平成8年6月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇13番(須藤敏昭君)無所属クラブの須藤敏昭であります。
 増田知事は、県政の目標を、県民一人一人、一つ一つの地域が個性豊かな輝きを放つ銀河系いわてを目指すとして、次の7つの視点に立脚し、施策を遂行されようとしておられます。1つ、連携と交流、2つ、安全と安心、3つ、自然との共生、4つ、国際化と地域経済、5つ、福祉の充実、6つ、人材の育成、7つ、男女共同参画社会であります。この岩手の自然や地勢、歴史、文化を、そしてこの岩手をふるさととしてこよなく愛した幾多の先人、また、今ここで現に暮らしを営むことに誇りを持つ県民とともに、私は、この銀河系いわてに共鳴し、また、これを築き上げていくことに微力ながら努力を惜しまないものであります。
 この7つの視点のもとに各般にわたり施策が構築されておりますが、これら諸施策は単なる事業の積み上げではなく、増田知事が就任以来、信として表明されてきた理念を主体的に具体化したものであると受けとめております。私はこれを了とし、これら施策の視点にかかわる諸課題についてお伺いいたしますので、明快な御答弁をお願いいたします。
 まず第1、人材の育成、青少年の健全育成についてお尋ねをいたします。
 駄弁を弄するまでもなく、いつの時代、いかなる国、地域にありましても、次世代を担う青少年の育成は百年の大計と言われるとおり、今に生きる私どもの最も基本的な義務であり、かつ責任でもあります。今、この岩手は、風土はもとより、特に純朴な感性は言うに及ばず、勤勉性や飽くことなき向上心等の県民性をもって最も夢と希望の展開を託せる諸条件を具備しているものと自負されるところでありますが、しかしながら、昨今の報道等によれば、青少年を取り巻く環境は、テレクラやツーショット等の社会の悪病にむしばまれているとのことであります。まさに喫緊かつ重大な問題であります。私は、昨日報道されました増田知事の方針に賛同するとともに、県民の期待にこたえるものと評価し、実態に即した実効ある規制が必要と考えております。
 そこで、次の点について御所見並びに対策をお伺いいたします。
 県においては、これら諸問題と地域環境の悪化に対処すべく、青少年のための環境浄化に関する条例を平成3年に改正するなど、青少年の健全育成、非行防止のため取り組んでこられました。そして県では、その環境浄化条例の評価について、青少年に対する影響が憂慮される有害図書等の浄化は極めて重要であり、従来から青少年の生活環境を改善するなど住民運動は推進されているが、これらの総ぐるみ運動に弾みをつけたものと考えていると評価をしております。しかしながら、例えば平成6年度と平成7年度の対比で、有害図書等の自動販売機設置の市町村は13市町村、成人向け自動販売機設置市町村も13市町村、台数にして113台がそれぞれ増加をしております。さらに、少年非行が増加いたしておりますが、これら有害環境の影響が非行の増加要因でもあると指摘をされております。
 そこで伺いますが、知事は、これら社会環境の悪化に対してどのように対応するお考えか、また、青少年環境浄化条例は現状に即した改正をすべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、警察本部長にお伺いしますが、第1に、県内におけるテレクラ営業の実態をどのように把握されているのか。第2に、テレクラ等が介在する女子少年の性的犯罪被害や非行の発生の実態と、第3に、テレクラ規制に関する方針をどのようにお考えなのかお聞かせ願います。
 次に、安心と安全に関連して、防災対策について伺います。
 昨年1月の阪神・淡路大震災は、経済環境や社会環境の激変とともに、我が国がこれまで積み上げてきたまちづくりや防災組織システム等の構造的見直しを迫るものであり、県及び市町村においては震災対策を含む防災計画の見直しなど、目下さまざまな取り組みがなされております。
 本県ではカスリン、アイオン台風で800名を超える犠牲者を出した惨劇から来年は50年目に当たり、また、1万8、000余の筆舌に尽くせぬ明治29年6月の大津波からまさに今年は100年目に当たり、防災元年として意義深い節目の年に当たります。本県の災害史は、洪水と、特にも激甚な津波災害との闘いであったと言っても過言ではありません。このような中にあって、先人は再々の凄惨極まる惨状と犠牲者に滂沱の涙の乾くいとまもなく、我が国最大の防波堤、避難路の建設等、災害に強いまちづくりに挺身されたのであります。自来、県におかれましても、最も重要な課題としてお取り組みをいただいておりますことに敬意を表するものでありますが、しかしながら、防災マップを見るまでもなく、同様の津波が襲来するならば、人的にも物的にも、そして社会的にも甚大な被害が予想されることもまた事実であります。また、すべてを防波堤等の建設で防ごうとするならば、それに要する財源も天文学的なものとお聞きいたしますし、これらをもしなし得たとしても、自然の猛威は人知をはるかに超えることは歴史が証明しているところでもあります。帰究するところ、海との共生や利活、そして生活圏の現状を踏まえつつ、極力予想被害地域を避けて住宅や一般的生活域を形成し、あるいは誘導する視点に立った県の施設や道路整備等が必要ではないかと考えられますが、これからの災害に強いまちづくりについての御所見を伺います。
 次に、本県の自主防災活動についてお伺いいたします。
 もとより災害対策基本法の理念を持ち出すまでもなく、防災の基本は地域住民みずからにあります。阪神・淡路大震災時、淡路島で実証されたとおり、地域住民による初期活動は、救助、消火等、重要な役割を担い、かつ大きな成果を上げ得たことを想起すべきであります。また、世界の多くの災害史は、自主防災のあり方のいかんがその成否を決定していることを実証しております。
 そこで、津波災害を初めとする本県の防災対策を進める上で、これら地域住民による自主防災活動について、県はどのような方針でその組織化、活性化を図ることとしているのでありましょうか、お伺いします。
 次に、防災対策の1つのかぎを握るヘリポートの整備についてお伺いいたします。
 前述の阪神・淡路大震災においては、ライフラインの崩壊により住民生活に多大な影響を与えた中にありまして、ヘリコプターが物資輸送、医療関係者の搬送や救急患者の搬送などに大活躍いたしましたことは御承知のとおりであります。四国4県に匹敵する広大な面積を有する本県においても、かかるヘリコプターの必要性を踏まえ、知事は厳しい財政環境下にあって、いち早く防災ヘリコプターを導入されましたことを私は高く評価するものであります。防災ヘリコプターひめかみの活動分野としましては、災害応急対策活動、救急活動、火災防御活動など、さまざまな活動が想定されておりますが、まず、救急活動であれば、傷病者を高度医療機関に搬送するにしましても、離発着するヘリポートが不可欠であります。また、面積の約8割が森林である本県にとって山林火災は脅威でありますが、一たんこれが発生すれば、運航基地の花巻空港から現地に飛び、空中消火活動を行うのであります。しかしながら、燃料等の制約により現地での活動時間が制限されることとなると思うのでありますが、実活動時間を延長し、有効に活用するためにはヘリポートが必要であると存じます。
 そこで伺いますが、ヘリポート整備の現状と今後の整備方針についてお答えをお願いします。
 次に、本県にとって最も重要かつ基本的な課題である県土の均衡ある発展を図る観点から、幾つかについてお伺いします。
 県土の均衡ある発展のためには、社会資本の整備や企業の誘致、地場産業の振興等を図ることはもとより当然であります。さらに、教育、文化、福祉等の今最も県民が望んでいる施設の恩恵が、いかなる地域に居住していたとしても県民ひとしく享受し得る条件の整備が必要であります。また、このことが強く渇望されており、この観点に立った施策の推進が不可欠であろうと思います。しかしながら、過疎と過密が依然として進行し、結果として本県の人口重心が毎年数百メートルずつ県央に移行している事実に直面するとき、果たしてこれまでの均衡ある発展を標榜してきた県の施策が妥当かつ適切であったのか疑念を抱くものであります。さらに、次期全国総合開発計画が検討されておりますが、これまでの4全総は、県庁所在地から離れた中山間地域の整備が取り残されたと総括されております。県益の帰趨するところは、すなわち県民の益であります。集中と分散、拠点と配置の好ましいトータルバランスを考慮したものがこのたびの銀河系いわてであるとするならば、今後、県営施設の地域分散を積極的に図っていくことを表明したものと受けとめ、大いに賛意を表したいと存じ、真の課題解決につながるものと期待いたしているところであります。
 例えば、広く住民に利用される施設については、居住地のいかんにかかわらず、日常生活の利便性が確保できるよう各地域の適正な配置に特に心がけるべきと思うのであります。先般、中央教育審議会第1次答申は、21世紀の初めには学校週5日制の完全実施を求めております。この意とするところは、一言で申せば子供にゆとりの時間を与えることでありますが、そのために子供たちがゆとりのできた時間に伸び伸びと遊び、触れ合える場所が数多く必要になるものと予想されます。このような中にありまして、当県では、その一環として一戸町にすこやか子どもランドの建設が予定され、既存の県立青少年の家や国立青年の家の4施設とともにあわせて活用しようとされておりますが、前述の趣旨と県民の切実な期待を実現するためには、それらに加え、各広域生活圏ごとに整備する等のお考えがあってもよいのではないかと思うのであります。すなわち、昨今の厳しい経済社会情勢や、市町村など地域の力のみによってこれを実現することが困難な状況下にあって、県が主導的に設置できる県営施設については、県土の均衡ある発展及び県政の享受の均衡を図る上からも、極力地域的にバランスのとれた配置に努力すべきと思うのでありますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、道路整備についてお伺いします。
 県土の均衡ある発展のため、道路整備は最も重要な施策の1つであり、県も、これまで県単高速関連道路整備事業、交流ネットワーク道路整備事業を創設し、幹線道路の重点的な整備に積極的に取り組んでまいられました。さらに、道路整備の長期的目標である県内90分構想の実現に向け、交流ネットワーク道路整備事業を見直し、新たに大規模トンネル等の建設を盛り込んだ新交流ネットワーク道路整備事業を創設するなど、以前にも増して時間距離の短縮を図ると伺っております。このように、地域間を短時間にスピーディーに結ぶための道路整備は着実に進展しているものと認識しており、県当局のお取り組みに敬意を表します。しかしながら、私は、道路は人と暮らしを支え、県民の生活に極めて密着したコミュニティー公共施設であるという観点に立ったとき、このようなモビリティーのみを重視するだけではなく、利用者に対してゆとりや潤いを与えることにも配慮した道路整備が必要であると考えます。とりわけ、本県には国立公園や県立自然公園など、全国に誇れるすぐれた自然資源を多く抱えるとともに、歴史的、伝統的なたたずまいを有した地区、さらにはすぐれた自然環境を有する地域などが県内各地に見られることから、これら資源を生かし、環境との調和や景観にも十分配慮して道路整備を進めることが必要であると考えます。さらには、道路が所在する地域の活性化につながる有効な手段として道の駅などが挙げられますが、これらの整備にも積極的に取り組んでいく必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。お取り組みの現状と今後の整備の方針についてお伺いします。
 次に、県北・沿岸地域への企業誘致についてお伺いします。
 平成5年度の岩手県の市町村民所得を広域生活圏別に見ると、県平均を上回っているのは盛岡と岩手中部広域圏のみであり、県北・沿岸地域の広域圏は軒並み県平均を下回っております。それも、県全体を100とすれば二戸広域圏では79・9%と最も低く、久慈広域圏84・5%、宮古広域圏においては86・9%で、依然として相当な格差が存在しております。また、平成7年度に実施された国勢調査の速報値を見ましても、県北・沿岸部の市町村は、前回の調査に比べ総じて減少傾向にあります。このことは、基幹産業である第1次産業の停滞とともに、第2次産業の振興が進展していないことに起因しているものであり、憂慮される事態であろうと思います。県では、県勢の発展を図るため、工業振興に力を入れ、地場産業の育成とあわせ、企業誘致に積極的に取り組んでこられました。その結果、これまで内陸部、特に北上川流域を中心に多数の優良企業の立地を見ており、これら誘致企業は地域経済の活性化に大きく寄与しているものと考えます。私は、県北・沿岸地域の総合振興を図るためには、経済の活性化、すなわち投資量、雇用率、生産量の向上を図ることが根本的急務であり、企業誘致が重要であると考えるものでありますが、また、このことは地域住民の切実な願望であろうとも思います。
 そこでお伺いしますが、県北・沿岸地域の企業の立地状況はいかがでありましょうか。また、県北・沿岸地域への企業誘致について、目下、国内においては、円高などを背景に日本企業は生産拠点を次々に海外へ移すなど厳しい状況下にある中で、今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせてお伺いします。
 次に、銀河系いわてを目指し、高度情報化についてお尋ねいたします。
 国においては、望ましい国土構造を目指し、新たな国土軸を形成しようと検討を進めております。これを踏まえ、東北地域では、北海道、東北の21世紀を展望したほくとう銀河プランを策定し、ほくとう新国土軸の形成を提唱し、先導的な役割を積極的に担おうとしております。そして、このための戦略的なプロジェクトとして高度な基盤整備を掲げ、情報伝達の需要増大と高速性に対応するため、ギガビットネットワーク整備事業を進めることにしております。一方、我が銀河系いわてにおいても、本県を取り巻く経済社会の変化の1つに高度情報化の進展が記載されており、まさに正鵠を射たものであります。古来より知識は力であると言われており、今、マルチメディア、そしてインターネットの力が世界を広く、厚く覆いつつあります。このような高度情報化社会では、情報や知識をいかに所有するか、いかに処理するかがさまざまな産業の振興に大きな影響を与え、また、県民生活の利便性の向上にも格段の効果をもたらすものと考えられるのであります。インターネットは、教育の場でも従来の指導法にさまざまな革新をもたらそうとしておりますし、金融業務や商取引は言うに及ばず、産学官と私たちの日常生活を大きく変えようとしております。このような社会が現に到来しつつあるにもかかわらず、本県ではテレビ放送の受信が十分ではない地域が存するのであります。私は、新国土軸形成のためにも、銀河系いわてを標榜する広大な本県の振興のためにも、高度情報化社会への対応を急ぐ必要があると思うのであります。県の高度情報化社会への対応についての基本的な考えをお伺いします。
 最後に、県民の健康に関連した問題をお伺いします。
 まず、学校給食の安全についてであります。
 報道によりますと、ここ数年、患者数が100人を超えるような大規模食中毒患者が全国的に急増していると伝えられております。また、こうした中にあって、特にも最近は病原性大腸菌O157による食中毒患者が全国的に相次いでいる状況であり、某大学教授は、輸入食品、大量生産食品利用で集団発生要因は多くなっているとも指摘しております。本県でも、昨年度において病原性大腸菌や小型球形ウイルスが原因と考えられる食中毒が発生いたしました。
 そこで伺いますが、本県では、学校給食における安全確保のため、食中毒予防についていかなる指導がなされているのかお尋ねいたします。
 最後に、薬害エイズ問題について伺います。
 米国から輸入されたエイズウイルスに汚染されたおそれのある非加熱の濃縮血液製剤による薬害については、御承知のとおり深刻かつ重大な問題となっております。国会においては、閉会後も引き続きその真相究明を続けることとしているところであり、また、この血液製剤投与によりエイズに感染し、死亡した患者遺族の方々が殺人罪で当時の関係者を告訴し、これを受けた東京、大阪の両地検の捜査も急ピッチで進んでいるとお聞きいたしております。
 そこで伺いますが、県当局は、県内における問題の血液製剤の投与の実態をどのように把握されているのか。また、投与があったとするならば、その後のエイズ感染についての追跡調査はどうなっているのか、県立病院も含め、お尋ねいたします。
 疾病から無縁でいられる県民は多くはないのであり、その治療、すなわち医療行為にあっては、県民は当然医薬品の力に頼らざるを得ない宿命にあることは論をまたないのであります。今後、県民が安心して医療を受けられるよう、医薬品の安全性の確保や適正使用の推進に関連して、県はどう取り組んでいくのか伺います。
 このような中にあって、薬品製造の承認権限を有する厚生省のこのたびの信頼を大きく失墜するような対応は甚だ残念でならないのであります。医薬品の安全性の確保に関連して、県は国に対し、県民の信頼を損なうことのないよう、善処方について強く要望すべきものと考えますが、いかがでしょうか。
 増田知事におかれましては、県民の幸せの尺度、経済の格差の尺度についても高い見識をお持ちでありますし、大胆な発想と勇気を掲げて知事に就任以来1年数カ月、才気と真摯な行動力で県勢発展に御努力され、私は全幅の信頼を寄せるものであります。知事の信とする御答弁を御期待申し上げまして私の質問を終了させていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君)須藤敏昭議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、青少年を取り巻く社会環境の悪化への対応についてでございますが、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある環境を浄化しまして、青少年の健全な育成を図ることを目的といたしまして、昭和54年に青少年のための環境浄化に関する条例を制定いたしました。その後、平成3年にこの条例の一部改正を行いまして、県民が一丸となって有害図書の排除及び自動販売機の撤去運動などを展開してまいりました結果、青少年を取り巻く環境の浄化に一定の成果を上げてきたものと、このように考えているところでございます。しかしながら、ただいまの議員御指摘のとおり、最近におきます有害図書類の自動販売機の増加や青少年の健全な育成を阻害するおそれのあるパソコンソフトなど、新しいメディアが出現しておりますし、また、テレホンクラブの増加など、近年の青少年を取り巻く社会環境は大きく変化してきておりまして、次代を担う青少年を健全に育成していくためには、一層の環境浄化に取り組んでいく必要があるものと、このように認識をいたしております。また、県内各地域において、青少年の環境浄化に向けまして、行政に対し積極的な取り組みを求める住民の方々の動きも見られるところでございます。県といたしましては、このような情勢変化に適切に対処するため、現在ございますこの青少年のための環境浄化に関する条例、これを改正いたしまして、有害図書類の規制の拡大、強化を図りますとともに、テレホンクラブの営業の規制につきましても新たな条例の制定を目指しておりまして、早ければ9月県議会への提案に向けましてその準備を進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、県営施設の配置についてでございますけれども、まず、この県土の均衡ある発展を図っていくことは県政の最重要課題の1つであると、このように考えておりまして、本年度スタートいたしましたいわゆる3県総の後期実施計画の推進に当たりましても、各地域の自主的、主体的な地域づくりを尊重しながら、県土の均衡ある発展を図ることを基本といたしまして施策を展開していくこととしているところでございます。したがいまして、今お話ございました県営施設の配置に当たりましても、それぞれの施設の性格、機能、規模に応じまして、その施設の設置目的に沿ってその機能を最大限に発揮できるように、利用者の利便性なども含めまして総合的に判断をいたしますとともに、県営施設が特定の地域に必要以上に偏在をしないように地域的な相互のバランスにも配慮しながら整備を進める必要があると、このように考えております。これまでも、このような考え方に立ちまして、福祉の里センター、県北の運転免許センター、県南技術研究センターなどの整備を行ってきたところでございまして、また、現在整備中でございますが、すこやか子どもランド──これ仮称でございますけれども──これや救命救急センター、そしてオートキャンプ場などの整備を現在進めているところでございます。また、この県民生活に密接で広く住民に利用されるこの公共施設については、基本的には居住地のいかんにかかわらず利用者の利便性が確保できますように、極力、身近な地域において整備を図っていくことが望ましいと考えられるところでございます。もちろん、こうした公共施設をすべて県営施設として整備することにつきましては、いろいろな財政事情や運営上の問題などもございますので、市町村などにおける類似施設の配置状況などを勘案し、県全体の地域的なバランスにも配慮しながら拠点的な施設の整備を進めまして特に広域的な活用を図っていくことが必要であると、このように考えております。
 県営施設の設置に当たりましては、今申し上げましたこうした点を踏まえまして整備を進めるべきでございまして、今後におきましても、施設の設置目的や利用者のニーズ、利便性などを勘案いたしますとともに、施設が地域の振興、活性化に及ぼす効果や地域の実情なども配慮しながら設置場所について十分に検討を加えまして、この県土の均衡ある発展を図る観点に立ちましてその適正な配置に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 それから、次に高度情報化社会の対応についての基本的な考え方についてでございますが、この近年の情報通信分野における技術の発達は大変目覚ましいものがございまして、インターネットやマルチメディアの普及に代表されますように、我が国は高度情報化社会に向けて急速な展開を見せているところでございます。このような高度情報化の進展は、個々の産業活動や私ども県民の生活に大きな利便をもたらすだけではなくて、さらに地域間の時間と距離を克服いたしまして、さまざまな分野におきます交流の可能性を拡大させ、さらには諸機能の地方分散や地域の振興を促進するなど、本県にとりましても多大な効果をもたらすことが期待をされているわけでございます。とりわけ、こうした広大な面積を有しております本県にとりましては、高度な情報通信体系の整備や地域特性に応じた各種情報システムの効果的な活用によりまして、県民生活の向上ですとかあるいは産業活動の展開を図ることが大きな課題となっているところでございます。このため、従来からはテレトピア構想やニューメディア・コミュニティー構想など、国のいわゆるモデル事業や電気通信格差是正事業などに取り組むとともに、県単独の情報システムの開発とその活用に努めるなど、高度情報化に対応した各種の施策を講じてきたところでございます。また、昨年度からはインターネットの活用や学校と各家庭を結ぶパソコン通信モデル事業を創設したり、さらにはこの庁内におきますマルチメディアシステムの調査研究会の設置など、こうした最新の情報通信技術の活用と研究について鋭意取り組むとともに、こうしたことをさらに活用していくために必要な人材の育成確保にもあわせて努めているところでございます。
 今後におきましても、このような高度情報化の進展に適切に対処することが極めて重要であると、こういうような認識に立ちまして、市町村や民間との連携を強化しながら、情報通信基盤の整備促進を初め国の新たな情報化プロジェクトを導入するなど、さらに県民生活、産業活動等各分野における情報システムの開発など、高度情報化に向けた施策を積極的に推進していきたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いいたします。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君)まず、津波に対する防災対策についてでありますが、本県はその地理的条件から、これまで多くの津波の被害を受けてきた歴史があります。このために、津波に対する安全性の向上のため、各地域の実情に応じた防潮堤、水門あるいは湾口防波堤の建設に鋭意取り組んできたところであります。これらの整備状況は、チリ地震津波規模に対しましては既に完了いたしておりますが、引き続き既往の最大規模の津波に対応するための整備を進めているところであります。被害地域からの生活域の誘導につきましては、明治29年及び昭和8年の三陸津波で、田老町や三陸町などで高台への住宅の移転が実施された事例もありますが、沿岸地域は急峻な地形のため土地利用が制約され難しい課題と考えられます。したがいまして、津波対策といたしましては、防災施設等のハード面の整備とあわせ、地域住民の避難訓練や市町村が作成いたします津波ハザードマップによる住民への啓発など、ソフト面の対応の充実に努めるとともに、御提言も念頭に置きつつ社会資本の整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、道路整備についてでありますが、近年、余暇時間の拡大やライフスタイルの変化を背景に、道路に対するニーズも多様化し、交通機能を重視した道路整備だけではなく、環境との調和や景観等に配慮した道路整備も重要と認識しております。このため、自然への影響を最小限に抑えるために、極力、長大な切り取りのり面や盛り土のり面が生じないようなルートを選定するとともに、潤いのある道路空間の形成を目指し、道路のり面は例えばヨモギやハギなど、その地域に適合した植生を行うなど、自然環境と調和のとれた緑化工法の推進を図っているところであります。また、快適で魅力ある道路空間を確保し生活の質を高めるための環境づくりとして、高齢者や車いすの方々にも安心して通行できる幅の広い歩道の設置や新しい市街地にふさわしい景観の向上を図るため、電線類を地中に埋設するなどの工事も行っております。平成6年度には、これら道路環境施策をより体系的かつ総合的に推進するため、豊かな自然環境との調和と魅力と活力にあふれた快適な生活環境の形成を基本とする岩手県道路環境計画を策定し、人と自然に優しい道づくりを進めているところであり、今後ともこの計画に基づき、安全で快適な道路空間の整備に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、道の駅についてでありますが、道の駅は道路管理者が設置する休憩施設や道路情報を提供できる施設に合わせて、市町村がその地域の歴史、文化、物産、観光等の情報を発信し、地域振興と交流の核となるこれら施設を整備し、地域間交流の促進と道路利用者へ快適なドライブを提供するものであります。現在、本県で道の駅に認定されたものが11カ所あり、そのうち国施行は5カ所、県施行は6カ所で、さらに認定を受けるべく整備中のものは国、県を含めまして7カ所であり、市町村ともどもその早期完成に努めることとしております。今後とも、道の駅が本県のイメージアップに大きく寄与し、地域の振興に貢献するという観点から、主要な都市や観光地に通じ長距離運転が多い道路につきまして、市町村が計画する地域振興施策と調整を図りながら積極的にその整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君)まず、本県の防災対策を進める上で、地域住民による自主防災活動についてどのような方針でその組織化、活性化を図るのかとのお尋ねでございます。御案内のとおり、さきの阪神・淡路大震災においては、地域住民による自主的な防災活動が大きな成果を上げ高く評価されたところであります。県内には、現在、婦人消防協力隊等の自主防災組織が約400組織結成されておりますが、その内容を見ますと、都市部での組織率が低いことや、避難誘導、救出救護等に習熟した組織が少ないという面も抱えております。このような点を踏まえ、このたびの県の地域防災計画の見直しに当たりましては、自主防災組織の育成強化を重点項目の1つとして位置づけ、地域リーダーの育成や必要な防災用資機材等の整備を行うこととしたところでございます。また、この計画の見直しに合わせ、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画におきましても、自主防災組織の組織率を平成12年度には70%に引き上げる上方修正を行うとともに、災害時に地域住民が初期消火活動や救出救護を行う上で必要な可搬式小型動力ポンプやハンドマイク、担架といった資機材を整備するコミュニティー防災資機材等整備事業を創設したところであります。県といたしましては、現在、市町村において見直しを進めております地域防災計画に、これら自主防災組織の組織化、活性化を重点項目として位置づけるよう指導するとともに、今後とも市町村との連携を図りながら、それぞれの地域特性を踏まえた、市域住民による自主防災活動を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、防災ヘリポートの整備についてでありますが、昨年度に導入しました防災ヘリコプターひめかみは、この4月から試験運航を開始し、パイロットの地形習熟、気象条件の把握などに努めているところであります。御案内のとおり、本県では昭和58年の久慈市を中心とする大規模な山林火災の経験を踏まえ、ヘリコプターの活動拠点となる空中消火等補給基地を久慈市や花泉町など、県内6カ所に整備しているところであります。現在、この基地を拠点としてヘリポートの調査を精力的に進めております。県の地域防災計画において、臨時ヘリポートはこれら空中消火等補給基地を含めまして211カ所が位置づけられておりますが、これまでの調査では、このうち約150カ所は中型機に分類される防災ヘリコプターひめかみの離着陸可能なヘリポートとなっております。しかし、これらヘリポートは小中学校や高等学校の校庭、さらには市町村などが管理する運動広場等でありまして、その多くが災害発生などの緊急時には、地域の人々の避難場所にも指定されている状況にあります。こうしたことから、ヘリコプターの円滑な運航を図るため、現在、消防本部や市町村の協力をいただきながら、ヘリポートの点検調査などを上空と地上の両面から鋭意進めているところでございます。
 なお、今後におきましても、あらゆる事態に対応できるよう、市町村の地域防災計画の中でさらにその調整を図ってまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君)県北・沿岸地域への企業誘致についてでありますが、県が昭和50年度以降誘致しました企業は平成7年度末現在で405件を数え、このうち県北・沿岸地域に立地した企業は95件、23・5%となっております。しかしながら、近年の長引く不況や企業の海外展開の影響等により国内での設備投資が低迷しており、本県への立地件数も低調に推移し、県北・沿岸地域においてもここ3カ年の誘致件数は6件と厳しい状況にあります。誘致企業の県内製造業に占める割合は、平成6年12月末現在で事業所数では449事業所で12%でありますが、従業員数では5万369人で41%、工業出荷額では1兆2、100億円で54%を占めているなど、誘致企業の県内経済への波及効果はまことに大きく、地域経済の活性化を図る上で企業誘致は極めて重要な手段であると考えております。このような中にあって、県北・沿岸地域は、地理的な条件や基盤整備のおくれなどにより、これまで県央・県南地域に比較して企業誘致が進んでいない実情にあり、県土の均衡ある発展を図るためにも、この地域への企業の誘致は喫緊の課題であります。このため、立地企業の受け皿として、現在、久慈地区及び二戸地区に拠点工業団地の整備を進めているところであります。また、立地を促進するため、既存の県単融資制度の貸付限度額を引き上げたほか、新たに本年度から企業立地促進奨励事業費補助金を制度化し、県北・沿岸部等の市町村が誘致企業に対して土地購入費等を助成する場合に、その経費の一部を助成することとしたところであります。
 今後とも、首都圏等での企業立地フェアの開催とあわせ企業訪問活動を濃密に展開するほか、既に立地している優良企業の県内への2次展開の誘導を図るなど、優良企業の誘致に努めてまいる考えであります。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君)いわゆる薬害エイズ問題についてでありますが、このような事態となったことはまことに残念であり、適切な対応策がより充実されることを念願しております。
 まず、血友病患者であって非加熱の血液凝固因子の投与により、エイズの原因ウイルスであるHIVに感染した者については、厚生省の研究班によりほぼその実態が把握されているところでありまして、県別には公表されておりませんが、4月末現在で全国で約1、800人となっており、医療の確保等可能な限りのフォローが行われていると承知しております。一方、重症の肝疾患や新生児の出血傾向など血友病以外の疾患に投与された例については、いまだ十分に感染実態の把握やそのフォローがなされておりません。これらいわゆる第4ルートのHIV感染についてその実態の把握と早期救済を図るため、国において現在納入リストに基づき、問題となっている非加熱の第8凝固因子製剤及び第9凝固因子製剤あわせて12種類にかかわる投与やHIV感染の実態について都道府県を通じて調査を進めているところであります。本県における調査対象施設は、国立、県立、民間等を含め32の医療機関となっております。調査に当たっては、調査対象医療機関に対して、患者への説明及び同意に基づく検査の勧奨、カウンセリング等を慎重に行うよう指導しているところであります。この調査の回答は、医療機関が県を経由しないで直接厚生省に報告し、国において対応することとなっております。したがいまして、県内における血友病以外の疾患に対する非加熱製剤の投与実態及びHIV感染について現時点では把握できない状況にあります。県としては、エイズ対策としてエイズの正しい知識の普及、保健所におけるエイズ相談及びエイズ検査を実施しており、また、患者等に対する医療体制として2カ所のエイズ拠点病院を選定し、安心して診療が受けられる体制の確保に努めているところでありますが、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。
 次に、医薬品の安全性の確保や適正使用の推進についてでありますが、医薬品の製造承認は議員が御指摘のとおり、厚生省が一元的に行っているものであります。県といたしましては、医薬品の品質管理を徹底するため、製造施設や薬局等に対する監視指導の充実強化を図るとともに、各団体を通じ医療機関や県民に対して医薬品情報の提供等に努めてまいる所存であります。
 非加熱血液製剤についての厚生省の対応は、回収のおくれ等の点で問題があったと考えておりいかんに存じております。今後、県民にとって医薬品の安全性が一層確保されるよう、厚生省に要望してまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君)学校給食における食中毒の予防についてでありますが、学校給食は児童生徒の心身の健全な発達に資する観点から、衛生管理については万全を期さなければならないと考えております。教育委員会としましては、従来から学校における環境衛生基準に基づき、給食従事者の健康確保、検便の励行、給食設備、食品の日常検査及び定期検査の励行等により、学校給食の安全確保を図ってきたところであります。また、本年5月下旬から全国で発生しております病原性大腸菌O-157については、さきの文部省通知を受けて、病原菌の正しい知識の普及及び食品の十分な加熱、飲料水の衛生管理、手や指の洗浄、消毒等の食中毒事故の発生防止について市町村教育委員会等に周知徹底を図ったところであります。今後とも、病原性大腸菌O-157を初めとする食中毒の予防のため、学校給食設備、食品等の衛生管理及び学校栄養職員等に対する衛生教育の指導の徹底を図ってまいります。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君)初めに、県内におけるテレホンクラブ、いわゆるテレクラ営業の実態についてでございますが、テレクラ営業には店舗型とツーショットダイヤル型の2つの営業形態がございまして、本年5月末現在で両方式あわせまして、県内では盛岡市と北上市の19カ所で営業されております。また、ツーショットダイヤル型では利用券というものが必要とされるわけですけれども、その利用券の自動販売機は6市4町1村に44台が設置されております。これは2年前に比べまして11カ所、23台の増加でございます。
 次に、テレクラが介在する女子少年の性的犯罪被害や非行の発生状況についてでございますが、本年はこれまでに青少年のための環境浄化に関する条例に定めますみだらな性行為の禁止違反で検挙した事件のうち、テレクラの介在があった事件は9件で、保護した被害女子少年は9人ございます。そのほか、12人の女子少年をテレクラ関連で性的行為や不良行為で補導しております。被害女子少年につきましては、既に昨年1年間に保護した7人を上回っておりますが、この種の犯罪につきましては潜在性が強く被害申告のないのが大きな特徴でありますので、保護するに至っていない被害女子少年の数は相当数あるものと考えております。
 次に、テレクラ規制の方針についてでございますが、テレクラ規制対策の基本的な方針につきましては知事から明らかにされたところでございます。県警察といたしましては、その方針に沿って規制の実効が確保できる条例の制定に向けて鋭意努力してまいる所存でございます。
 議員各位並びに広く県民の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時26分 散 会

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