平成7年6月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇12番(伊沢昌弘君) 日本社会党の伊沢昌弘でございます。
 初当選後、初めての定例会で質問する機会を与えていただきましたことに、心から感謝を申し上げます。
 私に与えられたこの4年間の任期を県勢の発展と県民生活向上に向け、精いっぱい努力してまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導賜りますようお願いを申し上げたいと思います。
 以下、通告に従い質問に移らせていただきますが、先に御登壇した議員の皆さんと重複する項目があることをお許しをいただきたいと存じます。
 まず最初に、第三次岩手県総合発展計画についてお伺いいたします。
 平成3年に策定されたこの計画は、基本目標を豊かな自然の中に、活力と希望にあふれ、心にふれあうふるさと岩手の創造と定め、21世紀に向けた県勢の発展方向と基本方策が示されており、まさに県民に夢を与えるものとして見ることができます。ふるさと岩手を語るとき、県民のだれしもがそのまくら言葉に、美しい自然と広大な県土に恵まれた我が岩手と言うように、基本的には、この自然を保全しながら、すべての人が豊かさを実感し、心にゆとりを持って暮らせる生活環境をつくり出して、次世代に引き継ぐことが今の時代に暮らす私たちの任務であると考えます。私は、このような視点から、3県総の基本計画に盛り込まれている各分野の基本政策について高く評価するものであり、計画の標題に掲げてある、みんなで築くふるさと岩手とあるように、県民の1人として理想郷岩手の実現に向けて、微力でありますが協力を惜しまない所存であります。
 さて、今年度は前期実施計画の最終年度であると同時に、後期実施計画策定の年となっていますが、各重点事業の進捗状況を的確に把握し、あわせて主要指標の達成度について評価し、後期実施計画に生かしていく必要があると考えます。私は、県政の基本は、県民が働く意欲を持てるような職場環境と、働き続けることができる条件を整備することにあると考えております。基本計画の各論編の第2章に、未来をつくる活力ある産業の展開の項を設けて、農林水産業、建設業、商工業、観光・リゾート、中小企業の振興、さらには、雇用安定と労働福祉の充実などの各分野に、各事業ごとの施策を進めることとなっていますが、特に、農業、林業及び企業誘致を中心とした諸事業が就業者の増減にどのように結びついてきたのか、そしてまた、計画に掲げる就業者数について平成7年の中間年における達成見通しとその評価についてお伺いしたいと思います。
 また、知事は、所信表明の中で本県の基幹産業である農林水産業については、労働力の高齢化に加え、ウルグアイ・ラウンド合意の実施による影響が懸念されるなど、厳しい環境下にありますが、このような中にあっても、いささかも揺るぐことのない力強い農林水産業、活力ある農村漁村を構築する必要があると述べられ、後継者の育成や農林水産業の販路拡大を図るなど、総合的な施策を講じることを明らかにされました。私も本県の基幹産業である農林水産業の振興が重要施策であると考えており、知事が重大な決意を持って農林水産業の振興に取り組むならば、必ずや後継者の育成につながるものと確信いたしますが、後期実施計画の策定に当たって、特に第1次産業の振興策をどう打ち立てていこうとしておられるのか、その方向をお示しいただきたいと存じます。
 次に、自然環境と調和のとれた施策の展開についてお伺いをいたします。
 基本計画には、水清く緑豊かな県土の形成がうたわれておりますが、道路の建設や河川改修などの事業を推進する場合、環境にどのように配慮してこられたのかお伺いをいたします。
 後期実施計画の策定に当たり事業遂行に向けて、環境を優先させた施策を取り入れるべきと考えますがいかがでしょうか。
 次に、目標年度における総人口の見通しについてお伺いをいたします。
 21世紀は、少子・高齢化社会と言われますが、若者の定住策を強化していくことにより、高齢化率の進行をおくらせることは可能であると私は考えます。県は、平成10年に開学を目指して4年制の県立大学建設に取りかかり、高等教育機関の整備充実とあわせて、人材の育成を進めていく計画を打ち立てておりますし、3県総には多くの若者定住策が盛り込まれています。ここ数年、県内人口の社会増減の傾向を見れば、昭和62年の1万1、969人の減を最高として、平成6年の1、320人の減と年々減少数が下がってきている現象も見られます。来るべき高齢化社会を支えていく基本福祉政策が在宅福祉としていることを考えてみても、若者を県内にとどめることが必要であります。人口増加に向けて諸施策を強力に推し進める決意を示す意味でも、後期実施計画の策定に当たり、企業の誘致や住宅確保に係る施策の強化を図り、現在の推定人口より少ない141万5、000人としている現在の総人口の見通しを見直すべきと考えますがいかがでしょうか。
 次に、地方分権の推進についてお伺いをいたします。
 このことについては、我が会派の佐藤啓二議員を初め、多くの先輩議員がこれまでも取り上げておりますが、さきの国会において、地方分権推進法が可決成立し、5月19日に公布されたことから重ねてお伺いをしたいと存じます。
 私は、地方分権推進法の成立により、これまで多くの国民が求めてきた地方自治の確立に大きく前進するものと期待をしております。日本は、明治維新以降、中央集権的な国家体制の中で、郡も含めて行政官僚機構が絶大な権力を持ち、地方自治体を無視して戦争という間違った手法をとりながら、西洋に追いつくための近代化政策を進めてきました。昭和20年に終戦を迎え、新憲法のもとで戦前のあらゆる分野で改革が行われたものの、行政官僚機構には手がつけられずに今日に至っていると言われております。この中央集権的機構は、日本の戦後の復興のために大いに役立った点もありますが、この間の地方分権推進を論議する中で多くの弊害もまた指摘されてきました。
 その1つは、強大な権限と財源を国の省庁が掌握し、地方自治体に対しては国の出先機関的なとらえ方をしてきたことではないでしょうか。法律ではこの点を改めるために、機関委任事務の廃止や見直しを含んで国と地方公共団体の役割分担を明記し、地方においては、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から、地域における行政の主体的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨として行われるものとするとされております。しかし、今回の法律では具体的な地方分権推進計画が示されず、7人で構成される地方分権推進委員会を総理府に設置し、この委員会が地方分権推進計画策定のための基本的事項について、調査審議を行い、具体的な指針を内閣総理大臣に勧告する規定を設けております。つまり地方分権推進委員会の指針を受けて、政府が具体的な地方分権推進計画を策定することになると理解をしております。そこで、まずお伺いをいたしますが、知事は所信表明やこれまでの答弁の中で、県として地方分権推進法の成立を契機として、さらに地方分権の推進に積極的に取り組むことを明らかにしていますが、地方分権を推進していくために知事は、地方分権推進委員会にどのような指針を期待しているのか、お示しいただきたいと思います。
 また、知事は今後の県政執行に当たり、基本姿勢の第1に、清新で公正、県民にわかりやすい県政の実現を掲げており、県政がすべての県民のためにあることを述べております。このことを私は高く評価をするものでありますが、これまで国民の目の届かないところで多くの政治家や公務員が絡む汚職事件が起き、国民の政治に対する不信感を助長する大きな要因になってきたと思います。私は、地方分権を推進する目標の1つに、国、地方を問わず国民の政治に対する不信感を払拭し信頼感を得ることにあると考えています。このためには、透明な行政運営を進めるとともに、地方政治にかかわる知事、市町村長はもとより、私たち議員も県民に信頼されるよう誠実に職務を遂行すると同時に、責任ある行動をとることが必要であると考えるものでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、地方分権に関連して、国から本県に出向されている、いわゆる天下り人事についてお伺いをいたします。
 この問題については、佐藤正春議員が昨日の一般質問で取り上げ、知事が答弁されております。また、平成5年2月議会の予算特別委員会でも同議員が取り上げており、当時の佐々木副知事の答弁を要約いたしますと、国から県に出向していただいている職員の人事は、適材適所の視点に立って、必要な職員として派遣をいただき、県職員として従来からの職員と一緒になり、国あるいは他の地方公共団体の経験や体験を県の行政推進に大いに駆使していただくと同時に、従来からの県職員もそういう職員との協調の中で、県の行政を推進するために必要なノウハウなども含めて吸収しながらやっていると、昨日の知事答弁と同様の内容になっております。さらにこれに加えて、数については従来の県職員の士気の問題もあるので余り多くすることは適当でなく、今のところで限界ではないかと答えられております。平成5年4月に19人であった課長級以上の方々の人数が現在は17名となっております。全国的には各省庁からの天下りの数が増加しているやに聞いているわけでありますが、本県におきましては、さきの副知事答弁を実行されてきていることに敬意を表するものであります。しかし、私は、今後、地方分権の推進に向けてなお一層地方の主体性を引き出すために、地元職員の登用をもって対処すべきと考えているところですが、建設省に入られてから、千葉、そして茨城などの課長を経験をしてこられた増田知事の御見解を改めてお伺いをいたします。
 次に、地域防災計画の見直しに関連してお伺いをいたします。
 本年1月に発生した阪神・淡路大震災では5、500人もの犠牲者を出し、5カ月を経た今でも多くの方々が不自由な生活を余儀なくされております。犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された方々の生活を確保するために、被災地域の一日も早い復興を願うものであります。
 また、岩手県内から被災地を訪れ復旧活動や負傷された方々の救援に当たられた多くの方々の御労苦に感謝を申し上げたいと思います。
 阪神・淡路大震災は、大きな犠牲と引きかえに、私たちに貴重な教訓を与えてくれたものであり、本県における地震対策のみならず、沿岸部の津波対策や風水害対策とあわせた総合防災体制を早急に確立させるために、この教訓を十分に生かしていく必要があると考えています。
 私は、本定例会に平成7年度一般会計補正予算に緊急防災対策関連事業費として63億円余を計上し、県警ヘリコプターへのテレビ中継システムの搭載や、県の防災行政情報通信ネットワークの移動局となっているぎんが号への一斉指令装置の設置や個別回線の増設など、この事業を進めることの積極的な施策を評価するものですが、県民が本当に知りたいのは、現時点における本県の総合防災体制が、予防も含めて万全なのかどうかであると考えます。そこでまずお伺いいたしますが、本県における防災体制について種々検討されてきたと思われますが、阪神・淡路大震災規模の直下型地震が県内に起こった場合、初期対応策は現時点でどのように発揮されるとお考えでしょうか。
 次に、地域防災計画の修正についてであります。
 このことについては、消防庁から示された9項目を含めて、今年度中に行うことをその基本方針にしておりますが、大変困難な作業とは思われますが、これを年度内とは言わず、できるだけ早める必要があると考えますがいかがでしょうか。
 次に、災害に強いまちづくりについてでありますが、私は、さきの災害で倒壊家屋の中に閉じ込められたまま火災によって焼死した例が多くあったやに聞き及んでいることから、このことに対して県民の期待は大きいものがあると考えます。県内の都市密集地における早急な対策が必要であると思いますがいかがでしょうか。
 そのためには、住宅密集地の区画整理事業など市町村と連携をとりながら、家屋倒壊における火災延焼を食いとめるために、有効な幅を持った道路の整備なども今後進めていく必要があると考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いをいたします。
 次に、地域保健法の施行に伴う今後の対応についてお伺いをいたします。
 昨年7月1日付で地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律が公布され、同日付で施行されました。これに伴い保健所法が地域保健法と改められたことを初め、母子保健法及び栄養改善法の一部が改正され、これまで都道府県の保健所で行っていた対人保健サービスのうち、身近な保健サービスについては平成9年度から市町村の業務として移譲されることになりました。
 さらに、地域保健法ではその第5条第2項で、平成9年4月1日から現在全国に631ある都道府県保健所を、医療法による2次医療圏や老人保健法等による老人保健福祉圏域を参酌して保健所の所管区域を定めることを規定しておりますが、県におけるこれらの法改正に伴う今後の対応についてお示しいただきたいと存じます。
 その第1点は、県内市町村に対する保健センターや保健婦、栄養士等の配置に係る指導についてであります。各市町村の受け入れ態勢は平成9年度が目標となるわけですが、現時点における状況と、今後の整備見通しについてどのように把握しているのか、お伺いをいたします。
 次に、保健所の所管区域についてでありますが、私は平成6年6月20日の衆議院厚生委員会及び同21日の参議院厚生委員会の地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議で、地域の実情に十分留意しつつ医療計画及び老人保健福祉計画の圏域を参酌して、その保健所の管轄区域を設定すること、それを求めております。また、保健所を設置しなければならないとされている、地方自治法上人口30万人以上の市に適用される中核市との関係も念頭に置いて、今後十分に検討する必要があると考えており、地域保健法を単純に当てはめた場合、現在15カ所の保健所が2次医療圏の数である9カ所になるわけでございますけれども、統廃合に向けた検討はどのように進めておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 また、現在の保健所数が減少するとすれば、環境衛生、食品衛生、公害業務や医事、薬事などの対物保健にかかわる業務について、所管区域が広がることから他の県とは比較にならない状況が生じることになると思います。このこととあわせ、市町村の指導的機関として位置づけられる保健所の強化策についてどのように進めていくお考えなのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、新首都誘致運動についてお伺いをいたします。
 この問題については、今年2月議会で我が会派の小原宣良議員が首都機能移転問題として取り上げており、当時の工藤知事からは、首都機能の移転は東京一極集中を是正し、多極分散型国土の形成など、21世紀にふさわしい国土構造の実現を図っていくという視点で極めて重要であり、地震などの大規模災害にも強い東北地方は受け入れが可能になっていることから、東北、北海道の各県が連携して国に対して要望していくことが肝要であると前向きの御答弁をいただいているところであります。
 また、平成4年12月に国会等の移転に関する法律が成立し、国会等移転調査会新都市部会における検討が進められており、平成7年6月6日には第2次中間報告が示されるなど、いよいよ本格的に作業が進められようとしています。さらに、首都機能移転問題に関する懇談会が、移転先地に求められる条件としては、地震、火山による被害が少ないこと、水の安定供給が確保されることなどの自然条件や、土地取得が容易であるなどの社会要件を示しているところであり、岩手県は極めて高い適性を持っているものと考えます。本県の平成8年度政府予算統一要望の中には、宇宙航空産業基地建設の実現に向けた宇宙航空開発に関する試験研究施設の設置やリニア鉄道の導入、そして地球環境情報解析センターの設置などを盛り込んでいますが、私は、21世紀に向けて県民に夢を与え、地域活性化の原動力となる首都機能の誘致をほくとう銀河プランに基づく北海道、東北の各県と連携した東北地方への誘致運動とあわせ、本県に誘致するための運動を展開すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いをいたします。
 次に、製造物責任法、いわゆるPL法についてお伺いをいたします。
 昨年7月1日に公布されたPL法は、いよいよあす7月1日から施行されることになりました。この法律は、首相の諮問機関である国民生活審議会・消費者生活部会が昭和50年5月に、消費者被害の救済を内容とした第1回の提言を行って、PL法制定の必要性を訴えてから実に19年の年月を経て成立したものであり、消費者保護に向けて一歩前進したものと考えられます。国内における商品の欠陥による健康被害や物損事故等で、製造者などに賠償を求める裁判はこれまでも数多く起こされ、いまだに結審していない事件も相当残っている現状を見れば、PL法により少額被害者を救済する道が整備されたと見ることができますし、一方では、製造業者にとって製品等の欠陥によって人の生命、身体、財産に係る被害が生じた場合に賠償責任に問われることから、安全性の確保に向けて安全な製品を製造するための技術開発や工程管理、出荷時の検査とあわせ、表示や取り扱い説明書の整備に努力し被害の発生防止に努めることが求められることになり、企業戦略上なお一層の厳しさが課せられたことになります。そこで、お伺いをいたします。この法律に対しては、県のかかわりが少ないものと思われますが、県としてこの法律が公布された後に、県内の消費者や中小企業者に対してどのような指導を行い、また、今後どのように対応していくことになるのかお知らせ願います。
 また、消費者から種々の商品に対する苦情や健康被害の相談を受ける機関として県民生活センターが設置されているわけでありますが、PL法の施行に伴い、製品の欠陥と損害を受けた場合の証明のために利用されるケースが増加することが予想されますが、現状で十分対応が可能なのでしょうか。現在の状況と今後の整備計画等についてお知らせ願います。
 最後に、県職員の職員定数についてお伺いいたします。
 県政は年々増大する行政需要に的確に対応していくことが求められており、あらゆる分野で停滞することは許されないものと考えることから、これを支える職員の定数について、知事部局を例に挙げてお伺いをいたします。
 知事部局の職員定数は、昭和61年の定数条例の改正によって162人を減員し、5、266人となり現在に至っておりますが、行政改革の進捗状況資料によれば、定員管理の適正化のため、昭和63年度から5カ年で5%、さらに平成5年度から3カ年で3%の縮減を実施しています。しかし、今後、地方分権の推進や3県総の総仕上げに向けた後期実施計画遂行など、さらに行政需要が増大することが予想され、県民のための県政を進める上で、これまでのように総定数を抑えたままでは対応が難しいのではないかと考えられます、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたしまして私の一般質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊沢昌弘議員の御質問にお答えいたします。
 まず、後期実施計画における第1次産業の振興策の方向についてでございますが、本県の農林水産業は、県民生活を支える基幹産業といたしまして県勢発展の土台をなす重要な役割を担っているところでありまして、後期実施計画の策定に当たりましては、政策の最重点の1つとして、国際化の波に果敢に挑戦していけるような力強い農林水産業を構築するためのさまざまな施策を積極的に盛り込んでまいりたいと考えております。その方向といたしまして、農業につきましては、意欲のある生産者に対する重点的な支援や新規就農者に対する就農条件の整備を進めますとともに、生産基盤の整備や担い手農家への農地の利用集積の加速化、地域の立地条件を生かした農作物の生産拡大などによりまして競争力のある産地を早急に形成する必要があると考えております。
 また、林業につきましては、林道網など、生産基盤の整備を進めるとともに、低コストで安定的に木材を供給する体制を確立するほか、林業労働者の就労安定や若年労働者の新規参入を促進する必要があると考えております。
 水産業につきましては、魚類栽培を初めとして、つくり育てる漁業を積極的に推進をし、生産拡大を図るとともに、漁港、漁場の整備や担い手対策を進める必要があると考えております。
 さらに、農林水産物の高付加価値化、また、販路拡大などを図っていくことが重要でありまして、こうした考え方に立ってさまざまな施策を充実し、農林水産業の一層の振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、地方分権推進委員会が勧告することとされている指針についてでありますが、私は、地方分権の推進に当たっては、それぞれの地方公共団体が自主性、自立性を発揮し、活力に満ちた個性豊かな地域づくりに取り組むことができるような条件整備が最も大切であると考えております。したがいまして、地方分権推進委員会が政府に対して勧告する計画作成のための指針におきましては、十分な財源的保障のもとに権限が移譲され、住民に身近な行政は地方公共団体が担っていくべきであるという国と地方の役割分担の基本原則に従って、地方分権が円滑に進むような具体的方向性が示されることを期待しているところでございます。
 次に、地方自治にかかわる者の県民に信頼される行動などについての御質問でございますが、私も、議員御指摘のとおり、住民から負託を受けて政治に携わる者は、それぞれ誠実に職務を遂行し、住民に対し責任ある行動をとることが大変重要であると考えております。私が、さきの所信表明で申し上げました清新で公正、県民にわかりやすい県政の実現という基本姿勢も、まさにこのような認識の上に立って申し上げたものでございます。私は、今後とも県民に信頼され、責任ある行動をとることを常に心して県政の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地元職員の登用についてでございますが、現在、国から割愛を得て任用している職員は、その豊富な経験、視野の広さなどを生かしながら本県の行政施策の推進に積極的に取り組んでおりまして、県行政に大いに寄与しているものと認識をしております。また、いわゆる生え抜きの県職員につきましては、有能な人材の積極的な登用を図るとともに、常に人材の養成と適正な配置に努めておりまして、これら職員のそれぞれの長所を引き出しながら、各種の施策を積極的に推進し、県勢の発展のために今後とも努力してまいりたいと考えております。
 なお、副知事2人制とも関連して、この問題については本定例会において種々御議論がございましたが、御意見として拝聴をさせていただきます。
 次に、新首都の誘致運動についてでありますが、私は、首都機能の移転は、東京圏への一極集中を是正し、21世紀にふさわしい国土構造を実現する上で国家的な重要課題であると考えております。北海道、東北地方は、地震、火山による災害の危険が少なく、水の安定供給が確保されることなどの自然条件や、交通の利便性にすぐれ、土地の取得が容易であることなどの社会条件を満たしておりまして、多極分散型国土の形成という基本的国土政策にも整合するものであり、首都機能の移転先として極めて適性の高い地域であると考えられます。したがいまして、これまで北海道東北地方知事会等を通じ、北海道、東北地方への国会等の移転について国に対し要望を行うとともに、昨年策定しましたほくとう銀河プランにおいても新首都の誘致を戦略プロジェクトとして掲げまして、北海道、東北が一体となってその推進に取り組んできたところでございます。
 今後におきましても、北海道、東北各県と一層の連携のもとに、国に対し首都機能の移転を働きかけるとともに、この中で本県の担うべき役割についても国の動向等を踏まえながら十分に検討を加えてまいる考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、3県総に掲げる就業者数の見通しについてでありますが、3県総におきましては、就業者数が基準年次である昭和60年の73万人から、中間年次であります平成7年にはほぼ同数、また、目標年次であります平成12年には74万2、000人程度になるものと見込んでいるところであります。最近におきます就業者数の推移について見ますと、中間年次であります平成7年における就業者数の実績につきましてはことしの秋に実施いたします国勢調査において明らかになることとなっておりますが、平成4年に実施いたしました就業構造基本調査、この調査は抽出調査により実施されますことから単純には国勢調査結果とは比較できませんが、これによりますと76万1、000人と、中間年次の目標値を上回っている状況にあります。このことは、これまで生産、生活両面にわたります基盤の整備を初めといたしまして、産業経済活動の活発化を図ってきた結果であるというふうに考えておりますが、今後におきましても、農林水産業の担い手の育成、確保や拠点工業団地の整備、さらには先端技術の開発、導入など、就業を促進する条件の整備を総合的かつ積極的に推進いたしまして、計画に掲げる見通しが達成できますように努めてまいりたい、このように考えております。
 次に、後期実施計画の作成に当たり、環境を優先させた施策を取り入れるべきではないかとのお尋ねについてでありますが、本県の広大で緑豊かな大地や清浄な大気などの恵まれた環境は県民にとってかけがえのない財産であり、これを守り、はぐくむとともに、身近な生活空間におきましても快適な環境や美しい景観を創造し、次の世代に引き継いでいくことが極めて重要であります。
 一方、活力に満ちた地域社会を築いていくためには、豊かな自然やすぐれた環境を大切にしながら、交通網の整備や上下水道等、生産、生活両面にわたります基盤を整備いたしまして、地域の特色を生かした農林水産業や商工業の振興など、産業経済活動の活発化を図っていく必要があります。したがいまして、後期実施計画につきましては、自然環境の保全と開発の調和に十分配意しながら各般にわたる施策を積極的に取り入れて策定してまいりたい、このように考えております。
 次に、3県総におきます総人口の見通しについてでありますが、3県総における総人口の見通しは、平成2年の国勢調査の人口141万7、000人を基準といたしまして、中間年次である平成7年には140万4、000人、また、目標年次であります平成12年は141万5、000人程度と設定したところでございます。これは、計画当初の出生率の低下等の自然動態、転出超過の社会動態などを勘案いたしまして、当分の間は人口は減少傾向をたどるものの、その後は乳児死亡率の減少、多様な就業機会の創出等による県外流出の減少など、各般の施策の展開により増加に転じるものと見込んだものでございます。
 本県の最近の人口の推移を見ますと、住民基本台帳に基づきました本県の推計人口では、昭和60年以降人口の減少が続いたものの、平成5年以降は増加に転じまして、平成5年10月1日では141万5、697人、平成6年10月1日では141万6、736人と、わずかではありますが計画を上回って推移しているところであります。一般的に、人口の動態は県内外の経済社会情勢の影響を受けるものとされておりまして、また、必ずしもその動態の要因は明確ではございませんので、現段階においては本県の人口が増加基調として定着したとの見方はできないというふうに考えておりまして、総人口の見通しにつきまして見直しを行う状況には至っていないと、このように考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) まず、環境に配慮した道路、河川などの整備についてでありますが、御案内のとおり、近年、地球規模での環境問題や潤い、安らぎといった心の豊かさへの関心が高まる中で、自然環境などにより一層配慮した社会資本の整備が求められているところであります。このような観点から、本県におきましても、人と自然に優しい道路環境の形成を目指し、自然との調和に配慮した道路のルート選定や野生動物のためのけもの道の確保、在来種による、のり面の緑化等、生態系に配慮した、いわゆるエコロードの整備などに努めているところであります。
 また、河川の改修等に当たりましては、治水安全度の向上を基本としながら、河川などの水辺空間が地域の環境に果たす役割を考慮し、河川ごとに河川環境管理基本計画を策定するなどして、生態系と親水性に配慮した多自然型川づくりや、良好な水辺空間の創造等に努めているところであります。
 ダムの建設におきましても、事前に十分な環境調査を行いながら、可能な限り自然環境を損なうことのないような設計、施工を行うとともに、周辺環境と調和した良好なダム景観の形成に努めてきたところであります。
 今後におきましても、県民生活の基盤をなす道路、河川などの整備に当たっては、施設構造や工法の工夫などに努めながら、本県の良好な環境の保全と創造に資するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、災害に強いまちづくりについてでありますが、このたびの阪神・淡路大震災において顕在化したように、我が国の都市は、老朽木造家屋の密集、道路、公園等、公共空間の不足、さらに、交通のふくそうなど、防災上多くの問題を抱えており、本県においても地震、火災、水害等の災害に対する都市の防災性の向上を図ることが重要な課題となっております。県といたしましては、これまでも街路事業や公園整備事業、土地区画整理事業等を積極的に推進し、防災空間の確保を図るなど、災害にも配慮した安全で快適なまちづくりに努めてきたところであります。
 国におきましては、今般、阪神・淡路大震災を教訓といたしまして、まちづくりの基本は安全であるとの認識のもとに、防災性向上のための根幹的な公共施設の整備、住宅建築物、公共施設の安全性の向上等を基本方針とした災害に強いまちづくり構想を策定したところであります。
 今後におきましては、国のこの構想をも踏まえ、住民の理解と協力を得ながら、市町村との適正な役割分担のもとに、防災に配慮した道路やオープンスペースを一体的に整備する土地区画整理事業及び避難地や延焼を遮断する空間として重要な役割を有する公園などの整備を積極的に推進するとともに、防火地域、準防火地域の指定を行い、建築物の不燃化を促進するなど、災害に強いまちづくりになお一層取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、大規模直下型地震が発生した場合の初期対応策についてでありますが、災害発生時におきまして、被災者の収容や物資の調達、自衛隊に対する災害派遣要請等の各種応急対策を講ずるに当たり、まず必要とされるのは、迅速な職員の動員配備と通信機能の確保による初動体制の確立であると考えております。県におきましては、防災情報に関する通信機能を高度化し、防災対策を充実強化するため、岩手県防災行政情報通信ネットワークを整備し、各市町村、消防機関、県立病院及び陸上自衛隊等の防災関係機関と相互に連絡がとり合える体制を確立しているところでございまして、また、御案内のとおりでありますが、今般の補正予算におきましても、これらの体制を補完、強化するための措置をとらせていただきたいと存じているところであります。
 また、大規模災害が発生した場合の職員の動員配備につきましては、県の地域防災計画におきまして対策要員の動員方法や配備体制等を定めているところでありますが、さきの大震災におきましては、中枢機能への障害の発生や交通網の寸断等により、初動体制の確立に手間どるなどの教訓を得たところであります。このため、こうした非常事態にも対応できるよう、県の災害対策本部要員に対し24時間連絡がとり合えるような体制を整えるべく、現在、準備を進めているところであります。今後におきましても、県地域防災計画の見直しと並行して、適宜必要な改善を図るなど、災害発生時の初動体制に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、県の地域防災計画の見直しにつきましては、現在、鋭意検討を進めているところでありまして、本年度内には取りまとめを行いたいと考えているところでありますが、国における防災基本計画の見直し等の動向も踏まえますとともに、関係防災機関との協議の進展状況あるいは市町村の防災計画の修正に対する指導等もあわせて考慮しながら、可能な限り早期に進めてまいるよう心がけていきたいと考えております。
 次に、職員定数についてでありますが、職員定数の管理に当たりましては、これまでも事務量に応じて適正に配置するとの観点から、事務量や新たな行政需要の動向を毎年度把握し、それに応じた職員定数の配置を行ってきたところであります。今後におきましても、施策の推進に支障を来すことのないよう配慮しながら、事務事業の見直しや点検を行い、定数配置の適正化に努め、新たな行政需要に対応してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長松本義幸君登壇〕
〇環境保健部長(松本義幸君) 地域保健法の施行に伴う今後の対応についてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、市町村保健センターや保健婦、栄養士などの現状及び今後の整備見通しについてでございますが、保健センターにつきましては、類似施設を含め、既に56市町村で整備済みであります。未整備の3町村につきましても、相応の整備がなされる見通しとなっております。
 また、市町村の保健婦、栄養士の状況でありますが、平成7年4月1日現在で、保健婦については全市町村が複数配置しており、総数では356人となっております。さらに、栄養士につきましては、非常勤職員を含め51市町村において75人を配置しており、本県市町村の整備は進んでいるものと認識しております。
 国におきましては、今回の地域保健制度の改正に伴う市町村業務量の増加に対応し、所要の財政措置を講じながらその増員を図る方針でありますので、県といたしましても、人口、面積、高齢化の状況など、各市町村の特性を踏まえながら、必要とする人材が計画的に確保されるよう、きめ細かく支援してまいる考えであります。
 次に、保健所の所管区域や保健所の統廃合に向けた検討がどのように進められているかについてでありますが、この4月、環境保健部内に事務検討組織を設けて鋭意検討を進めているところであり、今後、市町村とも協議を重ねながら、年度内には国の指導に沿って保健所配置数を含めた保健所機能強化計画を策定したいと考えております。
 次に、保健所の強化策をどう進めていくかということでございますが、今回の地域保健の制度改正により、保健所は専門的、技術的、広域的機能を強化することとされました。県といたしましては、身近な保健サービスを行う市町村との役割分担に留意しながら、医師、獣医師、保健婦、栄養士など、専門技術性の高い職員を擁する保健所の特徴を十分に生かせるよう集約化を図るとともに、各種の地域保健サービスを専門的立場から評価し、有機的連携を深めながらこれを施策に反映させていくといった企画調整機能を初めとする保健所の機能を強化して、県民の高度化、多様化する保健ニーズに的確に対応できるように努めてまいる考えであります。
   〔生活福祉部長細屋正勝君登壇〕
〇生活福祉部長(細屋正勝君) 製造物責任法、いわゆるPL法の施行に伴う対応についてでありますが、この法律は、消費者の保護救済と企業の自己責任の確立を目的としていることから、まず、消費者に対しましては昨年度も各般の周知を図ったほか、今年度も先般開催いたしました消費者の日・県民のつどいのメーンテーマとして取り上げ、講演、シンポジウムを実施したほか、啓発パンフレットの配布、県政テレビ番組などにより、法制度の趣旨はもとより、消費者が心がけるべき点などについて周知を図っているところであります。今後におきましても、公開セミナーの開催や県広報誌などを通じて、広く県民に浸透するよう努めてまいりたいと考えております。
 また、県内中小企業者に対する周知等については、県及び関係商工団体におきまして、製造業者等の立場から、その対応のあり方について、昨年度既に15回の説明会を実施しており、今年度も引き続き講習会等を開催して周知を図っているところであります。
 次に、県民生活センターの機器の整備についてでありますが、同センターにおきましては、PL法の公布に伴い、昨年度は製品に含まれている成分を正確かつ迅速に分析する機能を持ったガスクロマトグラフ等を既に整備しており、今年度も製品の熱分布等を測定する機器を整備することとしておりますが、今後におきましても必要なテスト機器等の整備に努めてまいりたいと考えております。
 なお、あすからの法施行後は、国、県の試験研究機関や国民生活センターなどと連携を密にして、製品に関する相談、欠陥の原因究明等に迅速かつ適切に対応する考えであります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、佐々木大和君。
   〔9番佐々木大和君登壇〕(拍手)

前へ 次へ