令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(はぎの幸弘君) 自由民主党のはぎの幸弘でございます。
 このたびの岩手県議会議員選挙で初当選をさせていただきました新人でございますが、先輩議員、同僚議員の御配慮を賜り、早々に一般質問をさせていただく機会を与えていただきましたことに、衷心より感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、昨年10月まで3期12年間の市議会議員経験はございますが、県議会は当然ながらふなれでございますし、先週12日の代表質問から数えて9番目の質問ということもあり、既に御登壇された議員の方々の質問あるいは過去の定例会における質問と重複する内容も多々あろうかと存じます。その際は、何とぞ再確認と捉えていただき、御容赦願えれば幸いでございます。
 私の県政に対する判断基準は、二元代表制の原則を踏まえつつ、岩手県のため、県民のためになっているかを基本に据え、是々非々で判断させていただきたいと思っております。当然、知事も同様の考え方で議会に対峙しているはずですので、議場では、お互い、岩手県民の利益という共通の目標に向かって十分な議論を交わした上で、できる限り、誰もが納得できる結論を導き出すことが大切かつ責務であると考えております。
 前置きが長くなってしまいましたが、これから行う質問に対しては、私のような若輩者でも容易に理解できる明快な御答弁をいただけるよう、御期待申し上げる次第でございます。
 では、早速質問に移ってまいります。
 東日本大震災津波の復興事業や新型コロナウイルス感染症対応も一段落した昨今ではありますが、人口減少、少子高齢化社会と相まって、経済分野や福祉、医療分野、教育分野など、多岐にわたる分野にさまざまな課題が浮き彫りになってきております。
 今回は、岩手県が今後どのようにしてこれらの課題を克服していくのかについて、基本的なお考えを確認してまいりたいと思います。
 第1に、産業分野における課題について伺います。
 まずは、人口減少に伴う影響についての質問です。
 人口減少問題は、当然ながら、岩手県のみならず日本全体が抱える問題です。特に地方都市の多くは人口減少に悩まされておりますが、岩手県の場合も例外ではなく、総務省の2022年10月1日現在の人口推計によりますと、前年と比較した人口増減率では、下位から3番目という高い減少率となっております。
 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行され景気も上向き傾向であるにもかかわらず、本県の人口減少率が今後も高水準で推移するとすれば、あらゆる産業で人手不足に拍車がかかるなど、多方面の分野への影響がさらに深刻になると容易に推察できます。
 その点を知事はどのように捉えておられるのでしょうか。仮に私と同じ懸念を持たれているとした場合、今後の対策をどうお考えなのかも伺います。
 次に、農業の担い手育成についての質問です。
 特にも、岩手県の基幹産業である1次産業は、人手不足と同様に、従事者の高齢化や後継者不足が顕著になってきているのではないでしょうか。
 その点において、日本の農業の実情はどうかといえば、農林水産省が公表している統計によりますと、基幹的農業従事者数、つまり、ふだん仕事として主に自営農業に従事している人は、平成27年が175.7万人だったのに対し、令和4年には122.6万人と53.1万人減少しており、平均年齢は同じく67.1歳が68.4歳に上昇しております。
 農業は家族経営の比率が高く、農家全体のうち実に96.4%を占めております。当然、後継者も家族であることが多く、後継者を確保できている経営体のうち実に95.4%が親族であります。しかし、全体で見れば、約7割が後継者を確保できていないのが現状であります。
 では、本県の状況はどうかと言えば、平成28年2月にまとめたいわて農業農村活性化推進ビジョンによりますと、中山間地域が県土の8割を占め、平地地域に比べ人口減少の度合いが大きく、農業従事者の高齢化も進んでいるとのことです。
 本県における中山間地の現状は、農業生産額が年々減少し農地の8割を占め、農業者の8割が居住し、農家所得が減少しています。その間、担い手へ農地利用集積が進み、農家は農業を通じた地域とのかかわりが希薄となり、人口流出につながることが懸念されております。
 これらを踏まえ、今後の課題としては、農業など1次産業全体の魅力化や事業承継促進対策の充実化が求められていると思います。例えば、昨今はスマート農業といったIT化がトレンドとなっておりますが、特に高齢者はなかなかその波に乗れない方も多いのではないかと想像しますし、IT機器の整備もそれなりのコストがかかります。
 私としては、1次産業のIT化を一層進める政策を施し、後継者が容易に取り組める環境をつくることが必要であり、さらには、農地の集積化や経営体の法人化により、経営や生産量の安定化を図る努力も必要と考えておりますが、県では、その点をどのように捉え、今後どう進めていこうとお考えか伺います。
 次に、農林水産物の輸出促進についての質問です。
 知事は、米誌ニューヨークタイムズによる2023年に行くべき52カ所に、盛岡市がイギリスの首都ロンドンに次ぎ2番目に選ばれたことを引き合いに出し、世界に打って出ると公言しております。
 その中身として農林水産物の輸出を挙げておりますが、既にことしもあと2カ月余りしかない中で、ニューヨークタイムズ紙の効果を利用するといっても、余り時間がないと思いますし、今後4年間の任期で取り組むとしても、具体的な品目や量、生産者とのコンセンサス、販売先の確保など、早急にクリアしなければならない課題が山積していると思いますが、その具体策について現時点でのお考えを伺います。
 次に、中小企業への支援についての質問に移ります。
 まずは、有効求人倍率についてです。
 製造業については、県南部を中心に大企業の集積化が進んでおり、それに伴って人手不足も深刻になっております。特に、地元の中小企業の人手不足は一層深刻で、せっかく仕事の引き合いがあっても、人手が足りずお断りをせざるを得ないという企業も多々あろうかと思います。
 求人面での判断指標として有効求人倍率がありますが、県内の場合、平成22年度に0.46倍であったものが、令和4年度は1.32倍に上昇しております。この有効求人倍率は、上昇すれば就職希望者に有利ですが、反対に、企業にとっては人手不足に拍車がかかり死活問題になりかねません。
 その点において、県は現状をどう捉え、どのような状況が理想であるとお考えか伺います。
 次に、製造コスト上昇への対応についての質問です。
 厚生労働省が取りまとめた都道府県労働局地方最低賃金審議会が答申した令和5年度の地域別最低賃金の改定額によりますと、改定額の全国加重平均額は1、004円であり、初めて1、000円を超えました。昨年度961円との差額は43円でしたが、この全国加重平均額43円の引き上げは、昭和53年に目安制度が始まって以降、最高額とのことです。
 私の記憶では、以前の最低賃金は毎年3円前後の上げ幅だったものが、近年は30円前後と、従来比較で10年分を1年で引き上げるようなペースに変わっております。
 一方で、岩手県の最低賃金は854円から893円へと39円の引き上げで、これは全国で唯一の最下位となっております。これだけ見れば、せめて全国最下位を上回る引き上げを求める声が出ることも理解しますが、他方では、急激な賃金の引き上げにより企業の人件費負担が著しく増加し、エネルギーコストや物資の高騰などと相まって経営が逼迫する事態を招くことも懸念されます。
 昨今の物価高による賃金の引き上げ要望は理解するにしても、この急激ともいえる製造コストの上昇ペースが今後も続くのであれば、特に財政的に余力のない中小企業の多くが苦境に陥ることは明らかです。この点を県はどのように受けとめ、どのような施策を講じようとお考えか伺います。
 次に、中小企業への支援の拡充についての質問です。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県内でも誘致企業に対しての優遇措置メニューを整備している自治体は多いかと思いますが、既存の地元中小企業に対する支援策は限定的かつ補助金も少額なものがほとんどで、補助要件も厳しく、中小企業にとっては活用しにくいケースも多いのではないかと思っております。
 今後、支援策等の検討に当たっては、県内中小企業の実情や要望をしっかりと把握した上で、事業者がより活用しやすい内容とすべきと思いますが、県のお考えを伺います。
 次に、外国人技能実習制度についての質問に移ります。
 まずは、制度の活用状況と課題についてです。
 人手不足を補う方法として国の外国人技能実習制度を活用している企業、団体が多いのではないかと思いますが、実習生の数がふえるに当たり、失踪者の増加などの問題も浮き彫りとなっております。県は、実情をどう捉えているのか伺います。
 次に、制度を活用している企業への支援についての質問です。
 政府は、令和4年12月に技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議を設置し、両制度の施行状況の検証や外国人を適正に受け入れる方策の検討を進めており、ことし5月に検討の方向性を示した中間報告書を取りまとめました。
 それによると、現行の技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献を制度目的としているにもかかわらず、労働力確保として利用されているケースもあり、制度目的と運用実態の乖離が指摘されている。このことから、現行の技能実習制度を廃止して、人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである。他方、特定技能制度については、深刻な人手不足に対応するため、制度の適正化を図った上、引き続き活用していく方向で検討すべきであるとのことです。
 あくまで私見ですが、確かに以前は安い労働力確保の意味合いが強かったこの制度ですが、現在は最低賃金の適用や渡航費の企業負担などにより、むしろ日本人を雇うより高い労働力コストになっています。さらには、制度改革により実習期間中の転籍が可能となれば、賃金の安い岩手県にいるより、関東方面など賃金ベースの高い地域に移る実習生がふえることも懸念されます。
 それでもなおこの制度が必要ということは、それだけ労働力不足が深刻になっていることを意味しますので、県としても、国に地方の実情を訴えながら、県内で実習生制度を活用している各企業、団体の労働力確保をサポートしていく必要があると思いますが、お考えを伺います。
 次に、建設業における人材確保対策についての質問に移ります。
 建設関連の業種でも、人手不足を初め公共事業の減少などにより、不安を抱いておられる経営者も多いかと存じます。
 まずは人員の高齢化であります。国土交通省が作成したデータによると、2015年時点では、建設業における就業者の約34%が55歳を超えていました。これは、今から2年後の2025年には、建設業界に携わる30%以上の就業者が退職する時期を迎えることを意味しているため、建設業界における高齢化が課題と言えます。
 次に、人手不足も建設業界の大きな課題の一つです。私は、今から12年半前の東日本大震災津波の発災以前から建設業界は厳しい経営状況に置かれていたと記憶していますが、震災以降、復興関連工事によって経営を立て直したとしても、復興関連事業完結後を見据えて、なるべく人員をふやさないよう努めてきた企業が多いと伺っております。
 しかしながら、今後も生活インフラの整備や異常気象などの自然災害の復旧工事など、建設業に係るニーズは多いと思われますので、県としても建設業における人材確保対策について具体的に検討すべきと思いますが、お考えを伺います。
 次に、今後の原油価格、物価高騰対策についての質問です。
 経済全体の課題としては、燃油高、物価高、人件費の高騰などによる製造コストの上昇が挙げられると思います。
 まず、燃油高の高騰に対する県の支援策を調べてみますと、運輸事業者向けに1台当たり2万3、000円を支給する補助メニューなどを実施しています。しかし、燃料の高騰は運送業のみならず、農畜林業や製造業、サービス業に至るまで広範囲に影響を与えておりますので、業種別に細分化され、しかも効果的な支援策が必要だと思います。
 新聞記事によりますと、知事は、この問題も喫緊の課題として取り組むと明言されております。喫緊にと申されておられるということは、既に財政面や実施時期など具体的な裏づけや計画があってのことと理解しますが、その詳細についてのお考えを伺います。
 次に、道路整備についての質問です。
 生活インフラとしての道路整備の必要性について質問してまいります。
 東日本大震災津波からの復興関連事業について調べてみますと、今年度も引き続き各省庁において進められているようですが、土木工事などのインフラ事業はほぼ完了しました。
 しかしながら、例えば、道路整備では、確かに自動車専用道路など主要な道路の整備は進みましたが、その幹線道路につながる一般道路はどうでしょうか。私の認識としては、住民が日常的に利用する一般道路の整備は進んでおらず、昨今の異常気象による集中豪雨などで寸断されたり、経年劣化で危険な道路などが未整備のまま放置されている箇所が多く存在すると感じております。
 例えば、県庁所在地である盛岡市と沿岸部の都市を結ぶ道路の場合、幹線道路を経由するより一般道を通ったほうが早い場合もあるとか、幹線道路が何らかの事情で通行どめになった場合を考えると、一般道路の幅を拡張したり、ルートを見直し、より直線に近いルートに改良するなどして、都市間移動の時間短縮を図る必要性があるのではないかと思います。
 私の地元である遠野市と釜石市を結ぶ主要地方道釜石遠野線の笛吹峠は、道路幅が狭く急勾配、急カーブが連続するほか、自然災害で通行どめになる頻度も高く、トンネル化などの抜本的な改良を求める声が少なくありません。また、このルートは、釜石自動車道の代替ルートとして、あるいは世界遺産に登録された橋野高炉跡への内陸からの最短ルートとしても重要な位置づけがされてしかるべき道路ではないかと思います。
 これはあくまで一例であり、これ以外にも改善が必要な道路は数多くございます。遠野市を例に挙げても、道路網整備の充実について毎年のように同じ内容の要望が県に出されておりますし、ことしは新たに東北横断自動車道釜石秋田線北上ジャンクション江刺田瀬インター間直線化整備も要望に加わりました。継続要望するということは、それだけ深刻度が増している裏づけでもありますし、毎年少しずつでも事業化していかないと、継続要望が増加し、それだけ県民の利便性が損なわれることにつながります。
 このように、内陸部と沿岸部の格差是正や交流人口拡大など、岩手県をより魅力あふれる県にするとともに、県民の暮らしの利便性を高めて人口の県外流出や県内人口分布の偏在化を防ぐ意味でも、一般道路の改良工事はまだまだ必要だと思いますし、加えて、山間部を通るルートなどでは、携帯電話の不感エリアの解消も、安心・安全な道づくりのために必要かつ急務であると思います。
 この点における県の御認識、お考えを伺います。
 第1の質問はこの程度にとどめ、第2に、医療、介護分野における質問に移ります。
 まずは、医師確保、診療科偏在対策についての質問です。
 岩手県の医師数は、平成18年に2、569人だったものが、令和2年には2、700人に増加しています。単に数字だけ見れば増加しているからよいと判断しがちですが、統計的に見れば、全国順位は平成18年が47都道府県中35位だったものが、令和2年には38位に下がっております。平成18年から令和2年の間に47都道府県の平均医師数は1、313人増加したのに対し、岩手県の医師増加数は131人にとどまり、全国平均の10分の1にしかなりません。
 北海道に次いで広大な面積を有する岩手県の中に人口が散在し、しかも、交通の便が悪い中山間地で暮らしておられる方も相当数いらっしゃると考えると、医師数はもっとふやさなければならないと思いますし、さらに、診療科目の偏在も緩和するとなると、現状はとても厳しい状況にあろうかと考えますが、この点を知事はどのように捉え、どのような対策をお考えか伺います。
 次に、医師偏在指標についての質問です。
 岩手県医師支援推進室のホームページを見ますと、本県の人口10万人対医師数は、徐々に増加しているものの全国平均に比べ少ない状況にあります。また、平成30年の都道府県別人口10万人対医師数は、47都道府県中41位と低いレベルであり、都道府県別1平方キロメートル当たりの医師数にあっては46位と、最下位の北海道に次いで下から2番目となっております。
 また、厚生労働省のホームページを見ますと、人口当たりの医師数を医師の需給で調整した指標である医師偏在指標のランクでは、岩手県は47都道府県中47位、最下位となっております。これはあくまで調整中の数値であり確定ではないようですが、だからといって数値が急激に改善するということは考えにくく、低いレベルであることに変わりはないと思います。
 この実態に関し、県はどのような御見解をお持ちか伺います。
 次に、岩手県医師確保計画の達成見込みについての質問です。
 令和2年3月にまとめられた岩手県医師確保計画を見ますと、計画目標年次の令和5年度、つまり今年度までに県全体及び各二次医療圏が医師少数区域から脱するために確保すべき医師数を基礎としつつ、本県の実情を踏まえた目標医師数を定めるとともに、最終目標年次である令和18年度までに、医師偏在を解消するために確保する医師数を必要医師数として定めることとしております。
 そして、県全体の目標医師数として、令和5年度に医師偏在指標に基づく順位が全国の都道府県の下位33.3%を上回るために必要な医師数とされており、本県の目標医師数は2、817人、確保すべき医師数は359人に設定されております。
 まずは、県がみずから設定したこれらの目標値を、今年度中に達成できる見込みがあるのか伺います。
 仮に達成できない場合、少子化が進む現代において、令和18年度における必要医師数3、234人という数値の達成は一層困難になるものと推測されますが、今後どのようにしてこの目標を達成させようとしておられるのか、県のお考えを伺います。
 次に、医療、介護の一体的なサービス提供についての質問です。
 地域における医療及び介護の総合的な確保の推進に関する法律において、地域包括ケアシステムの構築が求められております。厚生労働省の総合確保方針では、関係者間での適時適切な情報共有及びICTの活用の重要性が示されており、患者の医療、介護情報を共有、閲覧できる医師情報ネットワークが持つ役割は大きなものとなっていますが、岩手県の場合は、特定の医療圏で独自に構築されているのみであるのが実情です。
 例えば、岩手中部医療圏域では、岩手中部地域医療情報ネットワークシステムいわて中部ネットが運用されており、気仙医療圏及び両磐医療圏のネットワークと連携することで、二次医療圏を越えた医療、介護の情報連携を図っております。
 しかし、近年の新型コロナウイルス感染症の影響により、施設訪問や住民説明機会が減少するなど、ネットワークへの参加施設数などが伸び悩んでおり、運営維持のため圏域4市町から財政支援が実施されているのが実情です。
 ついては、県民の安心・安全な暮らしのために地域医療情報ネットワークを活用し、県全体での医療、介護の一体的なサービスを提供するとともに、運営に係る財政支援も行う必要があると思いますが、この点に対する県のお考えを伺います。
 最後に、第3項目として、少子化対策と岩手県の将来を担う子供たちの育成に関する質問であります。
 まずは、少子化対策であります。
 人口減少問題の中にあって、少子化は特に喫緊の課題として早急な対策が必要だと思っております。岩手県の1年当たりの出生数は、昭和55年には1万9、638人でしたが、平成21年に1万人を下回り、令和3年は6、472人と、約40年でおよそ1万3、000人減少しています。
 出生数をふやすためには、医師確保や不妊治療などの医療政策の充実化だけでなく、成婚率や所得向上、子育て対策などといった複合的な要素が絡んでおり、一朝一夕に改善できるものではないと思いますし、その効果も数十年後にしか反映されないものかもしれませんが、だからこそ、今、歯どめをかける対策をしっかりと講じることが重要ではないかと私は思っております。
 この点における知事の御見解と、少子化に歯どめをかけるための対策をどのようにお考えか伺います。
 次に、ICTを活用した遠隔授業についての質問です。
 少子化に歯どめをかけるだけでなく、岩手県の将来を担う子供たちをしっかり育てることが、今を生きる私たち大人の責務でもあろうと思います。ふるさとを愛し、ふるさとのあすをつくる優秀な人材を育成することが重要であり、そのための教育体制の充実化が必須であると私は考えております。
 特に、小中学校においては、少子化の影響により少人数あるいは複式学級が増加しているのではないでしょうか。少人数での学習は、子供たち一人一人にきめ細やかな指導ができるメリットがある一方で、高校や大学進学時に学校規模が極端に変わるギャップに戸惑う子供たちも少なくないと思われます。
 そこで提案したいのですが、県内全域にICTを活用した遠隔授業体制を整備し、どの地域にいても同じレベルの教育を受けられる環境整備を促進されてはいかがでしょうか。
 私は、市議時代に、愛媛県の西条市で行われているICT授業を視察し感銘を受けました。市内の離れた2校の子供たちが、お互い画面を通じて切磋琢磨しながら学習しており、その効果として、大人数で競い合うことによる学力向上や上の学校に進学する際のギャップを解消できるなど、さまざまな効果が期待できるとのことでした。
 学習の進め方が特殊なことによる先生方のスキルアップが要求されますが、岩手県で導入する意義は十分あると確信した次第です。
 実際のところ、中学校までは各市町村の管轄であることは承知しておりますが、岩手県の次代を担う大切な子供たちの育成に取り組む上では、俗にいう縦割り行政の枠を取り払い、一体的に見渡しながら取り組む必要があると思い、あえて質問した次第です。この点における御見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) はぎの幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少に伴う影響についてでありますが、人口減少は、さまざまな需要の減少をもたらし、地域内からの各種サービス産業の撤退や減少などにつながりやすく、このことが住民の生活利便性を低下させ、さらなる人口減少のきっかけとなるなど、地域の産業や経済、コミュニティーや公共インフラの維持、存続に大きな影響を及ぼすものと考えております。
 今年度からの4年間を対象とする第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、市町村や関係団体と連携して、若年層の県内就職の促進、結婚や子育てなど一人一人のライフステージに応じた支援、働き方改革など、人口減少に歯どめをかける施策を推進することとしています。
 また、これらの施策に加え、産業、経済面では、労働力不足への対応を見据えたあらゆる産業のデジタル化による生産性向上や高付加価値化、コミュニティー対策では、地域おこし協力隊制度などを活用した地域の活性化や、空き家などを活用したU・Iターンの促進、公共インフラでは、予防保全型の維持管理による施設の長寿命化や上下水道の広域連携による効率化など、地域の社会経済システムの維持、存続に向けた対策を並行して進めることで、人口減少の負の影響を抑えてまいります。
 次に、今後の原油価格、物価高騰対策についてでありますが、本県では、これまで迅速かつ機動的に累次の補正予算を編成し、生活困窮者及び子育て世帯等への生活者支援、中小企業者や農林水産業、運輸、交通事業者等への事業者支援を実施してまいりました。
 これらの実施に当たっては、国の交付金等を活用し、その対策の規模は、令和4年度158億円余、令和5年度63億円余に上っております。
 言うまでもなく、物価高騰対策は喫緊の課題であり、県民生活や地域経済を力強く支える取り組みが今、求められています。現在、検討が進められている国の経済対策の動向を見きわめつつ、県としてもこれに呼応し、補正予算案の編成を含め速やかに対応してまいります。
 次に、医師確保、診療科偏在対策についてでありますが、県では、岩手県医師確保計画に基づき、奨学金養成医師の計画的な配置や即戦力医師の招聘等に重点的に取り組んでおりますが、今年度の奨学金養成医師の配置数は、県全体で151名となっており、平成28年度の配置開始から着実に増加しています。
 地域偏在については、今年度、県北、沿岸部に61名の配置となっており、令和3年度に義務履行を開始した養成医師から、県北、沿岸地域への配置を必須化していることから、今後県内の地域偏在は解消に向かうものと考えています。
 また、診療科偏在については、不足している産科及び小児科に奨学金養成医師の配置の特例措置等を設けているほか、本年度から新たに市町村医師養成事業に7名の地域枠を設置したところであり、引き続き診療科の偏在解消に向けた取り組みも進めてまいります。
 現在、令和6年度からの次期岩手県医師確保計画の策定を進めており、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘等に引き続き取り組むとともに、臨床研修や専門医研修の指導体制の充実等による養成医師の県内定着を促進する取り組みについて検討を行っています。
 医師不足、偏在の根本的な解消には、奨学金による医師養成などの都道府県レベルでの取り組みでは限界があることから、地域医療を守るための実効性のある仕組みを早急に創設するよう、国に対し、強力に要請しています。
 引き続きこうした取り組みを通じて、持続可能で希望ある医療体制の構築に向け、医師の確保、偏在解消に努めてまいります。
 次に、少子化対策に対する見解と対策についてでありますが、本県の人口動向は、近年は出生数の減少が続き、令和4年の合計特殊出生率も1.21と過去最低となっており、少子化に歯どめをかけることは待ったなしの課題であります。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、人口減少対策を重点事項の第1に位置づけ、要因となっているさまざまな生きにくさを生きやすさに変えていく施策を展開していくこととしています。
 令和5年度においては、県としては、国の施策を待たずに、市町村との連携により、他県でも例の少ない第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料無償化や、在宅育児支援金の創設など新しい取り組みを展開し、積極的に独自の支援策に取り組んでいるところです。
 今後の対策については、先月、岩手県人口問題対策本部会議を開催し、少子化要因の詳細な分析結果等を踏まえ、結婚支援策の強化や仕事と子育ての両立に向けた子育て支援サービスの充実などを今後の取り組みの方向性として掲げたところであり、現在実施している事業の効果や課題等を検証しながら、施策の一層の充実を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、医師偏在指標についてでありますが、医師の不足と偏在の解消は、脳卒中やがん医療などの専門医療を初め、救急医療、僻地医療など、誰もが地域で必要な医療を受けられる体制を構築していく上で、重要な県政課題であると認識しております。
 先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、県では奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘などに取り組み、その成果が上がってきております。一方で、医師不足、偏在の背景には、医師偏在指標で約2倍の都道府県間の格差があることに加え、医師の増加人数についても、首都圏などの3大都市圏が約6割を占めるなど、根本的な解消には都道府県レベルでの取り組みでは限界がありますことから、実効性のある仕組みを早急に創設するよう、国に対し、強力に要請しているところであります。
 県におきましても、今後も引き続きこうした取り組みにより、医師確保、偏在解消に努めてまいります。
 次に、岩手県医師確保計画の達成見込みについてでありますが、令和2年3月に策定した岩手県医師確保計画には、県全体の目標医師数として令和5年までに359人、二次医療圏ごとの目標医師数の合計として134人という二つの目標を掲げて取り組んできたところであります。
 県におけるこれまでの奨学金による医師の養成や即戦力医師の招聘などの取り組みにより、令和4年度までに120人程度の医師の増加となっており、本年度の奨学金養成医師の配置29人の上乗せを勘案しますと、県全体の目標医師数には届かないものの、二次医療圏全体の目標医師数134人は上回ると見込んでいるところでございます。
 先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、県では、現在、令和6年度からの次期岩手県医師確保計画の策定を進めているところでございます。引き続き計画の目標達成に向けまして、奨学金による医師の養成や即戦力医師の招聘などの取り組みに努めてまいります。
 次に、医療情報ネットワークについてでありますが、本県では、県全域を対象としたシステムとして、テレビ会議システムを活用した遠隔診断支援や遠隔病理画像診断システムなど、岩手医科大学と地域中核病院間のいわゆる病病連携を目的としたシステムの整備を行ってきたほか、全国でも先進的な取り組みとして、医療機関と市町村の間で妊産婦の情報などを共有する周産期医療情報ネットワークいーはとーぶなどを整備してきたところであります。
 また、住みなれた地域での医療、介護の支援が円滑に受けられるよう、各二次医療圏において、医療機関と介護施設等を連携する地域医療情報ネットワークの構築を推進しており、これまでに5圏域においてシステムが整備されたところであります。
 医療、介護の情報連携については、本年6月に国から医療DXの推進に関する工程表が示され、令和8年度から医療、介護分野などの情報連携基盤である全国医療情報プラットフォームを運用開始することとしております。県としては、こうした国の検討状況を踏まえ、全県的な医療情報連携体制の構築について検討していく考えであります。
 地域医療情報ネットワークの運営に係る財政支援については、県は導入経費の補助を行ってきたところであり、医療機関、介護施設などの地域の利用機関や地域包括ケアシステムの推進主体である市町村が運営費を負担するという役割分担を通じ、県と地域が連携して取り組んできたところであります。
 県としては、引き続きこうした役割分担と連携によりまして、地域の主体的な取り組みを支援してまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、農業の担い手育成についてでありますが、農業従事者の減少、高齢化が進む中、農業が地域経済を支える持続的な産業として発展していくためには、農業後継者等が就業意欲を持てる安定した所得を確保し、また、雇用の場を広く提供できる経営力の高い経営体を育成していくことが重要です。
 県内では、販売額3、000万円以上の経営体や法人化した経営体の数が増加するなど、経営規模の拡大や経営の高度化が進むほか、トラクターの自動操舵や施設野菜の環境制御など、生産性の高い農業を可能とするスマート農業技術の導入が拡大しています。
 県では、こうした動きを加速していくため、岩手大学等と連携したいわてアグリフロンティアスクールによる経営感覚の醸成や、県、農業団体で組織する農業経営・就農支援センターによる法人化に向けた中小企業診断士等の専門家派遣、農地中間管理事業を活用した農地の集積、集約化など、農業経営体の経営力向上や規模拡大を支援しています。
 また、スマート農業技術の導入拡大に向け、東北農業研究センターと連携した現地研修会の開催や国事業等の活用を進めており、今後とも、本県農業を牽引する経営感覚にすぐれた経営体の育成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、県産農林水産物の輸出促進についてでありますが、県では、全農岩手県本部やJA等の生産者団体、関係機関、企業等とともに、いわて農林水産物国際流通促進協議会を組織し、米、リンゴ、牛肉等を重点品目に位置づけ、アジアや北米地域をターゲットに、県産農林水産物の輸出促進に取り組んでいます。
 これまでの取り組みにより、県産農林水産物の昨年の輸出額は約55億円と、5年前に比べ約2倍に拡大しており、輸出額も過去最高額となっています。
 また、県産米について、昨年の輸出実績は約1、000トンと、5年前の約2倍となるとともに、ことしにあっても、アジア地域等を中心に既に約1、800トンの輸出が行われています。
 県としては、県産農林水産物のさらなる輸出拡大に向け、これまで構築してきた現地事業者とのネットワークを強化するとともに、海外でのトップセールスを初め、現地の量販店やレストランと連携したフェアの開催、バイヤーの招聘による産地商談会の実施などを進めていくこととしており、引き続き、県産農林水産物の魅力を発信し、輸出がさらに拡大していくよう、関係機関、団体等と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、有効求人倍率についてでありますが、ことし8月の本県の有効求人倍率は1.23倍となっており、全国と同様に産業人材の確保が課題となっている状況であると認識しており、さまざまな場面におきまして、企業の方々から人材の確保に苦労しているといった声を伺っております。
 このような状況を踏まえ、若年層の県内定着、進学等で一旦岩手県を離れた若者のUターンや、岩手県にかかわりがある首都圏等の在住者を中心としたIターンの促進に向けた取り組みを強化しつつ、外国人の受け入れも進めていく必要があると考えております。
 加えて、こうした取り組みを進めていく上で、県内の働く場が、若者や女性に魅力あるものとなっていくことが重要であると考えており、生産性向上による処遇改善や働き方改革に向けた支援の強化を図りながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、製造コスト上昇への対応についてでありますが、県が商工指導団体と連携して8月末時点で実施したエネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者影響調査では、エネルギー価格、物価高騰等の影響が継続しているとする事業者の割合は約9割となっております。
 また、原料、資材高騰への対応や価格転嫁、賃金の引き上げを現在の経営課題とする事業者の割合が高い状況であることから、中小企業にとって、コスト増への対応が大きな課題となっていると受けとめております。
 中小企業がこの課題に対応していくためには、適切な価格転嫁や生産性向上によるコスト増を吸収できる収益構造への転換が有効な方策と考えています。
 このため、令和5年7月12日に県内の経済団体、労働団体及び行政機関の連名で、価格転嫁の円滑化による地域経済の活性化に向けた共同宣言を行うなど、適切な価格転嫁に向けた環境整備を図っております。
 また、6月の補正予算において、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助を措置し、経営革新計画に基づいて生産性の向上を図り、賃上げに取り組む中小企業者の設備投資を支援するとともに、パートナーシップ構築宣言を行うことを要件とし、その普及拡大も図っているところです。
 今後も、中小企業が抱える経営課題を的確に捉え、適時適切に必要な施策を展開してまいります。
 次に、中小企業への支援の拡充についてでありますが、県では、事業者に対する経営状況に関する調査や商工指導団体からの要望、商工指導団体や金融機関などで構成するいわて中小企業事業継続支援センター会議の場での意見交換など、幅広い場面において事業者の課題やニーズの把握に努めているところでございます。それらを踏まえ、商工指導団体などと連携しながら、補助事業や中小企業者に対する専門家派遣による伴走支援の拡充など、さまざまな支援策を展開しているところでございます。
 誘致企業、中小企業それぞれが抱える課題や企業のニーズなどを十分に踏まえ、市町村の意向などもお聞きしながら、ものづくり企業への支援のあり方も含め、全県的な視点に立ち、最大限の効果が発揮でき、より活用しやすい中小企業支援策を検討してまいります。
 次に、外国人技能実習制度の実情についてでありますが、岩手労働局が取りまとめた外国人雇用状況の届け出状況によると、令和4年10月末現在の外国人技能実習生は2、744人となっており、また、国の出入国在留管理庁の公表資料によりますと、本県の令和4年の失踪者数は61人となっております。
 同じく、出入国在留管理庁の資料では、賃金等の不払いなどの実習生に対する不適切な取り扱いや、実習生側の経済的な事情を失踪の原因としていると承知しております。
 次に、企業等へのサポートについてでありますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、県としても外国人の受け入れを進めていく必要があると考えており、本年6月に実施した令和6年度政府予算への提言・要望において、新たに、国の有識者会議においてあり方の検討が進められている外国人技能実習制度について、地域の実情も踏まえた人材確保策につながる制度とすることを追加したところでございます。
 今後も、国における外国人技能実習制度の見直しの動向を注視し、関係機関等を通じた情報共有に努めるとともに、関係部局とも連携しながら、外国人労働者が働きやすく、また、安心して暮らしていける環境整備の取り組みを進めてまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、建設業における人材確保対策についてでありますが、地域の建設業は、社会資本の整備や維持管理の担い手であるほか、自然災害や高病原性鳥インフルエンザ等の発生時に即応できる存在として、地域に欠かせない重要な役割を果たしていると認識しております。
 このため、県では、地域の建設企業が担っている役割を将来にわたって果たしていけるよう、担い手の確保・育成などを重点事項としたいわて建設業振興中期プラン2023を本年3月に策定し、建設業団体等と連携して課題解決に向けて取り組んでいます。
 若者の入職促進に向けては、県内の高校生などを対象としたいわて建設業みらいフォーラムの開催のほか、高校生との協働による橋梁点検を実施するなど、建設業の魅力ややりがいを広く情報発信する取り組みを進めています。
 引き続き、建設業団体等との意見交換を行いながら、将来の建設業界を支えていく担い手の確保、育成に取り組んでまいります。
 次に、道路整備についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動や県民の安全・安心な暮らしを支える道路等の社会基盤を強化していくことが重要です。
 広大な県土を有する本県においては、東北自動車道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石自動車道や宮古盛岡横断道路の横軸に加え、これらの道路を補完し、または代替となる道路が一体となって機能することが必要であります。
 こうしたことから、幹線道路の整備とともに、緊急輸送道路等の防災機能の強化などを進めているところであり、今後とも国費など公共事業予算の確保に努めながら、災害に強い道路ネットワークの構築や日常生活を支える安全な道づくりを推進してまいります。
 また、山間部を通る道路等の携帯電話の不感エリアの解消については、県民や来訪者の安全・安心の確保の観点から重要な課題と認識しており、県ではこれまで、国や通信事業者に対し不感エリアの解消を要請してきたところであり、引き続き、道路等の通信環境の確保に努めてまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) ICTを活用した遠隔授業についてでありますが、広大な県土を有する本県においては、遠隔教育は小規模校の教育の質の保障や多様な学びの充実などに有用な方策であり、県教育委員会では、県立学校において、令和3年度から国の事業であるCOREハイスクールネットワーク構想事業を活用し、総合教育センター内に授業配信拠点を設け、今年度は葛巻高校、西和賀高校、花泉高校、山田高校、種市高校の小規模校5校に対して、延べ11科目の双方向型の遠隔授業を実施しております。
 また、市町村立の小学校におきましても、複式学級同士をオンラインで結んで双方向型の遠隔合同授業を実施し、子供たちが多様な考えに触れ、意見を述べ合う学習の場を設ける取り組みが一部の学校で進められております。
 こうした学校における遠隔授業の実施など、ICTの効果的な活用に当たっては、ICTの操作スキルも含め教員の指導力の向上が求められることから、総合教育センターでのオンライン授業実践研修講座や、GIGAスクール運営支援センターを活用した学校集合研修などを実施しております。
 県教育委員会としましても、各学校が地域の実情を踏まえ、必要に応じて遠隔授業が展開できるよう、市町村教育委員会と連携し、教員のスキルアップを目指して研修の充実に努めてまいります。
〇9番(はぎの幸弘君) ただいま御答弁をいただきました中で何点か再質問がございます。
 まず、人口減少に伴う影響については、各市町村と連携して行うような御答弁をいただきましたが、これは既に行われているものなのか、あるいは今後行う予定であるのか、聞き漏らしましたので、もう一度確認させていただきます。もし今後の予定であるとした場合は、いつごろを目途に考えておられるのかお聞かせください。
 それから、農業の部分で、法人化に向けた取り組みとして有識者、専門家を派遣しているというような御答弁でしたが、それでもなおかつ、いわゆる農家の法人化というのはまだまだ進んでおらず道半ばだと思うのですが、現状において、その課題は何があるのかを捉えておられるでしょうか。
 私とすれば、やはり経理の部分でノウハウが非常に少ないような話も聞いておりますが、そういったような課題は今あるのかないのかについて伺います。
 それから、世界に打って出るということで農林水産物の輸出、これは55億円で約2倍になっているというお話でしたが、私とすれば、県全体で捉えれば桁が違うのではないかと思います。やはり100億円単位の売り上げを目標とすべきだと思いますが、目標値をどう捉えているのか伺います。
 それから、製造コストの上昇で各中小企業は苦しんでいるということで、これには適切な価格転嫁が重要だとおっしゃっていますが、それが簡単にできれば何も苦労しないわけで、やはり取引先としては、そこが重要な課題になっております。これは、県レベルの問題ではなくて国全体の指導というものが大事だと思うのですが、その辺を国にきちっと働きかけているのでしょうか、お伺いいたします。
〇政策企画部長(小野博君) 人口減少対策に係る市町村との連携ということで、これまでも、人口減少対策について市町村と連携しながら進めていくことは、極めて重要ということで取り組みを進めております。特にいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを推進するに当たりまして、市町村長、それから副市長村長、さらに課長等実務レベルの重層的な連携の体制がございますので、これを活用して、人口減少対策について、県と市町村が連携することによって高い効果が得られるものは何かということを県としても御提案しながら、連携の取り組みを進めているところでございます。
 これについては、今後も引き続きこういう場を持ちながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 2点御質問をいただきました。
 まず、農業経営体の法人化という課題でございます。農業経営体の法人化につきましては、この10年間で見ますと、農林センサスの数字で見ますと、平成22年が約400経営体だったものが、令和2年には700経営体ということで、約1.6倍にふえている状況です。
 その中で一番特徴的なのは、一つは、集落営農組織について任意組合的に組織されていたものが、やはり法人化にあたり経営の高度化が必要だろうということで、集中的にこれを法人化してきたというところがありますし、また、個々の経営体については、規模を拡大しながら法人化を今進めている状況でございます。
 そういった際の課題といたしましては、一つは、専門家については、中小企業診断士のほかに税理士、それから社会保険労務士などを派遣しているところです。経理の問題もあるのですが、やはり就業規則について、農業分野では人を雇用することについてはまだまだきちんと中小企業ほど整備されていないという実態もございますので、就労規則をしっかり整備した上で、あとは厚生福利といった関係も整えながら、民間企業と同じような経営体、雇用形態をつくっていかないと人が来てくれないということで、そういう課題に集中的に、あるいは税理面での指導を強くやっているところでございます。
 また、輸出に係る目標値として100億円ぐらいを目指すべきではないかという質問でございました。本県の農林水産物の輸出につきましては、先ほど協議会のことを申し上げましたが、平成20年ぐらいから本格的にスタートしたところで、今15年目ぐらいとなっております。
 スタート時点では32億円ぐらいの輸出額があったのが、東日本大震災津波で5億円ぐらいまで大きく下がったところを、今55億円まで戻してきたという実態でございます。
 令和8年までに令和4年の2倍ぐらいということで90億円ぐらいを目指すという形で、第2期アクションプランの4年後の目標では約70億円という目標を設定して、幾らかでも増加させようという形で取り組んでいるものでございます。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 価格転嫁の取り組みについてでございますけれども、国に対しましても、全国知事会等を通じまして、円滑な価格転嫁を含めまして、中小企業が賃上げをできる環境整備を整えるようにという形で要望を行っております。
 それから、御紹介いたしました経済団体等との共同宣言でございますが、あるいはパートナーシップ宣言もそうなのですが、国からも県に対してこういう取り組みをやってくれということを受けて、一緒にやっておりますし、共同宣言も、県と経済団体が一緒に、東北経済産業局長も名前を連ねて共同宣言をやっているなど、国と一体的に進めているものと考えております。
〇9番(はぎの幸弘君) 有効求人倍率のところで、U・Iターンあるいは外国人の確保に努めるというようなお話でしたが、今、岩手県が抱える問題として、若い女性の流出が深刻な問題になっているというところがあると思います。別に性別で色をつけるということではないのですが、少子化等とも連携して考えれば、特に若い女性の皆さんに岩手県に残ってもらえるような対策が必要だということは、誰もが感じるところだと思うのですが、その点はどのような対策を考えておられるのか伺います。
 医師の偏在についても同じくなのですが、特に産科、婦人科といった部分、これもやはり人口減少に歯どめをかけるためには連携して、同時に進める。どの診療科ももちろん大事ですけれども、特にそういった産科の充実というのは何か特別やられているのか、この2点伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 女性の県外流出を防ぐための取り組みになりますけれども、さまざま行っているのですが、一つは、大きいところでは、どうしてもものづくり系の企業の誘致が多いわけでございますけれども、やはり女性の働く場というのも意識しながら、例えば、総務部門の事務を一括で請け負うような企業の誘致ですとか、そういうものにも取り組みながら、女性の働く場をつくっていくことです。
 それから、若者たちに対して、高校生、大学生含めてですが、特別に女子学生と企業との意見交換の場も設定しております。あと、事業といたしましては、今年度、若者や女性に魅力ある職場づくりを進めるための補助金なども用意して、働き方改革とか女性登用とか、いろいろなものに取り組むような企業に対する支援などを総合的に行いながら、女性の流出に対する対策として講じているところでございます。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 産科の医師不足対策ということでございます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、岩手県医師確保計画の中では、産科と小児科に関しましては、特に確保すべき診療科ということで、独自に具体的な目標数を掲げて取り組みを進めております。
 また、具体的な取り組みといたしましては、先ほど知事からも若干御答弁申し上げましたけれども、地域枠等の奨学金養成医師については、中小の医療機関に2年間は勤務していただくというルールを設けているのですが、産科医、小児科医に関しましては、その中小に行くべき2年間についても、周産期母子医療センター等の産科医療機関で勤務することで見直すといったような特例で運用しています。
 そのほか、医療局奨学金の中に産科医の特別枠、また、先ほど知事からも御答弁申し上げましたが、今年度から市町村医師養成事業の中に7名、産科と小児科と総合診療科ですけれども、こういった少ない診療科の枠ということも運用開始しておりますので、政策効果発現には少々お時間をいただきますけれども、将来的に、こういった少ない診療科の医師、特に産科の医師の確保に向けて、さまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって、はぎの幸弘君の一般質問を終わります。
   
〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時0分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番田 中 辰 也君
2  番畠 山   茂君
3  番大久保 隆 規君
4  番千 葉 秀 幸君
5  番菅 原 亮 太君
6  番村 上 秀 紀君
7  番松 本 雄 士君
8  番鈴 木 あきこ君
9  番はぎの 幸 弘君
10  番高橋 こうすけ君
11  番村 上 貢 一君
12  番工 藤   剛君
13  番小 林 正 信君
14  番千 葉   盛君
15  番上 原 康 樹君
16  番菅野 ひろのり君
17  番柳 村   一君
18  番佐 藤 ケイ子君
19  番高 橋 穏 至君
20  番佐々木 宣 和君
21  番臼 澤   勉君
22  番福 井 せいじ君
23  番川 村 伸 浩君
24  番ハクセル美穂子君
25  番高 田 一 郎君
26  番木 村 幸 弘君
27  番佐々木 朋 和君
28  番吉 田 敬 子君
29  番高 橋 但 馬君
30  番岩 渕   誠君
31  番名須川   晋君
32  番軽 石 義 則君
33  番神 崎 浩 之君
34  番城 内 愛 彦君
35  番佐々木 茂 光君
36  番佐々木   努君
37  番斉 藤   信君
38  番中 平   均君
39  番工 藤 大 輔君
40  番郷右近   浩君
41  番小 西 和 子君
42  番高 橋 はじめ君
43  番五日市   王君
44  番関 根 敏 伸君
45  番佐々木 順 一君
46  番岩 崎 友 一君
47  番千 葉   伝君
48  番飯 澤   匡君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時22分 再開
〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。菅野ひろのり君。
   〔16番菅野ひろのり君登壇〕(拍手)

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