令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇8番(米内紘正君) 自由民主党の米内紘正でございます。
 発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書の提出に、反対の立場から討論いたします。
 まず、先ほどの質疑で明らかになりましたとおり、本発議案において、選択的夫婦別姓制度を強く要望するにふさわしい合理的理由は、一切記述されておりません。選択的夫婦別姓制度については、発議案の調査結果にあるとおり、多様な意見が出ており、県議会で十分な議論がなされないまま住民を代表する岩手県議会の総意として提出することは、いささか乱暴ではないかと思います。
 自由民主党においても、国会議員100人を超える選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟が設立された一方で、婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟も設立されており、積極派と慎重派の双方が存在します。
 夫婦の氏については、国全体で議論を深めていく必要がある案件であり、発議案に記述されているとおり、最高裁判所においても、国会で論ぜられ、判断されるべきと指摘されております。
 県議会議員が、各自、夫婦の氏制度に対して公約に掲げて選挙を戦っているわけでもなく、岩手県内の調査もしていない中で、合理的理由が記述されていない本意見書を国に提出することについて、納得のいく説明を賛成討論の中でいただきたいと思います。
 今回、我々が論点としていることは、選択的夫婦別姓のメリット、デメリットや夫婦同姓制度のメリット、デメリット、選択的夫婦別姓の推進や反対ではありません。先ほど申しましたとおり、自由民主党でも意見が割れております。この後の賛成討論でお聞きしたいのは、なぜ今、県議会で十分な議論もなされずに、県民の総意として意見書を国に提出しなければならないのか。県内調査の結果すらない状態で意見書を提出することは、余りに拙速ではないか。なぜ、内閣府の調査で一番の多数派となっている夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用の法制度を設けることを要望する意見書ではだめなのか、賛成討論では、そこをお聞きしたいと思っております。それ以外は、我々の申し上げる論点と違いますので、議論にはなりません。
 また、選択的夫婦別姓制度の導入に当たって、国の根幹システムをどのように考えているのかということも、本議案には記述されておりません。例えば、戸籍制度をどのようにするのかということでございます。このような論点だけでも、本会議場だけでは議論を尽くすことができません。
 今回の議案は、交渉団体会派の共同提案ではなく、単独提案になっております。請願審査などと違って、議員発議による議案は、常任委員会による審査がない中での本会議場における採決になっております。そのような中で、本会議場の質疑時間もかなり制限されており、会派単独提案による議案は、内容に関する議論がなかなか深まりません。結果として、今回の意見書の提案理由のように、誰が読んでも支離滅裂で、粗雑かつ論理破綻しているような、全く選択的夫婦別姓制度を要望する理由になっていない、岩手県議会の議論の熟度が疑われるような意見書ができ上がってしまうのではないでしょうか。
 選択的夫婦別姓制度を推進する方たちは、もっと合理的な納得のいく理由を掲げていますから、その方たちの思いもむげにすることになります。
 今後、岩手県議会から不完全な意見書が、国に提出されることがないことを願って、反対の討論といたします。御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、高田一郎君。
   〔13番高田一郎君登壇〕

前へ 次へ