平成19年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(小西和子君) 政和・社民クラブの小西和子でございます。
 このたびは一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。この4年間、山積する諸課題の解決や県民生活の向上に努める所存でございます。先輩・同僚議員各位の御指導と、達増知事初め県当局の御協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして順次質問を行います。
 初めに、子供を安心して産み育てられる環境整備についてお尋ねします。
 知事は、所信表明演述で、出生率の低下により本県のこれからを担う子供の数は減少傾向にあるが、県民の皆様が、子供を安心して産み育てられる環境を整備することで人口減少に歯どめをかける希望を生み出したいと述べておりますが、新しい地域計画の政策編の子育て環境の整備の項の合計特殊出生率を見ますと、2006年の現状値が1.39、2010年の目標値も1.39とあります。2003年から見てみますと1年に0.02ずつ下がってはいますが、課題となっている環境整備を行うことで目標値を0.01でも高く設定し、希望の見えるものにしたいものと考えますが、このことについて知事の御所見を伺います。
 国を挙げて少子化対策に取り組んでいますのに、対策の基本中の基本であるはずの出産環境は悪化の一途をたどっています。県内でも産婦人科の医師が減り、お産を取り扱わない病院も出てきました。安心して子供を産む環境が狭められています。今のままだと、医師が過酷な勤務に耐えかねて病院をやめてしまい、産科医がさらに減ってしまうことが危惧されています。このことから産科医療の集約化が進められていますが、交通のアクセスが悪い本県の場合には、妊産婦や家族が不利益をこうむることのないよう十分な配慮が必要だと考えます。また、質が高く満足なお産サービスを提供する観点から、助産師外来、院内助産など、助産師の能力の有効活用が不可欠です。このことが産科医の業務の軽減にもつながると考えます。
 遠野市では、助産院の主要な機能の一つであるモバイル遠隔健診業務を中心に、各種妊婦相談や健康教育等の業務を開始するため、遠野健康福祉の里の遠野市助産院ねっと・ゆりかごを12月1日に開設しました。遠野の試みは日本の誇る最新IT技術を利用したもので、ニューヨークタイムズ紙でも紹介されました。遠隔医療のテクノロジーは、医師のいない地域の心強い味方になっていくのではないでしょうか。前県立釜石病院副院長の小笠原先生は、遠野モバイル健診成功のかぎは、そこに助産師がいたということですと語っています。このように、助産師の役割が重要になってきています。
 そこでお伺いしますが、県内の出産環境の現状をどのようにとらえているのか、お尋ねします。あわせて、県内の助産師外来、院内助産の現状と課題をお示しください。
 また、県として、今後、遠野市のようなモバイル遠隔健診を普及・拡大する計画はあるか、お伺いいたします。
 さらに、役割が重要になってきています助産師の専門性を高め、スキルアップにつながる取り組みが必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、教育についてお伺いします。
 知事は所信表明演述で、政策6本柱の第1に、県民総参加の教育立県を基本理念として、自立した岩手を担う人材育成のための教育に取り組み、ふるさとづくりをその基本である人づくりから始めると述べ、さらに、少人数教育の充実や学習環境の整備を進めていくと述べております。2006年度、小学校1年生に導入された35人以下学級は、今年度は小学校2年生まで拡大されました。2006年8月に総合教育センターが実施したアンケート結果によると、学習面においては、個別指導のための時間がふえている、集中して授業を受けるようになってきている、生活面においては、落ち着いた学校生活を送ることができる、教師の児童理解が図られるようになってきているといった成果が報告されています。
 6月に、青森県の中学校の少人数学級の実態を視察してきました。青森県では、5年前から小学校1、2年生及び中学校1年生を対象にして33人の少人数学級制を実施してきました。個々の実態把握が容易に、詳細にできるようになりました。一人一人の生徒が自分のよさや個性を十分発揮する時間や場面を多く設定するようになりましたといった報告がありました。岩手県では、中1ギャップに対応するため加配教員を配置すると県教委から発表がありましたが、中学校の少人数学級の早期実現こそ効果が大きいと考えます。
 また、文部科学省が発表した2006年度問題行動調査結果によると、県内では、いじめの認知件数は、公立の小・中学校、高校、特別支援学校を含め1、513件と急増しました。これは、定義変更によるものが大きいと思われます。いじめの中身は、冷やかしやからかい、悪口、仲間外れ、集団無視が3分の2を占めています。いじめの問題解決には、子どもの権利条約にもあるように、子供たち自身が主体となって解決する手段をつくり出し、子供たちが自分は大切な存在として認められていると実感できることが重要です。
 知事にお伺いしますが、これらのことから、子供一人一人とじっくりかかわることのできる30人以下学級などの教育条件整備こそ急ぐべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、専任司書教諭についてお伺いいたします。
 1997年に学校図書館法が改正され、学校図書館の充実発展のため、司書教諭が2003年から発令されました。2001年12月には子どもの読書活動の推進に関する法律が制定され、岩手でも2004年3月、いわて子ども読書プランが出されています。学校図書館は、保健室などと同様に学校としての基本的な施設設備であり、三つの機能、すなわち読書、学習、情報センターとしての役割を担うものです。このため、学校の中心的施設設備としてその充実を図らなければならないことは明らかです。
 これらの機能を果たすためには、当然、施設設備だけでなく、その運営に当たる人が重要です。文部科学省は、2003年の司書教諭発令に際し、本来は専任が望ましいとしながらも、教諭をもって充てるという、いわゆる充て司書教諭の発令を行いました。その結果、教諭が授業や担任、部活を行いながらの司書業務となり、甚だ不十分な図書館運営にならざるを得ない状況になっています。
 岩手の小・中学校6校に専任図書館司書教諭が配置されておりますが、中には、担任をしながら図書館指導に当たっている教員もいます。司書教諭は専任ではないので、各担任や子供たちにうまく情報を提供したり資料を集めたりすることが困難であると述べています。岩手の高校では司書さえおらず、少ない図書館担当教職員では、図書の選定、受け入れ、配架のほか日常の図書館運営で精いっぱいであり、図書の紹介や図書館を使った各教科の授業の援助などほとんどできない状況にあると言えます。小規模校では図書館担当が1人か2人だけで、放課後はクラブ指導のため閉館する図書館、単なる自習室や本の倉庫となっている図書館もあるのが実態です。県内には2005年以降、専任司書教諭が2人しか配置されていませんが、73校ある県立高校の数からすると甚だ不十分であると言えます。
 そこでお伺いします。学校図書館には専任の人の配置がまず大事です。今後、学校図書館に専任の人を配置する場合、学校司書を配置する場合と専任の司書教諭を配置する場合が考えられますが、図書館教育充実の観点からすれば、司書教諭を専任として配置していくのが望ましいと考えます。学校司書配置と専任司書教諭配置の方向性の見解をお聞きいたします。
 あわせて、専任司書教諭の配置について、国の定措置がない現状を踏まえて、当面、県央、県南、沿岸、県北の4ブロックに1校程度、専任司書教諭を配置した学校図書館教育推進モデル校を設置していくことは考えられないでしょうか。
 次に、特別支援学校再編整備についてお伺いします。
 2007年4月16日、県教委は、定例教育委員会において、県立特別支援学校再編整備計画について議決、公表しました。現在17校ある本・分校を14校の特別支援学校に再編するというものでした。今回の計画において、すべての特別支援学校に高等部が設置される見通しとなったこと、遠野・千厩地域に分教室が設置されたことや、他の地域についても分教室設置に向けた協議を行う方向が示されたことは保護者や地域の願いにこたえるものです。しかし、再編整備計画といいながらも、施設の狭隘化、教室不足が深刻となっている既存の学校に対する手だてが不十分であることや、統合によって2校舎制を強いられることとなる学校の校舎新築の見通しが示されていないことなど、ハード面の整備のおくれが大きな課題です。
 そこでお伺いしますが、特別支援学校の校舎新築など、ハード面の整備の見通しについてお示しください。
 次に、雇用と少子化対策についてお伺いします。
 県内でも景気は持ち直してきており、雇用情勢についても回復が見られると言われていますが、パートや派遣などの非正規社員はふえる一方です。今や働く人の3人に1人を占めます。若い世代では、何と2人に1人です。非正規社員は正社員に比べ収入が少なく、不安定です。ボーナスのない企業のほうが多いですし、有給休暇もない企業もあります。
 厚生労働省が20歳から34歳の若年者を対象に行った追跡調査によると、2002年10月から2005年11月までの間に正社員の男性が結婚した割合が15%に対し、非正規社員は6%にとどまっていたということです。将来に不安を持ち、自分の暮らしに精いっぱいの若者が、どうして結婚や子供を持つことを考えられるでしょうか。フリーターは、みずから望んでそうなったのではなく、企業の要請によりつくり出されたものではないでしょうか。未来を担う若者たちに、安定した雇用と人間らしく働ける労働条件の確保が急がれます。
 一方、正社員はどうでしょう。厚生労働省発表による労災補償状況では、過労などが原因で脳や心臓の疾患になったとして2006年度に労災認定された件数は全国で355件と過去最多、うつ病など精神障害での認定も205件で最多となっており、年代別では30代が増加し、全体の4割を占めています。業種別では、過酷な労働条件が社会問題化しているバスやタクシーなど運輸業が最も多いと伝えています。本県では、脳・心臓疾患によって労災認定された方は4人、うち死亡に至った方は3人でした。背景に広がっているのは、慢性的な長時間労働です。
 総務省の労働調査では、30代の男性の23%が週平均60時間以上働いています。いわゆる過労死ラインとされている月80時間を超える時間外労働をしていることになります。子育て世代の男性正社員は、毎日長時間、休みもとらないで働いています。しかも、残業手当ももらえないサービス残業の連続と言われています。残業が続けば、未婚の男女にとっては、アフターファイブにさまざまな活動に参加し、未来のパートナーと出会う機会が限られます。結婚している男性は、家族と過ごす時間が奪われます。
 こんな企業風土は、働きたい女性にとっても高い壁になっています。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、最初の子供が産まれると、6割の女性は職場を去っていきます。仕事と子育てを両立することが困難だから、2人目を産める環境ではありません。仕事に打ち込みながら子育てをし、家庭生活も楽しめる、そうした生活と調和がとれた働き方を実現していかなければなりません。短時間勤務や在宅勤務を組み合わせ、人生のさまざまな場面に応じた働き方を選べるとよいのではないでしょうか。正社員と非正規社員の待遇をできるだけ近づける努力も欠かせません。
 次の世代をはぐくもうとする若い世代への経済的な後押しは必要です。しかし、仕事と家庭生活のバランスがとれた働き方が土台にならなければ出生率の回復は望めないのではないでしょうか。一たび親になれば、子育ては何年も続きます。保育所や学童保育の充実はもちろんですが、父親も母親も子供と深くかかわり、家族そろって夕食が食べられる、そんな社会に変えていかなければ少子化は解決しないのではないでしょうか。
 そこで伺いますが、本県の雇用状況を見ると若年者の非正規社員の増加が指摘されていますが、県は、正規雇用の拡大にどのような対策を行っているか、あわせて課題についてもお伺いします。
 さらに、少子化対策である次世代育成支援対策推進法による一般事業主行動計画、特定事業主行動計画の策定の進捗状況と実効化に向けた取り組みの現状、課題についてお伺いします。
 次に、障害者の自立支援についてお伺いします。
 障害者の完全参加と平等を基本理念としたノーマライゼーション社会の実現が求められております。地域、生活圏における障害者の生活保障、自立支援を進める必要があります。そのために、保育や教育を初め、保健・福祉・医療施設の連携、雇用、住宅、交通など障害者の生活領域全般にわたるシステムを確立することや、また、障害者自身の自己決定による生きがいと自己実現が可能な地域づくりが求められています。
 障害者自立支援法は、障害者などがその有する能力や適性に応じ、自立した日常生活、または社会生活を営むことができるようシステムをつくり、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すものとして2006年4月からスタートしました。しかし、さまざまな問題や課題が指摘されており、障害者自立支援法の抜本的な改善が求められています。また、地域移行、自立した生活をする上で最も重要な働く場の確保対策など、障害者自立支援法施行後の問題点や課題を整理し、来年度予算への対応、市町村障害者福祉計画の見直しなどを積極的に進めるべきと考えます。
 そこでお伺いしますが、1点目として、障害者自立支援法が施行して2年目を迎えようとしていますが、応益負担制度の導入による施設の退所や通所の断念などサービス利用への影響、報酬単価の引き下げ、日払い化などにより、戸惑いや厳しい運営状況となっています。県としてこのような現状を把握し、問題点、課題をどうとらえているのか、御所見を伺います。
 2点目として、地域移行、自立した生活をするために最も必要なものが働く場と申し上げましたが、それを進める法制度の一つとして障害者の雇用の促進等に関する法があります。2007年6月1日現在における県内の実雇用率は、民間企業1.72%、県の機関2.14%、市町村の機関1.93%、県等の教育委員会1.23%であります。法定雇用率を達成している企業割合は50.3%であり、辛うじて半数の企業となっています。このことから、障害者の雇用される人数、働く場の確保が難しく、自立した生活を営むための基盤が依然として脆弱なままとなっています。法定雇用率はあくまでも最低ラインであり、障害者のだれもが安心して暮らせるようにするためには、未達成企業はもちろんのこと、既に達成している企業に対してもさらなる働きかけが必要と考えます。
 知事にお伺いしますが、このたびの調査結果を受けての障害者の雇用改善に向けた御所見をお伺いいたします。
 最後に、雇用は正規雇用が原則であるべきと考えますが、障害者の方々の雇用、働く場を確保、拡大するためには、能力と適性に応じ、臨時、パートなどの短時間勤務を初めとした多様な働き方の雇用も必要と考えます。ただし、生活を保障する処遇基準も整備する必要があると考えます。障害者の多様な働き方として、短時間勤務など、民間企業、市町村の例となるように、県がみずから率先した取り組みをすることができないか、お伺いいたします。
 また、障害者が地域で生活するためには、就労後どのように支えるかが大きな課題ともなります。せっかく就労しても、短期間で退職するケースも多く見られます。就労を継続するためにどのような仕組みや対応をお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、高齢者への医療等の提供についてお伺いします。
 本県の高齢者人口は、2005年の33万9、000人から2010年には35万7、000人、2025年には40万5、000人に増加すると予想されます。介護保険制度の2009年制度改革に向け、新予防給付の実施状況の点検、課題整理、訪問介護報酬の一本化に向けた行為別・機能別体系への対応策の確立、市町村の保険者機能の強化、地域包括支援センターの機能強化と財政基盤の確立が必要と考えます。
 また、来年度から後期高齢者医療制度がスタートします。先日の広域連合議会で、本県の75歳以上1人当たりの保険料は全国でも低額の年額5万8、433円に決定されたと聞いております。県内市町村においても、厳しい財政状況を理由にベッドを廃止する病院が相次いでいます。結果的に医療施設を追い出された高齢者が医療難民化するおそれがあるのではないかという危惧を強く抱いております。
 そこで知事にお伺いしますが、県内における医療格差の実態をどのようにとらえ、これを今後どのように解消していくお考えでしょうか。また、すべての高齢者が地域において安心して生活できる医療・介護などのサービスを享受できる供給体制の整備に向けた御所見もあわせてお伺いいたします。
 最後に、地球温暖化対策に関連して、本県の取り組みについてお伺いします。
 世界の平均気温はこの100年の間に0.56から0.92度上昇し、地球温暖化は進行しています。世界的に台風の大型化や異常気象が増加するなど深刻な問題となっています。現状のまま温室効果ガスの削減を講じなければ、今世紀末の平均気温は最大で6.4度、海水面は59センチメートル上昇すると気象変動に関する政府間パネルが報告しています。
 2005年2月に京都議定書が発効し、日本は2008年から2012年までに温室効果ガスの排出量を1990年に比べ6%削減することが義務づけられましたが、2006年度の速報値では、既に6.4%増加し、12.4%削減しなくてはなりません。本県では、地球温暖化対策への地域からの貢献という観点から、国を上回る8%削減を目指すとしています。家庭、地域、事業者における取り組みの促進、県民エコライフの促進などを進めていると聞いています。
 そこで、これら本県の地球温暖化対策の具体的内容とこれまでの取り組みについてどのように認識されているのか、お伺いいたします。
 また、各種の取り組みの中で、運輸部門は1990年に比べ12.5%増となっています。我が国の運輸部門全体のCO2排出量は、2005年度で基準年から18.1%増加しており、そのうち自動車からの排出量の割合が87.7%に上り、また、自家用車からの割合が48.9%となっています。バスから排出されるCO2は、1人を運ぶために排出されるCO2の割合で比較すると自家用車から排出されるCO2の約3割で済み、運輸部門のCO2排出量を効果的に削減していくためには、自家用車からバスなどの公共交通機関の利用を推し進めることが有効と考えられます。
 そこで、本県ではこれまでバスなどの公共交通機関の利用をどのように促進してきたのか、具体的な取り組み内容をお示しください。
 関連して、森林のCO2吸収についてお尋ねします。森林はCO2の吸収源で、地球温暖化防止には不可欠です。我が国では、京都議定書で世界に約束したCO2削減目標6%のうち約3分の2を森林の吸収に求めることとしています。吸収源として認められる森林は、間伐などの整備や管理を行った森林ですが、林業の不振などから手入れがおくれています。岩手は県土の77%が森林で、北海道に次ぐ森林面積を持つ森林県です。したがって、岩手のCO2吸収の潜在量は大きく、森林の整備と保全に積極的な取り組みが必要です。
 そこでお伺いしますが、京都議定書のルールによる本県森林のCO2吸収量の現状と今後の森林吸収源対策の取り組みをお示しください。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい地域経営の計画の子育て環境整備に係る目標値を、平成18年と同じ数値の合計特殊出生率1.39とすることについてでありますが、人口減少時代が到来している中にあって、少子化の流れを変えて出生率を低下傾向から上昇に反転させることは、社会の活力を維持向上する観点から重要と考えており、県としての少子化対策をこうした視点から推進することとしております。しかしながら、本県の合計特殊出生率が、昭和25年の県統計開始時の4.48から、多少の増減はあるものの、一貫して低下傾向にあること。平成18年は、全国で合計特殊出生率が上昇した中にあって、本県では低下傾向に歯どめがかからない状況にあること。そして、現状では平成19年以降も低下する可能性もあり、平成22年度までの取り組みにより、まずは全国平均より高い平成18年の水準を目標値として低下傾向に歯どめをかけ、上昇の可能性を切り開きたいということから、計画期間4年間の目標として、この1.39を設定したものであります。
 県としては、従前から取り組みを進めている保育サービスの充実や、育児支援を初めとした取り組みをさらに強化しつつ、仕事と子育てを両立できる雇用環境の整備、男性の育児参加の促進、地域力を生かした子育て支援などにより、子供を安心して産み育てられる環境の一層の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、少人数学級などの教育条件整備についてでございますが、岩手県の義務教育は、すべての子供たち一人一人に基礎・基本をしっかりと定着させ、充実感にあふれた学校生活を送らせることを目標としております。本来、子供たち一人一人には、理解の仕方や物の見方、考え方に個性があり、それに応じたきめ細かい指導によって基礎・基本が定着し、学校生活に対する充実感も高まっていくものと考えます。このためには少人数教育が重要なポイントになると考えており、現在、小学校1・2年生で35人学級を実施するとともに、30人を超える小学校1年生及び多人数の複式学級へ132人の非常勤講師を配置しております。さらに、444名の別枠の教員、いわゆる加配教員を配置し、チームティーチングや少人数指導を行っております。
 これからにつきましては、いわゆる中1ギャップや学年進行に伴う学力のばらつきの解消などを視野に入れて、県の財政制約も考慮しつつ、現在、少人数教育のあり方の検討を行っているところであり、今後、本県としてのしっかりとした方向づけを行っていきたいと考えます。
 次に、障害者の雇用改善についてでありますが、さきに公表されました本県における平成19年6月1日現在の民間企業における障害者の実雇用率は1.72%と前年より0.05ポイント上昇し、北海道・東北圏内では1位、全国では14位と上位のランクにありますものの、依然として法定雇用率を下回るとともに半数近くの企業が法定雇用率未達成となっており、障害者の雇用改善に向けては、さらに強力に取り組むべきものと考えております。このため、今年度は、障害者雇用の優良事例の紹介や企業等への雇用要請活動、セミナーの開催を通じて企業への意識啓発を行うとともに、障害者の方が地元で職業訓練を受けられるように受講機会の拡大に取り組んでいるところであり、今後においても引き続きこれらの施策、事業に取り組み、障害者雇用の促進に一層力を注いでまいる考えであります。
 次に、県内における医療格差についてでありますが、県民が安心して必要な医療を受けるためには、医療機関の整備や医療を担う人材の配置など幾つかの要素がありますが、何よりも医療の中心となる医師の確保が重要であります。本県における医師の配置を見ますと、特に県北・沿岸地区に医師が少なく、平成16年の人口10万人当たりの医師数で比較しますと、最も多い盛岡医療圏と、最も少ない久慈医療圏、二戸医療圏では約2.3倍の格差が生じています。このような医師の地域偏在を背景に、地域での医療資源の集積や医療機能の面で一定の格差が生じていると認識しております。
 こうした問題は、医師の絶対数の不足が大きな要因になっていると考えられますことから、まずは本県の地域医療に必要な人材を確保するため、あらゆる機会をとらえて国に対して抜本的な医師確保対策を講ずるよう強く求めていくほか、県といたしましても、岩手医科大学医学部の定員増への対応、医師確保対策アクションプランに基づく取り組み、そして医師確保対策室による医師の招聘などを着実に推進してまいりたいと思います。
 あわせて、限られた医療資源のもとで必要な医療を確保していくため、医療機関の機能分担と連携を促進し、地域医療連携体制の構築を図るとともに、県民が医療機関を適切に選択できるよう、各医療機関等の有する医療機能情報の提供にも積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、高齢者への医療・介護などのサービス供給体制の整備についてでありますが、医療・介護のサービス提供においては、医療と介護の連携、訪問看護など医療系在宅サービスの提供体制、介護施設入所待機者の存在などに課題があり、今後、特に後期高齢者が増加すると見込まれますことから、医療と介護等のサービスが連携して効果的に提供される体制の一層の充実が必要と考えております。
 こうしたことから、現在、中長期的な視点に立って策定中の岩手県地域ケア体制整備構想において、入院から在宅に移行する際の切れ目のない医療と介護の連携、地域包括支援センターを核とした医療、介護、見守り等の多様なサービスを効果的、効率的に提供する体制の確立、そして、介護保険施設の計画的な整備や地域に密着した居宅介護サービスの充実などを中心とした地域ケア体制の確立を目指しており、県内各地域で高齢者が安心して生活できる医療・介護等のサービス提供体制の構築に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) まず、県内の出産環境の現状についてでございますが、県内の産婦人科医師は、隔年で実施しております調査によりますと、平成6年度の132名をピークに平成16年度には89名まで減少しております。こうした状況の中、中核的な医療機関に産婦人科医師の複数配置を維持することが困難な圏域におきましては、緊急避難的に産科医療機能の拠点化を行わざるを得ないなど、大変厳しい状況にあると認識しております。
 一方では、平成16年度からスタートいたしました新たな医師臨床研修制度を修了した医師のうち、この2年間で新たに5名が産婦人科を選択し、県内の医療機関に勤務していただいているといったような状況もございます。今後、県内の産科医療体制を確保していくためには、こうした若い医師の養成確保及び県内への定着についての取り組みをさらに促進することはもちろんのこと、産婦人科医師と助産師の役割分担と連携を図りながら、助産師の能力を生かした産科医療体制を確保していくことも必要であると考えております。
 次に、県内の助産師外来、院内助産の現状と課題についてでございますが、県では、産科医療を確保する観点から、平成17年度に県医師会や助産師会等医療関係者と産科医療のあり方について検討を行いまして、この検討の中で、産婦人科医師と助産師の役割分担と連携の新たな仕組みとして、院内助産システムの導入について議論いただいたところでございますが、その時点では、すなわち平成17年度時点では直ちに院内助産システムを導入する環境にはないとの共通認識のもと、その前段階として助産師外来の取り組みを進めてきたところでございます。こうした経緯を経まして、現在、県内の10の医療機関におきまして助産師外来が実施されておりまして、正常経過の妊産婦であり、同意が得られた方を対象に、妊婦健診や保健指導を行っているところでございます。
 こうした助産師外来の取り組みを通じまして、平成19年8月に、県立釜石病院において県内初の院内助産システムが開始されたところでございます。11月末までに72人の方々がこのシステムで出産を行ったところでございます。この院内助産システムにつきましては、地域における産科医療の確保や医師の負担の軽減の観点から有用であると考えております。しかしながら、その導入の拡大に向けましては、専門の能力を有する助産師の育成と、こうした助産師を活用する院内での体制整備が大きな課題であると考えております。
 次に、モバイル遠隔健診の普及拡大についてでございますが、遠野市における妊婦遠隔健診は、平成20年度までの経済産業省の地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業として機器の貸与を受け、産婦人科医会の支援を受けながら実施しているものでございまして、妊婦の負担軽減など一定の効果があるものと伺っております。また、岩手県周産期医療協議会などにおきましても、モバイル遠隔健診などITを活用して医療機能の地域連携を図ることは、周産期医療確保の観点からも必要であるといった御意見もいただいているところでございます。現在、平成20年度までの実証事業の期間中でもございますことから、事業の課題や効果を検証し、関係者の御意見を伺いながら、21年度以降の具体的な対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、助産師の専門性を高める取り組みについてでございますが、県では、産科医療を確保する観点から、助産師の専門性を向上することを目的に、助産師研修を社団法人岩手県看護協会に委託し、実施しております。今年度のその主な内容は、妊娠高血圧症候群の予防とケア、遠野市助産院ネットワーク開設と運営の実際、妊娠中の異常のスクリーニング、新生児の観察とケアなどとなっております。また、県産婦人科医会や助産師会等関係団体と、助産師の活用に係る検討組織を県医師会に立ち上げ、助産師外来の充実に向けた検討や助産師のさらなる能力の活用について検討を行っているところでございます。今後におきましても、こうした取り組みを通じ、助産師のさらなる能力向上を支援してまいりたいと考えております。
 次に、雇用と少子化対策に関してでございますが、まず、一般事業主の行動計画につきましては、県では、企業における仕事と育児の両立支援のための雇用環境の整備を進めるため、平成18年度から中小企業子育て支援推進事業を実施しておりまして、次世代法により策定が努力義務とされている従業員300人以下の企業を個別に訪問いたしまして、一般事業主に行動計画の策定をお願いしているところでございまして、これまでのところ策定した従業員300人以下の企業は94社となっております。策定が義務づけされております従業員301人以上の企業は96社でございますので、策定企業は県内で合わせて190社となっております。特定事業主行動計画につきましては県は策定済みでございまして、県内の市町村では、未策定が、11月末現在でございますが、6市町となっております。
 こうした計画の実効化に向けた取り組みについてでございますが、今年度は、男女がともに働きやすい職場づくりに取り組む中小企業を県が認証し、顕著な成果があった企業を知事が表彰するいわて子育てにやさしい企業認証・表彰制度を創設したところでございまして、今後、この制度を周知し、子育てに優しい企業の拡大に努めていきたいと考えております。
 実効化に向けた課題についてでございますが、計画の策定はもちろんのことでございますけれども、企業トップに、子育て支援の重要性について一層の理解を深めていただくこと。企業や行政機関などの職場風土として、子育てに優しい環境づくりの意識をより一層根づかせること。働く側も、働き方の見直しなどにより、子育てと仕事の両立にみずから取り組むことなどが挙げられると考えております。これまでも、企業や経営者団体、労働組合の方々の御協力をいただきながら取り組みを進めてきたところでございまして、今後もこうした方々と連携しながら、子育てに優しい社会の実現に向け努力してまいりたいと考えております。
 次に、障害者自立支援法施行後の現状と課題についてでございますが、まず、応益負担制度の導入によるサービス利用への影響についてでございますが、平成18年4月時点の利用契約者数をベースとした本年6月までの利用者負担増を理由に退所した方は、入所施設では2、339人に対して16人、率にして0.68%、同様に通所施設では1、565人に対して30人、率にして1.92%となっております。報酬単価の引き下げ、日払い化などの影響について、本年6月に88施設を対象に県が行った調査では、収入が減ったという施設が53施設、60.2%、変化なしが20施設、22.7%、収入が増加したが15施設、17.1%となっております。
 障害者の応益負担や事業所への日割り方式導入による影響につきましては、障害者やその家族、事業所などから多くの問題点の指摘を受けているところでございまして、県としては、今後もさらに実態把握に努めてまいりたいと考えております。
 なお、国の特別対策事業として、平成20年度までは、減収となる事業所に対して従来の9割保障となる補助を行っているところでございます。また、法附則におきまして、施行後3年をめどに見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずる旨、規定されているところでございまして、来年度がその見直し時期に当たります。県としては、東北各県とも連携しながら、障害者の所得保障や、障害者の生活実態に合った制度内容となるよう、引き続き国へ要望してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、正規雇用の拡大についてであります。県といたしましては、今年度、企業の正規雇用拡大に向けまして、県内の商工関係団体51団体に対し、国や市町村と連携しながら要請活動を実施するとともに、シンポジウムや雇用・労働フォーラムの開催、また、正社員を採用する企業のみを対象とした会社説明会の開催や、地域雇用相談員による正規雇用に向けた企業訪問などを通じて、正規雇用の拡大について企業への働きかけを行っているところであります。今後におきましても、これらの取り組みを継続するとともに、一方では、求職者への各種職業訓練機会の提供や派遣元事業主に派遣社員の能力開発に取り組んでもらうための情報提供など、非正規社員の能力向上をも支援しながら進めてまいる考えであります。
 なお、正規雇用拡大に向けましては、正規雇用と非正規雇用の処遇の格差是正や労働者派遣規制強化といった法制度上の課題もあると考えており、これらの法制度の整備等については国に要請してまいりたいと考えております。
 次に、障害者の就労を継続するための仕組みや対応についてであります。障害者の就業継続に向けましては、岩手県障害者職業センターなどに配置されているジョブコーチが事業所を訪問し、障害者本人や事業主などに対して専門的な支援を行うとともに、県が指定する障害者就業・生活支援センターにおいては、障害者の就職が決定した際に、障害者、事業主に対する指導支援事項などを盛り込んだ職場定着支援プログラムを策定するなど、定着に向けた支援をしているところであります。
 また、障害者の就職後は、この障害者就業・生活支援センター等が、事業所訪問による状況把握、障害者が職場で不適応となった場合は、ハローワークなどの関係機関と連携し、必要に応じてケース会議を開催するなど、定着支援を行っているところであります。今後、この障害者就業・生活支援センター等につきましては、現在の5カ所から、平成23年度までに県内九つの障害保健福祉圏域に設置する計画であり、同センターの増設、その活動の充実強化などを通じまして、障害者の方々の職場定着への支援を強化してまいる考えでございます。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 県としての障害者の雇用についてでございますが、職員の採用試験は原則として競争試験によっておりますが、県では、障害者雇用を確保していく観点から、通常の採用試験とは別に、障害者を対象とした職員採用選考試験を実施しており、この試験を通じて採用した職員については、それぞれの障害の状況等を踏まえ、適性の高い業務に従事していただくよう配慮しているところでございます。
 こうした正職員以外の非常勤職員や短時間勤務職員などにつきましては、個々の業務に必要な職員をその都度採用していくこともあり、障害者を優先して採用する仕組みを設けることは難しい面もあると思われますが、近年、従来の非常勤職員の雇用形態に加えまして、任期つき短時間勤務制度や育児短時間勤務制度なども創設されまして、さまざまな任用方法が可能になってきておりますことから、障害者の雇用が可能なケースにおきましては、こうした制度の活用などを図っていく中で、障害のある方にも、その能力、適性等に応じて活躍していただけることを期待しているところでございます。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 地球温暖化対策の内容と取り組みについてでありますが、本県における直近のCO2排出量は、基準年である1990年対比で、全体として0.1%増加しております。特に、家庭部門は20.3%、業務部門は28.8%、運輸部門は12.5%とそれぞれ高い伸びを示しており、これらの部門の削減を重点的に進めることが課題となっております。このため、家庭部門対策としては、身近にできるCO2削減の取り組みを推進する県民運動の展開や環境家計簿の普及、地域ぐるみでの取り組みを促進するための地域協議会の設立支援、業務部門対策としては、環境対策に積極的に取り組んでいる事業所の認定制度の普及や、省エネ・新エネアドバイザーの派遣、運輸部門対策としては、エコドライブの普及促進などに重点的に取り組んでおります。
 こうした取り組みなどを通じて地球温暖化に対する県民の意識は年々高まってきているものの、具体的な行動としての広がりが十分ではないと感じており、8%削減の目標を達成するためには、県民、事業者の意識改革を一層進める必要があると考えております。このため、イベントの開催やキャンペーンによる普及啓発、優良事例の紹介などを通じ、県民一人一人、事業者それぞれが身近なところから行動に移し、それが積み重なって県内各地に運動として広がっていくような取り組みを進めていく必要があると考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 公共交通機関の利用促進についてでありますが、県ではこれまで、公共交通の維持・存続を図るため、国と協調して広域的かつ幹線的なバス路線に対する補助を行ってきたほか、公共交通の利用しやすい環境の整備を支援するため、盛岡市のオムニバスタウン事業におけるバスロケーションシステム等の整備や、低床バス車両の導入に対して補助を行うとともに、意識啓発を図るため、岩手県バス協会と共同して利用推進シンポジウムを開催するなど、利用促進に向けた取り組みを展開してきたところでございます。
 しかしながら、補助金支出が増加する一方で利用者の減少に歯どめがかからないことに加えまして、議員御指摘のとおり、CO2排出抑制が極めて重要な課題としてクローズアップされてきたことから、各界各層を巻き込んだ官民協働による積極的な利用推進の取り組みが重要であると考えまして、本年7月に、環境生活部の協力も得て、NPO、学識経験者、交通事業者、行政からなる公共交通利用推進協議会を設立したところでございます。この協議会では、バスや鉄道などの公共交通利用推進とあわせまして、CO2排出抑制を図るべく、公共交通が維持・確保されている地域社会の形成を目標に掲げまして、意識改革と、利用しやすい環境の整備の二つを柱に据えまして、今後、3カ年の利用推進の方策と、市町村や地域住民などに期待する役割などを取りまとめたところでございます。これを踏まえまして、本年度におきましては、公共交通の利用推進をテーマにしたシンポジウムの開催や、ホームページを活用した意識啓発を進めるほか、バスの補助路線の運行を検証するためのアセスメントを行いまして、その効率的な運行を誘導することなどによりまして、利用の推進を図ってまいりたいと考えております。
 また、平成20年度におきましては、CO2排出抑制などに配慮した交通行動を個人や職場に直接働きかけることによりまして、公共交通を自発的に利用する状態に変えていくいわゆるモビリティ・マネジメントの手法を活用した新たな利用推進の取り組みを、市町村やNPO等と連携しながら行ってまいります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 本県森林の二酸化炭素の吸収についてでございますが、二酸化炭素吸収量の算定対象となる森林は、京都議定書のルールによりまして間伐等適正な管理が行われていることが条件となっておりますが、これらの森林による平成17年度の二酸化炭素吸収量は、国の試算によりますと、全国では3、540万トン、本県では140万トンで、国全体の約4%を占めております。試算されました平成17年度の全国の二酸化炭素吸収量は、京都議定書に基づき、我が国が平成24年度までに達成することとしている森林吸収目標量の約7割にすぎず、目標達成のためにはさらなる森林整備が必要となっているところでございます。
 我が国の目標達成に向けた各県ごとの森林吸収量の目標は示されておりませんが、平成17年に閣議決定されました京都議定書目標達成計画においては、森林吸収源は我が国の温暖化対策において特に重要なものと位置づけ、広く国民の理解と協力を得ながら推進していくこととしており、全国有数の森林県である本県においてもこの対策を強力に推し進める必要があると考えております。
 このようなことから、吸収源対策としての間伐の重要性などを広く県民に普及啓発するとともに、国の補助事業を活用した間伐等の実施による健全な森林の整備、さらにはいわての森林づくり県民税事業を活用した針広混交林化の促進などにより、森林吸収源対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 専任司書教諭についてお答えいたします。
 学校司書と専任司書教諭配置の方向性についてでありますが、平成15年度から12学級以上の学校に司書教諭の配置が義務づけられたことにより、現在は12学級以上のすべての学校に兼務ではありますが司書教諭を配置し、読書指導や図書館を活用した学習の指導を行っているところであります。今後においても、児童生徒の指導ができない学校司書ではなく、直接指導ができる司書教諭の配置を考えております。
 しかしながら、専任の司書教諭については国の定数が措置されていないこともあり、県独自に配置する場合には新たな財政負担を伴うことになります。こういったことを踏まえた上で、現在、司書教諭を配置している北上翔南高等学校と不来方高等学校の2校での成果を十分検証し、また、それぞれの学校長の意向や専任司書教諭を希望する教員の状況を把握しつつ、配置のあり方を検討してまいりたいと考えております。あわせて、文部科学省に対して専任司書教諭の定数化を図ることを要望してまいります。
 次に、特別支援学校の校舎の整備についてであります。
 平成22年度までの再編整備計画では、平成20年4月から知的障害のある児童を受け入れるため一関養護学校校舎の一部改修を行っているほか、平成21年4月からの松園養護学校の高等部設置に向けた新たな校舎建設、みたけ養護学校の高等部設置に向けた現在の青山養護学校校舎の一部改修を進めることとしております。
 これまでの特別支援学校の整備は、障害の重度・多様化や高等部生徒の急増に対応するため、学級の増設、教員の増員が優先となり、施設の整備には十分に手が回らなかったことは否定できず、私も4月以来、特別支援学校を訪問して、施設の狭隘化や教室不足については早急に改善をしなければならない課題であると強く認識しているところであります。こうした状況から、平成22年度までは現在の計画に基づいた整備を着実に進めてまいりますが、平成23年度以降、残された課題についても可能な限り早い時期に改善が図られるよう、今後の財政見通しも踏まえながら具体的な計画を検討してまいります。
〇3番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
 2点、再質問させていただきます。
 まず、30人以下学級などの教育条件整備についてですけれども、岩手県では東北で一番遅く少人数学級が実施されました。2006年から導入されましたけれども、よさもあります。特色として、すこやかサポートといいまして、先ほどお話がありましたように、ことしであれば30人以上のクラスにはサポートを1人配置するということになっていたわけです。そういうよさはありますが、東北の他県に大きく水をあけられております。全国学力テストで正答率の高かった秋田県では、かなり早くから少人数学級を実施していたこと、それが功を奏したと秋田県の県教委の弁として新聞報道されました。それから、6月に視察をしました青森県、そこの少人数学級を実施しているところの教頭先生はこうおっしゃっていました。本校では、中学生になってから新たに不登校になった子は一人もおりませんと明言しておりました。このように、少人数学級というのはさまざまな面でプラスになると考えます。
 育った県の違いによってこのように教育が変わってしまうというのは、子供たちにとっては不利益だと考えます。ぜひ早期の少人数学級導入に向けた確たる御答弁をいただきたい、そう思います。岩手の子供たちのためでございます。もう一度御答弁よろしくお願いいたします。
 それから、もう一点でございますけれども、障害者の自立支援の項の雇用のところでございますけれども、県等の教育委員会は、法定雇用率2.0%に対して1.23%と特にも低くなっており、これが問題になっているというふうに聞いております。採用時などに障害者枠を設けるなどして、やはり範を示すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
 以上、御答弁よろしくお願いいたします。
〇教育長(相澤徹君) 少人数学級についてお答え申し上げたいと思います。
 岩手県全体として限られた財政制約の中で先生を配置しているわけでありますけれども、そういう先生方全体をどういうふうに配置していくか、少人数学級に割り振る分、それから、いわゆるチームティーチングを含めて少人数指導でやっていく部分、どういう形が一番効率的で子供たちのためになるのか、これを相当しっかり考え抜かなければいけない、こういうふうに思っております。制約がない中であれば早急に動ける部分もあるのでありますが、制約がある中でどういうふうに考えていくか、最もいい配置の仕方はどうなのか、そこをしっかり検討し抜いて方向づけを行っていきたい。今、その検討作業をやっている最中でございます。
〇総務部長(川窪俊広君) 県職員、また教育委員会を含めまして、公務の世界における法定雇用率についてでございますが、法定雇用率を達成すべく、採用につきまして、先ほど申し上げましたような特別な選考試験なども通じまして努力しているところではございますけれども、職種によりまして、例えば教員の皆様方のように免許が必要だというような職種におきまして、免許をお持ちの方がどうしても少ないというような場合に法定雇用率を達成し切れていないというような職種もございます。ただこれは、法定雇用率という仕組みがある中で、県も多くの職員を採用して行政サービスをやっていく次第でございますので、達成に向けましてさらに努力をしていかなければならないと考えておりますので、一層の努力を重ねたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時21分 休憩
出席議員(46名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
14 番 高 橋 博 之 君
15 番 亀卦川 富 夫 君
16 番 中 平   均 君
17 番 五日市   王 君
18 番 関 根 敏 伸 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
29 番 新居田 弘 文 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
42 番 伊 藤 勢 至 君
44 番 小野寺 研 一 君
45 番 千 葉   伝 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43 番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時37分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小田島峰雄君。
   〔20番小田島峰雄君登壇〕(拍手)

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