平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇14番(折居明広君) 無所属クラブの折居明広でございます。
 いよいよきょうから師走、ことしもあと1カ月となりました。悲喜こもごも、さまざまな感慨といろいろな思い出を残して激動と変革の平成7年が暮れようとしております。1月17日未明の阪神・淡路大震災、4月の統一地方選挙、引き続き行われた参議院選、国じゅうを震撼させた地下鉄サリン事件など数々のオウム犯罪、バブル経済崩壊後の不況と住専、信用組合、ノンバンクなどによる金融事件の発覚、沖繩米軍基地の代理署名問題、南太平洋ムルロア環礁における地下核実験、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争などなど、振り返ってみれば内外ともにまことに多事多難、いっときも心の休まることのない厳しく慌ただしい1年でありました。このような中にあって、毅然と核実験に反対し、防災ヘリコプターの機種選定リストからフランス製機種を除外し、駐日フランス大使へ抗議電報を4度も打電した増田知事の俊敏な行動は、前例にとらわれない発想を説いた知事の判断力、行動力の一端をかいま見たような気がしてまことに頼もしく、多くの県民にとりましても一服の清涼剤であったことと思います。
 この消防防災ヘリコプターの導入につきましては、昨年の12月定例会一般質問において初めて取り上げさせていただきましたが、当時の工藤知事には即座にその必要性を認められ、8年度までにはその導入のための環境を得て航空消防防災体制の整備を図りたいと答弁されましたが、しかし、それにしても当局の対応の速さ、すばらしさには目をみはるものがあります。
 知事に対する現段階における評価は、独自色が見えないとか、これからだとか、あるいは増田カラーに期待するというような声などの強まる中で、いよいよ来年度当初予算の編成作業が本格化しておりますが、知事就任からこれまでの平成7年を振り返ってみての所感と、初めて当初予算の編成に取り組まれる知事の決意のほどをまずお伺いいたします。
 次に、特別地方消費税についてお伺いいたします。
 ゆとりや潤いのある生活の実現のために、広く多くの人々が旅行をしたり会食を楽しんだりしておりますが、一定の額を超えれば消費税3%のほかにさらに3%の特別地方消費税が課税されており、消費税が二重に課税されているのであります。ゆとり大国を目指す我が国には不必要であり、広く薄く公平にという消費税導入時の理念に反する不公平税制であると思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 特別地方消費税の沿革をたどれば、大正時代の遊興税、歓興税までさかのぼります。これはどちらも地方税で、遊興や飲食などの奢侈的消費に対して課税されておりました。その後、数次にわたる改正を経て、昭和36年、料理飲食等消費税と改称され、さらに平成元年の消費税の創設に伴い、特別地方消費税と名称を改めて今日に至っているのであります。この税の根拠となっている奢侈的消費行為への課税という理念が終始一貫していることに時代認識のずれを感じます。戦後も50年、この間の社会の実態は大きく変貌を遂げており、特別地方消費税の対象とされる旅行に伴う宿泊や家族団らんの場としての飲食店、料理店における利用行為は、むしろ健全な余暇活動の一環として国民生活にすっかり溶け込んでおり、もはやこの種の消費行為を奢侈的という見方は時代錯誤であり、これに課税すること自体極めて不条理と申せましょう。しかも宿泊とか飲食という単一的消費行為に対して消費税と特別地方消費税が併課されている実態、これは利用者である消費者にとっても理解しがたいものと思われます。特別地方消費税は、平成元年の消費税創設の際にダイヤモンドの物品税やパチンコの娯楽施設利用税とともに廃止されるべきではなかったのでしょうか。もし平成9年度から消費税の税率が引き上げられたり、地方消費税が創設されたりすることになれば、理不尽きわまりない三重課税で高い税率ということになり、利用者、すなわち消費者からの理解を得ることはさらに難しく、税額転嫁は困難となり、ひいては需要の減退にもつながりかねず、経営に大きな影響を及ぼすことは必至と全国の関係団体が訴えております。不公平かつ不合理な特別地方消費税は本来的には撤廃すべきと思いますが、国や全国の地方自治体がどうしても撤廃に同意できないというのであれば、平成9年4月に創設、導入される地方消費税の中に吸収し、特別地方消費税の減収分は、消費税にかかわる地方交付税率を引き上げて補てんするという方法などは考えられないものでしょうか、お伺いいたします。
 次に、風俗営業の許可に係る営業制限地域についてお伺いいたします。
 本年7月、住みよいまちづくりのためにあなたの声をお聞かせください、盛岡広域都市計画用途地域の決定素案についてと題するチラシが盛岡広域の各関係市町村に各戸配布されました。このチラシを見た区域内の関係者から建物の用途制限に関する矛盾点を指摘されましたので、あえて関係当局にお伺いいたします。
 チラシの中の第2種住居地域のイメージ図の説明文に、主に住宅の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、パチンコ屋、カラオケボックスなどは建てられますとあり、同じく建築物の用途制限の一覧表の中にも同様のことが記載されております。しかし、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律──以下風適法といいますが──の規制の上からは必ずしもそのとおりではないというのであります。また、建築基準法第48条第6項により、映画館等の建築物は第2種住居地域に建築してはならないとありますが、裏返して言えば、それ以外の建築物は認められることになり、例えばパチンコ店等も差し支えないとされております。それにもかかわらず、実際には建築しても風適法により許可権者が営業を許可しないというのであります。一方の法律が建築を可とする営業施設に他の法律がその施設での営業を許可しないということでは、県民の誤解を招くおそれがあると言わざるを得ません。風適法施行条例には風俗営業の許可に係る営業制限地域が定められており、都市計画法第8条で定める用途地域をそっくりそのまま引用したところに問題があるのではないでしょうか。本来、用途地域は良好な市街地環境の形成と機能的な都市活動の確保を目的として、建築物の用途、容積率、建ぺい率、高さなどを規制し、誘導するために都市計画法で定められており、それを風俗営業等の立地、営業時間、騒音や振動などを規制するための営業制限区域と決めてしまったために、法の趣旨、目的の違いから、建物の建築は可能でも営業の許可はされないなどという不合理なことが生じてしまったのかもしれません。このままでいいのでしょうか。何らかの整合性を図る必要はないのでしょうか。県警本部長の御見解をお聞かせ願います。
 今回の都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律の施行によって用途地域の種類が従来の8種類から12種類となり、同時に、各用途地域において建築することができる建築物の用途についても見直しが行われております。この見直しに当たっては、既存の権利の保全という点にも十分に配慮されてしかるべきと考えるものであります。特に用途地域の改正に伴って、風俗営業施設の営業が制限されたり、営業権利の逸失が予測されるような場合には、用途地域の見直しとあわせて、この際、風適法施行条例あるいは公安委員会規則を改正し、既存の権利は保全してやるべきと考えますが、いかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、都市計画道路内丸山岸線と庚申窪山岸線の整備についてお伺いいたします。
 内丸山岸線は、盛岡市役所前から中津川沿いを通り、中央公民館前を北進して山田線の踏切を渡ったところまで約2キロメートル、また、庚申窪山岸線は、その先白百合学園高校を左手に見ながらさらに北進し、県営野球場前から緑が丘のアネックスカワトク前までの約4、2キロメートルで、いずれも市道であります。この2路線は、昭和13年3月、盛岡で最初に都市計画道路として計画決定された市街地43路線の中に含まれており、当時から主要道路としてその重要性が認識されていたにもかかわらず、五十数年を経た今日、なお未整備の状況にあります。この路線沿線はすそ野が広く、山岸地区だけでも今、約1万人の人々が住み、小中学校や高校はもちろんのこと、文教施設や福祉施設も多く、また、隣接する下米内、松園地区も進展目覚ましく、交通量も大幅に増加しており、中心部への流入交通路としてその重要性を増してきております。1日当たりの通過車両は中央公民館前で約1万3、000台と言われており、狭い市道に、自動車は言うに及ばず、バスや自転車が往来する朝夕のラッシュ時の混雑ぶりは交通安全の上からも極めて問題であり、過去に小学校への曲り角で学童がダンプカーに巻き込まれるという痛ましい死亡事故もありました。今のような状態が続く限り、いつまた悲惨な事故が起きないとも限らず、懸念されているところであります。殊にも冬期間中の登下校時の事故が心配されており、事故防止と安全確保のためにも、地区民から早急な整備が求められております。盛岡市では、経済社会情勢の変化に対応して、その都度調査を実施するなどにより都市計画道路の変更、整備を進めており、東北各県の他都市と比べてみても見劣りするものではなく、その姿勢と努力には評価するものもありますが、肝心なところで大切な何かが欠けているような気がしてなりません。限られた財源で各種プロジェクトを支援するための道路を優先させ、また、骨格道路の整備に重点的に取り組まざるを得なかったこと、急速なモータリゼーションの進展に都市計画道路の整備が追いつかず、なかなか計画どおりに進まなかったという事情も理解できますが、それにしても計画決定後五十数年という歳月は長過ぎます。都市計画道路内丸山岸線はいつごろまでこの状態が続くと考えればいいのでしょうか。緊急避難的に何らかの打開方法が必要と考えるものでありますが、いかがでしょうか。
 ところで、昭和61年度の総合交通体系調査で、将来の市街地形成に伴う交通需要に対応するため、都市の骨格となる放射環状型の道路網の計画を打ち出しているところでありますが、その中で、内丸山岸線の一部は4車線として位置づけられていると伺いました。そうであれば従来の計画を抜本的に見直す必要があり、早急に取りかかるべきであると思います。内丸山岸線と庚申窪山岸線について、県はその現状をどのように認識し、今後、整備に向けてどのように盛岡市を指導していくお考えなのか、土木部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、岩手県公会堂の今後のあり方と県庁舎の拡張等についてお伺いいたします。
 岩手県公会堂には歴史があり、県民それぞれに思い出も多く、郷愁に満ちた心のふるさと的な建物であります。古くは県議会議事堂として、あるいは県内最大の文化施設として広く利用され、親しまれてきた貴重な歴史的建造物でもあります。しかし、70年の風雪に耐えてきているだけに損傷も激しく、可能な限りの補修をしながら活用されてはいるものの、そろそろの感がいたします。今後のあり方等についてはこれまで幾度となく議論されているところでありますが、県では平成2年に耐力度調査をしたところ、構造については今後10年から15年の間に再度の診断調査が必要とされ、外装については平成7年度ごろにタイルの張りかえ工事が必要であるとのことでありましたが、その後どうなっているのでしょうか。修理や補修工事を繰り返していたとしても、経年劣化による老朽化を克服できるわけではなく、耐力度という基本的問題の解決にはなりません。仮に大がかりに手を加え補修したとしても、冷房や換気設備、照明や音響装置の不備、旧式サイズの座席など、現時点における建造物としては十分とは言えず、新築移転を含めて、この際、21世紀を念頭に置いた、それにふさわしいあり方を抜本的、本格的に検討すべき時期ではないかと思いますが、いかがでしょうか。現在、公会堂は主として会議と集会に利用されているだけで、その利用率は、ここ数年大ホールが20%台、会議室が50%台と低迷しております。公会堂が過去に果たしてきた役割は既に県民会館などに譲ってしまっており、今さら外壁とか内装の補修に多額の県費を支出することには私は余り賛成できません。
 ところで、公会堂問題に関する古くて新しい議論の1つに県庁舎の拡張問題があります。この区域は官庁団地計画の一画であり、建てられる建物は官庁に特定されるという前提もあるので、長期的には県庁舎との関連棟とか、あるいは行政施設しか建築できない。そういう面から検討を進めているといった答弁もありましたが、私は、建築後やがて1世紀を迎える公会堂はしかるべきところに移築復元し、その跡地には第2県庁舎を建設して現庁舎と合同庁舎の3棟を連結し、それらを一体化して機能させ得れば、再三再四にわたって議論され、指摘されてきたOA機器導入、組織機構の改編増加等に伴う事務室の狭隘化、会議室不足といった懸案事項も一挙に解決され、執務環境も向上し、庁舎機能の充実も図られ、行政サービスの向上も期待できるのでありますから、その方向で構想の検討に入るべきと思いますが、いかがでしょうか。
 ところで資料によれば、本県の県庁舎の敷地面積は約1万2、000平方メートルで、東北6県中最下位であります。県土日本一の大県岩手にしては余りにも狭過ぎはしないでしょうか。今こそ英知を結集して、来るべき21世紀にふさわしい骨太のしっかりした県庁舎と周辺一帯の整備構想に取りかかるべき時期だと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 しかし、いかなる場合においても公会堂を安易に取り扱うべきではありません。岩手県公会堂は、大正14年9月、当時皇太子だった昭和天皇の御成婚を記念して着工され、2年の歳月を費やし、昭和2年6月、近代建築として落成、開業されました。この建物は、昭和40年まで県議会議事堂として使われるなどの歴史的背景を持つ、県民の思い入れが特に強い建物でありますし、盛岡で初めての完全浄化下水道装置を完備した施設でもありますから、安易拙速に解体したり撤去してはなりません。公会堂については、建築学的な見地からとか、文化財的評価などを議論する前に、これは140万岩手県民の思いが凝縮されたシンボル的な塔として、しかるべき適地へ移築復元して岩手の歴史の証人として永久に保存すべきものであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、絶滅が心配されているイヌワシの保護についてお伺いいたします。
 生物の多様性は、人間の生存の基盤となっている自然の生態系を健全に保持し、生物資源の持続的な利用を図っていくための基本的な要素であると昨年12月に策定された環境基本計画に掲げられております。また、野生生物の保護は国際的にも重要な課題として認識されており、国内外の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に積極的に取り組んでいくことが我が国の果たすべき国際的な責務であると考えているものであります。野生動植物は人類の豊かな生活に欠かすことのできない役割を果たしており、次の世代のために、保全していくことの重要性が強く叫ばれているところであります。水清く、緑あふれる県土を標榜する本県においても、環境保全の一環として野生動植物の保護対策に今後一層力を入れていく必要があると考えるものであります。
 さて、このような中において、日本最大級の猛禽類で国の天然記念物にも指定されているイヌワシは全国で約300羽程度と推定され、その繁殖成功率は近年著しく低下し、最も絶滅が心配される種の1つとされております。平成2年から4年にかけて本県が行った生息実態調査によれば、県内28カ所でイヌワシの生息地が確認されており、全国の中では生息数が多い方でありますが、やはり繁殖成功率の低下が認められ、まさに緊急な保護対策を講ずる必要があるとのことであります。つきましては、これらイヌワシの保護を図っていくためにも必要な調査を積極的に実施し、保護方策を検討すべき時期に来ていると思いますが、県はどのような対策を今後講じるお考えなのかお伺いいたします。
 次に、新しい総合的なスポーツ施設の整備構想についてお伺いいたします。
 スポーツは人間の心と体の健全な発達を促し、明るく豊かで活力に満ちた、真に生きがいのある社会の形成に寄与する人類共通のすばらしい文化の1つであり、生涯スポーツ社会の実現は極めて重要な課題であると思います。また、今後、高齢化や都市化が進展し、社会の複雑化、価値観の多様化が進む中において、多様な意義を持つスポーツの重要性がますます高まるものと考えているところであります。さらに、サッカー競技などワールドカップ招致に見られるように、スポーツの振興と地域の振興を関連させる動きが全国各地で見られ、スポーツ施設の整備促進と大規模なスポーツイベントの誘致による地域の活性化の促進もスポーツ振興の大きな効果であると認識しているところであります。報道によれば、知事は、2巡目の国体を目指して盛岡広域生活圏内に総合的なスポーツ施設の整備について検討するよう指示したとのことでありますが、北東北の拠点としての盛岡市とその周辺地域の基盤整備に大きな影響を持つ構想であり、まことに時宜を得た知事のその指導力に改めて敬意を表する次第であります。私は、整備構想の検討あるいは設置に当たっては、各界各層の意見を広く聞くことが肝要であり、第1種公認陸上競技場とともに硬式野球の試合も可能な多目的ドームを核とするべきであると思いますが、いかがでしょうか。そして何よりも大切なのは、施設の増設、更新などにもたえ得る広大な面積を確保することであります。また、恵まれた自然景観を有し、交通アクセスにも恵まれたところに立地すべきと思いますが、教育長は総合的なスポーツ施設の設置場所についてどのような条件が必要だと考えておられるのか、また、今後それらの整備についてどのように検討していかれる所存なのか、お考えをお聞かせ願います。
 次に、低迷する国内観光客の動向とその打開策等についてお伺いいたします。
 本県を訪れた観光客の入り込み状況の資料を見れば、昭和44年に1、039万人回を数えて以来、この25年間はほぼ順調に推移しております。前年対比でマイナスなのは、51年の長雨冷夏、54年の第2次オイルショック、そして平成5年の異常気象による冷夏の年など、合計6回だけであります。昨年などは猛暑による海水浴客の大幅増により、過去最高の4、143万人回の入り込みを記録いたしております。しかし、関連業界の現場からは、残念ながらその割には実績が伸びておらず、この数字をそのままに信じていいのだろうかとの声も聞かれます。宿泊業界では、宿泊者数などから見て実態とのずれを指摘する向きもあり、この数値が関連業界の指標となり、基本的なデータとなるのでありますから、1度精査なり見直しをしてみる必要があるのではないでしょうか。日本観光協会がまとめた平成5年における全国の観光レクリエーション客の入り込み数は、東京都と大阪府を除く45都道府県の合計で21億人回にも達しておりますし、入り込み客数は本県も秋田県も約3、800万人回とほぼ同じなのに、消費額においては3、4倍以上の開きがあったり、本県と沖繩県の県外客入り込み数を比較してみれば、本県の方が沖繩県の5、7倍も多いことになっております。統計数値は学問的な算出方法によって出されているとは思いますが、もう少し実態感のある、より現実に近い数値を出せないものでしょうか、お伺いいたします。
 さて、本年は全県的に観光客の落ち込みが目立ち、上半期の入り込みが1、686万人回、前年同期比5、4%の減であります。夏場の観光客も天候不順等によって出足が鈍り、盛り上がりを欠いたまま秋の行楽シーズンを迎えたわけでありますが、依然として客足は伸びず、関連業界は深刻そのものであります。また、本県を訪れる修学旅行客も振るわず、誘致懇談会等では豊かな大自然を強調しているものの、最近の傾向としては大規模なテーマパークなどへ流れているため、平成元年をピークに減少を続けており、平成6年の入り込み生徒数は約36万人であり、昭和63年を100とすれば78、1%どまりと報じられておりました。県当局は、景気の低迷が続き、全体的に旅行にブレーキがかかっていること、関西からの誘客拡大を進める矢先の大震災、あるいは夏場の悪天候など、さまざまな悪条件が重なったのが原因と分析しておりますし、また、長引く不況によって財布のひもがかたくなり、パック料金の値下げなど、旅行費用の価格破壊も見られ、1人当たりの観光消費額が低下しているとも報じられておりましたが、このような厳しい状況がいつごろまで続くと予想しておられるのか、今後の見通しなどをお伺いいたします。
 最後に、去る11月29日、異常なペースで続発している交通死亡事故に歯どめをかけるため、非常事態宣言が発令されましたが、とうとい人命を輪禍から守るためには、県当局はもちろんのこと、県民総ぐるみで総力を挙げて交通死亡事故の防止に取り組む必要があると思います。私も県民の1人として微力を尽くしたいと決意するものでありますが、この際、現下の交通死亡事故の特徴とその対策について、県警本部長の御所見をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 折居明広議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、就任してからの所感についてでございますけれども、21世紀を目前にしたこの重要な時期に私に与えられました使命の重大さに改めて思いを新たにしているところでございます。就任以来、大変慌ただしく過ぎた7カ月間でございましたけれども、今日までの間、私なりに課せられた任務遂行のために全力を尽くしてまいりまして、特に、県政懇談会などで県民の皆様方の県政に対しますさまざまな御要望ですとか、御期待などを直接お聞きするにつけましても、ますます責任の重大さを実感をしているところでございます。今、社会経済、いずれをとりましても変化が大変激しい、いわば教科書ですとかお手本のないそのような時代の中にありまして、柔軟な発想、そしてかたい信念を持ちまして、新しい試みにも意欲的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 次に、当初予算編成に向けての決意についてでございますが、明年度における財政環境は、最近の経済動向から県税などの自主財源の伸びに期待ができない、また、歳出面におきましても、公債費等義務的経費が増高するなど、大変厳しいものになると、このように考えているところでございます。しかし、本県は今まさに、21世紀に橋渡しをする大変重要な時期を迎えておりますことから、県民の皆様の期待にこたえて、ふるさと岩手を創造していくために、さまざまな施策を積極的に展開をしまして、活力に満ちた県土づくりに全力を挙げなければならないときと、このように考えているところでございます。したがいまして、明年度の予算編成に当たりましては、従来からのこの事務事業を厳しく見直すとともに、国庫補助事業の効率的な導入のほか、交付税措置のある地方債や各種基金の有効な活用を図るといったようなことを行いまして、極めて限られたこの財源の効果的な活用に努めていきたい。そして、とりわけ緊急度あるいは優先度の高い事業を厳しく選択をして、それを勇断を持って実行するということで、施策の重点的かつ効率的な推進に最善の努力を尽くしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、県庁舎の拡張整備についてでございますけれども、県庁舎は昭和40年に建設されまして現在に至っております。この間、予想を大幅に上回りますモータリゼーションの発達や、高度情報化の進展など、この行政を取り巻く環境が大変大きく変化をいたしておりまして、これに対応するために、逐次対策は講じてきたところでございます。議員御指摘のとおり、近年、OA機器の導入や組織機構の改編に伴いまして事務室が大変狭隘化をしている、あるいは会議室が不足しているなど、確かに一部、機能面で不十分な面もあることは事実でございます。建物本体には大きな損傷もなく、今後、相当期間は使用に耐え得るものである。このような検査も出ておりますが、先ほどのような点で不十分な面のあることは十分承知をいたしておりますけれども、当面、建物、設備等の維持保全、そして改善に努めながら執務環境の向上を図るとともに、盛岡地区合同庁舎などの効率的な利用も図りながら、決して行政サービスの低下を来すことのないように努力をしていきたいと、このように考えております。
 将来、情勢の変化によりまして、県庁舎の拡張ですとか、移転の必要性が生じた場合には、これは当然21世紀にふさわしい県庁舎として、その設置場所、規模、機能、そして駐車場の確保など、こうした問題をどのようにするかということがございまして、もちろん県民にとりましても、また、県政運営の面から見ても極めて重大な問題でございます。幅広い観点から総合的な検討が必要であると、このように考えておりますので、今後の情勢の推移を見きわめながら、御提言のございました隣接の公会堂の敷地を活用した県庁舎の整備ですとか、県庁舎と周辺一帯の整備構想のあり方をも含めまして、21世紀に向けた長期的な観点に立ちまして研究をしてまいりたいと、このように考えております。
 そのほかのお尋ねにつきましては、関係部長の方から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) まず、特別地方消費税についてでありますけれども、特別地方消費税は、平成元年の消費税創設時の税制改革におきまして、飲食、宿泊等の消費行為が、特に保健衛生、環境整備など、地方公共団体の行政サービスと密接な関連を有することに着目し、利用者にとって過重な負担とならないように、制度改正前の料理飲食等消費税と比べて税率を大幅に引き下げるとともに、免税点を引き上げ、十分な担税力が認められる高額の飲食、宿泊等を対象として課税することとされたものであります。特別地方消費税につきましては、御承知のとおり、さきの税制改革におきまして地方消費税が創設される際に、参議院地方行政委員会において、今後、引き続き地方における自主財源の必要性を踏まえつつ、そのあり方を総合的に検討することとする附帯決議がなされているところでありまして、この附帯決議の趣旨も勘案しつつ、今後、国会の場において課税の趣旨、必要性等を踏まえ、十分論議がなされ、適切な結論が得られるものと考えているところであります。
 次に、県公会堂の今後のあり方についてでありますが、県公会堂は、昭和2年に建設され、以来、今日まで県民の皆様方に広く利用されてきたことは御案内のとおりであります。この施設は、建設後68年余りを経過していることもありまして、老朽化が激しく、これまでできる限り建物を補修しながら活用することを基本としてきたところであります。お尋ねのありました補修工事につきましては、さきの調査結果をも踏まえまして、平成6年度に外壁の補修工事とあわせ身体障害者に配慮した設備を整えるなどの工事を実施したところであります。しかしながら、県公会堂は室内環境の面におきましても、例えば冷房や換気設備を完備していないなど、現時点における建造物としては必ずしも十分とは言えないものとなっておりますので、その将来のあり方につきましては、今後、議員の御提言を含め、さまざまな御意見を承りながら、また、県庁舎との関連あるいは類似施設との関連等、総合的に勘案しながら検討してまいりたいと、こう考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 都市計画道路内丸山岸線と庚申窪山岸線の整備についてでありますが、県といたしましても従来から、各市町村と適切な役割分担のもとに、街路の整備に努めているところであります。お尋ねの都市計画道路は、御案内のように昭和13年に市街地中心部と郊外を結ぶ幹線道路として、延長約6、2キロメートルについて幅員7メートルから11メートルの都市計画決定を行い、盛岡市において整備を進めてきており、その整備率は約51%と聞いております。しかしながら、御指摘のように、近年、盛岡市の発展とともに沿線には、学校等の施設や市街地の拡大、さらには、松園ニュータウン等の開発により、自動車等の交通が急激に増大し、歩道のない既決定の道路幅員では安全で円滑な交通の確保が困難な状況になっております。そのことから、盛岡市では、さきに実施した諸調査を踏まえ、予測交通量に対応した道路幅員に変更を行い、整備したいということで、まず第一勧業銀行横から国道4号に至る約730メートルを2車線から4車線への計画変更に向け、関係する住民の方々へ説明をいたしましたが、御理解を得られず、いまだ変更できないでいると伺っております。
 このように都市計画道路の中には、旧道路構造令で定められたものもあり、それらの幅員では最近の交通状況から、円滑な交通の処理ができないなどの問題が生じてまいりましたので、緊急性の高い道路から順次見直しを行っているところでございます。お尋ねの道路も、山岸地区等から都心へのアクセス道路として重要な幹線道路であり、できるだけ早く関係住民の方々の御理解をいただき、適切な幅員への都市計画変更を行うよう、盛岡市を強力に指導してまいりたいと考えております。
 なお、当面の対策といたしましては、盛岡市の中央公民館前交差点には暫定的ではありますが、右折レーンなどを設置するほか、現在施工中の梨木町上米内線や明治橋山岸線の整備促進を図り、当該道路への通過交通をできるだけ分散し、円滑で安全な交通の確保に努めるよう、盛岡市を指導してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 絶滅が心配されているイヌワシの保護対策についてでありますが、野生生物は、人間の生存基盤である多様な生態系を構成する重要な要素であり、それは人間の生活にさまざまな恵みをもたらすかけがえのない存在であります。これら生物の多様性を今後とも確保し、次世代に引き継いでいくことは、我々の重要な使命だと考えておりますが、野生生物の中には生息数が減少し、絶滅の危機に縦しているものもあります。特にも、イヌワシは、森林生態系における食物連鎖の頂点に立つ鳥類でありますが、全国的に生息数が減少し、繁殖成功率も種の維持に必要とされる40%を大きく下回っているところであり、最も絶滅が心配されている種でもあり、本県においても同様な傾向が認められます。このため、環境庁においては、レッドデータブックの中で絶滅危惧種に指定しており、緊急な保護対策が広く望まれているところであります。
 今後、イヌワシの保護を推進していくためには、まず生息数の減少や繁殖の失敗の原因が、各種開発による生息環境の改変や繁殖期における人為的妨害によるものなのか、採餌環境やえさ不足などによるものなのか、具体的に解明していく必要があります。このようなことから、県といたしましては、これらの原因を学術的に明らかにしていくため、繁殖状況や生息地の環境、えさとなる動物の状況などについて調査研究を進め、人間とイヌワシとの共生を目指してまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、観光統計の数値についてでありますが、本県におきましては、昭和42年に運輸省が示した観光地入り込み観光客調査基準や、昭和59年に社団法人観光協会が公表した入り込み観光者統計マニュアルを基本にしながら、さらに、各市町村からの報告数値の集計及び年2回行う観光レクリエーション客動態調査をあわせた推計によって調整してきたところであります。現在、各都道府県から公表されております統計数値については、本県を含む東北各県では、それぞれの観光地の入り込み客数の合計を集計しており、沖繩県では県外からの入り込み客数の実数だけを集計しているところでございます。
 また、観光消費の面では、例えば宿泊費を求める際の単価について、本県が観光客からの聞き取り調査による平均額であるのに対しまして、秋田県では、旅館、ホテルの標準的な料金を用いているなど、おのおのの手法が異なるため、御指摘のような結果になっているものでございます。
 このように観光統計につきましては、観光地の範囲が広範であり、観光客の活動が多様化し、その行動を的確に把握することが非常に困難になってきていることから、精度の高い調査が技術的にも難しい状況にあるわけでございます。今般、国におきまして、世界観光機関──WTOの勧告を踏まえまして、今年度内をめどに、国際的にも通用する全国的な観光統計基準を検討していると聞いておりますので、本県といたしましては、その基準が示された後速やかに、それに沿った統計に移行してまいりたいと考えております。
 次に、観光を取り巻く状況、見通しについてでございますが、設備投資と企業収益に緩やかながら改善の兆しが見られるものの、景気は依然として足踏み状態が続いておりまして、しかも観光面では、円高による海外旅行が増大する一方、国内観光は、安くて、しかも近く短い日数で観光する、いわゆる安・近・短の傾向が見られるなど低迷が続いているなど、先行きを予測することは非常に困難な状況にあるわけでございます。県といたしましては、来年1月から1年を通じまして宮沢賢治、石川木の生誕記念事業を展開するほか、6月には地域伝統芸能全国フェスティバルを開催するなど、全国から多数の観光客をお招きすることになっておりますので、これは県内での観光客の観光消費額の拡大を図るなど、景気回復の一助となるように努力してまいりたいと考えております。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) 新たな総合スポーツ施設についてでありますが、今後予想される余暇時間の増大、長寿社会の進展など、社会環境の変化に伴い、スポーツは健康の保持増進ばかりでなく、生涯にわたり、活力に満ち生きがいのある生活を営む上でますます重要な役割を果たすものと考えており、スポーツ環境の整備を一層推進することが必要であると存じております。このような観点に立ちまして、本県のスポーツ施設につきましては、これまで県と市町村が役割の分担をしながら整備を進めてきたところでありますが、県教育委員会といたしましては、平成20年代後半に開催が見込まれる2巡目の国民体育大会開催をも視野に入れ、国内外の各種大規模競技会の招致開催が可能な総合的なスポーツ施設のあり方について、調査研究に取り組んでまいらなければならないと考えております。
 お尋ねのありました設置場所につきましては、その条件について現時点でお示しする段階に至っておりませんが、一般論としてではありますが、将来の多様で多彩なニーズに対応できるよう、相当程度の用地が確保できること、公共交通機関等のアクセス網が確保できること、可能な限り岩手の持つ恵まれた自然景観を十分に生かせる場所がふさわしいのではなかろうかと考えているところであります。今後、基本的な構想を策定するに当たっては、関係団体や県民各界各層から広く御意見をいただきながら進めてまいらなければならないと考えております。
   〔警察本部長石川正君登壇〕
〇警察本部長(石川正君) まず、都市計画法といわゆる風適法の関係についてでありますが、両法は、いわば環境の保持という共通の法目的を有しております。このことから風適法施行条例に都市計画法の用途地域を引用し、住居系地域を営業制限地域としているものであり、合理的なものと考えております。しかしながら、都市計画法については、美観風致の維持、風適法については、清浄な風俗環境の保持という異なる観点から規制を行っているため、両法の規制内容が異なってまいります。この結果、第2種住居地域において、都市計画法、建築基準法上建築物の建築が認められても、風適法では許可をされない場合も出てまいります。
 次に、用途地域の改正により、権利の制限と逸失が予想される既存の施設の権利の保全についてでありますが、用途地域の改正等に伴い、商業地域等から住居系へ改正になった場合は、法第4条の欠格事由の1項目として営業制限地域内にある場合は、新たな許可をしない旨の規定があります。これは、営業所の同一性が失われるような構造の変更がある場合を除き、許可の有効性は継続するということであります。また、許可を受けた者が法人の場合は、法人が存続している限り、代表等役員の変更があっても許可の有効性は継続し、個人の場合は、その者が死亡した場合、相続人が公安委員会の承認を受けることにより営業を引き続き営むことが可能であります。
 次に、営業制限地域に関して条例または公安委員会規則を改正して既存施設の部分を削除することについてでありますが、公安委員会規則により、住居系地域として指定されている地域でもその地域の特性にかんがみ、営業制限地域から除外している地域もありますので、従来に引き続き、今後とも風適法の目的に照らしながら検討を加えていく考えであります。
 次に、交通死亡事故の特徴とその対策についてでありますが、県内の交通死亡事故は11月末現在107件発生し、111人のとうとい命が犠牲になっているところであります。特に11月に入ってから連日のように死亡事故が発生しておりまして、1カ月で24人も亡くなっております。これは、昭和50年8月に次ぐ事態でありまして、過日、県交通安全対策協議会長、増田知事から交通事故非常事態宣言が発令されたところであります。この1カ月間の死亡事故の特徴といたしましては、高齢者が15人で全体の6割強を占めていること。道路横断中や自転車運転中が13件で、5割強を占めていること。夜間または早朝等の暗い時間帯に14件、6割強と多発していること。県道以上の幹線道路で18件、約8割を占めていること等が挙げられます。このような情勢を踏まえまして、岩手県及び各市町村によるきめ細かな広報啓発活動、交通安全協会、交通指導員など、関係機関、団体による積極的な街頭活動、道路交通情報板等による適時適切な情報提供、県警による悪質危険な違反の取り締まりなどの諸対策を総合的に展開しております。
 なお、非常事態に当たり、交通社会の主人公である県民お1人お1人が、より高い交通安全意識を持ち、より適切な交通行動をとられるよう切にお願いするものであります。
 以上であります。
〇14番(折居明広君) 再質問いたします。
 運輸省は、低迷する国内旅行の打開に向けて、国内観光促進協議会を9月に設置いたしております。これは、国内旅行の大規模な構造の改革や観光環境の改善など、国内旅行の振興と活性化に向けた施策の実現を目標としており、TAPや旅フェア、デストネーション開発協議会などと並ぶ観光行政の重要な柱の1つと位置づけられております。具体的には8つのワーキンググループをつくって、さらに自治体が参加する地域検討会もつくってモデル地域事業を実施するとしております。本県は高知県とともにグリーンツーリズムのモデル地域に指定されております。また、運輸省ではTAPの実施県で組織する観光立県推進全国自治体協議会を設立して、国内観光推進協議会とともに観光サミットを年に1度開催し、国内観光宣言を行う意向でその準備を進めているとも報じられておりますが、このような一連の動向をにらみながら本県も機敏に対応していくべきだと思いますが、いかがでしょうか、この点を商工労働部長に重ねてお伺いいたします。
 また、沖繩県では、円高経済を背景とした海外旅行との競合から、観光客の入り込みが伸び悩みの傾向にあり、その打開に向けて県民総ぐるみで観光の振興を図るべく、11月1日、大琉球まつり王国のオープニングセレモニー席上で、大田知事が観光立県宣言を行ったとのことであります。これまでにも北海道で平成2年、当時の横路知事が北海道観光宣言を行うなど、他県でも同様の試みがなされております。具体的な実効性は宣言の内容とその後の取り組み方次第と言われてはおりますが、本県は詩情ゆたかな岩手路、岩手の風にふれたくてがキャッチフレーズの観光県でもあり、観光の振興と活性化のためにぜひとも早急に観光宣言を行うべきだと思いますが、これも商工労働部長にお伺いいたしたいと思います。
 次に、都市計画道路梨木町上米内線の整備について関連してお伺いいたします。
 国道455号の一部区間を加えた全体延長約5、5キロの整備計画を県と盛岡市とが施行区分して事業実施しております。県は国道4号以北の延長約3、6キロメートルについて道路改良事業として着工しておりますが、北山トンネル工事に関連する延長1、100メートルが未整備のままであります。トンネルの坑口付近の用地取得が難航しており、多くの人々に期待されながらもトンネル工事に着手できないということでありますが、県北、沿岸部や下米内、松園地域からの大量の交通の流れをさばき山岸地区の渋滞混雑を緩和するためにも、これも早急にトンネル工事に着手すべきだと、私はそう思いますが、その今後の見通しについて、あるいは難問解決に向かっての決意などを土木部長にお聞かせ願いたいと思います。
 その次に、環境保健部長にお伺いしますが、盛岡市のイヌワシ生息地の山林買収に係る県の支援についてであります。
 食物連鎖の頂点に立つイヌワシの生息は、自然環境が良好に保たれているか否かのバロメーターにもなると言われております。全国の県庁所在地で絶滅のおそれのあるイヌワシが営巣するのは極めて珍しく、県庁所在地に生息するということは、岩手の自然がそれだけずば抜けて豊かである証明でもあるわけでありまして、大変うれしく、誇りとするところでもあります。盛岡市では、本年6月の定例市議会において、イヌワシの生息地を保全するために小貝沢の山林を買い取ることにしたと報じられておりましたが、私は、この盛岡市の大英断に対して心から拍手を送るとともに、多くの関係者の皆様方に敬意と感謝の念を禁じ得ないのであります。私は、県民の1人として、イヌワシの生息地を静かに見守り、かつ営巣地周辺の自然環境の保全に万全を期していただきたいと、そのように考えるものでありますが、営巣地周辺の私有林を取得し、公有化する方針を決めている盛岡市に対して、県はどのような支援と対策を講じていくおつもりなのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、国の動向に機敏に対応する観光施策についてでございますが、御承知のように、現在の国内旅行に関しましては、円高によりまして海外旅行が増加する中で、割高な価格水準、観光地の魅力の低下などの構造的問題によりまして低迷状態が続いておりまして、こうした問題を解決するために、サービス体系などの面で改善が必要であるとの基本的方向が国の観光政策審議会から去る6月に答申されたところでございます。この答申に基づきまして、本県では、一戸町を中心とした県北地域がグリーンツーリズムのモデル地域として指定を受けまして、現在、農業を素材とした体験型観光の方策について調査研究を進めているほか、北東北3県観光立県推進協議会におきましてもこれらの課題に対応した取り組みを検討しているところでございます。さらに、本県では、これらに呼応しまして、県内各地で自然、歴史、文化などと触れ合う体験型観光を強力に推進するための体制を整えることとしてございます。
 次に、観光の振興と活性化のための観光宣言についてでございますが、県といたしましては、観光の振興を県政の主要な施策の1つと位置づけまして、平成4年に策定しました第7次観光振興計画に基づきましてこれまでも積極的に取り組んでいるところでございますが、御提言の観光宣言につきましては、今後、検討させていただきたいと思います。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 国道455号北山地区の整備についてでありますが、御質問の国道4号と交差する北山地区から三ツ割を経由して松園に至る延長3、6キロメートルの区間につきましては県が事業を実施しておるところでございますが、このうち、三ツ割から松園間の延長2、2キロメートルについては昨年4車線化が完成し、供用開始しているところであります。残るトンネルを含む北山地区、延長約1、4キロメートルの区間についても、用地につきましてはほとんど合意が得られておりますが、国道4号との接続部分につきましては、事業着手時の用地交渉の際にちょっとした行き違いなどがあり、一部地権者の御理解が得られず、いまだに未供用区間となっているところでございます。しかし、今年度からは私が直接窓口になって交渉することとし、折衝しておりましたが、その結果、地権者からは計画等について改めて話を聞きたいという申し出がありましたので、これを機会にさらに精力的に話し合いを進め、早期解決に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 盛岡市のイヌワシ生息地の山林買収に係る県の支援についてでありますが、本県は、県都盛岡市を初め、全県的に緑豊かなすばらしい自然に恵まれているわけであります。このようなすぐれた自然環境を適正に保全し、次代に引き継いでいくため、県におきましては、市町村が自然環境の保全のために土地等を買い取る場合に、その取得費の一部を補助する制度を平成4年度に創設したところであります。これは、緑あふれる県土保全事業費補助という制度でありますが、今年度、盛岡市に対してこの制度を適用し、補助してまいりたいと考えております。今後は、盛岡市ともども関係機関などと協議を行い、イヌワシが永続的に生息できるよう、周辺一帯の自然環境の保全に万全を期してまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、瀬川滋君。
   〔19番瀬川滋君登壇〕(拍手)

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