平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇46番(伊藤孝君) 私は去る平成6年12月11日、横浜市において歴史的政治改革のもとに力強く発足した新進党の伊藤孝であります。このたび、新進党としての岩手県議会において代表質問の機会をいただきましたことを、深く感謝申し上げるものであります。
 質問に入る前に、まずもって、1月17日に発生した阪神・淡路大震災により、お亡くなりになられた方々に対し深く御冥福をお祈りいたすとともに、被災者の多くの人たちに対して深甚なるお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を祈念申すものであります。
 質問に入ります。
 今後の財政問題について、工藤知事におかれましては1期4年でありましたが、岩手県の4大イベントを立派になし遂げられ、さらに教育、福祉に対しても意欲的に取り組むなど、今後の高齢化に対する対応や岩手県の人材育成の貢献に対して、深く感謝の意を表するものであります。
 さて、平成7年度の当初予算案でありますが、国税が伸び悩む中、あわせると歳入の半分以上を占める地方交付税と国庫支出金が減額した中で、また骨格予算を組まざるを得ない状況下にあるとはいえ、7、161億2、600万円まで見積もられたことは、知事並びに財政当局の御努力に対して深く感謝を申し上げる次第であります。ただし、歳入の中で地方交付税と国庫支出金でありますが、歳入の55%を占めていることが、今後の県政において非常な懸念材料の1つと言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
 去る先月25日、大蔵省が衆議院予算委員会において、今後の財政運営の指針となる財政の中期展望を提出されました。これは財政健全化を目指し、国債発行収入比率、いわゆる国債依存度を平成12年度に5%未満に抑えようという前提で試算した結果、96年度以降、毎年度の歳出入の差額不足は10兆円近くに達するというもので、そのため、国では抜本的な歳出の削減か増税をしない限り目標達成は困難との見方が支配的で、償還財源を確保するための一般会計から国債整理基金への定率繰り入れや、NTTなどの政府保有株の売却を今後順調に実施したとしても、平成19年度には国債整理基金の資金ぐりが波綻する可能性が示されておりますが、県としてはそのかかわりについていかがでしょうか、お示しをいただきたいのであります。また、歳入において、12・4%を占める県債ですが、県債残高は7年度当初見込みで6、421億円となります。東北6県の中では、県債構成比、県債残高とも中位にあるとはいえ、7、161億円という一般会計当初予算案の約90%を占めるという県債残高は、民間企業と比べて異常と言える数字と思われます。ましてや、残高は毎年度増加をたどり、10年前の昭和60年度と比較して2倍以上にも膨らんできております。その中には、元利償還の一部を地方交付税で手当てをしているケースもあると思われますが、阪神・淡路大震災の復興財源が問われているとき、岩手県としての今後の年次歳入計画並びに具体的な年次償還計画をお示しいただきたいのであります。
 次に、行政リストラについて質問いたします。
 民間企業は、バブル崩壊後の長きにわたる不況の中で、技術革新、円高対応、価格破壊への対応、在庫整理、さらにはリストラ、規制緩和への対応と、急激に変動する経済社会に対して、それこそ血を流しながらの経営を続けている現状であります。今、通常国会においても大きな施策として行政改革を取り上げ、先月10日に政府の見直し案が決定されました。このような環境の中で、県自治行政から見た場合、岩手県経済の基本的な一大変貌として、政策の転換と、その指導が必要と思うのであります。また、大半が既に役割を終えた団体の統廃合として、東京都の文化振興会と江戸東京歴史財団の統合や、北海道の生活・文化振興基金を文化財団に統合するような類似団体の統合など--例でありますが--運営の効率化と行政サービスの向上を目指すための統廃合も各所で進行しておりますが、これは、自治省が昨年10月に、行政改革や地方分権の動向を踏まえ、自治体に外郭団体の見直しなどを含む行革大綱の策定通知を出しているためであります。本県でも、福祉などに重点を置いた新行革大綱の策定と聞いておりますが、この際、現状について改めて県民に対してよくお示しをしていただきたいことと、岩手県としてのリストラの意気込みを細部的に明らかにしていただきたいと思います。不況の中、雇用問題等も絡むことでございますので、慎重に御答弁をいただきたいのであります。
 次に、地方分権について質問いたします。
 地方分権の推進と市町村の自主合併推進を提言した昨年11月22日の地方制度調査会の答申を受け、政府は今、通常国会に地方分権法を提案する予定ですが、国会で可決成立すると、その時点から分権改革は新たな実行段階を迎えることになります。ただし、政府が昨年閣議決定した地方分権大綱方針は、民間有識者の提言や素案に比べてみると、骨格部分で大幅に後退し、地方分権に対する中央省庁の警戒が強く根底にあると思われ、今後、地方分権がうまく進むのかどうか、すなわち、現在の自治体が本当に分権型の行政ができるのか、各自治体に政策官庁の役割を担う政策形成力が備わっているのか、また、県民が地方政治に参画し、それをコントロールできる行動をとれるのか否かが強く問われております。というのも、分権社会への移行は、今までのように国の庇護のもとに横並び意識で仕事をしてきた日本的な自治風土に革命的な格差現象を持ち込むことになるかもしれないからであります。知事はどのようにお考えなのでしょうか、お示しをいただきたいのであります。
 しかし、地方分権と申しましても、財源確保と制度資金の高度活用が必要なのは言うまでもありません。第3セクター方式やその他の方法で民力を高度利用し、そして有能なるそれぞれの政策能力集団を持つことが不可欠であると思われます。行政のリストラは、必要に応じて体質を変えながら、現在の国の制度資金の高度活用に向け、地方が自分で組織のリストラの研さんの積み重ねの上で、新時代に対応する行政改革を得るものであると思われますが、知事のお考えはいかがでしょうか、お伺い申し上げます。
 私は、あくまでも、今後の地域づくりは、個性・自立・創造をキーワードにし、規制緩和が激しく進む中で、地方自治体がお国の政策官庁の下請の事業官庁ではなく、真の本当の政策官庁としての役割を期待したいものでありますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 今まで、地方公共団体と言われた自治体は、政治体と事業体の二面体を持つとされてきましたが、今後、地方政府と言える自治体像を構築していくには、これに、地域の政策形成の主体である政策体としての側面が加わらなければならないと思われるのであります。政治体改革を含めて、岩手県が真剣に政策体づくりに取り組んでこそ、県民に信頼される分権社会へと進むことが可能となると思われますが、知事の御所見をお伺いいたす次第であります。
 次に、次期全総策定に伴う県の取り組みと地域連携について質問いたします。
 2010年を目標年次とする次期全国総合開発計画の策定作業が始まっておりますが、次期全総の中心となるのが、行政区域を越えて地域が交流し、さまざまな機能を分担し合う地域連携軸構想であります。これは、各地域がお互い連携し合い、今後、産業面での機能分担や、生活、文化施設の相互利用など交流を促す仕組みをつくる新しい構想のようでありますが、本県においては、釜石、盛岡、秋田地域が事例調査地域として指定を受け、地域連携軸フォーラムを開き、産業、物流、生活、文化、自然環境などをテーマに、両地域の交流の可能性を検討しているようであり、この地域連携事業は、国土庁が国土総合開発事業調査費の対象に加えていることにもなり、いよいよ本県においても、宮古、盛岡、釜石、北上などが地域調査の対象となったことについて、県当局の取り組みと、その意欲のほどを力強くお示しを願いたいのであります。そして、北海道東北21世紀構想推進会議において昨年発表されたほくとう銀河プランは、21世紀の北海道、東北の未来像を描き、現実的かつ具体的な提言がなされ、昨年11月10日から始まった国土審議会にも取り上げられ、次期全総の骨格にもなり得る内容と見受けられるのでありますが、本県岩手としては、余り積極的な面が見えないように思われ、各県とも協調性がないように思われますが、いかがなものでありますか、明快なる御答弁をお願い申し上げる次第であります。
 次に、大量物流輸送時代に対応して、FAZの指定について質問いたします。くどいようでありますが、再度質問させていただきます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このFAZの指定については、ほくとう銀河プランの中の早急に取り組むべき重要10事業の1つにもなっており、既に仙台港、仙台空港などは、この3月上旬に開かれるFAZ推進委員会で正式に了承される予定となっておるとも伺っておることであり、そのほか、青森県においては八戸港、山形県においては酒田港、秋田県では秋田港など十数回に及ぶ会議を持って、施行に向け、国に対し敏速に事務手続を進行中と伺っておるところであります。何回となく質問した中での部長御答弁では、地域の意欲はもちろんのことですが、その指導をまず県がやる気があるのかどうかが問題であります。
 また、事業内容でありますが、これからの輸出入を県政の課題ととらえた場合、輸出する商品がないと言われますが、なければ、県民が生きるためにも、輸出品を県政の政策の中でつくればよいと思います。例えば、本県の森林木材の取り扱い振興を、FAZと組み合わせた1例を考えてみますと、FAZは、港にいろいろな大加工工場を持って地域の需要にこたえ、大倉庫を持ち、輸入品を加工し、内陸の需要に供給し、残りを海外に輸出するという、まさに沿岸活性化とともに県民の生活必需品の安定化をなし、ひいては県民生活の健全化を図り得るものと考えるものであります。特にも、本県の木材を、素材で陸上を貨物での輸送をお考えのようですが、陸上運賃の容易ならないとき、不幸な阪神・淡路災害時など、正常時であっても、素材で出荷ではなく、加工部材としての木材供給県として考えた場合、進んでFAZの要求をすべきときであると思います。今、世界の大量物流輸送時代に対し、なぜ岩手県だけが、世界的に、また日本政策の進行する逆の方向をとられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、スーパーハブ空港の必要性について質問いたします。
 岩手県の総面積約1万5、275平方キロの中に、人口約140万人、県土の77%が森林、都市部の主なところは、北上川流域、盛岡、県南部を初め河口部を中心に形成され、現在、13市、30の町、16の村の形成にあり、余りにも広い県土は、均衡ある県土の発展を県政の主題としてきたのでありますが、現況ではなかなか難しいことであると思います。全世界経済情勢の進展の中で、我が国もその中で生存しなければなりません。本県においては、さきに岩手県宇宙航空開発推進協議会なるものを平成5年5月31日に、通商産業省機械情報産業局宇宙産業課長の記念講演をもとに、会長を石井冨士雄商工会議所連合会会長を中心として、県内の団体65団体、個人27人の構成により、既に力強く発足いたしております。この一大事業を実現する上においては、まず、一挙に持ち込むこととなると、まことに不安でもあります。
 そこで私は、東北産業活性化センター・明間輝行会長が会長として推進しているもので、去る11月22日、東京で開いた第2回目の懇談会での報告ですが、今年度中に東北で三、四カ所に対象を絞り込む方針であると報じられ、同構想を発表された内容については、2010年をめどに東北地方に5、000メートル滑走路を2本持つスーパーハブ空港の開港を目指しており、今後も調査提言を進めていくと発表しております。
 東北型スーパーハブ国際空港整備構想は、韓国、香港などアジア各地で国際ハブ空港をつくる動きが出ていることに対して、東北地方が空の時代に乗りおくれることのないようにとの背景から打ち出されたもので、日本でも北海道の新千歳空港が6月から24時間化し、関西国際空港が昨年9月に開港し、福岡でも新空港建設計画が進められており、ハブ空港建設の計画構想がないのは東北地域のみとなったのであります。
 そこで、産業活性化センターの調査の中に、東北6県の中で岩手県でも3地域が予定地の候補地に挙げられており、前段で述べたとおり、スーパーハブ空港として24時間営業で騒音の公害の一番支障が少ないのが本県のみと思うのでありますが、その取り扱いについて、まじめな県の姿勢についてお知らせ願いたいと思います。
 次に、阪神・淡路大震災を踏まえ、関連する岩手県の危機管理に対して質問いたします。
 近代都市神戸を中心に襲った直下型大地震は、戦後最大の破壊と、行政の危機管理に最大のショックを与えたのであります。
 そこで、まず、県内の活断層を岩手県はどこまで把握されているのか。また、三陸沖の太平洋プレート南方に地震空白域があると、気象庁気象研究所が昨年末に発表しておりますが、県は、それに対する対応をどう考えておるのか、お聞かせいただきたいのであります。また、災害時における参考となったことなど、今までの本県の危機管理としての不足事項などがありましたなら、お伺いいたしたいのであります。また、今回の大震災は、政府、自治体、自衛隊の初動体制のおくれが大きな問題の1つとして言われておりますが、現在の本県地域防災計画の御説明と今後の見直し予定があるのか、また、その見直し箇所とはどのようなところかを御説明願いたいと思うのであります。
 次に、災害時の食糧や水並びに緊急輸送車両と道路の整備と確保など、ライフラインとインフラ施設の設計基準の見直し、そして、他の地域にまたがる広域連携の強化、医療体制等の対応についてもお尋ねいたしたいと思います。
 また、今回の災害では、世界各国と全国からの民間ボランティアの方々の協力が、被災者の方々に対し、また、復興に対し、非常に大きな力となったことは周知の認めるところでありますが、県におかれましては、それら県内のボランティアグループに対する何らかの支援策がございましたら、お示しを願い申し上げる次第であります。
 次に、産業創成とベンチャー企業育成の取り組みについて質問いたします。
 産業構造は1次産業から2次産業へと比重が移り、2次産業から3次産業へと比重が変化してきております。さらに今、また規制緩和などにより大きな変動期を迎えつつありますが、そこで、本県におかれましては、産業構造の大きな見直しとともに、まちづくり事業にも多大な影響を及ぼしておる大型店の地方進出について、県内各都市が進めている現在のまちづくり事業に、積極的な財政援助と商業者に対する適切な御指導をお願いいたしたいわけでありますが、県御当局のお考えをお示し願いたいのであります。
 次に、先日県が発表いたしました7年度事業の新産業振興計画ですが、1年という計画策定期間は、この厳しい変革の中には、いささか長過ぎはしないかと思われますが、お考えをお示しいただきたいのであります。といいますのも、今月に、東北経済連合会、東北通産局、新潟県を含めた東北7県の商工会議所連合会などが中心となって、広域的な地域ブロックで初のベンチャー企業支援組織、東北ベンチャーランドを、工場誘致依存型から脱却し、独自の経済発展を目指す目的で始動させてまいりました。これは、現在、国で検討している(仮称)創造的中小企業振興法や、(仮称)事業革新円滑化法など、新規の法律の有効活用を発進させるなど、官民独自の手で将来の雇用創出の場にもなるべきリーディング企業、ベンチャー企業を至急育成しようという機運の高まりでありますが、我が岩手県の新産業振興計画を早急に立ち上げていただきたいのであります。その対応をお示しいただきたいと思います。
 次に、構造的農業政策の変革について質問いたします。
 戦後の農業は、有機肥料を背負い、稲作農業を初め各種雑穀、野菜類全般にわたってとり行われてまいりました。一方、改良技術においては交配技術が基本であったが、本県では先進的にいち早く財団法人岩手生物工学研究センターを開設、葯培養技術から、プロトプラスト培養技術を初め各種遺伝子導入技術の進展とともに、DNAリガーゼ、さらにまたトランスジェニック動植物と進展し、一方では、農水省の政策として、1991年から7年までの間に、イネゲノム計画、この目的技術の完成も目の前になりました。
 そこで、お伺いいたしますが、本県生物工学研究センターとして数々の功績と実績は、プロトプラスト培養技術のほか、成果の内容を、できるだけ多くの実績をお知らせいただきたいと思うのであります。
 今、中山間農業の確立政策でありますが、基盤整備の促進はもとより、地域別に、土質、土壤の調査の上で、センターの技術とあわせ、部落別、種別集中耕作を指導し、種別的に加工工場を施設し、生産から商品販売まで、計画的に中山間農業の指導はいかがなものでしょうか、県の中山間農業にかける考え方をお聞かせいただきたいのであります。
 これからは、県民、各種県内企業が、世界経済の一大変革の新時代の中で、はっきりとした長期戦略政策を持ち得るよう、県政策の専心的変化を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事工藤巌君登壇〕
〇知事(工藤巌君) 伊藤孝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成7年度当初予算の歳入等についてでありますが、予算における依存財源が大宗を占めていることについては、本県の場合、まだ担税力の弱い第1次産業のウエートが比較的高いことなどから、自主財源の大宗をなす県税収入が低く、結果として依存財源の比率が高くなっていることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後とも地場産業の育成や企業誘致などを積極的に推進し、税源の涵養を図り、自主財源の確保に努めてまいる考えでございます。
 また、国の財政逼迫による県財政への影響につきましては、平成7年度は、地方交付税総額の確保等により、当面、支障が生じないよう手当てされているところでありますが、今後とも、地方財政の運営に支障が生じないよう、引き続き国に要請してまいる考えであります。
 なお、県債発行とその償還計画についてのお尋ねでございますけれども、地方債につきましては、年度ごとに国が定める地方債計画において、事業ごとの充当率が定められることになっていることなどから、将来の県債発行及びその償還を的確に見通すということは困難な状況にございますので、御了承願います。しかしながら、将来における財政負担をできる限り軽減するため、その償還時において地方交付税により手当てされる地域総合整備事業債等を積極的に導入するなど、最大限の努力を行っているところでございます。
 次に、行政のリストラについてでございますが、本県においては、昭和59年2月に行政改革大綱を策定し、本庁・出先機関及び試験研究機関の再編整備を初め、事務事業の見直し、職員管理の適正化並びに出資法人の整理合理化など行財政改革に不断の努力を重ね、着実に成果を上げてきたところであります。今後におきましても、本格的な高齢化社会の到来に対応するための福祉・保健・医療行政のあり方など、社会経済情勢の変化に伴う新たな課題に対応するため、自治省から示された指針をも踏まえ行財政運営全般の見直しを行い、県民の皆様の理解と協力をいただきながら、引き続き新たな行政改革の推進に向けて積極的に取り組む考えでございます。
 次に、地方分権についてでありますが、私は、社会保障などの領域については、どこに住んでおっても、地域間で格差があってはならない、地域間で格差を生じさせないような十分な財源の保障が必要であると考えております。そうした財政的基盤を確立した上で、地方公共団体が自主的自立性を発揮し、活力に満ちた個性豊かな地域づくりが展開できるように、地方分権を推進していかなければならないと存じております。また、地方分権の推進に伴う新たな地方公共団体の役割を担っていくためには、地域に関する行政施策については、地方公共団体がみずから自主的に決定し、推進できる体制を確立することが肝要でございまして、行政改革を推進し企画調整機能の強化、職員の政策形成能力の向上など、こうした御指摘にありました御意見、まことに同感に存じますけれども、そういう形でこれからの対策、主体的な自治体運営に取り組んでまいりたいと存じております。
 次に、地域連携軸構想についてでございます。
 現在、国におきましては、21世紀初頭に我が国の総人口が減少するとの見通しの中に、地域の活力を高めていくためには、他の地域との交流の活発化を図るとともに、各地域が相互に補完・連携し合いながら、総体として地域の発展を図っていくことが重要であるとし、そのような考え方のもとに、新しい全国総合開発計画の策定作業を進めているところであります。
 お尋ねの釜石、宮古から盛岡、北上、横手、秋田を結ぶ地域連携軸事例調査につきましても、この作業の一環として実施しているところでございますが、この調査結果が新しい国の計画に反映され、これを契機として、太平洋側と日本海側を結ぶ強力な連携軸が構築されるよう、施策を展開していくことが重要であると存じております。
 また、ほくとう銀河プランについてでございますが、私も、北海道・東北21世紀構想推進会議の副会長としてこのプランの策定に参画したところでございまして、この中においては、宇宙科学技術・産業基地建設事業や歴史・文化回廊整備事業など、本県に関連するプロジェクトも盛り込まれるなど、本県としての意向も反映されているところでございます。
 今後におきましても、各道県との一層の協調を図りながら、このプランを新しい国の計画などに反映させるために、あらゆる機会をとらえて国に対し要請を行うとともに、シンポジウム等の開催により国民世論の形成に努めるなど、このプランの推進に積極的に取り組んでまいることが肝要であると存じております。
 次に輸入促進地域、いわゆるフォーリン・アクセス・ゾーン(FAZ)の指定についてでございますが、輸入促進地域は、港湾や空港を有する地域において輸入品の取引活動等を活発化させ、地域産業の振興や国際経済交流を推進しようとするものでございます。県といたしましても、本県沿岸地域の振興を図る上から、本事業の導入を検討し国と協議をしてまいりましたが、指定の条件であります第3セクターによる基盤施設等の維持、運営に必要な輸入貨物の集積に問題がございまして、いまだに機が熟していないという指摘を受けたのでございます。この制度は、平成8年度までの時限立法でもございますことから、さらに必要な条件整備の可否について慎重に見きわめてまいりたいと考えております。
 次に、スーパーハブ空港についてでございますが、これは財団法人東北産業活性化センターが国際航空輸送の役割がますます高まる中にあって、21世紀における我が国の国際交流拠点及び航空ネットワークの一翼を担うため、東北スーパーハブ空港の立地可能性及びスーパーハブ空港を中心としたエアーフロントの基本構想について提言すべく、平成6年度において調査を実施していると承知しているところであります。本調査では、現段階におきましては地形条件や人口集積等を勘案し、5、000メートル滑走路2本の整備が可能な候補地として、本県3地区を含む18地区を選定し中間的に報告したところでございまして、今後さらに数ケ所程度に絞り込むこととしていると承知しております。また一方、東北・北海道地域の21世紀を見通した構想、いわゆるほくとう銀河プランにおきましても、今後、増大が見込まれる我が国の国際航空輸送需要に対応し、ほくとう日本における世界との密接な交流基盤となる国際空港の建設を図ることをねらいとして、東北地域においても国際ハブ空港を整備すべきであると提言しているところでございます。これらにつきましては、長期的視点に立った航空輸送についての貴重な調査研究であると存じますことから、県といたしましてもその動向に十分に関心を持ち、機敏に対処していく必要があると存じます。今後とも、航空ないしは宇宙関連の活動の重要性というものは十分認識しておるつもりでございまして、こうした先進的な施策に対してもしっかりと対応をしていかなければならないと、かように存じておるところでございます。
 次に、このたびの震災に関連するお尋ねでありますが、いわゆる活断層の分布については、本県では奥羽山脈沿いに雫石の西根断層、南昌山、黒森山、上平の各断層群、川舟断層、胆沢扇状地の出店断層などが知られております。しかし、これらの断層の活動の可能性を予知することは、現在のところ困難とされております。また、三陸沖の地震空白域で断層破壊による地震が発生する可能性があるという説もあるようでありますが、一方で、この地域での地震は起きにくいとの見方もあり、確たる予知は難しい状況にございます。いずれにいたしましても、津波による大災害を経験している本県としては、地震・津波の予知観測体制の強化を引き続き国に要望してまいりますとともに、住民を迅速に避難させることが重要と考えますことから、市町村に対して避難対策に万全を期するよう指導しているところでございます。
 次に、県地域防災計画につきましては、水害、地震・津波災害、林野火災等災害の予防計画、災害発生時の対策本部職員の動員、住民避難、給水、防疫、廃棄物処理などの応急対策計画並びに復旧計画が定められておりますが、阪神・淡路大震災を通じて反省すべき点が数々指摘されていることから、本県といたしましても地域防災計画の見直しを行うこととしており、その中で職員の動員配備体制、避難場所の確保、物資等の調達供給、災害弱者対策等について重点的に見直しをする考えであります。また、被災者に対する食糧や水の調達、供給については、これがスムーズに実施できるよう体制を整備するとともに、防災資機材を含めた備蓄と非常時における輸送のための車両等の確保体制の整備を進めてまいります。さらに、住民の生活の基盤となる交通路を初めとするライフライン等については、国における耐震設計基準の見直しの動向等を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。また、人命救助、物資援助、救急医療等広域的な応援体制については、現在、北海道及び新潟県を含めた8道県間の広域応援協定の締結に向け、作業を進めているところでございます。
 次に、ボランティアグループに対する支援策についてでありますが、県といたしましては、岩手県福祉基金や岩手県高齢者保健福祉基金の運用果実を活用して、ボランティアグループの活動への助成を行っているほか、岩手県社会福祉協議会及び市町村社会福祉協議会が実施しているボランティアセンター事業やボランティアのまち推進事業等への助成を通じて、ボランティアに関する啓発や養成研修、活動のあっせん、組織化等の推進にも努めているところでございます。
 次に、まちづくりへの財政援助と指導についてでありますが、いわゆる大店法の規制緩和の流れの中で、県内においても大型店の出店は増加傾向にあります。申すまでもなく、大型店の出店は地域内の競争の激化につながる一方、消費者の利便性を向上させるなど地域商業に与える影響は大きなものがございます。このため、県としては、これら流通構造を取り巻く環境変化に対応し、中小小売商業の振興、発展を図るため、岩手県中小小売商業活性化ビジョンを策定し、これに基づいた諸施策の展開に努めているところであります。
 今後におきましても、中小小売商業者が大型店と共存共栄が図られるよう、魅力ある商店街整備事業等により、引き続き地域の個性を生かした商店街の整備の促進を図るべく、指導、支援をしてまいる所存であります。
 次に、新たな産業振興を目指す計画への対応についてでありますが、本県の工業は、高速交通網や大規模工業団地などの産業基盤の整備とテクノポリス開発計画に基づく種々の施策を展開した結果、北上川流域地域を中心に、高度技術に支えられた産業の集積圏が形成されつつあります。しかしながら、今日、工業出荷額の伸び悩みや企業立地件数の減少など、本県工業を取り巻く経済環境は厳しい状況にあると認識しております。こうしたことから、企業誘致と地場産業の育成を柱とした工業振興施策に加え、今後は、超電導、バイオテクノロジーなど、独創的な研究開発の推進や技術力と研究開発能力を持った企業の育成、集積に力を注いでいくことが肝要であると考えております。私は、この具体化のため、3県総後期実施計画の一つの柱として、本県の特色と可能性を最大限に生かし、新しい環境と時代に対応した産業振興計画の策定を急いでまいりたいと考えております。
 次に、財団法人岩手生物工学研究センターの研究成果についてでありますが、センターでは県の委託を受け、バイオテクノロジーの基礎的研究を実施しており、これまで水稲やリンドウ、レタス、リンゴなどにつきまして、プロトプラストなどから植物体を再生する技術を確立し、現在、これらの作物について耐病性や耐冷性など、優良な形質の遺伝子組みかえによる交配母本の作出に取り組んでいるところであります。また、リンドウやレタスの病気につきましては、生物工学的手法を用いた診断技術を開発するとともに、シイタケの変色に関する酵素の働きを抑制する技術の解明に取り組むなど、着実に成果を上げているものと認識しております。今後は、これらの基礎的研究の推進とともに、応用化研究を実施している専門試験場との緊密な連携により、センターの研究成果を生かした県独自の新品種や革新技術の開発が促進されるものと考えております。また、中山間地域の農業につきましては、それぞれの地域が有する多彩な農業資源を高度に活用し、特産物の生産や新商品の開発など、付加価値の高い農業の推進が重要でありますので、生物工学研究センターを初めとする試験研究機関の成果を積極的に導入し、生産から加工、販売まで一貫したネットワークづくりを進め、所得形成力の高い中山間地域農業を確立することが肝要であると存じております。
〇副議長(山崎門一郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
出席議員(46名)
1番  佐藤知世  君
4番  谷藤裕明  君
5番  折居明広  君
6番  三 河 喜美男  君
7番  村上恵三  君
8番  長谷川 忠 久  君
9番  瀬川 滋  君
10番  渡辺幸貫  君
11番  村田柴太  君
12番  阿部富雄  君
13番  菊池 勲  君
14番  舘沢秀徳  君
15番  伊藤榮一  君
16番  工藤 篤  君
17番  菅原温士  君
18番  岩渕信郎  君
19番  山内隆文  君
20番  飯澤忠雄  君
21番  藤原良信  君
22番  片方 盛  君
23番  小原宣良  君
24番  大欠市蔵  君
25番  千葉 浩  君
26番  戸羽一男  君
27番  佐藤正春  君
28番  坂本昭三  君
29番  千葉英三  君 
30番  藤尾永悦  君
31番  樋下正光  君
32番  吉田洋治  君
33番  及川幸郎  君
34番  那須川 健 一  君
35番  大倉栄吉  君
37番  山 崎 門一郎  君
38番  横田綾二  君
39番  堀口 治五右衛門 君
40番  佐々木 俊 夫  君
41番  佐々木 重 雄  君
42番  鈴木三郎  君
43番  吉田 秀  君
44番  吉田義正  君
45番  佐々木 洋 平  君
46番  伊藤 孝  君
48番  佐藤啓二  君
49番  藤原哲夫  君
50番  藤根順衛  君
欠席議員(2名)
36番  野舘泰之  君
51番  千葉 一  君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時16分 再 開
〇副議長(山崎門一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐藤啓二君。
   〔48番佐藤啓二君登壇〕(拍手)

前へ 次へ