平成8年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成8年3月15日(金)

1開会    午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長       渡邊勉
  議事課長       小国平二
  議事課長補佐     西田幸男
  主任議事管理主査   駿河勉
  議事管理主査     吉田徹
  議事管理主査     小原敏文
  議事管理主査     中澤悟
  議事管理主査     木村稔

1説明員
  生活福祉部長     細屋正勝
  生活福祉部次長    佐藤嘉成
  総務課長       伊藤静夫
  福祉まちづくり推進室長    祝田敬三郎
  高齢福祉課長     千田雅嗣
  障害福祉課長     長山洋
  児童家庭課長     今井明
  国保援護課長     千葉幸兵
  県民生活課長     小原富彦
  交通安全対策室長   山瀬宗光
  保険課長       越昭太郎
  保険指導室長     伊藤國男
  国民年金課長     松縄裕
  
  環境保健部長     緒方剛
  環境保健部次長    佐藤英輔
  医務課長       押切悟
  健康推進課長     小笠原佑一
  生活衛生薬務課長   藤田紀弥
  廃棄物対策室長    中村昭
  環境公害課長     名須川定男
  自然保護課長     上野賢一郎
  財政課長       佐藤勝

〇那須川委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号から議案第33号まで、議案第40号及び議案第41号、以上31件を一括議題とする。
 本日は、生活福祉部、環境保健部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、説明、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議会運営委員会の申し合わせにより、効率的に審査が進行するよう御協力をお願いする。
 最初に、生活福祉部長から、生活福祉部関係の説明を求める。

〇細屋生活福祉部長 生活福祉部関係の予算について説明申し上げる。
 議案その1の6ページをお開き願う。第3款民生費は398億7、441万9、000円で、前年度当初予算に比較して52億6、413万円、率にして15・2%の増となっておる。
 以下、各項目ごとに内容を説明申し上げるが、便宜、予算に関する説明書により説明させていただく。
 予算に関する説明書の112ページをお開き願う。112ページから113ページにかけての第1項社会福祉費1目社会福祉総務費の46億4、809万円余は、民間社会福祉活動の育成助長を図る民間社会福祉活動推進費、地域住民による地域ボランティア活動の振興を図る地域ボランティア活動推進費、県民に対してやさしいまちづくりを推進するためのひとにやさしいまちづくり推進事業費、介護福祉士の養成、確保のための介護福祉士養成施設整備費補助、地域における福祉活動の拠点整備のための地域福祉センター施設整備費補助がその主なものである。114ページをお開き願う。2目身体障害者福祉費の22億8、876万円余であるが、身体障害者の社会活動への参加と自立を促進する障害者社会参加促進事業費、在宅身体障害者の福祉の増進を図る身体障害者福祉活動推進費、重度心身障害者(児)医療助成費がその主なものである。115ページから116ページにかけての3目精神薄弱者福祉費の22億3、742万円余は、入所援護委託料、重度の知的障害者、重症心身障害者等を対象とした福祉作業所設置運営費補助等を行う精神薄弱者更生援護費及び精神薄弱者援護施設整備費がその主なものである。116ページをお開き願う。4目老人福祉費の76億1、641万円余は、老後の生活を健やかで豊かなものとするための老人福祉活動推進費、老人入所施設及び老人利用施設整備のための老人福祉施設整備費、ひとり暮らし老人などを地域で見守るための高齢者地域生活支援事業費補助、巡回しながら介護の知識及び技術の普及を図るため、介護機器を搭載できる特殊車両を整備する介護機器移動展示車整備費がその主なものである。117ページから118ページにかけての5目遺家族等援護費の8、915万円余は、永久帰国者特別援護対策費、中国帰国者への日本語指導、生活相談等を行う中国帰国者自立研修センターの運営費及び岩手の塔建立30周年記念現地慰霊祭事業費がその主なものである。118ページ中ほどの6目国民健康保険指導費の8億8、611万円は、国民健康保険診療施設運営費補助及び保険者の財政基盤の安定確保を図るための国民健康保険事業安定化推進費がその主なものである。119ページに進んで、7目婦人保護費の1億2、743万円は、婦人相談所管理運営費及び婦人保護施設入所保護費がその主なものである。8目県民生活費の1億6、155万円余は、消費生活協同組合育成のための金融準備資金の貸し付けなどを行う消費生活協同組合等育成事業費がその主なものである。120ページ中ほどの9目交通安全対策費の1億268万円余は、交通指導員の設置に要する経費を助成する市町村交通指導員設置費補助及び高齢者などの交通事故防止を図るため、参加体験型の交通安全教育を行う交通安全教育推進事業費がその主なものである。10目社会福祉施設費の24億7、076万円余は、松風園管理運営費、中山の園管理運営費及びふれあいランド岩手管理委託料がその主なものである。11目老人福祉施設費の2億6、465万円余は、養護老人ホーム松寿荘の管理委託に要する経費である。
 122ページをお開き願う。122ページから124ページにかけての第2項児童福祉費1目児童福祉総務費の28億9、751万円余は、多様化する保育需要に対応するための特別保育事業費、本県の実情に合わせ、多様化する保育ニーズにきめ細かく対応するため、市町村が行う乳児保育、時間延長保育、一時的保育及び休日保育に要する経費に助成するすこやか保育支援事業費及び一戸町奥中山地区に整備予定の、自然を活用して児童の健全育成を図るための拠点施設の基本設計等を行うすこやか子どもランド──仮称であるが──整備事業費がその主なものである。124ページ中ほどの2目児童措置費の49億1、305万円余は、心身障害児(者)の在宅福祉等を推進する心身障害児援護費、養護施設等の児童福祉施設における児童保護措置費がその主なものである。3目母子福祉費の31億1、545万円余は、母子家庭医療助成費、児童扶養手当支給事業費がその主なものである。125ページ中ほどの4目児童福祉施設費の31億5、616万円余は、杜陵学園及び都南の園の管理運営費のほか、精神薄弱児施設であるみたけ学園の一部を改築し、精神薄弱者更生施設を併設するための整備費を含むみたけ学園管理運営費がその主なものである。
 127ページをお開き願う。第3項生活保護費1目生活保護総務費の1億7、549万円余は、生活保護給付に係る事務費及び指定医療機関等の指導監査費がその主なものである。2目扶助費の41億1、889万円余は、生活保護世帯に対する生活扶助、医療扶助等の給付に要する経費などである。128ページをお開き願う。3目生活保護施設費の5億7、420万円余は、救護施設好地荘及び松山荘の管理運営に要する経費である。
 129ページに進んで、第4項災害救助費1目救助費の3、056万円余は、救助及び小災害見舞金、災害救助基金積立金に要する経費などである。
 以上が民生費の歳出予算である。
 次に、議案第2号の母子寡婦福祉資金特別会計予算について説明申し上げるが、便宜、予算に関する説明書により説明させていただく。
 予算に関する説明書の323ページをお開き願う。歳入歳出予算総額は、それぞれ3億8、524万7、000円である。
 歳入は、一般会計からの繰入金、繰越金、諸収入であり、歳出は、母子家庭及び寡婦の経済的自立、生活意欲の助長、児童の福祉の増進などを図るために必要な資金に要する経費である。
 以上で母子寡婦福祉資金特別会計予算の説明を終わる。
 次に、予算に関連する議案について説明申し上げる。
 議案その2の22ページをお開き願う。議案第30号の福祉の里センター条例の一部を改正する条例であるが、これは、物価上昇及び類似施設の状況等を勘案して、会議室等の使用料の額を改定しようとするものである。
 以上で生活福祉部関係の説明を終わる。よろしく御審議のほどをお願い申し上げる。

〇那須川委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇田村委員 去る一般質問での我が会派の佐藤一男委員の質問に対する部長答弁の中で、ミニデイサービスセンターの実施についてということで、小規模デイサービスセンターの普及を今後図っていくというお話があったわけであるが、その小規模デイサービスセンターの制度化の内容、その中身をお尋ね申し上げたいと思う。

〇細屋生活福祉部長 ただいまお話しの小規模デイサービスセンターの制度化の趣旨であるけれども、高齢者が住みなれた地域あるいは家庭で生活できるようにするために、通常のデイサービスセンターのようにある程度の施設規模でなくても、地域の実情に応じた規模のサービスの提供を受けられる方法として、従来から県内の4つばかりの市町村や住民団体が実施していた、いわゆるミニデイサービスであるが、こういう事業に対しても補助対象に採択することによって在宅福祉サービスの充実を図るというものである。
 制度の内容としては、1日当たりの利用人員、通常のデイサービスでは8人以上となっておる。それが5人程度でいいと。それから、配置する職員であるけれども、通常のデイサービスでは、寮母あるいは指導員が常勤という、こういう条件があるが、これは非常勤でもいいという要件がある。それから、実施事業についても、通常、デイサービスでは送り迎え、それから給食というものが必須になっているのであるけれども、これが選択で、どちらかやればいいという緩い基準である。結果として、運営費についても通常のデイサービス事業のほぼ半額ぐらいで済むという事業である。

〇田村委員 私、勉強不足で、なかなか中身をよく理解しかねるところもあるが、今現在行っているデイサービスセンターの基準以下であっても、例えば集落単位にそういった施設を設置して、5人以下、そして非常勤なら非常勤、ボランティアならボランティアでの、地域を1つの区切りとした範囲でこういうようなデイサービス事業、いわゆるおふろにお入りいただいたり、食事のお世話をしたり、そういったものに対して国で補助を出そうという制度という認識で結構なものかどうか。
 そして、もしそうであるとすれば、これはもうすばらしい制度であるなというふうに私は理解するわけである。特に農業でも、集落ぐるみ営農とか集落ぐるみで集落の生活を支えていくんだというような考え方も進められておる。そういった中で、大変これは直近な話で申しわけないが、例えば私の住んでいる五十数戸の集落でも、実際の話はひとり暮らしあるいは御夫婦2人とも御老人で大変な環境にあるという方がもう既に2割もあるわけである。これは何も私の集落ばかりでなくて、よその集落でも多分そうだと思う。そういったものを本当に規格どおりの公的なデイサービスセンターで扱っていくというのは数字的に限界があるんじゃないか。ぜひこの小規模デイサービスセンター、これを普及推進していくべきだと思うわけである。その意味で、集落のデイサービスを支えていくマンパワー、そういったものの養成を今後どのようにお考えになっていくのか、その辺をお尋ね申し上げたい。

〇細屋生活福祉部長 今の普及展開、さらにはマンパワーの育成というお話であるけれども、確かに通常のデイサービスセンターでのデイサービスは、ちょっとハードルが高いという関係もある。市町村でもなかなかマンパワーあるいは施設整備も進んでいないということもあってこういうミニデイサービスを国庫補助対象にするという制度が出てきたわけであるけれども、本県の場合には、特に農業地域では集落が結構散在しておるので、その地域では極めて有効な規模ではないかと我々考えておる。今、お話しのように、例えば既存の施設、学校の空き教室であるとか、あるいは基幹集落センター、生活改善センター、公民館、この間もお話あったが、公民館、こういう既存施設を積極的に利用できるというメリットがある。市町村でまだまだ知られていない部分もあるので、普及を図っていきたいなと考えておる。
 それから、マンパワーの育成確保についてであるが、特に本県の場合、しかも私ども今まで農協中央会を通じて、農協におけるホームヘルパーの養成というのは多分他県には余りないと思うけれども、かなりお互い連携をとりながらホームヘルパーの養成確保をしてきておる。今ももちろん続けておる。そういう意味で、特に農村地帯におけるホームヘルパーは結構在宅でおられるはずである。そういう方々をこれからもなお一層充実しながら養成をしていかなければならないと考えておるし、それから、平成8年度からは特にホームヘルパー養成の研修体系の見直しを図りながら、高度な介護能力の習得を目的とした特別研修制度というものを創設したり、あるいは、先ほど説明申し上げたが、介護機器を搭載して地域介護教室に派遣できるような、そういう介護カーというか、そういうものを派遣して各地域におけるマンパワーの養成充実に努めてまいりたいと考えておる。

〇田村委員 最後に、要望も含めてお尋ね申し上げたいと思うが、何度も繰り返しになるが、すばらしい制度だと思う。ぜひ推進していただきたいと思うわけであるが、裏づけとなる国の予算、そして県の予算、そういった裏づけの面で今後ふえていくであろうと予想されるのか。そういう努力をすべきだと思うが、その点をひとつお尋ね申し上げて、ぜひこれは進めていただきたいという要望を申し上げて終わる。

〇千田高齢福祉課長 ただいまの小規模デイサービスの関係の予算規模であるが、先ほど部長からお話ししたように、半分程度で済むというあれである。通常であれば1、300万円から1、400万円ぐらいの事業費でデイサービスをやっておるが、この小規模の場合は738万8、000円という基準になっている。この規模でできるものである。この予算については、国の在宅福祉整備補助金というのがある。それを獲得して市町村の方とも協議しながら進めてまいりたいと考えておる。その738万8、000円であるが、これは国が2分の1、県が4分の1、市町村4分の1という負担割合になる。このデイサービスのD型で来年度は12カ所整備することになっておる。8年度に12カ所、今年度は8カ所整備したが、来年度は12カ所の予定になっておる。

〇菅原委員 先般の総括質疑において取り残した分2点あるわけである。お伺いをする。 その第1点は、本県の特別養護老人ホームの整備率は全国第3位と承っているわけである。そのように全国的にも高いと評価されていることは、岩手県が福祉政策に力点を置いて頑張っておると、そういうことの証左ではないか、そのように思っておるわけで敬意を表する次第であるが、今後においても整備を一層促進することが重要であろうと思うわけである。それと同時に、施設を単に入所者の介護を行うところとしての考えではなくて、入所者が生きがいを持って生活が送れるようなところ、そういうものに工夫したり、施設の持つ専門的機能を地域に生かすような考え方、そういうものもなければならない、そのように思うわけであるけれども、このような施設機能の整備強化について、県は今後どのような取り組み、あるいはまた方策を考えておるのか、この点お伺いをする。

〇細屋生活福祉部長 ただいま老人福祉施設の機能充実についてお尋ねがあったが、老人福祉施設においては、利用者の特性に配慮した健康管理ということを視点に置いて、食事、入浴等の生活指導と身体機能の減退を防止する、いわゆる訓練などを行って自立を目指した生活の質の向上を図っているわけであるし、さらに、地域の方々を対象とした介護相談あるいは各種の趣味活動、季節行事などを通じて、施設と地域との交流を可能な限り促進しておる。施設利用者の生きがいの高揚と自立意欲の助長に努めているところである。現在、15施設ばかりがこういう社会活動を積極的に行っているようにうちの方で指導しているところである。
 それから、施設の持つ専門的な知識あるいは技術を生かして、施設と在宅の福祉サービスを一体的に提供できるように特別養護老人ホーム等に在宅の福祉関連施設の併設を促進しておって、現在、ショートステイ用の居室が68カ所で578床、デイサービスセンターが特養の中に54カ所、在宅介護支援センターも32カ所で整備されておる。来年度においては、ショートステイ用の居室を4カ所で32床、デイサービスセンター5カ所、在宅介護支援センター7カ所、ヘルパーステーション3カ所、地域交流スペース2カ所、こういう併設も検討しているところである。今後とも、利用者の処遇の向上、さらには地域社会に密接した運営に配慮して、地域における福祉サービスの提供拠点という役割を担うような、そういう総合的な施設づくりに向けて機能の充実を図ってまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 次にお伺いするが、今、部長から答弁あったこととあるいは関連するわけであるけれども、県は、本年度、介護実習・普及センターを設置したわけである。介護の知識と技術を学ぶ家庭介護講座を開催しているわけであるけれども、大変好評だというふうに評価をされているわけである。しかし、参加者は盛岡周辺の方々がほとんどだということであって、遠隔地の方の受講は、地理的条件、いろいろなそういう関係で少ないと聞いておるわけである。これは非常に大きな事業であるから、やはり住民に密接な市町村が介護の知識とか、あるいはまた技術の普及に積極的に取り組んでいく必要があるのではないか、そのように思うわけである。いろいろな問題点もあろうかと思うが、少なくとも時折振興局単位ぐらいでこういう講習会、センター的なものを随時開催するということも必要ではないかと、そのように考えておるわけであるが、県は今後どのような対応を考えておるのか、お伺いしたいと思う。

〇細屋生活福祉部長 介護知識、技術の普及について、市町村の方にもっと支援すべきではないかというお話と承ったが、介護知識あるいは技術の普及については、現在でも各市町村においてデイサービスセンターで家族介護者教室あるいは在宅介護支援センターでの相談、指導、そういう在宅介護を担う人材確保のためのヘルパー養成に積極的に取り組んでいるところである。今、委員からお話しのように、県では介護実習を地域住民に普及を図るという観点から、昨年の7月から介護実習・普及センター、これを設置して、初心者から地域リーダーまでを対象とする各種の講座を開設しておるわけであるが、市町村のデイサービスセンターと連携しながら、現在20カ所で地域介護講座を実施しておる。8年度においては、住民がより身近なところで最新の介護機器を使いながら介護の知識、技術の習得ができるように、先ほど申し上げた介護機器展示車を整備して、介護実習・普及センターの地域介護講座にこれを派遣して積極的に活用するほか、市町村の方にも今後どんどんデイサービスセンターが設立されてまいっておる。介護支援センターもできてきておるので、そこを拠点にして介護技術の普及を図っていきたいと考えておるし、将来的には、介護・実習普及センターのブランチを若干、全振興局とはなかなかまいらないと思うけれども、国の方でも進めておるので、何とか幾つかでもブランチを考えてまいりたいなと考えているところである。

〇菅原委員 最後に要望であるけれども、先ほど申し上げたように、特養ホームの整備率は全国第3位と申し上げたわけであるけれども、何事においてもやるからにはやっぱりナンバーワンだと、私はそのように常に思っておるわけであるから、どうかひとつ賢明なる生活福祉部の皆さん方、一層の努力をしていただいて、全国一の評価を得るように頑張っていただくように要望して終わる。

〇久保田委員 菅原委員の御質問もあったが、あわせて私の方からも特別養護老人ホームに関して、3款1項4目に該当すると思うが、お尋ねしたいと思う。
 そのほか、レセプトの関係についてもお尋ねするが、まず、特別養護老人ホームのことについてである。
 御案内のように、特別養護老人ホームの運営に対する補助、措置費は基準に定められているわけであるが、先般、私はある特別養護老人ホームの実態について調査をしてまいって、設置者の方から強い要望も聞いてまいった。それは、寮母の関係について言えば、基準では11人なんだけれども、実際は16人雇用している。言うなれば基準よりもはるかに多い人員をもって運営をしているという実態があるわけである。この基準と実態との乖離が非常にあるわけであるが、先ほど菅原温士委員が言っているように、本県の設置率が全国3位というその陰で、このような実態と離れた措置基準というのが存在することはいかがなものかというふうに感じており、設置者の方からは強い基準の改定を求めておる御意見も伺ってきているわけである。
 そこで、本県の実態についてどのように把握されておるか、まずそのことについてお伺いをするし、設置者は、改善要望を具体的にはどういう内容でなされておるのか、承知しておれば伺いたいと思う。

〇千田高齢福祉課長 特別養護老人ホームの運営については、委員お話しのように、措置費で賄うということが制度上で確立されておるが、この算定上、入所定員に対する職員配置基準が最低基準として厚生省から示されておる。これにのっとって職員が配置されるということになっておる。これは最低基準ということであって、措置費の中に人件費と生活費があるが、その人件費、さらには最近の労働時間の短縮など、労働条件の改善のための経費あるいは入所者の重度化とか痴呆性老人の増加に対応するための介護加算あるいは宿直専門職員を雇用するための経費、そういうものが加算される措置がなされておる。その結果、平成7年の4月1日現在、県内に特別養護老人ホームが65施設あるが、その配置基準数の合計が1、774人となっておるのに対して、実際の職員配置の数は2、233人で、基準数より459人多く配置されているという実態である。この職員体制の強化については、改善要望について、設置者団体はもとよりであるが、県としても東北、北海道ブロックの民生部長の連名で国の方に強く要望しておって、逐次その改善は図られているところである。

〇久保田委員 お答えいただいたように、かなりオーバーした人員を確保して運営しているわけである。よって、措置費の中でこの人員をやろうとすると、全体をカバーするには要するに人件費をダウンさせて全体に及ぼすということになるわけであるが、賃金の関係でとらえてみれば、総体的には賃金ダウンを図って運営をしているということになると思う。これではやはり問題があるわけで、速やかな改善が求められるわけである。よりよい雇用条件のもとで勤務をしてもらうというのが当然必要になると思うのであるが、東北6県を比較してみた場合、どうであろうか、本県の賃金ベースというのはどういう状況になっておるか、この機会に伺っておく。

〇千田高齢福祉課長 賃金ベースというか、実際の給与水準の比較したものであるが、岩手県の場合は平均勤務年数が5年1カ月ということになるが、その場合で17万5、099円という平均本俸月額にある。これに対して、青森県の場合は平均勤続年数が6年5カ月で17万8、367円、宮城県が平均勤務年数5年で17万6、466円、秋田県が平均勤務年数6年2カ月で17万6、971円、山形県が平均勤務年数5年3カ月で17万6、293円、福島県は4年5カ月の平均勤務年数で18万5、410円というような実態になっておる。

〇久保田委員 この賃金ベースが絶対的に低いのか高いのかという議論は後に触れることにして、言うなれば福島県並みが最も妥当な賃金ではないのかなという感じがするわけである。そういう意味で言えば、国の改定の努力もさることながら、一気にそういう水準にならないわけであるから、当面の措置として、県が単独でもこうした人員を確保している施設に対する援助措置というものを考えていくべきではないのかと私は思うのである。言うなれば、地方からのそういう措置をすることによって国に対しての要望を実現をしていくという、そういうことがエネルギーになると思うのであるが、県単独でもそういう措置について考慮すべきものと思うのであるが、部長の御見解を伺っておきたいと思う。
 さらに、本県の特別養護老人ホームにおいてはショートステイとかデイサービスセンターとか併設しているケースがあると思うが、この併設の状況について伺っておく。

〇細屋生活福祉部長 ショートステイ等の併設状況については千田高齢福祉課長から答弁させる。
 今、超過分については県で措置すべきではないかというお話であるが、先ほど課長が答弁したように、入所定員に対する職員配置基準、これは最低のものが一応示されているわけで、それに対してどうかという計算をしたところ、全県下で四百数十人多いという格好なわけであるけれども、先ほども説明申し上げたように、労働時間短縮にかかわる労働条件改善のための経費あるいは入所者の重度あるいは痴呆性老人の増加、そういう介護加算であるとか、宿直専門職員を雇用するという加算措置がなされておるわけで、その点ではそれらの分の措置費が参っていると考えているわけである。
 それから、先ほど福島並み云々というお話があったけれども、県職員の給与でも、たしか福島県というのは極めて高い水準で、変な言い方であるけれども、岩手県の場合には県職員はもちろんラストの方からであるし、それから市町村の職員、地域周辺の農協の職員給与の実態、そういうことから考えると、全国的に見れば、そういう意味では岩手県は潤沢な措置費が来ているとむしろ考えているところである。もちろん施設職員のこれからの職務の重要性もあるし、特殊性、困難性もあるということで、できるだけ我々は公平妥当な給与水準を確保していきたいと考えておるし、施設の理事、関係者に進めていきたい、指導していきたいと考えておる。

〇千田高齢福祉課長 特別養護老人ホームのショートステイとデイサービスセンターの併設の状況である。これは平成6年度の実績であるが、ショートステイ用の専用居室が特別養護老人ホームが65施設ある中で45施設、そしてベッドが527床ある。デイサービスセンターの場合は、特別養護老人ホーム65施設中46施設にデイサービスセンターを併設しているという状況である。

〇久保田委員 部長から御答弁いただいたが、私の考えとはかなりのすれ違いがあって、なかなかドッキングできないような感じもするが、ぜひこの実態を踏まえて国に対して強い要望もしていただくと同時に、本県独自の考え方も検討していただきたいと、こう思う。
 次に、レセプトの点検の内容についてお伺いするが、かなり改善をされているとは思うが、ここ近年の再審査の状況においてどういう結果があるのか、まずそのことからお伺いをする。

〇千葉国保援護課長 レセプト点検の結果であるが、点検により疑義が生じたものについて再審査を行い、その結果、過誤調整ということをするわけである。これは誤ったものの是正ということであるが、その件数は6万2、814件、金額では9億683万1、000円、かような実態になっておる。

〇久保田委員 ここ5年間ぐらいの経過をたどればどういう状況になっているのか。

〇千葉国保援護課長 レセプトの件数の経過についてであるが、平成6年度のをお答えしたが、各年度のものはちょっと今、手元にないので、申しわけない。

〇久保田委員 レセプトの再審査は、効果的というか、正しくチェックをするにはそれぞれ市町村の点検体制がポイントになるわけであるが、市町村のレセプトに対する点検体制というのはどういう状況になっておるのか、把握しておればお答えいただきたい。

〇千葉国保援護課長 本県の場合は、当然全市町村がレセプトの点検を実施しているわけであるが、推移を申し上げると、平成3年には市町村独自で点検を実施している市町村は50市町村、外部委託が10市町村であった。その後、逐次外部委託がふえて、5年後の平成7年には市町村独自で点検実施しているものは28市町村、外部委託が31市町村、こういう形で実施しておる。

〇久保田委員 ところで、高額医療の関係に及ぶわけであるが、平成7年度はちょっとわからないと思うから、平成6年度における高額医療の実例をお知らせいただきたい。最高金額でどういう疾患の方があって、最高の金額は幾らであったか。

〇千葉国保援護課長 高額医療費の実態、平成6年度であるが、最高額は、心臓疾患によるもので、1件当たりで892万9、140円、このようになっておる。

〇久保田委員 これで最後であるが、調整交付金の交付状況はどうなっているのか、県内の上位5市の状況についてお伺いをしたいと思う。

〇千葉国保援護課長 まず、全体であるが、平成6年度に県内市町村に交付された調整交付金の額は85億2、990万5、000円となっておる。交付金額の多い市町村及び額についてであるが、まず、盛岡市が10億1、535万7、000円、北上市が4億612万3、000円、釜石市が3億8、080万7、000円、花巻市3億5、134万1、000円、一関市が3億4、578万9、000円となっておる。

〇久保田委員 最後に要望になる。
 レセプト点検の状況についてはまだお答えいただいてない部分もあるが、かなり改善をされているような感じもするのであるが、しかし、依然として件数とか金額について言えば、むしろ金額でとらえてみればかなりふえておるのではないのかという感じがするわけである。ぜひ適正な審査をもってこのような再審査をできるだけ減少させるような、そういう市町村への指導に力を入れていただきたい、こういう要望を申し上げて私の質問を終わることにする。
 なお、先ほどお答えいただいていない留保の部分があるから、後でお知らせいただきたい。

〇千田高齢福祉課長 久保田委員の質問に、私、先ほどお答えしたデイサービスセンター、ショートステイの併設の関係で、ショートステイ専用居室を65施設中45と申したが、64施設である。訂正させていただく。

〇伊沢委員 久保田委員の後で大変恐縮であるが、簡単に2点ほどお伺いをしたいと思う。 代表質問で我が会派の菊池委員が老人保健施設関係を含めて特別養護老人ホームの整備状況等をお伺いしてきたわけである。その際に、計画に基づいておおむね順調にこの間推移をしてきたと、こういうことで御答弁をいただいているわけである。さきの2人の御質問とも重なる部分があるわけであるけれども、内容を含めてこれから検討していくということで、これらも含めた県当局の御努力に私としても大変敬意を表したいと思うわけである。しかし、各地域、市町村がそれぞれ地域ごとにこれを進めているわけであるけれども、たしか市町村の老人保健福祉計画は目標年次が平成11年であったと思うわけであるが、地域によっては特別養護老人ホーム等が既に現時点で目標値に近いぐらいの設置がされているところがあるにもかかわらず、大変多くの待機者があるという部分があったやに伺っているわけである。そういった部分、改めて地域別の、たしか9つの福祉圏域があったと思うわけであるけれども、その整備計画の進捗状況と、その地域の待機者の状況についてお示しをいただきたいと思うわけである。

〇細屋生活福祉部長 特別養護老人ホームの整備の関係であるが、今、お話しのように、進捗率は平成7年度末で4、055床が整備される予定である。これは、県の高齢者保健福祉計画の平成11年度の目標値4、230に対して96%の進捗率となっておる。岩手県では全国に先駆けて、しかもかなり濃密に特別養護老人ホームの整備を行ってきたということからこういう達成率になっておるわけであるが、地域別で見ると、宮古圏域では高い方で118%、既に目標値を突破しているという状況である。次いで久慈、両磐、二戸では100%となっておる。低い方では、釜石の76%、盛岡圏域の89%、岩手中部の95%と、極めて高い率での、それでも100%未満という形になっておる。
 それから、特別養護老人ホームの入所希望者であるけれども、平成7年の12月末現在で、県全体では病院や老人保健施設、そういうところに療養している方404人を含めて623人となっておる。多い圏域でいくと、二戸圏域で100人、胆江88人、岩手中部82人というふうになっておる。少ない圏域では、気仙で30人、宮古圏域48人、久慈51人となっておるが、特別養護老人ホームだけを見ればこういう形なわけであるけれども、御案内のように老人保健福祉計画、老人保健施設の整備も岩手県の場合当初は随分緩かったが、ここ一、二年、かなりのピッチで整備されてきており、そういう意味では両々相まって、入所希望者に対応しているという状況は言えるかと思う。

〇伊沢委員 全国第3位の整備率という部分が今の数字にあらわれていると思うわけであるが、ただ、全体の施設福祉の部分を含めてまだまだ不足をしているんじゃないかと思う。ただ、これはあくまでゴールドプランの中で、11年目標の数字の今動いている中での目標だと、こう思うわけである。
 もう1点は、言ってみれば現在の計画、在宅福祉を中心にいろんなのが動いている。そういった意味で、施設の部分を低く抑えている部分が、待機者がいるというところにも結びついていると私は思っているわけである。将来的にホームヘルパーさんの、例えば24時間支援体制の部分がこれから進んでくる。先ほど来お話にあったデイサービスセンターとか、言ってみれば老人保健施設などの施設もこれから整備をされていけば、トータルで見たときにかなりいい方向があらわれるのかなと、こう思うわけである。ただ、私どもの会派で、この間小原宣良委員も話をしてきているわけであるが、少子化現象の中で、在宅福祉を中心にという部分が将来的に本当にいいのかと私は危惧するものである。家に子供がいる、そして見れる。そういう人が見ている間にヘルパーさんが回っていく。そして、デイサービスセンターなり支援センターを含めていろんな施策をやるということで在宅が中心になると思うが、安心して暮らしていけるということを考えていけば、やっぱり特養も含めて、老健センターも含めて、一定程度の施設がこれから岩手にとって必要なのじゃないか。整備率96%だということで第3位なわけであるが、待機者が600人を超えているということになると、整備されたときには現在でも400人ほど足りないということになると思う。ますます高齢化人口が上がっていくということを考えたときに、その辺について県としても、言ってみれば福祉施設についての一定の見直しが必要ではないかと、こう思うわけであるけれども、御見解を承りたいと思う。

〇細屋生活福祉部長 今お話しのように、施設福祉をどうするのかというお話であるが、国全体の大きな流れの在宅福祉、さらに高齢者の希望もやはり在宅での介護という志向はあるが、今委員からお話しのように、今後のことを考えてまいるとどうもある面では在宅福祉だけでは不安があるという意味で、施設福祉の担保があればこそ在宅福祉も進むのではないかと実は考えておるわけである。前から申し上げておるように、各種の在宅福祉サービスの整備はもちろんであるけれども、今お話しのような特別養護老人ホーム、老人保健施設、さらには最近また新たに出てきておるケアハウスという、こういう施設などについてもこれからも計画的に整備を促進してまいっていきたいと思うけれども、さらに、今お話しのような入所希望者の状況等を勘案しながら、3県総の後期実施計画の策定の過程において特別養護老人ホームなどについてもさらに整備充実を図って、在宅と施設の福祉サービスが総合的に提供できるような、そういう体制の整備拡充に努めてまいりたいと考えておる。

〇伊沢委員 次に、ひとにやさしいまちづくり条例の関係についてお伺いをしたいと思う。 条例の本格施行が目前にあるわけであるが、8年度予算の中にも、低利融資の施設改善に対して2億円ほどの融資の予算が盛り込まれているわけであり、大変私としても地域の商店を含めて、いろんなところが改善をしていくということで有効な手段ではないかと思うわけである。しかし、けさのテレビで、日本の景気動向はどうかということでアンケート調査などがあったのをちょっと見てきたわけであるが、大企業の皆さんや大きな部分については、一定程度景気は上向きだという回答をしているようであるが、中小企業者の部分でいくとまだまだ景気は上向いていないと、こういう状況も全体の中にあるようである。県内も同様な部分ではないかと、こう思う。加えて、先日の補正予算を含めた審議の中でも、私、商工労働部の関係で御質問させてもらったわけであるけれども、商工労働部関係で、言ってみれば中小企業者に対しての設備資金なり運転資金等々の貸し付けを予算化していたと、大幅な減額をせざるを得ないと、こういう状況があって議論をさせていただいた。言ってみれば、企業の体質そのものも大変厳しい状況にあるのではないかと、こういう状況の中で、大変前向きの条例ということで施設を改善して人に優しい、そういう設備をする際の資金が導入されているわけであるが、運用に当たって、言ってみればPRの問題、それから経営者の皆さんやこれらを使っていただける方々の理解度がどの程度高まるかというのも1つのポイントだろうと思う。景気低迷の中で、言ってみればせっかくつくった初年度、吟味すれば2年度になるわけであるけれども、この予算がきちっとした形で定着をされて常に障害を持った方々がノーマライゼーションと言われて久しいわけであるけれども、なかなか出てこれない、こういう部分に突破口をつくるための施策として期待をしているわけであるが、どのような方途を含めてこれの運営を図っていく予定なのか、御所見なり具体的な施策等があればお示しをいただきたいと思うわけである。

〇祝田福祉まちづくり推進室長 人に優しいまちづくりの推進についてであるけれども、ことし4月、来月からであるけれども、条例が施行されるということになる。条例では、基本的には公共的施設を新築あるいは改築する場合は届け出ていただくということで、義務づけておるわけである。したがって、4月以降はそういう届け出が出てくるということになる。それらの機会をとらまえて、具体的にかつ個別的に指導、助言をしてまいりたい。さらに、そういう機会をつかまえて、低利融資制度の活用についても促進を図ってまいりたいと基本的には考えておる。
 それから、8年度においては、現在ひとにやさしいまちづくり協議会というものを設置しておるけれども、これは各民間の代表の方々に入っていただき、さまざまな議論をしていただいておるけれども、8年度早々にひとにやさしいまちづくり推進指針というものを策定したいと考えておる。これらを基本にして県民の方々に御理解をいただき、まちづくりが推進されるよう働きかけをしていきたいと考えておる。
 それから、まちづくりのシンポジウムあるいは優良事業者を表彰するまちづくり大賞といったような事業も実施しながら、総合的な優しいまちづくりを推進してまいりたいと考えておる。

〇伊沢委員 いろんな意味で、道路も含めて、県の事業なりいろんなところが大変よくなってきている面があるわけである。私も2年ほど前に、車いす体験なり目隠しをしながら盛岡市内を歩く経験をさせていただいた。多くの団体の皆さんがそういう取り組みをしている。県の皆さんも、こういう取り組みに参加をされてきている。これらも含めて生かしながら、本当の意味で安心して暮らせるようなそういうまちづくりを望んでいきたいと、このように思うわけであるので、今後も実態に即したいろんな方々の意見を採用しながら、言ってみればまちづくりに努めていただきたいと、こう思うわけであるので、御所見を承って私の質問を終わりたいと思う。

〇祝田福祉まちづくり推進室長 いずれ4月から条例が施行される。条例の施行は全国で9番目ということである。いずれ、条例ができたからすぐ優しいまちづくりが実現するというものでもないので、県民の方々の御理解と御協力が大変重要だと思っておる。そういう意味で、来年度早々、まちづくり推進指針というものを策定して、各県民の方々の御理解を得てまちづくりを進めたいと思っておる。

〇那須川委員長 この際、千葉国保援護課長から発言を求められておるので発言を許す。

〇千葉国保援護課長 先ほどの久保田委員の御質問の中で御説明できなかった過去5年の再審査の状況について説明させていただく。
 まず平成2年度、件数では5万9、864件、金額では7億870万3、000円である。3年度は6万3、861件、7億3、779万5、000円、4年度は5万8、181件、7億8、401万4、000円、5年度は6万3、676件、7億9、661万9、000円、それから先ほど申し上げたように6年度は6万2、814件、9億683万1、000円ということで、件数の方は多少年度によってでこぼこがあるが、金額の方は着実にふえておる。

〇斉藤委員 当該委員であるので、簡潔明瞭に1点だけお聞きする。
 昨年10月から盛岡市において24時間のホームヘルプサービスがモデル事業で実施されておる。その実施の状況、成果について具体的に示されたい。他市町村に広げるべきと思うがどうか。そのための障害、対策などについてお聞きする。

〇細屋生活福祉部長 24時間巡回型ホームヘルプサービスについてであるが、体制と利用状況、事業効果については千田高齢福祉課長から、全県にどのように普及させるべきかというお話については私から申し上げる。
 この事業であるが、国庫補助、全国で20ぐらいということで、岩手県でもぜひこれをやってみたいということで盛岡市にお願いして導入したものであるが、新しい介護保険制度、これとの関連で究極の在宅福祉サービスというのは多分これになるのではないかという感じがあったので、かなり無理をして導入したわけであるが、これをやってみて国の方でも新しい介護制度の中で検討されておる。いわゆる24時間対応を視野に入れた支援体制の整備がどの程度整うかという観点であるが、今後、介護を要する高齢者ができるだけ在宅生活が可能になるように、早朝、夜間、深夜、こういう巡回サービスで市町村に普及を図る必要があると考えておるけれども、実をいうとなかなか難しい。後から課長の方から体制等をお話し申し上げるけれども、かなりの体制を組まなければできない分野がある。それから、利用対象者がある程度、巡回であるので一定の地域に集中していてくれるという条件も備わっていなければならない。それから、今申し上げた24時間サービスという観点からの体制整備、そういう十分な事前準備が必要だということで、モデル的にやれるのは盛岡市しか現在のところなかったということなんであるが、この半年間の盛岡市の成果を踏まえながら、これから高齢者の状況に合わせて効率的なサービスの提供がどうやったら可能になるか、そういう検討をしてまいりながら市町村と協議していかなければならないと考えているところである。

〇千田高齢福祉課長 24時間対応の実施内容であるが、これは盛岡市の方から委託を受けて社会福祉法人の岩手和敬会の方で実施している。そこの実施体制であるが、ホームヘルパーさんが常勤、いわゆるフルタイムのヘルパーさんが19名、パート、時間対応のヘルパーが12名の計31名、そういう体制である。サービス内容としては、昼間の家事援助はもちろんであるが夜間の介護が中心になる。夜間は身体介護サービス、これのみということになる。利用者の個人個人の利用サービス提供計画というものをつくって、それに基づいて食事とか排泄あるいは衣服の着脱というか、そういうもののサービス提供を実施しているわけである。今盛岡でやっている登録人員は25人、25人の方々に巡回サービスを実施しており、派遣時間は昼間は午前9時から午後5時まで、それと夜間は午後5時から午後10時まで、深夜は午後9時から翌朝の7時まで、早朝が7時から午前9時までという4区分により、これをさっきの31名のヘルパーさん方がローテーションを組んで巡回して回るという形である。昼間は1人の場合もあるわけであるが、どうしても夜間の場合はヘルパーさん2人一組という形で巡回しておる。
 事業効果であるが、昨年の10月から実施したものであるのでまだ間もないというか、まだはっきりした事業効果というものは形としてつかみにくいところもあるが、特に介護者の方からは、夜間に十分睡眠がとれるようになったというようなお話も聞かれ、概して好評を得ているのではないかと考えておる。
 この事業の実施については、ただいま部長からお答えしたように、なかなか条件整備というかそういうものが難しい面がある。特に、夜間の巡回における、夜間であるから巡回上での安全の確保のために警察署とか消防機関、そういった関係機関の協力がどうしても必要であるし、夜間に巡回するので利用者だけのかぎの取り扱い、そういうものに細心の注意が必要であるというような細かい面での課題もある。こういう課題を検討しながら、そして利用者の希望というか、利用者本位のことを考えていきながら、個別市町村というか県内全域とはなかなかいきにくいかもしれないが、県内に広めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 まだ半年であるので成果の掌握はこれからだと思うけれども、岐阜の大垣市でやった経験、私どもの新聞に詳しく紹介したけれども、介護の成果で自分でスプーンを持って食事ができるようになったとか、家族が安心して休めるようになったとか、部長は、究極のメニューじゃないけれども在宅福祉だと、私もそう思う。やっぱり家族介護から本当に公的介護というか、この点では24時間ホームヘルプサービスがどこまで広がるかで私は在宅福祉の水準が決まると思う。その点で必要なことは、やっぱりホームヘルパーさんを大幅に増員しなければこれはできない。スウェーデンの日本は29分の1であるから、特養ホームは見直しをするという先ほどの答弁があった。ぜひ、ホームヘルパーさんの計画もこれは最初から低いのであるから、ぜひ見直しの際、ホームヘルパーさんのこの計画も大幅に見直して、盛岡でも全域に広げるし、ほかの市町村でも広がるように、これは要望にして私の質問を終わる。

〇那須川委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇那須川委員長 質疑がないようなので、これで生活福祉部関係の質疑を終わる。
 次に、環境保健部長から環境保健部関係の説明を求める。

〇緒方環境保健部長 環境保健部関係の平成8年度当初予算等について御説明申し上げる。議案その1の7ページをお開き願う。平成8年度岩手県一般会計予算のうち、4款衛生費の予算額は216億5、416万8、000円である。前年度の衛生費当初予算額と比較すると11億2、436万3、000円の増、率にして約5・5%の増となっておる。これは、主として岩手医科大学附属循環器医療センター建設費に対する補助の増額等によるものである。
 次に、9ページをお開き願う。13款諸支出金の予算額374億6、115万5、000円のうち、当部関係の予算額は301億2、318万5、000円で、これは、県立病院等事業会計に対する貸付金等である。
 なお、一般会計予算総額に対する当部関係の予算額517億7、735万3、000円の占める割合は、約6・4%となっておる。
 以下、各項目ごとにその主なものについて御説明申し上げる。
 便宜、お手元に配布されておる予算に関する説明書により御説明申し上げる。
 130ページをお開き願う。4款衛生費1項公衆衛生費1目公衆衛生総務費の予算額15億3、944万8、000円は、健康推進課の人件費等の管理運営費、妊婦・乳児の健康診査等を行う母子保健対策費、婦人の健康づくり推進事業費補助等の健康づくり推進事業費、運動機器を搭載した健康運動体験車げんきカーの運行等を行うアクティブいわて健康づくり運動事業費、80歳で自分の歯を20本以上保つことを目標とする事業を実施するイー歯トーブ8020運動推進事業費、衛生研究所と公害センターを再編して整備する環境保健センター──これは仮称であるが、整備のための調査事業費が主なものである。131ページに参って、2目結核対策費の予算額1億3、620万3、000円は、結核健康診断、予防接種、結核医療に要する経費のほか、結核予防思想の普及及び結核医療の適正化の推進を図る結核対策特別促進事業費等である。3目予防費の予算額7億2、767万5、000円は、132ページに参って、犬の登録事務及び狂犬病予防接種等を実施する狂犬病予防費、ベーチェット病、パーキンソン病等の特定疾患に係る医療給付の特定疾患対策費のほか、エイズについての正しい知識の普及啓発及び医療体制の整備を図るエイズ対策費が主なものである。4目精神保健費の予算額7億849万3、000円は、入院措置等に係る医療費の負担をする精神障害者入院等措置費、精神障害者小規模作業所運営費補助等の精神障害者社会復帰促進費及び精神障害者社会復帰施設の運営費補助、精神障害者の自立支援及び社会活動への参加等を促進するための各種事業を実施する地域精神保健対策促進事業費が主なものである。133ページに参って、5目衛生研究所費の予算額3、005万6、000円は、衛生研究所の管理運営に要する経費である。6目老人保健費の予算額73億6、480万3、000円は、老人保健法に基づく医療費負担金や医療等以外の保健事業費負担金等の老人保健対策費、老人保健施設の一層の整備促進と経営の安定化を図るための老人保健施設整備資金利子補給補助、134ページに参って、寝たきり老人ゼロ作戦等普及啓発推進事業費が主なものである。
 135ページに参って、2項環境衛生費1目環境衛生総務費の予算額10億2、504万9、000円は、生活衛生薬務課の人件費等の管理運営費、環境の保全を図るための知識の普及啓発、快適環境の創造及びすぐれた自然環境の保全等に要する経費の環境保全対策費が主なものである。2目食品衛生指導費の予算額5、725万6、000円は、食肉の衛生確保を図るためと畜検査及びと畜場等の衛生指導を実施する乳肉衛生指導取締費及び食鳥肉の総合的な安全確保を図るため、食鳥検査等を実施する食鳥肉安全確保対策費が主なものである。136ページをお開き願う。3目環境衛生指導費の予算額11億8、385万円は、環境衛生営業指導センター経営指導事業費補助、簡易水道等施設整備費補助、137ページに参って、合併処理浄化槽整備費補助、財団法人クリーンいわて事業団に対する運営資金の貸付金及び周辺整備交付金などの産業廃棄物処理モデル事業推進費、容器包装の分別収集及び再商品化を促進する容器包装リサイクル推進事業費が主なものである。4目公害対策費の予算額2億4、285万9、000円は、中小事業者の公害防止施設の整備を促進するための公害防止施設整備資金貸付金、大気の保全を図るため大気の測定を行い、発生源の監視指導等を実施する大気汚染防止対策費及び生活排水汚濁改善簡易設備整備事業費補助等の水質保全対策費が主なものである。138ページをお開き願う。5目自然保護費の予算額7億862万3、000円は、国立公園、県立自然公園等の施設を計画的に整備する自然公園施設整備費、県内の自然歩道42コースを計画的に整備する東北自然歩道整備事業費、本県の豊かな自然環境の保全と開発との調和を図っていくための指標を策定する自然環境保全指針対策費が主なものである。139ページに参って、6目鳥獣保護費の予算額1億1、680万6、000円は、鳥獣保護員の設置、鳥獣保護思想の啓発普及等の鳥獣行政運営費、五葉山地域に生息するシカの適正な保護管理に係るシカ特別対策費、本県に生息する希少なイヌワシの調査及び保護対策経費の野生生物保護対策事業費が主なものである。
 140ページをお開き願う。3項保健所費1目保健所費の予算額30億5、652万6、000円は、保健所職員の人件費等の管理運営費及び3歳児健康診査等の母子保健指導費が主なものである。
 141ページに参って、4項医薬費1目医薬総務費の予算額12億1、880万9、000円は、医務課の人件費等の管理運営費及び衛生統計調査に要する経費である。2目医務費の予算額26億4、359万5、000円は、142ページに参って、自治医科大学運営費負担金等の医師確保対策費、病院群輪番制病院の運営費補助、高次救急センターの運営費などの交付金、県民のだれもがどこでも心肺蘇生法を行えるよう知識及び技術の普及を図る事業等の救急医療対策費、高次救急センターへの高額医療機器の整備事業費、143ページに参って、岩手リハビリテーションセンターの管理運営費、学校法人岩手医科大学が整備する岩手医科大学附属循環器医療センターの建設費及び設備整備費に対する補助が主なものである。3目保健婦等指導管理費の予算額8億4、737万6、000円は、看護婦等養成所及び院内保育事業の運営に対して補助等を行う保健婦等指導費、県において保健婦、助産婦、看護婦、歯科衛生士等を養成する事業の保健婦等養成費、144ページに参って、民間の看護婦等養成所の施設整備に対する補助が主なものである。4目薬務費の予算額4、674万1、000円は、献血制度を推進し、輸血用血液の安定的確保を図るための血液事業推進対策費のほか、青少年の薬物乱用に対する健康被害の防止を図ることを目的とした普及啓発事業を実施する青少年薬物乱用防止啓発事業費が主なものである。
 次に、ページを飛ばしていただいて268ページをお開き願う。13款諸支出金1項公営企業貸付金1目公営企業貸付金の予算額148億円は、県立病院等事業会計の運営資金として貸し付けしようとするものである。269ページに参って、2項公営企業出資金1目公営企業出資金の予算額5億4、221万8、000円のうち、当部関係は、県立病院等事業会計への出資金3億595万8、000円である。
 270ページに参って、3項公営企業負担金1目公営企業負担金の予算額150億1、722万7、000円は、県立病院等事業会計への負担金である。
 なお、この負担金には、一般会計が負担している大船渡地区及び久慈地区に建設を予定している救命救急センターの基本設計費、実施設計費を含んでいるものである。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。
 お手元の議案その1の11ページをお開き願う。2表債務負担行為のうち、6が当部関係である。6、公害防止施設整備資金の融通に伴う利子補給についてであるが、これは、融資総額2億円を限度とし、中小企業者が国民金融公庫等から融資を受けた場合に利子補給をするものである。
 以上で、環境保健部関係の説明を終わらせていただく。よろしく御審議をお願い申し上げる。

〇那須川委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。

〇三河委員 私から1つだけお伺いを申し上げる。
 12日の日であっただろうか、盛岡市内を大白鳥が歩いておった。シベリアに帰る白鳥が電線か何かに当たったんであろう、墜落して市内を歩いておったという記事が載っておった。県には鳥獣保護センターがあるわけであり、そこに保護されておるものと思う。保護センターの状況についてまずお伺いをしたいと思う。

〇上野自然保護課長 鳥獣保護センターの現状であるが、現在滝沢村にある鳥獣保護センターは、昭和40年にキジの養殖場として建設され、昭和46年に本県で開催された全国野鳥保護の集いを契機として、現在の鳥獣保護センターという名称に改称されたものである。このように、現状を申すと、建設以来長期にわたっておることから施設の老朽化が進んでおり、また、救護のための施設としては必ずしも十分とは言えないという状況もある。一方で、先ほどのお話にもあったとおり、さまざまな鳥獣の保護を進めている関係上、年間の保護件数というものは、平成元年度は221件であったが、平成6年度は331件と年々増加傾向にあるというようなところである。簡単であるが、現状はそのようなところである。

〇三河委員 知事の所信表明演述にもあったが、第3項目であるけれども、人と自然との望ましい共生の実現ということがある。近年、環境保全の立場からいろいろと住民の関心が高まっているところである。そういう中にあって、鳥獣保護センターの果たしてきた役割は非常に大きいものがあろうかと思う。私も先日、鳥獣保護センターを訪れる機会があり見てまいったわけであるが、ただいま御報告があったように非常に老朽化しておる。もともとは県の県鳥であるキジの養殖場としてつくられたものであろうと思っているわけであるが、中には白鳥が私が行ったときには2羽おったし、それからシマフクロウだと思うが2羽おったし、シカの子供もおった。そういう意味で、非常に重要な施設であると思うわけである。この鳥獣保護センターの改築が待たれるのではないかと、あるいは新築が待たれるのではないかと思っておるところである。
 なお、また、鳥獣保護については、県においては環境保健部で対応しておるわけであるけれども、振興局にあっては、どちらかというと林務部の方でお扱いをしている。また、市町村に至っては教育委員会が取り扱うというような格好で、1つの流れができていないのではないかと思うわけである。そういう点について、今後、環境保健部の御指導が必要ではないかと思うわけであるが、その件についての見解をお聞きしたいと思う。

〇上野自然保護課長 傷病鳥獣の救護というものは、県民が野生生物という命あるものとの触れ合いを通じて、複雑な自然界の仕組みや人間社会とのかかわりを学ぶ貴重な機会であると考えられる。そのため、これらに対する理解を一層深めるためには、県民からの救護要請に対し適切に対応していくことが必要であると考えておる。また、そうしたことを進めることは先ほどお話しにもあったとおり、増田知事の言う自然との共生、この実現にも資するものだという認識でおる。しかしながら、現在の鳥獣保護センターというものは、視察をされて十分御認識のとおりであり老朽化が著しく、また、救護のための施設が必ずしも十分とは言えないという状況にある。このため、施設の充実を図り、傷病鳥獣に対する中核施設として整備を図っていくというようなことも必要だろうと考えておる。また、県民からの救護要請に十分に対応していくためには、県下の主な地域の動物病院等との関係機関との連携についても検討していきたいと考えておる。また、施設の整備のみならず、管理運営面での機能を強化するというようなことも大変重要なことだと認識しており、現在、鳥獣保護センターは直営で運営しているわけであるが、より適切かつ効率的な運営をしていくためには、外部委託ということもまた1つの方法ではないかと考えるところである。また、体制の一元化というようなお話があったけれども、そういったことも含め、今後、鳥獣保護センターの運営方法について十分に検討していきたいと考えておる。

〇三河委員 要望であるけれども、きのうも伊藤委員からもお話があった。いじめ問題等に関してのお話しもあったが、ペットを飼うことによって命の大切さを知るというようなこともあった。そういう意味から、県で直に取り組んでいる状況はすばらしいことだと思っているわけであるが、今お話しあったように、いろんな方法を考えながら今後とも前向きの方向で検討されるよう希望して終わる。

〇那須川委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時48分 休 憩
   
   午後1時3分 再 開

〇水上副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 環境保健部関係の質疑を続行する。

〇谷藤委員 まず、大気保全対策の分野についてお伺いをしたいと思っている。
 政府の方では、このほど大気汚染防止法の改正案をまとめたとお聞きしておる。これによれば、第1に発がん性が指摘されている有害物質の大気中への排出抑制を事業者に義務づけるというようなことが盛られているようである。特にも、その中でも自動二輪の排ガス規制、それから建築物の解体、補修の際に出てくるアスベスト飛散対策を新たに加えるということのようであるけれども、そこでお伺いをしたいわけであるけれども、県における今までの大気汚染防止対策というのはどのように行われてきたのか、それからまた、法律の改正後の県の役割というのはどのようになっていくのかお知らせ願いたいと思う。

〇名須川環境公害課長 ただいま大気汚染防止法の改正、それに伴う有害物質の発生に対しての対策という御質問である。今お話しのように、今までもいろいろ建築物とかそういったものの解体に伴って、特にもアスベストが発生するということがあった。環境庁の方でも昭和56年、57年にビルの解体周辺でいろいろ測定をした。その結果では、平均値で3・2本、これは1リットル中にアスベストが3・2本存在するということである。それから、62年度の調査では0・5本から2・1本という程度であった。本県でも、63年に昔の盛岡郵便局、こういう解体工事に伴って、その周辺でのアスベスト濃度を測定したことがある。その結果では、1・4本から2本という範囲であった。この濃度については、世界保健機構で基準を設けておる。その基準では、1リットル当たり10本ということになっておる。こういうことから考えると、特に問題はなかったということである。したがって、国の方でもいろいろな測定結果をもとにして、現在、解体、そういったものに伴って飛散する物質の防止策として、プラスチックシートによる隔離とか、それから水や飛散防止処理剤、そういう散布、それから除じん装置の設置、そういったことを指導してきておるところである。
 なお、今度国の方で大気汚染防止法が改正されるわけであるが、今度の国会に提出されるということになっておる。その中では、事前届け出制、作業基準、改善命令、罰則、こういったものが盛られるようである。こういったものを見ながら今後対応してまいりたいと、そのように思っておる。

〇谷藤委員 まだ本県の場合はそれほどでもないということであるけれども、これから過密化が進んでいくような地域等ではいろいろ解体のときにも諸問題が出てくる可能性もあるんじゃないかなと思っておるので、その辺の対応をきっちりやっていただきたいと思う。
 それから、フロン関係の回収問題であるけれども、これは過去にもいろいろ取り上げてきた問題であるけれども、総務庁が今度発表した大気保全対策に関する行政監察結果というものによれば、地方自治体では特定フロンの回収処理作業が非常におくれているんじゃないかという指摘がされておるようであるけれども、本県の場合は市町村に対してのフロンの回収設備整備費補助という形で積極的に取り組んでこられたと思うけれども、本県の処理状態というか、今の現状というのはどの辺までなっているのかお知らせいただきたい。

〇名須川環境公害課長 ただいまのフロンの回収、その状況、実態であるが、6年度に電気冷蔵庫等のフロン回収、これをフロン回収設備整備費補助事業によって22の市町村と一部事務組合がこのフロン回収設備を整備して回収を始めた。平成6年度は3、376台の冷蔵庫、これからおよそ98キログラムのフロンを回収した。平成7年度は、12月1日現在であるが、1万1、000台の冷蔵庫から約428キログラム回収しておって、あわせると526キログラムになる。この回収したフロンは、今、市町村の方とか、そういったところでボンベに入れて保存しておる。これは破壊する必要がある。それについては、今、国が中心になって、例えばプラズマ分解法とか、それからロータリーキルン、そういったものを用いた破壊処理実験を行っているところである。これまでも国の方には県の方からこの破壊処理について、早期にそういうめどをつけていただきたいという要望を行ってまいった。国も今、いろいろ試験をやっている最中であるので、今後ともその辺の状況を見ながら市町村の指導、そういったものを適切にやってまいりたいと思っておる。

〇谷藤委員 その辺はきっちり指導していただきたいと思う。特に電気屋さんとか、あの辺が新しいものを入れたときに中古を持ち帰ってくれと言われて、今度それを市町村にまた持ち込んで、そこの連携がきっちりいっていればいいけれども、なかなかうまくいっていないような話もちょっとお聞きしているものであるから、その辺の体制をきっちり整えていただいて、回収に取り組んでいただきたいと思うわけである。
次に、これは防災とのかかわりもちょっとあるわけであるけれども、災害時の水道の緊急管理対策ということである。地震等の災害に備えて、耐震性の強い石綿セメント製、そういうふうな管が更新されるように進められているようであるけれども、県内における更新状況というか、それはどの辺まで進んできているのかということをお聞きしたいと思う。 それから、そういう緊急時のときに水道がもしだめになったと。そのときに、今度、近くにある小規模水源というか、井戸の活用とか、いろいろなことが考えられていくんだろうと思うけれども、その辺をどういうふうにとらえているか。それから、そういう状況になったときに近隣の水道事業体同士の連携が不可欠だろうと思うわけであるけれども、その辺についての県の方の対応はどのように考えておられるのか。

〇藤田生活衛生薬務課長 災害時の水道の緊急対策についてであるが、まず、災害発生時の水道事業における対応であるけれども、配水管の切損による漏水について、まず、応急給水のための水道の水量を確保する観点から、配水管等に設置した仕切り弁を閉めることによって緊急に給水を停止することとしておる。給水停止に伴う断水等の地域住民の飲料水の確保については、市町村の水道事業所等が保有しておるおおむね容量が1トンの給水タンク100基、それから容量おおむね20リットルのポリタンク2、300個等があるけれども、これらを活用して、消毒等を実施した衛生的な飲料水を応急給水することとしておる。また、災害が発生した市町村のみの対応では委員から御指摘あったように困難な場合においては、近隣の市町村の相互の迅速な対応が円滑に実施できるよういろいろ指導しているところである。また、災害に強い水道施設を構築するために、水道水の安定供給をさらに進めていくためには、配水池の増設、隣接の市町村との相互応援のための緊急連絡管の整備、さらには老朽管の更新事業等の推進に努めておって、おおむね大きい水道事業体ではそういった整備を推進しているところである。今後ともこれらの地震に強い水道施設の整備に努めてまいりたいと考えておる。
 石綿セメント管の更新状況については、平成6年度末で残っておるのは約995キロメートル、全体の総量の13・4%という状況である。

〇谷藤委員 井戸の対策はどういうふうになっているのか。

〇藤田生活衛生薬務課長 井戸水の対策については、関連部局とも十分連携をとりながら、そうした確保に努めてまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 非常に衛生面とか、さまざまな面も対策しなければならないということになるので、その時点で調査したり何なりしている時間があるかというと、これはその時点にならないと井戸の状況とか、水質の問題とか、さまざまあるかと思うけれども、その辺、どういうふうな地域にそういう井戸とか、対応できるものが実際にあるのかどうか、水質面がどうなのかというような、緊急のときにも対応できるような水質の調査もしなければないであろうけれども、そういうときに対応できるようなシステムというか、その辺もちょっと考えておく必要があるんじゃないかなと思う。
 次に、災害時の診療機能の確保というか、阪神・淡路大震災のときに病院とか診療所が倒壊したということで診療の機能が著しく低下したということになっておるわけである。やはり本県においても病院とか建物の耐震性の強化を図っていくということが必要だろうと思うけれども、県ではどのように考えておられるのか。防災上の方でも検討はされておるかと思うけれども、やはりいざとなったときにはそういうところに搬入してくる最も大切な機能を有しているのが病院だろうと、診療所だろうと思う。そういうことで、その辺のチェック関係。
 それから、広域的に搬送してこなければならないという状況になったときに、各地域ごとの病院の空きベッドの状況というものも速やかに把握していくシステムというのもやはり確立をしておかなければならないんじゃないかなと思う。そういうことでは、県内における状況、どういうふうに今とらえておられるのか。そして、特にも近隣の県にそういう災害が起きたときのこととか、広域的な考え方からすれば、今、厚生省の方でも全国ネットでそれを考えていこうという方向にあると伺っておるけれども、この辺は岩手県ではどういう考え方を持っておられるのか、お知らせいただきたい。

〇押切医務課長 災害時における救急医療の確保ということであるが、これは地域防災計画というのがあって、それに基づいて災害時には救急医療なり何なり行動するということになっておる。具体的には、現在の備えとして、病院の関係であるが、県に1カ所災害の基幹病院というものを指定しておるし、それから、各圏域に1カ所ずつ地域の拠点病院というのを設置しておって、それはふだんから災害対策を講じた施設にしながら、きちんと対応できるようなということでそういうものを指定してやっているところである。その連携についてであるけれども、基本的に防災行政無線によって、それら空きベッド等を連携をとりながらスムーズに対応するということになっておる。この拠点病院に入るのは、要するに災害時には現場に救護所を設けながら医療活動を行うわけであるが、それらで対応できないような重症患者、そういうものをこの拠点病院に運んで対応するという格好になっておる。これらをそのままにしておくわけにいかないので、ふだんからいろいろ訓練というか、そういうことをしながら、災害時にスムーズに対応できるような体制が必要だというふうに、そういうふうに努めてまいりたいと思っておる。
 それから、全国ネットの話であるが、現在、厚生省で阪神・淡路大震災を契機として、災害医療のあり方に関する研究会というのが設置されておって、広域災害における救急医療情報システムのあり方、これらを検討しているところで、本県だけで広域の話もできないので、そういう厚生省等の考え方もいろいろ踏まえながらやる必要があると思っておるので、それらのきちんとしたものが出てまいったら、それに応じて検討してまいりたいと思っておる。

〇谷藤委員 この間も神戸の方に1年を経過した後、見させていただいたけれども、そういう災害になったときには道路が寸断されたり橋が壊れたり、地域的にどうしても集中するということになる。そうすると、岩手県の場合、県立病院とかいろいろあるけれども、どうしても民間の医療機関、その辺の開業医の先生方も含めて、そことの連携をとっていく必要があると思う。消防関係でも地域消防が整備してないと大変なことがあったと同じように、地域との連携というのが非常に大切になっていくという意味で、その辺、医師会の先生方とも、地域ごとにそういうふうになった場合の対応というものをぜひ構築していっていただきたいと思う。
 以上で質問を終わる。

〇伊藤(勢)委員 通告をしておらないのであるが、今、谷藤委員から水道にかかわる部分の話が出たので、これに関連をして1つお伺いしたいと思う。
 防災対策特別委員会のときに伺ったわけであるが、これは自分たちの所管ではないということで、言ってみれば水道の施設は水道施設という部分で生活衛生薬務課の所管になるのかなと、こういう部分でお聞きをするわけであるが、実は、県内の水道という場合は、県内の地形上、水源からある高いところにポンプアップをして貯水池をつくって、そこから落下する水圧で給水をしているという部分が非常に多いものと思う。40年、50年経過してきている地域がそれぞれあると思うが、例えば宮古市の場合は3年前に40周年を迎えたからもう45年ぐらいになる。そういう構築物が、貯水池があるわけであるが、40年あるいは50年近く前というのは耐震的な強度という、そういう部分がなかったかと思う。だから、水がたまっている装置そのものが破壊をするということも十分に考えられるのではないか。そうすると、飲料水という以前の問題として、飲料水を確保していたものが別なる形で2次災害を起こすおそれもある。そういう貯水池の下にも住家が密集している地域もあるわけで、そういう部分、今度は構造物という観点に立つと、薬務課の方としては中にたまっている水質、そういったものの管理ということになるのであろうが、この辺が行政のテリトリーの部分かもしれないが、一応飲料水確保、安全確保という観点から、土木的な、あるいは構造学的な専門である、例えば建設課の方と一緒になってそういう部分を点検をして、もう1度再点検をするというか、そういう部分で災害に備えるという観点があってもいいのかなと思って聞いたところ、水道の方ということではねられたような経緯があるが、そういう部分も御検討になってもいいのではないかなと思うが、それについてひとつお聞かせをいただきたい。

〇藤田生活衛生薬務課長 水道事業はそれぞれ市町村の水道事業所で対応しているわけであるが、現時点では、そういった委員御指摘のような老朽化した施設等については、積極的に安全な、衛生的な水の安定供給を図るための施設として、やはり耐震性のある、かつそういった耐久性のあるような施設というものに変えるような指導はしているところであるけれども、何分いろいろ予算的な問題もあって、市町村自身がそういった積極的な取り組みをなされなければなかなか改善されないと存ずるわけで、いずれにしても市町村と十分連携をとりながら、そういった施設が早く改築されるように進めてまいりたいと考えておる。

〇伊藤(孝)委員 先ほどのフロンガスの回収についての問題に関連する。
 名須川課長、今、野積みにしてある自動車の山あるいはフロンガスに関係ある冷蔵庫、その他、これは現在野積みにしているのはそのままなのであろうか、抜き取ったものであろうか、それが1つ。
 それから、先ほどの数量を聞くと、環境保全に対する立派な作業を進めているように感じられるが、私の調査している部分におくと、抜き取った部分というのは少しばかりであって、今どこにもやれない、さっきの説明のように。国でも引き取ってない。だから、容器に入れれば入れっ放し、あれは蒸発するから、抜き取ったかいも何もない、あれでは。それで、まだまだ抜き取らない山がたくさんあるが、その処理についてどうなっているか、この2点をひとつお知らせいただきたいと思う。

〇名須川環境公害課長 ただいまの1点目のカーエアコンだと思うが、それの回収については、いろいろ自動車業界の方も自主的というか、そういう回収設備を持って極力回収に努めているという現状にある。うちの方では、特にそういうカーエアコン、冷蔵庫は先ほど御説明したようにいろいろ努力して回収しておるが、野積みのカーエアコン、それの実態については余り詳しくは把握しておらないが、自動車整備工場とか、そちらの方にもアンケート調査とかいろいろやって実態を把握して、そちらの関係とできるだけ話し合いをして、対応できるものには即対応していきたいと、そのような形で今進めておる。

〇伊藤(孝)委員 フロンガスというガスは手のつけようのないものであって、そのままにしておくとそのままでいつまでも永久的に数量が変わらないわけではない。これは御承知のとおりだと思う。頭が開いているとそこから蒸発してしまう。そういう観点があるのかないのかということが今の説明にはなかったが、野積みになっている自動車、あれは全部抜き取りはしていない。抜き取ったってどこにも置き場所がないのである。今、あらかじめそういう通達のもとで、ドラム罐に入れて入れっ放しで、何かビニールのようなもので繩で結いつけているような状態なのであるが、しからば抜き取ったものをどこへ置くといっても、危険物であるから、どこにも置きようがなくて困っているのが各自動車業界の実態なのである。この実態をやっぱり行政サイドで国との連携のもとに、どこに運搬してどこに処理すればいいのかぐらいは示さないと、ただ業界にだけフロンガスの抜き取りをやれ、管理をよくやれと言ったって、ただ表通りの素通りの話であって、実際の効果は少しも上がっていない。どこにやればいいとやったって、その先がないということで大変自動車業界は困っている現状である。この点をはっきりしないと、単なる表通りの話だけで済んでしまう環境公害対策ということでおさまってしまうのではないかという例がたくさんあるものだから、あえてここで質問する予定はなかったのであるが、フロンガスの数量どうのこうのというお話だけが立派に通ったが、抜き取っておさめたのはそれだけであろうけれども、その何十倍というものはただ野原に埋まっているという現実が実態だと私は思う。この方向を少しきちっと政府なら政府とも相談をし、保管する対策を協議して、少しお金がかかったってやらなければならないと思うならやるべし、放っておいてもいいのならば抜き取りなんてそんなことはやらなくたっていいんだし、そういうようなことで、もう少し自動車業界も休めるような方向というものがあれば非常に公害対策というものは徹底し得るのではないか。
 それともう1つは、これは部長にお伺いしたいと思うが、日本列島は今の全世界地図からいくと大した面積じゃない。この日本列島はまじめにそういったものをやっている。ところが、中国とか韓国とか、タイ国へ行ってもそうだし、アジア大陸に行くとこんなことを一言だって言っている人はない。抜き取るものもなければほこりを立ててだめだということもない、それこそ大変な自然環境の放置というか、防止策なんていうことは1つもない。そういうものがつまり国策上協議の話題に入っているのかどうか。そして、国策上においてもやっていかないと、日本列島だけでこんなことを騒いでみたって何もならない。世界環境のためには愚かな話だけを言い交わしているというにしかすぎない。そういったようなことを国の基本として、せめてアジアの国々との協議だけでもなされつつあるのかどうか。これから先、何年後には徹底するであろうとか、そういうような協議があるのかないのか、それをひとつお聞かせいただきたいと思う。

〇緒方環境保健部長 委員が御指摘されたように、フロンの問題というのはやっぱり地球環境問題の中の1つの大きな課題になっているわけで、先進国だけがこれに取り組んだとしても他の途上国において放置されているならば結局は地球にいる我々すべてに大きな問題を生じるということは御指摘のとおりである。やはり日本の国内でそういう対策を立てていくだけじゃなくて、先進国が途上国に技術協力をしてそういった問題をともに解決していくということは非常に私は大事なことだと思うし、国としてもさまざまないろいろな国際会議とか、そういうところで話題にしておる。環境基本法の中でもそういった国際協力の問題というのが当然取り上げられておるし、自治体としてもそういうことをするということを1つの責務にしておるので、岩手県としても機会があれば、どこまで私どもできるかどうかはわからないけれども、そういった問題についても技術協力等の機会があったら取り組ませていただきたいと考えているところである。

〇伊藤(孝)委員 部長にやれと私は言うのではない。あなたは国の方から岩手県においでになって御苦労なさっておられるので、ただ、国の機関として国同士がそういうことを言っているかどうかということをお伺いしたわけである。
 それから、フロンガスの処置については、やっぱり国との連携をとって、それを抜き取れという指令を環境庁が出したとするならば、環境庁から後始末の処理の仕方まで出てこなければ意味のないことであるから、この点について追及をしながら、はっきりした道筋をつくるように努力をお願いする。
 以上、これは要望である。

〇菊池(雄)委員 予算に関連して3点ほどお伺いする。
 1つは、環境教育の問題であるが、3県総の基本計画にある環境の保全、この項目の中に環境教育について記述をされておる。きのう、教育委員会で、学校教育とか社会教育でどのように展開されているかということをお尋ねしたが、それ以外に、各階層にわたる環境教育は環境保健部でやっていると思うが、どんなことを、そして、どこに重点を置いておやりになっているかということがまず第1点。
 第2点は、国見開発の問題であるが、県の自然環境保全審議会は、2月6日に雫石町国見地区のスキー場計画に対し、開発は好ましくないという意見をまとめたが、審議会の中でも地域振興のためスキー場開発を認めていただきたいという意見がかなりの委員から出されたと私は承知しておる。また、先般の県議会本会議でも、一般質問で同僚中屋敷委員からも同様な趣旨の意見があった。環境か開発か、こういう典型的なケースであると、このように思う。県は、2月28日に審議会の答申に基づいて、国見地区の大規模スキー場開発は好ましくないという見解を雫石町に伝えたようであるが、県の見解は、これは御承知のとおり法的な権限を持つものではないわけである。この計画を推進しようとしている第3セクター雫石国見開発は、この見解を伝えた以降どのような動向をとっているのか。それから、第3セクターの国見開発の民間セクションの出資者の主要なメンバーはどこであるのか、それが第2点である。
 第3点は、廃棄物の問題であるけれども、廃棄物の処理処分については、3県総の環境保全の中では廃棄物の処理にとどまっている。処分については記述をされておらない。これは市町村が対応することだからということなのかもしれないけれども、その処理の中身を見ても、目標は減量化とか資源化や再生利用、つまりリサイクルである。私は、その廃棄物の問題では、処理ということも大事であるけれども、処分ということが非常に大きな課題であると思う。一般廃棄物についても、燃えるごみは燃焼してその燃えかすをどこかに処分しなければならない。燃えないごみは選別処理をして、これをやはりどこかに処分しなければならない。一般廃棄物を処理、処分している市町村が最も困っているのは、処分の問題ではないのか。処分場がなかなか見つからない。処分場の設置に関しては、平成5年以降、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正が行われて、かなり厳しくなったと。このような状況の中で、本県における一般廃棄物の減量化やリサイクル化などはどういうふうになっているのか。それから、これは産業廃棄物も含むけれども、最終処分の現状は、そしてまたその展望はどういうふうになっているのか、まずこの3点についてお伺いする。

〇名須川環境公害課長 環境学習についての御質問であるけれども、環境学習の推進については、平成5年3月に岩手県環境学習推進基本方針というものを策定しておる。これは、県民1人1人を主役にして、地域や学校、民間団体、企業などが自主性と創意工夫を凝らした環境学習を総ぐるみで推進するという指針のもとに策定したものである。県は、各主体の自主的な環境学習を支援するということで、環境アドバイザーの派遣、それから環境情報センターの設置運営、知識普及資料の作成配布、参加行動の機会の設定、民間支援などの事業を実施してきておる。その結果、環境月間行事参加者数、それから1つの事業であるが、水生生物調査参加者数、こういったものが年々増加してきておる。こういうことであるので、今後とも環境学習推進事業、これについては一層の充実に努めてまいりたいと考えておる。

〇上野自然保護課長 国見地区のスキー場開発に関連する御質問であるが、まず、2月28日に県の見解を町などにお伝えしたわけであるが、その後の動向というような御質問であったと思うが、具体的に開発予定者の方からはアプローチ、働きかけというようなものは特にない。町の方から聞いておるところでは、今、調査報告の内容等について詳細に向こうの方で検討されているというような話は伺っておるが、いずれにしても開発予定者の動向というものについて、詳細に今のところは把握しておらない。
 あと、民間セクション、主要なメンバーはどこかというような御質問であったが、これは、開発の事業主体としては雫石国見開発という3セクなわけであるが、これに対して佐藤工業あるいは三菱重工業というものが出資しておるので、御質問の趣旨からすればその2社ということになるのかと思う。

〇中村廃棄物対策室長 一般廃棄物の減量化、再利用あるいはリサイクルの状況はどうかということであるが、県内における平成6年度のごみの排出量というのは42万1、000トンほどとなっておる。ここ数年横ばいの状態ということである。再生利用の実績であるけれども、2万7、000トンが市町村と一部事務組合により資源化されているという状態で、したがって、資源化率は6・4%ほどになっておる。ちなみに、全国と対比するわけであるが、平成4年度の全国の資源化率は3・9%、同じく平成4年の岩手の資源化率は4・7%という状況である。このほかに、町内会や子供会等による集団回収によって1万1、000トンほどが回収されているところである。
 次に、一般廃棄物の最終処分場、埋立処分場のことについてお答えするが、平成6年度末における県内の一般廃棄物処分場の残容量というのが167万6、000立方メートルということになっておって、これも年間の実績から推測しているわけであるが、年間の埋め立て実績12万2、000立方メートルから見ると13年余あるということになる。しかしながら、新たな処分場の建設については、住民の方々の御理解が得られないということから次第に困難になってきておるということである。したがって、県としては、ごみの排出量というものの実績を把握して、減量化の推進をも加味して、将来推計に基づいた一般廃棄物処理基本計画というものを策定しながら、計画的に最終処分場の施設整備を進めるよう市町村を指導しているところである。
 それから、将来展望ということであるが、容器包装に係るリサイクル法、いわゆるリサイクル促進法というのが制定されたわけであるが、こういうことによって分別収集が進む。これがさらに徹底されればごみのより一層の減量化が図られるということから、これらの徹底に努めて最終処分場の延命化を図るよう指導してまいりたいと思っておる。
 なお、産業廃棄物の方の最終処分場の状態であるが、管理型と安定型処分場があって、安定型処分場については自社処理が大半で、これについては相当量の残余量があるが、管理型処分場については、業としているものは県下で5カ所ある。この1カ所が御案内のいわてクリーンセンター江刺、ここが最も多くて、手をかけたばかりであるので、35万立米、それ以外は2、500立米のところが1カ所、あとは1、000立米未満という状況になっておる。したがって、この管理型処分場がこれから問題になるだろうと思っておるが、公共関与ということで江刺にいわてクリーンセンターを設置したことでもあり、指導の中で身近なところの管理型処分場が使用できないということであれば江刺のセンターを使用していただくように御指導しながら廃棄物の適正な処理を指導してまいりたいと、こう思っておる。

〇菊池(雄)委員 私、環境教育について、どこに重点を置いてやっていくかということを聞いたわけであるけれども、それには答えがなかった。ごみ問題、その減量化とかリサイクルの問題についても住民の協力が不可欠であるし、その前提として教育、宣伝、こういう活動が重要な課題である。私は、今、一番必要だと思っておるのは、これはごみ問題だけではないが、福祉とか教育、いろいろな開発行政の中で特にごみ問題に限定して言うと、住民の自己負担あるいは相互負担、これは金の問題ではない。自己負担というのは自分で金を出すとか何とかではなくて、自発的な理解が非常に欠けているのではないだろうかと。かつて、これは古い話であるけれども、東京都の美濃部都政の時代に、杉並でごみはどんどん出すけれども処理場の建設は反対だと、これは典型的な例であるけれども、そういったような地域エゴとか、身勝手と言えばあるいは失礼かもしれないけれども、そういうような行動があって、それにいろいろ政治家などが、選挙もあるのであろうけれども支援をするといったようなことで、そっちでもこっちでもごみ問題が行き詰まっておる。テレビでもこの間特集されておったけれども、こういういわゆる迷惑施設というものは、よそにつくるのは関係ないけれども、自分の身近なところにはごめんだと、こういったようなエゴがある、率直に言って。こういったようなことに対して、そうじゃないんだという理解と協力を持たせるということが環境教育という場合に非常に大事ではないかと、こういうように考えているわけであるけれども、この点についてはいかがな御見解を持っておるのか。
 それから、国見開発の問題であるが、私は昨年の12月の県議会の決算委員会で、昭和40年代の後半から林野庁が国有林を総合森林レクリエーションエリアとして地方公共団体もしくは地方公共団体が出資する第3セクターに貸し付けあるいは利活用させる。その大規模なエリアとして安比高原スキー場があり、この事業主体は安比総合開発、そして、その実質的なオーナーは民間セクションのリクルートであると。それから、夏油温泉スキー場は、事業主体が夏油高原開発株式会社で、そのオーナーは国際興業であると。そして、安比は大体793ヘクタール、夏油温泉は519ヘクタール、100%国有林である。国見も事業面積が1、010ヘクタールであるが、国有林が804ヘクタールある。いずれも大規模な開発行為であるけれども、この間、いろいろ御意見があって、要するに国見だけに環境に関する調査が行われたんじゃないかというような趣旨の発言もあったようであるが、安比とか夏油に対しては、大規模な開発であるから、当然環境アセスメントが行われたと思う。そのことについての結果を御報告していただきたいと思う。

〇名須川環境公害課長 第1点目の環境学習についてである。
 委員御質問のように、最近の環境、それは生活排水、それからごみの排出量の増大、生活騒音などもある。そういう形で、私たちの生活にかなり密着した分野で問題というか、そういう環境問題が起こっているということは認識しておる。このように、非常に複雑というか、それから、多種、種類もかなり多い。そういう環境問題に対応するために、県民1人1人が人間と環境とのかかわりを正しく理解して、環境に配慮した行動をとっていくようにという目的で先ほどお話しした岩手県環境学習推進基本方針というものを策定した。
 それから、夏油高原スキー場の環境アセスメントということであるけれども、本県において、環境アセスメントはゴルフ場等大規模開発行為指導要綱、これの適用対象となる開発行為であって、面積が100ヘクタール以上というものに義務づけをしておる。それから、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱は、国、地方公共団体または資本金の4分の1以上出資している法人が事業主体となる開発行為には適用しないということになっておる。御質問の夏油温泉高原スキー場、この事業主体は夏油高原開発株式会社ということで、北上市が資本金の30%を出資しているということから要綱が適用されなかったわけである。県の要綱に基づく環境アセスメントは実施されなかったわけであるが、事業者が自主的に県の指導のもとに環境アセスメントを実施したというものである。環境アセスメントについては今後とも適切な運用に努めてまいりたい、そのように考えておる。

〇上野自然保護課長 夏油高原の件について若干補足する。
 アセスメントが実施されたわけであるが、その後、平成3年4月に自然環境保全条例第25条の規定に基づいて、大規模開発行為の届け出というものが県に対してなされておる。これについては、開発主体、開発に当たって、先ほど話にあったような環境影響評価、これを実施し、保全対策を掲げている。あるいは全体として環境保全に留意した開発計画となっている。また、さらには、開発行為そのものは御指摘のとおり国有林であるが、伐採跡地であって、杉などの2次林になっているというようなことから、開発行為が自然環境に与える影響は少ないと考えられたというようなことである。ただし、この条例に基づいて勧告を行っておって、その内容としては、クマゲラの採餌場となっているブナ林や枯損木の保全対策、工事時の騒音、振動、渇水等の防止対策、野生動物の生息環境を損なわないような夜間照明のあり方、騒音防止対策等の運営方法などについて検討し、保全対策を講じるようにというように、条例に基づく勧告を行っているところである。その後、この開発主体の方から保全方策についての回答が行われておって、その件では工事の実施状況等を見ながら必要に応じて指導等を行ってきた、そういう経緯がある。

〇菊池(雄)委員 私、いつも古い話をして大変申しわけないけれども、昭和50年の6月定例県議会で、私が岩手県に大規模な開発行為に対する環境アセスメントをする担当窓口、スタッフがないと。これは今、全国的に問題になっているので、配置するようにということで、当時の環境保健部長は来年度から配置するということで配置した、環境保健部に。大規模な環境アセスメントをやる担当部署を。だから、ゴルフ場条例の問題ではないのである。ゴルフ場条例は最近の問題である。昭和50年代に大規模な開発行為に対してはそういうアセスメントをやる機能が環境保健部にあるはずである。私はそのことを言っているわけである。
 それで、国見の問題であるけれども、私は、これから新規の大規模なスキー場をつくる、開発するということについてはどんなものだろうかと。また、大規模な観光レクリエーションなどの開発で、その経営のあり方、また、当該地方に対する雇用や経済の波及効果、これらについては率直に言って疑問を持っておる。それは商工労働部か林業水産部で述べたいと思っておるが、環境保健部に望みたいのは、やはり自然環境保全特別調査を受けた自然環境審議会の結論を尊重して、やはりこれを実現させるようにしていただきたい。同時に、雫石町のような過疎地の地域振興については県全体の立場で努力をしていただきたい、これに対して御所見を賜りたいと思う。
 それから、廃棄物の問題である。お聞きするところ、私が浪人中に小原宣良委員が本会議の一般質問で取り上げていただいたそうであるけれども、私の住んでおる釜石市では数年前からごみの処理を溶融炉方式でやっておる。この炉であると、可燃性のごみはもちろんであるが、不燃性のごみ、つまり燃えないごみ、それから普通の焼却炉では焼却が不適当であるごみ、あるいは可燃性、不燃性の粗大ごみ、医療系廃棄物、こういったような重金属なども残留することなく燃焼させる、こういう溶融炉を処理施設として使っている。普通の焼却炉では摂氏1、000度以下であるが、溶融炉は炉底部で約1、500度の高温を発する。そして、その生ずる灰も、普通の焼却炉のように焼却対象外のごみも出ない。約10分の1以下だと、こういうことで、無機質でほとんど有害な物質は出ない。ただ、問題なのは、高熱処理であるから、酸素とかコークスとか石灰石とかというものを使うので、ランニングコストがかかるわけである。去年あたりでごみ1トン約2万円、普通の焼却炉であると1万二、三千円、1万4、000円ぐらいであるけれども、このくらいかかる。したがって、現在、この炉を開発した新日鉄と共同してコスト低減化試験をやっているようであるが、その成果は大分上がってきているようである。本県のように山間部が多い地帯では、処理にコストがかかっても、処分が安全で小規模な面積で対応できる方法を模索するということも必要ではないか。ごみの処分が行き詰まっている、こういったような段階で新しい手法を求める段階に来ているのではないか、このように思うが、いかがであろうか。

〇水上副委員長 委員長からお願い申し上げる。
 委員の方は簡単明瞭、答弁の皆さんも簡単明瞭にして、実を上げるようにお願いする。

〇上野自然保護課長 第1点目であるが、審議会の答申結果を尊重して、それを実現させるように努めろというお話だったと思う。私どもの方も2月28日に町の方には審議会の意見を尊重していただきたいという趣旨でお願いに行ったわけである。これはあくまで法的な拘束力はなく、単に理解と御協力を求めるというようなことであるが、今後ともそういった方向で御理解がいただけるように努めていきたいと考えておる。
 2点目、県全体の立場で地域活性化の問題などに努力していただきたいというような話であった。これについても、先ほどの本会議での知事答弁でもあったように、開発と保護の問題は非常に難しい問題であり、どちらか一方というわけにはいかない。両者の調和をとりながら話を進めていかなければならないと思っておるし、また、そうしたことが自然との共生を実現するというようなことだと考えておる。
 国見の問題についても先日の本会議の答弁であったように、保全すべきところはしっかり保全し、また、それに支障のない範囲で地域の活性化というものも考えていく必要があるのではないかと考えているところであるが、いずれにしても、地元の御意見あるいは今後の状況の推移等を見守りながら考えていかなければならないと思っておる。

〇中村廃棄物対策室長 一般廃棄物の処理施設で溶融炉が大変いいという点であるが、県内の一般廃棄物の処理施設で溶融炉を持って処理しているのは釜石市だけである。しかしながら、利点はあるわけであるが、ランニングコストが若干高いということであり、こういう状況があるということは、各市町村にお知らせしながらどちらを選択するかということで、今の段階では焼却の方を選んでおるという状況である。いずれにしろ、いろいろな施設が改善されてまいっておるので、ランニングコストなり建設経費なり、低廉のものを市町村に御紹介申し上げるという形の中で御指導してまいりたいと、こう思っておる。

〇千葉(伝)委員 私からは、2つの点についてお伺いしたいと思う。
 1つは保健所の運営に関する問題、それからもう1つは老人保健施設のことである。
 まず最初に、保健所の運営に係る問題であるが、これについては地域保健対策の総合的な推進を図るために地域保健法が制定され、これが市町村への保健指導部門の権限を含め各県ごと、保健医療圏単位で統合するというものである。これに基づき、本県では9医療圏を基本としてさきの定例会の一般質問にも出た答弁で、10保健所2支所1出張所または駐在所とする方針が示されたわけであるが、この点に関連して質問させていただく。
 まず第1に、この保健所のあり方を決める場合の計画策定に当たっての考え方をお聞きしたいと思う。あわせて、その保健所あるいは市町村との役割分担がどういうふうな形になるのか、権限移譲等の問題も含めてお伺いしたいと思う。

〇緒方環境保健部長 保健所のあり方についての基本的な考え方及び保健所と市町村の役割についてのお尋ねである。
 もう既に一般質問等でも私どもあるいは知事の方からお答えした部分もあるが、保健所のあり方については、平成6年の6月に制定された地域保健法に基づいて、住民に身近で頻度の高い保健サービスについては市町村で行うこととし、保健所では新たに広域的、専門的な拠点としての機能を担うこととしたものである。このために、保健所についてはある程度集約化を図りながら機能強化を図るということで、地域保健法の趣旨にのっとって、今御指摘のあったように医療圏ごとに1カ所を基本としながら交通事情等、本県の地域特性や保健医療と福祉の連携などを総合的に勘案して、現在の15保健所を、10保健所2支所1出張所に再編整備することを考えているものである。
 役割分担であるが、市町村においては、従来からの老人保健や母子保健のうちの1歳半健診等に加えて、現在県で行っておる3歳児健診あるいは妊産婦、新生児の訪問指導あるいは一般的な栄養相談等を移譲して、乳幼児からお年寄りまで生涯を通じた保健活動を一元的に実施するということになる。保健所においては、広域的、専門的な機能を強化する中で、例えば結核予防、精神障害者の社会復帰等の精神保健福祉対策、難病対策あるいはエイズ対策、あるいは乳幼児の訪問指導、障害児の養育指導等の対人保健サービスを行うほか、従来から引き続きの環境衛生や食品衛生における監視指導、検査などを行うこととしているところである。

〇千葉(伝)委員 市町村と保健所との役割についてはそのようなことで進めるということであるが、もう1つ、続けて地域の保健サービスを低下させないという形で考えているということであるので、その分はどうなのかをあわせてお聞きする。

〇押切医務課長 地域保健サービスの低下を来さないようにというような御質問であるけれども、新たな保健所の業務としては、いわゆる保健所が出向く業務とそれから地域住民が保健所に来ていただく業務と、大きく言えば2つに分かれるかと思う。保健所から出向く業務については、これは従前から精神保健福祉あるいは難病に関する訪問指導、食品衛生、環境衛生に関する監視指導等、これについては今後とも専門職の配置や機動力の整備、これらを本体保健所に機能をアップして、そして実情に即しながら地域に出向きながら行うと考えて機能アップしていきたいと思う。また、保健所に来ていただく業務であるが、例えば精神保健のデイケア、それから障害児(者)、難病児(者)やエイズ、結核等各種相談、また、食品営業等の相談あるいは各種申請等々あるわけであるが、こういう業務については原則として本体保健所ということになるわけであるけれども、しかしながら地元町村と緊密な連携や協力、それから関係団体とも連携を図りながら、現地で巡回相談あるいは移動保健所──移動保健所というのは現地に出向いていろんなことをやれる制度であるが──そういうようなものを定期的に行うということなどをしながら、地域住民の方々の利便性を確保してまいりたいと思っておる。これらのことはこれから詳細に詰めるわけであるが、いずれにしても保健サービスの低下を招かないように、そういうふうに配慮してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 3つの点でお聞きしたわけであるが、今お聞きした説明では、今の岩手保健所は盛岡、または江刺の保健所は水沢ということで統廃合になるという計画と聞いているわけであるが、そういったことで考えると、地域のことも十分配慮したということも答弁が一般質問等であったわけであるが、そういった中で盛岡と岩手の保健所という管内を考えた場合、広大な面積あるいは人口を抱えている。人口で言うと約50万、岩手の人口の3分の1、それから面積で言うと1、600平方キロ、これも県の全体で見ると5分の1ということの地帯であるわけである。そういったことから、盛岡・岩手保健所を統合して1カ所にするということについては、私考えるのは、地域でもそうであるが、今後ますます重要度を増す地域保健行政といったものが、こういった広大な地域を抱えて1保健所で果たして十分対応が可能なのかと懸念されると考えておる。それで、この基本的なあり方、基本方向について、今後、再考あるいは検討する考えがあるのかないのか、そこをお聞きしたいと思う。

〇緒方環境保健部長 最初に申し上げたように、経緯のもとで、こういう案で、一方で機能強化をして、保健所をより広域的、専門的な機関としてアップしていきながら、一方で所管区域あるいは保健所の再編整備を行っていくという考え方である。これについては、環境保健部内で案をつくっており、本年度中にまとめる予定である。それから、案の詳細な内容についてもまとめて発表する予定にしておる。また、厚生省とも協議を続けているところであるが、いずれにしてもこの中身については、特に私どもではこういう10保健所2支所1出張所と考えておるが、最終的には県議会の条例改正を御審議する中で最終的には決定されるべきものと考えておるが、執行部としてはこういう考え方をとっているということである。

〇千葉(伝)委員 岩手保健所のことで、たまたまけさの地元紙に、岩手保健所が高齢者の健康づくりに役立ててもらおうということで、道路の歩数、歩く数を計測して、老人の方々に体力に応じたモデルコースを設定した手づくりマップを作成したという記事が載っておる。こういったことで、地域の保健所が地域の住民に密着した保健行政といった、あるいは健康づくりに大変御尽力いただいておるということと、その結果が地域の住民には大変感謝されるというようなことである。こういったことから、今後さらに地域からすれば岩手保健所に対する期待というものが大きいと考えるわけである。そういったことで、これは要望になると思うが、今後の地域保健行政の推進に当たっては、対人保健サービスあるいは対物保健サービスといった、先ほどの説明にあった中身をより強化するあるいは市町村に対する支援体制、これについても十分な、強化するのはもちろんであるけれども、地域の住民とのコンセンサスを十分に深めていただき、そして地域住民への保健サービスあるいは福祉との連携といったことが今後ますます必要と考えることから、その分を加味して地域の分を配慮した体制をぜひ整備していただくようにお願い申し上げたいと思う。
 それから第2点に入る。
 これは、老人保健施設いわゆる老健施設の件であるが、老健施設というのは病状安定期にある療養中の老人に対しリハビリテーション、看護、介護を中心として医療ケアと日常生活サービスをあわせて提供するいわば医療と福祉との両機能を有する施設ということになるわけであるが、現在、少子化あるいは平均寿命の伸長等によって年々高齢化率が増加するあるいはますます後期の高齢者というか、そういったことが顕著になってくるということである。そういったことで、現在進めている高齢者の保健福祉の中で、いわゆるこれも広域圏という形で進めているものなわけであるが、その広域圏ごとあるいはその広域圏の中の市町村ごとで施設の体制というか数とか、進め方の中にもかなり差異が大きいように見受けられるわけである。そういった意味で、まず第1点は、老健施設の現状と今後の見通しということについてお伺いしたいと思う。

〇小笠原健康推進課長 老人保健施設についてのお尋ねであるが、ただいまお話しあったとおり、県としての目標とそれから各広域保健福祉圏域ごとに整備目標を定めて整備をしており、今年度末までに2、662床、目標が4、400床であるから大体60・5%である。まずまずの整備率ではないかと考えておるけれども、地域ごとに見ると、例えば盛岡圏域、今年度末で82%に対して釜石は21・1%とかなりばらつきが見られる状況である。これは設置希望者が少なかったとか地元での調整が十分整わなかったなどの理由である。いずれ、これを均衡ある配置を何とか進めてまいりたいということである。ただ、個別的には整備計画がまず妥当でなければならないということがある。それから熟度が高いということ、地元の市町村なりそれから医師会とのコンセンサス、あるいは設置者の医療その他の関連事業の実績ということがまず前提になり、それから整備のおくれている圏域についてまず最優先に整備をしたい。同じ圏域内ではやっぱりないところを優先していきたいと、こういう方針で、特におくれているところについては積極的に誘導しながら均衡ある整備を図ってまいりたいと、このように考えておる。

〇千葉(伝)委員 施設の整備に当たっていろいろな今、優先順位あるいは地域の熟度といったものが進める上でのネックになっている部分が多いとは思うが、その中で県内考えた場合に、特にこの辺が問題だというものがあれば教えていただきたいと思う。

〇小笠原健康推進課長 県全体で見ると、低いところは釜石あるいは宮古、胆江あたり、それから久慈、二戸についてもちょっと低い状況にあり、この辺のところを重点的にできれば進めてまいりたいと、このように思っておる。これは全部各市町村に設置するという方向で進めているものではないので、むしろない市町村の方が若干多いかと思う。

〇千葉(伝)委員 最後であるが、この盛岡広域圏の分を考えた場合にかなり整備率が高いと、80%を超える整備率になっている。そうすると、あと今後11年度までの計画で進めた場合に、計画の中であと100ちょっとぐらいしか病床がないということを聞いておるわけであるけれども、そういったあたりでこれから市町村ごとで欲しい欲しいといった、全部挙がるかどうかは別であるが、そういった場合の進め方というのはどうなるのであろうか。

〇小笠原健康推進課長 盛岡圏域については、いずれ県下でもトップの整備率なわけであるが、ただ圏域を見ると南部の方は大体整備が進んでおるけれども、岩手郡を中心とした北部については未設置市町村が何カ所かある。したがって、今後この圏域として考える場合は、北部地域で整備を進めていく必要があるだろうと考えておる。

〇千葉(伝)委員 本当に最後になる。いずれ、地域によっては残りが少ないあるいはまだまだこれから進めなければならないというばらつきがあるということであるが、そういったよりこれから必要なところについての計画というものの考え方を変える、いわゆる計画変更をするということの考えはないのであろうか。

〇小笠原健康推進課長 ただいまの計画は老人福祉計画で決めているわけであり、これは5年度末につくったものであり、大体65歳以上の1・5%を目安にして均等に各圏域に配分をしているものである。したがって、まずおくれているところ、まだ全体として60%という状況であるので、まずおくれている圏域を引き上げていくことが先決であり、全体として現在のところ見直す考えはない。

〇千葉(伝)委員 今後の施設の整備あるいは運営等については地域的な偏在が余りないような形でぜひ整備していただきたい、これは要望である。

〇山内委員 ただいまの保健所の統廃合のことについて1点お聞かせをいただく。
 この案が示されたときに、私なりの考えを持った。面積要件というものがどれだけ考慮の範囲内に入ってきておったのかということを考えたわけである。これに対しては今の答弁にもあったとおり、機動性を整えていくということでそのカバーをしていくと、基本的な考えはそうなわけであるけれども、そこでお伺いしたいのは、例えば時間距離にして盛岡保健所、現在の位置でもいいけれども、この盛岡保健所から例えば40分でカバーするエリア、割合、あるいは1時間でカバーできる割合、こういったものについて他の圏域との策というものはないものなのかどうか。要するに、盛岡保健所から4号線を通って行けば多分四、五十分の距離になる、岩手町までは。そういった形でさらに足を延ばしていって、例えば30分車で行けばどのくらいの管内の面積をカバーすることができるかと、こういったことについて御検討を加えたことはあるであろうか。

〇押切医務課長 ただいまのことは盛岡圏域について40分なりさらに30分であろうか、加えればどの程度カバーできるかという話であるが、お話しあったように、40分圏域であると大体岩手町沼宮内あたりまで行くのかと。それから、さらに30分行くと、例えば安代などは高速道があるからあそこは盛岡から恐らく安代まで1時間かからないで行くとか、そうなるわけであるけれども、30分行くとさらには葛巻、全部ではないが大体葛巻もカバーできると、そんな感じに思っておる。

〇山内委員 そういった考え方で各圏域ごとのカバー率というか、そういったものを比較検討されて今後の運営に生かされたらどうかと、こう思っておる。先ほどの説明にもあったとおり、保健所は出かけていく機能と来ていただく機能というのがある。これは職員の人たちが出かけるにしても、時間のロスというのが1カ所に集中すればどうしても出てくる。それから、地域住民の方々にすればそこに行って時間的な負担というものが当然に出てくるわけである。であるから、そういったものをやはり時間距離という観点から御検討を引き続き願うと、こういうことをお願いをしたいが、お考えはいかがであろう。

〇押切医務課長 時間距離との検討ということであるけれども、時間距離を縮めるというのは、例えば機動力ということになるわけであるが、そういう機動力の確保というようなものも考えながら、時間距離を縮めるあるいは巡回指導についても事前にそこに行っているとか、そういう計画的な巡回相談なり巡回指導なりをやるとか、そういう工夫もしながら時間距離をカバーするようなことをこれから詰めてまいりたいと思っておる。

〇大久保委員 私の方から地域課題であるけれども、簡潔に1点だけ質問させていただく。
 私、昨年9月の一般質問の際に、腎不全患者いわゆる人工透析の患者さんが安心して生活できるよう、人工透析体制の整備を図るべきではないかとの観点から質問させていただいた。その際、部長より、二戸、久慈両医療圏内の病院では、施設、面積等の関係からこれ以上の整備は困難との答弁をいただいておるが、現在、新築移転工事中の久慈病院に人工透析治療設備はどのような計画がなされているのかお伺いする。

〇緒方環境保健部長 久慈、二戸の保健医療圏における人工腎臓装置の不足の解消に関するお尋ねであるが、国庫補助等の活用等により前にも御答弁申し上げたことがあるかと思うが、公立病院の整備を進めているということである。久慈保健医療圏については、今年度中に町立の種市病院に1台整備される予定であるので、これにより現時点では不足状態は一応解消するものと見込んでおる。二戸保健医療圏については、民間の透析医療機関が二戸市内に開業に向け現在工事を行っておると聞いておるので、一定の改善が図られるものと思う。これら民間における整備状況やあるいは現在ふえ続けておる透析患者の状況を踏まえながら、現在検討が進められている県立久慈病院あるいは県立一戸・北陽病院の新築計画の中で、両保健医療圏における人工透析体制を確保する方向で医療局と協議を進めておる。
 なお、平成4年度に作成した地域保健医療計画、医療圏ごとの地域保健医療計画については、平成8年度中にこれを見直す予定であるので、新たに作成される地域医療計画の中で現在お話し申し上げたような二戸、久慈医療圏の腎不全対策も含めて検討していきたいと考えているところである。

〇大久保委員 また先ほどの谷藤委員の質問とも関連するけれども、昨年の阪神・淡路大震災のときにやはり人工透析の患者さんが大変な思いをしたというのをマスコミ等で見た経験があるけれども、本県の場合、災害時に人工透析の患者さんに対する対処等はどのように考えておられるかお伺いしたいと思う。

〇小笠原健康推進課長 御指摘あったように、この人工透析患者が災害時に適切に医療を受けられるようにということで、私どもちょっと検討を進めておる。現状でも一応県としては県内の人工透析の可能台数、余裕台数、すべて把握をしておるので、どこかではそういった事態が起きた場合には余裕のあるところを把握して、保健所あるいは市町村等に情報を伝えて患者さんに伝えるようにするということはできるかと思っておるが、この辺をマニュアルにしてまとめて関係機関に配布して、今後、適切に災害時の対応ができるように努めていきたいと思っておる。

〇大久保委員 いずれにしても、二戸、久慈医療圏に関しては増設させるということで感謝申し上げる次第である。また、一戸病院、北陽病院が統合整備されるわけであるから、ぜひひとつ患者さんが安心して生活できるように御配慮お願いいたし、要望として終わる。

〇久保田委員 3点にわたって御質問するが、まず1つは、連日エイズの問題が報道されておるのであるが、エイズと血友病、いわゆる血液製剤の関係がクローズアップされているわけであるが、この際本県で血友病の患者はどれほどあるか、まずお尋ねをしたいと思う。

〇小笠原健康推進課長 本県の血友病患者の状況であるが、特に全体を把握するという作業はしておらないが、ただ、この疾病の特殊性にかんがみて医療費の公費負担という制度がある。これは2つ制度があるが、二十以上の部分と二十未満の部分、30人と16人が対象になっておる。したがって、46人が公費負担の対象になっており、大方この数字が全数に近いのではないかと考えておる。

〇久保田委員 よって、問題の血液製剤の投与などは行われておったのかどうかということであるが、どうであろうか。

〇小笠原健康推進課長 血友病患者に対する血液製剤投与についてであるが、この投与、その他の所要の対応、一切に厚生省が一元的に実施をしており、県はタッチをいたしておらないので新聞情報等で知るだけである。したがって、正確なことは把握していないという状況にある。

〇久保田委員 よって、平成8年度の予算計上されておるエイズ治療拠点病院の整備費の補助900万ほどあるわけであるが、この事業はエイズ患者が特定をされておることによって措置されているようにも思うのであるが、エイズ患者は本県何人と把握されておるであろうか。

〇小笠原健康推進課長 ただいままでの報告では5人と把握しておる。ただ、先ほど申し上げたとおり、血液製剤投与の患者さんについては都道府県知事に届け出の義務がないので、それは除かれておる。

〇久保田委員 社会問題になり同時に政治問題になっておる問題ではあるが、十分把握されていない部分もあるようであるが、可能な限り実態の把握に努めていただきたいと思う。以上は意見である。
 次に、環境アドバイザー派遣事業2項1目に関しての質問である。
 このアドバイザーの活動については私なりに承知はしておるが、現状での委嘱されておるアドバイザーは何人あって、どういう関係の方々が委嘱されておるのであろうか。そして、最近の活動の内容はどうであろうか。
 アドバイザーの活動のあり方について、実は先ほど菊池委員が御質問して環境教育の問題を取り上げているわけであるが、アドバイザーの活動の範囲は現在の活動にとどまらず、学校教育の現場に出向いて積極的にその任に当たっていくことが最も適当ではないのかと思うわけである。よって、県が委嘱しておる現在のアドバイザーをスタッフとして各市町村に配置するように、そういう協力者が得られるような、そういう取り組みが必要ではないのかと思うのである。よって、環境教育の充実を図るという視点で今後のあり方を考えていただきたいわけであるが、アドバイザーのことについてお尋ねをした次第である。答えてもらいたい。

〇名須川環境公害課長 環境アドバイザー派遣の件についてであるが、現在、アドバイザーは18名の方に委嘱して地域で開催される環境問題、そういった研修会に講師として出向いただいておる。それで、この分野であるけれども、18名の方の中で5名の方が環境保全一般ということで、地球環境問題とか公害、そういった中でもそれぞれ得意な分野がある。食品とか健康、水、土壤、いろいろ分野が多いものであるから、そういった方々が5名である。それから、リサイクル生活排水対策、そういった方々が4名である。それから、快適環境それから環境美化、この分野の方が3名である。それと自然観察、自然保護、その分野の方が6名である。こういう形で今委嘱しておる。
 それで、いろいろ今この中で市町村事業として実施を図る考えはないのかという御質問であるが、市町村によっては独自にアドバイザーを招聘している事例もある。そういうことで、今後できる限り広範囲の分野から委嘱できるようなこととか、特にも地域におけるリーダー養成というものも必要だと考えておる。そういうことであるので、市町村から相談があった場合は積極的に支援してまいりたいと、そのように考えておる。
 それから、アドバイザー派遣実績をちょっとだけお話し申し上げるが、6年度研修会の回数が38回ある。派遣講師が38名、受講者が2、750名である。7年度が、これは見込みであるが、研修会が26回、派遣講師が26名、それから受講者が1、620名と、このような形になっておる。

〇久保田委員 アドバイザーの活動の範囲、これをもっと広めて、先ほど申し上げたように環境教育の分野で十分な活動をしていただけるような、そういう体制をつくっていくことが必要だと思う。よって、そのためには学校教育の分野で活動していただける道が開ければなお結構だと思うので、教育委員会とも折衝をしていただいてぜひそういう道を開いていただきたいと、こう思うのであるが部長の御見解を伺う。

〇緒方環境保健部長 この問題については私どもの環境アドバイザーを教育委員会に派遣するということであるので、教育委員会と協議をしてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 最後の質問であるが、決算委員会でも若干取り上げてきた問題である。広域的水道整備促進費補助に関しての質問であるが、既に岩手中部広域水道企業団のことについては承知をしているのであるが、予定をされておる胆江地域の事業の計画、どういう状況に現在なっておるであろうか。

〇藤田生活衛生薬務課長 胆江圏域の広域水道整備計画については、市町村からの要請に基づいて平成元年度において県議会の同意のもとに策定したものである。この計画による胆江広域水道用水供給事業については、胆沢ダムを水源とした日最大給水量4万3、500立米の計画で、平成2年度から事業が推進されてきているところである。現在は一応ダムの建設が進行している状況である。

〇久保田委員 平成元年にこの事業が採択になったことを今お話しいただいたわけであるが、実は岩手中部における問題点については、先般の決算委員会の際にもお話を申し上げたわけである。つまり、新たに事業を実施される胆江地域においては、岩手中部における問題点をやはり再現させないことが大事だと、こう思うのである。したがって、私が問題にしておるのは、当初計画よりも岩手中部について言えば利用率が半分程度にしかなっていないということ、公債費の償還が大きいということ、ダムの負担金が多かったということ、水道料金が高いということ、こうした問題を持っておるわけであり、同じようなことをやってはいけないと、こう思うのである。つまり、そのためには何がということになるわけであるが、国庫補助金のあり方、増額を求めることやできるだけ起債を少なくするということが観点としてなければいけないと、こう思うのである。ダムの負担金についてもそうである。言うなれば、広域施設の整備費の多くは配管費用にかかるわけであり、人口密度の低いところまで引っ張っていくという若干矛盾が生じる事業でもある。そういう意味からすると、広域の事業のあり方で本当にいいのかどうかという、経済面から言えばそういう問題の指摘もできるわけである。したがって、胆江地区における、水道整備促進の立場からすれば、ぜひ岩手中部において生じておる課題について解決が図られるような、そういう努力を、指導をしていただきたいと思うのである。そういう観点で御質問を申し上げた次第であるが、ぜひそういう意味で所見をお伺いしたいと思う。

〇藤田生活衛生薬務課長 岩手中部の状況については、私どもの認識としてはおおむね良好な状況で推移していると見ているわけであるが、先ほど久保田委員から御指摘あったように、胆江の広域水道については、国庫補助ができるだけ満額つくような要望等とか、それから県の現在行っている補助制度の推進等を図りながら努めていきたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 1項3目予防費、伝染病予防対策についてお伺いをする。
 昨年、盛岡市内の保育所を中心に集団赤痢が発生し、県当局を初め、関係者の方々においては防疫対策に全力をもって当たられたところであり、衷心から謝意を表するものである。赤痢と言えば最近余り耳にすることがなくなったが、昔はコレラと並ぶ伝染病の代表格であった。近年、県民の生活レベルが向上し、水道、下水道等の整備など衛生環境が飛躍的に改善されており、今日では散発的な発生はあるものの、集団の発生実例は久しく聞かないところであった。こうした状況の中において、赤痢とかコレラといった伝染病が、ややもすると忘れ去られている感がしてならないわけである。特に、若い世代においては、その傾向が顕著にあらわれておる。私は伝染病に対する関心の低下により、伝染病に対する油断と発生したときの対応能力の低下を心配するものである。伝染病は、昔に比べ量的には大幅に減少しておるが、伝染病そのものに対する考え方や対応の仕方が変わるわけではないと思う。折に触れ、若い世代を中心に啓発を続けていく必要があると考えるが、近年は海外旅行者の増大に伴い、渡航先で感染して持ち帰るいわゆる輸入伝染病がふえていると仄聞をしておる。
 そこでお伺いをするが、輸入伝染病といったようなものが、新たな感染源に対する対策も含め国内で発生する伝染病に対する予防対策について、県としては今後どのような対策を考えておられるのか御所見をお伺いする。

〇小笠原健康推進課長 伝染病の予防対策についてであるが、お話あったとおり、最近は大変激減をしておる。ただ、赤痢についてはまれに集団感染も見られるということ、それからその他について、赤痢も含めてであるが、国内でというよりは、全国的に特に半分ぐらいは大体海外での感染という実態であり、したがって、輸入伝染病の防止対策それから赤痢ということが重点になろうかと思っておる。輸入伝染病については、何といってもちゃんと知識を持っていただいて自覚を持って行動していただくということである。生ものなんかは気をつけるということである。それから、検疫所で異常がある場合は申し出てくれということである。ここできちっと申し出ていただき、水際でチェックをするということである。こういった観点で、旅券の発行室でパンフレット等を配っておる。今後、これらをもう少し市町村等にも配布して、若者が集まる機会、エイズなどとの関連もあるので、成人式その他で予防知識の普及が図られるように努力をしてまいりたいと思っておる。 また、赤痢については、食品関係とそれから特に幼稚園、保育所、要するに抵抗力のない方が多く集まる場合に集団発生をする。食品従事者については、検便とか啓発を行っておる。それから、これは引き続き実施をするが、特に今後は集団感染しやすい先ほど申し上げた保育所、幼稚園あるいは小学校あたりまでもう少し継続的にきめ細かに、防止というと手洗いの励行とかそういったことになるけれども、その辺のところをきちっと指導するようにしてまいりたいと、このように考えておる。

〇船越委員 前にも私これを申し上げていて、あっさりシャットアウトされたけれども、どうしてもあきらめ切れない。そこの隅っこに山崎権三という議長がおり、組合長時代に、おまえは真綿のごとくじりじりと締めてくる嫌なやろうだなと若いとき言われたことがあるので、最後まであきらめないで何回でもやるが、カキ殻、貝殻、これらが産業廃棄物ということで非常に目に遭っているわけである、漁業者は。ところが、この間もあっさりやられたが、工場の排水とかそういったものと違って99・9%石灰であるから、私、どうなっているんだと聞くとあっさりやられるから、私言うのは、何とか1カ月か2カ月天日にさらして、そして細かく砕いたなら一般廃棄物として取り扱うと、こうやっていただきたいということで私は申し上げたいが、普通、一般廃棄物でも貝殻よりはうんと汚れたものが詰まっているはずである。だから、貝殻等を砕いて間に敷きながら、混ぜながら捨てたらば、一般廃棄物、それ以上に非常にいいんじゃないかと、こう思うので、何とか今の法律を変えて、中央の方の法律を変えるように努力してもらえないかということである。

〇中村廃棄物対策室長 カキ殻の、あるいはホタテ殻、それの、産業廃棄物と船越委員おっしゃったが、実は厳密に申し上げると一般廃棄物である。事業系の一般廃棄物ということであり、したがって、事業者みずから処理するということには変わりないわけである。 それから法律を改正すると、99%石灰分であるということであるが、現在の法律の考え方としては、例えば陸上処理の場合は付着生物がついておるということで、砕いても、ある程度は天日乾燥すればちょっと違うかと思うが、腐敗をして悪臭公害が出てくるということが1点ある。それから、仮に海洋投入処分したらどうかということであるが、これも一定海域に多量に投入するものであるから、そういう意味合いにおいてはちょっとできない。ただ、一定海域に全然できないかというとそうでもなくて、海洋投入処分できる海域が実はある。これは距離的にかなりあり、三陸沖約330キロより東側というような海域がある。ただ、それはちょっと遠いものであるから。それで、確かに実態というか実情というか人情的にはわかるが、多量なものであるからちょっと具合が悪いということで、どうしてもということであれば、江刺に設置してある産業廃棄物センターを御活用いただきたいと思う。

〇船越委員 江刺まで持ってくるのは、なに、そういうことだったら聞かない。本当に100%石灰なものであるから、なに、そんなに害にならないはずなのに、何とかその辺を、マニュアルを上手につくって、こうしろというように指導していただけないか。佐藤次長も──この人は私より海のことは詳しいわけであり、非常に釣り場を探して歩いて、海のことは、沿岸のことはわかっている男であり、私の方をジロッジロッと見て、また始まったなというような顔をしておるが、何とかよろしく、江刺まで持ってこないように御指導をお願いする。

〇水上副委員長 世話人会の申し合わせにより、おおむね午後3時から10分間休憩することになっておるが、質問予定者が残りわずかであるので、このまま質疑を続行する。御了解をお願いする。

〇斉藤委員 簡潔明瞭に質問するので、答弁もひとつ簡潔明瞭にお願いする。
 保健所の統廃合問題について、母子保健を初めとする対人保健サービスのほとんどを財政保証のないまま市町村に担わせることになるのではないかと大変危惧をするものである。具体的に3点お聞きする。
 保健所の行っている対人、対物サービスは、具体的にどう市町村に移管されるのか。
 2つ目、市町村の保健センターの設置状況はどうか。保健婦、栄養士の配置状況はどうか。
 3つ目、保健所と保健センターの違いについて、運営主体、機能、設置義務、職員配置、業務内容、財政措置、それぞれについてお示しいただきたい。

〇押切医務課長 保健所の対人、対物サービスについての市町村移管のことであるが、地域保健法の制定により県から市町村に移管されるのは妊産婦、新生児に対する訪問指導、それから妊産婦健診、乳児健診、3歳児健診のほか一般的な栄養指導、こういうものが予定されておる。
 それから、対物保健については検疫所は予定されておらない。
 次に、保健センターの設置状況であるが、現在、県内35市町村に37カ所整備されておる。母子保健センターや老人保健センターという類似施設あわせると、57市町村に整備済みである。
 なお、未整備の2市町村についても、地区公民館等を利用して保健活動が行われているということである。
 それから保健婦についてであるが、現在全市町村に複数設置されており、合計356人が配置されておる。栄養士については、非常勤職員を含めて51市町村、75人が設置されており、未設置の町村については引き続き設置を指導してまいりたいと考えておる。
 次に、保健所と保健センターの違い等であるが、保健所は地域保健法によって都道府県等に設置が義務づけられておる。新たに広域的それから専門的、技術的な拠点としての機能が期待されているところである。また、保健所の職員であるが、医師である保健所長のほか必要な職員を配置して、いわゆる地域保健法に定められた業務を実施することとされておる。
 それから、運営に要する経費については地方交付税措置がされておるほか、施設整備に要する経費それから各種の保健事業等には補助制度もある。
 それから、市町村保健センターについては、同じく地域保健法によるわけであるが、これは任意設置である。身近な保健サービスを提供する場として整備されてきたところである。また、市町村保健婦等の職員の配置については、同じく人件費等の運営費については交付税措置されておるところであるし、また、施設設備整備費それから老人保健等の事業に要する経費については、助成制度があるということである。

〇斉藤委員 それで、ちょっと具体的に次はお聞きする。
 対人サービスは、ほとんどが市町村に移管される。市町村の保健センターでやられることになる。例えば3歳児健診の場合、盛岡市でこれをやれば保健婦が3人必要だと、事務職員が1人増員必要だと、こう言っておる。この予算、財源措置はあるのか。マンパワー、財源、この問題で交付税措置は何人されるのか。これが第1点。
 第2点は、新聞報道では届け出や免許許可申請はどうなるか。保健所が統廃合でなくなるところ、支所の場合、出張所の場合、これは窓口業務でできるのかどうか。また、先ほど回答があった巡回相談、移動保健所はどういう頻度で、回数でやられる見当なのか、これが第2点である。
 第3点は、大東町で月1回在宅心身障害児の定期的な療育の場としてどんぐり教室がやられている。これが支所になった場合に継続されるのだろうかと、こういう声が出ている。これについてお聞きをする。
 第4点、平成11年を目指して保健婦配置の目安はどうなっているか。これは厚生科学研究が発表しているそうであるけれども、岩手県の場合どういう保健婦の配置の目安になっているのかお聞きする。

〇押切医務課長 保健婦等の予算措置、交付税措置であるが、平均的に例えば10万で4人とか、そういう格好で交付税措置されているという状況である。それから窓口業務等、つまり申請等について支所でやるのかどうかというお話だったと思うが、これらについては現在のところ権限等についてこれから詳細に詰めていく段階である。

〇小笠原健康推進課長 厚生科学研究での保健婦の廃止の目安ということで、平成11年度ということで一応進めておるが、5、000人未満の場合は2人、1万人未満は4人、5万人未満は7人、10万人未満は13人ということで、10万人以上になると人口増に合わせて倍増するということである。これらの目安に従って、厚生省の方では交付税の方に盛り込んでいくと聞いておる。本県は全国的に保健婦の設置率が高くて、既にこの基準をオーバーしているところもあるが、半々ぐらいであるかと思う。いずれ、この目安に従って配置されるように努めてまいりたいと思っている。

〇斉藤委員 回答がないのは後から調べて回答してもらいたい。
 それで今保健婦の話で、10万人で4人の基準だと言って、私は市町村移管によって盛岡市は保健婦が新たに3人必要だと、事務職員も1人必要だと言っている。じゃ、この補てんはないのかと、そのことを聞いている。ないのであろうか。

〇押切医務課長 今度移譲される業務の補てんという意味のことでは、交付税措置では、例えば老人保健とかそれから母子保健とかという格好で例えば2人ふえるとか、そういう格好で補てんされるわけであるが、特別に補てんとして例えば助成、いわゆる補助金とか、そういうことは特に考えていない。

〇斉藤委員 私、ここに一番大きな問題があると思う。母子保健、3歳児健診などはみんな市町村に仕事は移るんだけれども、そのために必要な人員については措置されないと、財源措置されない、人的措置されない、これは本当に大変である。市町村の保健センターと保健所と全然違うのは、保健所というのは行政機関である、保健センターというのは単なる施設なのである。だから、人的配置基準がない。だから、いろいろな業務が市におろされて、それをやろうとすれば人を配置しなければならない。その財源は出てこない。私は、そういう点で、統廃合される地域で大変な不安、反対の声があるのは当然だと思う。私はその点で、やっぱり岩手県が、悪法に基づいてやらざるを得ないという側面はあるけれども、そういう問題をどういうふうに改善できるか、ぜひ後からお聞きをしたいと思う。 続いて、次の問題をお聞きする。
 現状の保健所がどうなるかということである。保健所の専門職員の配置状況はどうなっているか。その中には70人の保健婦がおるけれども、業務、処置はどうなるのか、その他の専門職員はどうなるか。
 3つ目は、10の保健所、2支所、1出張所の計画であるけれども、指定保健所は一関、宮古、盛岡、二戸の4カ所、このようになっている。その理由は何であろうか。北上、釜石が指定保健所から外れたのはなぜであろうか。
 輸入食品の検査は拡充されると報告があるけれども、どのように拡充されるのか。公衆衛生の仕事はどうなるのか。

〇押切医務課長 まず最初に、保健婦の必要な財源の措置の話であるが、このことについては、今までにもいろいろ国にも要望しながら市町村等の保健婦の財源措置というか、厚い措置について要望してきているところである。これからもそういうふうな要望をしながら、おっしゃったような趣旨に幾らかでも近づけるようなことをしていきたいと思っているところである。
 それから、後段の保健所の現状と統廃合についての質問であるが、現在、保健所の専門職員は、医師12人、保健婦70人、栄養士16人、獣医師25人、薬剤師24人、その他技術職員82人の計229人が配置されておる。現在、70人配置されている保健所保健婦の今後の業務処遇についてであるが、これは、保健所の機能強化を図る中でこれから具体的に検討を進めてまいるということになるわけであるけれども、環境保健部としては、少なくとも現状維持というか、それ以上にはしていきたいという意思はあるが、いずれこれから決まることである。
 指定保健所についてであるが、これは主に高度な試験検査を正確に、あるいは適切に行うための体制として敷いているわけで、御指摘あったように、現在6カ所ある。新たな指定保健所の箇所を含めて、体制については、4カ所という話もあったが、これから詰めてまいりたいということであるので、まだ定見を持っているわけではない。
 輸入食品の検査についてであるが、農産物の残留農薬検査、残留抗菌性物質検査等、高度な検査を伴うことから、従来から衛生研究所において行っているところであるが、今後においても輸入食品の県内での流通実態を踏まえて、衛生研究所、これは新しくなれば環境保健センターということになるけれども、ここで計画的に検査を実施していきたいと考えておる。

〇小笠原健康推進課長 先ほど御質問あった保健婦配置の目安であるが、現在の人口でカウントすると、11年では386人となっておる。現状は356人、30人の差があるということである。全国的には4年度で1万で、11年度2万、倍にしなければならないということであるが、本県ではその状況にはないということである。
 それから、先ほど押切課長が地方交付税の話で、標準団体10万で10人が7年度で手当てされているというふうな説明を受けている、はっきりこうだと明示されているのではないが、そういう状況である。

〇斉藤委員 それでは、最後にまとめてお聞きする。
 先天性代謝異常検査、神経芽細胞種検査の民間委託が検討されているようであるけれども、その理由は何であろうか。公的責任はそれで果たされるのであろうか。その場合、検査は有料とならないのであろうか。
 第2点、環境保健センターは、業務内容、機能、施設、人員、体制など、どう拡充される計画であろうか。
 第3点、保健所と福祉事務所の統合が行革大綱で提案されておる。厚生省は、県の出先機関の統合は必要性がないと考えるので、統合はやめろと指導していると言っている。また、社会福祉事業法に違反するのではないかという指摘もあるが、どうか。

〇押切医務課長 先天性代謝異常等の民間委託の件であるけれども、これは、要するに行革というか、県の行政の効率的な、効果的な執行、そういう観点もあるわけであるけれども、また、民間活力の活用というか、そういう観点もあるわけで、そういう意味でこの2つの検査を一応考えているという段階で、まだ具体的にそうしようと考えているところではない。これから考えていくことになるわけであるが、これは、いずれにしても新しい環境保健センターという整備を検討しているわけであるので、その検討の中でこういう検査、今までお願いしているもろもろの検査等はどうあるべきか、それから、新たにいろいろな課題が出てくるわけであるので、そういう課題にどういうふうに対応していくか、これは全体として人の問題、それから物──金──の問題ということもあるわけであるので、そういう中で検討してまいりたいと思っておる。御存じのとおり、環境保健センターについては、今年度、整備調査事業が平成8年度予算として御審議いただいているところであるので、この事業で、今申し上げたようなことを具体的に詰めてまいりたいと思っているところである。
 それから、保健所と福祉事務所というか、本県の場合は振興局、生活福祉部ということになるわけであるが、その統廃合について厚生省が反対している、こういうわけであるが、それはそのとおりかなとは思っておるが、いずれにしても、統合されるにしても、それぞれ保健所が地域保健法という法律に基づき設置されなければならないわけであるし、福祉の方も福祉の法律に基づいてその業務が運営されるということがあるわけであるので、そういう法律に触れないようにというか、そごを来さないような格好で統合されるということでなければならぬと思っているところである。

〇斉藤委員 結局、保健所の統廃合は自治体のリストラの対象になっている。私は、3つの点で保健所の変質がされると思う。1つは、保健所の所管地域が拡大をされる。2つ目は、保健所を保健管理事務所に変質させて、第一線のサービスは全部市町村に移管する、遠からず撤退する。第3は、保健所の保健センター化を進める。私はこういう点で、大変これは重大な問題だと。先ほど保健所に勤務する専門職員の現状を聞いたけれども、ぜひこれが自治体リストラの対象にならないで、本当に市町村を援助し、必要な仕事ができるようなことをぜひ考えていただきたい。
 最後に、私は部長にお聞きしたい。今度の保健所の統廃合が住民サービスの低下とならないとすれば、その根拠、対策をぜひ示していただきたい。

〇緒方環境保健部長 これは課長から説明をしたが、保健所のサービスの実施に当たっては、例えば精神や難病について、訪問指導については従来どおり地域で実施されるわけであるし、また、専門職の配置であるとか、機動力の整備等によって保健所の機能強化を図って、地域の実情に即して必要に応じて保健所から出向いて巡回相談をするとか、あるいは移動保健所を実施するなどして、この再編整備による住民サービスの低下とならないように努めてまいりたいと考えているところである。

〇水上副委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上副委員長 質疑がないようなので、これで環境保健部関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後3時14分 散 会


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