平成7年9月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇24番(久保田晴弘君) 日本社会党の久保田晴弘です。
 私は、この4年間、県政のかかわりについて申せば、在野の人間でありました。この時期、政局は激動の渦中にあり、こうした情勢の中、選挙戦を戦い、おかげさまで県議会に議席を再び与えていただきました。初心に立ち返って議会活動に務めてまいりたく思いますので、各位の御指導のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 早速本論に入らせていただきます。
 まず、県勢発展の基本目標と県政運営のあり方について質問いたします。
 第三次岩手県総合発展計画は、平成3年11月21日に発表され、時の工藤知事は発表に当たって、次のその基本目標を、豊かな自然の中に、活力と希望にあふれ、心のふれあうふるさと岩手の創造といたしました。これは、本県が持つ自然環境を大切にしながら、地域の個性や特色を十分に生かして、物心ともに豊かな地域社会の形成を目指すことを宣言したものであります。我が党は、この基本目標を是認し、3県総推進計画を基本的に受け入れ、毎年、部門別施策について提言をしてまいりました。知事は、3県総の基本的目標をどのように受けとめられておるのか、具体的質問に入ります前に、まず御所見を伺います。なぜなら、本年度が中間年次に当たり、後期実施計画の策定作業が日程に上っている時期にあること、特に、増田県政発足の時にかんがみ、その見直しと色づけがあるものと思います。知事選挙公報で述べられている決意、課題、基本姿勢、政策の重点及びさきの知事演述に照らし、後期対策の基本が定まるものと思いますので、質問の冒頭にお尋ねする次第です。
 以下、具体的に伺います。
 第1点は、3県総中間年次における計画の主要指標に対する達成状況と見通し、並びに後期実施計画策定の視点についてであります。
 長期低迷の経済と税収の落ち込み、景気不況の長期化と雇用不安、先行き不安だらけの農業を初めとする第1次産業の衰退、また、現政権に対置する増田県政の様相など、本県を取り巻く環境が厳しいだけに、計画の目標達成ができるのか懸念されているのでありますが、現状での見通しをお尋ねします。
 また、後期実施計画策定に向けての視点についてもお伺いします。
 第2点は、県に対し各市町村が毎年恒例として行う要望、陳情に対する知事の対応と、県政懇談会等における意見、提言等への対処についてであります。
 県内市町村長が、知事及び関係部局に毎年度行っている要望、陳情のあり方について検討し、見直しすべきではないかということであります。要望時期が集中する余り、特に、知事の会見時間が短時間に制約され、ともに意を尽くせられない感を抱いております。知事は、かかる要望について十分な日程を調整し、知事みずからが市町村の要望をじっくり聞く余裕を持つべきと考えますがいかがですか。
 また、さきの県政懇談会は、増田知事にとって初の体験であったわけですが、懇談会に臨まれた御感想などを伺います。
 さらに、会場でいただいた意見、提言に対し、どのように受けとめ、今後どのように対処していくお考えか、御所見を伺います。
 第3点は、行財政運営の改善にかかわる基本的方策についてであります。
 本題につきましては、行政改革推進懇談会の中間報告によって示されているところでありますが、第三次岩手県総合発展計画の推進、地方分権の推進に伴う国からの権限委譲、環境の保全や文化の振興、さらには、人に優しいまちづくりなど、事務事業の増大が予想されます。これら行政需要に積極的に対処するためには、定数増と職員の資質の向上という適正な職員管理が不可欠と言えます。そこでまず、県勢発展を期する体制の整備に関し、御所見を伺います。
 次に、最近、地方自治体の食糧費等の支出について、全国的にいろいろな問題が指摘されていますが、いわゆる官官接待も含めました食糧費のあり方について、知事の基本的認識をお伺いをする次第です。
 私は、食糧費の執行について、これを全面的に否定するつもりはありませんが、大事なことは、食糧費が適正に執行されているかどうかであります。ともすれば、あしき慣習に流される一面を持ち合わせているのではないでしょうか。県民が不信の念を抱いているのも、実はこのことに目を向けていられると思うからであります。本県におきましても、食糧費のあり方について、原則に立ち返り、謙虚に反省すべきは反省し、既に他県において改善を図っている事例を参酌しながら、抜本的改善に努力する必要があろうかと思います。
 そこで伺いますが、知事は、今年度残り下半期の対応及び来年度の予算を編成する上で、この食糧費のあり方をどう反映なさるお考えなのか、お伺いをいたします。
 第4点は、本県の平成8年度政府統一要望に関することについてであります。
 このことにつきましては、本年6月、執行部、議会が一体となり、県選出国会議員を初め、関係大臣、省庁に対し一斉に行っているのでありますが、要望している最重点要望事項に対しての各省庁の概算要求の内容について、また、この間、県としていかなる方法、手段をもって情報収集に努めてこられたのか、お尋ねをいたします。
 次に、農業問題、なかんずくウルグァイ・ラウンド対策及び新いわて農業にかかわる対応について質問をいたします。このことに関しましては、私が所属する当議会の農林水産常任委員会及びウルグァイ・ラウンド合意対策特別委員会において、また、農政審議会において論議されているところでありますが、私はあえてこの場で取り上げますのは、最近、地域農業の担い手である人たち及び認定農業者の人々から問題提起されております以下の3点についてであります。
 まず、圃場整備事業の実施に伴う農家負担の軽減方策についてお尋ねをいたします。
 近年、県は、各地域で積極的に圃場整備事業を実施しているところでありますが、特に、私の出身地の花巻地方においては、早くから30アール区画を標準とする県営圃場整備事業が行われ、さらに、最近では1ヘクタール規模の大区画圃場整備が盛んに進められているところであります。ところで、最近の大区画圃場整備事業などは、従来の事業制度に比べ農家の負担割合や償還利率などに軽減措置が講じられていると聞いておりますが、早くから圃場整備の必要性を認識し、従来の事業制度で実施した地区の農家にあっては、最近の新しい事業に比べ農家負担の割高感を強く抱いているところであります。このことが地域営農の推進に大きな障害を来していると思われることから、完了地区に対しても農家負担の軽減方策を講ずる必要があると思いますが、この件について県の御所見をお伺いします。
 次に、中山間地域指定のことについてであります。
 国は、特定農山村法に基づき地域を定め、また、県においては、特定農山村地域活性化推進方針をもって、快適で潤いのある農山村社会の形成を図るべく施策の展開を計画しています。しかし、一部区域が対象になっている市町村内にあっては、自治体内で均衡を欠く状況にあり、他にも地域指定を妥当とする箇所が存在しているとの指摘があります。県においては、これらの地域について実態を調査され、制度の適用を考慮し、同一市町村内における均衡を図る必要があるものと考えます。市町村内のうち一部地域が区分指定されていることのほかに、実態に即して新たに区分指定すべきが妥当かと思いますが、このことについての御見解を伺います。
 次に、中山間地域の位置づけと施策に関してであります。
 現行では、中間地域と山間地域を包含した地域づけをしているわけです。しかし、県全体の33%を中間地域が占め、50%を山間地域が占めていることからして、それぞれ独自の施策の展開があってしかるべきと思います。したがって、中間地域、山間地域を明確に区分し、それぞれの地域に即した推進方針を示すことが肝要と思いますがいかがでしょうか、御所見を伺います。
 次に、総合防災及び災害対策について質問いたします。
 第1点は、本県の総合防災訓練のあり方について取り上げます。
 9月1日、防災の日、遠野市を会場に45の防災関係機関、一般市民ら8、000人が参加して行われたと報じられています。地震による被害を想定し、ライフラインの復旧、倒壊家屋からの被害者救出、近隣市町村からの広域応援活動など、新たな特色を盛り込んだ訓練であったと、その成果が評価されています。関係されました各位の御苦労に敬意を表します。この日の県総合防災訓練、地震災害発生に備えた訓練の成果から、防災計画を見直す視点として何を教訓とすべきと受けとめておりますか、その御所見を伺います。
 また、震災、津波、火災、風水害、がけ崩れなど、予想される災害に備えた訓練と心得は、日ごろから行われなければなりませんが、県は、防災の日を一過性の行事に終わらせないために、各市町村がそれぞれの課題を持ち、全県で一斉に訓練するよう指導すべきではなかったのか。今後の防災訓練のあり方について伺います。
 第2点は、災害時における避難場所や避難施設の安全性について触れます。
 阪神・淡路大震災においては、避難場所として学校、公民館等の公共施設が多く充てられたことは記憶に新しいところであります。本県においても、災害発生時における避難場所や避難施設として、それぞれの市町村地域防災計画に、県や市町村が設置する体育館、公民館等を指定しているのが一般的であり、これらは耐震性に配慮し、安全性を確保した施設と認識しているところでありますが、1981年に施行された新耐震設計基準以前の建築物には、耐震性に問題あるものもあると考えられます。ついては、防災上重要なこれら施設の安全性を図るため、県は耐震性の確保についてどのように取り組まれるのかお伺いします。
 第3点は、消防、救急体制のことに付言します。
 災害発生時に、緊急初動体制が敷かれているかどうかが問われています。つまり、常備消防体制と救急体制の確立が不可欠とされていますが、市町村及び一部事務組合の現状は、消防、救急出動が同時に要請された場合、人的配置が決定的に不足しているため、本来の機能を発揮できないとの指摘があります。消防、救急業務にかかわる市町村の対応は、同時災害発生時に対処するための基礎的条件を満たしていないとさえ言われています。配置基準に対し、現行の人員配置の充足率はどの程度になっているのか。県として、配置基準に満たない市町村に対し、いかなる指導と支援をしていくつもりなのか伺います。
 また、この際、本県消防団の体制の現状と課題についてもお尋ねをします。
 第4点は、航空消防防災体制の整備についてであります。
 県においては、今般、広域的、機動的な消防体制を確立するため、ヘリコプターを配備する計画が進められています。現状において対応できなかったことを補い、飛躍的に防災、災害対策に機能を発揮するものと期待されています。機種選定に当たって最も重要視している点は何でしょうか。飛躍的な機能を発揮する場面はどのような状況を想定しておりますか。機種購入の手順、必要人員、装備及び維持管理体制について伺います。
 次に、環境保全対策及び保健所の機能強化に関し質問をいたします。
 その1つは、いわてクリーンセンター・えさしクリーンパーク、いわゆる産業廃棄物処理モデル施設の完成についてお尋ねします。
 施設設置計画があった初期の経過を承知している1人として、その完成を注目をしておりました。完成に導いていただいた関係者各位の御努力と御労苦に感謝と敬意を表したいと思います。公共関与の全国初の廃棄物処理センターでありますので、施設の内容、その管理運営のあり方、処理工程、施設と地域との調和など、全国的に注目を浴びているものと思われます。施設の管理運営に係る専門技術者ら人的配置のこと、経常経費の見通し、関係団体、業界に対する適正利用の指導、監督の体制について伺います。
 あわせて、本県において、今後、産業廃棄物処理施設を、当モデル施設に準じ県北地域にも設置が必要と考えますが、その構想をお持ちですか伺います。
 次に、いわゆる容器包装リサイクル法の施行に関して取り上げます。
 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律が本年6月に制定されました。廃棄物処理法の改正に次ぐ法律の制定であり、ごみゼロ社会を目指して第一歩を踏み出したことになります。法律の制定によって、廃棄物行政の担い手である自治体の責任が一段と重くなりました。資源ごみの分別収集をしている自治体は、全国で4割、ごみの資源化率は4%弱と言われています。ごみを集め、焼却し、捨てるといったこれまでの廃棄物行政を大胆に見直す時代になったのであります。法第6条及び第9条は、県の責務及び分別収集促進計画を定めることについて規定をしています。よって県は、この規定を受け、新たな廃棄物行政の推進に当たらなければなりませんが、いかなる手法、手順を持って市町村と連携した作業を進めるのか、今後、市町村を指導していく体制をいかに整えていくのか、法制定に伴う対応を伺います。
 次に、保健所設置の基本的考えについてお尋ねします。
 地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的指針によりますと、都道府県が設置する保健所の所管区域は、2次医療圏とおおむね一致した区域とすることを原則とうたっています。この原則によりますと、本県は、現行の保健所設置箇所は、15保健所から9保健所に大幅に縮小されていくことになります。本県の保健所設置の歴史的経過をたどりますと、地域の実態を見きわめ、住民の熱望を考慮して設置されてきたと承知しています。このことによって、市町村の保健医療活動に大きく貢献してきましたし、本県の保健医療行政の効果を地域全体に広める役割を果たしてきたのであります。私たちは保健所の存在意義を見失ってはなりません。このたびの保健所縮小計画は、本県の保健所が果たしてきた戦後50年の歴史と実績評価を無視した机上プランであり、到底認めがたいものがあります。現行の医療圏の設定が、必ずしも保健サービスを提供する体制の確保を図る趣旨で設定されていないこと、ましてや、保健所設置の基本をねらいとして設定されたものではなかったはずであります。保健所設置の圏域は、保健所が担う環境衛生、食品衛生、公害の防止、医事・薬事等の対物保健にかかわる業務が支障なく、より円滑に行われるよう、広大な県土に均衡した圏域を定め、その上で、人口、高齢化率、面積、医療・保健関係機関の設置、地域の事業活動の状況、現状の主管業務の実績、関係団体の所管状況など、地域の特性を考慮して設置し、その機能を強化していくべきものと考えます。きのうの質問に引き続き御見解を伺います。
 次に、教育制度の課題とその対応について質問をいたします。
 第1は、学校週5日制の実施に伴う課題についてであります。
 学校週5日制の趣旨は、子供たちの生活にゆとりと生きがいを持たせ、心豊かでたくましく生きる人間を育成することにあると言われております。以下、次のことについて所見を伺います。
 まず、学校週5日制は、学校以外の場、つまり、地域と家庭が一体になった受け入れる場と環境が整っていることが不可欠であり、特にも、青少年の健全育成にこたえる体制の整備が大切であります。受け入れの環境と担い手の中心は、地域住民と密接な関係にある公民館活動であろうと考えますが、近年、その活動が必ずしも十分とは言いがたい状況であり、その活性化を図るためには、社会教育主事の育成と配置が必要と考えるのですが、いかがでしょうか。
 次に、現行学校週5日制の実施は、週6日制を基本として制定された学習指導要領を受けているため、本来のゆとりが確保されていないということを聞いております。ゆとりが確保されていない原因は、指導要領が改訂になっていないからなのか、県教委の指導の不徹底からくるものなのか、学校長の管理運営上の問題なのか、現場教育の自主性の問題なのか、教育長は、現場のゆとりの確保がないとの声をどのように受けとめていますか。この際、改めて学校週5日制のあり方について御所見を伺います。
 第2は、岩手県立大学(仮称)の設置に伴う入試制度のことについてであります。
 県立大学の整備に関する基本構想は既に策定され、作業が具体化されていることを承知しています。構想によりますと、本県高等教育機関の収容力の向上を目指すなど、ともに支え、ともに生きる、人間性豊かな社会の形成に寄与することを設立の趣旨として、平成10年4月の開学を目指しています。本県の高等教育の現状は、収容する教育機関が少なく、特に、国公立大学への門が狭められていたのであります。以下、次のことについて伺います。
 まず、本県に有為な人材を定着させるため、県内普通高校及び職業高校からの入学枠、推薦枠を設定するなど、県立大学と県内高校との連携強化を図り、入試制度に新たな創意を凝らし、県民による、県民のための、県民に開かれた高等教育のとりでとして運営されることを期待するのでありますが、入学者の選抜についての基本的な構想をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、勉学に意欲のある人々に、夜間における授業や通信による教育により、県民に学習の機会均等を保障する経営と運営を確立してほしいものであります。特に、看護学部、社会福祉学部等にかかわる勤労者に門戸を開き、新たな意欲を持つ人材を創出することに寄与することを期待するものであります。御所見を伺います。
 第3は、大学入試、高校入試、そして教育制度のことについて端的に伺います。
 まず、高校入試制度を、希望者の全員入学を可能にするよう抜本的に改善し、中学教育が受験競争によってゆがめられないよう制度の見直しを検討するつもりはありませんか。
 また、高校の学校間格差を解消すべきと思いますが、どうですか。
 あわせて、公立学校と私立高校の教育費の負担格差を解消する施策を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 最後でありますが、大学進学のことについて触れます。
 大学進学の問題点は、大学ランクを念頭に置いた、いわゆる受験偏差値教育に生徒を追いやっていることであります。大学で何を学ぶのかの目的意識を持たせ、入れる学校に生徒を選別して押し込んでいく進学の指導のあり方を改めることではないでしょうか。その手始めとして、本県の高校と大学が、教育連携を密接にとっていく環境を確立することが肝要かと思うのでありますが、御所見をお伺いをいたします。
 以上をもちまして質問を終わりますが、答弁の内容によっては再質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 久保田晴弘議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、3県総の基本目標に対する所見についてでございますが、3県総におきましては、21世紀に向けて県勢の発展を図るため、その基本的な目標として、豊かな自然の中で1人1人がはつらつと活動し、心が触れ合う、真に豊かな生活の実現を目指して、新たな郷土岩手の創造に取り組んでいくことを掲げているところでございます。本県は、広大な土地、緑豊かなかけがえのない美しい自然、さらにはすぐれた人材をはぐくんだ風土に恵まれるなど、無限の可能性を秘めておりまして、私は、こうした豊かな自然やすぐれた環境を大切にしながら、本県の発展可能性を最大限に引き出していくことが、県勢の発展を図る上で最も重要であると考えておりますが、このような考え方は、3県総の基本目標と軌を一にするものと、このように考えているところでございます。したがいまして、私は、今後におきましても、本県が直面している新たな課題や今後の経済社会情勢の変化にも積極的に対応するなど、活力に満ちた夢あふれる県土づくりに全力で取り組んでいく考えであります。
 次に、県政懇談会に臨んだ感想と御意見、御提言への対処についてでございますが、現地の雰囲気に接しながら、県民の皆様から、県政に関するさまざまな御意見や御提言を直接お聞きするとともに、きめ細かに地域の実情を把握することが私は重要であると、このように考えているところでございます。このため、できるだけ早い機会に県内の全市町村で県政懇談会を開催したいと考えており、8月22日の二戸市を皮切りに、これまで県北、沿岸地域を初め、内陸の10市町村で開催をしてまいりました。この間、それぞれの会場で多数の方々の御参加を得て、多くの示唆に富んだ御意見、御提言をいただき、それぞれの地域において、県民の皆様が地域の発展を考え真剣に取り組んでいる姿に接し、大変心強く感じたところでございます。これら多くの率直な御意見や貴重な御提言につきましては、これを真摯に受けとめ、関係部局において検討し、積極的に県政に反映させてまいりたいと考えております。
 次に、食糧費のあり方についてでありますが、食糧費の支出については、それが公費をもって賄われていることから、当然のこととして簡素かつ公正を旨として、節度ある対応と法の定めにのっとった適正な予算執行を図ることが必要であると認識をしているところでございます。このため、職員に対しましても、私は庁議などの機会を通じ、従前にも増して食糧費の厳正な執行を確保するよう指示をしてきたところでございます。また、平成7年度下半期の食糧費につきましては、今般、予算の20%の執行を保留する措置をとることとしておりまして、さらには平成8年度の予算措置に当たりましても、これを可能な限り抑制する考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、3県総の中間年次であります平成7年度における計画の主要指標の達成状況と見通しについてでありますが、まず、県人口につきましては、平成5年以降増加に転じまして、平成6年10月1日現在、141万6、736人と推計されまして、計画の見通しを上回って推移してきているところでございます。また、経済指標につきましては、平成元年度から平成7年度までの年平均の実質経済成長率を4・2%と見込んでおりますが、平成元年度から平成4年度までの実績は、見込みと同じ4・2%で推移をいたしております。しかし、平成5年度以降につきましては、県民所得推計の実績がまだ出ておりませんけれども、近年の景気動向から見ますと低下が懸念されるところであります。さらに、県民生活に関する44の指標の平成5年度の実績を見ますと、人口1人当たりの都市公園面積、身体障害者雇用率、乳幼児健康診査受診率、高校進学率など、10の指標が平成5年度で既に中間年次の目標を達成しているほか、市町村道改良率、新規学卒者の県内就職率や特別養護老人ホームの定員数、大学進学率などが目標に向けて着実に進捗しております。以上、申し上げましたように、他の一部の指標に若干のおくれは見られますものの、全体としておおむね順調に推移してきている、このように考えております。
 次に、後期実施計画策定の視点についてでありますが、計画の策定に当たりましては、既に3県総に掲げております環境の保全と創造、若者の定住促進、長寿社会への対応、科学技術の振興と高度情報化の推進、国際化の推進、さらには地域文化の振興などの視点に十分に留意をいたし、前期実施計画の進捗状況を踏まえながら経済社会情勢の変化に適切に対応するほか、特にウルグァイ・ラウンド合意の実施や円高の進行による地域経済への影響あるいは安全な県土づくりなど、新たな課題に積極的に取り組むとともに、公共投資基本計画など国の動向をも十分見きわめながら、現在、鋭意、作業に取り組んでいるところでございます。
 次に、政府予算統一要望の最重点要望事項に係る各省庁の概算要求の内容とそれらの情報収集についてでありますが、まず、最重点要望21項目の概算要求の状況につきましては、東北新幹線盛岡以北の早期完成を初め、ウルグァイ・ラウンド対策の推進、北上川の清流化確保など、16項目についていずれも全国枠ではありますが概算要求に反映されておりまして、特に新規といたしまして、岩手大学への大学院工学研究科博士課程の設置を初め、地域高規格道路の計画路線であります宮古盛岡横断道路のうち、簗川道路の事業採択などが盛り込まれたところであります。
 なお、国立大学や国立博物館などの設置を要望します5項目につきましては、予算外要望、すなわち8年度予算に直接関連するものではなく、中長期的な視点に立って要望を重ねているものでございます。
 次に、概算要求に係る情報収集につきましては、各部局におきまして、それぞれあらゆる機会をとらえて各省庁に対して要請を繰り返し、その実現を図っているところでありますが、その状況把握のほかに、東京事務所におきまして日常的に情報収集活動を行っているところでございます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、市町村の陳情等への対応についてでございます。
 県といたしましては、知事自身の意向も踏まえまして、知事ができる限り機会をとらえて県民の皆様と語り合い、幅広く御意見をお聞きするように努めてきたつもりでございます。特にも、県内各市町村からの要望、陳情がある場合には、日程上、可能な限り時間をとってお会いしながら、御意見等をお聞きするということを基本としてまいったつもりでございます。ただ、できる限り多くの市町村の方々にお会いするためには、他の公務との関連もあり、やむを得ずその時間がある程度限られることもございます。正直なところ、例えば総務部長が、知事に10分以上の時間を割いてもらうというのも実際問題、割合と少ないものでございます。そういう事情もございますけれども、今後とも、日程調整などにも十分意を用いまして市町村の方々を初め、県民の皆様の御意見を幅広く承る機会を大切にしたいと考えております。
 次に、県勢発展を期する体制の整備についてでありますが、職員の配置につきましては、これまでも事務量や新たな行政需要の動向を把握し、それに応じた定数管理に努めてきたところであります。今後におきましても、事務事業の見直しや点検を行いながら各般の施策を円滑に推進できるように、適正な定数配置やあるいは組織体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 また、職員の資質の向上につきましては、これまで職務段階及び経験年数に応じた基本研修に加え、職員の創造性や政策形成能力の向上を図る観点から、民間との合同研修あるいは英会話等、講座制の研修などを実施しているところであります。また、職員が幅広い視野を持って国際的感覚なども身につけるという観点から、中央省庁、自治大学校、ジェトロなどへの派遣研修あるいは海外への派遣研修を実施しております。今後とも、研修内容の一層の充実を図りながら、多様化する行政ニーズに積極的かつ柔軟に対応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、総合防災訓練のあり方についてでありますが、本年度の総合防災訓練の成果と反省点につきましては現在取りまとめを行っているところでありますが、例えば広域応援要請訓練におきましては、近隣の市町村、消防機関等に対して応援要請を行い、実際にこの要請に基づく活動訓練を現地の地元機関と合同で実施したところでありまして、関係機関の協力体制の確立に一定の成果を上げたものと考えております。
 また、職員非常招集訓練におきましては、県庁舎あるいは振興局等でありますが、こういったところから一定の範囲内に居住している職員を対象に、徒歩あるいは自転車による招集訓練を行いました結果、30分以内に95%の職員が参集するなど、職員の動員配備体制の見直しに当たりまして1つの検討材料が得られたものと考えております。こうした各訓練の成果につきましては、現在、修正作業を進めております地域防災計画にも、積極的に反映させてまいりたいと考えております。
 また、今後の総合防災訓練におきましては、参加機関の拡大やより実践的な訓練となるよう、訓練内容の充実に努めますとともに、各市町村においても防災週間における訓練などを初めとして、防災関係機関、住民、企業等が一体となって地域の実情に即した訓練を実施するよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、消防職員の充足率等についてでございます。本年4月1日現在の消防職員は1、761人、消防力の基準に対する充足率は62%となっております。このため、県といたしましては、機会をとらえて消防職員の計画的かつ適正な人員配置を指導しているところであります。
 また、消防団の態勢についてでありますが、本年4月1日現在2万5、819人、基準に対する充足率は96%となっております。ただ、課題といたしましては、消防団員のサラリーマン化あるいは高齢化といった状況が見られるところでありますので、これらへの対応を図っていかなければならないと考えております。
 次に、航空消防防災体制の整備についてでありますが、機種の選定に当たりましては、本県が広大な面積を有すること、また、過去において津波、水害、林野火災等の災害に見舞われていること、こういった事柄を十分考慮に入れなければならないと考えております。また、その活動分野につきましては、災害状況の把握、遭難事故における捜索、救助、あるいは救急患者の搬送等、広範囲にわたる活動を期待しているところであります。
 購入手順につきましては、今議会で予算案の御議決をいただきますれば、その後機種を選定いたしまして、12月の県議会において財産の取得議案を提案したいと考えております。
 人員につきましては、市町村の消防機関から10名程度──これは交代制勤務でありますので、1機でございましてもこの程度の要員が要るわけでありますが──10名程度の消防職員の派遣を受けるとともに、空中消火装置あるいは急病人等の搬送用の担架、救出用の資機材など、多様な活動に対応できるよう、必要な装備品を備えることとしております。
 なお、運航及び整備につきましては極めて専門性を有する業務でありますので、航空会社に委託する方向で検討をしているところであります。
 次に、県立大学の入学者の選抜についてでございます。
 県立大学は国際的視野を持ちつつ、地域に立脚し、地域に誇りを持って真に豊かな地域社会を形成する、いわばあすの岩手を託す人材の養成、こういったものを基本理念としております。こういった理念に沿った多くの優秀な学生を確保することが、大変重要であると考えております。このため、入学者の選抜に当たりましては、専門高校卒業者をも含めた推薦入学制度の導入を検討いたしたいと考えております。また、従来の一般的な学力試験に偏ることなく、小論文や面接試験などを通じて学生の個性、資質、意欲等、多様な潜在能力にも配慮してまいりたいと考えているところであります。
 次に、県民に開かれた大学ということについてでありますが、県立大学は、県民に広く開かれた本県の学術文化活動の拠点として、地域社会へ貢献する使命を担っているものであることから、県民の多様な学習ニーズや職業人を対象としたリフレッシュ教育への期待の高まりなどを踏まえまして、社会人入学を初め、科目等履修生、さらに将来的には昼夜開講制など、勤労者等の学習意欲にこたえるよう、その受け入れ方策について検討を進めておりますほか、社会人学習センターの設置、公開講座の実施、図書館等の大学施設の開放など、県立大学における教育、研究の成果を地域に還元してまいりたいと考えているところであります。
 次に、公立高校と私立高校の教育費の負担の問題についてでありますが、県といたしましては、これまでも私立学校を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえながら、運営費補助を初め、各般にわたる助成措置を積極的に講じてきたところであります。特にも、私立高校に対しましては、これまで特色ある教育事業に対する補助の充実を図ってまいりましたほか、昨年度からは経営改善推進事業に対する補助を県単独で創設するなど、助成の充実に努めているつもりでございます。今後におきましても、厳しい財政事情のもとではありますが、私立高校の運営や施設整備に要する経費についてできる限りの助成措置を講じ、教育条件の向上、学校経営の安定並びに父母の経済的負担の軽減に資してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) まず、圃場整備事業の農家負担の軽減方策についてのお尋ねにお答えいたします。
 現在実施しております圃場整備事業の農家負担につきましては、農用地の利用集積や大区画化を条件として農家負担金に無利子資金を導入するなどの仕組みで実施しているところであります。また、既に圃場整備が完了した地区にありましては、償還金が一定水準を超える場合、負担の平準化を進める償還対策事業が実施されているところでありますが、さらに平成7年度から新たに担い手への農用地の利用集積を進めることを条件に、償還金の一定部分について償還利率が3・5%まで低減できるよう利子助成を行い、農家負担の軽減を図ることとしたところであります。県といたしましては、今後ともこれらの制度を積極的に活用しまして、完了地区の農家負担の軽減と償還の円滑化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、特定農山村法の対象地域についてでありますが、この対象地域の指定に当たりましては、耕地面積に占める傾斜地面積の比率のほか、林野率、農林業の従事者比率等について一定の基準を定め、これを満たす市町村のほか、さらに市町村単位では、基準に該当しない場合であっても、同様の基準を満たす旧市町村について国が指定しているものであります。こうした対象地域は、農林業センサスや国勢調査など、直近の統計データに基づいて指定されているものでありますので、新しい統計が出た時点で、その基礎となる数値が変更された場合には指定の見直しが行われるものと存じております。
 次に、中山間地域の区分についてでありますが、中間地域と山間地域は傾斜地が多く、まとまった耕地が少ないなど農業の生産条件が類似しており、また、農業労働力の減少、高齢化などの共通した課題を抱えておりますので、平場地域とは異なった対策が必要な地域として一体的にとらえられているものであります。しかし、中山間地域の実態を見ますと、特に山間地域を中心に、耕作放棄地の増加や集落機能の低下などの進度が早まることが懸念されますので、実際に対策を講ずるに当たりましては、地域地域の実情を十分に踏まえて対処することが重要であると考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 災害時における避難施設の耐震性の確保についてでありますが、さきの阪神・淡路大震災による建築物の被害状況は、昭和56年に施行された現行の耐震基準以前に建てられた古い建築物については、被害程度が大きいことが判明しております。したがいまして、今後、大地震が発生した場合の被害を減少させていくためには、それらの建築物について耐震性の向上に向けた改修を進める必要があると考えております。
 県といたしましては、現行の耐震基準以前の建築物のうち、庁舎、病院、学校等、被災後復旧活動の拠点となる公共性の高い施設や不特定多数の者が利用するホテル、旅館等の特殊建築物を優先して耐震診断及び耐震改修を実施するよう、これら施設の管理者等に対して指導してまいることといたしております。
 また、現在、国におきましては、既存建築物の耐震診断等の促進を図るため、新たな法律の制定について検討しているやに伺っており、その動向にも留意し、また、県内関係機関と十分連携をとりながら、災害時における避難施設の耐震性の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、いわてクリーンセンターの管理運営に関するお尋ねについてでありますが、財団法人クリーンいわて事業団においては、焼却施設等の運転管理について専門的な知識、経験を有する専門業者に業務を委託するとともに、技術系職員を採用、配置するなどして適正な運転管理に努めているところであります。
 経常収支の見通しにつきましては、効率的な運営と営業努力により、借入金63億円の償還を含め、採算性が確保されるものと考えております。また、関係業界に対しましては、利用案内や手引書を配布するなど、センターの積極的な適正利用について周知を図るとともに、搬入に際しましては専任の職員を配置し、受け入れ審査等に万全を期しているところであります。
 さらに、県北地域への設置についてでありますが、県といたしましては、このモデル施設に準ずるような処理施設が業界みずからの努力により、他の地域においても逐次整備されることを期待しているところであります。
 次に、いわゆる容器包装リサイクル法制定に伴う対応についてでありますが、この法律の施行手順は、国が制定する基本指針等に基づいて各市町村が分別収集計画を、さらには各都道府県が分別収集促進計画を策定することとなっております。しかしながら、現在、この基本方針等は国において検討中であり、県といたしましては、これらが策定された後に各市町村に対し、地域の実情を勘案しながら分別収集計画を策定するよう指導するとともに、説明会の開催と情報交換の促進等により制度を円滑に機能させ、ごみ減量化の成果を上げていくよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、保健所設置の基本的考え方についてでありますが、このたびの地域保健制度の改正は、母子保健、老人保健などの身近で頻度の高い保健サービスは市町村で行い、精神保健、難病対策、食品の監視指導などの専門的、技術的、広域的な業務は保健所で行うこととし、ある程度の集約化を通じて、全体として保健所の機能強化を図るということが基本的な考え方であります。現在、県としましては、環境保健部内に検討組織を設け、保健所の配置を含めた保健所機能強化策について、地域保健法の趣旨を基本としつつ、本県のさまざまな特性を勘案しながら検討を進めているところであります。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 学校週5日制の実施についてお答えいたします。
 学校週5日制の月2回の実施に伴い、国が平成7年6月に実施した学校外活動実態調査によりますと、遊びや学習の場所に関する情報を求める児童生徒が半数近くに及んでいるということが明らかになっております。県教育委員会といたしましては、既に本年度から5日制対応授業の1つである地域少年わんぱく広場開設事業において、遊びや学習の場に関する情報を県内の全児童生徒に2カ月ごとに提供し、効果的な活用に資しているところであります。5日制下における学校教育の状況とあわせて考えますと、これら5日制につきましてはおおむね順調に推移しているものと考えております。お尋ねのありました公民館につきましては、学校週5日制への対応や生涯学習の推進など、公民館に寄せる期待は一層高まっているところでありますが、社会教育主事等の配置につきましては、それぞれの市町村の考え方に基づくものと認識しているところであります。
 次に、学校週5日制に伴うゆとりの確保についてでありますが、県下の各学校においては、指導内容の重点化、行事の精選など、学校教育全体の見直しを行った結果、小中学校では年間の授業時数や指導内容が従前と比べて過重になったという状況にはないとの報告を受けているところであります。
 また、高等学校におきましては、指導内容の精選や指導方法の工夫などに努め、ゆとりの確保に配慮しているところであります。
 次に、高校入学者選抜制度の見直しについてでありますが、御指摘のありました希望者全員を希望する高校に受け入れることにつきましては、各学校の定員枠を定めないことが前提となり、受け入れる高校の施設設備や教職員配置の面から現実には困難であります。
 また、入学者定員を定めた場合には、学校間で入学者の調整が必要となり、結果として生徒が希望する高校に必ずしも入学できないことが想定されるものであります。このようなことから現行制度の改善につきましては今後も取り組んでまいりますが、制度の抜本的な見直しについては考えていないところであります。
 また、学校間の格差ということにつきましては、学校の個性化、多様化という観点に立ち、学校の特色というとらえ方に立っているものであります。
 次に、高校の進学指導と大学との連携についてでありますが、高等学校における大学等への進学指導は、生徒みずからが将来の希望や適性によって進学先を決め、その進路希望を達成させるための援助であると考えております。このような考え方に立って県教育委員会といたしましては、生徒の大学訪問、それから大学教官を講師とする講演会などを内容とする、高等学校キャリアガイダンス充実事業の実施を通して、生徒自身に目的意識を持たせる進路指導が行われるよう、各学校を指導しているところであります。
 また、高校と大学との連携につきましては、岩手大学農学部が主催し、岩手県高校・大学教育連携推進協議会などが後援する獣医学を語るヤングフォーラム、同大学工学部が主催する高校生のための化学への招待講座などが実施されておりますが、これらの公開講座は進路指導上期待ができるものであることから、今後とも引き続き連携に努めてまいりたいと考えております。
〇24番(久保田晴弘君) 再質問させていただきます。
 まず、知事からいわゆる食糧費のことについての御答弁をいただいたわけであります。基本認識についても触れられておるわけでありますが、今後の対応として20%削減することなど、抑制の基調に基づいての御発言がございました。各県の対応それぞれ異なるわけでありますが、本県としての自主的な判断というのは特に求められるものと思います。そこで、この機会に副知事にお尋ねすることを大変恐縮に思いつつお尋ねしたいのでありますが、中央省庁に在職しておりました方からこの機会にお尋ねした方が素直な気持ちとしてはございます。
 そこで、大変恐縮ですがお答えいただきたいと思いますが、官官接待の問題は、いわば招く方と招かれる方とに相互に問題ありと見なければなりません。そういう意味で、招かれる側にある中央省庁の経験者である副知事から見まして、この官官接待の問題についてどのような所感をお持ちでございましょうか。今後の県の対応について、そして今後も私どもがこの問題について議論する際の参考になればと思い、お尋ねする次第です。
 次に、総務部長に再びお伺いすることになりますが、防災計画の中にありますヘリコプターの導入にかかわってのことであります。
 既にヘリコプターを導入して整備しておる青森県や宮城県の事例についておわかりであれば知りたいのでありますが、出動日数、出動目的、こうしたことについてどういう、救急活動もあわせて災害出動をなさっておるのかの実態を調査をしていると思いますので、お聞かせいただきたいのであります。
 本県の場合、災害出動を要しない場合の救急活動をどのようにするかということは、有効活用の面からして大事なことであります。とすれば、当然市町村との関係において、これらの受け入れの状況というものをあらかじめ点検しておく必要があろうかと思います。そうした予定される計画についてどのような具体的な対策を講じておられるのか、この機会にお伺いしたいわけです。
 常備消防の状態についてお答えをいただきました。触れておりますように基準に対して62%の充足であります。いかに初期行動において十分な体制がとれないかという実態が既にこのことでわかるわけであります。速やかな人員補充の体制というものを関係市町村に対して御指導していただかなければいけない事態ではないかと思うのでありますが、いかがな御指導をなさるおつもりでございますか、お伺いをする次第です。
 次に、環境保健部長にお伺いをいたします。
 保健所のことにつきましては、これまで何回か答弁をいただきましたが、全く同じ御答弁の繰り返しをいただいておるわけでありまして、私の提起していることは、本県の特殊性というものをどうとらえているかという面を率直にやっぱり判断していただきたいのであります。部長はかつて厚生省におって、この種の直接の関係に携わった方だと伺っておるわけでありますが、そうした面からすれば本県の実態というものをつぶさに眺めてみて、本当に国の計画というものが実態に合うものであるのかどうなのかということを、率直にやっぱり御判断していただきたいわけであります。本県の果たしてきた保健医療の役割というものを、これはまさに戦後50年の歴史の積み重ねによって設置されてきたものであり、このことを抜きにして私は安易な統廃合は行うべきでないという観点に立つからであります。いま一度お考えを述べてください。
 産業廃棄物処理施設の関係についてでありますが、県北については無理だという、はっきり言えばできませんというお答えをいただいたような気がしますが、果たしてそれでいいのかという疑問であります。お答えの中では、関係業界の皆さんの自主的な努力で設置をということでありますが、それでは到底私は均衡を失することになるなと思うのであります。このことについて前向きに十分な検討をなさることが必要です。それは関係業界の皆さんと十分なお話し合いをしていくことが必要であり、十分そういうものを受けて対応していただきたいなと思います。所見があれば伺いたいのであります。
 以上の点について再質問をさせていただきました。
   〔副知事吉永國光君登壇〕
〇副知事(吉永國光君) いわゆる官官接待の問題について、招かれる側の中央省庁の側からの所感を述べよとの仰せでございますが、私自身、今まで海外勤務とかあるいは国際関係の仕事が多うございましたこともありましてか、いわゆる新聞報道されているような官官接待は受けたことはございません。特に地方公共団体からの会食というのはまず記憶にございません。素直にというか、体験に基づいた所感をまず述べられないのをお許しくださいませ。
 私が中央官庁にいましたときの経験から言いますと、例えば国際会議についての日本国の方針を決めるときに、各省庁間で非常に激しいやりとりをして調整をしているときに、まあ晩飯でも食おうやということで、外務省とか通産省の課長と、夜、食事をして、お互い腹を割ってどこかにその方針がまとまるといったようなこともございます。また、ニューヨークにおりましたときも、昼食の席でアメリカの銀行監督当局から日本の金融機関の状況について率直な指摘を受けたこともございます。そういうことからいたしますと、私自身は情報交換の場としての節度ある会食を伴う懇談というものそのものの必要性は、否定できないのではないかと考えておる次第でございます。
 中央省庁と地方公共団体の関係につきまして考えました場合におきましても、歳入を非常に上回るいろんな要求が出ているときに、それを調整していくときに、どの項目に一番重点があるのか、あるいはその項目の深い内容をさらに昼の通常のヒアリング以上のことで聞きたいと思うような場はやはりあるわけでございます。そういったのはやはりできるだけ昼の場でまず聞くというのが第1でございましょうが、どうしても昼、時間がとれないときに、昼または夜そういうふうな場を設けるということはあるのかと思います。ただ、私の経験からしますと、それはその辺、霞が関のあたりの、普通私ども職員が行きますどこかの食事の場でやりますし、会費制にしたりいろんな工夫をして行っていくものかと思うわけでございます。
 新聞報道にあるような、これはほかの県の事情だと新聞が伝えているわけでございますが、1回の会食が10万円近くになるとか、五、六万円のワインを使うといったようなことは、これは全く言語道断なことだと思いますし、これは住民票をこちらに移しました岩手県民としての所感でもございます。そういうふうな過度にわたらない範囲で一般的に行われるものについては、節度を持って行っていくことの必要性、これは否めないというのが私の感じでございます。食糧費については適正に執行して、いささかも県民の不信のないようにしていくものと思っております。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、ヘリコプターを既に配備している先進県の事例について聞き取りましたところを御報告申し上げます。
 青森県の事例でありますが、ことしの4月から9月25日までの実績によりますと、山岳遭難で4日、海難救助で3日、林野火災で1日、災害調査で1日、合計9日というふうに聞いております。それから、宮城県の場合、これはもう少し前から導入しておりますので、平成6年度の実績ということでございますが、災害調査で6日、林野火災で11日、救急搬送で5日、救助活動で5日、広域応援活動、これは阪神・淡路大震災だそうですけれども、広域応援活動で21日、合計48日というふうに聞いているところであります。
 それから、災害出動を必要としない場合には、救急等への活用が図られるのでそれをどうやっていくのかという点についてでありますが、当然のことながらヘリコプターの活用に当たりましては、災害時はもとよりでありますけれども、災害以外でありましても救急の患者あるいは負傷者、こういった方々の搬送のために活用できる限り活用したいというのが我々の願いであります。このため実際の運用の場合、これは正直申し上げてこれから運用の際その都度試行錯誤する面が必要だと思いますけれども、現在、地域防災計画には県内のヘリコプターが離発着できる場所が211カ所予定されております。この場所だけでいいのかどうかということも含めまして、やはりヘリを活用する場合には、ヘリを活用すべき事象のあるところの近くにヘリが近づけませんと活動がしにくいことですから、そういった離発着の場所の検討も含めまして、ヘリが従来以上に──従来というか、従来の他県での実績を上回るような活用ができるような方法を講じてまいりたいと考えているところであります。
 それから、もう1点、消防職員の人員の補充をということについてでございます。
 県におきましては、この消防力の整備は、各市町村におきまして、市町村の消防計画といったようなものの中で計画的に整備を図っていっているわけでありますが、県としてはこれを3年に1回ほどフォローしております。前回平成5年度にそういう意味のフォローをしたわけでありますが、その時点では平成5年からの5カ年間で220人の増員を図るというような計画が市町村の全体での姿でありますが、示されておったわけでありますが、この次は平成8年度にはまたこれをローリングで見直すという節目がございます。こういった機会をとらえながら、それぞれの市町村の実情に即した消防職員の充足率の向上、これを指導してまいりたいと存じております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、保健所の廃止についてのお尋ねでございます。
 特にこの運用といったものが本県の実態に沿うものかといったようなお尋ねであったかと思います。先ほど申し上げましたように、基本的考え方として、法の趣旨を踏まえながら本県のさまざまな特性を総合的に勘案して検討を進めたいということでございますが、こういう特性ということのためには本県の事情、特性をよく把握していく必要があると思います。私もまだ赴任して間もなく、まだ15保健所のうち9保健所しか見ておりませんが、できるだけ早く全保健所の状況あるいはその所管区域の状況を把握した上で検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、次のお尋ねとしましては、県北地域における産業廃棄物の設置についてのお尋ねでありますが、この産業廃棄物処理施設はモデル施設であるわけですが、特に関係業界とは、排出業者、関係団体あるいは処理業者の関係団体等と、利用その他について周知あるいは協力要請を努めてまいりましたし、関係団体からのいろんな視察などもいただいており、また、建設基金の拠出等にも御協力をいただいているわけですが、今後ともこの現在の江刺市の施設の運営を進めながら、関係業界等の御意見もよく賜ってまいりたいというふうに考えております。
〇24番(久保田晴弘君) 吉永副知事、貴重なお考えをお尋ねをできましてありがとうございました。あとは質問いたしませんが、当局の方に、食糧費問題についてこれは以下全部意見になりますから申し上げます。
 他県の例、それぞれ掌握して今後の対応していくんでしょうが、いわば本県がこれまでやってきたことの中身というものを洗いざらいやっぱり出す必要があります。どこに問題があったかがはっきりしなければいけないわけでありまして、そういう意味で私は、真剣になってこの問題について県民が納得のいくような、そういう食糧費に関して言えば予算計上があってしかるべきものだと思いますので、そういう意味で新年度及び今後の対応について十分関心を持っておりますので、そういう姿勢で臨んでいただきたいなと、こう思います。
 農政部長、私は当該常任委員会ですからこれは再質問しませんでしたが、言うなれば国の枠組みの範囲のお話だけでございまして、私の申し上げたいのは、常に申しておるわけですが、本県独自の方策というものがあってしかるべきだという観点で申し上げておるのでありまして、後日またこのことについてはお伺いをしてまいります。
 環境保健部長、本県の実態については先ほどお話がありました。十分に関係者から実態をお聞きしつつ、本県の保健行政について後退を絶対期さないというその前提で構えていただきたいと思うのであります。あなたの本庁において計画されたことを具体的に実践をされていただくことも必要ではありますが、本県の実態に立ち返って現実的対応をされることを強く要望しておきたいと思います。
 以上で終わります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、大久保豊君。
   〔7番大久保豊君登壇〕(拍手)

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