平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇4番(小野寺好君) 新進・公明の小野寺好でございます。
 ありがたくも、今回、一般質問の機会をいただくことができました。私は、身近なところから県政を見詰め直してみた場合、当然のように思われているものでも問題を抱えているのではないかと思われる水、安全、そして電波に関して数点お伺いすることといたしました。私なりに一生懸命行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、通告しておりました事項について、順に質問いたします。
 最初は水に関した質問であります。
 我が国にとって、昨年は過去最大の渇水の年でありましたが、世界的に見ましても、人類は渇水の危機に直面しつつあるようであります。先ごろ、世界銀行が発表いたしました報告書によりますと、世界の人口の約4割に当たる20億人以上が恒常的な水不足に直面しているほか、水質の悪化により、10億人が安全な飲料水を確保できないでいるとのことであります。昨年の我が国の渇水状況についてでありますが、国土庁の95年版水源白書では、昨年からことしにかけての渇水で、1度でも水道の減圧給水や時間給水などの影響を受けた人は全国で1、583万人で、過去最大の渇水であったとしております。岩手県の場合、春先の小雨、梅雨明け後の連続真夏日38日という過去最高の猛暑、しかもまとまった雨はなしという状態で、特に県南地方に渇水被害が出ました。飲料水では、前沢町における給水制限がありましたし、水田にひびが入り稲が赤く枯れてしまったりした水稲被害は全体で3、000ヘクタール、このほか畑作物にも影響が出ました。本県の場合、森林が豊かで河川も清らかであることから、水量の確保に関しては心配ないような気もいたしますが、公共下水道整備に伴う水洗トイレの普及などに見られる生活様式の変化による水需要の増加、工業用水の利用増大等が予測されます。何といっても、水利用の約9割は農業用水ですが、これは節約するというわけにはまいりません。全県的に見た場合、水需要はどのように推移してきているか、そして今後の予測と水資源を確保するための対応策について知事の御所見をお伺いいたします。
 次は、水の質的な面について、飲料水と河川の水に分けてお伺いいたします。
 本県の水道普及率は約85%で、全国平均を10ポイントほど下回っているようであります。市部と町村部との格差は依然として開いたままで、特に水道普及率が50%に達していないところが6町村もあります。徐々に普及が図られていくと思いますが、一部には広大な面積を有する本県の場合、この程度で精いっぱいではないかとも言われております。水道普及率の今後の見通しについてお伺いいたします。同時に、水質の向上も期待するものでありますが、県内の水道水の水質についてお伺いいたします。
 水道水の水質基準が実に35年ぶりに改定され、2年ほど前に施行されました。単においしくないという理由によるものではなく、源水の有機物と塩素が反応してできるトリハロメタンを削減したり、新たな化学物質、有害物質を抑制するための改定でありました。水道事業者である各市町村では、さらに安全でおいしい水の供給を目指すことになったわけであります。にもかかわらず、ここ数年の傾向として、ミネラルウォーターや天然水なるものが売れるようになってきており、県内産のものも7種類ほどが名水として販売されております。大体1リットル200円程度で、牛乳とほぼ同じくらいの価格です。これは、盛岡の水道料金の約1、700倍で決して安くはありませんが、よく売れております。また、家庭には塩素やトリハロメタンなどを除去する浄水器なるものが普及し始めております。こうした現象は、水道水への信頼が低下してきているためと見るべきか、あるいはおいしい水と言われるものがブームとして一時的に売れているにすぎないととらえるべきものかお伺いいたします。
 本来、人体にはよくない塩素を殺菌のために希釈して使用していますが、浄水方法としてはこの塩素滅菌が一般的であります。おいしくなくて当然であります。しかし、最近、花巻市ではオゾンで滅菌し活性炭と併用する浄化法とか中空糸膜を利用した浄化法を試験的に行っており、私はこの先駆的なものを非常に関心を持って見ておりますが、保健行政の立場から、このような浄化法に対しどのような御所見をお持ちかお伺いいたします。
 安全な水道水を求めるには、その水源であるダムや河川の水質保全は重要な問題であります。環境庁の昨年の調査では、県内の河川の90%はおおむねきれいな水ということですが、一方で大変汚い川として大船渡の須崎川、宮古の閉伊川、西根の赤川が挙げられました。それぞれの河川は始めから終わりまで汚いというわけではなく、一部であったと理解しております。また、東北地方建設局の昨年の1級河川の調査では、きれいな河川の東北第2位は胆沢川でしたが、ワースト2位は一関の磐井川ということだそうです。岩手の河川といえども、汚いところは汚いという結果であります。河川の水質浄化のための基本的な対策は下水道の普及ですが、この磐井川流域の下水道普及の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、住民生活の安全についてお伺いいたします。
 最初に、子供の事故防止についてでありますが、自分や他人の命を大切にするということがまだよくわかっていない時期の子供が、いじめたりいじめられたりして命を断ってしまったという事件が依然として後を絶ちません。いわゆるいじめ問題、校内暴力であり、これらと深く関連する不登校問題であります。深刻な現状は歯どめがきかず、県内でも新聞、テレビ等で時々報道されているとおりであります。子供は大人の鏡とか言われ、大人の社会がゆがんでいるからだと言ってしまえばそれまでですが、将来のある子供たちのこと、何とか健全に育成したいものであります。報道される各種の調査では、全国的にますます悪化する傾向にありますが、本県におけるいじめの問題や不登校の現状は最近どうなっているのかお伺いいたします。
 我が国の教育がピラミッド型社会をつくるため、1割か2割の人間を選抜するための知識注入型教育に偏っていたことによる限界であり、今こそ、真に子供のための人間教育に転換する時期ではないかと思います。とはいえ、眼前のこれらの問題に今の制度内でできることを進めなければなりません。原因を究明してそれを根絶するにはまだまだ時間を要しますが、その対策の1つとして、文部省はスクールカウンセラーを配置いたしました。児童生徒対学級担任というのが古くからの基本的組み合わせでありましたが、近年は生徒指導主任とか養護教諭も、側面から児童生徒とかかわりを持つようになってまいりました。家庭が学校に頼り過ぎることはよくありませんが、子供にとっては家庭と学校がすべてであります。自分のことをよく知っていてくれて励ましてくれる人がいるかいないかは、重大なことであります。その意味で、スクールカウンセラーには大きな期待を寄せたいと思います。
 ことし、県内の小中高でも、各1校を指定してスクールカウンセラーを配置したとのことでありますが、どのような成果を上げているか、問題となることはないか、来年度からはどうしていくのか、その内容やねらいとするところはどのような点にあるのか、さらに今後の見通しについてもあわせてお伺いいたします。
 次は、子供の水の事故防止についてであります。
 大都市を流れる河川は、よくどぶ川などと言われ、子供が水遊びをするなどということは余り考えられませんが、我が岩手の場合は清流が多く、子供が川で水遊びをすることは珍しいことではありません。自然に親しみながらおおらかに育ってほしいのですが、足を滑らせて水の流れに入ってしまうということがないとも限りません。
 大分前に、NHKのクローズアップ現代という番組であったと記憶していますが、着衣泳を取り上げ放送しておりました。大学の水泳選手を使って衣服を着たまま水に入らせるのですが、ジーパンやスーツに着がえたり流れの速さを変えたりする実験を行って見せてくれました。いかに大学の水泳選手といえども、泳げたものではありません。泳ぐというより、おぼれないためにはどうしたらいいかという内容であり、大変参考になりました。子供の水の事故防止を考えてでしょうか、最近、県内の学校でも衣服を着たままプールに入らせる着衣泳を行うところが出てきたと聞いております。これを経験した子供は、ふだん着で水に入ると、水着の場合とはまるで違って怖かったと一様に感想を述べているようであります。さらに、一瞬の判断で助かるための行動ができるかとなると、これは非常に難しいようであります。このようなことは、家庭でできることではありませんので、ぜひ多くの学校で行ってほしいと念願するものであります。
 そこで、着衣泳を実施したことのある学校はどの程度あるか、実施するに当たって障害となるようなことは何か、効果はどうであるかについてお伺いいたします。
 次に、一般住民の安全確保ですが、今私どもの命を脅かしているものは、交通事故と銃器犯罪であります。交通事故による死者は、過去7年、連続して1万人を超えております。ことしも9月11日現在、既に7、000人を突破し1万人ペースで推移しています。1日に30人近くが死亡し、負傷者は約2、400人、人身事故に至らないものを加えると年間400万件であります。毎年、阪神・淡路大震災で亡くなられた倍近いとうとい人命が失われていくのに、当たり前のようにあきらめられているような気がいたしますが、果たして有効な対策はないものでしょうか。我が県は、このようにして交通事故を抑止しているといったアピールをしたいものでありますが、特に最近の死亡事故の傾向や原因を分析した場合、どのような対策を講ずべきとお考えかお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 交通戦争という表現もありますが、戦争であるならばその悲惨さ、無意味さを語り続けていかなければなりません。当事者とその家族の苦悩、負担は大変なものであります。私は10年間ほど損害保険の仕事をしてまいりましたが、いやというほど、このような場面に立ち会ってまいりました。交通事故は人災であり、啓蒙運動によって限りなく減少させることができると考えております。むごい事故現場を見れば、だれでもむちゃなスピードを出さなくなるのですが、二重事故を招かないようにと速やかに片づけられ、事故現場はまるで何事もなかったかのように修復されます。自分の身近な者が交通事故に遭うまでは、当事者の精神的苦痛、経済的負担は理解できないのであります。私は、特に若い人にこそ、交通事故の悲惨さを徹底して印象づけるべきであると考えておりますが、彼らには車の快適性、利便性、そして格好よさのみが先立ち、結果として無謀な運転で大きな事故を起こしがちであります。この予防には、家庭の責任ももちろん大きいのでありますが、そのほかに運転免許取得年齢直前の中高生に対し有効な指導を期待したく、この点に関して教育長に御所見をお伺いいたしたいと思います。
 生命を脅かすものとして、ほかに銃器犯罪が挙げられます。外国の銃器犯罪に対しては、随分と病んだ社会だなとよそごとのように見ておりましたら、御承知のとおり、最近我が国でも銃器犯罪が頻発するようになりました。日本の国はこんなはずではなかったと、国民は胸を痛めているところであります。かつての暴力団同士の対立抗争に伴うものは減少し、市民生活、企業活動等を対象とした事件の発生が目立ち、銃口が一般市民に対して向けられるようになり、しかも大都市だけのものではなくなってまいりました。県内でもことし、銃を捨てたとか駅のコインロッカーに置いてあるとかの通報で警察官が駆けつけたところ、そのとおり発見されたとのニュースがありました。一般市民のだれかが拾って引き金を引いたらと思うと、背筋が寒くなります。これまで治安がいいと思っておりましたが、凶悪犯罪の影が、今、市民生活の中にひたひたとしかも確実に忍び寄ってきているような気がいたします。一たび失った安全を回復するには、長い時間と努力が必要となります。我が県は、銃器犯罪に対してはこう立ち向かうといった方針を、警察本部長にお伺いいたしたいと思います。
 いわゆる銃刀法によって、禁制品となっているにもかかわらず、押収されるけん銃の数は増加しております。警察白書によりますと、昨年の暴力団以外からの押収は全国で500丁余りで、全体の3割近い数であります。だれがどこから持ってくるのかわからないだけに、無気味であります。さらに無気味なのは、銃器に対する国民の抵抗感の希薄化であります。総理府がまとめた銃器問題に関する世論調査によりますと、74・2%の人が銃器犯罪は今後も悪化すると思っていながら、8・6%の人が自分も撃ってみたいと思っているとのことであります。20代男性に至っては、31・5%が撃ってみたいと願望を持っているようであります。銃器犯罪の防止に住民の理解と協力が不可欠と思われますが、世論調査の結果がこうでは思いやられるという気がいたしますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 最後に、ラジオの受信状態に関してでありますが、県が放送局を直営しているわけではないのでお伺いしにくいのですが、あえて若干の質問をお許しいただきたくお願い申し上げます。
 今日の私どもの生活を見た場合、テレビ、ラジオの存在というものは非常に影響力が強くなっております。また、公共性も大きいためか、県では県内の民放各社に出資しているようであります。昨年までは民放4社への合計が8、300万円で、出資割合は1・0%ないし5・0%と決して高くはありませんが、県民を代表して株主として発言するには十分な比率ではないかと思います。また、これまでテレビ朝日系の番組は一部のケーブルテレビでしか見ることができませんでしたが、先ごろ株式会社岩手朝日テレビが創立総会を終えたようであります。視聴可能世帯の約9割をカバーして、来年の10月の開局に向けてスタートした旨発表されました。これで県内にも代表的民放がそろうことになり、さらに情報化が進むような気がいたします。しかし、放送局がふえてもテレビ難視聴地域の県民にとっては何の意味もないことは、去る6月議会で須藤議員が指摘したとおりでありまして、便利な地域がさらに便利になり、地域格差が増幅されるばかりであります。須藤議員がテレビ難視聴の解消を迫り、増田知事がこれに前向きな答弁をしておりますので、私としては県内のラジオの受信状態に関しての質問のみといたしたいと思います。
 常にテレビを通して情報を得ることができる方にとっては、たかかラジオという程度のものかもしれませんが、テレビ難視聴地域あるいは車を運転している時間の長い方にとっては、ラジオは貴重な情報源であります。このような認識に立ち、先月20日、公明岩手県本部の市町村議員で一斉に県内のラジオの受信状態の調査を行いました。先に結果を申し上げますと、概してよくないのは、県北、沿岸、そして北上山系の山合いの地であり、県内のラジオ電波の受信の難しさを改めて認識いたしました。仕事をしながらあるいは車を運転しながら聞いたりするというように、ラジオは非常に生活に密着しております。また、停電も伴う災害時には、携帯ラジオが貴重な情報源となります。台風、洪水、津波、山火事などの災害は所構わず突然やってまいります。このような意味で、せめてラジオは県内全域どこででも聞くことができれば安心であり、防災上も有効であります。さきの阪神・淡路大震災では、水と携帯ラジオの重要性が見直されましたが、岩手では、携帯ラジオがあっても用をなさない地域が多いというのが実態であります。テレビだけではなく、ラジオについても地域間格差がはっきりしていますが、さまざまな地域間格差の縮小を目指す知事の御所見をお伺いしたいと思います。また、県は岩手放送及びエフエム岩手に出資していますが、これまで株主として改善を主張した経過があるかどうかお伺いいたします。
 ラジオのFM波は音のよさから音楽番組が多く、直接的な生活情報源とは言えませんが、FMの聞けないところには若者は住みたがらないと思います。前述の私どもの調査では、このFM波の届き具合が多くの町村では余りよくないということが指摘されました。一方のAM波は、おおむね受信可能ではありますが、前述のとおり、県北、沿岸の一部、そして北上山系では難聴は解消されておりません。ラジオでは県からのお知らせ、県庁だよりを放送していますが、県ではどの程度受信されていると把握しているか、もし仮にラジオの受信状態に関する資料がないのであれば、速やかに調査をし、しかる後に放送事業者に対して中継アンテナの設置等を求め、場合によっては県として補助などもすべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、カーラジオの関係で3点について御提言申し上げますので、これらに対する御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 1つには、先ほどの地域間格差と重複することになりますが、幹線道路は山間地でもラジオを聞けるようにすべきではないかということであります。例えば、去る7月31日午後3時、突然津波警報が出されましたが、このような場合、北上山地を車で沿岸に向かっている者にとって、ラジオからの情報は重要なものでありました。情報から隔絶されるということは怖いことでありますので、さらなる充実を期待いたします。
 2つ目は、長いトンネルについてはラジオ受信設備を考えてはどうかということであります。東北自動車道のトンネルについては御案内のとおり設置済みでありますが、一般道では長いトンネルでは受信は困難であります。防災上の観点からも必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 第3として、道路沿いへの周波数の表示板の設置であります。ドライバーにとって、自分の日常生活圏以外でラジオを聞くためには、それぞれの地域の周波数に合わせるわけですが、周波数の変わる地域にはその表示があれば非常に有効であります。放送事業者にその設置を働きかけてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 重ねて申し上げますが、さきの阪神・淡路大震災その他の災害で、万一の場合、携帯ラジオがとても役に立つということを多くの人が証言しております。我が岩手でも、せめてラジオだけはどこででも受信できるという状態にすべきであると思いますが、これに関してのお考えをお伺いいたします。
 以上で、私の登壇しての質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小野寺好議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、水資源確保対策についてでありますが、申すまでもなく、水は多様な生態系を支えるとともに、人間社会にとっても重要かつ基本的な資源でありまして、その確保は重要な課題でございます。このような認識のもとに、本県におきましては昭和54年に岩手県水需給計画を策定し、水資源開発などを計画的に推進してまいりました。さらに、経済社会情勢の変化などに対応すべく、現在、平成8年度を初年度として、平成22年度を目標年次とした新しい水需給計画の策定を進めているところでございます。
 お尋ねのありました全県的な水需要量の推移につきましては、昭和58年には30億2、400万立方メートルというものが、農業用水の減少などから減少の傾向を示しておりまして、平成5年には29億6、000万立方メートルとなっているところでございます。今後におきましては、具体的には新しい水需給計画の中で明らかにしてまいりたいと考えておりますが、水需要量は、年間、おおむね30億立方メートル程度で推移していくものと見ているところでございます。
 また、水資源を確保するため、長期的展望に立って水源地域の保全、ダムによる安定的な水資源の開発、特に地表水が不足する地域を中心とした地下水の利用調査、さらには水質の保全を図るほか、水が限りある資源であるとの観点のもとに、県民全般に節水意識の高揚を図るなどのさまざまな施策を推進してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、ラジオの難聴地域の解消についてでございます。ラジオ放送が県民文化の向上、本県産業経済活動の活性化、さらには防災対策にも大きく寄与する主要な情報伝達媒体であり、これら難聴地域の解消は重要な課題であると、このように認識をしているところでございます。本県におきましては、電波の届きにくい山間地が多いという地理的な特性に加えまして、放送に利用されている電波の特性やカーラジオなど、利用形態の多様化などの面から難聴問題が生じやすく、その解消には費用の面のみならず、技術的な分野でも対応の難しいさまざまな問題がございまして、県内にはラジオの受信状態の思わしくない地域が存在しているところでございます。
 ラジオの難聴地域の解消は、放送法に定められるとおり、基本的には放送事業者の責務となっているところでありまして、県におきましては、県内どの地域にあっても良好な状態で受信できるよう、各放送事業者に対しまして従前からその改善を求めてきたところでございますが、今後におきましても、さらに改善努力を強く要請してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承お願いいたします。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、本県の水道の普及率についてでありますが、平成5年度末で85・9%となっており、全国平均の95・3%に比較し低い状況にあります。これは広い県土に集落が散在していることから、管の布設延長が長くなる等建設費が割高になることが主な要因と考えられます。しかし、平成5年度までの過去5年間について平均した水道の普及率の年間の伸び率は、全国平均の0・2ポイントに対し本県では0・9ポイントとなっており、全国に比較し大きな伸びを示しております。
 今後における水道施設の整備につきましては、山間地域及び水源の乏しい地域が多い等の困難な課題がありますが、県といたしましては、関係市町村と一体となって国庫補助金の確保に努める等により、一層の整備を進め、水道の普及率向上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、水道水に対する信頼性の問題についてでありますが、全国的には、カビ臭等の異味異臭やトリハロメタンが問題となり、その結果、国民の水道水に対する信頼が低下していると言われているところであります。一方、本県においては、水道原水がおおむね良好に保たれている状況にあることから、安全でおいしい水が供給されているものと理解しております。今後におきましても、品質管理や施設の維持管理の徹底により、安全でおいしい水の供給が行われるよう、市町村等を指導するとともに、関係機関と連携して水道水源の水質の保全が図られるよう努めてまいる所存であります。
 次に、オゾン及び活性炭による浄水処理についてでありますが、オゾンは酸化による有機物の分解等に、活性炭は異味異臭の原因物質、農薬などの化学物質、トリハロメタン及びその前駆物質などの吸着による除去に効果があり、一般的には、急速ろ過との組み合わせにより活用がなされているところであります。
 また、新しい浄水技術であります中空糸膜などを利用した膜ろ化につきましては、凝集剤の注入が不要な場合もあり水質管理が容易となることから、常時監視を行いにくい比較的小規模な水道のろ過方法に適しているとされているところであります。このようなことから、それぞれの原水の水質、浄水施設の建設費、維持管理の難易度、経済性等を総合的に勘案し、その水道に適した浄水方法を導入するよう各市町村等に指導してまいりたいと考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 磐井川流域の下水道の普及状況と今後の取り組みについてでありますが、河川の水質浄化を図り、生活環境の改善のためには、下水道は極めて有効な施設でありますので、県といたしましても3県総において、その整備促進を県政の重点施策の1つに掲げ、整備促進に積極的に取り組んでいるところであります。磐井川流域につきましては、昭和57年に流域下水道事業として事業に着手しましたが、県が処理場と幹線管渠整備を行い、一関市と平泉町が面整備を実施してきたところであります。平成2年度からは一関市の一部地域が供用開始されておりますが、平成6年度末の下水道普及率は、10・3%と県内平均の約半分程度の低い整備状況にあります。しかしながら、一関においては、既に駅前の市街地の面整備がほぼ概成しているところであり、今年度からは、新たに磐井川左岸の山目地区の整備に着手したところであります。
 さらに、平泉町におきましても、来月の1日──10月1日から役場周辺地域が待望の供用を開始する運びとなりましたので、今後は着実に整備が促進されるものと期待しているところであります。御指摘にもありましたように、河川の水質浄化のためには、なお一層下水道の整備を進める必要がありますので、県におきましても、引き続き事業予算の確保に努力するとともに、今後とも関係市町村を指導しながら、その普及拡大に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) ラジオの難聴地域の解消についてお答えいたします。
 まず、放送事業者の株主として難聴地域の解消を求めてきたかとのお尋ねでありますが、御案内のとおり、ラジオの難聴地域の解消は、基本的にはテレビ同様、放送事業者の取り組むべき責務でありますが、県といたしましては、これまで株主としての改善要請はいたした経緯はございませんが、行政の立場で、県が出資しております事業者のみならず、県内のすべての放送事業者に対して、県内のどの地域にあっても良好な状況でラジオ放送を聞くことができるように、その改善を求めてきているところであります。
 次に、県からのお知らせ番組であります県庁だよりの聴取状況についてでありますが、県がこの番組について特定した調査は実施しておりませんけれども、放送事業者からそれぞれの実情を聴取するなどの方法によりまして、当該番組を含む全放送について時間帯ごとに、その実態把握を行ってきております。これによりますと、午前7時過ぎからの県庁だよりの時間帯の聴取率は6%前後、午後3時過ぎは5%前後とそれぞれ把握しているところであります。
 また、ラジオの難聴地域の解消については、電波は昼夜の違いとか、季節とか気象条件などの影響を受けやすく、また、外国電波との混信など技術的な難しさの問題に加えて、御提言のありました中継アンテナにつきましても、経費的にも莫大な資金が必要となるなど、困難な問題が多いと伺っているところでありますが、県といたしましても、放送事業者に対し、お話のありました点も含めて、引き続き改善努力を要請してまいりたいと考えております。
 なお、御提言のありました長いトンネル内におけるラジオの受信施設の設置につきましては、県内でも道路管理者において、東北自動車道や国道での長大トンネルに対し既に7カ所の設置がなされておりますほか、今後もさらに多くの設置が予定されているなど、その促進が図られるものと考えております。
 また、周波数の表示盤の設置についても、一部の放送事業者において、周波数の変わる主要な路線において17カ所設置されているなど、既に御指摘のような取り組みがなされているところであり、また、近年、周波数の変化に自動的に対応できます自動選曲装置つきのカーラジオなども普及しつつあります。なお、御提言の趣旨を各放送事業者に伝え、カーラジオ利用者の利便の向上を図ってまいりたい、このように考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 子供の事故防止についてお答えいたします。
 まず、いじめの問題や不登校を含む登校拒否の現状についてでありますが、本県におけるいじめの発生件数は、県教育委員会の調査では、平成6年度、小学校119件、中学校120件、高等学校43件、特殊教育諸学校2件、合わせて284件であり、前年度に比較して増加しております。いじめの主な内容は、冷やかし、からかい、仲間外れ、言葉でのおどしなどとなっております。
 また、平成6年度の登校拒否による30日以上欠席の児童生徒数は、小学校127人、中学校574人、高等学校533人、合わせて1、234人であり、全体としては前年度より減少しております。登校拒否の主なタイプとしては、情緒不安型、何となく登校しない無気力型、さまざまなタイプが重なり合う複合型などとなっております。
 次に、スクールカウンセラーの配置についてでありますが、いじめや登校拒否などへの対応に当たっては、学校におけるカウンセリング機能の充実を図ることが重要な課題であることから、新たに臨床心理士などの専門家を委嘱し、具体的な事案への対応を通して校内における教育相談、生徒指導のあり方について調査研究を行っているところであります。
 なお、スクールカウンセラーの具体的な活動は本年9月から開始いたしました。調査研究期間が2年間と定められているものであり、その具体的な成果については今後に待たなければならないところであります。
 もとより、学校における適応指導は、児童生徒と教師の信頼関係を基本として行わなければならないものと考えておりますが、最近の事案は複雑で重度化しており、専門的な指導、助言が必要となってきております。県教育委員会といたしましては、こうした状況にかんがみ、既に小児科、産婦人科、精神科の医師、児童福祉専門家、弁護士などからなる学校適応指導支援チームを設置し、二カ月に1度ミーティングを行い、具体的な事案解決に要する、有効かつ適切な情報の取りまとめと提供を行い、学校に対する指導の支援に努めてきたところであります。引き続き児童相談所など関係機関との連携強化を図りながら、学校適応指導の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、着衣での水泳指導についてでありますが、平成6年度は、小学校52校、中学校14校、高等学校4校で実施いたしております。県教育委員会といたしましては、着衣での水泳は、児童生徒に泳ぎにくさを身をもって経験させ、水の事故を未然に防ぐための貴重な体験学習と認識しており、実践事例を県教育委員会で発行いたしております広報紙に掲載するとともに、本年度の事業実施に向けて開催した、学校安全指導担当者会議で、学校の条件が許す限り小中学校で取り組むよう指導したところであります。
 なお、着衣での水泳は、児童生徒に、みずからの安全をみずから確保する力を身につけさせるため、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中高校生に対する交通安全指導についてでありますが、各学校では、交通安全をテーマとしたパネル、ビデオ、映画などを利用し、交通事故の悲惨な状況などを理解させるとともに、中学生には、自転車の安全な乗り方指導、高校生のバイク免許取得者には、実技指導を通して交通安全意識の向上を図るため、継続的に交通安全教育を実施いたしているところであります。
 また、県教育委員会といたしましては、指導者である教員の交通安全意識の一層の徹底と指導技術の向上を図るため、交通安全指導者講習会を開催し、安全教育の充実に努めているところであります。今後とも家庭、地域及び関係機関、団体と連携を図りながら、交通安全教育を積極的に推進してまいる考えであります。
   〔警察本部長石川正君登壇〕
〇警察本部長(石川正君) 最初に、交通死亡事故抑止対策についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、全国における交通情勢は極めて厳しい状況にありますが、本県におきましては、幸いなことに昨年まで4年連続して死者が減少してきており、本年も官民一体となっての事故防止活動により、昨日現在、死者78人と、対前年比で29人、27・1%の減で、減少率では全国第2位となっております。最近5年間における交通死亡事故の傾向といたしましては、国道4号の事故が増加していること、高齢者の死者が増加傾向で推移していることが挙げられます。また、事故の原因では、速度超過と前方不注視が最も多く、この両方で半数を超える状況にあります。このようなことから県警察といたしましては、特に国道4号対策と高齢者対策を重点に取り組んでいるところであります。
 まず、国道4号対策としては、南北187・7キロメートルに及ぶ国道4号の全線について、死亡事故発生現場とその周辺道路における道路管理者との協議を行い、交差点改良等を初めとした各種対策を積極的に実施しております。
 また、交通死亡事故に直結する悪質違反については、昨年比6割増と強力な取り締まりを行うとともに、夜光反射材の効果体験学習等の各種交通安全教育を集中的に実施しているところであります。これらの諸対策により、国道4号では、対前年比で10名、36%の死者数の減を見ております。
 次に、高齢者対策としては、医師や僧侶、公民館長等による交通事故防止アドバイザー活動、高齢者の運転適性診断による個別指導、地域の道路環境、交通事故実態等を踏まえた体験型、参加型の交通安全教育等を実施しているところであります。昨日現在、高齢者の死者数の減少は、残念ながら3名と必ずしも際立った成果を上げておりませんが、今後とも各種高齢者対策を地道に、そして強力に推進してまいりたいと存じます。
 次に、銃器犯罪対策についてお答えします。
 御案内のとおり、けん銃による犯罪被害者が本年は既に全国で28名を数えております。市民生活の安全に重大な脅威を与えております。政府においては、内閣を初め警察庁等の関係省庁が一体となって、銃器対策を治安対策の最大の柱として諸対策を推進していると承知しております。
 県警察といたしましても、本年1月に銃器対策室を設置し、また、9月5日には私を長とする総合対策本部を設置して、組織が一丸となってけん銃の摘発やけん銃使用犯罪の未然防止に取り組んでおります。この結果、本年は、過去最高を記録した昨年1年間の10丁とほぼ同数のけん銃を押収しているところであります。特に本県は、東北6県では最も多くの山口組系暴力団員が存在していることから、強い対決意識を持って暴力団犯罪の捜査を強力に推し進めてまいりたいと存じます。
 総理府の実施したけん銃等の銃器問題に関する世論調査につきましては、46%の方が銃器問題に対する関心が低いという結果となっておりますので、けん銃の拡散実態や犯罪実態を県民に広く訴えていく必要を痛感しておりまして、あらゆる警察活動の機会にけん銃に関する広報を行っております。
 また、警察本部にフリーダイヤルの銃器110番を設置して、情報の収集及び発信に努めております。けん銃のはんらんは、安全と言われた日本社会を根底から脅かすものでありますので、一層徹底した総合的対策を推進し、けん銃の根絶を図る決意であります。
〇4番(小野寺好君) 2点ほど再質問いたします。
 最初に、水道水の方ですけれども、先ほどの御答弁では岩手県の水道水は大丈夫だと、そういった御答弁でしたけれども、1つ気になるんですが、特に岩手県の場合、水道が急激に普及したのが昭和30年代に入ってからだと思います。そのころは各自治体で余りお金がなく、しかも大量に入る材料ということになると、鉄管、鉛管、石綿セメント管、そういったものが大量に使われたと思います。それが今になって老朽化してきていると、あるいは石綿セメント管などについては御承知のアスベストという問題がありますが、各自治体ではこれを取りかえるということになると、全く財政的に大変な状況に置かれていると思います。この水道管に対してどのような県としては対策をお持ちか、お伺いします。
 それからあと水資源の関係で、これは質問した場合ちょっと御答弁大変かと思いますので、提言という形にしたいと思いますが、余りに生活用水を水道水に頼るというのはちょっと問題だと思いまして、全国的には、例えば有名なものが蔵前国技館で雨水を上手に利用して使っていると、そういったことがありますし、あと最近では東京の杉並区で昔ながらの井戸を小中学校の校庭に掘ると、こういったことをまた始めたりとかしております。こういったこともこれからまた考えていいのではないかと思いますので、提言という形で申しておきたいと思います。
 それから、ラジオの関係ですけれども、今回の補正予算の中に、テレビの難視聴に対しては補助金が少し措置されておりましたけれども、ラジオのこういったものに対する補助というものはどうなのか、ないんだよみたいなことを聞きましたけれども、少し考えてもいいんじゃないかなと思いますが、これに対して御返事いただきたいと思います。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 老朽化した水道管の近代化についてのお尋ねでありますが、国庫補助事業として石綿セメント管更新等事業という事業が計上されております。これは給水人口が5万人未満、用水単価が130円以上、管路延長が石綿管で1割以上である、厚生大臣が認める石綿管の更新事業につきまして、用水単価が190円以上では3分の1、用水単価が190円未満130円以上では4分の1の道管につきまして補助事業を行うものであります。そのほかにも一定の基準を満たす、例えば石綿管、セメント管、並びに布設後20年以上経過した鉛管、ビニール管等につきましては、近代化事業と呼ばれる補助事業を実施しております。平成7年度におきましても約20の市町村におきまして石綿管更新の事業をしておりますが、今後ともこれらの事業の促進を図ることによりまして、石綿管等の水道管の更新に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) ラジオの障害に対する補助はないのかというお尋ねでありました。これにつきましても、事業名を申し上げますと、民放中波ラジオ放送受信障害解消事業というのがございまして、これは民放の受信を障害を生じている地域、過疎地域等におきまして鉄塔あるいは局舎、あるいは無線設備を設置する場合に、国が3分の1、県が5分の1、市町村が15分の7というふうな補助割合です。そういう事業がございますが、これについて最近、東北地域における適用例と申しましょうか、導入例を申し上げますと、平成4年度に秋田県の本庄市で、海岸地域において外国からの混信が多い地域、世帯数は1万7、000世帯ほどでありますが、そこの混信防止のために導入したという経緯はございます。
 もう1つ申し上げますと、例えばお話のありました中継塔のお話でありますが、概算、ちょっと数字を申し上げますと、例えば中波ラジオのミニ中継局をつくる場合に、用地としますと100メートル掛ける100メートル、つまり1ヘクタールの用地が必要であり、そして高さが約45メートル高くする。そして出力100ワットというふうなことにした場合、その周辺に360度に1度ずつアースを埋め込む必要がございますが、そういった諸経費が用地費を除いて約1億円かかるというふうなことになっております。そうした場合の効果でありますけれども、半径7キロという効果があります。そういうことでテレビの場合と違いましてラジオの場合には非常に効率的な面から見てもすぐれているというか、そういう言い方はできない面もございまして、これについては昨年山形でやっぱり中波の導入というか、混信のために導入したという経緯はあるようでありますが、この詳細についてはまだ把握いたしておりません。いずれこういう制度はあるんであります。そういうことでもしも地域でそういうお話があるとすれば、県としてもそれに対して相談に乗るとか、あるいは放送事業者に一緒に相談するとか、そういう取り組みをしてまいりたい、このように考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時44分 散 会

前へ 次へ