令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。今回で代表質問も含めて22回目の質問になります。質問の機会を与えていただいた議員の皆様に感謝を申し上げて、質問に入ります。
 コロナ禍の影響は、世界の経済に大きな影響を与え、ポストコロナを展望するいとまも与えぬほどの劇的な変化の渦に入っていると感じます。
 コロナ禍前から生産年齢人口の急激な減少、働き方改革、ウェルビーイングのライフスタイルへの移行など、量的にも質的にも企業は規模にかかわらず変革の対応を迫られてきた、そのさなかでした。そこにロシアのウクライナ侵攻により、エネルギーを初めとした物価高騰が加わり、国民の生活の基盤をなす1次産業や中小企業の経営を厳しいものへと至らしめています。仕入れ価格単価の高どまりは以前の安価体制に戻る可能性はほとんどなく、長期間継続するとも予想されています。
 企業行動は複雑化と多様化をもたらし、過去の成功体験だけに頼る経営は成り立たなくなりました。時代の変化を見据えた他社との違いをつくり出し、変化をチャンスに変える戦略が求められているのだと先日、私は金融団体が主催する講演会で学びました。
〔副議長退席、議長着席〕
 同時に、専門性とスピードが求められることも必要だと学び、いたく心に強くしみわたりました。このことは企業だけでなく、行政にも当てはまることだと私は思います。
 最近、私が社会の構造的変化が音を立てて進んだのを感じた象徴的な出来事がありました。それは、商用車メーカーの日野自動車と三菱ふそうトラック・バスとの統合のニュースです。統合相手の組み合わせも予想外でしたが、何よりトヨタ自動車が表向きは次世代の車の技術を磨くことが統合の最大の目的とされていますが、私は、トヨタ自動車が日野自動車を支えるのは限界と早期に新社長が決断したことに大きな驚きでした。従前の商慣習や情に流されず、冷静に次世代に一歩を踏み出した決断をしたことは、新しいビジネスモデルを創造していく決意を示したものだと強い印象を受けました。もちろん、今後の展開が必ずうまくいくとは限りませんが、時期を逃さずにしっかりと方針を示したことは、ステークホルダーである株主に対して明確なメッセージを発したことと、私は経営者としての責任を果たしたと考えます。県行政に例えると、県民に対して知事が説明責任を果たすことと同じことだと思います。
 変化の先に何があるのか、トップの責任は人任せにせず自分自身で感じ取り、決断し、行動すること。いつの時代でも同じですが、今の社会情勢はさらに厳しく、シャープな感覚が必要だと私は強く感じます。
 さて、岩手県政に目を向けますと、危機から希望にを唱えて始まった達増県政ですが、本県の経済発展の側面から検証すると、この間、どれだけの前進があったでしょうか。
 賃金構造基本調査によれば、平成20年の本県の所得内給与額、月額は23万5、400円で全国44位、令和4年は25万2、300円で同じく全国44位。この15年間は40位台の常連様です。
 賃金の推移状況について伺います。知事はこの結果をどのように受けとめているでしょうか。
 改善方策について伺います。いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランで知事はどのように改善するのか、この際、明確な方策を示してください。
 以下の質問は質問席より行います。
   〔48番飯澤匡君質問席へ移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の賃金の推移についてでありますが、安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事に就くことができる岩手県を実現し、県民一人一人が生きやすさを実感できるようにすることが重要であると考えております。
 自動車、半導体関連産業といった賃金水準が高い企業も出てきておりますが、生きにくさを生きやすさに変えるためには、特に若者や女性の賃金水準の向上、さらには、物価高騰に対応した賃上げが求められているものと受けとめており、これらに重点的に取り組んでいるところであります。
 次に、賃金水準を向上させていく方策についてでありますが、県では毎年、岩手労働局等と連携し、企業や経済団体に対し、安定的な雇用の確保等に関する要請活動を行っており、今年度は、この中で、働く方々の労働環境の改善と賃金の引き上げを含めた要請を行いました。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、中小企業者が行う経営力の強化やデジタル技術の活用等による生産性、収益力の向上や、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築などに取り組んでいくこととしており、令和5年度当初予算においては、企業の賃上げを可能とする環境整備の推進に向けDX人材を活用した企業の生産性向上の取り組み支援などの強化を図ったほか、今定例会において、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助を盛り込んだ補正予算案を提案しているところであります。
〇48番(飯澤匡君) 40位台をずっと続けているということは、全く効果があらわれていなかったと。この賃金の課題、政策については、知事は就任時から1丁目1番地で挙げてきた課題だと記憶していますが、何が悪かったのか。反省があってこそ次に生かされると思うわけですが、その点については知事はどう思っていますか。反省はなかったですか。
〇知事(達増拓也君) 議員御指摘のとおり、平成20年に本県の所定内給与額が23万5、400円、令和4年は25万2、300円で同じく全国44位ということでありますけれども、日本全体、ここ20年、30年、賃金が上がらない中、まず、一定の上昇を見ているというところはあると思います。
 そして、順位の問題でありますけれども、議員御指摘の平成20年と令和4年の全国順位を比較いたしますと、順位が5位以上上がっているのは福岡県がプラス8、大分県がプラス8、長野県がプラス6の3県でありまして、一方で、5を超えて順位が下がっているのは、北海道がマイナス11、鹿児島県がマイナス6の2道県となっております。
 他の42都府県は5以内の増減であり、また、順位の増減が2以内となっているのは、順位の変動がない12の都府県を含めて28都府県となっております。
 一方、先ほどの答弁のとおり、平成20年以降、全国平均との格差は徐々に縮小しておりまして、こうした状況から、全国順位に変動がないことのみをもって責任の有無を論じるようなことではないのではないかと受けとめております。
〇48番(飯澤匡君) そういう引き算と比較でいいのでしょうか。私はそこで事の本質を誤った見方にするのではないかと思います。40位台がずっと続いていることは、やはり何か問題があるということですよね。課題解決がなされていない。今の知事の答弁は、私はどうも言いわけにしか全く聞こえないのです。今までの質問者の答弁を聞いても、反省が生かされていないというような印象です。
 私は、今回、質問には入れませんでしたけれども、岩手県の潜在力を生かすには農業生産性を上げることが必要だと思っていますし、群馬県、山梨県などでは収益性の増減率が30%以上向上し、稼ぐ農地の転換が進んで、高付加価値により転作も進んでいます。
 本県は12.9%の増で全国16位、中位ではありますが、まだまだ改善の余地があります。また、農福連携の取り組みも全国的におくれをとっています。まだまだやれることはたくさんあると思うのですが、全体的な賃金の底上げを図る、ただいま知事からは、高収入の企業のお話も出ましたけれども、岩手県全体での底上げを図るというような取り組みがなければ、本当の意味での豊かさというのは享受できないのだと思います。
 次の質問に入ります。
 自動車産業の根幹にかかわる部分についてお聞きします。2012年にトヨタ自動車東日本本社が誕生し、東北地方に大きなトヨタ自動車の拠点化が図られました。本県は旧関東自動車工業の実績があり、当然、本県を中心に推移することが期待されましたが、宮城県大衡村に本社を置くことに決定したことは御案内のとおりです。
 現在でも県内では金ケ崎町の岩手工場が存続しているおかげで一定の地位を確保しているものの、好機を逃がしたことは事実です。トヨタ自動車東日本の本社が宮城県に決まるまでの間、県はどのようにアプローチしてきたのか。また、逃した責任を知事はどのように自己総括しているのか示してください。
〇知事(達増拓也君) トヨタ自動車東日本の本社についてでありますが、トヨタ自動車の本社が愛知県にあり、関東自動車工業は本社が神奈川県にあり、最大の工場が岩手県にありました。そして、セントラル自動車とトヨタ自動車東北の本社がある宮城県に新会社の本社が設置されたものであります。
 とうほく自動車産業集積連携会議の代表幹事は、引き続き岩手県知事が務め、東北全体をトヨタ自動車の国内第3の生産拠点として発展させていくという目指す姿をトヨタグループと共有し、岩手県としては、自動車産業集積に関する東北のリーダーとして、トヨタグループを初め、主要サプライヤーとの連携をさらに強化し、東北全体の自動車産業の発展を力強く牽引してまいります。
〇48番(飯澤匡君) またもや話題をそらしてきましたね。本社機能があるということは、県に相当の利益をもたらすわけです。私は前知事から、組み立て工場だけではなくエンジンの主要部門を誘致しなければ企業誘致の効果が生まれないと聞いてきました。実際、九州の先進地に関心を持ち、その当時から部品の共通化を図られる流れがあり、その点に関しても研究を進めたようであります。
 宮城県は村井知事がリーダーシップを発揮して、みやぎ発展税を活用し、仙台港へのアクセス機能を画期的に開発するなどインフラ整備に注力し、本社機能の誘致に全力で対応しました。私は、その戦略性が実を結んだものと評価をしています。
 このたびトヨタ自動車の社長が4月にかわりましたが、知事は新社長と面会したでしょうか。まずその点をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 豊田章一郎名誉会長お別れの会で、挨拶を交わす程度ではございましたけれども、直接お目にかかる機会はございました。
〇48番(飯澤匡君) 知事からとうほく自動車産業集積連携会議の代表幹事という話がありましたが、私はその立場を有効に活用して、会える機会というのはいつでもつくられると思うのです。今、トヨタ自動車は大きな分岐点を迎えていまして、新しい佐藤恒治社長は、非常に積極的に新しい部門での展開を進めていると聞いています。これは岩手県にもそういう影響は出てくると容易に想像できますので、そうした情報をいち早く取るというのはリーダーの責任ではないでしょうか。
 中部地方は今、大きな転換点を迎えて、まちづくりにもこの点を結びつけるというような戦略、また、進展を進めようとしています。知事はなぜ会わないのか。私は知事にはなれないけれども、知事であったら、必ず会いに行っていろいろな話をしますね。例えば、デンソーであるとか、アイシンであるとか、どういう部品が岩手県にもどういう影響があるのか、これは大事な問題です。知事はそういうことに興味がないですか。
〇知事(達増拓也君) 岩手県に最大の組み立て工場があるために、そことの関係で、岩手県にはデンソーもあれば、アイシンもあれば、豊田合成もあれば、トヨタ紡織もあれば、槌屋もあるということで、さらに、企業の進出や、また工場の拡大もあり、雇用もふえて、高校卒業者の県内就職率の向上にも資するところとなり、また、賃金水準についても、岩手県全体を引き上げていく方向に効果があるような流れで進んでいると思います。
 そのような中で、岩手県民に利益があるような形で、岩手県がトヨタグループの中でどういう役割を果たすか、そして、トヨタグループにはEVや水素などありますし、ガソリンにかわるバイオ燃料によってエンジン自動車というものの将来性がゼロになっているわけでもないという中で、岩手県に、東北地方にどのようなトヨタグループの工場の配置、そういうものが将来あるかということに関しては、さまざまなレベルで県と企業や関係者との間でやりとりをして進めているところです。
〇48番(飯澤匡君) 今の情報は現在の情報ですよね。私が言っているのは先の情報。デンソーはこれからインバーターに注力する。それから、アイシンはEVに使うeアクスルに注力する。この動向を雰囲気としてつかんでいかないと、岩手県の状況だって、民間会社というのは方針ががらっと変わりますからね。私だったらすぐ会いに行くけれども、残念な状況です。
 次は、自動車産業や半導体産業だけでなく、岩手県が岩手らしい特徴を生かすための1次産業への理解、また中小企業がすぐれている、雇用して地域振興に貢献している点を教育現場でもしっかり私は教育を施すべきだと考えます。
 キャリア教育について、教育長に伺います。高校生の就職活動について、安易に採用枠の多い大企業へと誘導している実績を重視するようなやり方が散見されています。本県の潜在力を生かすには、中小企業の魅力を理解させるような就職支援が不可欠と思いますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
〇教育長(佐藤一男君) 高校生の就職活動につきましては、大手企業のみならず、本県企業の99.8%を占め、県民の暮らしや地域経済を支えている中小企業の魅力についても、生徒や保護者、教員が理解を深めることが肝要であります。
 各学校では、商工労働観光部、岩手労働局や地域のハローワーク等と連携しながら、企業見学、説明会等への参加やインターンシップ等の実施を通じて、生徒が中小企業を初めとする地元企業の魅力を理解するように努めております。
 県教育委員会としましては、地域や産業界、関係部局等と連携を図りながら、生徒や保護者が中小企業を十分に理解する機会の充実に努めていくとともに、中小企業を含めた地元就職に向けた機運の醸成と進路目標の実現に向けて支援してまいります。
〇48番(飯澤匡君) 世の中が変わってきていますので、やはり地域振興という観点に立った就職支援、相談員なども増強しながら対応していただきたいと思います。
 次に、人口減少問題についてお聞きします。
 厚生労働省が今月2日発表した2022年の人口動態統計によると、2022年の県内の出生率は5、788人で、合計特殊出生率は1.21と過去最低、社会減も再び4、113人減と拡大に転じました。人口1、000人当たりの出生数を示す出生率は4.9で全国で2番目に低く、死亡率は16.5と4番目に高い。婚姻件数は3、508組で婚姻率は3.0と全国2番目の低さ。これを報じた朝日新聞は、全てワースト級という小見出しをつけておりました。
 県が設置したi−サポは、年度ごとの予算が一定せず、減と増を繰り返すことを繰り返しており、思った効果が出ていません。
 以前指摘をした自殺対策については、予算額は漸増しているものの、昨年はまた全国2位へと悪化。これは、これまでの取り組みに何かが足りないだけでなく、県としての姿勢に大きな問題を抱えているのに手を打てない構造的欠陥、政策判断としての甘さがあると私は思いますが、知事の所感を求めます。
〇知事(達増拓也君) 県では、市町村や関係団体と連携してi−サポを平成27年度に開設し、それ以降、出会いの機会をより多く提供するため、拠点の増設やAIを活用したマッチングシステムの導入など、予算を確保しながら事業の充実を図ってまいりました。より多く婚姻につなげるためには、結婚したいと願う県民にi−サポを十分に周知し、より多くの方々を利用へつなげることが重要でありますことから、今年度は、会員登録料無料キャンペーンの実施や、結婚コンシェルジュの配置による市町村との連携強化など、i−サポによる結婚支援の取り組みを強化したところであります。
 また、自殺対策については、行政のみならず、支援団体や保健、医療、福祉の関係機関の連携による長期的な取り組みが重要なことから、官民49団体で構成する、岩手県自殺対策推進協議会を設置するとともに、自殺対策を支える人材の養成や自殺予防の普及啓発、ハイリスク者への相談支援など、包括的に対策を推進してまいりました。
 こうした取り組みの結果、令和4年は自殺死亡率が上昇したものの、平成15年に12.3ポイントあった全国との差が令和4年には3.9ポイントと縮小しており、自殺者数も長期的に減少傾向にあることから、着実に成果があらわれてきたものと考えております。
 結婚や自殺を初め人口減少にかかわる問題については、県の施策に加え、さまざまな要因が影響していることから、引き続き、市町村や関係団体などと連携、協働しながら、課題解決に向け取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) 私は、結果が出ていない原因を聞いているのです。これからの取り組みについては、わかりました。その分析がなければ次に進まないのではないですか。15年のやってきた土台は、結果が出ないということは方向性が間違っていたということですよね。このことについて、反省なくして次につながらないと思うのです。その点については言及がありませんでしたが、その点についてはいかがですか。しっかり答弁していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 婚姻数については、令和元年には前年等の水準よりもふえておりますし、また、自殺者数、自殺率については、一昨年、戦後日本が経験したことがないような非常に大きな減少を見たところであります。そして、先ほど述べましたように、長期的な傾向として、自殺死亡率については、全国との差が12.3ポイントから3.9ポイントと縮小しておりますので、これは成果がなかったとは言えないのではないかと思います。
 婚姻数の減少につきましては、これは全国的にも大きな落ち込みが、特にコロナ禍の3年間で起きておりまして、まず、このコロナ禍の3年間から、いよいよ今から結婚するというような動きがきちんと実を結ぶよう働きかけるべきときと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 直近の都合のいいデータだけを出してきて改善をしているというやり方は、私は本質を見誤ると思います。これまでずっとそうやってきたのです。全国との差が縮まった。標準偏差の中で我が県はどこにいるかというのをしっかり分析しないと問題の解決にならない。指標のとり方というのはそういう考え方でいいのですか、政策企画部長。
〇政策企画部長(小野博君) いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプラン策定に当たりましては、さまざま議論をいただきながら指標を設定しているところでございます。特に幸福関連指標につきましては、多くの意見、多くの議論を経て、庁内的にもまた、さまざまな有識者の皆様からも意見をいただいているところでございまして、一つには、全国の中での、あるいは東北地方の中での立ち位置が明らかになるような指標とすることが重要であると考えております。
 また、それに加えて、全体としての数値がどうなっているのか。全体としての立ち位置、それから、岩手県がどうなっているのか、あわせて見ていく必要があると考えておりまして、第2期アクションプランの策定に当たっても、そういったところを併用するために、中には参考値のような形で継続して見ていくような指標も設定しております。
 いずれ、指標というのは、端的に申し上げまして、一つだけ見ても判断を間違うところがございますので、さまざまな指標を総合的にあわせて見ながら、どうなっているのかということを判断していくことが重要と考えております。
〇48番(飯澤匡君) 一見、今のを聞いても当然のように聞こえるけれども、結果が出ていないわけですから、それをどうやって分析するかということです。これはこれからも何度も言うことになると思います。
 そして、私たちいわて県民クラブは、人口減少問題に対して、年1回の政策要望の席や議会活動の中でも積極的に提言を行ってきました。i−サポの機能拡大、子供の医療費助成の拡充、常時雇用者100人以下の企業にも一般事業主行動計画の策定を義務づける条例の制定、少子化対策県民税の創設などであります。一つでも実現していればの思いがあります。要は、政策判断として、真に人口減少問題に本腰を入れてこなかった知事の姿勢が最大の要因にあると私は思います。
 東日本大震災津波後に瞬間風速的に社会減が持ち直したときに、知事は下げどまったと発言し、ミスリードしたことは政策の本質にぶれを生じさせ、脅かしたと私は思います。さらに、知事は、社会減の要因は東京一極集中であるとの議会答弁を繰り返しています。しかし、北陸地方など岩手県と同じような地理、社会情勢にある県を見ても、社会減少率が岩手県ほど高くない地域は数多く存在しています。
 一方、県内においても、広域振興局ごとに分析すると、県南地域は関東地方と宮城県への転出超過数には大きな差がなく、県北・沿岸地域は関東よりも東北地方への転出超過数が倍になっています。すなわち、県のトップが詳細な分析を怠り、間違った要因を繰り返し、その結果、岩手県庁は本質的な問題を捉えられなくなっていると私は断じます。政策に迫力と実効性を欠いたのは知事の責任が大きいと思います。知事自身の責任について所感を求めます。
〇知事(達増拓也君) 東京一極集中が岩手県の人口の社会減に影響を及ぼしているということは、やはり否定できないわけでありまして、ここ数年、岩手県はここ二、三十年の中でも有効求人倍率は非常に高いですし、景気がいい状態であったのですけれども、東京都や首都圏の景気、それはそのまま雇用条件になるわけですけれども、そちらが岩手県を上回るということが大きな要因となっていたわけであります。
 もちろん、議員御指摘のとおり、岩手県の中で見ていきますと、県北・沿岸地域は県外というより、むしろ県央への人口の移動が多く、また、県南地域については、御指摘のとおりだと思いますけれども、しかし、そのようにして人口が集まった県央から大きく東京方面に、首都圏のほうに人口が移動し、全体としては東京一極集中という日本全体の動きの中に岩手県も大きな影響を受けているというところであります。
 北陸地方は伝統的に、就職イコール上京、あるいは、就職イコール大阪府に出るという考え方が弱かったから、高校卒業生の地元就職率は、大分前から9割以上でしょうか、日本の中でも特別に高校卒業生の地元就職率が高い地域といってよく、北陸地方と、高度成長の時期から集団就職、金の卵、就職イコール上京というような考え方が強かった岩手県や東北地方とは、そういったところが違うと思います。
 人口に関することは、県民一人一人の結婚とか就職とか出産、そしてまた、自殺、自死を選ぶ、踏みとどまる、そうした一人一人の決断によって数字が出てくるわけでありますけれども、数字目標を目指して改善していくに当たっては、県民一人一人がどのような思いで人生の選択をしているのかというところをきちんと追及しながら、その生きにくさの部分を生きやすさに変えることで望ましい選択をしてもらえるようにしていくということが県の考え方であります。
〇48番(飯澤匡君) 今のをどうやって政策化するかというのは大変難しいですよね。
 私は今ごろi−サポの会員登録料の無料キャンペーンを実施するなど、政策としては全く時宜を得ていないと思います。まさに泥縄。さきに行われた岩手県人口問題対策本部会議では、今後、県庁内に作業チームをつくり、少子化の要因の詳細分析を進めると報道されていますが、私は2周回おくれだと思います。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランでは、人口減少対策に取り組む上での四つの重点事項が明示されていますが、本県の特徴ある課題として、30歳以上の有配偶出生率が低下しているなどの要因分析がなされていません。そして、その要因についても、エビデンスを用いて言及したこともない。アプローチが極めて曖昧です。そもそもこれから補正予算で微調整する課題ではないのではないか。こうした16年の土台と従来の指標で次の4年で飛躍的にジャンプするとは私は信じがたいです。
 自殺率の問題もしかり。自殺の要因はたくさんありますが、経済苦が大きな要因の一つであることは間違いないところであります。さきの質問で質した所得が上がらない点についても、大きな要因として関与していることと私は分析します。
 注目すべきは、自殺対策事業費が令和元年度から令和5年度まではほぼ横ばい、ここに問題意識があらわれているのではないかと思います。私が問題意識と思っているのは、予算編成過程で課題達成よりも予算枠をいかに丸めるかに重点が置かれている印象が強いのでありますが、このような弊害が私は出ているのではないかと思います。この点について、コメントがあればどうぞ。
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員は先ほど、県民一人一人の決断に寄り添いながら、生きにくさを生きやすさに変えていくというのは難しいのではないかとおっしゃいましたけれども、それをやらないと人口減少問題は解決しません。そして、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプラン、そして、幸福関連指標を掲げながら県の計画を組み立てているやり方は、まさに県民一人一人に寄り添う県行政を実現するためのやり方であります。東日本大震災津波からの復興に取り組む中で、被災者一人一人に寄り添わなければ復興はできないということを我々は痛感したはずでありますので、岩手県民にはそれができると思います。
 それから、自殺対策について、繰り返し、成果が上がっていないとおっしゃっておりますけれども、成果は出ているわけで、自殺者は少なくなっていますし、自殺率も下がっていますし、全国との差も縮まっているということで、一昨年の非常に極端な減少のことを一時的と指摘されましたけれども、一時的な大減少のほかに、長期的な減少のトレンドもあるということであります。
 そして、結婚についてでありますけれども、コロナ禍においてどのように結婚行動が左右されたかは、市町村とも連携しながら、さらに調査、分析をしてみなければ、きちんとした回答はできないと思っておりますけれども、そのような中で、改めて結婚について関心を高めてもらうこと、そして、コロナ禍にかかわらず、普通に生活していたのでは出会いの場がない、伝統的なお見合いとかそういった近所の人のおせっかいということがない人たちに対しては、i−サポの有効性というのがありますので、i−サポをより効果的に行うためのさまざまな改良をなしていくことには意義があると考えております。
〇48番(飯澤匡君) だから、何回も言っているように、i−サポも予算が乱高下して、成果が上がっていないのですよ。自殺率だって、令和元年は岩手県は全国ワースト2位、令和2年は1位、令和3年、これは26位、令和3年だけよくなって、令和4年はまた2位になっている。上がっているといっても、知事の今の答弁は全く私は相入れません。
 いずれ成果が上がっていないということをしっかり現実的に受けとめるということが大事で、知事はこれから先、こうやればよくなると言っているけれども、その反省なくして成果は上がらないのです。そのことだけはきょうは何回も言います。
 次の質問に入ります。
 令和5年3月16日に行われた令和5年2月定例会予算特別委員会県土整備部の審査において、私の質問に対して、田中県土整備部長は、新笹ノ田トンネル事業に関して、部内で1月中旬に検討を進めることを決定したと答弁しました。これは当局が社会環境の変化を的確に捉えて決断されたもので、私はこの決断と決定を大いに評価いたします。
 私は直近、平成26年から令和4年まででも一般質問で6回、決算特別委員会で8回、予算特別委員会で8回、都合22回、機会あるごとに毎回この課題を取り上げて、悲願達成のために力を注いできたところであり、事業採択に向けて第一歩を記したことは、今でも気持ちが高揚しているところです。
 早速、国道343号新笹ノ田トンネル整備に関する検討会議、第1回国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会が去る3月24日に開催され、以下の4点が論点となり、確認をされました。
 ここは要点だけ言いますが、笹ノ田峠が路線最大の隘路であることを確認。また、急カーブや急勾配が存在する区間が連続しており、規格の低い道路構造であることを確認。複数の断層が確認をされている。自然災害や交通事故による通行規制が複数発生していることを確認。以上4点であります。
 今後、この検討協議会において、技術的課題をさらに検討し、概略ルート、構造の検討が進められると思いますが、検討協議会の期日を含んだスケジュールを示してください。
 また、あわせて聞きます。この検討協議会を土台にして、県や有識者からなる会議に国も参加をし、防災、安全に関する検討に対して助言をいただきながら、国直轄による権限代行実施の検討を行うための調査という流れが想定されますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(加藤智博君) 笹ノ田地区の今後の検討協議会のスケジュールについてでありますが、国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会は、国道343号の最大の隘路となっている笹ノ田峠付近の現道課題について、専門的見地から対策の必要性、効果及び技術的課題等の検討を行うことを目的として設置したものですが、ことしの3月に開催した第1回協議会では、県南地域と陸前高田市間の道路交通や笹ノ田地区の地形、地質の現状と課題を確認し、交通計画や法面防災の専門家から、航空レーザー測量データを活用した地形、地質状況の把握の有効性などの御意見をいただいたところでございます。
 現在、いただいた御意見も踏まえて検討を進めているところでありますが、今後、対策の必要性や効果などについても検証する必要があり、現時点では、これらに要する期間をお示しすることはできませんが、引き続き、着実に検討を進めてまいりたいと思います。
 次に、国直轄による権限代行についてでありますが、通常の直轄権限代行は、対策を行うべき道路交通上の課題が確認できるとともに、全国的な幹線道路網の観点から特に重要なもの、高度な技術を要し都道府県による施工が困難なものが採択要件となっており、道路交通上の課題やルート、構造等の調査が一定程度進んでいる必要がございます。
 飯澤匡議員御指摘の直轄権限代行は事業を進める上での制度の一つではございますが、まずは、協議会において対策の必要性や効果、技術的課題などの検討を進め、その熟度を高めながら、国と情報交換をしてまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) 今の答弁を聞くと、まだ途上であるから慎重に進めていくというお話でした。しかし、心づもりとして、県当局は事業採択については、令和何年度ぐらいをもくろんでこれから進めようとしているのか、その点について伺います。
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇県土整備部長(加藤智博君) 本年3月に設置しました協議会において、対策の必要性、効果、技術的課題などについて、現在、具体的な検討を進めているところでございまして、現時点では今後のスケジュールをお示しすることはできませんが、引き続き、協議会での検討を着実に進めてまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) 加藤県土整備部長には大いに期待をしております。よろしくお願いします。
 次の質問に入ります。JRローカル線の維持、発展についてお伺いします。
 人口減少を起因とした利用者の落ち込み、コロナ禍の直撃によって地域公共交通を取り巻く状況は年々悪化している背景から、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律が制定、交付されました。特に、ローカル鉄道の再構築に関する仕組みの創設により、国が組織する再構築協議会の新設に対する対応は、地方公共団体側から見れば、赤字路線について見切りをつける道程にはめられる可能性もはらんでおり、取り扱いが実に悩ましく、厄介な印象です。
 問題は、保線などにかかる維持コスト、これはJR東日本が開示をいたしましたが、その経営情報による年間収支、例えば、大船渡線は15億1、000万円と示されましたが、保線などにかかる維持コストの計算はどうなっているのでしょうか。県は把握しているか伺います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 保線などにかかる維持コストについてでありますが、JR東日本では、持続可能な交通体系について議論をすることを目的に、利用の少ない線区の経営情報を開示することとし、平均通過人員が2、000人未満の35路線、66区間について、令和4年7月に令和元年度分及び令和2年度分、令和4年11月には令和3年度分の線区別収支を開示したところでございます。
 最新の令和3年度分のデータによれば、例えば、飯澤匡議員御指摘のとおり、JR大船渡線の収支は、運輸収入1億600万円に対し営業費用16億1、600万円で、15億1、000万円の赤字、JR八戸線の収支は、運輸収入5、600万円に対し営業費用13億7、600万円で13億1、900万円の赤字となっておりますが、保線などに要する維持コストを含めた営業費用の内訳、計算方法などの詳細は開示されていないことから、県では、JR東日本に対し、透明性の高いデータの開示を求めているところでございます。
〇48番(飯澤匡君) この点は非常に大事な話で、御案内のとおり、保線にかかる業者は特定されているわけです。競争意識もないし、大体定価で行われていますから、この点についても、これからの協議の中でしっかりと県側も対応する一つの要素にしてほしいと思います。
 震災復興に係るJR山田線の三陸鉄道移管について、過去の件を思い出しますと、県とJR東日本の交渉に関しては、以前、私も指摘をしたことがありました。知事はまちづくりについても言及され、クリエイティブな交渉をしたいとの意見を述べられましたが、果たして結果はそのようになったか、私は疑問が残ります。
 JR大船渡線を例に挙げれば、ILCとの関連性もあり、戦略的な行動を持ってJR東日本とは接すべきと私は強く要望するものですが、JR大船渡線の発展性について、県は現段階でどのような戦略を持っているのか示してください。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) JR大船渡線に対する戦略についてでありますが、JR大船渡線は、一関市と気仙沼市を結び、さらにはBRTによって大船渡市までつながっており、内陸地域と沿岸地域を結ぶ重要な路線の一つであるとともに、本県の主要な観光地である猊鼻渓や東磐井地域の主要地区を結んでおり、県南地域の地域経済を支える必要不可欠な社会基盤であると認識しております。
 ILCが実現すれば新たな国際研究都市の形成も見込まれますことから、ILC周辺地域を含めて交通インフラの役割がより重要になっていくと考えております。
 JRローカル線については、現状の議論にとどまらず、地域振興の視点も含めた議論が必要であり、JR大船渡線については、飯澤匡議員御指摘のとおり、ILCの実現を初め地域の将来性を踏まえて、路線の果たすべき役割や可能性について、JR東日本に対して訴えてまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 熊谷ふるさと振興部長、その点はきょうはすばらしい答弁でした。よろしくお願いします。
 次の質問に入ります。
 ILCの実現に向けた県の対応について。昨年2月14日、有識者会議が議論のまとめとして取りまとめ、準備研究所、プレラボへの移行は時期尚早、立地問題を一旦切り離し、段階的に研究開発を展開すべきと公表しました。それを受けて、KEKは必要な研究開発を行う枠組みにより共同研究を行うことをICFAに提言、ICFAもそれを受け入れる形で推移していると理解しています。いわば今の状況は、有識者会議がILCの推進にブレーキをかけたものを研究者の皆さん方が何とか食いとめを図って動いていると言えます。
 今年度予算措置された10億円弱の予算は、ILCテクノロジーネットワークの活動の支援になることが期待されています。
 ILCの実現については、ポストコロナ時に入り、国や政府与党への働きかけをさらに重層的に行う必要があると考えますが、先頭に立つべき知事のこれまでの動きは、今まで本当に鈍いと思います。昨年、河北新報社が行った県内首長へのアンケートでも、回答された14人、全体の56%が批判的でありました。記述欄でも東北ILC推進協議会でのリーダーシップ不足を指摘しています。
 知事はこのような評価を受けて、今後どのような動きをするのか示してください。
〇知事(達増拓也君) ILCの実現については、これまでも、それが創造的復興の力となり、世界全体への岩手県の貢献になるとの思いから、岩手県の使命と考えて県の最重要課題の一つとして取り組んでまいりました。
 取り組みの推進に当たっては、国内外の研究者の皆様の思いに沿えるよう意を尽くしながら、県内外の産学官それぞれの関係者と連携し、日本として、さらには国際社会として実現の意思決定ができるよう努めてまいりました。
 中でも、実現の効果が及ぶ東北地方が一体となった活動が重要と捉え、岩手県、宮城県の知事等が理事を務め、産学官が連携して誘致に取り組む東北ILC推進協議会とも調整を図りながら、オール東北での活動を進めております。
 先般、6月6日に開催された東北ILC推進協議会の総会におきましては、増子代表と懇談を行い、オール東北での推進を確認し、従来、総会で実施されていた役員を務める自治体の長等一人一人が決意を述べて気勢を上げるというやり方にかわって、私が出席役員の代表として、東北地方が一丸となった誘致活動を推進する旨スピーチを行ったところであります。
 今後も国内外の研究者の皆様や県内外のILC推進団体とも進め方の調整を図り、国に対しては、関係者が一体となってILCの実現に向けた取り組みを加速し、一日も早い誘致の決断をしていただけるよう働きかけを行ってまいります。
〇48番(飯澤匡君) 昨年の9月定例会決算特別委員会で、ILC実現に対する知事の取り組み姿勢について私は質問しました。私が国への働きかけ不足を指摘したことについて、知事は、鈴木財務大臣も含めて関係する皆さんと調整しながら、その中で岩手県の動き方、また、知事の働き方を調整しながら決めてやっているところで、研究者の皆さんともすり合わせしながらやっておりまして、これ以上岩手県知事が突出すべきとか、目立つべきだということは、そういった方々からは全然いただいていないところでありますと答弁されました。この考え方が本県知事の考え方の行動規範として捉えてよろしいか、確認をさせていただきます。
〇知事(達増拓也君) 岩手県知事が先頭に立ってILCを推進すべきという考え方から、そうではなくて、岩手県知事が関係者と足並みをそろえ、調整をし、誰が先頭に立つという形ではない中で、ILC実現に向けてみんなで進んでいくというのはよくないと批判する視点からの御意見かと思いますけれども、先ほど答弁しましたように、東北ILC推進協議会の総会においても、首長の皆さんが気勢を上げてエイエイオーというようなやり方は、今は望ましくないのではないか。また、研究者の中でも、ある一人の研究者が先頭に立っていくというやり方ではない、組織を重視し、組織と組織の関係をきちんと体制をつくった中で研究者も頑張るというやり方を研究者の皆さんも最近は採用している中、そういったことをさまざま調整しながら、ILC実現に向け、関係者全員でスクラムを組んで、そのスクラムトライをする形が望ましいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 私の言葉尻を捉えて勝手な解釈をしないでほしいと思います。私は、前回の決算特別委員会でも、岩手県は我が県としてできることをもっとアピールすべきだという観点に立って質問しました。足並みを乱してやれという話ではなくて、岩手県知事としてやれることをやれということなのです。その中で、知事は、そういった方々から突出したやり方をやるべきと言われていないからやらないと。これはかなり寂しい考え方だと思いますね。
 次の質問に入りますが、ことし2月に私の地元の一関市長の働きかけで、関係市町によるILC実現建設地域期成同盟会が設立されました。これは一年越しにも及ぶ粘り強い政府関係者への働きかけが実を結んで、国会議連の塩谷会長も来席されました。この期成同盟会の設立の意義は大きく、推進を図る関係者に勇気を与え、昨年来の沈滞ムードも払拭されつつあると伺っております。
 しかしながら、本来なれば、このような地域の機運醸成は知事が先頭に立って行うべきものであると私は考えますが、そのような形に至らない理由は何なのか、何が障害になっているのか、知事に伺います。
〇知事(達増拓也君) ILC実現建設地域期成同盟会の設立については、より住民に近い基礎自治体と地域の推進団体が主体的に連携した、これまでにない力強い動きと捉えております。
 この会については、発起人となった一関市長等が、国会議連会長や、設立に多様な意見を持つ関係者との困難な調整を経て設立に至ったものでありまして、この設立に多様な意見を持つ関係者との困難な調整というのは、実は批判的な意見もあったということでありまして、しかし、そうした方々との困難な調整を経て設立に至ったものであり、私自身も、岩手県、宮城県にまたがるこうした動きを支援するために、そのさまざまな考えの関係者と意見交換をし、発起人や宮城県とも調整の上、宮城県知事とともに常任顧問として参画することとしたところであります。
 ILCの実現に向けては、この期成同盟会のような建設地域レベル、県推進協議会などの県レベル、そして、東北地方や全国的レベルの推進団体などの多様な主体による推進活動が重層的に展開されることで国民的な機運醸成が図られ、このことが政府の決断につながるものと考えております。
 この期成同盟会を初めとした県内や東北地方の推進団体等の取り組みを私も支え、県内や東北地方の活動が一体的なものとなるよう調整を図りながら、国内外の研究者の皆様や全国的な推進団体、政界、経済界とも連携し、国民的な機運の盛り上げを図るなど、ILCの日本誘致に向けた流れがより大きく、確かなものとなるよう取り組んでまいりたいと思います。
 また、このような私の姿勢を尊重されて、先ほど答弁したように、6月6日の東北ILC推進協議会の総会では、私が出席役員の代表として、東北地方が一丸となった誘致のスピーチを行ったところであります。
〇48番(飯澤匡君) それは自慢になりますか。実際問題、達増知事がどのように活動しているかというのは、私は、国は注視をしていると思いますよ。そこは考えが全く相入れないですね。
 塩谷会長がわざわざ来県されて、お話をさせていただきましたが、当然、達増知事はその時間、15分ぐらい単独でとって、岩手県の姿勢などを自分の言葉で語るべきだと私は思うのですが、私も楽屋に招待されていましたが、達増知事は塩谷会長と大体同時間に入ってきて、その後は皆さんと懇談はしたようですが、そのような時間をとれない、そういう工夫もできないというのは、私自身は非常に情けないと思っています。
 かなり調整、調整の中で、自分が与えられたところで精いっぱいやれば大丈夫だというような考えなのですが、これは私と全く相入れません。岩手県民の県民利益に資するためのリーダーとしてしっかり行動すべきだと思います。
 今のILC推進局ですが、やはりもう少し県としての姿勢を積極的に行うために、私は副知事あたりが先頭に立って組織再編をしながら進むべきだと考えていますが、これは知事が考える組織再編でしょうからそれ以上のことは申し上げませんが、一応、副知事の意気込みだけは聞いておきます。
〇副知事(八重樫幸治君) 県の組織体制についてでありますが、平成23年11月に当時の政策推進室にILC専担職員を配置して以来、平成31年には初の専担組織となるILC推進室を設置し、令和元年8月にはこれを局に格上げするなど、ILCをめぐる諸情勢に的確に対応し得るよう組織体制を充実してきたものであります。
 また、部局横断的な取り組みが必要となる重要な課題に関しては、知事や副知事をトップとする組織を設置して対応しており、ILCについても、知事を本部長とする岩手県ILC推進本部を設置し、全庁を挙げて取り組みを推進しています。
 私自身も、ILC推進局を担当する副知事として、日常的にILCを取り巻く内外の諸情勢等について詳細にわたる報告を受けており、国や県内外の推進団体等とさまざまな調整が必要となる中、機動的な対応を行うよう必要な指示を行っております。
 今後も、ILC実現をめぐる状況の進展を的確に見極めながら、環境の変化にも即応できる組織体制のあり方について、継続して検討してまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) わかりました。
 次の質問に入ります。
 今年度から知事は市町村要望に同席することとなりました。ことしにやるのであれば、我が会派は以前から求めてきたところであり、即対応すべきでありました。今さらという感があります。これまで県は、市町村要望については、日常的に地域の実情やニーズを把握し、それぞれの地域課題に精通している広域振興局長が知事の名代として、各市町村の意向を踏まえ、迅速かつ柔軟に要望を受ける場として設置するとし、知事は要望にかかる報告を受けることが一番合理的であると強弁してきました。
 そこでお伺いしますが、知事が同席するということは、これまでの方式について反省や検証がなされたのか、そうした課題があったのか、そういうことで変更されたものと私は推察しますが、変更に至った理由について明らかにしてください。知事が同席しないのはだめということではなくて、今までこれでいいのだということを変更したわけですから、これについて、しっかりとした説明が必要と思うので質問させていただきます。
〇知事(達増拓也君) これまでの県議会において、複数の議員から、市町村要望の中で知事が市町村の話を聞く機会をつくっていくべきであるという意見や、知事が出席することで県と市町村の関係をより強固なものにしていくことにつながるなどの意見をいただいたことから、今回、市町村要望に知事が出席することといたしました。
 既に5市町村の要望に同席しておりますが、コロナ禍や物価高騰による地域の実情や人口減少対策等について、市町村長や市町村職員の生の声を直接聞くことができ、よい機会であると感じております。
〇48番(飯澤匡君) 質問に答えてくださいよ。今までのやり方が一番合理的だと言ってきたのでしょう。その方式を変えたのだから、そこには合理的な説明が必要です。そこの説明をなくして、これは市町村長たちはおかしいと思いますよ。知事はそこをきちんと説明してください。
〇知事(達増拓也君) 先ほど答弁したとおり、複数の議員からの指摘で、市町村要望の中で知事が市町村の話を聞く機会をつくっていくべき、また、知事が出席することで県と市町村の関係をより強固なものにしていくことにつながる。これらは、より合理的にするということではなく、むしろ手間ひまをかけるということでは合理的ではなくなるのですけれども、一方、合理性のほかに、そのような市町村の話を聞く機会をつくる、そして、関係をより強固なものにしていくことにつながる、そういったことがありますので、出席することといたしました。生の声を直接聞くことができ、よい機会であると感じております。
〇48番(飯澤匡君) よい機会になるのは当たり前ではないですか。そんなのは最初からわかっているのだ。だから、我々は要望してきたのだ。だから、何で質問に答えられないのですか。今まで知事が出ないのはなぜかという質問に対して、そういうやり方が合理的だと言ったのはあなた方でしょう。(知事達増拓也君「今、答弁しましたよ」と呼ぶ)全然答弁になっていないではないですか。あなたは、あってよかったと言っているだけですよ。(知事達増拓也君「いや、合理的ではなくなると言っています。」と呼ぶ)手を挙げて答えてください。
〇知事(達増拓也君) 先ほど既に述べたとおりでありますけれども、合理的という観点からは、今までのやり方のほうが合理的なのですけれども、合理性プラス市町村との関係をより強固なものにしていくことにつながる、また、市町村の話を聞く機会をつくっていくべきであるという、それが理由ということで先ほどから答弁をしているところであり、答弁をしていないという御指摘は当たらないと考えます。
〇48番(飯澤匡君) まさに詭弁だ。だって、市町村側が受け手としてどう考えるか、想像したことがありますか。今までそれが合理的だと言っているのに、今までのやり方と違うやり方が出てきて、そこにいた広域振興局長は何のためにいるかということも、これは問題になりますよ。それではおかしいではないですか。もう答える気がないようですから、この点については終わります。
 知事と市長村長が直接意見交換をする機会を設けるべきと提案してきましたが、どのように対応されたか。直近3年間において、個別に面会をセットして実現した回数を示してください。知事表敬、県政懇談会、現地視察後、昼食懇談は除いて示してください。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 知事と市町村長の個別の面会についてでありますが、秘書課で把握している実績によりますと、令和2年度から令和4年度までの3年間に53回行われております。
 これらの面会につきましては、例えば、表敬の中で要望や意見交換が行われる場合もあるなど、飯澤匡議員からお話のあった分類を単純に集計することは難しいところでございますが、便宜的に分類し、おおむねの内訳を申し上げますと、新任、退任挨拶等も含めた知事への表敬訪問は14件、県政懇談会等の際の昼食懇談や夕食懇談は18件、災害時なども含めた現地施設後の面談は8件となっております。これらを除いた回数は13件でございます。
 なお、知事表敬や昼食懇談、災害時の視察の前後などに面談する場合におきましても、各市町村長からの要望や地域の実情、課題などを伺っており、市町村長との貴重な意見交換の場となっております。
〇48番(飯澤匡君) かなり援護射撃の答弁でしたけれども、数としては本当に少ないと思います。増田県政時代は、平成の合併前で59もの自治体があったにもかかわらず、一つ一つ丁寧に対応し、年次ごとの要望会を進化させてきました。机上の要望会だけではなく現地調査も行い、課題を共有してきました。そして、その移動には、バスで首長と並んで座り、その間もコミュニケーションを図っていた光景が今でも私は思い出されます。
 この14年間、達増知事の首長との関係がいかに消極的であったかというのは、河北新報社のアンケートで、市町村との連携は、40%が評価しない、あまり評価しないという結果が物語っているのではないでしょうか。
 知事にもう一つお伺いしますが、知事は就任当初から岩手四分の計を掲げ、四つの広域振興局が自立することにより分権型社会を実現すると訴えてきました。一般質問の答弁でも、将来的には4広域振興圏により多くの権限を移譲し、行政の完結性を高めるとしています。それでは現在、広域振興局に多くの権限が移譲されているのか。現状は要望の取り次ぎ先となっているのではないでしょうか。15年経過して権限移譲は何が実現したのか、明確に示してください。
〇知事(達増拓也君) 1期目の知事選挙に臨んだ際のマニフェスト、公約のことをまずおっしゃったと思いますが、そのときは市町村というものがなくなって、四つの広域振興圏が新しい基礎自治体になるという方向性の中でさまざまな議論をしておりましたけれども、2回目、3回目以降の知事選挙マニフェスト、公約の中では、今ある市町村を尊重し、それを生かして、県との連携をよりよくするために広域振興局が役割を果たすというふうに、まず、その入り口の部分については指摘をさせていただきます。
 さまざまな権限移譲は進んでおりまして、また、先ほど合理化という話、今までのやり方であれば、市町村要望を広域振興局長が取りまとめ、早い段階で県の幹部と知事とで対応の方向性を協議する場をつくれたわけですが、そういった内部協議は先送りになるのですけれども、今の段階で私が市町村長の皆さんと直接会うメリットのほうを今、優先させているというところです。
〇48番(飯澤匡君) ちょっと何を言っているかわからないね。権限移譲は多くされたと言うけれども、具体的に出なかったというのは、それだけ問題意識が薄いということだと思います。
 このたびの人口減少対策の強化に向けた市町村との共同宣言がいまだ形になっていないのは、知事のリーダーシップが足りないという評価であると私は思います。いわば、市町村との関係において、通信簿に努力が足りませんと言われたようなものではないかと思います。今ごろ実務者間で協議をするなど泥縄式もいいところだ。そういうことは広域振興局が事前に県の考えを伝えて調整するものではないでしょうか。結局は知事の思いつきではなかったのかと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 昨年11月に開催した県・市町村トップミーティングにおいて、市町村長に対し、市町村と県の共同宣言のような形で人口減少対策を表明することを提案したい旨を呼びかけ、特に異論がなかったところであります。その後、市町村に対して趣旨説明等を行ったところ、多くの市町村から肯定的な反応をいただきましたが、一部の市町村からは、県の具体的な取り組みを明らかにしてほしい、十分な議論をしてほしい等の御意見もいただきましたので、先般、実務レベルの会議を開催し、市町村、県が連携を進めることによって実効性を高めていく事業等について意見交換を実施いたしました。
 県、市町村の連携が実行段階に移っている中、6月に令和4年の合計特殊出生率の公表、去年の岩手県の出生数、出生率が大きく下がったというデータの公表があり、県としては、いわてエンパワー隊の活動や人口問題対策本部会議の開催によって対策を強化しており、今後、市町村と県とで構築した連携体制を生かしながら、市町村ごとの特徴的な要因分析を進めて、具体的な対策の強化につなげていくという作業状態になっております。
 共同宣言の時期につきましては、さまざまな御意見をいただいておりますので、丁寧に議論を進めながら調整をしてまいります。
〇48番(飯澤匡君) 私は、本来、市町村の首長との関係がいつもコミュニケーションを図られて良好であれば、知事がそういう発言をしたことについては、おおむね理解するという意味であれば、もうそういう下地がつくってあって、既にもう形になっていると思います。今ごろ実務者レベルに落とすというのは、やり方として後手後手になっていて、これは市町村の首長もかなり困惑をしているという話も聞いています。県がやはり号令をかけてもなかなか呼応しないというのは、この結果が全て、非常に象徴的な問題ではないかと私は思います。
 最後に、庁内ガバナンスについてお伺いします。
 私は、臼澤勉議員が岩手県立大学理事長の1.5倍化した報酬額について世に発信したところ、反響が大変大きいです。この間、特に県庁OBから、退職後の報酬については上限が定められているのに、特別な理由もなくかかる額になったのは大いにバランスを欠くことになったと懸念の声が私に複数寄せられています。特に、職員のモチベーションに影響するのではないかという心配の声もありました。県は組織内部の議事の問題として処理していますが、増額はこのコロナ禍のさなかにお手盛りと批判を受けても仕方のないところと私は思っています。
 改めてお聞きします。県立大学理事長の報酬は妥当な額なのか。これは妥当だということでしょうから、他とバランスを欠いていないか。これは県政運営上、大変問題だと私は思っていますが、後段の部分だけ答えてください。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 今般の報酬改定に当たりましては、県立大学におきまして、他の公立大学法人の理事長報酬、それから、学内の他の役員の平均給与との均衡等を勘案いたしまして、外部理事を含む役員会議による協議を経由した上で決定したものと伺っております。
〇48番(飯澤匡君) 今まで答弁と変わらないわけですね。それで、私はこの間、先ほども申し上げましたが、県のОB、特に複数の幹部の方々、また、じかに県職員の方ともいろいろお話しする機会を得ました。県立大学理事長報酬額と同時に、県庁組織内風土についても、私に対して声や手紙、メールでお知らせをいただいています。私の認識とほぼ同じであります。とにかく庁内には閉塞感があふれていて活気がない。自由闊達に県民のために考えを出し合って目的を達成するという組織形態だけでなく、そもそも雰囲気がない。
 私は、上野副知事が退任以来、県庁が著しくなったのは、県庁が内部管理型に大きくかじを切られて、真の県民利益を追求する形になっていないと分析します。これは私の分析です。
 震災対応で県庁組織が中央集権化されたのはいたし方がないとしても、その後にも部局再編等はあったものの、目的達成型の組織体系にはなっていない。改革されていない。冒頭に申し上げた、ポストコロナの激動の時代についていくどころか、権力を何かしら温存するためなのか、本質的な改造には至っていない。職員からも、生産性のない仕事がふえてモチベーションが下がっているとの悲痛の声があります。
 例を挙げれば、幹部職でも新計画を全庁的に推進、進捗管理していくために、10の施策やプロジェクトチームごとにCFT、クロスファンクショナルチームが形成されたが、実効性のない無駄な仕事がふえるのかと閉塞感がいっぱいとの声があります。こういうこともいまだ組織的に温存されています。
 知事はこうした状況を把握していますでしょうか。お尋ねいたします。
〇知事(達増拓也君) エビデンス、明確な根拠と日ごろから言われている割に、今、誰がそう言ったのか、あるいは、どのような文書にそれがあったのかというのがないので、私もどういうところの話をしているのかなかなか見当をつけにくいところでありますけれども、この4年間のことをまず思い出しておりましても、新型コロナウイルス感染症対策ということを全庁的にやりながら、県民の命と健康を守り、しかし、同時に、県内経済を下支えしながら、県民の生活を支えていくということをやりながらも、それが観光の発展、新しい教育旅行分野での新たな展開につながったり、また、企業誘致が盛んに行われ、そして、半導体、自動車関係産業集積の二つを統合する形で岩手県内で強力に進めていくということ、そして、全国的にも海外からもさまざまなつながりが得られて、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校でありますとか、コロナ禍が過ぎて、いわて花巻空港のタイガーエア台湾の台北便が復帰するなど、県民の暮らしや県の経済の向上に資するようなことは県職員たちがしっかり行い、そして、今年度、全国トップクラスの子供子育て環境にするような、第2子、第3子の保育料無償化など、そういったことも県政史上最高の令和5年度当初予算と言ってもいいものを実現してくれていると思っております。
〇48番(飯澤匡君) わかりましたよ。県職員は頑張っています。ただ、私が言っているのは、そういう声がある。エビデンスと言いましたけれども、名前を出せるわけがないではないですか。そうしたお手紙等は複数来ています。
 首をかしげて、知事、そういうこと自体が、そういう把握もできないということが、あなたが庁内をしっかり把握できない、リーダーシップがとれていない、ガバナンスが効いていないということでしょう。そういう声に耳を傾けない。結局、あなたは見ていることしか見ていない、こういうことだと私は思います。
 この間、人事でも不可思議なものがありました。IGRいわて銀河鉄道の代表取締役社長の前任者の任期が残っているにもかかわらず新社長を押し込んだ人事、選挙管理委員会でも前任者の任期が満了したタイミングであった、通常2期務めるのが慣例となっているのに押し込んだ人事、そして、岩手県立大学理事長職もしかりであります。組織が機能していないのに漫然と対応していないのはなぜか。そんな話、聞いていないと無駄な忖度が現在でも行われているとの指摘がありますが、それは事実なのでしょうか。
 そこでお伺いします。退職された県職員幹部への県行政のアプローチの仕方について伺います。
〇総務部長(千葉幸也君) 県政運営における意思決定でありますが、県が組織として行っているものでございます。その権限は委任及び代決専決規則等によって、職員の職位に応じて行使されることとしており、退職した元県職員幹部も含め、庁外の特定個人の関与が県の政策や事務事業の決定に影響を及ぼすことはないものと認識しております。
 また、意思決定のプロセスについても、いわて県民計画(2019〜2028)を初め、その後の政策に大きな影響を及ぼす重要な計画等については、議会の審議を経た上で施行されることや、さらには、昨年度から導入した電子決裁・文書管理システムにより、庁内職員であっても業務に関係のない職員は決裁過程に関与できない仕組みとなっており、実務上においても、制度的な面から見ても、県政運営における透明性や客観性は確保されているものと考えております。
〇48番(飯澤匡君) その答弁で大丈夫ですか。
 4月3日、ふるさと振興部職員は大勢14名、滝沢市方面にお出かけなっています。公用車の記録を精査したところ、このような事実が判明しました。これは何のために行かれたのですか。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 年度当初、ふるさと振興部が県立大学の所管でありますことから、副部長が今回、新任ということで、理事長、学長、そして新任であります副学長、副学長が新しくかわりました。そうしたところでしたのでお邪魔いたしまして、副部長を紹介するとともに御挨拶を行ったところでございます。
 あと、当日は県立大学のほか盛岡商工会議所、岩手県交通、岩手県北バス、そういった関連機関にお邪魔し、同様に御挨拶をしたところであります。
〇48番(飯澤匡君) これも目的地がはっきりしないので、ただ滝沢市方面とか県立大学というふうに書いてあります。
 ところで、アイーナにあるサテライトキャンパス、これは何のためにあるのですか。何を目的にしてサテライトキャンパスをつくったのか教えてください。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) サテライトキャンパス事業は大学の授業、それから、公開講座等で使っております。アイーナキャンパスは、たしか応接室的なものがありまして、理事長だけではなく学長、理事、それから、県立大学の役員の来客対応でありますとか、外部講師の控室といったものに使っていると聞いたことがございます。
〇48番(飯澤匡君) 実にそつのない答弁でしたね。私が複数のОBから聞いたところによると、理事長がこの応接室を常態化して使っている。何の目的かわかりません。滝沢市に大勢押しかけていくのを避けるために、近いからという理由からかもしれません。これは単なる想像ですから。
 ただし、ただしですよ、蓋然的な背景から、今の県政が全く変化を示していない。そして、多くの県職員から悲痛な声がある。これは、私は現に県の職員から涙ながらに、今の体制ではとても苦しくてやっていけないというようなお話もされたことがあります。こうしたことに耳を傾けないで、現状がすべからくうまくいっていると言っていることは、先ほど申し上げましたように、県庁内のガバナンスについて目配りが足りないと言わざるを得ないと思います。
 最後に、知事に聞きますけれども、上野元副知事は県政顧問として御活躍をいただいていますが、県立大学理事長に対しては、知事は県政に対して公的な役職を与えていますか。
〇知事(達増拓也君) 文化関係、大学関係の調整等にかかわることをお願いしていたと記憶します。
〇48番(飯澤匡君) わかりました。それを逸脱するようなことが起きてしまっては大変なことになりますよね。私は、去年の一般質問で幸福関連指標の件について、県の職員がこれは元副知事の負の遺産だということを耳にしたと。それについて、知事は一刀両断して、その職員は間違いですと言いましたね。それから、昨年の決算特別委員会で、県立大学理事長の仕事ぶりについて、確かにお仕事ができる方だと思いますけれども、まさに先ほど私が申し上げた別の視点については、全く一顧だにすることなく答弁として申し上げました。これは非常にまずかったと私は思います。特に職員が問題意識を持って何かの県政に対する意識を何らかの形であらわにしたということは、私なら広く受けとめて、県政の中で何か反映をさせないとならない。一刀両断したということは、県立大学理事長のポジションを知事自身がさらに上に上げてしまったということになっていると思います。
 私も会社の代表を務めておりますので、組織の運営というのは非常に気を遣います。いろいろな人間がおります。社員同士でも仲が悪い人もいる。そこで信賞必罰、正しい考え方を徹底させること、これが本当に大事だと思います。これは日々研さんに努めなければならないと私は思っています。
 河北新報社のアンケートで、県政に対して、躍動感に欠け期待感がわかない、県組織に余計な仕事をしたくないという空気がある、こういうことが記述で明らかになっています。このことも先ほど申し上げた風通しのよくない県庁組織、内部管理型に非常にかじを切った県庁組織を証明するような市町村長からの評価ではなかろうかと思います。
 それからもう一つ、私が気になっているのは、北海道、東北地方の議員の勉強会で県当局に資料をつくっていただきますが、青森県を初め、外に対してどういう取り組みを県がしているかというイメージ、それをいかにアピールしているかということに注力した資料をつくってくる。ところが、岩手県はどうか。これは完全に内部資料です。誰に向かって情報発信しているのか。このこともずっと続いている中で、それが一つ一つ積み重なって今の県庁組織の大変なところになっているのではないかと思います。
 今の状況、知事は自分のやっていることを随分アピールしていますけれども、今の状態は、私は詰まない将棋を延々と繰り返して、このままいわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの土台で第2期アクションプランが進むということは、県民にとって本当に保障ができるのか、その土台自体が問われると思います。
 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時34分 散 会

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