平成7年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成7年12月7日(木曜日)

1開会     午前10時5分

1出席委員   別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長         渡邊 勉
  議事課長         小国平二
  議事課長補佐       西田幸男
  主任議事管理主査     駿河勉
  議事管理主査       吉田徹
  議事管理主査       小原敏文
  議事管理主査       中澤悟
  議事管理主査       木村稔

1説明員
  林業水産部長       田尾秀夫
  林業水産部次長      合田武
  林業水産部次長      土田健治
  技術参事兼漁港課長    伊藤博
  林政課長         田頭善美
  森林造成課長       吉見眞三
  松くい虫対策室長     塩井常文
  林産振興課長       秋山英男
  木材振興対策室長     吉川保
  森林土木課長       橋本利一
  漁政課長兼全国豊かな海づくり大会推進室長  中山博文
  漁業振興課長       齊藤覺
  農政部長         佐藤昭美
  農政部次長        佐藤徳兵衛
  農政部次長        熊谷良夫
  農政部次長兼地域農政推進室長        和田正寛
  農政企画課長       和美宏幸
  農村振興課長       藤巻正耕
  農地計画課長       平野達男
  総合国営対策室長     佐々木忠正
  農地建設課長       渕沢光雄
  農業経済課長       藤沢政則
  農蚕課長         菊池宏司
  畑作振興課長       猪股正二
  畜政課長         増田直弘
  畜産課長         菊地茂樹
  地域農政推進監      佐々木正勝
  出納長          高橋洋介
  副出納長兼出納局次長   渡辺勲
  監査委員         源新義弘
  監査委員         橋本光男
  監査委員事務局長     川村禎佑
  総務課長         小野寺禎夫
  監査課長         米本清一
  財政課長         佐藤勝

〇瀬川委員長 これより本日の会議を開く。
 この際、御報告する。去る5日、菊池雄光委員から知事の出席を求める旨の発言があった件について、昨日、世話人会を開いて協議したので、その結果を報告する。
 協議の結果、知事の出席を求めないことで意見の一致を見たので、御了承願う。

〇菊池(雄)委員 せっかく世話人会でいろいろ御配慮していただいたと、その結果については私も従うけれども、ただ、けさの新聞を見ると、全会一致で決めたというようなことであるが、私の聞いている範囲では全会一致ではなかったという点があるから、委員長の発表だろうと思うんだけれども、そこは正確に発表するようにしていただきたい。
 それから、これは全員の委員会であるから、いずれ今、全員の委員会で決算あるいは予算の特別委員会をやっている都道府県がかなりあるわけであるけれども、総括質問等についてはかなりの都道府県で知事が出席をしている。御承知のとおり、市町村では市町村長が予算審議には先頭に立って答弁をしている。なぜ岩手県だけそういう聖域みたいなものを設けなければならないのか。私は常に不思議に思っているところである。これは委員長の責任でも何でもないんであるけれども、いずれそういうことはやっぱり改善していくべきではないかということだけ一言申し上げて、世話人会の決定には従うと、こういうことで、よろしくお願いしたいと思う。

〇瀬川委員長 ありがたい。
 これより議事に入る。
 認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題とする。
 本日は林業水産部及び農政部関係を終わるよう進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 最初に、田尾林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇田尾林業水産部長 それでは、平成6年度の林業水産部関係の決算について御説明を申し上げる。
 決算の御説明に入る前に、手短に平成6年度の林業水産施策の推進状況について御説明申し上げる。
 今日の林業及び水産業を取り巻く環境は、ともに輸入の増加等による価格の低下に加えて、労働力の減少や高齢化が進行するなど、依然として厳しい状況にある。これらの諸課題を克服し、本県を我が国の木材及び水産物の総合供給基地に発展させるため、平成6年度においても、平成3年に策定した林業及び水産業の基本計画に基づき、積極的に各般の事業展開に努めたところである。
 まず、林業であるが、第1に、県産材の安定供給体制の確立については、我が国の木材供給基地の建設を目指して、大規模林道等の路網整備とあわせ、地域の骨格的な林道の整備を促進したほか、アカマツなどのブランド化の促進、木材の高次加工施設の整備、公共施設等の木造化の促進など、県産材の一層の需要拡大と、生産、加工、流通体制の整備に努めたところである。
 第2に、林業の担い手対策の推進については、森林組合の広域合併の促進であるとか、高性能林業機械のオペレーターの養成を行ったほか、林業労働対策基金を活用して、林業労働者の社会保障の充実や新規参入を促進するなど、林業労働力対策の充実に努めたところである。
 第3に、多様な森林の整備については、計画的な造林であるとか、広葉樹林の整備、多様な樹種で構成される複層林の造成などを推進するとともに、森林病虫害の防除、除間伐など、森林の適正な管理に努めたところである。
 第4に、森林の総合的利用の促進については、地域の特性を生かした特用林産物の生産拡大を図るため、シイタケや木炭の生産施設の整備を促進したほか、森との触れ合いを促進するため、県民の森の拡充や地域環境保全林の整備などを行ったところである。
 第5に、林業新技術の開発促進については、林業技術センターにおいて、アカマツ材の難燃化技術の開発であるとか、バイオテクノロジーを活用したキノコ類の新品種開発に取り組んだほか、林業技術の情報センターの機能の充実や、試験研究成果の普及に努めたところである。
 次に、水産業であるが、第1に、漁業生産の安定向上については、沿岸漁業の振興を図るため、ヒラメなどの重要資源の漁場であるとか、アワビ、ウニなどの種苗生産施設の整備を行ったほか、水産技術センターの漁業指導調査船北上丸の代船建造など、基盤整備と資源の増大を積極的に進めたところである。
 第2に、資源の管理については、効果的な資源の培養や資源水準に見合った漁獲の適正化など、合理的な資源の利用管理に努めたほか、漁業取締船はやちねを中心に取り締まり体制を強化するなど、漁業秩序の維持向上に努めたところである。
 第3に、生産基盤の整備については、漁船を安全に係留するための防波堤や岸壁の整備を進めるとともに、流通加工やつくり育てる漁業を推進するための用地の造成に努めるなど、第9次漁港整備長期計画の初年度として、安全で機能的な漁港の整備を推進したところである。
 第4に、流通加工体制の整備については、水産物の安定供給を促進するため、卸売市場の整備を行ったほか、水産物の有効利用と付加価値の向上を図るため、若手加工業者の育成、サケなどの県産品の消費拡大、総合的な流通加工施設を整備するなど、水産物の中核的流通加工基地の形成に努めたところである。
 第5に、水産経営の安定充実については、漁業近代化資金及び沿岸漁業改善資金の貸し付けにより、漁業生産設備等の近代化に努めたほか、漁業担い手育成基金を活用して、漁業後継者の育成対策を行ったところである。
 第6に、水産技術の高度化については、新しく水産技術センターを開所して、水産関係の情報システムの整備であるとか、バイテク魚大量作出技術の開発、低塩分加工品の開発などに努めたところである。
 第7に、住みよい漁村の形成については、集落道や集落排水施設など、漁業集落の環境整備であるとか、漁港関連道、また、防潮堤や護岸など、海岸保全施設の整備を行い、住みよく、活力ある漁村の形成に努めたところである。
 以上が平成6年度における林業水産部の施策の概要である。
 次に、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計歳出についてであるが、平成6年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願う。
 林業水産部関係の歳出の予算現額は、6款農林水産業費のうち、14ページ4項林業費、5項水産業費及び16ページ11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部、それに12款公債費の一部を合わせた総額692億2、650万8、370円である。
 これに対し支出済額は667億6、768万6、271円、翌年度繰越額は24億5、354万7、160円、不用額は527万4、939円である。
 なお、この予算の執行率は96・4%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、この具体的な内容と特別会計については、お手元の平成6年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げる。
 210ページをお開き願う。表頭の歳出、第6款農林水産業費の第4項林業費であるが、予算現額388億2、218万余円に対し、支出済額は380億8、508万余円、繰越明許費が7億3、278万余円である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げる。212ページをお開き願う。2目林業構造改善対策費の支出済額40億2、753万余円の主なものは、林業構造改善事業費であるが、これは37地域において市町村等が実施した林道などの生産基盤及び木材加工施設などの整備に要した経費に対し助成を行ったものである。なお、繰越明許費1億507万余円は、計画調整に不測の日時を要し、年度内完成が見込まれないため、2地区の木材加工施設について繰り越したものである。次に、3目林業振興指導費の支出済額101億359万余円の主なものであるが、備考欄4行目の木材産業振興対策事業費は、製材業及び木材チップ製材業の経営安定を図るため、素材の共同購入等に要する資金を低利で貸し付ける原資を、商工組合中央金庫に預託するために要した経費である。次に、1つの事業を飛んで、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大やブランド化の推進を図るため、乾燥材の安定供給対策等に要した経費である。次に、1つの事業を飛んで、森林組合経営体質強化資金貸付金と、その下にある2つ目の林業振興資金貸付金は、森林組合の経営安定や系統事業の拡大に要する資金を、岩手県森林組合連合会に貸し付けたものである。次に、215ページの備考欄13行目の間伐促進強化対策事業費は、育成途上にある森林の整備を総合的に推進するため、集団間伐2、333ヘクタール、基幹作業道2路線の整備等に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、6つの事業を飛んで、森林計画樹立事業費は、大槌・気仙川森林計画区の地域森林計画の策定等に要した経費である。次に8つの事業を飛んで、干しシイタケ等主産地形成促進対策事業費と、次のシイタケ等原木安定供給促進資金貸付金は、県産干しシイタケの銘柄化の確立と、生産者の経営の安定を図るため岩手健康シイタケモッコリくん流通促進資金貸付金や、森林組合が行うシイタケ原木等の安定供給事業に必要な資金の貸し付けに要した経費である。次に、ちょっと事業を飛ぶが、10の事業を飛んで、県民の森整備事業費は、県民の森に隣接する国有林292ヘクタールを取得し、施設の拡充を図ったものである。次の地域環境保全林整備事業費は、健康とゆとりの森整備事業で整備を進めておる、金ヶ崎町六原地区と二戸市織詰地区の県有模範林を、県民の保健、休養の場として保全、活用するため取得したものである。次に、4目森林病害虫等防除費の支出済額2億2、750万余円は、松くい虫などの森林病虫害の防除や、五葉山周辺のシカ被害対策に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、216ページをお開き願う。5目造林費の支出済額31億1、293万余円の主なものであるが、造林事業費は、人工造林や保育事業等に要した経費に対し助成を行ったものである。次の健康とゆとりの森整備事業費は、先ほど申し上げた六原地区と織詰地区の、県民のいこいの森を整備するために要した経費である。次に、218ページをお開き願う。6目林道費の支出済額103億7、248万余円であるが、林道開設事業費は、県営37路線、市町村営18路線の整備に、林道改良事業費は、県営4路線、市町村営3路線の改良に、農免林道事業費は、県営3路線、市町村営6路線の整備に、林業地域総合整備事業費は、県営11路線、市町村営18路線の林道整備に、県単独林道事業費は、県営4路線、市町村営10路線の林道整備に、ふるさと林道緊急整備事業費は、県営21路線の高規格化を促進するための整備にそれぞれ要した経費である。次に、森林開発公団林道事業費は、森林開発公団が実施しておる大規模林道事業などに対する県負担金等である。なお、繰越明許費3億560万余円は、林道開設事業費、林業地域総合整備事業費及びふるさと林道緊急整備事業費であって、ウルグァイ・ラウンド関連で追加した事業などについて、年度内完成が見込まれないため、林道5路線について繰り越したものである。次に、7目治山費の支出済額73億2、892万余円の主なものについてであるが、治山事業費は224カ所の山地治山及び保安林整備等に、地すべり防止事業費は7カ所の地すべり防止に、県単独治山事業費は26カ所の崩壊地等の整備にそれぞれ要した経費である。なお、繰越明許費3億2、210万円は、治山事業費及び地すべり防止事業で、ウルグァイ・ラウンド関連で追加した事業などについて、年度内完成が見込まれないため、治山工事等9カ所について繰り越したものである。
 以上で林業費を終わって、次に、水産業費について御説明申し上げる。
 5項水産業費であるが、予算現額238億817万余円に対し、支出済額は226億9、588万余円、繰越明許費が11億1、143万余円である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げる。222ページをお開き願う。2目漁業構造改善対策費の支出済額37億8、472万余円の主なものであるが、沿岸漁場整備開発事業費は、水産物の生産増大のため、地先型増殖場11カ所、広域型増殖場2カ所、大型魚礁12カ所、人工礁漁場3カ所など、沿岸漁場の整備開発に要した経費である。次に、3つの事業を飛んで、沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興と経営の近代化を図るため、漁業近代化施設及び漁村環境の整備に要した経費に対し助成を行うとともに、通信連絡施設の整備に要した経費である。次に、3目水産業振興費の支出済額22億1、201万余円の主なものであるが、225ページの備考欄をお開き願う。備考欄2行目のサケ・マス増殖費は、サケ・マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げ費及び魚道の整備等を図るために要した経費に対し助成を行ったものである。次に、5つの事業を飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、釜石市及び三陸町で行ったアワビ種苗生産施設の整備等に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、2つの事業を飛んで、サクラマス資源増大対策事業費は、サクラマスの経済効率の高い放流手法を開発するため、安家川において飼育試験と放流を行ったものである。次に、15の事業を飛んで、水産加工業若手研究グループ育成事業費補助は、水産加工業の振興を図るため、若手研究グループが行う新製品開発や、試験研究に要する経費に対し助成を行ったものである。次の南部さけイメージアップ等推進事業費補助は、県の魚である南部さけのイメージアップとあわせて、本県水産物の販路拡大を図るため、関西における市場開拓等に要する経費に対し助成を行ったものである。次に、1つの事業を飛んで、水産物流通加工活性化総合整備事業費は、水産物の安定供給及び流通加工を基幹とする地域の活性を図るため、宮古市で行った流通加工施設の整備に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、6つの事業を飛んで、公海流し網漁業者救済対策費補助は、国の国際漁業再編対策により、減船対象となった流し網漁船をスクラップ処分した漁業者に対し、損失の一部を助成したものである。次に、2つの事業を飛んで、財団法人岩手県漁業担い手育成基金出捐金は、漁業後継者の育成を図るため設立した、財団法人岩手県漁業担い手育成基金の基本財産の造成に要した経費である。次に、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、栽培漁業を推進するため、種苗生産及び放流等の事業を行う、社団法人岩手県栽培漁業協会に対し運営費の貸し付けを行うとともに、種苗購入経費に対し助成をしたものである。次に、4目水産業協同組合指導費の支出済額3億6、050万余円の主なものであるが、227ページをお開き願いたいと存ずる。備考欄5つ目の漁業協同組合事業基盤強化総合対策事業費は、漁業協同組合の再編整備と事業規模の拡大を図るため、合併や事業統合等の推進、指導に要した経費である。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期、低利の施設整備資金を融資した金融機関に対し利子補給を行ったものである。次に、228ページをお開き願う。8目水産技術センター費の支出済額12億4、946万余円の主なものであるが、備考欄最後の漁業指導調査船代船建造事業費は、北上丸の代船として、最新の調査機器を搭載した新船の建造に要した経費である。次に、ちょっと飛ぶが230ページをお開き願う。9目内水面水産技術センター費の支出済額2億4、318万余円の主なものであるが、備考欄2行目の施設整備費は、養魚排水処理施設の整備に要した経費である。次に、11目漁港建設費の支出済額138億6、626万余円についてであるが、漁港修築事業費は、県営16港、市町村営3港の修築に、漁港改修事業費は、県営7港、市町村営16港の改修に、漁港局部改良事業費は、県営5港、市町村営26港の改良に、漁港関連道整備事業費は、県営3地区、市町村営4地区の整備に、海岸保全施設整備事業費は、県営9港、市町村営8港の整備に、海岸環境整備事業費は、県営3港の整備に、漁港漁村総合整備事業費は、市町村営2港の整備に、漁業集落環境整備事業費は、市町村営6地区の整備に、漁港環境整備事業費は、県営4港の整備にそれぞれ要した経費である。なお、繰越明許費11億1、143万余円は、漁港修築事業費、漁港改修事業費、漁港局部改良事業費、漁港漁村総合整備事業費、漁業集落環境整備事業費、漁港環境整備事業費及び漁港災害関連事業費で、国のウルグァイ・ラウンド関連で追加した事業などについて、年度内完成が見込まれないため、合わせて18港について繰り越したものである。
 以上で水産業費を終わって、次に、少し飛ぶが304ページをお開き願う。災害復旧費関連について御説明申し上げる。
 11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であるが、306ページをお開き願う。2目林道災害復旧費の支出済額2億3、091万余円は、過年災害及び現年災害に係る50路線の復旧事業に要した経費である。なお、繰越明許費1億4、814万余円は、工法検討に不測の日数を要したことなどから、年度内完成が見込まれないため、12路線について繰り越したものである。次に、3目治山災害復旧費の支出済額5、339万余円は、現年災害に係る林地崩壊防止施設1カ所の復旧事業に要した経費である。なお、繰越明許費4、635万円は、同施設について用地交渉に不測の日時を要し、年度内完成が見込まれないため繰り越したものである。次に、5目漁港災害復旧費の支出済額3億6、801万余円は、県管理漁港5港の復旧事業に要した経費である。なお、繰越明許費4億1、483万余円は、関連事業との調整に不測の日時を要したことにより、年度内完成が見込まれないため、5漁港について繰り越したものである。
 次に、310ページをお開き願う。12款公債費について御説明申し上げる。林業水産部関係の支出済額は、1項公債費1目元金の備考欄に記載しておる特定資金公共事業債償還元金のうち53億3、439万余円で、NTT県債の償還に要した経費である。
 以上で一般会計の歳出決算を終わる。
 引き続き特別会計の決算について御説明申し上げる。338ページをお開き願う。平成6年度岩手県県有林事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず歳入であるが、340ページの歳入合計の収入済額50億6、900万余円であるが、その主なものは、県債及び一般会計繰越金である。
 次に、支出であるが、346ページの歳出合計の支出済額は50億5、122万余円で、その主なものは、公有林造成資金の元利償還金及び新植757ヘクタール、保育1万2、692ヘクタールなどの実施に要した経費である。
 次に、348ページをお開き願う。平成6年度岩手県林業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、350ページの歳入合計の収入支出済額は、17億4、282万余円であって、その主なものは、貸付金元利収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、352ページの歳出合計の支出済額は13億9、800万余円であって、その主なものは、林業改善資金貸付金及び木材産業等高度化推進資金貸付金の原資を、金融機関に預託するため要した経費である。
 次に、354ページをお開き願う。平成6年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、歳入合計の収入済額は4億9、224万余円であって、その主なものは、貸付金収入である。
 次に、支出であるが、356ページの歳出合計の支出済額は3億2、805万余円であって、その主なものは、経営等改善資金貸付金である。
 以上で林業水産部関係の決算について御説明を終わる。
 なお、これらの主要な施策の成果については、お手元に配布しておる主要施策の成果に関する説明書にそれぞれ記載しておるので、ごらんいただきたいと思う。よろしく御審議のほどをお願い申し上げる。

〇瀬川委員長 ただいまの説明に対し、質疑はないか。

〇渡辺委員 この間テレビを見ておったら、青森、秋田にまたがる世界資産の白神山地の周りの7つぐらいの市町村が競って、アウトドア志向の高まりを利用して、さまざまな施設をもってその振興を図るということを見させてもらった。岩手県ではその辺、どんな施設があって整備され、また、テレビでも見ていたが、ちょっと利用率ということは大変気になったわけであるが、その辺もどうなっているのか、そしてまた、あわせて今後どうしようとお考えになっているのか、お尋ねしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お尋ねあったように、森林は単に木材を供給するばかりでなくて、水資源の涵養であるとか、土砂崩れを防いだり、また、お話があったように緑豊かな生活環境であるとか、緑化空間を創出しておって、豊かな県民生活を実現するのに大変大きな役割を果たしておる。中でも、最近、森林浴であるとか自然観察、それからキャンプなどの森林が持っている保健、文化機能への期待が高まっておる。こうした要請にこたえるために、県や市町村ではいわゆる森林公園の整備に精力的に取り組んでいるところであって、健康とゆとりの森整備事業であるとか、生活環境保全林整備事業、これ治山事業であるが、こういう国庫補助事業を最大限に活用して、森林空間の整備を進めるとともに、キャンプ場であるとか野鳥観察舎などの整備に取り組んできたところである。この結果、松尾村の県民の森を初めとする県の施設については2カ所、それから水沢市の大師山森林公園を初めとする市町村の施設53カ所、合計55カ所で約3、000ヘクタールの森林について整備をしたところであって、平成6年に、概数であるが、これらの施設を訪れていただいた県内外からの入り込み者は230万人と見込んでおる。まだまだ都市化の進展であるとか余暇時間の増大に伴って、この森林内でいろんな活動をされる方々の入り込みというか、要望がふえてくるんじゃなかろうかと思っておる。幸い、先ほど御説明させていただいたように、当部で管理しておる金ヶ崎、六原などの県有地があるので、この4カ所、2、000ヘクタールについてさらにいろんな方々が入っていただいて、楽しんでいただくような森林の整備を進めてまいりたいと思う。これまではどちらかというと、広場をつくって、散策道をつくって、キャンプ場と、大体これぐらいが相場であったが、これからはもっと質の高いものが要求されてくるんじゃなかろうかなと思っている。もちろん自然観察、林業体験というものも重要であるが、それらに加えてもう少し長期に滞在していただいて、創作活動であるとか、文化活動などをやっていただいて、もっとレベルの高い満足をしていただけるような施設整備をしていかなければならないのではなかろうかなと思っておる。
 また、お話のあったように、利用を促進していくためにはハードの施設整備ばかりでなくて、入っていただく方にいろんな案内をしたり、また指導したりするソフト面での充実も図っていかなければならないと存じておる。いずれにしても、本県、広大な森林を持っておって、また、すぐれた自然を持っているわけであるので、こういうものを最大限に生かしながら、森林公園の整備に今後とも取り組んでまいりたいと存ずる。

〇渡辺委員 今お話のとおり、広場や散策道やキャンプ場ということであるが、何か地元にすれば、ちょっと気になるのは、ごみか何かが落ちて気になるということではいけないので、今お話のとおり、やっぱりもうちょっと充実されるならきちっと充実されて、そのPRもきちっとされて、やっぱりお金が落ちる期待をしてこれらの施設の整備もされていると思うので、その辺の御努力を要望する。

〇工藤委員 高性能林業機械の導入促進についてお伺いする。
 林業における機械化は、他の産業に比べておくれていると言われており、特にも高性能の大型機械の導入が進まないと聞いておるわけであるが、そんな中で最近、高性能林業機械の操作方法や機能などを説明し、実演する研修会が大野村で開催され、110人が参加したと聞いているが、そんなに本県に高性能林業機械が導入されているのか。また、高性能林業機械は大型で、しかも高価格なことからリスクが大きく、その導入がなかなか進まないと聞いておるが、最近の林業労働力の不足や高齢化を考えると、いろいろな問題があるにせよ、その導入促進を図らなければならないと思う。そこで、今後、高性能林業機械の導入促進を図るために県はどのような問題を解決して、その普及定着を図ろうとしているのか、お伺いする。

〇田尾林業水産部長 お話があったように、林業高性能機械の導入が重要な課題だろうと思っておる。山仕事というのは大変急傾斜地で行うわけであるので、これまで大型の機械がなかなか導入されないという現状にあった。しかし、最近いい機械がいろいろ考案されて、伐採であるとか枝払い、それから丸太切りする作業を一貫して行う、いわゆる高性能林業機械というものが開発されておって、本県では現在60台が導入されておる。お話があったように、この導入促進を図るためには、新しい機械であるので、まず関係者に機械の性能などを理解してもらうことが重要だろうと思っておって、いろんな機械の展示実演、またシンポジウムなどを県内各地で精力的に開催しているところである。また、この高性能林業機械を操作することが大変、少しの訓練を要するので、平成5年度から林業技術センターでこのオペレーター養成を行っておって、これまでにオペレーターを30名養成しているところである。また、高性能林業機械の導入促進に当たっては、できるだけ国庫補助事業を活用して自己負担の軽減に努めておるが、何分にも価格が1台2、000万を超えるような大変高い機械であって、なかなか個人で入れるということは難しい状況にある。今お話しさせていただいたように、できるだけ国庫補助事業の活用に努めているところであるが、やっぱり限界があろうと存じておる。まだ検討している最中であって結論は出ているわけではないが、来年度以降やっぱりリース制度というものを導入していって、この導入促進を図っていかなければまだまだ普及されないのではないかと存じておって、リース制度の導入について精力的に検討を進めてまいりたいと存じておる。
 いずれにしても林業を取り巻く情勢は大変厳しく、お話があったように林業労働者が減っているという状況であって、言い方は適切でないが、こういう高性能の林業機械が入ると何十人分の働きをするわけであるから、今のこの厳しい労働力対策を解決する大きな手段だろうと思っておる。今後ともその普及導入に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思う。

〇佐藤(啓)委員 1点だけお伺いする。国産材時代の到来ということについて、部長の率直なお考えをお伺いしたいということである。
 ちょっと前置き長くなるけれども、要点だけ申し上げる。今、県内の森林は伐期を迎えている。そういう実情だと思うわけである。国も90年代に入って流域管理システムという方向を打ち出しており、県内も5つの流域に沿って事業展開が進められているところである。私は、この流域管理システムの目指すものは、第1は、緑と水の源泉である多様な森林の整備を図る。2番目は、国産材時代を実現するために、林業生産、加工、流通の条件整備を目指すという点にあるんだろうと、こういうふうにとらえているところである。今、21世紀は国産材時代と言われているわけであるが、このことは今、部長の説明もあったように、厳しい環境条件の中に置かれている林家、林業者、関係団体、または後継者も含めて多くの方々に激励と勇気を与えている。そういうふうに思うわけである。しかし、私は、本当に国産材時代が来るのか。こういう呼びかけについても具体的な説得力のある根拠に基づくものだろうか。そういう思いをしながらこれまでも何度も部長に伺ってきたところである。今回もまた同じ質問を行うわけであるが、何てしつこいやつだろうということに思わずに、ぜひ部長の見解をお伺いしたいと思うわけである。私は、この質問に対する部長の答弁というのは、逆境に耐えている林業関係者にやはり大きな励ましになるんだ、あすに向けての意欲をかき立てるものだと、そういうふうに考えるわけであるので、ぜひひとつお願いを申し上げたい。
 具体的に申し上げると、現在、木材にしても、シイタケにしても、漆にしても、いわば特用林産物も含めて外国からのおびただしい輸入が、県内の関係者に大変暗い思いをさせているのは事実だと思うわけである。私はこのような輸入を何とか縮小あるいは規制する、そういうことができないのかということである。県も一生懸命低コスト生産を目指す、そういうことで関係者に呼びかけ、そうした事業も展開をしているわけであるが、御存じのように、外材の輸入についても地球環境問題を惹起している、そういう膨大な輸入がまだ行われているわけである。ここに一向に手がつけられないということでは、やっぱり説得力に欠くのではないかと、こういうふうに思うわけで、具体的には商社の輸入規制あるいは関税をかけて国産材とのバランスを図るとか、こういう措置がとれないものか。このことについてもかつて部長の見解をお伺いしたことがあった。ガットに続いてWTOという体制が誕生したわけであるが、このような新しい貿易体制のもとで、今申し上げたような輸入規制ということができないものかどうか、重ねてお伺いをしたいと思うわけである。同じこういう輸入について水産団体等はやはり外国からの輸入を規制してほしい。こういう要望等が出されているようであるが、どうして木材あるいは特用林産物等を含めてそうした措置がとれないものか、率直な部長の見解をお伺いをしながら、ぜひひとつ県内林業関係者に対する激励を込めて答弁をお伺いをしたい。

〇田尾林業水産部長 毎回毎回御指摘を賜ってありがたい。
 お話があったように、木材、シイタケなどの輸入量は年々増大しておって、とうとう外材は78%に至っておるし、干しシイタケも中国産を中心に輸入量が年々増大しておる。ことしはいよいよ5割を超えて51%、干しシイタケもいよいよ5割を超えたということである。外国から入ってまいる木材、またシイタケなど大変価格が安いわけであるので、こういう影響を受けて、私どもの県だけじゃなくて国内の林業、またシイタケ生産農家の皆様方が大変苦悩されているわけであって、前からお話しさせていただいておるように、やっぱりまずコストダウンを図ることが重要だろうということで、木材については高性能林業機械の導入、また、最新鋭の製材施設であるとか、集成材、プレカット施設等の整備を促進するとともに、シイタケについては人工ほだ場の造成であるとか、自動植菌機の導入に努めてきたところである。こういう結果、本県の木材産業、また、シイタケの生産者の皆様方、年々力をつけていただいているところであるが、こういうコストダウンにも限界があろうかと存ずる。また、今後ますます輸入攻勢が強まっていくということでもあるので、私どもも国に対してあらゆる機会をとらえて、今の厳しい現状を訴えると同時に、抜本的な対策をとれないかということで要望してまいったところである。幸いと申すか、現在、林野庁ではシイタケ生産を含めて林業の経営基盤の安定、また林業労働者の育成確保、また国産材の需要拡大という3分野にわたって、いわゆる林業を川上から川下、それを支える林業労働者という3者でこの林業が成り立っているわけであるが、この3分野について同時に法律であるとか予算であるとか融資という、これまでの制度を駆使して、これまでにない強力な対策をとるように今、検討していただいていると聞いておる。まだ県段階に説明をいただくような段階でなくて、まだ林野庁で内部的に検討を詰めていただいているというお話を聞いておるが、私どもとしてもこのような林野庁が検討されている検討について大変大きな期待をかけておって、まだまだ先が見えていないわけであるけれども、それぞれ新しい対策が講ぜられるようになった場合には、来年度から早速可能な限りこの新規の予算であるとか融資を導入して、さらに本県の林業、林産業の振興に邁進してまいりたいと存じておる。
 お尋ねのあった核心部分の輸入規制の問題であるが、何回もお話しさせていただくように、やっぱり一朝一夕に解決するような問題でなかろうと思っておる。先ほどお話しさせていただいたように、今の現状の窮状を国に聞いていただくという過程の中で、私ども県としても何とかこういう輸入規制等の問題ができないのかというお話もさせていただいておる。ただ、正直申し上げると、そのたびにまだまだ関係の団体の皆さん方からはそんな話は聞いていないというお話も林野庁の方から承っておって、やっぱりもう少し私ども県内の関連団体の皆様方の声を大きくしていくと同時に、やっぱりそういう声を結集して全国的な力にエネルギーを結集していくことが重要ではなかろうかなと思っておる。現段階では残念ながら林野庁なり外務省なり、そういう関係者を突き動かすような状態にはなっていないんじゃなかろうかなと思っておる。そんなことで、県としても関係者のそういうエネルギーを結集するということにまずエネルギーを注いで、また、そういう関係者の皆様方と一体となって最善を尽くしてまいりたいと存じておる。

〇谷藤委員 今、佐藤委員の方から質問あった中での特用林産、特にシイタケの件についてちょっとお伺いをしたいわけであるけれども、非常に輸入もふえてきているし、それから円高で過去には岩手からすばらしいシイタケができて輸出もされて、いい時期もあっただろうと思うけれども、非常に厳しい状況になってきている。そしてまた、大分とか主産県というか、そちらの方に岩手県から原木、ほだ木がかなり出ていっているだろうと思うけれども、今の状況というか、どういう状況になっているか。岩手県の中にもほだ木を供給している。そして、日本一の主産地の大分県の方に岩手県の山林から広葉樹をどんどんどんどん出して、向こうは常に日本一の状態が続くということで、いつまでたっても岩手県というのは、産地間競争の中で相手側に油をどんどんどんどん送り続けているような意味もあるかなと思うけれども、そういうことで岩手県からどれぐらい他県に、特にも主産県に、その辺にほだ木、原木どれぐらい出ていっているものか、ちょっとお聞かせいただきたい。

〇秋山林産振興課長 シイタケ原木の移出ということのお尋ねであるが、一ころ相当県外にシイタケ原木として出ていった経緯があるが、概略的に申し上げると、最近は大幅に減っているということであって、一番その移出が多かった時期は昭和63年ごろであって、このころは400万本の数量が県外に出ていった経緯があるが、最近は正確な数字は把握しておらないが、100万本を大幅に割って少なくなっているという認識である。県内の移出量が減ると同時に、県内の生産量も維持しているわけであって、その分、県内の原木として使用されている実態になっているというぐあいに把握しておる。

〇船越委員 議事に協力して、専門部門だからしゃべらない方がいいだろうというような話もあったんで私、申し込まなかったんであるが、佐藤啓二委員の発言に刺激されて申し上げるが、けさ、朝日新聞であったか岩手日報であったか、ある著名な作家が、自由貿易のもとでは農業はなくなるであろうといったようなことを書いておって、これは農業だけじゃないなと、佐藤委員が申し上げたとおり、水産関係もそうだな、林業関係もそうだなと思うんであるが、そこで水産関係、たくさん予算をいただいて、田尾部長がるる申し述べてありがたいなと思って聞いておったんであるが、ただ、結果的には林業あるいは同様に漁業もそれ以上に将来への展望、希望というものを抱かれないということで非常に危機感を持っているということで、サケの値段等の安いであろうということは、これは突発的なものじゃなくて、一昨年あたりからわかっておったんであるが、何とかしなくちゃならない、何とかしなくちゃならないと言いつつも今日に立ち至ったということであるが、そこで、非常に何度となく水産庁あたりに部長たちあるいは次長たちを統導してかけ合ったんであるが、政治の限界だなと私はつくづく感じたものである。何でもかんでも水産庁に頼めば何とかなるだろうと私たちは思ったんであるが、ことしあたり徹底的にやって、ああ、水産庁の力ではどうにもならないんだなと、大蔵、外務、そういったような壁を破らなくちゃならないと、そうなるというとやはり官民一体となって政治の総力を結集してやらねばならないのであるが、そこまで行っていないと、全然行っていないということで、先ほど知事も出てもらいたいという話があって、出て先に立ってやってもらいたかったんだがなあ、がっかりしたなあと思って、私はそれがだめになったのを残念に思うものであるけれども、一国を挙げて、一県を挙げて頑張っても大変だというような時代であるので、非常に展望が開けないということであるので、どうか田尾部長、何とかこの辺を政治の結集を図って、特に何か水産団体などは、私もそのうちの重要な1人なんだけれども、政治的な運動も盛んなようだけれども、肝心の飯を食う方面の活躍というのはちょっと手薄なような気がする。だから、その辺を何とか、おれだったらこうやると、今度こうやろうじゃないかといったような抱負等があったらば御意見をお願いする。

〇田尾林業水産部長 お話があったように、林業、水産業ともども大変な時代を迎えておる。やっぱりこの正念場を乗り切っていくということが何よりも重要だろうと思っておる。幸い、林業の方も御承知のとおり、北海道に次ぐ林業県であって、木炭の生産も全国1位であるし、お話あったシイタケも3位ということである。また、水産の方も、私ども小学校のころに習ったときには世界3大漁場とうたわれて、この三陸沖、大変恵まれた漁場を抱えており、また、リアス式海岸という大変養殖に恵まれた地形条件を備えているわけであって、つくり育てる漁業の未来はやっぱり開けているんだろうと思う。林業も水産業もこの岩手県というのは、やっぱりほかの県に負けないすぐれた条件に恵まれているわけで、やっぱりこの条件を最大限に生かすように頑張っていくことが私どもの使命だろうと思っておる。お話にあったように、大変厳しい現状にあって、思い起こしていただければいいんであるが、農業の場合に米の自由化というのが大変問題になって、あれだけ全国の方々がエネルギーを結集したにもかかわらず、結果的にはやっぱり米が入ってくるという状況になったわけである。林業、水産業、やっぱり農業に比べて本当に力が弱いというのが、私ども日々行政をやっていて毎日の実感である。お話あったように、やっぱり林業も水産業も、これまでのいろんないきさつもあり経緯もあったと思うが、今こそ県と団体が一緒になってエネルギーを結集していく時期だろうと思う。幸い、林業の方も、それから水産の方も議員懇談会をつくっていただいて、早速会合を開いていただいて私も御指導いただいておる。お話があったように、いずれにしてもやっぱり県、また団体が頑張っていくにしても、県議会の皆様方の御支援がなければ私も何もできないわけであるので、この県議会、また私ども県、また団体一丸となってこの難局を乗り切ってまいるように、またお話もあったように県がちょっと腰が引けているんじゃないかというようなお話もあったけれども、私ども常に先頭に立って頑張ってまいる所存であるので、御指導のほどをひとつよろしくお願いする。

〇伊藤(勢)委員 関連の関連の関連の関連である。漁業については全く門外漢なわけであって、同じ今、御質問された宮古の船越委員がオーソリティーなわけであるが、門外漢なりに1つ、2つは10のうち当たるところもあるかもしれないということで素朴な質問なわけであるが、サケ・マスの増殖費、これはもちろん主要な事業として継続をしてやっておられるわけであるが、現実を見ると浜値が大変安いようである。大変残念な言葉であるが猫またぎという、いわゆる猫もまたいで通るぐらい言ってみればとれ過ぎるというのが現状にあるのでないのか。大変残念に思う。そういう中でいろんな業、農業であれ、漁業であれあるいは建設業であれ、需要と供給という観点から見ると、そういう現場の値段が安いものをどんどん供給をしていくというのはいかがなものか。つまり、どんどんとれ過ぎる、でもこれは事業としてやっているからどんどんふ化事業を継続をしていくという部分は、値段を高めるという部分と相反する部分があるのではないのかなと思う。であるから、これはいろんな仕組みがあるわけであろうが、安いものをどんどん事業として継続をしてきたからやっていくという部分、お考えがちょっとどこか、1つの引いたり押したりがあってもいいのではないのか、このように思う。
 それから、これは1つの提言であるが、これもまた門外漢の門外漢らしい部分としてお聞きをいただきたいわけであるが、サケは湾内に帰ってきてもえさを食うと聞いておる。そういう中で非常に釣り人からの要望が高いのは、この際、浜に100円、50円で揚がるんだったら1本釣りをさせてくれないかという意見が大変に多いようである。つまり、その魚を遊休しておる、例えば小さないわゆる漁船というか、そういった小さな部分で有料的な部分で、あるいは1匹釣ったら例えば1万円とか5、000円とか、そういうことによって、漁業関係者が相営んでいる例えば民宿等も潤うであろうし、そういうことで総体的な値段も上げるにいいのではないのか。これは門外漢らしい質問だととらえていただいてもいいんであるが、それについての御所見などをいただければありがたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話にあったように、サケ・マスが輸入の増加によって、構造的な供給過剰に陥っておる。大体大ざっぱな概略を申し上げると、国内消費量が約50万トンであるが、毎年外国から25万トン、また国内の生産も25万トン、そこだけ見れば50万トンで合っているんであるが、実は毎年15万トン以上の繰り越しがある。毎年15万トン以上が50万トンの消費に対して翌年に消費されないで回っているということである。年間消費量の30%が消費されないで次の年に回っている。しかも、この15万トンが年々拡大していると、少しずつふえていっていると、いずれはやっぱり15万が16万、17万、20万になるんではなかろうかと言われておる。そういう状況の中で、一昨年お話しさせていただいたように、キロ当たり440円、雄、雌しかも通年の平均であった価格が220円まで落ちており、昨月の31日現在ではとうとうキロ当たり205円ということになっており、半分以下になってしまったということである。本県のサケの漁獲量は200億であるので、この計算でいけば100億を割ってしまうと、100億がどっかに飛んでしまうということである。大変な時代だろうと思う。
 そんなことで、私どもはこの価格対策、緊急の最大の課題だろうということで頑張っているわけであるが、この価格対策というのは県庁が一番取り組みがしづらいというか大変難しい分野であるので、なかなか効果が出てこなくて、実は私ども自身も正直申し上げていらだちを持っておるわけであるが、こういう最大の課題について何とか頑張っていかなければならないと思っておる。
 お話しにあったように、物が余っているときにはやっぱり調整保管をして出すと、いろんな需要が少なくなったときには冷蔵してそれから需要が伸びたときに出していくというのが、魚だけじゃなくていろんな農産物その他のやり方だろうと思う。ただ、お話しさせていただいたように、毎年15万トン以上が繰り越されているという構造的な供給過剰の中で、調整保管という手法がもはや通用しないという事態に立ち至っているんではなかろうかなと思っておる。そんなことで、私どもとしても、こういう言葉余り適切じゃないが、好きこのんで出しているわけではないんで、いずれにしても先般ちょっと中国に輸出をしたが、キロ当たり50円、岸壁渡しでキロ当たり50円という大変値段が安いわけであるので、440円だったものが岸壁渡しで50円で渡しているわけであるから、これでもうかるわけはないわけであるけれども、値段もさることながら、やっぱり国内に余っている在庫を一掃することが何より重要だろうと思っておる。それから一方ではまた、こう余っているんだから放流量を減らせばいいじゃないかという議論もあるわけであるが、今までの経験によると、放流量を減らして国内生産量を減らすと必ずその分外国から輸入がふえるという構造になっており、ここのところは歯を食いしばってでも国内生産量を維持していくということも大変重要じゃなかろうかと思っておる。
 そんなことであり、お尋ねになったことについてはお答えになっていないかもしれないが、現状ではなかなか打開する方法は一朝一夕には見出せないんではないかと。やっぱり需要拡大というような地道な方法であるとか、消費拡大というような方法を、新食品の開発であるとかそういうことを精力的に取り組んでいくことが何よりも重要だろうと思っておる。
 それからお話しあった、こういう状況の中でやはりサケ、マスをいろいろもっとPRして価格を上げるためにはいろんな観光という面にも大いに手を出していくべきだと思っておる。今、たまたま釣りの話があったが、同じように宮古ではつかみどりの話が出ておる。これまでいろいろサケ、マスの増勢協会の皆さん方が自粛されてきたという経緯にあったために、川でつかみどりをするということができなかったが、私どもとしては、やはりちゃんと網が張ってあって仕切りなどがしてある状態であれば自然状態のサケとは明瞭に違うわけであるので、つかみどりというのもそういう条件は確かにつくけれども、そういう条件の中では大いにやっていただくことが重要だろうと思っておる。
 それから、お話しのあった釣りについても、北海道では一部実現されておる。ちょっと私どもの県でやるのはまだまだ解決すべき問題が大変多いわけであるけれども、やっぱり漁業というのも単にとる、加工するということじゃなくて観光、また、御承知のとおり漁港も単に漁港をつくるということじゃなくて、最近ではフィッシャーアリーナをつくったり海水浴場の駐車場をつくったり、また、公園をつくったりということで非常に幅広い事業を展開させていただいているところであるので、こういう状況の中で、やっぱり観光漁業というところに力を入れていくのが重要だろうと思っておる。ちょっとすぐに実現するということではないかもしれないが、そういう検討を鋭意頑張ってまいりたいと存ずる。

〇伊藤(勢)委員 どういう業であってもユーザーの気持ちを取り入れない部分があっては成り立っていかないものだと思う。漁業ということで、魚をとるまでは漁業家の人たちの仕事であるが、揚がった漁獲物を食するのはいわゆる背後に控える一般の国民なわけであるから、そういう国民のニーズも反映をしてこそ初めてやりとりになるものだと私は思うんであり、この門外漢の意見であるけれども、どうぞそういう大変興味のあるあるいは釣りというこのファイティングの部分に大いなる魅力を感じている人が大変多いということもお考えをいただきながら、1つの突破口にしていただければありがたいと思っておるので、よろしくお願いする。

〇菊池(雄)委員 安比総合開発の経営問題についてお伺いをするが、安比総合開発の会長は吉永副知事で田尾林業水産部長は取締役になっておる。したがって、県はその経営に対して責任ある立場を持っているわけであるが、同時に、県や安代町あるいは松尾村などのいわゆる第1次セクションは会社に対する出資の多寡、多い少ないにかかわらず大きい発言力を持ってしかるべきであると、持たなければならないと私は思っておる。それは、御承知のとおり、この前森山という国有林を国民のレクリエーションとして利活用することになったのは、昭和50年2月に林野庁が策定した総合レクリエーションエリア整備事業実施要領によってこのエリアを利活用する事業体は、地方公共団体及び地方公共団体が出資者となっている株式会社、つまり第3セクターでなければならないということである。そのために現在の安比総合開発株式会社が設立をされ、前森山をエリアとして昭和54年7月19日に指定を受けることになったわけであり、つまり、県や安代町や松尾村が出資しなければこの安比スキー場というのはつくられなかったわけである。そしてこのエリアの指定も、毎年度、少なくとも1回関係機関で構成する協議会を開催しなければならないことになっておったはずであるが、この協議会の主なメンバー等県のメンバー、そして開催状況はどうなっているのかということをまずお尋ねをしたいと思う。

〇橋本森林土木課長 八幡平地域森林総合レクリエーションエリアの安比前森地区管理運営協議会が正式な名称であり、その構成メンバーということであるが、県は森林土木課、それから農地計画課、観光課、自然保護課、河川課等がある。それから、松尾村、安代町、それから北海道東北開発公庫、それからJR東日本等が構成メンバーとなっておる。そして年に1度ほど委員会と幹事会を開催しておる。

〇菊池(雄)委員 開催しているのはわかるけれども、林野庁の定めた実施要領を見ると、この協議会は事業の実施方法、それから施設の設置運営の方法、総合森林レクリエーションエリアの保護管理の重要事項を協議すると、こうなっておる。つまり、このエリアの利活用の基本的な事項はこの協議会で決めると、その方向に従って会社は、安比総合株式会社は事業を運営すると、こういうことになっているわけである。ただ、私の見ているところ結論的に言うと、協議会は何か形骸化されてきているんじゃないかと。会社も私がさっき申し述べたように第1セクション、地方公共団体が大きな発言力を持たなければならないと思うけれども、リクルートの思うがままに運営されているんじゃないかと、こう私は思うがいかがであろうか。

〇橋本森林土木課長 私も1回であろうかこの協議会に出席させていただいたわけであるが、るる安比の総合開発株式会社の方からも来ていただき御説明を聞いたりなんかする。それから、県内のこういう類似したもののレクリエーション地域を同時に視察をして、いろいろ意見等を闘わせておるということである。

〇菊池(雄)委員 平成7年7月28日付の官報に告示された安比総合開発の平成6年度の決算を見ると、資産、負債それぞれの合計額は約225億だと。資産の大宗を占める固定資産は約165億、こういうことになっておる。約74%であるが、その主なものはリフトなど国有林野に設備した固定設備であると。率直に申し上げて資産価値としては流動性がないと私は思う。一方、負債のうち固定負債は約175億あるし流動負債は約50億あると。この平成6年度の、単年度の損失は約1億5、000万であるけれども、約6億の累積債務を抱えておると。経営の前途は厳しいものがあるんじゃないだろうかと。スキー客の入り込み数も平成3年までは順調に伸びてきたけれども、平成4年以降、下降線をたどっている。この状況をどのように受けとめて、そしてどのような展望を持っておられるかということについてお伺いする。

〇橋本森林土木課長 安比総合開発株式会社の財務の状況のお尋ねであるけれども、安比総合開発株式会社の経営は、平成3年度までは入り込み客の好調な伸びにより順調に推移してきたわけである。ということで、同3年度には累積欠損金を一掃するとともに、9、700万円の当期利益を計上したことがあるが、委員おっしゃるとおり、平成4年度以来の景気低迷に加え、特に平成6年度は年末に発生した三陸はるか沖地震、さらにはことしの1月17日に発生した阪神・淡路大地震災の影響を受け、入り込み客は前年の140万人台から127万3、000人ぐらいに落ち込んで約1億5、600万円の当期損失を計上しておるわけである。幸いなことに、今年度はスキー券の前売券等々が順調に売りさばかれておる。昨年を上回る入り込みが予想されておるので、今後とも積極的な集客活動を展開して売上高の増加を図るとともに、厳しい事業環境を踏まえて、設備投資の抑制あるいは経費の節減に努め健全な経営が図られるよう、株主総会あるいは取締役会を通じて努力していきたいと考えておる。

〇菊池(雄)委員 御承知の方もあると思うけれども昭和63年の11月に、安比総合開発は第2期開発構想を発表した。この開発構想は、県の開発公社から経営主体を変更した前森山の東斜面に新たなスキー場構想をつくる、あるいは36ホールのゴルフ場をつくるなど、約200億の開発投資をすると、こういうものであった。私は、平成元年の2月県議会の予算委員会で、この過剰な投資計画は問題があることを指摘して、私どもが昭和50年代に岩手開発株式会社の経営責任を追及しておった時代、千田知事は県の責任は出資の範囲以内であると、こういうことを言った。しかし御承知のとおり、大口出資者である代表者の三井、三菱、住友は、この経営から逃げ出してしまったことは事実である。そういう経過に触れて、慎重に先行きを検討するべきであることを提言した。そのころ、事実上、この会社を仕切っておったリクルート社長の江副氏は、平成2年6月にその持ち株をダイエーに譲渡し、同代表の中内氏がリクルートの代表取締役となったことは御承知のとおりである。そのこと自体は法的にも経営上も問題はないと思うが、いずれ、市場経済社会は大きい変化と転換はつきものである。重ねて、私は慎重な開発経営を要望するが、問題は、さっきもちょっと申し上げたけれども問題は、単なる株式会社ではないんだと。県は言うべき点はきちんと言うことをしなければならない。会長になっているとか取締役になっているというだけじゃなくて、やっぱりきちんとしたことを言うべきだと、そう私は思うが、取締役である部長の認識を伺いたいと思う。そして、第2期計画はその後どのように展開されておるか。また、最近の地元の雇用とか経済にどのような波及効果をもたらしているのか、この点についてお伺いを申し上げる。

〇田尾林業水産部長 お話があったように、この安比総合開発株式会社には県が3、000万円、5%の出資をしているわけである。お話しあったように、私も取締役をさせていただいておる。毎回の取締役会に出席させていただいて、お話しのあったようなことがないように、いろいろ私としても精いっぱい発言をしているところである。お話があったように、4年から、4年、5年、6年と大変不幸なというか、バブルがはじけて累積債務が膨らんでいるという状況にあり、6年度末現在で、お話があったように5億9、200万という累積欠損金になっておるが、今週の月曜日に取締役会が開かれ、ことしの見通しをいろいろ検討させていただいた。御承知のとおり、今12万枚のリフト券の前売り券を売りに出したわけであるが、11月までは大変手ごたえが悪くてほとんど反応がなかったようであるが、11月の後半以降大変響くような反応があり完売したというお話を承っておる。ことしの見込みは最低でも135万人の入場があったらなと思っておるが、その1割に当たる12万枚はもう既に完売しているわけであるので、それから直接関係がないが、ホテルの方の予約も11月まではほとんど反応がなかったと聞いておるが、今現在ではほとんどシーズン中満杯になったというお話を承っておる。こういう大変景気のよくない中にあっては大変見通しが、これで万々歳だということではないけれども、やっぱり明るい見通しがあるんではなかろうかなと思っておる。ただ、お話しあったようにこういう状況の中であるので、設備投資の抑制であるとか経費の節減などに一層努め、健全な経営を図れるよう株主総会、取締会を通じて努力してまいりたいと存ずる。
 お話しのあった第2期構想については、ちょっとこれは見方がいろいろあるものであるから人によって違うかもしれないけれども、地元の強い要望があり、拡張したスキー場の一部拡張を除くと、お話しにあったゴルフ場を初めいろんな計画は現在凍結されておる。昨今の経済情勢等を踏まえれば、この第2期構想が近々に動き出すということはなかろうと承知しておる。
 いずれにしても、本県3、000万、5%の出資をしているわけであり、単に5%という意味での責任だけじゃなくて、この安比総合開発、安代、松尾村を初めとする経済に大きな波及効果を及ぼしているんだろうと思う。御承知のとおり、ペンション村も創設されて10年を迎え、ことしまたいろんな行事があると聞いておるけれども、あのペンション村の方も先ほどお話しさせていただいたグランドホテルの系統のいろんなホテルと同様にほぼ満杯になっているということで承知しておるので、そういういろんなペンションまた地元雇用を含めて、この安比総合開発が果たしている役割は大変大きなものがあろうかと思う。議員御指摘の点を踏まえて、本会社が健全に経営されるように県としても最善の努力をしてまいりたいと存ずる。

〇小原委員 2点お伺いをする。
 1つは、ほかの県の沿岸においていわゆる磯焼けという現象が問題になっているわけである。この現象についてはいろいろな説があるようである。海水の温暖化が原因ではないかと、あるいは河川の水質の悪化が原因ではなかろうかという説である。いずれにしても、この磯焼けと言われる現象、本県沿岸の状況はどうなっているのか。近年の状況を含めてお知らせをいただきたいと思う。
 また、これに関連して県の水産技術センターはことしの9月から森や川が海の豊かな生産力に与える恵みを科学的に実施をする事業に着手をしたということのようである。この事業の目的、調査研究の内容についてお伺いをする。
 もう1点は、流域管理システムについてである。
 昨年度、岩手県の全流域で林業活性化センターが結成をされたと伺っておる。今年度はいよいよ準備段階から実行段階と位置づけられているようであるが、県はこの林業活性化センターをどういう観点から指導をしていこうと考えておられるのかお伺いをする。
 また、私ども、以前から地域林業活性化協議会の場に林業労働者の代表を入れるべきではなかろうかということで強く要望をしてきた経緯がある。そういう点からこの林業労働者の代表参加という点がどのようになっておるのか、これもお尋ねをする。

〇齊藤漁業振興課長 磯焼けについてのお話であるが、委員御指摘のように、一般的には水温の上昇、こういうものが1つの原因ではないかと言われており、もう1つとしては、燐とか窒素、こういう栄養塩が不足するとこういう現象が起きるのではないかと。どちらかというと、陸から栄養塩が入っているところの方がそういう現象は起きないと聞いておる。岩手県の状況であるが、年によってはコンブとかワカメ、こういったものの生育が非常に悪いという年はあるけれども、いわゆる磯焼けという状況にはなっていないと認識しておる。
 それから磯焼け、岩手県では発生がないとしても、今後そういう現象が起こらないとも限らないということであるので、私たちとしては水産技術センターで栄養塩等を常時観測しておる。これとあわせて、県が漁場保全対策協力員というのを委嘱しておるが、この漁場保全対策協力員あるいは漁業者から、漁場に変化が起きていないのかの情報等を極力集めて監視をしていきたいと考えておる。
 2点目、漁場環境における陸水機構の究明ということであるけれども、古くから森は海の生産に影響があるというようなことが言われておるけれども、そのメカニズムについてはほとんど解明されていないというのが現状である。平成7年から水産技術センターが全国に先駆けるような形で、川が海に及ぼす影響等を明らかにするための調査をしているわけであるけれども、本年度は釜石の片岸川あるいは船越湾、そういうところの河川とか湾の調査、水質等の調査を実施しており、これとあわせて古くからの大槌川では水位変動のデータというのがあるので、これらの解析を行っているところである。いずれにしても全国で初めての試みであり、どういう調査手法が一番いいのか、その辺もまだ確立されていないわけであるので、調査が完了するまでにはかなりの時間を要するのかと思う。大変関係者の期待が大きいということもあるので、できるだけ早く結論が出るよう努力をしてまいりたいと考えておる。

〇遠藤林政課長 それではお答えをする。
 まず、流域管理システムについてであるが、どのような指導をしていくのかということであるが、委員御案内のとおり、流域管理システムは、森林を管理する上において合理的な広がりである河川の流域を基本単位にしているということであるが、この中において、民有林とそしてまた国有林を通じて、その流域内の森林林業あるいは木材産業の関係者が一体となって各流域を十分に特性を生かすことができるような林業、木材産業の活性化を図ろうというものである。委員御指摘のように、活性化センターはすべて設置されており、これからこの流域の活性化が図られるように十分な指導をしてまいりたいと考えておる。
 それから、第2点の流域林業活性化協議会に労働者の代表を入れるべきではないのかという御質問であるが、流域林業活性化協議会はできる限り幅広い関係者が参集をして、その相違が流域林業の活性化に反映されることが望ましいと考えておるわけであるが、このようなことから、流域林業活性化協議会は、市町村あるいは森林組合あるいは林業事業体の方々によって、構成されておる流域林業活性化センターの中に設置をされているというものである。
 その構成員についであるけれども、これについては流域林業活性化センターの関係者の方々が判断をするということに基本的になっておるわけであるので、森林労連さんにおかれても地域の関係者の理解が得られるように、普段からの御努力というもが必要じゃないだろうかと考えているものである。

〇小原委員 1点目であるが、県の水産技術センターの取り組みというのは大変注目されていると、同感である。そこで、9年とか15年とかいろいろお伺いするわけであるが、かなり長期なスパンで調査研究に当たるというのは当然のことかと思うけれども、何年をめどにしながらあるいはその成果についてどういう形で県民に発表されるかあるいは関係者と一緒にそれらの研究、調査の結果あるいは成果というものをどのように生かすことになるんであろうか。その点をお伺いしておきたいと思う。
 それから、地域林業活性化協議会の中に労働者の代表、私どもは森林労連の参加を求めると、大きく束ねている連合体の組合であるのでその組合の意見が反映されるようにぜひしてほしいと、このように要望いたしてまいった。
 重ねてお伺いするが、この労働者の意見を反映させる場というものについてどのようにお考えなのか、これも再度お聞きをいたす。例えば地域林業活性化協議会、当面その構成員になるということが困難ということ、私はその原因がよくわからないのであるけれども、とするならば、この労働者の意見を反映させる場というものを県としてはどのように考えておられるか、先ほどの御答弁では、そうした意見というものも十分組み入れてこれら流域活性化に当たっていきたいと、こう受けとめたが、再度この意見反映の場をどうおつくりになろうとしておられるかお伺いをする。

〇齊藤漁業振興課長 水産技術センターの調査であるが、先ほどお話ししたように、調査手法等もまだ確立されていないという研究でもあるので、かなり長い期間を一応めどとしておる。一応のめど、平成15年までということで、この15年までを3期に分けて調査をいろいろ組み立てていきたいと考えておる。
 それから、出た結果についてどう利用するのかということであるが、何しろどういう結果が出てくるのかというのがなかなか現段階で想定しにくい面もあるが、いずれ湾内、河川がどういう栄養状態にあるのかというようなこと、それから水量がどのぐらいあるのかというようなこと等もかかわりという中で出てくるのかと思う。したがって、養殖漁場には栄養が必要であるので、養殖漁場としてカキとかホタテ貝あるいはワカメとか、そういう栄養の必要なものはどこへ置くか、それから逆に余り陸上の影響のないものがいい漁業についてはどこに配分をするのか、例えばサケ、マスの海中飼育とかホタテ、カキの養殖、こういったものの再配置等ができるのではないかと考えておる。

〇遠藤林政課長 先ほど申し上げたように、本県には5つの流域において活性化センターが設置されておるわけであるが、現在4つのセンターにおいて作業班の代表の方々が構成員となっておるということであり、その中において、委員御指摘の労働対策についてもいろいろ検討をしているということである。それから、残りの1つの久慈・閉伊川であるけれども、このセンターについては、平成8年度中に参加が実現できるように検討しているというところである。

〇小原委員 どうもはっきりよくわからない。ぜひ労働者の意見反映を求めたいと思う。これは昨年の4月から林業労働者にも労働基準法、これはもう適用になった。こういうことからも、直接やはりそこに働いている皆さん方の意見というものもこの林業活性化には十分な役割としてあると思うので、また機会を見てお伺いをする。きょうはここでとめるけれども、ぜひ前向きに御検討をいただきたい。これはぜひ強く要望しておく。

〇藤原(良)委員 ただいまの小原宣良委員の磯焼け、そしてまた第6款の農林水産業費の決算にも関係をするので、関連で御質問をさせていただきたいと存ずる。
 私も総括代表をして自粛をしてまいったけれども、大変これからの海岸沿いの主たる地域の大きな課題というのは、生活雑排水を含めたそういう排水対策にあろうと思う。ただいまのお話の質問の中身の行き着くところは、林業それから水産業ともに関係してくることに起因があるんじゃないかと思う。そういう意味で、いわゆる21世紀の岩手県の新しい総合発展計画の重要な位置づけに入ろうと思うので、その生活雑排水対策、これはさきにお話を申し上げたけれども、1軒平均4人家族、その1軒で1日に出す生活雑排水は平均1トンだそうである。これは洗濯の雑排水それからおふろの雑排水、この排水は何の規制もなく行き着くところは海である。したがって、当然変化が生ずることは明白である。大船渡湾の環境汚染のことを話題にされておるけれども、内海じゃなくて外海で太平洋に面している海でも海の藻、川の藻と同じような海の藻、いわゆる珪藻が見えないという現象がかなり前からあると。その原因は何だろうかと。これは自然界の出来事でわからないが、しかしおよそ想像されることの可能性としては、人間がその海を変えておるということにあるだろうと。したがって、岩手県のイメージアップにもつながるしなおかつ文化的向上にもなるし、そしてまた海洋資源の漁獲量の拡大にもなってそして沿岸沿いの所得の向上にもつながる、そういう意味で生活雑排水対策ということは極めて大きいと、そしてまた同時に森林の育成とともに、水の資源の確保というきれいな水が海に流れていくこと、これ等々が重要な岩手県の大きな私は政策の柱になっていくだろうと思う。そういうことで、磯焼けということも原因はいろいろあるだろうけれども、人が変えた海そのものに大きな要因があるようにも思われる。
 ただいまのお話を林業水産部として、これから予算があるわけであるけれども、決算のこの内容を見ると、水産関係としてのその対策としては漁業集落排水等があろうと思うけれども、なかなかこれは県代行にもなっていない。事業主体が市町村となると極めて市町村の財政から言って、その進捗率は急激に伸びるというような様相でもない。どのような対応でいくかを含めてこれから臨もうとする姿を、その意気込みをぜひ林業水産部長、皆さん大事だということはわかっていることだと思うけれども、改めてその重要性を確かめる上でもお話をさせていただいて御決意をお伺いをさせていただきたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話しにあったように、つくり育てる漁業、本県、精いっぱい頑張っているわけであるが、きれいな海であることが最前提だろうと思う。漁業者みずからが海を汚すようなことであっては、つくり育てる漁業の未来はないわけであるので、お話しのあったように、生活雑排水の整備を進めていくことが何よりも重要だろうと思っておる。御承知のとおり、183の漁業集落が本県にあるが、このうちで下水道の完備が完成いたしたのは5つの集落にとどまっているわけであり、しかもその1つは私どもの漁港ではなくて農業の方の、農排の方でやっていただいたわけであるけれども、183の漁業集落のうちのわずか5集落の下水道の完備が終了したにすぎないということである。もちろん、この事業が始まってまだ日が浅いということでこういうことだと思うが、下水道の整備を精力的に進めていくことが何よりも重要だろうと思っている。もちろん、私どもだけでこの183の漁業集落全部ができるわけではないけれども、やっぱり漁港の事業の果たす役割が大きいんだろうと思う。御心配いただいておるように、細川内閣のときに残念ながらCランクということでこの漁港整備事業が位置づけられたために、大変私ども苦戦をしておる。しかしながら、そういう状況の中にあっても、私どもとしては精いっぱい水産庁にお願いをし、こういう言い方余り適切じゃないが、全国枠が厳しい中にあっては、本県は大変配慮をいただいたんではなかろうかと思っておる。第9次の長期計画で見ても、全国平均の2%も上回る進捗率を示しているわけであるので、この喫緊の課題である生活雑排水の早期の整備着手に向かって来年度以降、精いっぱい頑張ってまいりたいと存ずる。

〇藤原(良)委員 御決意を御披瀝をいただき、大変心強く思う。林業水産部のそういう決意があったとしても、やはり国の動向もあるけれども、この際、岩手県が、財政当局が、やはりそういう大きな政策の中で、岩手県の政策の中で重要度を少し認識をいただいて、岩手県らしい全国に先駆けたそういう下水を含めた生活雑排水対策を上げることが岩手県の大きなイメージアップにつながっていくだろうと思う。名も実もとることになろうと思う。したがって、きょう御参列の委員方に改めてそういう意味で御支援をいただきながら、そして県の大きな重要な政策の中の位置づけになるよう運動を展開していただくよう、改めて御要望を申し上げて終わる。

〇黄川田委員 所属委員会のメンバーの1人であるので1点のみ御質問させていただく。 漁業協同組合の経営の現況とその対応についてお伺いいたす。
 昨年の秋サケは価格の低迷と長期にわたって居座った暖水塊の影響により、県北部では前年並みあるいはそれ以上の実績を上げているにもかかわらず、県南部各地では前年の半分にも満たない、まさに近年にない大豊漁となった。私ども気仙の地域では、悲鳴に近い声が聞こえており、地元民の1人として留意をいたしておるところである。本年も秋サケ漁の盛漁期を迎えている。しかしながら、サケ漁は地域によって好不漁となっておる。また、魚価も低調で推移しておる。漁業協同組合の経営はまさに一段と厳しさを増すものと思われる。我が陸前高田の漁協においても本当に厳しい漁協がある。そこで、漁協経営の現況とその対応について県においてはどのようにお考えになっておるのか、ひとつ伺う。

〇田尾林業水産部長 お話しにあったように、本県の漁業協同組合は38あるが、それぞれ信用、購買、販売、共済、自営定置の事業を実施しているところであるが、38の漁協全部が秋サケを主体とする自営定置事業に依存した体質となっておる。先ほどから話題になっておるように、昨年は200億平年では秋サケの漁獲高があるわけであるが、125億という6割強まで下がったわけであり、こういう秋サケの依存体質がそのままあらわれて、38漁協のうちの何と22漁協が赤字を計上するという決算内容となっておる。大変危機的な状況であり、また、お話しさせていただいておるように、秋サケのこの低迷というのは構造的な供給過剰によるのが原因であるので、近々値上がりするということはやっぱり無理だろうと思っておる。一日も早くこの秋サケからの脱却をして、漁協経営に取り組んでいかないと大変なことになるだろうと思っておる。こういう大変厳しい状況の中で転換を迫られるわけであり、漁協の皆さん方は大変だろうと思うけれども、やっぱり頭の切りかえをひとつ理事の皆さん方を初めやっていただいて、これまでどちらかというと漁協経営には会社の経営のような経営能力にすぐれた方の人材を余り抱えていないという場合が多いわけであるので、必要に応じてやっぱり員外理事なりなんかも登用して、そういう経営能力の能力をつけていくということが大変重要だろうと思っておる。また、お話しさせていただいておるように、すべての漁協が定置の事業に依存しているわけであるので、これからは各事業の独立採算性というものを強く認識して事業を展開していくことが何よりも重要だろうと思っておる。また、それにも増して一般管理費であるとかいろんな事業費の削減など、また、出資の増額によって財務基盤を確立するなど、あらゆる手だてを尽くしていくということが重要だろうと思っておる。また、こういういろんな新しい事業を手掛けたりいろいろやっていくわけであるが、38の漁協それぞれ力が弱いわけであるので、こういう取り組みをやっていくためにも漁協の合併が何よりも重要だろうと思っておる。21世紀に向かって本県がつくり育てる漁業として発展していくためには、その漁協の生き残りが先決であるので、漁協合併を何とか平成5年の3月に作成した計画に基づいてただいま進めさせていただいておるけれども、実現をしたいと思っておる。
 お話しにあったように、高田地区では幸い関係者の皆さん方の努力が実ってこの10月に購買事業、約7億5、000万であるが、購買事業をやっていただいておるが、その事業統合ができた。これからは1つの漁協の事業としてコンピューターで管理して購買事業が進められることになろうと思っておる。そんなことで、陸前高田市で先鞭をつけていただいたわけであるので、種市、釜石、大船渡の3地区で今協議会を開かせていただいており、これらの地区の漁協合併に取り組んでいるところであるけれども、この陸前高田市の例を模範として、足腰の強い漁協に成長するようにしっかり頑張ってまいりたいと存ずる。

〇黄川田委員 秋サケだけに頼らなくてもひとり立ちできるような漁協になるように、力強い御指導をよろしくお願いして終わる。

〇斉藤委員 私は皆さんも審議されたことであるが、沿岸漁民や地方議員からの強い要望があるので、秋サケの価格維持安定対策についてお聞きしたいと思う。
 県の魚に指定されており、海面生産額の3割を占める秋サケの浜値が昨年に続いて暴落していることは本県の漁業振興にとって極めて重大である。暴落の最大の要因は、答弁あったように国内生産量、平成6年度27万8、000トンに対して輸入24万3、000トンと膨大な在庫15万4、000トン、約50万トンの消費量に対し総供給量は66万トンと完全な過剰となっている。無秩序な輸入による過剰、異常円高による輸入が暴落の原因である。県漁連は、東北6県の漁連、茨城県の漁連と協同で水産庁はもとより大蔵省など各省庁に、1つは無秩序な輸入の見直し、2つ目はWTOに基づくセーフガートの発動、3番目は消費宣伝事業費の大幅な補助、4番目は学校給食への利用の推進などを要請している。県として、この漁民の要望の実現にどう真剣に取り組んでいるかお聞きする。

〇田尾林業水産部長 お話しがあったように、秋サケは本県で最も重要な水産物であり、この価格がやっぱり低迷しているということは大変重大なことだろうと思っておる。その原因は、主として輸入量の増大にあるわけであるので、私どもとしても水産庁に対して何とか輸入規制等ができないのか、秩序ある輸入の実現方を事あるごとにお話をさせていただいているところである。正直に申し上げて、昨年度までは聞く耳を持たないとは言わないが、そういうお話をさせていただいても、ほとんど何というか聞いていただけないというのが実情であった。ところが、ことしになって水産庁の重い腰を上げていただいたというのはちょっと言葉適切でないが、ようやくこの事態を認識していただいて、今まだ課長クラスであるけれども、関係課長を集めてこの秩序ある輸入について何らかの手が打てないかということで検討会を開いていただいておる。そういう検討を開いていただいたことですぐ展望が開けるということでないが、今お話しさせていただいたように、去年までは話しに行ってもまず話も聞いてもらえなかったということから考えれば、水産庁としても今の現状を認識していただいたんだろうと思っておる。まだまだお話しにあるようにセーフガードというような、輸入規制というような発動は、私どもも聞いているところではそんなおいそれと発動できるような制度ではないようなお話も聞いているわけであり、検討が始まったからといってすぐ成果が出るというようなことでないと思うけれども、いずれにしても、輸入の増大というのは根っこにあって今の事態を惹起しているわけであるので、その点についてはこれまで以上に水産庁を初め、また、先ほどもお話があったように必ずしも水産庁だけでは解決しない、外務省を含めた政府全体での取り組みが必要だと思うので、私どもとしても精いっぱいその点のところを頑張ってまいりたいと存じておる。

〇斉藤委員 私もそういうふうに水産庁の反応を聞いておる。セーフガードについては、ヨーロッパではもう140件ぐらい発動されている。日本は今まで1回も発動してこなかった。ところがWTOでは、このセーフガードというのは3年間対抗措置をとれないとなっているから、豚肉がやっとセーフガード適用になったので、今声を大にしてこういう厳しい状況のもとで私は要望してもらいたいと思う。
 それで、先ほどから部長はサケの価格について平成5年度と比較しているけれども、平成4年度と比較すると、単価は平成4年度、キロ695円がもう既に6年度で369円である。先ほど205円と言ったが、これは平成4年度と比べると実に30%である。もう3分の1以下に下落している。そして生産額も平成4年度は241億円であった。去年もう既に124億円で半減している。ことしさらにもっと深刻である。であるから、こういう異常な事態の中で本当に無秩序な輸入、そしてセーフガードの発動を強く私、県としても本腰を入れてやっていただきたい。
 次に、私はきょうはサケ問題の解決の1つのかなめをなすと考えるが、サケの消費拡大にとって学校給食への利用を積極的に推進する、このことが将来を担う子供たちの食味を形成するという点でも、日本型食生活の普及にとっても極めて重要だと考える。
 9月の県議会で田尾林業水産部長は黄川田委員の質問に答えて、大変立派な答弁された。こういう答弁である。
 県としてはまず国に対し、秩序ある輸入を要望するとともに、消費拡大を図ることが何よりも重要であることから、学校給食への利用拡大や漁協のスーパーなどへの販路開拓を積極的に支援しているところであると。これは9月の部長の答弁、大変立派である。問題は、学校給食への利用拡大を具体的にどう支援しているかということである。それで、サケの学校給食への利用推進にとって、これまで国庫補助事業でモデル事業があった。ことしは県単で学校給食促進事業もやっておる。その中での教訓、問題点、こういうものを明らかにして、どうやってこれをモデルから全県に広げるのか、それをお聞きしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話しにあったように、サケの販路拡大をやっていくためには、学校給食などに提供いたして、子供たちに小さいうちからサケを食べて魚を食べるという習慣をつけてもらうことが、何よりも重要だろうと思っておる。実は、平成2年度から国庫補助事業を導入して釜石、東和、盛岡、久慈の小中学校において学校給食への普及を図ったところであるが、残念ながら、平成6年度をもってこの国庫補助が打ち切られてしまった。今、米飯の給食に対する国庫補助が大変世情をにぎわしているわけであるが、いち早くこの水産物に対する学校給食の国庫補助が打ち切られたわけであるので、私どもとしても大変つらい思いをしながら、ことしは県単事業としてこの事業を継続させていただいておる。おかげさまで大船渡、盛岡、久慈、山形、大野村の小中学校において、秋サケのメンチであるとかハンバーグを児童生徒に食べていただいており、今のところ3万3、000食ぐらいを供給するというような見込みになっておる。県教育委員会としても、県産品を使用するということは、児童生徒に対する地域の食文化などについて正しい理解を習得させるということで、大変望ましいという御見解も承っているところであるが、実はなかなか現実には進まないという側面を持っておるので、私どもとしても学校給食に携わる栄養士の研修会をまた急遽、予算はないんであるけれども今開かさせていただいておる。いまひとつ広がっていかないという現実を踏まえて、さらに教育委員会また市の教育委員会との連携を密にすることが重要かなと思っておる。今お話しさせていただいたように、教育委員会としても前向きの姿勢をとっていただいているわけであるので、その辺との連携を強めながらさらに学校給食への普及を図ってまいりたいと存じておる。

〇斉藤委員 もう1歩という感じするので私もう少しお聞きしたい。
 久慈の漁業協同組合に委託してやったこの報告書が出ておる。この報告書を見ると、魚が好きだと答えているのが久慈市内で52・3%、盛岡市内65・2%である。あわせて60%の子供たちが魚が好きだと。内陸部が高いというのに私大変励まされたわけである。同時に、どんな魚が好きかというと、第1位がカニ、次いでノリ、マグロ、サケ、サケは4番目にランクをされておる。調理法は焼いたもの、刺身が好きだと、こういうことになっておるけれども、嫌いな理由は骨があると、48・3%、骨が障害になっているようである。大事なことは、家庭でどのくらい魚食されているかというと、週二、三回というのが43%で一番多い。学校給食に出回る回数、魚の回数は、久慈市内ではもっと出てほしいと。久慈市内で39・7%、盛岡市内で52%。恐らく沿岸は食べているからであろうか。内陸は余り出ないからもっと食べたいと、こういうことでサケのメンチについての評価はとてもおいしい、盛岡市内68・6%である。大いにこれは普及できる。
 まとめとしてこう言っている。沿岸、内陸の小中学生とも魚は好きという回答が多い。サケが好きな魚のベストフォーに入っている。今回試験導入したサーモンメンチ、サーモンハンバーグは、サケの有効利用の面からも学校給食の食材として有望であり、普及を図りながら今後進めたいと、こういうまとめである、モデル事業は。私はだから大変有望だと思う。だから、今までずっとモデル事業やっているんだけれども、もうモデル事業の時期じゃないだろうと。農政部は、県産米ササニシキ100%を農協中央会と共同してやっている。私は林業水産部が漁協と協力するかどうかは別にして、今本当に魚食のサケを活用した学校給食をぜひ全県的規模で推進すれば、これは今すぐの消費拡大だけではなくて、これは食味のかかわりであるから、必ず大きな効果を将来期待できると、その点でぜひ部長のもう1歩踏み込んだ、来年度予算にもかかわるからひとつ御答弁をいただきたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話しにあったように、学校給食への普及というのは大変重要だろうと思っておる。一方、私どもは自衛隊の方にも今売り込みをしているわけであるが、こっちの方もなかなか今のところはガードがかたくて渋い回答であるが、こちらの方も頑張ってまいりたいと思っておる。お話しにあったハンバーグ等は実は一昨日であろうか、岩大の留学生の方々に試食していただいて、ちょっと新聞にも簡単に載っておったが外国人にも大変好評であり、ちょっと私どもの方としては意外な感じもしないではなかったが、意を強くしているところである。お話しにあったように、学校給食まだまだ私ども至らないところがあるわけであるが、ことし県単事業が実は芽が出たばかりであり、これで一挙に来年以降全県というようなことにはならないと思うけれども、お話しのあったようなことを踏まえて頑張ってまいりたいと存ずる。

〇斉藤委員 時間が迫っているから終わる。
 私の家でも毎日魚を食べている。ところが、子供ははしをつけない。ところが学校給食だと食べる。そういう点で私も努力しているが、学校給食をやれば必ず効果があると。
 その他、きょうは種市ゴルフや食糧費も都合しておったが、時間の関係でこれは割愛させて文章質問でお聞きしたいと思う。

〇瀬川委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 質疑がないようなので、林業水産部関係の質疑をこれで終わる。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午後0時10分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇伊沢副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 佐藤農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇佐藤農政部長 平成6年度の農政部関係の決算について御説明申し上げる。
 決算の内容に入る前に、平成6年度の農政の推進状況について申し上げる。
 平成6年度は、一昨年の未曾有の大冷害を教訓として、冷害防止恒久対策の方向の策定など、冷害対策に万全を期してまいったところである。しかしながら、一転して平成6年は記録的な猛暑に見舞われ、一部にかんばつの被害もあったが、農家の方々や関係機関の御努力によって、米の作柄においては作況指数110を記録するなど、近年にない大豊作となった。
 また、水稲種子緊急増殖をきっかけとした沖繩県との交流が全国的に注目されるなど、明るい話題も多い年であったと存じておる。
 一方、国においては、平成6年8月の農政審議会の報告を受け、10月にウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策大綱を定め、6年間にわたり、各般の施策を積極的に推進することとしたところである。県としても、平成7年2月に岩手県ガット対策委員会において、岩手県ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策推進方針の中間取りまとめを行い、21世紀に向けて、国際化に対応した力強い農林水産業の構築を目指して、諸施策を総合的に、かつ緊急的に推進することとして、平成6年度2月補正予算に大幅な関連対策予算を計上したところである。
 さらに、平成6年10月には、農業改良助長法の一部改正に伴い、農業改良普及所と蚕業指導所を統合して地域農業改良普及センターとして再編成したところである。
 本県においては、第3次新いわて農業確立計画の基本方向に即し、主業型農家の育成等を大きな柱として、その実現に向け積極的に取り組んでおるが、なお農業労働力の減少や高齢化、耕作放棄地の増加等が進行しており、これらの課題解決に向け、鋭意努力しているところである。
 このような状況の中で、平成6年度は農業構造政策を初め、中山間地域活性化対策、水田営農活性化対策や作目ごとの振興対策を重点的に推進してきたところである。
 それでは、農政部関係の決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計についてであるが、平成6年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願う。
 農政部関係の予算現額は、6款農林水産業費のうち、次ページに参って1項農業費、2項畜産業費、3項農地費までの1、290億3、800万4、000円と、16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち、18億4、538万8、000円、12款公債費1項公債費のうち、85億365万9、000円とを合わせた総額1、393億8、705万1、000円で、これに対する支出済額は1、157億299万7、284円となっておる。また、翌年度への繰越額は、6款農林水産業費1項農業費から3項農地費までの34事業、234億4、691万6、000円、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の1億5、646万8、000円、合わせて35事業、236億338万4、000円である。その内容の大きなものは、国のウルグァイ・ラウンド農業合意関連予算の補正措置によるものであって、工事の施行期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものである。その結果、予算執行率は83%となっておる。
 以下、個々の内容について、便宜、平成6年度歳入歳出決算事項別明細書により、御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心にその内容を説明申し上げるので、御了承願う。
 歳入歳出決算事項別明細書の178ページをお開き願う。2目農業金融対策費は、農業近代化資金、地域農業担い手育成資金、中山間地域活性化資金等の利子補給及び農業経営更生特別融資資金利子補給補助など、農業者等の資本装備の高度化や農業経営の近代化の促進に要した経費である。3目農業構造改善対策費であるが、次のページに参って、農業構造改善事業費は、矢巾町ほか22地区において実施した土地基盤整備、近代化施設、環境施設整備等の助成経費、次に、農村地域高密度情報社会形成事業費は、北上市和賀地区ほか2地区の情報基盤の整備に助成した経費である。4目農業改良普及費の主なものは、地域農業改良普及センターの管理運営費、財団法人岩手県農業担い手育成基金への出捐に要した経費である。次に、182ページをお開き願う。5目農業振興費の主なものは、生物工学研究所管理運営費、仮称であるが、農業研究センター整備事業費のほか、地域農業確立総合対策事業費は、高収益作目の生産拡大を促進するとともに、主業型農家を中心とした集落の農業資源の有効活用と、地域の条件に合った地域ぐるみ農業の展開等のため、基盤整備、農業共同利用施設、機械整備等の助成に要した経費である。山村等振興対策事業費は、江刺市ほか22地区で実施した定住環境の整備、高齢者の生きがい対策等の助成に要した経費である。中山間集落機能強化等促進事業費は、中山間地域の活性化の事業に要した経費である。次に、いわてオリジナル水稲品種銘柄確立対策推進事業費は、本県のオリジナル品種であるゆめさんさ、かけはしの銘柄確立と販売促進活動に要した経費である。6目農作物対策費の主な事業は、184ページに参って、先進的農業生産総合推進対策事業費は、ソフト、ハードの両面から生産性の高い農業の確立のため、基盤整備、施設整備等の総合的な条件整備に対する助成に要した経費である。次に、冷害対策費は、沖繩県石垣市におけるオリジナル水稲品種の緊急増殖に要する経費、並びに自作農維持資金利子補給補助に要した経費である。次に、水田営農活性化対策費は、北上市ほか3市町の8地区で実施した基盤整備等に助成した経費であり、いわてオリジナル水稲品種開発事業費、いわて純情米種子安定供給対策事業費等は、新品種の開発と優良種子の安定供給対策に要した経費である。7目畑作振興費の主な事業であるが、先進的農業生産総合推進対策事業費のうち、高度安定供給産地体制整備事業費は、野菜の品質向上と地力維持や連作障害回避のための施設整備に助成した経費、生産流通技術高度化促進事業費は、県経済連が広域的な利用を目的とした大規模育苗施設整備に助成した経費である。また、中山間地域・花と野菜と新穀物等発掘導入事業費は、中山間地域の活性化を図るため、新作物の導入、実証事業など、地域特産作物の産地化の促進に要した経費である。次に、青果物等価格安定対策費は、国の野菜供給安定基金及び社団法人岩手県青果物価格安定基金協会が実施する価格差補給金の基金造成に要した経費の一部に対し助成したものである。次ページに参って、いわてオリジナル園芸品種開発事業費は、リンドウ等の新品種の開発に要した経費、次のりんご紫紋羽病園緊急改善対策事業費補助は、土壤改良資材の購入等に助成したものである。次に、8目北上奥羽山系開発費の主なものは、広域農業開発事業の完了地区に係る地元負担額等を農用地整備公団へ償還したものである。192ページをお開き願う。15目農業短期大学校費の施設整備費であるが、同校の教育環境の充実を図るため、農業研修宿泊施設の整備等に要した経費である。
 198ページをお開き願う。2項畜産業費2目畜産振興費であるが、地域畜産活性化総合対策事業費の主なものは、いわて牛県内保留対策推進事業費補助、いわて和牛の里づくり推進事業費、低コスト肉用牛農家育成緊急対策事業費補助、酪農経営体質強化対策事業費補助などに要した経費である。次に、広域畜産総合対策事業費のうち、仮称であるが、大家畜改良増殖センター整備事業費は、肉牛の輸入自由化に伴い激化する産地間競争に対処し、和牛の改良基盤を強固にするため、住田町の種山牧野に産肉能力検定関連施設等を整備した経費である。次に、家畜改良増殖対策事業費のうち、黒毛和種牛群育種改良推進事業費は、県産優良種雄牛の作出を行い、その効率利用により産肉能力や斉一性の向上を図るため、計画交配、フィールド検定、優良種雄牛の保留奨励などに要した経費である。201ページをお開き願う。このページの中ほどの国産食肉産地体制整備事業費は、株式会社岩手畜産流通センターが整備した食肉処理加工施設整備事業費等への助成であり、農業研究センター整備事業費は、同センターの畜産部門の整備に要した経費である。次に、3目草地対策費の主なものであるが、団体営草地開発整備事業費は、自給飼料の自給率の向上のため、金ヶ崎町ほか7地区の草地整備等に助成した経費、公社営畜産基地建設事業費は、畜産基地の核となる農家の規模拡大の創出のため、濃密生産団地の整備促進に要した経費、県営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営の環境整備を図るため、一戸地区ほか3地区の生産基盤及び家畜排せつ物処理施設整備等の助成に要した経費である。
 204ページをお開き願う。3項農地費、2目土地改良費から、4目開墾建設事業費までは、農業、農村整備の公共事業が主な内容である。かんがい排水事業費は、岩手町一方井地区ほか13地区、次のページの農道整備事業費は、広域農道では西磐井地区ほか6地区、一般農道では松尾村南森地区ほか27地区、圃場整備事業費は、花巻市豊沢川地区ほか30地区、中山間地域農村活性化総合整備事業費は、安代町細野地区ほか10地区、農村総合整備モデル事業費は、軽米地区ほか35地区、農村集落排水事業費は、盛岡市太田第2地区ほか22地区、ふるさと農道緊急整備事業費は、紫波中央地区ほか40地区などの事業である。3目農地防災事業費の主なものであるが、防災ダム事業費は、衣川4号地区ほか2地区、ため池等整備事業費は、久慈川地区ほか25地区で実施した経費である。208ページをお開き願う。4目開墾建設事業費であるが、開拓地整備事業費は、葛巻町栗山地区ほか62地区で事業実施した経費である。210ページをお開き願う。5目農地調整費の主なものは、農地保有合理化促進費であるが、農業経営規模拡大、農地の集団化を促進するため、農地保有合理化法人が実施した事業に対して助成した経費である。
 次に、ページを飛んで、304ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費の団体営耕地災害復旧事業費は、市町村等が事業主体となって実施した農地及び農業用施設の災害復旧事業費に対し補助したものである。
 次に、310ページをお開き願う。12款公債費1項公債費1目元金特定資金公共事業債償還元金の決算額のうち、85億365万8、343円が農政部関係のものである。これは圃場整備等農業農村整備事業の財源として平成2年度から5年度に借り入れた特定資金公共事業債を全額、国庫補助金を受けて繰り上げ償還したものである。
 次に、農業改良資金特別会計の決算について御説明申し上げる。332ページをお開き願う。332ページから337ページまでがこの会計の決算状況である。
 まず、332ページの歳入決算であるが、決算総額は22億6、931万6、272円で、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金、諸収入は貸付金に係る償還金等である。
 次に、歳出は334ページから337ページにかけてであるが、歳出合計は18億2、298万1、370円である。その主なものは、農業改良資金388件及び農地保有合理化促進対策資金1件の貸付金及びこの事務の推進に要した経費である。この結果、歳入決算額から歳出決算額を差し引いた4億4、633万4、902円は、翌年度への繰越金となるものである。
 以上が農政部所管に係る平成6年度決算の概要であるが、農政部の主要な事業の成果については、主要施策の成果に関する説明書にそれぞれ記載しておるので、ごらんいただきたいと思う。
 以上、御説明申し上げたが、よろしく御審議くださるようお願い申し上げて、説明を終わらさせていただく。

〇伊沢副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はないか。

〇村田委員 私からは2つ質問をする。
 先般、岩手日報文化賞で栄誉を受けた久慈市の山根六郷地域の皆さんのいろいろな成果が評価されたと聞いておるわけである。その中で、アワとかヒエとかの雑穀の文化を起こそうという1つの試みがなされておると聞いておるわけである。一方、私は卵のアレルギーであって、これも食生活の大きな被害者であると思っておるが、アトピーだとかアレルギーという問題は生まれたときからの食生活、特に乳離れのあたりの食生活というものが非常に大きく作用しておるようである。そういう原因を取り除く1つの問題としては、やはり足腰の強い農業、それはまた中山間というような今の地域の中で考えてみたらどうだろう。それはアワとかヒエとか雑穀だとかという、そういう1つの古来の山間農業の中から、そういう健康と食品という問題を見直す種がありそうな気がするわけであるが、その辺についての農政部長のお考えをお願いする。

〇佐藤農政部長 ただいま雑穀を中心とした地域の取り組みについてのお話であるし、その考え方ということであるが、お話にあったように、久慈市の山根を中心としたそういうそばとか大豆を加工した取り組みとか、そういうことを行っておるし、軽米町を中心としてアマランサスなどを中心としたそういう取り組みを行いながら、地域おこし、地域の活性化という形で取り組んでいるところもかなり県内に出てまいっておる。また、雑穀、いわゆる私どもは新需要穀物という呼び方をしておるけれども、これは栄養価、特にビタミンとかミネラル等が多いということもあるし、本県が栽培適地だということもあり、また、無農薬に近い形で栽培できるということもあって、自然健康食品として消費者から非常に関心を呼んでいるという状況がある。こういうふうなことであって、現在の新需要穀物の生産の状況を見てまいると、普通の野菜作との輪作体系の中に入っているような形での取り組みが非常に多くて、非常に栽培されている面積というのは小規模な、自給的な生産が多いと見ておる。したがって、実際の販売についても、一定のルート販売ということよりは庭先で取引されているというのも随分あると伺っておる。こういうふうな状況であるが、県としてはこうした消費者の期待にこたえていくことが大事であると考えて、その生産の安定を図るために、現在、農業試験場が中心になってそれら新需要穀物の栽培技術の試験、特に現地での実証試験を中心とした取り組み、あるいは大型機械による省力的な栽培方法といったようなことについての調査研究の取り組みを行っているところである。また、販売についても、それぞれの地域で小規模な生産されておるので、一元的にそれを集荷をして有利な販売につないでいくことが大切であるので、そうした取り組みを支援するため、県産品として一元的にそれをパッケージなどもして、そのまま消費者に供給していくということも考えながら、そうした商品化に対する支援を行っているところであって、そういう努力をこれからも強めてまいりたいと考えておる。

〇村田委員 食糧事務所等で等級検査などをしているんであるか。その格付とかそういう品質の保証とか、そういうことも伴って、そして等級とかそういうものがぎちっとなされていることが望ましいと思うんであるが、いかがであるか。

〇佐藤農政部長 その品目について、ある機関において等級格付をして、それが有利な販売につながるということにはなるけれども、非常にそば、ヒエ、アワ、いろいろ品目があって、品目によっては食糧事務所に依頼をして検査しているものもあるし、まだそういったような実態になっていないところもある。

〇村田委員 岩手県は特に県北地帯、そして北上山地、そういう山岳部の方では昔からアワ、ヒエ、そば、そういう産業があったわけであるが、全国的に見ても本土ではトップというような、供給量からいってもそうだと聞いておるわけであるが、将来のシルバーエージの非常に率の高い山間部において、手なれたそういう畑作というものを見直すと、その中に雑穀ということが生産、加工、流通の段階でくっきりと位置づけられるといいなあと考えられるわけであるが、町村行政の中におろした場合にも、そういう県の声がかり、御指導がぜひ欲しいものだなと、こう思うわけで、御要望申し上げておきたいと思う。
 それから、そういう雑穀にしろ野菜との併作、そういう複合的な経営というものを考えると、まず土づくりというのは有機農法ということをよほど唱えられてから久しいわけであるけれども、有機農法というものを畜産と結びつけた形での組織化というものも考えられておるわけであろうが、なおこの土づくりを考える場合の有効微生物群と私聞いたんであるが、例えば、琉球大の比嘉照夫さんという教授のお話をこの間も聞いたんであるが、確かに実証学的に言っても相当先例が出てきておると、有効であるという先例が出てきておる。微生物群の呼称を英語でEMと言うそうであるけれど、そういう1つの大きな流れというものも他県の方では続々と出てきておると聞いておるわけであるが、当県ではその取り組みはいかがになっておろうか。土づくりの問題に関連して。

〇佐藤農政部長 有機農業との関連において土づくりの取り組みであるが、本県は御承知のように畜産県であって、非常に畜産廃棄物というか、堆厩肥が非常に豊富な県であるので、それらを有効に活用し土づくりを推進するということは非常に重要なことだと考えておって、そういう事業も組みながら耕種部門での畜産の堆厩肥を活用するという仕組みづくりを現在指導しているところである。
 御質問にあった有用微生物を活用した土づくりについては、現在、本県で農業試験場において土壤のpH、酸度矯正のための微生物の働きを利用しようとする研究を現在行っておる。それから、お話にあったEM菌についても、現在、県内の農家において一部使われているという実態がある。

〇渡辺委員 先日というか、10日ほど前に政府は生産調整、つまり転作の面積の発表がなされたわけであって、岩手県も大幅にふえたと、この内容を見ていると、東北なり北陸なりという主産地が割り当てが高かった。そして、北海道は低かった。滋賀県が最低というのはちょっと意味がよくわからないんであるが、いずれ滋賀県が最低の減反率であると、こういうことであるが、その配分の理由を農水省は今年度の水稲作付面積、自主流通米の作付状況などを基準に検討、転作率が過去高かったところや担い手の育っている都道府県は緩和する一方、自主流通米の出荷量が多いところは配分を厚めにするなど、不公平感の解消に努めたということなそうであるが、何かその辺、今までやってきたこととどうなのか、ちょっと疑問を感ずるので、具体的に言わせてもらえれば、今まで農水省も農作物であるから適地適作ということもあるし、主産地形成ということもあるし、また、その結果、良質米、いろいろな品種が国内にあって、外国産との差があるということをこの間米が足りなくなったときに身をもって国民は感じ、国産米の体制というのはやっぱり大切だということを見直したばかりだと思う次第である。そういうことの方向に来たのだと思っておったんであるが、良質米地帯を大幅に減らすというような今回の配分に対して、県はどういうふうに国の発表に対して御見解をとられておられるか、受けとめておられるかお尋ねしたいと思う。

〇佐藤農政部長 平成8年度の新生産調整の目標面積の配分についてであるけれども、お話にあったように、国においては今度の配分に当たっては水稲の作付状況なり、自主流通米の生産状況にウエートを置いた配分をしているといったことにされておる。これについては国からはその理由については明らかにはされておらないが、ただ、この調整面積の配分の経過の中で、北海道のようなこれまでに作付面積の4割も生産調整をしている地域からの、ああいう地域の場合にはむしろ低コストで稲作ができるんだといったような主張がかなりなされたということも聞いておる。ただ、そういうこともあって、結果として稲作地帯、良質米と言われる北陸あるいは東北地域にウエートが多く配分された状況があるけれども、ただ、根っこからのいわゆる総水田面積、潜在生産力というか、潜在水田面積対比で見るとそれでもかなり稲作地帯は軽減された転作率になっているという状況である。なお、そういうふうなことで一部これまでの稲作地帯に傾斜配分していくという、傾斜と言うと低く配分するといったような考え方を一部修正されたようには思うけれども、それでも全体的にはかなり稲作地帯の転作率は低くなっているという状況である。

〇渡辺委員 これは新しい新食糧法のもとでの最初の転作であるから、この考え方が今後何年間か続くと我々はとらえなければならぬと思うのでお聞きをするわけであるが、要するに今度市場ができてその中で取引がなされる。そういうときに、新潟なんかが量がある程度減るということになったときに、新潟はどういうふうに考えるか。例えば、魚沼の米は大変高く売れるからそこをたくさんつくって、ほかのところは少し転作率を上げて魚沼で価格差を少しとって、ほかのところに転作の助成してやるというような考え方に出るかもしれないし、要するにトップブランドのあるところはどういう配分をしたらいいのかという考え方、要するにピラミッドに魚沼があってずっと、例えば新潟県の例をとると、そういう考え方をするかもしれないし、北海道のようにそこそこの値段のきららで、まずいとは言われないけれども、値段が安くていくんだという2つのスタイルがあると思う。北海道のような売り方の地区と。そういうふうにとらえたときに、岩手県はどちらの方を考えていかれるのかなあという気がするが、その辺どうであろうか。

〇佐藤農政部長 どちらの方の配分という形で、甲乙という形での言い方はなかなか難しいんであるけれども、ただ、本県の場合には、北上川の上下流域の平野部を中心とした稲作の主産地があって、そういうところで効率のいい稲作経営をやっていくということが、将来にとっても大事なことだと考えておって、これまで配分の際に考慮してまいったそうした所要素については、今後も継続して考えてまいりたいと考えておる。

〇渡辺委員 それで実施、例えば減反がなされるわけであるが、それに対して助成策があると、山形県はこの転作に対して、例えば昨年度から進めているハウス栽培など、園芸作物への転作支援策などを来年度以降も継続する方向でその支援策を検討するとか、ある程度の方向性があるようにも思うが、今後、岩手県はそういう転作の助成制度に向けて何かそういうお考えがあればであるし、その辺、各市町村に任せるというか、独自性に任せていかれるのか、その辺はいかがであろうか。

〇佐藤農政部長 生産調整の推進に当たっては、この面積分については転作されるわけであって、その畑地化あるいは畑作物の栽培が行われるということであって、その推進に当たってはその転作田が畑作経営を志向する農家において、畑作の収益性の高い畑作農業をやっていただくような指導を極力進めてまいりたいと考えておる。

〇渡辺委員 最後に1つだけ。
 今度の転作の中では、新しい新規の農水省の例えば事業を行うときに、罰則規定はなくなったんだということにはなっておるが、その要するに事業の採用要件からは除かれたんであろうが、ただ、順位を落とすか何か、やっぱり考えなければ守られないということになるだろうということも予測されているようにも仄聞するわけである。そうすると、既に例えば米の乾燥施設であるとか、倉庫であるとか、ある程度整備された市町村も--岩手県内にである--あるであろうし、そうでないところもあるであろう。要するにことしか来年ぜひやりたいというところもあるであろう。そうすると、整備されていないところはきちっと守らなきゃならないんであるが、整備されたところはちょっとオーバーラーンしてもというか、少し余計つくらせても、要するにさっき私が申し上げた、ある程度岩手県のトップブランドというか、ある程度そういう志向のものも東北の1地区である以上は、そういう志向の仕方も罰則要件というか、そこら辺とのバランスの中で考慮されたらなあというふうにも期待をするわけであるが、そういうことはお考えであるのかないのかだけお聞かせいただければいい。

〇佐藤農政部長 生産調整の新規対策については、ペナルティーという、実施されない分、未達成分については翌年度加算するということとか、国庫補助事業について不採択措置をするといったようなことは廃止されておる。ただ、お話のように、生産調整が強化されておって、その分が実際に現地へ行った場合にこれまでに装備した施設が有効に使われないんじゃないかという面についてであるけれども、転作面積の強化された分、約4、390ヘクタールであるけれども、これらの配分に当たっては当然に稲作地帯に傾斜をした配分ということになって、現地においてそういう既存の施設が施設の利用に影響があるということにはならないと思っておる。
 なお、その稲作地帯において大型トラクターなり、栽培管理施設が導入されておって、そういう地帯での転作の持ち方については、なお稲作機械、施設が有効に活用できるような転作の方式ということについて指導してまいりたいと考えておる。

〇千葉(浩)委員 ただいまの渡辺幸貫委員の生産調整の問題について、関連してお伺いしてまいりたいと思う。
 今までは目標面積と言っていたんであるが、ことしは対象面積、こういう何なそうであるが、そういうことで大変な転作目標面積、ことしからやっぱり2割以上なんであろう、これ、面積にして。そして、私、考えてみると、岩手県の水田面積全体から見て私は30%にはならないと思うんであるが、この面積が全く3割弱というものが休まなきゃない。こういう非常に厳しい対象面積であるか、これが提示されたわけであるが、それで稲作生産者農家、これは大変な大問題ということで今、思っているんであるが、まず1つお伺いするが、市町村等の配分、これはいつころ提示になるか、その日にちをひとつお聞かせ願いたいと思うし、それからもう1つ、新聞等でも出ているんであるが、共補償という問題が出ているんであるが、国の方の共補償の、どういう内容で、どういう形で出てくるのか、ひとつお知らせ願いたいと思う。

〇菊池農蚕課長 転作目標面積の配分の時期であるけれども、12月14日に予定しておる。市町村及び農協に対する配分の時期である。
 それから、もう1つ、共補償の内容についてである。共補償に対する助成については2種類あるけれども、地域の共補償の参加農家率が4分の3以上の場合には10アール当たり2万円、それから3分の2以上の場合には1万2、000円を助成するという内容になっておる。

〇千葉(浩)委員 さっきも渡辺幸貫委員から話あったんであるが、今度の生産調整の減反の問題で一番私が今までと違うところは、新しい法律が出て農家は減反に対してペナルティーがないというまず話でずっと今、来ているわけである。だから、問題は、そういう形で農家のペナルティーはないんだということでつくれるんだと、つくりたいという農家、ほとんど持っているわけである。こういう形の中でこういう大幅な減反ということになると、やはり一番私は困るのは、一番最先端にいる市町村であり、農協であり、これからどうこれを説得して、説明してやっていくか。これが非常に私は大変じゃなかろうか。結局、農家はないんであるが、市町村ではやはりペナルティーがあるんじゃなかろうか。ペナルティーとは少し大げさになるが、何で見てこの補助事業に対する、さっきも話あったとおり、補助事業に対して優先採択をしていくんだと、こういうことであるから、これは事業をやりたい場合に、補助事業をやっていく場合にこれができなければ、市町村はこれは後回しになるわけであるから、そういうことで大変私は苦慮しているんじゃないか、こういうふうにも思うんであるが、そういうことで部長からその辺のお話をちょっとお聞きしたいと思う。

〇佐藤農政部長 新生産調整の推進についてであるが、現在の我が国の水田面積の米の潜在生産力という点から見ると、非常に過剰な状態であると、そういうことであって、そのまま水稲が作付されると需給バランスが崩れると、その結果、米価の低下ということが十分に考えられるという状況の中で、やはりこういう生産調整の推進実施が大事なことだと考えておる。そういうことであるので、そうした米需給の状況についてよく生産者に理解をしていただいて、協力をしていただくということが大事だと考えておる。したがって、地域集落において農業者同士の話し合いを十分にしていただいて、先ほど申し上げたような共補償などを活用して、これからの農家の間で稲作を中心に経営を展開しようとする農家、あるいは畑作経営をやろうとする農家、十分にそういうところで話し合っていただいて、共補償制度も活用をしていただきながら、そういう農業者の経営志向にあわせた地域での取り組みをお願いしていきたい。あるいはそういうことについて指導してまいりたいと考えておる。

〇工藤委員 2項畜産業費2目畜産振興費に関連して、本県のブロイラーの振興対策についてお尋ねしたいと思う。
 平成6年度は御案内のように大変豊作であって、本県の農業粗生産額は3、516億円、昭和60年の3、595億円に次いで史上2番目と言われておるわけである。その品目別に見ると、第1位はただいまもいろいろお話があった米が1、314億円、第2位がブロイラー454億円、第3位が肉用牛256億円、第4位生乳酪農256億円、第5位が豚で200億円、このようになっているわけである。ただいまお話し申し上げたように、農業粗生産額に占めるブロイラーの生産高というのは非常に高いなと実は感ずるわけである。全国的に見ても本県のブロイラーは鹿児島、宮崎に次いで第3位だと言われておるわけである。非常に輸入自由化等で大変苦戦しながらよく頑張っているなと実は思うわけである。そこで、本県のブロイラーの将来展望ということをいろいろ伺うわけであるが、宮崎県あるいは鹿児島県等々、他県と比較して大消費地に非常に地の利、交通の便等々から言って非常に将来まだまだ生産拡大の可能性が大だと、こういうふうにも実は伺っておるわけである。そこで、実はこの予算執行されたものを見ても、ブロイラーと他のものを比較して、振興対策費というのは非常に少ないなあ、少ない中で頑張っているのかなとも実は思うわけであるが、もっともっとブロイラーの振興を図らなければならない。このように実は思っているわけである。そこで、今後、本県のブロイラーの振興対策をどのように考えておられるのか。
 それから、間もなくこの平成8年度に向けて予算の編成等々、いろんなこともお考えになっておるんだろうと思うわけであるが、そういうふうな近い将来に向かってどのような振興対策をお考えになっておるのか、農政部長の決意のほどをひとつお示しいただきたい、このように思う。

〇佐藤農政部長 ブロイラーの振興対策についてであるが、本県のブロイラーの飼養頭羽数については、お話があったように全国第3位の生産高を誇っているということであって、本県の農業にとっても非常に重要な作目になってきていると考えておる。
 それで、そのブロイラーの振興対策として具体的な本県の取り組みとしては、マレック病対策という形で現在それらに対する助成等も行っているところである。平成4年度から食鳥検査が始められたわけであるけれども、本県のそのときの実態はマレック病による廃棄率が非常に高いという実態もあったので、それに対して家畜保健衛生所等を通じて生産農場の衛生対策の改善指導ということを行うとともに、廃棄率の主な原因となっているマレック病に対する対策、助成を行ってきたところである。新年度の予算の関連で申し上げると、まだその作業中であってあれであるけれども、今後ともそうした衛生対策の強化ということで、なおブロイラーの振興策につながるようなことについて検討してまいりたいと考えておる。

〇小原委員 私は、本会議の一般質問でも本県におけるウルグァイ・ラウンド合意関連対策の特徴的な事業についてお伺いをした。そのことに関連をしてお伺いをしたいと思う。 1つは、農業生産基盤の整備である。特徴的な事業についての答弁の中で、体質の強い農業構造を確立することが重要であることから、農業生産基盤の整備を加速的に推進するという答弁であった。これからの本県農業を考えるときに、この生産基盤の整備はまさに急務だと、こういうふうに思う。農業者の高齢化や作業委託の進展といった状況に対応するためにも、水田の利用集積を推進していくことが必要であろうと思う。県ではこれらの推進の一方策として、平場地帯が中心であるが、いわゆる大規模区画の圃場整備に取り組んでいるところである。現在の取り組みの状況はどうなっているであろうか。私は地元農家の意見等も十分に聞きながら推進することが必要であると思うが、この推進方策についてお伺いをする。
 ただいま議論があったように、減反がつきまとうということである。私はこの減反面積の緩和という方法としては、備蓄の量を拡大をするということであろうかと思うけれども、いずれにしてもこうした生産基盤整備というものを、今日怠らないように行っていく必要があると思うので、お伺いをした次第である。

〇藤沢農地建設課長 大区画圃場整備事業の取り組み状況についてであるが、現在、岩手県では大区画に取り組んでおる圃場整備事業は、担い手育成基盤事業を中心として、北上市の和賀中央第4地区などで25地区で実施しておって、平成6年度までに約2、000ヘクタールの大区画圃場整備がなされるところである。これからも地元農家の意向を踏まえながら、ウルグァイ・ラウンドを好機ととらえて、大区画圃場の農業基盤整備を加速的に推進してまいりたいと、そういうふうに考えておる。
 また、圃場整備事業の実施と一体的に農地の利用集積を積極的に推進する必要があるが、ソフト事業である担い手育成農地集積事業をセットで実施することになっておる。県ではこれらの事業の農地の利用集積を計画的に推進するために、今年度から市町村あるいは土地改良区などの関係機関と一体となった支援チームをつくったところであって、地元農家の意向が十分反映されて事業が円滑に推進できるよう、支援、指導の強化を図っていくこととしておる。

〇小原委員 ぜひお願いをしたいのであるが、農家の負担という問題も当然出てまいるので、これら農家負担の軽減対策ということも政策的にあわせて、国にも強く要望しつつ、県としても積極的な対応をお願いをしたいと思う。
 次に、本県黒毛和種の改良についてである。
 平成3年の肉牛の輸入自由化後、輸入牛肉との競争はもとより、国内における和牛の産地間競争、ますます激しくなっておる。本県においては、優良な種雄牛--種、雄牛である。これを確保するために昭和62年以降、本県産の種雄牛増勢に着手をして成果が上がっていると伺っておる。しかし、産地間競争の激化に対応するためには、早急に本県産優良種雄牛をより一層安定的に確保することが必要かと思う。平成6年度の決算によると、大家畜改良増殖センター整備事業として4億7、700万円、黒毛和種育種改良推進事業として1億2、400万円の支出となっておるが、この黒毛和種改良の将来の見通し、これをどのようにお持ちなのか、お伺いをする。

〇菊地畜産課長 黒毛和種の改良についてであるが、本県が今後とも黒毛和種の主産地としての地位を確立していくためには、すぐれた増体量や肉質を兼ね備えた経済価値の高い繁殖牛群の改良が最も重要と考えておる。県は、昭和53年から種山牧野事務所において産肉能力検定施設を整備し、農協等が他県から導入した種雄牛について能力検定を実施してきたところであるが、さらに優良な人工受精用精液を安定的に供給する必要が生じたため、県は昭和62年度から国庫事業を導入し、優良種雄牛の増勢に取り組んでおるところである。優良種雄牛を効率よく作出するためには、親から子に伝える増体量や肉質などの遺伝的能力を数値化して評価する育種化を用いて、計画的に優良子牛の生産に取り組むとともに、さらに改良速度を速めるため、また、より優良な産子を取得するために受精卵移植等の技術を積極的に活用しておるところである。現在、本県が造成した種雄牛は山盛金、第5夏藤と4頭の種雄牛が供用されておるが、本年10月に産肉能力検定が終了した敏光6号は、肉質評価では最も注目される脂肪交雑の成績が3・0と、全国平均の2・1をはるかに上回る成績で、全国でもトップクラスの成績であった。この種雄牛については、今月18日に開催予定の黒毛和種牛群育種推進協議会において正式な承認を受けて選抜をし、精液供給を開始することとしておる。また、現在、種山牧野事務所に整備を進めておる大家畜改良増殖センター、仮称であるが、これは平成8年度から業務を開始することとしておる。また、産肉能力検定の枠をふやし、効率的な増勢力に取り組み、平成12年ごろまでには県産の種雄牛を約20頭程度係養することとし、県内に優良な人口受精用精液を供給し、優良牛の生産に努めてまいりたいと、このように思っておる。

〇小原委員 ぜひ、畜産農家あるいは団体の皆さんと十分協力をし合いながら、すぐれた黒毛和種の拡大に努力をしていただきたいと思う。
 中山間地農業の確立ということが大変課題になっておるわけであるけれども、私は、例えばデカップリングの導入というようなことも含めて、政策的に山間地農業のあり方ということについては県としても十分検討なさっておられるとは思うけれども、まさにこれも速度を速めて十分な検討をし対応すべきではなかろうかと思う。川に例えて言うと、上流部と下流部と、地形で言うと中山間、そして平場という対比になると思うが、これら山間地農業というものを考えた場合には特に平場地帯、川で言うと下流域に住んでいるあるいは生活している産業に携わっている人方、こういう人たちの理解というものがこれを揺り動かす大きなポイントではないかと思う。これは制度、政策の基盤を支えているのは、これは県民全体の理解であり国民全体の理解ということになるんだと思う。そういう意味で、今農政部として、デカップリングを含めて中山間地農業というものに対するいろんな手だてはもちろんなさっておられるであろうが、これからも岩手型ということについてどうお考えか見解を承りたいと思う。

〇佐藤農政部長 中山間地域に対する活性化対策というか対策についての考え方ということであるけれども、中山間地域においては、やはり何といっても平場地域と比べて農地条件が恵まれていないということもある。そういう点では、条件的に効率のいい農業と言ってもなかなかそういうところでは規模拡大、省力農業ということは難しい条件にあるので、その地域の条件に合った品目、作目を導入しながら、その狭い地域でも収入が上がるような方式を何とかして考えてまいりたいと、そういうことであり、例えば品目について申し上げると、単位収益の上がるこれからであると、花卉栽培などについて推進してまいりたいと考えておるが、そういう野菜、果樹なり、花卉といったような収益性の高い作物を経営の中に大きく定着していくような指導を、今後、推進してまいりたいと考えておる。 それから、この中山間地域についてであるが、従来の、従来のというか、畜産が既に農業基盤としてあるわけであるので、そういう畜産についても、地域の草資源を活用して十分にとれるような低コストの畜産の推進ということが基本的に大事なことだと考える。畜産プラス園芸部門という姿の農業を構築してまいりたいと考えておる。また、そうした農産物について、その地域でできるだけ処理加工も加えて付加価値の高い農業、加工部門も加えた、そういう農業の実現ということを目指してこれから指導してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 先般の総括質問で取り上げた問題であるが、農業の先端技術開発の中で努力された本県のオリジナル水稲品種としてのかけはしについて、今後の対応も含め改めてお伺いしたいと思う。
 かけはしは、本県の奨励品種として沖繩県の多大なる御協力をいただき推進したわけであるが、御承知のとおり、今年度いもち病の発生があり収穫量に少なからず影響したと思っておる。このことから、かけはしに対する農家の不安感が大きくなっており、来年度の作付が減少するのではという懸念が強いわけである。私は、かけはしを今後とも奨励すべき品種と思う立場から、また、農政部長の隣に座っておられる前農政部長の心中を察するに、大変心配しているのではないかと思っておる。私が御要望申し上げた趣旨あるいはいもち病防除の助成について、地元の農協あるいは農家等からの話をお聞きしても、県の何らかの助成策を期待する声が強い状況である。それぞれの分野で努力することはもちろんであるが、先般の副知事の御答弁では、指導についての最大限の対策を講ずる旨は伺ったが、私は、来年のかけはしの作付を推進するには、県のさらなる対応を期待する上で、過去における助成事例等もあったと伺っておるが、種子あるいはいもち病防除のための防除費の助成措置が必要と考えるが、農政部長のお考えをお伺いする。

〇佐藤農政部長 本県のオリジナル品種であるかけはしについてであるが、本県の稲作について特に米の評価につながることの一番の基本になることは、消費地に対して安定して供給していくことである。それについて、特に県中北部については冷害の常襲地とも言われるところであり、何としても耐冷性の品種を普及していくということがこの地域の課題であるとこれまでも思い続けてきたところであるが、そのかけはしがそういう面では耐冷性品種であると、そして品質的にも白度の高い品種であるし、味もよいということであり、そういうかけはしの長所を十分にこの地域の方々に理解をいただきながら、なお、そのいもち病については徹底した防除についての指導も加えながら、何とかこの地域の主力品種として普及してまいりたいと考えておる。
 なお、いもち病に対する、防除費用に対する助成というお話であるけれども、今後そうした形での具体的な支援についてどのようなやり方があるか、今後十分に検討してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 来年度の奨励作として県の前向きな御答弁としてとらえて、ぜひ誠意ある農業行政の推進を期待するとともに、農家から少しでも喜ばれる対策を推進してこそ、生きた行政というか県の並々ならぬ決意として認識されると思うので、今後ともよろしくお願い申し上げる。

〇菊池(勲)委員 今の農政部長の答弁だと、検討するということであるから、私どもで言う、通称、何もしないという言葉になるという感覚の上から関連の質問をさせていただくわけであるけれども、今千葉委員が言うとおり、ことしは初めて中山間地にかけはしをつくったんだけれども、先般の農業審議会のときには約4、000ヘクタール作付をしたと。その大半が残念ながらいもちに当たって、来年の作付に意欲を損なわれた農家が大半だと聞いておる。農政審議会に遠野の婦人の方が委員におられるけれども、その方も言っておった。恐らく遠野では、来年つくる人はだれもいないだろうという極端な発言をしたところが、農政部長の答弁は余り歯切れがよくなかった。きょうの答弁のように検討するという話だったけれども、どうも顔つきが悪いなと思って、話によれば、仄聞すれば、財政当局にもかなり責任があるみたいな感じをちらりと耳にした記憶があるわけであるけれども、私はこんなに大事な岩手で最近つくったオリジナル品種であるから、当然、寒さに強いということは大きな利点だしそれで味がいいということ、これにたった1年で農家がもう意欲をなくすような形になったということは私は重大なことだと思うんで、うちの千葉委員はかなり遠慮して、期待を申し上げる程度で終わったんだけれども、私は正直申し上げて、決算特別委員会であるから6年度の審査で--出納長は、かけはしをつくるためにわざわざ石垣まで行ってきた。私もとうとう行かせられてきた。向こうの農家と直接作業をしながらお話をしたけれども、大変気持ちよく話しておった。先般の一般質問のときにもお話ししたけれども、岩手県の職員はすばらしいものだと、夜も寝ずに水田の畦畔に立って、どんな形をしたらこれを成功して岩手に持ち帰れるか、岩手の使命をかけて毎日やった職員がおったわけである。最初は石垣の農家も、金はちゃんともらう計算をしておったから、もう余り意欲を出さないで、もう十分金は入ったという感覚でいたんだそうである。石垣の新聞にすっぱり書いておったから。そしたらあるとき農家の人が、軽トラックで工場の中を通ったんだそうである。何だ人影が見えると、暗いところに。何だろうと思って気にしながら一たんそこを通り過ぎたそうだけれども、また戻ってみたら、県の職員が田んぼの畦畔に立って一生懸命思案をしておったと。それを見た姿が翌日農民に全部知れ渡って、あの人が恐らく寝ずに、毎日ああいうことをやっておったのかという思いを振り絞ってすばらしい成果になったという、石垣の新聞に報道されておった。それをもってことしつくった。残念ながらいもちにストッとやられて、それで検討するという農政部長の判断では私は納得できない。それをつくった責任のある出納長、どう思うか。まず出納長に聞いてから。

〇高橋出納長 私の口から予算を、いもち病対策の予算についてはどうのこうのと申し上げる立場にはないが、ただ、私も6月にまだ農政部長のころにいもちの被害状況を--6月ではない、出納長になってからだろうか、そこら辺でちょっといもちの被害状況を見に県北に行ったことがあった。そのときに、西根町の大変優良な本当に立派な米専作の農家の方、それは女性の方であるが、その方も水田を見たときに、残念ながらやはりいもちにかかったと。ただ、その方のおっしゃるのには、隣のいもち以外の田んぼのあれと違って、かけはしのもみだけはネズミが引っ張っていくと。だからこれは大変おいしいんだと。ことしは残念ながら県の言うことをちょっと守らなかったんでいもちにはかかったけれども、来年はそのとおりちゃんとやりたいと。そしてもっともっとおいしい米を、量を多くとりたいと、そういうような話を聞き大変心強く思ったが、ただ、おっしゃるようにそういう方がどれだけいるかということになると、全体的にはやっぱり少ないんじゃないかと。そういう意味でも農政部の方にせっかくのかけはしであるので、大いに頑張っていただきたいと、そのように思っておる。

〇菊池(勲)委員 こちらからお金出してもらったら全然出てこないようだから、やはりもとに戻して農政部長に今度は、検討という言葉を前進させる答弁をひとつもらいたい。 もちろん、農政部では自分の財政は財政課で協議しながらもらわなきゃならないであろうけれども、この4、000ヘクタールを維持する努力は、恐らく来年度の防除する薬代では私は不可能だと思う。来年つくる種子代に補助金を出さないと私は農家の説得は不可能だと思う。であるから、少なくとも4、000ヘクタールことしつくった人が、そういうすばらしい米なんだということをまだ認識していないわけである。今、出納長はネズミも食べたと言うけれども、これは大変おいしいから食べた、まずいものは食べないんだから、動物は。私も石垣に行って、40キロ種子をもらってきてその年つくったわけである。5月に収穫に行って帰ってきて6月11日に田植えをした。そして立派に収穫したのはみごとに味がいい、これは。ササニシキと比べたら多少落ちるかもしれないけれども、岩手ですばらしいものをつくったと、これは本当に私は味のいい米だと思って食べたし、試食会に約百四、五十人集まって食べてもらったけれどもみんな喜んだ。だけれども、残念ながら私どもは中山間ではないのだから、あれをもしかして私が百姓で農業やっているからつくったとするならば、お盆過ぎれば完璧にもう穂が垂れ下がるであろう。そうすると、ほんとど害虫にやられる、スズメに。であるから、私どもの地域では不可能な品種だと思うから、少なくとも中山間地帯を抱える岩手の農業のこの現状からすれば、この種こそ岩手の主力品種になるものだと私は思うから、こんな発言になるから、部長、いかがであろうか、再度御答弁お願いする。

〇佐藤農政部長 かけはしに対する思い、本当にありがたく拝聴した次第である。そうしたことを十分に踏まえて、今後かけはしの普及それから栽培管理に対する徹底指導、そういうことを積極的に明年に備えて、現在、農家の配布用のチラシなどをつくってもう既に農家に配布している段階であるけれども、そういうこととか、あるいは現在種もみの推進についても各市町村、地域を巡回して、先ほどのようなこの品種の特性などを十分理解していただくといったような努力もいたしておる。それら、十分私ども推進対策を講じながら来年に備えてまいりたいと考えておる。

〇千葉(浩)委員 まず最初に、県産米の販売対策、戦略についてちょっとお伺いをする。
 新食糧法が出て1カ月ということになるが、先日東京で行われた自主流通米価格形成センターと申そうか、そこでの入札の結果が発表されたわけであるが、残念ながら岩手県産米は基準価格の下限価格と、これは一番下だということになるんじゃなかろうかと思うが、非常に残念でならない。ただ、私思うが、県産米の岩手県の食味の評価と申そうか、よその県に比べて絶対劣るものでないと私は思っている。そういうことで具体的に申し上げるが、平成6年産の食味値というのを私聞いたわけであるが、県産のひとめぼれが85、それからササニシキが83、ただ、非常に評判がよくて高く売れる新潟産のコシヒカリ、これが73である。結局食味が落ちて高く売れているんだなという感じを私持ったわけであるが、これはいろいろ理由はあると思うが、実績であるとかイメージ、いろんなものがかみ合ってそういう形に評価されてきていると。宣伝が向こうは上手だったのかなという気もするが、何に見て、岩手県のそういう形で、県民にやっぱり岩手の純情米は絶対おいしいんだというものをもう少し宣伝すべきだと。我々自身がまずわからないということもある。県民もわからない。ましてや向こうの業者はわからない。いろんなことがあると思うが、何に見て、そういう形で県産米の宣伝、これをやっていく必要があると思うが、まず部長の考えを聞きたいと思う。

〇佐藤農政部長 県産米の宣伝についてであるけれども、お話があったように、平成6年産米については食味系統における指数、係数においても北陸地帯の良質米と言われるものに引けをとらない数値を示しているところである。それによって、穀物検定協会の検定結果によると、ひとめぼれについては特Aのランクをいただいており、まさに全国トップの銘柄という評価をいただいておる。そういう評価については報道等もなされているわけであるけれども、努めて私どもも地元に対してそういう評価にいただいているということを積極的にPRをしていくということが大事だと思っておる。
 なお、平成7年産米についても、本県で栽培されている各品種について、民間の食味系の調査によると非常にいい数値が出ているということであり、これをさらに穀物検定協会、こういうところで客観的に評価していただこうということでの準備を進めており、そういう結果も踏まえながら、さらにそういうPRをしてまいりたいと考えておる。

〇千葉(浩)委員 ぜひそういうことを積極的にやっていただきたいと思うが、1つの政策だと思うが、岩手県はやっぱり気象も変化あるし土地の条件もまず広いということでいろいろの多種多様と申そうか、いろいろの地域があるわけであるが、そういう形での県産米のセールスポイントというものが私は少しぼやけているという--ぼやけていると言えば語弊があるが、そういう恐れを感じるわけである。やっぱり県産米をイメージアップしていく、成果を上げていく、そういう中にあって、やっぱり岩手県の顔になる産地なり米なり、こういうものを特定しながら、それからそういう形で岩手県全体の経営者と申そうか、先頭に立って走るものを私はつくっていかなけりゃ、これからずっと産地間競争激しくなるわけであるから、そういうものをこれから考えていかなければならないんじゃなかろうかという気がするが、部長、どうであろうか。

〇佐藤農政部長 県産米のイメージアップを図るためのまさに戦略についてであるけれども、これまでも進めてまいったような本県産米についての消費地におけるフェア等の開催による主食、あるいは小売店において、店頭において実際に試食してもらってそこで買い求めてもらうといったような具体的な取り組みを展開しているところであるけれども、なお、先ほど申し上げたような、第3機関における穀物検定協会のようなところでの評価を、十分にそういうものを宣伝の材料にして取り組んでまいりたいと考えておる。そして県のみならず、地域での取り組みも非常に重要だと考えておるが、本年7年産については水沢市あるいは江刺市農協において、特別栽培表示制度を活用した取り組みをやられているということであり、非常にこの地域での取り組みを評価をいたしているところである。そういう県内での各地域、農協などでの取り組みについても十分に支援しながら、全体的に本県の米の評価向上に努めてまいりたいと考えておる。

〇千葉(浩)委員 先般、95年農業センサスというのが11月30日であろうか発表されたわけであるが、新聞報道等を見ると、全国で農家戸数は350万戸を切ったと、こういう発表があったわけである。そして4人に1人が65歳以上ということで、一口で言うと農業構造が全く弱体化した内容が発表されたわけである。こういう中にあり、農産物というものは自由化され、先ほど来話しあった減反というものが本当に強化されたし、いろいろの状況が悪化してまいって大変心配しているわけであるが、この農業センサスの結果について農業構造、そういう面から本県の実態をどう受けとめておるか。また、本県としてこの問題でどう対応していくか、ひとつ部長の考えを聞きたいと思う。

〇佐藤農政部長 このほど95年農業センサスが公表されたわけであるが、現在は速報値ということに相なっているわけであるが、その結果によると、農家戸数については前回の5年前の調査に比べて7・1%ほど落ち込んでいると、あるいは就業人口については12・6%の落ち込みということになっておる。これについては、全国の減少率から見るとその減少率は本県の場合下回っているわけであるけれども、いずれにしても非常に急速に、そうした減少しているという状況が見られるわけである。特に、農業従事者の65歳以上の割合がお話しのように45%にもなっているということで、前回32%であるので、やはりかなりの従事者のいわゆる高齢化ということが進んでいると見られるわけである。ただ、経営規模の拡大の状況をこの数字から見てまいると、販売農家、5ヘクタールから10ヘクタール規模のものが前回の調査に比べて10・7%増加しているということであるし、10ヘクタール以上の階層規模のものについては46%ほど増加しているということもあり、農業を志向する農家については規模の拡大が進んでいるという状況もある。そういう状況もあるので、今後の農政の推進に当たっては、こうした農業に意欲を持って取り組んでいただける農家の育成ということがやっぱり重点に置いて推進していく必要があると考えており、地域の農業を中心的に担っていただく農家の育成、あるいはそういう方々が農業をやりやすいような状況、条件というものをつくってまいりたいと考えており、現在、いわゆる農業構造政策という言い方をしておるが、そういう面に政策の重点を置きながら今後推進してまいりたい。特に、関係機関、団体といった方々と一体となって本県農業の振興ということに努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 農政は県政のまさに重要課題であり、米の自由化そして新農政、新食糧法のもとで農業は文字どおり瀬戸際に立たせられておる。私、質問を大変力を込めて準備をいたした。若干多岐にわたるけれどもよろしくお願いしたいと思う。
 最初に、世界的規模での食糧危機の認識について伺う。
 国際稲作研究所は、2025年までに米の70%増産が世界的に必要だと報告している。ワールドウオッチ研究所は、世界の備蓄穀物は49日分しかなく、これまで最低だった73年の55日分をさらに下回っていると重大性を指摘している。FAOは、食糧と農業の状態95年版で、今日の世界が抱える最大の問題、飢餓と食糧不安に新しい世紀を迎えようとする今こそ全世界が取り組むときだと、このように強調している。実際、中国が米100万トン輸入、フィリピン、北朝鮮も輸入援助を求めている。農政部長、世界的な食糧危機についてどう認識しているか、
こうした中で生産国である日本が米を輸入していることをどう考えているかお聞きいたす。

〇佐藤農政部長 世界的な食糧危機ということをどう考えるかということであるが、委員御指摘のように、現在、世界的に見ると食糧不足を来している国もあるという状況であるし、今後の世界の食糧自給ということを考えてみると耕地面積が横ばいに推移するだろうという予測があるし、開発途上国を中心として、人口が増加するあるいは食生活の水準が向上するという形で肉類消費の増大が見込まれるということもあり、中長期的には食糧事情が逼迫するのではないかという懸念をしているところである。
また、米を輸入しているということについてであるけれども、基本的には国民の基礎的な食糧というものはできるだけ可能な限り国内で自給していくということが基本であると、基本でなければならないと考えており、そういう面での今後においても、そうした国民の食糧を賄うような基盤というものはやっぱり確保していく必要があると考えておるる

〇斉藤委員 米の輸入自由化を認めていては日本と岩手の農業、米は守れないと考える。同時に、世界の食糧危機も解決できないどころか、国民に新たな猜忌をもたらしかねないと考えるものである。米の部分自由化は6年後まで、その後は全面自由化の方向である。私は、今からWTO協定の改正を求め、米の全面自由化を食いとめる取り組みが必要と思うが、11月の政府統一予算要望の中身も含めてこの取り組みについて農政部長、どう考えているか。

〇佐藤農政部長 WTOの決定の改正等についてであるけれども、WTOの協定については、米の特例措置の継続について2000年に再交渉が行われるといったような取り決めになっており、食糧を取り巻く世界的な需給情勢を見据え、今から世界的な視野に立った食糧の備蓄や援助の仕組みなどに関する国際世論の形成に努めていくことは必要であると考えており、このほどの北海道東北知事会においても、そうした国際的な世論形成について要請という形で行っておるし、先般の統一要望においてもそういう内容を盛った要望事項、要請事項でもって陳情いたしておる。

〇斉藤委員 米の問題についてはお隣の秋田県の野呂田農林水産大臣も米は自給すべきだと、こう言っている。だから、米が自由化制決まったということで、それへの対応策だけで私米の問題守れないと。やっぱり6年後に向かってこのWTO協定を改正する、自由化を食いとめると、この点で食糧県である岩手県の農政部長が大いに全国の旗頭で頑張ってもらいたいと私は要望をしておく。
 次に、3番目に、3悪政治の根源の問題であるが、米の自由化、新農政、そして米価の下支えを放棄した新食糧法、この根源にはアメリカの穀物メジャー、そして財界の圧力がある。ガット合意の土台となったアメリカの提案をつくったのは、世界65カ国で活動しているカーギル社、世界最大の穀物メジャーで副社長を努めたアムスタッツ氏であった。アムスタッツ氏は、その後アメリカの農務次官まで上り詰めた。日本では天下りだけれども、アメリカは天上がりである。財界はこういう青写真を最近発表した。経済同友会が7月、21世紀に向けて日本農業が進むべき方向、おこがましい方向であるが、こう言っている。
 米生産量は年間1、000万トンから600万トンに、20ヘクタール耕作の5万戸の農家で生産すると。水田面積は271万ヘクタールから100万ヘクタールに減少させる。日経連は、この減少させた農地を大企業の開発に自由に使わせてもらう、こう言っておる。私は、この米の自由化や新食糧法、新農政の背景にこういうアメリカ財界の思惑があるんだから、UR対策でその農業つぶしの後押しをしているだけではだめだと、このことを指摘しておく。農政部長、こういう事態、御理解しておるだろうか。

〇佐藤農政部長 そういう経済同友会から報告があったということは承知しておるけれども、ただ、その内容については詳しくは研究はいたしておらない。ただ、農業は生物産業であり、気象によって随分生産量が左右されるというものでもあるので、単なる経済効率性のみで論ずることは適切ではないと考えておる。

〇斉藤委員 それでは、具体的な問題について次にお聞きする。
 今の農家の最大の課題は、米価がどうなるかという問題である。
 新食糧法は、二重の意味で米価の下支えを放棄するものである。1つは、政府の買い入れ米150万トン、輸入米を含めた備蓄米だけに限定したと。2つ目は、政府米の買い入れ価格を自主流通米の市場価格で決める、ここには生産費を補償する、こういう考え方が全く見られない。農家は、米価がどこまで下がるか大変不安がっておる。先ほどの質問にもあったけれども、最近の入札価格を見ると、県産ササニシキは1万9、487円、基準価格からマイナス1、513円、マイナス6・8%。ひとめぼれは2万74円、基準価格から1、476円マイナス、マイナス6・8%。あきたこまちは1万9、799円、基準価格から1、301円減、マイナス6・2%となっておる。大体1、500円前後、基準価格からマイナスになっている。この米価で農家の採算が成り立つだろうか。また、農協の仮渡し金は今回どうなっているかお聞きする。

〇菊池農蚕課長 7年産米の自主流通米の仮渡し金についてである。経済連における仮渡しであるが、ひとめぼれで1万7、800円、あきたこまちで1万7、500円などとなっており、需給事情を勘案し前年よりも1、000程度引き下げられたと聞いておる。

〇斉藤委員 結局、この新食糧法では本当に米価の下支えがないからどんどん下がる。私はだから--後から減反問題やるけれども、減反やれば何とかなるなんという問題じゃないということを強調したい。
 それで我が党は、緊急の提案として新食糧法のもとでも最低2万円以上の米価の下支えが必要だと。そのためには300万トンの政府米の買い入れが必要だと提案をしている。この要求は決して過大なものではない。92年産米の平均生産費は、農水省の調査で1万9、468円になっておる。これが平均生産費である。であるから、これを下回ったらもとがとれないということになるわけである。であるから、少なくとも2万円の米価、そして政府米300万トン、これは流通量の約4割である。こうすれば、この米価を下支えする機能ができると私は考える。実際、労働者並みの労賃を農家に補償すると考えれば、私の試算では2万4、000円である。本当は2万4、000円必要なんだが、当面2万円の米価、この点で--国会じゃないからだけれども、これは聞かないことにする。
 次に、減反問題についてお聞きする。

〇伊沢副委員長 要約してお願いしたいと思う。要約しながら質疑をよろしくお願いする。

〇斉藤委員 (続)減反過剰の原因は、文字どおり輸入にある。ことし米輸入元年であった。8万ヘクタールの追加減反。40万トンの輸入分。いわば輸入分が追加減反になって押しつけられた。新減反政策では、11月21日発表、10万7、000ヘクタール増になっておる。これは50万トンの過剰に見合う。来年50万トンの輸入である。私はこれはガット合意を受け入れたときの閣議決定、米のミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わない。これに違反するものと思うけれども、どうであろうか。

〇佐藤農政部長 積算根拠についてはまだ詳しくは聞いておらないけれども、現在の新しい生産調整の取り組みの基礎となっておる計数等についてみると、現在、国内産米で200万トンほどの在庫を抱えることになるということであり、その在庫を150万トンまで下げるためにこの3年間、計画的に転作をやや強化しながらやっていくという考え方に立っていると伺っておる。

〇斉藤委員 農家が今までの減反ならば我慢できると。しかし、米を輸入した分まで減反されたら、これは我慢できないということなんである。ことしの追加減反、これはもう8万ヘクタールを40万トン分じゃないだろうか。来年の10万ヘクタールというのは50万トンであろう。であるから、今農政部長が言うようなそういうものじゃない、これは。
 それで、新減反計画の具体的な問題について聞く。
 新減反計画では、減反面積を低く見積もる新しい仕掛けも出されている。水田から果樹、畑作に転作した土地は5年以上たったら転作面積にカウントしない、こういうやり方が今回導入されている。その内容、岩手県分についてはどうなっているか。ことしの減反の達成状況はどうか。未達成市町村はどうか、未達成市町村に減反の上乗せなどが行われることはないか聞く。

〇佐藤農政部長 ことしの新しい生産調整について転作面積を低く見ているのではないかということであるけれども、本県の配分面積について申し上げると、平成8年度の正式には生産調整対象水田面積ということであるけれども、2万2、840ヘクタールの配分がなされておる。ただしこれは7年度まで実施された現行制度で見てまいると、いわゆる水田営農活性化対策の目標面積という形で見ると2万5、650ヘクタールに相当するということで、それについて見る4、390ヘクタールほどの強化ということになっており、これは極めて生産者にとって厳しい数字だと見ておるところであり、必ずしも少なく見積もっているということではなくて、多少見方の、見方というか、内容が水田に復帰が見込まれない土地なり加工用として仕向け先がはっきりしている面積については、生産調整の枠外でカウントしているということがあるので、こういう数字になっておる。
 なお、本年度の転作の達成状況であるが、県トータルとしては101・2%の達成率である。ただ、市町村によっては未達成のところもあるけれども、これについてはことし限りの対策であるので、従来のようなペナルティーという形にはなっておらない。

〇斉藤委員 そのペナルティー問題について、市町村で未達成があった。今後市町村ごとに配分されるであろう。これ未達成になった市町村に対して、ペナルティーはないが補助事業の順位について考慮はあり得ると、こう言っている。これは県レベルであろうか、市町村レベルでそうなるのであろうか。

〇佐藤農政部長 先ほど申し上げた市町村によっては未達成になっているということであるが、これは平成7年度の実績であり、新しく仕組まれる平成8年度の新生産調整対策については、それが影響するというふうには私ども受け取っておらない。

〇斉藤委員 私は8年度のことを聞いた。新しい減反計画で未達成になった市町村が出た場合、全県的には達成していても市町村にそういう補助事業の採択で考慮があるのかと、それとも全県的に達成していれば対象にならないのか、そのこと。

〇佐藤農政部長 新生産調整の運用等の細目についてはまだ国から参っておらないけれども、県トータルで達成して、達成見込みの場合には既にこの新しい制度では特に地域間調整なり市町村間調整という方式を大幅に取り入れておるので、そういうことのないように実際の段階で進めていくように指導してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 ことしの追加減反はペナルティーはなかったけれども、本当に強制的に減反が押しつけられたという状況になった。稲の抜き取り、トラクターで踏みつぶし、最後は青刈り、こうやってペナルティーなしと言いながら無理無理減反を押しつけたと。私はこの新減反政策で手挙げ方式だがと言っているが、もう手を挙げろ方式になってしまってこれは大変なことになるんじゃないか、こういうやり方は絶対させてはならぬと思う。
 我が党は、200万トンの備蓄、輸入米は海外援助に回すと、こうやればこういう強制減反必要ないと提案をしておるので、これは指摘にだけとどめておく。
 次に、規模拡大問題、新農政の問題についてお聞きする。
 認定農家の状況は全県的にどうなっているであろうか。全農家に占める比率はどうか。 スーパーL、スーパーS、この活用農家状況はどうであろうか。

〇佐々木地域農政推進監 認定農業者の状況についてであるけれども、11月現在の認定農業者数は2、724人となっておる。これは全販売農家に占める割合は3・2%である。また、県が育成しようとしておる主業型農家1万5、000戸を目標としているわけであるけれども、それに対して約20%となっており、この制度も徐々に浸透してきているものと思っておる。

〇藤沢農業経済課長 スーパーLの活用状況であるけれども、平成6年度は24件で約18億、それからことしは11月現在で79件、11億になっておる。それからスーパーSの方は昨年は2件、ことしは15件である。

〇斉藤委員 認定農家が私は思うように進んでいないんじゃないかと思う。というのは、今のこういう減反つき、米価がどんどん下がっていく、こういう情勢の中で、とても恐ろしくて規模拡大できないというのが実感ではないか。
 実は11月に、我が党は農協組合長さんや岩手生協など、生産者の方も含めて米シンポジウムをした。そのときに、胆沢町の専業農家がこう訴えた。
 3町歩から7町歩半に規模拡大したが、所得はふえなかった。借金のために規模拡大したようなものだと、こういう率直な指摘であった。
 そこで私お聞きする。今度の新減反政策では27%の減反つき規模拡大である。米価の低落のもとで、規模拡大は結局農家に新たな負債を押しつける危険性が強いと思うがどうであろうか。県の基本計画の算定米価はどうなっていたであろうか。新食糧法下の最近の入札価格、これで基本計画は実行できるのかどうか。1俵当たり2、000円ないし3、000円下落すると、10ヘクタールの農家は800俵出荷するとして160万から200万の減収になる。県の基本計画は今の自主流通、入札価格で成り立つのかどうかお聞きする。

〇佐々木地域農政推進監 まず、経営規模の拡大が負債につながらないかというお尋ねであるけれども、私ども経営規模の拡大は経営の合理化なり軽微化などにより、そういことによって経営の総合性を発揮するという意味で、結果的には所得の増大につながるというもので、直ちにその負債につながるものではないと思っておる。
 それから、県が策定した基本方針で用いておる米価についてであるが、この方針は平成5年度につくったものであるので、その単価は前年度の平成4年度の実勢単価を使用しているところである。米価のその後の状況について申し上げると、平成6年度の実績についてはたまたまであるけれども算定単価と全く同水準になっておる。
 それから、今年度についてであるけれども、確かに自主流通米の取引価格は値下がりしておるわけであるけれども、一方、自主流通米比率が高まっており、全体では大きな変動にならないのではないかと見ているところである。いずれ、価格は年によって変動があるのはある意味ではやむを得ないものもあるわけであるけれども、大幅に下落することのないように関係機関、団体と一体となって販売対策に重点を置いてまいりたいと考えておる。

〇伊沢副委員長 斉藤委員にお伺いする。
 質問項目予定している分、どのくらいあるだろうか。(斉藤委員「5つぐらい。」と呼ぶ)

〇伊沢副委員長 この際世話人会の申し合わせにより10分間程度休憩する。
   午後2時58分 休 憩
   午後3時18分 再 開

〇伊沢副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 質疑を続行する。

〇斉藤委員 簡潔に次々とお聞きする。
 認定農家の問題について、ある市町村では減反は必要ないから認定農家になってくれと、こういう説明を受けた、こういう農家がいる。しかし、1993年8月2日付の通達では、認定基準に認められない場合として、水田営農活性化対策等の生産調整対策が考慮されていない計画と、いわば減反に協力しなければ認定農家に認めないと、こうなっていると思うがどうであろうか。家族経営を守ることこそ日本と岩手の農業を守る大道だと私たちは考えている。兼業農家が米生産に果たしている役割、位置はどうなっているであろうか。 兼業農家が米生産を含め、農業を支えていると思うけれども、それは農業だけでは採算がとれないので働きに出る。働いた分の給料を注ぎ込んで農業を支えていると、私、これが岩手の農業の実態だと考えるが、どのように兼業農家を見ているであろうか、位置づけているであろうか。
 また、それに基づく県の基本計画は、規模拡大路線、そして農家の選別である。もちろん認定農家になっても、先ほどの報告あるように、すべての認定農家がスーパーLやSの対象になるということにはならない。選別に選別が繰り返される。圧倒的多数は切り捨てられるという、これが新農政ではないか。私は、農業を続けたいすべての農家を育成の対象として、家族経営を守る本格的な体制こそ必要だと考えるけれども、いかがであろうか。

〇佐々木地域農政推進監 まず、認定農家は減反に応じなければならないかというお尋ねであるが、生産調整は米の価格低下を防止しようとするものであって、稲作農家がすべて恩恵を受けるものだと思っておる。そういう意味で認定農家であろうとなかろうと、農家全体の理解と協力のもとに生産調整が円滑に推進されるべきものと思っておる。
 それから、兼業農家の役割についてであるけれども、兼業農家についてはそれぞれが持っておる農地や労働力等の経営条件に応じて、花や花卉等を導入して生産活動を行っておるわけであって、相応の役割を果たしていただいていると思っておる。今後とも地域ぐるみ農業の考え方に立って、主業型農家との役割分担の中で農業に携わり、地域農業の一翼を担っていただくべきだと思っておる。家族経営についてお尋ねがあったけれども、家族経営が基本になるべきでないかというお尋ねであったけれども、我が国の農業はこれまでも家族経営のもとで維持発展を遂げたきたものだと思っておって、今後ともその基本は変わるものではないと思っておる。

〇斉藤委員 最後の結論は一致するようである。第1種兼業農家は、水田作付面積で35%、第2種兼業農家は52・7%、合わせて87・7%を兼業農家が占める。兼業農家で米生産、農業を支えられている。これが実態である。だからこの兼業農家をやっぱり育成していく、支えていくという対策が規模拡大農家だけにしないでやってほしいと要望しておきたいと思う。
 次に、中山間地への特別対策について、先ほども論議があったと思うけれども、県は政府要望として中山間地への所得補償的措置を要望している。どういう内容か。ヨーロッパでは中山間地に対する所得補償は常識である。スイスでは山岳地域農家に年270万から300万支出されている。WTOでも条件不利地域への所得補償は制限されていない。であるから、私はこの所得補償なしに中山間地域守れないと思う。ある農協幹部は、新食糧法のもとで県北は米づくりやめてもらいたいと、こういう話もある。私はそういう点で中山間対策は従来の枠でなく、県も今、要望しているから、その県の要望の趣旨についてお聞きする。

〇佐々木地域農政推進監 県が国に要望しておる所得補償制度の内容についてであるけれども、その考え方としては、1つには、中山間地域は農業が基本であるので、その農業の振興対策を図ることということであるし、それから2点目としては、農地が低利用になったり耕作放棄地も出ておるので、それが良好に管理できるように農林地等の維持管理対策をやっていただくことと、それからさらには、地域内における多様な就業機会の創出対策を講ずることというような、各面の総合的な観点から、最終的にはその地域住民が一定の所得を確保して、そこに定住していただけるようなそういうことが基本になるような、我が国独自の所得補償制度の創設について強く要望しているところである。

〇斉藤委員 私は、中山間地が果たしている役割、国土保全、環境保全、大変大事だと思うんである。水田でいけば12兆円、森林含めれば37兆円と言われておる。そういう中山間地の水田農業を守ってこそ国土や環境が守られる。そういう立場でぜひ、今、国際化、国際化と言われているから、こういうものこそ先進的なヨーロッパの経験に学んでやるように大いに強めていただきたいと思う。
 かけはしの問題についてお聞きする。
 かけはしのいもち被害が大変広がった。農協関係者から聞いたら、県からの指導は、いもちについてはあきたこまち並みだと、こういう指導を受けてそのとおりやったら失敗したと、こういう反応であった。いもちが広がったことに営農指導上の問題はなかったのか。あきたこまち並みという指導は正しいのかどうか。そして、さらに被害状況、被害額を把握しているのか。来年の作付の希望は今どうなっているか。私は、かけはし大変大事だと思う。だからこそこの今回の問題について、やっぱり県の営農指導上の問題や責任を明らかにして、そういう対策をとってこそ来年本当に勇気を持って、また、県の皆さんの指導を受けてやろうという気になると思うんである。その点についてお聞きする。

〇佐藤農政部長 かけはしのいもち関連であるけれども、本年のかけはしのいもち病防除については、非常に御案内のように、本年春以来、非常に日照が不足していたということもあるし、高温が非常に長く続いたということがあるので、いもち病の発生が十分に懸念されたところである。本県においてこうしたいもち病の発生予想については、発生予察という形で取り組んでいるわけであるが、そういう形で、途中注意報については3回、警報についても1回発令をして防除を促してまいったところである。ただ、本年は非常に気象的に見て特異な気象経過をたどって、普通であると登熟期以降になると県中北部について、夜の温度が最低気温が低くなってまいって、いもち病の発病をどちらかというと抑えるような働きをして、結果的にこの地域についてはいもち病が余り発生しないといったような状況であったわけであるけれども、本年はこういう開花後の登熟期間においても最低気温が非常に高かったと、そして日照が不足していたということが災いして、いもち病の多発性ということになったわけである。そういう状況であるが、何とかしてこのいもち病については、防除について徹底していかないといけない。あるいはその現在のいもち病防除の技術でもって十分に防除はできると、防ぐことはできると考えておる。ことしの発生状況については、各地域ともその被害の程度、発病程度について把握をしておって、さらに詳しくは成育診断予察圃を各地域に設置しておるし、さらに、展示圃等もあるので、それらについてさらにデータを精査をして、被害発生の要因について解析をしながら、それを参考にしながら明年度のいもち病対策に十分に効果をおさめるような指導をしてまいりたいと考えておる。
 作付希望はどのぐらいかということであるが、ちょうど現在、各品種について種もみの注文をとっている段階であって、先ほど以来申し上げておるように、こうしたかけはしの品種の特性なども十分に御理解をいただきながら、作付の推進を図ってまいりたいということで、県内手分けをして、各地域、関係機関、団体ともども巡回をしながら、そういう推進指導を行っているところである。

〇斉藤委員 かけはしについて農家は、こんなにいもちに弱いとは思わなかったと、私はだから営農指導上の問題なかったのかと聞いているわけである。農業技術上防げるんだと、実際に被害を受けた農家は、共済の対象になっても1筆方式であれば3割足切りなんであるから、私はそういう点で、こういうやっぱり営農指導上に問題があったとすれば、県がそれなりの対応をして当然ではないか。このことを要望しておく。
 あと二、三点である。
 県産米での学校給食について、引き続き推進を県民は願っているが、大丈夫であろうか。

〇菊池農蚕課長 学校給食用の米については、国の助成に加えて県及び農協中央会が助成を行ってきているところである。次年度以降については、現在、国において検討されているということであるが、引き続き助成が実施されるよう、北海道東北地方知事会等を通じて、国に対して要望しているところである。県としては、こうした国の動向を見きわめながら、次年度以降の助成について検討しているという段階である。

〇斉藤委員 学校給食はぜひ県産米ササニシキでやっていただきたいと強く要望しておく。
 田野畑村の臨海森林公園交流の森計画についてお聞きする。
 県はこの計画を承知しているであろうか。計画を聞くと、国有林1、234ヘクタールを対象に、10年間で33億円の開発をする。田野畑村では大変な開発である。住民不在でこういう開発計画が進められて、最近、田野畑シイタケ組合が全員一致で、自然環境保全の立場で反対を議会と村長に要望した。田野畑村自然を考える会発起人会がつくられて、大変たくさんの広範な人たちが大変だと、こういう運動が今、進められつつあるが、どうであろうか。

〇菊地畜産課長 田野畑村の臨海森林公園交流の森計画についてであるが、交流の森構想があることについては、田野畑村から公共牧場等の機能強化に係る事業計画の要望があったときに、構想については聞いておるが、詳細については了知しておらない。なお、参考までに畜産としての事業については、事業名は草地畜産活性化特別対策事業という事業を導入して、既存の草地の整備、新たに興すものでなく既存のものの整備100ヘクタール、それから道路の改良整備、これが4、000メートル、それからこの事業が一般消費者の触れ合い事業等もできる事業になっておるので、そういう触れ合い施設、こういうものが7カ所、これらを計画しておるが、平成7年度については調査事業が入っておるので、精査の上、計画を決定したいというように思っておる。

〇斉藤委員 この開発は本当に住民不在で、環境、国土保全にとっても大変大きな問題抱えている問題であるから、ぜひ慎重にひとつ対応していただきたいと思う。
 最後である。食糧費、官官接待について。
 平成6年度農林水産費にかかわる官官接待は、監査委員会の報告によると102件、1、645人、2、316万5、149円と報告をされている。農政部関係の実態はどうであろうか。
 接待と会食はどう違うか、私お聞きしたいと思う。副知事依命通知によると、接待、贈答品は贈ってはならないと、こうなっておるが、これまでの接待は接待なのか会食なのか、どこが違うのか。
 最後に、公共事業の事務費を使っての官官接待は、その補助事業に関するものかどうか。農政企画課だけで平成5年度で言うと82件あった。私はこれはその補助事業に限った懇談だけではないなと、こういうふうに感じたのでお聞きする。

〇和美農政企画課長 平成6年度農林水産業費102件ということで、農政部の実態どうかということであるが、この102件のうち農政部関係のものは62件と、このようになっておる。それで、この62件の内訳であるが、本庁で執行した分が43件、それから東京事務所で執行した分が19件ということになっておる。本庁で執行した43件であるが、これは農林水産省、本省の方からこちらの方にいろいろ会議等でおいでになっていただいた際の食糧費、それが30件となっておる。それから、あと東北農政局があるが、事業の執行のためのいろいろ協議等、あるいは打ち合わせに行った際、執行したものが13件と、そのようなことになっておる。
 それから、接待と会食の違いということであるけれども、一般的には接待とはお客をもてなすことと、こういうことで、会食は集まって飲食をするというのが、辞典ではこういうふうになっておるけれども、それで昭和54年の副知事依命通知、それから農林水産省の、ことしの11月20日付の事務次官通達の内容に即して言うと、単にもてなしを意味する接待、それから事務事業執行上必要ない懇談における会食はこれは禁止になったということである。事務事業の執行上必要な会議、懇談については、これに付随する部分の必要最小限の範囲での会食はこれは行ってもよろしいというように理解しておる。
 それから、公共事業の事務費を使っての官官接待は補助事業に関するものかということであるが、公共事業の事務費における食糧費の執行であるけれども、国の使途、予算の使途基準がある。それから、国において認められた予算の範囲内で執行してきたところであるけれども、一部について監査委員の方から指摘があった分については、これは今後適正に処理してまいらなければならないと、そんなふうに考えておる。

〇斉藤委員 最後であるが、これでは接待と会食はどこが違うかさっぱりわからない。私これは本当にそれだと副知事依命通知のしり抜けになっちゃうんじゃないか。その点、厳しく抗議して私の質問を終わる。

〇渡辺委員 1つだけ。かけはしが大変非難の声が大きいわけであるが、ただ、私が思うには、我々議会も早くオリジナル品種が欲しいということで頑張っていただいたということだろうと思うんである。ただ、その急ぐ余り、例えばササニシキ、宮城県であればBLが出てきたというように、いもちに強いという部面もあるであろう。かけはしもさまざまないもちのタイプなりいろんな試験もしていかなきゃならぬであろうし、また、多収性ももうちょっとあればいいかなとか、いろんな思いがあるんだろうと思うんであるが、来年度以降のそういう、もう少し長い目でもうちょっと改良が必要ではないか。そういう意味の研究費なり何なりも来年の予算に向けてもうちょっと配慮されたらという意見である。何かあれば御返答いただけば結構である。

〇佐藤農政部長 かけはしについてであるが、いずれ品種には長所もあり短所もあるということであって、その普及に当たっては短所をうまく理解しながら、それの品種に合うような栽培管理をやっていくと、そういうことの栽培管理が徹底されると、その品種についても十分に定着して推進できると考えておる。そういう面では、何度か申し上げておるように、かけはしの普及推進に当たっては、そういう点について十分留意を払いながら、明年度以降、指導を徹底してまいりたいと考えておる。
 なお、その品種の今後の開発、改善の取り組みについてであるが、かけはしについてはなおいもち病に強い品種にしようということで、現在、生物工学研究センターのところで、かけはしに対していもち病に強い形質を取り込むということで現在取り組みをやっておって、現在ちょうどその遺伝子組みかえ操作によって、いもち病に強い働きをする遺伝子の取り込みについては成功したといったようなことにもなっておって、ただ、それを作物として分化をして、さらにそれぞれの、果たしてそれがいもち病に強い形質を発現するかどうかというテストもしていかないといけないことであって、なお数年かかるけれども、そういうふうな本県の地域に合った品種の開発については、今後も鋭意取り組んでまいりたいと考えておる。

〇及川委員 高橋出納長にお伺いをする。
 たしか出納長の前職--前の職は農政部長であったと、私、承知をしておる。ここ二、三日、毎日出納長とこの席でお会いをして、きょう午後から今までに見られないしぐさがあった。そのしぐさとは、右手を半分挙げるしぐさである。たしかこれは委員長に向かって発言を求めたいしぐさであったであろうと、このように私なりに理解をするわけである。そこで、今回の農政部の決算は、たしか出納長が編成をし、そして遂行してきた予算、決算と、このように理解をするわけである。ここで締めくくりに当たって農政部に対する予算の、何と言うんであろう、その評価とでも言うんであろうか、それをひとつ感想をお聞かせをいただきたいというのが1点。
 もう1点は、いっぱいもろもろやりたい仕事があったであろうとは理解するが、その中でただ1点だけを挙げるとするなれば、どういうものであったであろうか、お伺いをして終わる。

〇高橋出納長 農政部関係の決算の感想ということであるが、いろいろ私が編成に携わった予算の決算について、大変多くの委員の方々からいろいろな御指摘、また御提言等をいただいておって、私自身もいろいろ反省をさせられたり、またこう考えたらよかったかなと思ったりもして、いろいろな複雑な心境でお聞きをしていたと、こういうようなことである。
 やりたかった仕事を1つということであるが、いずれまさに昨今の農業を取り巻く環境というのは、まさに御案内のとおりであって、いずれウルグァイ・ラウンド対策にしても、やはり構造政策、また中山間対策、それも非常に大事ではあるが、それともう1つはやはり流通対策、特に販売対策というものもこれから本当に力を入れなきゃならぬ。これはきょうの委員会の審査の中でもいろいろお話があったわけであるが、それらについてはまだまだ私自身も不足していた面があったと、そのように思っておる。そういう意味でもやはりこれからは新しい時代に向けたそういうような対応について、行政も行政なりに真剣に取り組んでいかなきゃならぬ、そのように思っておる。

〇伊沢副委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇伊沢副委員長 質疑がないようなので、農政部関係の質疑をこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。本日は、これをもって散会する。
   午後3時44分 散 会


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