平成7年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成7年3月1日(水)

1開会    午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員 
  事務局長       古館敏男
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   中坪貞雄
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     八重樫典彦
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  主事         平野信二

1説明員
  副知事        濱田明正
  副知事        高橋令則
  総務部長       上田紘士
  総務部次長      渡邊勉
  県立大学整備室長   川崎功
  参事兼人事課長    福岡勝夫
  参事兼財政課長    佐藤文昭
  総務学事課長     盛合桂三郎
  国際交流課長     保坂貢一
  施設管理課長     石川寮一
  税務課長       梅木敬時
  地方振興課長     赤津征男
  消防防災課長     大槌典男
  企画調整部長     小野寺英二
  企画調整部次長    大石勲
  企画調整部次長    佐藤孝司
  企画調整課長     馬場竹次郎
  科学技術振興室長   本田敏秋
  地域計画課長兼海洋開発対策室長兼リゾート対策室長  小澤哲
  交通政策課長     田中照久
  資源エネルギー課長  熊谷進
  青少年女性課長    高橋洋子
  公聴広報課長     和美宏幸
  統計調査課長     大内義雄

〇古館議会事務局長 年長の委員を御紹介申し上げる。
 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により年長の委員が委員長の職務を行うことになっておる。出席委員中、藤根順衛委員が年長の委員であるので御紹介申し上げる。藤根委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いする。
   〔年長委員藤根順衛君委員長席に着く〕(拍手)

〇藤根年長委員長 ただいま紹介のあった藤根順衛である。よろしく御協力のほどをお願い申し上げる。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行う。何とぞよろしくお願いを申し上げる。
 お諮りする。委員長互選の方法については指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤根年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤根年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名をすることに決定した。
 予算特別委員長に戸羽一男君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した戸羽一男君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤根年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した戸羽一男君が予算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された戸羽一男君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。戸羽委員長、委員長席にお着き願う。
   〔予算特別委員長戸羽一男君委員長席に着く〕(拍手)

〇戸羽委員長 一言ごあいさつを申し上げる。
 平成7年度の予算審査に当たり予算特別委員長に御指名をいただいた。多少気持ちの上でつらいが、お引き受けいたしたいと思う。
 しょせん浅学非才であるので、皆様方の御指導と御協力を賜りながら円滑な委員会運営が図られるように頑張ってまいりたいと思うので、どうぞよろしくお願い申し上げる。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別副委員長に佐藤知世君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した佐藤知世君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 異議なしと認める。よって、ただいま指名した佐藤知世君が予算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された佐藤知世君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 佐藤副委員長、ごあいさつをお願いする。

〇佐藤副委員長 ただいまは副委員長の指名、御推選を賜ってまことに光栄に存ずる次第である。
 委員各位の御指導、御配慮によって円滑なる議事の運営を期したいと思うので、よろしくお願い申し上げる。(拍手)

〇戸羽委員長 お諮りする。当予算特別委員会に付託された議案39件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程案のとおり、本日から3日まで及び6日から9日までの7日間は関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案39件に対する意見の取りまとめと採決については、9日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。 これより議事に入る。議案第1号から議案第20号まで、議案第23号、議案第27号から議案第33号まで、議案第36号から議案第40号まで、議案第42号、議案第44号、議案第45号及び議案第48号から議案第50号まで、以上39件を一括議題とする。
 これより平成7年度予算の総括説明を求める。

〇上田総務部長 総括について、第1に国の予算と地方財政対策、第2に本県の予算編成、第3に歳入歳出予算の概要、3点に分けて順次御説明申し上げる。
 まず、国の予算及び地方財政対策についてであるが、国の予算については、多額の公債残高を抱え、税収動向も極めて厳しい状況の中で、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の重点的、効率的な配分に努めながら、国民生活の質的な充実に配慮することなどを基本方針として編成されたところである。この結果、平成7年度の国の一般会計予算の規模は70兆9、871億円余、前年度に比較して2・9%の減、国債費及び地方交付税交付金等を除いた一般歳出で見ると3・1%の増となっておる。
 次に、地方財政対策についてであるが、昨年度に続く所得税及び住民税の減税に伴う地方交付税及び地方税の減収については、交付税特別会計における借入金や減税補てん債で補てんされ、また、減税以外の地方財源不足見込み額については、交付税特別会計の借入金や借入金元金の償還繰り延べなどのほか、建設地方債により補てんすることとされており、平成7年度の地方財源不足額総額の6兆9、497億円についてはこれを完全に補てんし、当面の財政運営に支障が生ずることのないように配慮されているところである。この結果、地方財政計画は、全体として2・0%の増となっておる。
 同計画の主な内容であるけれども、地方税は、住民税減税や所得税減税を引き続き実施するものの、全体としては3・6%の増で、うち道府県税は2・2%の増と見込まれておる。地方譲与税は3・1%の増であり、地方交付税は4・2%の増となっておる。国庫支出金は9・7%の減となっておるが、昨年度の特定資金公共事業債の繰り上げ償還に対する補助分を除いた実質的な伸び率で見ると3・3%の増となっておる。地方債は、住民税減税に伴う減税補てん債や地方財源不足等に対処するための措置を講ずるとともに、公共投資基本計画に沿った生活関連社会資本等の整備を推進することとして、これらに必要な地方債資金の確保を図ることとされ、8・8%の伸びとなっておる。また、使用料及び手数料については2・5%の伸びが見込まれておる。
 一方、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、公共投資基本計画に沿った住民に身近な社会資本の整備、少子、高齢化等に対応した福祉施策の充実などの配慮がなされるなど、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことが基本とされているところである。
 次に、本県の予算編成についてである。
 平成7年度の当初予算は、諸般の事情から、新規、または政策的な経費については原則として計上しない、いわゆる骨格予算として編成したところである。
 予算編成に当たっては、国の財政見通し及び県内経済の動向から、県税の伸びや地方交付税に多くを期待できず、また、歳出面においては、公債費等の義務的経費の増加や多様な財政需要の増大が見込まれることなどから、大変厳しい財政環境下に置かれるものと予測しておる。このため、平成7年度の予算編成に当たっては、国の予算編成方針及び地方財政計画等に十分留意しながら、徹底した経費の節減合理化を図るとともに、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に徹し、引き続き健全な財政運営を確保しつつ、諸施策の推進を図ることを基調として編成されたものである。
 予算の大綱について申し上げると、歳入面では、使用料、手数料などの適正化により自主財源の強化に努め、国庫支出金や県債の効率的な導入を図ることとし、歳出面では、一般行政経費の節減合理化、県単独補助金の整理合理化等、事務事業の徹底した見直しを行い、限られた財源の効率的、重点的配分に努めたところである。この結果、当初予算の規模は7、161億2、600万円余で、前年度当初予算に比べると6・5%の減であるけれども、特定資金公共事業債の繰り上げ償還分を除いたいわゆる実質的な伸びで見ると2・5%の減となるものである。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げる。便宜、お手元の予算に関する資料の1ページをお開き願う。
 平成7年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、県税、分担金及び負担金、使用料及び手数料、さらに財産収入から諸収入までであり、これらの総額は2、226億6、800万円余で、前年度当初予算に比べると1・2%の増となり、歳入に占める割合は31・1%である。これは、繰入金が減少したものの、県税が増加したことによるものである。
 また、依存財源は、地方譲与税、地方交付税、交通安全対策特別交付金、国庫支出金及び県債であるが、これらの総額は4、934億5、700万円余で、前年度当初予算に比べると9・6%の減となり、その構成比は68・9%となるものである。これは、骨格予算を編成したことによって、新規政策的な経費に係る財源が未計上となっていることなどによるものである。
 次に、歳出であるが、主要事業については、それぞれの所管部局の審議の際に関係部局長から詳細に説明するので、款別歳出については説明を省略して、私からは性質別の主なものについて申し上げる。資料は3ページをお開き願う。
 第2表であるが、まず、人件費であるが、表の右端の増減率欄をごらんいただくと幸いであるが、1・2%の増となっておる。
 同様に、物件費、維持補修費は、それぞれ右端の下から5番目、4番目のところであるが、4・5%、それから1・7%の増となっているところである。
 次に、4ページにお進みいただきたいのであるが、まず、扶助費については4・5%の増である。
 それから、補助費等、これは7・9%の増となっておるが、これは、県立病院等事業会計に対する負担金が増加したことや、自動車取得税交付金、利子割交付金の増加、さらには、知事、県議会議員選挙及び参議院議員選挙に伴う市町村交付金の増加などによるものである。
 普通建設事業費は9・6%の減、うち県単独普通建設事業費は18・6%の減となっておるけれども、これは、継続的経費を主体とした骨格予算を編成したことによるものである。
 次に、5ページであるが、公債費をごらんいただきたいと存ずるが、これは31・4%の減となっておる。これは、6年度に特定資金公共事業債の繰り上げ償還、これを300億円以上行ったわけであるが、これが今年度はないために、その分マイナスという形になっているものである。
 それから、積立金については11・4%の増となっておるが、これは、県債管理基金、公共施設等整備基金等の果実収入の積み立てを見込んだものである。
 出資金が50・2%の減となっておるが、この理由は、前年度措置をした財団法人農業担い手育成基金への出捐金あるいは財団法人三陸地域総合研究センターへの出捐金、こういったものが減じていることによるものである。
 貸付金は1・9%の減であるけれども、これは、県立病院等事業会計貸付金の減が主な要因である。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであるが、特別会計については各部局において御説明申し上げるので、こちらからは省略をさせていただく。
 なお、歳入、その他については渡邊総務部次長から御説明を申し上げる。
 以上で総括説明を終わる。

〇渡邊総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げる。お手元の議案その1の1ページをお開き願う。
 議案第1号平成7年度岩手県一般会計予算であるが、第1条は、歳入歳出の総額を7、161億2、631万5、000円と定めるものである。
 第3条は、地方債の限度額等を定めるもので、第4条は、一時借入金の最高額を700億円とするものである。
 第5条は、職員の給与についての流用を定めたものである。
 次に、歳入について御説明する。便宜、予算に関する説明書で御説明申し上げるので、予算に関する説明書の3ページをお開き願う。
 まず、1款県税1項県民税は323億5、500万円余で、14・2%の増となっておる。
 次に、4ページの2項事業税は305億7、000万円余で、17・2%の増となっておるが、これは、景気が回復基調にあり、法人事業税の増収が見込まれることによるものである。
 3項不動産取得税は52億700万円余で、22・7%の増となっておるが、これは、住宅建築が堅調に推移していることなどによるものである。
 次に、6ページの4項県たばこ税は36億2、200万円余、5項ゴルフ場利用税は6億9、400万円余、さらに、8ページの6項特別地方消費税は10億8、100万円余となっておる。
 7項自動車税は179億7、000万円余で、6・3%の増である。
 次に、10ページをお開き願う。8項鉱区税、次の9項狩猟者登録税は、近年の賦課徴収実績等を勘案し、それぞれの収入見込み額を計上したものである。
 次に、12ページ、10項自動車取得税は63億4、600万円余で、26・3%の増となっておるが、これは、自動車の買いかえ等の増加が見込まれることによるものである。
 11項軽油引取税は230億9、800万円余で、8・2%の増となっておる。
 次に、14ページであるが、12項入猟税は、狩猟者登録税と同様、実績等を勘案し、計上したものである。
 なお、13項は、平成元年度に実施された税制改革に伴う旧法による税である。
 以上、県税の合計額は1、210億7、500万円余で、前年度当初予算額に比較して137億2、500万円余、12・8%の増となるものである。
 次に、16ページをお開き願う。2款地方譲与税であるが、1項消費譲与税は72億5、900万円で5・7%の増、2項地方道路譲与税は26億700万円で4・5%の減となっておるが、これは、国の地方道路税の収入見込み額が前年度に比較して107億円の減収見込みとなっていることによるものである。
 次に、18ページをお開き願う。3項石油ガス譲与税は3億5、000万円、4項航空機燃料譲与税は1、800万円と見込んでおる。
 次に、20ページであるが、3款地方交付税であるが、2、191億4、300万円余、5・5%減を計上しておる。
 次に、21ページの4款交通安全対策特別交付金は6億6、500万円である。
 次に、22ページをお開き願う。5款分担金及び負担金であるが、1項分担金は、圃場整備事業等に係る分担金であり、次のページの2項負担金は、民生、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金を計上したものである。
 次に、26ページの6款使用料及び手数料について主なものを申し上げると、2目民生使用料では、肢体不自由児施設使用料、27ページの土木使用料では、次ページにある県営住宅使用料がその主なものであり、教育使用料では、高等学校の授業料が主なものである。これらの使用料の総額は29ページにある83億1、400万円余で、1億8、600万円余の増となっておる。
 なお、これらには、今回改定を予定しておる高等学校授業料など13件、1億2、600万円余の増収を見込んでいるところである。
 次に、30ページであるが、2項手数料1目総務手数料から9目教育手数料まで合わせて33ページに記載のとおり総額31億2、300万円余で、このうち改定を予定しているものは食鳥検査手数料ほか12件である。
 次に、34ページをお開き願う。7款国庫支出金であるが、1項国庫負担金の主なものを申し上げると、1目民生費負担金では、9節の生活保護29億5、200万円余であり、3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務18億4、200万円余、4目土木費負担金では、中小河川改修事業、砂防事業などが主なものである。5目教育費負担金では、人件費に係る国庫負担金がその主なものである。次に、36ページである。災害復旧費負担金では、河川等災害復旧事業62億4、500万円余が主なものである。
 なお、昨年度の公債費負担金は、特定資金公共事業債を繰り上げ償還するため、その財源として国庫負担金が34億7、400万円余あったが、今年度はこれがなくなったことなどから、国庫負担金総額は668億8、800万円余となっておる。
 次に、37ページの国庫補助金であるが、その総額は、54ページにあるが、1、046億6、000万円余で、前年比22・6%の減になるが、これは、昨年度は特定資金公共事業債の繰り上げ償還の財源として国庫補助金が計上されていたものが、7年度はなくなったことなどによるものである。
 次に、3項委託金であるが、1目総務費委託金の9節参議院議員選挙では8億4、800万円余を計上しておる。委託金の総額は、58ページにあるが、総額で28億400万円余となるものである。
 次に、59ページをお開き願う。8款財産収入1項財産運用収入は45億1、300万円余、次のページの2項財産売り払い収入は6億1、900万円余を見込んでおる。
 次に、62ページである。9款寄附金は2、000万円余を計上しておる。
 次に、63ページ、10款繰入金1項特別会計繰入金は7億8、500万円余の増となっておるが、これは、電気事業会計からの借入金10億円を計上したことなどによるものである。
 2項基金繰入金は61億7、500万円余で、前年に比較して113億7、800万円余の減となっておる。
 なお、平成6年度末の基金残高は、財政調整基金58億100万円余、県債管理基金921億3、100万円余、公共施設等整備基金410億5、800万円余を見込んでおる。
 次に、65ページである。11款繰越金は、整理科目である。
 66ページの12款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は2億2、600万円余を計上しておる。
 67ページ、2項預金利子は4億2、700万円余である。
 68ページ、3項公営企業貸付金元利収入は158億1、400万円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものである。
 次に、69ページ、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生など、各行政部門における貸付金元利収入であり、合計額は、71ページにあるが、383億9、400万円余となっておる。 次に、72ページの5項受託事業収入の総額は、次のページにあるように、17億6、600万円余を計上しておる。
 次に、74ページであるが、6項収益事業収入は、宝くじ収入及び競馬事業収入であって、40億900万円余を見込んでおる。
 7項利子割精算金収入は6、800万円余、次のページの8項雑入の総額は、80ページまで飛ぶが、合計は61億9、800万円余となっておる。
 次に、81ページは13款県債である。その総額は、83ページに記載してあるように、890億6、200万円余、5・5%の減となるものである。
 なお、県債の残高については、大きく飛んで314ページをお開き願う。平成6年度末では、前年度末現在高見込み額の計で5、860億6、700万円余、平成7年度末では、同じく計の欄の右端になるが、6、421億1、700万円余と見込んでおるところである。
 以上で歳入についての説明を終わる。

〇戸羽委員長 ただいまから総括質疑に入るわけであるが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うこととなっておる。代表質疑は各会派1人ずつとし、発言時間は、答弁を除き、自由民主党45分、新進党並びに日本社会党、県民共同及び県民クラブはそれぞれ30分となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該各派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。自由質疑は、答弁を除き、1人15分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることになっておる。
 また、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 これより代表質疑に入る。

〇佐藤(正)委員 自由民主党の佐藤正春である。
 ただいま平成7年度の予算について説明があったわけであるが、名委員長のおっしゃるとおり、余り時間をかけないように、しかも私の議会の改選期に当たっておって、この後の社会党からもいろいろ言われておるので、簡潔に質問をしたいと、こう思っている次第である。
 さて、予算の説明があったが、一番大事なことは、予算を正確に誠実に執行するには執行部の幹部の皆さんの手腕にかかっているわけである。そこで、かねて私はこの席からも質問を申し上げた経過があるが、いわゆる本省から出向されている優秀なる幹部、わかりやすく言うと天下りということを言っているのであるが、この優秀なる幹部は現在何人おられるか、これをまず伺いたいと思う。

〇上田総務部長 16人おる。

〇佐藤(正)委員 16人の中で部長級以上、副知事を含めて部長級以上は何人なのであろうか。

〇上田総務部長 この場でアイテムカウントさせていただくと、部長以上で5人おるかと存ずる。

〇佐藤(正)委員 そうすると、まだその後減っていないわけであるが、東北6県では一番多い。岩手県は出向の幹部が一番多い。ほかの県ではもう自前というか、庁内から起用というのが多いわけであるが、この4月になるとまた人事異動がある。したがって、多少変わるのでなかろうかと、こう思っておるが、人事権の問題であるから、私ども議会ではそれまで関与するわけにいかないわけである。
 今度4月から知事も変わるわけで、今、うわさされているのは、やはり高級官僚が2人、これは建設省と厚生省だそうである。この2人の高級官僚が、これは県民が選ぶのであるが、とれるかとれないかわからないが、恐らくとれないだろうと思うんだけれども、高級幹部が知事に4月になられるということになるとどうか、知事、副知事、総務部長、土木部長、環境保健、林業水産、ずらっと並んでしまう。こうなるとどうであろうか、これは岩手県庁ではない、仮に知事がそうなると。霞ヶ関の岩手出張所である、こうなってくると。知事が霞ヶ関から天下ってこられるということになると、副知事以下の場合は変わっていくんだかどうかわからないが、どうであろうか、高橋副知事、こういうことはあなたとすれば好ましいことなのか、好ましくないのか、どうであろうか。

〇高橋副知事 知事については、委員も仰せられたように、まさにこれは選挙の問題で、県民の御選択であろうと思っておる。
 それから、副知事、出納長については知事の任命に係るが、議会の御同意をいただくものであるので、そういった過程で御審議を賜りながら決定されるべきものだろうと思っておる。
 ただ、一般職については、まさにこれは一般職の人事管理の問題で、これも再三この場等でもお答えを申し上げておるように、基本的には県、もともとの地元の職員で賄うというのが原則である。しかしながら、人事管理あるいは執行に活力を与える、また、情報の取得という面から考えて、しかるべきポストにはしかるべき方を助っ人としてお願いするという場合もあろうかと思っておる。
 ただ、本県の場合は、私が考えても、大体今ある線がもう限界ではないだろうか。今後、在来の職員、もともとの県職員の成長というか、そういったことを期待をしながら、これを限界としてより適正な人事管理ができるように努力をしてまいりたい、これが目に見えるように遠からずいたしたいと思っておる。

〇佐藤(正)委員 在来の副知事とすればまさに心中穏やかならぬところがあると思う。地方分権、地方分権と言ってて、岩手県だけ逆地方分権である、これは。霞ヶ関の岩手出張所なんて言われないように、ひとつ頑張ってもらわなければいけないと思っている。
 そこで、質問の第1点は、まさに一番問題になっている阪神・淡路大震災に関連してお伺いするが、まず、被災者に対して心からお見舞いをしたいと思うが、現時点での本県からの見舞金、義援金の総額あるいは送金の状況、または人的支援の状況について、まずお尋ねしたい。
 それから、先般、新聞で見ると、阪神の震災の復興の財源の一部として、大蔵省は当初予算案に計上されているところの公共事業費一律5%の執行を留保した、しかも約4、600億円を捻出する方針を決めたと、こう伝えられているが、これらの本県に対する影響というのはどんなものだろうか、これをまず伺っておきたい。

〇高橋副知事 公共事業費の留保の問題については総務部長からお答えをさせる。
 本県からの見舞金、義援金の総額であるけれども、日赤岩手県支部、それから岩手県共同募金会が取り扱っているのを把握をしておるが、その総額は、2月27日現在で総額7億1、800万円余となっておる。
 それから、人的支援であるけれども、総体的に申し上げると、県関係では、2月末現在、派遣実績が219名、それに市町村及び民間団体等を加えると195名、したがって、これを全体として申し上げると、実人員で413名ということになる。
 なお、念のため延べを申し上げると、延べでは3、269名となっておる。

〇上田総務部長 国の公共事業の予算の留保という報道であるが、当方も早速この報道がなされた日に大蔵省の方に知り合いを通じてちょっと状況を聞いてみたのであるけれども、現在のところ、財政当局の方としてこのような方針であるという段階には至っていないと聞いておる。したがって、具体的にこれがどういう形で検討され、結論に導かれるのか、現段階で我々具体的な想定がいたしかねるので、その影響を直ちに判断することは困難であると存ずるけれども、本県の場合、当初は骨格予算であるから、新規の箇所は原則として入れていないわけであるが、6月補正において当然新規の箇所を盛り込むことになる。その過程でぜひとも我々の、今、期待しておるものに影響が出ないようにしていただきたいと念じておるし、また、今後とも国の動きを十分注視しながら適切に対処してまいりたいと思っておる。

〇佐藤(正)委員 なぜ私どもが憂慮するかというと、この阪神大震災で復興資金が大体10兆円かかると言われている。そうすると、500億ずつ政府から復興資金を出しても20年かかるわけである。これが全然影響ないということはあり得ないわけで、私どもは阪神大震災についてはそれなりに国民の1人として憂慮して考えなければいけない、当然である。と同時に、我々の今まで進めてきたいろいろな政策、これが停滞してはならないという議員としての責任感があるわけで、ひとつその点もお含みいただきたいと、こう思っておる。
 そこでまた、知事は、早速地域防災計画を抜本的に見直すと、こう言明しておられるが、具体的にどのような見直しを考えているのか、あるいは市町村にもそれを指導すると、こうおっしゃっているが、どういう点か、それを伺う。

〇上田総務部長 端的に申し上げると、見直し項目、現在考えているのは、1つには災害対策本部など、県の中枢機能に支障が生ずる場合にどう対応するか、それから、危機管理に当たるべき職員の側に被災があった場合に動員体制をどうするか、3番目に、迅速な初動活動を行うための情報収集、伝達体制をどうするか、4番目に、市町村間及び道県間での応援体制をどうやるか、5番目に、避難所の確保、それから物資等の調達あるいは供給、これをどうやるか、6番目に、耐震性貯水槽等の防災施設の整備をどう進めるか、7番目に、消防団、自主防災組織の育成強化をどう進めるか、8番目に、実効性のある防災訓練をより行う必要がある、9番目に、災害弱者対策を進める必要がある、こういう点を項目としておる。時間をとって恐縮であるが、防災計画の中で申すと、第2章の12節、14節、15節、第3章の1節から11節あたりまで、こういったところについて具体的に見直しの準備を進めているところである。

〇佐藤(正)委員 通告は行政改革の推進について申し上げておったが、これは一般質問でもあったのでカットする。だから間違って読まないでいただきたい、これは。
 次に、規制緩和の問題について2点ほどお伺いする。
 まず第1点は、地価監視区域の規制緩和についてである。
 本県において、平成元年1月にさんりく・リアス・リゾート構想地域について先行的に監視区域に指定し、また、平成2年11月には盛岡市の市街化区域を、さらに平成4年4月には盛岡市の旧都南村及び盛南開発区域等を監視区域に拡大指定したのであるが、それぞれその時点では時宜を得た対策であったわけである。しかし、その後の地価の動向を見ると、全国平均では平成4年から3年連続下落、中でも大都市圏を中心に地価が顕著に下落していることから、監視区域の見直しの動きが広がり、昨年12月には大阪府、また、本年1月から東京都、2月から横浜市など、大都市圏を中心に指定解除が進み、さらに、地方圏でも届け出対象面積の緩和が進んでいると、こういう報道をされているわけである。このように、監視区域について、全国的に解除や緩和の動きがあるが、本県においては、特にも盛岡市の場合、地価の動向がどうなっているのか、また、監視区域の緩和について県はどのように考えておられるのかお伺いしたい。
 それから、規制緩和の第2点は、現在進めているさまざまな規制緩和が中小企業に与える影響である。
 細川内閣当時、その私的諮問機関として、日本経済の構造転換に関する具体策をまとめた報告書、いわゆる平岩レポートの言うところの規制緩和の効果については、マクロ的な視点に立てば期待し得る効果と考えられるが、その効果が発揮されるまでにはかなりの犠牲と痛みが当然考えられるわけである。これまで公的規制が、一般的には経済的弱者とされる中小企業にとっては、その保護育成のために支援的役割を果たしてきたことは事実である。したがって、規制緩和に伴って競争が激化する結果、中小企業が経営不振に陥り、最悪のケースとしては企業倒産や失業といった事態が増加することも予想されるわけである。そういうときに、県内の中小企業にとって企業の存立をかけた厳しい試練となると言っても過言ではないわけである。
 そこで伺いたいわけであるが、規制緩和の動向が本県中小企業に対してどのようなメリット、デメリットを与えると認識しておられるか、これをまずお伺いしたいと思う。
 それから、県政全体の中で、県独自で、県独自でというのはなかなかないわけであるが、県独自の許認可等の規制の緩和がどの程度できるのか、あるいは現在緩和しているものがあるのかどうか、そういう点についても伺っておきたいと思う。

〇濱田副知事 まず、盛岡市の監視区域の地価動向であるけれども、商業地は平成4年まで上昇しておったが、平成5年はマイナス0・2%、平成6年はマイナス1%、わずかに下落しておる。また、住宅地は平成4年が3・5%、平成5年は1・8%、平成6年は2・5%と、やや上昇を続けておる。一方、大消費地圏においては、近年のバブル経済の崩壊等に伴って確かに顕著な地価の下落が見られる状況にある。
 そこで国土庁は、平成5年11月に監視区域制度の一層の的確な運用を求める通達を出したところであるが、その内容は、地価が安定し、上昇のおそれのない場合、または2年連続して地価が下落し、再上昇のおそれがない場合、そういった場合は監視区域指定の解除、指定区域の縮小あるいは届け出対象面積の緩和を的確に行うような指導が行われたところである。この通達を受けて、委員御指摘のとおり、地価が大幅に下落しているような自治体において監視区域の解除や緩和が行われているところである。
 本県が指定しておるのは確かに盛岡市の市街化区域とさんりく・リアス・リゾート構想地域の2地域であるが、盛岡市の場合については、地価の動向は、先ほど申し上げたとおり、商業地はわずかに下落傾向を示しておるが、住宅地はやや上昇しておること、さらに、盛岡駅西口開発の本格化や盛南地区の土地区画整理事業の進展によって土地取引が活発化するものと予想されておって、これら大規模開発により、当該地域の地価のみならず、周辺地域への影響が懸念されることから、当面は監視区域指定の解除あるいは届け出対象面積の緩和を行うことは適切ではないと考えておるところである。
 また、さんりく・リアス・リゾート構想地域についても、やはり地価は商業地、住宅地とも横ばい傾向ではあるが、当該地域においては、今後大規模な民間事業が推進された場合、地価への影響が懸念されるところがある。したがって、監視区域指定の解除あるいは届け出対象面積の緩和を行うことは、当面、適切でないと考えているところである。
 次に、規制緩和が中小企業に与える影響であるが、中長期的に見ると、市場に自由な競争原理を徹底させることで国内の生産性を高め、ひいては内外価格差の解消あるいは我が国産業の競争力を回復させるというプラス面の効果がもたらされると言われているところであるが、しかし、短期的には中小企業を含めた競争力の弱い企業や産業の淘汰をもたらし、雇用面でのマイナスをもたらすものであると認識しているところである。
 本県中小企業においても同様の効果あるいは影響が予想されるところである。どういった業態かと考えてみるに、特に大規模小売店舗法の改正による出店規制の緩和に加えて、価格破壊という言葉に象徴される厳しい経営環境の変化に置かれておる中小の卸・小売業あるいは物流効率化の観点から規制緩和が進められているトラック運送業、そういった業態においては本県中小企業の経営体質が全国に比してなお脆弱であることから大きな影響が懸念されるところである。したがって、県としては、消費購買動向調査等、各種調査を定期的に実施するなど、各種の規制緩和が県内の各産業あるいは企業の経営に与える影響について的確な把握に努めるとともに、急激な環境変化に本県の中小企業が対応できるよう、県単独の融資、そういった金融措置の充実や業種、業態においてきめ細かな経営相談をまずは実施してまいりたいと考えておる。
 さらに、新分野への進出や業態の転換、そういったことに規制緩和に対応した新たなビジネスチャンスを求める中小企業に対しては、新たな診断指導事業の創設あるいは小売商業支援センターの充実強化などにより、より濃密な支援強化を行ってまいりたいと考えているところである。

〇上田総務部長 県の規制緩和についてであるが、まず、国における基本的な考え方、公益事業等の規制等のいわゆる経済的規制は、原則自由、例外規制を基本とする、あるいは社会的規制--環境保全などであるが--、こういったものは本来の政策目的に沿った必要最小限のものにする、こういった基本的考え方で、県としても基本的にこういう考え方で取り組むべきものと考えておるわけであるが、実は、昨年10月、行政手続法の施行、これの機会に知事部局における許認可の状況を調査した。申請行為に対する処分という形で行われる許認可等の事務、これは法律に基づくものを含めて全部で1、700件あったけれども、この中で県独自でやるもの、法律の委任等によるものを除いて県独自のものは100件足らずである。その中身を精査すると、県税の還付の許可とか、あるいは公の施設の使用許可とか、こういったものが多いし、また、社会的規制についても、公害の関係のそういう処分行為、こういうのが大半で、その経済的規制と判断されるものは極めて少ないというのが実情である。したがって、御賢察のとおり、規制の廃止あるいは緩和という項目が少ないというのは実態だろうと存ずるけれども、今後、社会的規制も含めて規制全般について必要最小限のものとするように、また、規制に係る事務の簡素効率化も含めて県民の負担軽減等のために、今後行政改革を推進する中で検討いたしてまいりたいと存じておる。

〇佐藤(正)委員 わかった。本県で許認可は100件ぐらいだそうであるが、全国に先駆けて本県だけがやるというぐらいの意気込みじゃないといけないと思う。と同時に、特に本県における中小企業というのは脆弱であるから、副知事おっしゃるとおり、諸般の手当てをしながらこれにたえ得るような力をつけていかなきゃいけないと、こう思っているわけである。
 次に、先ほど説明があった税制改革による県税への影響額についてお伺いする。
 今回の税制改革は、住民税については税率適用区分の見直し等の制度減税と、15%相当額の特別減税を組み合わせた、いわゆる2階建て方式による減税が行われることとなっており、その他、今年度の税制改正では租税特別措置法の見直しなどが行われる、こう報じられておる。そこで、この税制改革と税制改正により、平成7年度ではどの程度の増減収を見込んでおられるのか、まず、これを伺っておきたい。
 さらに、今回提案されているところの県税条例の一部を改正する条例にもあるとおり、平成9年4月からは地方消費税が施行されることになり、これに伴い消費譲与税が廃止されるということになっておる。こうした税制改革が実施される平成9年度の場合、地方消費税はどの程度と見込まれるのか、また、制度減税による個人県民税の減収はどの程度なのか。さらには、消費譲与税の廃止によるところの減収見込み額はどの程度と試算をされているのか、これについてひとつお伺いする。

〇上田総務部長 税制改革、それから税制改正に伴う平成7年度の増減収見込みであるが、まず、税制改革に伴う個人県民税の減収、これは税率適用区分の改正、それから基礎控除、配偶者控除等の人的控除の引き上げ、並びに特別減税の実施により26億500万円程度の減収と見込む。それから、税制改正によるものとしては、租税特別措置の縮減、合理化等の国税の改正に伴って、法人県民税及び法人事業税で3、200万円程度の増収となるものと見込んでおる。この結果、平成7年度制度の改正関係では、25億7、300万円余の減収と見込んでいるところである。
 それから、平成9年度に地方消費税が施行される際のもろもろの収入の増減の状況であるけれども、現在のところ、地方消費税に用いる指標がまだ確定してないけれども、内々国の方から検討されている項目をある程度推察しながら試算したところ、地方消費税の増収としては平年度ベースで233億円程度ではなかろうかと思っておる。このうち、その2分の1の116億円余は法律の規定に従って市町村に交付するわけであるから、県税としては差し引き116億円余の増収という形になろうかと存ずる。
 一方、個人県民税の税率適用区分の見直し等の制度減税に伴うものは平成9年度ベースで11億円余の減収が見込まれるところである。
 さらに、地方譲与税であるが、これは、譲与税の廃止の関係については、現在平年度ベースで74億円余の減収となると見込んでおる。

〇佐藤(正)委員 次に、地方交付税について伺う。
 上田総務部長、あなたが一生懸命頑張っている割合に、毎度申し上げるのは嫌なのであるが、本県のように財政基盤が脆弱な団体、こういうところにとって地方交付税は貴重な一般財源である。平成5年度、6年度と、ここ2年連続で本県への交付額が減少している。一方、7年度の地方財政計画では、交付税総額は大幅な交付税特別会計の借り入れや特例を駆使して4・2%の伸びを確保した、こう伺っているわけであるが、そこで伺うが、7年度の本県における交付税の伸びはどのように見積もっておられるのか、全国の伸び率である4・2%並みを確保できるのかどうか。また、先ほど申し上げた震災の影響などはないのかどうか、現時点でわかる範囲で結構であるが、ひとつその点をお知らせ願いたい。

〇上田総務部長 平成7年度の交付税の見積もりであるが、自治省で示された経常経費プラス1・5、投資マイナス6・5、法人関係の収入がマイナス1・5、所得割が3・5のプラス、こういった指標に基づいて試算すると大体2、300から2、400億円程度の見込みになるので、その範囲では大体平成6年と平成7年度はおおむね同じ程度の額に落ち着くのではないかというのが正直なところ現在の見通しである。
 この伸びであると、確かに全国の総枠の伸び4・2に比べると低くなっている。この原因としては、交付税の仕組みの上では基準財政需要額から基準財政収入額を差し引くという仕組みになっておるから、この差し引くべき基準財政収入額が非常に減っている大都市圏に対して総体的に交付税の算定額が増加するという傾向がある。
 それから、今年度の財政対策では、交付税から地方債への財源措置の振りかえが行われており、公共事業が少ない市町村分の方に交付税が全体としてシフトする傾向がある。こういったことから、結果として、枠全体の伸びよりも、我々の7年度の見通しの方が、伸びはどうしても低くなるという実態にある。これが事実である。ただ、交付税の補正係数等、今後、省令を定めてまいるので、その過程で必要な制度改正要望等を行い、できる限り多くの交付税を確保するように努力をしてまいりたいと考えておる。
 なお、阪神・淡路大震災の影響、これの財政需要に対して、交付税の中でどう対応するか。これは、政府の中でまだ定まっていないところと聞いておるので、残念ながら、きょう現在、私の方でこれの本県への影響を想定することは困難な状況にあるので、御理解を賜りたいと存ずる。

〇佐藤(正)委員 それでは、大丈夫なんだな、任していて。大いにやるというんだから。
 次は、県債について。これも質問通告しておったのであるが、一般質問でも出たのでカットする。課長補佐、間違えないでほしい、答弁を。
 それから、これは財政にも関係があるので、岩手県競馬組合についてお伺いする。
 競馬組合は、昭和39年3月に自治大臣の許可を受けて設立された特別地方公共団体であり、管理者は知事であるので、この場面で聞きたいと思う。
 その収益配分は、構成団体である県が55%、8億2、500万円計上されておる。水沢市が25%で3億7、500万円、盛岡が15%で3億円となっているわけであるが、平成6年度の競馬開催状況を見ると、本来は18回である、決められているのは。ところが、21回やった。入場人員はそれだけふえたということになるわけであるが、去る1月16日の最終日に、馬場が凍っていたとか何とかということで、それにもかかわらずレースを強行した。そのために落馬事故を起こしている。これについて、人身事故があったのかどうか。馬だって大事だけど、人の方が大事だから。このような無謀な開催をしてまでも回数をふやさなければならない理由は何なのか。
 また、新盛岡競馬場の建設費は、当初予定していたのが236億円、現在400億円を超えている。ここまで膨らんだということを聞いておるが、建設費が大幅にふえた理由は何なのか。約170億円ぐらい膨らましている。県は、このような競馬組合についてどのような指導を行っているのか、それを伺いたい。
 それから、これもわからないが、競馬組合の方はわかっているんじゃないかと思うが、何でも、1億円以上する絵画を買ってある。絵とか置物があるというが、本当なのかどうか。
 また、競馬場の建設に対していろんな談合のうわさが飛び散っている。あるいは政治家が--県会議員じゃない、政治家といっても。県会議員は政治倫理要綱があるから、もうそんなものには首を突っ込まないから。立派だから。--政治家だの、政治家秘書がうろうろ競馬場の建設についているといううわさを聞くが、本当なのかどうか、これも1つ伺っておきたい。

〇濱田副知事 まず、地方競馬の開催回数であるけれども、競馬法あるいは競馬法施行規則に定めがある。委員御指摘のとおり、通常は本県の場合は18回であるが、さらに農林水産大臣の承認を得ると、合計21回の開催ができることとされておる。
 岩手県競馬組合では、新盛岡競馬場の建設に必要な資金を確保するため、競馬法等の規定に基づいて、平成3年度から年21回の開催を行っているところである。また、追加された3回の開催時期については、ファンの要望等を踏まえて、走路凍結防止に関する調査、あるいは除雪体制の研究等を行った上で、年末及び年始に行うこととしたところである。 競馬組合によると、本年1月16日の事故については、例年にない低温等により、前日からの凍結防止剤の散布等にもかかわらず、予想以上に走路がスリップしやすい状態となって、このような事態に至ったものであると分析しておるところである。その際に落馬事故があったということのようである。
 今後は、こうした事故が再発しないよう、凍結防止対策等の一層の充実強化に努めるとともに、開催に際してはより慎重な判断をとってまいりたいという所存であると聞いておるところである。
 次に、新盛岡競馬場の建設費の問題であるが、競馬組合によると、新競馬場の建設計画を策定した昭和63年当時の段階においては、まだ用地取得に着手しておらず、地質調査を概略の段階をもって計画したといった事情があったこと、また、建築関係においても、現在の盛岡競馬場と同程度の規模で検討しておったものであったことから、総事業費をまずは236億円余と見積もったところである。その後、用地取得が完了し、開発協議に基づく土木工事の実施設計が完了した段階で、平成3年3月に、軟弱地盤、岩盤地層の発生に伴う工法変更等の理由により90億円を増額し、さらに、有識者で構成する新盛岡競馬場懇話会での新競馬場建設の方向性についての検討結果等を踏まえて、平成4年3月には建築構想を確定して、ファンサービスの充実を図るためのスタンド施設の高度化等のための工事費として84億円を増額して、総工費を410億円に変更したものであると聞いておるところである。
 指導というお話であるが、確かに競馬組合は県と同様の立場にある地方公共団体であり、独自の議会が設けられておる。新盛岡競馬場の建設など競馬組合の事業運営については、競馬組合議会の議決等に基づいて行われているわけであるが、同時に、県は競馬組合の構成団体の一員でもある。競馬の円滑な施行や健全な財政運営等についての助言指導を行っておるところであり、今後とも事故防止のための安全対策の徹底等について、十分に助言・指導を行ってまいりたいと考えておるところである。
 それから、談合情報等の話がかつて流れたことがあるかということであるが、一部そういったことが報道機関にもたらされたということは承知しておるが、談合ということはあってはならないことである。競馬組合においても、建設事業の適正な執行を期するために適切に対処することを期待しているところである。
 1億円超の絵画を購入しているかどうか、それについては、ちょっと私は、今、承知していないところである。

〇佐藤(正)委員 18回と決められているのを21回やったのは、236億円から410億円にふえた、これを稼ぐためにやったんだということであろう。しかも、これはファンがというが、ファンがそんなことを望んでいるのか。馬だってけがをしてまでやらない、むちうたれながら。いわば、馬だってばかを見たようなものだ、結果的には。ファンって、ファンのだれがそんなことを言っているのか。言ってないだろう、そんなことは。どこのファンが言っているのか。寒いところに出ていって、転んでまで21回やった。無理してまでやるというのは、副知事、あなたがおっしゃるとおり、膨大な競馬場の予算がかかったから、何ぼでも稼ごうとしているわけだろう。あなたがはっきり言っているんだから、これは。236億円が膨大な410億円になったというのは、今の説明であると、当初の見積もりよりかかったと。いかにずさんかということであろう、これは。3億円や5億円かかったというならわかる。170億円からの金が膨らんで、本県の予算からしたら大変なことである。ずさんもずさん、いい加減であろう、こんなことは。
 委員長、だめだこれは。説明になっていない。休憩してほしい。何か答弁してほしい、それなら。説明になってないじゃないか、こんなことは。
 委員長、休憩、休憩。もっと細かく説明しないとだめだよ。

〇濱田副知事 先ほど申し上げた競馬組合は、県と同様な立場の地方公共団体であり、独自の議会も設けられているところであり、そのような立場において、再三にわたり検討を行って、このような案をまとめてきたものだと承知しているところである。

〇佐藤(正)委員 競馬組合がやった、それはわかる。競馬組合のことだから。競馬組合から再三言われたその経過を説明してほしい。236億円から410億円になった経過を。あなたは聞いてきたんだろうから。私は先に質問通告を出しているんだから。今、いきなり聞いているんじゃない。質問通告を出しているのである。もう1回、よく聞いてきなさい。 委員長、休憩だ、聞いてくる間。だめだよ、そんなものは。説明にならないじゃないか。3億円や5億円ならともかく、170億円もふえているんだ。

〇戸羽委員長 暫時休憩する。
   午前11時16分 休 憩
   午前11時21分 再 開

〇戸羽委員長 再開する。

〇佐藤(正)委員 次に、県立大学の整備についてお伺いする。
 工藤知事の県立大学の設置に向けた取り組みというものが着々と進んでいるわけであるが、去る2月9日、県立大学基本構想検討委員会からの答申に基づき基本構想がまとまったと伺っておる。
 そこで、ここでお伺いしたいのであるが、私の手元に、県立大学設置についての意見書が、富士大学総務部長の斎藤忠さんという方から来ている。これを交えながら申し上げたいと思う。
 岩手県民の税金を使ってつくる大学であるということを明記すべきだ。このことは、岩手県民を優先的に入学させてほしいということである。これは私も同感である。せっかく岩手でつくるわけであるから、岩手県民を優先的に入学させるということは、同感である。
 そこで、1番、県立看護大学案から総合大学の計画に変わったのはなぜか。2番、本県における県立大学の必要性について。3番、県民からの要望というが、どういう要望なのか。4番、果たして学生、受験生及び入学生が集まるのかどうか。5番、滝沢村という立地条件は、通学範囲90分から120分が限度である。いわば、県南とか沿岸というのは通学できないんじゃないか。それならば、何も県立大学じゃなくても、仙台に行ったって、東京に行ったって、下宿するなら同じじゃないかということである。6番、設立される場合の資金。7番、収入、主に学納金が県金庫へ。8番、既設大学への影響について。いわゆる岩手医大、岩手大学、盛岡短大、県立短大、富士大学、盛岡大学、この既設の大学への影響の8点について、ひとつお伺いする。

〇上田総務部長 まず、県立看護大学を整備してほしいという流れが従来からあり、そういった動きについて1つのめどを立て、これを県立で受けるというような方針をつくる中で、県としては、この際、県内の県民の大学への進学率、あるいは県内の大学の収容率、こういうものが大変低いということを考えると、看護大学に対応するだけではなくて、県としてもう少し幅広く4年制大学に取り組むべきであるという判断から、その機会をとらえて、4年制の大学を3ないし4学部で設営すべきであるという結論を出したものである。
 その必要性と申すのは、ただいま申し上げたけれども、これから県民が広く高等教育を受ける時代になってくるということが見込まれること。現在、ただでさえ、ただいま申し上げたとおり、進学率あるいは収容率は全国でも大変低い方に属している実態にある。こういうことを考えると、どうしても大学の整備を図ることは必要なのではないかという判断をしたわけである。
 要望については、当然、看護の関係は従前から議論があったけれども、県立大学の整備に関して、県立大学整備懇談会、県内の各界の有識者あるいは学校関係者などからお話を伺う機会を設けて、県立大学に期待するところが大変大きいというふうに、その御意見を承ったところである。
 それから、学生が集まるかどうかということは、1つは、現状において収容率が低い、あるいは県外へ流出が多いということを考えると、県内に新しい大学を設けることについての需要は一般的に多いということが想定される、これが1つ。もう1つは、新しい大学を、今度、新設であるから、できる限り内容的に魅力のあるものにすることによって、一層学生の確保を図っていきたいと思っておるので、優秀な学生を集めるように努力をしてまいりたいと考えているわけである。
 それから、予定されておる滝沢村の畜産試験場の土地が遠いのではないかということであるが、現在のところ、盛岡駅から行って十二、三キロと聞いておるが、交通の便は、現時点は必ずしもよくない。これは事実である。しかしながら、こういったプロジェクトを推進するに当たっては、当然、JRあるいはバスを運行する会社といったところと、通学の便をより高めるように十分相談をしていきたいと思っておる。
 また、交通路であるけれども、現在は主として4号線から、こっちから行くと、ポニースクールの入り口、産文センターの入り口あたりから入る道が一番大きいわけであるが、今後は、盛岡市道、滝沢村道をつなぐJR東北線を葉の木沢踏切でまたぐ道路があるが、これを改良することにより、アクセス性を高めてまいりたい。それから、滝沢駅から回っていく道路があるわけである。こちらの方も松園から北へ抜けて西へ折れていく道があるわけであるが、これも現在改良を進めておる。こういったことも考えると、市内の中心部からのアクセスについては、今後、我々の努力次第で大幅に改善がされるのではないかと存じておる。
 それから、設立の資金であるけれども、当然、県立大学は、第一義的には県費をもって設立をするということになる。その所要の経費が幾らかということは、今後、設計等をしていく過程で詰まっていくものであるので、今、この場で幾らかかるということを申し上げるのはなかなか困難であるけれども、例えば、類似の大学の事例を見てみると、ちょっと申しわけないが、手元に資料が見当たらない。岡山大学あるいは岡山県立大学、広島の市立大学などの例を見ると、3学部であるけれども、300億円台の経費がかかっているようである。したがって、どうしてもそれを超える経費がかかってくるということは、かなり高い確率で想定がされるわけである。
 それから、収支については、これも今後、文部省と入学定員の調整等をしていく過程で非常に可変の要素があるわけであるが、大まかに見て、学生から収入する授業料とか入学金といったもので、過去の先進の大学の例を見ると、大体3割程度の額がそこで賄われるという形になるのではないかと存じておる。
 それから、県内他大学への影響ということであるけれども、私どもは、この学部を設定するに当たり、まず、県内で現にそういう学部系統の高等教育のサービスが提供されていない分野ということを念頭に置いて選択をしてまいったところである。また、このことは、文部省に対して認可申請を行う場合にあっても、当然、近隣の大学との競合がないことが審査の過程でチェックされることが想定されるので、そういう前提で学部の選定を行ってきた経緯にあるので、基本的に現在の県内の国立、私立の大学等々、学部が競合するということはないものと考えているところである。

〇佐藤(正)委員 これは、これから始まるのだから、後で大いにやりとりをやりたいと思っている。
 昨年12月、一般質問で私が指摘したのは、岩手県の看護職員の需給見通しは、看護婦は平成12年に供給過剰になると申し上げてきたのであるが、昨年12月は、どういうわけか答弁しないでさらっとやられたのである。
 そこで、看護学部の卒業生をどういうふうに受け入れるのか、どこに受け入れるのか、その見込みについてをお伺いする。

〇上田総務部長 県立大学の看護学部の考え方は、高齢化社会の進展という新しい社会動向を考えると、単に同じ数の看護職員を確保するというだけでなくて、質の高い看護職員を養成する必要があるという考え方で対応を図っているところである。看護学部の卒業生の受け入れ先としては、これは釈迦に説法かもしれないけれども、病院等の医療機関を初めとして福祉関係の機関、その他の看護職員を必要とする分野への就職が考えられるところであり、今後、保健・医療・福祉の社会的ニーズが高まることを考えれば、特にも資質の高い看護職に対する需要は高まってくると考えているところである。

〇佐藤(正)委員 次に、空港問題について。
 この問題に関しては、最近、議会でもいろいろ論議されてきたが、私は、花巻空港の機能拡大ということを申し上げてまいった。これは、2、500メートル化や3、000メートル化、あるいは国際定期便への対応などであり、今後どのような空港として位置づけていくのか、周辺地域の開発を含めて、臨空都市の開発も念頭に置いて、どのように整備していくかということである。
 それから、第2空港の整備の問題。
 これは、東北各県の状況を見てもおわかりなようであるが、これが再三提起されるということは、県として本県の航空輸送のあり方について基本的な姿勢が明確になっていない。だから、こういう問題が起きるわけであり、優先順位というものを定めながら、花巻空港については、当面、滑走路の2、500メートル延長という整備に全力を挙げるということが必要であり、平成8年度から始まる第7次空港整備5カ年計画に組み入れるために、とにかく50万人以上の需要にもっていかなきゃいけないということで、第2空港については、花巻空港問題と並行して進むというのはちょっと不可能じゃないかと私は思っておる。そこで、第2空港の議論は必要であるとしても、当面は、花巻空港を重点的にやるべきじゃないかと思うが、この点についてお考えを聞きたい。
 もう1つは、企画調整部長は、いわゆる2010年の第2空港の立地は無理だということの答弁であるから、そうすると、2020年まで約25年はもう無理だということである。これはわかり切っているわけである。
 そこで、もう1つ大事なことは、先般の一般質問で伊藤孝委員が取り上げたスーパーハブ空港にもまた知事は-あの知事という人はなかなか気のいい人なものだから語ってしまうんだけれども-関心を持ち、機敏に対応したいと言っている。花巻空港もやらなきゃならない。第2空港もやらなきゃだめだ。スーパーハブ空港についても関心を持ち、機敏に対応したいと、やるということを言っているのであろう。これはどういうことなのか。あなたの方で下の整理をしてないんじゃないのか。
 それから、上田総務部長が前に企画調整部長のときに、50万人の需要は無理だと言っている。1人だけ言ったって信用するわけじゃないけれども、専門家がそう言っているんだから。そういうものをどうしてふやしていくのか、これを含めて、きちんと答弁してほしい。

〇小野寺企画調整部長 まず、花巻空港を優先すべきではないかという趣旨のことである。委員御案内のとおり、一般的に申し上げても、高速交通の空白地帯を解消するということは県土の均衡ある発展につながるわけであるが、それが1つある。
 それから、国際化の進展という中にあって、本県の空港をどうもっていくかということ、それが2つ目の論点だろうかと思う。こういう観点に立って考えた場合に、航空輸送というのは非常に有力な手段であるので、御案内のとおり、平成4年、5年の2カ年にわたり、本県の空港輸送のあり方について検討させていただく。4年度においては、花巻空港の航空需要の予測とか機能拡充の方向性、平成5年度においては、高速交通機関の十分でない地域、つまり沿岸地域を対象として立地可能性について検討させていただいた。
 この成果については既に公表しているわけであるが、花巻空港については、国内外の交流の拡大という観点から、あるいは今後とも内外に開かれた県土の形成という観点から、ぜひ、これは2、500メートルに延長整備を図ることが必要だという結論になっているわけである。そして、これについては、平成8年度から12年度の計画期間である第7次空港整備5カ年の中にぜひ採択していただいて整備を進めるべきだという考え方で取り組んでおる。
 一方、新たな空港の整備については、沿岸全地域を対象として立地可能性調査をした結果、地形等物理的には数箇所の可能性のある地域は見出せたわけであるが、今、委員のお話にもあったとおり、将来にわたって、現行の制度のもとで、ここで空港を整備するというだけの需要は見込めないという結論になっており、それについてそういう段階であるが、今後、県としては、委員の御指摘にもあったが、まず、花巻空港の滑走路2、500メートル延長は喫緊の課題であるというとらえ方をしておる。したがって、本会議でも答弁申し上げたが、今年度においては、特に促進協議会の方の支援を強化し、そして協議会ともどもに、県としてもまさにこれは正念場であるので、鋭意頑張っていきたいというのが花巻空港である。
 同時にまた、先ほどちょっと漏らしたけれども、沿岸地域への空港の整備は、第8次空整、つまり平成13年から5カ年の計画に盛り込むためには、かなり前から準備しなければいけない、調査しなければいけないという観点に立って、その予備資料を得るという形で調査したものであるが、その結果については、先ほど申し上げた次第である。ただ、現在、平成7年度中の策定を目途として、県内の総合交通体系計画の策定作業についておる。その中で、高速交通の1つとして空港についても検討していきたいと考えておる。具体的には、第7次の空港整備と第8次の空港整備というずれがあることは御理解いただきたいと思う。
 それから、2点目のスーパーハブであるが、これについては、現在、民間のスタッフが、将来に向けて、ハブの中でも超音速旅客機といった大きなものが離着陸できる空港の整備可能性について、東北を対象として調査しているわけである。その中には、岩手県の地域についても、かなり大きなくくりであるが、3地域ほど名前が挙がっているわけである。ただ、それは、直接細部については私どもも十分承知していないし、今年度あるいは早い時期にさらに絞っていくという動向を把握している。したがって、私どもとしても、そういった動きもどうなるのか、それを見きわめながら対処する必要があるということで、知事からの答弁もその趣旨を申し上げたということである。

〇佐藤(正)委員 とにかく、空港問題は、議会のやりとりを見ておわかりであろう。はっきりしたスタンスをきちんと決めてやらないと、そっちだ、こっちだではだめである。総力を挙げて、執行部も議会も一緒になって解決していかなかったら、これは解決できないから、頑張ってほしい。
 次に、中国残留邦人に対する取り組みは、たまたま横田委員と10年ぐらい、あなたと気が合ったのはこれだけだ、今まで。ほかはだめだけど。この問題についてひとつ伺いたい。
 平成5年3月の予算特別委員会で、国で設置している中国残留邦人自立研修センターの誘致について、必要性を私は申し上げてきたわけである。横田委員にも応援してもらった。これが、今回、本県に設置されるということになったわけであるが、中国残留邦人の自立研修センターの概要、設置場所をひとつ伺いたい。

〇高橋副知事 これは、国の事業として63年度から実施されておるが、委員も仰せのとおり、平成7年度、さらに5カ所を増設ということで国の予算が決まっておる。かねてから本県でもこれはぜひ欲しいということで要請をしてまいった。今のところ、私どもの見通しでは、これは入れていただけるのではないか、平成7年度に実現できるという強い希望と申すか、確度の高い希望を持っておる。
 設置場所についての御質問については、まだ確定をしていないし、また、これは国の事業である。委託を受ける形になるものであるから、決まった後に国とも協議、あるいは場合によっては、本部は全市町村をカバーするような形にするにしても、例えば支部的なものについては、通所対象者の多いところに置くことがいかがかという問題も含めて考えてまいりたいと思っておるので、それらを含めて、今後、確定の後に国と協議、あるいは場合によっては市町村とも協議してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 これは決まっているんだから、言ってもいいのである、副知事。これは、一関の日中交心会が中心になって三十何家族呼んできたんだから、一関だと言えばいい。何で遠慮しているのか。はっきり言っていいんだ、ほかにないんだから、これは。そんな思わせぶりなことを言わなくたっていいんだ。わかった。
 次に、第53回国民体育大会冬季大会について、県はスキー国体の会場地を、当初予定されていた雫石町から安代町に変更する予定で準備を進めていると言われておるが、そこで、スキー国体の誘致について、どのような経過があったのか、また、どのような理由で国体の会場を変更しようとしているのか、これについて伺う。

〇高橋副知事 第53回国体冬季スキー大会であるが、まず、経過から申し上げると、平成元年から、岩手県スキー連盟と雫石町が誘致の意向を示して、全日本スキー連盟に働きかけたと承知をしておる。その結果、平成5年4月に全日本スキー連盟において、雫石町開催の機関決定が行われたということである。それと並行して、県体協とスキー連盟から県教委の方に、その開催についての検討要請があり、そのことから、県教委では雫石町に対して、全種目を実施することができるかどうか。そうなれば、ジャンプ及びクロスカントリー競技を実施するものは町において整備する必要があるが、その意向があるかどうかについて確認を求めていたと聞いておる。その後、その年の12月になるが、雫石町の方から、開催概要計画の説明があったが、その際は、全種目はやりたいけれども、ジャンプ台及びクロスカントリーについては県でつくってもらいたいという話があったと聞いておる。それに対して県教委では、既にジャンプ台及びクロスカントリーのコースが一応あるので、2つ目を県がつくるということは考えていないということで、計画の再検討を要請したと聞いておる。その結果、ことしに入って、1月であるが、雫石町の方から、ジャンプ台の建設を雫石町ですることはできないという話があったということである。そういった申し出をもとに、県教委で県スキー連盟に検討を要請していたところ、県スキー連盟から1月20日に、1市町村開催が望ましい。つまりジャンプを別にして開催することは好ましくない。全種目を1市町村でやってほしいというスキー連盟の意向が示されたということである。そういったこともあり、県教委では、スキー連盟の意向も踏まえ、両町での分散開催、つまり雫石町と、ジャンプ台があるのは安代であるので、そこに分散して開催することは困難であるということで、そのような考え方で現在進んで、安代町に全種目一括受け入れが可能かどうかを検討依頼しているということである。したがって、既に県で雫石町に決定をして、そしてそれを変えるということではなくて、まだ県教委でのやりとりの段階だというふうに御承知をいただきたい。今後、国体を正式に決定するためには、関係市町村議会で決定をし、さらに県議会の誘致の御決議もお願いをし、それを踏まえて県で要請してまいるというステップがある。したがって、現在までのところは、ちょっとくどいようであるが、決まったものを変更したのではなくて、決めるまでの過程の問題だということで御了承いただきたいものだと思っておる。
 いずれ、できれば、私どもとしては、県教委の検討結果を待って、年度内に県としてのある程度の意見をまとめて、そして平成7年度に、県議会の御意向もお伺いした上で、正式に持ち込んでまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 これに関連して、平成11年のインターハイについても同じ事態が起こることが予測される。現在、会場設定について無理なところは何カ所あるのか。あるいは場合によっては変更したいということは聞いているが、何カ所あるか、これについて伺う。

〇高橋副知事 いろいろ市町村とのやりとりについて報道等で御承知だと思うが、さまざまな経過があり、御心配をおかけしていることはまことに恐縮であるが、なお、一応は平成11年度のインターハイの競技種目別会場地は県高等学校体育連盟の検討を受け、そして、市町村にも相談申し上げた上で内定をした形になっているわけである。したがって、県として決めていなかった、まだ決めていないわけあるが、冬季スキー国体とは事情が違うと思っておる。市町村と御相談をした上で内定したものであるが、その後、財政事情等、市町村側でいろいろ議論と申すか、なかなか難しい事情があるという申し入れもあったりして、これがぜひできるように、そうはいってもしなければならないということで、再度、県教委に指示をして、市町村とも十分話をしながら、必要によっては県としてもさらにできるような措置もあわせ考えて、できるように対処しなければならないと思っておる。

〇佐藤(正)委員 とにかく、もたもたしていると大変だから、ひとつ頑張ってほしい。 次に、アワビ・ウニの増殖場についての岩手行政監察事務所の指摘について伺いたい。
 第3次沿岸漁場整備開発事業で整備したアワビ・ウニの増殖場に対する行政監察の結果、一部の増殖場では、造成に当たって、種苗放流計画の検討が十分でなかった、また、漁場の利用が適正に行われていなかったと報道されている。
 今回の岩手行政監察事務所の指摘の内容及び県の今後の対応について伺いたい。

〇濱田副知事 このたび、岩手行政監察事務所から、昭和63年度から平成5年度までの6年間に整備したアワビ・ウニの増殖場等の利用及び管理状況について監察を受け、指摘を受けたところであるが、その内容は3点ある。
 第1点は、長期計画の策定に際しては、地元負担や漁業調整等に関する検討が不十分であったため、事業を中止または延期している事例が見られるので、今後は実施可能な事業を計画に掲上すること。
 第2点は、計画どおりに種苗が放流されていない事例が見られるので、今後は適正規模の事業を実施するとともに、適正な利用がなされるよう指導すること。
 第3点は、管理規程が整備されていない事例が見られるので、規程を整備するとともに、適正に管理するよう指導することといった3点の内容であった。
 以上の行政監察事務所の指摘に対して、県としては次のように対応していきたいと考えているところである。
 第1点の長期計画については、今後、計画策定に際し、市町村、漁協等のニーズを十分把握するとともに、地元負担等から見て、実施可能な事業を計画に掲上すること。
 第2点は、適正規模の事業実施については、今後、漁協のさまざまな能力を検討し、適正規模の事業を実施するとともに、適正な利用がなされるよう指導していきたい。
 第3点の管理規程については、整備して、適正な管理を指導していきたいと考えておる。
 いずれにしても、今回、行政監察事務所から指摘を受けたことはまことに遺憾であり、今後、さらにアワビ・ウニの増殖場の適正な整備や利用・管理に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 わかったけれども、新聞には、例えば田尾林業水産部長のコメント、畠山田老町漁協組合長のコメントの両方が出ているが、県民がこれを見ると、どうなっているんだろうと思うのである。そういうものをきちんとしていかなければ、私は、本県の行政指導というのはなってないんじゃないかと言われるので、注意してもらいたいと思っておる。
 次に、道路の冠水対策について。
 冠水対策道路整備事業というのは、前の佐々木土木部長のときに私どもがお願いしてつくった項目であるが、いわゆる本県北上川下流の一関、平泉地域については、水がつくたびに、学生の通学あるいは日常生活に非常に困難を来しているわけである。この点の道路整備についてどのように考えておられるのか、どこまで進んでおられるのか、この点について伺いたいと思う。

〇濱田副知事 県道一関北上線及び薄衣舞川線であるけれども、北上川左岸に沿って県央から県南部を縦走する広域的な幹線道路であるとともに、地域の生活に欠くことのできない、まさに重要な路線である。しかしながら、千歳橋のすぐ下流にある北上川の狭窄部の影響を受けて、洪水時には周辺地域がたびたび冠水するため、その都度、迂回に長時間を要するなど、地域の日常生活に大きな影響を及ぼす結果となっているところである。
 そこで、県としては、これまでも冠水対策のための道路整備を進めてきたところであるが、平成4年度から、北上川下流域の冠水道路解消を目的とする冠水対策道路整備事業を創設し、洪水時の生活路線の確保のため、道路のかさ上げや路線の切りかえ等を積極的に進めることとしておる。この中でも、県道一関北上線や薄衣舞川線の千歳橋から上流側の冠水区間については、緊急性の高い地区であるという認識のもとに、抜本的改良について、平成5年度から調査・計画を進めてきているところである。
 今後においても、異常気象時においても安全で確実な生活環境が確保できる地域社会の形成を目指して、この抜本的改良のための具体的計画を策定し、早期事業化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところである。

〇佐藤(正)委員 もう1点、県南地域で大変に期待をされているところの観光開発、M・A・I栗駒ほっとプランであるが、これにかかわるところの太田川及び山谷川の整備状況などについてもひとつ伺っておきたいと思う。
 委員長、これは議事進行であるが、残り時間は、さっきの競馬場の問題に残しておいてよいか。

〇戸羽委員長 まだ、時間があるから。

〇佐藤(正)委員 もう、これで終わるから、今の質問は。よいか。

〇戸羽委員長 はい。

〇佐藤(正)委員 以上で終わる。

〇濱田副知事 M・A・I栗駒ほっとプランに係る河川事業については、1級河川の太田川及び山谷川の2河川を、須川・真湯の郷ゾーン河川環境整備事業として実施してきたところである。この整備に当たっては、護岸の緑化や潤いのある水辺の散策路を設けるなど、周辺の環境と調和のとれた自然に優しい川づくりを積極的に進め、良好な水辺空間を提供するとともに治水安全度の向上を図ることとして、現在、鋭意改修に取り組んでいるところである。
 その全体計画であるが、平成4年度から5カ年間で、太田川、山谷川を合わせて、総延長3、200メートルの河川整備を図ろうとするものであり、平成6年度末における進捗状況はおおむね41%と、計画どおり順調に進展しているところである。
 近年の河川改修においては、自然との触れ合いの場としての河川環境の保全や、潤いのある水辺空間の創造が求められておることから、これらの要請にこたえるべく、今後とも積極的に本河川の整備に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 大変御配慮ありがたい。
 以上である。

〇戸羽委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時5分 再 開

〇戸羽委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 総括質疑を続行する。
 午前中の佐藤正春委員の競馬組合盛岡競馬場の工事費増額の件について、濱田副知事の答弁を求める。

〇濱田副知事 新盛岡競馬場の建設経過であるけれども、昭和63年1月に運営協議会において新盛岡競馬場建設計画が了承され、2月の競馬組合議会において議決されたところである。
 また、平成3年3月に、先ほど申したように増額に係る競馬組合議会での議決が了承がなされ、平成4年3月にさらに410億円の増額についての了承がなされたということである。そして、その間において、先ほども申し上げたように、新盛岡競馬場建設懇話会、これは私的諮問機関ではあるけれども、岩手医科大学教授の石渡教授を座長として、一橋大学の教授とか、あるいは放送関係者とか、あるいは旅行関係者とか、そういった方々を踏まえて、都合7回開催しておる。その方々の御意見も踏まえて増額に踏み切ったところである。
 ただ、この増額の内容を見ると2つあって、これも先ほど申したが、土木関係、それから建築関係に分かれている。土木関係については、盛り土部分に軟弱地盤があったといったこと、あるいは底土部分に岩盤の地層が見つかったということで工法の変更が必要であったと。それから、建築関係の増であるが、当初の予定では、現在の盛岡競馬場と同規模で計画しておったという面がある。それを現在の水沢の競馬場並みに拡張したというところがある。具体的に申すと、1人当たりの占有面積で現在1・33平米であるが、それを2・3平米にふやしたということである。また、厩務員の宿舎についても、有能な人員確保の観点から住環境の整備を図る必要があるということで、そこを整備したといったところである。
 そういったことで増額となったわけであるけれども、確かに当初の計画は現有施設と同等というような時点から出発したために、当初の計画に詰めの甘さがあったということは否めないかと存ずる。ただ、この間、県として直接に介入し得る立場にはないわけであるけれども、起債というような話もあるので、事実上の指導を実は財政課が行っておる。財政課が事業の洗い直し等も行って、不要不急のものについては削ったり繰り延べしたりということで、都合36億円削減したという経緯にある。
 それから、絵画の御指摘があったけれども、1億円以上の絵画の購入が確かにある。1億300万円というようなものである。スーチンという作家の油絵である。それから、ブロンズ像についても1億6、480万円というものがある。そして、絵画とか彫刻はほかにも買い求めておって、合わせると都合3億8、500万円程度になるわけであるが、この目的としておるのは、新しくできる新競馬場が、ゆとり、触れ合い、そして、自然を醸し出すような、これからの新しい競馬場としてゆったりとした雰囲気の中で、また、落ち着きのある雰囲気の中で楽しんでいただこうということを目途として、絵画や彫刻をその中に展示いたしたいという目的で今、そろえつつあるものである。先ほどの1億300万円の話は、平成2年12月の競馬組合議会の決定を経て平成3年に購入しているものである。そういったような形で取りそろえてきているという経緯にある。
 それから、21回の開催についてファンの要望があるのかという話であった。それについて、年末年始はやはり帰省客等も多くなっておって、この特別開催に係る入場者数は通常に比べて45%ふえておるという状況にある。そういったことから、ファンの要望が強いと判断した次第である。
 いずれにしても、競馬の運営については県民の批判を招くことのないよう適正に行っていく必要がある。県としても、構成団体の一員として適切な助言指導を行ってまいりたいと考えているところである。

〇佐藤(正)委員 まず、適切な指導を行っていきたいというのであるが、県として適切な指導であったかどうかということが1点。
 それから、これは競馬組合で議決したことであるから、もとへ戻せない。ただ、私どもの同僚議員の中から競馬組合の議員が出ている。その方から、どうもこんなに一気にふえて、何が何だかわからないけれどもふえたというようなことを伺っている。であるが、あなたが調査した結果、競馬組合の議会の中で、議事録に出ているのであろうが、これはどうも法外だというような反対意見、あるいは疑義の点、こういうものがあったのかどうか、これが2点。
 3点目は、今、おっしゃるように、絵画1億数千万、ブロンズ像等々含めて3億以上のものが、これはどこにあるのか知らないけれども、隠しているんだかしまっているんだか、人に見えるとうまくないと思って隠しているんじゃないのか、それは。何かしているんだけれども、これは将来ゆとりある競馬場にしたいということで購入したということであるが、ゆとりはないじゃないか、全然。ゆとりがあるのか。あなたがさっきおっしゃったであろう。金がかかったから、18回に決められているのを21回にふやしたのは、建設費なり何なりを幾らでも補てんしていかなければならない、幾らでも稼がなきゃだめだというのでやったわけであろう、そうおっしゃっているんだから、あなたが答弁で。にもかかわらず、逆に3億のものを買って、どうなっているのか。あなたの御答弁と今の説明とちぐはぐになっていないか。この3点。

〇濱田副知事 適切な指導であったかどうかという点に関しては、適切な指導と受けとられるように、そのように指導してまいりたいと思っておる。
 それから、組合議会において反対意見があったかどうかであるが、そのことについては、ただいま私は承知していない。
 それから、ゆとりの話であるが、先ほど申し上げたゆとりについては、競馬場を訪れる方々がゆとりを持って楽しめるという気持ちのゆとりの問題で、財政上のゆとりを指して申し上げたつもりはないわけである。

〇佐藤(正)委員 私は、適切な指導であったかどうかということを聞いている、適切な指導をしていきたいというのではなく。今回のこの措置が、いわば馬がひっくり返ってけがをした、そこから始まっているわけである。これは無理をしたわけであろう。18回やっていればこうならないわけである。21回無理してやらせたからこういうことになったわけである。そこからこの問題が発生しているのだから、御無理をなさったから、無理してまで競馬の回数をふやしてやったということなんだから。そういうことから発展して、いわゆる236億円から170億円も上回るところの410億円になった。あなたは、適切じゃなかったと言うかもしれないけれども、これはずさんである。ずさんとしか言いようがない。5億とか10億ふえたというのならともかく、170億からのもの、倍近くなっていて、これはずさんと言えないか。だから、今回のこのような一連のものを見て、あなたが副知事として、知事の代理として、知事が判こを押したんだろうから、知事の代理として、今、御答弁なさるときに、今回のこれらの一連の措置が、落馬事故から始まったこの措置というものが適切であったかどうかということなのである。その一言を答えればいいのである。不適切であったとか、適切であったとか、どっちでもいい。

〇濱田副知事 落馬事故に関して、確かに結果としてそういうことが起こったということに関して判断すれば、それは適切でなかったということになるわけである。ただ、十分に事前に凍結防止対策等の考えられる対策はとっておったというところがある。しかし、そのような結果になったということで、反省しなきゃいけないと、こう受けとめておるわけである。
 また、この新競馬場の建設費が増高したことについては、やはり競馬に取り組む競馬場の熱意というものがある。その意欲もまたある。それは水沢競馬場並みのものをつくろうというところにあらわれておるわけであるけれども、その結果ふえてきたことであって、ふえたこと自体についての問題よりは、当初における計画が少し小さかったという点にもあろうかと思う。ただ、ふやすことについて、限りなくふやすということはやはり問題があるわけで、その点については財政課の方で事実上の指導を行ったということである。

〇佐藤(正)委員 この問題はこれからも尾を引くわけであるから、今後徹底的にこれを追及していきたいと、こう思っているので、その点十分に御配慮を委員長にお願いしたいと思う。
 以上で終わる。

〇戸羽委員長 残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑ができるようになっておるが、どなたかあるか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇戸羽委員長 なければ進行する。

〇長谷川委員 新進党の長谷川忠久である。お許しをいただいたので、県政全般について質問をさせていただく。
 まず、御高承のとおり、世界的な景気回復、言わせると地球上すべてが好況だと、こう言われるわけであるが、それを背景にして、我が国経済も徐々に明るさが広がってきたという見方もある。しかし、依然として設備投資が低迷する中にあって、新規学卒者の雇用が確保され得ないなど厳しい状況にあり、また、先行きについても、為替相場や阪神・淡路大震災の影響等、注視すべき要因が考えられるところである。
 そこでまず、現下の景気動向について御所見を承りたいと存ずる。

〇高橋副知事 御質問の中で、委員の方から現下の情勢についての御認識があった。これは、私どもも同じように見ておる。
 まず、国の見方を申し上げると、経済企画庁の2月の月例報告では、全体として企業設備等の調整が続いているものの、我が国経済は穏やかながら回復基調をたどっているとしている。ただし、兵庫県南部地震--当時はそういうふうな表現であった--、今回の阪神・淡路大震災の経済に与える影響に十分留意する必要があるということがつけ加えられておる。
 本県の状況はどうかと申し上げると、昨年の12月から本年1月にかけての特徴的な動きを若干申し上げると、大型小売店の販売が伸び悩んでおる。一方、乗用車の販売はかなりこれは大幅に伸びておる。住宅建設は依然として高い水準を維持しておるし、公共工事も基調としては前年水準を上回っておる。鉱工業生産は、基調としては前年水準を上回っておるが、有効求人倍率は依然として1倍を割り込んでいる、こういう状況である。
 以上の点から、県としては、県内景気は総じて低迷が続いている中にあって、国と同様に穏やかながら回復の方向に向かっているものと見ているところである。

〇長谷川委員 そのような景気認識のもと、予算編成においても大変御苦労されたことと思うが、目下における県財政の現況と見通しについてどのように認識されておられるのか、説明をお願いする。

〇高橋副知事 目下における県財政の現状と見通しについてであるが、これはもうずっと変わらないわけであるけれども、本県の財政というのは、歳入面を見ると自主財源が乏しい、県税を中心とする自主財源が乏しい。そして、7割は依存財源、国庫支出金あるいは地方交付税等に依存しているという体質である。本来の望ましい姿からすると、自主財源ができるだけ高い方が望ましいわけで、少なくとも他県平均並みぐらいにはいってもらいたいという気持ちであるわけであるが、現実にはそういう状況にある。一方、歳出面では、これまでの財政運営として義務的経費は比較的本県の場合低く、投資的経費を伸ばすということで取り組んできておって、この点は今後も維持していくべきものではないかと、このように思っているわけである。
 平成7年度の県財政について申し上げると、先ほど申し上げた少ない自主財源の県税あるいは一般財源である地方交付税、こういったいわば自由がきく財源の伸びはやはり余り多くは見込めないという状況にある。したがって、基調としてはかなり厳しいのではないか。一方、歳出面でも、先ほど申し上げたように、人件費等の義務的経費を抑制し、投資的経費を伸ばすということで努力はしておるけれども、そういった面に対する財政需要というものが今後ますます大きくなると見込まれるので、こういったものへの対応について、全体的に申し上げると、かなり厳しい状況、一段と厳しい状況に置かれるものと、このように考えているところである。

〇長谷川委員 厳しい財政の中にも大変な御努力をされているということはよくわかるわけである。そこでこの際、財政の諸問題について若干お伺いをしたいと思う。
 まず、県税の見積もりについてである。
 平成7年度当初予算においては、地方財政計画の伸び2・2%を上回る12・8%の伸びの1、210億円余を計上しておる。平成7年度においては、仰せのとおり依然として景気の見通しは楽観できず、税収動向も厳しい状況にあるのではないかと予測されるわけであるが、このように地方財政計画を大きく上回る伸びで、見込みどおりの税収が果たして確保できるものなのか、平成6年度の経験等からもどうか、あわせてお伺いをする。
 なお、税収見積もりに当たっては、全国と比較して本県特有の税収構造があるのかないのか、特に高い伸びを見込んだ税目を中心として御説明をいただく。

〇上田総務部長 平成7年度の県税の収入見通しであるが、例年のことであるけれども、県税収入の見積もりに当たっては、政府経済見通しにおける経済指標あるいは地方財政計画の伸び率、こういったものを参考にしながら、県内の課税実績、統計資料、こういったものを勘案の上見込んでいるところで、確かに対前年当初で数値を比較すると12・8と、かなり高い伸び率になっておるわけである。ただ、この高い理由を分析すると、平成6年の県税収入について、当初予算では1、073億円余の収入見通しを立てておったのであるけれども、平成6年度の1月末現在の課税実績の状況を見ると当初見込みよりもかなり高い伸びが出ておって、先般、補正予算をお願いしたわけであるが、税収としては法人事業税、軽油引取税等を合わせて98億9、500万円の増収が見込まれ、したがって、平成6年度の最終の決算見込みになるが、1、172億4、500万円ぐらいになるわけである。したがって、この決算見込みに対しての伸び率で見ると3・3%と相なる。そうすると、他方で、地方財政計画についても外見は2・2であるが、地財計画は年度内に税収の伸びが当初よりも落ち込んでいるから、最終の見込みに対しては4・4の伸びということになっている。したがって、全国ベースでは4・4のところを本県の場合は3・3ということになっておるので、現段階においてこの予算計上額は過大なものとは考えていないところである。
 それから、税収構造の特色であるが、御案内のとおり、税収の多くを占める法人2税のウエート、これを見ると、地方財政計画37・5%に対し、本県は29・1%、全国よりも8・1%下回るということになっておる。こういった法人2税の占めるウエートが低いという点に本県の経済構造の実情を反映しているものと考えているところである。

〇長谷川委員 次に、地方交付税についてお伺いする。
 地方交付税は、地域住民の多様な要請にこたえ、個性豊かで活力ある地域社会を形成していく上で必要不可欠な財源であり、その確保は極めて重要な課題である。しかしながら、近年は交付税算定の基礎となる国税5税の伸び悩みや、かつての不交付団体であった大阪府、愛知県、神奈川県が税収の大幅な落ち込みにより交付団体になるなどで、その配分が極めて窮屈な情勢にあるのではないかと考えられる。また、交付税措置のある起債制度の増加に伴い、大規模な箱物整備ができるいわば富裕団体に交付税がより集中配賦される傾向があるのではないかとの懸念もある。
 本来、地方交付税の有する重要な役割、いわゆる税源の偏在による財源の偏在を調整するということに照らしてみれば、財政力が弱く、しかも立ちおくれている社会資本を積極的に整備していかなければならない本県のような団体にこそより多く傾斜配分されるべきものと思う。県としてもいろいろ手順を尽くしておられるということは聞いておるわけであるけれども、これまでの取り組み、また、今後の方針についてお伺いをする。

〇上田総務部長 地方交付税の傾斜配分という点についてであるが、地方交付税はもちろん財政基盤の弱い団体でも必要な行政水準を達成できるようにという財源調整機能があるわけであるが、その財源調整機能を発揮する中で、特に過疎地域等の、後進地域等の振興のための算定措置ということも図られているわけである。
 本県として従来どういう要望をしてまいったか、あるいは措置されてまいったかということについて申し上げると、例えば、財政需要の中で、その県土の面積に応じて、あるいは林野の面積等であるが、面積に応じて算入するような費目について、地域の自然的、社会的状況を勘案して算入していただくように、あるいは公共投資への依存度の多寡を指標として用いることにより重点配分をできるようなものについて算入を高めてもらうように、こういったお願いをしてきておって、近年、その算入単価の改善が図られておると思っておる。
 また、本県特有の事情で申すと、県立病院の関係であるが、これは、他県に比較して大変本県の大きな財政需要を占めていることであるので、病床数に基づく交付税の割り増し算入などを要望してきておるが、これも十分とは言えないまでも、近年充実を図っていただいているものと考えておる。しかしながら、これは本県のような財政状況のもとにある県の場合に、より一層の傾斜配分が必要だと考えておるので、改善要望を続けて重ねてまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 次に、県土の均衡ある発展についてお伺いをする。
 県土の均衡ある発展の観点から、とりわけ県北、沿岸地域の振興を図っていくことは県政の最重要課題である。県としても各般にわたりさまざまな諸施策を講じてきたわけである。そこでまず、平成7年度における当地域の振興に配慮し、特に重点的に実施することとした事業についてお示しを願う。

〇高橋副知事 県北、沿岸地域の重点事業であるが、まず、御理解をいただかなければならないのは、平成7年度の当初予算は骨格予算で、いわゆる新規施策的な経費は6月以降の補正で対応しておる。したがって、骨格予算である当初予算で盛り込んだ主要事業というのは限られたものであるので、そういうことを前提にしてお聞き取りをいただきたいと思う。
 まず、県土の整備については、交流ネットワーク道路あるいは新幹線関連道といった整備、これを引き続き推進することにしておる。さらに、いろいろ大きな話題となった新幹線の盛岡以北のいわゆるフル規格化といったものが実現をした、これへの対応もある。それから、日向、鷹生、綾里川3ダムの建設を推進してまいりたいといったことでこの面は積極的な対応をしてまいりたいと考えておる。
 次に、産業関係では、農業では、まず、県北農業技術センターの整備に着手をすることにしておる。さらに、中山間地域の農村活性化総合整備事業、こういったものの推進、さらに、林業関係では、九戸高原地域における日本一の炭の里づくり事業の推進、水産業関係では、沖合海域の利用拡大を図る技術開発のための地域共同研究開発事業、それから、これはイベントであるけれども、平成9年に大槌で開催予定している全国豊かな海づくり大会の準備といったものを考えている。
 観光・リゾートの振興では、これも昨年度から展開しておるさわやか岩手イメージアップ大作戦、こういったものによる観光地の整備、それから、陸前高田市におけるオートキャンプ場の整備、こういったものなどを実施をすることにしているものである。
 それから、福祉の充実、豊かな人づくりといった面では、県北地域の中核的な医療機関である県立久慈病院の移転新築整備の推進等々を進めることにしておるが、以上申し上げた点に加えて、国の事業である三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道、国道283号仙人峠道路の推進、それから、久慈、釜石湾口防波堤の整備といったものについても国に強力にお願いをしてこれらの事業の一層の推進を図る、こういった取り組みをしているものである。
 なお、当然ながら、6月補正以降の予算の検討に当たっても、今言った点に加えて所要の重点的な事業の推進を図るような予算編成がなされるべきものと考えておる。

〇長谷川委員 6月補正でより多くの事業を配分していただくようお願いを申し上げる。 当地域の他地域と比較した所得水準と人口動態の実態はいかがであろうか、お示しをいただく。

〇高橋副知事 県北、沿岸地域の所得水準についてまず申し上げると、平成4年度における1人当たりの市町村民所得では、県平均は241万2、000円である。これに対して県北、沿岸地域の平均は206万8、000円で、県平均のおおむね86%となっておる。また、県平均を100とした場合の指数によって各広域生活圏別の格差を見ると、気仙、釜石地域では89、宮古、久慈、二戸各地域のいずれも80台となっておる。
 次に、人口動態であるけれども、県全体では最近増加傾向に転じておって、例えば昭和60年には143万4、000人から減少傾向でずっときて、反転をして、平成6年には141万7、000人となっているわけである。ただ、県北、沿岸地域全体では昭和60年には48万2、000人であるが、これがずっと減少傾向をたどっておって、平成6年には43万8、000人となっている、こういうことである。

〇長谷川委員 依然として所得の格差は縮減されていない、むしろ拡大してきている。人口も引き続き流出の実態にあることがわかるわけである。県御当局は、先ほど申し上げた御努力にもかかわらず、かかる実態にあるという、この原因をどのように分析されているのかをお聞かせ願いたいと思う。

〇高橋副知事 非常に総合的な問題で、申し上げると非常に精細かつ子細な分析が要るわけであるけれども、全体的に申し上げると、やはり産業構造の問題が大きいのではないかと思っている。その産業構造も、やはりその置かれている自然的、社会的な条件というのが影響してまいる。基本的に申し上げると、第1次産業に依存する割合が他地域に比べて高い、したがって、第1次産業の生産性といったものが全体的に構成比の関係で低い原因になっているのではないか。それからまた逆の立場で申し上げると、北上川流域を中心とする県内陸部では、いわゆる高速交通幹線の整備が進んだ等によって先端技術産業の集積が伸展をしておる。そういった面で、これらの社会資本の整備に対応して産業経済活動が活発化しておる。産業経済活動の活発化といったものが産業構成といったもので差が出てきておる、こういうふうに考えておる。今後の問題としては、やはりこういった社会資本といったものを整備をしながら、産業構造の高度化を図っていかなければならない、また、第1次産業についても振興を図って、その底上げを図っていかなければならない、やはりこれも総合的なアプローチ、対策を必要とするものだと思っておる。

〇長谷川委員 私は、この辺で県土の均衡ある発展への今後の取り組みについて、若干従来とは違った取り組み方が必要ではないかと考えるので、過去の知事答弁等に照らしてお伺いをしたいと存ずる。
 昨年の12月定例会において、知事は、9月定例会の私の一般質問に関連した佐藤正春議員の県土の均衡ある発展についての質問に答えて、いわゆる画一的な平準化を図ることではなく、地域の特色を生かしながら、発展可能性を顕在化し、個性的で魅力的な地域づくりを進めることにあるとし、そのことが県土が全体としてつり合いのとれた発展を遂げていくことになり、ひいては所得や県民生活の向上につながるものと答弁されておる。それは、おのおの特性を生かした振興を図っていくならば、均衡のとれた発展が必然的になされるのだということと受けとめるとき、同感できるわけである。いわば長期的な取り組みとしてはそのとおりであると否定するものではないけれども、しかしながら、経済社会情勢の急激な変化の中にあって、依然として所得格差は拡大し、また、引き続き人口の流出が続くという現実の中にあっては、個性化志向の取り組みも、主体となるべき人間がその地域にいなくなってしまう、すなわちその前提をすら失いかねないほど緊迫している、こういう切実な実態を認識する必要があると思う。したがって、ここは早急にその解決のための処方を従来の発想にとらわれず、夢のあるプロジェクトをいち早く積極的に打って出るなどの対策が必要ではないかと考えるのである。
 具体的には、道路等の社会資本整備水準の格差を今まで以上の重点投資により早急に是正し、そしてまた、産業集積のピッチを上げ、もって所得機会を保障し、地域の活性化を図るべきことは、申し上げるまでもなく当圏域の住民すべてが切望しているところである。そしてそれは、人口の集積、とりわけ若者の集まりぐあいにかかっていると思うのである。そのためには、県内いかなる地域に住んでいても、高次の都市機能、すなわち情報、文化、教育、医療等、質の高い生活環境水準の整備がなされる必要があると考えるが、いかがであろうか、御所見と今後の取り組みについてお伺いをする。

〇高橋副知事 ただいまの格差解消対策というか、県土の均衡ある発展、特に県北、沿岸地域の発展に関する長谷川委員の御認識、お考えについては同感である。そういう方向で取り組んでまいりたいと思っておる。したがって、社会資本整備関係では、先ほども重点事業のときに申し上げたように、三陸縦貫自動車道あるいは横断道の整備とか、そういったことにより一層力を入れて取り組んでまいらなければならないと思っておるし、また一方、やはり他の地域にはないもの、あそこの地域にあるものは、例えば私が申し上げるまでもなく、海があるわけである。この海の活用等についても、ある意味で申し上げると今以上に、言葉として適当かどうかわからないが、今までが2次元的な活用であれば3次元的な活用をするとか、そういうふうな新たな取り組みを加えながら地域のよさといったものをより以上に引き出していくような努力が必要でないかと思っておる。
 いずれにしても、委員が仰せられた発展のための社会資本の整備、あるいは医療、福祉等の基礎的な条件、その上に乗った文化、教育等々の面についても県としても全力を尽くして取り組んでまいらなければならない、このように考えておる。

〇長谷川委員 次に、夢のあるプロジェクトについてであるけれども、例えば先日の代表質問において我が党の伊藤孝委員が取り上げたスーパーハブ空港問題がある。知事は、動向に十分関心を持ち、機敏に対処していく必要があると答弁されておるが、前述したとおり、私はいち早く果敢に取り組む必要があると考える。なぜなら、当該プロジェクトによる直接効果はもちろんであるが、この整備に向けた取り組みに当たって、関連性の強い他のプロジェクト、例えば航空需要の面から立地が困難とされた沿岸空港や構想中の国際貨物空港への取り組みと有機的な連携を考慮した取り組みを進めるならば、それぞれの展望もおのずから開かれ、実現へのハードルもクリアできるのでないかと期待され、ひいては県土の均衡ある発展につながるものと確信するからであるが、いかがであろうか。
 このように、夢のあるプロジェクトを有機的に位置づけ、総合的に、しかも積極果敢に取り組んでいくということが重要であると存ずるが、いかがであろうか、県御当局の御所見を賜りたいと思う。

〇高橋副知事 地域の発展のために夢のあるプロジェクトをという御質問であるが、県としても、長期的な計画としては御承知のように3県総を持っているわけであるが、これだけではなくて、3県総の計画期間を超えた、21世紀の相当長期な面にわたる構想を立てることも大事だと思っておる。それが委員の仰せられた県全体としての、また、県北、沿岸地域にとっても夢のある構想といったものになるのではないかと思っておる。
 現在、9つの構想を掲げてその策定作業をしているわけであるが、この県北、沿岸地域に関係のある点を申し上げると、三陸海の産業集積圏構想というのがあるが、これは、三陸地域への海洋資源を生かした高度技術産業集積拠点の形成をねらいとして、今、作業をしている。それからもう1つ、北岩手緑の産業集積圏構想においては、県北地域への農林資源を生かした高度技術産業集積拠点の形成をねらいにして作業をしておる。3つ目には、北上高地交流森林圏構想においては、農林業の多面的な機能と役割を生かした広域の一大ゾーンの形成、こういったことをねらいにして、今、作業をしている。
 現在、広域計画も念頭に入れながら、事前計画も大体終わりに近づいてまいったので、実はこの構想についてある程度まとめをする必要があるということで作業を急いでいる段階で、極めて近い時期にこの構想をまとめられるのではないか。そうすれば、委員が仰せられたような21世紀にかけての夢というか、そういったプロジェクトへの取り組みについての1つの案として御検討いただけるのではないか、このように思っているところである。
 もう1つは、別な角度であるが、御承知のように、県立宮古短期大学に財団法人三陸地域総合研究センターというものをつくった。ここでも、今、活動を盛んにやっておるが、こういったところでも別な立場から三陸地域の発展についての提言を研究の上に立って出していただけるもの、また、出していただきたいと思っておる。
 それからまた、委員がお触れになった点も掲げてある東北インテリジェント・コスモスでも、東北全体としては夢のあるいろいろなプロジェクトがあるので、これも知事からお答え申し上げたように、私どもとしてもまさに大きな関心を持って、そしてその深度に合わせ、またそれをプッシュするような形で積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておる。

〇長谷川委員 私は、計画は大きければ大きいほどいいような感じがする。小さい構想というのは余り採算性に合わない。例えば沿岸空港1つとってみても、採算という1つの壁にぶち当たってしまう。そういうことを考えてみると、これは政策は総合的に、先ほど言ったようにスーパーハブ空港であるとか、国際貨物基地であるとか、あるいは遠い将来かもしれないけれども、スペースプレーンであるとか、いろいろなものを総合的に判断して岩手県の航空行政はこうあるべきだと、こういうふうな方向性を打ち出していただかなければならないと、そのように思うので、御要望しておく。
 次に、個性化を志向した地域づくりのための絶対必要条件とも言うべき、地域における特性についてである。
 それを生かすことが重要であるということは先ほど申し上げたとおりであるが、留意しなければならないのは、その特性というのは、時代の趨勢にもかかわらず、変わらぬことでますます価値が高まるものと陳腐化するもの、また、時代の趨勢に合わせ、変化、変質することにより優位性が高まるものとそうでないものがあるという事実と、また、新たにその地域の特性として生かすべきものが創出され得るという可能性である。したがって、地域の特性を生かす観点から、時代の趨勢を見きわめた上で、そのときどきに生かすべきフィールドを的確機敏に把握し対応しつつ、その優位性を絶えず検証するということと、また、新しい次の時代に向けたかけがえのない新たな特性を創出するという主体的な取り組みが必要であるということである。先ほど御答弁で海という特性、海という特性は、我々考えればすぐ1次産業を思い出すわけである。しかし、その産業構造によって県北、沿岸の所得格差が一向に縮まらない、こういうことになるそうで、やっぱり海という、今、御答弁で3次元的な利用という話があったわけであるが、その特性もその時代、その時代によって違うわけで、その生かし方をぜひ考えていただきたいと思うわけである。そういうような県土の均衡ある発展への取り組みに当たって、ぜひこのことを留意していただきたいと、こう思うわけであるが、県御当局の御所見を賜りたいと存ずる。

〇高橋副知事 今、長谷川委員が仰せられたことは、私全く同感という気持ちで伺っておった。県北地域でも、現に置かれた条件を、かつては不利だと思われるものを生かして発展している例が多々ある。例えば安比地域におけるスキー場開発であるが、あれも、かつては雪がある、これは発展にとっては不利だということを言われたわけであるけれども、あの地域の開発は今や全国的にリゾート開発のいわばお手本になった。それからもう1つは、奥中山のレタスの産地であるが、あそこは御承知のように、私がちょうど農政部へ行ったあたりは開拓農協の不振等でもう大変な負債整理-私も多少携わったが-のころだったわけで、それがレタスを植え、そして53年に真空予冷装置を入れたことによっていわば全国的にも知名な産地になった。これも一種の発想の転換というか、取り組み方だと思う。だから、私はそういう種は現に岩手県にもあるし、当然それは私が申し上げたところだけではなくて各地域にあるわけである。沿岸地域にももちろんあるだろうと思っておる。したがって、そういう面で、先ほど海に触れて申し上げたが、片面から見るだけではなくて多角的に見ることによってその発展性を引き出して、そして、今まで不利だったものを、それを置きかえるという努力、そういう努力を地域の方々を主体的に立てながら県としても応援して取り組んでいくのが大事だろうと思っている。言葉を変えて言えば、当たるかどうかわからないが、不易流行という言葉がある。したがって、こういったことも開発の手法としては考えられるのではないか。そういう面で、委員の御発言に同感をしながら、そういうふうに答えさせていただくものである。

〇長谷川委員 次に、道路整備であるけれども、東北自動車道釜石秋田線及び一般国道283号仙人峠道路、それと三陸縦貫自動車道のただいまの進捗状況、そして今後の見通しについてお伺いする。

〇濱田副知事 まず、国土の骨格を形成する北東北唯一の横断自動車道である東北横断自動車道釜石秋田線であるが、北上市から秋田市間については、北上から北上西間と秋田県の横手から秋田南間が既に開通、供用されておる。残りの区間についても平成9年度の全線の完成を目指して鋭意工事が進められているところである。また、釜石から花巻市間のうち、東和-花巻間については、平成5年11月施行命令が発せられて、本年1月18日に道路公団が路線発表を行ったところである。この区間は、本年度中に地元関係者の了解を得た後、来年度から工事を施行するために必要な測量や設計が行われて、その後、関係する道路や水路の管理者と協議を行い、用地買収、工事が進められる予定となっておる。今後、県としても、地元市町村と十分な連携をとりながら、東和-花巻間の早期完成はもとよりのこと、予定路線となっておる釜石-遠野間及び基本計画区間となっておる遠野-東和間の早期格上げについても積極的に取り組んでまいりたいと思っておる。
 次に、国道283号の仙人峠道路であるけれども、計画総延長で18・6キロメートルのうち、釜石側13・2キロメートルは長大トンネルなどにより高度な技術と膨大な事業費を伴うことから国の直轄代行事業として、遠野側5・4キロメートルは国の国庫補助事業としてそれぞれ平成4年度から事業に着手しているところであるが、事業計画区間内には4、000メートルを超える長大トンネルを初めとして、全体として大小4本のトンネルと9カ所の橋梁が含まれておることから、慎重な調査検討を進めているところである。現在までに本線の路線測量や道路の実施設計、構造物の詳細設計を行ってきておって、また、工事用道路については、本年度一部用地買収に着手したところであるが、去る2月27日には直轄事業区間となっておる釜石側の計画の地元説明会を行ったところである。また、昨日は、県事業区間となっておる遠野側の説明会を行ったところである。今後においては、本線の幅ぐいの設置、あるいは用地の測量を行って、来年度においてはその用地買収並びに工事用道路の工事に着工する予定である。県としては、今後とも関係機関との協議や調整を進めながら、地元市町ともども関係者の御理解と御協力を得て、この仙人道路峠の整備促進についてさらなる努力を重ねてまいりたいと思っておる。
 次に、三陸沿岸地域の振興はもとよりのことであるが、県勢発展の上からも極めて重要な道路である三陸縦貫自動車道路であるが、大船渡-三陸間及び山田南-山田間が既に工事に着手されておる。平成5年3月に新三陸トンネルを含む3・1キロメートル間が開通するなど、着実な事業の進展が見られていると思っているところであるが、基本計画区間となっておる釜石-山田間が平成5年度に、それから陸前高田-大船渡間が平成6年度に新規に事業化され、現在、整備計画の策定に向けて調査を進めているところである。さらには、平成5年度に予定路線から基本計画区間に格上げされた山田-宮古間についても、現在、事業化に向けて概略の路線検討等の基礎的調査が進められている状況にある。県として、現在、予定路線となっておる区間の基本計画区間への格上げをも含めて、三陸縦貫自動車道の全区間の整備促進について国に対して引き続き積極的な働きかけを行ってまいりたいと、かように考えている次第である。

〇長谷川委員 早期にこれらの重要な道路の建設が達成できるよう、促進方御協力をお願いする。
 次に、市町村道の整備促進についてであるけれども、市町村道の整備は、もとより国道等の広域幹線道路網を補完して、その整備効果を広く発揮させる機能を有し、地域の日常生活はもちろんのこと、産業活動に密着した地域道路網として極めて重要な役割を担っておる。本県における現下の整備水準はいかほどなのかお示しを願う。
 また、市町村道の整備主体たる市町村の財政力には差があるわけで、一律に取り組むことが難しいのではないかとも考えられるところである。県として整備促進を図る観点から、その対策をどのように考えておられるのかお教えを願う。場合によっては県代行で取り組んでいく必要があると存ずるが、いかがであろうか、あわせてお伺いをする。

〇濱田副知事 市町村道は本県の道路の総延長の86%も占めておる状況にあって、平成5年4月1日の整備状況は、全国平均の46・1%の改良率に対して45・3%、それから、2車線道路の改良については全国平均の13・5%に対して12%とやや下回っており、舗装率は全国平均の67・7%に対して42・3%と大きく立ちおくれている状況にある。そういったことから、2車線道路の整備とともに、舗装を中心とした市町村道の整備が課題となっているということは十分認識しているところである。
 そこで、市町村道の整備であるが、市町村がみずから積極的に推進することが肝要であるが、財政事情といった問題があることから、大幅な整備促進は困難な状況にあるようである。そこで、国では幹線市町村道を国庫補助事業の対象として重点的に整備を進めることとしておるが、県としてもそれらの予算獲得に努めるとともに、単独事業、これについても積極的に実施するよう市町村を指導してまいりたいと考えておる。
 また、県の代行事業であるが、過疎地域等については、市町村にかわって県が事業実施する県代行事業を平成6年度は27市町村で実施してきておる。今後とも市町村を強力に支援して、市町村道整備の一層の促進に努めてまいりたいと考えているところである。

〇長谷川委員 次に、広域公園の整備についてお伺いをする。
 県においては、これまで地域住民の広域レクリエーション需要を充足することを目的に、花巻広域公園と御所湖広域公園の整備促進に努めてきているところである。しかしながら、県土の均衡ある発展の観点から、ぜひとも沿岸部にも立地整備すべきものと考えるが、いかがであろうか。目下の取り組みの現状についてお伺いする。

〇濱田副知事 広域公園であるが、これはまさに市町村の区域を超えて広く県民に利用していただくことを目的としておって、選択性、多様性に富んだレクリエーション拠点の機能を有するものであるが、現在、県では花巻広域公園と御所湖広域公園の整備を進めているところである。その整備率を申すと、平成5年度末で花巻広域公園が65・8%である。また、御所湖広域公園も44・5%と、そういった整備がまだ半ばの状況にあって、当面はこの2つの公園の整備が急務であると考えている状況にある。しかし、本県は広大な面積を有するわけで、利用者の誘致圏あるいはレクリエーション需要あるいは都市公園の均衡ある分布、こういったことを考慮すると、今後とも計画的な配置が必要であると考えているところである。したがって、現在、事業中の2公園の整備状況を踏まえながら、沿岸地域も視野に入れて、次の広域公園の調査検討のための利用者の動向、需要や地形等の基礎的な資料収集を行っているところである。

〇長谷川委員 次に、地方拠点都市についてお伺いをする。
 本県としては、県内2カ所目の地方拠点都市地域として、昨年9月、釜石や宮古市等を中心とする4市5町1村から成る三陸地方拠点都市地域を指定したことは御案内のとおりである。先日の本会議では、千葉浩議員の質問に対して当地域の発展方向が知事から示されたところであるので、私は、現段階における関係市町村の基本計画の策定状況と今後の予定及び当地域の振興についての県の基本的な考え方についてお尋ねをする。

〇濱田副知事 三陸地方拠点都市地域については、昨年9月の地域指定以降、同年10月、関係10市町村により設立された三陸地方拠点都市地域推進協議会において基本計画の策定作業が続けられてきたところである。今般、基本計画案がまとまって、正式承認申請に先立ち、去る2月3日に県に対して事前の協議があったところである。現在、県において、その内容が国の定めた基本方針等の承認の基準に合致しているかどうかなどについて所要の審査、検討を進めている段階である。今後の予定であるが、庁内の関係部局間あるいは地元関係市町村との調整、さらには、必要に応じて関係する国の機関との調整を経て、できる限り早い時期の承認を目指すこととしておる。
 また、本地域の一体的な振興整備の内容であるが、三陸縦貫自動車道の整備や三陸鉄道の機能強化などによって地域の一体化を促すとともに、各都市間の適切な機能分担、相互連携による広域的な都市機能の増進や、豊かさとゆとりを実感できる居住環境の向上を図っていくことが大事だと考えておる。また、陸・海運の結節機能を生かした物流拠点の形成、豊富な海洋資源、すぐれた自然景観等を生かした産業や観光・リゾートの振興を図るとともに、内陸部と結ぶ幹線道路の整備などにより、多様な交流、連携を促進しながら、広く沿岸地域の発展を牽引する地域として整備を図ってまいりたいと考えているところである。

〇長谷川委員 次に、海洋開発についてである。
 県におかれては、三陸沿岸域の一層の振興を図る観点から、当沿岸域の豊富な資源・エネルギー、広大な海上空間あるいは景観等を生かした海洋の開発及び利用に積極的に取り組むべく、岩手県海洋開発推進指針を策定し、各般にわたる施策を推進してこられたところである。この4月には、冷水性高級魚養殖技術研究所の研究実績を受け継ぎ、シロチョウザメやマツカワを事業展開する新会社が設立されることになったのもその1つの成果であると思う。
 そこでお伺いしたいのは、今後におけるところの具体的な施策の推進はどうなっているのかをお聞かせいただきたいと存ずる。

〇濱田副知事 本県においては、委員御案内のとおり、昭和63年3月に策定した海洋開発推進指針に基づいて、これまで海洋生物の生化学的研究を行う海洋バイオテクノロジー釜石研究所の立地、あるいは水産業を核とした沿岸、沖合域の総合開発を進める釜石地域マリノベーション構想、さらには、さんりく・リアス・リゾート構想や高田松原海岸コースタル・コミュニティー・ゾーン整備計画等の促進を図るなど、積極的に取り組んでまいったところである。特に、海域の総合利用技術の開発であるが、海洋科学技術センターと県との共同事業によって、平成元年度から3年度にかけて潜降浮上型の人工海底マリンあや1号を開発して、三陸町の内湾において魚介類の養殖実験を重ねてまいった結果、魚介類の生き残る率、生残率と申しておるが、それが高く、施設の耐久がすぐれているなどの成果を上げているところである。さらに、県では資源培養管理型漁業を展開するに当たって、魚介類養殖の沖合化が課題の1つと考えておることから、マリンあや1号の成果を踏まえて、新たに沖合海域の利用拡大を図る技術開発を行うために、今年度からは、全国初めてのことであるが、海洋科学技術センターとの2回目の地域共同研究開発事業の導入を図ったところである。今後においては、沖合の波浪に耐え得る構造物を開発し、大槌町の沖合海域において施設の耐久性や、あるいは生物の飼育試験等を行うこととしている。
 また、平成7年度においては、海洋空間の多目的利用を図るために、新たに宮古港においてマリーナ整備に着手しておるほか、海洋性リゾートの形成に資するために、陸前高田市においてオートキャンプ場の整備などを進めることとしておる。あわせて、つくり育てる漁業を推進するとともに、水産岩手を広く全国にアピールするため、平成9年に大槌漁港を会場に全国豊かな海づくり大会を開催することにし、その準備もまた進めておるところである。
 指針に掲げられた海洋エネルギー開発や海水、海底資源開発については、現在、国等において長期的な視点に立って、マンガン団塊の探査や精錬技術の開発、あるいは波力発電の実証試験等が行われているところで、県としては、引き続きこれらの技術開発の動向の把握に努めながら適切に対処したいと考えているところである。

〇長谷川委員 関連して、マリンタウンプロジェクトについてお伺いをする。
 近年は、豊かで潤いのあるウオーターフロントに対する国民の関心が高まってきておる。それに伴い、21世紀に向けて、物流、産業、生活に係る機能が調和した、高度な機能が発揮できる総合的な港湾空間の創造が要請されているところである。このような中にあって、沿岸地域をより一層飛躍発展させるためには、県内各港湾においてもそれぞれが有する特色を生かして、関連公共事業との連携を図りつつ、多種多様な施設整備を進めていく必要があると考えるわけである。かつて県が取り組んでこられた港湾施設を核とした海域と陸域の一体的な整備による海辺のまちづくり、マリンタウンプロジェクト調査などもその意味では極めて時宜を得たものと存ずる。
 そこでお伺いするけれども、マリンタウンプロジェクトフォローアップ調査の進捗状況と今後との取り組みについてお聞かせを願う。

〇濱田副知事 マリンタウンプロジェクトのフォローアップ調査であるが、昭和62年に国、県、市の3者が取りまとめたその調査を新たな視点から補完して釜石地域の発展に資するために今年度実施しているところであるが、昭和62年度のマリンタウンプロジェクト調査は、釜石地域の活性化を図り、よりよい地域社会づくりを展開していくことをねらいとして、官民協力のもとに、港湾施設を核とする生活基盤施設や地場産業振興のための産業基盤施設の整備の方向として取りまとめたものである。
 しかしながら、その後、釜石市においては、基幹産業の規模縮小、合理化等で、依然として地域経済が停滞していることから、地域振興策への要請は以前にも増して強くなっておること、また、三陸縦貫自動車道や東北横断自動車道の整備着工、さらに、海運においては全国的にモーダルシフトが推進されるなど、社会環境が大きく変化しておることから、今回、新たな港湾整備の方向について検討を加えることとしたところである。
 この調査においては、陸海一貫輸送が可能なコンテナ等のユニットロード貨物といったものや船舶の大型化への対応、あるいは高速交通網の整備に伴う物流の増大に対応できる埠頭の機能の拡充のほか、あわせて親水機能にも配慮した快適なウォーターフロントの形成等、地域振興につながる新たな港湾整備の展開を目指して検討を進めており、今年度末には、その成果を取りまとめることとしているところである。
 今後の21世紀に向けて、港湾を核とした釜石地域の活性化を図ってまいるため、地元関係者と協議を進めながら、この成果を港湾計画に反映させて、その実現に取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇長谷川委員 次に、テクノスーパーライナーについてお伺いをする。
 テクノスーパーライナーの研究開発については、造船技術の高度化や海上輸送の効率化を図る目的で、平成元年度来、大手の造船7社が技術組合というものを結成して取り組んできておるが、その目標は、速力が50ノット以上、従来の船舶のスピードの2倍以上である。貨物積載量が1、000トン、航続距離が500海里、荒れた海でも航行が可能ということで、90年代の後半の実用化を目指して、目下、その基礎的な技術の確立を図るべく推進していると聞いておる。
 これが実用化されると、物流に多大なる影響を与えると言われておる。地域振興上、多くのメリットが見込まれるけれども、本県の港湾の物流拠点性の機能アップを図っていくために、本県の港湾を寄港地とするということへのいち早い取り組みも必要であると存ずる。すなわち、その実用化に向けてアクションプログラムをつくり、積極的に対応していくべきものと考えるけれども、いかがか、御所見を賜る。

〇濱田副知事 テクノスーパーライナーの誘致には、大量で、しかも高速輸送に適合した貨物の存在が前提となるわけであり、港湾貨物量が十分とは言えない本県の現状においては、まずは港湾貨物の増加を図ることが重要であると考えておる。また、将来のテクノスーパーライナーの全国ネットワーク整備に対応した情報の収集に努めることも、また同時に重要な課題だと考えているところである。
 そこで、県としては、定期航路開設等による港湾貨物の需要拡大に努めるとともに、運輸省東北運輸局が主催しておる東東北港湾ネットワーク調査検討委員会への参画や、テクノスーパーライナーに関する唯一の全国組織であるTSL実用化促進情報センターへの加入、あるいは講演会の開催などを行っているところであるが、今後とも、国等の動向を注視しながら、テクノスーパーライナーに関する幅広い情報収集、あるいは地元、関係機関との連携による積極的なポートセースルに取り組むことなどにより、適切な対応を行ってまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 港湾貨物需要であるけれども、鶏が先か、卵が先かという問題があり、私は、ぜひテクノスーパーライナーを岩手県に寄港させるという意思決定が先のような気がする。それがないと、港湾貨物の需要を増加させるということはなかなか難しいような気がするので、もっと積極的な取り組みをお願いしたいと思うわけである。
 次に、行政改革に関連して伺う。さっきの佐藤正春委員の質問にも関連するわけであるが、最初に規制緩和の問題である。
 目下、国においては、内需の拡大や輸入の促進を図り、国民生活の質の向上を目指し、新規需要の創出、あるいは消費者の選択機会の拡大、内外価格差の縮小を期する観点から、各般の分野において規制緩和の促進を図らんとしておる。これは、地方団体の側においても重要であろうと考えるものである。地方団体においても、国とは違った各種の規制があり、地方独自の許可、認可が条例等によって行われているわけである。
 県としても、今後における行政を効率的に、しかも県民サービスを一層充実する観点から、積極的に見直していくべきものと考える。
 そこで、お伺いするが、県としては、このことについてどう考えているのか。また、今後の取り組みについてもあわせてお聞かせをいただきたいと思う。

〇上田総務部長 規制緩和の点について、県としても、国に準じて、例えば経済的規制は、原則自由・例外規制を基本とする、あるいは社会的規制についても、本来の政策目的に照らして必要最小限のものとする、こういう方向で検討を進めてまいりたいと考えておる。
 ただ、現実問題として、県独自で許認可等の件数が少ないということは、先刻若干御説明したような事態にあるが、県としては、県独自のものが少ないので余りやることがないというわけではなくて、国の機関委任事務であっても、これは今後の地方分権の中で見直しがあるいはあるかもしれないが、この見直しいかんにかかわらず、それらの手続を、県の中であれば、できるだけ権限を下部委譲する、あるいは申請手続を簡素化する、あるいはOA化によって事務手続を効率化するなどによって、実質的な県民負担の軽減に鋭意努めてまいりたいと考えているところである。

〇長谷川委員 次に、県出資法人についてお伺いをする。
 県出資法人は、3県総やその部門別計画の実施主体として、それぞれが設立の趣旨を踏まえながら、住民福祉の向上のため、まずは順調に各種施策を推進してきているところだと存じておる。しかし、県出資法人の数は、議会報告の義務のない法人も含め、平成6年度においては127法人、これを10年前の昭和59年度と比較するならば、当時は78法人であったから、実に49法人、約63%も増加しているわけである。新たなニーズに対応して出資するケースがほとんどかと存ずるが、県が定めた行政改革大綱においては、出資法人等の整理統合については、社会経済情勢の変化、県政推進上の役割等を勘案しながら逐次推進するとともに、指導監査体制の整備を図るとある。
 時代の趨勢とともに、その役割が変化したものも多々あろうかと考えられるし、場合によっては出資を引き上げるとか、あるいはまた類似目的のものについては、可能な限り整理統合を図るとかが必要ではないかと思う。県御当局の所見と今後の取り組みについてお聞かせを願う。

〇上田総務部長 県出資法人のあり方についてであるが、我々は、新しく出資を行うという場合には、庁内に出資等適正化調査委員会という機関を設けて、その出資について慎重に検討を行って対処してきているところであるけれども、高齢化、国際化などの社会情勢の変化に対応するために、民間の活力をも生かしながら、住民福祉の向上を図るための手段として、県出資法人という形態が必要とされる場合も、実際問題として、かなりある。その結果として、御指摘のような法人の増加ということになっているわけである。
 しかしながら、我々は、新しい事態に対処することは必要不可欠であると思うけれども、従来あるものについて、これを漫然とそのまま存続させるということがないように整理合理化に努めていく必要があると考えており、これまでの行政改革の対応の中では、昭和59年6月の県の行政改革推進本部の決定に基づいて、出資法人の整理縮小、指導監督の強化、あるいは県職員の役員就任の縮減、こういう3つの方針で推進をしてきたところである。
 推進状況を、個々の項目ごとに若干の事例を挙げて申し上げると、例えば整理縮小については、財団法人岩手県民会館等の教育文化関係の類似法人の統合、このときに文化振興事業団をつくったりしたわけであるが、こういった統合による運営体制の合理化、あるいは岩手開発鉄道株式会社の旅客部門の廃止に伴う出資の引き上げ、こういった実績があるところである。
 また、指導監督の強化については、平成元年3月に、県出資等法人指導監督事務要綱というものを制定して、指導基準の明確化など、これら法人に対する指導体制の整備、充実を図ってきておる。また、県職員の役員就任については、昭和58年度末以降、計画に基づいて、延べ97人の役員の縮減を図ってきているところである。
 今後においても、県出資法人の県政推進上の役割というものを考えると、必要な仕事をしていただく必要があると思うけれども、行政全体の減量化、あるいは官民の事業分野の調整という観点から、引き続き、その存在意義が十分達成されたと認められる法人に対しては、出資の引き上げ、あるいは役員の縮減、あるいは運営体制の合理化、こういったものについて鋭意取り組んでまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 岩手県商工業振興計画であるけれども、この計画は、一応、前期計画が平成7年度ということになっておるわけであるけれども、この計画の現在までの進捗状況についてお聞かせをいただきたいと思う。

〇濱田副知事 現在の進捗状況であるが、前期実施計画の重点事業は、22事業、1、125億円余の計画に対して、平成6年度末の見込みで、20事業に着手し、955億円余の事業規模に達しておる。また、事業の着手率では90・9%、事業費の進捗率で84・9%の進捗状況となっており、おおむね順調に推移しているものと考えているところである。

〇長谷川委員 さて、策定以降の本県商工業を取り巻く社会経済情勢の変化、すなわち経済のゼロ成長、大店法にかかわる規制緩和や価格破壊、円高を背景とした産業の空洞化等の新しい流れに伴い、本県商工業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあり、県としても、これらの変化に対して適切に対応していくべき道筋を示すべき時期にあると考えられる。
 そこで、お伺いするけれども、今般のこれらの流れについての現状認識をお示しいただき、また、21世紀を展望したときの当該振興計画の見直しの方向についてお聞かせをいただきたいと存ずる。

〇濱田副知事 確かに、委員御指摘のように、その後の変化がある。例えば、国際化や高齢化に伴う経済社会の変貌には著しいものがあるし、産業面では、金融の自由化、技術革新や高度情報化の流れ、あるいは円高等による企業の海外進出に伴う産業空洞化への懸念、規制緩和に伴う価格破壊など新しい潮流も見られてきておるわけであり、本県経済を取り巻く環境は急激な変化をしておると考えているところである。中小企業にとって、新たな対応は当然のことながら求められてきておると考えておる。
 そこで、工業については、新しい潮流を的確にとらえられるようなたくましい企業家精神にあふれる人材の育成、あるいは企業の誘致と地場産業の育成を柱とした工業振興策に加えての地域における独創的な研究開発の推進や、技術力と研究開発能力を持った企業の育成・集積が必要であると考えているところである。
 また、中小の小売業については、多様化する消費者ニーズや規制緩和による大型店の進出などの新しい経営環境に対応できるように、経営力の育成や経営基盤の強化を図ることなどにより近代化を促進するとともに、地域の活性化、望ましい商業環境の醸成、ひいては生活者の視点に立ったまちづくりへの支援が必要であると考えておる。
 このような経済社会情勢の変化に的確に対応するとともに、前期実施計画の成果を踏まえながら、商工業振興計画の総合的な見直しを実施して、来るべき21世紀を展望した後期実施計画を策定してまいりたいと考えておるところである。

〇長谷川委員 次に、地域福祉基金についてお伺いをする。
 御案内のとおり、高齢化社会に備えて地域福祉基金というものが平成3年度に創設された。平成3年度、4年度、5年度にわたり積み立てを累積してきたものであるが、来るべき高齢化社会において、急に実施するというのでは無理があるから、今からそれを見越して、かかる財政措置を行うということは、極めて適切な措置であったと考える。
 そこで、お伺いするけれども、積み立ての状況及びその活用の事例、さらにはこれまでの基金の評価についてお聞かせをいただく。

〇高橋副知事 地域福祉基金は、現在、長寿振興財団において積み立てた額は総体で28億円である。同財団では、この基金の果実を用いて、民間団体が行うボランティア活動、健康・生きがいづくり活動、在宅福祉の向上等に対する助成を行っており、平成6年度では、合計33事業に6、000万円の助成を行っておる。
 なお、ちなみに平成3年度からこれまでの4年間で延べ112事業、約2億5、000万円の助成が行われておる。これらにより、地域の特性や民間の創意工夫を生かした各種民間団体の活動が活発に展開されてきており、基金の趣旨に沿った活用が図られていると認識をしている。今後も、そういった活動が一層促進されるように対応してまいりたい、そのような指導を財団にしてまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 長寿振興財団は28億円であるが、ほかに県社協が管理するものが5億円あり、33億円と理解をしておるわけである。地域福祉基金は、当初、厚生省において高齢者等の福祉ということになっており、その等の考え方が非常にあいまいであったわけである。厚生省の認識では、障害者等も含めた基金活用ということを目指してきておるわけであるけれども、長寿振興財団は、高齢者だけに限定しようという動きがあるようであり、若干不満であるので、副知事の方から振興財団の方に、こういう質問があったということをお伝えをいただきたいと思う。
 次に、地域防災対策についてお伺いするけれども、質問をする前に、阪神大震災の被災者の方々にお見舞いをするとともに、一刻も早い復興を願っておるところである。
 当該対策において活躍されているのは消防団員の方々であり、言うならば、この方々は別に職業を有しており、一たん緩急あるときは消防活動に従事するという大変な仕事であると考えておる。
 近年、消防団員数は減少傾向が続いていると聞いておるが、団員確保のためどう対応されているのか、これらの方々に対する教育訓練はどうされているのか、また、いかなる処遇をされているのか、お伺いをする。
 非常に献身的に地域の防災のために努力されているわけであるから、特に大事にすべきではないかと考えるけれども、いかがか、御所見を賜りたいと存ずる。

〇上田総務部長 御案内のとおり、消防団員は、時系列で見ると漸減の傾向にあるところである。そこで、県・市町村としては、この消防団員の確保対策として、1つには、消防団員が、給与所得者いわゆるサラリーマン化と言っておるが、サラリーマン化が進んでおることから、市町村からそういう事業体に対して、勤務者である団員が災害出動あるいは演習等に出る場合に、いろいろな面で配慮してもらいたい、人事管理面でも配慮してもらいたい、そういった働きかけを行っておる。
 第2に、やはりサラリーマン化の関係で、男性の消防団員の昼間の活動力というのは、自営の方とはちょっと対応が違う。したがって、近年では、平成4年からであるが、女性の消防団員の任用ということも行ってきているところである。
 第3に、意見としては、こういった事業所等に勤務する消防団員の消防活動へ参加できる環境の整備、あるいは青年層の新規加入促進のために、商工団体あるいは農協等に協力を要請している状況にある。
 次に、教育訓練であるが、第1に、消防学校において、基礎的な教育訓練を行う普通教育と、警防教育等のいわゆる専科教育及び幹部教育を実施しており、これは毎年160人程度の受講である。
 もう1つ、県では、県消防協会に委託しておるけれども、火災防御とかポンプ操法など消防団員の教育訓練を実施しており、この教育訓練では、毎年、消防団員の半数以上の方々が受講されているという状況にある。
 処遇の問題であるが、当然のことながら、市町村の条例に基づいて、報酬、出動手当を支給しておるし、また、公務災害補償制度としては、各市町村の加入している消防団員等公務災害補償等共済基金から、退職報奨金、療養補償、休業補償等が支払われる仕組みになっておるが、特にも、非常に御苦労なさった方々に対して、やはりその功績を顕彰する制度は大切だと存じておる。こういった観点から、国においても、消防庁長官表彰という制度を設けており、5年度の実績で申すと、本県内で85名の方が消防庁長官表彰を受けている。それから、県としても岩手県知事表彰を行っており、同じく5年度の実績では176名の方が功績賞を受けられておる。こういった顕彰制度も十分充実させて、苦労なさっている方々の処遇に間違いのないように努力してまいりたいと存じておる。

〇長谷川委員 次に、いわてリハビリテーションセンターの運営状況についてお伺いをする。
 当センターは、平成5年10月に開業したところであるが、本県リハビリ医療の中核施設として、リハビリ医療のより一層の充実と活発化に大きい期待が寄せられておる。
 7年度予算を見るときに、県管理運営費補助金2億2、650万円余が計上されているわけであるが、実際の収支状況はどうであるのか。本来は、公営企業として原則的には当該経費については医業収益をもって賄う必要がある性格のものである。多額の補助金に依存して運営するというのは、本来の姿ではないのではないかと考えられるが、いかがか。
 また、当センターは、地域のリハビリ活動推進を支援する観点から、県内各地の医療機関との有機的な連携のもとに運営されると伺っておるが、その実態はいかがか、あわせてお伺いをする。

〇高橋副知事 いわてリハビリテーションセンター、リハビリセンターと通称言っておるが、平成7年度の収支として見積もると、医業収益等が6億9、050万円に対して、医業費用等は9億1、700万円余で、2億2、000万円余の欠損を見込んでおる。つまり、医業収益でもって医業費用を相償うことはできないという実態である。本来から申すと、委員も仰せられたように、少なくとも医業収支だけはとんとんでいってもらいたいという気持ちがあるわけであり、県病の経営についても私どももそのように考えておるが、実際にはなかなかそうはまいらない。特に、リハビリセンターの場合には、診療報酬の面で採算のとりにくい点がある。もう1つは、拠点施設であるので、教育研究や地域リハビリ活動の支援など収入を伴わない事業も展開をしているわけである。そういった面から、この欠損がやむを得ず出てまいるという状況にある。しかしながら、健全な運営の努力が必要であるので、例えば入院の比率であるとか、経営努力によってカバーしてまいらなければならない面については、私どもとしても子細にこれに目をつけて、その健全経営の努力を要請してまいりたいと思っておる。
 ちなみに、ちょっと申し上げると、これは概算であるけれども、県立病院全体の1日当たりの入院の診療報酬の収入と、1人当たり5、000円ぐらい違う。つまり、リハビリ関係は、全体として収入が県病の場合よりもなお低いという実態にある。したがって、そういった面で構造的に難しい面があるけれども、それはそれとして、やはり入院比率をもっと高めるという形で努力する面もあると思うので、そういった面はきちんと見て、そして経営の健全化の指導をしていきたいと思っておる。
 それから、地域リハビリの支援活動の実態であるけれども、平成7年度は、20市町村に44回の派遣の計画をしておる。また、医療機関との連携関係では、これは実績であるけれども、これまで、県下49の医療機関からの患者の受け入れを行っており、拠点施設としての機能を順調に果たしつつあると認識をしておる。

〇長谷川委員 当センターの計画には私も委員として若干かかわってきたわけである。当センターの今の内容を見ると、脳血管疾患が主であり、本来は障害者あるいは高齢というと、脳血管疾患だけではちょっと片手落ちだ。いろいろな障害に対応したリハビリが必要だと、実は私は思っておるわけである。したがって、まだまだリハセンターの内容を充実していかなければならない。例えば、計画のときに出たのは、福祉工学的なものをぜひやっていただきたい。今は科学技術が大変発展しており、もろもろの障害を科学技術によって緩和するということもできるわけであり、これは1つの病院ではなかなかできぬわけであるから、県あるいは国の御援助が大変必要になる分野であるわけである。脳血管疾患そのものは障害者の60%ぐらいであるから、それに特化するということに対しては異論はないわけであるけれども、まだまだより多くの障害者がいるということを念頭に置いて、リハセンターの充実に努めていただきたいと思う。
 水道水の安全確保についてお伺いする。
 水道の水質基準については、平成5年の12月から、新しい国の改正基準、すなわち26項目から46項目にふやされたのは御案内のとおりである。おいしい水に着目して水質監視に万全を期するということであったが、監視側の自治体における監視体制に、その機能があるのか否かがポイントとなる。
 監視項目の増大に伴い、低濃度レベルの分析のウエートが高まり、高度の分析機械の操作技術に習熟した職員の確保や、分析精度の管理の重要性が一層求められるものと考える。
 そこで、まずお伺いするが、検査の人的・物的体制の現状はいかがか、お聞かせをいただきたいと思う。

〇高橋副知事 現状を申し上げると、衛生研究所、15保健所、厚生大臣の指定検査機関及び2カ所の共同検査施設で約50名の検査員により、県内の270カ所の上水道等と約140カ所の学校・事業所等水道の水質検査を行っているのが現状である。

〇長谷川委員 最後になるけれども、とりわけ問題となるのは鉛の問題であるわけである。WHOの基準では、1リットル当たり0・01ミリグラムなのが、日本では同じく0・05ミリグラムと甘いわけである。鉛の害は、低い濃度であっても、乳幼児に精神発達のおくれを起こすということが指摘されておる。
 そこで、これら有害な鉛管のような水道管の取りかえが急務となっているわけである。本県におけるこれら有害な水道管の布設状況はどうか、また、安全な水道管への変換等、今後の取り組みの方針についてもお伺いをする。

〇高橋副知事 鉛管の使用状況であるが、本県の水道の場合、配水管、いわゆる本管で使用している実態はない。しかしながら、配水管から各戸に入る、分岐した給水管と言っておるが、その一部に使用されているものがある。ただ、これらについて水質検査をした結果では、基準を超えたものは、平成6年度上半期の結果であるけれども、ない。なお、今後はどうかと申すと、新設の給水管については鉛管は使用されておらない。したがって、今後は、逐次これは減っていく状況にあるし、今度ともこれを、例えばどういうものに変えるかと申すと、ポリエチレン管等が最も適当だと考えておるが、こういったものに布設がえ化を行うように、市町村を通じて指導してまいりたいと思っておる。
 それから、お許しをいただいて、先ほどのものにちょっとつけ加えさせていただきたいが、検査体制について現状のみ申し上げたが、今後、水質基準が強化されておる。委員仰せのとおりである。したがって、これについて対応していくために、共同検査体制が、現在は中部、両磐の2カ所だけであるが、今後、7年、8年で盛岡、宮古、さらに広域水道の計画がある胆沢、県北等々について整備の方針を定め、この検査体制もあわせて充実していくように、整備計画としては考えておる。

〇長谷川委員 私の総括質疑は終わらせていただくけれども、ただいままでの答弁を聞いており、より積極的に施策の推進をお願いしなければ、県土の均衡ある発展、あるいは全国との格差の是正というものはならないような気がしてならないわけである。岩手発という形で国の方に、岩手の特性を生かしたもろもろのプロジェクトを持ち出して、それを実現できるような行政体制をつくっていただきたいということをお願いして、私の総括質疑を終わる。

〇阿部委員 日本社会党・県民共同の阿部富雄である。
 今期最後の議会を迎えたが、これまでの執行部の皆さん、議員各位の御指導、御支援に心から感謝申し上げる。4年間の県議会の中で広く社会を見渡すことができたし、経済が大きく変化することも感じることができた。時の流れがいかに早いものであるかも痛感させられ、毎日が勉強で、触れ合うものすべてが新鮮なものとして目に移った。私たちの置かれている状況を正しく受けとめ、今、何をなすべきか、進むべき道は何であるのか理解できつつある昨今である。持てる力を出し切って、県勢の発展、住民福祉の向上に取り組んでいく決意である。
 以下、具体について総括的にお伺いする。
 平成5年、第128回臨時国会において行政手続法が成立し、同年11月12日に公布された。我が国の行政手続は、これまで個別の法律の定めるところに任されていた。そのため、制度としての不備、不統一が目立ち、我が国の法制の中で整備のおくれが指摘されてきた。
 また、行政の運営においても行政指導が多用され、許認可等の申請に対する審査の基準が明確になっていないなど、行政が不透明なものとなっているとの批判があり、公正、透明な行政運営の確保を求める声が高まっていた。
 行政手続法は、これら要請にこたえるため、許認可等の申請に対する処分の手続、営業免許の停止や取り消しといった不利益処分の手続、行政指導等の手続の3つの柱からなっている。行政手続法は、原則として地方公共団体が行う処分などにも適用されるが、地方自治の尊重の観点から、各地方公共団体が独自に策定した条例などを根拠とする処分や、すべての行政指導については適用除外とされている。しかし、行政手続法の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされている。
 本県においては、行政手続法の適用のない処分などについて対応する必要があると考えるが、いかがか。また、不服の申し出制度などの救済制度を設けるなど、県の特色を出すべきと思うが、対応についてお伺いする。

〇上田総務部長 行政手続に関して、県では、本年度の行政改革推進方針において、行政手続法の制定に伴う処分等の手続に関し必要な措置を講ずるという旨を定めて、具体的には、主として機関委任事務だったと思うが、許認可の審査基準の明確化、これは各許認可等を行う部署に、国の通達等に基づいて、その審査基準を整理したものを設置することとしておる。これはもう既に昨年から整備をしておる。そういったことに積極的に取り組んでいるところである。
 ただ、御指摘のとおり、条例等を根拠とする処分とか行政指導については、国法の適用対象外ということになっておるわけであるが、法律の規定でも、地方団体において所要の措置を講ずるように求められておるし、また、昨年10月7日の自治省の通知においても、行政手続の面から明確化が求められておる。
 こういう状況を踏まえて、今後、県としては、行政改革を進める中で望ましい行政手続のあり方を求めることが重要であるという認識のもとに、行政サービスの向上や事務処理の効率化などの観点から総合的に検討し、適切に対処してまいりたいと考えておる。

〇阿部委員 次に移る。
 国土審議会の4全総の総合的点検部会報告において、国土構造の形成に関する新しいビジョンを実現するための重要な手段として、国土軸に加え、新たな地域連携軸について調査検討が進められている。既に産業経済活動や生活文化の面での連携強化、人的・物的交流の促進のための地域連携軸事例調査が、全国10地域の1つとして本県と秋田県にまたがる地域が指定され、国土庁と共同で調査を実施することとなり、その成果が期待されているところである。
 こうした地域連携軸については、国の施策に限らず、いろいろな形で隣接した地域や非常に近い地域間をうまい関係をつくって結べないかという考え方が示されたり、構想されている。財団法人三陸地域総合研究センター理事長の高橋清氏は、三陸の地域振興にとって、陸・海・空の縦軸連合の必要性を説いている。
 私は、県境地域、両磐地域の振興は、西磐井と東磐井、東磐井と宮城県北、西磐井と宮城県北のいわゆるトライアングル連携軸が不可欠と考えておる。1つの固定した圏域として垣根をつくったような範囲だけで対応することなく、県内相互の地域連携軸、隣接県相互の連携軸など重層的な地域連携軸について調査検討をし、地域振興を図るべきと考えるが、地域連携軸形成に対する対応をお伺いする。

〇高橋副知事 地域連携軸の考え方が、委員のおっしゃるようなことで、現在、国の指導のもとに取り進められていることは、そのとおりである。地域相互の連携については、委員もお話のとおり、さまざまなパターンがあろうかと思っておる。既に当県で取り組んできておるM・A・I栗駒ほっとプランとか、あるいは北上・横手地域の平和街道サミットの開催、北東北3県の広域観光キャンペーンの展開など、既にある程度事業としても滑り出しているものがあるわけである。したがって、新しい形のスポットは当たっておるけれども、従来から事業展開しているものの展開とか、これから新たに考えられるものとか、地域もいろいろなくくり方があると思う。こういった面から、国の勉強の仕方等を兼ね合わせて、私ども自体も、地域連携軸をさまざまなパターン、そしてまたさまざまな地域に適用することの可能性等、そういったものについて積極的に勉強してまいりたいと思っておる。

〇阿部委員 この地域連携軸については、これからの地域振興、活性化の大きな決め手になるものと理解をしておるので、ぜひ、積極的な対応をお願い申し上げたいと思う。
 次に、財政問題について通告をしておるが、時間の関係で、後に時間があった段階で触れさせていただくということで、次に触れさせていただく。
 現行ゴールドプランを全面的に見直した新ゴールドプランが、昨年12月に、大蔵、厚生、自治合意に基づき決定され、95年度からスタートすることとなっている。新ゴールドプランは、全国から積み上げた老人保健福祉計画を基礎にして策定されており、整備目標の引き上げとして、ホームヘルパー10万人を17万人、ショートステイ5万人分を6万人分、デイサービス1万カ所を1万7、000カ所など整備するとしている。
 新ゴールドプランは、本県が策定している高齢者保健福祉計画に盛られていない新たな目標が設定されている。ホームヘルパーステーション、在宅訪問看護ステーション、寮母、介護職員、看護職員、OT、PTの設置や確保を行うとしている。質的にも24時間対応型ヘルパー体制など、既に作成された自治体計画に積み増す必要が出ている。こうした状況を踏まえ、高齢者保健福祉計画の見直しについての対応はどう行うのか、お伺いする。

〇高橋副知事 新ゴールドプランへの対応についてであるが、これもお話があったけれども、この計画は、いわば地方の計画を集計した結果の修正であり、したがって、本県の策定した計画の水準も、言うならば包摂されているわけであり、そういう面では、今直ちに見直す必要はないのではないかと思っておる。
 委員がお触れになった、例えばホームヘルパーステーションの整備や24時間対応ヘルパーなどについては、ぴしゃりそのとおりの表現ではないが、考え方としては、課題として県の計画にも書き込まれているわけであり、計画の運用の中で十分に対応が可能であると思っておる。したがって、そういった運用の中での対応等も含めて、新ゴールドプランへの対応を、全体として遺憾のないようにしてしてまいりたいと思っておる。
 なお、新ゴールドプランにおいては、具体的になっていない介護サービスの量的拡大にあわせて、介護対策の基本的な枠組みや新しい方向性も出ており、こういったものは今後具体化されてくると思うので、これらについては、まさに迅速かつ柔軟に対応して、本県としてもしっかりやってまいりたいと思っておる。

〇阿部委員 既に本県の高齢者保健福祉計画については、新ゴールドプランを先取りしたような形で策定してあるというお話であるので、ぜひ、これは今度、施策の中に明確に生かしていただくという形での取り組みをお願い申し上げたいと思う。
 次に移る。
 少子化の一層の進行や女性の社会進出など、子供を取り巻く環境の変化に対応するため、今後10年間における子育て支援のための基本的方向と重点施策を盛り込んだ、文部、厚生、労働、建設の4大臣合意による今後の子育て支援のための施策の基本方向について、いわゆるエンゼルプランが昨年12月に策定された。この施策の具体化の一環として、大蔵、厚生、自治の3大臣合意により、平成11年までの目標を定めた当面の緊急保育対策などを推進するための基本的考え方、緊急保育対策5カ年事業を策定した。その整備目標等は、低年齢児(ゼロから2歳児)保育を平成6年度予算45万人を、平成11年度60万人、延長保育所は2、230カ所を7、000カ所、一時的保育450カ所を3、000カ所、乳幼児健康支援デイサービス事業所30カ所を500カ所、放課後児童クラブ4、520カ所を9、000カ所、地域子育て支援センター236カ所を3、000カ所、多機能保育所の整備、5カ年で1、500カ所とあわせ、乳児保育、延長保育など多用な保育サービスを提供するための保育所の人的な充実を図るとしている。平成7年度では、低年齢保育促進事業の創設800カ所、産休、産休明け入所予約モデル事業の創設1、400カ所、開所時間延長促進事業の創設3、763カ所としているし、緊急保育対策等5カ年事業の施策を推進することとしている。
 本県では、こうした5カ年事業の施策について、平成7年度はどの程度推進するのか、お伺いする。また、平成7年度から5カ年の目標をどのように定め、保育対策を実施するのか、お伺いする。

〇高橋副知事 全体的に申し上げると、国の緊急保育対策等5カ年事業を受けた平成6年度の国の予算に対応する事業については、今後、実施主体である市町村に対して積極的な取り組みを指導することにより、できるだけ実施するようにしてまいりたいと思っておる。
 県が直接関係する部分について申し上げると、平成7年度の当初予算において、乳児保育については、平成6年度の86カ所を109カ所に見込んで措置をしている。いずれ、前段申し上げたような方向で市町村を指導してまいりたいと思っておる。
 なお、今後の問題であるが、国においては、緊急保育対策等5カ年事業を地方で計画的、総合的に実施するためのガイドラインの策定をすると聞いておるので、これを見た上で、市町村のニーズを把握しながら、来年度に予定される3県総の後期計画等の中で県の対応を明らかにし、計画的な実施を図るようにしてまいりたいと考えておる。

〇阿部委員 いずれ、市町村が取り組む中身を支援するということであるが、積極的に市町村がこうした事業を取り入れれるように県の方としても強力な指導をしないと、財政を伴うものもあり、なかなか取り入れが難しいと思うので、強力な指導をお願い申し上げたいと思う。
 次に、障害者基本法が平成5年に改正され、都道府県は障害者の状況などを踏まえ、障害者のための施策に関する基本的な計画を策定するよう努めなければならないとされているし、市町村も策定するよう努めなければならないとしている。二、三の市町村においては模索しながら作業を進めているようであるが、検討中というところがほとんどのようである。国では、市町村が策定する際のガイドラインを検討中と聞いているし、県としても、これを受け、そしゃくし、市町村が取り組みやすいように示すとしている。市町村計画の策定はいつごろまでで指導を行うとするのか、お伺いする。
 策定に当たっては、行政の考えだけでなく、専門家や従事者など広く意見を求めるため、地方障害者施策推進協議会を設置させることも必要と思う。県・市町村の役割分担、広域的施策、介護体制の充実、サイドヘルパー、障害児養育体制の充実、社会復帰体制の充実、就労、授産施設の質的充実など障害者の自立と、社会、経済、文化などあらゆる分野の活動への参加を促進すべきであるが、対応についてお伺いする。

〇高橋副知事 市町村障害者計画についてであるが、現在、国においてガイトラインを作成中である。これは、7年度の前半にはできると聞いておる。したがって、でき次第、これを参考と申すか、指針として、速やかに作成するように、市町村に対して指導してまいりたいと考えておる。
 現在、もう既に計画策定に手をかけているものが3市町村ほどあるし、これを待って直ちに手をつけたいと予定をしているものが41、その他が15となっており、かなり市町村の方も取り組む姿勢を示しておる。したがって、いつまでということはちょっと確認できないが、速やかに取り組んでもらえるものと思っておるし、そのような指導をしてまいりたいと思っておる。
 なお、市町村の計画策定に当たっては、障害者施策推進協議会を設置して、学識経験者あるいは福祉事業従事者等の意見を反映するように指導してまいりたいと考えておる。
 それから、あらゆる分野への障害者の参加促進についてであるけれども、県の新障害者福祉行動計画及び新たに策定される、ただいま申し上げた市町村の障害者計画に基づいて、関係団体等と十分な連携をとりながら、委員も仰せられた、あらゆる分野への施策を総合的に進めて、障害者の社会経済活動への参加の促進に積極的に努力をしてまいりたいと考えておる。

〇阿部委員 次に移らせていただく。
 すべての人々が1人の人間として尊重され、ひとしく社会参加の機会を持つことにより、自己実現を果たせる社会の構築こそ人類の願いであり、我々に課せられた重大な責務である。そのため、障害者や高齢者が安全で円滑に行動でき、社会に参加できる条件づくりが急務である。ひとにやさしいまちづくり懇談会は、公共施設などの整備やノーマライゼーションの県民意識の高揚など地域性を加味した最終提言を知事に提出したと報じられている。これを具体化するため、国が定めた高齢者、身障者等が円滑に利用できる特定建築物の建築促進法や、生活福祉空間づくり大綱などを踏まえ、条例制定が検討されるものと思う。
 この場合、県の障害者や障害者団体など、障害者自身の声がまちづくりにどのように反映されていくのか、さらに実効あるものにするには、民間事業者の理解と積極的な対応が必要であり、民間への支援、誘導施策などきめ細かな対応が必要である。人に優しいまちづくりをどう進めていくのか、お伺いする。

〇高橋副知事 ひとにやさしいまちづくり懇話会から提言をちょうだいして、今、その具体化に取り組んでいる段階であるが、この懇話会自体にも、高齢者や障害者団体の関係者に参加をしていただいて、十分御意見をちょうだいしておる。さらに、その提言の中には、この具体化の過程でも、高齢者や障害者の意見を十分反映させるようにという提言もいただいておるので、これも、そのとおり受けとめて対応してまいりたいと考えておる。
 今後、民間への支援・誘導等も非常に重要であるので、まず、県民の理解と協力を得るための各種啓発等の広報を積極的にしてまいりたい。さらに民間の支援活動等を引き出すための低利融資制度の創設やモデル地区の整備などを通じて、民間の事業者が自主的に1つの整備が行えるような積極的な支援・誘導策の推進について提言をちょうだいしておるので、これらを十分踏まえて、3月中に県の基本方針を定めたいと思っておる。この中で、条例化など計画の実効性が図られるように、ハード、ソフト各般にわたる人に優しいまちづくり施策を積極的に推進してまいりたいと考えておる。

〇戸羽委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩する。
   午後2時58分 休 憩
   午後3時15分 再 開

〇戸羽委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 質疑を続行する。

〇阿部委員 オゾン層の破壊は、人工的な科学物質であるフロンガスが大きな要因である。フロンは、冷媒や先端産業の部品洗浄用など広く使用されているが、有害な紫外線を吸収して地球上の生物を守っているオゾン層を破壊してしまうため、皮膚がんが増加するなどの生態系への悪影響が心配されている。長年の観測から、南極上空を中心にオゾン層の濃度が薄くなり、年々拡大していることがわかって世界中に衝撃を与えている。特定フロンは1995年末までに全廃が見込まれているが、既に使用されたフロンは今後100年間もの間大気中に漂ってオゾン層を破壊し続けると言われている。このため、代替技術の円滑な導入による脱フロンや回収装置の設置促進などが求められている。県においても、平成6年度事業としてフロンを回収するため、市町村等が回収機を整備する場合に、その経費に対し補助を行っている。廃家電製品からのフロン回収設備の整備はどのようになっているのか、また、どの程度回収されているのかお伺いする。
 フロンの破壊方法についてはいまだ試験段階であり、技術的に確立されていないことから、回収したフロンについては市町村等で保管していると聞いている。早期処分が求められるところであるが、県はどのようにお考えなのかお伺いする。

〇高橋副知事 フロン回収設備の整備の状況についてまず申し上げると、県の補助によって、現段階では回収機23台、ボンベ80本、収容可能重量にして約1、200キログラムの能力となっておる。既に回収を始めている16市町村で回収したフロンの量は約77キログラムである。残り43市町村も年度内にこの体制整備をして、逐次回収を始める予定になっておる。その促進を図ってまいりたいと考えておる。
 それから、回収後の処理方策であるが、国の工業技術院・国立環境研究所等々において処理方策の検討がまさに研究開発中で、情報によると、かなりいい線まできていると聞いておる。いずれ、これは技術的に国でやっていただかなければいけないので、その早急な確立について国に要望しているところである。その処理方策が確立するまでは、これはやむを得ないので、市町村にきちんと保管しておいていただかなければならない、そういうふうに思っておる。今後とも早期回収、最終的な処理方策の確立について要望してまいりたいと考えている。

〇阿部委員 保管の方法であるけれども、市町村等が保管するということであるが、かつて電池の問題だとか、あるいは絶縁物などに使用した科学物質などの保管もそれぞれの市町村なり、あるいは事業者が保管してかなり問題になった時期もあるわけであるから、ぜひその保管については問題のないような形できちっと指導していただきたい、このように思うわけである。
 次に、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う関連対策についてお伺いする。
 本合意が我が国農業農村に及ぼす影響を極力緩和するとともに、農業農村を21世紀に向けて持続的に発展させ、将来にわたって我が国経済社会における基幹的な産業及び地域として次世代に受け継いでいくことを期すとしている。そのため、農業を誇りを持って携わることのできる魅力ある産業として確立すること、国土資源の有効利用により、可能な限り国内生産を維持拡大し、国内供給力を確保すること、消費者に対する良質、安全、新鮮な食料の適正な価格水準での安定供給を図ること、住みやすく、活力に満ちた農村地域を建設することの基本方針に沿って、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施期間である平成12年までの今後6年間において、必要な対策を重点的、計画的に実施することとしている。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策では、総事業費6兆100億円が見込まれ、新年度予算、平成6年度補正予算でも対応がなされている。本県としては、今後6年間を通じ、どのような事業に国費導入を図ろうとするのか、また、各年度別対応はどう計画されているのかお伺いする。
 また、市町村からの要望も含め、農業合意関連対策から外されたり、対応できない施策について県としても必要な対策を講じるべきであるが、どう対応されていくのかお伺いする。

〇濱田副知事 ウルグアイ・ラウンドの合意関連対策については、国際環境の変化などにも十分に対応して、将来にわたって本県農業が発展していくための礎を築くことを基本に据えて推進していく必要があるわけである。そこで、国が措置したウルグアイ・ラウンド対策事業を積極的に導入することとしている。具体的には、足腰の強い農業構造の早期実現や、農業農村の活力の向上を図る上で必要である農業生産基盤の整備、担い手育成、さらには中山間地域対策など、今般、農業関係対策費として、2月補正と、ただいま御審議をいただいている当初予算の中に合わせて35事業、額にして約225億円を盛り込んだところである。
 このたび措置された国の対策であるが、これは、本県農業を構築する上で極めて重要な内容となっておるが、これは、県が昨年1月、全国に先駆けて行った要望、あるいは県議会とともに実施した統一要望など、機会あるごとに国に対して本県の意向が盛り込まれるように粘り強く働きかけてきたところによるものであると考えているところである。したがって、今年度以降についても、ガット対策委員会の検討などを踏まえながら、国に要望すべきところは強力に要望いたし、本県農業農村の発展に向けた国庫事業の適時適切な導入を図ってまいるとともに、同時に、県独自に施策についても鋭意検討してまいりたいと考えているところである。

〇阿部委員 農林水産省は、大規模家畜市場統合方針として1県1家畜市場整備を打ち出し、県においても、第3次新いわて農業確立計画で家畜市場の広域的再編整備を促進するとし、時代に即応し、流通拠点としての機能を具備した施設に再編し、他産業との競争力をさらに高め、和牛を中心とした産地の確立を期すとしている。県土が広く、かつ生産が県全域にわたっている本県では1カ所への集荷は輸送上困難であり、生産組織の範囲及び行政との関係などを勘案し、県央以北と県南部の2カ所とし、具体的建設場所について主要農協組合長ほか10名を委嘱し、検討され、県央以北は雫石町雫石地区、県南は江刺市田原深沢地区に決定した。
 県南地区の決定について、生産者から、真の家畜振興の拠点施設として展望が確認できない、生産者が安心して畜産経営の維持拡大ができるよう白紙に戻してほしいとの声が多く出されている。畜産市場建設予定地とされる田原地区は、第2次農業構造改善事業で、土地基盤整備、農地造成改良、農業近代化施設整備、園芸協業施設、特認園芸団地造成地が含まれており、いまだ耐用年数が残っているものもある。
 小田代ブドウ生産組合は、農業後継者はいない、ブドウ植栽後十数年を経、生産量が落ち改植が必要であるが、後継者難から改植に踏み切れないなど、問題を抱えているようであるが、生産組合を指導すべき立場にある農業団体が指導や援助を十分に行わないまま、補助金を返還すれば済むとの考えでの決定は安易ではないのか。県としてもこうした姿勢については厳に慎しませるべきである。このような事情を勘案し、県南地区については再考するよう農業団体を指導すべきであるが、対応についてお伺いする。

〇濱田副知事 確かに本県の黒毛和種の子牛の取引については、5カ所の黒毛和種家畜市場が建設から既に15年以上経過しておる。どの施設も老朽化しておって、家畜市場として十分な機能が発揮できない状況になっておるという状況にある。そこで、市場の運営主体である県の経済連では、肉牛の流通拠点として十分な機能を備えた施設に統合整備することとして、昨年7月の経済連理事会において、現在の5市場を2市場に統合することとし、その建設予定地を雫石町と江刺市にする旨を決定したところである。
 この経済連における家畜市場予定地の選定は、関係する主要農協組合長による家畜市場建設委員会等での検討や、理事会での決定を経て決められたもので、この決定を白紙に戻してほしいとする生産者がいらっしゃることは確かに委員御指摘のとおりであるが、一部に反対する者がいることを理由として、所要の手続きを経て決定された事項を再検討するように県が農業団体を指導することは、これは適当ではないと考えているところである。 なお、建設予定地の農家については、家畜市場の建設について同意を得ていると聞いているところであるが、農家に営農を継続する希望があるのであれば、農業団体として代替地を用意するなど、円滑な営農ができるようしかるべき措置をとるべきであると考えている次第である。

〇阿部委員 質問の趣旨をよく理解していただけなかったのかどうかわからないけれども、私は、農業団体が決めたことを覆せという、こういう意味で申し上げているのではなくて、建設予定地とされている地域がかつて国の事業を導入した地域だ、そういう中をあえて耐用年数等が残っているものもなくしてしまってやるという、そういう姿勢を県として認めることがいいのかどうかということをお聞きしているわけで、この問題については、いずれ請願も出ているようであるから常任委員会の中で再度詰めさせていただきたいと思うので、そういう御理解をまずいただいて御答弁をいただければと思うわけである。
 次に移る。
 ことしの日本企業の最大の課題は産業空洞化への対応とされている。これは、社会経済生産性本部が昨年、有力企業1、500社のトップを対象にアンケートを行った結果である。県内企業のアンケート結果では、リストラを完了している企業のうち、何らかの海外シフトをした企業は進出企業で26%、地元の機械金属関連中小企業では13%で、地元関連は9%が進行中で、およそ20%が海外シフトを進めている。こうした現状にあっても、岩手の工業化は後発で、2つのメリットがあったと言われている。1つは、既に立地した南東北3県を中心とする工場への部品提供や加工の受注ができ、単なる労働力などを求めた分散立地型ではなかったこと、2つ目は、工業化がおくれた分だけ生産設備は新鋭で人材も確保しやすかったため、生産機能の海外移転は進んでいなかったと言われている。こうした産業空洞化への取り組みについては、技術力の強化による付加価値の高い製品の開発、研究開発力、先端技術産業の育成や情報通信産業、ソフト部門など、新しい産業分野へのシフトも必要と考える。県の産業空洞化の実態と対応についてお伺いする。

〇濱田副知事 委員御指摘のとおり、我が国では、近年の円高などを背景として生産機能の海外への移転などが進みつつある。いわゆる産業の空洞化が懸念されているところであるが、本県においても、正確な数字は把握できていないが、海外移転の事例は確かに見受けられる状況にある。このような状況にかんがみて、今後は企業の誘致と地場産業の育成を柱とした工業振興施策に加えて、地域における研究開発の推進や技術力と研究開発能力を持った企業の育成、集積が重要であると考えているところである。
 そこで、工業技術センターを中心とした産学官共同研究の強化、あるいは研究開発機関の立地促進などによって、本県における研究開発能力の強化と、その成果の県内企業への技術移転を進めてまいりたいと考えておる。
 また、国においては、経済の構造変化に対応して、技術開発や新規創業を促進する創造的中小企業振興法などの制定を進めておって、県としても、平成7年度予算における中小企業技術改善費補助金の大幅な拡充強化や新規創業の支援施策の検討など、事業意欲の高い企業の育成に取り組んでまいりたいと考えておるところである。

〇阿部委員 いずれ産業空洞化はまさに東京や大都会の問題だと思っていたけれども、私の住んでいる一関でもかなりの企業が進出している状況であるから、真剣に取り組みをお願い申し上げたいと思う。
 次に、本県の企業集積は、花巻市、北上市、水沢市(江刺市)及び一関市の北上川流域を中心とした地域に顕著となっている。北上川流域テクノポリス開発計画は、こうした企業集積を踏まえ、盛岡市から水沢市の範囲で構成されている。県内の誘致企業は579社、うち両磐地区に98社、16・9%が立地していることから、一関地区を含め、北上川流域を一体的に取り込むことを訴えてきたし、それが3県総の21世紀を開くハイテクゾーンの形成を図ることでもある。北上川流域テクノポリス開発計画が7年度で事業計画が終了することを受け、県では8年度をスタートとする第2期計画の策定とあわせ、一関地区も加えた内発型の工業振興を目指す県独自の北上川流域高度技術産業集積計画の新たな策定を行おうとしている。北上川流域テクノポリス開発計画の第2期計画と、北上川流域高度技術産業集積計画はどのようなかかわりを持つのか、税制上の優遇措置や財政支援などあるのかお伺いする。
 また、同産業集積計画はどのような内容を策定しようとしているのかお伺いする。
 さらに、旧和賀町地域については、テクノポリス圏域の編入は面積要件や税制上の特別措置とのかかわりから難しいと言われてきたが、第2期計画では一関市の圏域への編入はどのような扱いになるのかお伺いする。

〇濱田副知事 テクノポリス計画であるが、平成7年度に御指摘のとおり現計画の最終年度を迎えるわけである。現在、通産省を初めとする主管官庁において、平成8年度以降の第2期計画の策定に向けて開発指針の見直しが協議されているところである。テクノポリスの第2期計画の対象圏域については、現計画の対象圏域の拡大あるいは再編等は行わなず、そのまま存続させることが前提となっていると聞いているところで、対象地域の再編は難しいものと考えておる。
 県としては、本県の工業開発の可能性を勘案すると、テクノポリス対象圏域を超えた開発計画の策定が必要であると考えておる。そこで、北上川流域高度技術産業集積計画は、テクノポリス圏域を含む、より広範囲な地域を対象としたいと考えておる。
 なお、税制優遇措置については、テクノポリス法に基づく措置であることから、テクノポリス圏域を超えての適用は難しいと考えておるが、今後、テクノポリス開発計画の策定に当たっては、必要な事項について要望を行うなど、国とも十分に協議しながら進めてまいりたいと考えているところである。

〇阿部委員 次に移らせていただく。
 昨年12月末現在の公務員と教員志望を除く大卒、短大卒の就職状況は、大卒が79・8%、短大卒60・7%と、大学新卒者を取り巻く就職環境は相変わらず厳しい状況になっており、未就職者が多数発生することが懸念されておる。とりわけ女子学生は、男子学生と比べ一段と厳しい状況に置かれており、雇用の分野における均等な機会及び待遇の確保対策の面からも積極的な支援措置が必要である。県でもこうした事態に対応すべく、就職がいまだ内定していない大学、短大生や専門学校生を対象にした合同面接会を1月に実施している。現在の就職内定状況と、今後どのような支援措置を行おうとしているのかお伺いする。 厳しい雇用状況は新規学卒者に限らず、職業安定所が昨年9月末に調査した県内企業で5人以上の人員整理をした事業所は27事業所、429人が離職している。現在の雇用状況はどのようになっているのかお伺いする。
 今後においても人員整理、工場閉鎖、海外シフトなど予想されるところであるが、雇用調整助成金制度の拡充、中高年齢離職者の増加に対応した再就職促進の施策強化等、積極的対応が望まれるが、雇用対策整備はどのように行うのかお伺いする。

〇濱田副知事 まず、就職内定状況であるが、一部文系を除く県内大学の就職内定率は、1月末現在で83・1%、短期大学については71%と、依然厳しい状況が続いておる。こうした状況を考慮して、去る12月には私どもの商工労働部長が県内の主要団体を訪問して求人枠の拡大及び女子学生の雇用機会の均等の確保を要請した。さらに、通常7月に開催しておる合同面接会を1月にも特別に追加して開催するなど、学生の就職の支援に努めてきたところである。今後の就職支援対策としては、盛岡公共職業安定所に設置しておる盛岡学生情報コーナーで求人情報の提供を継続して行うほか、初の試みとして、北海道、東北各県の協力のもとに作成した北海道・東北ブロック大卒等新卒者求人一覧表により、就職情報を学生等に提供していくこととしている。
 また、求人と求職とのミスマッチの解消が大学生等の就職難打開に効果が大きいと考えておって、6月に開催した大学の就職担当者と企業の採用担当者の情報交換を行う産業雇用懇談会をさらに追加して開催するなど、学生の就職の支援にさらに全力を尽くしてまいりたいと考えておる。
 次に、人員整理等による離職者の状況等であるが、平成6年度において、倒産、事業縮小等により離職者が発生した事業所は、12月までの累計で、43事業所で702名の方が離職している。この事業所数、離職者数とも前年数字を下回っておるが、離職者数については542名から再就職の申し込みがあって、そのうち既に358名が就職なさっておられる。残る184名についても、個別求人開拓や合同求人説明会及び合同選考会等を実施するなど、早期再就職に向けた積極的な取り組みを行っておる。今後においては、既に拡充強化されておる雇用調整助成金を適切に運用しつつ、さらに地域の雇用動向の把握に一層注意を払いながら、離職者の発生を未然に防いでまいりたいと考えているところである。
 また、労働省の外郭団体である産業雇用安定センター岩手事務所が昨年10月1日より無料職業紹介事業の許可を得て、特に離職を余儀なくされる中高年齢者が失業せず他の職業に再就職できるよう、出向に関する就職のあっせんを開始しているところで、当該事務所と県下の公共職業安定所との連携のもとに中高年齢離職者の発生を未然に防いでまいりたいと考えておる。
 やむなく離職者が発生した場合には、事業所と連携を保ちつつ、積極的な求人開拓を実施するとともに、必要に応じて関係機関、団体とも連携して離職者対策協議会を設置するなど、今後とも万全の対策を講じてまいりたいと考えておる。

〇阿部委員 次に、介護休業制度についてであるが、国家公務員については昨年9月から施行されておるけれども、民間労働者を対象とする介護休業の制度化については、現在、通常国会への提案を目指して法制化が具体化されようとしているところである。政府の95年度予算でも介護休業制度の早期導入を促進するために奨励金制度等が導入をされているわけであるが、本県としてもこうした制度を活用し、介護休業制度の早期導入を促進すべきであるけれども、事業主への啓発を含め、どのように対応されていくのかお伺いする。

〇濱田副知事 育児休業法の改正案は平成11年4月1日から実施されることになっておるわけであるが、それ以前に事業主がこの制度を導入することを促進するために、新たに休業制度を導入して、その制度を利用し、休業しようとする従業員があった場合には、中小企業にあっては75万円、大企業にあっては55万円を助成しようとする制度が介護休業制度導入奨励金で、平成7年度中に創設されると聞いておるところである。そこで、本県内においては、この事業の推進は労働省の婦人少年室が当たることになっているわけであるが、県としても、この奨励金制度を普及し、労働者が安心して働くことのできるよう、人事労務管理セミナー、そういったものなど、さまざまな機会を通じて事業主に対して積極的に周知啓発してまいる所存である。

〇阿部委員 次に移らせていただく。
 北海道・東北21世紀構想ほくとう銀河プランでは、新国土軸形成のあり方で、第1国土軸は、経済的な効率性重視のもとに、工業生産活動の主導によって形成された大都市集中型の成熟した地域であるとしておる。これに対するほくとう日本で形成する新国土軸は、知識社会という新しい社会を先導するもので、機能的には、学術、技術、芸術などの知識創造が主導する社会であり、創造性をはぐくむ生活、文化やゆとりが重視され、知識社会のもとで多様で高度な展開が行われるとしている。ほくとう文化圏創造構想では、芸術文化創生事業、歴史・文化回廊整備事業を推進することとし、新国立劇場の誘致や3つの歴史・文化回廊の設定、整備を行うとしている。そのうち、ほくとう・いにしえのテーマについては、ほくとう日本の歴史的な基礎を形づくった古代に焦点を当て、繩文回廊、平泉文化回廊などを設定整備するとしている。本県では、繩文文化は日本文化の基礎をなすものとして高度な内容を誇っており、さらに、藤原氏によって築かれた平泉文化は、豊かな国際性をも兼ね備えた超一級の文化という認識に立ち、国立博物館の設置を要望している。 このように、ほくとう銀河プランとも認識を同じくしており、銀河プランの具体的要望項目として国立博物館誘致を北海道・東北知事会としても取り組むべきである。県の誘致戦略についてお伺いする。

〇高橋副知事 ほくとう銀河プランの中に委員が御指摘になったような歴史・文化回廊整備事業があって、その中に平泉文化回廊、繩文回廊等が挙げられておる。当然であるけれども、このほくとう銀河プランは本県もその策定の一員として加わっているわけで、全体的にこのほくとう銀河プランは、北海道、東北全体が取り組む、さらにまた地域、地域で取り組むという多様な取り組みによって21世紀前半にわたる夢を実現していくという性格のものだと思っておる。御指摘になった国立博物館の問題についても、本県が既に取り組んでおる。したがって、当面は、このほくとう銀河プラン全体の推進の中で本県が取り組んでいくという1つの事業になるわけであるが、これが熟度を上げてまいって、東北各県からも支援を受けて、東北全体のバックアップのもとに推進できるようになればより力強い形になろうかと思っておる。ただ、そのためには、やはり各県に認知して支援していただくような条件整備というか、そういう実績の積み上げが必要である。太宰府で進めておる九州の取り組みを見ても、相当の長年月にわたる取り組み、その積み重ねがあるわけで、私ども、それを念頭に置きながら、それをできればもっと加速させてやりたいわけであるが、そういう努力を県自体もすることによって東北、北海道を巻き込み、その支援を受けられるように条件整備をしながら取り組んでまいりたい、このように考えておる。

〇阿部委員 柳之御所遺跡の保存について、平泉町は、この範囲を民有地を含む9・4ヘクタールとし、史跡指定の範囲を決定した。民有地については地権者の同意を得るなど、史跡指定に向けた努力が続けられている。国道4号バイパスルートの変更についても2月の都市計画地方審議会で決定され、保存とバイパス整備の両立が着実に進展している。
 史跡指定とあわせ、大きな課題に用地買収がある。平泉町の試算では、建設省用地が15億9、000万円、これにルート変更で建設省が不必要になる用地買収が2億5、800万円の計18億4、800万円となっている。一般会計予算規模四十数億円の小さな財政規模の町が用地買収の巨額を出費することは、総合開発計画や各種事業の見直しを迫られるのは当然のことと言える。知事は演述で、柳之御所遺跡は県民共有の財産であり、文化財の保護と活用に努める必要があると述べている。史跡指定のための財政支出を平泉町にだけ求めることは、県の文化行政の低さを如実にあらわしていると言っても過言ではない。県においても、歴史広域公園等の位置づけ、遺跡保存に対する理解、支援策を積極的に打ち出すべきであるが、県の対応についてお伺いする。

〇高橋副知事 柳之御所の保存についての進度は委員が御指摘になったとおりで、現在、当面約9ヘクタールの土地について国の史跡指定について申請をすることを目指して地権者への協力要請を行っているところである。したがって、それが得られれば速やかにこの史跡指定の申請をしたい。今月下旬に国の文化財保護審議会が開催予定であるので、できれば間に合わせたいという努力で、今、一生懸命地元平泉町にお願いをして取り組んでいると聞いている。
 史跡指定した後に、委員が御指摘になった土地の問題とか、あるいは保存活用の問題が出てくるわけである。これについては、柳之御所の重要性、これはもう非常に大きなものだと認識しておるので、委員がお触れになった平泉町の財政事情も十分念頭に置いておるので、したがって、そういうことも頭に置きながら、十分町とも協議をしながら、この柳之御所の保存問題が適切に処理できるように取り組んでまいる。

〇菊池委員 県民クラブの菊池勲である。
 世が世であれば、当選して、あと2カ月で任期が終わるわけであるけれども、最初のころは第2会派の県民クラブであったわけであるけれども、国政の政界改変の流れにおいて、どうやら第4会派まで存続をさせ、やっと議員各位の方々の御理解を得ながら4名の構成で任期最後に県民クラブとして認めていただいておる中で、最後の任期で県民クラブを代表しながら平成7年度予算に対する総括質問をさせていただく機会を与えていただいたことに衷心から感謝を申し上げるとともに、私の質問を順次させていただく。
 まず、農業問題についてお伺いする。
 御案内のとおり、一昨年の大冷害、昨年の大かんばつ、そしてさらに、本年1月17日の阪神大震災、海外においても西ヨーロッパや東南アジアの大洪水など、近年、世界各国に自然大災害が頻繁に発生しているところである。この大自然災害を体験したり聞いたりするにつけ、我々が近年、科学技術の進歩や経済合理性の追求を重視する余り、自然の力や摂理をないがしろにしてきたそのしっぺ返しを今、世界各国が受けているのではないかと痛切に感じた次第である。改めて自然を大切にした活動を展開する必要があるものと考えるものである。最も自然の環境を基礎として生産活動を行っているのが農業であり、こうした観点から、農業こそ国の基として積極的に振興を図らなければならないと強く要望するものである。
 それでは、具体的に質問させていただくが、今日の農業を取り巻く環境は、農業労働力の減少、高齢化や担い手の不足などの農業構造の弱体化に加え、昨年末のガット農業合意の正式決定により、米のミニマムアクセスの受け入れや乳製品の関税化など、すべての農畜産物の輸入が自由化されることになり、まさに我が国農業は歴史的な変革のときを迎えておる。こうした農業内部の構造変化や国際的な枠組みの変化により、これまで50年にわたって続いてきた戦後農政は終わりを告げ、これからの新しい国際環境に対応した農業を展開していかなければならない。そして同時に、県農政に求められるのは、農業者にガット農業合意の不安を払拭し、夢と希望を与える農政の展開である。
 そこで、我が国の食料供給基地を標榜する本県として、今後、来るべき21世紀に向けた農政推進の基本的な考え方についてお伺いをする。

〇濱田副知事 農政の推進に当たっては、農業者の方々の経営努力が所得として十分に報われ、将来に展望の持てるような農業農村の建設を目指し、諸施策を展開していくことが肝要であると考えている次第である。こうした観点に立つとき、まずもって気概にあふれた農業者を将来の地域農業の担い手として育成するとともに、こうした担い手を中心とした効率の高い地域ぐるみ農業の形成を一層促進するため、農地の集積や農業生産基盤の加速的な整備を進めていくことが肝要であろうと考えておる。
 また、本県の気象条件に適合した新しい品種や革新技術の開発を進めながら、平場地域においては、農地の利用集積等による稲作の低コスト、高品質生産などの推進、中山間地域においては、収益性の高い野菜、花卉等の園芸作物の生産や畜産の振興など、それぞれの地域の立地条件を生かした生産性の高い農業の形成を促進し、競争力のあるたくましい産地の早期形成を図っていきたいと考えておる。
 さらに、こうして生産した農産物を高く販売し、所得の拡大を図ることが重要となるので、品質、味のよさを積極的にPRし、いわてものとしてのブランド化の確立や加工による高付加価値化を進めるとともに、食にまつわる岩手の風土や文化、歴史などを丸ごと売り込んでいくような、単なる食料供給基地でなくて、さらに食文化といったものまでも踏み込んだような新しい販売戦略を展開していく必要があると考えているところである。
 こうした対策とあわせて、地域の住民の主体的な取り組みを支援し、生き生きとした農村づくりに向けた取り組みを展開することなどにより、本県農業農村が将来にわたり発展していくための基盤を築き上げていきつつあると、かように考えている次第である。

〇菊池委員 ぜひとも私ども農民に期待の持てるような施策の展開をお願いしたいと思う。
 次に、中核農家の育成対策についてお伺いする。
 先日の新聞報道によると、去る2月20日に県ガット対策委員会が開催され、ウルグアイ・ラウンド合意関連対策推進方針の中間取りまとめを行っておるが、その中で、米市場の部分開放に対応し、稲作専業や複合経営を含め1万5、000戸の中核農家を育成することを目標としていると伺っておる。この数字は本県の農家数9万1、000戸の6分の1に当たるが、現実は兼業化が進み、10戸に1戸も農業で生計を立てている農家がいない実態を見るとき、対策委員会の中間取りまとめは大変意欲的な数字と受けとめられるが、一方、果たして現実にできる数字であろうかと疑問も持つのである。そこでお伺いするが、目標を1万5、000戸に設定をした考え方と、今後どのようにして育成する考えかをお伺いする。

〇濱田副知事 確かに、近年においては農家の急激な兼業化に伴って、農業に対する取り組み志向が多様化してきておる。その結果、農業労働力の減少、高齢化による担い手不足が顕在化してきている状況にある。このような状況に対処して、地域農業の中核となって担っていただける農家の育成を図っていくことが本県農業の振興にとっては極めて重要なことであろうかと思う。こうした考え方のもとに、現在推進しておる第3次新いわて農業確立計画において、経営規模や労働力の保有状況から、専業的に経営発展の可能性を持っている農家を1万5、000戸と具体的な数値の上に推定したわけであり、これを主業型農家として育成目標としたところで、積算根拠はあるわけである。このたびのガット対策委員会が中間的に取りまとめた岩手県ウルグアイ・ラウンド合意関連対策推進方針においても、こうした考えに立って農家を育成することとしているところである。
 その農家の育成方向であるが、農家の経営発展に向けた取り組みを具体的に進めるため、普及活動による経営診断の強化あるいは農業短期大学校における実践農業者の課題に対応した営農研修の充実、さらに、農用地の流動化や農作業受委託の促進による経営規模の拡大等を積極的に支援していくことにあると考えておる。
 また、今年度、全市町村に設置された農業経営改善支援センターと一体となって認定農業者経営改善計画策定を援助するなど、農家の条件に合わせたきめ細かな指導を実施してまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 大変難しい数字の設定であると思うけれども、最善の努力をしながら私たち農民に期待と不安のないような、いい方向を見出していただきたいとお願いを申し上げておく。
 次に、米の流通戦略についてお伺いする。
 先般、国は、平成5年度の食料需給表を発表したとの報道があったが、これによると、食料の自給率はカロリーベースで37%であり、穀物自給率では22%という低い水準となっておる。この中で、米の国民1人当たりの供給量については、前年比で0・7%、実数で0・5キログラム減少し、69・2キログラムであったと報告されておる。依然として減少傾向が続いておるわけである。これを見ても、米全体の需要量が今後大幅に拡大することは、人口が大幅に増加でもしない限り難しいのではないかと思われる。こうした中で、県では食料供給基地を標榜しておられるが、特に基幹作目と位置づけられている米については、今後一層生産面とともに流通面に力を入れていく必要があるものと考えられるが、全体需要が頭打ちの現状において、どのように他の産地を凌駕していくのか、なかなか難しいものがあるのではないかと思う。
 そこで県は、本県産米の流通販売についてどのような戦略で取り組むお考えか、生産農家の意欲高揚のためにもお示しを願いたいと存ずる。

〇濱田副知事 米の流通戦略についてであるけれども、本県産米は、地域や年ごとによる品質、収量の変動あるいは県独自品種を持たなかったことから、残念ながら米の主産地としての十分な評価を得るには至っていない現状にあるわけである。そういった中で、厳しい状況、つまり本年11月から市場原理の一層の導入や流通規制の緩和を内容とする新たな米管理システムへの移行が予定されており、今後、産地間競争がますます激化することが予想されているわけである。こうした状況に対応して、生産面においては品質の高い米の安定生産を推進するとともに、流通面においては県産米の評価を高め、新たな販売ルートの確保を図るなど、生産から流通に至る総合的な対策を講じてまいらなければならないと考えておるところである。
 そこで、販売に当たっては、有機質施用量が全国トップクラスであることや、農薬使用量が少ないこと等、有機、低農薬栽培による健康で安全な米という本県産米の特色を強調しながら他県産米との差別化を進めてまいりたいと考えておる。また、オリジナル水稲品種かけはし、ゆめさんさを販売上の戦略品種として位置づけ、消費地での話題づくりなど、PRに努め、県産米のイメージアップも図りたいと考えておる。細かなことであるけれども、例えばかけはしについては小さなお茶わんとかおはしとか、米粒の入ったマーク、子供用のキャラクターグッズなどもあわせて売るとか、そういうことも考えておるし、あるいは、酒で統一銘柄でかけはしが出ておるが、そういったことからその名前が定着もしてまいるし、沖繩でかけはし、ゆめさんさをつくりたいという御希望があるから、超早場米としてそれが出てくれば両方から戦略的に有効になってくるであろうということも考えているところである。
 さらに、消費者の本物志向に対して、3月に完成が予定されておる県経済連の産地精米施設での今ずり米の供給、ブレンドせずに本物志向であるということや、県産米取扱小売店に対する販売支援の強化など、積極的な販売促進活動を推進してまいりたいということで対処してまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 大変ありがたい施策を展開していただいておる。
 次に、地域農業改良普及センターにおける農家指導のあり方についてお伺いする。
 先ほど申し上げたとおり、現下の農業農村は大変困難な状況に直面しておる。私は、これらの状況に対処し、地域に立脚した農業の健全な発展と農村の活性化を図っていくためには、すぐれた農業経営の育成、地域の特性に即した農業の振興、農村生活の改善などの取り組みが従来にも増して重要であり、これらの推進には地域の実情に精通したそれぞれの地域農業改良普及センターに大いに期待をしているところである。地域農業改良普及センターは、昨年10月から長年なれ親しんできた農業改良普及所の名称を改めるとともに、蚕業改良普及事業と統合するなどして新たに出発したところであるが、今後においては、農業の担い手確保や構造政策の推進、中山間地域活性化などの果たすべき役割がますます重要となってきておるものと思う。したがって、これら農政上の諸課題に対して、地域農業改良普及センターの農家指導を今後どのように取り進めてまいる考えかをお伺いする。

〇濱田副知事 これまでの普及事業であるが、それぞれの地域において、農業の新技術の普及定着による生産力の向上、あるいは畜産、園芸の主産地確立のために農家指導の主導的役割を果たしてきたところであるが、しかしながら、今日の農業農村をめぐる環境は、御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンド農業合意による新たな国境措置への移行や農業従事者の減少、高齢化の進行など、大きな転換期を迎えているところで、こうした状況に対処するために、地域農業改良普及センターは、地域農業の指導拠点として位置づけたいと考えておる。そうして、主業型農家の育成や地域ぐるみ農業の形成、新規就農者の育成確保に従来にも増して重点を置いた支援指導を行うことが重要であると考えている次第である。
 そこで、将来とも専業的に農家を志向する、そういった農業者の方々に対しては農業者認定制度の活用や農用地の利用集積による規模拡大、経営改善等について指導を強化するとともに、これらの農業者の方々を中心として、地域の複業型農家や自給型農家の土地や労働力を有効に活用し、それぞれの形の農家が利益を得られるよう、地域ぐるみ農業の形成を促進してまいりたいと考えておる。
 また、農作業環境の改善や農村生活環境の整備に向けて機運の醸成を図るなど、豊かな農村生活の実現のための指導にも努めてまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 次に、堆厩肥の積極的な利用についてお伺いする。
 先ほど副知事は、岩手の農作物は大変有機質等が有効に使われているという話をしていただいてまことにありがたい。近年、消費者の健康志向や自然環境保全意識の高まりにより、低農薬、有機農業への関心が急速に高まっておる。こうした中で、本県は広大な土地資源を活用した第3次新いわて農業確立計画において、環境保全に配慮し、生産性の高い農業を目指して、米、畜産、園芸を3本の柱とした農政を強力に推進しておるが、特に自然、安全、健康をイメージできる農産物を生産するためには、堆厩肥の利用は不可欠であると思う。幸いにも本県の畜産は盛んであることから、堆厩肥の確保は容易である。そこで、堆厩肥投入による肥沃な土地づくりは農業生産力の基礎であり、生産効率を高めるとともに、安全で良食味の水稲や野菜等の農産物を安定的に生産する生態系農業の確立など、本県農業の活性化を図るためにも、畜産部門と耕種部門との連携による堆厩肥の積極的な利用に対して行政支援が必要であると考えるが、県の御所見をお伺いする。

〇濱田副知事 堆厩肥は、有機質の肥料として、肥沃な土づくりや地力の保全などに極めて有効である。さらに、消費者ニーズにこたえる生態系を重視した有機農業の基本であると考えているところであるが、近年の農業においては、生産効率を追求する中にあって、畜産部門では家畜の飼養規模と保有する草地及び農地の面積との不均衡が生じておって、家畜から排せつされたふん尿のすべてを自己保有の草地等に還元することが難しい状況になっているわけである。他方、耕種部門では、労働力の不足等により、みずから堆厩肥をつくったり堆厩肥を施用することが容易ではない状況にある。そこで、県としては、生産性の安定、向上などを前提に、環境保全に配慮した環境保全型農業総合推進事業を実施し、これまで明らかにされた有機物施用基準を総合的に取りまとめるなど、いわて純情産地を守り・育てる運動を推進し、堆厩肥の活用についての普及啓発に努めているところである。
 また、合理的な家畜ふん尿の処理利用を推進するための環境保全型畜産確立対策事業や、良質堆厩肥の生産施設を整備する県営畜産経営環境整備事業等を実施して耕種部門での積極的な堆厩肥の活用を推進しているところでもある。これからの農業は、地域社会や自然環境との調和がますます強く求められることと予想されることから、今後とも耕種部門と畜産部門との連携による堆厩肥の有効活用や有機農業の振興に対して県として積極的に取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 以上で農業問題の質問は終わるわけであるけれども、副知事からは大変親切ないい答弁をちょうだいしたが、私も農業をやっておるわけで、最近の農政の変革と農民の心と農民を指導する農協職員、県の職員、出先の農政部、普及所の方々、大変気の毒な毎日を送っていると私はいつも見ておるわけである。私が子供のころ、うちのおやじが農業をやっているころには、農協の職員が玄関先に来るといつも歓迎されたものであったけれども、今はどなたが来ても最初に悪口をされるのが常識になったということ、これはどういうわけか、日本の農業の全く危機だと私は思っているわけである。先般、出先の振興局の職員と1時間ほど懇談する機会があったけれども、振興局の幹部でさえも、農家に国の施策も県の施策も協議しながら一生懸命指導しているけれども、一度も褒められたことがないと言っていた。これは不思議な農政である。ましてや食料供給県岩手の県庁の優秀な職員、その農政を担当する方々が農民に褒められない仕事を毎日やっているということは、大変不幸な事態であると私は危機感をいつも持っているわけである。今の濱田副知事の御答弁は、平成7年度からはいい農政に転換をする元年であるというふうに理解をしながら農政の質問を終わらせていただく。
 次に、森林組合の合併促進についてお伺いをする。
 本県は北海道に次ぐ広大な森林を有し、木材生産のみならず、きれいな空気と豊かな水を生み出すとともに、国土の保全など、県民に良好な生活環境を提供しているところである。しかしながら、木材価格の低迷、人口の都市部への集中的な流出などにより、森林の適正な維持管理の担い手が若年層を中心として減少しており、このまま推移するならば、本県の森林の荒廃が危惧されるところである。このため、林業の担い手の育成確保を図ることが何よりも肝要であり、そのためには地域林業の中核的な担い手である森林組合に大きく期待するものであるが、県内の多くの森林組合は、経営基盤、執行体制等が脆弱であり、厳しい経営状況に置かれておる。このような中で、北上地域においては、一昨年の1月に北上市森林組合と和賀町森林組合が合併をし、自己資本の充実、組織体制の強化がなされ、経営が安定したと聞いておるが、現在の経営状況はどうなっているかお伺いをする。

〇濱田副知事 合併後の北上市の森林組合の経営状況であるが、林業を取り巻く情勢がますます厳しくなっている中で、平成5年1月の合併以降順調に推移し、事業量も拡大しておる。また、事業の実施体制が整備され、造林等を行う作業員の賃金が一部月給制になり、通年雇用体制になったということから、新規作業員が参入するなどの成果も上がっているところである。

〇菊池委員 他の地域ではさまざまな取り組みが行われていると伺うが、森林組合の広域合併が思うように進んでいないと聞いている。どのようになっておるのかもお尋ねを申し上げる。

〇濱田副知事 平成元年に作成された岩手県森林組合合併指針に基づいて積極的に合併の促進に努めてきておるが、北上市森林組合の設立以降、平成6年6月には二戸地方で3組合が合併して二戸地方森林組合が設立されたとともに、平成7年1月には5組合が合併して水沢地方森林組合が設立されたところである。また、東磐井地区の6森林組合が平成8年1月の合併を目指して具体的な協議が行われていると聞き及んでいるところである。残された花巻、気仙及び久慈の3地区については、合併検討協議会の活性化に努めるなど、今後さらに森林組合の合併促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 次に、福祉問題について2点ほどお伺いをする。
 第1点は、身体障害者の自立支援の問題である。
 平成5年12月に身体障害者対策基本法が抜本的に改正され、障害者基本法が施行された。この法律は、昭和56年の国際障害者年及びこれに引き続く国連障害者の10年の成果を踏まえ、あわせて国際的な動向をも視野に入れた画期的なものだと聞いておる。この基本法は、その目的として、障害者の自立と社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを掲げておるが、私も今、身体障害者福祉の分野で最も求められているものは、身体障害者の自立支援と社会参加の促進であると考えておるところである。県におかれては、各般にわたる障害者施策を総合的かつ積極的に推進されておるが、身体に障害を持つ方々が今一番望んでいるのは、生まれ育った町、村、すなわち自分の家で生きがいを持ち、近隣の人々と日常的に交流しながら安心して暮らしていくことである。
 また、県内の身体障害者の状況は、高齢化と重度化の傾向が顕著になってきておる。いわゆる高齢障害者、重度障害者の方々も含めて、身体障害者が自尊心を失うことなく、自立した1個の人間として社会に生き生きと参加できる条件の整備が重要な課題であると考えておる。これらの課題に対する県の基本的な考え方及び今後の対応についてお伺いをする。

〇高橋副知事 今、菊池委員が御指摘になった身体障害者の方々の基本的な要望と申すか、考え方は、私どもと認識を軌を一にするものである。したがって、県としては平成4年に、いわゆるノーマライゼーションということを基本理念として、新岩手県障害者福祉行動計画を策定した。これには8部門、つまり保健・医療、雇用・就業、福祉等の8部門であるが、設定をして、障害者等が住みなれた地域社会の中で自立をし、社会に参加できるような条件の整備を総合的に推進してきているところである。今後においても、障害者の高齢化、重度化、こういった御指摘もあったが、これに十分配慮しながら、自立と社会参加を通じて生活の質の向上を図るという観点に立って、ホームヘルパーの派遣等の在宅福祉事業、授産施設等の整備、人に優しいまちづくり等の障害者施策について拡充を図ってまいることにしている。
 なお、事業の実施に当たっては、国・市町村等と十分連携を図るとともに、先ほどお話があった障害者の方々の御意見を十分に反映することが必要であるので、そういう機会も十分に設け、障害者を取り巻く新たな状況等にも対応できるきめ細かな施策を実施してまいりたいと考えておる。

〇菊池委員 第2点目は福祉教育についてである。
 御案内のとおり、平成7年度から県立西和賀高等学校に福祉・情報コースが設置されると伺っておる。これは、とりもなおさず、同地域の福祉意識の高さの反映であるとともに、高齢者や障害者等すべての県民が、住みなれた地域社会の中で、温かい触れ合いのもと、心身ともに健やかで生きがいを持って生活できるような社会を築くためには、西和賀高校のような専門的な教育はもとより、さまざまな場面での福祉教育の推進が求められるものではないだろうか。
 本格的な高齢化社会を迎え、その支え手、担い手の形成が求められておる。また、障害者が地域と共生していくノーマライゼーションの考え方の浸透も求められておる。さまざまな場面での福祉教育の推進が図られてこそ、これらの時代の要求に対応していく人材が育っていくものと思われる。
 そこで、お伺いをするが、本県における福祉教育の一環として福祉協力校の指定があると承知しておるが、この活動状況と今後の取り組みについてお聞かせを願いたいと思う。〇高橋副知事 まず、活動状況であるが、その前に、福祉協力校の状況を申し上げたいと思う。
 現在、小学校182、中学校114、高校39の335校が累計として指定をされておる。そして、1校当たり年間10万円の助成を行って、施設訪問、社会福祉施設宿泊体験等々のさまざまな福祉活動で勉強している。
 今後の取り組みであるけれども、平成12年までの指定目標数が689校であるので、引き続き指定の拡大を図っていきたいと考えておる。また、先ほど1例を申し上げた活動内容についても、児童生徒の年齢にふさわしい活動メニューの拡大をして、児童生徒によるボランティア活動の推進等を重点にして内容の充実を図ってまいりたいと考えておる。

〇菊池委員 次に、土木関係について3点ほどお伺いをさせていただく。
 第1点は、豪雪地帯における土木工事等の早期発注についてである。
 本県は積雪寒冷地域であるが、中でも西和賀地域は特別豪雪地域に指定されておる。1年のうち半分近くが雪に閉ざされ、土木工事等が行える期間が限定されておる。また、仮に冬期間に工事を行おうとした場合には、除雪、融雪等に時間をとられ、進捗がはかばかしくなく、結局は年度を繰り越さざるを得ない羽目になるわけである。したがって、土木工事等の発注に際しては、このような自然環境の違いに配慮して、積雪量の度合いに応じた発注順位とするような仕組みがとれないかと思うのである。
 そこで、お伺いをする。工事の発注に際して、特別豪雪地域への配慮はどうなっておられるのか。県としては、これら地域への配慮が当然なされていることとは存ずるが、県工事のみならず、補助事業においても、補助金の早期交付決定により十分な工期が確保できるよう配慮していただきたいものと存ずるので、御所見をお伺いする。

〇濱田副知事 豪雪地帯において、公共事業の円滑な執行を図っていくためには、可能な限り冬期間を避けた良好な環境下での施工を行うことが欠かせないものであり、適正な発注時期の調整と工期設定は極めて重要であるということは十分に認識している。
 そこで、西和賀地域等の豪雪地帯においては、早期発注はもとよりのこと、極力早期に工事着手がなされるように、あらかじめ用地の確保を先行的に行うほか、ゼロ国債、ゼロ県債等の債務負担行為の積極的な活用を図るなどして、その円滑な執行に努めているところである。
 また、工法の選定に当たっても、できるだけ大型ブロック等の工場製品を活用することにより生産性の向上を図り、工期の短縮に努力しているところである。
 今後においても、そういった豪雪地帯においては、自然条件に配慮した適正な事業執行により良好な工事成果が得られるように取り組んでまいりたいと考えておるところである。

〇菊池委員 時々、湯田、沢内の方に行ってみると、私が行くときはちょうど10時ごろあるから、大方除雪が終わったときに行くわけである。今、仕事を始めたのかと聞くと、いや、8時からやっているけれども、やっと雪どけが終わったという感じがちょうど10時ごろ。そうすると、一服の時間である。休憩の時間である。休んで、仕事にかかると、お昼の時間が来る。そして、昼休みをして、3時になれば、もう日が暮れてくるわけである。そこにシートを敷いて家に帰る。私は、事業に対しては全く素人であるから、どれだけの形で、どういう予算編成なのかわからないけれども、あれでもうかっていれば、たいへんありがたいものだと思っておる。私は、湯田、沢内の下流に住んでおるから、あそこに湯田ダムがあって、沢内村民、湯田町民が1年の半分を雪をどけて、解かした水がダムにたまって、下流の我々が、水道用水なり、あるいは農業用水として使わせていただいているという感謝を申し上げておるので、そういうところで仕事をする労働者に、できるだけの御配慮をするようお願いを申し上げたいと思う。
 第2点は、下水道の整備についてお伺いをする。
 下水道は今や大都市だけのものではなく、さらに広く多くの人々の生活をより充実させるための施設として、なくてはならないものになっておる。川や海が昔のままの美しさを保ち、環境を汚染することのないまちづくり、浸水の心配のない暮らし、生活の豊かさを実感する都市づくりに下水道は不可欠な施設となっておる。
 幸い、県においては、下水道整備を県政の重要施策として積極的に取り組まれており、これが、若者を初めとした人口定住を促進する上で必ずや役立つものと大いに期待をしているところである。
 私の住む北上中部地方拠点都市地域の中心都市である北上市は、産業中枢都市として若者などが就業できる場の創出に努力している。優良な住環境の整備を行うために、下水道等の都市基盤施設の整備促進を図るとともに、良好な水辺空間の形成などの水質保全にも努めているところである。
 このような中で、流域下水道和賀幹線は平成7年度供用開始の予定と伺っており、地元は大いに期待をしているところであり、県御当局に感謝申し上げるとともに、今後一層の下水道整備促進の御協力をお願いするものである。
 そこで、北上地域における下水道整備の現状と今後の見通しはどうなっておるのか、お伺いをする。

〇濱田副知事 下水道整備の現状であるが、北上川上流流域下水道・花北処理区が昭和54年度に事業着手したことから、旧北上市は昭和55年に流域関連公共下水道に着手し、昭和62年に供用開始した。次いで旧江釣子村が平成元年に供用開始して、旧和賀町は本年4月には供用開始をする予定である。平成5年度末で見ると、北上市の下水道普及率は16・5%となっておるところであり、今後さらに面整備の促進を図るために、本年2月、北上公共下水道の排水区域の都市計画変更を行い、その面積を1、488ヘクタールから2、002ヘクタールに拡大したところである。また、北上地域の未着手町村は湯田町と沢内村であるけれども、生活環境の改善と和賀川流域の水質保全を図るために、両町村とも早期の事業着手を目指し、現在、下水道基本計画の見直しや事業認可に向けてのいろんな作業を行っているところである。今後とも、公共下水道の面整備促進が図られるように、県として積極的に市町村を指導してまいりたいと考えているところである。

〇菊池委員 第3点は河川敷の整備についてお伺いをする。
 近年、国民の生活水準が向上したことに伴い、人々の価値観が物から心を重視する傾向にあり、潤いや安らぎといった精神的な豊かさを求められておる。とりわけ、河川は自然の営みの中で形成され、貴重な空間であることから、これを自然との触れ合いの場として、また、スポーツやレクリエーションの場として有効に活用していくことについて県民の関心が高まっておる。
 先ほども申し上げたように、北上市は地方拠点都市地域の中核都市として急速な発展を遂げているところであり、また、近年、市民のアウトドア志向とも相まって、ますます河川環境の整備促進及び事業の拡大に対し、大きな期待と関心を寄せているところである。現在、これらにこたえるべく、和賀川の環境整備が着々と進められていることはまことに時宜を得たものであり、県に対し感謝の意を表するものである。
 そこで、お伺いするが、広大な高水敷を有し、より一層の利用が期待されておる和賀川について、その整備の現状と今後の見通しについてお示しをいただきたいと存ずる。

〇濱田副知事 委員御指摘のような社会的背景から、現在、各河川において、自然に配慮した川づくりや、あるいは親水性護岸の設置、高水敷の有効活用を図る整備を県として積極的に取り組んでいるところである。
 和賀川においても昭和50年度から河川環境整備事業に着手し、生態系に配慮した低水護岸の改修等を進めてきたところであるが、平成4年度からは、さらに地方特定河川等環境整備事業の導入をも図って、それまでの河川環境整備事業と一体となった親水性あふれる河川公園として、多目的広場や散策路、せせらぎ水路等の整備を進めるとともに、平成5年度には桜づつみモデル事業の認定を受けて、鋭意その整備に取り組んでいるところである。
 これらの事業の今年度末における進捗状況は、おおむね74%と計画どおり順調に進展しており、平成7年度には多目的広場やテニスコートなどを含むすべての施設整備を完了する予定となっておる。

〇菊池委員 大変積極的な御支援、まことにありがたい。
 最後に、観光開発についてお尋ねをする。
 本県の大規模スキー場は、従来は岩手山周辺に集中して開発されておったが、平成5年12月に、県南部随一の規模を誇る夏油高原スキー場がオープンし、昨シーズンは、オープン早々にもかかわらず、25万人余りの入り込みを記録したところである。当地は交通の便もよいところから、岩手県内のみならず、首都圏の客も期待できるとともに、さらには東北横断自動車道秋田線の全線開通の暁には、秋田方面からの入り込みも大いに望めるものである。
 しかるに、今シーズンは、過日の報道によれば、2月18日現在で18万7、000人と伸び悩みの状況にある。これは、特に夏油高原スキー場に限ったことではないようであるが、当スキー場のような後発組にはまことに厳しい状況であると言わざるを得ない。
 そこで、お伺いをするが、県は、この夏油高原スキー場へのスキー客の誘致策としてどのような取り組みを展開されているのか。より一層の御努力をお願いする次第である。

〇濱田副知事 夏油高原スキー場は、東北初のナイターゴンドラや全コーススノーボートの滑走可能な大型スキー場として昨シーズンオープンしたところであり、県外スキー客にも大変人気が高く、25万人の入り込みを昨年は記録しておる。今シーズンにおいては、コースの改良整備を行ったということで、私も滑ってまいったが、去年よりもより滑りやすくなっておる。よくなっておる。それから、無料シャトルバスの運行、スキーヤーズベッドの新設など、受け入れ態勢の充実もさらに図られたわけである。また、道路についても、退避所を新設するなど、交通の便も改良されておる。また、近くには温泉施設もあるなど、本県の有力なスキー場の1つとして育ちつつあると考えておる次第である。
 そこで、観光客の誘致拡大であるが、私ども県としては、単一の観光施設のみの宣伝では、その効果には限界があると考えているところであり、従来から、それぞれの観光資源を複合的に組み合わせて、その相乗効果による誘致拡大を目指してきたところである。特に本県のスキー場は、良質な雪質、多くの変化に富んだロングコースを持っておる。標高差が非常にあるということが、他県と比べて特徴である。そういった大規模なスキー場が多く、どのスキー場もそれぞれ個性あふれた特徴を有しておる。また、いわばスキー場のはしごが楽しめるようなものであり、全国的に見てもまれな特質を有しているスキーエリアであるので、それにスキー場周辺のすぐれた温泉とを組み合わせて、そのPRについて、関係団体と協力して宣伝活動を行っているところである。
 具体的には、首都圏や関西圏における冬季観光客誘客キャンペーンやスキー招待会等を実施しておるほか、隣県からのスキー客誘致を目的としたタウン誌への広告掲載や、東北各県でのテレビ番組の放映、あるいは東京・銀座、有楽町での岩手ビジネスプラザの電光掲示板での具体的な宣伝等も展開してきているところであり、今後とも積極的な誘客宣伝活動を展開して、スキー客の誘致拡大を図ってまいりたいと考えておるところである。

〇菊池委員 私はスキーが乗れないので、副知事がスキー場に来てくれたのも、御案内いただければ、入り口まで御案内したはずであるけれども、大変ありがたい。
 これに関連して、もう1点お伺いをする。
 スキー場のみならず、周辺地域を含めた夏油高原全体の開発構想については、平成2年4月策定の須川・焼石山麓リゾート構想に位置づけられているところであるが、この推進に当たって、県はどのようなスタンスで臨まれるのか。国民宿舎夏油山荘の民間への譲渡など、若干懸念される点もあるので、この際、お尋ねをし、私の質問を終わらせていただく。

〇濱田副知事 夏油高原の開発については、そのかなりの部分が平成2年7月に策定した須川・焼石山麓リゾート構想の重点整備地区の1つとして整備が進められてきており、平成3年には入畑ダム周辺の森林浴施設が整備されたほか、平成4年にはゴルフ場、平成5年12月にはスキー場がオープンするなど、本構想に基づくリゾート施設の整備は順調に進展しており、着実に高原いで湯リゾートが形成されつつあると思っておる。
 今後においても、須川・焼石山麓リゾート構想に基づいて、長期的な展望のもとに、民間宿泊施設等リゾート施設の適切な誘導を図るとともに、高速道路のサービスエリア機能の充実と地域とのコミュニケーションを目的とした錦秋湖サービスエリア周辺の開発構想や、胆沢ダム周辺の環境整備事業の促進による広域的なリゾートの形成などを、関係市町村との連携を深めながら促進し、多様なリゾート需要にこたえられるよう、より質の高いリゾートの形成を図ることが肝要であると考えておる。
 そこで、県としては、地域の主体的な取り組みを基本として、国等の各種補助事業や融資制度の活用、あるいは県単独事業として実施しておるリゾート施設整備事業を導入した施設整備の促進、さらには平成6年度に創設したソフト面での助成措置であるリゾート地域活性化事業により、リゾート推進協議会への支援を強化するとともに、県としても、その協議会に参画し、地域と一体となった魅力あるリゾートづくりに努めてまいりたいと考えているところである。

〇戸羽委員長 以上で代表質疑を終わる。
 これより自由質疑を行う。自由質疑は、答弁を除き1人15分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることとなっておる。質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いする。

〇横田委員 各党各派、幾変転、ただならぬ状況の中、初志貫徹、一途に前進を続ける日本共産党の横田綾二である。
 整備新幹線について、本会議に引き続きお伺いする。
 1、着手とか着工とか、言葉、用語が問題になるようであるが、着手と着工とではどこが違うのか。我が岩手県での今度の措置はどっちなのか。
 2、本会議で新幹線建設費の地元負担額についてお尋ねしたところ、県は、詳細がわからないからとしてお答えにならなかった。現時点での概略の推計もできないのか。全然わからなくて、着手、着工を促すというのは、地元市町村や県民に対して無責任のそしりを免れないと思うが、どうか。

〇小野寺企画調整部長 3点あったが、まず第1点である。
 着手と着工についてであるが、この言葉は、確かに、昨年末の連立与党申し合わせにおいては工事に着手するという表現である。また、関係大臣申し合わせにおいては、着工するとされておる。言葉の細かいニュアンスについては、当事者でもないということもあって、よくわからないけれども、少なくとも、東北新幹線盛岡以北については、この用語の差については、余り神経質に問題としてとらえるということでなくていいのではないかと考えておる。
 次に、新幹線建設費の地元負担については、本会議でも答弁申し上げたとおり、総額については約9、000億円程度という感触は得ておる。ただ、これは、委員御案内のとおり、全体はそうであっても、その中身がはっきりしておらない。具体的には、建設工事の中身がわからないわけである。そしてまた、御案内のとおり、その中身についても、JRの負担は50%は変わりないわけであるけれども、第1種工事、つまり路線を中心とする鉄道施設については、地元負担は10%とされておるし、さらにまた、駅、その他の地域の利便性にかかわるものについては25%という取り決めになっておる。この割合は、もう既に申し合わせで決まっているわけであるが、詳細の工事等の中身がわかっておらないので、ここで推計することはちょっと不可能であると存じておるので、御了承いただきたいと思う。 最後であるが、そういった地元負担がわからないままにそれを促進するのは無責任ではないかということであるが、盛岡以北全線フル規格で早期に実現を図るというのは、県民の長年の悲願である。そういうことで、細部について、負担の一部わからないことがあるけれども、その実現を目指して、従前から政府等に強く働きかけ、そして、ようやく昨年の暮れに決着を見たと申すか、決定を見たわけであるので、今後においても、この負担については、できるだけ軽減するような方向で、整備5線関係県等とも相談、協議しながら努めていきたいと考えておる。

〇横田委員 ただいま部長は、できるだけ軽減する方向でと言ったけれども、総額概略9、000億円というものが軽減される可能性があるのか、総工事費というものが。どこの例を見ても、下手をすれば、30%、50%とふえているのである。言葉のあやは許されない。9、000億円というものは、2年後、3年後には1兆1、000億円、1兆2、000億円となり、地元負担は1、500億円、2、000億円とふえていくんじゃないか。少なくとも、この内容で見ると、1、500億円から2、000億円ぐらいは地元が負担しそうである。とすれば、そういう巨額の負担というものに地元は耐えられるものなのか、お見込みをお尋ねする。
 さきに地元負担方法、手だてについてお伺いしたいきさつがあるが、県は、この地元負担というものを市町村に負担させず、全部県が負担するということになるものか。

〇小野寺企画調整部長 前段であるが、9、000億円が軽減されるということではなくて、ちょっと舌足らずであるが、地元の負担についてもできるだけふえないというか、軽減が図られるように、関係県ともども取り組んでいきたいということを申し上げた趣旨である。
 それから、地元負担については、これは、沼宮内以北の場合に、県と関係市町村の間で合意を見ていることがある。先ほど申し上げた第1種の工事、つまり鉄道の路線を中心とするものについては、地元負担分は県で負担させていただく。そしてまた第2種、つまり地域の利便に供する施設については、地元負担のうちの10%を市町村で御負担いただく。そして、90%を県で負担させていただくということで合意を見ているものである。
 今後、盛岡から沼宮内のことについても、こういった原則と申すか、合意があるから、そういったことを中心に、これからいろいろ協議を重ねるということになろうかと思う。

〇横田委員 地元負担が耐えられるかと言ったけれども、つまり何%になるか、全体詳細がわからないから、私もちょっと踏み込めないんだが、まず、25%の90%は市町村に行く。そうすると、ざっと、少なくとも八、九百億円ぐらいは地元市町村に行きそうである。こうなると、一戸だの、岩手町だの、二戸市だのというものは財政危機に陥るのではないだろうか。この辺のところのお見込みはどう考えているのか。そういうふうに取り決めたら大丈夫だなんて澄ましていられるものなのか。県北の議員、安閑としていられないぞ。

〇小野寺企画調整部長 今の私の申し上げ方が悪かったかもしれないが、改めて申し上げさせていただく。
 地元負担25%について、県と市町村の負担割合は、1種工事、つまり路線等の鉄道施設については全額県が負担させていただくということを申し上げた。それから2種工事、つまり具体的に申し上げると、駅、その他地域の利便に密接に関連する鉄道施設については、市町村は25%の1割、つまり全体の2・5%、県が9割ということである。

〇横田委員 いずれにしろ、莫大な負担になるわけであり、それは私の後継ぎの議員がいろいろ話しすることになろうから、また後で詳しくお聞きする。
 本県議会において、綱紀粛正決議が挙げられてから8年を経過している。ここで改めてお伺いするが、知事も本会議の演述でちょっと触れたけれども、綱紀粛正ということについてどのような手だてを行っており、今後どのようにするつもりか。
 8年前の事例にかんがみ、お尋ねする。
 県の幹部職員、また一般職員等が、市町村長、業者などとゴルフをし、あるいは会食をすることがあり得るものだろう。その場合の心構え、対処はどのようにしているのか。

〇高橋副知事 綱紀の粛正については、知事からも申し上げたように、厳正にするということで取り組んでいるところである。機会あるごとに知事からも訓示を受けておるし、また、毎年、節目節目に通知を発して、管理監督者を通じ徹底を図っておる。さらに、人事管理委員会という制度を設けて、公務員意識の徹底、服務規律の確保、行政事務の適正な執行の確保に努めているところである。また、内部考査等を実施してきておる。そのようなことで手だてを立て、執行をしてきているものである。
 それから、市町村長、業者などとのゴルフ、会食等をする場合の心構えはということであるけれども、日常の行動については常に公私の別を明らかにし、特に、職務上、利害関係のある業者等との接触に当たっては、会食、贈答、遊戯、その他県民の疑惑や不審を招くような行為は厳に慎むように、指導を徹底しているところである。
 また、市町村あるいは国等々公的関係にあるものについても、社会常識に応じ節度を保って接するように指導している。

〇横田委員 知事が変わっても皆さんはそのまま残るわけであろうから、厳に立派にやってほしい。
 次に、種市ゴルフ場問題であるが、業者から林地開発許可申請は出ているのか、あるいはその動向はどのように把握しているのか。
 県漁連など裁判闘争を支援する会が、4人の知事立候補予定者-もう1人いるのかいないのか-に対する公開質問状を出し、その回答が出されている。御承知か。
 4人ともゴルフ場開発には否定的、消極的見解を述べられている。この人たちは、これを県民への公約として出したものだと認識するが、県としては、少なくとも、今後4年間、県政を担当することができる可能性のある4人の人々が全部否定的な答えを出していることに、どのような御所見をお持ちか。

〇濱田副知事 種市町二ツ森地区におけるゴルフ場開発計画の林地開発許可の申請であるが、現在のところ特に動きはなく、申請書は提出されていない。
 それから、県知事選立候補予定者に対する公開質問状の回答について、その中身については拝見しておるが、県としてどう受けとめているかとのお尋ねの回答については、4人の方々のそれぞれのお立ち場でのお考えであり、そのことに対して、県として見解を申し述べることは適当でないと考えておるので、御了承を願う。

〇横田委員 次に、戦後50年問題である。
 侵略戦争の認識について知事にお尋ねしたところ、1、首長が申し上げるのは適当でないと言っておったが、どんな差し障りがあるのか。少なくとも県は、教育委員会なんかでは、中学社会、歴史、文部省検定教科書などのページを見ると、侵略だということをはっきり言って子供たちに教えているのである。あるいは資料カラー歴史-浜島書店-といったものが使われている中に、この戦争は侵略戦争だとしているわけである。つまり、侵略戦争というのは歴史の事実、世界の常識だと思うが、どんなものであろうか。

〇高橋副知事 国民全体の公教育と申すか、教育の場において、歴史に対する認識を正確に教えるということは非常に大事なことだと思う。その中において、委員が御指摘のような、個々には申しかねるけれども、教科書あるいは教材によって適正な教え方がされているものと認識をしておるが、この種の歴史認識については、私の感じでは、それはやはり私的な個人の認識ということが、国民1人1人の認識ということが1つあるだろう。
 もう1つの問題は、民族全体あるいは国民全体というとらえ方があるだろうと思っておる。そういう観点からすると、これはやはり1人1人、私も国民の1人としての認識は持っておる。しかしながら、こういう場で委員からお尋ねがあり、県の立場で申し上げることは、前段申し上げたような区分からすると、やはりいかがなものかなという感じがする。したがって、本会議で知事からお答え申し上げたようなことで御了承賜りたい。

〇横田委員 本会議でも申し上げたとおり、あなた方が、今はやめたようであるが、県政顧問に推戴した中村直さんという人は、この場で、売上税には私個人としても反対だと、こういう見解を述べられたのである。どうも、私は、高橋副知事は随分お話が多いなと思っておるが、個人として、知事として、あるいはその職にある、この場合は例えば生活福祉部なんかであろうか。こういう人たちが、歴史、常識、事実に従って述べるということは、一向差し支えないんじゃないかと思う。まして、教育の場できちんと取り上げられている問題を、何だかんだといって言を左右にするのは、逃げた答弁ではなかろうか。何か、ほかのだれかに遠慮したりなんかしてしゃべっているものなのかなと思うが、どんなものなのか。
 続いて、県庁舎向かいの緑地に、県内の数団体が、戦後50周年記念で建立する平和祈念像を、いっとき、1年か何ぼ、置かせてくれと要請したけれども、土木部都市計画課はこれを断ったと聞く。それは、前例になっては困るということが一番大きなモメントだったようであるが、しかし、戦後50年というのは、ことしだけである。諸般の事情もあるだろうが、何とか、いっとき置かせてもらえないものだろうか。置いて、むしろ積極的に県はこれにより平和を県民にアピールすることができると思うが、いかがか。

〇濱田副知事 県庁舎向かいの緑地に平和祈念像を置かせていただけないかという要請についてであるけれども、内丸緑地は、都市公園内の緑地として位置づけられており、花壇、ベンチ、植栽等の整備を行い、都市環境の向上を図るとともに、災害の防止や緊急時の避難等に資する公共の空き地としての重要な機能を有しているものである。
 この緑地は0・3ヘクタールと狭いスペースしかなく、新たな施設を設置する余裕がないことから、内丸緑地以外のよりふさわしい場所への設置についてお願いをしているところであり、どうか御理解を賜りたいと思う。

〇横田委員 具体的に今後ともいろいろお願いをしてまいりたいと思う。
 次に、先ほど高橋令則副知事は、ノーマライゼーションのことを胸を張ってお答えになられたが、昨年末、ふれあいランドがオープンし、福祉行政が推進されていることは御同慶の至りである。
 ところで、この中で用地については問題点を残しているはずであり、知事に直訴文が上げられていると承知する。華やかな施策の陰で、もしや泣きを見る者が生じては一大事であろうが、知事のかわりとなる副知事が、この直訴文にいかような御所見を抱いておるのか、お伺い申し上げる。
 あわせて、今後これが解決のお見込みはいかがか。
 私自身、これが調整に参加しながら、解決のめどが立てられないのはまことに残念であるが、あえてこの場でお伺いするものである。
 なお、これまで鋭意解決のため御努力を重ねてまいった事務当局に対しては敬意を表するものである。

〇高橋副知事 ふれあいランド岩手の用地問題については、これまで30名にも上る多くの地権者の方からの御理解と御協力をいただき、用地を提供していただき、施設が誕生したわけである。しかしながら、用地を御提供いただく過程において、今、委員からお話があったように、ある地権者からは、御要望のあった代替地についてなかなか難しい問題があり、今までさまざまな経過があり、委員にも格別の御協力をいただきながら取り組んできたところである。私自身も、再三、福祉部の担当者、あるいは部長等も呼んで必要な督励もし、取り組んできた経緯があるけれども、残念ながら、知事に御要望があった、例えば土地規制の解除とか、そういう問題については、法制度の枠組み上、知事としてもいかんともしがたいという問題があり、やはり制度上、所要の手続、所要の期間というものが要ると思っておる。そういう面で、当該地権者の方には御協力をいただきながら、即すぱっといかないという、非常に私どもももどかしいものを持っておるが、その間のことについては、私どもは誠意は十分持って今後とも取り組んでまいるつもりであるし、また、土地開発公社も中に入っておるが、引き続き交渉に粘り強く取り組み、何とか最終的には御納得をいただけるような努力を全力を尽くして今後ともしてまいりたい。よろしくお願い申し上げたいと思う。

〇横田委員 とりあえず、本日の総括質疑の場では、一応その御答弁は了とするが、内容についてはいろいろ考えるところもあるので、なお、生活福祉部の個別審査の際に申し上げたいと思う。
 高橋副知事からただいまお話しいただけたのは、知事のお心であろうと思うので、それが具体的に具現しないというところが、今、あなたは非常にもどかしいと言ったけれども、うんと怒っている人もある。これは、ひとつ個別審査にまたお話を申し上げたいと思う。
 福祉・医療の充実についてであるが、マスコミの県民世論調査によれば、県政で推進してもらいたい課題の第1は、福祉・医療の充実だと岩手日報は言っている。県はこれをどう受けとめているのか。
 この4年間の決算の推移を見ると、土木費は構成比で2・3%アップ、額で1・5倍に対し、民生費はマイナス0・6%ではないか。教育費もマイナス4・5%となっており、県民の願いに県政は背を向けていると考えるが、どんなものか。

〇上田総務部長 私ども県民が、生涯を通じて安全で安心感を持って暮らすためには、必要とする保健・医療・福祉のサービスが適時適切に受けられるような体制の整備が大変重要であると認識しておる。このため、従来から高齢化社会に対応した例えば老人福祉施設などの社会福祉施設の整備を促進してきたほか、県立病院の移転新築、高度医療機器の整備など、保健医療体制の充実には努めてまいったつもりである。
 7年度の当初予算においては、高齢者の介護知識・技術の習得、普及等を図るための介護実習・普及センターを設置することとしておるし、また、県立病院についても、その整備充実に意を用いているところである。
 一方で、福祉、医療関係予算のシェアが下がっているのではないかという御指摘であるけれども、平成4年度、5年度を見てみると、経済状況に配慮して、景気対策としての国の経済対策に応じて公共事業関係予算が大きく伸びていることなど構造的な理由もあるので、このことをもって、私どもとしては、決して県民の願いに背を向けるというものではないと考えているところである。

〇横田委員 そうおっしゃっても、現実の数字がそうでなく出ていると私どもは把握しているわけであり、さらに個々の具体的な審査に入っていきたいと思う。
 次に、本会議でもお尋ねしたが、入院給食費の有料化について。
 あなた方は、入院しても、家にいても、同じ飯を食うんだからと、こう言っているけれども、しかし、入院の食事というのは、一定の医療的な采配があるわけなんで、それからまた、家にいても食べてるというんだったら、出張している職員はどうなんだと。大体、こういう言い方で福祉政策をダウンさせるということは、私はどうも腑に落ちないのである。ほかに別な施策をやったから、これでいいでしょうという言い方もおかしい。
 それでは、お尋ねするが、私どもが認識する村山政権の悪政に追随して県はやっていくのではないのか。そうでないところがある。それは、全国都道府県の中のかなりの都県である。どのぐらいの都道府県が有料化をしない、または今後しない方針を出していると把握しているのか。

〇高橋副知事 昨年12月の調査では、27の道府県が助成しない、20の都県が助成すると把握をしている。全国的にはこのように対応が分かれておるが、これも、12月の決算委員会でも申し上げたけれども、今回の医療保険制度の改革の趣旨といったことを勘案しながら、国の方の説明を聞いた限りにおいては、税で賄うもの、そして保険料で賄うもの、やむを得ず自己負担でお願いするものといったものを、社会保障制度全体の負担ということを考えながら、1つの方法として厳しい事態にあるので、そういう方法をとったということであるので、そういう法改正の趣旨をまず受けとめてやっていかざるを得ないのではないだろうか。そしてまた、国会でそういったことについて議論があり、3年後において検討するという付則にたしかなっておる。それについて、12月議会で、議会の方から附帯意見もあり、ちょうだいをしている。したがって、それも踏まえながら国の動向を注視し、私どもも、これについて今後見直すべきものがあれば、その時点で見直してまいりたい。当面の考え方は、前段申し上げたとおりである。

〇横田委員 国の動向を注視してばかりいてもしようがない。
 乳児、妊産婦医療費助成制度について、一定の措置は評価は惜しまない。ところで、対象人員でそれぞれどの程度拡大されるのか。その増加する額はどのぐらいになるであろうか。
 現物給付を償還払いとされるのは、制度としては後退である。受診抑制となりかねますまい。現物給付に対するペナルティーは、認識する村山政権の悪政そのものだと思うが、具体的対策、貸与の制度などは考えられているのか。
 償還払いとなった場合、私の試算では、9億円程度のペナルティーが戻ってくると思われるが、どうか。新たな福祉、医療の充実にどう生かす計画なのか。

〇高橋副知事 まず第1点の今回の改善見直しに伴う対象人員や助成額についてである。 乳児の対象年齢の引き上げや、乳児・妊産婦の所得制限の緩和により、乳幼児の対象者数は、平成6年度の月平均では5、100人と見込んでおるが、見直し後は、これが2万2、500人と約4・4倍に拡大をする。また、これによる県の医療費補助額は、平成6年では年約9、000万円であるが、見直し後の年間ベースでは3億6、000万円、約4倍になる。
 それから、妊産婦の対象者数は、平成6年度の月平均では3、100人と見込まれるが、見直し後は6、700人と約2・2倍となり、医療費補助額は、平成6年度で年間約8、000万円と見込んでおるが、見直し後の年間ベースでは約1億6、000万円になろうかと思っておる。
 それから、償還払いへの移行に当たっては、委員御指摘のような面もあろうかということで、事務的にできるだけ御負担にならないような措置を、国保連等にもお願いをして、ある程度事務費的な軽減措置も、例えばコンピューターによる処理等も工夫をして、その分の事務費も手当てをしている。そういう面の手続と、もう1つは、市町村にお願いをして、一部負担金相当額を無利子で貸し付ける制度の創設といったこともお願いをして、取り進めておる。
 いずれ、こういったことにより、委員も御指摘になったように、全体として9億円、県はそのうちの2分の1であるので4億幾らとなるが、これは、先ほども申し上げたような形で、ほとんど見直し経費に充当されたという形になろうかと思っておる。
 なお、今後とも、こういった問題については積極的に取り組んで、国あるいは他県の状況等を見ながら、適切な改善充実に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇横田委員 通告しました具体的な項目は、各部局審査で取り上げてまいりたいと思う。 両副知事にいろいろきつい言葉やら何やらを申し上げてこれまでまいったが、両副知事においては、今後とも信ずるところに従い、大いに御奮闘してほしい。御健勝を祈る。

〇舘沢委員 舘沢秀徳である。
 工藤知事におかれては、県立大学整備を初め3県総に盛り込まれておる県政の重要な施策を着実に推進されるとともに、4大イベントを成功に導くなど、21世紀に向けての本県の進路を指し示すため、全力を傾けられたことに心から感謝を申し上げる。
 また、本日御出席をいただいておる両副知事を初めとする県職員各位が、工藤県政の推進に御尽力されたことは高く評価するものである。改めて敬意を表する次第である。
 さて、数点について質問をするので、前向きの御答弁をお願いする。
 最初に、現在、阪神大震災においては、ボランティアの迅速な対応が大きな話題となっておるが、本県におけるボランティア活動の振興についてお尋ねをしたいと存ずる。
 今回の震災に対しての本県県民の対応としては、各地において多くの団体が義援金を募り、それに積極的に応じていることや、個人や会社等から救援物資を早期に搬送しているほか、みずからの意思でボランティアとして被災地に赴いて被災者の救援活動を行うなど、心の込もった素早い行動がとられておる。このことは、多くの災害を体験している本県県民が、今回の災害による兵庫県民の窮状を我がことのように受けとめる心情から出た行動であったと私は理解しておる。
 今回の震災におけるボランティア活動は、被災地での活動が大きく報道されているが、私は、直接現地に赴くことはしなくとも、県内において、募金や物資の搬送等において活動されたボランティアについても高く評価されるべきものと存じておる。また、今後の少子・高齢社会において、ボランティア活動はますます重要な意味を持ってくるものと考えておる。
 県では、ボランティア活動の一層の振興に努めていく必要があると存ずるが、その基本的なお考えをお尋ねしたいと思う。

〇高橋副知事 今回、阪神・淡路大震災において、ボランティアの方々が非常に立派な活動をされたということが報道されており、委員の御認識と同様の認識を私も持っておる。今後、ボランティア活動といったものは、少子・高齢化社会にとってより重要になってくるものだという認識をしておる。本県においては、ボランティア活動の振興を図るために、県社協及び市町村社会福祉協議会にボランティアセンターを設置している。今後、ボランティア活動の一層の振興を図るためには、今、市町村は33であるので、ボランティアセンターを全市町村につくっていただくような組織化を進める必要があるだろう。さらには、ボランティア活動についての啓発をするための研修といったものを各地域で実施していく必要があるだろう。それから、ボランティアの方々には、今回の活動を見ても、その中心となるコーディネーターと申すか、調整役のような方がどうしても要るようなので、1つは、こういったリーダー、コーディネーター等の指導者研修を実施するということが重要であると思っており、岩手県ボランティアセンターを中核とした研修を実施してまいりたいと思っておる。
 また、ボランティア活動が継続的かつ安定的に行われるように、県社会福祉基金等からの助成といったものも活用して振興を図ってまいりたいと考えておる。

〇舘沢委員 次に、女性施策の推進状況についてお伺いする。
 昭和50年の国際婦人年と、これに引き続く国連婦人の10年以来、国の内外において女性の社会参加、地位向上に向けた各般の取り組みが展開されてきたところである。
 本県においても、平成4年3月に、女性行政推進のための基本指針であるいわて女性さわやかプランを策定し、同プランに基づき県行政の各種施策を推進してきたことは、御案内のとおりであるが、先日の新聞報道によると、県の各種審議会に占める女性委員の割合は、昨年6月現在で、いまだ9・9%の状況にあるなど、今後取り組んでいくべき課題も、また多いものと存ずる。
 いわて女性さわやかプランに基づく具体的施策として、7年度においては、北京市において第4回世界女性会議と並行して開催されるNGOフォーラム参加事業に助成するなど、その積極的な推進は大変結構なことと理解しておるが、来年度はプランの具体的施策を見直しの予定であるやに聞いておる。
 そこで、男女共同参画社会の形成に向けたこれまでの施策の推進状況と今後の方策について、基本的なお考えをお聞かせ願いたいと存ずる。

〇高橋副知事 委員御指摘のように、いわて女性さわやかプランは平成4年に策定したものであるが、これに基づいてこの問題に取り組んでまいった。このプランにおいては、5つの観点から政策を推進しておる。実績としてお尋ねであるので申し上げるが、まず、男女平等をめぐる意識変革の推進ということでは、大きな事業としては、いわて女性の船事業を実施して、地域社会に貢献する女性リーダーの育成を図ってまいった。
 また、2番目には、あらゆる場への男女の共同参画の推進ということであるが、これには、働く女性のための支援推進事業等を展開して、その推進を図ってまいった。
 それから、3番目には、多様な生き方の選択を可能にする条件の整備で、これには、子どもにやさしいまちづくり推進事業等により、女性がさまざまな分野での社会活動ができるような環境づくりを図ってきたところである。
 4番目に、長寿社会に対応した福祉の充実については、ホームヘルパー派遣事業等を実施をしたし、また、5番目に、国際化への対応と交流の推進では、女性海外研修等を実施をして、女性の国際感覚や国際協力精神の涵養に努めてきたところである。
 これらの効果については、根強い男女の固定的な役割分担に対する県民意識に変化が見られておる。平成6年の岩手の男女の意識に関する調査結果等を見ても、明らかに以前に比べては変化が出ているというふうに認識をしておる。今後とも引き続き県民の意向の把握に努めながら今後の施策の展開を図ってまいりたい。具体的には、平成7年度がちょうどいわて女性さわやかプランの後期実施計画を策定する年であるので、今、申し上げたような実績を踏まえながら、よりその政策の推進、つまり女性があらゆる分野の活動に参画し、その利益も責任も分担する男女共同参画社会の一層の形成推進に向けて努力をしてまいりたいと存じておる。

〇舘沢委員 次に、ビオトープ事業の推進についてお伺いする。
 私は、平成5年3月の予算特別委員会総括質疑の中で、ビオトープ事業、すなわちこれは、たくさんの小生物がすむ湿地、水辺、海岸線、小河川等、これらを埋め立てるのではなく、安全な形で保全し、多様な生物がすめるような自然生物生息地に改造する事業であるが、これを推進すべきであるという観点から取り上げた経緯がある。その際、当該事業の趣旨を反映させて関係施策を推進していく旨の御答弁をちょうだいしておるが、現在どのように取り組まれておられるのかお尋ねする。

〇高橋副知事 開発を進めていく上で、委員が御指摘になったビオトープ、いわゆる身近にある野生生物の生息空間を保全するとともに、積極的な復元や創造に取り組むことが大事だという観点を私どもも持っておる。
 事例ということであるので二、三申し上げるが、例えば、県としては、花巻市の瀬川において螢の生息地に配慮した自然石を利用した護岸の整備、それから、盛川では、既存の淵の保存再生、そして、魚族の生息環境に配慮するなどという多自然型の川づくりに取り組んでおる。また、後生掛八幡平線の道路整備では、周辺の生態系との調和を考慮に入れ、周辺の在来植物が侵入しやすいようなのり面処理を行うなどの環境の確保に取り組んできたところである。また、沢内村が実施したハッチョウトンボ生息湿原の復元事業など、市町村が行う動植物の保全や復元事業等に対しても快適環境施設整備事業により助成をしてきているところである。したがって、県自体、また、市町村に対する助成という面も兼ね合わせて、連携をとりながらこういった事業が一層展開されるように努めてまいりたいと考えておる。

〇舘沢委員 次に、骨髄バンク事業の推進状況についてお伺いする。
 御案内のとおり、骨髄移植は白血病等の血液難病に対する有効な治療法として行われてきたところであるが、移植には骨髄提供希望者-ドナー-と患者の白血の形が一致する必要があるため、患者が移植を希望しても容易に受けることができない現状にある。このため、国の指導のもとに平成3年に設立された財団法人骨髄移植財団が主体となり、ドナー及び患者を登録する公的骨髄バンクが設立されておる。同バンク事業では、当面5年間でドナー登録10万人を目標に、関係機関がそれぞれ役割分担を行いながら事業を推進しておるが、昨年末現在で全国の登録状況は5万8、000人余りであり、目標に対し約6割程度の達成となっていると聞いておる。本県においても、県による啓発事業や民間レベルでのドナー登録のためのボランティア活動も実施されていると存ずるが、まだ県民に十分な理解が得られているとは言えない状況にあるのではないかと存ずる。これまでの実績と今後の取り組みについてお伺いをする。

〇高橋副知事 全国の状況について委員がお触れになったが、私どももその数字を認識しておる。県としても取り組んできているわけであるが、その状況を申し上げると、全体として決して他県に比べては多いとは申せない実情で、遺憾に思っている。ただ、過去3年の状況を申し上げると、平成4年、49人、平成5年が139人、平成6年は204人と、全国的に見ると伸び率では非常に高いものになってきている。そういう御認識を県民にいただいているのではないか。平成6年の伸びを比較すると、例えば全国は8%の伸びであるが、本県は、先ほども申し上げた数値を換算すると47%という伸びになっておる。したがって、私どもはこれに力を得て、今後とも骨髄バンクの登録を促進するため、例えばシンポジウムの開催、それから、骨髄移植推進月間、これは12月であるが、こういったものも今年度実施をしたが、今後においてもさまざまな広報媒体等を積極的に活用して、全県的な骨髄バンク登録促進キャンペーンを行うなど、効果的な普及活動を展開をして、先ほども申し上げたような伸び率を今後とも確保できるような努力をしてまいりたいと考えておる。

〇舘沢委員 次に、本会議の一般質問でお尋ねした観光の振興に関連して、第23回全国菓子大博覧会の開催に向けた取り組み及び都市と農村との交流推進についてお尋ねする。
 まず、第23回全国菓子大博覧会の開催に向けた取り組みについてお伺いする。
 平成10年に本県での開催が決定しておる全国菓子大博覧会は、菓子業界の振興発展を目的として、第1回大会が明治44年に東京で開催されて以来、80余年の長い伝統を有し、ほぼ4年に1度の割合で開催されておって、別名お菓子のオリンピックとも言われておる。前回、第22回の菓子博覧会は、金沢市において昨年4月23日から5月15日までの23日間開催され、観客入場者は当初目標60万人を大きく上回る74万人を記録し、大成功のうちに終了したと伺っておる。このように、菓子博覧会は、本県で開催した4大イベントにも匹敵する大規模なイベントであり、本県のすぐれた自然景観や歴史的文化遺産を全国に示すとともに、4大イベントを契機として盛り上がりを見せた県民の地域振興にかける意識をさらに向上させ、本県の持つ活力を十二分に発揮することができる絶好の機会であると考える。そのためにも、本県で開催する菓子博覧会は、菓子業界の振興発展にとどまることなく、21世紀に向けた本県の新しい姿を全国に向けて発信するとともに、広く県民が参加できる博覧会であってほしいと強く願うものである。現在の取り組み状況はどのようになっているのかお伺いをする。

〇濱田副知事 全国の菓子大博覧会であるが、委員御指摘のとおり、別名お菓子のオリンピックとも言われているものである。菓子業界並びに菓子関連業界が一体となって菓子の品質改善、技術の向上、新製品の開発を行い、その成果を発表するなど、菓子業界の振興発展はもとよりのこと、全国の皆様にこれら菓子を初め、工芸菓子や伝統菓子など、さまざまなお菓子を見て、食べて、遊んでいただく、まさに夢いっぱいの博覧会をねらいとしているもので、第23回全国菓子大博覧会の開催に当たっては、岩手県菓子工業組合では、20世紀のお菓子の文化の集大成と位置づけているところである。本県での開催は、まさに美しい自然環境と長い伝統にはぐくまれた岩手の菓子や、お菓子に係る器等の工芸品、さらには、文化、風土などを広く全国に紹介するとともに、本県のイメージアップや地域の振興を図る上でまたとないよい機会であると認識しておる。まさにそのような大事な大会であるので、平成7年度においては、商工労働部内に専担職員を配置するとともに、岩手県菓子工業組合等の関係者で構成する準備委員会を発足させて基本計画を策定するとともに、平成8年度以降は実行委員会を組織して、万全の準備を進めて成功を期してまいりたいと考えているところである。

〇舘沢委員 次に、都市、農村交流の推進についてお伺いする。
 最近、地域活性化の一方策として、都市と農村との交流の必要性が指摘されている。この背景を都市サイドから見ると、都市に住んでいる方々が豊かな生活環境や自然環境、地方文化等への触れ合いを求めるといったように、地方あるいは農村に対する関心が非常に強くなってきていることにあると伺っておる。確かに、高速道や新幹線によって国内の時間的距離が著しく短縮され、行動領域が広がってきたことにより、こうした欲求を満たしやすくなってきている状況にある。また、農村サイドから見ても、交流による地域の再発見や、こうした発見を通じての地域住民の新しい生活スタイルの創出、地域文化の創造にも大きく寄与していくものと考えておる。そしてまた、地域に生き生きとした活力を呼び戻すだけではなく、これがひいては農業生産活動にもつながるといったように、その効果ははかり知れないものがあると存じる。このようなことから、都市と農村の交流を積極的に進めることは大変有意義なものであると存ずるが、本県における都市、農村の交流の実態はどのようになっているのか。また、今後、農村の活性化に向けて、都市、農村交流をどのように推進しようとしているのか、御所見をお伺いする。

〇濱田副知事 本県における都市と農村との交流であるが、特産品販売フェア等、イベント交流や特別町民制度、農産物オーナー制度、体験学習交流など幅広く実施されているところであるが、そのうちイベント交流など、幅広い層を対象とする交流については県内41市町村で実施され、交流行事の主流をなしているところである。また同時に、農業体験学習交流等も年ごとに盛んになる傾向にある。
 こうした都市、農村交流は、都市住民の農業農村に対する理解を深めるとともに、農村地域の活性化や農業振興を図る上からも極めて意義深いことと認識しているところであるが、大事なことは、豊かな大自然や地域に根差した食文化等を生かした特色ある交流を進めるとともに、その内容も一過性のものから参加体験型、滞在型に変えていく必要があるものと考えておる。しかしながら、我が国においては欧米に比べて農村における受け入れ態勢がいまだ整っておらず、グリーンツーリズムに対する生活習慣が定着していない実態にあるわけである。したがって、これらの実情を考慮しながら、平成5年度からグリーンツーリズムを推進する農山漁村でゆとりのある休暇をという推進事業を県として導入して、受け入れ態勢整備のノウハウを検討するための調査事業を実施している段階である。
 また、農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備促進法がことしの4月1日から施行され、農村滞在型交流を進める条件も整えられることから、農山村地域における生産基盤と生活基盤の一体的整備や環境、景観保全の仕組みの確立、ホスピタリティの向上等、受け入れ態勢の整備を進めて、都市、農村交流をさらに一層促進していく必要があると存じているところである。

〇舘沢委員 次に、本県と沖繩県との交流推進についてお尋ねする。
 5年度の冷害対策の一環として、本県のオリジナル水稲品種かけはし、ゆめさんさの緊急種子増殖を石垣市の農家の皆さんにお願いしたことを契機として、本県と沖繩県との間では、本年度は技術研修交流を初めとして、石垣市の中学校生徒を招待しての交流事業、那覇市における本県観光・物産展の開催等、多岐にわたる交流が実施された。7年度においても、本県高等学校総合文化祭に沖繩県県立八重山高等学校の生徒さんを御招待し、民俗舞踊を公演していただくなど、各方面での交流が予定されているやに聞いておる。私は、官民各方面での交流が活発となることは大変結構なことであると認識しておるが、他方、原点に立ち返った、文字通り大地に根差した地道なおつき合いもまた交流を長く進めていく上で必要ではないかと考える次第である。
 そこで、今後の交流を展望する上でも、この1年の交流の歩みを振り返ることは大いに意義のあることではないかと思う。したがって、農業分野での交流を中心に、これまでの取り組みをどう評価されているのか御所見をお伺いする。

〇濱田副知事 種もみの緊急増殖を契機として始まった沖繩県との交流であるが、官民を問わず、人、物の交流へと広がりを見せてきておる。この1年余りの間に岩手から沖繩を、また、沖繩から岩手を訪れた人はかつてない数に上ったところである。これは、未曾有の冷害に遭遇した本県が種もみの増殖をお願いした際、沖繩県でこれを快く引き受けていただいたことや、その後、石垣市の農家の方々が一生懸命に取り組んでいただいた姿などを拝見して、本県農家の方々が心底から感謝の気持ちを抱き、一方では、沖繩県民の方々も種もみの緊急増殖を通じて本県の高度な稲作の栽培技術が移転されたことに対して感謝の意を持たれるに至るとともに、その緊急増殖の状況が全国的に広く報道されて石垣市の知名度が著しく向上するなど、両県民の間から互いに感謝の心と敬意の念がわいてきたことが背景にあるものと考えておる。
 この両県間の交流であるが、農業関係者の交流のみならず、例えばスポーツ交流、物産展の開催、本県在住の沖繩県人会の結成、法人会の交流、さらには、本年に入ってから両県の中学生による学校間交流やロータリークラブによる石垣市でのかまくらづくりなど、次第に広がりを見せており、また、深まりを見せながらさまざまな形で進展を見せ始めているところである。
 農業分野について申し上げると、かけはし、ゆめさんさの名称発表会の際に沖繩県の太田知事みずからが来県され、沖繩で生産した種子で育てられた稲の刈り取りを直接に行ったほか、種もみの増殖に携わった石垣市の農家の方々を初め、石垣島和牛改良組合婦人部の皆さんなど、農業関係者多数の来県を見ているところである。また、本県からも、これもまたさまざまな形で種もみの増殖農家の関係者に謝意を表しに訪れるとともに、農家の方々が収穫作業のお手伝いに出かけられたほか、市町村農業委員、種子生産農家の多数の方々が沖繩県を訪問し、交流が活発に行われたところである。また、畜産技術者の交流が行われるとともに、物産展などを通して、リンゴ、パイナップルのお互いにないものを相互販売を行う、あるいは私どもの岩手県産酒と泡盛との相互販売を行うなどを実施したが、これは大変な好評を博したほか、近々は沖繩県稲作の機械化促進のお役に立てればと、農業機械の贈呈を行うこととしておる。また、沖繩県においては、超早場米としてかけはし、ゆめさんさを栽培したいとの強い意向を持っていると伺っている次第である。
 岩手県と沖繩県は気候や風土、文化、産物など大きく異なっておるが、他方、お互いに平泉文化、琉球文化のように、まことに懐の深い固有の文化を有している地域でもある。その両者が交流を一層活発にし、相互理解を深めていくことはまことに意義のあることと考えている次第である。
 こうした中で、御案内のとおり、来年度開催される本県の高等学校総合文化祭において両県の文化交流が行われることは、今後の交流の活発化の弾みになるものと思われる次第である。今後においても、交流のきっかけとなった感謝と敬意の気持ちを忘れることなく、そのことを大事にしながら、自主的な交流がさらに行われ、その輪が各方面に広がっていくよう、その環境を整えていくことが必要だと考えているところである。

〇舘沢委員 最後に、盛岡南地区都市開発整備事業の現状と見通しについてお伺いする。 本会議の一般質問において、私は、盛岡駅西口地区の基盤整備についてお伺いをしたが、仮称盛南大橋で連絡される盛岡南地区の都市開発整備事業は、北東北の拠点都市を目指す盛岡市が、現在の市中心部、盛岡駅西口地区との都市機能分担を進め、中枢管理機能の強化等、拠点機能の充実を図るため、平成3年度に地域振興整備公団事業として着手したものである。昨年度においては、都市施設の都市計画決定、新都市開発協議会の設立等が行われ、また、本年度においては、5月に土地区画整理事業の推進に必要な事業計画の認可告示がなされるなど、着実に事業が進められてきているとは思うが、公的施設立地の具体化、企業誘致体制の整備等、各般の課題も残されていると存じる。したがって、まず当面は基盤整備を積極的に推進する必要があると考えるので、現在の基盤の状況と今後の事業見通しについてお伺いしたいと存じる。

〇濱田副知事 盛岡南地区の土地区画整理事業であるが、昨年5月に地域振興整備公団が建設大臣より事業計画の認可を得たところであり、本格的に事業がスタートしたところで、本年度は土地区画整理審議会の設立がなされた。地権者代表16名の委員の選出と学識経験委員4名の選任により、総勢20名の委員から成る土地区画整理審議会が発足したところである。当審議会は既に3回開催されており、事業の円滑なる執行に向けて審議が着々と行われているところである。
 また、本年度の事業としては、換地設計や物件調査、埋蔵文化財調査等を行っておって、今後は換地設計を7年度いっぱいに行って、換地原案の供覧、整理等が終わり次第、8年度半ば過ぎに第1回の仮換地指定を行って、その後は本格的に工事に着手する予定となっている次第である。なお、本年度からの事業の推進を図るため、仮換地指定の開始に先行して4・5ヘクタールの整地工事に1月から着手したところである。
 そのような状況で、県としては、今後とも地域振興整備公団や盛岡市との緊密な連携を図って、事業の進捗が着実に図られるよう努力してまいりたいと考えているところである。

〇戸羽委員長 これで総括説明に対する質疑を終わる。
 なお、明日以降は毎日午前10時から開会するので、御協力をお願いする。
 以上で本日の日程は全部終了した。両副知事ほか執行部の方々、御苦労であった。
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時39分 散 会


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