令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇4番(千葉秀幸君) 希望いわての千葉秀幸です。今任期最後の一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の方々に感謝を申し上げます。
 私が任期をいただいてからこの4年の間には、新たな課題も浮上してまいりました。一つは、新型コロナウイルス感染症の蔓延、もう一つは、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価の高騰です。これらの問題は、今でも我々県民や多くの事業者を苦しめております。
 その大きな課題にしっかりと向き合いつつ、山積する課題にも取り組んでいかなければなりません。その課題を私はこの4年間で自分なりに申し上げてまいりました。その中で、当局の方々に御理解をいただけたもの、また、いま一つだったものとさまざまございますが、改めて私の考える課題について、これまで御答弁をいただいたものを読み返し、もう一歩踏み込んだ質問ができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従い順次質問いたします。
 初めに、知事の4期16年の総括と今後の展望について伺います。
 達増知事は、平成19年4月に当選されて以来、実にきょうまで、まさに激闘の日々を送られてきました。先週、伊藤勢至議員の一般質問にも出てまいりましたが、平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波では、岩手県災害対策本部長として、職員に対し、人命救助を最優先に、被災者に寄り添った支援を行っていくことを指示するとともに、翌日にはみずから自衛隊ヘリコプターに乗り込み、上空から沿岸被災地の被害状況を確認し、把握をされました。また、被災した漁港を小規模漁港も含めて全てを復旧させる方針を早期に打ち出し、実際に令和元年8月までに108漁港全て復旧を実現しております。
 どうしてこのようなスピード感ある対応ができたのか。それはまさに、県民に寄り添った知事の姿勢にあるのだろうと思います。他県の震災復興状況を見ると、外部のレクチャーを受けたり、コンサルタントを入れたりされているようですが、大事なことは、現場は今、何を必要としているのか、本県の復興には何が求められているのかでありました。まさに国からの指示を待つのではなく、本県の知事として被災地に寄り添った支援であり、高く評価されるものでありました。これにより、岩手県はみんなで乗り越えられる力を培ったものと考えます。
 また、令和元年に発生した新型コロナウイルス感染症の水際対策、生活支援や事業者支援に取り組まれてきたこれまでの実績も大変評価されるものと考えます。
 まさにそういったことからすると、震災復興と新型コロナウイルス感染症の拡大という災害対応に、実に13年御尽力をされたわけであります。そうだとすると、本当に知事がやりたいことは、まさにこれからなのではないでしょうか。
 知事は今年度、子育て支援を中心にさまざまな政策を打ち出しました。知事がそのたぐいまれなる先見性やリーダーシップで岩手県民一人一人の幸福の実現を目指し、岩手県をエンパワーしていく姿からは、まさに岩手県はこれからいよいよ打って出るのだということを肌で感じることができ、大いに期待するものであります。
 そこで知事のこれまで4期16年を振り返って、御自身の総括と今後の展望についてお伺いいたします。
 次に、医療体制の充実についてお伺いいたします。
 まず、医師不足対策についてですが、平成28年の医師、歯科医師、薬剤師の数に係る調査によると、本県の人口10万人対医師数は207.5人と、全国251.7人に比べて少ない上に、その格差が拡大しております。これは都道府県別に見ると、第42位と非常に低いレベルであります。
 また、二次保健医療圏別の人口10万人対医師数では、盛岡医療圏以外の医療圏は、全国や県平均を大きく下回っており、診療科の偏在も見られるのが現状です。
 この医師不足への対策として、県では、医師養成事業による奨学金の貸与や医学部進学に係る動機づけとして、中高生を対象としたセミナーを実施しております。セミナーについては、今後医師を目指す中高生が対象であることから、一方的な講演ではなく、医師として将来や、進学に悩む学生にとって前向きな手助けとなる機会をつくる意味で重要と考えます。
 そこでお伺いいたします。県では、平成16年から医師を志す動機づけを図るため、高校生を対象に医学部進学セミナーを開催しており、平成29年度から中学生を対象とした県主催のセミナーを開催しておりますが、これらの取り組み成果についてお伺いいたします。
 また、セミナーによって高まったモチベーションを医学部進学に向けた具体的な行動につなげるため、現在、県教育委員会とどう連携し、成果に結びつけられているのかについてもお伺いいたします。
 セミナーに加え、医師不足を解消するために重要なものは、さきにも触れた奨学金制度であると考えます。近年の大学生全体の奨学金利用率に目を向けてみると、平成元年では12%、平成10年では10%、平成20年では30%、平成30年では37%にまで増加をしております。2.7人に1人が奨学金を活用する、そういった傾向が見てとれます。
 本県の医師養成奨学金制度でありますが、奨学金の貸し付け枠は県と医療局、市町村の3制度全体で55名となっており、令和5年度における新規貸し付けは48名、直近5年では平均で50名程度の貸し付けになっております。
 本県の医師養成奨学金制度により医師数は確実に増加しており、今後も増加するものと承知しておりますが、地域や診療科の偏在の課題もあります。本県の地域偏在や診療科偏在解消のため、この奨学金制度の改善を図りながら、今後も有効活用していくべきと考えますが、県のお考えを伺います。
 次に、知事の会の取り組みについて伺います。
 本県も含めた医師少数県においては、奨学金制度による医師確保、臨床研修や専門医研修の充実を図るなど、さまざまな医師確保、偏在対策を進めておりますが、特に医師の地域偏在、診療科偏在については、根本的な解決に至っていないのではないかと感じております。
 このような問題意識のもと、令和2年1月に達増知事による医師少数県への呼びかけにより発足された、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会においては、医師不足、地域偏在の根本的な解消には国レベルでの取り組みが必要との認識のもとで、実効性のある具体的な施策実現を目指して、これまでも国に対してさまざま提言を行ってきたほか、医療関係団体と連携した取り組みを進めているものと承知しております。
 本県は、全国と比較しても医師不足や地域偏在が顕著な状況にあり、こうした状況の抜本的な解消に向け、まずは、これまでの知事の会の取り組みの成果についてお伺いするとともに、今後、知事の会としてどのように取り組んでいくのかについてお伺いいたします。
 次に、周産期医療についてお伺いいたします。
 昨年、私の地元奥州市では、唯一分娩を取り扱っていた開業医がお産を取りやめ、波紋を呼んだことは御承知のとおりであります。
 県では、胆江地域への対応については、令和4年2月に開催した岩手県小児・周産期医療協議会や、岩手中部・胆江・両磐周産期医療圏連絡会議において、県南周産期医療圏内の妊婦健診等を実施する地域の診療所と分娩を行う医療機関が連携して、安心、安全な出産ができる環境を確保していくということを確認したところでもありますが、依然として、若者や妊婦、子供を授かりたいと希望されている方々の不安の声が解消されていないのが現実であります。
 また、一昨年には、県立釜石病院が分娩を停止したことにより、妊産婦や市民への動揺が広がったことも、本県の周産期医療圏の課題を浮き彫りにしました。
 本県では現在、患者搬送や治療動向を考慮し、四つの周産期医療圏を設定しておりますが、来年度は次期保健医療計画策定時期であります。妊産婦等が身近な地域でケアを受けられるよう、新たな周産期医療のあり方をどうするかを含め、よりきめ細やかな環境整備が必要と考えますが、県の認識をお示し願います。
 次に、子育て支援についてお伺いいたします。
 先ほど来申し上げてきたような環境整備も整ってこそ、今年度から大きく踏み込んだ保育料無償化事業や在宅育児支援金事業の成果も大きく評価されるのではないでしょうか。
 県では、これら保育料無償化事業の背景として、子育てなどにかかる経済的負担が最も多く指摘されており、子育て世代における経済的負担の軽減は最優先の課題であること、子育てにかかる経済的負担の大きいものとして、意識調査によると、学習塾や習い事の費用に次いで、保育にかかる費用が挙げられており、食費や医療費よりも高くなっていること、子育て支援施策においては、市町村が地域の事情に応じて出産祝い金などの事業に取り組んでいるところではあるが、県としては現状で支援が手薄になっている3歳未満児に対する支援が必要と考えたこととしておりますが、改めて、今年度から全国トップレベルの子供子育て環境づくりに踏み切った知事の覚悟と思いについて伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、農業振興についてお伺いいたします。
 初めに、米の生産戦略についてでございます。現在、各都道府県が競って品種開発に取り組んでおり、本県でも銀河のしずく、金色の風をデビューさせ、高い市場評価を得ているところであります。いわてのお米ブランド化生産戦略ビジョンに基づいた、あきたこまち等から銀河のしずくへの作付転換が進んでおります。
 近年、全国的な異常気象が相次いでいることから、より踏み込んだ生産者への指導も求められてきております。昨年8月の日照不足、おととしは高温による障害等、温暖化の影響と思われる異常気象により、品質、収量が安定しないなどの課題に現場は悩まされております。
 その大きな影響を受けたのがひとめぼれであります。令和4年度における水稲の作付面積が、銀河のしずく、金色の風の二つを足しても約2、800ヘクタールに対し、ひとめぼれは約3万5、000ヘクタールであり、大幅に上回っております。また、主力品種のひとめぼれは、安定した品質が高く評価され、大手米卸業者からの強い引き合いを受けているなど、県産米全体への評価は高まっていると認識しております。
 そのような中、先ほど申し上げた影響もあり、食味ランキングでは、これまで23回特A評価となった県南ひとめぼれが令和4年度産はA評価となっております。食味ランキングの評価を得ることで県の販売PRにも大きくつながることから、今後、特A評価を再び得るため、食味の向上に向けて、気象変動に応じたきめ細やかな指導がより重要と考えますが、県の認識と今後の取り組みについて伺います。
 あわせて、近年の米価は低迷し、物価高騰に伴い肥料や農薬も価格上昇に転じています。一方、生産者は一定の所得を確保するため、肥料や農薬を減らしたりと工夫を強いられている苦しい状況にあります。生産現場においては、そのような実態も特A評価からの陥落に影響しているとの声があります。こうした米価の低迷や物価高騰に伴う生産現場の苦しい状況に対する県の今後の支援についても伺います。
 次に、鳥獣被害対策について伺います。
 近年、かつては五葉山周辺のみに生息していた鹿が全県で見られるようになり、また、一度本県では絶滅したイノシシが北上して県内に生息域を広げ、いずれも農作物に大きな被害をもたらしております。
 まず、本県の野生鳥獣による農作物被害額については、5年前の平成28年度の約4億円に比べ、令和3年度は1、000万円増の4億1、000万円となっており、主な内訳としては、二ホンジカによるものが約2億1、000万円、ツキノワグマによるものが約4、000万円、イノシシによるものが約5、000万円であります。
 しかしながら、私が以前から指摘するイノシシについては、畦畔を壊したり、ふんをすることにより米ににおいが付着し、商品にならないこと等を含めると、この示した被害額よりも深刻であると考えています。
 いずれ深刻化する鳥獣被害対策としては、県はいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにも示しているように、県による広域捕獲活動を事業に盛り込み、昨年度よりも1、200万円手厚く予算を拡充いたしました。改めて、その背景にあるものと期待する効果についてお伺いいたします。
 本県の現在の狩猟者の数は、平成27年には2、810人に対し、令和元年度には3、268人と増加しております。一方、狩猟免許所持者の年代別の割合につきましては、環境省の鳥獣関係統計によると、岩手県では、令和元年度で40歳未満が約14%、40歳以上60歳未満が約25%、60歳以上が約61%と、60歳以上の免許所持者の割合が高くなっている状況であります。今後も免許を返納される方の増加は避けられません。
 このような状況を踏まえ、地域と連携し、免許所持者をふやすとともに、捕獲のみに頼らない被害防止対策を進めるため、地元の方との協力体制を一層強化していくべきと考えますが、岩手県の現状と今後の取り組みについて伺います。
 次に、本県の抱える教育課題について伺います。
 まずは、いじめ、不登校対策についてです。
 平成28年、全国的にふえ続ける不登校の児童生徒支援のため、国は義務教育の段階における普通教育に相当する教育の確保等に関する法律を制定しました。この法律、いわゆる教育機会確保法は、それぞれの子供に合った教育を受ける機会を確保するために、国や自治体が子供や保護者を支援することが定められ、多様な学び、居場所が求められるようになりました。
 しかし、これまで本県ではさまざまな施策が講じられてきたのにもかかわらず、ここ一、二年の間にも不登校児童生徒の人数はふえ続ける一方であります。
 具体的には、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によると、令和2年度の本県の1、000人当たりの不登校児童生徒数は、小学校が6.2人、中学校が33.2人となっており、令和3年度には、小学校が8.4人、中学校が39.6人となっております。
 これまで本県の取り組みとして、いじめ・不登校アドバイザーの設置、教職員の研修、不登校児童生徒支援連絡会議等、対策を講じてこられました。しかし、このようにいじめ、不登校児童生徒の数が増加していることからは、今後、より踏み込んだ対策や寄り添った支援が必要と考えますが、県の認識と取り組みについて伺います。
 同時に、いじめ、不登校児童生徒の受け皿をつくることも重要です。昨年、教育・子ども政策調査特別委員会で、広島県がフリースクール等民間団体と連携し、不登校児童生徒に寄り添った環境整備を実現したスクールエスの取り組みを視察してまいりました。そこには、表現は難しいですが、不登校生徒であったとはとても思えないほどの笑顔やはつらつさがあふれておりました。
 本県としても、いじめを防ぐことも重要ですが、声を上げられない、まさに声なき声に寄り添うことが重要です。一度挫折しても、再び学校復帰するだけでなく、社会に出られる準備をしてあげられる環境を整えてあげることも大人の使命ではないでしょうか。本県でもこうした県主導の支援や環境整備を行っていくことが必要だと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、部活動のあり方について伺います。
 生徒の多様な学びのある部活動において、そのあり方が大きく変わろうとしております。岩手県における部活道に在り方に関する方針では、平日は2時間程度の活動とすること、土日のどちらかは休養日を設けると定められております。これに加えて、多様なニーズも考慮し、よりスポーツや文化芸術活動を希望する生徒の受け皿として、総合型地域スポーツクラブ等の充実も求められてきております。
 令和5年度から休日の部活動について、段階的に地域に移行して活動する場を設けるという方針が国から示されましたが、その背景には、教職員の働き方改革、生徒数の減少により学校単位での部活動の運営が困難な状況になり、学びの場を失うことにつながらぬようにとの双方の狙いがあると考えます。
 このように部活動改革が叫ばれている中、教職員の働き方改革も大事ではありますが、そもそも子供たちの教育がおろそかになってはいけないと改めて懸念をいたしております。
 本県では、令和3年度と令和4年度の2カ年で3市町村での実践研究が行われており、今年度も5市町村で実証事業が行われております。改めて本県の実践研究を踏まえ、どのように本県に落とし込んでいくお考えなのかについてお伺いいたします。
 あわせて、栃木県のように地域事情に合った移行プランを示し、取り組んでいる県も参考にしながら、地域クラブ活動への移行を進めていくべきと考えますが、県の現在の方向性も含めた考えについて伺います。
 また、人口減少に相まって、生徒数の減少にも歯どめがかかっておりません。本県においては、現行の新たな県立高等学校再編計画の前身の計画である県立高等学校新整備計画が始まった平成12年時点では、全日制県立高校は本校が78校、分校が5校あったものが、令和5年度時点では、本校が62校、分校がゼロ校となっており、現行計画の最終年度である令和7年度には、さらに本校が59校となるまで統廃合が進む見込みとなっております。
 本県では、統廃合による廃校施設の活用の方向性については、県または所在市町村における利活用を優先するが、市町村による利活用が見込まれない場合は、一般競争入札による売却処分を検討しながら、利活用及び処分の推進を図ることとしております。
 他県に目を向けてみると、廃校施設を子供たちの居場所である児童会館や支援センター、地域交流スペースといった複合施設にリノベーションされている事例もあります。また、先ほど申し上げたように、今後、部活動の地域クラブ活動への移行が進むにつれて、練習場所の確保等も大きな課題となってくることも想定すると、統廃合による廃校施設について、より柔軟かつ有効な活用が求められてくると考えますが、現在の実態と今後の活用策についても伺います。
 次に、空き家対策について伺います。
 今、日本は空き家問題に直面しております。適切に管理していない建物や土地が引き起こす問題は、老朽化による倒壊、景観の悪化、放火による火災、雪の重みによる倒壊や落雪などが挙げられ、どれも近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性があります。
 住宅・土地統計調査のデータを見ると、本県における空き家数は、平成5年は4万200戸、平成15年は6万800戸、平成30年は9万3、500戸と年々右肩上がりに上昇を続けております。
 また、空き家問題がその身に差し迫っているのは、現在進行形で空き家を所有している人だけではありません。それは、空き家予備軍であります。空き家予備軍については、ある全国紙においては、65歳以上の高齢者だけが住む戸建てとされております。つまり、今後も右肩上がりに増加する空き家問題に対し、空き家対策と予防的な措置が可能な段階での空き家予備軍対策の二つの観点から対策をとっていくことが求められます。
 県はこれまで、空き家相談窓口整備事業や空き家情報利活用促進事業、若者・移住者空き家住まい支援事業に加え、市町村が取り組む空き家バンク事業への支援も行っております。
 そこでお伺いいたします。これらの事業により対策を講じられておりますが、成果としてはなかなか改善されているとは言いがたい実績にある中で、県の評価と取り組みによる課題について伺います。
 また、実質問題、空き家を活用した対策には限界がある以上、角度を変えて、これからの方々に家族との同居暮らしなどを検討してもらう必要があるのではないかと考えます。高齢者の息子世代が、従前であれば、結婚することで家を出て新しい住居を構えていたところ、二世帯住宅にリフォームすることなどにより、親の家に残ることで空き家問題の解消にもなるほか、年金により暮らす高齢者の生活を支えることにもなると考えます。
 例えば、同居世代のリフォーム支援や親の近くに子供が住むことにより支え合い、また、家も管理できる近居のための住宅の支援、一つの家を世代を超えて守っていく必要があると考えますが、県の認識についてお伺いします。
 働き方改革2024年問題についてお伺いいたします。
 まず、いわて働き方改革推進運動については、平成28年度から実施されております。目的としては、県や関係機関、働き方改革に積極的に取り組む事業者が一体となった運動を展開し、働く人のライフスタイルやライフステージに応じた柔軟で多様な働き方の実現に向けて、県内企業等における働き方改革の実践的な取り組みの一層の促進とされております。対象は事業活動を行う法人、団体等でありますが、このいわて働き方改革推進運動の現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、運動の業種別参加事業者数見ますと、私の課題認識がある業者として、運送業の参加割合が令和5年5月時点で4.8%、医療、福祉で10.5%、建設業で28.4%と参加事業者数が顕著に低い状況です。現場からは、時間外労働の上限規制内容が業務実態に合っていないなどの声もあり、そのことが要因でもあると考えます。
 そこでお伺いいたします。国から示された時間外労働の上限規制ですが、現場、あるいは地方にはそぐわない内容も明記されており、現場は混乱しております。今後、実態に合った対応の検討等が求められると考えますが、本県の抱える諸課題について、どのように受けとめているのかについてお伺いいたします。
 また、県として規制の緩和を国に働きかけていくことも必要と考えますが、認識についてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉秀幸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、4期16年の総括と展望についてでありますが、知事に就任した平成19年、2007年以来、岩手が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、いわて県民計画(2019〜2028)などの計画を策定し、県政の課題に取り組んでまいりました。
 その結果、人口の社会減は、就任当時の6、000人台から4、000人台まで縮小、県民所得は国民所得の8割弱から9割弱まで水準が上昇、雇用環境は正社員の有効求人倍率が0.3倍台から0.9倍台まで上昇、医師確保は、岩手医科大学の入学定員が80人から130人まで拡大が図られたほか、奨学金制度による養成医師の配置数が着実に増加し、それまでの危機的状況を乗り越えました。
 また、自動車、半導体関連産業を中心とした産業集積、いわて花巻空港における台北、上海国際定期便の就航、三つの世界遺産登録の実現、希望郷いわて国体・いわて大会、ラグビーワールドカップ2019釜石の開催、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校、さらに、大谷翔平選手、小林陵侑選手の活躍や、全日本合唱コンクールでの受賞を初めとした若者の躍動など、取り組みが成果となってあらわれているものと認識しております。
 この間、数次にわたる台風や地震被害、東日本大震災津波という未曾有の大災害、そして、今般のコロナ禍など、想定し得なかった事態も見舞われることも多々ありましたものの、復興道路の完成や中心市街地の再生など、ビルド・バック・ベターによる復興を初め、県民の御理解を得ながら、臨機に必要性や優先度を見極め、県政を推進してまいりました。
 今年度からスタートしたいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、これまでの成果や課題、多様な主体からの御意見等を踏まえ、人口減少対策を県政の最重要課題に位置づけ、最優先で取り組んでいるところです。
 今後も、岩手県民の知恵と力を結集した第2期アクションプランのもと、県民や岩手県にかかわる人々をエンパワーし、誰もが生活、仕事、学びで岩手県をベースに、希望を持ってお互いに幸福を守り育てることができるよう全力を尽くし、そのような岩手県を全国に、海外にアピールしていきたいと思います。
 次に、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてでありますが、知事の会では、医師の不足や地域間の偏在を根本的に解消するためには、国を挙げて実効性のある施策に取り組むことが必要との認識のもと、11の医師少数県とともに、医療従事者の養成、確保や臨床研修制度の見直しなど、医師不足や地域偏在、診療科偏在の解消につながる具体的な施策を提言してきたところであります。
 さらに、知事の会の会長として、自由民主党の医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟や、全国の病院団体を対象とした講演の実施に加え、国民的議論を巻き起こすための全国紙による啓発活動など、医療、行政関係者を初めとした国民の理解の促進に努めてまいりました。
 その結果、令和6年度までの現行医学部臨時定員増の暫定的維持や、地域枠に対する地域医療介護総合確保基金の重点的な配分が可能となるなど、提言した内容が国において実現しております。
 このような地域偏在や診療科偏在の解消に向けた国の取り組みをさらに加速させるため、今年度においては、山梨県で今月開催される全国知事会議に合わせて知事の会を開催し、提言決議を行うとともに、決議後、直ちに国への提言活動を実施できるよう、関係機関と調整しております。
 令和6年4月から労働基準法による医師の時間外労働の上限規制の適用や新たな医師確保計画に基づく都道府県の取り組みが開始されることから、より実効性のある医師不足、偏在対策が国の責任において実施されることを目指し、引き続き、知事の会の活動を強力に推進してまいります。
 次に、子育て支援についてでありますが、人口減少、少子化に立ち向かうためには、要因となっているさまざまな生きにくさを生きやすさに変えていく施策の展開が必要であり、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、人口減少、少子化対策を県政運営の最重要課題と位置づけ、子供を産み育てやすい環境の整備に最優先で取り組んでいるところです。
 夫婦が理想の数の子供を持たない理由として、子育てなどにかかる経済的負担が最も多くなっていることから、子育て世代における経済的負担の軽減は喫緊の課題であるとの認識のもと、本年度から、他県でも例の少ない、第2子以降の3歳未満児を対象とした保育料無償化や在宅育児支援金を実施しているところです。
 本来、保育の無償化などの子育て支援策は、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきものでありますが、県としては、国の施策を待たずに積極的な取り組み姿勢として、県独自で財源を確保しながら全国トップレベルの子供子育て環境の実現を目指すとの思いであります。
 加えて、本年度は、さらに危機感を持って少子化対策を講ずるべく、さきに開催した岩手県人口問題対策本部会議において、若年層へのライフデザインの形成支援や、若者や女性に魅力ある労働環境の構築に速やかに取り組むこととしており、市町村や関係団体等と連携し、希望する全ての県民が、安心して子供を産み育てられるように強力に施策を推進してまいります。
 次に、時間外労働の上限規制の適用についてでありますが、平成31年4月から順次施行された働き方改革関連法のうち、時間外労働の上限規制は、自動車運転、建設、医師等の業務への適応が法律施行後5年間猶予されており、これらの業務についての適用が令和6年4月から開始されます。
 このことに関し、関係団体や医療機関等からは、人材不足、賃上げ等に対応した経営面の対応、利便性の低下等に対する県民の理解促進を初めとしたさまざまな課題が挙げられています。
 こうした中、今般、国が示した経済財政運営と改革の基本方針2023において、物流の効率化や商慣行の見直し、荷主や消費者の行動変容を促す仕組みの導入等の抜本的、総合的な対策の推進、実効性のある医師偏在対策、医療専門職のタスク、シフトシェア、建設産業の賃上げ及び担い手の確保、育成などに国を挙げて取り組むこととしており、県としても国の動きにも呼応しつつ、適時適切な対策を講じてまいります。
 令和6年度政府予算提言要望においては、企業の生産性向上や働き方改革等の推進による賃上げ環境の整備、人材確保や、医師不足地域の実情を踏まえた医師の働き方改革の推進について、国に対し要望を行ったところであり、今後も現場等の対応状況を注視しながら、必要な要望を行ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、中高生を対象とした医学部進学セミナーについてでありますが、県では、平成16年度から高校生を対象に、平成29年度から中学生を対象とした医学部進学セミナーを開催し、医師を目指す動機づけを図ってきたところであります。
 参加者からは、岩手県の医療を深く知ることができた、医師の仕事がどのようなものなのか知ることができたといった意見が聞かれ、医学部を目指す中高生にとって有意義な場となっております。
 また、令和2年度から、保健福祉部、医療局、県教育委員会の連携により、医学部を目指す高校生の学力向上等を目的とした、岩手メディカルプログラムを開催し、有名予備校講師による医学部対策講座や医師による講演などを実施しております。
 これらの取り組みにより、県内の生徒数が減少する中で、医学部進学者数は50人から60人と一定の水準を維持しているところであります。
 将来の本県医療の担い手と期待される中高生に対し、医学部進学を目指してもらえるよう、今後もこれらの取り組みを進めてまいります。
 次に、医師奨学金制度についてでありますが、医師不足と地域偏在解消のため、県では奨学金による医師の養成に取り組み、これまでに741名に貸し付けを決定し、このうち医師免許を取得した養成医師は400名であり、現在、義務履行中の者は151名となっております。
 県内における県北・沿岸地域の地域偏在を解消するため、令和3年度から義務履行を開始した養成医師については、県北・沿岸地域への配置を必須化しており、今後、県内の地域偏在の状況は解消に向かうものと考えているところであります。
 また、診療科偏在について、不足している産科及び小児科については、周産期母子センターに配置する特例措置等を設けているほか、令和2年度から医療局奨学資金に貸付額を上乗せする産婦人科特別枠を設置、加えて、令和5年度には、総合診療科、産科、小児科について、新たに市町村医師養成事業に7名の地域枠を設置したところであり、今後も奨学金制度を活用し、偏在の解消に向けて必要な取り組みを進めてまいります。
 次に、周産期医療のあり方についてでありますが、県ではこれまで、限られた医療資源のもとで質の高い周産期医療を提供するため、県内四つの周産期医療圏を設定し、岩手医科大学附属病院が担っている総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターなどの機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた医療提供体制の整備を進めてきたところであります。
 次期岩手県保健医療計画の策定に当たっては、妊産婦の受療動向や医療資源の動向などを踏まえ、中長期的視点から質の高い安全な周産期医療体制の検討を行っているところであります。
 また、胎児の心拍などの情報をリアルタイムに周産期母子医療センターに送信するモバイル型妊婦胎児遠隔モニターの活用や、周産期医療情報ネットワーク、いーはとーぶによる情報連携に加え、今年度全ての妊産婦に拡充した健診や分娩に係る通院、宿泊費の助成や産後ケアなど、市町村とも連携しながら、より安全、安心な妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、県南ひとめぼれの特A評価に向けた取り組みについてでありますが、一般社団法人日本穀物検定協会の食味ランキングでは、複数の産地のコシヒカリをブレンドした米を基準として、対象となる米と、外観や香り、味や粘り、かたさなどを比較しながら評価しておりますが、本県のひとめぼれなど、対象とした米の評価理由について明らかにしていないところです。
 本県では、食味ランキングの評価項目と気温や日照等の気象条件、実施した栽培管理との関係について、県農業研究センターが中心となって解析を進めてきた結果、適期の田植えや、6月下旬からの中干しの確実な実施、田植えから8月末までの適切な水管理、適期の稲刈りの四つが食味と品質に大きく影響していたところです。
 このため、今年度は、この四つの栽培管理を重点指導項目に位置づけ、地域の指導会等を通じて生産者に徹底しています。
 米づくりは、これから食味に重要な時期を迎えることから、ひとめぼれの生産者に対し、穂が出る時期の気温変動に応じた水管理や、リモートセンシング技術を活用した適期の刈り取りなどについて、これまで以上にきめ細かな指導を行うこととしており、ひとめぼれの評価がより一層高まるよう、関係機関、団体とともに、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、物価高騰への支援についてでありますが、本年5月の肥料や農薬等の農業生産資材の価格は、3年前に比べ約2割上昇となっており、県では、こうした生産資材の価格高騰の状況を踏まえ、農業経営に及ぼす影響を緩和するため、国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に肥料の購入価格や農業水利施設の電気料金の上昇分を支援しているところです。
 また、生産者の経営安定に向けては、省力化や生産コストの低減が重要であることから、育苗作業が不要な直播栽培や育苗コストの低減につながる高密度播種苗の活用、施肥量が削減可能な側条施肥技術の導入のほか、化学肥料の低減に向けた鶏ふんの利用などを進めています。
 こうした中、全国農業協同組合連合会、いわゆる全農では、本年6月から10月の肥料価格について、最大約4割値下げするとしているところです。
 また、本県の令和4年産ひとめぼれの相対取引価格は、5月末現在、60キログラム当たり約1万3、700円と前年産に比べ約1割高く推移していることから、今後、県産米のさらなる販売力強化に向け、首都圏の量販店と連携した販売促進キャンペーンの実施や輸出の拡大などを進めていくこととしており、県産米の一層の需要拡大を図り、生産者の所得が確保されるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、鳥獣捕獲活動の強化についてでありますが、本県では、野生鳥獣による農作物被害を防止していくため、有害鳥獣の捕獲とともに、電気柵等の侵入防止柵の設置や、里山周辺の除間伐など、地域ぐるみの被害防止活動を推進しています。
 特に、被害の過半を占める二ホンジカの捕獲について、令和3年度で約2万6、000頭と、5年前に比べ約2倍の捕獲実績となっているものの、農作物の被害額は、近年、横ばい傾向となっています。
 また、市町村等からは、二ホンジカの個体数の適正化は市町村単位での解決が困難であり、オール岩手での駆除対策を講じることなど、被害防止対策の強化を求める要望があったところです。このため、捕獲のさらなる強化に向け、これまでの市町村を単位とした捕獲活動に加え、県が主体となって市町村を越えて移動する野生鳥獣の広域捕獲活動を実施することとしたところです。
 県が実施する広域捕獲活動は、ニホンジカの生息数多い地域を対象に、有害捕獲による頭数が減少傾向となる秋ごろの実施を計画しており、捕獲の強化とともに、農作物被害の低減を期待しており、県としては、引き続き、関係機関、団体と連携しながら、野生鳥獣による被害が低減するよう取り組んでまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) 狩猟者の確保と地域連携についてでありますが、狩猟免許について、本県では予備講習会の開催などを通じた積極的な取得促進を図っており、この10年間で県内の免許所持者を2、495名から昨年度末には4、024名にまで引き上げることができております。
 その内訳についても、40歳未満の割合が6.4%から16.7%にまで上昇するなどしておりますが、狩猟免許の取得が必ずしも実際の捕獲能力を担保するものではないため、捕獲作業は、引き続き高齢の熟練狩猟者によって支えられている面もあります。
 そのため、実際に捕獲作業に従事できる次世代の担い手の確保、育成に向けて、スキルアップのための研修会を開催していくとともに、また、狩猟者だけでなく住民を含む地域ぐるみでの被害防止対策の普及に向けた現地対策チームが設置されたところであり、今後もそのような取り組みを強化してまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、空き家対策事業の評価と課題についてですが、県ではこれまで、市町村や不動産業界を含む民間団体からなる、岩手県空家等対策連絡会議を設立し、予防保全も含めた空き家対策に関する情報共有や技術的な助言を行うなど、市町村と連携して空き家対策を進めてまいりました。
 あわせて、空き家所有者と不動産協会など専門家団体とをマッチングさせる、空き家相談窓口整備事業、市町村への空き家バンクの利活用に向けた講習会を実施する空き家情報利活用促進事業、若者世代や移住者を対象に空き家バンクに登録された住宅の取得等について支援する若者・移住者空き家住まい支援事業などにより、空き家バンクへの登録や空き家の流通の促進を図っているところでございます。
 これらについて、空き家相談窓口の利用件数が増加し、空き家バンクへの登録も進み、支援事業の実施件数はふえているものの、市町村への聞き取り結果等からも県内の空き家は今後も増加していくものと認識しており、空き家のさらなる流通の促進など、市町村と連携の上、空き家の増加に対し適切に対応していくことが課題と考えております。
 次に、今後の効果的施策についてでございますが、岩手県住宅マスタープランにおいて、高齢者の居住の安定確保の観点から、多世代同居や近居の必要性を掲げており、空き家を発生させないという点からも重要と考えております。
 県では、既存住宅の省エネ改修に要する経費に対して補助する住まいの省エネ改修推進事業や、住宅の耐震改修工事に補助する木造住宅総合耐震支援事業などにより、今ある家を快適、安全に改修し、長く使うことに資する支援を行っております。
 なお、若者・移住者空き家住まい支援事業により、若者世代と移住者を対象に空き家バンクに登録された住宅の取得や改修費用について支援するなど、近居にも資する取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、これらの事業により、一つの家を長く使い続けていただくための支援を行い、空き家の発生の抑制等に向け、市町村と連携して取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) いわて働き方改革推進運動の取り組み状況についてでありますが、現在、いわて働き方改革サポートデスクによる電話相談の受付やアドバイザー派遣、また、すぐれた企業の取り組みを表彰する、いわて働き方改革アワードなどを行い、これらを通じて運動参加事業者の支援や働き方改革の推進に取り組んでいるところでございます。
 また、いわて働き方改革アワードで表彰を受けた事例、例えば、ITツールを活用した業務改善による生産性向上を図った企業や、職員が育児休業から復職する際のサポートの強化を行った企業などのすぐれた取り組みの普及拡大を図るため、県内企業の経営者及び人事担当者等を対象とした現場見学会の開催なども行っております。
 さらに、今年度は、新たに魅力ある職場づくり推進事業費補助金を創設し、柔軟で多様な勤務制度の導入やオフィス環境改善等の中小企業の取り組みを支援することとしており、こうした取り組みを通じて、運動参加事業者をさらにふやすことで、県内企業における働き方改革を一層推進し、若者や女性の県内定着やU・Iターンにつなげていきたいと考えております。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、いじめ、不登校対策についてでありますが、令和3年度の児童生徒問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によりますと、1、000人当たりのいじめの認知件数は、小、中、高、特別支援学校合わせて67.4件、同じく不登校児童生徒数は、小、中学校合わせて19.4人、高等学校が19.8人となっており、いずれも近年、増加傾向にあります。
 いじめ、不登校への対応につきましては、学校現場においては、学級担任等個々の教職員のみで対応するのではなく、チーム学校として児童生徒一人一人に対して教職員等が組織を挙げて取り組んでおります。
 県教育委員会は、いじめ、不登校への対策として、これまで、魅力ある学校づくりによる未然防止、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子供SОSダイヤル等相談窓口の設置、ICTを活用した学習支援、フリースクール等民間団体との連携会議の開催などの取り組みを進めてきたところでございます。
 加えて、本年度は、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの常勤化、1人1台端末等を利用したこころの相談室の開設、市町村の教育支援センターのさらなる設置による相談、支援体制の強化などにも取り組んでいるところです。
 県教育委員会としましては、引き続き、児童生徒の安心、安全な学校生活や、多様な学びの場の確保に向けて、学校、市町村教育委員会や民間団体などと連携して取り組んでまいります。
 次に、不登校生徒の受け皿についてでありますが、これまで県教育委員会では、令和元年10月に文部科学省から発出された、不登校児童生徒への支援の在り方等についての通知等に基づき、不登校児童生徒の支援に関する基本的な考え方の市町村教育委員会や学校への周知等による教育機会の確保に努めてきたところです。
 不登校児童生徒の増加を踏まえ、今年度、市町村が行う教育支援センターの設置に要する経費に対する補助を新たに創設し、未設置の市町村に教育支援センターの開設を促すなど、相談、支援体制の強化を図っているところです。また、県の教育支援センターは総合教育センターに設置しているところであり、令和4年度は約1、300件の電話や来所等の相談に応じております。
 今後は、市町村教育委員会、学校、民間団体等とも連携し、オンライン等も活用した学びの場や居場所としての利活用の促進に努めてまいります。
 次に、部活動の地域クラブ活動への移行についてでありますが、本県におけるこれまでの実践研究では、学校以外の地域のスポーツ施設を活用した事例や、地域の体育、スポーツ協会により既存の学校部活動にはない種目の活動が行われた事例など、一定の成果があったと捉えております。
 一方、課題としましては、地域スポーツ団体の整備充実、指導者の確保、新たな費用負担や送迎がふえるため保護者に十分な理解を得る必要があることなどが挙げられているところでございます。
 本県としましては、実践研究で得られた成果と課題を踏まえ、先行して地域クラブ活動への移行に取り組む市町村向けに、想定される業務や手続等を整理した手引きを作成し、県内外の事例とあわせて周知するとともに、市町村や団体等の依頼を受け、担当職員による説明等を行ってきたところでございます。
 今後は、他県の先行事例も参考にしながら、関係部局と連携して、岩手県における学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する方針を策定し、本県の中学生がそれぞれの興味、関心に応じた多様な活動ができるよう、市町村等が取り組む部活動の地域クラブ活動への移行を支援していきたいと考えております。
 次に、学校の廃校施設の実態と今後の活用策についてでありますが、平成12年度を初年度とした県立高等学校新整備計画以降、廃校となった学校施設は22校であり、そのうち、県の施設の移転先としてや、市町村への貸し付けや譲渡による小中学校の移転先としての活用など全施設が活用されているのは12校、グラウンドや体育館などの施設の一部を市町村や地域のスポーツ活動団体が活用するなど施設の一部が活用されているのは8校、活用されていないのは2校ございます。
 一部が活用されている施設も含め、活用されていない施設につきましては、所在市町村に対し、地域振興に有効活用されるよう市町村の意向を踏まえながら、必要な情報提供等を行っているほか、民間企業等の活用に向けて県のホームページに未利用資産のパンフレットを掲載し、周知しているところでございます。
 なお、部活動の地域クラブ活動への移行も含めて、その活動場所として廃校施設の活用の希望があった場合には、適切かつ柔軟に対応してまいります。
〇4番(千葉秀幸君) 御答弁ありがとうございました。
 まず、新たな周産期医療のあり方についてということで御答弁をいただいたところでございますが、もちろん、私もこれぐらい医師が不足していたり、産科医を選ぶ方が不足しているという状況から、全ての市町村に医療体制を提供できる時代ではないと理解しております。ただ、これから周産期医療体制を図っていく中において、一番の安心というのは、いろいろな政策は打たれておりますけれども、距離にかえられる安心はないと思っておりますし、妊婦等からもお話をいただくと、そういった話が浮き彫りとなってきております。
 ですから、来年度、次期岩手県保健医療計画策定時期であるということからしても、今までの四つの医療圏自体をそもそもよりきめ細やかにするために六つに区切るとか、そういったような支援策、あるいは議論になってきてもいいのではないかと考えておりますが、どういう検討が行われることを想定しているのかについて、ひとつ伺いたいと思います。
 それから、ひとめぼれの特A評価についてでございますが、もちろん、ひとめぼれの食味ランキングにおける評価が落ちている理由が、大きくは気象変動だということは私も認識しております。ただ、御答弁いただけていなかったのですが、多くの理由が気象変動かもしれないけれども、米価の状況において、生産現場は苦しいんだと。その中でも一定の所得を出すために、薬、あるいは肥料等々も少し減らしたり、まき方を工夫しながら何とか食いつないでいるんだという声もあると生産現場からは聞いております。
 藤代農林水産部長の答弁は、気象変動が大きな理由だということではありましたが、改めて、そういった実態にある生産現場の声も、もう一度、聞き取り調査を含めて御検討していただきたいと思っております。これについても御答弁をいただければと思っております。
 最後でございますが、教育長からもいじめ、不登校対策について御答弁をいただきました。不登校になる前には、まず、いじめ等があるわけでございますので、ここをしっかりと防いでいくというのは大前提にあるという中で、そういった対策を講じながらも、改めて不登校生徒が出ているというのが実態であるわけですので、これからさまざまな組織を通じて連携、あるいは意見交換を図っていくという話ですが、不登校生徒がこのように右肩上がりに進んでいる以上、まだ検討とか意見交換と言っている時期ではないというぐらい私は危機感を抱いているわけです。もう一つ踏み込んだ政策、あるいは提言へと移っていく必要があると思いますが、改めて御答弁をいただきたいと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 千葉秀幸議員から周産期医療について御質問いただきました。周産期医療、妊婦にとりましては、身近な地域で分娩がしたいという御希望があるというのは、そのとおりだと認識しておりますし、また、医療政策以外の人口減少対策といった側面でも、こうした周産期医療の充実というのは求められていると認識しております。
 周産期医療圏の設定については、現行計画策定に当たりましては、どれぐらい圏域でカバーしているのか、主に8割程度カバーしていたという状況です。そのほか、アクセスの状況、医師の充足状況、そういったものを勘案しながら圏域を設定した状況でございます。
 一方で、圏域設定に当たりましては、やはり産科の医師数というのが大きな要素でございます。先ほど御答弁申し上げましたとおり、県ではさまざまな奨学金制度を設定し、新たな産科の地域枠なども設定いたしましたが、一方で、この政策効果が発現するには6年以上、8年といった時間もかかるのも現実としてございます。
 今後、長期的には、産科や小児科の医師増加を目指して進めておりますが、この数年にわたりましては、医師の働き方改革でありますとか、関係学会から地域周産期母子医療センターの医師を、安全性の観点から10名配置すべきといったような提言などもいただいている中にあって、分娩を取り扱う医療機関を現実的にすぐふやせるかというところがなかなか難しいのも現実的な部分でございます。
 一方で、県では、新規産科の開業をする際に支援をする制度なども設けておりますので、そうしたような医師がおられる際にはきちんと支援をしつつ、周産期医療の提供については、不断に見直し、充実を図っていきたいと考えております。
〇農林水産部長(藤代克彦君) ひとめぼれについてでございますけれども、千葉秀幸議員の質問の中で御指摘がありましたとおり、本県の米作付の約6割を占める非常に重要な品種であり、また、ひとめぼれにつきましては、平成5年から作付を開始して、ことしで約30年、その中で23回特Aを取得しております。特Aを取得できていなかった間は、令和になってからここ4年連続してA、あるいはAダッシュというような評価になっております。令和になってから高温というのがなかなか影響して、非常に微妙なところでの栽培という中で、特Aの取得が難しいという状況かと思っています。また、そうした中で、生産者の皆さんは資材高騰という中で米づくりに対応していかなければいけないということで、そういったコスト削減という中でさまざま御苦労されていることも承知しております。
 県としては、先ほども申し上げましたとおり、肥料等の支援事業を措置しておりますので、こういったものを活用していただくとともに、また、堆肥、鶏ふん等、そういったさまざまな技術も活用しながら、コスト削減と品質を何とか両立できるような形を現地のほうでも指導していきたいと思いますので、ひとめぼれが再び特Aを取れるようにということで、生産者の皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。
〇教育長(佐藤一男君) 不登校対策への取り組みでございます。
 まず、いじめについてのお話もございましたが、いじめについては、社会性を身につける途上にある児童生徒が集団で活動する場合にしばしば発生するものという前提で、教育委員会、あるいは学校におきましては、いじめの兆候をいち早く把握し、問題を隠すことなく対応していくということが大前提だと考えております。
 それから、不登校につきましては、さまざまな背景、事情があります。コロナ禍の影響もあると考えております。これは国でも全国的にも、あるいは県内市町村においても、学校現場でもそうですが、さまざまな苦労をしながら対応してきているという実態がありますし、現時点で我々も対策を講じてきています。
 ただ、さらに、県教育委員会、市町村教育委員会、学校現場だけではなかなか対応が困難というものもございます。これは社会総がかりで民間の力もかりながら進めていかなければならないということで、そこは連携しながら進めていくというところは変わりありませんし、全国の先進事例なども参考にしながら、必要な施策の展開に取り組んでまいりたいと考えております。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時44分 休 憩
   
出席議員(44名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 小 林 正 信 君
3  番 千 葉   盛 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 岩 城   元 君
6  番 上 原 康 樹 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
43  番 伊 藤 勢 至 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時7分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。飯澤匡君。
   〔48番飯澤匡君登壇〕(拍手)

前へ 次へ