平成19年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(小田島峰雄君) 民主・県民会議の小田島峰雄でございます。
 先輩諸兄並びに同僚議員各位の御配慮により一般質問の機会をいただきました。心からお礼を申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次質問させていただきますので、御当局におかれましては積極的な御答弁をお願いいたします。
 初めに、地方分権の推進についてお尋ねいたします。
 平成の大合併からもうすぐ2年が経過しようとしておりますが、合併した自治体を歩いておりますと、首長の評価とは必ずしも一致しない住民の声が聞こえてまいります。合併前に町村であった地域の住民にその傾向が顕著であるように思われます。合併市といえども厳しさを増す財政のもと、従前の施策を見直し、心ならずも行政サービスの低下を招いている例が散見され、そのことが合併に対する住民のマイナス評価につながっているのでありましょう。
 一方、当面自立を目指して合併を選択しなかった町村の財政状況を見ますと、さらに財政悪化が進んでおります。総じて小規模町村ほど、地方交付税など一般財源収入はもとより国・県支出金など特定財源が大幅に落ち込み、財政の悪化が進んでおります。
 こうして見ると、国庫補助金の削減や地方交付税改革、そして税源移譲を内容とするさきの三位一体改革は、結局のところ国の都合によって行われたものであり、特にも小規模自治体にとっては財政を直撃する極めて過酷な改革であったと思うのであります。
 そこでお伺いいたします。達増知事は、三位一体の改革が県内の小規模自治体に与えた影響についてどのように評価されておられるのか、お尋ねいたします。
 去る9月26日、知事の諮問機関である県市町村合併推進審議会による市町村長の訪問調査が滝沢村、雫石町を皮切りに始まったところであります。連日の報道を見る限り、総じて市と町村の首長の間には大きな隔たりがあるように感じられます。小規模自治体ほど厳しい財政状況の中で、なお当面方針を変えまいとする首長には、三位一体改革がもたらした結果や合併によって失われるものの大きさに対する御認識があるのではないかと思うのであります。調査途上とは存じますが、このたびの訪問調査について知事はどのような所感をお持ちでしょうか、お示し願います。
 また、訪問調査の結果を踏まえ、今後どのように市町村合併推進審議会の議論を進めていくお考えか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、地方財源の充実と偏在の是正など、今後の地方分権改革のあり方について知事のお考えを御披瀝いただきたいと存じます。
 次に、草の根コミュニティ再生支援事業についてお尋ねいたします。
 さきの新聞報道で、65歳以上の住民が半数を超す、いわゆる限界集落は全国の過疎指定地域の12.7%に当たる7、873集落あり、このうち、人が住まず、消滅状態となるおそれのあるものが2、650集落、10年以内に消える可能性があるものは422集落と極めてショッキングなニュースが報じられました。国土交通省においては、茨城、島根及び広島県での過疎集落実態調査等を踏まえ、集落の維持、活性化に向けたモデルケースを提示すると報じられております。
 一方、国に対して財政支援を働きかけるため、京都府綾部市を中心として、限界集落を抱える市町村で構成される全国水源の里連絡協議会が11月30日に設立されたとのことであります。このように、全国で地域コミュニティ、集落の再生支援に向けた施策の検討が進められております。達増知事は、新地域主義戦略を掲げ、市町村と連携しながら地域コミュニティの機能強化を図っていくとしており、まさしく時宜を得た取り組みと高く評価いたすものであります。
 県は6月定例会において、集落の実態を調査し、その結果を踏まえ対策を講ずると述べられておりますが、当該調査の進捗状況について伺います。
 また、県としても国の動向に合わせて地域コミニティの支援施策を講ずる体制を整備する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、農業振興対策についてお尋ねいたします。
 まず、品目横断的経営安定対策についてお伺いいたします。
 当該安定対策に係る全県の加入状況は、個別経営体で1、852、集落営農組織で326、加入面積では、米、麦、大豆合わせて2万4、664ヘクタールとなり、本年度目標に対して99%の達成率であると伺っております。
 しかしながら、生産現場である農家の皆様の中には、この制度に対して疑問や戸惑いを感じておられる方が多いのが実態であります。私が住んでおります花巻地区を例に申し上げますと、加入個別経営体は359、集落営農組織は52でありますが、加入していない農業者も少なくありません。その理由は、第1に、平均耕作面積の小さい本地区にあって、面積要件を満たすことができない農業者が多いこと、第2に、制度の仕組みが難解かつ不明瞭であること、第3に、特にならし対策など、制度そのものにメリットが感じられないことなどが挙げられます。特に申し上げたいのは、管内の加入状況を見ますと、いわゆる平場地域であります宮野目、湯口、太田、笹間などで比較的多い反面、中山間地域である東和、大迫ではほとんど進んでおりません。東和・大迫地区は、御存じのとおり条件不利地域を多く抱えており、加入の要件となる面積の集積や組織化が困難な地域であります。このことはひとり花巻地域や岩手県だけの問題ではなく、全国的な傾向でありましょう。つまり、この制度は、条件不利地域をはなから念頭に置かない面積要件など効率性のみを求めたものであり、我が国の農業風土に適さない、欠陥を抱えた制度であると断ぜざるを得ないのであります。
 この制度について、達増知事はどのように評価しておられるのか、お伺いいたします。また、今後、いわゆる条件不利地域や小規模農家の支援をどのように進めていかれるのか、方針をお示しいただきたいと存じます。
 私は、これまで我が国の国土と農村を守ってきたのは条件不利地域の小規模農家であり、今後とも農業が衰退し、農村が疲弊していくならば、まちの発展などあり得ないと思っている一人であります。
 そこで、民主党が今国会に提案いたしております農業者戸別所得補償法案についての御所見につきましてもあわせてお伺いいたします。
 次に、岩手の第1次産業のうち、米をめぐる政策についてお伺いいたします。
 食料生産県を標榜する本県にあって米は第1の基幹作物であり、また、農家経営、農村経済の根幹をなしているのは御承知のとおりであります。岩手米は食味ランキングで、あの魚沼コシヒカリと並んで長く特Aの評価を受けるなど、本県は国内屈指の良質米生産地であります。しかしながら、今年産の岩手米の販売価格は60キロ当たり1、000円程度の下落となっており、去年と比べて1ヘクタール当たり10万円の減収となっております。とりわけ、国の新農業政策に従って大規模化を進めた経営体や集落営農で米生産を進めてきた地域にとっては深刻で、国にだまされた、これではやっていけないとの悲鳴が聞こえており、今後の営農の維持さえ危ぶまれる状況であります。
 私ども民主・県民会議では、こうした現状を踏まえ、過日、緊急調査団を編成して首都圏の米穀卸や米穀専門の情報機関を視察、意見交換をしてまいりました。流通関係者の共通の認識は、こうした現状を招いたのは国の農業政策そのものであり、かつ指導力不足であるというものでありました。国が現在行っている備蓄米の買い増しなどの対応は問題を先送りするだけのものであり、所得補償政策の実施など農業政策の抜本的な見直しがなければ日本の農村は崩壊してしまう、特にも、生産調整を守ってきた岩手の農家のようなまじめな農家が報われなくなるとの指摘を受けてきたところであります。
 そこでお伺いいたしますが、米の価格下落について、県内での実態とその影響をお示し願います。あわせて、県としてどう原因をとらえ、今後どのような対策をとるお考えかお示し願います。さらに、今後の岩手米のブランド力向上と販売戦略についてもお伺いいたします。
 次に、BSE対策についてお尋ねいたします。
 我が民主・県民会議は、このBSE対策につきましても、現場の全頭検査体制の現状や今後の方向を探るべく、東京都や東京食肉市場に赴いて調査を行ったところであります。年間14万8、000頭余を処理する我が国最大の市場におきまして厳しい検査が続けられていることを目の当たりにいたし、このような厳格な検査体制が消費者の信頼を勝ち得ているのだと改めて感じた次第であります。既に宮崎県や千葉県は全頭検査の続行を決定しております。要は、我が岩手県の姿勢の問題であります。今こそ食の安全・安心並びに農業振興の観点から、全国の消費者に対して我が県の明確なメッセージを発信する重大な時期だと思いますが、どのようにお考えか、お尋ねいたします。
 次に、有機農業の推進についてお尋ねいたします。
 有機農業は、化学肥料、農薬の不使用等を基本として、環境負荷を低減し、かつ消費者ニーズに沿った農業でありますが、いまだ取り組みが少ないことから、議員立法により平成18年12月、有機農業の推進に関する法律が成立し、農林水産省が有機農業の推進に関する基本的な方針を定め、推進施策を展開しようとしております。一方で、零細・小規模農家が多い本県農業の生産現場では、原油高やバイオエタノール仕向けによる穀物相場の高騰などに起因する肥料・飼料価格の上昇によって生産意欲が著しく減退するなど危機的状況にあります。
 そこで、肥料や飼料の価格高騰について、県の現状認識と対策をお伺いいたします。このような影響を最小限に食いとめるべく、地域の資源を有効に活用した有機農業という地域循環型複合経営に対して、県としてもより一層の支援をすべきであると考えますが、御所見をお示し願います。
 次に、河川の環境保全対策についてお尋ねいたします。
 平成9年に施行された改正河川法により、以後の河川行政は、環境の保全、維持増進が義務づけられたことは御案内のとおりであります。ダムや河川は、かんがい用水、発電、洪水調節や水道の水源など人々の生活に密接にかかわり、極めて大きな役割を果たしておりますが、近年、富栄養化によるアオコの異常発生など、水質汚濁が年々進み、生息する魚族にも大きな影響が生じております。
 私は、その要因の一つにダム下流における河川の維持流量があるものと考えております。県内にも、ダム下流の一部に無水区間が生じる、発電休止中は川に水が流れないなど、河川環境上極めて重大な影響が生じている箇所が存在いたします。
 そこでお尋ねいたします。本県には八つの県管理ダムがありますが、これらは河川維持流量が確保されているのでしょうか。また、維持流量はダム建設時の水利権や貯水量などとも密接にかかわっていると認識いたしておりますが、計画段階で維持流量がカウントされていないダムについて今後どのように改善していくお考えか、あわせてお伺いいたします。
 次に、国管理のダムについてもお尋ねいたします。
 本県には五つの国直轄ダムがありますが、維持流量を持つものは御所ダムと胆沢ダムのみであります。私が住まいいたしております地域には、5大ダムのうち最大の貯水量を持つ田瀬ダムがあります。この20年余り、行政と民間団体が一丸となって維持流量の確保について要望してまいりましたが、発電事業者の水利権とも絡み、いまだに実現できておりません。今や河川は危険で汚いところ、子供たちが近寄ってはならないところとなり果てており、河川法改正の趣旨からどんどん遠ざかっているのが実態であります。かつてのように豊富な魚族資源にあふれ、子供たちが群れ遊ぶ良好な河川環境を後世に引き継いでいくことは県の責務でもあると思うのであります。管理区分を超えて国に働きかけるお考えがおありか、御所見をお伺いいたします。
 次に、いわて花巻空港の整備と利用促進についてお尋ねいたします。
 いわて花巻空港の整備につきましては、平成10年からこれまでに約282億円の巨費を投じ、今年度末には88%まで進捗する予定であると伺っております。一日でも早くすべての空港施設を供用開始し、投資効果を最大限に発現させるべきことは言うまでもありませんが、県勢の発展のために空港を今後どのように活用していこうとするのか、いわて花巻空港の確たる将来展望と戦略の構築が重要になっているものと考えております。
 年々厳しさを増す県財政や利用者数の減少などによって昨年度までターミナルビルの着工が延期され、これに伴ってターミナル地域の供用開始もおくれ、平行誘導路の建設も来年度まで休止されております。新ターミナルビルにつきましては、昨年度末、規模や財源計画の見直しを経て、間もなく本格的に工事が始まると伺っておりますが、改めて空港ターミナルビルがどのように生まれ変わるのか、すなわち機能と規模がどのように向上するのか、その概要をお示し願います。平成21年春には新ターミナル地域も供用開始される予定と伺っております。来年夏と見込まれる平泉の文化遺産の世界遺産登録と相まって、本県の観光振興にとって極めて大きな効果をもたらすものと高く評価するものであります。
 次に、現在、事業が休止している平行誘導路について、今後の整備の見通しをあわせてお伺いいたします。
 来年度に大規模事業評価が予定されております平行誘導路は、将来における大型機の就航など、本県の空の玄関として国際交流を担うため、延長なった2、500メートル滑走路、再来年春に供用開始する新ターミナル地域と不離一体の施設であります。これまで116億円余りを投じ87%まで整備が進捗しておりますが、その投資効果を発揮することなく、再休止、または中止するなどの結論に至ることのないことを願うものであります。
 次に、利用者数の増加対策についてお伺いいたします。
 いわて花巻空港の利用者数は、平成9年の55万1、000人をピークに緩やかに減少しておりますが、最近の利用者数の状況とその背景、取り組まれている増加対策についてお尋ねいたします。
 私は、増加対策の第1は、羽田線の復活であると考えております。羽田線は、東北新幹線が上野に乗り入れた昭和60年に休止となり、その後、復活を働きかけ続けてきたところですが、いまだ実現しておりません。しかしながら、本県の高速交通をめぐる環境は、今後数年で大きく変化することが見込まれております。まず、羽田空港が平成22年10月に再拡張され、発着枠が増加いたします。平成23年春には東北新幹線が新青森まで延伸され、さらに高速化される予定と伺っております。こうした環境の変化を踏まえ、本県にとって羽田線を復活する意義、可能性、実現に向けた取り組みについて御所見をお伺いいたします。
 増加対策の第2は、国際線の誘致であります。いわて花巻空港には、春、秋を中心に、外国人客による国際チャーター便が多数運航されております。また、青森空港、秋田空港に就航している国際定期便を利用して韓国から多くの方々が県内のゴルフ場、スキー場を訪れております。このことは、いわて花巻空港が新幹線や高速道など高速交通の要衝に位置していること、本県に外国人客の受け入れが可能な宿泊施設やリゾート施設が充実していることなど、本県の優位性を示すものであります。こうしたことから、周遊型の観光は、仙台空港、青森空港、秋田空港など近隣空港と連携し、滞在型の観光は、いわて花巻空港に直接外国人客を受け入れ、本県観光産業の活性化を図っていくといった戦略が必要となっております。
 そこでお伺いいたします。国際チャーター便の運航に当たっては、税関、入国審査及び検疫、いわゆるCIQに携わる国の職員の派遣が必要であります。今年度は、既に過去最高だった一昨年に並ぶなど国際チャーター便の便数が増加している中で、CIQの派遣体制は十分確保されているでしょうか、お尋ねいたします。
 先般、国は、アジアゲートウエー構想を打ち出し、地方空港への国際線定期便の乗り入れを事実上自由化いたしました。観光における本県の優位性を生かし、県勢発展に向けていわて花巻空港を活用していくため、いわて花巻空港への国際定期便の就航について達増知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、県立病院の再編に伴う諸問題についてお尋ねいたします。
 県におかれましては、平成16年に県立病院改革実施計画を策定され、順次病棟の休止や診療所化を進めてきたところであります。特にも県立病院の診療所化に当たっては県議会におきましても活発な議論が行われたところでありますが、当該地域の皆様の思いとは裏腹に、既に平成18年度には紫波病院と花泉病院が、本年度には大迫病院と伊保内病院が有床診療所となったところであります。審議の過程におきましては、病床利用率が低下しているとはいえ、19床では医療から見捨てられる患者が出るのではないか、医師や看護師などの職員体制はどうなるのか、いずれは無床診療所や廃止になるのではないか、福祉との連携をどう図っていくのかなど多くの疑問や意見が出されたところであります。
 そこでお伺いいたします。新体制において、地域の皆様の切実かつ真剣な願いや思いをどのような形で運営に生かしておられるのか、お尋ねいたします。また、診療所化後の病床利用率や患者数の動向について、そして何より、医師や看護師など、職員数は約束どおり配置しておられるのか、お尋ねいたします。さらに、経営面から見て、病院であったときと診療所とでは収支がどうなっているのか、あわせてお尋ねいたします。
 さまざまな議論を乗り越えて決定された診療所化であります。今後におきましても、県民の命を何より大切にする、県民のための医療機関であってほしいと願うものであります。
 次に、花巻厚生、北上両病院の統合に伴う機能充実と地域振興に関してお尋ねいたします。
 既に第1期造成工事を終え、建築工事に着手されたと伺っておりますが、現在の進捗状況並びに開院予定時期についてお示し願います。
 この統合病院につきましては、圏域住民の皆様の中では大きな期待がある反面、さまざまな不安や懸念があるのも事実であります。この際、改めて新病院の病床数や診療体制、標榜診療科目や新設科目など、従前と比べて岩手中部圏域の基幹病院としてどのような配慮がなされているのか、県民にお示しいただきたいのであります。
 さらに、統合病院には、今、社会的に注目されております産婦人科が設置されると聞いておりますが、配置医師数を初めとする診療体制、加えて、医師業務の緩和と妊産婦の多様なニーズに対応可能な助産師外来や院内助産所設置についての御所見もあわせてお伺いいたします。
 次に、統合病院へのアクセスの問題であります。
 地理的に恵まれない地域の住民にとって、交通機関の確保は文字どおり死活問題であります。新規バス路線の統合病院への乗り入れなど、交通環境整備をどう図っていかれるお考えか、お尋ねいたします。
 また、統合病院の運営に当たっては、タクシー業者の乗り入れ、物品納入や業務委託への参入、さらには民間医療機関や助産所との連携支援など、地域振興に対する御所見につきましてもお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、岩手県の教育をめぐる今日的課題についてお尋ねいたします。
 まず、少子化と学校統合についてお尋ねいたします。
 急速に進む少子化の中で、子供たちの教育環境を良好に維持・向上させていくことは極めて重大な問題であります。県内小・中学校の実態を見ますと、複式学級、複々式学級も多く存在し、何年にもわたって入学児童がない学校も少なくありません。私は、学校とは、一定の児童生徒が存在し、子供たちが競争し、協調しながらともに遊び、ともに学ぶ環境が必要であると思っているものであります。
 こうした観点から、教育環境の向上のための小・中学校の統合は不可欠であり、現に県内においては平成10年度から19年度までに小学校が67校、中学校が24校減少し、確実に統廃合が進んでおります。さらに平成20年度以降においても相当数の学校の統廃合が予定されていると聞いております。私もかつて小・中学校の統合にかかわった一人でありますが、住民との合意形成や統合後の教育施設設備の拡充など解決しなければならない問題も多く、その割に得られる財政的なメリットが少ないのが実態であります。
 そこでお尋ねいたします。岩手の場合、学区が広範囲となるという特殊事情もあることから、県は、通学助成や児童の適応のための教員加配、校舎の解体や跡地の活用など、市町村の学校統合にきめ細かい支援をすべきものと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、就学前教育についてお尋ねいたします。
 集団生活への適応や生活習慣に問題を抱える子供が増加しているなど、就学前教育のあり方が注目を集めております。就学前教育は家庭に負うところが大きいとはいえ、それを補完すべき保育所では相当数の待機児童が存在し、反対に幼稚園では定員割れが続くなど制度面での矛盾もあり、期待された認定こども園の設置もわずか3施設にとどまっております。人生の大事な基礎をつくる時期となる幼児教育の環境整備を県として今後どう進めていかれるお考えか、教育長にお示しいただきたいと思います。
 次に、子育てならぬ親育て、親の教育についてお尋ねいたします。
 核家族化、少子化などの環境変化の中で、子育て中の親が社会から孤立し、さまざまな問題を惹起している事例を多く耳にいたします。相談できる相手もなく、ストレスをためては学校に不当な要求を繰り返すモンスターペアレント、増加傾向にある児童虐待などの問題が子供のみならず学校や教師をも追い詰めている事態はゆゆしき問題であります。岩手には教育振興運動といういい伝統があります。地域の力を結集し、親の居場所や相談場所づくりを進めるなど、実効ある対策を打ち出すべきではないかと考えますが、現状に対する御認識と対策について御所見をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、いわゆる三位一体改革が小規模自治体に与えた影響への評価についてでありますが、いわゆる三位一体改革期間内の決算の動向を見ますと、平成15年と平成18年の比較になりますが、税源移譲分を含む一般財源ベースでは、人口1万人以上の県内25市町村が約116億円、3.1%の減であるのに対し、人口1万人未満の県内10の小規模町村は約15億円、4.8%の減と減少率が高く、また、国庫補助金については、人口1万人以上の市町村が約106億円、19.9%の減であるのに対し、人口1万人未満の小規模町村は約31億円、64.5%の減と大幅減となっており、特に小規模町村については、普通建設事業を半減させるなど影響が大きいものと認識しております。いわゆる三位一体改革は、国の財政再建に軸足が置かれ、地方の自由度や裁量の拡大につながるものが少なかったほか、地方交付税については、制度改革の方向性が不明確なまま一方的に大幅な削減が行われ、極めて不十分なものであったと評価しております。
 次に、市町村合併推進審議会による調査の所感についてでありますが、市町村合併推進審議会に対しては、去る8月に、合併市町村における合併効果の検証について、合併協議会設置の勧告のあり方について、この二つの項目について調査審議を諮問したところであり、現在行われている県内市町村長への訪問調査は、その一環として行われているものと理解しております。
 この調査について、これまでのやりとりを見ますと、合併市町においては、住民サービスの維持向上を図りつつ、県からの権限移譲など行財政基盤の強化に向けた積極的な取り組みが行われるとともに、周辺部の振興についても相当な配慮をしながら、将来のまちづくりに意欲的であることがうかがえます。
 一方、非合併市町村においては、当面は単独としながらも、将来の合併は避けられないとする発言が多く、また、合併の判断基準は住民の意向としつつ、しかし、必ずしも住民への十分な情報提供や議論がなされていない傾向も見られると受けとめております。
 次に、訪問調査終了後の審議会の議論の進め方についてでありますが、今後の議論については審議会にゆだねているところでもあり、私のほうから方向性を示すようなことは差し控えたいと思いますが、審議会においては、将来を展望した大局的な視点から調査審議していただきたいと考えております。
 なお、審議会の調査の内容については県のホームページで公開されており、発言内容は住民の皆様も見ることが可能なので、地域において、これを材料として広く議論をしていただきたいと思います。
 次に、今後の地方分権改革のあり方についてでありますが、今後さらなる地方分権改革を進展させ、地方が主役の国づくりを実現するためには、基礎自治体である市町村を中心として、地方自治体がその地域の自立と共生を目指して、みずからの判断と責任で地域を経営していくことが重要と考えます。そのためには、国によるさまざまな過剰関与の廃止や税財政制度の抜本的な改革、条例制定権の拡大によって国に集中する権限及び税財源を住民に身近な地方に移し、地方が自立的な行財政運営を行えるような仕組みに変えていくことが必要と認識しています。
 本県においても、住民に一番身近な市町村への権限移譲の推進と、市町村の行財政基盤強化の支援等による県と市町村との役割分担の再構築や、公共サービスの役割分担の明確化などによる民間力、地域力が最大限に発揮されるような仕組みづくりを進め、県民本位の分権改革に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、農業振興対策についてでありますが、まず、品目横断的経営安定対策は、農業従事者の減少や農産物流通のグローバル化が進展する中で、地域農業の核となる担い手の経営安定を目的に実施されているものであり、本県においても、この対策の導入を契機として認定農業者が増加するとともに集落営農の組織化が進み、地域農業の振興を図るための基盤が強化されつつあるものと考えております。
 しかしながら、本県農業の実情を踏まえますと、この対策には、対象とならない小規模・兼業農家を集落営農にどう取り込んでいくか、立地条件などから、この対策の活用が難しい中山間地域の農業をどのように振興していくかといった課題があるものと認識しております。このため、本県においては、集落での話し合いを基本に、全国に先駆けて策定した集落ビジョンの点検、見直しを通じて、小規模・兼業農家も適切な役割分担のもとに参加する集落営農の組織化を進めるとともに、産地づくり交付金等を活用し、集落ぐるみでの園芸や畜産の導入を促進しているところであります。また、中山間地域については、中山間地域等直接支払交付金等を活用した新規作目の導入や、農産加工・直売の取り組みを支援しているところであります。私は、こうした取り組みを加速することにより、小規模・兼業農家も創意工夫を凝らしながら共存し、発展していけるような集落営農を育成し、農業・農村の活性化を岩手においては図ってまいりたいと思います。
 次に、民主党が提案している農業者戸別所得補償法案についてでありますが、本県農業は地域経済や社会を支える重要な基盤であり、将来にわたって農業・農村を活力あるものにしていくためには、基幹となる担い手と小規模・兼業農家が共存する結いの精神に支えられた岩手型の集落営農を推進していくことが重要と考えております。
 今国会に民主党が提案している農業者戸別所得補償法案は、国と地方自治体が設定する生産数量の目標に従い、米、麦、大豆などを生産する販売農家を対象に、標準的な販売価格と生産費の差額を補てんするものと承知しておりますが、この法案が成立し、新たな対策が講じられた場合、我が国の食料自給率の向上に寄与するとともに、小規模農家を含めて農業者の経営の安定が図られ、本県が目指す岩手型の集落営農の実現に有効なものと考えております。今後、国会の場において十分な論議がなされ、主業型農家はもとより、小規模・兼業農家や中山間地域の農家も希望を持って農業に取り組むことができるよう、新たな制度として実現することを期待しております。
 次に、BSEの全頭検査についてでありますが、BSEの全頭検査については、いまだ消費者とのリスクコミュニケーションが十分ではなく、消費者の不安が払拭されていない状況にあることから、今後とも全国一律の検査体制を堅持すべきであると考え、本年6月及び7月に、BSEの全頭検査に係る補助の継続について国に要請したところであります。
 私は、健康な食生活を推進するには、何よりも消費者の視点に立った施策を展開し、消費者の不安が生じないように取り組んでいくことが重要であると考えています。また、安全・安心な農林水産物を安定的に供給することが、日本の食を守る食料供給基地岩手の使命であり、こうした役割をしっかりと果たすことが、産地としての信頼を築き上げることにつながるものと考えております。
 このようなことから、今後とも、BSEの全頭検査の継続を国に働きかけるとともに、仮に、最終的に全国統一的な対応が困難となった場合にあっても、7月に開催された岩手県食の安全安心委員会の意見や、先般の県議会で採択されたBSE全頭検査の継続を求める請願の趣旨も踏まえ、消費者の安心の確保に向け、平成20年8月以降も県独自で全頭検査を継続してまいりたいと考えております。(拍手)
 次に、国際定期便の就航に対する所見についてでありますが、いわて花巻空港では、平成12年から外国人による国際チャーター便を受け入れ、以後、春と秋に台湾からのチャーター便が定着しております。また、最近では青森空港、秋田空港の定期便と組み合わせた韓国からのチャーター便が運航されるなど、交流が盛んになっていることから、国際定期便が就航する素地はあると考えております。
 一方で、定期便化に当たっては、通年で観光素材を提供する誘致活動や本県の海外渡航需要を喚起するなど、渡航先との交流をより発展させる取り組みが必要であります。こうした課題に取り組み、外国人客の受け入れにおける本県の強み、空港の立地の優位性が積極的に評価され、航空会社から就航の計画が具体的に表明されるなど熟度と機運が高まったときには、県としても、その実現のため適切に対応したいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 県内集落の実態調査の進捗状況についてでございますが、さきの6月補正予算で創設した草の根コミュニティ再生支援事業におきまして、県内約3、700カ所の自治会等に対しまして、その活動状況や直面している課題、集落の維持・再生を図るために必要と思われる支援策などにつきまして書面調査をしているところでございまして、これまでにおおむね8割ほどの回答があり、現在、年度内の公表を目途に集計作業中でございます。
 これに加えて、本年度は、回答のあった中から抽出した4集落への実地調査及び今後の集落の方向性、課題解決策を地域住民で検討するための草の根コミュニティ大学を、市町村、県立大学の協力を得て開催することといたしております。さらに、コミュニティの維持・再生を支援するため、地域活性化に取り組んできた団体の実践例を元気なコミュニティ100選として取り上げ、県内外に情報発信することといたしておりまして、先月、第1次分として、市町村の推薦に基づく現地調査などにより、花巻市の谷内第2行政区自治会など29団体を選定したところでございます。
 次に、地域コミュニティの支援施策を講ずる体制の整備についてでありますが、コミュニティ対策につきましては、議員御指摘のとおり、国におきましては、各省庁がさまざまな支援策を講じようとしているところでありますが、先月30日、政府の地域活性化統合本部が決定した地域再生戦略によりますと、各省庁が横断的にその再生を後押しすべき分野の一つとして、基礎的条件の厳しい集落を挙げておるところでございます。県におきましても、各部局・振興局間がそれぞれ縦割り的な対応をしたのでは、その実効性を確保することは困難であると考えられますことから、コミュニティ対策を一義的に推進すべき市町村との連携を密にしながら、庁内の横断的な推進体制を構築することにより、積極的に取り組んでまいります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 農業振興対策についてでございます。
 まず、米の価格下落の県内での実態と影響についてでございますが、本県の19年産米が初めて落札されました10月3日の結果では、県産ひとめぼれの価格が前年同期に比べ約1、200円ほど低下したところでございますが、直近の11月21日に行われました入札では、10月3日の落札価格に比べ、県産ひとめぼれが250円ほど値を上げるなど、米価は幾分回復傾向で推移いたしております。この価格水準は、国の生産費調査により試算いたしますと、家族労働費を含めた米の再生産に必要な総経費の97%となっており、最近の生産資材コストの上昇等もあり、今後の米価の動向いかんによっては、稲作農家の生産意欲の低下が懸念されているところでございます。
 次に、米の価格下落の原因と今後の対策についてでありますが、今回の全国的な米価の下落は、米の消費減退に歯どめがかからないことに加え、米の需給調整が十分に機能していないことなどから、大幅な生産過剰の状況となったことが要因であると考えております。こうした状況を踏まえ、去る10月29日には国の米緊急対策が決定され、政府備蓄米34万トンの緊急買い入れや、平成18年産米の販売残10万トンの飼料用仕向けなどの対策が実施されているところでございます。また、米の需給均衡を図るためには、生産調整への参加メリットの充実が重要と考えられますことから、本年8月及び11月に、生産調整参加者に対する再生産可能な価格補てん措置や、生産調整の達成地域等に対する産地づくり交付金等の優遇措置の導入などを国に提案いたしたところでございます。現在、国におきましては、こうした提案等を踏まえ、年内をめどに需給調整システム全体の見直しを行うこととしているところでございます。
 県といたしましては、こうした国の対応とあわせ、産地間競争に打ち勝っていくため、これまでの農地の利用集積による経営規模の拡大に加え、集落営農の推進による農業機械の効率利用の促進や、労働時間の大幅な短縮が可能な直播栽培の導入などにより生産コストの低減を図るとともに、消費者の安全・安心のニーズに対応した特別栽培米の生産拡大や生産工程管理手法の導入などにより、県産米の評価向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、岩手米のブランド力向上と販売戦略についてでありますが、県産米のブランド化を図るためには、安全・安心で高品質な米の産地づくりを推進するとともに、こうした産地のこだわりや品質の高さを、消費者や実需者に対し、しっかりと情報発信し、評価していただくことが重要であると考えております。このため、生産面におきましては、土づくりの徹底や特別栽培米の拡大など、こだわりのある米づくりを促進するとともに、流通面におきましては、官民一体となった推進組織による県産米のPRを強化するとともに、平成19年度からは新たに量販店ОBなどで構成する食のプロフェッショナルチームによる販路開拓、日本フードサービス協会との連携による外食産業バイヤーの招聘と商談会の開催などを通じて、県産米の評価向上と販売促進に努めているところでございます。
 また、海外市場につきましては、台湾に加え、本年は新たにマレーシアへの精米輸出を実現したほか、中国への加工米飯の輸出に取り組んでいるところであり、今後とも東南アジア等への輸出の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、本年10月には、県産米のブランド化や有利販売方策などの生産・販売戦略を策定することを目的といたしまして、学識経験者や生産・流通・販売分野の専門家で構成するいわて純情米戦略検討委員会を設置いたしまして、今年度内に具体的な方策を取りまとめることとしておりまして、今後は、この戦略を総合的に展開し、県産米のブランド化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、肥料や飼料の価格高騰に対する県の現状認識と対策についてでありますが、まず、化学肥料につきましてはここ3年間で5%から20%程度価格が上昇し、生産コストが水稲におきまして10アール当たり2%程度増加いたしております。このため、県といたしましては、堆肥を活用した化学肥料5割削減技術や鶏ふんを活用した無化学肥料栽培技術など、生産コストの低減と環境負荷低減につながる先進的な施肥技術の開発、普及に取り組んでいるところでございます。
 また、飼料につきましては、配合飼料価格安定制度による価格補てんが行われておりますが、価格補てん後においても、値上がり前の平成17年度に比べ、生産コストが大家畜においては3%程度、中小家畜におきましては10%程度増加し、畜産経営を圧迫しているものと認識いたしております。このため、県といたしましては、国が本年度新たに創設いたしました家畜飼料特別支援資金の活用や畜産物の価格安定制度の活用等による経営支援、さらには水田を活用した飼料作物の生産拡大や飼養管理技術の向上などにより、畜産経営の体質強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、有機農業に対する支援についてでありますが、本県は家畜由来の豊富な有機資源を有し、資源循環型農業の適地でありますことから、このような条件を生かした岩手らしい有機農業を積極的に推進してまいりたいと考えており、県が委嘱した有機農産物等アドバイザーによる栽培管理指導や、農地・水・環境保全向上対策による環境保全に向けた先進的な営農活動の支援などに取り組んでいるところであります。
 また、本年4月には外部の有識者等による委員会を設置し、環境と共生する産地づくり基本計画を年度内に策定することといたしておりまして、今後、この基本計画に基づき有機農業を実践する農業者の支援などに取り組み、岩手らしい特色のある環境と共生する産地づくりを推進してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) ダムの維持流量についてでございます。
 県が管理する8ダムのうち7ダムは、河川の景観や魚類の生息環境等を保全するための維持流量を確保する容量を持ってございます。遠野ダムだけは河川維持流量を確保する容量を持っておりませんが、遠野ダムは洪水調節専用のダムでございまして、通常時はダムに流入する流量をそのまま放流しておりまして、川の水が減少するようなことはございません。
 国管理ダムについてでございますけれども、御指摘のございました田瀬ダムにつきましては、河川景観の改善や魚類等の生息環境の回復を目的といたしまして、7月から9月までの3カ月間、洪水調節容量の一部を利用して下流河川の維持流量を確保し、放流を行う試験的な取り組みを実施しているところでございます。田瀬ダムの発電水利権は国の権限でございますが、県としても良好な河川環境を後世に引き継いでいくことは重要であると認識してございます。田瀬ダム下流の河川環境の回復について国に働きかけるとともに、それが実現できるよう、国や地元と連携しながら努力していきたいと考えてございます。
 次に、いわて花巻空港についてでございます。
 県では、国際化の進展や地域間交流の活発化に対応していくため、いわて花巻空港の整備を進めており、平成21年春には新ターミナル地域を供用する予定としております。旅客ターミナルビルにつきましては、近年旺盛な就航希望がある国際チャーター便の快適かつ的確な受け入れとともに、空港を利用するすべての方にユニバーサルデザインに対応した優しい環境を提供するなど、その機能を充実させることとしております。具体的には、国内線と国際線の旅客の動線の分離による混雑の解消、待合室やロビーの拡充、出入国管理や税関などの業務環境の改善によるセキュリティーの向上に加えまして、エレベーター、授乳室、救護室などの施設を整備します。こうした国際線施設やユニバーサルデザイン施設の充実を図るため、延べ床面積は現ターミナルビルに比べ約17%増加し、約7、300平方メートルになります。
 次に、平行誘導路についてでございます。
 平行誘導路は、国際チャーター便の運航先の多様化による国際交流のさらなる活性化を図る上で、また、外国からのチャーター便の大型化に対応する上でも必要な施設でありますが、県の財政状況が厳しい中で、県民の出国者が伸び悩んでいることから、平成15年度において、翌年度から予定しておりました舗装工事を当面5年間休止することとし、当時、岩手県公共事業評価専門委員会での再評価の審議を経て決定したものでございます。来年度、大規模事業評価専門委員会で行う評価では、前回の再評価で事業を休止することとした理由、その他の状況の変化を検証し、審議いただいた上で、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、利用状況でございます。
 いわて花巻空港の平成18年度の利用者数は約44万6、000人、国内線が約43万5、000人、国際線が約1万1、000人でございます。本年度は、11月末現在で約29万5、000人、前年同月比で見ますと約1割減少してございます。その背景といたしましては、運賃の値上げや運賃割引制度の縮小などによる個人利用の減少、それから、10月以降運休しております福岡線の影響が出ているものと考えております。
 今後の増加策につきましては、花巻空港を組み込んだ旅行商品造成のための旅行代理店への支援、国際チャーター便の誘致、2次交通である乗り合いタクシーの運行支援のほか、ことしの11月から名古屋線がビジネス需要に対応したダイヤに改善されたことや、関西便に事前購入型割引運賃のいわゆる先得が導入されるなど利便性が向上したことを受け、その普及を図っていきたいと考えてございます。
 次に、羽田線の復活についてでございます。
 羽田線の意義につきましては、空港周辺市町村にとりましては、東京方面へより高速の移動手段が獲得できること、また、岩手県全体にとってみますと、羽田空港を拠点とした国内航空ネットワークに接続でき、中国、四国、九州等の地域との交流を容易にできることなどが挙げられます。したがいまして、羽田線の就航は本県にとってビジネスや観光などを活性化する可能性があると考えてございます。
 そこで、就航の可能性についてでございますけれども、競合する東北新幹線のほうが運行頻度や運賃水準では優位と考えられます。さらに、平成22年春の東北新幹線新青森駅延伸を契機として高速化が予定されており、一層厳しい状況になることが予想される一方で、県内の新幹線各駅への停車パターン等の利便性がどのように変化するのか明らかでないこと。また、平成21年10月の羽田空港の再拡張により増加する発着枠の配分方法、具体的には国内線と国際線の配分、さらには航空会社ごとの配分についても決まっていないことを考えますと、東北新幹線との競合条件や、羽田空港の発着枠の配分方法を見きわめつつ、その可能性を探る必要があると考えてございます。
 実現に向けた取り組みでございますが、県としても、羽田線の就航の意義にかんがみ、花巻市が中心となって本年8月に設立されました羽田便実現会議と連携し、県内における羽田便に対する需要の調査分析を行い、航空会社に対して具体的な提案を行うなどの働きかけを引き続き行いたいと考えてございます。
 最後に、税関、入国管理、検疫、いわゆるCIQに係る国の関係機関の派遣についてでございますけれども、国際チャーター便の増加に伴いまして、その回数が増加しておりますが、円滑な派遣を確保するため、県では、運航計画の情報を航空会社からいち早く収集し、CIQ機関に情報を提供することとしております。CIQ機関は、その情報に基づいて近隣の出先機関の応援を受けるなど、派遣体制を計画的に整えてくれております。こうした県とCIQ機関との連携を密にすることにより、いわて花巻空港においては、国際チャーター便に対してCIQの派遣が円滑に行われていると認識してございます。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 県立病院の診療所化についてでありますが、まず、地域の切実な願いや思いをどのように運営に反映させているかについてでありますが、診療所化に当たり開催した各地域の住民説明会ではさまざまな要望が出されており、例えば医療と福祉の連携については、在宅ケア委員会や地域ケア会議などを通じて福祉関係者との十分な連携を図っているほか、直通バス運行の要望については、関係機関等との協議の結果、伊保内地区と二戸病院間の直通バスが12月1日から1往復運行されることになるなど、着実に要望にこたえるよう努めているところであります。
 次に、診療所化後の病床利用率や患者数の動向、職員数についてでありますが、平成19年9月末累計の1日平均入院患者数は、紫波、花泉、大迫、九戸の4地域診療センターの平均で11.4人、同じく1日平均外来患者数は84.5人、病床利用率は59.9%となっており、職員体制については、医師は、非常勤を含めた4月1日の現員がおおむね4人から5.5人、看護師は、正規、臨時を含めた常勤職員がいずれも17人となっており、診療所化の基本方針である医師平均3人以上の勤務と看護師17人の配置による診療所体制を確保しているところであります。
 次に、収支の状況についてでありますが、各地域診療センターの収支の状況は、花泉地域診療センターが悪化しているものの、それ以外はいずれも収支が改善しているところであります。地域診療センターについては、今後とも地域懇談会などを通じて寄せられる地域の要望に耳を傾け、収支の改善にも十分に留意しながら、適切な運営を図ってまいりたいと考えています。
 次に、花巻厚生・北上統合病院の機能充実と地域振興についてであります。
 まず、工事の進捗状況及び開院予定時期についてでありますが、平成19年10月末現在において、建設工事で20.7%、駐車場整備や植栽を行う第2期造成工事で0.4%の進捗となっており、今後とも予定どおり工事が進捗した場合、準備期間を勘案しますと、開院時期は平成21年春ごろになるものと考えております。
 次に、病床数、診療体制、標榜診療科目や新設診療科目など、従前と比較した岩手中部圏域の基幹病院としての配慮についてでありますが、統合病院の病床数は434床とし、現在、花巻厚生、北上両病院で開設している診療科に加え、心療内科、リハビリテーション科、麻酔科及び病理科の4診療科を新設することとしております。また、岩手中部圏域における広域基幹病院として二次救急医療体制を充実強化するとともに、新たに、がん診断のためのPET-CT等最新の放射線診断装置、緩和ケア医療機能の充実を図るための専用病棟24床を別棟として整備する等、救急医療及び高度特殊医療の提供体制を整備し、診療体制の充実を図ることとしております。
 さらに、現在、花巻厚生病院が担っている地域災害拠点病院としての機能を引き継ぎ、一層強化するため、施設整備に当たっては免震構造を採用するとともに、敷地内にヘリポートを整備するなど、圏域における災害時の医療活動の拠点としての機能についても十分に発揮できるよう配慮しているところであります。
 次に、産婦人科の診療体制、助産師外来、院内助産所設置についてでありますが、各診療科の配置医師数を初めとする診療体制の詳細については、現在調整を進めているところでありますが、産婦人科については、いわゆるハイリスク分娩に対応できるよう整備を進めており、ローリスク分娩を対象とする助産師外来、院内助産については、患者の動向を見きわめながら対応してまいりたいと考えています。
 次に、新規バス路線の統合病院への乗り入れ等交通環境整備についてでありますが、統合病院への公共交通機関によるアクセスについては路線バスを想定しており、バス会社と協議し、花巻、北上の両方面別のバス停を2カ所、さらに時間調整のためのバス待機所1カ所の整備を進めております。具体的なバス路線については、バス事業者のみならず、引き続き花巻、北上両市と連携を図りながら、その確保に努めてまいりたいと考えています。
 次に、タクシー、物品納入、業務委託への参入、地域医療連携など地域振興についてでありますが、タクシー業者の乗り入れについては、待機場所として、花巻、北上の両方面別のタクシープールあるいは乗り場を確保するとともに、物品納入、業務委託の発注については、透明性、公正性、競争性を確保しながら、地域振興に資するよう、地元業者の受注機会の確保にも配慮してまいります。
 また、平成17年12月から北上病院では地域医療連携室を設けて、地域の医療資源の有効活用に努めているところであり、さらにこの取り組みを重ねることにより、地域医療機関等との機能分担と連携を進めてまいります。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 市町村の学校統合への支援についてお答えいたします。
 児童生徒数の減少が進む中、学校の活性化や教育水準の向上を図るためには小規模校の統合を図ることが有効な施策の一つと考えており、各市町村に御尽力いただいているところであります。学校統合を推進する市町村について、県としては、国が助成する制度である通学費の一部補助─現在、87名ほどの子供が助成を受けております。それから、スクールバス購入費の一部補助─平成15年度以降、59台の実績がございます。こういった制度の積極的な活用を図ることができるように県として支援するとともに、御指摘のあった校舎の解体などに関する支援については、今年度新たに国に対して助成制度の創設を要望しているところであります。
 また、統合校に対しては、児童生徒が支障なく学校生活に適応できるよう、学校の状況に応じて教員を増員するという取り組みを行ってきており、今後とも十分に配慮をしてまいります。学校の統廃合につきましては、保護者や地域住民の理解のもとで、市町村がしっかりと取り組んでいただきたいと考えておりますが、県としても、市町村の要望を伺いながら、きめ細かい支援に取り組んでまいります。
 次に、幼児教育の環境整備についてでありますけれども、幼児教育について、次に申し上げるような観点から取り組みを強化しているところであります。
 まず、保育所の待機児童の解消に向けては、昨年10月に創設された認定こども園制度が、解消へ向けて一定の効果が期待できるものと考えております。現在は3施設ではありますが、これまでもその普及に努めてきたところであり、現在約10件の認定に向けた相談等が寄せられているところであります。
 また、教育委員会として今後とも関係部局と連携し、子育てについて不安や負担を感じている保護者に対して、幼稚園、保育所が地域の幼児教育のセンターとしての役割を果たすことができるように支援するとともに、幼稚園教諭と保育所の保育士の合同による指導法に関する研修を実施し、幼児教育分野の人材育成に力を入れてきております。幼児教育は、小学校以降の生きる力の基礎や生涯にわたる人間形成の基礎を培う上で重要と認識しており、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、親育て、親の教育ということについてであります。
 近年、核家族の増加、家庭と地域とのかかわりの希薄化により、子育ての知恵や技術が伝わりにくくなる中で、一人で悩みを抱える親がふえている現状にあり、なかなか難しい課題ではありますが、まずは地域で子育てを支援する仕組みをつくることが重要であると考えております。このようなことから、教育委員会として、現在、各地域で子育てに悩む親を支援するための子育てサポーター─現在179名おります─を養成するとともに、電話やメールによる相談体制の充実に努めているところであります。
 さらに、子育てサポーターを中心に、実際に子育ての悩みについて直接相談できる場の設定、親のニーズに即した学びの場の設定、親子の共同体験の場を提供するといった取り組みを行っております。また、子育てサークル─現在165団体ございますけれども─の立ち上げと、その活動を支援する体制を、市町村との連携のもと、整備しているところであります。
 また、いわて型コミュニティスクールの考え方のもと、教師と保護者が十分に話し合い、学校と家庭の信頼関係を構築することにより、すべての保護者が親として子供にどうかかわっていくかを考え、学校とともに実践するような取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇20番(小田島峰雄君) 各項目にわたり詳細な御答弁をいただきました。大変ありがとうございます。
 たくさんございますけれども、厳選して2点再質問させていただきたいと思います。
 その前に、先ほど、BSE関係の御質問に対しまして、達増知事から岩手県単独ででも全頭検査体制を今後も継続するという明確な御答弁をいただきました。大変ありがとうございます。さきに訪問いたしました東京都の話でございますけれども、こうした我が県のような畜産県から声が上がってくれば、東京都も追随をする、乗ると、こういうお話もございました。我が県のそういう明確な姿勢が東京都、そして国をも動かす大きな力になるものと期待いたしておりますし、確信いたしているところであります。大変ありがとうございました。
 再質問に入ります。
 一つは、農業問題でございます。
 私は、百姓議員を自認いたしております。そういう中で、今、るる高前田部長から御答弁がございました。その中で生産調整に参加するメリットを確保するというお話がございましたけれども、確かにそのとおりでございます。米価が下がり、肥料、飼料が高騰し、今どんな思いで農家が農業に取り組んでいるのか、極めて厳しい状況であります。そういう中、米価下落の要因として挙げられました米の消費が減退している、それはそのとおりでございますけれども、実は、首都圏周辺の各県で、いわゆる生産調整参加者が極めて少ない実態を目にいたしてまいりました。先ほど答弁にありましたように、本県のようにまじめに生産調整に取り組んでいる農家、正直な農家が泣くことのないような施策の構築が必要であると思っております。生産調整に参加したらそれだけのメリットがきちんと農家に返るような手だてをどう構築していくか、いま一度お尋ねをいたしたいと思います。
 次に、いわて花巻空港関係でございます。中でも、平行誘導路についていま一度お尋ねいたしたいと思います。
 なかなか先ほどのBSE関係の答弁とは違いまして、トーンが非常に暗くなっているような感じがいたします。確かに今の県財政を見ますと一刻も猶予がならない状況でありますからやむを得ない部分もありますけれども、この平行誘導路、釈迦に説法のようなことを申し上げて大変恐縮ですけれども、2、500メートルの滑走路ができた、再来年はターミナルビルも供用開始する、この二つだけでは何ともならないのであります。画竜点睛を欠くなどという生易しいものではございません。空港自体が半端なものになる可能性があるということでございます。御存じのとおり、平行誘導路がなければ、中・大型機がせっかく完成になった滑走路に着陸いたしましても旋回できない、カーブが切れない、エプロンに接岸できない、こういうことになるのが第1点でございますし、また、今、国内定期便の合間合間にチャーター便を飛ばしているわけでございますけれども、このチャーター便も限界がございます。そういうときに平行誘導路をつくっていわゆる待機場所をつくりますと、もっともっと多くの観光客を呼び込むことができるわけでございます。そういう意味で、来年の大規模事業評価の結果を見て今後の対応を決めるというお答えでございましたけれども、もちろん十分おわかりのこととは存じますけれども、将来におけるいわて花巻空港の位置づけにかかわる重大な部分でございます。いま一度御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) ただいま米の需給調整に関連して、その生産調整に参加した農家の十分なメリット措置ということで御質問をいただきました。
 今回の米価の下落、先ほどお答え申し上げましたように、需要と供給のバランスがとれていないということにまず起因いたすわけでございまして、需要の面では、昭和37年に1人当たり約120キロといった消費量が現在60キロといった水準まで半分になってきているといったようなことがまず背景としてあるわけですが、一方におきまして、生産面では、議員御指摘のような生産調整になかなか参加をいただけないといったような状況がございまして、御指摘のように、関東周辺、それから東北では福島が生産調整にはなかなか到達していない県になるわけでございますけれども、私どもといたしましても、先ほどもお答え申し上げましたように、まずは需給調整システムがしっかり機能していくようなシステムにしていただく必要があるということで、生産調整に協力していただいた、議員お話しのまじめな農家がきちっとメリットを受けられるような制度にしていただきたいということで、これは再三国のほうにも提案をいたしてきておるところでございます。
 現在、そういったような全国の農業・農村の現状というものを踏まえて、国のほうで年内をめどに需給調整システム全般についての見直しを行っているというふうに聞いておりまして、私どもとしてもその内容に期待をいたしているところでございますし、それから、そういった需給調整システムの見直しとあわせまして、私ども県としても独自にできること、これから需給調整システムという中で県ができることをしっかりとまた検討していきたいと考えております。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 議員御指摘のとおり、平行誘導路でございますけれども、国際チャーター便がいろいろなところから来ております。そういう形で、県といたしましても、国際交流のさらなる活性化を図るということも大事なことだろうと思っております。それから、外国からのチャーター便が大型化しておるという部分でも平行誘導路は必要な施設であると認識してございます。
 しかしながら、事業の再開の是非につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、大規模事業評価専門委員会での御審議を経た上で最終的に判断することとなります。その際には、まず、県の財政状況、出国者の推移、国際チャーター便の就航の状況、外国人観光客の入り込み数、それから、昨年も顕在化いたしましたけれども、中・大型機の就航希望に対応できない事態が発生して、それが顕在化している現状、こういったもの、それから、平行誘導路の整備の内容の見直しによって残事業費が縮減できないか、こういった部分を総合的に考慮して対応してまいりたいと考えてございます。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時59分 休憩
出席議員(47名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
14 番 高 橋 博 之 君
15 番 亀卦川 富 夫 君
16 番 中 平   均 君
17 番 五日市   王 君
18 番 関 根 敏 伸 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
29 番 新居田 弘 文 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
42 番 伊 藤 勢 至 君
43 番 渡 辺 幸 貫 君
44 番 小野寺 研 一 君
45 番 千 葉   伝 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(なし) 
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時14分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。平沼健君。
   〔34番平沼健君登壇〕(拍手)

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