令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書案に対し、賛成討論を行います。
 今、世界では、夫婦同姓を法律で義務づけている国は、残念ながら日本だけであります。国連の女性差別撤廃委員会でも、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務づけることは女性差別であり、直ちに改正すべきだと何度も勧告してきました。夫婦別姓を可能にする法改正は、待ったなしの課題であります。
 現在も結婚時に改姓する、姓を改めるのは女性が96%であります。姓の変更を強制していることは、仕事や社会生活を送る上でのさまざまな不便、不利益をもたらし、自分のアイデンティティーを奪われると感じるなど、個人の尊厳を脅かしています。
 夫婦同姓を求める現行規定は、法のもとの平等、そして婚姻の自由など、憲法に反すると多くの裁判が全国各地で戦われてきました。当事者の自由な意思決定に現行法である民法が制約となっていることは明らかだと思います。
 夫婦同姓の義務は、明治憲法で男性優先の家族内秩序がつくられ、女性は法的に無能力者とされた男尊女卑の社会でつくられたものであり、そもそも時代錯誤であります。
 1996年には、法務省の法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法の改正を答申しています。しかし、自由民主党を中心に古い価値観に固執する一部の勢力が、変化を拒み続け、今日に至るまで法改正の実現を阻んでいるのであります。
 反対する勢力は、夫婦別姓は家族のあり方に深くかかわるという言い分であります。本音を言えば、家族のきずなが壊れるということだと思います。しかし、そんなことはありません。同姓だからきずなは崩れない、別姓だからきずなは崩れるということに何の根拠もありません。内閣府の家族の法制に関する世論調査では、別姓で家族の一体感、きずなが弱まるという人は3割、影響ないはその2倍の6割で、国民の認識とのずれは明らかであります。
 大体、家族のあり方は、国が上から指示して決めるものではありません。家族のあり方は多様であって、当事者の自由な選択に任されるべきであります。それが、憲法が規定している個人の尊厳ではないでしょうか。
 もう一つ、国民の間にもさまざまな意見があるということであります。岸田内閣総理大臣も、選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟のメンバーになっています。しかし、国会では、国会議員から質問されれば、国民の間にさまざまな意見があると後ろ向きの発言を繰り返しています。
 毎日新聞の世論調査でも69%が賛成、政府の調査でも、婚姻が一番多い30代で84%が賛成。圧倒的多数が賛成だという結論が出ています。若い世代の将来にとって、足かせとならないような制度をつくるべきではないでしょうか。
 もちろん反対の方もいらっしゃいますが、さまざまな意見があって、最後まで一定の反対が残ったとしても、選択制ですから、誰もこれによって不利益をこうむることはありません。さまざまな意見があったとしても、選択的夫婦別姓制度を導入しない理由にはならないと思います。
 世界経済フォーラムが、ジェンダーギャップ指数2023年版を先月公表いたしました。日本は、前年の116位から、さらに順位を下げて146カ国中125位でした。主要7カ国、G7の水準に遠く及ばないだけでなく、開発途上国や軍政国家を含む東アジア、太平洋地域の中でも最下位という不名誉な位置にあります。
 その責任は、挙げて政治にあります。歴代の政権は、男女共同参画や多様性の尊重などと言いながら、本気で男女格差の是正、ジェンダー平等に取り組んできませんでした。
 家族のあり方は多様化し、夫婦、家族の形はさまざまです。個人の選択に寛容な社会をつくっていかなければなりません。
 現在でも、11都道府県議会を含め359自治体で意見書が可決されています。男女がともに活躍できる社会の実現のために、選択的夫婦別姓制度を法制化することは急務であります。
 以上が賛成する理由であります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、発議案第4号は、原案のとおり可決されました。
   
   日程第31 発議案第5号社会保障制度の整備、子育て施策、ふるさと振興の推進等のための地方財政の充実、強化を求める意見書から日程第41 発議案第15号ローカル鉄道の維持・確保に向けた支援の強化を求める意見書まで
〇議長(五日市王君) 次に、日程第31、発議案第5号から日程第41、発議案第15号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各交渉団体会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(五日市王君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第5号から発議案第15号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立全員であります。よって、発議案第5号から発議案第15号までは、原案のとおり可決されました。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
   議長の挨拶
〇議長(五日市王君) 今期定例会を閉じるに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 平成23年3月11日、かけがえのない多くの命と財産を奪った東日本大震災津波から、間もなく12年4カ月が過ぎようとしております。お亡くなりになられました方々に哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 また、世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました方々に哀悼の意を表しますとともに、感染を経験された皆様にお見舞いを申し上げます。
 私ども議員一同は、令和元年9月に、県民の皆様の負託を受けて岩手県議会に議席を得て以来、早くも4年の歳月が流れ、今、ここに任期最後となる定例会を閉じようとしておりますことは、まことに感慨無量なるものがございます。
 本県議会では、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、引き続き、東日本大震災津波復興特別委員会を設置し、復旧、復興の現状や課題の把握、今後の復興の取り組みの方向性について、積極的に議論を交わすとともに、それらの結果を踏まえて、県や国などに対し要請を重ねるなど、被災者一人一人に寄り添った復興を目指して、議員一同、全力で取り組んでまいりました。
 令和3年2月には、東日本大震災津波を語り継ぐ日条例が制定され、東日本大震災津波の教訓を伝承するとともに、復興の姿を国内外に発信していく取り組みが進められております。
 また、被災地においては、令和3年3月末までに、応急仮設住宅の全ての入居者が恒久的な住宅に移行し、同年12月には、三陸沿岸道路等の復興道路が全線開通となり、県土の縦軸と横軸を構成する新たな道路ネットワークが形成されるなど、復興は着実に進んでおります。
 しかしながら、残された社会資本の早期の整備、被災者の心のケア、主要魚種の不漁対策等の事業者支援、今後発生が予想される巨大地震、津波への備えなどに、引き続き、県当局及び議会が全勢力を挙げて取り組む必要があります。
 この4年間を顧みますと、県民一丸となって震災からの復興に取り組んできたところでありますが、令和元年台風第19号災害などの自然災害、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、さらに、これに追い打ちをかける原油価格、物価高騰により、東日本大震災津波からの復興に取り組む被災地はもとより、県内全域にさらなる苦難をもたらしました。
 他方、令和3年には、一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群が、本県3件目となる世界遺産として登録されました。
 本年6月4日には、本県では、昭和49年以来、49年ぶりの開催となった第73回全国植樹祭が、天皇皇后両陛下の御臨席を賜り、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開催されました。式典では、来賓の方々を初め、県内外から多くの方が参加され、本県の豊かな森林と林業への理解醸成とともに、東日本大震災津波からの復興の姿が国内外へ発信されました。
 また、スポーツ、文化芸術分野における本県ゆかりの方々の目覚ましい活躍は、多くの県民に誇りと希望を与えました。
 県議会におきましては、地方議会の役割と責任の重要性が増す中、岩手県議会基本条例にのっとり、二元代表制の一翼を担う合議制の機関として、県民の負託に的確に応えるため、新型コロナウイルス感染症に係る政府の緊急事態宣言が出された令和2年4月には、岩手県議会災害対策連絡本部を設置、翌年の令和3年10月には、新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会を設置し、調査、研究を行ったほか、令和3年3月には、政策的議員提案条例として、岩手県主要農作物等の種子等に関する条例を制定するなど、議会の政策立案、政策提言活動を活発に行い、不断の議会改革に取り組んでまいりました。
 ここに、改めて議員各位の御精励に対し敬意を表しますとともに、執行部の方々はもとより、県民の皆様方からの多くの御協力に対し深く感謝を申し上げます。
 今、地方を取り巻く情勢は、人口の自然減、社会減対策やデジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーションの推進、大規模自然災害や新たな感染症への備えなど、依然として多くの課題が山積しております。
 私どもは、県勢の発展と住民福祉の向上を願い、4年間にわたって熱い議論を交わしたこの議場に別れを告げようとしておりますが、これらの諸課題の解決と潤いに満ちた豊かなふるさとの創造に向け、引き続き渾身の努力を傾注してまいりますことを、ここにともに誓い合いたいと思います。
 終わりに臨み、今期をもって御勇退をなされる議員各位におかれましては、今日までの本県の発展と住民福祉の向上のために御尽力を賜りましたことに対し、深甚なる敬意を表し、心から厚く御礼を申し上げます。
 また、来るべき選挙に重ねて立候補される議員各位におかれましては、どうかくれぐれも御自愛の上、御健闘され、再び本会議場でお会いできますことを心から祈念申し上げます。
 一昨年の9月定例会において、不肖私が議長に選任されて以来、先輩正副議長の御指導と議員各位の格別の御鞭撻に支えられ、また、達増知事を初め執行部の皆様の御協力により、小野副議長ともども、議会運営の重責を果たさせていただきました。地方議会の一代表として、このような充実した活動を行う機会を与えていただきましたことに対しまして、心から御礼を申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。
 まことにありがとうございました。(拍手)
   
   閉 会
〇議長(五日市王君) これをもって本日の会議を閉じ、第26回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後4時4分 閉 会

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