平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(千葉伝君) 県民クラブの千葉伝でございます。
 一般質問の機会を与えられたことに対しまして感謝を申し上げながら、通告に従い、順次質問をさせていただきますが、既に先輩・同僚議員がお尋ねした内容と重複する部分もあろうかと思いますが、御了承をお願いいたします。県当局の誠意ある御答弁をいただきたいと存じます。
 お尋ねの前に、昨今の情勢につきまして、所感の一端を申し述べさせていただきます。 最近の社会経済動向は、長引いた平成不況にもやや明るい兆しが見えつつあると報道等がなされておりますが、農林水産業、商工業、保健・医療、福祉、災害や青少年を含む犯罪、環境、教育、就職など、取り巻く状況はまことに厳しいものがあり、国内、県内ともそれぞれ多くの課題を抱えながら、間もなく21世紀を迎えようとしておりますが、今のままでは必ずしも明るく希望に満ちた21世紀を迎えられるのかという危惧を抱いているのは、果たして私だけでありましょうか。岩手は広大な県土を有し、霊峰岩手山、豊かに流れる北上川、八幡平、陸中海岸の2つの国立公園などすばらしい自然環境に恵まれ、また、平泉を初めとする歴史的、文化的遺産も数多く、県内外から詩情豊かな岩手路のすぐれた観光資源の享受を求めて多くの人々が訪れております。また、岩手の生んだ偉大な先人、原敬、後藤新平、新渡戸稲造、そしてことしは世界的詩人と言っても過言ではない石川啄木の生誕110年、さらには宮沢賢治の生誕100年という節目の年に当たり、県内外でさまざまな催しが開催されております。私は、特にこの2人が時代を超えて愛されているのは、その思想の中に、啄木は、貧しさの体験から、平等の社会と自由に物が言える開かれた世の中の実現を目指し、一方、賢治は、農民がどうすれば明るく楽しく暮らせるのかをみずから実践し、世界の幸せを願うという、ともに現代にも通ずる理想を追い続けた先見性にあると思うものであります。私は、こういった郷土の自然や遺産も、そして秀でた先人諸兄も、今なお私たちに何かを問いかけ語りかけているとの思いにかられ、感謝と畏敬の念を常に持ち続けたいと思っております。すべての県民が、今の時代に生きがいを感じながら、安心して暮らせる社会の実現を心から望んでいると確信しておりますので、県政に携わる1人として、その実現に向け、ただいま申し上げた思いを生かしながら努力してまいりたいと考えております。
 さて、早速ながら質問に移らせていただきますが、まず最初に知事にお尋ねをいたします。
 私は今年度、岩手郡の町村で開催されました県政懇談会に6町村出席させていただきましたが、その際に感じたことを交えましてお伺いいたします。
 県政懇談会は故中村元知事時代に始まり、工藤前知事も継承され、現在、増田知事御自身も精力的に県内各地を回られて、特にも昨年以来、ほぼ1年の間に県内59市町村を走破されたわけでありまして、その実行力、行動力に対しましては心から敬意を表するところであります。
 さて、現在の県政懇談会の実施方法はと言えば、中村・工藤両知事当時とほぼ同様の方法、内容ではないかと思うのであります。しかも、私も出席の機会を得まして同席させていただいたわけですが、県民、住民の意見や提言のほとんどが、市町村から県に対して既に行っている陳情、要望内容であり、どうしても新鮮味に欠ける感じを否めないのであります。3代も続いている方法でありますので方法に誤りはないとは存じますが、言葉が悪いようですが、マンネリ化を来しているのではないかと思い、せっかくの知事の積極的な県内巡りも、効果のほどを心配いたしていたところであります。しかしながら、一巡した後の県政懇談会はテーマを絞られ、従来行われていた特定懇談部分に力を入れ、特に専門的な事業を行っている個々の事業者を現地に訪ねて、形式にとらわれないざっくばらんなスタイルで懇談を行っておられる、これはこれで私は非常に高く評価申し上げているところであります。ただ、この特定課題的な懇談会は、県内各地域住民の声を吸い上げる方法としてはいささか的が小さい感がいたします。一巡したとは申せ、市町村域ごとあるいは広域圏ごとの意見を集約する方法がやはり必要ではないかと考えるのであります。広く県民の声に耳を傾ける方法はいろいろあると思いますが、増田知事の若さと情熱あふれる特色を生かした県民の声の反映手段を、知事御自身も心を砕いておられるのではないかと推察するのでありますが、来年度以降の県政懇談会をどのような視点で行おうとしておられるのか、御見解をお示し願いたいと存じます。
 次に、本県の重要な産業であります農業の振興対策についてお伺いいたします。
 第1に米の問題についてであります。
 我が国は、いにしえの昔より稲作を中心とし、瑞穂の国と称していたほどの農業国であり、国の繁栄の基礎を米づくりに求めてきた長い歴史があります。近代産業が発達し、国の主要産業のトップの座を譲ったとはいえ、依然として産業の中に占める農業の重要性は、その動向いかんでは、経済にも単純に数字的にあらわせない大きな影響力を持ち、国民生活にとっても必要不可欠なものと言わざるを得ません。我が岩手県はこうした歴史を背景としながら、国内有数の農業県として進展してきており、米を初めとする食糧の供給基地を標榜してまいりました。しかしながら、最近の我が国の農業は、農業従事者の高齢化や後継者不足、加えて平成6年のウルグァイ・ラウンド農業合意の洗礼のもとに、肉、野菜、果物はもちろん、米までも輸入自由化となるなど、内外の競争に直面する厳しい環境下を余儀なくされ、農業者にとってはまことに憂慮にたえない情勢となっております。このような中で、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連法案として平成6年12月に可決され、同7年11月に施行された主要食糧の需給と価格の安定に関する法律、いわゆる新食糧法は、それまでの食糧管理法にかわる新しい米の管理システムとして注目を浴び、間もなく1年となるわけであります。この法律によれば、生産、流通、消費を巡る流れが大きく変化することとなり、特にも流通の主体が国から民間に移行するなど、米管理のシステム全体の抜本的改革となるはずであります。しかしながら、生産調整いわゆる大幅な減反を余儀なくされた農家から、つくったのはよいが、販売がうまくいき所得向上につながるのかなどの不安の声が聞こえてきます。私自身、このシステムの具体的効果なりがもうひとつはっきりしない感じがしてなりません。確かに、新しいシステムでありますので、一朝一夕には変化が見えないのもやむを得ない部分があるとは思いますが、このままでは従来にも増して米の将来が不安であり、期待が持てない米づくりという印象を与えるのではないかと心配するのは取り越し苦労でありましょうか。農業後継者の不足やお嫁さんの来手がない問題の解決のためにも、米づくりの未来をしっかりとしたものにする必要があると考えるものであります。新食糧法に伴う民間流通主体の新システム、小売、卸業者の乱立など、米市場はまさに戦国時代の様相を呈し、その背景には過剰基調があることは否めず、各産地、銘柄の販売競争は激化の一途をたどると思うのであります。新食糧法の施行から約1年、収穫もそろそろ始まっておりますが、岩手県の米づくりの将来を増田知事はどのようにとらえ、今後強まる産地間競争にどう対応し、どのように導こうとしているのか、基本的な考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 第2は、畜産の振興策についてであります。
 本県の畜産は広大な県土を背景に、生産者、関係団体、県が一体となった積極的な取り組みにより全国屈指の地位を確立しております。しかしながら、最近の畜産を取り巻く情勢は、農畜産物の輸入自由化等による市場価格の低迷や世界的な穀物需給の逼迫による配合飼料価格の高騰が顕著であり、今後ともこのような状態が続くことが予想され、畜産農家のコスト増に伴う経営不安の声が上がっております。このような情勢の中で、本県が今後とも畜産の主産県として、さらには食糧供給基地として維持発展していくためには、今こそ広大な県土を有効に生かすことのできる土地利用型の酪農、肉用牛の積極的な振興が極めて重要であり、その振興策として、特にも粗飼料自給率の向上と生産コストの低減をより一層推進する抜本的な対策が必要であると思うのであります。一方、本県における最近の大家畜経営においては、飼養者の高齢化等により粗飼料の生産性が低下している事態が見聞されており、このような事態は、土地利用型畜産を維持する上で重大な支障を来していると思われます。私は、安定した地域営農を確立し、畜産部門と耕種部門の有機的連携による土づくりと相互補完する機能を充実し、良質、安全、新鮮な農畜産物の供給基地として、収益性の高い地域ぐるみ農業の推進が肝要であると考えており、稲わら等の地域資源の高度活用を図り、より生産性の高い体制の確立を目指す必要があると思うのでありますが、県では、今後の土地利用型畜産の振興対策をどのように具体化していこうとしているのか、農政部長にお伺いいたします。
 次に、試験研究機関の活用方策についてお伺いします。
 まず、本県の全般的な試験研究機関の取り組みについてでありますが、本県における経済社会情勢は、国際化、少子・高齢化、高度情報化、さらには環境保全への要請の高まりなど、これまでになく大きく変わろうとしてきております。こうしたとき、県は、第三次岩手県総合発展計画の具体版として、去る3月に後期実施計画を策定したところであり、この着実な実施を期待しているものでありますが、私はこれからの時代、何といっても地域を支える産業の振興、活性化がその基盤として重要であると考えております。産業活動における競争は、商工業はもとより、農林水産業に至るまで一層激しさを増してきており、商工業での企業育成あるいは農林水産業での新たな品種の開発や栽培技術の向上、さらには商品化など、本県の科学技術振興をバックボーンとして、他に先駆けたオリジナリティーのある独自技術の開発が一層重要であろうと考えるものであります。幸いなことに、県では、新技術の開発を担う試験研究機関について、これまで工業、水産、林業の各部門の再編整備を完了し、来年度には農業部門が再編発足すると聞いており、このような産業振興に向けた技術開発部門の充実整備とその成果の活用こそは、本県経済の発展を図る上で大きなかぎを握るものであると考えます。私は、試験研究機関が多くの成果を上げるためには、施設整備の充実はもちろん、これまで以上に活発な研究活動が展開されていく必要があると考えるものであります。知事は、産業振興の基盤であり先導的役割を果たす試験研究機関の研究活動の重要性についてどのように認識されているのか。また、今後、その活性化に向けてどう取り組んでいくのか御所見をいただきたいと存じます。
 次に、農業部門の試験研究機関について農政部長にお尋ねします。
 今、農業をめぐっては、新たな国際化時代への対応のみならず、需給緩和の傾向の中で産地間競争の激化が予想され、また、農業従事者の減少や高齢化が進むなど、多くの課題を抱えております。こうした中において、生産農家の意欲を積極的に喚起し、希望を持って取り組める生産性の高い農業経営の具現化を進めていくことが大事と考えるものでありますが、その基本となるのは、技術開発であり新技術の導入であろうと思います。他県に先駆けた試験研究、地域に根差した課題に積極的に取り組むことであり、研究成果をいち早く活用し、個々の農業経営に反映できるようにして、もうかる農業を築いていく力とすることが重要ではないかと考えるものであります。農業試験研究機関は、平成9年4月に組織統合することで、本部となる北上の農業研究センター、サブセンターとなる軽米の県北農業技術センターのほか、滝沢の畜産試験研究部門など、それぞれが急ピッチで整備が進められていると伺っておりますが、現在、農業関係試験研究機関の整備の全体的な進捗がどうなっているのか、具体的状況についてお伺いいたします。
 次に、その成果の活用についてでありますが、本県は平場から高標高地、沿岸気象から内陸気象など多彩な立地条件にあり、また、他県と比較にならないほどの広大な面積を有しておりますので、試験研究の成果を活用するためには、それぞれの地域に合った形で示しながら導入を促進していく必要があるものと考えます。
 そこで、新たに発足する農業研究センターでの試験研究の成果を波及、活用するため、農業改良普及センターなど、現場との連携方策をどのようにするお考えなのかお示し願います。また、研究機関は農業者の要望にこたえ、短い期間で継続的に成果を生み出す能力を持った研究体制が不可欠と考えます。このためには、施設整備と同時に、中身である研究体制の充実整備が肝要であり、その実現があって初めてその活用が期待できるものであります。
 そこで、新たな農業研究センターの組織や研究員、現業職員の配置など、研究体制の充実についてどう考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、ことしの5月以来猛威を奮った腸管出血性大腸菌、いわゆるO-157の対策についてお伺いいたします。
 このO-157による食中毒は、アメリカでは1975年に最初の患者が確認されており、我が国では1984年に初めて大阪で家族内感染が確認されて以来、毎年のように散発事例のほか、集団発生も十数件報告されていたものの、比較的穏やかに推移してきておりました。しかし、本年5月、岡山県に始まったO-157による集団中毒は、大阪府堺市を中心にまたたく間に拡大し、全国で死者を含む8、000人を超える感染者を数え、その大部分が今なお感染源や感染ルートも特定されていないのが現状であります。下火となったとはいえ、一時は大変なパニック状態を巻き起こしたことは御案内のとおりであり、本県におきましても、本年9月20日現在、O-157を含む病原性大腸菌の発生は18名の患者の発生が見られておりますが、幸いにも大事に至っておらず、このまま沈静化することを願うものであります。このような状況の中で、連日大きな社会問題として新聞、テレビ等に大々的に取り上げられ、連続的に発生する事態の明確な打開策を見出せないこともあって、国民すべてがパニック状態となった結果、肉、野菜などの生産、販売に大きな打撃を与えることとなったのであります。私は、食品の安全確保の観点から、食料品の生産、流通、販売、消費の各段階において、取り得る最大限の対策を講ずることが必要であり、その取り組み体制を一層強化することにより一般家庭を含む関係者への予防策の徹底、県民みずからの自衛手段の実行を通じ、冷静な対応をしていくことの必要性を強く感じるものであります。
 そこで食糧、特に家畜、野菜について、生産、販売を指導、推進する立場にある農政部と、流通されている食品の安全性の確保を指導、監督する立場にある環境保健部においてどのような取り組みがなされ、また、今後どのような対策を進めていくのか、それぞれお聞かせいただきたいと思います。
 次に、青少年の健全化の推進についてお尋ねします。
 我が国の青少年人口は、昭和30年以降、一貫して減少していると言われております。県内においても、県民総人口に占める青少年人口の割合が逐年下降するなど、近年の少子化傾向が高齢化社会の到来に拍車をかけている状況にありますが、それだけに将来の郷土の担い手である青少年の健全育成の問題は、県政上の重要課題の1つであると認識するものであり、県内各地で住民一体となった環境浄化活動や非行防止活動等の取り組みが見られることから、県民意識の高まりを強く感じているところであります。しかし、一方においては、青少年人口が減少する中で、ここ数年、非行少年等の補導総数の増加傾向が見られること、中でもテレクラ等の有害環境の影響による青少年の性的非行や犯罪被害が多発していることに危機感を強くするものであり、利用カードを販売する自販機の撤去要請運動など、テレクラの規制を求める地域住民の機運が高まっており、具体的な対応が急務であると感じております。これについては、増田知事が去る6月議会において、テレクラ規制条例を制定する方針を明らかにし県民に約束されたところであり、今次県議会定例会にその条例案が上程されたことは時宜にかなったものであり、大いに歓迎するものであります。テレクラ規制条例は、公安委員会が所管すると伺っておりますが、各種のメディアがはんらんする情報社会に対応し、全国に例のないパソコン通信による広告、宣伝を規制するなど、その苦心と英断に敬意を評するものであります。
 そこで、警察本部長にお伺いいたしますが、まず、本条例案には、各種の営業規制や広告規制等が規定されておりますが、その意図は何にあるのでしょうか。また、全国各県の条例との比較においてどのような特徴があるのでしょうか、お示し願います。
 次に、条例の施行後、その規制の実効を期するためどのような手だてを講ずるお考えでしょうか、お聞かせ願います。
 最後に、一般国道4号の盛岡以北、特に茨島から分れ間を中心とした道路整備についてお伺いいたします。
 岩手県におきましては、既に全線供用開始されている東北縦貫自動車道弘前線及び八戸線に加え、来年度には東北横断自動車道釜石秋田線の北上以西が全線供用開始される予定と伺っております。また、これらの高速交通体系の恩恵を県土すべてにおいて享受できるようにするため、さきの県単高速交通関連道路整備事業などに引き続き、新交流ネットワーク道路整備事業にも今年度から新たに取り組まれるなど、道路の積極的な整備の御努力に対し敬意を評するものであります。しかしながら、地域間道路の整備につきましては相当程度の進捗はあるものの、盛岡市内及びその周辺においては依然として恒常的な交通渋滞が続いており、特にも、2車線である国道4号茨島から分れ間の交通量は1日2万8、000台と非常に多くなっており、盛岡地域間道路の整備効果を半減させていると感じております。獣医師という立場からあえて言わせていただきますと、盛岡市を心臓と例えれば、国道4号はまさに大動脈であり、この大動脈も今や動脈硬化が顕著であり心筋梗塞を起こしかねず、手術が避けられない容態と診断されるのであります。
 そこでお伺いいたします。
 雫石方面からは国道46号の整備、北上、花巻方面からは国道4号や盛岡地区等の土地区画整理事業による開運橋飯岡線などの整備、また、宮古方面からは地域高規格道路、宮古盛岡横断道路の整備によって交通渋滞緩和のための事業が推進されているわけでありますが、これらに対応しての久慈、二戸方面からの整備もぜひ並行する必要があると思うのであります。盛岡以北の国道4号の4車線化につきましては、先輩三河議員からも質問があったところですが、特にも、茨島から分れ間は早急に4車線化の手当てが必要と思いますので、その整備をどのように取り組んでいくお考えなのか、土木部長にお尋ねするものであります。
 また、あわせて、盛岡以北の交通渋滞箇所である国道4号渋民バイパス及び国道282号一本木バイパスと西根バイパスの取り組み状況についてもお聞かせいただきたいと存じます。
 以上を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政懇談会についてのお尋ねでございますが、私は、県政の推進に当たっての基本姿勢といたしまして、県民に開かれたわかりやすい県政、これを掲げまして、多くの県民の皆様方から県政に対しますさまざまな御意見、御提言を直接お聞きいたしまして県政に反映させてまいりたい、このように考えまして、その一環といたしまして、本年の7月までの1年間、昨年8月から本年7月までの1年間に県内のすべての市町村で県政懇談会を開催してきたところでございます。各地で開催いたしました県政懇談会には大変多くの県民の皆様方に御参加をいただきまして、数多くの貴重な御意見をいただいたわけでございますし、また、その際に、地域で課題になっております現地の状況も拝見させていただきまして、それぞれの地域が抱えております固有の課題でございますとか、各地域に共通する課題などを把握することができまして、今後の県政を推進していく上で大きな成果を得ることができたものと、このように考えております。
 市町村一巡後の県政懇談会につきましては、こうした成果を踏まえまして、運営方法などについて工夫を凝らしながら、引き続き可能な限り現地に出向きまして多くの方々の御意見などを伺ってまいりたい、このように考えております。これから開催いたします県政懇談会につきましては、現場での比較的小規模な懇談会によりましてより掘り下げた意見交換を行います一方で、市町村の区域を超えて広い範囲で交流しながら活動している方々とそうした地域の共通する課題や活性化について意見交換を行うことも必要であろうと考えておりますし、さらには、県内各地で活躍しております青年や女性の方々にお集まりいただきまして21世紀の岩手を語っていただくなど、幅広く県民の皆様方の意見、提言をお聞きする機会を設けていきたいと、このように考えております。
 また、来年度以降の県政懇談会についてでございますが、こうした今後実施をいたします県政懇談会の開催状況を踏まえまして、さらにより一層成果が上がりますようにさまざまな工夫を凝らして実施してまいりたいと、このように考えております。
 次に、本県の米づくりの基本的な考え方についてでございますけれども、本県におきましては、総合食糧供給基地を標榜しておりまして、農業の積極的な振興を図っているところでございますが、とりわけ、今、議員御指摘のとおり、稲作は本県農業の大宗をなす基幹作目でございまして、地域経済を支える枢要な部門でございます。殊にも、農家の約9割が専業あるいは複合経営として稲作に取り組んでいる、そうした現状でございまして、私は、本県農業にとりまして、稲作の重要性は将来においてもいささかも変わるものではないと、こういうふうに考えております。このような考え方のもとに、本県が21世紀に向けて米の主産地としての地位を確固たるものにしていくために、今日の難しい局面にありましても、消費者や流通業界から高い評価が得られまして、安定した取引が確保できるような体質の強い生産、流通体制を早急に確立することが肝要であるというふうに考えております。このために、新たに生産者を初め、関係機関、団体の総力を挙げまして、作柄の安定と本県のオリジナル水稲品種でございますゆめさんさ、かけはしなど、適地適品種の配置によりまして、品質、食味のワンランクアップを目標といたしましたいわゆる売れる米づくり運動、これを全県的に展開いたしますとともに、高生産性稲作が可能な土地基盤や乾燥調製施設などの整備を重点的に推進をしていきたいというふうに考えております。 また、農業技術の革新を図っていくことが今後必要不可欠でございますので、県の生物工学研究センターや、現在整備を進めております農業研究センターにおきまして、いもち病に強い品種の開発など、先導的な研究を一方で推進するほか、また、農業情報システムの整備によりまして、研究成果や気象情報などの迅速な提供に努めていきたいというふうに考えております。
 さらには、本県の米につきましては有機質の使用量が全国トップクラスであるというような、こうしたいわて純情米の特徴を強調し、重点卸売業者の協力を得ながら販売戦略を展開するなど、多様な施策を積極的に講じまして、生産者の皆さんが意欲を持って米づくりに携わることができるような力強い稲作農業の確立に鋭意取り組んでまいる考えでございます。
 次に、試験研究機関の重要性についてでございますけれども、産業構造が今日大きく変化をしていく中で、本県経済の自立的な発展を目指していくためには、高度な技術に立脚した活力ある産業の振興を図っていく必要があると考えております。このために、本県の有しております豊かな資源を活用しながら、先端的、独創的な研究や新技術の開発に積極的に取り組みますとともに、こうした成果を民間の企業や生産者に円滑に移転をしていくことが肝要でございまして、試験研究機関の研究活動は、こうした研究開発や技術移転を図る上で極めて重要な役割を担っているものと、こういうふうに考えております。県におきましては、このような認識のもとで、これまでにも試験研究機関を再編整備をいたしまして研究環境の整備充実に努めてまいりましたほか、生物工学研究所や超電導工学研究所などの先端的な研究施設の開設あるいは誘致、そして地域先導研究などの国の研究開発プロジェクトの導入、大学や企業との共同研究の促進など、活発な研究活動が展開されるように努めてきたところでございます。今後におきましても、引き続き県内のそれぞれの試験研究機関の研究環境の整備充実に努めますとともに、これは海外も含めまして、県内外の試験研究機関相互間の研究、技術情報の交流の促進を図るほか、茨城の筑波にございます筑波研究学園都市を初めといたしまして、県外の先端的な研究機関や大学との共同研究を一層充実するなど、研究活動が活発化し、研究開発力の向上が図られるように今後一層努めていきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) まず、今後の土地利用型畜産の振興対策についてのお尋ねでございますが、本県の畜産は粗生産額におきまして全国第4位に位置しておりますが、今日の畜産情勢は、議員御指摘のとおり、畜産物の輸入自由化等による価格の低迷や世界的な飼料穀物需給の逼迫により、配合飼料価格の高騰が畜産経営を圧迫しております。このような情勢は今後とも続くことが予想される一方、平成17年を展望した国の酪農及び肉用牛生産近代化基本方針におきましては、乳・肉用牛の能力の向上を図るとともに、肉用牛の大幅な増頭と自給飼料を活用した生産コストの大幅な削減の必要性が示されております。県といたしましても、土地利用型畜産である酪農や肉用牛経営におきましては、本県の豊富な草資源を有効に活用した粗飼料の自給率向上を図り、配合飼料依存度の低減に努めることが重要であると考えております。このため、3万7、000ヘクタールに及ぶ公共牧場を地方振興局ごとに再編整備し、集約放牧場や採草牧場などに機能強化を図り、放牧頭数の拡大や飼料自給率の向上に努めてまいりたいと考えております。また、牧草や飼料作物の優良品種の導入のほか、良質粗飼料の収穫調製技術や草地管理のための新技術を開発し、粗飼料の生産性の向上を図ってまいりたいと考えております。特にも、コンバインの普及等により利用率が低下しております稲わらにつきましては、地域における重要な飼料資源としてもこれを積極的に活用するための方策を検討するとともに、担い手の高齢化等に対し、ヘルパー組織や飼料生産請負組織の育成を図り、粗飼料自給率の向上を通じて低コスト生産の実現を一層確実なものにしてまいりたいと考えております。
 次に、農業関係試験研究機関整備の全体的な進捗状況についてでございますが、現在、整備を進めております農業研究センターは、21世紀に向けた岩手農業の将来の展望を切り開く技術開発研究の拠点として位置づけるものであり、生産現場ニーズに直結した試験研究の推進を図るとともに、バイオテクノロジーやロボット防除システムなど、先端技術を駆使した技術開発に対応する研究施設の拡充を図ることとしており、広く県民に開かれた研究機関として、平成9年4月の開所に向け、整備は計画どおり順調に推移しているところであります。具体的には、北上市におけるセンター本部につきましては、本館は本年12月の完成を目指しており、また、水稲育種実験棟などの研究施設や3ヘクタールの大区画水田など試験圃場につきましては年度内完成の見込みであり、計画どおりの進捗状況にあります。また、軽米町に整備中の県北農業技術センターにつきましては、明年2月完成予定の本館を初め、圃場造成につきましても、センター本部と同様、順調に進んでおります。さらに、滝沢村の畜産研究部門におきましては、平成7年度に産肉能力検定牛舎などの研究施設の整備を終えまして既に試験研究に供用しておりますが、本年度は養鶏施設跡地の草地造成工事などを行っております。
 なお、試験畜産研究部門の本館につきましては、平成9年度着工、平成10年度完成を目途に、現在の農業試験場の本館跡地に移転建築する計画でございます。
 次に、農業研究センターの成果を普及、活用するための指導現場との連携についてでございますが、御指摘のとおり、本センターで開発された研究成果を農業経営に迅速かつ的確に普及、活用していくためには、地域農業改良普及センターとの連携のもとに、地域に適応した技術として導入を進めていくことが極めて重要であると考えております。このため、新たに21世紀を展望した農業経営のモデルとなる実証試験地を県内各地に設置することを検討しているところでありまして、この試験地を成果波及の地域拠点として位置づけることとしております。この試験地は、各地域の重点課題を取り上げ、現地に適応する新技術として開発を行うとともに、その技術を農家経営レベルで総合的に組み立て実証を行い、早期に地域の農業経営モデルを育成するものでありますが、特にもその運営に当たりましては、地域農業改良普及センターなど、現地指導機関との一層の連携のもとに、その成果が直ちに生産現場に生かされ、地域農業が活性化されるよう取り組んでまいる考えであります。また、試験圃場を活用した成果を伝達する研修の充実を図るとともに、地域農業改良センターや農業者をネットワーク化した総合農業情報システムの整備、活用により、開発された新技術等の情報をリアルタイムで提供するなど、現場との連携を一層強化してまいる考えであります。さらに、現地からの研究ニーズの把握や成果の広範な波及を促進するため、農業にかかわる試験研究機関が一体となって県内各地に出向いて指導機関や農業者を対象とした移動1日農業試験場を開催することなども検討してまいりたいと考えております。
 次に、農業研究センターの研究体制の充実についてでありますが、農業研究センターの整備に当たりましては、既存の農業関係試験研究機関を再編統合しながら、新たな試験研究ニーズに積極的に対応した試験研究の一層の充実強化と効率的推進を図っていくこととしているところであります。御案内のとおり、試験研究分野におきまして研究開発等の成果を上げるためには、施設整備などハード面の充実とあわせ、それに携わる研究員を初めとした研究体制の強化や研究員の資質の向上など、ソフト面における充実も重要であると認識しております。具体的には、環境部門など、共通する研究分野につきましては統合するなどの見直しを行うとともに、研究の企画調整などを行う企画経営情報部門やバイオテクノロジー等を利用した応用生物工学研究などの新規の研究部門、さらには、本県オリジナル品種の開発を担当する部門など、強化が必要な部門には研究員を重点的に配置するなど、統合による研究体制の強化が十分に図られるようにしてまいりたいと考えております。また、今回の再編統合によりまして面積がふえる圃場の管理等につきましては、委託の方式も含め、適切な管理が行われるような体制について検討しているところであります。いずれ新たな世紀に向け、農業者が夢を持てるよう、そして、本県農業の飛躍的発展を図るための先導役として、農業研究センターが大いにその機能を発揮することができるよう研究体制等の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、O-157に係る農畜産物の衛生対策についてでありますが、生食用野菜はもとより、牛肉におきましても消費の低迷が見られ、特にもレバーなどにつきましては引き合いがなくなり、生産者を初め、岩手畜産流通センターなど、流通業界にも大きな影響が生じているところであります。O-157は、屠畜の処理段階の検査において牛の腸内容物からまれに検出されることがありますが、他の家畜からは検出されておりませんし、本県がこれまで実施しております生食用野菜や家畜のふん便検査でもO-157は確認されておらないところであります。しかし、生産者や消費者の不安を解消するためにも、特に家畜の生産段階における保菌状況を把握し、安全性を確認するため、家畜保健衛生所におきまして、牛、豚を対象とした検査を継続して実施しているところであります。
 また、畜産農家等に対する指導でありますが、本年8月、衛生的な飼養管理の徹底、屠畜場出荷牛の衛生的取り扱い、下痢をしている牛の出荷自粛などの徹底につきまして家畜保健衛生所等を通じまして指導するとともに、関係団体に対しましても強く要請したところであります。さらに、屠畜の処理段階における衛生的な食肉処理体制を確保するため、岩手畜産流通センターに生体洗浄施設、腸管結さつ機などの屠畜解体施設を早急に整備するため、所要の予算措置を講ずることとしておるところでございます。今後におきましても、消費者からの信頼にこたえるため、安全で良質な農畜産物の生産と供給体制に万全を期してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 流通された食品の安全性の確保に関する取り組みについてでありますが、O-157による食品の衛生確保を図るため、農政部、県経済連、食肉衛生検査所、食品衛生協会等の関係機関との連絡会議を開催し、その対策の調整推進に努めてきたところであります。環境保健部では、食品の製造、販売等の取り扱い施設に対し、衛生管理状況についての監視指導を実施するとともに、屠畜場に対しては、微生物制御のための指導を行ってきたところであります。
 また、食肉、野菜等の流通食品及び屠畜場における牛枝肉、腸内容物等、計約430検体についてO-157の検査を実施したところ、すべての検体でO-157は検出されませんでした。
 さらに、消費者に対しては、O-157に関するリーフレットを配布し、感染予防の啓発普及に努めるなど、食品の安全性確保を図ってきたところであります。今後の対策につきましては、食品の製造施設等に対して、原料から製品まで一貫した衛生対策が講じられるよう指導を強化するとともに、食品の汚染調査につきましても適宜実施してまいる考えであります。また、屠畜場に対しては、国から示された施設及び設備に関するガイドライン等に基づき、総合的な衛生管理が実施されるよう指導してまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 国道4号の道路整備についてでありますが、国道4号は、東北縦貫自動車道と併走して本県の道路交通網の骨格をなす道路であり、特に、盛岡市及びその周辺においては、久慈・二戸方面、花巻・北上方面への放射道路と盛岡市街地を取り囲む環状道路の機能をあわせ持っております。さらに、近年の盛岡地域への都市機能の集積等から、国道4号に交通が集中するとともに、交通量も増大するなど、混雑が恒常化している区間もありますことから、県といたしましては、建設省及び盛岡市とともに渋滞対策を進めておるところであります。
 まず、国道4号茨島から分レ間についてでありますが、茨島跨線橋につきましては、東北新幹線の構造規格との関係から600メートルを残し、平成6年度から工事を休止していたところであります。しかし、東北新幹線盛岡-沼宮内間がフル規格として平成7年4月に工事実施計画が認可されましたことから、国においては、現在工事再開に向けて調査を実施しているところであります。茨島の終点から分レ間につきましては、巣子地区の住宅団地開発等に伴い交通量が増加していることから、国においては、当面の応急対策としてバスベイを設置するなど、交通混雑の緩和に取り組んできたところであります。今後、抜本的対策としては、4車線化が求められる区間でありますが、沿道が環境緑地保全地域に指定されており、また、周辺が農林水産省の農業試験場等が立地していることから、道路の構造や環境との調和など慎重に検討する必要があると伺っております。県といたしましても、交通の現状にかんがみ、早期に整備計画を樹立し、事業化されるよう国に働きかけてまいる考えであります。
 また、玉山村の渋民バイパスについてでございますが、現在国道4号の渋民地区は幅員が狭小で歩道も未整備なことから、国においては、昭和61年度に延長5・6キロメートルのバイパス事業に着手したところであります。平成2年度からは用地買収に入っており、今年度も引き続き用地買収を促進すると伺っております。
 次に、県が事業化しております国道282号の一本木バイパスと西根バイパスについてでありますが、国道としての機能確保のため、平成6年度にそれぞれバイパス事業として着手したところであります。一本木バイパスは延長4・2キロメートルであり、新交流ネットワーク道路整備事業により今年度から用地買収に入ることとしております。また、西根バイパスは延長9・9キロメートルであり、国庫補助事業により、今年度は用地買収の促進と松川橋等の工事に着手することとしております。両事業につきましては、地元の御理解と御協力を得ながら、今後とも整備促進に努めてまいる考えであります。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君) まず、テレホンクラブ等営業の規制に関する条例案の各種規制の意図と特徴についてでございます。
 本条例案の目的とするところは、テレホンクラブ等営業全般を規制しようというものではなくて、テレホンクラブ等営業に対する青少年のアクセスをいわば遮断しようというところにございます。これは、テレホンクラブ等の営業者等が行います無差別な利用カードの販売あるいは街頭宣伝などにより、みずから判断する能力の未熟な青少年が誘引されて性的犯罪の被害者や、あるいは非行に陥ると、そういうような事案が多発しておりますところから、青少年が日常の生活行動の中で選択意思もなくテレホンクラブに関する情報に触れる、こういうことをなくそうというものでございます。
 次に、全国各県の条例と比較した場合の特徴的な規定でございます。
 その1つは、屋外における音声あるいは映像による広告、宣伝を禁止したことでございます。これは、これまで制定されてきました各県の条例がポスターやチラシといった文書等のみ規制しておりますところから、全国では初めての試みでございます。
 その2つは、パソコン通信等端末設備を用いて広告、宣伝を行う場合には、青少年が利用できないということを明示しなければならないとしたことでございます。これは、日々進展いたします情報化時代に対応したものでございまして、これも全国に例のない規定でございます。
 その3つは、テレホンクラブの利用カードの販売及び広告、宣伝を委託した場合におきます営業者の受託者に対する指導、監督義務を規定したという点でございます。これは、県内の実情に対応するためのもので、全国に数少ない規定でございます。
 以上、3点が本条例案の他県と比較した場合の特徴であるというふうに考えております。
 最後に、条例施行後におきます規制の実効を期する手だてについてでございますけれども、条例制定の趣旨を広く県民各層に徹底することを基本といたしまして、テレホンクラブ等営業者に対する規定の遵守に関する指導を徹底すること、県、市町村を初めとする関係機関やPTA、ボランティア等の関係団体と連携して広く県民に対します広報、啓発活動を行うこと、特に、青少年及びその保護者に対する意識啓発を図っていきたいと考えております。そして警察職員による指導取り締まりと青少年の保護、補導活動を強化すること、これらの取り組みによりまして規制の実効性の確保を図り、青少年の健全な成長を願う県民の負託にこたえてまいりたいというふうに考えております。また、不健全な映像等の規制を強化するための青少年のための環境浄化に関する条例の一部改正案が本議会に上程されております。この2つの条例が相乗効果をもたらすような活動を展開してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
〇11番(千葉伝君) ただいまは私の質問に対し、県当局の誠意ある御答弁をいただき感謝申し上げます。
 御答弁いただいた内容に関しまして、1つ再質問いたします。
 先ほど知事から、米づくりの基本的考えを伺ったのでありますが、一昨日公表された県内の米の作況指数は97とやや不良とされたものの、これは地域や品種等によって差があるものと思います。私もここ数日来、刈り取りの始まったかけはしについて農家の方々から伺ったところ、昨年多発しことしも心配していたいもち病の発生もほとんどなく、ほっとし、また、喜んでいるのが感じられたのであります。このことは、農家はもちろん、県のダイレクトメールを初めとする徹底した指導により、関係団体、地域が一体となって取り組んだ成果であり、高く評価申し上げるところであります。
 そこで、先ほど知事から御答弁がありました売れる米づくりを推進するという観点から、今後におきましては--農政部長にお伺いするわけですが--こういった成果を来年度以降に生かすために、収穫された米が国内外の産地間競争に打ち勝つ、いわゆる販売戦略がより重要となるというふうに考えます。県あるいは関係機関、団体等の一体となった方策が必要と思われますことから、オリジナル品種を含む米の販売戦略について、具体的にどのように取り組んでいくお考えなのかをお答えいただきたいと思います。
 それから、O-157対策については、さきに黄川田議員、久保田議員、大久保議員からもそれぞれの質問があり御答弁いただいておりますことから要望にいたしますが、一連の食中毒について、依然として入院患者があり、あるいは散発事例も見られるなど、予断を許さない状況にあると考えます。幸い本県では、集団発生が見られておらないというわけですが、今後において発生予防や2次感染防止対策として家畜衛生、公衆衛生部門のいわゆる食肉衛生対策の強化、特にも屠畜場の衛生対策の改善強化が重要になると思います。あわせて、行政あるいは発生した場合の医療機関との、いわゆる関係機関との連携を図って、医療機関の少ない地域の対策とか、あるいは不幸にして患者が出た場合、言われておりますことに、患者あるいは周辺に対する偏見あるいは差別といったものが出ないような適切な指導をPRすると。そういったことから考えますと、いわゆる地域の保健指導の中核である保健所の位置づけというものが重要になろうと思います。そういったこともぜひ勘案していただきまして、食品の安全性の確保の観点から、少しでも県民の食品に対する不安を解消し安心できる体制を整え、このO-157を含む食中毒対策を関係部局と連携して取り進めていただきますようお願いいたします。
 もう1つ道路の問題ですが、さきに三河議員、大久保議員から国道4号につらなる県北沿岸から盛岡を結ぶ国道281号の整備促進が質問されておりますが、私は、盛岡以北の振興を図る上からも同路線の整備を急ぐ一方、久慈等から盛岡までの90分構想に近づけるためにも、盛岡周辺、特にも茨島-分れ間の4車線化が急務と考えます。整備の方法はいろいろ考えられると思いますが、周辺の機関等の御協力をいただき、自然景観に配慮し緑地を中央分離帯として残す方法もあろうと思います。建設省出身の増田知事には、この区間の4車線化に向けた御支援と国に対する要望についても特段の御配慮を申し上げる次第です。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) 県産米の販売戦略を具体的にどう取り組むのかというお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、食糧法の施行によりまして、流通規制が緩和されたことによりまして産地間競争が一段と激化するなど、米流通をめぐる環境は大きく変わってきております。今後の販売戦略といたしましては、卸売業者のほか、量販店等の小売業者に至るまでより川下を見据えたマーケティングを展開していく必要があるものと存じております。したがいまして、販売促進対策につきましては、農業団体等と一体となって、特にも2年連続で特Aの食味評価を受けたひとめぼれを初め、オリジナル品種のゆめさんさ、かけはしを前面に打ち出しながら、高品質、良食味で主食用から業務用、加工用まで品ぞろえが豊富であることをPRしながら、有機低農薬、自然乾燥などのいわて純情米の特色を強調するとともに、重点卸売業者との結びつきを一層強化し、県産米の安定的な販売ルートを確保するとともに、新たな取引先を開拓するため、首都圏等の消費地の量販店等に的を絞って卸売業者の協力も得ながら販売促進キャンペーン等を実施するなど、取引先と一体となったエリアマーケティングを強化してまいりたいと考えております。
 なお、今年度におきましても、7月25日からいわて純情米の特徴や県産米取扱店等を紹介するインターネットのホームページを公開しているところでありますし、また、去る9月10日には、全国の米1、000トン以上の取り扱いをしております重点卸売業者を招きまして、産地懇談会等を開いたところでございます。
 今後におきましても、新米の出回り時期に合わせまして、首都圏等の消費地におきまして物産展や新米フェア等を実施することとしておりまして、従前にも増して販売対策に力を入れてまいりたいと考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 千葉伝議員に申し上げます。後半は要望ですか。
   〔11番千葉議員「そのとおりです。」と呼ぶ〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、佐々木一榮君。
   〔3番佐々木一榮君登壇〕(拍手)

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