平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、7号、8号、9号、12号について質疑を行います。
 議案第1号95年度一般会計補正予算は、経済対策事業費151億9、669万円など、総額161億4、700万円となり、12月補正としては過去最高の大型補正予算となりました。不況打開を名目とする経済対策でありながら、今回の補正も一番肝心な国民、県民の消費を拡大する施策が1つもないことは極めて残念なことであります。
 知事に伺います。
 不況打開にとって、国民、県民の消費を拡大する施策が1つもない経済対策で、さらに公共事業一辺倒のやり方で真に不況打開ができると考えているでしょうか。
 公共事業の内容についても、農林水産、土木関係と、ほとんどが土木、建設業向けであります。農政部関係では例年500億円程度だったのが経済対策で約2倍に膨れ上がっている状況。昨年もほとんど繰り越しとなり、今回も、現場では、とてもこなせる仕事ではない、箇所づけの返上や、多くが来年度に繰り越しせざるを得ないなどの声も聞かれますが、実態はどうでしょうか。建設のための建設、事業のための事業と言うべき実態も生まれているのではないでしょうか。
 公共事業についても、我が党は、産業基盤向けの偏重ではなく、生活基盤向けの公共投資を主張してきましたが、95年度予算、補正を含めて、この比率の見通しはどうでしょうか。
 新幹線の盛岡以北建設事業費補助として3億4、925万円が計上されています。これまでの地元負担分の総額と総事業費、それに占める比率はどうなっているでしょうか。
 農地防災事業費として防災ダム事業費が7、420万円計上されています。その中身はどうなっているでしょうか。新聞報道によりますと、ダムネット工事で談合が繰り返されていたとして、公正取引委員会は本年10月12日、関連企業3社に対して独占禁止法違反──不当な取引制限──で排除勧告をしたとされています。この談合では、本県の衣川4号ダム──平成5年12月発注──も談合があったと指摘されています。この工事の内容、談合の事実、県のこれまでの対応について明らかにしていただきたいと思います。
 公共事業外では、地震調査研究費として7、500万円が計上されています。これは、地震予知、震災対策として極めて重要なものであり、歓迎するものであります。活断層の調査研究と言われていますが、その内容について明らかにしていただきたいと思います。あわせて、防災計画の震災対策として、これまで調査研究すべき課題として挙げられていた諸課題はどう進められるのかお伺いいたします。
 今回の補正では、県職員の超過勤務手当についてそれぞれ補正がなされています。総額でプラス・マイナス幾らの補正となっているでしょうか。県庁を見ますと、本当に夜遅くまで明かりがつけられていますが、知事部局の超過勤務の実態はどうなっていますか。予算上ではどの程度、1人当たり平均措置されているのでしょうか。サービス残業等を強いることにはなっていないでしょうか。
 次に、議案第7、8、9号、給与改定について伺います。
 一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について、今回の改正は、寒冷地手当の半減は見送られたとはいえ、職員1人当たり平均0、82%、2、885円という史上最低というものであります。これは県職員のみならず、民間労働者の賃金へも波及し、恩給、年金にも連動するなど、不況で苦しむ広範な県民に追い打ちをかけるものであります。地方公務員法第24条3項では、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、その他の事情を考慮して定められなければならないとあります。特に生計費として、職員の生活を改善する額とすることは重要であります。ところが今回の改定では、私の試算で、昨年12月からの共済組合の掛金が引き上げられ、期末、勤勉手当、寒冷地手当からも引かれることになった結果、行政職の平均給料額で比較すると、給与改定分が年額4万7、250円アップ、共済掛金のアップ分が5万562円となり、約3、000円のマイナスとなります。これでは生活費改善どころか、実質マイナスの給与改定と言わざるを得ません。知事は、この史上最低の給与改定で県職員の生活が改善されると考えるのか。労働基本権の代償措置としての人事委員会勧告制度そのものの機能、役割が果たされないと私は考えますが、知事はいかがと考えているでしょうか。
 給料の調整額の改正について提案されていますが、これは3%相当に定額化するということであります。事実上切り下げとなるのではないでしょうか。調整額は一時金、退職金にもはね返りますから、将来的には切り下げとなり、職員の職務評価を下げるということにはならないでしょうか。
 特別職、とりわけ知事、副知事、出納長の三役、議長、副議長、県議の給与報酬の改定は、特に法律、条例の根拠がないものであります。そもそも一般職員、県民と比較し、現状でも高額なものであります。深刻な不況と超低額の一般職員の賃上げから見るなら、県民の理解を到底得られないと思いますけれども、知事自身どう考えているでしょうか。三役、県議の改定分は平年ベースで総額幾らとなるでしょうか。
 最後に、議案第12号県立高校の学科再編のあり方について、基本点についてお聞きいたします。
 本来、学校教育は中長期的な視野に立ってなされるものと考えますが、いかがでしょうか。ところが、県立高校の学科再編は毎年行われています。それも、学科再編される高校、教職員の間で事前に検討されることもなく、一方的に発表される状況ではないでしょうか。学科再編の目的、仕組み、検討経過はどうなっているでしょうか。実際、高校の現場では一部の教員しか承知しておらず、10月の新聞発表を見てびっくりする状況だと指摘をされています。そのために4月の入学式までに準備が整わず、教科書なしの授業も行われています。こうした実態を掌握しているでしょうか。当該委員でありますから、詳細は委員会で取り上げたいと思います。
 以上、答弁によっては再質問を行わせていただきます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員のお尋ねにお答え申し上げますが、今回の補正予算についてでございますけれども、国では、景気回復を確実にするためにさきの経済対策を決定をいたしまして、思い切った内需拡大を図るために、公共事業を初めといたしまして、地方単独事業や防災対策などにも積極的に推進をするということとしているところでございます。このため、県といたしましては、国のこうした経済対策に呼応いたしまして、県内経済の活性化を図るとともに、社会資本の整備等を推進するために、先般の9月補正予算とあわせまして、今回12月補正予算においても公共事業費を中心に予算措置をしたところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長からお答え申し上げます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず最初に、生活基盤向けの公共投資の比率の関係から申し上げます。
 今年度予算におきます投資事業、これは自治省で作成しております行政投資実績調べという統計がございますけれども、ここで示されております事業目的別分類、これは生活基盤投資、産業基盤投資、農林水産業投資、国土保全投資、その他投資、この5種類になっておりますが、これに倣いまして分類、試算をしてみますと、生活基盤、具体的に言えば福祉とか文教とか下水道、こういったものですけれども、これの割合は平成7年度12月補正時点で約11%、こういうふうになっております。
 それから、地震調査研究費の関係ですが、活断層に関する調査研究を推進するために、科学技術庁の地震調査研究交付金により実施するものでございます。県内の活断層につきましては、北上盆地と奥羽山脈とが接する地域に複数あることが知られておりまして、これらの地域の活断層を対象として、位置、活動度等を把握して今後の防災対策に資する、こういうものでございます。したがいまして、今後、災害に応じた被害想定等を検討する際にも当然役立っていくものというふうに期待をしております。
 それから、超過勤務の関係について申し上げますが、超過勤務につきましては、これまで全庁一斉ノー残業デーなどを設定しまして、超過勤務の縮減に取り組んできております。今年度、まだ年度途中でございまして確たることを申し上げかねますけれども、全体的に見ますと、このごろ超勤につきましては減少傾向にあるものと考えているところであります。今回の予算の計上額でありますけれども、一般会計ベースで申し上げさせていただきたいと存じますが、一般会計の補正額で1億6、700万円余ということになっております。また、この補正をした後の額について、超過勤務手当の支給対象となる職員について1人当たりを計算いたしますと、平均で約35万円程度となるものでございます。
 それから、給与改定全般の話でありますけれども、一般職の給与改定についてでありますが、本年度における給与改定につきましては、人事委員会におきまして、標準生計費の実態や公務員給与と民間給与の詳細な比較及び人事院勧告の内容等を勘案した上で所要の改定を行うよう勧告があったものと受けとめているところであります。県といたしましては、人事委員会からの勧告を受けて以来、勧告を尊重するという基本姿勢に立ちながら、法に定める給与決定の諸原則にのっとりまして、さらには財政事情等を含めた総合的な検討を行いまして、結果として勧告を完全実施することが適当であると判断し、関係議案を提案させていただいたところであります。
 それから、給料の調整額の問題でありますが、給料の調整額は、同一の給料表の中の同じ級で格付けられている職員の中で、他の職と比較した場合に勤務条件等の面で著しい特殊性を有するものがあり、これらを同一の給料月額で措置することが適当でない場合に、その特殊性を適正に評価し、それに見合った給料とするため、その特殊性に応じて給料月額を調整するものとして設けられているものであります。今般の新たな調整方法の導入に当たりましては、新調整方式による調整額と給料月額の合計額が、現に受ける号級を基礎として、平成8年1月1日において改正前の調整方式を用いて得られる給料の調整額と給料月額の合計額を下回ることがないよう、経過措置を講じることとされているところであります。
 それから、特別職の給与改定でありますが、これまで一般職の職員の給与改定、それから、東北の他県の特別職の給与の状況、これらを総合的に勘案しながら、おおむね2年ごとに改定をしてきております。現行の額は平成5年12月以来2年間据え置いてきているところでありますが、この間、一般職の職員の給与につきましては昨年度に続き、本年度におきましても給与改定を行う情勢下にあること、また、東北各県におきましては昨年度に改定を行った宮城県を除くすべての県が本年度に改定を予定しているところであります。このような状況を勘案しまして、さらには特別職報酬等審議会からの答申を受け、この際、本県におきましても改定することが適当であると判断し、関係議案を提出しております。
 それから、給与改定の所要額でありますけれども、三役及び議員の給与改定に係る所要財源は、平年度ベースでおよそ2、200万円程度と見込んでおります。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) 東北新幹線盛岡以北の建設に係ります総事業費並びに地元負担額、そしてその比率ということでございました。
 盛岡以北の建設工事の工事費は、工事が開始されました平成3年度から本年度までに総額で461億5、500万円となっております。これに伴います地元負担額でありますが、29億3、200万円余ということで、その事業費の6、4%となっております。
 なお、この29億3、200万円のうち、県費--県の負担額は29億600万円余となっておるところでございます。
   〔農政部長佐藤昭美君登壇〕
〇農政部長(佐藤昭美君) まず、公共事業に係る補正予算についてでありますが、御案内のように、農政部関係について見ますと、本年4月にウルグァイ・ラウンド農業合意が実施に移されるなど、新たな情勢に対応しまして足腰の強い農業なり農村を構築していくためには、生産基盤整備あるいは生活環境の整備をより一層加速して推進していく必要があると存じております。事業の箇所づけに当たりましては、関係市町村や農業団体など事前に調整を行っているところでありますし、本予算の執行につきましては、これから冬季に向かいハードな工事条件となりますが、効率的な事業推進に鋭意努めてまいりたいと考えております。
 次に、農地防災事業についてでありますが、今回の補正は根石地区防災ダム事業の築堤工事に対する国庫補助金の追加配分に伴う補正を行うものであります。
 次に、衣川4号ダムについてでありますが、この工事内容は、ダム本体及び附帯する施設の工事であり、その附帯工事の一部にダムネット工事が含まれていたものであります。公正取引委員会の発表資料によりますと、将来ダムネット工事が発注されることを見込んで談合が行われたことが明らかであることから、排除勧告を受けたもののうち、県営建設工事請負資格者である2社を3カ月間の指名停止としたところであります。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 学科再編は中期的な見通しのもとに行われているかということでありますが、昭和61年から平成7年までの10カ年間に毎年度学科の改編を行ってまいりました。67学科に及びます。今回4校4学科お願いしているわけでありますが、これは計画の策定に当たりまして、学習指導要領、それから産業教育審議会の答申、これの趣旨に沿いまして、何といっても中学校卒業者数の動向、それから志望動向、それから地域の要望等に即応するということ、それから産業社会の変化、進展に対応する。これは主として職業高校、専門高校にシフトしていますので、それらのことを総合的に検討して中長期的な見通しのもとに、学科及びコースの適正配置に努めていると、こういう考え方であります。
 それから、この計画策定に当たって学校での検討もなされているのかということでありますけれども、現場の先生方や地域の方々の声を十分にしんしゃくすると、こういうことでなければこの改編というものは成立いたしませんので、当該校の校長先生を通ずる場合、現場の先生方や地域の方々の声を反映できるように、さまざまな角度から御意見を徴し検討を重ねていると、こういうふうにお答えさせていただきたいと思います。
 それから、準備不足のため教科書なしの授業もあると聞くが実態はどうかというお話でございますが、建前、制度上の問題でありますが、高等学校におきましては学習指導要領に定められている科目すべてに検定教科書が用意されているわけではありません。実習教科とかさまざまなものがあるわけでありますから、それが制度上の問題です。これをどうしているかというと、やはり特色ある科目として柔軟に設定しているということでもありまして、これは学校において教科用図書の選定や教材の自主編さんなどでかえてやっているわけであります。かえるというか、そういうものを使って授業をしているということであります。それから、もう1点は、科目履修の面で1学年の大半が必修科目をまずやります。これは教科書がございますので、念のため申し添えさせていただきたいと思います。
 以上であります。
〇1番(斉藤信君) 1点だけ再質疑させていただきます。
 人事委員会の勧告について、私は超低額であろうと、早期実施大賛成であります。しかし、私が試算したように、事実上、県職員の場合は生活改善に至らない超低額だということを指摘したのであって、この具体的質問に対しては答弁ありませんでした。聞きたいのは超過勤務手当についてであります。たくさんの職員の方々から聞きますと、半分程度支給されているんではないかという実態のようであります。私この点について、宮城県では食糧費のうちいわゆる官官接待、これは原則廃止をして超過勤務手当については全面支給をすると、こういう改善をお隣の宮城県は行いました。慣例にこだわらない知事に一言だけ聞きますけれども、このような宮城県の、超過勤務手当全面支給というのは当然のことだと思うんですけれども、こういう改善の方法をどのように受けとめておられるか、お聞きしたいと思います。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 申しわけございませんが、賄い費というのは事務的な話でございますので当職から御説明させていただきたいと存じますけれども、職員の深夜勤務にひっかかります賄い費につきましては、これは御案内のとおりでありますけれども、一定の職場で多くの職員が継続的に深夜勤務に及ぶ場合に、夜食費を食糧費の一環として支給するということになっているわけでありますが、超過勤務手当と申しますのは、やはりこれは職員手当の一部でありまして、これはそれぞれ支出目的が異なるものであるのではないかというふうに私は考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、50人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、50人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、12月4日午前10時に特別委員会室に招集いたします。改めて招集状を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第18号までは、お手元に配布いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第4回県議会定例会平成7年12月1日)
総務委員会
1 議案第1号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款、第2款、第9款
    第3条
2 議案第7号
3 議案第8号
4 議案第9号
5 議案第13号
6 議案第14号
7 議案第18号
福祉文教委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第10款
2 議案第12号
保健商工委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第4款、第5款、第7款
農林水産委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款、第11款
   第2条第2表中
    1 追加中 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
    2 変更中 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
2 議案第4号
3 議案第5号
4 議案第10号
5 議案第11号
6 議案第15号
7 議案第16号
土木委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
   第2条第2表中
    1 追加中 15、16、17、18
    2 変更中 11、12、13、14、15、16、17、18
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第6号
5 議案第17号
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時14分 散 会

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