の産業成長戦略や新しい地域経営計画の策定過程で市町村や各種団体の意見を反映させてきたところであり、その中で、市町村の観光振興計画との整合性を確保するとともに、各圏域のアクションプラン等におきましてはその役割分担を明確にしにながら、事業の推進に取り組んでいるところであります。
 次に、観光振興における県立大学等の活用につきましては、釜石市におけるグリーンツーリズムのビジネス化を目指す共同研究や、平泉町における携帯電話を活用した観光情報の配信実験などの事例があり、今後とも、観光振興に係る県の施策形成、学びの旅やいやしの旅などの企画、実施、県内観光事業者等の専門性の向上など、さまざまな場面で県立大学等の発想やノウハウを活用してまいりたいと考えております。
 次に、観光行政に携わる人材の養成についてでありますが、観光に関する専門的知識を有する人材の採用や資格取得につきましては、国土交通大学校における旅行業法事務担当者研修会や観光行政研修を通じて、県及び市町村、観光協会等の職員の観光に関する体系的な知識等の習得に努めますとともに、民間との人事交流による有資格者の商工労働観光部観光課への配置や、県観光協会における有資格者の職員採用など、これらを通じまして、人材の育成に努めているところでございます。
 また、観光関連産業や大学等との連携による人材の養成につきましては、例えば宮古地方振興局において、旅行会社や交通機関、県立大学などの協力を得て観光塾を開催し、管内の市町村や観光協会職員の人的ネットワークを中心とした受け入れ体制の強化に取り組んでいるところであり、今後は、このような取り組みを県内各地に広げ、観光に携わる職員の養成に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、平泉の観光客の誘致についてでありますが、1点目の自治体や観光協会との連携につきましては、平泉文化遺産の世界遺産登録を契機とした観光客集客の効果を全県下に波及させるため、県は、県央、県北、沿岸地域の市町村や観光協会による広域的な観光地づくりを支援するとともに、県内の観光関係者が一丸となった旅行会社へのプロモーションの場を設けるなど、商品造成、宣伝活動など、さまざまな場面で連携しながら誘客に努めてまいります。
 2点目の長期的な取り組みにつきましては、観光客誘致を息長く続けるためには、さまざまな観光キャンペーンで培ったノウハウ、また、いわて観光おもてなしマイスターや観光ボランティアなどを中心とした受け入れ体制の整備、地域の観光資源を生かした着地からの情報発信などを着実に積み重ねていくことが重要と考えており、これらについて引き続き取り組んでまいります。
 3点目の地元テレビ局等との連携につきましては、地元テレビ局、新聞各社などに、いわて世界遺産観光推進会議情報発信部会のメンバーに就任していただいております。これらマスコミ各社の協力を得ながら、テレビ番組に取り上げてもらうなど、本県や首都圏等のマスコミ各社との連携を、より深めてまいりたいと考えております。
 次に、物産観光展を開催している百貨店の友の会の会員数、提携旅行会社についてでありますが、各店舗とも友の会はあるものの、会員数は非公開としているところであります。また、これらの百貨店の多くには、店舗の系列旅行代理店あるいは大手エージェントの出店による旅行業部門があり、友の会会員に旅行商品の販売を行っているところであります。
 これまで、本県におきましては、物産展を開催する会場に観光情報コーナーを設置し観光宣伝を行うのが主でありましたが、現在、来年1月に予定されている県外百貨店での物産観光展におきまして、百貨店側からオリジナルツアーの販売の提案がなされているところであります。
 今後におきましては、他の観光物産展でも、岩手県の旅行商品がより多く企画販売されるよう、積極的なセールス活動を展開してまいりたいと、このように考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、県産農産物の業務用への販売促進についてでございますが、外食や弁当、総菜などいわゆる業務用需要は、食の外部化や簡便化の進展によりまして食料消費支出の4割を超える大きな市場となっており、本県の農業振興を図るためにも、外食産業等への農産物の販路拡大は重要な課題となっております。このため、昨年度から、業務用を含めた実需者への食材提案等を行う相談窓口食材コンシェルジェ、これを本庁及び振興局に設置するとともに、本年度は、大手外食産業の全国組織と連携したバイヤー招聘による産地商談会の開催などに取り組んでいるところでございます。
 また、誘致企業における県産食材の活用についてでございますが、本年10月に実施をいたしましたアンケート調査結果によりますと、社員食堂での県産食材利用率は米や野菜で6割程度となっておりますが、肉類や水産物は2割前後にとどまり、食材の本社一括購入や価格面が課題とされております。
 一方で、6割の企業が利用拡大の意向を示しておりますことから、今後は、地産地消運動の一環といたしまして、誘致企業に対しても、県産食材の利用拡大を要請してまいりたいと考えております。
 さらに、県産品の一体的な販売促進についてでございますが、本県の多彩な農林水産物や観光・物産等の総合的なPRは相乗効果が期待できる有効な方策であると考えておりまして、これまで、農林漁業3団体の業務提携に基づく農林水産物の丸ごと販売、観光・物産部門と連携した食と観光フェスタや、首都圏ホテルでの食材フェアの開催、さらには、県内の旅館やホテルと連携した純情米やいわて牛のPRなどに取り組んできたところであり、今後とも、岩手の魅力を丸ごとPRし、販路拡大につなげてまいります。
 次に、業務用への販売促進を通じた農産物のブランドづくりについてでございますが、増加する業務用需要に的確に対応し、ブランド化を促進するためには、多様なニーズに機動的に対応できる供給体制を構築するとともに、本県の良質で安全・安心な農産物を積極的にアピールすることが重要であると考えております。このため、業務用需要にこたえる産地や生産者グループ等を育成するとともに、流通・加工部門と連携した契約取引の拡大などにより、県産農産物の安定的な供給体制の整備を促進しているところでございます。
 また、年度内をめどに策定することといたしております環境と共生する産地づくり基本計画に基づき、生産段階におきましては、環境保全型農業技術の高度化や農業生産工程管理手法の普及、さらには、流通・加工分野との連携による安全・安心なサプライチェーンの構築に取り組むとともに、産地ブランドの定着に向けたきめ細やかな情報の発信等に重点的に取り組み、他産地との差別化を図ることにより、本県農産物のブランド化を促進してまいります。
 次に、岩手競馬についてでございますが、民間委託の検討の状況につきましては、本年8月、岩手県競馬組合事業運営監視委員会からの中長期的な視点に立った抜本的な改革の検討も必要との意見を踏まえて、構成団体がプロジェクトチームを設置し、その改革の選択肢の一つとして、民間委託の拡大の検討を進めているところでございます。
 また、本年10月、競馬組合議会からも、大幅な民間委託について可及的速やかに検討すべきとの勧告がなされたところであり、競馬組合では、民間委託の拡大による事業運営の可能性をより具体的に検討するため、民間企業からの企画提案を広く募集することとし、プロジェクトチームの検討状況も参考にしながら募集内容等の検討を進め、12月20日までに競馬組合議会に報告を行い、その後に募集を開始することとしているところでございます。
 次に、民間委託の拡大による効果と競馬事業継続の見通しについてでございますが、競馬組合の事業運営は、新しい岩手県競馬組合改革計画の枠組みに沿って、今年度同様に売り上げに応じてコスト管理を徹底していくことによっても事業継続が可能と考えられますが、民間企業に委託できる業務をより広く一括して委託した場合には、委託の条件によって、民間企業のノウハウを活用したファンサービスと収益性の向上や経営基盤の強化、さらには、事業運営の安定性の向上などの効果も期待できると考えております。このため、民間企業からの企画提案を募集し、現行の運営方法と比較考量した上で、将来にわたって持続可能な岩手競馬の構築という観点から、すぐれた提案内容があれば、民間委託の拡大を行うことを具体的に検討してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 盛岡北部の幹線道路についてでございますが、国道4号、282号、盛岡環状線の各路線とも交通量が多く、渋滞の解消や歩道の整備が必要な区間があると考えてございます。
 取り組み状況でございますが、国道4号茨島跨線橋から分レ間は、国の事業として今年度事業化されました。県では、ことし1月に公表いたしました都市計画変更素案に対する意見への事業者である国からの回答を得て、都市計画変更手続を進めてまいります。
 国道282号につきましては、滝沢村一本木地区において、延長3、940メートルのバイパス整備事業を実施しており、今年度は橋梁工事や改良工事を進めています。
 盛岡環状線につきましては、土沢地区及び高屋敷平地区において歩道の拡幅や新設工事を進めており、土沢地区については、平成20年の完成を予定しております。
 今後とも、安全で円滑な交通を確保するための整備を推進するとともに、直轄事業につきましては、整備促進を国に要望してまいります。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 教育振興施策についてお答え申し上げます。
 まず、全国学力テストの結果についてでございますけれども、今回の全国学力調査は、知識に関する問題と活用に関する問題の二つの面から、基礎・基本の定着状況について調査が行われたところであります。
 本県の児童生徒は、知識に関する問題については、小学校において、おおむね良好な結果であると受けとめているところであります。しかしながら、課題としては、全国の傾向と同様でありますが、まず第1点として、活用に関する問題について理解が不十分であるということ、第2点としては、学年の進行に従って、学習定着のばらつきが大きくなることが挙げられます。
 今回の調査を踏まえた今後の学力向上策についてでありますが、すべての児童生徒一人一人に基礎・基本を定着させる、このことが義務教育の役割であると考えており、次のような視点に立った改善を進めてまいります。
 その第1点は、理解が不十分な活用に関する問題についてでありますが、単なる知識の習得にとどまる授業ではなく、習得したことを使い、物事をしっかり考える力を育て、将来、実生活や社会の中で生かし活用することができる力を育てる授業へと転換していくように、研修の見直しも含めた取り組みを進めてまいります。
 2点目は、学年が進むに従って学習定着のばらつきが大きくなるという課題についてでありますが、学年が進むに従い、学習内容が難しくなり分量も多く、授業の進む速さも速くなることが原因と考えられます。したがいまして、授業の中で一人一人に応じた課題を設定したり、授業以外の時間の中でつまずきを解消する時間を設定する工夫などをしながら、その学年の学習内容を確実に身につけさせて進級させる、こういう取り組みを強化してまいります。
 以上のような取り組みも踏まえつつ、指導主事の学校訪問指導のあり方を学校や教員の課題に応じたものに変えていくこと、また、学校ごとの課題に対応したきめ細かい定数外の教員の配置を進めることなどにより、学校と教員を支える体制を強化してまいります。
 次に、高校の校舎整備についてでありますが、現在、県立高校の再編整備計画に基づき、厳しい財政状況のもとで、釜石南高校など5校の校舎改築等の整備を行っております。
 さらに、喫緊の課題である学校施設の耐震化については、岩手県耐震改修促進計画に基づき、平成27年度までに、大規模な地震に耐えられる校舎の比率が100%となるよう計画的に進めてまいります。
 今後の県立高校の施設整備については、厳しい財政状況の見通しを踏まえながら、既存施設を最大限活用することを基本にしつつ、なお良好な教育環境を整えるという観点から検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、専門高校における人材養成についてでありますが、4月以来これまで、私として、校長と個別に意見交換する機会を2回設け、各高校の経営計画について話し合いを行い、また、高校訪問にも継続的に取り組んできておりますが、その中で、まだまだ十分とは言えませんが、全体的には、各専門高校の学校経営計画が目標達成型に転換し始めていると感じているところであります。
 例えば、黒沢尻工業高校は、新設の専攻科において、本県の技術・技能を継承し、ものづくり産業を支えるスペシャリストの育成を目指し、資格取得などの具体的な目標を掲げて取り組んでおります。一例を挙げますと、機械コースでは、機械加工2級の資格を5名全員が取得し、そのうち1名は、全国から3名しか出場できない技能五輪全国大会の出場権を獲得しております。
 今後とも、各専門高校が、具体的な人材育成の目標設定を行い、着実に取り組んでいけるよう支援してまいります。
 次に、専門高校相互の連携についてでありますが、専門高校においては、現在の専門教育をより一層強化し、専門性を高めると同時に、他の関連する専門分野の学習を行い、幅広い横断的な物事の考え方ができる力をつけることが必要だと考えております。
 例えば、商業高校に工業学科と家庭学科を加え、新たな総合的な専門高校としてスタートした花北青雲高校においては、専門学科を中心としながらも、他学科の授業も受けて幅広い知識や資格を取得することを目指しており、これまで以上の活力ある教育が進められ、企業からの評価も高く、就職状況も良好で、着実に人材育成の成果が上がってきているものと考えております。
 一方、単独の専門高校相互の交流、連携については、例えば、工業高校や農業高校の生徒に対して、商業高校の教諭から経理や経営マネジメントについて講義をしたり、商業高校の生徒に対して、工業高校の教諭がものづくり関連の講義をするなど、より実践的に他分野を学ぶことにより、横断的なものの考え方ができる人材育成につながるものと考えておりまして、現在、盛岡市内の専門高校3校が、その具体化のための打ち合わせを行っているところであります。
 このような取り組みを、さらに全県に広げてまいりたいと考えております。
 次に、青少年会館の事業運営に対する支援についてでありますが、青少年会館につきましては、近年、利用者が減少傾向にあり、その利用促進や青少年健全育成施設としての充実強化を図っていくことが課題であると考えております。
 教育委員会として、こういう青少年会館の果たす役割は大きいと考えており、会館設立に係る補助や土地賃借料に係る基本使用料の免除等の支援を行ってきたほか、本年は、県内の主な青少年団体と県、市町村との間の初めての意見交換の場─研究集会と呼んでいますが、この設定について支援を行ってきたところであります。
 今後とも、県として、こうした青少年団体と行政との間のいわばネットワークづくりの強化に向けて、そういった観点から支援を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、伝統芸能の振興についてでございますけれども、伝統芸能の振興につきましては、後継者の確保が大切であり、まず、高校生については、高等学校文化連盟と連携し、芸能発表の場を提供するなど、支援を行ってきたところであります。今年度、全国高等学校総合文化祭において優良賞を受賞したほか、中国や韓国から招かれて公演する学校が出てきております。こういった形で、一定の成果が上がってきているのではないかと考えております。
 また、若者の参加につきましては、今後、伝統芸能団体間のネットワークづくりの中で情報交換をしながら、例えば、芸能が所在する地域に限らず、周辺の地域も含めて若者の参加を募るなど、そういった対策について十分に検討してまいりたいと考えております。
 公演機会の確保については、これまで、青少年団体の発表の場として民俗芸能フェスティバルを開催してまいりました。今年度から新たに、成人団体の発表の場として民俗芸能大会を開催することとしております。来年の1月には開催したいと考えております。
 観光事業などと伝統芸能の連携については、これまでも首都圏での物産展岩手フェアにおける鹿踊りの発表、アンテナショップいわて銀河プラザにおける虎舞の発表などを行い、岩手らしさをアピールしてきたところでありますが、今後も、各方面の協力をいただきながら、伝統芸能の発表の場を確保し、岩手の伝統芸能の魅力を十分に発信しながら、交流人口の増加にも寄与できるように努めてまいりたいと考えております。
 本県の伝統芸能は、岩手ブランド力─ソフトパワーの代表の一つであり、本年度内には、オール岩手の観点に立った芸能団体のネットワーク組織を立ち上げ、国内外に向けた発信のあり方を含めて、伝統芸能の振興を強化してまいる考えであります。
   〔警察本部長三枝守君登壇〕
〇警察本部長(三枝守君) 交通信号機の整備についてお答え申し上げます。
 交通信号機を初め、交通安全施設の整備につきましては、これまでも、第1次から第7次までの交通安全施設等整備計画に基づき、地域からの御要望等も取り入れながら整備してきたところであります。
 市町村や地域住民の皆様から寄せられる信号機の新設要望等につきましては、各警察署において調査を行った上で、道路管理者、地域住民等、各方面の代表者で構成される交通規制対策協議会における検討結果を踏まえまして、県全体の状況を見ながら、緊急性、必要性の高い場所を精査し、計画的・効率的な整備に努めているところであります。
 ちなみに、平成18年度においては20カ所に信号機を設置したところであります。
 今後とも、交通安全施設の整備につきましては、道路の新設や交通の流れ、交通量の実態、周辺環境、交通事故発生の危険性などを総合的に検討するとともに、地域の皆様からの要望等を踏まえながら、平成20年度から始まる第8次交通安全施設等整備5箇年計画において、計画的・効率的な整備に努めてまいりたいと考えております。
〇8番(喜多正敏君) 大変御丁寧な答弁ありがとうございました。何点かお伺いします。
 ソフトウエア業の企業優遇策でありますけれども、他県においても投資が条件となって、したがって、一定の投資がなされた場合に優遇策を講じるということでありますが、一般にソフトウエア業においては、設備投資の投資額がそう多くはない。製造業の場合は、機械とか設備プラントがありますので5、000万円以上とか、そういうことにもなるわけですけれども。
 一方、秋田県においては、そうした投資規模の要件がない、それから盛岡市においても、むしろ雇用に着目をして、何人雇用した場合に優遇制度をつくるかということであります。
 したがいまして、これからIT企業を誘致する際においては、実際に業種業態に即した形での優遇策を講じることがいいのではないかということで、検討していただきたいと思います。
 それから、今、教育長のお話で、一生懸命意欲的に取り組んでおられるわけでありますけれども、私は、やはり学校でいろいろなことを学習させることも大変大事なんですが、どうも最近、子供たちの勉強時間が少なくなってきた。したがって、まずは、こうした勉強する時間を家庭と学校と連携しながら確保していくような取り組みが必要ではないか。したがいまして、学校で今どんなことを教えているか、今お話のとおり、どんなことが弱いか、それを一人一人に応じて指導するというお話がありましたが、家庭のほうとも連携して、例えば家庭学習ノートのようなものをつくって、勉強する習慣づけをしていっていただければいいのかなと。
 これは、学年が高くなってくると、ばらつきが出てきて、いろいろな勉強することも多くなってくるというお話で、もっともそのとおりで、それに応じて、やはりしっかり学習する態度を養成していくことが大事ではないか。その点が一つ。
 それから、先ほど国道4号の都市計画決定などというお話がありましたが、もう少し具体的に言うと、ことしは平成19年度であるわけですけれども、どういうふうな手順でこれから、国道4号の都市計画決定や282号の事業については進んでいくものでしょうか。
 それから、あと、ソフトウエア業について、県立大学、あるいはいろいろな講座を設けてそうした技術者を養成しているわけでありまして、それは大変結構なことでありますが、県立大学卒業生、あるいは養成した技術者が、地元にとどまって中小企業に入っていただく、地元の企業に入社して力を発揮してもらうと非常に歩どまりがあるわけでありますけれども、そうしたことについて、地元中小企業と卒業生、就職する場合のマッチングとか、そういったことはどのようになさっておられるのか。
 以上についてお伺いします。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 2点御質問がありましたので、お答えしたいと思います。
 最初は、優遇措置の関係であります。いわゆる企業立地促進奨励事業費補助の関係でありますが、これは、立地に向けたインセンティブでありますけれども、中身としましては、本県に立地して、一定規模の投資をしていただく、経済的にも波及貢献してもらう、こういった意味からも、一定投資額以上の要件を設けまして、優遇インセンティブを設けているものでございます。
 最近の企業のいろいろな交渉の中で、ソフト関連企業、個々の企業といろいろ交渉、誘致をやっているわけですが、その中で、企業のニーズにつきましては、最大の課題は人材の確保であると。ソフト開発技術者の確保をどういうふうにするか、これが一番のポイントになっておりまして、相対的に人材の育成のほうが高くなって、補助金に対するインセンティブの部分、役割は低くなっているのではないかと考えております。
 そういったことから、今、岩手県立大学の話も出ましたが、県立大学のソフトウェア情報学部、ここと企業と、そこのマッチングのところを企業誘致のときにいろいろな働きかけをしながら、まさに人的な部分を、そこの人材の部分を一番のインセンティブとして出しながら企業誘致をやっているという状況でございます。
 それから、もう一つ、ソフトウェア情報学部、県立大学で養成した人材の地元定着の関係でございますが、これは、御案内のとおり、県立大学のソフトウェア情報学部の卒業生の7割強が県外に出ているという状況がございます。これが実態、今、首都圏のほうでも非常に人材不足といったものが影響していると思うんですが、こういった中で、やはり県大で養成された学生さんたちが、まさに岩手県のIT企業、先端企業を担う、そういった場をしっかりとつくっていかなければならないと思っております。
 マッチングの話がございましたけれども、今、隣接しております地域連携研究センター、ここのところで今3社が入って、県大と企業で共同研究をやっております。それから、先ほどの答弁でもお話し申し上げましたがインキュベーションセンター、これからいろいろと出るわけでございますけれども、そういった大学と企業との共同研究をきちんと支援をして、そこが拡大していって、そこの中に学生も入っているものが、だんだん企業の拡大にも入っていくような、そこに今一番力を入れていかなければならないと思っておりまして、この辺を重点的に取り組んでいきたいと思っております。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 2点ございました。1点は、盛岡北道路の都市計画変更の手順でございますけれども、1月に変更素案の公表を行ったわけでございますが、意見が幾つか出てございます。その意見に対して、事業者である国土交通省から回答を今求めております。その回答をいただいて、案を確定する。それからその案を縦覧する。それから都市計画審議会にかける。それから国土交通大臣との同意協議を経て、変更告示をするという手順になります。
 時期でございます。現段階でははっきりしたことは申し上げにくいんですけれども、できるだけ早く都市計画変更を行いたいと思っております。
 この盛岡北道路については、渋滞が激しいということで、県も強く国に要請しておる事業でございますので、早く都市計画変更を行いたいと思っております。
 それから、2点目、一本木バイパスの今後の事業の進め方ということと思いますけれども、全体の延長が3、940メートル、非常に長いパイパスでございます。それで、特に人家が連担しているのは北のほうの地区、一本木地区というところでございまして、その北のほうの約2.8キロ、ここの部分について、できるだけ早く供用できるように整備を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
〇教育長(相澤徹君) 家庭学習の件についてお答え申し上げたいと思います。
 本県は、特に中学生の段階になりますと、家庭学習が非常に弱いというところが調査結果でも出ておりますので、ぜひこれを強化してまいりたいと考えております。
 やはり授業と復習、そして予習と次の授業というサイクルでありまして、特にいろいろ難しい分野、弱い分野は、定着のために、授業ではやれないような、家庭学習でしっかり反復するといったことが大切だと思います。そういう意味で、学校として宿題の出し方、それから復習と予習と授業をうまく関連づけるような子供の誘導、そういったことを、いわば学校としてしっかりとした方針を持って明確にしていく必要があるだろうと。そのことを家庭に十分に伝えて、理解も得ていく、こういうことだと思っております。今、県内の教育事務所単位でその議論をやっておりますので、ぜひ、そういうやり方を通じて、実際に具体化していきたいと思います。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成19年度岩手県一般会計補正予算(第5号)から日程第23 議案第22号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてまで
〇議長(渡辺幸貫君) この際、日程第2、議案第1号から日程第23、議案第22号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので発言を許します。斉藤信君。

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