令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(米内紘正君) それでは、選択的夫婦別姓制度の導入を強く要望する発議案につきまして、その理由をお聞きいたします。発議案には、その理由が3点記述されていますので、一つずつお聞きいたします。
 まず1点目、昨年3月に公表された内閣府の家族の法制に関する世論調査の結果を理由に上げられていますが、記載されている結果には、同姓制度を維持したほうがよい27%、同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用について法制度を設けたほうがよいが42.2%、選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよいが28.9%となっています。
 同姓制度を維持したほうがよいとする意見と同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用の法整備を進めたほうがいいとする意見が合わせて70%、選択的夫婦別姓の導入のほうは30%弱となっておりますが、この結果が、なぜ7割の意見を切り捨てて、選択的夫婦別姓制度を強く要望する、この理由にどのようにこの調査結果がつながっているのかお知らせください。
〇17番(佐藤ケイ子君) 通告をいただきましたけれども、この通告の中身が、項目が全くなくて、的確に今の質問にお答えできるのか少し不安なところもありますけれども、今の質問の趣旨を間違えないように答えたいと思っております。
 今、通称使用、それから選択的夫婦別姓ということが70%と世論調査で出ているということの発言がございました。これは選択ですから、必ず別姓にしろというものではないわけでありまして、そうすると、この名字を変えたくないという30%の方、名字を変えないで旧姓の通称使用をしたいという方の両方に、これはメリットがあることだろうと思っております。
 また、この旧姓の通称使用ができないことによって、今まで本当に不利益をこうむった方々の思いにどのように応えていくかと。これは政治の責任、今までの政治の不作為とも言えることではないかと思っていますが、そうした困っている方々の思いに応えるべきではないかと思っております。
〇8番(米内紘正君) 論点を間違えないでいただきたいのは、今回、選択的夫婦別姓制度のメリット、デメリット、同姓制度のメリット、デメリットについてお話しするわけではありません。自由民主党においても、国会議員100人を超える選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟もあります。また、婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟もあります。つまり意見が分かれている状況であります。
 その意見が分かれている中で、そして、この理由に上げられた数値というのは、普通に考えたら、同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよいという意見が42%で一番の多数派を占めているわけですから、これを要望するなら理屈が通りますけれども、なぜ、この調査結果を出した上で、夫婦別姓制度を強く要望する理由となるのか。つまり、調査結果が理由になっていないのです。
 意見書案のこの内容が支離滅裂になっているのです。どちらかというと、このデータは慎重派の方の論拠になるデータなのです。だから、県の調査、県内の調査結果とかをしっかりつけないと、これが意見書として渡ったときに、何でこのデータで夫婦別姓制度を強く要望しているのだろうかと、まず疑問になりますよね。なぜこのデータを使っているのかをお聞かせください。
〇17番(佐藤ケイ子君) 県内の意向調査もせずというところがありましたけれども、これは、県政の課題というよりも国政の課題であります。国政の課題について県内調査をするというのは、かなり難しい問題であります。そして、これは各市町村議会でも多くの意見書が上げられているということからしても、県内の市町村議会の状況からしても、人口の多くが、この選択的夫婦別姓を求めていると考えてもいいのではないかと思うところであります。
〇8番(米内紘正君) 県民の意向を取りまとめた上で、住民を代表する県議会が総意として出すものがこの意見書でございますので、だったらこの調査ではなくて、本当に岩手県民の意向がこうですよ、だから国でも議論してくださいねと出すのが筋なのではないか。
 去年もおととしも出ていますけれども、それは県内の調査を怠ってきたゆえではないでしょうか。これは全国の結果でございますから。
 また、割合が一番多い同姓制度を維持したまま、不便がないように旧姓の通称使用の法整備を要望しない理由は何ですか。一番多い40%の方がそれを要望しているのに、今回提案する意見書がそうではない理由を教えてください。
〇17番(佐藤ケイ子君) 旧姓を使用することによって、戸籍上は名字が変わっているのですけれども、通称上、旧姓を使用することを望んでいる方も結構います。ですが、これは、実際に今も通称使用している方々がたくさんいらっしゃいますけれども、戸籍上と違うということで非常に煩雑さ、不利益をこうむっているという実例があるわけです。ですから、私は、柔軟に選択できる法制度を考えるべきだという立場で申し上げております。
〇8番(米内紘正君) 不利益をこうむらないように、旧姓を通称使用する法整備を進めた方がよいという方が40%いますので、そこが意見書の1番になるのが普通なのではないかと思っております。ですから、そもそも、この意見書に対してこのデータをつけるのは、間違っていると私は思っております。
 2点目の理由で、最高裁判所の判決を理由に上げられています。最高裁判所で時間をかけて出された判断が、国会で論ぜられ、判断されるべきというものが、今回、選択的夫婦別姓制度の導入を県から強く要望する理由にはつながっていない。国会で論ぜられ、判断されるべきなのに、県議会で全く議論もなされずに、県民の総意として今判断をしなければならない理由を教えてください。
〇17番(佐藤ケイ子君) データが間違っているということは当たらないのではないかと思っております。一定程度、本当に選択的夫婦別姓の制度をつくってほしい、それから、旧姓の通称使用についても法制度を求めたほうがよいという意見も確かにありますので、全国で柔軟な対応ができるには選択的夫婦別姓というのがいいのではないかという提案がされているわけです。
 それから、裁判所の判断がありますが、裁判所の判断は、国会で議論をするべきだということを言っているわけですね。ところが、国会ではなかなか議論されてこない。そのような中で、国でも、法制審議会でも答申を出しているのですが、なかなか国会で議論されない、だから成立もしない。
 それに対して、地方から、国民の思いというか、そういうものを地方議会から上げるのは当然ではないですか。国が決めることだから地方議会が何もしなくてもいいということではないと思います。さまざまな意見を地方から発信していく、国の制度を変えていくというのも、やはり地方議会の責務だと私は思っておりますので、ぜひ、こういった意見をどんどん上げられるようにしていきたいものだと思っております。
〇8番(米内紘正君) 私が話しているものと全然論点が違っているのです。地方議会から上げていくのであれば、しっかり地方としてもっと議論するべきだし調査もするべきであると思うのです。結局、そのような内容が全く何もない中で、意見が分かれている中で、この選択的夫婦別姓制度の導入のみを強く要望する理由には当たっていないのです。
 だから先ほどの、データも別に間違っていないのですが、この意見書を提出する上でのデータはこうではないということですね。例えば、先ほど市議会で決議、意見書が出ているなら、そちらのほうをここに記入すればいいですし。つまり、今回この議案の理由と最後の結論のところが全然結びついていないのですね。
 3点目に上げられています理由、意見書案の中で、家族の多様化が進む中の後です。旧姓を通称使用する人や事実婚を選択するカップル、改姓によるキャリア分断を一つの理由に掲げられていますが、これも、実は同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法整備をすることによって解決できる問題なので、理由になっていないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇17番(佐藤ケイ子君) 旧姓使用をできるということにしても、戸籍上認められていないと、本当に煩雑、不利益をこうむっているのです。ですので、特に政治家などが一番象徴的かもしれませんけれども、旧姓で立候補したほうが有権者の支持を得られやすいというのがずっとあって、今もそういうふうにやっている方々がたくさんいらっしゃるわけですね。
 だから、旧姓使用をする人に対して、旧姓を使用しているのと、戸籍上の氏と変わるというのは、すごく煩雑な問題なのです。とにかく選択肢を広めてほしいと思っています。
 それから、論点がずれているとおっしゃるのですけれども、タイトルだけで通告していて質問通告書には何も通告項目がないのですよね。議論を深め、論点が違うということをおっしゃりたいのであれば、もう少ししっかりとした通告書を出していただけないでしょうか。
〇8番(米内紘正君) 別に私はデータについて聞いているわけでもありません。通告に関しては、この意見書案に書かれていることしか聞いておりません。この意見書案に書かれている内容がもしわかっていらっしゃるのであれば、この意見書案以外のことは今、一切聞いておりませんので、この内容だけ聞いておるところでございます。
 確かに、不利益をこうむるということは私もよく聞きます。やはり女性の社長は、銀行口座の名義やパスポートの名義などを全部変えなければいけない。だから、その不便を解消したいという方が、家族の法制に関する世論調査の結果では、42%で一番多くなっている。旧姓を通称使用するときに、そういう不便さを全部なくしましょうよというのが、一つの意見なのですね。
 だから、調査結果もないのでその選択肢を県民が望んでいるか望んでいないかがわからないわけです。今回、いろいろな意見がある中で、その選択肢を排除してしまう理由が私にはわからないのです。
 先ほどから戸籍のお話をされていますけれども、すなわち、選択的夫婦別姓制度を導入して、戸籍制度を廃止するべきだということでよろしいのですか。
〇17番(佐藤ケイ子君) 選択肢を排除するということではありません。選択肢を広げるということで、この法制度の柔軟な対応というか制度の見直しを求めているのです。
 それで、戸籍法上のことですけれども、例えば、離婚したときは、戸籍法第77条の2の規定によって、結婚していたときの名字をそのまま名乗れるのですよ。ただ、新たに結婚したときは、必ず同じ姓にならなければならないのですね。そういったことでも、名字によって、あ、結婚した、離婚した、ああ、また結婚したとか、本当に、これはそういう思いになって、実際にそれを体験した人じゃないとわからないかもしれないのですけれども、本当に不便ですし、人生全て色めがねで見られたり偏見もあったり、大変なのですよ。
 だから、この選択肢を排除するのではなくて、選択肢を広げるために制度を見直ししてほしいという、そういう意見書であります。
〇8番(米内紘正君) そういう御意見であれば、ますます最初のほうの段落とどんどんつながってこなくなってしまうのですね。最初のこの調査結果は、同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよいという方が42%。そうではない、同姓制度を維持しない選択的夫婦別姓制度を導入する、ここには差があるわけですね。
 そうすると、さっき私がお聞きしたことにお答えいただいていないのですけれども、つまり、これは戸籍制度を廃止するという意見書になるのですか。
〇17番(佐藤ケイ子君) これは、戸籍制度を廃止するということにはつながりません。これはもう、30年くらい前から、この夫婦別姓になったときの戸籍制度は、既に、法制審議会もですし、実務的にやる法務局のほうでも検討しているのです。それを国会が議論を全然しないわけですから進まない。だから、戸籍制度が廃止ということにはなりません。
〇8番(米内紘正君) 選択的夫婦別姓制度の議論は、やはりそこの戸籍制度にもつながってくるわけで、そこはしっかり、意見書を提出するなら、その議論の核になるところを記載するべきだと思うのですね。戸籍制度に対しても何の言及もされていないわけです。そうすると、この意見書をもらって、どういうふうにこの意見書を理解すればいいのか。
 私は、今回のこの意見書の構成に対して大変疑問を覚えているので質疑をしているわけですけれども、どうしてその辺を全部記載せずに、特に、先ほど言いました、理由になっていない三つをここに記載してしまって、何かあやふやにしてしまっているのか、お聞きできたらと思います。
〇17番(佐藤ケイ子君) この発議案に当たっては、私どもは、私が各会派に、発議案調整会議に持っていってほしいと言った案は少し違ってはおりましたけれども、各会派の調整会議の中で、文言を整理したり、また、今までのこのスタイルを直すという形の中で、かなりの修正がかかってきました。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 そして、実際に困っている方々の問題、それから、国連からも指摘されている問題、最高裁判所からも指摘されている問題、そういうことが国会で全然議論されていない。そういう問題点を地方議会から発信することに大変意味があると思っております。この文言とか整合性という━━━ことをおっしゃるのですけれども、大きな意味で、この制度に対して国が動きをつくってほしいということであります。
〇8番(米内紘正君) 大変よくわかりました。そうなると、タイトルは、国会での議論を求める意見書になるのではないですか。
〇17番(佐藤ケイ子君) こういう意見書を出すことによって、国において、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を行うよう要望する、こういう意見書を出すことによって、これが各地方議会から、それから各団体から出されることによって、議論が出てくる。国会での議論を促すことができるために、地方議会からの意見書というのはあるわけでありまして、何といいますか、趣旨が違うと言うには当たらないと思います。
〇8番(米内紘正君) この20分間の議論を聞いて、私も、これは夫婦の氏の制度について、国会での議論を強く求める意見書なのだろうと理解したところでございます。
 あと一つ、タイトルがあれば細かいところはいいのだというお話がありましたけれども、それは、今後の議会活動に大きく影響が出てくるかもしれない。やはり岩手県議会の品位を落としてはいけないのだろうなと。しっかりタイトルに対して、それがどういう理由で、県民がこういうふうに思っている。県民の総意、住民の代表が岩手県議会、その総意となる意見書でございますから、岩手県民がどういうふうに考えているのか、それをしっかりと把握した上で、それを記載して、国会での議論を求める意見書になるのが普通なのかと思います。
 終わります。
〇17番(佐藤ケイ子君) 議長にお諮りいただきたいのです。今の発言の削除を求めたいところがあります。それは私の発言です。
 今あった、━━━━━━━━━━━━━━━というような趣旨を、そのように解釈されるおそれがあるということでありますから、そこは、私の発言を削除していただきたいと思って、発言の削除をお願いいたします。
〇議長(五日市王君) 少々お待ちください。
   
   発言取り消しの申し出について
〇議長(五日市王君) お諮りいたします。佐藤ケイ子さんの申し出のとおり、発言の取り消しを許可することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(五日市王君) 御異議なしと認めます。よって、佐藤ケイ子さんからの発言の取り消しの申し出を許可することに決定いたしました。
   
〇議長(五日市王君) 以上で通告による質疑は終わりました。これをもって質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第4号は、会議規則第34条第3項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(五日市王君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第4号は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。米内紘正君。
   〔8番米内紘正君登壇〕

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