平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(長谷川忠久君) 増田県政が誕生して1年近く経過した今日であっても、私にとりまして最初の質問であるがゆえか、この場所から一般質問を行うことができることに大きな感慨を覚えます。
 昨年の春、政治と行政に精通した候補者を激戦の中で退け増田知事が誕生した要因は、私流に分析すれば、大きく分類し2つになるのではないかと考えております。1つは増田知事の若さへの期待であり、もう1つは時代の要請であります。約束された地位を捨て、郷土岩手のために政治の世界に飛び込んだということももちろんあると思いますが、県民は、経験不足、危うさ等を感じつつも、若さは10年後、20年後の後世に必然的に責任を持たざるを得ないがゆえに、うそをつけないということを敏感に感じ取ったのではないでしょうか。30年後であっても知事は70代前半であります。今の施策のよしあしが直接知事の生活にもかかわってくるのであります。その評価が政治生活を続けているであろう知事自身の評価となるわけでありますから、自分のこととして必ずや真剣に取り組んでくれるであろうと感じたのだと思います。その意味では、今に最大の努力を傾注しなければならないのであり、常に緊張し、県政に臨まなければならないことになります。県民は、若さを選択いたしました。21世紀が今よりも少しでも豊かに、少しでも明るい生活ができるよう、今にうそを言えない、後世に直接責任を持たざるを得ない若さを選択したのであります。そして、増田知事であれば必ずや我々の期待にこたえてくれると県民は注視しているのであります。今後、若さの特徴をどのように生かし、県政に臨むのか、この基本的姿勢をより具体的に全国一若い増田知事にお伺いをいたします。
 知事は、人々の価値観が揺れ動く中で、激しい変化、変動の時代に突入しつつあり、我が国の経済社会の先行きに不透明感が生じていると述べられています。昨年の地下鉄サリン事件や阪神・淡路大震災等、従来の常識を超える事件が不透明感を一層増幅させています。政治も不透明であります。不透明であるがゆえに、みずからのアイデンティティーやリーダーシップの欠如が私にはやたらに目につくわけであります。住専問題においても、金融システムの安定をと外国から迫られ、理解に苦しむ手続で解決を図ろうとしたり、領土問題で右往左往したりであります。冷戦後、世界が新しい秩序の構築を模索する中で、重要な役割を期待されている経済大国日本は、真の国際国家となり、国益を追求していかなければ、将来に大きな禍根を残すことはだれもが理解できるところでありますが、その世論に目をつぶり、わざと避けて通らなければならない政治、手段を目的化し、政権の維持に汲々とする政治、日本の国家像を示し得ない政治、このような政治に国民は内心じくじたるものを感じているのだと思います。このような不透明の時代、政治に携わる者が大胆に率直にそのロマン、哲学を国民に提示し、強いリーダーシップをもってその実現に立ち向かうことが私には時代の要請であると思われるのであります。
 知事は選挙戦を通し、夢県土いわての実現を訴えられてまいりました。なかなか夢を見ることのできない不透明な今の時代、県民は夢を見ながら生活のできる岩手県を創造するとの訴えに共感したのだと思います。手がたい行政執行もさることながら、岩手のアイデンティティーを確立し、あすのあるべき姿、未来像を示し得るリーダーシップを県民は望んだのだと思います。所信表明において、知事は、21世紀の岩手のあるべき姿とは、人々が生きがいを持ち、かつ安心して暮らせるような、躍動感あふれ、心豊かな地域社会であると述べられております。また、そのため、従来の発想にとどまることなく、自由で新鮮な発想のもと、地域の将来像や発展方向を考え、市町村との連携を図り、住民みずからの発想のもとに、行政はそれを積極的に支援し、地域の人々と一体となって21世紀に向けた理想的な地域社会を築き上げていくと決意を述べられています。夢県土とは、県民が夢を見ることができる地域社会であるばかりではなく、その実現のために県民が能動的に行動する地域社会でもあると信じます。夢県土実現のためには、県民の果たすべき役割はかなり大きいと思いますが、県民に何を求めるのか、また、不透明感の増す時代に、行政官としてではなく、政治家増田寛也として何をなすのか、そして、どんな責任を負うのか、所信表明よりも一歩突っ込んでお考えをお伺いいたしたいと存じます。
 次に、行政改革について2点お伺いいたします。
 私は、県議会議員にさせていただいて以来、県の政策立案機能を果たす組織に物足りなさを感じております。この件については上田前企画調整部長--現総務部長--と数度にわたり議論をしておりますが、改めて質問をさせていただきます。
 地方の時代が叫ばれている中で、岩手県はその特性、特色を生かした施策を立案し、岩手から国へ情報を発信し、県勢の伸長につなげていかなければなりません。情報を受信するだけでは事はおさまりません。情報を選択し、アレンジし、県の政策に生かしていかなければなりません。しかも国は、窮屈な財政の中で調整能力を喪失しているのであります。さらに、各部で完結するプロジェクトは少なく、多くは幾つかの部局に関連するものであります。企画調整部は、各部局にまたがるプロジェクトを調整する機能はあっても、企画し、政策を立案する機能は余りにも脆弱であります。例えばほくとう銀河プランの戦略プロジェクトへの素早い対応や意思決定は、今の組織では、無理と言わざるを得ないのであります。今の組織では戦略プロジェクトを導入する意思決定や素早い対応は知事からのトップダウン方式によるしかないのではないでしょうか。地方の時代は、地方の知恵を競う時代でもあるのです。このような時代には、不断に情報を受信し、選択し、発信する機能が必要であり、不断に企画し、政策を立案していかなければならないはずであります。昨年末の行政改革推進懇談会の最終報告に、企画調整部の事業実施的事務の他部への移管など、全庁的な政策形成機能と総合調整機能の充実のための方策を検討すること。また、今後、より広い観点から新しいプロジェクトを創造していくことが重要となるものと考えられることから、県の重要な政策決定を補佐する政策審議機能を充実強化することが必要であると述べられております。私はこの報告には賛成であり、企画調整部の全庁的な政策立案機能と総合調整機能の充実のための検討を急ぎ、時代にマッチした、他都道府県との競合にも打ち勝つような組織にすべきであると思うのでありますが、御所見を賜りたいと思います。
 行政改革の第2の質問は、保健・医療と福祉の連携についてであります。
 御案内のように、国においては、昨年末の障害者プランの策定により、新ゴールドプラン、エンジェルプランとあわせて3つのプランが始動いたしました。また、本県におきましても、地域における保健・医療、福祉サービスの供給側に対し、従来の画一的なサービスから、ニーズに即応するきめ細かな、より質の高いサービスを求める傾向が強まっており、保健・医療、福祉といった縦割り的なサービスから、相互の連携のとれた総合的サービスが強く求められているところであります。知事が所信表明でも述べておられるように、今、高齢化、少子化の進展に伴い、経済の活力の低下や福祉、医療などの県民負担の増大に対する不安が生じています。高齢化、少子化への対応、ノーマライゼーションの理念を基本とする思いやりのある福祉社会づくりは、県、地方公共団体ともに喫緊の課題となっているところであります。そして、具体的に数値目標を掲げた3つのプランの実現は、保健・医療と福祉の連携なくしては実現しないものであり、その達成のため、組織体制に切り込んでいく必要はだれの目にも明らかであります。しかるに、行政改革の基本的方策では、その方向性を明示はいたしておりますが、平成8年度の行政機構の整備については具体的なものはないように見受けられるのであります。保健・医療と福祉の連携について、今後どのように対処されるおつもりか、具体的にお答え願います。
 次に、県土の均衡ある発展についてであります。
 増田県政においても県土の均衡ある発展は最重要課題であることは所信表明でもかいま見ることができますし、特定地域振興室の設置はその意欲のあらわれとして高く評価するものであります。これまでの県政は、県土の均衡ある発展については、県北・沿岸部の特性、特色を最大限に発揮した施策により一層の発展を図っていくということでありました。確かに、総論的にいえば疑問を挟む余地はありません。しかし、県北・沿岸部の特性、特色とは何なのかと考えてみますと、第一義的には海であり、高原であります。水産業、農林業は国際関係の中で大きな転換期を迎えていることは御案内のとおりであり、一部の成功例はあるとしても、全体的にはこれら1次産業は、成長力のある他の産業を近未来においては凌駕する展望を開けないのであります。海洋開発においても、そのエネルギーや鉱物資源を利用するには相当の年月を要することは有識者の一致しているところであります。モーダルシフトが叫ばれ、海上の物流がこれからの主流となることは理解できるところでありますが、テクノスーパーライナー等、緒についたばかりであり、それに対応する県の施策も不明確であります。リゾートも、全国的には一服状態にあります。このように考えるとき、私は、特性、特色を考慮しつつも、思い切った政策誘導を行わなければならないと思うのであります。そうでなければ、内陸部と県北・沿岸部の格差は拡大し、これまでの政策の踏襲では抜本的な解決にはならないのではないかと憂慮するところであります。
 私は、スーパーハブ空港の誘致に本格的に取り組むべきであると思います。北上山系には壮大な高原があります。この高原を活用すれば、建設費も海上に建設する費用の10分の1以下で済むという試算もあります。一方、首都移転が政治的日程に上り、誘致合戦が展開され、南東北も有力な候補地となっているところであります。新首都とスーパーハブ空港をリニアモーターカーで結ぶことも可能になりつつあります。スーパーハブ空港の誘致により、沿岸空港、国際貨物基地の課題も一挙に解決することができるのであります。1次産業に依存した地域開発には、日本の経済の行方を考えるとき、限界があります。特定地域振興室においては、スーパーハブ空港等の県北・沿岸部の特性、特色を生かした骨格プロジェクトに取り組み、積極的に政策誘導すべきであると思いますが、御所見を賜りたいと思います。
 あわせて、県土の均衡ある発展、地域間の格差是正についての基本的なお考えを知事にただします。
 次に、当面する県政課題についてお伺いいたします。
 最初に、秋サケの漁獲状況と今後の対策についてであります。
 秋サケは本県の最も重要な水産物であり、その漁獲状況や価格の動向が非常に気になるところであります。今漁期は終了したところでありますが、県当局の発表によりますと、漁獲量は前年を上回ったにもかかわらず、水揚げ高は逆に前年を下回り、90億円にも満たないという状況でございます。かつて200億円を超える水揚げ高を誇った秋サケは今や見る影もなく、本県漁業の屋台骨は大きく揺らいでいますけれども、漁業者ばかりではなく、地域経済に及ぼす打撃が非常に大きいことを考えると、秋サケの魚価対策に取り組むことが喫緊の課題となっていると思うのでございます。このため、県や関係者が一丸となって消費拡大や付加価値向上に取り組んでいるところでありますが、魚価対策をより一層効果あるものとするためには、ポイントを絞った対応が必要であると思います。
 まず第1点は、サケの水揚げ高の8割を占める雌ザケの価格を向上させることが何よりも重要であり、イクラのブランド化を推進すべきであると考えます。幸い本県の秋サケの卵はイクラに適しており、技術的にも北海道に引けをとらない状況にあり、ブランド化の確立による魚価の向上が大いに期待されるところであります。
 第2点としては、消費拡大が重要であるので、その方策の1つとして、学校給食による魚食普及を大いに図るべきであると考えます。児童生徒に食べ親しんでもらうことにより、現在はもちろん、将来の消費拡大につながるものと考えます。
 さらに、第3点として、消費者ニーズを的確にとらえるとともに、付加価値の高い加工品の生産をすることが重要でありますので、水産技術センターや加工業者による新製品の開発を積極的に推進すべきであると考えます。
 ただいま私なりに二、三提言いたしましたけれども、この厳しい環境下で、秋サケの価格を安定させるために県はどのような対策を講じようとしているのか、林業水産部長にお伺いいたします。
 次に、JR岩泉線の問題についてお伺いいたします。
 本県の鉄道は高速性にすぐれ、県外との交流の大動脈である東北新幹線と県民の日常生活の維持や地域の発展に欠かすことのできない在来線等から成っており、それぞれに大きな役割を担っています。こういう状況下にあってJR岩泉線問題が発生したわけでございますが、現在、そのJR岩泉線の今後のあり方について、宮古地区広域圏鉄道対策協議会とJRとの勉強会が開催され、広範にわたる議論がなされていると聞いております。
 そこで県では、JR岩泉線問題について、今後どのように対応していくおつもりなのかお聞かせいただきたいと思います。
 次に、東北新幹線盛岡以北の整備に伴う並行在来線問題についてお尋ねいたします。
 東北新幹線盛岡以北については、盛岡-八戸間の平成13年の完成を目指して、フル規格による工事が順調に進められていると聞いております。言うまでもなく、東北新幹線は、日本列島の大動脈としての役割を果たすことはもちろんのこと、21世紀における我が国の発展を支えると言われております東北、北海道地方における新たな国土の軸を形成する重要な高速交通基盤として大きな効果を発揮することが期待されているところであります。しかしながら、その整備の大きな代償として、沿線住民にとって欠くことのできない公共交通機関としての役割を担うべき東北本線をJRから経営分離するという大きな課題を背負うことになったのであります。私は、東北新幹線問題が国家レベルで検討されるべき課題であるのに対し、並行在来線問題は県の交通政策を進める上でより大きな意味を持つ県政の重要課題であると思うのであります。県では、これまで沿線住民がこれまで以上に不便になることのないようにするとの立場を表明されてきておりますが、現時点において、同様の問題を抱えている他県の対応はどうなっているのか、国における検討はどのような形で進んでいるのか、そして、これらを踏まえて、県としては今後この問題にどのような方針で取り組んでいくのか、改めてお伺いいたします。
 次に、道路整備事業についてお伺いいたします。
 これまで県では、道路事業に県単高速交通関連道路整備事業や交流ネットワーク道路整備事業など、県単独費を重点的に投入して大変積極的に取り組んでこられました。この事業は、主として沿岸部と内陸部を結ぶ肋骨道路に膨大な県単独費を集中的に投資するという、全国的にも誇れる事業と確信するものであります。その結果、県都盛岡と県内各都市間の時間距離が短縮され、生活環境整備が進み、地域の活性化にもつながるなど、着実に整備の効果が上がっております。このような中で、知事は、平成8年度から従前の交通ネットワーク道路整備事業を見直し、新たな視点で総額400億円に上る県単独費を投入すべく、新交流ネットワーク道路整備事業に着手すると伺っております。県当局のこのような取り組みに対して敬意を表するとともに、一層促進されるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。しかし、事業を推進するに当たっては予算の確保が大変大事なことであり、財政の支援、予算の強化を強く望むところであります。御案内のように、沿岸部及び北上山系沿いの地域は高速交通網がいまだ整備されておらず、三陸縦貫自動車道等の一部が進められているとはいえ、内陸部に比べ自然条件や社会条件等の厳しい条件を抱えているため、地域の産業経済の発展がおくれ、所得等に格差が見受けられる現状にあります。また、増田知事は就任以来、広大な県土を有効に活用するためには沿岸地域と内陸部の連携が大変重要であるという御認識を常々示されているところであります。私は、沿岸地域と北上山地地域の発展にはまずもって道路の整備が必要不可欠な条件であると考え、新交流ネットワーク道路整備事業の積極的な推進に大いに期待をいたしているところであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、新交流ネットワーク道路整備事業の基本的な考え方は何なのか、また、計画期間内に新たに取り組む路線はどこなのか、今後の取り組み方針も含めて土木部長にお伺いいたします。
 最後に、県内医療機関の機能連携についてお伺いいたします。
 県内の市町村の中には市町村で開設している病院があり、さらには同一市町村の中に県立病院もあるといった市町村があります。その地域においては医療資源的には大変恵まれており、それはそれで大変結構なことであると考えるものであります。しかしながら、私が拝見いたしますと、そういう地域においてはそれぞれの病院がお互いに競い合っていて、ほとんど連携とか機能分担がなされていないように見受けられるのであります。県立の病院であれ、市立の病院であれ、それぞれが頑張って地域医療の確保に貢献しているということについては敬意を表するところでありますが、連携なり機能の分担をするならば、もう少し効率のよい医療を地域の住民に提供できるのではないかと考えるのであります。 ここで釜石市の例をとって申し上げるならば、県立釜石病院は病床数が272床であり、釜石市民病院は250床であります。このほぼ同じ規模の2つの病院が同じような内容で同じような医療を行っている。これをそれぞれが特徴を持った機能分担、例えば県立病院では高度医療やがん治療などの特殊な医療を分担し、市立病院では地域に密着した検診事業や保健活動を行うなどの機能分担を行うならば、もう少し効率的な地域医療ができるのではないかと思うのであります。
 こういった状況を踏まえて地域医療のあり方を考えるならば、県立病院においては、市立病院など、他の医療機関との連携と適切な機能分担を図り、地域の中核病院として施設、設備の充実を図り、その地域の医療のリーダーシップをとって指導的な役割を担ってほしいものであると望むところでありますが、このことについて医療局長の御所見をお伺いいたしまして私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 長谷川忠久議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政に臨む基本姿勢についてでございますけれども、私は、今日の我が国においては、人々の価値観が多様化をしている、またもう1つには、政治、経済、社会それぞれの分野で激しい変化、変動の時代を迎えていると、このように認識をしているところでございます。こうした状況のもとで、ただいまの議員の御指摘のように、若さの特徴を生かして県勢の発展を図るためには、1つには、これまでの考え方に固執することなく、過去にとらわれずに、新たな発想のもとに地域の将来像や発展方向を構想すると、こういうようなことが1つ。また、若さのもう1つの特徴は行動力だと、こういうことだと思いますので、それを果敢に実行するために行動すると、その実行力と行動力ということが肝要であると、こういうふうに認識をしております。このため、現在、県内外の各地に出かけておりまして、現場を大事にするというその発想のもとで地域の実情に直接触れるとともに、市町村はもとより、直接住民の皆様方とも語り合いながら、地域の課題の把握に努めることが一番重要だと、このように考えているところでございまして、今後とも、この上に住民に最も身近な基礎的自治体でございます市町村との一層の連携をも図りながら、住民みずからの発想そして主体的な取り組み、行動というものを積極的に支援し、魅力ある地域づくりに取り組んでまいりたいと、このように考えております。また、本県を取り巻く内外の経済社会情勢の変化に積極的に対応していくためには、やはり広域的な観点に立って、こうした市町村あるいは県同士さまざまな形の地域連携、交流を促進していくことが重要であると、このように考えているところでございまして、こうした新しい視点に立って、この豊かな岩手づくりに全力を挙げて取り組んでいく覚悟でございます。
 次に、いわゆる夢県土実現のため何をなすべきか等いろいろお尋ねがございました。21世紀に向けて理想的な地域社会を築き上げていくためには、やはり住民の皆様方お1人お1人の発想と主体的な行動を大切にしながら、行政というのはそれを後ろからしっかりと支え積極的に支援をし、地域の方々と一体となって地域づくりに取り組むと、そのような姿勢が重要であると、このように考えております。そのためには、それぞれの地域からいわゆる元気な人々が大勢出てほしいと、このように願っているものでございまして、また、実際に県内各地を回っておりますと、必ず地域地域で厳しい環境の中でも、いろいろな状況の中で頑張っている人たちに出会いをするわけでございます。そういう人たちこそが21世紀を活性化させる人たちであろうと、この岩手をつくり上げていく人たちであろうと、このように確信をしているところでございます。したがいまして、私といたしましては、ぜひとも県民の皆様方には画一的でない、地域地域でこうありたいという提案をどしどし出していただきたいと、このように願うものでございますし、また、四国に匹敵するような本県において、地域全部が画一的である必要は全くないわけでございます。また、そうした発想の上で、各地域地域において頑張っている方々のそうした意欲ある発想や取り組み、そうしたものがさらに実を結ぶように積極的に支援をしていくと、このような考えでこれからも行政を進めていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、全庁的な政策立案機能と総合調整機能の充実についてお尋ねがございましたが、地方分権の時代に向けまして、1つ1つの地方公共団体が自主性、自立性を高めて、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現していくためには、やはり地方公共団体も、まず、自らが施策を企画立案し調整を図りながら実施していくことが重要であると、このように認識をしております。このため、全庁的な企画調整を担っております現在の企画調整部の機構につきましては、現在、担当しているその中でも事業実施的な事務を他の関連の深い実施部門に移管をいたしまして、企画調整部の担当事務を可能な限り企画調整事務に純化することを基本といたしまして、平成9年度を目途として見直しを図るとともに、具体的な施策の推進を担うそれぞれの各行政部門におきましても、その企画立案機能を強化するための方策をあわせて検討していくこととしているところでございます。また、平成8年度におきましては、当面、県の重要な政策決定を補完しております現在、政策会議というものがございまして、この政策会議の運営に改善を加えたいというふうに思っておりますし、政策形成に関連した今議員からもお話ございましたような迅速かつ横断的な情報収集機能、これを強化するために、新たに政策調査監というポストを設置することといたしているところでございます。今後におきましても、このような地方の時代を迎えまして、地方公共団体における自らの企画立案能力が強く求められると、こういうような状況でございますので、そのより一層の向上に十分に意を用いていきたいと、このように考えております。
 次に、保健医療と福祉の連携についてでございますが、行政改革大綱におきまして、本県が直面をしております高齢化、少子化の進行などの状況を踏まえまして、その中では保健医療、福祉の連携を行政機構整備の大きな課題の1つとして取り上げておりまして、保健医療そして福祉サービスを総合的かつ効率的に供給するとともに、市町村の方における保健医療、福祉の施策を一元的に支援することができるような体制を整備するために、この行政改革大綱の中で保健医療部門と福祉部門の組織的な連携を強化していくと、このようにうたっているところでございまして、また、その方向で進んでいくこととしているところでございます。具体的には、本庁におきまして、現在の環境保健部の保健医療部門と生活福祉部の福祉部門との組織的な統合を推進するとともに、一方、出先機関の方におきましても、単独事務所として設置をしております現在の保健所と地方振興局の福祉部門との機能的な統合ができるような組織整備を進めるなど、本庁そして出先機関双方を通じた組織の整備を図ってまいりたいと、このように考えております。こうしたこれらの機構整備の具体化につきましては、現在平成9年度に実施をすると、この平成9年度実施を目途に、鋭意、その具体的なやり方について検討を進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、県北・沿岸地域の特性を生かした国家的プロジェクトの導入とそれによります政策誘導ということでございますが、この県土の均衡ある発展を図る上で長期的かつ多角的な観点から、それぞれの地域の特性に応じた施策を、それぞれの地域できめ細かく実施するということが必要であるということで私どもも考えておりまして、こうした上から国家的なプロジェクトの導入についても、内外の動向の把握に努めながら積極的に対応してまいりたいと、このように考えております。今、議員の方から御提言のございましたスーパー・ハブ空港というものにつきましては、これは次世代の超音速旅客機SSTの発着が可能となるような4、500メートル級の滑走路を複数有する国際拠点空港、こういうものを指しているものと承知をしているものでありますが、この超音速旅客機の実用化にはなお相当の期間を要すると、こういうことでございますので、この御提言につきましては極めて長期にわたる課題で取り組むべきものと、このように認識をしておりまして、そのような研究課題として受けとめこれから取り組みを進めてまいりたいと、このように考えております。
 また、県土の均衡ある発展の基本的な考え方についてでございますが、この実現を図っていくためには、それぞれの地域地域の主体的な取り組みのもとに個性豊かな活力ある地域づくりを進める、そして、それぞれの地域が地域ごとに自立的に発展していくということが重要でございまして、これを促進するために道路などを初めとする社会資本の整備ですとか産業の振興に努めるといったようなことで、そうした動きを積極的に支援していくことが大切であると、このように考えております。そして、こうしたことのために、来年度から新たに現在の企画調整部の中に特定地域振興室を設置いたしまして、県北・沿岸地域などの振興を重点的にそこで取り組んでいくということにしたほか、地域活性化事業調整費、各地方振興局ごとにいろいろなアイデアを凝らしてそれを進めていくような、その地域活性化事業調整費を拡充するといったようなこと、そして新たに地域活性化プロジェクト調査事業というものを起こしまして、そこでそれぞれの地域振興の核となるプロジェクトの創出に向けていろいろな調査を行って、そこで芽が出てきたものを実現の方向にさらに進めていきたいと、このようなことを考えているところでございまして、こうしたことをさまざま行いながらこうした各地域の取り組み、それぞれの地域の振興に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) 秋サケの漁獲状況と今後の対策についてお答えいたします。
 まず、秋サケの漁獲状況についてでありますが、今漁期の漁獲量は約4万4、000トンでございまして、量的には平年並みの実績となっておりますが、金額では御指摘がございましたように約88億円にとどまっておりますし、不振でございました昨年をも下回っておりますことから、漁業者ばかりでなく地域経済に打撃を与えているところでございます。このため、県といたしましては、秋サケの価格安定対策を構ずることが喫緊の課題であると認識しているところでございまして、これまで質のよい秋サケを水揚げするため、銀毛資源の造成や鮮度保持に取り組みますとともに、消費拡大を図るためサケ祭りや料理講習会の開催、また、学校給食や量販店への販路開拓、新商品の開発などに精力的に取り組んでいるところでございますが、今後は、議員の御提言をも踏まえ対策を一層充実してまいりたいと存じます。まず、秋サケの消費拡大を図ることが何よりも重要でありますので、学校給食を大幅に拡充したいと存じます。児童生徒が秋サケを食べる習慣を身につけることは、将来にわたる消費拡大につながり大変重要なことでありますので、これまで盛岡、釜石、久慈市などの小中学校において1年間に約2万4、000食の給食を提供してきたところでありますが、平成8年度にはこれを10倍に拡大いたしまして、全県の小中学校に広げたいと考えております。また、消費拡大を図るためには新商品の開発が重要でありますので、水産技術センターの開放実験室の利用の促進や青年の加工研究グループの活動を積極的に支援しているところでありますが、最近の成果といたしましては、骨粉入りのクッキーやサケと肉のソーセージなどが商品化されましたので、中骨罐詰に続くヒット商品として大いに売り出してまいりたいと存じます。さらに、秋サケの価格はイクラの価格に左右されますことから、議員御指摘のとおり、イクラのブランド化が重要でありますので、北海道のイクラに負けないようにブランド化を積極的に推進したいと存じております。また、岩手の秋サケを全国的にPRしていくことが大変重要でありますので、マスメディアを通じた宣伝を大々的に行ってまいりたいと存じますが、秋サケの価格安定対策を実効あるものとするためには、漁業者や加工業者など、関係者と一丸となって取り組むことが何よりも重要でありますので、関係者の英知を結集いたしまして総力を上げて取り組んでまいりたいと存じます。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) まず、JR岩泉線の問題についてでありますが、御指摘のとおり、岩泉線は通学、通院、そして通勤などに地域住民の日常生活の足として重要な役割を果たしておりまして、そのほかに観光や産業などを通じて地域の振興にも深いかかわりを持っていることから、その将来のあり方につきましては地域住民が納得し得るものでなければならないと、このように存じております。このため、県におきましては、昨年6月でありますが、JR盛岡支社から地元への申し入れについての報告がございました際に、同社に対しまして公共交通機関としての重大な責務を踏まえ、地元との間で十分な協議を尽くすように強く要請したところでありまして、一方、また、関係市町村に対しましては、県といたしましても、一層密接な連携のもとにこの問題に取り組むことといたしまして必要に応じて協議の場にも参加すると、そういうことを申し添えているところでございます。現在、宮古地域の7市町村等で組織いたします宮古地区広域圏鉄道対策協議会とJRとの間で協議が開始されているところでありますが、この協議におきましては、当面は両者が協力しながら運行本数やダイヤに関する現状や問題点などを明らかにする作業を進めていく方針が合意されるなど、共通理解の確立に向けた建設的な話し合いが行われているものと伺っております。県といたしましては、今後とも、両者間の協議の動向を注視しながら、地元との連携により必要に応じて協議に参加することも含め、地域住民の交通の安全性と利便性の双方を将来にわたって確保する観点から、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、東北新幹線盛岡以北の整備に伴う並行在来線問題についてでありますが、現在、全国におきましては、本県も含めまして整備新幹線3線5区間に関係いたします9県が、これまでの政府・与党申し合わせに従いまして、平行在来線のJRからの経営分離を受け入れた上で対応を検討しているものと承知いたしております。これらの県の中には、冬季オリンピックの開催に伴います北陸新幹線高崎-長野間の平成9年秋の開業を控えまして、長野、群馬両県におきましては先行して検討が進められておりまして、既に長野県内の軽井沢-篠ノ井間における第3セクターによる鉄道輸送の継続や、両県にまたがる横川-軽井沢間のバス輸送への転換等の方針が決定されているところであります。一方、国におきましては、本年中に予定されております整備新幹線全体のスキームの見直しに向けて、ことし1月から連立与党の整備新幹線検討委員会による検討が開始されたところでありまして、この検討委員会におきましては、建設財源や未着工区間の取り扱いに加えまして並行在来線や鉄道貨物の問題も取り上げた上で、8月の概算要求時までに新しいスキームの大枠を決定する方針であると伺っております。このような情勢を踏まえまして、県といたしましては、本県の並行在来線が地域住民の足として担っている重要な役割にかんがみ、長野県の例も参考にしながら、健全な経営のもとで現在の鉄道輸送サービスの利便性が将来にわたって確保されますように、沿線市町村や青森県と協議を重ねながら万全の対策を講じていきますとともに、特に本県の並行在来線につきましては、将来における鉄道貨物の取り扱いと密接不可分の関係にあることを十分に考慮いたしまして、これらの観点を踏まえた総合的な検討が連立与党や国において十分に行われますように、他の関係道県とともに強く働きかけてまいりたいと、このように考えております。
   〔土木部長帷子幸彦君登壇〕
〇土木部長(帷子幸彦君) 新交流ネットワーク道路整備事業についてでありますが、県土の均衡ある発展を図るためにも、地域の広域的な連携と交流の促進による自立的な地域社会の形成が必要であり、この連携・交流の基礎、基盤となる交通網の整備が重要な課題となっております。このようなことから、これまで県内の隣接する生活圏中心都市間相互をおおむね100分で結ぶことを目指しまして、交流ネットワーク道路整備事業などによりその整備を積極的に進めてきたところでありますが、国の第11次道路整備5カ年計画において、地域高規格道路の整備推進が主要な施策の1つとして打ち出されましたことから、平成8年度からはこの地域高規格道路など規格の高い道路の整備をこれに組み込みまして、新交流ネットワーク道路整備事業としてその整備を推進することとしたものであります。この事業の当面の計画期間は、3県総の後期計画に合わせ平成8年度から平成12年度までの5カ年としておりまして、県単独事業と国庫補助事業をあわせ推進し、21世紀初頭には3県総に掲げます県都圏と県内主要都市間を90分で結ぶ、いわゆる90分構想の実現を目指そうとするものであります。この事業で選定したルートは、地域高規格道路として指定されました宮古盛岡横断道路を初めとしまして、盛岡久慈連絡道路、それと大船渡遠野連絡道路など16ルート24路線となっております。さらに、これらのルートの最大の隘路となっている国道281号平庭峠、国道455号早坂峠、県道大槌川井線土坂峠、これらにつきましてもトンネル計画を含めて後期計画の期間中に事業着手するとともに、設定したルートのその他の隘路区間の解消につきましても、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔医療局長中村盛一君登壇〕
〇医療局長(中村盛一君) 県内医療機関の機能連携についてでございますが、議員御指摘のように、地域の医療機関が機能分担し、相互に連携し合って効率的な医療を提供するシステムによる整備を行うことが肝要であると認識いたしております。特にも、医療費抑制を基調とした医療改革が進展する中で、医療資源を初め経営効率や投資効果などの制約から、それぞれの医療機関が競い合って医療機能を拡大供与することはできなくなってきておる事情にございます。これからは、限りある医療資源を効率的に活用するため、地域の医療事情を勘案しながら、地域の医療機関がそれぞれの役割と機能を明確にして相互に連携し、住民の皆様方に良質で効率的な医療を提供していくことが必要であると考えております。医療局といたしましては、こうした基本的な考え方に立ち、病院の整備に当たりましては、地域の医療ニーズの動向や地元の他の医療機関の役割なども考慮に入れ、県立病院として果たすべき機能と役割を検討しながら整備を行っているところであります。特にも、地域の中核的な病院につきましては、医師の配置はもとより、施設や設備の充実を図りながら、病院の機能づけや特徴づけを進めているところでございますが、今後におきましても、なお一層努力してまいりたいと考えております。また、運営に際しましては、地域医療連携システムの整備促進を図るため患者の相互紹介や医療器械の共同利用、症例検討会への参加など、地元医師会や医療機関との日常的な交流を推進しているところでございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、渡辺幸貫君。
   〔20番渡辺幸貫君登壇〕(拍手)

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