平成8年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成8年3月19日(火)

1開会    午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長       渡邊勉
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   駿河勉
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  議事管理主査     木村稔

1説明員        
  林業水産部長     田尾秀夫
  林業水産部次長    合田武
  林業水産部次長    土田健治
  技術参事兼漁港課長  伊藤博
  林政課長       田頭善美
  森林造成課長     吉見眞三
  松くい虫対策室長   塩井常文
  林産振興課長     秋山英男
  木材振興対策室長   吉川保
  森林土木課長     橋本利一
  漁政課長兼全国豊かな海づくり大会推進室長  中山博文
  漁業振興課長     齋藤覺
  
  農政部長       佐藤昭美
  農政部次長      佐藤徳兵衛
  農政部次長      熊谷良夫
  農政部次長兼地域農政推進室長        和田正寛
  農政企画課長     和美宏幸
  農村振興課長     藤巻正耕
  農地計画課長     平野達男
  総合国営対策室長   佐々木忠正
  農地建設課長     渕沢光雄
  農業経済課長     藤沢政則
  農蚕課長       菊池宏司
  畑作振興課長     猪股正二
  畜政課長       増田直弘
  畜産課長       菊地茂樹
  地域農政推進監    佐々木正勝
  財政課長       佐藤勝

〇那須川委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号から議案第33号まで、議案第40号及び議案第41号、以上31件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部及び農政部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、効率的に審査が進行するよう御協力をお願いする。
 最初に、林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇田尾林業水産部長 それでは、平成8年度の林業水産部関係の予算について御説明を申し上げる。
 予算の御説明に入る前に、まず平成8年度の林業水産施策の推進に当たっての基本的な考え方を申し上げる。
 まず、林業であるが、近年、林業を取り巻く環境は、外材の増加により木材価格が低迷するとともに、林業労働者が減少、高齢化するなど、極めて厳しい状況にある。このため現在、国では、林業、木材産業等の安定的な経営と活性化を図るため、新たに法律を整備するとともに、予算や融資、税制など各般にわたる施策を抜本的かつ総合的に推進しようとしているところである。平成8年度においては、こうした国の施策の積極的な活用を図りながら、本県を我が国の木材の総合供給基地として発展させるため、第5次岩手県林業基本計画の後期実施計画の初年度として、森林・山村対策を総合的に推進してまいる考えである。
 次に、水産業であるが、近年の水産業を取り巻く環境についても、漁業資源の減少や魚価の低迷、就業者の高齢化など、ますます厳しくなっておるとともに、消費者ニーズも多様化しているところである。このため、平成8年度においては、第3次岩手県水産業基本計画の後期実施計画の初年度として、魚類栽培を推進し、つくり育てる漁業の新たな展開を図るとともに、秋サケを初めとする水産物の消費拡大など、水産振興対策を総合的に推進してまいる考えである。
 それでは、林業水産部関係の議案について御説明を申し上げる。
 まず、議案第1号の平成8年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その1の7ページをお開き願う。
 6款農林水産業費のうち、4項林業費と5項水産業費及び9ページの11款災害復旧費のうち1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた、総額526億7、455万円が当部関係の予算である。これは、前年度6月補正後の予算額に比べ4・5%の減となるものである。また、この予算額の一般会計予算総額に占める割合は、6・5%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、この具体的な内容については、お手元に配布しておる平成8年度の予算に関する説明書により、その主なものについて御説明申し上げる。
 181ページをお開き願う。6款農林水産業費4項林業費から御説明申し上げる。182ページをお開き願う。2目林業構造改善対策費19億4、217万6、000円の主なものは、林業構造改善事業費であるが、これは、県内43地域において、市町村等が実施する林道などの生産基盤や木材加工施設などの整備に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、3目林業振興指導費41億5、508万7、000円の主なものであるが、説明欄3行目の木材産業振興対策事業費から、このページの末尾までの3つの事業は、県内木材産業の経営の安定を図るため、素材の共同購入などに要する運転資金を低利で貸し付けるほか、木材製品の高次加工施設の整備等に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、183ページの説明欄1行目の県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大やブランド化の推進、乾燥材の安定供給対策などを総合的に実施しようとするものである。次に、3つの事業を飛んで、木の肌・木の味・木の香推進事業費補助は、新規事業として、県産材の利用拡大を図るため、市町村等が公共施設等を木造で整備する経費に対し、助成しようとするものである。次に、森林組合経営体質強化資金貸付金と、1つ飛んで林業振興資金貸付金は、経営不振の組合や合併森林組合の経営安定を図るための運転資金、並びに森林組合の系統事業の拡大に要する資金を、岩手県森林組合連合会に貸し付けしようとするものである。次に、林業労働力対策事業費と、184ページ1行目の森林整備支援センター(仮称)推進事業費であるが、林業労働人口の減少に対処するため、高性能林業機械を整備するとともに、林業労働者の就労の安定や労働安全衛生対策のほか、林業労働者を確保するため、林業事業体の経営基盤の強化と雇用管理の改善を推進しようとするものである。次に、少し飛んで中ほどの流域総合間伐対策事業費は、北上川中流域及び大槌気仙川流域において間伐を総合的かつ重点的に実施し、森林資源の有効利用と森林の適正な管理を図ろうとするものである。次に、185ページ、2つ目の森林計画樹立事業費は、久慈・閉伊川森林計画区の地域森林計画の樹立に要する経費である。次に、中ほどの岩手県緑化運動推進緊急対策事業費は、緑の募金法の制定に伴い、その普及啓発に努め、緑の募金を推進しようとするものである。次に、1つ飛んで、干しシイタケ等主産地形成促進対策事業費から、特用林産振興総合対策事業費までの4つの事業は、すぐれた品質を誇る本県シイタケの生産施設の整備や原木確保、流通対策などの産地対策の整備、強化に要する経費である。次に、186ページをお開き願う。4目森林病害虫等防除費3億72万円の主なものは、松くい虫などの森林病害虫の防除や、五葉山周辺のシカ被害対策に要する経費であるが、説明欄3つ目の松くい虫被害防除監視帯設置事業費は、新規事業として、松くい虫被害発生地域と未発生地域の境に監視帯を設置して重点的に予防措置を講じ、被害の北上、拡大を防止しようとするものである。次に、187ページの5目造林費28億5、862万5、000円の主なものであるが、説明欄1行目の造林事業費は、人工造林や保育事業などに要する経費に対し助成しようとするものである。次に、健康とゆとりの森整備事業費は、県北の織詰地区において、県民の憩いの森を整備しようとするものである。次に、6目林道費117億1、468万3、000円の主なものは、素材の生産体制を整備するため、県営70路線、市町村営46路線で行う林道整備などに要する経費である。次に、188ページの7目治山費65億5、084万1、000円の主なものは、森林の適正な管理により県土を保全するため、山腹崩壊地の整備など、234カ所で行う山地治山工事などに要する経費である。
 以上で林業費を終わって、次に水産業費について御説明申し上げる。
 191ページをお開き願う。5項水産業費であるが、2目漁業構造改善対策費30億7、446万3、000円の主なものであるが、説明欄の沿岸漁場整備開発事業費は、沿岸漁場の整備を図ろうとするものであるが、アワビ、ウニの養殖を目的とした地先型増殖場8カ所のほか、ヒラメの増殖を目的とした広域型増殖場3カ所などの造成をしようとするものである。次に、192ページの説明欄12行目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、漁業近代化施設等6カ所の整備に対し助成しようとするものである。次に、3目水産業振興費16億139万9、000円の主なものであるが、説明欄3行目のサケ・マス増殖費は、サケ・マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げに要する経費及び魚道の整備や、サケが遡上する14河川の環境整備などに要する経費に対し助成しようとするものである。次に、3つの事業を飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、つくり育てる漁業の強化を図るため、種苗放流の事業に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、193ページの説明欄2行目のサクラマス資源増大対策事業費は、サケ・マス類の中で、品質のすぐれたサクラマスについて、経済効率の高い放流手法を開発するため、安家川において幼魚の放流試験を実施しようとするものである。次に、1つの事業を飛んで、魚類栽培推進事業費は、魚類栽培の一層の推進を図るため、これまで実施してきたアワビ、ウニなどに加えヒラメ、マツカワなどの魚類栽培を推進しようとするものである。次に、5つの事業を飛んで、海洋法対策事業費は、国連海洋法条約の批准に伴い導入される新たな制度に基づき、適正な資源管理を行おうとするものである。次に、1つの事業を飛んで、資源管理型漁業推進総合対策事業費は、資源管理の将来方向とその方向を明らかにし、沿岸漁業の経営の安定と振興を図ろうとするものである。次に、7つの事業を飛んで、青年水産加工協議会支援事業費補助は、水産加工業の振興を図るため岩手県青年水産加工協議会が行う新製品の開発や、人材育成などに要する経費に対し助成しようとするものである。次の秋サケ等利用拡大推進事業費補助は、秋サケを中心とした本県水産物の利用拡大を図るため、学校給食等による魚食の普及、水産物のPRなどを行うとともに、岩手のイクラのブランド化を図る経費に対し助成しようとするものである。次に、194ページをお開き願う。説明欄15行目の漁業経営改善促進資金貸付金は、中小漁業者の経営合理化のための資金の原資として、岩手県漁業信用基金協会に対し、資金を貸し付けようとするものである。次に、2つの事業を飛んで、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、本県栽培漁業の推進を目的に設立された社団法人岩手県栽培漁業協会の事業の円滑な運営を確保するため、運転資金の貸し付けなどを行い、協会の育成を図ろうとするものである。次に、5つの事業を飛んで、第17回全国豊かな海づくり大会岩手県実行委員会負担金は、平成9年に開催される全国豊かな海づくり大会の計画や準備を行うため、大会実行委員会に係る経費を負担しようとするものである。次に、4目水産業協同組合指導費3億5、994万2、000円の主なものであるが、195ページ説明欄2行目の漁業協同組合事業基盤強化総合対策事業費は、漁業協同組合の再編整備と事業規模の拡大を図るため、合併や事業統合等の推進、指導に要する経費及び合理化のための事務機器を導入する経費等に対し助成するとともに、財務内容の改善を図る必要がある漁業協同組合の借入金に対し、利子補給をしようとするものである。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期、低利の施設整備資金を融資する金融機関に対し、利子補給をしようとするものである。次に、1つの事業を飛んで、水産加工業協同組合経営安定化資金利子補給は、水産加工業協同組合に加工原料などの購入資金を融通する金融機関に対し、利子補給をしようとするものである。次に、196ページをお開き願う。7目漁業取締費2億3、483万円は、漁業取締事務所の人件費及び管理運営等に要する経費であり、説明欄4行目の漁業取締船代船建造事業費は、現有の第3はやちねの代船として、時代に即応した新船を建造しようとするものである。次に、198ページをお開き願う。11目漁港建設費139億3、754万2、000円は、漁港及び海岸関係事業に係る、県営、延べ69港、市町村営、延べ72港の整備に要する経費である。
 以上で水産業費を終わって、次に、少し飛んで260ページをお開き願う。11款災害復旧費について御説明申し上げる。1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費2億6、951万8、000円は、過年災害及び現年災害の、261ページの3目治山災害復旧費1億2、494万2、000円、4目漁業用施設災害復旧費2、000万円及び262ページの5目漁港災害復旧費6億1、649万2、000円は、いずれも現年災害の復旧に要する経費である。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わり、次に、債務負担行為について御説明申し上げる。恐れ入るが、再び議案その1の14ページをお開き願う。
 林業水産部関係は、事項欄の39から45までの7件であるが、これらは、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した造林事業資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償及び岩手優良木造住宅建設資金など、5つの資金の融通に伴う利子補給、並びに漁港修築事業において、工期が翌年度以降にわたる工事について、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものである。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げる。25ページをお開き願う。議案第4号平成8年度岩手県県有林事業特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ50億2、137万1、000円である。
 26ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び県債が主なものである。
 次に、27ページの歳出の主なものは、1款県有林事業費であるが、これは、県有造林造成事業や模範林造成事業等の新植、下刈り及び素材の生産などに要する経費である。
 次に、第2表地方債についてであるが、これは、県有林事業費に充当するため、その限度額を22億8、300万円にしようとするものである。
 次に、28ページをお開き願う。議案第5号平成8年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ15億1、538万1、000円である。
 29ページの第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び貸付金元利収入がその主なものである。
 次に、30ページをお開き願う。歳出であるが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営改善等を図るため林業従事者などに対し、無利子の林業生産高度化資金などを貸し付けしようとするものである。
 次の、2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合や木材加工業者などに対し、木材生産などに必要な運転資金を低利で貸し付けるため、その原資を金融機関に預託しようとするものである。
 次に、31ページの議案第6号平成8年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ3億894万1、000円である。
 32ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び貸付金収入がその主なものである。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、近代的な漁業技術の導入を促進し、漁業経営の改善を図るため、沿岸漁業者に対し無利子の経営改善資金などを貸し付けしようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。少し飛んで、80ページをお開き願う。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成8年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である大船渡市ほか15市町村に負担願おうとするものである。
 次に、82ページをお開き願う。議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成8年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である久慈市ほか13市町村に負担願おうとするものである。
 次に、お手元の議案その2の27ページをお開き願う。議案第32号岩手県木材業者及び製材業者登録条例の一部を改正する条例であるが、これは、登録等の手数料の額を増額しようとするものである。
 次に、28ページをお開き願う。議案第33号林業技術センター条例の一部を改正する条例であるが、これは、林業技術センターが依頼に応じて行う試験等に係る手数料の額を増額しようとするものである。議案には、試験、検査の区分、種別には変更がないことから、現行の手数料の額と改正後の手数料の額のみを掲げておるので、参考資料として別表の全文をお手元に配布させていただいておる。
 少し飛んで47ページをお開き願う。議案第41号日本かつお・まぐろ漁業信用基金協会の会員になることに関し議決を求めることについてであるが、これは、漁業経営改善促進資金の円滑な融通を図るため、日本かつお・まぐろ漁業信用基金協会の会員になろうとするものである。
 以上で林業水産部関係の議案の説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇那須川委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。

〇高橋委員 2点ほどお伺いしたいと思う。まず、本県が制定しておる花鳥木についてお尋ねをしたいと思う。まず、林業水産部であるから花と木についてお伺いしたいと、このように思う。
 まず、花はキリ──キリは私ども小さいころ大変目についたものなんであるけれども、最近はそういうキリというものが目にすることはないわけである。したがって、林業を振興する上においても、それからキリというものは大変需要が多いわけである。それから、本県はキリというのは特産品として工芸品としてかなり全国的にも知られておるわけであるけれども、原木というものが大変少ないのではなかろうかというふうにも思うわけである。やはりキリの花というのは子供のころから大変皆さん方から親しまれておるわけであるけれども、そういう意味で県はキリに対しての御認識をどうとらえておるのか、それをお伺いしたいと思う。
 一方、松であるけれども、ナンブアカマツと言われておるわけであるけれども、これも小さいころは大変道路沿線には大木が茂っておったわけであるけれども、これすら最近は余り目にすることはないわけである。それで、アカマツそのものについても県はどのような形で植栽なり、あるいは栽培なりを指導されておるのか、アカマツの県内全域にわたっての分布についてお伺いしたい。このように思うわけである。何といっても花鳥木であるから、これから県でもキリ、そしてまた、松というものをやっぱり全国にアピールするためには、やはり何といっても、いかにも花あるいは木というものは県でも非常に力を入れているというようなアピールが必要ではなかろうかと、このように考えるわけであって、したがって県当局はどのような考え方でこれから進めようとしておるのか、それをお伺いしたいと思う。
 それからまた、第2点目は、やはり何といっても林業の活性化を図るためには林道の整備がこれは大変大事だろうと、このように思うわけである。たまたま見て歩くとやはり林業家は林道がなくて大変困るという方々がかなり多く聞かれるわけである。したがって、この進捗率をお聞かせいただきたいと、このように思うわけである。

〇田尾林業水産部長 お尋ねあったアカマツとキリであるが、アカマツについては昭和41年に県の木として指定されておる。また、キリは30年に県の花としてそれぞれ指定されておって、いずれも県民に親しまれている樹木だと考えておる。まず、アカマツについてであるけれども、本県のアカマツ林の面積は約22万ヘクタールに及んでおって、全森林面積の約2割を占めておる。また、丸太生産量は21万立方メートルに及んでおって、全国でも一、二位を争う生産県となっておる。本県はアカマツの大生産県だろうと考えておる。このためアカマツ材のブランド化を進めるとともに、集成材などの高次加工を推進して需要の拡大に努めてきたところである。アカマツの植栽状況をここ5年間について見ると、年平均で170ヘクタールとなっておって、かつてに比べると相当量面積が減少しておるが、今でも全国一の植栽面積を誇っておるので、今後とも植栽の推進に努めるとともに、アカマツ林の大半は35年生以下の若い森林であるので、今後、積極的に除間伐などを推進してアカマツ林の整備に努めてまいりたいと存じておる。
 次に、キリであるが、過去キリの植栽が大変熱心に行われて、現在キリの植栽面積は560ヘクタールに及んでおるが、残念ながらほとんどの植栽木がテングス病という病気にかかっておって枯損しているものが多く見られるなど、最近では生産意欲が減退して、近年では、最近と申そうか、ほとんど新規には植栽されていない状況にある。今お話ししたように、この原因はテングス病という病気が県内に植えたキリに一斉に発生して、一言で申し上げれば植栽されたキリが全滅してしまったということからであろうと承知しておるけれども、こういうことから考えると、まずテングス病を根絶することが先決だろうと考えておって、平成2年度から林業技術センターにおいてその被害発生のメカニズムであるとか防除法を検討しているところである。実はこのテングス病というのは最近発生した病気でなくて大変古い時代からあった病気であるが、残念ながら本県だけじゃなくて全国的にもいろんな研究所で研究されているにもかかわらず、実はその発生メカニズムと防除法が確立されていないというわけであるので、今お話しさせていただいたようにこのキリが県の花であり、また過去において大変本県においては熱心に植えられたという経緯を持っているわけであるので、これを何とか根絶することが先決だということで取り組んでいるわけである。研究を開始して五、六年目になるわけであるが、必ずしもその究明の──究明というか、原因解明のめどがついたわけではないけれども、いずれにしてもこのテングス病が根絶されない限り、再びそのキリを植えるということはやはり造林を行うこととしては意欲がわいてこないんだろうと思うので、できるだけ早くこの解明を急ぎたいと存じておる。
 それから、お尋ねあった林道整備の進捗状況であるが、林道は私から申し上げるまでもなく効率的な林業経営や森林の適切な管理を行うために必要な生産基盤施設であるばかりでなくて、森林レクリエーションの利用であるとか、山村振興等にとって重要な役割を果たしておる。いわば林業経営の最も根幹的な施設だろうと考えておる。このため平成3年12月に策定した第5次岩手県林業基本計画に基づいて、民有林の林道密度を、道路密度であるけれども、昭和63年度末のヘクタール当たり13・9メートルから12年度には15・8メートルにまで引き上げるということを目標にして、毎年70キロメートル以上の林道を開設するなど精力的に努めているところである。この結果、平成7年度末の道路密度はヘクタール当たり14・6メートルとなる見込みであって、目標に対して92%の進捗状況になっておるが、今後とも国庫補助事業であるとか、ふるさと林道事業の予算枠の拡大確保に努める一方で、開設単価の節減などを図って12年度までに目標を達成するよう、さらに努力してまいりたいと存ずる。

〇高橋委員 ただいまの御説明によると、キリは大変病気があるということで、松もそのとおり松くい虫というのが大変広がっておるが、どちらも大変この病気には弱いというような感じも持たれるけれども、しかし、これを速急に解明されて松あるいはキリを、県のせっかくの花鳥木に指定されておるから、県のこれからの21世紀を担う子供さんたちにもやはり県の花あるいは木だなというような感じを持たれるように、ひとつ御努力を願いたいと、このように考える次第である。
 さらに、林道においても林業の方々に安心して、しかも林業に意欲を持たれるような形で速急にこの林道の環境整備をしていただきたいと、このように御要望申し上げて終わりたいと思う。

〇谷藤委員 予算における重点事項の説明書の74ページに載っておるリモートセンシング利用技術開発事業というものについてちょっとお伺いをしたいと思う。
 このリモートセンシング利用技術開発事業費1、000万余であるけれども、これはたしか平成6年度の新規事業だったかなと思うけれども、県土の環境保全の推進や土地利用計画の基礎データとして有効活用していくというために、林業技術センターにおいてリモートセンシングの利用技術の開発を進めることとしたことだったと思うけれども、その開発の状況についてお伺いをしたいと思うわけである。
 それから、県では従来森林を適切に管理していくために森林資源管理システムを整備してきたはずであるけれども、このリモートセンシングによって得た情報等をこのシステムにどう生かされてきているのか、お伺いをしたいと思うわけである。

〇田尾林業水産部長 お尋ねあったリモートセンシング技術は、人工衛星などによって得られたデータを解析することによって、環境や資源に関する情報を得ようとするものである。お話があったように当部では平成6年度から林業技術センターにおいて、庁内の他部局に先駆けてリモートセンシング技術の開発に取り組んできたところである。
 また、一方お話のあった森林資源管理システムは、森林の面積であるとか材積あるいは伐採や植林の状況等をコンピューターで一元的に管理して、森林計画の策定であるとか林業経営の指導などに活用するため開発したものであって、リモートセンシング技術と組み合わせて活用することによって、より効果的な森林資源の把握を可能にするものだろうと考えておる。リモートセンシング技術については、今お話しさせていただいたように6年度から研究開発させていただいておって、6年、7年度は松くい虫等の森林病害虫被害の状況や気象災害などについて、画像解析の手法等の研究に取り組んでまいったが、8年度からはいよいよそれらの研究を踏まえて、判読技術を改正するための技術開発に取り組もうとしているところである。いずれにしても大変重要な技術開発であるので、1日も早くその技術を確立して森林資源管理システムに取り入れて、その活用を図ってまいりたいと存じておる。
 また、お尋ねになかったが、水産分野においてもリモートセンシング技術を活用しようということで、特に水温とか魚群の位置等を把握する手段として極めて有効であることから、平成8年度、来年からであるけれども宇宙開発事業団と共同でシステム開発を行うこととしておる。

〇谷藤委員 すばらしいそういう技術を開発されておるわけであるので、水産もそうであろうけれども、特にも岩手県の森林、このような広大な面積を有しておるわけであるので、これを有効に活用していく上にもぜひ今後とも御努力をお願いしたいなと思う次第である。
 次に、73ページに同じように載っているが、県民の森の整備についてお伺いをしたいと思うわけである。
 平成6年度において県民の森に隣接する国有林を取得して、3カ年でこれらを整備していくという事業のように思っておるわけであるけれども、体験学習、スポーツ、レクリエーション施設を整備していこうというような計画だったと思う。特に、今、環境教育とそれから野外スポーツの振興、そういう観点からいくと非常に環境的にもすばらしい地域であるので、これ最終年度に当たるだろうと思うけれども、今までの取り組み、そして今年度どのような事業でやっていくのか、特にも野外活動、それから野外のスポーツ振興ということも含めて考えれば、関係部署との、例えば教育委員会関係ともかかわるかもしれないけれども、そういう関連部署との連携というものも多少とりながら進めていく必要があるんじゃないかなと思うけれども、取り組みの状況をお知らせいただきたい。

〇田尾林業水産部長 お尋ねのあった松尾村にある県民の森は約160ヘクタールあるけれども、これまでに森林学習展示館、それから木材工芸センター、みんなの広場、キャンプ場等を整備したところであって、資源観察や体験学習、レクリエーションの場として年間約11万人の県民に利用されておるところである。実はこの松尾村の県民の森以外に林業水産部で所管する森林が二戸市、それから滝沢村、矢巾町、金ヶ崎町、三陸町、約2、100ヘクタールあって、合わせて約2、500ヘクタールに及んでおるが、この森林が実は十分に整備されていないという状況にあるので、県民の新しいニーズを踏まえてこれからこの森林を今後どのように整備していくのか、全体構想を策定することが大変重要だろうと存じておる。このため平成8年度に策定をしたいと考えておって、この計画調査費の予算について御審議をお願いしているところである。お尋ねあった松尾村の県民の森については、それなりにこれまで整備をしたところであるけれども、この全体構想を策定する中でさらに今後どのような整備を進めたらいいか、検討していただきたいと存ずる。
 お尋ねがあったスポーツ、レクリエーションの施設の整備であるが、県民の森は運動公園とは違って、主に体験学習であるとか憩いの場としての利用をすることとしておるので、必ずしもスポーツ、レクリエーション施設のみを整備するというわけにはいかないで、おのずから制約があると存ずるけれども、御提言あったスポーツ、レクリエーション施設の整備についても、この全体構想を検討する中で検討させていただきたいと存ずる。

〇谷藤委員 ぜひ自然の中で伸び伸びと子供たちが活動できるような環境もつくっていくという立場もあろうかと思う。そういう意味でぜひ私は、今アウトドア志向というか、そういう方向にかなり県民の意識も向いてきているだろうと思う。そういう意味でぜひすばらしい環境を整えていく。林業水産部だけとは限らないで幅広くその情報を取り寄せて、県民に喜んでいただける整備をぜひお願いしたいなと思う次第である。

〇伊沢委員 私の方から広葉樹に関する材木等の活用についてお伺いをしたいと思うわけである。予算の説明に先立って部長の方からは総合的な供給基地を目指して、本県林業関係を含めて頑張ってまいりたいと、こういう決意をいただいたわけであるので、特段聞く必要もないかなと、こう思うわけであるが、私は冒頭申し上げたように広葉樹について何点かお伺いをしたいと思うわけである。
 1つ目、岩手県の森林の賦存状況についてお示しをいただきたいと思うわけである。特に広葉樹の伐採期以上の林というか、それらはどのくらいあるのかお伺いをしたいわけである。その中で全国的に見て本県の場合は広葉樹の大径木の部分、大変多いのではないかなと私は思っているんであるが、全国的に見た位置づけについてどの程度なのか、お示しをいただきたいと思う。
 2つ目は、広葉樹の生産量のうちで県内で加工、いわゆるいろんな線引きを含めて、カットも含めて加工されて丸太で出ていかない数字というか、そういうものについてどの程度あるのかお示しをいただきたいと思うわけである。これらは県外に出されている広葉樹材、それは本県から出ていくのは、言ってみれば希少価値の高いケヤキとかナラ、大径木が多いと思うわけであって、今後これらの広葉樹材も県内で加工しながら付加価値を高めて県外に出すような、そういう施策が必要だと思うわけであるので、以上についてまずお示しをいただきたいと思う。

〇田尾林業水産部長 本県の森林資源状況についてであるけれども、申し上げるまでもなく面積は118万ヘクタールに及んでおるけれども、材積は約1億5、000万立方メートルである。このうち広葉樹の材積は6、600万立方メートルであって、全材積の約44%を占めておる。このうちお尋ねあった家具材などに使われるケヤキ、ナラ、セン、トチなどの80年生以上の広葉樹林の材積は1、700万立方メートルに及んでおって、広葉樹の材積の約3割を占めておる。かつてに比べれば本県の広葉樹資源が減少したとはいえ、いまだにやはり全国に誇る材積を誇っているわけであって、北海道に次ぐ資源があるものと存じておる。
 一方、平成6年の広葉樹の生産量は約61万立方であるが、このうちの97%に相当する59万立方が県内で消費されておって、製材や木材チップ、合板、マッチ軸木、まくら木等に加工されておって、残りの2万立方、約3%が県外に出ていっている状況にある。お話のあったようにこの貴重な広葉樹資源を有効に活用するため、県としては付加価値の高い集成材やフローリング加工をして出荷するように努めてきたところであって、この結果、川井村であるとか岩手町、軽米町などで集成材等の高次加工工場の整備がなされているところである。しかしながら、今お話しさせていただいたように、県外に出ていっておる約2万立方メートルの中には、委員御指摘のように関東や中部、関西方面の業者が高い値段で買い付けしたケヤキ、ナラなどの大径木が含まれておって、県内の家具業者等が必ずしも望みどおりに材料を手配できないという状況もあると聞いておる。今後これら関東などの業者との競争に打ち勝っていくためには、やっぱり経営力をつけることが何よりも重要であるけれども、それと同時に、消費者ニーズに合った商品開発を図っていくことが何よりも重要であろうと考えておるので、今後さらに近代的な施設整備を進めるとともに、関係業界がさらにやっぱり体力をつけれるように育成強化に努めてまいりたいと存ずる。

〇伊沢委員部長 今お話のとおり、出ていくのはかなり少ないわけであるが、私、実は木工加工をやっている方とお話をする機会があって、その少ない量を関西、関東で買っていくわけであるが、ひっくり返せばテーブルの素材なりいろんな家具材をつくる。残った部分を含めて大変価値があるんじゃないか。小さいものであれば包丁の柄にするとか、今、小岩井農場さんの方に県内の木工の展示物をつくって、そういった際のいわば残った部分を含めた活用、広葉樹もたしか集積材等を含めていろんなものに加工ができる。こういうことがあるんではないか。こういうことで、広葉樹を出すのがたしか国有林の方が多いように聞いているわけであるが、県の施策として、そういうものがこれからの、今、加工団地を整備しているわけであるが、聞くところによると針葉樹、カラマツ等を中心とした集成材が主になるやに聞いているわけであるが、このような広葉樹も含めて技術的にも難しいとは聞いているわけであるけれども、あわせて加工しながら県内での消費に向けるような御努力をお願いしたいと、このように思うわけである。御所見があれば御答弁をお願いしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話あったように、まず2万立方メートル、数量的には大変少ないけれども、出ていっている広葉樹材があるが、これらの大部分は先ほどお話しさせていただいたように大変高い値段で関東、関西の業者に買われたケヤキなども当然あるので、やはりこれらの材が出ていかないような手だてを講ずることが何より重要だろうと思っておる。これは先ほどお話ししたように関東、関西の業者、大変な経営力を持っておって大変高い値段で、通常の価格の2倍も3倍も4倍もするような値段で買っていくわけであるので、今の段階では確かに県内業者は太刀打ちができないわけであるけれども、先ほどお話しさせていただいたように経営力をつけると同時に、やっぱり消費者ニーズに合った商品開発をしていくことが何よりも重要だろうと考えておって、それらが可能になるようにいろんな近代的な施設の整備をさらに進めると同時に、関係業界の育成に努めてまいりたいと存じておる。また、お話あったように、残ったいろんな材についてもさらに付加価値を高めて高次加工をすることが何より重要だろうと思っておる。確かにお話あったようにこれまで行ってまいった集成材加工等の高次加工工場は、どちらかといえば針葉樹主体であったが、中には先ほどお話をした川井村で行っておるウッティかわいという工場があるが、これは楽器材、河合楽器の楽器材の集成材等々をつくっているところであって、広葉樹材の高次加工をしている工場である。お話にあったようにそういう広葉樹のいろんな高次加工を行っていくことも本県の林業、木材産業を振興する上からも大変重要であるので、そういうことを十分念頭に置きながら、今後施策を強力に展開してまいりたいと存ずる。

〇菊池(勲)委員 1点しか通告しておらないけれども、再通告1点で2点質問させていただく。
 先般、教育委員会の個別審査のときに木造校舎、学校の建築の話が出ておった。もちろん林業水産部も教育委員会とタイアップしながら県産材を利用する努力はしていただいておると思うけれども、私のまち、黒岩小学校が何年ほど前かに木造の校舎を建てた地域があるわけである。たまたま敬老会等で年に1度ないし2度ほどその場所に呼ばれていくわけであるけれども、玄関に入った途端にすごく感じのいいにおいがしてくるわけである。できてから3年か4年になるけれども、すばらしいものだなと、もちろん建築の単価は多少高くつくんだそうであるけれども、それも県産材の有効活用、振興のためには特に必要ではないかなと思うわけである。林業水産部はどのような形でその方向に向けて努力されているかを聞かせていただきたい。これが第1点。
 追加通告していないけれどももう1点。例えば、私ども、農業もそうであるけれども、林業も水産も第1次産業はややその傾向があるわけであるが、今の状態で森林資源を有効に維持発展をさせていくには、私は限界がもう来ておるのではないか。その理由は、まず林家が高齢化になっている。農業も同じであるけれども、農業の場合には意外と平場での戦いであるから多少機械化も導入できるけれども、林業はそうはいかない。現況の森林を見た場合、森林県岩手の将来は私は絶望に等しいと感じざるを得ない。としたときに田尾林業水産部長はどういう考えを持ってこの岩手県の森林資源を有効活用し、発展させて21世紀へ残せる財産として生き残れるか。林家の労働力だけでは不可能といったらば何をやったらいいか。私はこんな感じを持っておるわけである。例えば、今サラリーマンは週休2日制、やや定着をしておる。もちろん給料も高いから余暇時間が多ければ当然レジャーにも行くわけであるけれども、これもやや限界に来ているという認識をしながら、だとすれば時間が余っている方が多い県民がかなりおるわけであるから、その余った時間をどういうふうに使わせるかということである。先ほど谷藤委員が言ったとおり、森林に親しめる、自然に親しむ策はここでひとつ起こすべきではないかなと私は思うんであるけれども、ということは、林業に支援する組織、農業で言えば援農隊であろうか、援林隊であるか、そんなような組織を各所につくって月に1度か2度森林組合の主催か何かで、そして山に親しませ、森林のよさと、森林が自然をどのようにつくっていくかというのを認識を深める絶好の勉強の場所ではないかと思うんだけども、部長いかがであろうか。

〇田尾林業水産部長 まずお尋ねあった学校施設の木造化についてお答えをしたいと思う。 学校施設等の公共施設の木造化については、昭和59年に関係部局で構成する岩手県産木材需要促進連絡会議を設けて、学校施設を初め公共施設の木造化、また、非木造建築物の内装への木材利用の促進に県を挙げて取り組んできたところである。この結果、お話があったように連絡協議会が発足した59年から平成6年度までに、お話のあった北上市の黒岩小学校を初め、遠野市の土淵中学校、松尾村の柏台小学校など、小学校では29校、中学校では9校において校舎、体育館等が木造で建設されたところである。また、お話にあったように公共施設の中でも特に学校施設は地域に対するPR効果が大変大きいわけであるので、今後さらにこの校舎、体育館が木造でつくられるように、また、万が一木造でつくられない場合であっても内装には木材が利用されるようにこの協議会、県庁とそれぞれ地方振興局に設置しておるが、これらの会議を活性化すると同時に、やはりお話あったように県と市町村の教育委員会との連携を強めていくことが何よりも重要だろうと考えておるので、それらとの連携を強めて学校施設がさらに木造化されるように推進してまいりたいと存ずる。
 それから、お話にあった林業労働力というか、林業労働者というか、が大変減少しておる。かつて6、000人もいた林業労働者が4、000人にまで減少しているというような状況であって、5年間に2、000人も減ったという大変驚くべき減少になっているわけである。お話があったようにこのままいくとすれば本県林業、森林、林業大変な危機を迎えているわけで、大変な事態だろうと思っておる。実はこういう状況の中で、国の方ではこのままでは成り立たないということで、先ほどお話しさせていただいたように、何とか抜本的、総合的な対策が講ぜられないかということで、法律が3本一度につくられることになっている。1つは、もちろん林業経営の安定化のための法律、2つ目は今のお話あった林業事業体と林業労働者を確保するための法律、3つ目は木材産業を活性化するための法律、この3本になっているわけであるが、この2つ目の林業労働力については、今お話しされたような大変重大な事態に直面しておるので、仮称であるけれども森林整備支援センターというようなセンターを設けて、このセンターは労働省のいわばハローワークというか、かつての職業安定所の機能と、それから高性能林業機械の貸し出しであるとか研修であるとか、そういう林業労働者の技術研修や情報提供、養成、そんなような機能を兼ね合わせたセンターになっておるが、そういうものを設けて今後の林業労働力、林業労働者の減少に対処しようとしておる。去る3月9日に国会に提出されて、今、御承知のような国会情勢であるのでまだ審議が行われておらないけれども、法律が成立した場合には本県としてはいち早く対応したいと思っておる。
 また、一方お話あったように、これからの老人社会を迎えるわけであるが、やはり時間が余った方々が大変多かろうと思う。かつて例えば学生で組織された富山県に下刈り十字軍というような組織があった。これは早稲田大学の学生を中心として全国の学生が集まり、夏に富山県の利賀村というところに行って下刈りを体験し、林業の大切さを学ぶと同時にやっぱりその林業の重要性を全国にアピールするという運動であった。こういうやはり一方では確かにそういう支援センターに対応すると同時に、お話あったようにやはり県民を広く組織化することが何よりも重要だろうと思う。やっぱり大変時間に余裕を持った方々がこれからふえていくわけであるので、そういう方々が、と同時に、またお話にあったようにサラリーマンも土日が完全週休2日制に移行しておるので、やっぱりいろんな生きがいを求めて森林に入りたいという衝動に駆られているわけであるので、そういう2つの時間の余った方々、また、そういう土日の時間を有効に活用したいという方々を組織化して、土曜日であるとか日曜日を主体としながら、森林の中で、例えば下刈りであるとか除間伐だとか、そういうことを体験していただくと同時に、林業の重要さを認識していただくと同時に、実際の活動舞台として活動できるそういう組織化も必要だろうと思っておる。まだ具体的に私どもそれらについてどういうぐあいに組織化していくということについて確たるものを持っているわけでないが、委員の方からせっかくの御提案があったので検討させていただきたいと存ずる。

〇菊池(勲)委員 通告しておれば歯切れのいい答弁をもらえたわけであるけれども、再通告であったからなかなか部長も参ったようであるけれども、ぜひともそういう方向で展開して、森林県岩手の将来に向けて田尾部長の力量をひとつ御期待を申し上げたいと思っておる。
 山村地域の自治体の中にある学校は森林愛護少年団というのが結構つくってあるわけである。時々何かの行事のときにきれいな服装をしながら出てきていたところをたまに見受けるけれども、その子供たちが山に入ってどういう作業をしているかそれは見たことはないけれども、できれば山村で住む子供たちは山のよさとか、それはもう身にしみて知っているわけであるけれども、私がお願いしたいのは、都会に住む岩手県民もおるわけであるから、特に県都盛岡、30万の人口を抱えて盛岡などは山にも接している場所もあるけれども、そういうところには大勢の方々が時間をもて余している人が大勢いると私は思っているんであるけれども、そういう方々を結束をさせ結晶させる方法は田尾部長しかないわけであるから、田尾部長に期待をしたいとお願いをするわけである。北上もそうであるけれども、盛岡は大県都盛岡であるからそれに期待をしたいということと、ただいま田尾部長がよその県の実例、大学生の実例を出してくれたけれども、県外からもひとつそういう形で岩手県の森林を見たいということは変だけれども、体験をしながら自然に触れたいというのがあるわけであるから、だれか先に立ってその組織をつくってもらわないと、これは考えておるだけで全く意味のなさないことであるので、そういう行動を起こす、平成8年をその元年にしていただきたいと、特に部長に御所見をお伺いしたい。
今、学校建築の話で、随分いっぱいつくっておるようであるけれども、先般の教育委員会の審査では、県下に小中学校は何千校あるか数字はちょっと忘れたけれども、かなり多くの学校があるわけである。もちろん鉄筋でつくっている学校がほとんどであるであろう。もう改築の時期が来ている学校も結構あるわけであるから、特に県産材を将来に向けて需要を拡大するためにも部長のその組織をもうちょっと活用させて、逆に言えばその連絡協議会だか調整の段階は林業水産部が主体となってやるぐらいの気持ちで、そしておしりをたたいてくれれば教育委員会でも腰を上げてもっと予算的な配慮をしてくれるんじゃないかと期待をしたいわけであるが、その心意気をひとつもう一度聞かせていただく。

〇田尾林業水産部長 まず、後段の学校施設であるけれども、やはりまだまだ、この協議会が発足して約12年余になるが、必ずしも十二分な効果を発揮していないと存じておる。やっぱりこの協議会もう少し活性化すると同時に、日常的にもう少し教育委員会と接触することが何より重要だろうと思っている。年に1回や2回の会議でお願いをしても十分な効果が出ないわけであるので、もう少し教育委員会と日常的に接触することは何より重要だろうと思っている。実はインターハイなんかも各地で相当大きないろんな運動施設がつくられて、木造にしていただくようにお願いをしているわけであるが、実は施設が決定された段階ではその概要が決まっておって、木造にしていただくということが後手後手に回りがちだということも経験しておるので、そういうことがないように今後さらに、お話あったように私どもの部が主体になって木造化を図っていただくように、教育委員会にもさらに働きかけを頑張ってまいりたいと思う。
それから、お話があった緑の少年団を初めとするいろんな活動については、本県で今、盛岡、北上を含めて153団体、7、000人に及ぶ森林愛護少年団、岩手県では森林愛護少年団と呼んでおるが、全国的には緑の少年団と呼んでおるが153団体、7、000人の緑の、我が県であるから森林愛護少年団が結成されておって、お話にあったように学校林の下刈りを行ったり、除間伐を行ったり、また、例えば駅前の広場に草花を植えて緑化をしたりというような、それからまた、森林教室などを開いて自然の重要さだとか森の重要さを学んだりしておる。こういう母体があるわけであるので、こういう子供たちも育っておるし、今お話あったように大人の方々もいろんなアウトドア志向、先ほどお話もあったし、あるいは緑に親しむというそういう欲求も大変多くなっているわけであるから、何とかそういう力を結集していくことが重要だろうと思う。いずれにしても大変に貴重な御提言をいただいたので、平成8年度しっかり検討させていただきたいと存ずる。

〇佐々木(俊)委員 今の緑の少年団、森林愛護少年団まことに活発であって、各地区で開かれている植樹祭等にも来て随分活躍している姿を私も見ておる。そこで今、菊池委員の方から、都会の方々もひとつ森林づくり、環境づくりに参加したらいいだろうというお話、全くそのとおりであって、それはそれで結構なんであるが、私はかねてから持論であるけれども、海の少年たちも参加させるべきだ。幸いにして本県は林業水産部であって、林業と海を一緒にして行政を展開しているわけである。今、森林というのは飲料水、あるいはまた、環境と同時に海の資源を維持、保護するためにはやっぱりすばらしい山林というものがバックにあるからだという意識が非常に強くなってきているわけであるので、やっぱりそういうことについて海岸に住んでいる海洋少年団の人たちも、自分たちも山に入って山づくりに参加する。そのことがひいては漁村の振興につながるんだということを子供の段階からやっぱり植えつけていく。森は海の恋人という言葉もあるけれども、私はむしろ森は海のおふくろだと、すべては森林から来ると、こういう感覚を持つがゆえにぜひ海の少年団もそれに混然として、一体となっていくべきだと、また、そういう行政をしてほしい。これは教育委員会も絡むけれども、ひとつかねてからの持論であるので申し上げてみたが、いかがであろうか部長。

〇田尾林業水産部長 実は職員提案という制度があって、毎年各職員が各部のいろんな仕事について事務改善を含めて提案がなされておる。ことし実はまだ発表されておらないが4点が佳作に選ばれた。佳作というと聞こえが悪くて優秀じゃないみたいなんであるが、実は最優秀賞というのはなくて、この4点が優秀賞である。その1つが、実は種市にある栽培漁業協会、かつては北部の栽培漁業センターであったわけであるが、栽培漁業協会の種市事業場に勤めておる山口君というのが、林業水産部なんだからという題で提案をしておって、1つは、平成9年に行われる豊かな海づくり大会で岩手らしさを出すために植樹をしたらどうか。確かに豊かな海づくり大会というと魚を放流するのが常であるけれども、もちろんそれはそれでいいんであるが、やはり森は海の恋人、お話あったように森は海のおふくろであるので植樹をしたらどうかということが1つと、それからやはり林業水産部、全国に実は林業水産部というのは7つある。福岡と宮城県は水産林業部というふうに逆にひっくり返しているが、7つあって、せっかくそういう森と海とを所掌している部であるんだから、全国豊かな海づくり大会で植樹するだけでなくて、海の人たちも山の人たちもやはり共同で参画して森づくりを行って、海の人たちが山のありがたみを実感できると同時に、林業の人たちが海に対してそういう施しをしているということがまた実感できる、そういう海と山との共生の森をつくるべきじゃないかという提案であった。
 先ほどお話しさせていただいたように、まだこれが発表になっていないわけであるが、これが4つの佳作の1つに取り上げられておる。やはりせっかくの林業水産部であって、お話あったように山が栄養分を海に供給して、それからまた、海に流れ込む、海に土砂など流し込まないようにしたり、また濁った水を流し込まないようにしたり、それからまた、陰を宿して魚のすみかを守っているというようなことで大きな働きをしているわけであるので、そういう働きが十分海の方々にもわかっていただくように、今お話しさせていただいたように、どちらかというとこれまでは、確かに気仙で行われておる、室根山で行われているようにカキを慕う会が室根山で毎年植樹をされておるが、まだ運動というか、啓発運動というような段階に終わっているんではなかろうかと思っておる。やはり今、山口君からも提案があったように、次の段階ではもう少しやはり啓発運動からもっと実践的な運動に高めていく必要があるのではなかろうかと思っておって、せっかくの提案があり、また委員からも今、御提案あったので、まだこの提案は発表されておらないので、部としてこの佳作に入った段階でどのように検討していくか詰めていないわけであるが、せっかく今お話しさせていただいたように職員提案で佳作に入り、また、佐々木委員の方からも貴重な御提案をいただいたので、趣旨に沿うように検討させていただきたいと思う。

〇佐藤(啓)委員 大変申しわけない。菊池委員の県産材の活用に関連して、新規事業であるのでこの際お伺いしたいと思うのであるが、木の肌・木の味・木の香、大変いい名前であると思うのであるが、この推進事業のもう少し具体的な中身をお聞かせ願いたいと思うわけである。これも県産材の利活用を図るという目的のようであるが、対象が市町村ということになっている。具体的にどういう事業内容なのか、そしてまた、当初4、000万という予算のようであるが、必要によって増額等も考えておられるのか。これ新規事業ということで御説明願いたいと思う。

〇吉川木材振興対策室長 ただいまの木の肌・木の味・木の香推進事業の内容についての御質問であるが、この事業はやはり木材というものを県民に深く理解してもらうという意味から、県内の各市町村が取り組む木造でつくった施設整備に対してその経費の一部、2分の1を助成するという事業である。例えば、保健休養施設であるとか、あるいは町の中で公共的な、コミュニティー的な施設、そういったものを木造で建築した場合にその建築費の一部を助成するという事業である。それから、やはりより多く県民の人たちに目に触れるようにということで、例えばバスの停留所とか、ごみステーションとか、そういったものを整備した場合についてもやはり助成をすると、そのような内容の事業である。平成8年度の県の予算では一応4、000万の措置をお願いしておるわけであるが、やはり県民にそういう木についての関心を持っていただくこと、それから理解を深めていただくという目的の事業であるので、この理解が徐々に深まっていけばさらに財政当局に対しても予算の増額要求に努力してまいりたいと、そのように存じておる。

〇船越委員 水産予算に関してであるが、非常にウルグァイ・ラウンド、200海里問題等々次々と問題が起きて、大変多岐にわたって苦労していただいてありがたい。
 そこで、4点ほど質問を申し上げるが、まず第1点として、192ページにサケ・マス増殖費についてというのが載ってたくさんあるが、御承知のとおり、サケは本県を代表する魚であって、県費の補助をいただいて今日の隆盛を見ておるところであるが、御承知のとおり、値段がウルグァイ・ラウンドの影響で3分の1というような低価格でもって、大変な予測しない事態になってまいったので、業界等が拠金を出し合って、そして年間、大漁のときは8億ぐらいの拠金を出して増殖協会というようなのをつくって、そこから県補助の足りない分を出して盛んにしてきたわけであるけれども、非常にこのような値段になったので協会が金を出せなくなったと、長い間、積立金等でもってたくさんのお金を持っておったのであったけれども、一昨年であったか、5億円ほどの積立金を意味不明の配分してしまったので、私は極力1人して反対申し上げたんであるけれども、もらうことにはだれも反対がないから、あえなくこれを分けてしまったというようなことで、今こういうふうになったときに非常に補助が行き詰まっておるということで、この間、本当は私、増殖協会がなぜ5億円あるのに、私が反対したにもかかわらず取っておかないんだということでとっちめてやろうかと思っておったら、増殖協会じゃなくて振興課が来て盛んに説明を申し上げておったのでいじめられなくて私、食いかからなかったんであるけれども、そのことでこれからふ化場を持った組合が極力自助努力でもって、今までの性能を落とさないように頑張ってもらいたいということであったんであるが、それは確かに今までの性能を落としたくないと、やはり安いといってもされどサケであるということで、それぞれふ化場を持った漁協は努力するであろうが、非常にこれ金がかかるものであるから、テレビのコマーシャルではないが、あなたはつくる人、私は食べる人といったようなことで、ふ化場等に一切関係のない組合はとることだけに専念するということになるというと、将来この4億五、六千万匹の放流というのがおぼつかなくなるんじゃないかと、こう私は憂慮するわけである。1年や2年は言うこと聞いていると思うが、そこで漁政課は特段の計らいを持ってこれらをどういうふうに県の魚を維持するために頑張るつもりなのかどうか、部長、スタッフの方々の力強い答弁をお聞かせ願いたいと、こう思うわけである。第1点。

〇田尾林業水産部長 近年、本県のサケの放流数は、お話あったように約4億4、000万尾である。これに約10億の経費を投じているわけである。放流経費の負担はお話があったように国、県の助成費が約3億であって、残りの7億について社団法人岩手県さけ、ます増殖協会を通じた受益者からの協力金などで賄われていたわけであるけれども、お話あったように平成7年度はサケの価格が大変下がったということで、受益者からの協力金が前年度の5億1、000万から2億8、000万と大幅に減少しておって、大変厳しい状況にあると承知しておる。このため、今後であるけれども、お話あったように県では引き続き国との補助と合わせ3億円の助成をするとともに、種苗生産の効率化を積極的に推進してコストの大幅な低減を図るほか、お話あったように何よりも受益者の理解を得ることが重要であろうと考えておるので、受益者の理解を県としても求めながら、現状の放流数4億4、000万尾であるけれども、これを確保するように努力してまいりたいと存ずる。

〇船越委員 ありがたい。よろしくお願いする。
2点目として、194ページ、水産業協同組合指導助成費等ということで、数項目にわたって協同組合育成のいろいろな予算がきめ細かく盛られているわけであるが、私、今のようなやはりサケによって岩手県の漁業は成り立っておると、そしてしかも、漁民及び漁業協同組合というのはサケ漁によって成り立ってきたということである。しかしながら、全国的に水産庁においても40年前から、あるいは全漁連においても、また県の指導においてもこういうようにサケがこんなことになったんでは、農協等に見るとおり漁業組合は合併をして、助成費等もたくさん盛られておるが、これを漁民のために、あるいは組織の生き残りのために頑張らなくてはならないと、こう思うわけであるが、本当に組織の生き残りのために何が何でもこれは喫緊の最重要課題だと思うんであるが、なかなか岩手県においてはこれがはかどらない。そのはかどらない隘路というのは何なのかと、こういったようなことについて今後の指導について皆さん方の抱負というか、意気込みというか、そういったようなことをお聞かせ願えればありがたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話があったように、水産業を取り巻く情勢は大変厳しいわけであるので、こういう厳しい情勢の中で、漁業の中核的な担い手である漁協が21世紀に向かってその役割を果たしていくためには、合併を促進して経営基盤の強化を図っていくことが何よりも重要だろうと認識しているところである。このため平成5年3月に漁協合併の基本方針を策定して、大船渡地区、釜石地区、種市地区の3地区において合併を推進すると同時に、陸前高田地区において購買事業の統合を推進するということをしてその実現に努めてきたところである。幸いこの陸前高田地区の購買事業の統合については、昨年の10月1日に実現をしておる。また、大船渡の地区については合併の仮契約の調印を行う寸前まで行ったわけであるけれども、一部の漁協から大船渡港湾整備に伴う漁業補償交渉が解決した段階で合併したいという意向が示されて、現在中断しているという状況にある。合併仮調印の寸前まで行ったわけであるので、漁業補償交渉がまとまり次第早急に合併を実現するように準備を進めているところである。また、釜石地区、種市地区については合併のための計画書案の作成に向けて、現在、検討協議の上、進めているところである。
 お話があったように、本県の漁業を取り巻く環境はますます厳しくなっておるし、この漁協合併の根拠法である漁業合併助成法が実は平成10年までの時限立法となっておって、時間的余裕もないので早急に漁協合併を実現することが喫緊の課題であろうと認識しておる。これまで県としては地区合併協議会の構成員として関係漁協を積極的に指導してきたところであるけれども、今後は地元市町村、また県漁連などの系統との連携をやっぱり一層強めることが何より重要だろうと思っておる。そういう地元市町村、または県漁連との連携を一層強め、これまで以上に合併に向けた積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えておる。

〇船越委員 そこの隅っこに掲げられている山崎権三さんという人が私たちの宮古漁業協同組合長であった時代に、やっぱり四十数年前に既に第1次の水産庁の方針のときにのっとって5カ組合の合併を果たしておるために、ことしのような未曾有の不漁に際しても、合併したおかげで、何なくとは申しては何なんであるが、何なくあえて言うならばことしの赤字も克服することができた。やはり合併したことによってこれが非常に克服できるんだということの証拠でもあるので、何とか強力に進めてもらいたいと思う。
それから、3点目として、195ページに、今年は海区調整委員会選挙の年であるということで、それぞれの予算等が盛り込んでおるが、申すまでもなく漁民のよりどころである漁協経営とか、あるいは生活安定のためには海区調整委員会の役割というものが非常に大きい。随分と大きい。なるがゆえに公職選挙法等が適用されて、厳正にこの委員が選ばれるわけである。この歴史についてもいっぱい覚えているんだけれども、ここでしゃべったんでは世話ないから表面のことだけ申し上げるが、そういうことでこの際、制度の趣旨というものは本年の改選期に向かって海区調整委員の趣旨、あるいは精神、そういったようなこと、あるいは学識経験とか、地域代表とか、こういったことについて水産庁の本当に結束というか、マニュアルというか、こういったようなものをお示し願えればありがたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話あったように海区漁業調整委員会は漁業法に基づいて漁業の免許、または漁業権の設定等について知事に意見を述べたり指示を出したりする大変重要な機関であって、選挙で選ばれた9名の委員と、知事が選任する6名の委員の合計15名で構成されておる。選挙によって選ばれる委員は漁業者の代表としての性格を有するものであって、その立候補の資格は1年に90日以上漁船漁業を営んでいる漁業者か、または漁業従事者となっているところである。また、知事が選任する6名の委員のうち4名については、学識または経験を有する学識経験者を、また2人については公益代表者を必ず選任しなければならないこととされているところである。お話しさせていただいたように、海区漁業調整委員会は漁業権の設定であるとか漁業の免許などに関して大変重要な役割を果たしていく委員会であるので、その運営が公平に行われる必要があるということで、このような委員構成になっているものと承知しているところである。

〇伊藤(孝)委員 所管の常任委員会の委員であるから簡単にお伺いする。
 実はきのう委員会をサボって筑波学園都市研究所まで行って3カ所行ってまいった。そこで、今、非常に森林に対する関心度、特に国立環境研究所とか、あるいは環境庁、直接の研究所とか、通産省でも工業技術院でもって資源関係にかかわる研究を一生懸命やっておる場所を歩いたりなどして、合計3カ所歩いた中で、特にバイオレメディエーションという問題が出てからうかつなことを言ってしまったなと、私も非常に心にしておった関係から、その確認ということで岩手県の代表的なレメディエーションの指導者たる教授にもお会いしてまいった。いろいろと環境問題については奥が深いし幅は広いし、話は始まると言い切れない点がたくさんあって、3カ所回るということは、3時に到着してから6時半までおって最終便で帰ってまいったわけであるが、その中で1つ2つ気になったことを申し上げると、まず土壤の改良、1つは松くい虫を1つ例に挙げよう。松くい虫のようなものは薬剤散布とかいろいろ行われておるようだけれども、これはやっぱり薬剤散布はやめられた方がいいんじゃないかというようなことで、レメディエーションのその方法をもって松くい虫がはびこった地帯に微生物の散布をすることによって効果があるようだ。あるようだということである。最近のレメディエーションの出発であるから確たる話はしなかったが、それでぴたりとまったという経緯があった。であるから、私もこの薬剤散布というものに対しては余り感服しないものであるから、実はお伺いに来たんだということを申し上げて、ちょうど話はそこで合って、その他微生物については何ら影響がない。そして、そこまで地下水の分野までこれは浸透するわけであるから、これを1次までの緩和作業までやる、非常に話の上からだけ聞くと諸微生物まで皆殺してしまうような感じをするが、そのようなものをないようにしながら目的を達成するという内容のような話であって、実はその御本人の国立環境研究所の室長農学博士となって矢木さんという教授にお会いしてきた。この人が新聞に挙げた。去年の9月17日の日経新聞に挙げたのがこの人である。
 そういうのと、もう1つだけ。松くい虫対策については御答弁なさっておる関係から、これの答弁は要らない。ただ、要望としては、他の諸生物をなくさないようにしていただきたいうことのために申し上げたわけである。
 それから、農林水産省が山の中にこの林木分野に対する農業研究センターを設けながら、そして土壤改良したり森林の育成をしたり、花をつくったり、そういう新しい産業構造が始まっているということにびっくりして帰ってきた。この人は尾崎保夫さんという博士であるが、自分で合併浄化槽をつくって自分の家庭の雑排水なんだそうであるが、そして1反歩ぐらいの用地にハウスをかけながら、いろんな花を植えていた。そして話語る時間ないから、論より証拠だ、おれのところに来いということで連れていかれて見たのであるが、まず洋花から何からたくさん植えていて、中でも目についたのは1年間に直径10センチになる木で、そして花も洋花であるからまたこれは華やかである。花を眺めながら最後には、この木を集めてパルプ材の原料にするんだと、こういう大構想だけれども、大それた考えかしれないが、今これで組織化を図っている。こういうことまで言っていた。であるから、これを山にやると仮定した場合に、仮に岩手県でも盛岡でも構わないが、里山にそうしたものをつくって、花で楽しみ、花で収入を上げ、最後に樹木で幾らになるかこれはわからないが、パルプ材の西根山切ってやるよりは何ぼでも役に立てるという方法をとるならば、これは非常に楽しい仕事になるのだなということを考えたものであるから、今、御紹介を申し上げたわけであるが、大変待遇がよくて、お話が好きで、よく来てくれたという感じでお迎えをいただいて、懇切丁寧に話をしていただいた。
 であるから、田尾部長が申されておるように、今や森林というものは人間社会の中に欠くことのできない深い深い関係がつながってある。そして、この小川の整理という問題についても非常に関心度を皆深く持っていて、3つの課が、研究所がそれぞれの意見が違う部分もあったけれども、最後に行ってぶつかるところは、浄化しなきゃならぬということは一本化である。そして、地方の県からもたまに来るが、あなたも地方から来た県の議員の1人として、大切にこれからもつき合いをさせてもらいたいがよろしいかというお話もされて、頼まれなくてもおれはこれは好きだから来るよということを言ってまいったが、やはりレメディエーションという大きな組織でいかなくとも、バイオテクノロジーの中のバイオリアクター研究の中で進める可能性は十分できたということを言ったり、そしてその中には海岸、先ほど母なる海が出たが、そこで余っている貝殻のようなものも活用する必要があるんじゃないかというようなことが試験の中から出てきたようにも話しておった。それから、雑排水を利用しながら土壤にそれをふりかけて、そして今度は中間に浄化をするカキ殻のようなものをくぐしながら、そしてそこから出てきた水で小さいメダカ──メダカの集団を飼っていた。これだけの汚染された物質をもって中に浄化する作用を入れると、2尺角の金魚鉢が20個ぐらいあったが、みんな元気よく泳いでいるところを見ると、やっぱり実践に強化しながらやっているなという感じもつくづく感じさせられても来た。
 そういう関係からして、我が本県としても山の7割を占める岩手県が、山に対する関心というものは十分お持ちであろうけれども、どこへどうして入っていくのかということが問題だと私は思う。子供の教育も大切だし、先ほどからおっしゃられていることも全部大切なんである。しかし、これを山と親しませるために何が必要かということも非常に花を見せられて、私は、ああ、これが一番いいんだなと、里でもできることなんであるけれども、山で自分の合併浄化槽をつくってやったというあの心がけは、私は大した成功だなと感じて、中山間農業の推進事業にも大分役立つことだし、花で楽しみ、花で収穫を上げ、最後には紙の繊維に、材料に使うということで、木木までちゃんと区切って、これであると、今咲いているものが赤い色と黄色と青とまじったもの、そういう花を見ながら、いや、これはやっぱり大したものだ、ランよりもきれいだなということを言いながら、そして秋にはこれは直径10センチぐらいになるよということで、10センチの直径の30センチぐらいな木をたくさん持っていたが、そういうのを見させていただいて、将来においてこういう組織はあるのかと言ったら、ある。そして、将来、組合制度というものを各県独自でつくってもいいし、制度資金というものも我々も努力に参加させてもらいたいし、そんなことでみんなで山をきれいにしようや、こういう意見があった。
 そこで、お伺いしたいわけであるが、ナンブキリと言われた岩手県の名木、これは今現在どうなったんであろう。森林のためにと力を入れておられることはうんと聞かされたからわかるんであるが、名木と言われたナンブキリの話は1つも出てこなくなった。これを育成強化しながら本県の名産、名木としてキリをいろんな角度に使うということ。それから、ケヤキだとかいろいろな広葉樹が先ほども高く売れるという話になっているが、トチとかケヤキとかタモとか、そういう問題というものは非常に高く評価されている。そういうものをこれからどんどん奨励なさってその製材の楽しみというものが持てるような木工大学でもつくったらどうなんであるか。先ほど子供さん云々、御婦人云々あるが、隣の秋田県にはある。白いエプロンを着たお母さん方がたんすまでつくるようになった。営林署から職員を連れてきて、そしてそういうことまでしながら秋田杉あるいは木材というものに対する関心度を重ねておる。だから森を愛する、木を愛する、木はいいんだということは皆さん委員方もであるし、部長初め職員の皆さん方も100%御存じなんだが、どこからどういうふうに入って窓を切り開くか。ただ労務者がいないということだけで引っ込まないで、そういうものから引き出す労務者の方法だってあるだろうし、何か1つ、ことしあたりは若い知事も迎えたことだし、花という問題から山を整理していくんだと、内容は合併浄化槽だと、これは自信持って私はしゃべっていいと思う。現実にきのう見たわけであるから。そういうようなことをひとつ部長の方からも門戸を開いていただいて進めていただきたいと思うが、今わけのわからないことを何だりかんだり言ったが、所感の方をひとつお伺いしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 お話あったバイオレメディエーションの技術については、地球環境が大変悪くなっているわけであって、21世紀に向かって人口も大変爆発的にふえるわけであって、このままでいけば地球号が本当に大変な事態になるわけであって、私自身もまだ勉強不足であるけれども、やはりこういうバイオレメディエーションの技術、またバイオリアクターの技術などがこの地球を救う技術かなというようなことで考えておって、お話のあった国立環境研究所の矢木室長を初め、また尾崎さんの御紹介があった。私どもとしてもさらに勉強させていただければと思う。
 お話あった松くい虫についても、実は薬剤散布によらないで徹底的に微生物を利用してできないかという研究を今、進めておる。ただ、残念ながらまだ実用化されている段階にはないので、今お話しさせていただいたような状況を踏まえ、さらに研究を進めていきたいと思う。
 また、お話あったように、やはり森に親しみ、また木材に親しんでもらうことが何より重要だろうと思う。先ほど谷藤委員からお話あった県民の森に11万人の人が入っているというお話させていただいたけれども、やはり木材工芸センター、簡単な木工の加工ができるんであるが、これが大変人気であって、例えばこの盛岡の近くでは都南の森に同じような木材工芸ができる施設があるけれども、こういう森林教室であるとか木工であるとか、そういう市民の方々、また小中学生の方々がやっぱり林業なり木材の重要性なり、大変いいものだということが理解していただく場を広げていくことが何より重要だろうと思っておる。そんなことで、先ほどお話しさせていただいたように、約2、500ヘクタールに及ぶ県民の森の今後の整備に当たっては、そういうことを念頭に置いて構想をつくらせていただければと思う。いずれにしてもバイオレメディエーションの技術については、ちょっと私どもの部全体としても勉強不足であって、委員の御指導を賜りながらこれから頑張ってまいりたいと存ずる。
 それから、お話があったキリであるが、かつて大変全県的に植えた。私も岩泉の営林署長をしておった昭和51年、52年、春になると紫色の花がいっぱいであった。先ほどもお話しさせていただいたように、全県下のキリの植栽面積は560ヘクタールに及んだんであるが、急激な造林というか、造成を進めたために不幸にしてテングス病にかかってしまって、この植えた560ヘクタールのキリの植栽木はほとんどが、100%と言っていいと思うがテングス病にかかっておって、今、枯損をしてしまっておる。そのため現在、生産者がほとんど新植をされていないという状況にある。先ほどお話しさせていただいたように、テングス病は実はつい最近出てきた病気ではなくて、大変古い時代から、キリだけでなくて桜にも同じようにかかるわけであるが、実はこの長年の研究にもかかわらず発生メカニズムは明らかになっていない。また、防除法も全く確立していない。テングス病にかかった木を枝を折って焼却する以外には防除法がないという状況であって、実は平成2年度から、これではいかぬということで林業技術センターで鋭意被害発生のメカニズムと防除法を研究しているわけであるが、いまだに解明されていない状況にある。でもいずれにしてもこのテングス病がはやっている限りは幾ら植えても全滅してしまうわけであるので、この病気の被害の発生メカニズムと防除法が確立することが県内にキリをさらに広げていくための前提条件であろうと思っておる。今お話しさせていただいたように、平成2年から研究に取り組んでいながらいまだにまだ糸口もつかめていない状況にあるけれども、できるだけ早く成果が上がるように研究を進めてまいりたいと思う。いずれにしても大変大きな問題を御提起をさせていただいたので、今後勉強させていただきながら、積極的に対応させていただきたいと存ずる。

〇伊藤(孝)委員 先ほどリモセンのお話があって、おととしから使っているというお話あったが、海域探査、陸域探査と分けた場合に、海域探査の内容状況で何か変わったことをつかんだ一説があったら教えていただきたい。私どもは当時リモセンを取りつけする運動を展開しておったときに、まず港湾の汚染状況の調査研究、あるいは旅八卦で魚とりしておった時代を超越して、北緯東経何度に行ってイワシの大群がいたからそこでとれとかいうようなお話もできるんだというようなこと、あるいは黒潮の蛇行調査をしながら、ことしのやませ対策はどのようにやればいいかというようなことが大きな研究の目的のスローガンに私は掲げたわけであった。そういう関係まで飛び込んだ姿勢でやっておられるかどうか。やる気であればあれはできるはずである。そういうようなことと、陸の場合は今の松くい虫対策が前回はリモセンでやっておられたというお話聞いたが、あれで判定するような時点にはもう事は既に遅いんである。であるから、全体の山の状況というものをじっくり眺められて、そしてその危険性があると見た時点に何かを防除するというような、そのときこそレメディエーション方式のやり方が生まれてくるのじゃないか、こんなふうにも考えておるが、いずれにしても取りつけしてからもう15年もなるわけであるから、大きく活用なさって、岩手県のみならず全国の人たちがリモセンを現在使わない農林業はないと言われておるほどであるから、どんどん宣伝しておやりになるようにしていただきたいと思う。
 広葉樹についてはいろいろ範囲も広げてまいったが、さっきちょっと言うのを忘れた。センノキ、これは植えているか。それと含めながら今のリモセンの活用度を教えていただきたいと思う。
 午前11時54分休憩

〇那須川委員長 委員の皆さんに申し上げる。12時よりいろいろ知事招待等で予定のある方々が多いようであるので、答弁は午後にいただくことにして、この際、1時まで休憩する。
   午前11時54分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇水上副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。林業水産部関係の質疑を続行する。質問、答弁とも簡潔に、要領を得て、よろしくお願い申し上げる。

〇田尾林業水産部長 それでは、伊藤委員からのお尋ねにお答えをさせていただく。
 まず、林業水産関係のリモートセンシング技術の新たな展開であるが、委員から御指摘があったように、水温であるとか、いろいろ魚群などの探査技術としてこれまでも活用されてきたわけであるけれども、現在の課題としては、リモートセンシングによって水の色を観測して、そのデータから植物プランクトンの分布を推定するという技術開発が取り込まれていると聞いておる。植物プランクトンの分布がわかると、それに群がる魚の群れの状況が推測できるわけであるので大変大きな技術ではないかと考えておる。先ほどお話しさせていただいたように、平成8年度から宇宙開発事業団と共同で、これまで宇宙開発事業団が開発してきた技術の成果を実際の行政需要に応用する技術開発を行うこととしておるので、そういう技術開発の中でもこれらの新しい課題について鋭意取り組んでまいりたいと存じておる。
 それから、お話があったセンノキの植林であるが、岩手大学の滝沢の演習林で十数年前に300本程度植栽されたということを伺っておる。残念ながらこの岩手大学の演習林の300本の植林地はカモシカに食われておって、ほとんどが残っていないということを聞いておる。また、私どもの林業技術センターで平成2年に植栽の試験をしておるが、発芽率が大変悪くて成功しなかったという状況がある。いずれにしてもセンノキの種は虫に食べられがちであって、なかなか登熟しないということであるし、また、登熟してもなかなか発芽しないようであるので、発芽によらないで分根によってふやすということがやっぱり必要かと存じておる。いずれにしてもこの岩大の試験、また本県の技術センターでの試験結果からは、残念ながら造林技術がまだ確立していない状況にあろうかと思っておる。いずれにしてもセンノキは、私自身も岩泉純木家具でつくっていただいたたんすを持っておるけれども、大変高級感のある立派な家具であって、大変重要な木かと存じておる。今お話しさせていただいたように、残念ながらまだ造林技術が十分に確立していない状況にあるので、早急にいろんな調査、検討をさせていただいて進めたいと存ずる。

〇三河委員 岩手県の産業の大宗を担うのが林業水産部じゃないかと思っているところである。午前中より高邁な論議が交わされてきたところであるが、私はさしあたっての10月31日から5日間開かれる第6回食文化プラザについての御質疑をしたいと思う。
 林業水産部では、海から山に至るまでをつかさどっているわけであって、サケからあるいは海産物、そして山に至っては木の実であるとか、そういったもの等、今回の第6回の食文化のイベントにおいては、この岩手県の文化をまさに県内外に示すチャンスではないかと思っているわけである。繩文の食とかいろんなテーマが掲げてあるようであるが、そういった場合には林業水産部がかなりの力を示すチャンスではないかと思うわけである。また、食べ物だけではなくその木を使っての器であるとか、あるいは家具材であるとか、衣食住に関係する部門の大宗を担うのが林業水産部だと思っているわけである。そこで、お伺いするわけであるが、担当は農業経済課かどこかが担当してやっておられるかと思うけれども、縦割り行政を、何というか、横で結んでいただいて第6回の岩手県を内外に宣伝をするチャンスであるので、生かしていただきたいと思っているわけであるが、その協力体制とそれから現在の取り組みについて御答弁をお願いしたいと思うわけである。

〇田尾林業水産部長 三河委員からお話のあった第6回の食文化プラザ、本県で10月31日から11月4日までの5日間開催されるわけであるが、お話あったように、本県の農業、また林業、水産業の1次産品を全国に売り出す絶好のチャンスだと存じておる。このため、お話あったように農業経済課の方で主管課を務めていただいておるが、私ども林業水産部としても積極的にこの委員会にも参加させていただいておるし、また、県信連、また県漁連を初め関係団体も実行委員会に加えさせていただいているところである。今までの検討状況であるが、味覚の王国ランドというコーナーがあって、このコーナーに林業水産部独自のテーマ館を設置することにしたいと存じておる。まだ名前は正式に決まっておらないが、森と海のプラザというような形で設置できたらなということで考えておる。お話があったように本県産のサケであるとか、またドングリパンであるとか、いろんな林業水産、海、山の幸があるわけであるので、こういうものを大いに売り出すと同時に、先ほどお話しあったように森は海の恋人コーナーであるとか、またお魚のつかみどりコーナーであるとか、またお話あったように木炭であるとか、木工の体験工房であるとか、木の器のコーナーであるとか、いろんなコーナーを設置して楽しい広場にできないかということで検討を進めているところである。お話あったように森と海のプラザというコーナーで海、山の幸を大いに売り出すようしっかり頑張ってまいりたいと存ずる。

〇三河委員 積極的な取り組みをお示しされたわけであるが、今ドングリもちだとか、クルミとか、いろんな案とか出てまいったけれども、山であるので岩手県にはまたぎの文化があるわけであるが、またぎのコーナーを林業水産部あたりで取り上げて、森に住む食に供される動物等が今まで繩文の時代から食生活に供されてきたと思うわけであるが、そのまたぎ文化も展示の1つに考えられてはいかがと御提言申し上げる。御所見あったらお伺いしたいと思う。

〇田尾林業水産部長 今お話しさせていただいたように、この森と海の会場の構成については、現在、検討している最中であるので、三河委員からの御提言を含めて検討を進めていきたいと思う。

〇斉藤委員 2点ほどの質問である。
 1つは、秋サケの対策について、船越委員からも鋭い質問あったが、今期の秋サケ漁は漁獲量で4万トンを超えたものの、1キロ当たり平均212円と、前年より4割も下落して漁獲金額は87億6、500万円にとどまった。秋サケの危機であり、岩手漁業の危機とも言うべきものである。県は来年度、秋サケの学校給食への利用を約10倍に広げる事業を推進しようとしていることは評価できるけれども、総合的な対策を抜本的に強化すべきだと考える。それで、3点お聞きする。
 1つは、増殖、流通加工、新商品の開発、消費拡大など、現状と強化対策は具体的にどうなっているか。
 第2は、秋サケの学校給食への活用を具体的にどう進めるのか、今後の見通しはどうか。
 第3は、200億円台から87億円台まで下落したこの現状から、緊急輸入制限、政府ガードの発動が強く求められると思うけれども、県の具体的努力はどうか。我が党は、東北レベルで3月1日、松本善明衆議院議員と東北6県の代表で大原農林水産大臣に直接政府ガードの発動を強く要望してまいった。県のこの間の努力、これからの努力の方向を示していただきたい。

〇田尾林業水産部長 秋サケの今漁期の漁獲は、お話にあったように約4万4、000トンであって、量的にはほぼ平年並みであったわけであるけれども、残念ながら金額では約88億円弱にとどまって不振であって昨年をも下回り、漁業者のみならず地域経済に少なからぬ打撃を与えておることから、秋サケの漁価対策が喫緊の課題であると認識しているところである。このためお話にあったように、まず消費者ニーズに合った質のよいサケを提供する必要があるので、銀毛資源のさらなる造成に努めるとともに、徹底した鮮度管理に取り組むほか、新商品の開発が何よりも重要であるので、林業技術センターの開放実験室の利用であるとか、青年加工研究グループの積極的な支援をして、骨粉入りクッキーであるとか、サケと肉のソーセージなど、新商品を開発中であるので、中骨罐詰に続くヒット商品を大いに開発し売り出してまいりたいと存じておる。
 また、秋サケの価格はイクラの価格に左右されるので、イクラのブランド化をさらに進めて、北海道に負けないようなブランド化を積極的に推進したいと思っておる。また、岩手の秋サケを全国にPRしていくのが何より重要であるが、やっぱりマスメディアを通じた宣伝を大々的に行うことが重要だろうと存じておる。
 また、お話にあったように、学校給食については予算を10倍にふやさせていただいて、これまでは盛岡、釜石、久慈市などの限られた地域でのみ学校給食を実施させていただいておったわけであるけれども、10倍に広げることによって平成8年度からは全県を対象として大幅に拡充強化してまいりたいと存じておる。この結果、児童生徒の皆さん方に秋サケを食べる習慣を身につけさせていただいて、現在だけでなくて将来にわたる消費拡大につながってくるのではないかと期待をしておるところである。いずれにしても、委員御指摘のとおり、考えられる対策を総合的に強力に展開していくことが何よりも重要であるので、そういう心構えを持ちながら、また、かねがねお話しさせていただいておるように、漁業者と加工業者、また流通業者など、関係者が一丸となって取り組んでいくことも重要であるので、そういう関係者が総力を挙げて取り組んでいけるような組織づくりも進めながら頑張ってまいりたいと存ずる。
 また、お話があったように、この秋サケの水揚げが大幅に下落した大きな原因は、輸入水産物の増加による価格の下落にあるわけであるので、県としてもこれまで水産庁に対して秩序ある輸入の確立をあらゆる機会をとらえて訴えてきたところである。お話があったように、この秩序ある輸入を実現するためには、WTOで認められておる緊急輸入制限、いわゆる政府ガードと言われておるが、政府ガードの発動が考えられるわけであって、県としても水産庁に対してこの政府ガードの発動ができないか、お願いをしているところである。現在のところ、水産庁の回答は平成7年のサケ・マスの輸入量は、今お話しさせていただいたように価格が下がったために、外国もこの値段では採算が合わないということで輸入量が実は減少しておる。約4万トンぐらい減少しておる。ところが、下がったにもかかわらず価格が下がっているということで、水産庁としては、ふえたときに値段が下がるということであれば輸入によって価格が下がったということを証明できるけれども、輸入量が減って、かつその値段が下がったということであれば、その輸出国に対して輸入増が国内産業の損害等の原因となっているという因果関係を証明しがたいということを、まず初めに言われておる。
 それから、この政府ガードを発動した後には、国内産業自体の構造調整が義務づけられるし、また、政府ガードの発動の前には輸出国との協議も必要であるし、また発動した後の輸出国に対する保障措置など、いろんな制約があることから、現在のところ水産庁としてはクリアすべき課題が多く、適用は全く考えられないという説明である。前にお話しさせていただいたように、これまで秩序ある輸入のお話を持ってきたときに、つい2年前まではまず話も聞いてもらえなかった状態であった。それがつい1年ぐらい前にやっと話を聞いてもらえる状態になり、最近では、先般もお話しさせていただいたけれども、水産庁内に課長クラスで構成する検討会を設けて検討をいただいておる。私も国におったけれども、往々にして検討をやっているというのは食わせものであって、本当に検討しているのかどうかわからないこともあるので、警戒はしなきゃいかぬのであるけれども、少なくとも聞く耳を持っていただいて、次の段階では検討していただく段階まで来たわけであるので、私は少なくとも2歩だけは前進したのじゃないかなと思っている。だからといって、この政府ガードの発動がすぐできるということではなかろうかと思うけれども、やはり私どもの粘り強いその訴えがようやく水産庁にも理解されつつあるかなということを実感しておって、引き続き大変な現状を訴えると同時に、秩序ある輸入を粘り強く水産庁に対して求めていきたいと存じておる。

〇斉藤委員 説得力のある答弁であった。しかし、輸入が減少しているといっても、今までの輸入が余りにもひど過ぎて在庫が16万トンもたまっているわけだから、私は水産庁、これはへ理屈だなという感じをする。やはり全国の自治体や漁民の世論と運動でもっと農林水産省に圧力をかけていく必要あるんではないかという感じを大変する。それで、サケ対策で最近の新商品、中骨とかサンマのひれとかサケの骨粉とか、よく聞いてみると、開発したけれども十分それが事業ベースにやっぱりなっていないというのもあるようであるから、私はぜひ水産技術センターに大いに期待すると同時に、そういう流通の先まで見通して、資源たくさんあるわけであるから、開発したらそれが流通のペースに乗ると、そういうところまでよく見通した対策を抜本的に強めていただきたい。これは要望にとどめておく。
 2つ目であるが、政府は3月26日、国連海洋法条約の締結承認案件と排他的経済水域及び大陸棚に関する法案を国会に提出することを決めた。遅きに失したとはいえ漁業者、関係者の強い要求と運動の前進による成果である。海洋法、そして200海里経済水域が設定されれば三陸沿岸漁業にどういう影響が考えられるか。県として新たな対応をどう検討しているか。韓国船、中国船による被害状況はどうだったのか。予算案には海洋法対策事業費1、880万円も計上されているが、この内容を含めてお示しいただきたい。

〇田尾林業水産部長 お話にあった海洋法、200海里経済水域の設定についてであるけれども、我が国は既に200海里の漁業水域を設定しているわけであるけれども、これは海洋に関する試験のうちの漁業に関するものについて限定して設定しているわけであって、政府は海洋法条約を批准して、これに基づき排他的経済水域を設定すべく条約の批准と関連する法案を、お話あったように今国会に提出することとしていると伺っておる。経済水域が徹底されると200海里の範囲内において漁業資源はもとより、鉱物資源など海洋に関するあらゆる資源の排他的権利を有することになると聞いておるが、一方では資源管理が義務づけられて必要に応じて魚の種類ごとにとることができる上限を定め、その範囲内で漁獲するいわゆる漁獲総量規制を義務づけられることになると承知をしているところである。
 まず、その200海里経済水域の設定による三陸沿岸漁業への影響についてであるが、我が国と韓国及び中国との間には12海里を専管水域とする漁業協定が結ばれておって、冒頭にお話しさせていただいたように現行の200海里の漁業水域は我が国が設けているわけであるけれども、この協定によって韓国と中国には適用されていないという状況にある。現状のままで200海里経済水域を設定しても、同じように引き続き適用されないということになるために、政府は両国との協議によって200海里の経済水域の適用を前提とした新たな漁業協定を早期に締結するよう、速やかに交渉を開始したいと伺っているところである。三陸沖海岸においては具体的な被害やトラブルの発生はないものの、韓国船によるサンマ漁業が行われているという情報を得ているところである。今後、両国の協議によって韓国に対し経済水域が適用されることになれば、我が国の法律に基づいた秩序ある操業が行われることになろうと考えておる。
 それから、お話しさせていただいた2点目の漁獲総量規制制度の具体的な内容であるが、現在、水産庁で鋭意検討中であると伺っておるけれども、本県漁業に関係する対象魚種としてはイワシ、サバ、サンマ、スケトウダラが考えられるのではないかと考えておる。漁獲量の上限の設定に当たっては、これまでの漁獲実績を十分考慮して定めると聞いておるので、当面、本県漁業には大きな影響はないものと考えておる。いずれにしても新しい制度が導入されるわけであるので、こういう新しい時代に対応するため来年度漁政課に担当職員を1名増員させていただくと同時に、いろいろなお話があった1、800余の予算を使って、新しい漁獲管理対策等に備えてまいりたいと考えておるところである。

〇斉藤委員 この国連海洋法は1982年に国連で採択をされて、14年間政府がサボタージュしてきた。いよいよ本格的な資源管理型漁業の時代に私は入ると思う。であるからこれに対応して県としても、先ほど答弁なかったのでもう1回聞くけれども、海洋法対策事業費1、880万、これをひとつきっかけに岩手県の三陸沿岸漁業、特に資源管理型漁業を総合的に強めていただきたい。そのことを改めてお聞きして私の質問を終わる。

〇田尾林業水産部長 お話があった予算については、先ほどお話しさせていただいたように1名増員をした体制でやるわけであるが、新たな資源管理計画の策定であるとか、漁獲管理の情報を的確に処理していく必要があるわけであるので、コンピューターでこれまでのいろんな得られている情報を入力すると同時に、今後のお話にあった資源管理型漁業を進めるに当たっての的確な対応ができるような体制整備を考えていく予定である。いずれにしても海洋法、200海里経済水域が設定されることになれば、新たな漁業が展開されることになるわけであるので、時代の流れを見誤らないように的確に対応させていきたいと存ずる。

〇吉田(秀)委員 二、三分お願いする。
 岩手県の県木、アカマツに関連しての松くい虫なんであるが、県としては花巻、東和、陸前高田とに防御線を、ラインを持って今後やっていくと、こういうことであるが、そのラインをなぜそこに引いたのか。そして、その市町村のラインは、その境、町村の南なのか北なのか、要するにその名前が出ている市町村が包含されているのか、入っていないところに線を引いたのかどうか。こういうことである。なお、松くい虫の線を引いた場合において、どのようにそこのラインで防御できるのか。その確信だけ──確信とまでは言わないが、その効果というものをどういうふうにとらえているか。そして、どういう方法でもっていくのか。薬剤散布、その他いろいろな制御もあるわけであるから、どういうふうに持っていくのか。私も議員になって20年になるんであるが、当時まだ宮城県北のころである。当時米田部長で元気のいい部長であったが、いや、絶対に岩手県にはいないと、こういうことでおったんであるが、入ってきたと、こういうことである。それはそれとしても、そういう中でそこにラインが引けたというところ、その辺のところと対策、効果をお願いする。

〇田尾林業水産部長 お話のあったように、松くい虫被害、本県で絶対に入らないように防御対策に万全を期していたわけであるが、残念ながら昭和54年に本県に入ってまいって、その後被害が拡大して1万立方を超える相当大きな被害になった。最大時には30市町村にまで被害が拡大したが、その後、懸命の努力の結果、現在は15市町村にまで被害を縮小させているという状況にある。今お尋ねのあったいわゆる防御ラインというか、いわゆる防御ラインであるが、15市町村にまで被害区域を縮小させておるので、被害が発生している地域と発生していない境目ができておる。これが今もお話があったように陸前高田から北上を結ぶ線であるが、具体的には、被害があるところから被害のかかっていないところの境界のかかっていない区域にこの防御帯を設置して、そこのところについて徹底的に防除作戦を展開していくという考え方である。それで、じゃ何十キロに及ぶ防御線かと言うと、御承知のとおり標高の高い区域については温度が低いために松くい虫被害が発生しないわけであって、マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウをはぐくむことができないわけであるから、標高の高いところについてはわざわざ防御帯を設ける必要はないということで考えておって、その標高の低いところについてかかっている区域とかかっていない区域の境目の、かかっていないところについて被害の防止帯を設けたいと思っておる。まず1つは、徹底的な監視を行って、入ってきた場合には、まず入ってきたか入ってこないかということを情報を得ることが必要であるので、巡回等を行ってその情報を得るということを徹底的に行う。万が一入った場合にはそこで食いとめる必要があるわけであるので、これまで以上に徹底した防除をそこで行うという考え方である。こういう考え方は実はこの松くい虫被害がこのような全国的にも蔓延するきっかけとなった当時から林野庁にあったわけであるが、残念ながら全国どこでも設けられた例がなくて、今回全国で初めていわゆる防御線みたいな形の防御帯が設けられることになろうかなと思っておる。林野庁も、また国立の森林総合研究所が本県が初めて設けるという防御帯に対する期待が大変大きくて、大きな注目をされておる。いずれにしても全国で初めての試みではあるけれども、今以上に絶対に北上させない。また、海岸にも被害を拡大しないという強い決意を持って臨もうとする1つのあらわれだろうと考えておって、もちろん今までの発生している被害をさらに縮小させるということも重要であるが、これ以上絶対に拡大しないんだということも重要だろうと思っておって、そのような考え方でしっかり頑張ってまいりたいと思っておる。

〇水上副委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上副委員長 質疑がないようなので、これで林業水産部関係の質疑を終わる。
 次に、農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇佐藤農政部長 平成8年度の農政部関係の歳出予算等について御説明申し上げる。
 予算の説明に入る前に、農業を取り巻く最近の状況と8年度における農業施策の推進に当たっての基本的な考え方について申し上げる。
 御案内のとおり、農業、農村を取り巻く環境は、ウルグァイ・ラウンド農業合意の実施による国内外の産地間競争の激化や新食糧法の施行による新たな米管理システムの実施など、まさに大きな転機を迎えておる。こうした情勢変化に的確に対応し、21世紀における本県農業、農村の一層の発展を図ってまいるため、平成12年度を目標とする第3次新いわて農業確立計画後期推進計画を本年度内に策定することとしておる。
 平成8年度は、この後期推進計画の初年度の年に当たり、関係者が総力を挙げて取り組むこととなるが、とりわけ担い手対策、生産、流通対策、中山間地域対策など、諸施策を積極的に展開してまいりたいと考えておる。
 さらに、気象変動を念頭に置いた適地適作を基本とする農業の展開を図るとともに、新しい生産調整対策の円滑な推進に努めてまいりたいと考えておる。
 それでは、ただいま議題となっておる農政部関係の各議案について御説明申し上げる。 まず、議案第1号平成8年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その1の7ページをお開き願う。農政部が所管する予算は、6款農林水産業費1項農業費、2項畜産業費、3項農地費及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部とをあわせた総額1、031億4、166万3、000円で、前年度当初予算に比較して143億6、500万円余、率にして16・2%の増、6月現計予算対比で見ると43億6、700万円余、率にして4・4%の増となっておる。
 また、県の一般会計予算総額に対して、当部の予算の占める割合は12・8%になっているものである。
 以下、予算の内容については、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げるので、御了承願う。
 予算に関する説明書の151ページをお開き願う。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費であるが、この主なものは、農業委員会等に対する運営費の補助、市町村が行う国土調査法に基づく地籍調査等の実施に要する国土調査事業費補助等である。次のページの152ページをお開き願う。2目農業金融対策費は、農業近代化資金利子補給、中山間地域活性化資金利子補給など、農業者等の資本装備の高度化、農業経営の近代化等を図るため、融資した資金の利子補給に要する経費及び農家負担軽減支援特別資金利子補給、農業経営基盤強化資金利子補給補助等、市町村、農協等が利子補給する場合に助成しようとする経費であり、いずれも農家等の負担軽減を図り、農業経営の安定と農業生産の向上を図ろうとするものである。農業経営改善促進資金貸付金は、農業経営基盤強化促進法に基づいて、農業者が認定を受けた経営改善計画の早期実現のため、農業経営改善促進資金を融資した融資機関にその原資を預託する岩手県農業信用基金協会に対し、無利子資金を貸し付けしようとするものである。3目農業構造改善対策費の主なものであるが、農業構造改善事業は、農業、農村の活性化を図るため、土地基盤及び近代化施設等農業生産基盤の整備、集落環境条件の改善等を地域の対応に応じ総合的に実施する事業で、岩手町岩手地区ほか4地区を予定しているものである。次の地域農業基盤確立農業構造改善事業は、急激な国際化の進展、担い手不足に対応し、望ましい農業経営体を早期に育成するため、土地基盤、近代化施設の整備に補助しようとするものであり、前沢町前沢地区ほか18地区を見込んでおるものである。4目農業改良普及費の主な事業は、県内17の地域農業改良普及センターの管理運営費、次のページに参って、本年8月、滝沢村の産業文化センターをメーン会場に開催が予定されておる第8回全国農業青年交換大会の開催経費などである。5目農業振興費の主なものであるが、基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業は、財団法人岩手生物工学研究センターにバイオテクノロジー応用化研究推進のため、遺伝子組みかえ等の基礎的研究を委託し、農作物等の新品種作出及び有用微生物利用技術の開発をしようとする経費である。農業研究センター(仮称)整備事業は、平成9年4月の供用を予定しているものであるが、8年度は、センター本館、附属棟、圃場整備、県北農業技術センター(仮称)の本館など、施設建設のピークであり、その建設費等を計上しようとするものである。次のページの総合農業情報システム整備事業は、多様化する消費者のニーズに適合した農業生産の推進と地域の活性化を図るため、情報社会に対応した総合的な情報システムの構築に向けたシステム開発等に要する経費である。次の山村等振興対策事業は、地域の特性に応じた農業の振興を図るため、交流促進施設等の整備に対して助成しようとするものであり、久慈市久慈地区ほか26地区を予定しているものである。このページの下の方であるが、全国食文化交流プラザ開催費は、本年10月31日から11月4日までの5日間、岩手産業文化センター、県民会館を中心に開催が予定されておるイベント開催に要する経費である。次のページに参って、いわてオリジナル水稲品種銘柄確立対策推進事業は、本県のオリジナル水稲品種であるかけはし、ゆめさんさを中心とした県産米販売促進を引き続き展開しようとする経費であり、次の高度土づくり技術確立推進事業は、新規であるが、微生物資材の施用による高度な土づくりを推進するための実証展示圃の設置や、マニュアル作成に要する経費である。次に、中山間地域広域支援活動推進事業であるが、これは、中山間地域の活性化に当たっては、複数の市町村が一体となって農産物の計画的な生産拡大や付加価値を高める加工品の生産、都市住民との多彩な交流等による地域おこしに広域的に取り組むことがより効果的であることから、広域的な組織活動に支援しようとする事業である。6目農作物対策費の主な事業であるが、いわて純情米いきいき生産体制確立事業は、平成5年の冷害を教訓に、稲作生産の安定化を図るため、ソフト、ハード両面から条件整備を引き続き推進しようとするものである。地域調整推進事業費補助は、今般、新食糧法の施行に伴い、新たに地域調整推進助成制度が創設され、農協等が行うとも補償事業に対し、助成することとしたところである。この事業は、全額国庫補助金で措置になるものである。次に、とも補償定着化推進事業費補助は、稲作、畑作それぞれの経営志向に応じて営農の展開が図られるよう、特に、ガイドライン配分を超えて転作を引き受ける農家、いわゆる受け手農家対策として10アール当たり7、000円を交付することとし、その3分の1を県単助成して新しい生産調整に対応しようとするものである。158ページをお開き願う。いわてオリジナル水稲品種安定生産緊急対策事業費補助であるが、本県のオリジナル品種の1つであるかけはしを対象に、緊急的に葉いもち病防除に要する経費の一部に対し助成しようとするものであり、これによってかけはしの安定生産を図ろうとするものである。7目畑作振興費の主な事業であるが、まず、農業生産体制強化総合推進対策事業は、国際化の進展に対応して、県内農業生産体制の強化を図るため、経営体育成を加速化するための共同利用施設等の整備を推進するとともに、土地基盤整備や情報処理施設の整備を図り、産地加工の促進、高付加価値型農業の育成等、各種事業を実施しようとする経費である。160ページをお開き願う。花きセンター整備事業は、本県の花卉生産の一層の振興を図るため、担い手の研修、指導者の養成等の拠点施設を整備しようとするものである。次の花のかけはし技術開発交流事業は、リンドウに次ぐ品目として、小菊の生産を一層推進するため、日本一の小菊産地である沖繩県との技術開発交流を行おうとするものである。8目北上奥羽山系開発費であるが、広域農業開発事業償還金は、事業完了地区の建設費用の地元負担金等を農用地整備公団に償還するもので、葛巻地区ほか9地区の償還金である。また、北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助は、広域農業開発事業によって入植した農家のうち、経営不振に陥っている負債農家に対し、経営改善を図るための支援を行おうとするものである。9目植物防疫費の主なものは、病害虫防除対策指導費等、病害虫の発生予察、防除指導、農薬安全使用など、防除事業に要する経費である。10目農業協同組合指導費は、農協系統組織が進めておる組織再編を促進するための補助及び農協の指導監督に要する経費であり、次のページに参って、11目農業共済団体指導費は、岩手県農業共済組合連合会及び県下13共済組合の運営費補助等である。12目食糧管理費であるが、米穀集荷調整費補助は、計画出荷基準数量及び政府買い入れ基準数量の設定等、米の集荷が円滑に実施されるよう市町村事務費に補助しようとするものである。13目農業試験場費、14目園芸試験場費は、それぞれの管理運営、試験研究、施設整備に要する経費である。164ページをお開き願う。15目農業大学校費は、農業短期大学校を名称変更し、平成8年4月から農業大学校として運営する経費等である。16目蚕業費の主なものであるが、いわてシルクの里育成推進事業は、地域の生産基盤や技術、人材等を総合的に活用したシルクの里づくりを推進する事業である。17目繭検定所費、次のページの18目蚕業試験場費は、それぞれの管理運営費等である。
 168ページをお開き願う。2項畜産業費1目畜産総務費であるが、管理運営費は、畜産関係従事職員の人件費等であり、畜産団体育成対策費のうち、岩手県肉牛生産公社運営資金貸付金は、同公社の経営健全化を図るため、無利子資金を貸し付けしようとするものである。2目畜産振興費の主なものについて御説明申し上げる。169ページの中ほどである。畜産再編総合対策事業費のうち、肉用牛生産効率化事業費補助は、肉用牛生産の効率化、共同化のために必要な共同利用家畜飼養管理施設の整備に要する経費に助成しようとするものであり、8年度は一戸町を予定しているものである。次のブロイラー生産性向上特別対策費補助は、食鳥の廃棄率の改善等を図るため、生産環境の清浄化を推進する全県統一消毒プログラムを実施する経費に助成しようとするものである。170ページをお開き願う。畜産経営改善対策事業費のうち、肉用牛ヘルパー組織育成対策事業費補助は、畜産農家の高齢化等による飼養戸数、頭数の減少に対処するため、市場出荷や粗飼料調製作業等、個々の農家では効率化しがたい作業を中核的農家や地域の若手後継者等が労働支援を行う肉用牛ヘルパー組織の育成を図ろうとするものである。次に、家畜市場近代化総合整備事業費補助は、県経済連が進めておる黒毛和種の家畜市場の再編整備に対する補助であり、江刺市に設置する県南市場に引き続き、8年度は県央以北地区の家畜市場の整備を進めようとするものである。次に、有機物資源活用促進事業費補助は、畜産経営による環境汚染の防止と良質堆厩肥生産利用を促進するため、簡易堆厩舎の整備に要する経費に対し補助しようとするものである。3目草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであるが、団体営草地畜産基盤総合整備事業は、一関市和山地区ほか18地区、次のページの担い手育成畜産基盤総合整備事業は、下閉伊南部地区ほか3地区、県営畜産経営環境整備事業は、二戸西部地区ほか4地区となっおり、これらの事業を通じて畜産生産基盤、経営基盤の整備を図ろうとするものである。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防など、家畜の衛生対策に要する経費等である。5目畜産試験場費、6目牧野費は、畜産試験場、種山牧野事務所の管理運営費等である。
 175ページをお開き願う。3項農地費について御説明する。2目土地改良費から179ページの4目開墾建設事業費までは、農業農村整備の公共事業が主なものである。まず、県営事業であるが、かんがい排水事業は、胆沢平野地区ほか8地区、8年度の用排水路の整備延長は2万1、000メートルを見込んでいるものである。農道整備事業は、広域農道盛岡西部地区ほか7地区、一般農道東和町毒沢地区ほか27地区、農免農道整備事業、盛岡市手代森地区ほか33地区、圃場整備事業は、花巻市豊沢川地区ほか39地区となっており、当年度の整備面積は611ヘクタールを見込んでおる。中山間地域総合整備事業は、宮守村鱒沢地区ほか17地区、次のページに参って、ふるさと農道緊急整備事業は、県単事業であるが、安代町目名市地区ほか33地区、団体営事業では、団体営土地改良総合整備事業は、滝沢村沼袋地区ほか54地区、農業集落排水事業は、紫波町水分地区ほか28地区などとなっているものである。178ページに参って、県営事業であるが、防災ダム事業は、衣川4号ダムほか2ダムであり、ため池等整備事業は、雫石町御所地区ほか31地区、開拓地整備事業は、大野村帯島地区ほか35地区などとなっており、土地改良関係のこれらの公共事業の総額は527億9、000万円余となるものである。180ページをお開き願う。5目農地調整費の主なものは、農地保有合理化促進費であるが、これは、農業経営の規模拡大、農地の集団化、その他、農地保有の合理化を促進するため、岩手県農地管理開発公社等の行う事業に対し、助成しようとするものである。
 次に、ページを飛んでいただいて、260ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費の主なものは、団体営農地等災害復旧事業であるが、これは、平成6年災、7年災及び現年災の災害復旧事業補助に要する経費である。
 次に、債務負担行為について申し上げる。議案その1に戻っていただいて、議案その1の12ページをお開き願う。第2表債務負担行為の表中、11から38までの28件が農政部所管に係るものである。これらは、社団法人岩手県農地管理開発公社が行う農地の買い入れ等に要する資金についての損失補償、農業近代化資金等の各種資金の融通に伴う利子補給、農業農村整備事業など、工期等が翌年度以降にわたる事業について、それぞれ期間及び限度額を定めて債務負担しようとするものである。
 次に、22ページをお開き願う。議案第3号岩手県農業改良資金特別会計予算について御説明申し上げる。農業改良資金特別会計の予算は、歳入歳出それぞれ20億7、160万6、000円を計上しようとするものである。
 その内容については、予算に関する説明書で御説明する。恐縮であるが、予算に関する説明書の340ページをお開き願う。能率的な農業技術、合理的な農業生産方式の導入、特定地域における新たな農業部門の経営開始、経営規模拡大、青年農業者等の育成を促進し、農業経営の安定と生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金、経営規模拡大資金、特定地域新部門導入資金のそれぞれの貸付金について、無利子資金を貸付限度額、期間を定めて計上しようとするものである。343ページをお開き願う。就農支援資金貸付費は、認定就農者に貸し付ける就農準備資金等の就農支援資金の貸し付けに要する原資を財団法人岩手県農業担い手育成基金に貸し付けしようとするものである。
 次に、まことに恐縮であるが、また議案その1に戻っていただいて、66ページをお開き願う。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、8年度において、県営で実施するかんがい排水事業、圃場整備事業等、農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものである。
 以上が予算関連議案である。
 次に、議案その2の19ページをお開き願う。議案第28号家畜商講習手数料条例の一部を改正する条例であるが、これは、家畜商の免許を受ける際に必要な講習に係る手数料の額を増額しようとするものである。
 以上、農政部の関係する各議案について御説明申し上げたが、よろしく御審議をお願い申し上げる。

〇水上副委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇藤倉委員 私から全国和牛能力共進会の本県開催についてお尋ねする。
 5年に1度の第7回全国和牛能力共進会が来年9月に本県で開催されると聞いておる。畜産県岩手を標榜する本県にとっては極めて意義の深い催事であろうと存ずる。この共進会の種牛の部の会場となる岩手産業文化センターは、去る昭和60年に本県で開催された第8回全日本ホルスタイン共進会を契機に、これまで前回の開催地豊橋などでは5億円もかけてプレハブをつくって壊したとされておったところであったので、この際、常設の施設をつくって開催したらどうかということを申し上げ、畜産試験場の24ヘクタールの土地に43億円を投じて、全国でも有数の多目的施設ができたところである。ただいま読み上げた議案にもたくさんのイベントがこの会場で開催されることになったのは御案内のとおりである。そこで、本県の産業文化など、情報発信の拠点として重要な役割を担っていることは御案内のとおりである。このような常設の施設を有していることから、我が国の畜産分野では最大級のイベントである今回の全国和牛能力共進会を招致できたのであり、このイベントは単に肉牛振興にとどまらず、本県の農業、農村の振興、さらには産業、文化の発展性等、全国にアピールする絶好の機会であろうと思うのである。
 そこでお伺いするが、開催県にふさわしい優秀な成績をおさめるための出品牛対策や関連イベント等の準備がどのように進められているか、また、会場の施設整備は今後の産業振興に大きな役割を果たすものであると存ずるが、周辺環境の整備を含め、その準備状況についてあわせてお伺いをする。

〇佐藤農政部長 第7回全国和牛能力共進会の件についてであるが、御案内のように、平成9年9月11日から15日までの5日間にわたって、本県においてこの共進会が5年に1度開催される我が国肉用牛の一大祭典ということで開催されることとなっておる。日本の食糧供給基地としての畜産岩手を全国にアピールする絶好の機会であるので、この共進会においては優秀な成績をおさめられるように、また、本県の畜産物を全国にPRしていくいい機会であると考えて、その開催に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。
 出品対策としては、本県の出品頭数は32頭と決まっておる。平成7年9月までに2、570頭の計画交配が終了しているところで、これらの生産子牛について順次地区選抜及び県予備選抜を終えて、平成9年7月には最終選抜を行って種雄牛の部4頭、雌牛の部19頭、肥育の部9頭を選抜することにしておる。また、関連イベントとして、子供から大人まで一般消費者を対象に食肉や牛乳、乳製品を味わっていただく、また、消費拡大に資していただくということで、ミートピア館やミルキーランド館を開設し、料理加工の体験学習、さらには畜産の新技術紹介のための牛の科学館あるいは家畜等の触れ合いコーナーなども設置してまいりたいと考えておる。
 開催会場については、お話のあったように、岩手産業文化センターにおいて、会場面積が広いということもある。大変関係者に評価をいただいておって、産業文化センターを中心に、種雄牛の部であるが、開催してまいる。ただ、現在、県立大学校の整備ということで非常に工事関係の車も通るということであるが、何とかその時期には会場周辺の環境整備をして、交通アクセスを確保して不便のないように取り組んでまいりたいと考えておる。
 また、肉牛の部の会場となる畜産流通センターでは、現在、肉牛処理加工施設を整備中である。枝肉審査や競りを行うための関連施設等についても今後整備を検討してまいりたいと考えておる。いずれ、この期間中に37道府県の参加者で入場人員は関係者あわせて約60万人を見込んでおって、駐車場なり交通アクセスなり宿泊施設といったものの確保等について十分に検討を重ねながら、平成8年度中にはそういう準備も終わるようにしてまいりたいと考えておる。こういうことで、本県として、この共進会を県民挙げて盛り上げていただいて、その成功に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 まず、環境保全型農業の取り組みについてお伺いしたいと思う。
 これは耕作地の放棄問題等にもかかわって、かつて山内委員も取り上げてきたと思うけれども、特に中山間地域を中心として、条件の不利な地域というか、特に高齢化が進んでもきているということで、耕作放棄地が増加してきていると聞いておるわけであるけれども、また、国連の環境計画のデータでも、地球上の大地が15%病んでいるというような記事も目にしたわけである。そういうことで、非常に土壤が劣化してきているということだろうと思う。その原因には連作の障害とか、化学肥料の多用、工場廃液の垂れ流し等、いろいろあるんだろうと思うけれども、本県も例外ではないと思う。田園がまさに荒れんとしているなというような感じを受けているわけであるが、世の中は今、ウルグァイ・ラウンド対策ということで躍起になってやっておられるわけであるけれども、その中にあって、人間でいえばがんにむしばまれているような耕地、そういうところもあるわけである。いわば耕地面積がどんどん減少していっている。そしてまた、耕地そのものが疲弊してきているんじゃないかというようにも思うわけであるけれども、県はこれをどのようにとらえておられるのかお聞かせいただきたい。

〇佐藤農政部長 環境保全型農業であるが、特に化学肥料の施用によって非常に偏った養分が土壤中に蓄積するということがある。特に雨風にさらされない施設型のハウス等の土壤においてはそういうことが顕著に見られるわけであるが、そうしたことが作物の生育にも影響してくる。あるいは土壤をそういう面で偏ったものにしてしまうという面でも問題を抱えることになるわけで、現在、本県においては、各農業改良普及センターや農協において土壤分析を行って、その分析結果に基づいて、あるいはそこに作付される作物の種類といったようなものとの関連を十分に診断をして、その土地に対する施肥の仕方あるいは肥培管理について指導を行っているところである。

〇谷藤委員 私は全く農業については素人の立場であるが、ただ、耕作地がだんだん見捨てられていく、だれも携わっていかなくなるような地域、中山間地域の、特にも傾斜地などにつくられているところ、効率の悪いところもたくさん岩手県の場合どうしてもあるわけであるけれども、そういうところがどんどん見捨てられていく中で、そういう土地が風化して斜面が崩れてきたり、土砂が沢とか川に流れ込んできている、そういうところがひいては洪水とかをもたらす原因なんかにもなっていくんだろうなと心配をする。それがずっと続いていくと土壤が劣化して食糧生産の危機にも大げさに言えばつながっていく積み重ねの1つになってしまうのかなと心配もするし、それから、そういう耕作放棄地などを見受けるわけであるけれども、そういうところに焦点を当てた対策というか、県として取り組んでいる部門というか何か、その辺はあるか。

〇佐藤農政部長 特に耕作放棄地というか、管理が行き届かない農地等について、そのまま放置すると非常に土壤のエロージョンというか、そういうことが起こったり、または崩落するということもあるわけで、そういう土地を農業生産の中で有効に活用していくということをねらいにして、中山間地域対策の中でそういったものに地域で取り組むといったような方式を指導していこうということでの指導も行っているところである。

〇谷藤委員 急傾斜地とか、そういうところでは生産性ということを考えていくとなかなか難しい地形等も岩手県にはたくさんあると思うけれども、いずれ岩手県の大きな課題でもあるのがこの中山間地域の活性化という問題であるわけであるので、特にそこの中で、今、いきいき農山村懇談会というのを設置して検討を重ねているとお伺いしておるけれども、どういう検討を重ねて、今、どういう状況なのかお知らせいただきたいと思う。

〇佐藤農政部長 いきいき農山村懇談会の件であるが、これは、中山間地域の活性化方策等について広く学識経験者等から意見、提言をいただくということで、平成7年2月に設置して、以来、現地調査を含めて4回ほど懇談会を持って、いろいろ御意見、御提言をいただいているところである。それの内容について若干申し上げると、中山間地域の活性化を図っていくためには、やはり非常にその地域の状況が地域、地域によって異なるので、そういう地域に合ったきめ細かな対策を講じていく必要があるということであるし、特に中山間地域というと、非常に広い地域がその中に入るけれども、特に問題を早く抱えるような状況の出る山間地域にまさに重点的に、優先的に対策を講ずるべきではないかという話もいただいておるし、また、地域は農業のみならず、林業が地域の基幹産業となっている場合が多い。そういう農林業の振興を図るとともに、その地域の観光なり商工業との連携によって、産業複合化というか、各産業が連携してその地域の活性化に当たるという方策を講ずるべきだといったような御意見をいただいておる。そういう検討結果を踏まえて、県においては、既に地域の特色ある取り組みを顕彰しよう、自主的な活動に対してそうした顕彰をしようということでいきいき中山間賞を創設したところであるし、また、特に山間地域の基幹作目である園芸や畜産の所得安定を図るために、山間地域農業活性化特別対策事業を実施しているところである。今後においても、いろいろ御意見、御提言をいただいておるので、そうしたことを踏まえて、必要なものについては国にも対策等について要望しながら、その御意見のあったことを十分に生かして中山間地域の活性化に結びつけていきたいと考えておる。

〇谷藤委員 ぜひそれぞれの地域の特色を生かした活性化策を講じていただきたいと思う。若者たちがその地域に定住化していくというようなことは、相当魅力ある施策がないとなかなかそこに定住するというのは難しいだろうと思うので、積極的な支援策を期待するものである。
 次に、盛岡競馬場の跡地についてお伺いをしたいと思う。
 これは昨年もちょっと質問させていただいたけれども、いずれ4月6日に新競馬場がオープンするということで、今ある競馬場が11月の最後のレースで幕をおろしたということである。この競馬場の敷地は県も所有しているし、競馬組合、民有地、それから盛岡市が若干持っているというような、複雑な入会の中での用地と承知しているけれども、これの調整というか、跡地の利用、盛岡市がここの活用を地元の方々の希望等も含めていろいろ検討しているやにも聞いてはおるけれども、実際にこれを競馬組合から市が購入するということも市としては希望しているのであろうけれども、相当な金額になるのかなと思っている。ただ、そういう中で、県が競馬組合、盛岡市との間でどういうふうに調整役的な役目とか、そういうものを果たしておられるのかどうか。それから、この間の新聞記事でも随分夜遅くまで延々とこれらに絡んで市議会ももめていたようであるけれども、市の方でも全体の20ヘクタール、それぐらいの面積を全部盛岡市として活用をするという考えなのか、県有地という独自の面積もあるわけなので、これの県有地の独自に活用策を考えていくという考え方というものは県として何か、農政部ということで活用するということではなく、県全体の中で考えていこうというような方向というのは何か出ているものかどうかお知らせを願いたいと思う。

〇和美農政企画課長 旧盛岡競馬場の跡地利用についてであるが、この旧盛岡競馬場の敷地は約20ヘクタールである。その所有内訳は、県の競馬組合が全体の約60%、民有地が約25%、県有地約15%等となっておって、その所有地が委員御指摘のとおり、かなり複雑に入り組んでいる状況となっておる。また、この用地は全体が市街化調整区域、それから南側半分が風致地区と、こうなっておる。いろいろこういうことがあって、都市計画法上の解決すべき問題も抱えておる。県としては、これらの調整を図りながら、跡地全体を一体的に利用することが望ましいと、このように考えておって、まずもって地元、盛岡市で利用計画を策定していただくことが一番大事であると、そういう認識のもとに市に対してもこれまでも要請してきたところである。
 盛岡市では、現在、利用計画を鋭意検討中であって、できるだけ早い時期に市としての方針を示したい意向であると、このように伺っておる。したがって、県としては、これらの動向を見定めながら、適切に、県としてどういう利用方法があるかも含めて、市の方の動向を見定めながら、今後適切に対応してまいりたいと、そのように考えておる。

〇谷藤委員 盛岡市がそれなりに検討を今しているということであるが、競馬組合としても随分建築費が大幅に増額をしたということで、早めに売却したいというような希望を持っているんじゃないかと思う。そういうことで、県とすれば、いつまでももたもたしてやっていると、そのうち県の方に対する配分金が値切られたり、いろいろなことも起きてくるんじゃないかと思って、私が心配しても仕方がない話であるが、そういうことも起きないとも限らないし、ただ、県としても何か、もし盛岡市でなかなか全体構想がまとまらない、全体20ヘクタールも要らないとかということになったときには、県の方としても何か活用策があるとすれば、そのときのことも考えておく必要があるんじゃないかと思ったりするわけである。
 それで、実はあそこが今度使われなくなるわけである。そうなったときに、今の走路というか、あそこに大量の砂が入っているけれども、あれが乾燥してきたりすると今度は粉じん公害だ何だと、あの住宅地の中でなってきたりすると大変じゃないかと心配もするわけである。実は先日、学校関係の方々とお会いする機会があったときに、あの競馬場のあの砂というのは今後どうなっていくんだという話になった。そのとき、あそこに入っている砂というのは相当吟味したいい砂が入っているんじゃないかということで、校庭の整地等、そういうものにぜひ活用できないものだろうかという要望があったけれども、直接は教育委員会の関係になるのかもしれないが、そこの中で、やはり県費いろいろかかわって取り組んできた事業、競馬組合であるから、そこの中で、その砂、かなり優良な砂じゃないかと思う。それらの活用を有効にされたらいいんじゃないかと思うけれども、今、いきなりの話であるからどういう答弁になるかわからないが、ひとつ御所見があればお聞かせいただきたいと思う。

〇和美農政企画課長 砂のことについてお答えする。
 現在のところ、組合の方でこの砂についてはすべて撤去したいというように伺っている。今、委員から御指摘のあったように、いろいろと検討する余地は確かにあろうかとは思う。

〇谷藤委員 撤去するということで、その辺にただ持っていって投げられるのではもったいないなと思うようなあれだなと思うので、その辺の有効活用をぜひ、近隣の学校関係から希望をとって、それらの有効活用をするとか、ひとつ関連の部署とぜひ連絡をとり合って有効利用していただくように希望する。

〇佐々木(博)委員 今の谷藤委員の質問に関連して、競馬場の跡地のことでお伺いをする。
 新競馬場、いよいよあした落成式だと伺っておるけれども、当初、競馬場を建設するときの資金計画で、旧競馬場の跡地を売却して、それを建設資金に充当するという計画になっておったはずである。その計画が変更になったという話も聞いていないわけであるが、いずれ競馬組合も売り上げが減で、収益分配金、今議会でもいろいろ議論が出たし、関係の構成団体である盛岡市あるいは水沢市の議会でもこの分配金が減ったということでいろいろ議論があったと聞いておるが、問題は、競馬組合がどういうふうに資金の調達をしたか詳細についてはわからないが、いずれ売却して、その資金を充当するという当初の計画が変わっていないとすれば、そういつまでもやはり放っておけないんじゃないかなと思うが、その辺の資金計画についてはどのようになっているのか、まずそのことについて伺いたいと思う。

〇和美農政企画課長 計画どおり処分ができなかった場合、競馬組合の財産運営に支障を生じないかという御趣旨だと思うが、競馬組合における新競馬場建設のための起債総額は平成7年度末で約252億円、このようになる見込みである。競馬組合では平成10年度までに用地を処分してこの地方債の繰り上げ償還の財源を起こしたいと、こういう意向であると伺っておる。仮に繰り上げ償還できない場合のピーク時の元利償還額であるが、平成11年度約27億7、400万円ぐらいになる見込みだと、このように伺っておる。したがって、県としても、競馬組合の償還計画に支障が生じないよう、今後においても盛岡市においてできるだけ早く利用計画を策定していただくよう、なお要請してまいりたい、このように考えておる。

〇佐々木(博)委員 今の答弁であると、平成10年度までには売却したいという計画のようであるけれども、あそこは走路の部分が県有地のはずである。6割ぐらい競馬組合の土地であるし、さらに民地が5ヘクタールぐらいあるはずであるけれども、民地の地権者もたしか20名を超していたと思う。いずれそういった関係があって、盛岡市でも、あるいは周辺の住民も一括して何かの施設に活用したいという大きな希望は持っておるわけであるが、しかしながら、面積が膨大であるから、用地をどこが取得するにしてもかなりの事業計画等を立てて、あるいは起債等も活用しながらやらなければなかなか取得することは困難ではないかと思われるわけである。
 そこでお伺いしたいわけであるが、事務レベルで競馬組合と盛岡市と県とで、3者で協議を今しておるやに伺っておるが、どの程度までの協議が進んでおるものなのか、そのことについてお伺いしたいと思う。

〇和美農政企画課長 3者での検討の状況であるが、最近では2月2日に協議を行っておる。このときに、市の方からは先ほど申し上げたように、いずれ現在鋭意検討中であり、できるだけ早い時期に市としての方針を示したい、このように伺っているところである。

〇佐々木(博)委員 いずれ平成10年度までに売却をしないと平成11年度以降起債償還が大変ふえるということになると、また競馬組合の収益分配金が減ってしまうということでまた議論がいろいろ出てくると大変困るわけである。県としても、あそこの用地の直接の所有者、当事者でもあるので、どうかそういった点では3者協議をもっと強力にイニシアチブをとっていただきながら、なるべく盛岡市に対しても指導を強めていただいて、そして売却の見通しがおくれることのないように、ぜひ指導力を発揮していただきたいと思う。
 あわせてお伺いするけれども、事実関係がちょっとはっきりしないが、住宅供給公社があの競馬組合の土地の北側の方に住宅を建てるんじゃないかといううわさがあるようであるが、そのことについて、もし事実関係がおわかりであったらお知らせいただきたいわけである。

〇和美農政企画課長 私はそういうことは伺っておらない。

〇小原委員 3点お伺いする。
 1つは、中山間地域対策についてである。
 ただいま谷藤委員からもお触れになった点であるが、中山間地域は資源が豊富であり、その資源を生かして活性化を図ることが大切である、このように言われてまいった。しかし、その具体策は必ずしも明確に提示されてこなかったのではないかと思う。また、多くの地域ではその資源をどう生かし切ったらよいのかということもその方策を見出しかねている、こういう現状にもあろうかと思う。
 そこで、中山間地域活性化に向けて、県は積極的にヒントを与えるなり、後押しをするなり、何らかのてこ入れを行い、活路を見出していくための支援策が必要だろう、このように思うが、どのような支援策をお考えになっておられるのか、この点をお伺いする。

〇佐藤農政部長 中山間地域の活性化についてであるけれども、本来、そこに住んでいる方々、地域住民の創意工夫ということを生かしながら積極的に取り組んでいただきたいと考えているわけであるし、また、その該当市町村において、その地域の活性化のための計画を策定し、今後逐次その実現のために取り組んでいくということにしておる。しかしながら、なかなかその地域での解決の糸口が見出せないでいるというのも確かである。そういうこともあって、平成8年度においては、その地域の産業づくりあるいは食文化の維持創造、都市との交流といったようなことが考えられるかと思うが、中山間地域広域支援活動推進事業というものを創設して、その事業の中で地域からの要請に応じてアイデアの提供あるいは活動に対しての助言を行うという地域おこしマイスターを設置して、そういう方々をその地域に派遣をして助言指導を行うということにして、そういうことを通じて、何とかこの地域の活性化に向けての取り組みなり、対策の糸口を見出していただきたいと考えておる。

〇小原委員 この地域おこしマイスターという皆さん方はどういう方々で、そうした地域おこしというか、地域活性化というものに対してもちろんサジェスチョンをなさる、あるいは一緒に活動していくということにもなるんだろうと思うけれども、どういう方々がこうした任に当たって、その地域の活力を出していける、そういう人材の育成というか、そういう皆さん方と一緒に活動していく、どういう皆さん方であるのか、この際お伺いをしておきたいと思う。

〇佐藤農政部長 地域おこしマイスターになっていただく方であるが、今後詰めていくことになるけれども、その中で、特に要件としては、本県の地域をよく知っておられる学識経験者あるいはこれまで地域づくり、むらづくりということで取り組んで、具体的にそういう成果を上げている実践活動家というか、そういう実践者の方々、それから、関係機関なり団体の方々もその中に入っていただこうということで考えておる。

〇小原委員 御期待を申し上げる。ぜひ積極的な取り組みをお願いする。
 次に、農業改良普及員の体制強化についてである。
 今、農業改良普及員は、各センターにおいて地域振興班と専門技術班ということでそれぞれ活動が行われているところである。各地域では水稲を初め、果樹、花卉、野菜など、産地形成のために懸命の努力が行われているわけであるが、生産技術の支援、普及面で今の農業改良普及員の体制、整備と充実、これが一層必要ではなかろうかと考えるわけであるが、どのような方針のもとにこうした指導推進活動が行われているのかお尋ねをする。 また、生活改良普及員の役割と推進体制についてである。
 今、農家経営への女性の参加は、ただ単なる労働力としてではない。経営者としての役割を担っているものであるし、同時にまた、農業経営と家庭、家族の世話役あるいはその主体ということで、さらにはまた、地域とのかかわりの面などで多様な役割を農家農村の女性の皆さんは担っておられる、こういう現状にある。生活改良普及員は、戦後の食料不足の中で食料増産に携わってまいったし、さらにまた、食生活改善に努力を払ってきたものと思っておる。確かに時代は大きく変化をしたけれども、しかし、その役割は、生産体制、そして生活両面にわたって農家農村女性の役割は一層強まってきておる。こうした面から、生改さんの体制も、役割は終わったということではなくて、むしろますますその役割は重要になってきているんではないかと思う。これまでの生活指導で得てきた知識、経験あるいはノーハウを農家経営の管理と地域の活性化に生かしていくことが求められている、このように思うが、この生活改良普及員の指導体制あるいは推進体制についてお伺いする。どのようにお考えであろうか。

〇佐藤農政部長 まず、農業改良普及員の体制強化、指導体制の強化についてであるが、御案内のように、普及事業を通じて、特にこの農業改良普及員の活動によって、これまで本県各地域の稲作なり畜産の産地化、そしてあるいは野菜、花卉といったものの生産拡大について取り組んでまいって、それなりの成果が上がってきていると思う次第である。さらに、近年では農家自身においても、生産のみならず、農家自身が市場の状況をよくつかんでおきながら、具体的に積極的に有利に農産物を販売していくという販売面での取り組みも必要になってきている。あるいはその経営、生産から販売までの農業経営についての高度な経営管理というか、そういうことも要求されてくるということで、そういうことのために平成7年度から普及センター内に経営担い手育成班を新たに設置して、特に経営なり販売対策あるいは新規参入者、後継者の就農についての具体的な指導をしていくという専門部署を設けて指導を開始しているところである。
 それから、生活改良普及員については、お話があったように、これまで衣食住の改善とか、生活改善実行グループの組織の育成ということで取り組んでまいったが、現在の生活農村地域から出てまいる生活課題についてもかなり質的に変わってきておる。まず、女性も農業者として働いておって、女性自身の経営管理能力を向上させていかなければいけないということがあるし、特に農業生産の場における労働管理の問題、健康の問題、そういうこともある。さらに、農産物の加工に取り組みながら、自家で生産した農産物の付加価値化を図るといったことについての取り組みの要請ということも出てまいっておる。したがって、こういう要請に対して、生活改良普及員と農業改良普及員が一体となってプロジェクトチームをつくり、主体的には生活改良普及員が企画管理をしていくというふうなことをとりながら、まさに所内一体となってそうした地域課題に的確に対応していこうということで指導しているところである。

〇小原委員 生活改良普及員であるけれども、最近の充足状況というか、新規に採用されるというか、そこに配置をするということがなかなか見受けられないようであるけれども、最近の状況はどうであろうか。生改さんの充足状況。同時にまた、部長から今お話があったように、農業改良普及員と一体となった体制の中で多様なニーズにこたえていきたいと、こういうことであるけれども、それはそれとしても、やはり生活改良普及員という要素、役割というのは、これは終わっていないと思うので、それは今の部長のお答えでもよくわかったけれども、今後の充足計画についてお伺いをしておきたいと思う。

〇佐藤農政部長 生活改良普及員の補充の件であるけれども、お話のように、近年、生活改良普及員としての補充はしてない。この件については、私どももいろいろこれまでも検討してきたけれども、申し上げたように、地域から要請される生活課題ということも内容的に変化しながら、しかも多くなってきているということであるので、今後、そうした地域課題にどのように対応していったらいいかということについて、今後の普及センター全体のあり方も含めて検討してまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 6款農林水産業費1項農業費のうち10目農業協同組合指導費、11目農業共済団体指導費に関連をして御質問させていただく。
 大変厳しい農業情勢の中で、農業団体の再編をしてもうちょっと組織をスリムにしながら農業振興を図ろうというのが農協合併の目的だと私は聞いておったんだけれども、最近までにその目的に向かって合併した農協の実態をひとつお知らせ願いたい。それが第1点。
 次に、平成7年度は、9月19日の作況指数は大変いい方向に新聞報道された。私ども農民は大変喜んでおった。ところが、1カ月たった作況指数が一気にどんと落ちた。そのとき、我々農民は既に収穫作業が8割は終わっておった。慌てたところが、立毛補償であるわけであるから、共済金は1銭も取れないということである、もらえないということである。こんな報道の仕方がどこにあると言って文句を言いたいけれども、それは過ぎた後であるから、全く空回りをしている。私も農業者であるので、残念な結果に終わったのである、去年の作柄は。農政部長はどう判断したか、それをお聞かせいただきたい。

〇佐藤農政部長 農協合併については、県内農協団体が主体になって農協合併に取り組んでいるわけであるが、将来は広域農協を12農協にするという目標を立てて推進しているところである。最近の合併の例としては、遠野地域において遠野、釜石地域が一体となって農協をつくっているという実績がある。
 次に、共済金の支払いとの関係で、昨年の稲作の作柄との関係であるが、確かにお話のように、当初作況が100段階であって、今後の天候が平年並みに推移すれば作況指数100ということで推移していくだろうという予測が立てられていたわけであるけれども、御案内のように、昨年の8月に入って、ちょうど登熟期に入ってかなり気象の変動が大きくなってまいって、曇天、降雨という状態が続いた。しかも昨年の気候の特色は最低気温の方が高いということがあって、これまでいもち病などの発生の少なかった県北部地域においてもいもち病が多発生していくという状況が出てまいって、日照不足による登熟不良、いもち病被害ということで、あのように最終的には作況指数96ということになったと思っておる。ただ、共済金との関係であるが、これはもう御案内であるけれども、各地域の作物の実態に応じて絶えず調査をして、それで共済金をはじき出しているということであるし、共済金の実際の支払いについては2割なり3割のいわゆる足切りがあるので、96という平均並みで考えるとなかなか共済金を交付する水準にまでならないということが多かったのではないかと。平成6年が大豊作であるから、それに比べると何となく収量が2割という水準を超えて落ち込んでいるというふうにも感覚的に思われた面もあるかと思うけれども、そういういろいろな要素が加わって、農家の受けとめ方と実際の共済金の支払いにそごがあったと思っておる。

〇菊池(勲)委員 大変いい答弁でありがたいと言いたいところだけれども、実態はそうであったから議論の余地はないわけだから、1年我慢した、はっきり申し上げて。本来なら私どもは専業農家であって、なかなか昔のようには管理は不十分であるわけであるから、特にマスコミの報道には我々農民は大変影響されるわけである。作況指数が100である。だれが見たって立派な稲の状態になっている。穂に触って見てないのだから、100であるんだなと認識をしたわけである。そして、どんどん農作業が始まって稲刈りが始まった。私も刈った。どうも刈った面積に対してはもみが出てこないわけである。おかしい、おかしいと思っているうちに稲刈りが終わった。そのときどんと今度は96に作況指数を下げられたわけである。このハンディに私は議論があると言っているのである。農政部は関係ないかもしれない、本当は。責任がどこにあるのだかわからないけれども、でも、農業を担当する農政部が全然知らぬという法はないと私は思った。私は専業農家であるから、約7ヘクタールの水田をつくったわけである。それでこういうことなのだから、黙っておるわけにいかぬということである。そういう感じで、残念ながらそういう結果に去年は終わったんだけれども、平成8年もこれから農作業が始まるわけである。ことしこそいっぱいとってみせるから、必ず。と思って気構えをまた新たにして新年度に努力しようと考えておるわけであるけれども、農政部長は何か3月にやめるというのだから、この際聞かないと聞くチャンスがないわけであるので、再度そういう質問をさせていただく。
 それから、農協合併の問題で、今、遠野地区が農協合併を進めている。私の地域も、北上4農協合併という実現の中で、再三協議した結果、1農協が脱落して3農協が合併して数年たっている。どうも合併そのものが、私ども町村合併もやって、あと何日かでちょうど丸5年たつわけである。合併の目的は何かということである、町村も農業団体も。やっぱり行政改革の最たるものであると私は思っている。同じ役員の中でぐっつりくつけて役員は全然減ってない。何でスリムになるのか、これらに対して。職員は同じに抱えて、同じ規模からすれば物すごく余る。余ったままそのまま退任になるまで待つわけだ。こんな制度のやり方では、日本農業はおろか、私まで死んでしまうのである。そういうことでは合併の目標に対する意味が全然なってないということである。そういう思いをしながら今日精いっぱい頑張っているわけである。部長に文句を言っても仕方がない。
 そういうことなので、それはそれとしていいであろう。私は今、議会で、国会で議論をされているものが、ほとんど議論されてないけれども、されてないけれども、あの状態が続いて、あのままで処理しても農業団体が負担をかけるのは県信連、共済連を含めて約30億、新聞、テレビの報道ではほとんどトップの連中は何と言っているか。単年度処理しても赤字にならないから心配ないと言っている。あんなわけのわからない言葉をして農民をだましているわけだから、私は何を考えて農業経営をやっているかと思うわけである。30億である、それを一遍に処理しても1銭も赤字にならないからいいんじゃないかという話はなってない。だが、さすが岩持会長は、先般の報道では、今まではそう言っておったんだけれども、ちゃんと言葉を変えた。農民には大変迷惑をかけるけれども、一遍に処理しても何とか処理できるからという形に変わった。あれで幾らか救われた、私は。そうでなければ殴り込みをかけようかと思った、本当に。そんな気持ちでおるわけであるけれども、例えば現況の国会の審議ではほとんど前に進んでないけれども、このスキームで処理しても30億の損失である。母体行が1兆数千億は要らないと返したんだけれども、農業系金融機関が約5兆数千億を貸しているわけである。もしこれがとれなくなったらどうするのか。公的資金はだめだと言っているけれども、もしそれをとれなければ、岩手の農業、農業団体を救うには、県は何も手を出さないで死ぬのを待つのか、それをお聞かせいただきたい。

〇佐藤農政部長 住専問題についてであるけれども、御案内のように、現在、この件については国政レベルで議論されておるところで、また、先般、当議会からその意見書も提出されておるということで、今後、国政の場で十分審議していただいて、県民なり組合員農家の理解が得られるような適切でかつ迅速な処理が図られるよう願っているところである。

〇菊池(勲)委員 仮定の段階であるから質問しても無理かと思うけれども、例えば現況の状態で処理をされても両方の団体は30億近く負担をしなければいけない。もしこのままの処理ができなかった場合には、その5兆数千億を貸したやつが何ぼとれるかも保証はないわけだから、そのときに岩手の農民を救う、岩手の農業団体を救う農政当局の部長がどんな処理をされるのか、それを聞きたいのである。(「仮定のことだ。」と呼ぶ者あり)仮定だから聞いている。それを含めて、農政を担当する部長としてはどんな処理をされると思うか。

〇佐藤農政部長 全体の枠組みがどうというような話は私ども、なかなか資料を全体的に持っていないので公正な判断ができかねているわけであるけれども、私ら農協を指導する立場として、農協なり組合員に大きな負担にならないような方式が出てくるということを望んでいるところである。

〇菅原委員 今、隣の菊池委員が元気のいい発言をしたわけであるが、関連するが、まず、私は非常に不思議に思っていることなのであるが、県は農業団体、農協とか、いろいろそういう関係を指導をする、こういう形になっているわけである。なさっているのではないかと思うけれども、指導しても相手が言うことを聞かない。とすると、一体県の権能というもの、どこまであるのかなということなのである。権限、私は権能と申し上げたいんであるけれども、どこまであるのかなという、そういう感じが何回もしているのである。今度の場合も、適切な指導をして、権能があればあるいはそういうような貸し付けを起こすようなことにならなかったのではないか、その辺がまず第1点である。
 それから、今、住専問題が話題になっているけれども、市場原理に基づいて公的処理をする、そういう案も実はあるわけである。そうすると、新聞紙上でも報道になっているが、5年、10年で処理は私はできないんじゃないかと思う。と申すのは、私は自分の家で仕事をしているわけである。会社を経営しておるけれども、実は何回も相手が倒産して困ったことがある。破産法あるいはまた会社更生法を適用したところも実はあるが、たかが1社何百万の私の方の負債、債権があるにしても、そのぐらいでも4年も5年もかかる。なかなか進まない。ということは、その間にやっぱり債権者、債務者同士で裁判ざたになったりする、私経験あるのである、何回も。実際今もある金額、会社倒産されて困っておる事態があるが、そんな住専のような大きな問題は2年、3年、4年、5年、6年、10年じゃ私は済まないと思う。そうすると、困ってくるのはまず農業系金融機関あるいはまた農協が困ってくると思う。困ってくると、やっぱり県に救済をお願いすると、そういう要請になってくるのではないかと思う。そこで、そういう場合、やっぱり県は救済をしなければいけないと思う。なぜならば、岩手の農業をつぶすわけにはいかない、これは。農民を救わなければいけない。そういう私は立場になってくるのではないかと思う。だから、私は今、関連して、その辺の考え方、最初の農業団体の指導監督、その線とあわせて聞きたかったわけであるから、ひとつ明快な御答弁をお願いしたい。
 また、住専問題については、確かに、今、政府で論議をしているところであるから、それはわかるけれども、ただ、岩手の農民が岩手の農業が破壊をする、破壊まではちょっと無理であるけれども、困るんだという……。(「破綻だ。」と呼ぶ者あり)破綻か、よしわかった。破綻なそうであるが、そうなった場合の対応をやっぱり県はどのように考えるのかという、率直な考えをひとつ賢明なる農政部の皆さん方お答えしていただきたいと思う。

〇佐藤農政部長 住専問題についてであるけれども、一般的に申し上げて、前段の金融、融資、貸し付けという場合には、まさに慎重に相手方を審査しながら貸し付けていくというのが基本的に大事だと考えておる。ただ、この住専問題については、現在、国の段階で議論されておって、それがまたどういう形で具体的に地元にはね返ってくるかということがはっきりしない段階なので、それについてはここで申し上げるようなことはなかなか出てこないというふうに思っておる。

〇菅原委員 農業団体に対する指導の権限、権能はどの辺まであるか、それが答弁なかった。
 農政部長、大変長い間御苦労で退職なそうであるが、いい答弁を聞かせてもらいたいのであるけれども、個人的な見解でいいのであるけれども、岩手の農業団体が困る、農業が困る、農民が困るといった場合、県は知らぬふりができるかできないか、その辺をお伺いする。

〇佐藤農政部長 まさに農家が具体的に負担をするといったようなことになるということは大変困ることだと考えておるが、この住専問題についてはどういう形で具体的になってくるのか、現在のところ想定しかねるというふうに思っておる。

〇藤沢農業経済課長 農協法においては、行政庁による検査、報告、聴取、農協に係る指導について規定しておるが、93条では、法令、定款等の遵守状況等を承知するため、報告聴取権という権利がある。それから、94条の2というところで、法令、定款等に違反する疑いがあると認めるときは認定検査権という権利がある。95条の1項というところで、法令、定款等に違反すると認められるときは必要措置命令権というものがある。さらに、95条の2で、必要措置命令に従わない場合は業務停止命令と、そういう権利がある。

〇佐々木(俊)委員 住専ではない。住専は言いたいことがたくさんあるけれども、これはおいて、菊池委員の方で先ほど昨年の稲作についてお話があった。それに関連する。
 まさに鳴り物入りで昨年宣伝をし、推奨したかけはし。ゆめさんさは成功したようであるけれども、かけはしは大変な事態になった。これはせっかく沖繩まで行ってつくってきたものであるから、県の名誉にかけても、また、信頼を得るためにも成功させなければならないと、私はそう思うのであるが、ことし、ある一部の地域で聞いたのであるが、希望者がないという地域があるらしいが、全体的にはどうなのであろうか。もしそういう事態があるとすれば、県はどういうようにこれを推奨しようというか、助成はどうであろうか、促進しようとされておるのか。現況と考え方をひとつ教えていただけないか。

〇菊池農蚕課長 かけはしについてのお尋ねであるけれども、かけはしというのは、県中北部向けのというか、耐冷性が非常にある。それから大口の引き合いも強いというところで、これからの米として新食糧法下で産地間競争の中でやっていくには非常に有利なというか、そういう品種であるので、ぜひこれらを作付拡大していきたいということで、私も適地の市町村あるいは農協を回って、そういった特性というか、あるいは引き合い状態というか、そういうことについて説明をしながら作付推進に努めてきたところである。その結果、そういったところの指導者というか、トップの方々にはそういった点をよく御理解をいただいたものと思っておるし、これからはこの地域でこれでなくちゃならぬということもお話をいただいておる。その後、現地における座談会であるとか、あるいは農家直接のやりとりというか、そういうものが行われていくわけであるけれども、そういう段階で、地域では既に申し込んであったほかの品種と種を交換するという動きも出てきておる。市町村によって動きはさまざまかと思うけれども、そういった反応もあるので、今、播種直前までそういった推進に努力してまいりたいと思っておる。ただ、面積的なことについては、まだもう少し頑張って、その後に出てくると思っておるので、御了承いただきたい。

〇佐々木(俊)委員 そうか、聞き間違いとは私は思わない。現実に農協の役員の方々は頭を抱えていた。県からはやれやれと言われる、農民から申し込みはない、困ったものだと。ところが、やっぱり農民の方はさかしいから、県の言うのはまあ大体当たらないだろうと。過去の例から言って、昨年もだまされたと。確かに気象が悪かったと言えばそれまでであるが、農民も非常に困りながらも、また組合の役員の人たちにも勧められるし、県の顔もあるだろうとは言いながら、しぶしぶあるいは転換しているかもしれないけれども、甘いものではないと私は思っておるし、しかもこれは県が推奨したのであるから、しかも沖繩とのかけ橋だと言っているのであるから、かけ橋が壊れたら沖繩に対して申しわけないわけであるから、ゆめさんさはまあいいとして、そういうことで、私は今の課長の答弁ちょっと甘いなという感じを持つが、確信はあるか、今のお話。

〇菊池農蚕課長 そういうすぐれた特性を持っているということについては御理解をいただいて、そういう面で一生懸命やっているというか、ただ、その御理解をいただきながらも、お話のように農家との間、あるいはいもち病に罹病したというか、そういう農家の方々は、そのままそれではやろうという、そういうふうに簡単にはいかないという実態もあろうかと思う。ただ、そういうものを勧める場合には、地域全体での話し合いをしながら、団地的につくり、また、団地的に防除するということで対処していくというか、そういうことでもってやっていただければと思っていろいろ防除の指導とか、そういうものについてもお話をし、あるいはこれから対策を講じて指導していくということで努めておる。

〇水上副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩する。
   午後3時7分 休 憩
   午後3時23分 再 開

〇那須川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。 
 委員の皆さんに一言申し上げる。午後の質問者が多数あるので、ひとつ質問は御簡潔にお願いを申し上げ、議事進行に御協力をいただきたいと思うし、執行部の皆さんの御答弁もひとつ御簡潔にお願い申し上げる。
 それでは、農政部関係の質疑を続行する。

〇千葉(浩)委員 4点ほど質問させていただく。
 まず最初に、新生産調整推進対策ということについてお伺いをしたいと思う。
 この転作目標面積の達成見込みについてであるが、昨年は転作の目標面積はどうしても達成しなければならないということで、田植え後にトラクターで苗を踏みつぶすというようなこともあって、農業者の気持ちからすれば全く異常な事態もあったが、本年は絶対にそういうことのないようにひとつお願いしたいと思う。そのためには、現在の取り組み状況を随時把握していると思うんであるが、集落間なりあるいは市町村間なりの調整を図って、きめ細かい対策を進めていくべきだというふうにも思うが、県はどのような現在まで指導しているのか。また、現時点でどのようにこの減反問題を把握しているか、現況をひとつお聞かせ願いたいと思う。

〇佐藤農政部長 生産調整の実施状況についてであるけれども、県は国からガイドラインとして平成8年に取り組むべき生産調整対象面積の配分があったと同時に、昨年の12月14日に市町村に対して市町村別の生産調整対象水田面積のガイドラインとして配分をしたところである。その後、2月時点で46市町村において農家ごとにその数字の提示を行った。また、その残りの市町村においても3月上旬には行うということであって、既に昨年のこの対策の進捗状況から見ても、市町村段階での取り組みが早く進行していると見ておる。市町村段階においては集落ごとに座談会を開いて、とも補償への取り組みなりあるいは農家間、集落間でのその面積の調整ということを現在取り組んでおって、そういうことが終わった段階でさらにその実態把握をしてまいりたいと思うが、昨年のような転作の実施が危ぶまれるというところで大変農家に御迷惑をおかけしたということがあったが、本年はそういうことのないよう円滑な推進に努めてまいりたい。こういうふうに思っておる。

〇千葉(浩)委員 ぜひそういうことでお願いしたいと思う。その中で今、部長からもお話があったが、このとも補償制度、このことについて質問していきたいと思う。
 このとも補償制度というのは、国も新生産調整の重点対策として打ち出しているわけであるが、単に転作面積をただ消化するということでなく、それぞれの集落において農家の理解と協力のもとに新しい営農体制をつくるという観点から、極めて私は大事なことだと思っておる。私、さきの決算委員会でもこの問題を取り上げて、この内容についてお伺いしたのであるが、このとも補償制度の取り組み状況はどうなっておるかお伺いしたいと思うし、また、転作に関連して伺うが、転作作物の作付に当たっては、面積を割り当てられたからといってその場しのぎの姿勢づくりと申すか、そういうものではならないと私は思うんであるが、農業者がみずからの経営基盤を確立するんだという意欲を持って取り組むべきものだと思っておる。したがって、行政はこれからの本県農業のあるべき方向に誘導する強い指導力というものが問われると私は思っておる。したがって、この点について県のこの指導方針、とも補償に対する具体策についてまずお伺いをしたいと思う。

〇佐藤農政部長 とも補償についての取り組みについてであるが、現在このとも補償については県内55市町村でとも補償に取り組んでいるということであって、そのうち39市町村では管内行政区全域について取り組んでいる。その残りの16市町村ではその市町村の中の一部地域で取り組んでいるという実態である。これはいずれ農家の参加率によって取り組みが違ってまいって、例えば沿岸地域のように飯米農家が多くて、その農家では転作を実施していないということになると、稲作農家全体に対する転作農家の割合が率が下がってくるということで、そういう制約があって取り組めないでいるというところもあるが、いずれこれまでにないぐらいにそうした互助制度を仕組んだ形でのとも補償に取り組んでいるという状況がある。このとも補償の取り組みに当たっては、お話があったようにできるだけその地域で集落内で農家の皆さん方に話し合っていただいて、合意形成を図りながら、将来とも稲作の面積を確保して取り組みたいという農家と、転作を含めて稲作複合経営という形で取り組もうとする農家という形で、それぞれの施行に合わせてその転作が活用されていくということが望ましいわけであるので、このとも補償のグループの中でもそういう取り組みを今後推進してまいりたいと存じておる。
 それから、転作の取り組みについてであるが、申し上げたように転作に取り組む農家においては、できるだけその作物の選択に当たっては、その農家の経営にプラスになるような高収益作物を取り組んでいただく。そういうことで稲作に匹敵する、あるいはそれ以上の所得が確保できるような経営として定着していくようにすべきだということで考えておって、県としてはそうした転作の取り組みについて、新生産調整推進対策実施の手引というものを作成して、地元の市町村、農協の指導者、そして県農業改良普及センターの職員に渡して、それに基づいた指導を行っておる。いずれそういうことでこの転作を契機にして、将来とも永続するような、そして収益の高いような農業の形成に裨益していけるように推進してまいりたいと存じておる。

〇千葉(浩)委員 今、説明あったわけであるが、今回の予算の中にもとも補償定着化推進事業費補助ということで7、500万であるか、3分の1という補助が計上されているわけであるが、この内容についてどういう、いろいろの要件があるやに私もちょっと聞いているんであるが、その要件というものがその農家に対してすぐ受け入れられるような要件なのか、その中身について、内容についてどういうことがあるのか。そして、県が3分の1、あるいは農協であるとか、あるいは市町村であるとか、そういうところの負担もあるのかないのか、補助制度があるのかないのか、その辺の内容についてもちょっとお聞かせ願いたい。

〇菊池農蚕課長 とも補償定着化推進事業についてであるけれども、県単独としての事業であるが、この事業の要件としては、とも補償に係る国庫のとも補償事業、これをまず実施しているということであるし、2番目には、受け手組織がその計画区域ごと、あるいは計画区域の中の推進地区ごとに組織されている。受け手組織、これが組織されていること。それから、とも補償区域を単位に造成されたこの事業独自の会計として経理されていること、それから事業費の3分の2以上が計画地区に存する市町村及び農協から拠出されているとか、管理運営規定が整備されているとかといったような基金の設置要件、こういったものがある。こういったものを満たしていただいてこの事業に取り組んでいただきたいということであるし、この事業の使途というか、そういうものについては地域の話し合いで決めていただくこととする考えであるけれども、受け手農家の研修等の組織活動であるとか、転作の条件整備といったようなものの経費に充てていただくように指導していきたいと思っておる。

〇千葉(浩)委員 私もなかなか飲み込めないんであれなんであるが、ぜひ農家の皆さんがわかるように、ひとつできるだけ指導していただきたいということを要望で申し上げておく。
 それから、この問題について最後であるが、今、県内各地で大圃場、大区画の圃場整備、これが急ピッチで今、進められておる。大変結構なことだと思うんであるが、私の水沢管内でも真城地区というところで現在工事が進められておるし、また、新たに姉体地区で9年度着工することになっておる。非常にこれからの時代に新しい稲作農業の姿が見えてきつつあると私は思っておる。そういう中で基盤整備をしても旧態依然の営農方法と申すか、何と申すか、担い手の育成、そういうものを基本とした整備の効果が十分に生かされるような生産の仕組みに、私は変えていかなければならないじゃないかというような気がする。この圃場整備の地区の集まり等に私も何回か顔を出していろいろお話を聞いてまいったし、いろいろな激励もしてきたことがあるんであるが、なかなか一朝一夕に話がまとまらないという問題もある。相当行政の強力な支援が、指導が必要になってきておると思っておる。したがって、県はこうした圃場整備地区における生産の仕組み、どのような体制でこれからそういう地域というものを支援、指導しようとしておるのか、お伺いをする。

〇佐々木地域農政推進監 圃場整備の推進は、お話があったように担い手に農地を集積しながら、新しい生産の仕組みをつくっていく絶好のチャンスであると思っておって、県においても圃場整備に伴う換地処分の際に作業の効率がよくなるような農地の集団化ということであるとか、あるいは労働力の不足、農地を借り入れたり、あるいは農作業を受託したり、そういう形で担い手の規模拡大を促進することとしておる。こうした観点から圃場整備地区を対象として県段階、それから地方段階それぞれに関係機関、団体で協議会を組織しておって、その中にさらに支援チームを置いて、圃場整備の目的に沿った農地の集積により生産性の高い営農の仕組みづくりができるような、そういう指導を重点的に行っているところである。
 また、こうした農地の集積については、岩手県農地管理開発公社、これは県の合理化法人ということになっておるけれども、ここで農地の出し手と受け手の仲介なりあっせんを行う農地保有合理化事業というものをやっているわけであるけれども、この事業の積極的な推進を図るためにこの4月から農地管理開発公社に、現在仮称であるけれども地方推進室を設置することにしておって、さらにその大区画圃場整備が進んでおる県内5カ所、紫波町、石鳥谷町、花巻市、水沢市、さらに川崎村であるけれども、この5市町村に専門の地方駐在員を設置して、さらに濃密な指導をしていくこととしておる。

〇千葉(浩)委員 ぜひひとつ期待もしているので、この専任地方駐在員であるか、ぜひひとつ積極的に指導をお願いしたい。相談に応じてもらいたいと思っておる。
 最後である。地方卸売市場の再整備の問題についてお尋ねをする。
 卸売市場であるが、青果物あるいは魚など、我々県民が消費する生鮮食料品の安定的供給には非常になくてはならない機能であって、ただ、近年、非常に大型店の産地との直接取引等があって、卸売市場を経由しないいわゆる市場外流通と申すか、そういうのが非常に増加して、バブル経済の崩壊などの影響もあって取扱量そのものが減少の傾向にあるわけであって、全国的に市場の経営というものが非常に厳しくなってきておると言われておる。こういう中で本県においては水沢市、北上、花巻という3つの魚市場、昨年8月に各会社の株主総会等の承認を得て合併に動き出したということであるが、聞くというと公正取引委員会において合併の事前審査というものが行われたと聞いておるわけであるが、そういう審査結果はどうなっておるであろうか。
 また、この3つの合併の新会社が設立する時期であるが、いつ新市場の建設をやるのか。そして、3つが一緒になるわけであるから場所等があると思うんであるが、その場所等の見通しはどうなっておるか、あわせてお聞かせ願いたいと思うし、それからこの3地区ばかりでなく岩手県全体の地方の卸売全体についてもどういうお考えであるか、ひとつお聞かせ願いたいと思う。

〇藤沢農業経済課長 委員御指摘の地方卸売市場、株式会社水沢魚市場ほか2社の水産市場の合併であるが、近年、流通ルートの多様化によって取扱量が減少するなど、市場を取り巻く環境の変化に対処して、市場が管理部門の合理化や商品の調達力の向上、こういうことを目指して体質強化をするということで、3社が自発的な合併をしたいということである。この合併に当たっては昨年8月以来公正取引委員会の事前審査を受けてまいった。その審査が最近終わって、2月29日に公正取引委員会の届け出が受理されたと伺っておる。今後は県の卸売市場条例に基づいて、市場開設者として県知事の合併承認を得る必要があるが、4月にはその承認の申請がなされるのではないかと、そう思っておる。
 また、新しい市場については平成10年度を目途に開設したいと、そういう意向と伺っておる。
 今後における地方卸売市場全体の再編計画については、今、国の卸売市場整備基本方針というものが審議されておって、それに基づいて平成3年度に策定した第5次の岩手県卸売市場整備計画を平成8年度に見直すということになっておる。現在、県内の水産市場は19カ所、それから青果市場9カ所などの施設の近代化あるいは経営の合理化、これを一層促進するために市場関係者などの意見を十分聞いて、岩手県農政審議会での審議を経た上で第6次計画として策定する。そして、県内市場の再編整備を推進してまいりたいと、そう思っておる。

〇千葉(浩)委員 場所等が御答弁できるかできないか私わからないが、わかっているなら教えていただきたい。

〇藤沢農業経済課長 会社としては希望地があるようであるけれども、必ずしも条件がいろいろ整っておらないようであって、ここで公表は差し控えたいと思う。

〇村田委員 それでは、事業費目のテーマごとにずっと羅列的に御質問申し上げるので、お漏らしのないようにメモの上、お答えをいただきたいと思う。
 まず、農作物対策費であるが、岩手オリジナル水稲品種の開発、そして安定生産緊急対策の事業が行われるわけであるが、合計9、000万ほどになっておるが、このオリジナル水稲品種のうちのかけはしの問題が先ほど出たが、先般、生物工学研究所へ行ってみるというと、いもちに非常に強い体質のかけはしにしていきたいということをテーマにして、既に相当フラスコの中で伸びているのを見てまいったわけであるが、大変な取り組みだと、こう思うわけであるが、ぜひひとつこれの成功を期待したい。
 あわせて、酒米の新品種についてお伺いしたいと思う。
次には、北上山系の開発費であるが、北上山系に参加した畜産農家が平成4年、5年のあたりに議会において大変討議が行われたところであるが、その後の大型固定化負債を抱えた畜産農家の動向、もう生産を放棄したというような方がおったのか。そしてまた、その後、県の指導によって長期低利の資金に乗りかえをするということなど、一生懸命やったようにお聞きしておるけれども、それの効果といおうか、それの成果はどのようになっているであろう。
 そしてまた次に、当時の奥羽山系で開発した農用地開発公団にかかわった事業で、公共牧野が相当開発されておるわけであるが、遠野、宮守、葛巻、それから大迫もそうであるが、いずれその経営の実態はどうなっておるだろうか。そして、その当時の農地管理公社が一時地域の牧野を預かって、そして10カ年その賃借料を払っていただいたということがあったであろうが、それらの農地管理公社が今まで関与してきた部分、そしてまた、その後それが完全に地元に所有権が移転になって、自前で経営をしておるというような実態もあるだろうと思うんであるが、その辺がおわかりだったらお知らせをいただきたいと思う。
 そして、もう1つは、中山間地域との連携によって開発された奥羽山系にしろ北上山系にしろ、すべては海抜六、七百メートル以上の国有林とか山地であった。いわゆる山間地帯であった。そこが緑濃き牧野になった。大変景観的にもすばらしい岩手ならではの景観である。先ほども当局の1つの案として出たが、中山間の対応として新しい産業観光と申そうか、そういう人間の営み、あるいは動物の営みと接触させるということは、大変当県にとって特殊な、特異な1つの観光分野ではないだろうか。その辺のことをもっと積極的に地域のじっちゃん、かっちゃんの方々も参加して山菜とかキノコとか、あるいは食文化の提供というような多面的な展開を図ることについては、確かにこれは今までの畜産行政というものと林業行政というものと、中山間地域の取り組みというものの三位一体ということになるのではないだろうか。その辺はひとつ農政部長の御意見をお聞きしたいと思うが、以上お願いする。

〇佐藤農政部長 北上山系等で開発された牧草地、草地を景観的な見方で利用したらいかがかというお話だったと思っておるが、まさに県内の、特に北上山地の標高の高いところで草地が開発されておるし、そういうものについては大半が畜産利用されておる。そういう草地開発と一緒にその周辺地域に対する交流する保全用の山地もあるので、そういうものの一体とした景観はすばらしいものがあると思っておる。最近そういうことをこの地域の方々、あるいは都市の生活者にそういう景観を見てもらいながら、安らぎの場として利用していただこうという形で、畜産サイドにもそういうことを促進する事業が出てまいっておるので、地域の要請にこたえながらそういう御希望のある地域についてはそうした事業も導入しながら、草地の多面的な利用を図ってまいりたいと考えておる。

〇佐々木地域農政推進監 北上山系入植農家のその後の動向についてであるけれども、入植タイプとそれから増反タイプと大きく2つあるわけであるけれども、問題になっているのは入植タイプであって、その入植農家は19戸あった。その中で残念ながら現在3戸が経営を中止しておる。事故で御主人が亡くなったとか、いろんな事情があって3戸経営を中止しておって、現在16戸営農を継続しているわけであるけれども、これらの農家についてこれまでもいろんな形で関係の町なり団体と一緒になって対策を講じてきたわけであるけれども、酪農情勢の悪化によって残念ながら負債額は入植当時よりも逆にふえている状況にある。これでは大変だということで、今年度新たに新しく事業を起こして、その事業の内容は端的に申し上げると、県と関係の町と農業団体の三者でその借りている制度資金を全部無利子にしてやるという、対策としては抜本的な対策だと思っているけれども、その対策を講じておるし、それから入植農家にも経営改善努力、一生懸命やっていただかなければならないということで、マン・ツー・マン方式で指導ができるようにアドバイザーを派遣して濃密指導をすることにしておって、こういう対策を通じて早期に経営改善が図られるように、これからも関係団体と一緒になって総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておる。

〇菊池農蚕課長 酒米の品種開発についてであるけれども、県内の酒造業者からは、県内屈指の杜氏、おいしい水、あるいはトヨニシキ、かけはしといったような掛け米がそろっているということで、さらに商品価値を高めるために本県オリジナルの酒造好適米を求める声が強くなっておる。こういうものをそろえて岩手県のオリジナルというか、そういう酒をつくるというか、そういう要望が非常に強くなっておる。県としては農業試験場において県独自の酒造好適米の開発に取り組んできておるが、生産面から見て有望と思われる数系統が育成されてきているところである。お話のように酒造好適米については品種の要因のほかに、いろいろ栽培特性、品質あるいは酒造適性といったようなものがあると思うけれども、これから工業技術センター、酒造業界、そういうようなものと連携をとった早期開発に向けた努力をしていきたいと考えておる。

〇菊地畜産課長 公共牧場の運営状況であるが、御質問の農用地開発公団がかかわった牧場だけについての資料はちょっと手元にないので一般論で申し上げたいと思う。
 現在、運営されておる公共放牧場は151牧場となっておる。その中で、いわゆる赤字になっておるというのは47牧場である。なお、この47牧場以外でも地方競馬全国協会の補助金、あるいは市町村の助成等の補助金を含まなければ赤字牧場は130、約8割が赤字ということになっておる。それら大変な状況にあるが、これの主な原因は放牧頭数の減少にある。最近では平成3年度の利用率84%が最高であるが、5年度に至っては68%の利用率となっておる。したがって、県としてはこれからは、特に肉用牛については放牧が低コストの切り札というか、そういうように考えておるので、農家の皆様方にはそういうようなことで宣伝をして、より放牧をしていただきたいというように思っておるし、また非常に利用しづらい牧場等もあるので、振興局単位ぐらいに品種別あるいは用途別に再編をして、市町村を超えた広域利用をして、牧場の経営状況を改善したいというように思っておる。

〇村田委員 かけはしの生物工学研究における開発研究等の取り組み状況は御承知じゃないであろうか。もしもその後の経過がわかったら。いもちに強い対策を一生懸命研究しているようである。

〇佐藤農政部長 お話があったように、かけはしに対していもち病の抵抗性を付与するということで、生物工学研究所で遺伝子組みかえを実施しておるが、それについてはその遺伝子組みかえによる個体が植物体として成長しているという段階であって、それをさらに成育を何世代か繰り返して、特に閉鎖系において外気等を遮断した閉鎖系の温室でまずその遺伝子的な安定性、それから耐病性が確実に発揮できるような構造になっているかといったようなことの検定を重ねながら、また開放系の方の栽培試験の方へ持っていくといったような手順を踏んでいくことになるが、その最初の段階であると思っておる。

〇村田委員 非常に突発的に拝見したものであるし、一方的に説明を聞いただけで全然わからないが、ただ、目標だけはそういう体質の強い品種の開発に取り組んでいくという姿を見た。お聞きしてよかったと思うんであるけれども、農政部長、大変その辺は詳しくこれからのプロセスを御説明願ったので、大変私は敬意を表する。よろしくどうぞひとつ御推進を賜りたい。

〇伊沢委員 大分皆さんの方からいろいろ出ていて、農政、本県にとってやっぱり基幹産業なんだなということで、これまでの農政部関係の職員の皆さん含めて敬意を表しながら、1点お伺いをしたいと思う。
 予算に関する説明書156ページに500万という予算が計上されている。がんばるファーマー育成事業ということであるわけであるが、この間、新聞、テレビ等でがんばるファーマーの証の交付式を行ったということで、7年度事業からスタートしたと伺っているわけであるけれども、こういう記事が出ており大変いいことだなと、このように思った。がんばるファーマーの証ということで、農家の方々、元気づけをしながら若い人も含めた育成策、こういうことでいいと思うんである。最もがんばるファーマーをやりたいなと思うのは、先ほど元気に言った菊池勲委員ではないかなと、こう思うわけであるけれども、県としてこれまでの発想と違った、言ってみればユニークな事業だと思っているわけである。この事業の趣旨なり全体の考え方についてお伺いをしたいと思って質問に立った。よろしくお願いする。

〇佐々木地域農政推進監 がんばるファーマーの育成事業についてであるけれども、今、農業はいろんな面で課題を抱えておるわけであるけれども、こうした中でもそれぞれの地域地域において、多くの農業者が農業に不安を持ちながらも、自分の経営なりあるいは地域農業の確立に懸命に頑張っておられるところである。県としては、こうした方々の熱意というものを大切にしながら、一緒になって本県農業を振興していく必要があると考えて、これから農業で頑張ろうとする農業者を手挙げ方式で、こっちから指名するとかということじゃなくて、手挙げ方式で募って、知事から、ぜひ農業で頑張っていただきたいという意味のがんばるファーマーの証を贈ることとしたものであるが、これは言うなれば本県農業の担い手の基盤づくり運動のねらいを持つものだと思っておる。この事業は今年度から3カ年間の予定で進めているものであるが、今年度5、000戸、それから来年度も5、000戸、そして3カ年全体で、実は県の農業計画で主業型農家の育成目標を1万5、000戸としているわけであるけれども、そういう意味で3年間に1万5、000戸の方に手を挙げていただいて、農業で頑張っていくという気持ちも示していただきたいと期待しているものである。

〇伊沢委員 わかった。大変これまでとは違うという意味で敬意を表するわけであるが、予算書を見ていくと、いろんなところで担い手育成策、先ほども御質問が出たけれども、農地を含めて担い手がやりやすいような方向ということで、新農法にのっとった形での農地の集約化、そういうこともやっている。その他の事業でも多くの担い手育成策がこれまであったと思うわけである。これまで目標に掲げた事業がどのような推移のもとで今あるのか。いわゆる事業として推進をさせてきたものがうまくいっているなとか、いや、まだまだ足りないなとか、そういう部分で御所見があればちょっとお伺いをしたいわけである。

〇藤巻農村振興課長 農業の担い手対策の今までの成果というようなことであるけれども、担い手対策の、担い手の育成関係というのは簡単にはできないということはそのとおりであるけれども、私たち普及センターを通じて、年代とか経営の発展段階に応じて指導するというふうにしておる。特にも今、普及センターの方には経営担い手育成班を設置しておるし、あとは岩手県農業担い手育成基金というものをつくって、この基金は今20億ということで造成されておるけれども、その基金を通じて就農相談活動あるいは研修、あるいは就農支援資金の融資というようなことで今、盛んにやっておるというところである。その結果であるけれども、例えば平成7年度中であるけれども、非農家から就農相談ということで37件ほどの相談あって、そのうち県内に就農したというのが今12件、今、盛んに研修しているのもあるけれども12件ほど決まっておる。そのほかにも、これ時代の流れということもあるかもしれないけれども、Uターンして農業につきたいという人たちがおって、それがここ数年どんどんふえておるという状況にある。それらが今までの成果の1つじゃないかと見ておる。
 あとは今後であるけれども、青年ばかりじゃなくていわゆる主業型農家ということであるけれども、先ほど来出ておるとおり、今後の目標として1万5、000戸育成するということになっておるので、これからも主業型農家の予備軍というようなところであるが、収益性の高い野菜、花というようなものを積極的に導入するということで、何とか目標達成に努力していきたいと思っておる。

〇伊沢委員 実はことしの1月に県政調査会で大変いい話を聞かせていただいたわけである。ここの場所だったんであるが、今村奈良臣さんの御講演を聞かせていただいた。21世紀農業は花形産業、こういうことを言っている。この方、冒頭にお話ししたのは、いろんな市町村長さんとか農協の方々が新年度というか、新しいときにごあいさつをする。農業を取り巻く状況は大変厳しいものがある。先ほど佐藤部長もそういうことからお話をされたわけであるが、厳しい状況がある。こういう中で若い人がじゃ農業についてくるかということから、この方は何か1年ほど前から21世紀農業は花形産業だ、こういうことで地域で青年塾を開いたり、声をかけられて開いたりやっている。年間の生涯賃金を考えていってもサラリーマンと同等、もしくはそれ以上のものがとれる。こういうような部分。食料危機含めて将来の部分がある。こういうことで熱っぽく語られたのが私、印象に残っているわけである。ひっくり返すと、先ほど小原委員が普及センターの普及員の方々の活動を含めて状況をお伺いをした。生改さんも含めて農村全体が活力あるような形を1つ1つやりながら、担い手育成策というのは育てていかないと難しいのかなという気も持っているわけである。そういった意味で岩手県、本当にいろんな作物類から見ると上位を占めている。1位もあるし、2位、3位というところいっぱいあるわけであるので、ぜひ農政部の皆さんにそういった部分、岩手の農業は21世紀花が咲く、花形産業だということで新年度を迎えるわけであるけれども、8年度から元気を出してやっていただきたいなということを御要望申し上げて終わる。

〇千葉(伝)委員 まず最初に、県の農政の推進に当たって、県内全域で諸施策を展開し努力をいただいておることに敬意を表するものである。米の関係については、今年度事業において県単のオリジナル品種、かけはしの普及拡大のための助成措置等も講じられているようであって、地域住民にかわって感謝申し上げる次第である。先ほどかけはしについてはいろいろ質疑があって、まだまだ県あるいは地域においてもこれは努力してまいらなければならない問題だと考える。それで、私からは、いろいろ農業関係あるわけであるが、県北畑作地帯における野菜振興策についてお伺いしたいと思う。
 まず、第1点であるが、県北畑作地帯における野菜振興の基本的な対策についてお伺いする。
 県北地域は従前から葉たばこや野菜などを主体とした畑作地帯である。野菜についても他の農産物同様に輸入が増大している状況にあるが、国内の市場や消費者から国内の安定的な生産について強い需要があると聞いておる。このような需要にこたえることはもちろんであるが、地域内の農家の所得拡大と安定のために、ぜひとも収益性の高い野菜など園芸品目の拡大と安定を図っていかなければならないと考えるものである。県においては、この1月末に県の農政審議会の知事の答申の中で、第3次新いわて農業確立計画後期計画という基本方向も出されているようであるが、それに関連してこの県北地域の野菜生産について、ほかの地域からは経験等の蓄積があるわけであるけれども、担い手不足あるいは高齢化の問題を抱えているということは、ほかの地域と同様である。生産基盤の整備についてもまだまだ十分ではない状況にある。そこで、このようないろいろな課題を抱える中で、難しい問題ではあるが県北地域の野菜の生産振興についてどのように進めていくのか、まずお伺いしたいと思う。

〇佐藤農政部長 県北地域の野菜の振興についてであるが、県北地域については、御案内のように本県の中でも畑作地帯として位置づけられている地域であって、この地域の農業の振興を図っていくというためには、何といってもその畑地を高度に利用した農業の姿に持っていくということが大事なことだと考えておる。したがって、この地域において野菜なりあるいは果樹なりといったような園芸部門を中心にして取り組んでいきたい。そういうことをしながら地域の農業の再編を図っていきたいと考えておる。既に御案内のように畜産が相当密度を高く入っているわけであるけれども、さらにそういう収益性の高い作物を加えていきながら、地域全体の底上げを図っていく必要があると考えておる。この地域については、既に地域によっては、例えば奥中山地域のレタス栽培といったようなことで全国にも注目される産地が形成されてきておるが、そうした産地の形成をほかの地域の方に波及させていくような指導を強めてまいりたいと考えておる。特に高標高地帯においては、夏、冷涼な気象を持っているということであるから、その気象を十分に活用して、平場地域あるいは西南団地では栽培できない夏のような時期に、いわゆる高冷地野菜として栽培し、特産化を図っていくということをねらい目にして推進をしているところである。 さらに、御案内のように、野菜は労働集約的な作物であって、まさに手のかかる作物であるので、そういう面で何としてもその産地化を図っていくためには労働対策をしていくということが必要であるので、できる限り栽培の中に機械を取り入れた形式を普及していくということが必要であるし、また、まだまだ手作業による選別等もあるので、その点は婦人労働なり高齢者の労働も十分活用できると思っておるので、そういう方々の組織化を図りながら、そういう作業に参加していただいて、地域全体として野菜生産に取り組むといったような方式も考えてまいりたい。また、その地域には低利用の農地も多分にあるので、そういうことについては現在既に大規模野菜産地育成という視点でもって対策事業に取り組んでいるところである。いずれこうしたことを推進しながら、この県北地域に野菜の産地をさらに拡大してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 今、部長の畑作における基本方向として種々出たわけであるけれども、私も県北のその畑作地帯という地域におるわけであるけれども、そういったやり方については同感であるし、大いに推進すべきものと考えるわけであるが、その中で特にも農業基盤整備といった中での機械化も含めてこれから考えなければならないということであるが、それを進めていくには機械だけ入れるというわけにはまいらない。というのは、その機械を入れるためには農道等の整備も同時に必要になってくるんじゃないかなと思う。そういったことで今後の推進に当たっては県あるいは地域の団体、それから生産者組織、そういった段階でこれから緊密な連携を図りながら進めていただきたいと思う次第である。 その次は、県において、先ほど私、触れたわけであるが、農政審議会においての答申に基づいて年度内にこの新しい計画を策定するということのように伺っておるわけであるが、この審議会の答申というものの数値目標というものが出ているわけである。そういったことでこの数値目標を基本的に変更することがあるかないか、その辺をお伺いしたいと思う。

〇佐藤農政部長 野菜の位置づけについては、先ほど申し上げたようにこれからの、特に畑作地域の重点品目として、地域の農業再編を推進する目玉作目として進めていきたいということで、今度の第3次新いわて農業確立計画後期推進計画においても位置づけをして、野菜の相当の伸びを図っていくという計画にしておって、その計画については具体的に今後策定という形になるわけであるけれども、それをそのまま計画として持ってまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 そこで、この審議会に出ておる答申を見ると、第1番目は、現状を平成5年に置いて目標を平成12年ということで、この平成8年度から5年後の目標を立てているわけである。その中では全体としてこの作物別の農業総生産額という目標が、現在平成5年を現状として3、430億余りなわけであるが、目標の平成12年には4、200億余りということで、現在より122%全体で上げていこうという計画になっているわけである。その中で1番目が畜産が今後1、500億、2番目が米の1、280億余り、それから3番目として園芸作物として1、000億余り、そういったことで目標が出ているわけであるが、その中でこの伸び率を見ると、畜産が109%、それから米が106%、そして園芸作物が174%を見込んでいるということになるわけである。ほかの農業の中での米、畜産というのがこれから持続する形になろうかと思うが、その園芸作物をこれから174%今後5年間でその目標を達成していこうという計画なわけである。そういった意味で今年度の畑作振興費が23億余り計上されておるが、今後の畑作振興を図っていくにはこの5年間で174%を確保する。いわゆるその実現をしていくということであるので、よっぽど腰を据えてこの振興策を図っていかなければ、机上の計画というようなことにならないようなことで今後進めていただきたいと思う。これはぜひ県北地域もであるし、県全体の農業をどういうふうに持っていくかといったその推進策のかなり重要な品目と思っておるので、ぜひよろしくお願いしたいと思う。
 それから次に、この畑作振興を進めていく上で、産地間競争に対応した野菜の出荷、販売対策ということでお伺いしたいと思う。
 農家が野菜の生産拡大をしようとするとき、その不安材料というのは野菜生産が気候の影響を受けやすい。あるいは生産が不安定だということで、このことが結局価格的に影響するということになるわけである。そういった意味で他産地との競争ということも当然これはこれからもますます激しくなってくると思うわけである。特に本県の場合、大消費地から遠隔地にある、また、長野あるいは北海道ということに比較して量的にまだまだかなわないというようなことで、その競争力においても不安があるんじゃないかと考える。今後、野菜の振興を積極的に進めていくための産地間競争に対応した出荷、販売対策というものを、先ほどの第1点の振興策に絡んでくると思うんであるが、どのように進めていくのかをお伺いしたいと思う。

〇佐藤農政部長 本県の野菜の出荷販売対策についてであるが、この野菜については、何といっても市場流通がまだまだ主流をなしておって、市場においての本県産野菜の評価を高めていくということがまず大事であると考えておる。そのためには、まず1つには、市場に対して県産物が安定して供給されていくということが基本的に大事なことであるので、そういう点からも何とか産地を拡大し、量を拡大しながら長期間供給していくということをまず考えてまいりたいと思っておる。それともう1つは、同じ品目でも1地域だけで出荷するとそういう長期出荷ということの対応にならないので、1品目についても標高差を利用して、平場から標高の高い高標高地域まで時期をずらして栽培して、長期出荷するといったような戦略も考えてまいりたいと思っておる。また、その生産物を新鮮なまま消費地に供給していくということのためには、生産地において収穫後の予冷保鮮といったような処理もしながら、輸送中の鮮度落ちということのないような輸送方法をとるということで、庭先から消費地までそういう鮮度の落ちないまま供給するコールドチェーンシステムというか、そういう輸送体系をとっていくということにも団体と一体となって取り組んでいるところである。また、その量、ロットを大きくするということで、地域の生産農協が連携をして同じ品目を栽培し供給していくという体制で、数農協が一体となって同一ブランドでもって供給していくということの取り組みも始めておって、いずれこういうことをとりながら本県の野菜の評価を高め、有利販売になるように今後も指導してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 その大消費地に対して長期間安定的に物を送り出すということは重要だということは、まさにそのとおりだと思う。将来的に世界的あるいは日本も食糧難時代が到来するという危機感があるわけであるが、そういったことも含めて、いわゆる戦略的な農業を展開していくということになると、国民の胃袋を相手にする。1人1人の胃袋を取り合うという私は争奪戦だというふうに現状を、今後もそういうことが考えられると思う。そういったことで、今、部長がおっしゃったように、ただ単にとって売るということではなくて、その地域地域に合ったもの、あるいはその標高差を利用した生産、そしてそれが1つの品目において、いつ、どこの、だれが幾ら収穫されるといったことのその考え方、いわゆるその管理システムというのであろうか、種の植え方から始まって、その時期、それからそれを生産する、そして販売するといった段階でそれぞれその時期をずらすという考え方は、今後もますますそういったやり方で安定的な所得を得られるような施策をぜひ望みたいと思うので、そういったきめ細かい指導ということで、農政部というか、県がその地域を包含してリードしていくようなやり方をぜひ進めていただきたいと思う。
 最後に一言、要望かと思うが、先ほど来農業関係で委員の皆さんからいろいろ質疑が集中しておる。それは、結局は農政部に対する期待がかなり大きいということでの質疑だと考えておる。そういったことで、ぜひ今後、農政部においては、先ほど伊沢委員からは元気を出してというような話があったが、農政部自体の活性化を図りながら、地域の農業者に元気を出していただくような施策を強く要望して終わりたいと思う。

〇三河委員 岩手ブランド新需要穀類生産振興事業費に200万円つけていただいた。大変ありがたい。大豆あるいは麦作とプラスすると2、000万余の予算がつけられておるようである。食文化交流プラザがいよいよ今年10月31日から開かれるわけであるが、総論については吉田洋治委員、小原宣良委員が既にただしたところであるので、私は各論で、しかも雑穀についてお伺いをしたいと思う。
 この雑穀、当県の代表する食文化なり産物だと思うわけであるが、これが食文化プラザにおいて占める陳列の状態あるいはその他についてどのように計画されておられるのか、まずお伺いをしたいと思う。

〇藤沢農業経済課長 食文化プラザについては、本年10月31日から11月4日までの5日間で開催されるわけであるが、現在、関係機関団体と準備を取り進めているところで、実行委員会において実施計画を策定しているところである。
 委員御指摘の雑穀の関係については、基本計画においては、岩手の雑穀コーナーということで位置づけしておったが、今回の実施計画においては、岩手の食のいろいろ、あるいは岩手の食の歳時記、岩手おでんせ・おあげんせわが町わが村、こういう具体的な事業の中でストーリー性を持って具体的に取り上げていくことを計画しているものである。基本計画にうたっておった趣旨については実施計画でもそのとおりに実施してまいって、岩手県の食文化の重要な位置づけであると、そう考えておる。

〇三河委員 大変重要視をした形での取り組みをされておることに対して敬意を表する次第である。当委員の中でも13名をもって雑穀の研究会を結成しておる。新需要穀類研究会であるが、この岩手での食文化に取り組むに当たって、滝沢までの街路、国道筋に雑穀を植えて、来る方々にこれが雑穀だと、これがソバだというような形で展示をしてはどうかというのが話されておる。こういう企画については取り上げてもらえるのかどうか。可能性については、あるような感じを受けておる。国道関係の方々に当たっても、いいことだというようなお話を受けている状態であるが、ひとつこれをできれば取り上げていただいて、内外に岩手県の産物を紹介していただきたいと思うわけであるが、所感があったらお聞かせ願いたい。

〇藤沢農業経済課長 沿道に雑穀を植栽するということについては、開催時期が11月上旬ということで、既に気温も低く、霜もおりる時期となっておって、これら雑穀類の栽培時期から見て困難ではないかと、そう思っておるが、会場において標本なり種子なり、パネルの展示だとか、そういう工夫をしながら紹介してまいりたいと、そう考えておる。

〇三河委員 会場に展示という形もよろしいかと思うけれども、どうせ並べるのであれば街路に乾燥したものを並べるとか、ひとつ研究会に任せていただければさように取り計らうというように思うわけである。

〇斉藤委員 それでは、若干項目があるから、簡潔明瞭にお聞きする。
 減反問題について、私、総括質疑でこの問題をお聞きした。78万7、000ヘクタールの減反は米輸入に伴う減反の上乗せではないか、平成5年12月17日の閣議了解に反するのではないかという指摘をした。吉永副知事は、閣議了解は遵守されていると答弁をした。改めてお聞きするけれども、96年、97年の米穀年度の需給見通しでは、96年で49万トン、97年で51万トンの輸入米が主食、加工、備蓄に使われていることが明らかにされている。18万7、000ヘクタールの減反、岩手では去年の指標面積と比べて4、421ヘクタールの上乗せになるけれども、これは輸入のためではないのか。

〇佐藤農政部長 平成8年に取り組む生産調整対象面積についてはお話のような面積がふえておる。ただし、これは国からの説明によると、ミニマムアクセスの受け入れによって増加した分ではないという説明をいただいておるし、その具体的な内容について申し上げると、平成8年の10月末で米の国産米の在庫が220万トンになるということで、これの平年時の備蓄数量は150万トンにしたいということで、その差70万トンについて3年間で減らしたいという計画である。したがって、今回の新生産調整対策においては3年間の事業として目標面積等が設定されておって、この70万トンを3年で毎年2万3、000トンずつ縮減していく。それに相当する面積が4万7、000ヘクタールということである。それで、全国的な数字であるが、米の需給均衡を図るために74万ヘクタールは生産調整を要するとされておって、それにこの4万7、000ヘクタールを加えた78万7、000ヘクタールが今度の生産調整対象面積となっておって、その分について各県配分において面積が増加しているものと考えておる。

〇斉藤委員 それはあくまでも国の建前的な説明であって、農水省の上野事務次官は10月26日の記者会見でこう言っている。輸入米を主食用から完全に外すことはできない。生産調整を考える上で、影響は極力避けるように持っていきたいという気持ちだと。いわば主食用に需給見通しで入っているわけだから、これは輸入に基づく減反ということになるのである。農水省もこれについて答弁不能に陥っている、実際には。ただ、閣議了解があるから表向きそう言えないということで、私が12月の決算で聞いたときには、そうだという部長の答弁だと思うけれども、国の説明に私は全く根拠がないということを指摘しておきたいと思う。
 次に、減反に伴うとも補償と県のかさ上げ補助についてお聞きする。
 とも補償の具体的条件はどうなっているか。各市町村で農業者拠出金が違うようだが、なぜなのか。県のかさ上げ補助は、超過転作面積について10アール当たり7、000円を助成するというものだが、外米輸入のための転作にその超過分に助成するというのは、新食糧法、いわゆる生産も転作も自由、この建前に反するのではないか。かさ上げ分は農家、生産者に助成されるのか、それとも研修などに使われるのか。

〇菊池農蚕課長 とも補償についてであるけれども、具体的な条件はどうかということであるが、国からの助成金、これと農業者の拠出金により農協等に基金を造成して、この基金を通じて生産調整の実施者に対して支出されるものである。農業者からの拠出方法については、農家が保有する水田面積当たりや提示されたガイドライン面積当たりで算出されるなど、これは各市町村においてそれぞれの拠出方法がとられているところである。
 それから、県単事業の部分についてであるが、これは、国のとも補償事業新生産調整推進対策の実施によって、稲作を志向する農家、いわゆる転作の出し手においては作付面積の確保をしていく、あるいは畑作を志向する農家、いわゆる転作の受け手においては、転作を活用した複合経営の定着化を促進するといったような、農業者それぞれの営農志向に応じた農業展開を誘導していくことが重要である。こうした考え方から、県としては、地域において農家間の話し合いを徹底していただいて、転作に円滑に取り組めるよう、特に受け手対策として新たにとも補償定着化推進事業を実施することとしたところである。助成金の使途については、転作の受け手組織で話し合って地域で決定していただくというふうなことに考えておるが、転作の技術の研修、栽培技術の研修であるとか、実証展示あるいは共同利用機械の導入等、あるいはまた、その栽培条件整備に充てるといったような受け手農家の組織的な転作活動が促進されるように指導してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 とも補償について、私、こういうことを聞きたかったのである。とも補償の参加農家率が4分の3以上の場合には国の助成金が10アール当たり2万円、そして3分の2以上の場合には1・2万円だと。結局、とも補償に参加する農家が少なくなれば助成金ももらえない。だから、転作が自由にならないと、半ば強制的になると。私はそういう点で、この取り扱いは本当に農家の自主性に基づくものであればいいけれども、このことによって無理無理減反が強制されるようなことがないように、総括質問の際でも私言ったけれども、そこをぜひ注意をしていただきたい。
 次に、2つまとめてお聞きする。
 農業予算の性格、特徴について、農政部関係の来年度予算は1、010億円余となっている。この半分以上は事実上土木事業となっていると思うけれども、実態はどうであろうか。
 農業土木事業の主な内容についてお知らせいただきたい。
 21世紀型圃場整備事業、県内11地区でやられている。ところが、大変厳しい条件になっている。2ヘクタール連担、基幹3作業、耕地面積の集積が50%以上、これが満たされないと補助金を返還しなければならないという返還義務規定まである。この点で、大変農家が今、混迷を深めているので、具体的な問題についてお聞きする。私どもは3月1日、この問題を農水省交渉で取り上げた。この条件緩和ができないか。これに対して農水省の回答は、弾力的な運用についてはできるだけ政策目標を失わない程度に考えていきたい、こういう答弁であった。弾力的な運用をぜひやっていただきたいと思うけれども、どうなのか。
 第2点、促進費の補助が当初10%だったものが、実際には6・5%程度になっていると聞いている。当初どおり10%上乗せ補助をすべきと思うが、いかがであろうか。県として上乗せをやっているところがあると農水省は言っているが、状況をつかんでいるか。 紫波町の土館地区の事業は98年までには基幹3作業の移行ができないというので三、五年猶予を求めているが、これは猶予されるのであろうか。事業年度途中で工事費が引き上げられ、農家負担がふえた。私はぜひ行動費用等は農家負担からは外し、金利の引き下げ、低金利に借りかえをさせるべきと考えるが、いかがであろうか。

〇佐藤農政部長 まず、農業予算の性格、特徴についてであるが、冒頭申し上げたように、現在、農業農村を取り巻く環境は、御案内のように、ウルグァイ・ラウンド農業合意の実施による国内外の産地間競争なり新食糧法の施行に伴って新たな米管理システムの実施といったようなことで、大変転換期にあると考えておって、そうした中で本県農業の一層の振興を図っていくために、平成8年度の予算編成に当たっては、農業生産なり生活基盤の加速的な整備を推進してまいりたい。それから、地域農業の担い手対策、新しい生産調整の円滑な推進あるいは各種生産流通対策、中山間地域対策といったようなところに特に重点を置いて編成したものである。
 なお、土地改良については農地建設課長の方から答弁させる。

〇渕沢農地建設課長 農地利用集積の要件緩和についてのお尋ねだったわけであるが、この21世紀事業であるが、圃場整備などの生産基盤の整備にあわせて農用地利用集積の促進と担い手の育成を図る、そういうような仕組みである。この事業であるが、基幹3作業、即ち耕起、田植え、刈り取り、そういうようなものが2ヘクタール以上の団地を形成しなければだめだと。そしてまた、担い手農家に対して50%以上集積すると、そういうような、先ほどお尋ねのとおり、私どももかなり厳しいと、こういう感じをしておる。この要件の緩和について、連担性の解釈というようなこと、排水路を挟めば連担性にならないとか、あるいは道路を挟んでいると連担性と認めない、そういうようなことであったけれども、こういうような排水路を挟んだ場合の連担性も認めるなど、国でもだんだん弾力的な運用になってきておって、私どもも今後さらに国の方にさらにこの要件緩和、そういうものも要望してまいりたい、そういうふうに思っておる。
 それから、21世紀型の促進費10%を切っている、そういうお尋ねだったわけである。これは、受益面積の50%以上集積することを条件として10%促進費を交付すると、そういうような制度になっておる。この事業の制度であるが、平成3年度から実施しておって、平成4年度までは9%程度の交付率となっていたわけであるが、平成5年度以降、経済対策あるいは補正予算、ガット対策というようなことで、ハード事業が非常に進んできたわけであるが、それに対する促進費の上乗せ分について追加措置がされなかった、そういうようなことで、現在6%台に落ち込んでいる。そういうようなことで、非常に地元からももっと引き上げてくれと、そういうお話を承っているわけで、県としても、国に農家負担の軽減を図るために促進費の増額を強力に要望してまいりたい、そういうふうに思っておる。
 それから、促進費の県の単独かさ上げ、他県の状況はどうかと、そういうお尋ねだったわけであるが、全国で数県あると、そういうふうに伺っておるが、東北6県ではかさ上げを実施している県がないと、そういう状況にある。地元負担は、ガイドラインを考慮した場合、他の圃場整備事業10%以上の地元負担になっておるわけで、この21世紀事業をセットした場合、促進費の交付を受けられるというようなことで、地元負担はかなり他の圃場整備事業よりも負担軽減がされていると、そう思っておるし、他の圃場整備事業の地元負担との関連、あるいは他県のこういうかさ上げの実施状況から見て、なかなか県として単独にかさ上げするというのは難しい状況にある。
 あと、21世紀事業の土館地区の目標年度の延長というお尋ねだったわけであるが、この地区は平成2年度から7年度までの予定で低コスト大区画圃場整備を実施しておって、追加工事として客土工事などが必要になって、平成8年度の完了予定と、そういうことで進めておるところである。この農地利用集積を図るために、21世紀事業について、ハード事業の完了から3年後の平成11年を目標年度として現在計画変更の手続中だと、そういうことである。今年度の集積状況は、2ヘクタール以上の連担団地で、基幹3作業を受託している要件達成面積が24ヘクタールある。何らかの格好で基幹作業を受託している面積は113ヘクタールあって、地区の70%に及んでおるところである。そういうようなことで、今後平成11年度までに要件達成されるよう、県初め、市町村、土地改良区あるいは関係団体と一体となって指導、支援してまいりたい、そういうふうに思っておる。

〇和美農政企画課長 農業土木事業の主な内容等についてお答えする。
 農政部が所管する農林水産業費1、010億2、000万円余の内訳であるけれども、農業費が362億5、000万円余、それから畜産業費が105億9、000万円余、農地費が541億7、000万円余と、このようになっておる。このうち、農業農村整備関係の公共事業であるが、527億9、000万円余となっておって、約52・2%と、このようになっておる。その主な内容であるが、かんがい排水事業、それから圃場整備事業等の農業生産基盤の整備、それから農業集落排水事業、農村総合整備モデル事業等の農村生活環境の条件整備、それから防災関係として、ため池等整備事業等、多岐にわたっているものである。

〇斉藤委員 今の21世紀事業の件については、私、農業調査で直接農家から要望も聞いたけれども、3条件については農業改良センターにそのとおりの報告を求められていると大変困っておったので、ぜひ弾力的な運用を、緩和できるところは緩和するように、現場でぜひ改善をしていただきたい。
 次に、新農政とのかかわりで、認定農家の現状、小規模農家に対する対応についてお聞きする。
 認定農家の基準、そして現状はどうなっているか。3、048名という最新の報告を聞いているけれども、市町村ごとに大変アンバランスがあるのはなぜなのか。認定農家のメリットは何なのか。
 農業を続けたい人はすべて農業の担い手というのが我々の立場であるが、農家の選別ではなく、手厚い対策が必要だと思う。長野県の伊那市では、近隣市町村でも一緒になって、小さい農家も地域の担い手として農業者支援の融資制度、スーパージャンプというものを実施している。無担保、無保証人、個人で300万円、団体で900万円まで。これは国の近代化資金以上に利用されていると言われている。例えば、ことし11カ月でこのスーパージャンプは46件活用されている。近代化資金は10件から20件という。いわば8割ぐらいが兼業農家、小規模農家なわけであるから、ここを対象にしたこういう農業者支援制度というのは大変農家から喜ばれている。私は、岩手県でもこうした小規模農家を対象にしたこういう融資制度、支援制度が必要だと思うけれども、いかがであろうか。

〇佐々木地域農政推進監 認定農業者制度の基準とその実態であるけれども、基準については市町村の基本構想の中で定められておって、その地域の他産業並みの所得が得られるような経営水準ということで設定されているものである。お話があったように、2月末現在で3、048名ということで、全国的には5番目の数字になっておって、確かに市町村によっては多いところ、少ないところあるけれども、この制度も徐々に浸透してきているものと思っておる。
 メリットについては、農地の利用集積の支援であるとか、低利資金の融通ということで、いろいろある。
 それから、農業を続けたい人すべての農家に対策を講ずるべきではないかというお尋ねであったけれども、現行の補助制度は、土地基盤にしても、それから近代化施設の整備にしても、大きい農家、小さい農家問わず、すべての農家を受益の対象にしているものだと思っておる。
 それから、低利資金の融通という話があって、他県の例をお話しいただいた。実は来年度、まだ内容は十分承知しておらないけれども、新たに国において、地域の中で認定農業者と規模の小さい農家が組織をつくって、まさに私どもがいつも言っておる地域ぐるみ農業の考え方で取り組む場合に、協業推進特別融資ということで2・5%の制度資金を融通されるということも伺っておるので、その活用について十分検討してまいりたいと思っておる。

〇斉藤委員 あと3問まとめてお聞きする。
 県産米による学校給食が来年度も継続をされる見込みである。予算では米飯学校給食推進特別対策事業、これが計上されている。聞くところによると、ササニシキと今度はひとめぼれも使われると。また、予算の中には食器も購入されると聞いておるけれども、この事業の内容についてお知らせいただきたい。
 花卉対策について、農業確立計画の後期見直しでは、花卉が生産を大きく伸ばす計画になっている。2・5倍ぐらいであろうか。その具体的根拠、見通しはどうか。全農が園芸事業から撤退するという話も聞くけれども、事実であろうか。その影響、県としての対応はどうか。県の花きセンターの拡充の具体的な方向はどうなっているか。
 最後に農協合併について、農協合併について、農家から十分な説明がないという声を聞く。理念なき合併とか、組合員不在の合併とか、さまざま農家の中には不安、また、疑問などが出ている。私は、その点で、農家組合員への説明、討議はどうなっているか。バスに乗りおくれるな式の取り組みとなっていないか。農協本来の仕事である営農指導はこの合併によって強まっているのか弱まっているのか、このことをお聞きしたいと思う。

〇菊池農蚕課長 学校給食関連である。学校給食の米については、本県の場合、味のよい県産米を味わっていただくということで、今までも全量県産米でやってきたところであるが、今まではササニシキ、これからひとめぼれ、特に特Aの評価もいただいたので、そういう味のよいひとめぼれあるいはあきたこまちというものも加えてやるということである。ただ、予算の名称であるけれども、これはいきいき岩手米ふれあい推進事業の方で実施することになっておる。
 それから、学校給食推進特別対策事業の方であるけれども、これについては、米飯学校給食の一層の普及推進を図るという意味合いから、学校栄養職員、それから学校給食調理技術者、こういう者を対象として米料理の研修会、講習会といったようなものを実施する。このほかに、お話にあったような食器類の導入に対しても助成する、こういう内容が盛り込まれておる。

〇猪股畑作振興課長 花卉の振興について3点ほど御質問をいただいたのでお答えしたいと思う。
 まず、確立計画で花を相当伸ばすということの根拠ということであるが、岩手県の花は比較的新しいわけであるけれども、実は平成元年度に比べて平成6年度は約2倍の伸び率を示しておるわけである。最近、花卉に取り組む若者、そういったものが非常に高まっておって、そういった傾向というのは今後も相当続くだろうという見通しを1つ持っておる。もう1つ、農林省で農産物の長期見通しを発表しているわけであるが、これも他の農産物ではおおむね横ばいで進むという中にあって、これは158%に伸びる。そういったことを勘案して、要するに県内の動きあるいは国内のそういった消費の伸びを勘案してその見通しを立てているということである。
 それから次に、全農、農協が2段階制になって販売業務を行うということであるが、県連では、8年の4月からこの系統2段階制に移行するということを決定されておる。その中身というのは、何が違うのかということになると、従来全農が実施しておった市場に対する物流の分化業務、あるいは代金の債権管理あるいは回収業務をすべて県連が行うということになるわけである。したがって、県連と全農の関係は、そういう格好で業務が変わってまいるわけであるが、生産者あるいは農協段階においては従来と変わらないということであるので、これによってあるいは生産者なり農協段階で特別影響があるということはないと伺っておる。そういった県連の販売業務が変わる、業務の中身が変わるということになるので、県とすれば、そういった販売業務が円滑にいくような指導は今後ともしてまいりたいと考えておる。
 花きセンターの整備、現在している拡充の方向ということであるが、御案内のように、花きセンターは平成元年度に開所しておるわけであるけれども、現在、全県的に県では花の振興を図っておるということであるが、特に問題になる部分というのは、本県は花の歴史が浅いということもあって、特に指導者が十分いない。あらゆる生産に対応できるような指導者が不足しているという問題もある。あるいは農家段階でも技術が十分でない、そういったこともあるので、この拡充に当たっては、特に生産者あるいは指導者の研修機能の充実を図るという視点で、関連する施設を整備しているということである。また、この施設は、指導拠点としての意味合いを持つので、将来的には新しい品種を開発していく場合のあるいは遺伝子の収集だとか、遺伝資源の収集であるとか、あるいは県民に広く花を啓発するという機能もあわせ持った、そういった整備をしてまいりたい、こう思っておる。平成7年度と8年度の2カ年でこの整備を完成させたいと考えておる。

〇藤沢農業経済課長 農協合併の関係で2点御質問があった。
 1点目の農家組合員の説明討議ということであるが、農協の合併については、最終的には組合員の意思で決定されるものだと、そう思っておって、それぞれの地域において具体的な合併構想が決まった段階で各組合農家に十分な説明がなされておって、その合意のもとで決定されていくと、そういうものだと思っておる。合併に当たっては、組合長会議だけではなくて、市町村なども参加する合併研究会、それから合併推進協議会、これを開催して合併の目的、必要性を協議しておって、その際に、地区、集落座談会あるいは生産組織との話し合い、これを重ねて、最終的には農協の総会において協議、決定されておって、総体的には審議は尽くされておると、そう思っておる。
 それから、農協本来の仕事である営農指導はどうであるかということであるが、農協の合併によって人的資源が再配分されて広域的な営農指導体制が確立された営農指導、こういうものが強化されることを期待しておるわけであるけれども、合併間もない農協にあっては業務執行体制や職員間の連絡が必ずしも十分には機能してないという面も見受けられる。県としては、農協中央会と連携しながら、機能分担を一層明確にして、各段階別であったり作目部門別などの会議の回数をふやすなどして、相互の連絡体制を密にするように指導してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 農協の合併について、私は大変今の進め方というのは拙速というか、十分に農家組合員の間での論議が不足をしている感じがする。この点で、小規模農協でも大変立派に地域と密着して頑張っている農協がたくさんある。例えば西和賀農協であるけれども、組合員が1、360戸、耕地面積2、360ヘクタール、水田がそのうち70%を占めるけれども、ここでは、例えば生産農業所得は1975年116万3、000円だったのが94年には181万9、000円、1・6倍近くにふやしておる。どういう努力をしたかというと、営農指導員をふやした。全職員の14・8%、販売職員は6・8%で、21・6%がいわゆる営農、販売職員である。奥中山農協も大変頑張っている農協で、20年間の推移で見ると、農家組合員の貯金は7倍、貸し付けが7倍、販売が7倍、職員が3倍にふえている。西和賀農協も貯金は8倍、貸し付けは4倍、購買で2倍、職員も59名から86名にふやしている。ところが、中部のある合併農協は、貯金が2・5倍、貸し付けは1・2倍、販売は減、職員は400から310人にマイナス90人なのである。いわば合併したところが決してそういう効果を出していない。私は、そういう点でいけば、本当に合併になって農家組合員の農業を守る施策がどう充実されるのか、私はこういうところがやっぱりよく吟味されないと、結局こういう声を聞く。大型合併をすると必然的に農協は金融共済に力を入れなければならなくなる。私は、実態としてこういう状況があると思う。だから、そういうことをおそれている、頑張っている農協が合併に距離を置いているというところも現状としてあるわけである。私はそういう点で、拙速にならずに、本当に農協本来の一番大事な仕事は農業そのものをやっぱり振興する、発展する、農業を通じて組合員の協同を強める、そして、地域と本当に深く結びついた協同組合活動を進めることだと思うのである。その点で、ぜひそういうことをよくつかんで、適切な農協に対する指導を強めていただきたい。
 以上で終わる。

〇菊池(勲)委員 特に農政部長には大変御迷惑をかけたので、この際、私から、この3月をもって勇退されると伺っておる佐藤農政部長に対して、この場をおかりして御礼の言葉を申し上げさせていただく。
 佐藤部長は、昭和34年に県に奉職されて以来、今日まで農政一筋に、多様な部署で、しかも本県農業の発展にとってその時々に重要な分野で活躍をされてこられた。また、部長は、農業者の心を心として、あぜ道の声を大切にしながら、各般にわたる施策の推進に情熱を燃やしてこられたが、こうした手法は、今日最も求められている地域に根差した農政、いわゆる地域農政そのものであったと思う。
 部長の御功績は数限りないものがあるが、本県のオリジナル品種ゆめさんさ、かけはしの開発普及を初めとし、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の推進、新食糧法が施行された中で新たな米の管理システムへの適切な対応、さらには、平成9年に開所を予定されておる農業研究センターの整備、その難しい時期の農政の方向づけを行う農業計画の策定など、いわば将来の本県農業の発展のための基礎固めに精力的に取り組んでこられた。また、来年度から始まる新生産調整対策、かけはしの作付拡大対策などについて適切な予算措置をしていただき、さすが部長と思っておる。
 部長はまさに今県政を去らんとしており、惜しみて余りあるものがあり、私も農民の1人であり、農民の気持ちからすれば、農業が一番苦しいときに部長のようなすばらしい農政通が本県の農業を見捨てて去らんという心境である。極めて残念であるが、これもいたし方がないことである。ここに改めてこれまでの御尽力に対して敬意を表し、心から感謝を申し上げる次第である。退職後も健康には十分留意されて、なお一層の御活躍、御発展をお祈り申し上げ、送別の言葉とさせていただく。
 この際、部長の御所感をお聞かせ願えれば大変幸いと存ずる。(拍手)

〇佐藤農政部長 ただいまは大変身に余るお言葉をちょうだいして、まことに恐縮に存じている次第である。
 お話があったように、私は昭和34年に県に奉職して、それ以来今日までまさに農業関係一筋、県行政に携わらせていただいたところである。この時期を迎えて、私なりにこの三十数年を振り返っているところであるが、この間、農業はまさに目まぐるしく変化してきてまいって、その都度対応に追われたという感を持っておる。しかしながら、常によき先輩、上司、そして同僚、そうした方々に恵まれて、何とかこれまで努めさせていただき、また、とりわけ議会の先生方からは、各面にわたって御懇篤なる御指導、御支援をいただいたことに対し、厚く御礼を申し上げる次第である。
 私が県に奉職した当時はまだ戦後の面影が残っておって、我が国の産業が大きく変貌する高度成長時代の幕あけというときでもあった。以来、49年にオイルショックがあったが、それまで、地方圏から大都市圏へ若年労働力が移動するといったようなことがあったが、農業もその渦中にあった。しかしながら、本県の農業について見ると、農業施策の実施とあわせて、県内農業者を初め、関係各位の御努力によって、その時代、時代のさまざまな課題や困難を乗り越えてきたと存じておる。今では稲作、畜産を初め、野菜などの園芸部門においても全国に注目されるような産地が形成されてきておる。我が国有数の農業県になり得たと存じている次第である。現在、御案内のように、農業を取り巻く情勢は、いわゆるガット・ウルグァイ・ラウンドの農業合意事項の実施あるいは新食糧法に基づいて米の新たな管理システムへの移行ということがある。また、事実農業内部においても、農業に取り組む農家の姿勢ということについてはかなり多様化してきておるということもあって、農業労働力の面から見ると脆弱化の傾向が顕在化してきているという状況にある。そうした状況にあっても、私は、本県において農業は地域経済を支える重要な産業だということには変わりがないと確信しておって、こうした変革期に適切に対応して、本県の農業農村の活力を維持向上させていくことが大事だと考えておる。
 そのためには、まず、農業の実践者は農家である。その地域の農業を中心となって担っていただく農業者の経営確立を進めていくことが大事で、そういう方々が各地域で農業に意欲を持って取り組む姿を各地につくっていくということが大事だと思っておる。既に県内では、若い方々を中心にしてすぐれた農業経営を実践しているという方々も少なからずおられる。県行政の支援とともに、こうした取り組みを模範として、農業者みずからも主体的に創意工夫を凝らして、気概を持って経営確立に取り組んでいってもらいたいものだと感じているところである。幸い本県は土地や多彩な立地特性など、他県にまさる農業資源や条件を備えておって、こういう意欲のある農業者の方々の実践があれば必ずや発展していくものと考えておる。また、本県に対する農産物供給に対する消費地の期待も非常に大きいものがあるということを市場を視察した中で感じることが多くあった。したがって、そういった考え方でもって農業者を支援し、施策の充実を図ってまいるならば、必ずや本県の農業の展望が開けていくものだと信じておる。
 また、農業の振興をしていくためには、農業内部だけの議論ではいけないと思っておって、農業以外の方々に広く農業の実情なり、農業の果たしている役割なり、あるいは農業施策ということについて十分理解をしていただく努力をしていくことがこれまた大事なことだと感じておる。幸い最近、消費者の方々の食糧に対する関心が高まってきておって、そういうことに伴って農業に対する関心なり理解も次第に深まってきていると感じておる。なお一層農業の側から努力していかなければならない点であると存じている次第である。
 大変貴重な時間をいただいて農業農政に対する私の思いの一端を述べさせていただいたが、これまで委員各位を初め、関係者に御支援、御指導をいただきながらここに任務を終えることができた。改めてお礼と感謝を申し上げるとともに、まだまだ農業には課題が多い。今後ともなお一層御指導、御鞭撻を重ねてお願いを申し上げて御礼のあいさつとさせていただく。(拍手)

〇那須川委員長 これをもって農政部関係の質疑を終わる。 
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時14分 散 会


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