平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号1994年度岩手県一般会計決算、第10号1994年度岩手県流域下水道事業特別会計決算について反対の討論を行います。
 理由の第1は、県民の税金によるむだ遣い、いわゆる官官接待が横行していたことであります。94年度の食糧費の総額は一般会計分で4億284万円余、その多くが中央官僚への接待に使われておりました。監査委員会の限定された調査では、310件、4、448人、5、930万円余が官官接待に支出され、支出目的に沿わないもの、不明確なものもあったと指摘をしています。129件、2、351万円余の食事券、ビール券の購入は、23件を除き、すべて配付先は不明でありました。監査委員会の調査自身が、東京事務所など、県外公所は20万円以上に限っての調査、本庁のものでも10万円以上の調査であり、官官接待の一部分にすぎません。論議の中で明らかになったことは、昭和54年12月6日付副知事依命通知で、官公庁との接待及び贈答品の授受は行わないことはもとより、官公庁での会議等における会食についても必要最小限にとどめるとされているにもかかわらず、ホステスつき、コンパニオンつきの宴会接待が公然と行われてきたことであります。また、必要最小限に抑えるどころか、昨年度から東京事務所に係る食糧費の単価表は、それまで知事3万9、500円、部長3万3、000円の限度も実態に合わないとなくされ、事実上、青天井、無制限とされてきました。食糧費、官官接待の処理は、数カ月もしくは1年後の請求書の受理や日付のないもの、内訳明細のないものなど、極めてずさんなものも少なくありません。ところが、増田県政はこうした官官接待をみずから調査することもなく、今年度下半期20%保留とか来年度30%削減などのアドバルーンを上げてきました。その実態は、ホステスつきの官官接待まで認めるという驚くべき旧態依然としたものであることが明らかとなりました。私は、増田知事が県政推進の基本姿勢に清新で公正、県民にわかりやすい県政の実現を唱えるのであれば、みずから官官接待の実態を調査し、昭和54年の副知事依命通知に厳格に立ち返って、県民の批判の強い官官接待はきっぱりと廃止すべきことを強く求めるものであります。
 反対の第2の理由は、県営建設工事、公共事業のゆがみの問題であります。
 国の経済対策自身が不況打開の最大の課題である国民の消費を拡大する施策が1つもないというものですが、県の公共事業も、最近の綾里川ダム堤体工事の談合情報や下水道事業団による談合事件に見られるように、談合体質をそのままにしての公共事業となっております。その結果、県営建設工事に占める大手ゼネコンの受注額は17、8%にもなっています。さらに、県内大手受注額ベストテン10社が占める割合も県内業者受注総額の25%となっています。福祉、医療、教育、住宅、下水道などの生活基盤向けの公共投資はわずか11%であり、官公需の県内中小企業向け発注比率は74、4%にとどまっています。景気対策というなら、何よりも談合体質の改善を図り、大手ゼネコン、県内大手企業への偏重、ゆがみを正すことこそ必要であります。そして、県民が求める生活基盤への公共投資と、県内中小企業への発注比率を高めることを強く求めるものであります。
 第3の理由は、福祉切り捨て、県民に冷たい県政となっていることであります。
 昨年10月から入院給食費の有料化が強行されました。これは前代未聞の悪政であります。30都府県が国のやり方に抗して助成をしております。県都の盛岡市も、市民の強い要望と市議会全会派一致でことしの10月1日から入院給食費への助成を開始しました。ところが千葉副知事は、決算特別委員会での総括質疑での私の質問に対して、増田知事の公約を無視して、盛岡市の態度を不適切と答弁しました。翌日、マスコミがこの発言に注目し、大きく報道したのは当然であります。その後も県民の抗議と怒りの声が寄せられています。ここには県民の要望より政府・厚生省の態度に追随する自民党政治下請県政の冷たい姿が示されています。
 第4の理由は、米の自由化を容認し、新農政の推進で圧倒的多数の農民を切り捨てる農政を進めてきたことであります。
 工藤前県政は、政府がガット・ウルグァイ・ラウンド合意の受け入れを決めると、国会で論議決定される前にそれまでの態度を急変させ、米自由化容認、それへの対応としてUR対策を農政推進の中心に据えてきました。政府が進めるUR対策とは、米自由化に対応して、これまで反対してきた規模拡大を無理やり進めようとするものであります。実態は、新食糧法のもとで27%に及ぶ減反の押しつけ、米価の低落に見られる価格保証の放棄で、日本と岩手の農業は文字どおり存亡の瀬戸際に立たされています。世界が食糧危機、米不足に直面している中、米自由化を食いとめ、生産費を償う米価1俵2万円以上を保証し、減反の押しつけをやめることこそ農業と農村、農民の経営を守る道であります。
 第5の理由は、いじめ、不登校など、学校と教育をめぐる問題が改善されるどころか、一層深刻となっていることであります。
 昨年のいじめ件数は、県教委調査で284件と前年比2倍となりましたが、これ自身学校に報告にあった件数であり、氷山の一角にすぎません。いじめ、体罰などを理由とする不登校は、小、中、高で1、234人、高校中退は590人に及んでいます。ここには本来、政治や社会の病理現象から子供たちの人権や学習権を守るべき学校が、現実には新学習指導要領のもとで超スピード授業による落ちこぼれ、差別と選別の教育で子供たちの心を傷つけるものとなっています。教師に対する管理主義の強化と多忙化と相まって、子供たちの叫び、シグナルを受けとめられなくなっている現実があります。できないのも個性、関心、意欲、態度など、人格まで点数化する新学力観に基づく教育の推進は、教育のゆがみを一層深刻にしております。
 私は、千厩町の奥玉中学校の早期改築を求めてきました。11月には島村文部大臣にも要請して窮状を訴えてきました。ところが県教委は、昭和26年建築で昭和46年に既に耐力度調査で危険校舎とされてきた超老朽校舎にもかかわらず、千厩町教委からの報告として、災害がなければ10年もつなどと報告していることは事実と実態に基づかないものであります。学校、子供たちをめぐる実態に目をふさぐ官僚的態度、対応では、いじめや不登校を解決することも、子供たちの人権と生命、安全も守ることはできません。
 最後に、ことしも岩手山演習場では日米合同演習が2回強行されました。沖繩での少女暴行事件を引き起こしたアメリカ海兵隊との合同演習は、米軍基地縮小、撤退を求める沖繩県民の願いに背を向けるものでした。県土ではアメリカ──米──軍の合同演習が強行されている根源に、屈辱的な日米地位協定があります。私は、今こそ増田知事が沖繩県民と連帯して、日米地位協定の見直しと米軍の共同使用への反対を打ち出すべきと強く求めるものであります。
 認定第10号流域下水道事業特別会計決算は、決算審議でも取り上げたように、委託契約先である日本下水道事業団が大手中堅重電メーカー9社と談合していたことが明らかとなりました。談合は平成2年から始まった疑いが指摘されており、その徹底調査と改善が求められています。
 以上申し上げまして、認定第1号、第10号に対する反対討論といたします。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより認定第1号及び認定第10号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、認定第1号及び認定第10号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第9号まで、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第9号まで、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第33 議案第19号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第33、議案第19号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩君登壇〕
〇副知事(千葉浩君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第19号は、収用委員会の委員であります田村彰平氏及び千田勤氏の任期が12月24日で満了となりますので、田村彰平氏を再任するとともに、新たに乙部良一氏を任命するため、また、同委員会の予備委員として新たに尾澤重遠氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(堀口治五右衛門君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第19号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第19号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、議案第19号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて、これに同意することに決定いたしました。
   日程第34 発議案第1号景気回復への取り組みについてから日程第39 発議案第6号食料自給率の向上についてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第34、発議案第1号から日程第39、発議案第6号まで一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第1号景気回復への取り組みについてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、発議案第1号景気回復への取り組みについては、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号から発議案第6号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第6号までは、原案のとおり可決されました。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第4回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後7時4分 閉 会

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