平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇43番(佐藤正春君)自民党の佐藤正春であります。
 去る2月議会においては、病気入院中にて欠席をいたしましたが、知事並びに議長、同僚議員のお見舞い、激励を賜り、本席より厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 かつて、岩手は道の奥と言われ、日本のチベットとやゆされてまいりました。今、著名な旅行案内書を見ますと、確かにチベット自治区は世界の屋根と呼ばれ、ラサ市で海抜3、800メートルありますが、成都より毎日2便、北京、広州よりは週1便の飛行機が飛び、山頂には468室もある近代的なホテルが建ち、レストランでは各国人の口に合う食事ができるとあります。我々が病院でしか経験できない酸素ボンベが各ルームに用意され、快適な生活、すばらしい旅行が楽しめるチベットなのでございます。今や世界の屋根までも開発され、自然を克服した生活がなされ世界じゅうから観光客が来るのであります。日本のチベット、岩手県はいかがでございましょうか。
 知事はさきに、3県総後期実施計画を策定され、21世紀につながる県勢の発展の方向を明らかにされたわけでございます。私は、この後期実施計画の計画期間のスタートに当たって、特に本県の経済開発に関する知事の考えをお伺いしておきたいと存じます。
 知事は、去る2月の予算議会において、総額8、071億円余に上る大型の8年度一般会計予算案を提出されました。その際、厳しい財政環境にありながらも、積極的に諸政策を盛り込んだと述べられたのでありますが、私どもも景気動向への配慮や、高齢化社会の到来を目前にしての基盤整備推進の必要性にかんがみ、この積極予算を了として、その成立に賛成申し上げた次第でございます。しかし、財政力の伴わない本県にあって、この積極性を支えるのは、歳入の15%を占める県債であることも見据えておかなければなりません。この件についても、議会において論議のあったところでございますが、端的に申し上げるならば、県民の借金は7年度末残高で7、036億円と、県の年間予算に匹敵する巨額に上っております。例えて言えば、1年間本県が何もせずに、給料も払わない、じっとして返済だけに予算を充てねばならないといった事態に至っているということでございます。また、県民1人当たりにしますと約50万、4人家族では200万という大変な額になります。県内で、最も豊かな盛岡の勤労世帯の平均月収が約55万円でございますから、家族が4カ月間飲まず食わずでやっと返済できる額でございます。もちろん、県債収入によって整備された社会資本は後世に残る財産でございますから、公債費の増大による財政の硬直化によって行政サービスに影響が生ずるようでは、後期実施計画に言う豊かな長寿社会が果たして構築できるのか、いささか不安になってまいるのでございます。まず、こうした財政事情をどのように認識されておられるのか確認をいたしておきます。
 また、財政の健全化の必要性については今までも御答弁がありましたが、具体的にお示しを願いたいと思います。
 また、知事は、景気は底にあり、将来的には税収増が期待できると述べられましたが、このことは、単に希望的観測をもって予算編成に当たられたわけではないでしょうから、その根拠について財政当局にお伺いしておきます。つまり、知事が述べられた県税の増収がいつからどのように見込めるのか、その条件は何なのか、明らかにして県民にお示しを願いたいと思います。
 景気回復による税収増といいましても、座して景気回復や自然増収を待つということではもちろんないはずでございまして、本県は県債の償還のみならず、緊急の課題としておくれている社会資本の整備になお積極的に取り組む必要があることから、経済開発を進め税の増収を図っていくことが本県の財政上の最大の課題であると思い、今までも御提言してまいったところでございます。その課題にこたえるためには、企業の活性化を図り、新しい産業を興し、リゾート開発を進めるなどして雇用の場を拡大し、本県の経済力を高めていかねばならないのであり、これは当然に所得水準の向上を図ることになるのですが、後期実施計画を見ますと、国際的な視野に立った地域経済の構築という国際環境との関連からの視点は確かに掲げられているにしても、さきに述べました本県の基本的な経済開発に対する積極性はどこにも示されていない、これはまことに残念でございます。
 去る2月29日の経済企画庁が発表した1993年度の県民所得推計によると、1人当たりの県民所得は全国平均で303万7、000円となり、岩手県は237万5、000円であり全国47都道府県中40位となっております。これでは、胸を張って県民の所得の向上に頑張ったなどと言える立場にはございません。私自身は、県議会議員としていささか恥じ入るものでございます。私の手元には、本県の大規模開発行為指導要綱に基づいて事前協議が終了した開発面積は、ゴルフ場が0・04%、スキー場が0・01%となっております。この数字は、他県と比較してまだまだ開発と言えるものではございません。岩手県は、いまだ開発途上県であり発展途上にあり、所得水準の向上と格差の是正こそが県政の基礎的な課題であります。昨年の6月定例会におきましても、私はこの観点から、新知事のもと、所得水準の向上にどう取り組むのか当局の考え方をただした際、担当部長は、本県の恵まれた環境や生活空間を大事にしながら、県内各地域が持つ発展可能性を最大限に引き出し、経済活動の活発化と生活環境の整備の充実を図ることにより、地域の個性や特色を生かした活力に満ちた地域づくりを進めることが極めて重要であると、こう答えておりますが、何ら具体性に乏しく、県民とともに失望したところでございます。前段にも申し上げましたが、知事は、本県の経済開発に関してどのようなお考えをお持ちかお聞かせ願います。
 さて、これまで県当局は、本県は大いなる発展可能性を秘めていると、こう言ってまいりました。県内各地域の持つ発展可能性を最大限に引き出すと、こう言っているわけでございます。しかし、このときの答弁では、それに先立って、本県の恵まれた環境を大事にしながらとも言っているわけでございます。人類の進歩は自然との戦いであり、自然を克服することにより生存し、進歩し、民族の文化をつくり上げてきたわけでございます。そのことはまさに自然破壊なわけでございます。21世紀を目前にして、地球を守り自然を子孫に残そうとする思いは一番大事なことであり、私自身もだれにも負けるものではございません。知事が標榜されている人と自然との共生という視点では、私も共感いたします。あるいは共生というよりも、むしろ自然の中で、自然の一部として人は生かされているというべきかもしれません。したがって、本県の豊かなる自然環境の保全には十分配慮すべきでありますが、一方、本県に生きる人々の所得水準、生活向上に思いをいたせば、本県を発展途上県と位置づけ経済開発もまだまだ進めていかなければならないことは、およそ県政に携わる者の共通の認識であろうと、こう思っているわけでございます。ここに、開発と自然保護との調和という、古くて新しい重要な問題があるわけであります。
 そこで、この問題については、さきの2月定例会一般質問で中屋敷議員がただしたところの雫石町国見地区開発計画問題を一例として、私なりにお尋ねをしてみたいと存じます。
 国見地区スキー場開発計画にかかわる経過は、中屋敷議員が詳述をされているので繰り返しは避けますが、県は、平成5年から国見地区自然環境保全特別調査を実施し、その調査結果を本年2月、県自然環境保全審議会に報告し、当審議会は、その調査結果に基づき、開発は好ましくないものと思われるとの意見をまとめ、県はその意見を尊重すべきものであるとした結果、事実上、この開発計画にストップがかかったというのが大筋でございます。
 まず、この特別調査の実施に対して当局にお伺いいたします。
 改めて言うのもはばかれますが、法治国家においては権力の行使、行政執行は法令に基づき、公正性、公平性が確保されなければなりません。言うなれば、ある結果を得るためにどのような行為が必要か、ある行為をなせばどのような結果を得ることになるのか、あらかじめだれもが知り得、だれもが同様に取り扱われるということではありませんか。であるならば、今回の特別調査はあらかじめ予定されていた手続ではなくて、まさに特別に実施されたもので、公正性、公平性に欠けるものであると私は思うのでございます。一体どのような法的根拠、公共上の必要性において実施されたのでございましょうか。確認をしておきたいと思います。
 私の調査によると、自然環境保全特別調査委員会なるものは、法的な根拠がなく知事決裁で実施いたしております。時の知事は工藤知事でございます。平成5年7月28日、資源エネルギー課が知事決裁をとり、9月2日、自然保護課が特別調査委員会を設置したとありますが、この特別処置は何らかの特定の圧力があったと思われるなど、まことに不自然な形の設置でございます。法的な根拠もなく、何ら特別な権限も有しないものが大手を振って法を抑え込むような事態は、私は一県民として納得できません。さらに、先般配布されました岩手県環境保全計画を拝見しまして、この中で知事は、広大な県土に内在する可能性を積極的に引き出すとあり、大いに県土の活用をうたい、第5節、環境の保全と開発との調整をごらんになってもわかるんですが、12ページの計画の推進の中にも、岩手県環境審議会、自然環境保全審議会を通じて県民意向の反映に努めるとあり、どこにも自然環境保全特別調査委員会の答申や意向によると書いていないのでございます。ごらんになっていればわかると思います。また、県は、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づき、一定の開発主体に関しては環境影響評価を義務づけております。この現行要綱では対応が十分でないという判断があるならば、要綱の改正など、制度の整備が先にあるべきではございませんか。
 中屋敷議員の質問に対する答弁では、適用範囲、環境影響評価の対象範囲について要綱等の見直しを検討するとのことでございましたが、その後の検討状況をひとつお聞かせ願いたい。
 川口雫石町長の御要望においては、この開発は周辺住民の賛同のもと、所要の手続を経て地域振興の重要施策として進めてきた経緯があり、今回は自然環境保全のみを取り上げた判断であり、均衡ある県土の発展を掲げる政策が欠落していると、こう申しております。県自然保護地域でもないのに、町長としては納得のいかない点については私も同様でございます。4全総の考え方の中には、雪を利用した産業興しがあり、利雪を確立し雪と調和した地域づくり、つまり今まで雪害で悩まされたものを利雪として活用し、町内地域住民の雇用所得の向上を図ることは地元の町長としてすばらしい政策ではございませんか。市町村を大事にする新知事には、善政を決断されんことを期待するものでございます。また、これまでは、県営ダム建設工事等の大規模公共工事は環境影響評価の対象外であったわけでございます。しかしながら、県土の環境保全を最優先にし万全にするためには、国見スキー場に限らず、これらについても影響評価を実施すべきであると考えますが、いかがですか。この要綱の施行後に行われた公共工事で、現実に環境に影響を与えたものはありませんでしたか。
 以上、特別調査の実施の根拠、大規模開発要綱の改正が先だったのではないかという点、要綱等の見直しの検討状況、公共工事の環境への影響の4点について、ひとつ部長、しっかりと答弁してください。
 また、公共工事の環境への影響に関連して、胆沢ダム周辺地域には県指定の天然記念物のユキツバキ、特別天然記念物のニホンカモシカ、指標昆虫のハッチョウトンボなど貴重な野生生物が生息しているところであり、この巨大ダムによってその生息環境を壊してしまい、また、水系の生態系を破壊、淡水魚の死滅、土砂や栄養分のせきとめなど、悪影響が予想されるのでございますが当局は調査しましたか。また、今後、調査する考えがありますか。また、雫石のように特別調査委員会を設置する考えがございますか。ひとつこの点について明確にお答えを願います。
 さらにまた、環境保健部長、あなたは読者の広場誌──これは県庁の本かな──読者の広場誌の中で、人づくりと人の生かし方は、21世紀の岩手を開く1つのかぎであると、こう述べておられますが、これもひとつ関連して御見解を賜りたい。
 本県は、まず自然を守る、まったく住民等の反対がないときだけ例外的に開発を認めるという基本姿勢をとるならとるでいいと思います。それを宣言し、手続を明確にすればいいわけでございませんか。そして、経済的、財政的には国の庇護のもとにやっていくという覚悟を持てばいいのでございます。しかし、それでは知事のいわゆる地域の自立はおぼつかないし、本県に発展可能性などなく、発展不可能性しかないということになると思うのでございます。この点、知事のお考えもあわせてお伺いしておきます。
 次に、県政の今日的課題について二、三お尋ねいたします。
 まず、県政懇談会についてでございますが、去る6月13日は平泉町において県政懇談会があり、私も参加いたしました。知事から、親しく町民に県政への理解と参加が述べられ、さすが先代増田盛先生の地盤でもあるところでございまして、この息子知事に対して大変な人気でございました。次に、武居企画調整部長から、部長が立ちまして、何でもやりますからぜひ御提言くださいと、こういうふうに胸を張って、何でもやりますからひとつ御提言くださいというごあいさつでございました。後から私は参加者から聞いたんですが、やっぱりあの部長に比べて並んでいる県議会議員はちょっと、ケェネもんだなと、こういう感想でございました。部長、ケェネってわかりますか。ケェネというのは、部長が頼もしくて、並んでいる県議会議員は頼りないと、こういうことですよ。そういうふうに言われたんです。私が言ったんじゃない、あたりが言った。
 知事は演述の中で、私は常に県民の皆様と語り合うことを基本としながら、また、住民に最も身近な行政を担っている市町村との連携を図り、多様な施策を積極的に展開してまいりますと述べておられます。これは知事演述でございます。県政懇談会は古くは千田知事、中村知事、工藤知事時代から続いており、前工藤知事が病気がちであったためもあり、増田知事の若さと行動力が特に際立っております。平成7年度は27回、多いところでは衣川村の250人、少ないところでは久慈、一関、田老、矢巾、東山、東和、一戸が80人の参加でございます。ちょっとこれは寂しい。寂しいような気がいたします。意見や提言の反映状況を見ますと、全提言数は990件で、そのうち8年度の当初予算に計上したものを含め措置したものは405件で41%、実現に向けて努力しているのが26・7%、実現困難が32・3%となっております。実現が41%、実現に努力が26・7%、合計しますと67・7%、まさに県民の要望が7割近く満たされているということは、県政を担う私も1人として高く評価をいたしたいと思います。
 私はここで、平成8年4月15日、県内紙の声欄に投稿された一文を御紹介いたします。
 玉山村在住の布台ミチさんという69歳の方です。書き出しは、県政懇の要望速やかに対応となっており、一部省略いたしますが、国道455号に沿って流れる外山川は、かなり前から縁が崩れてその土砂が外山ダムに流れ込むばかりでなく、周りの牧草地も少しずつ侵食されて土地の所有者は困っておりました。私ども玉山村婦協は、昨年11月、玉山村において県政懇談会が開かれた際に増田県知事への提言として、早急に調査し、外山川べりの改修をお願いしました。知事は、早速調査して可能な限り早く対処すると話しておられましたが、今外山川の改修工事が進められております。私どもの提言を早速取り上げていただいたことに感謝申し上げます。
 こう結んでいるわけですが、一部省略しましたが、何と心温まるすばらしい出来事でございましょう。私は、仁徳天皇の民のかまどの煙りを思わせるものであると感じたわけでございます。と同時に、地元の県議会議員や市町村に頼まなくても、何でも懇談会で頼めばやってくれるとの認識を県民は持つのではないかと実は危惧するわけであります。心配しているわけでございます。
 そこで、胸を張って何でもやってやると、こうごあいさつした武居企画調整部長に伺いますが、あなたは、何をやるにしても上からのお仕着せではいけないと、こう心構えを述べているようですね。さきに私が申し上げました知事演述の趣旨というものを承知しておりますか。承知しておるならば、このような場合、地元の市町村との連携、政策の整合性はどうなっているんでしょうか。また、地域振興に日夜取り組んでおられる地元県議会議員の課題調整はどうなっているのでしょうか。御存じのとおり、議会制民主主義とは、県民の利害、要望を地域選出の地元議員が吸い上げて議会に反映させる、実現させるシステムでございます。行政当局の対応いかんによっては、議員が無視され議会軽視にもつながりかねない危険性がありますので、あわせて私は明快な答弁をお願いします。
 また、せっかくの機会でございますから、特に新しい部長さんがおいででございますので、各部局の責任者である部長にもひとつこの点を伺っておきたいと思っております。また、先ほど申し上げました広報の結果、余り集まっていない県政懇談会のあり方についてもひとつ今後お伺いしていきたいと思います。
 次に、県立病院等事業経営計画についてお尋ねをいたします。
 国では、21世紀の少子・高齢化社会に対応して、医療法等の諸制度の改革が進められておるようでございます。全国を上回る高齢化が進む本県でも、医療をめぐる環境の急激な変化に的確に対応していくことが求められております。このたび、平成8年度から5カ年の県立病院ヒューマニティー21計画を策定されたことに敬意を表するものでございます。今回の経営計画策定に当たって、まず医療局長の基本姿勢、医療局長、基本姿勢を伺います。新任の局長でございます。
 次に、経営計画の中にある部門別計画について明らかにしていただきたいと思います。 第1に、マンパワー計画では、期間内に医師及び看護婦等看護部門を中心に273人の増員を図るとしております。しかしながら、県立病院の人材の育成と職員の創意工夫が重要で、現在いる4、700人余りの職員の能力をどのように生かすかが必要ではないかと思いますが、それでも不十分な場合には増員も必要と思います。増員する場合の基本的な考え方をお示しください。
 次に、平成7年度の県立病院決算は、7年ぶりの黒字決算であると承知いたしております。関係者の努力を多といたします。しかし、収支計画では、累積欠損金が平成12年度で99億円に達し、主たる収入の診療報酬の大幅な伸びが期待できない現状では、累積欠損金の改善は厳しいと思います。今後、県民医療の確保という公的な使命とともに、企業としての健全な経営を行うという相入れないような困難な目標を抱えながら、どのようにして県営医療を継続的に推進していこうとするのか、このお考えも伺っておきます。
 次に、県立病院における紹介外初診時負担額についてお尋ねをいたします。
 この問題につきましては、先般、医療局労働組合からも陳情がございました。本年4月の診療報酬改定において、特定療養費制度の拡大が行われ、200床以上の病院において、いわゆる紹介外初診時負担額を初診の患者さんから県立病院でも徴収できるということになりました。医療局でも、この制度により8月1日から徴収しようとしております。私は、この制度の導入については一定の理解を示すものでございますが、この制度の中にある特別の料金を徴収しない場合として、緊急やむを得ない事情がある場合とはどのような場合なのか。また、医療機関の少ない地域の患者さんや社会的弱者に対して、どのような配慮がなされているのかを伺っておきます。また、先般、反対の立場に立つ──反対の陳情も出たように聞いておりますが──反対の立場に立つ医療局労働組合との対応について、今後の話し合いについて、この点についてもひとつ伺っておきます。
 それから、最後になりますが、私はかつて役人のいわゆる天下り、この天下りも国からの天下り、それから県からの天下り、──その下はないかな。天下りがあるわけでございますが、この天下りこそ地道に頑張っているところの職員のやる気をなくし、なれ合いが日常化しスキャンダルのもとになると議会で再三警告してまいったわけでございます。知事も、職員の資質向上と士気の高揚を図り、綱紀を厳正に保持しながら多様化、高度化する行政需要に積極的に対処しますと厳しく述べておられます。中央では、今問題になっている大蔵省と銀行、住専の天下り、厚生省と製薬会社あるいは中央官庁と地方県庁の天下り、役人同士の官官接待と目に余る状況にございます。本県では、昨年度は行方不明の職員を初め、4月の土地開発公社の川村寛氏の贈収賄事件、宮古地方振興局生活福祉部職員による横領事件と、いずれも知事の決意を逆なでするような事件続きでございます。特に、土地開発公社では、歴代県幹部が天下り、いずれ一生懸命やっても公社の職員にはトップの望みがない、何ぼ一生懸命やっても偉くなれないとすれば、何かしらの気の緩みが出るのも当然のことと思われます。まさに、天下りのあしき例でございます。同様に、住宅供給公社、信用保証協会、中小企業振興公社、農地管理開発公社、肉牛生産公社、林業公社、競馬組合、この中には黒いうわさが絶えないところもあるわけでございますが、これら各公社等への現在の天下りの実態状況はどうなっているでしょうか。また、土地開発公社のような不正がなされた事実はないでしょうか、カラ出張など。明らかにしていただきたいと思います。
 また、さきに問題となった土地開発公社の新理事長も、今後、天下りを予定しておられるのかどうかも、あわせて伺っておきます。
 私の手元には、1通の手紙が来ております。平成8年3月9日未明、林業水産部の運転手が飲酒後運転してタクシーに当て逃げ、周りに損傷を与え知らんぷりということでございます。上も上なら下も下との県民からのきつい御批判でございますが、ことしになって50人以上の交通事故死亡者を出している本県において、率先して守らなくてはならない県職員にこのような事実がありましたか、林業水産部長の責任において、経過と結果についてお答えください。
 なお、警察当局において取り調べをしたかどうかも確認いたしたいと思います。
 以上で私の質問は終わりますが、答弁漏れのある場合には、議長の御配慮をいただきましてただしてまいりますので、答弁漏れのないように簡潔にお答えを願いたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君)佐藤正春議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、本県の財政事情の認識と財政の健全化についてでございますが、ただいま御指摘のありましたように、本県の財政は、平成7年度末で7、036億円余りに及ぶ県債の発行残高を抱えております。また、現下の経済情勢から、歳入面では県税収入や地方交付税の伸びに多くを期待できない状況にあります一方、歳出面でも、義務的な経費である公債費の増加が今後とも見込まれるなど、大変厳しい環境下にあるものと、このように認識をいたしております。したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、財政の健全性の確保を基本としながら、公債費の増高等によりまして財政が硬直化をし、将来の財政運営に支障を来すことのないように配慮することが肝要であると、このように考えております。
 このため、歳入面におきましては、新産業創造支援施策の積極的な推進などによります地場産業の振興や優良企業の誘致、観光の振興などによりましてこの税源の涵養を図り、自主財源の一層の拡充に努めるとともに、国庫補助事業の効果的な導入を図るほか、県債につきましても、できる限り償還時に交付税措置のある優良な起債の活用に努めながら、国に対しましては、地方債に依存する地方財政対策を回避をして、地方一般財源の安定的な確保を図るように強く要望してまいる考えでございます。
 また、歳出面におきましても、行政改革大綱に基づき行財政運営の徹底した見直しによる経費の節減合理化を進めるとともに、事業の緊急性、優先度を見きわめながら、限られた財源の有効活用を図るなど、財政の健全性の確保に最大限の努力を傾注していく考えでございます。
 次に、経済開発についてでございますが、本県におきましては、高速交通幹線を初めといたします総合的な交通網などの基盤整備や先端技術産業の立地、各種試験研究機関の整備などによりまして産業経済活動が活発化をする中で、県民の所得水準も向上し、人口も増加に転ずるなど、全体としては県勢は着実に発展をしてきているというふうに考えております。しかしながら、本県の所得水準が全国との比較ではなお低位にあることは、ただいま議員の御指摘のとおりでございまして、今後一層、各地域の産業振興を図りまして、県民所得の向上に努めていかなければならないものと、このように認識をいたしております。
 このためには、引き続き産業経済活動の基盤となります社会資本の整備充実に努める必要がありますので、東北新幹線の盛岡以北、高規格幹線道路、地域高規格道路などの交通網の整備や、高度情報化の急速な進展に対応した情報通信網の整備を進め、また、下水道整備などの良好な居住環境の形成や都市機能の一層の充実、教育環境の整備などによりまして地域全体としての住みやすさ、暮らしやすさを高めてまいりたいと、このように考えております。
 このような社会資本の整備と相まって、産業振興につきましては、これまでもテクノポリス、リゾート、地方拠点都市、頭脳立地などのこの各種の産業振興に関する地域指定を受けるなど、それぞれの地域の特性に合わせたきめ細かな施策の展開を図ってきたところでございますが、これらの施策の一層の推進に加えまして、さらに優良な企業の誘致、地域独自の技術などに立脚した内発型の工業振興、コミュニティー機能を備えた商業集積、本県のすぐれた自然や文化遺産を生かした観光の推進、地域特性に応じた収益性の高い農林水産業の振興を図るなど、各産業の活力ある発展に努めてまいります。
 さらに、本県産の製品や農林水産物の品質を高めまして、これらのブランド化を進めるとともに、これらと相まって本県の一層のイメージアップを図り、情報発信を強化するなどによりまして、国内外の地域間競争に耐え得る地域経済を構築してまいりたいと、このように考えております。
 次に、開発と自然環境の保全との調和についてでございますが、人々が生きがいを持ち、そして、安心して暮らせるような自立的な地域社会を築いていくためには、生産基盤や生活基盤の整備などが必要でございまして、そのためには、地域の開発、振興も大切な要素であると、このように考えております。
 一方、国民の価値観が物の豊かさから心の豊かさやゆとりというものを求めるようになってまいりました今日におきましては、人々が自然の豊かな恵みの中で伸び伸びと豊かな心をはぐくむ社会を実現するために、自然環境の保全が大切な課題でございまして、また、本県のすぐれた自然を将来の世代に引き継いでいくことも私どもの重要な役割であると、このように考えております。したがいまして、保全すべき環境はしっかり保全をするとともに、開発が必要な場合は、自然環境に十分配慮しながら計画的に進めていくという、このような姿勢が必要であると、このように考えております。21世紀に向けての本県の発展可能性は、この豊かな自然とどう共生していくかということにかかっていると、このように考えているところでございます。
 このようなことから、本県の自然環境の適正な管理を行うとともに、開発と自然環境の保全との調整が十分図られるようにするために、自然環境の実態を明らかにしまして、即地的にこの保全目標を設定する自然環境保全指針の策定に着手をしたところでございます。
 また、それぞれの地域が、その特色を生かして発展を遂げていくためには、自然との調和を図りながら、独自の創意工夫や実行力を持って、さまざまな取り組みを展開していくことが必要でございまして、県といたしましても、地域の意向を十分に踏まえて、必要な支援を行いますとともに、人と自然との望ましい共生の実現に一層努力してまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)まず、県税の収入見通しについてでありますが、我が国の経済は、平成7年9月に決定された過去最大規模の経済対策など国の切れ目のない経済運営により、公共投資の増加とともに、個人消費や民間設備投資に緩やかな回復の動きが見られ、一方、県内経済においても乗用車販売が堅調で、住宅建設、公共工事及び鉱工業生産も前年水準を上回って推移するなど、景気は、一部に弱い動きが見られるものの、基調としては緩やかながら回復の方向に向かっているところでございます。
 また、今年度からは、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画がスタートし、さらに、県内における国の大型公共工事も本格化するなどの要因もあることから、将来的には、税収増が期待できるものと考えているところでございます。
 次に、公社等への県の退職者の再就職の状況についてでありますが、県の退職者が、県が出資している公社等において役員に就任しているのは、平成8年6月1日現在で39法人に対し、48人となっております。部局別には、農政部が所管する法人では14人、以下、商工労働部10人、土木部6人、総務部、生活福祉部が各4人、企画調整部、教育委員会が各3人、環境保健部、林業水産部が各2人となっております。
 なお、これらの法人は、それぞれが適正に運営されているものと考えており、お尋ねの不正などはないものと思っております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)まず、特別調査の法的根拠及び公共上の必要性についてでありますが、雫石町国見地区のスキー場等リゾート開発は、その開発予定地が十和田八幡平国立公園に隣接し、自然環境保全の見地から開発に慎重を期する必要がある地域が含まれている可能性があること、また、県内外から1万名に上る反対署名があるなどの自然環境の保全を求める世論に配慮したことから、開発に当たっては、あらかじめ環境に関する十分な調査の必要があるとの理由により、次のような考えのもとに実施したものであります。
 すなわち、県に提出される関係法令に基づく申請等の処理が適切に行われるよう、あらかじめ県において所要の調査を実施する。調査は環境保健部が実施し、調査結果については、岩手県自然環境保全審議会に報告し、自然環境保全上の取り扱いについて、その意見を聞くものとする。開発予定者から、県に提出される関係法令に基づく開発のための申請等の処理は、この調査結果を踏まえて行うものとする。雫石町及び開発予定者に対し、この旨を伝え、その適切な対応を求めることというものであります。この調査は、法的な根拠に基づくものではなく、あくまで任意の調査であります。
 なお、現時点でこのような特別調査を実施する予定はありません。
 次に、環境影響評価の対象範囲の見直しの検討状況についてでありますが、本県における環境影響評価は、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づき、ゴルフ場等のレクリエーション施設の建設のみを評価対象としているものであります。
 一方、各都道府県におきましては、47都道府県中、平成8年4月現在、41都道府県が独立した環境影響評価条例、要綱等を制定し、おおむね国の環境影響評価実施要綱に準じた制度を有しており、38都道府県が対象事業をレクリエーション施設に限定していないところであります。
 また、国におきましては、諸外国並びに地方公共団体の環境影響評価制度の実施状況に関する調査を実施し、6月3日、調査結果を公表したところであります。この調査では、早期段階での環境配慮、対象事業、住民の関与、評価後の手続、国と地方の関係等について分析、整理を行っているところであります。国は、6月28日、中央環境審議会に対し、環境影響評価制度のあり方について諮問を行い、同審議会において、この調査結果を踏まえ、来年春の法制化をめどとして、制度のあり方について審議する予定であると伺っております。
 県といたしましては、したがいまして、国が検討を進めることとしている新しい環境影響評価制度との整合性を図りつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 大規模公共事業の環境影響評価につきましても、この検討を行う中で、あわせて検討してまいりたいと考えております。
 次に、公共工事の環境への影響についてでありますが、公共工事の実施は、多くの場合、土地の形状を初め、環境の改変を伴うものと考えております。近年、経済社会情勢の変化により、環境保全への関心が高まっていることから、公共工事の実施に当たっても、環境保全に対する配慮が強く意識されるようになっており、本県におきましても、同様であると考えております。本県における公共事業の実施が環境に与える影響の実態については、詳細には把握していないところであります。公共事業の実施に当たっては、必要な環境調査の実施など、環境に十分配慮しながら進めるよう、関係部局と連携を図りながら、環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
 次に、胆沢ダム工事に係る調査についてでありますが、胆沢ダムは、多目的ダムとして国が直轄で工事を実施しているものであります。環境に関する調査については、工事の実施主体である国が、昭和59年の閣議決定に基づいて、平成元年に環境影響評価を実施しているところであります。したがいまして、県としては、調査を実施しておらず、今後も調査を実施したりあるいは特別調査委員会を設置する考えはありません。
 次に、読者の広場紙の中での言葉と関連しての見解についてでありますが、21世紀に向かって岩手の扉を開きたいと考えているということを述べたものであります。僣越なことを述べたのではないかと恐縮いたしております。私は、岩手の一層の振興と発展を願っておりますが、21世紀においては開発と環境保全というものは対立するものではなく、両立するものじゃないかとしてとらえるべきものではないかと認識しておりまして、貴重な自然を守り、開発の際には自然環境の保全に十分配慮していきたいと考えております。   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君)まず、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱についてでありますが、この要綱は平成2年7月に、無秩序な開発を防止するとともに、総合的かつ計画的な開発の誘導に努め、県土の適正な土地利用を図ることを目的として制定されたものであります。この要綱第3第2項において、国、地方公共団体のほか、地方公共団体等から4分の1以上の出資を受けた法人の開発行為を適用対象外とする取り扱いとしており、雫石町国見地区に係るスキー場等リゾート開発事案については、これに該当したものであります。この要綱は、制定以来、各種開発案件に適用され、所期の目的を果たしてきたものであり、当時におきましても、雫石町国見地区開発のような個別の案件に対応した改正は行われなかったところであります。この要綱制定後6年を経過し、その間、環境基本法の制定など社会経済情勢の変化等が生じてきていることから、現在、制度創設以来の各種開発事案についてフォローアップするとともに、他県の制度の運用状況についても調査しているところであります。
 また、今後さらに、先ほど環境保健部長から答弁がありましたように、国が検討を進めている新しい環境影響評価制度の法制化の動向等を見きわめ、庁内関係部と協議しながら、引き続き必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、県政懇談会についてでありますが、県政懇談会は、知事の基本姿勢である、県民に開かれたわかりやすい県政を推進するための公聴広報業務の一環として行われているものであり、県政モニター等と同様に、多様化している住民の意見、要望等を直接把握し、施策に反映させるために取り組んでいるものであります。もとより県行政の運営に当たっては、県議会が議事機関として、県民の意向を反映する極めて重要な機能を有するものであり、一方で、住民に最も身近な行政を担う市町村の役割もまた、極めて重要であることは十分認識しているところであります。
 このような観点から、県政懇談会等において県民の方々から寄せられたさまざまな意見、提言等につきましても、政策の実現に当たりましては、県議会の場等を通じて、あるいは市町村との密接な連携により、十分な調整が図られなければならないものと考えているところであります。
 次に、今後の県政懇談会のあり方についてでありますが、昨年8月にスタートして以来、御案内のように既に44市町村で開催し、それぞれの地域で多くの提言をいただいているところでありますが、当面、7月末までに残り15市町村での県政懇談会に鋭意取り組むこととしております。市町村単位の県政懇談会を終了した後は、県政が現在抱えるさまざまな課題を念頭に置き、工夫を凝らしながら県民の方々からの御意見を広くお聞きし、県政に反映するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、土地開発公社についてでありますが、6月1日付で千葉副知事が理事長に就任し、事件の再発防止と県民の信頼回復に向けて、現在、業務の改善を強力に推進しているところであります。
 県といたしましては、当面は、業務改善策に盛り込まれた内容が着実に実行に移されるよう、引き続き、十分な指導監督に努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長吉田敏彦君登壇〕
〇医療局長(吉田敏彦君)まず、県立病院等事業経営計画の策定に当たっての基本姿勢についてでありますが、近年の少子・高齢化社会の急速な進展、医学、医術の目覚ましい進歩、患者のニーズの多様化と高度化、さらには、医療供給体制の改革を目指した医療法の改正や、医療費の抑制政策など、医療を取り巻く社会経済環境が大きく変わりつつありますので、事業経営を行うに当たりましては、より一層の創意工夫が求められ、これらの変化に適切に対応してまいらなければならないものと考えております。
 こうした変化の中で、県営医療が、今後とも県民により信頼され、より愛される病院として存続していくため、第1に、私ども医療従事者が高い倫理観と強い使命感に立ち、患者さんの立場に立った人間性尊重の医療を基本とすること、第2に、機能分担と連携による体系化された県営医療ネットワーク化をさらに推進し、限りある医療資源を効果的、効率的に活用すること、第3には、御質問にもありましたが、県民医療の確保という公的使命を果たしながら、公営企業としての健全経営を行っていけるよう、バランスをとることを主な視点として策定したものでございます。
 次に、職員を増員する場合の基本的な考え方についてでありますが、行政改革のもとで、国、地方を通じて、職員定数の縮減が進められている中にあって、病院事業は、特にも公営企業として、より合理的、能率的な経営が求められているところでございます。したがいまして、医療局におきましては、最小の人員で最大の効果を上げることを基本に、医療法に定める医師などの配置基準や、健康保険法に定める看護体制に要する必要数のほか、看護職員の夜勤体制等を維持するために必要な人員を配置しているところであります。 また、あらゆる機会をとらまえて研修を実施することなどにより、職員個々の持てる能力と、異なる分野の連携による病院全体としての総合力を、遺憾なく発揮できるように努めているところでございます。
 こうした経営努力を踏まえつつ、常勤医師のさらなる確保、診療科の新設や、患者サービスの向上のための病床数の多い大規模な病棟の解消など、診療体制の強化充実、さらには、医療の高度化や患者数など、業務の状況の変化にも的確に対応するため、必要な職員を確保してまいりたいと考えております。
 次に、県営医療の継続的推進についてでありますが、県営医療は、議員御指摘のとおり、県民の医療の確保という公的使命と、企業としての健全経営との調和を図るという目的を実現しなければなりません。そのため、意欲と心ある人材の確保、育成を図るとともに、活力ある組織と、働きやすい環境の整備に努めるほか、職員の経営意識をさらに高めつつ、目標管理システムの確立、そして医療材料の廉価購入や病床の効率的活用、そしてまた、むだやコストの削減などにより、健全経営に努める中で、良質な県民の医療の確保に努めてまいる所存でございます。
 次に、紹介外初診時負担額をいただかない場合等についてでありますが、まず、緊急その他やむを得ない事情がある場合でありまして、直ちに入院や手術を要するような場合、あるいはやむを得ず診療時間外、休日、深夜に来院するような緊急のケースに当たる場合のほか、その他やむを得ない事情がある場合といたしましては、生活保護法、身体障害者福祉法、児童福祉法など、国の公費負担医療制度の受給対象者や、エイズ拠点病院を受診されるHIV感染者など、16項目に該当するケースについては初診料をいただかないことといたしております。
 さらにまた、県の施策として実施している、母子家庭、乳幼児、重度心身障害者・児などの県単独医療費助成事業の受給対象者の場合についても、紹介外初診時負担額をいただかないこととしております。
 次に、医療機関の少ない地域の患者さんへの配慮についてでありますが、200床以上の県立病院の所在する市町村の区域内に、眼科、耳鼻咽喉科のいわゆる特定診療科の診療所等がない場合には、対象外といたします。このほかにも、小児科、特にも乳幼児等の場合、同一月内に数回の初診料を算定できるケースがありますので、このようなケースについては、負担が軽減されるよう配慮する考えであります。
 また、本制度の導入につきましては、県民の皆様に御理解をいただく中で、今後とも健全な労使関係の維持に努めてまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君)職員の交通事故についてでありますが、御指摘のように去る3月9日、当部の職員が帰宅の際に、自家用車を酒気帯び運転し物損事故を起こしております。その後、同職員は損害賠償等について誠意を持って対応し既に円満に解決しておりますし、また、県といたしましては、3月14日付で懲戒処分を行ったところでございます。
 日ごろから、職員には交通事故の防止、交通違反の根絶を徹底しているところでありますが、このような事故が起こったことはまことに遺憾であり、二度と起こさないよう努めてまいりたいと存じます。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君)議員御指摘の交通事故につきましては、本年3月9日午前1時ころ、盛岡市内丸地内で、軽自動車を酒気帯び運転しタクシーに衝突、逃走した事案というものを確認しております。本件につきましては、所要の捜査をした上で検察庁に送致したところでございます。
〇43番(佐藤正春君)それぞれに御答弁ありがとうございました。医療局長の答弁が一番懇切丁寧に、ありがとうございました。
 そこで伺いますが、総務部長、あなたの財政──なかなか財政通だし、財政の状況はわかるんだが、私の聞いているのは財政基盤の確立とあわせて自主財源をどうするかと。いわば先ほど聞いた国見スキー場と表裏なんですよね。知事は企業誘致やなんかで一生懸命やりたいと、こう言っている。私は冬のスキー場でもゴルフ場でも、本県にとってこれは問題なく、県民から許されるし、県民が要望するならば何でもやって自主財源というものを確立していかなければならないと、こういうことを聞いているんです。これはいいですけれども。
 企画調整部長、あなた環境整備について、国の環境整備の動向に基づいて考えたいと、こう言っているんですが、あなた岩手県に来たんだから、岩手県を中心に考えなければだめだよ。岩手県は日本の最後の自然の宝庫なんだから、国の動向じゃない。岩手県でまず考えて、国にそれを、模範を示すというぐらいじゃなければだめだ。何だかまだしっぽが国の方にくっついているんじゃないのか。
 それからもう一つ、県政懇談会についてあなた胸を張っておっしゃったんだから、せめて事前に今度の県政懇談会についてはこうこうこうですよと。中には、県議会議員が呼ばれないところもあるというんじゃないの。呼ばれないところもある。終わったらば、実はこういう要望、提言がありましたよと、地元の県議会議員にいろいろ御努力願っています、汗をかいてもらっていますということで、振興局のある市町村を通じてその政策の調整をしてそしていかなければ、これはあれでしょう、あなたの方が独走するようなことになるんじゃないですか。そのぐらいの配慮をしなきゃいけない。県議会議員は本当に休みなしでやっているんだから、その点についてもう1回答えてほしい。
 それから環境保健部長、自然環境保全特別委員会と保全審議会というのは、あなたおっしゃったとおりはっきりしているんですよ。設置目的と設置根拠と。この特別委員会というのは何回も申し上げますけれども、法的な根拠もないし権限もないんです、これは。それがまかり通っている。だから問題が大きい。いいですか。この特別委員会のメンバーは6人のうち5人は教育者です。審議会のメンバーというのは38人。この中に学者、先生、官僚、県議会議員、専門家と、こうそろっているんですよ。にもかかわらず、この特別委員会というものが出てきたということで私は問題を複雑にしているんじゃないかと思うんですね。今、おっしゃった、県内から1万名に上る反対署名があったと。県内何%、県外は何%ですか。またその際、反対署名を上回る地元周辺の賛成の県民の意見というのは生かされているんですか、無視したんですか、その点。
 もう1回言いますが、そしてこの権威のある先ほど申し上げました保全審議会をなおざりにして特別委員会を重視したと、今もおっしゃったけれどもどうもはっきりしない。もう1度それ御答弁願います。
 それで、あなたの方で重視しておられる特別調査委員会というのは、平成5年に1回、6年に2回、7年に2回、8年に1回と、合計6回開催しております。その委員6名のうち1名、1名は毎回欠席です。ですから5人ですよ、実質は。現地調査回数は12回、調査員は10人のうち学生アルバイトが4人、アルバイトがだめというわけじゃないですが、アルバイトが4人。この現地調査には調査委員は同行しているのですか。調査費用はどのくらいかかっているんですか、ひとつお示し願いたい。
 2月議会で環境保健部長は、8年度より自然環境保全指針を策定し、環境保全と開発行為との調整を図ると答弁しておりますが、策定はいつですか。また、その内容についてもひとつお示し願いたい。
 また、企画調整部長は、同2月議会で、ゴルフ場等大規模開発行為の指導要綱の見直しと必要な検討を加えると、こう答弁しておりますが、私はこの両部長の答弁は、私ども県政をあずかる議員としていささか憤慨にたえない。本県にとってこんな大事なことを、先送りにして泥繩式にやっているということが問題なんです。この責任は大変に重大だと思いますが、いかがですか、お答え願いたい。
 それから、環境保健部長にもう1つ伺いますが、胆沢ダムの調査を国でやるから私の方の県の方ではやらないと、これからやるつもりはないと、こう答弁ですね。ここに住んでいるのは県民ですよ、県民。いいですか。県民に影響が出た場合に、今おっしゃった、部長、あなた責任とれますか。だれが責任を持つんですか。それは国だというんですか。お答えください。
 もう1回聞きますよ。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君)県政懇談会につきましての再質問でございますが、地元県議会の議員方への御案内の件も含めまして、至らない点がございましたら今後そういった点も含めまして、十分に地元県議会の議員方との連携が図られるよう、努めてまいりたいというふうに考えております。
 それからもう1点、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱の関係でございます。経緯その他につきましては、先ほど私が答弁申し上げたとおりでございますが、当然のことながら本県の地域の特色というものもございますので、先ほど申し上げましたようにフォローアップ等を現在いたしているところでございます。さらに、ゴルフ場等開発指導要綱の制定以来先ほど申し上げましたように6年を経過し、この間におきまして、これも先ほど答弁の中で申し上げさせていただきましたが、国におきましては、新しい環境影響評価制度の法制化の検討が進められているところでございます。こういった環境影響評価制度の法制化というものが行われますと、私どもの大規模開発行為指導要綱につきましても影響が大きく、関連していろいろな点で見直しを迫られてくるのではないかというふうに考えているところでございます。したがいまして、本県の特色等を踏まえましたフォローアップを引き続き十分に行うとともに、今後、このような国の動向も含めまして、指導要綱の目的が一層図られるよう、必要な検討を加えてまいりたいというふうに考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)反対署名の県内、県外別の割合についてでありますが、県内が41・8%、県外が58・2%となっておりました。地元住民の意志につきましては、町を通じて承知しており十分理解しているつもりであります。結論としては、それと異なる結論となりました。
 自然環境保全審議会と特別調査委員会との関係でありますが、特別調査委員会はあくまでも学術的な調査機関であり、調査結果について広く御意見をいただくという趣旨で、この結果を自然環境保全審議会に報告して意見をいただいております。
 調査委員の現地調査の同行についてでありますが、現地調査は調査委員が中心になって実施し、その補助として調査員が随行したものであります。ただし、調査委員が病気等で現地に行けず、調査員に任せた場合もあります。
 調査に要した経費でありますが、平成5年度は約117万円となっておりまして、平成5年度から7年度までの3カ年間の総計では約900万円ほどの経費となっております。 自然環境保全指針の内容についてでありますが、本県を1平方キロメートルごとをメッシュに区切りまして、その中に自然環境情報を打ち込んだ自然環境マップを作成し、まず、自然環境に係るデータベースを構築し、そのうち地域ごとに保全目標を定めるといった内容を考えております。この指針の策定は、大変重要な課題であると認識しておりまして、昨年度学識経験者による指針策定検討会議を設置するなど所要の準備を進め、本年度から具体的な策定作業に取りかかったものでありますが、広大な県土の自然環境の状態の把握が必要でありまして、平成10年度の策定をめどに進めることとしております。
 胆沢ダムに関する環境影響についてでありますが、国の責任において環境影響評価が行われまして、県からも意見は提出しておりますが、国で行ったということであります。
 先ほど述べました国の方の環境影響評価制度の研究報告等におきましても、国と地方公共団体の関係が問題となっておりまして、重複して環境影響評価をやっている場合もあれば、国がやる場合に県でやらないということでやっている県もあるようですが、いずれにせよ、先ほど申し上げました今後の環境影響評価制度に係る検討の中でこういったことも検討整理していきたいと考えております。
〇43番(佐藤正春君)だんだんわかってきましたね、いかに特別委員会のあり方がずさんであったかということが。
 そこで、環境保健部長、あなたは今アンケートは県内、県外の答弁があったが、県外が多いわけですね。そうしますと、雫石町周辺の、地元ですね、岩手県民、地元の皆さんの意向というものは無視されたわけですね、そうしますと。県外の方の多い方をとったということですね。それが1つ。
 それから、特別調査委員会の方々には大変御苦労さんでしたと、こう申し上げたいんですが、実際に特別調査だけで本当に問題は残らないんですか。本当に大丈夫ですかということです。雫石町では昭和63年ころから民間業者による立地調査が実施され、また、地元雫石の自然を考える会も、自然保護団体、学識経験者による調査が行われました。その結果OKとなったわけですが、この両者の調査結果を比較検討してみましたか。検討したのならそれをお示しください。すぐ隣、山続きの安比では、がんがん開発されている。ところが雫石はだめだと。この両者の、両方とも同じように自然保護団体、学識経験者がやっているわけですから、その比較をひとつお示し願いたい。今までの経過を見る限り、県当局が一方的に特別調査を重視したことが問題を大きくしていると思います。知事答弁にもあるとおり、今後の状況の推移を見て町や地域住民の意向を十分に尊重しながら、地域特性を勘案して具体的な対応について検討したいと述べておられます。これは知事がこう述べているんですよ。知事が述べておられますから、その方向で十分に検討していただきたい。
 私が最後に申し上げたいことは、岩手の豊かな自然は特定団体のものではなく、岩手県民の財産ですから県民が大いに利用して活用すべきものであり、そのためには開発をタブー視すべきではなくて、大いに論議を深め、何が県民のためになるのか、どうしたら県民にこたえることができるかを検討すべきであるということを最後に申し上げて、再々質問を終わります。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)まず、特別調査に係る県民の意見についてのお尋ねでありますが、先ほど申し上げましたように、反対署名の中には県外の方もありましたし県内の方もあったということで、開発に反対の御意見もありましたし地元の町民等においてこれを開発すべきだという御意見と、賛否両論あったわけでございますが、そういったことを踏まえまして学術的な特別調査を行い、それをもとに岩手県の審議会におきまして、岩手県としてどうしたら岩手県民にとってよいかということで結論づけたものがこのような見解となったわけでございます。
 それから、開発主体による調査についてでありますが、このことについて行われたと聞いてはおりますけれども、県としては、関係法令に基づく開発のための申請等の処理をする上で学術的な観点から調査が必要であるということで特別調査を実施したものでありまして、比較検討した経緯はありません。また、今後の対応につきましては、推移を見守りながら町の意向も踏まえ、自然を生かした形での地域の振興についても支援、協力をしてまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、村上恵三君。
   〔28番村上恵三君登壇〕(拍手)

前へ 次へ