平成8年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(三河喜美男君) 三河喜美男でございます。
 世界最古のメソポタミア文明の滅亡は森林の消滅によると言われております。現在の我々も、河川のはんらん、山崩れ、土砂の流出等が森林の荒廃と関係していることを身近に体験をしているものであります。少年の非行やいじめといった精神面にかかわる問題も、森林に代表される自然環境破壊と無縁ではないであろうと考えるものであります。古代から現代に至るまで、森林が文明の基盤であることを痛感するものであります。森林をいかに取り扱うかは、現在の我々だけでなく、将来の国民生活にも影響を及ぼすものであり、したがって、その対処を誤れば取り返しのつかぬ禍根を残すことになると危惧するものであります。
 本県は、総面積152万8、000ヘクタールのうち77%、118万ヘクタールが森林で、北海道に次ぐ全国第2位の森林県であります。本県の森林は全国森林面積の4・7%を占め、木材等の林産物生産を初め、公益的機能として、県土の保全や水資源の涵養、水質保全、生活環境保全、保健文化機能、野生生物保護機能、魚つき林等、県民生活に重要な役割を果たしているところであります。また、戦後積極的に造成してまいりました人工林は間もなく成熟期を迎えようとしております。森林資源は着実に充実してきております。しかし、林業の現状は、機械化や林道網の整備、加工流通体制の整備が十分とは言えず、加えて外材の影響が強く作用し、停滞を余儀なくされております。このため、中山間地域や農山村地域は若者の流出、過疎化、高齢化が進み、森林管理の担い手の減少という深刻な問題を抱えております。このような状況が長く続くことになるならば、山は荒れ、山村はますます過疎化に拍車がかかり、その結果、都市部にも有形、無形の影響をもたらすことは自明の理であります。
 一方、近年、森林に対する価値観の多様化が進み、県土の保全や水資源の涵養、生活環境保全、保健文化活動の場等としての機能が脚光を浴びてきており、さらには、地球環境問題である温暖化現象、オゾン層の破壊、砂漠化等に対する森林の有効性が認識されてきているところであります。木材は、他の鉱物資源等の原材料と異なり、適正に管理をすれば地球環境を破壊することなく利用でき、再生産の可能な数少ない貴重な資源と認識をいたしております。95年度林業白書では、原木価格の低迷が伐採意欲の低下を招き、安定的丸太の供給を阻害していると指摘をするとともに、森林所有者や伐採業者と製材業者との間で安定的な取引を形成するための協定を結べと提言をいたしております。私もこの提言に同感であります。安定的な取引を行うことにより、植林、育林、生産が順調に行われ、森林資源を健全に維持できるものと考えるからであります。県土の77%の森林面積を有する我が県が岩手式林業を樹立し、全国に先駆けて停滞をしている林業の活性化へ挑戦することを切に要望するものであります。知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、林業白書が提言をしております木材の安定的な取引を行うには、いかに製材品の供給を長期的、安定的に確保できるかが最大のテーマになります。そのためには、適正な供給可能量の把握が必要でありますが、県内森林資源の蓄積量はどうなっているのか、蓄積量とは別に利用可能量はどうなっているのか。特にアカマツ、カラマツについて、植林から伐採までを適正な間隔で繰り返した場合のここ10年間程度の利用可能量についてもお伺いいたします。
 次に、工業製品の場合、大量仕入れによる仕入れ価格の低減は常識であります。しかし、林業の場合、特に国産材においては、大量買い付けはそれに見合った安定的供給ができないことがあり、その結果、品不足を来し、価格上昇を招いております。外材の場合は工業製品に近い動きになっており、この問題が解決しない限り大型安定需要をつくることはできないと考えるところでありますが、森林所有者がどうすれば木を切るのか、また、木材を安定的に供給するため林業労働力の育成確保が重要でありますが、どうすれば若い林業従事者、特に山仕事をする担い手を育成確保できるのか、知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、木材の利用拡大についてお伺いいたします。
 特にカラマツにつきましては、戦後、生育の早さ等の理由から大規模な造林が進められたところであります。しかし、その材質の持つ特性などから利用範囲が狭く、需要を喚起しにくいと考えられますが、最近では一般住宅の柱、はり等の構造材、さらには構造用集成材としてカラマツが利用されており、現在では大手ハウスメーカーのほとんどが使用し、需要が年々増加している状況にあります。今後、本県のカラマツは伐採期を迎えますが、カラマツの利用拡大を進めるためには業界の努力はもとより大事でありますが、行政の支援も必要不可欠と考えます。
 そこで、今後、県産カラマツの需要拡大に県はどのように取り組もうとしておられるのかお聞かせを願います。
 また、現在、全国各地で大型木造建築物が積極的に建設されております。既設のものでは、島根県の出雲ドームや長野県の信州グローバルドームが有名であります。建設中では、隣県の秋田県大館ドームがございます。建築面積2万2、050平方メートルと、長野県冬季オリンピック関連施設であるスピードスケート場3万1、300平方メートル、選手用トレーニング会場6、270平方メートルが注目をされております。大館ドームは秋田杉、長野冬季オリンピック関連施設は信州カラマツを原材料とした構造用集成材で建設されております。地元の材料を大量に使用することに官民一体となって取り組んでおり、地元林業界へ与える影響は大きいものと考えられます。北海道に次ぐ全国2番目の森林県として、地元林業界の活性化のため、大型建築物の木造化について御検討願えないものかお伺いいたします。
 次に、森林は木の文化を支えるだけではなく、各種の公益的機能を通じて広く国民生活と密接な関係を持ち、各地域の森林の存在と直結しており、国民の生活環境を支える基盤の役割を担っているものと考えるところであります。また、森林は、小中学校の児童生徒の人格形成の上から重要な自然体験学習の場としても欠かせないものであると考えます。学校教育や社会教育の中で、小中学生が体験学習を兼ねて林内作業に従事するケースが近年とみに増大しているとの報道等も見受けられるところでありますが、県内の実情についてお伺いいたします。森林の整備には、その必要性を社会全体が理解し、支援することが基本的に重要であり、そのために義務教育課程での森林づくり体験を行うことが望ましいと考えるからであります。
 次に、住宅が住民の健康と深くかかわっていることが最近多く報道されています。この事実にかんがみ、公営住宅の内装仕様や工法に対しても、その供給者の責任は免れないことになるであろうと思うところであります。公営住宅の住人は当然県民であります。県民の健康維持は保健行政上も重要な課題であります。
 そこで、安全な県産材の使用による公営住宅の建築、内装材の使用推進は、より地元産業、林業界の活性化と森林再生産への道を開く一助になるものと考えるところでありますが、御所見を賜ります。
 次に、地域保健法の施行に伴う保健所の機能強化、特にも職員の確保並びに活用等についてお伺いいたします。
 地域保健法が平成6年6月に成立し、保健所に関するものについては平成9年4月から施行されるところであります。この地域保健法においては、住民に身近で頻度の高い母子保健サービス等については、その主たる実施主体を市町村が担うことになっており、その他の食品衛生を初めとする環境衛生業務については、専門的、技術的、広域的な機能を充実強化しつつ、保健所が業務を担うこととなっております。この地域保健法の施行に合わせて、県では、現在設置されております15の保健所を10保健所、2支所、1出張所に再編をする方向で検討されていると伺っておりますが、これまで保健所は、保健衛生面を初め、環境衛生面において各地域で大きな役割を果たしてきたものと思っております。特に、食品衛生を初め、公害、廃棄物等の環境衛生面に関して40を超える法令に基づく業務を所管し、地域の衛生水準の確保と向上に果たしてきた役割ははかり知れないものがあると認識をしており、高く評価をしているところであります。しかしながら、地域保健法の施行に伴う保健所の統廃合に当たっては、業務内容について、質的にも、また、量的にも改めて見直し、地域住民のサービスの低下にならないようにすることが極めて重要なことであると考えるところであります。現在の社会全体の状況を見ますと、生活者のニーズの複雑化、多様化に伴い、県民の生活環境にかかわる衛生の確保に対する期待も一層大きくなっていると思われますが、保健所の再編に伴って保健所の機能が低下することのないようにするため、保健所の環境衛生業務を担当する獣医師を初め、薬剤師、衛生検査技師及び農芸化学、応用化学等の技術職員の任務は従前にも増して重要になってくると考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、保健所の再編に当たって、技術職員の確保並びに活用等をどのようにお考えになっておられるのかお伺いいたします。
 特にも、獣医師は6年制でその修学内容も多岐にわたっており、保健所では食品衛生、牛肉衛生、狂犬病予防、動物の保護管理等、多様な業務に活躍しておりますが、近年、獣医師の確保が困難ということもあり、保健所への配置が少なくなっていると聞き及んでおります。獣医師については、今後さらに幅広い分野での活躍が期待されるものと考えることから、そうした職員の資質の向上はもとより、人材の登用を積極的に行うなど、職員の士気の高揚を図ることが大切であると考えるところであります。御所見を賜りたいと存じます。
 次に、道路網の整備についてお伺いをいたします。
 四国4県に匹敵する広い県土を有する本県にとりまして、県土の均衡ある発展を図り、産業経済活動の活性化や豊かで快適な県民生活を実現するためには、発展基盤となる道路の整備が極めて重要であり、その早期整備は県政の重要な課題の1つとなっております。県は、これまで本県独自の道路整備の展開を図るため、県単高速交通関連道路整備事業や交流ネットワーク道路整備事業を創設し、主要ルートとなる幹線道路の集中的かつ重点的な整備に取り組んでこられたところであります。また、3県総の後期実施計画においても、道路整備の長期的目標である県内90分構想の実現に向け、交流ネットワーク道路整備事業を見直し、新たに大規模トンネル等の建設を盛り込んだ新交流ネットワーク道路整備事業を創設して、16ルート24路線のさらなる時間距離の短縮等を目指した道路整備の展開を図っていくこととされております。今年2月28日、日報紙上において、県道大槌川井線の土坂峠と国道281号平庭トンネルの大規模トンネルの建設を決め、発表されましたが、長年にわたる地域住民の悲願でありましたこの課題に英断を下された増田知事を初め、当局に対し、住民の1人として改めて感謝を申し上げる次第であります。つきましては、県民の多くが一日も早い実現を願っておりますこの新交流ネットワーク道路整備事業の推進に対する知事の御所見をお聞かせいただければ幸いと存じます。
 さて、この新交流ネットワーク道路整備事業のルートの多くは県内を縦貫し、本県道路網の骨格をなす国道4号に接続することから、私は、この事業のもたらす整備効果をより以上に発揮させるためには、国道4号の整備が極めて大切であると考えるところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 国道4号は、建設省の直轄事業として県内各地でバイパス工事を中心とした整備が行われておりますが、その大半は盛岡以南に集中しているように見受けられます。しかしながら、盛岡以北の国道4号は、渋民地内のように人家連捻部でありながら歩道が全くない箇所や、一戸町小鳥谷地内のように幅員が狭い上に急カーブが連続するなど、特にも冬期における交通安全や円滑な交通の確保の上からも早急に対策を施さなければならない箇所が数多く見受けられます。また、盛岡市の周辺部は慢性的な交通渋滞が続いており、特に茨島跨線橋付近の渋滞は著しく、観光シーズンや休日になると一段とその度合いが高まり、通過時間も大幅に増加するなど、急速な対策が必要と考えられます。
 そこでお伺いいたしますが、国道4号の盛岡以北の4車線化の整備の状況と今後の見通しについてお聞かせ願います。
 次に、国道281号の久慈市内のバイパスの整備についてであります。
 岩手県沿岸地域における高速交通網の整備は、既に三陸縦貫自動車道や八戸久慈自動車道で事業着手され、また、国道45号の宮古-久慈間も地域高規格道路として普代バイパス等も事業化されております。しかしながら、久慈市にあっては、八戸自動車道の一部の3・2キロメートルが供用されたにすぎず、整備はこれからというのが実情であります。一方、高速交通網を補完する内陸部への道路網については、特に国道281号の機能の強化がこの地域にとってぜひとも必要であります。幸いにしてこの国道281号も葛巻町鈴鹿口や山形村川井バイパスなどが開通し、岩手町大坊峠、葛巻町小繋、山形村下川井、久慈市内山口などで整備が着実に進められておりますが、まだ交通の難所が残っており、県のなお一層の御努力を願うものであります。特に、久慈市内の281号は近年交通量の増大が著しく、朝夕の交通渋滞は大変なもので、県北の中心都市である都市活動を行っていく上で大きな整備課題となっております。御承知のとおり、久慈地方は重要港湾久慈港を生かした地域振興が期待されているほか、北部陸中海岸を初めとする観光資源にも大変恵まれており、これらを有効に活用するためにも、国道281号の市内における円滑な交通の確保が必要となっておりますが、国道のバイパス計画の現在の状況と今後の予定についてお伺いいたします。
 次に、都市計画道路として決定を賜りました久慈湊大川目線4、130メートルを含む路線の整備についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、久慈市街地区は国道281号1本にて、その道幅も狭く、規制も厳しく、商店街の活動、お祭り、各種イベントもままならない状況にあります。その規制、混雑の解消と、将来に向けての久慈市の広がりを考える場合、大川目地区から久慈湊地区に至る路線の早期開通が待たれるところであります。この路線は、国道281号大川目山口地区より畑田、寺里、天神堂、門前と続き、現在、平成10年度のオープンを目指して県立久慈病院の建設が急ピッチで進められております旭町の16メートル道路につながり、国道395号、さらには国道45号につながる久慈市にとって極めて重要な幹線となる路線であります。畑田地内には、平成7年5月、県当局の力強いお計らいのもと誘致、開業いたしました盛岡東京電波株式会社久慈工場があります。2期工事が間もなく開始されると伺っております。今年度の就職採用規模は150名以上と伺っております。その工場がありますし、また、計画路線沿いには一大工業団地の造成も可能な地帯であります。以上の観点に立ち、本ルートの県道としての認定を願い、一日も早い完成、開通を願うものでありますが、その見通しについて前向きな御答弁を期待する次第であります。
 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 三河喜美男議員の御質問にお答えいたします。
 まず、林業の活性化への挑戦ということでございますが、本県は、県土の約8割が先人の努力によりまして造成された杉、アカマツを初めといたします人工林や、全国的にも豊富な広葉樹林などの多種多様な森林に恵まれておりまして、この豊かな森林資源が着実に活用されるためにも、林業の振興は県政の重要な課題であると、このように認識をいたしております。このため、本県では、林道網の整備や木材高次加工施設の整備、シイタケなど、特用林産物の生産振興を進めてきたところでございまして、特にも、例えば気仙地域におきましては、大型の製材工場を中心とした加工体制の整備によります気仙スギのブランド化の推進、また、遠野地域におきましては、地域材を活用した全国有数の木材総合供給基地の整備を進めておりますほか、豊かな広葉樹資源を最大限に活用いたしまして、九戸高原地域における日本一の炭の里づくりや、全国トップレベルの品質を誇りますシイタケの産地銘柄化づくりなど、林業、林産業の活性化に向けまして、地域と一体となって取り組んできているところでございます。さらに、本年3月に策定をいたしました林業基本計画後期実施計画におきましては、21世紀の国産材時代を切り開く岩手の林業の展開、これを目指しまして、木材供給基地の形成、全国に誇る特用林産物の産地づくり、潤いある森林空間の創造、以上の3点を基本目標にしているところでございまして、今後とも本県の地域特性を十分に生かした施策を積極的に推進をいたしまして、活力ある林業、林産業の構築を進めてまいりたいと考えております。
 次に、この木材の安定供給と林業労働力の担い手の育成確保についてのお尋ねでございますが、本対策の推進は林業の活性化のみならず、健全な森林の整備の観点からも重要な課題であると、このように認識をいたしております。
 御案内のとおり、林業生産活動は、長期にわたります木材価格の低迷などから停滞をしている現状にありますが、このような状況に対処するためには、森林施業の受委託の促進によります事業規模の拡大、作業の機械化や林道などの整備を進めまして、林業経営コストの低減に努めますとともに、需要者ニーズに対応できる生産、加工、流通体制の整備を図るなど、いわゆるこの川上から川下に至る一貫した総合的な施策の推進をいたしまして、林業、林産業の活性化を図ることが木材の安定供給につながるものと考えているところでございます。
 また、林業労働力の担い手育成確保対策につきましては、林業労働者が大幅に減少している状況にありますので、県におきましては、基幹林業就業者の育成を目的といたしました各種のこの研修を県の林業技術センターで実施をしておりますほか、財団法人の岩手県林業労働対策基金におきましては、若年労働者の新規参入への支援や社会保険掛金への助成などを行っているところでございます。
 さらに、今回、林業労働力確保支援センターを新たに発足をさせまして、事業主が行います事業の合理化、労働条件の改善に対する支援など、諸対策を講じまして魅力ある職場づくりに努め、若い林業従業者の新規参入を促進させることとしているところでございます。今後とも、林業団体、そして市町村などと一体となりまして、木材の安定供給及び担い手育成対策を総合的に実施してまいる所存でございます。
 次に、新交流ネットワーク道路整備事業についてでございますけれども、広大な面積を有する本県にとりまして、この県土の均衡ある発展を図る上で、地域の広域的な連携と交流の促進によります自立的な地域社会の形成を図ることがぜひとも必要でございまして、その発展基盤となりますこの道路網の整備は、大変重要な課題の1つと認識をいたしております。このため、3県総の後期計画の推進に当たりまして、これまで進めてまいりました広域生活圏相互を結ぶ幹線道路の整備に加えまして、新たに地域高規格道路など、いわゆる規格の高い道路の整備を組み込みました新交流ネットワーク道路整備事業を新たに創設をいたしまして、高速交通ネットワークの構築に向けた道路整備の展開を図ることとしたところでございます。
 この事業におきましては、沿岸と内陸を結ぶルート上で最大の隘路となっております峠部の大規模トンネル事業にも着手をすることとしておりまして、今年度は国道455号線の早坂峠のルートを決めるための地形測量やトンネル坑口付近の地質調査を行っているところでございまして、また、国道281号の平庭峠などの概略調査にも順次着手をしていくこととしているところでございます。これら大規模事業は、多大な事業費と長い年月を要するものでございますけれども、本事業の推進を図ることによりまして、広域生活圏相互の時間距離の短縮、さらには、県都圏と県内の各都市間の時間距離の短縮が図られまして、いわゆる90分構想と、この構想の実現に向けて大きく前進するものと、このように考えているところでございまして、今後とも積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) まず、本県の森林資源量及び利用可能量についてでございますが、御案内のとおり、本県の森林は118万ヘクタールと広大な面積を有しておりまして、その中でもこれまで営々として造林が進められてきました杉、アカマツ、カラマツなどの人工林は全体の43%を占め、面積にして約50万ヘクタールに上っております。これらの森林が現在順調に育っておりまして、総蓄積量は平成7年3月末で、民有林と国有林をあわせて1億5、300万立方メートルとなっております。さらに、現在の伐採量は年間200万立方メートル程度となっておりますが、資源量といたしまして、毎年約300万立方メートルずつ蓄積がふえておりますことから、本県の森林資源は21世紀の国産材時代に向かって着々と充実していると考えております。
 なお、森林資源全体について利用可能量を推定することにつきましては、樹種が多種多様にわたっていることに加えまして、森林の生育状況や木材の需給動向、あるいは林道の搬出施設の整備状況等からいろいろ要件がございまして、なかなか一概には算出するのが難しゅうございます。しかしながら、本県の貴重な樹種でありますアカマツ、カラマツにつきましては、植林から伐採まで適切な森林管理を行ったと仮定いたしまして、単純に資源内容からここ10年程度を見通して推定いたしますと、丸太に換算いたしまして平均的な毎年の利用可能量は、アカマツではおおむね43万立方メートル、カラマツではおおむね32万立方メートルとなります。この量は、現在の生産量のそれぞれ2倍程度に相当する量になるものと考えております。
 次に、県産カラマツの需要拡大への取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、カラマツは成長が早く、北上山地や県北地域等、比較的冷涼な地域でも十分生育が期待できる樹種として、戦後、本県民有林ではアカマツ、杉に次ぐ樹種として植林されてきたところでございます。また、その面積も人工林の約19%に当たる6万3、400ヘクタールを占め、40年生未満の森林が現在57%とまだ若い状況にはございます。また、平成6年度のカラマツ素材生産量は15万4、000立方メートルとなっており、そのうち間伐材が約1万立方メートルを占め、ここ二、三年の生産量についてみますと、前年対比110%前後で増加傾向となっております。カラマツ材については、本県では従来から家屋の柱、はりなどの構造材、パルプ用材等として利用されてきましたが、近年、集成材加工などによる内装材としての利用や、カラマツを大量に使用した公共建築物等が建設されてきているところでございます。
 例えば、遠野市におきましては、ぬくもりのある教育環境の整備と地域林業の活性化を目指して、地場産のカラマツによります大断面構造用集成材を用いて、昭和61年度から中学校の校舎の木造化に取り組んでおられまして、平成5年度までに土淵中学校など、6校が建設されたところでございます。このほかにも、岩泉町の二升石小学校、盛岡市の手代森児童センター、また、林業構造改善事業により建設されました製材工場や木材加工工場等につきまして、カラマツ材の大量使用の事例が県下において数多く見られるところでございます。
 さらに、間伐材につきましては、小径木であることから、カラマツのねじれの発生が著しい材質上の特性があることから、その用途も限定される面もありますけれども、現在、建築用資材のほか、治山、林道等の土木用資材、こん包用材、また、パルプ・チップ用材などとして使用されているところでございます。今後とも、これらの販路の維持、拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後、県産カラマツの需要拡大に当たりまして、課題といたしましては、近年の建築資材のプレカット加工への移行や集成材の使用増加により、品質の安定した製材品が求められているところでございます。他県との産地間競争に打ちかつためには、本県のカラマツ材につきましても、品質基準の設定によるブランド化の推進等に早急に取り組む必要があると考えております。いずれにいたしましても、カラマツは本県の主要な樹種でありますので、今後とも積極的に需要拡大に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地元林業界の活性化のための大型建築物の木造化についてでございますが、議員御指摘のとおり、本県の林業界の活性化を促すためには、大型建築物の木造化を推進することは、県産木材の需要拡大につながる極めて効果的な施策であると認識しております。このことから、県産木材の需要促進につきましては、これまで県庁内の関係部局で構成する岩手県産木材需要促進連絡会議や、地方振興局に設置しております地方木材需要拡大会議を通じまして、公共施設を初め、住宅、農林業施設等の木造化に加えまして、県産木材のより一層の需要拡大を図るためには、非木造建築物の内装材としての木材の利用促進も重要でございます。したがいまして、県といたしましては、その実現に向け、現在取り組んでいるところでございます。
 また、大断面構造用集成材を利用することにより、大型木造施設の建設が可能となったことから、本県におきましても、昭和61年に安代町田山にドーム型の体育館が建設されたのを初め、平成5年には県産材をふんだんに使用した県内でも有数の木造モデル施設として、県林業技術センター等が建設されているところでございます。
 今後におきましても、県内において、いわゆる大型建築物の構想が持ち上がりました際には、私どもといたしましては、いち早く情報を入手し、強力に関係機関に働きかけ、林業界と一体となって県産木材の利用が促進されるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) まず、公営住宅への県産材の利用についてでありますが、本県における住宅着工状況を見ますと、平成7年度における木造住宅は78%を占めており、県民の木造住宅に対するニーズは依然として根強いものがあります。一方、本県の重要な天然資源である木材の利用拡大は、地域住宅関連産業の活性化等の観点からも極めて重要な課題と認識しております。このため、いわて優良木造住宅資金利子補給補助事業を実施し、年間400戸の利用をいただくなど、各種施策の展開を図っているところであります。
 公営住宅に関しましては、昭和56年度に木造公営住宅が国の補助対象になったのを契機に、市町村における木造公営住宅の建設の推進を図ってきており、これまで約1、100戸の建設を見たところであります。なお、これら公営住宅の内外装に使用する建築材料につきましては、建築工事特記仕様書で、木材、その他主要材料等は県産品を使用するよう指導しているところであります。
 県といたしましても、主として鉄筋コンクリートづくりの県営集合住宅を建設してきたところでありますが、今後は、県産材利用拡大等の観点から木造3階建て公営住宅の建設を検討するとともに、木質系の内装材の活用について調査研究を進めてまいりたいと考えております。また、公営住宅のみならず、公共土木事業への利用につきましても、庁内関係部局と連携を図りながら研究を進めているところであり、可能なものから順次積極的に間伐材を含めました県産材の利用に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国道4号盛岡以北の4車線化についてでありますが、本路線は本県の産業、経済の発展を支える重要な幹線道路で、現在、建設省によりバイパス工事などが進められております。このうち、盛岡以北では、玉山村渋民地内で幅員が狭小で歩道も未整備なことから、昭和61年度に延長5・6キロメートルバイパス事業に着手し、平成2年度から用地買収に入り、今年度も引き続きこの促進を図ると伺っております。
 また、一戸町小鳥谷地内については、交通混雑の解消や交通安全の確保を図るため、昭和63年度に4・3キロメートルバイパス事業に着手し、平成7年度から用地買収を進めているところであります。これらバイパス工事は、いずれも4車線計画で用地買収を進めておりますが、工事は当面2車線で整備し、今後の交通量の推移に応じて4車線化を図っていくと伺っております。
 このほか、2車線整備として二戸市金田一地内では、昭和54年に延長4・7キロメートルのバイパス事業に着手し、これまで約1・8キロメートル区間の部分供用を図っておりましたが、今年度はさらに1・4キロメートル区間が供用されることとなり、残る区間につきましても、今年度から調査設計に着手していると伺っております。また、茨島跨線橋は東北新幹線の構造規格との調整を図るため、平成6年度から工事を休止しておりましたが、先般、この規格が定まったことから今年度より事業を再開し、現在、測量設計などの調査を進めていると伺っております。県といたしましては、これら工事が順調に進むよう関係機関との連絡調整を図るとともに、本路線の早期整備について、今後とも国に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、久慈市内の国道281号久慈バイパス整備についてでありますが、この国道は県都盛岡と久慈地域を結ぶ広域的な幹線道路であり、県北沿岸地域の振興発展を担い、地域の生活に欠くことのできない極めて重要な道路でありますことから、県の広域道路整備基本計画で交流促進型の広域道路として位置づけるとともに、平成8年度から新交流ネットワーク道路整備事業の久慈ルートとして鋭意整備に取り組んでいるところであります。しかしながら、御指摘のように、久慈市内の中心部におきましては、近年の交通量の増大に伴う朝夕の交通混雑が著しく、渋滞解消や沿道環境の改善が大きな課題となっていますことから、これまで久慈市の都市計画や土地利用計画と整合したバイパスを検討してきたところであります。
 本年度の取り組みにつきましては、これまでの検討結果をもとに、技術的、経済的にも合理性のある構造を検討するための調査を行い、建設省など関係機関との協議を予定しております。今後、都市計画決定の手続を進めるなど、早期に事業化が図られるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、都市計画道路久慈湊大川目線を含むルートの県道認定についてでありますが、県道が地方の幹線道路として広域的な生活圏を形成し、各種地域振興施策、地域の生活環境の向上を図る上で、重要な基盤を提供するものであるとの認識のもとに、その認定に当たりましては、県道として早期に整備、管理する必要性、道路の整備状況、道路整備計画の成熟度等を総合的に勘案して段階的に行っているところであります。都市計画道路久慈湊大川目線の整備につきましては、この路線が新たな県立久慈病院へのアクセスのため重要であることから、久慈市におきまして、この路線の一部区間を構成する市道について、国庫補助事業等の導入により鋭意その整備を進めているところであります。
 しかし、この都市計画道路のうち、現在、整備が行われている区間を除いて、具体的な整備計画が策定されていない現状にあるほか、都市計画道路以外の大川目山口地区から寺里地区までの区間につきましては、一般国道281号の将来計画との整合を図る必要もあろうかと考えているところであります。したがいまして、県といたしましては、当面、現在実施中の事業の一層の促進を図るほか、市において適切な道路整備計画が樹立されるよう指導してまいりますとともに、県道認定につきましては、今後、この地域における道路網のあり方やこのルート沿線の開発計画の動向などを勘案しながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、保健所の再編に当たっての技術職員の確保並びに活用等についてでありますが、地域保健法の改正趣旨を踏まえた来年度からの保健所の機能強化の取り組みといたしましては、保健分野での取り組みはもとより、食品衛生や環境衛生分野においては、広域的な監視、指導体制の整備、機動力の確保、高度な検査機器の整備等による精度管理の徹底、調査研究機能の充実等を図り、保健所の専門的かつ技術的な拠点としての機能を一層強化、拡充してまいりたいと考えております。
 このため、県といたしましては、このような分野における技術職員の果たす役割は一層重要になっていくものと考えており、保健所の再編に当たりましては、技術職員を適正に配置するよう努めるとともに、その専門的能力を十分活用できるよう組織体制の整備等に努めてまいりたいと考えております。
 次に、獣医師の資質の向上及び人材の登用についてでありますが、現在、保健所において獣医師は、狂犬病予防を初めとして食品衛生や環境衛生、さらには、試験検査等幅広い分野において業務を担当しており、今後、保健所機能を強化していく上で、このような分野において一層重要な役割を担う職種の1つであると認識しております。もとより保健所職員の資質の向上を図ることは、重要な課題であると考えておりまして、お尋ねの獣医師につきましては、これまで国立公衆衛生院の専門研修や厚生省が後援している海外研修に派遣するなど、専門的知識と最新技術の習得に努めてきたところであります。
 今後におきましても、これらの研修に積極的に職員を派遣するとともに、今後、整備を予定している環境保健センター--これは仮称でございますが--における研修機能を充実させるなどにより、その資質の向上に一層努めてまいりたいと考えております。また、幅広い分野をカバーする保健所業務を適切に遂行していくためには、獣医師を初め個々の職員の能力を最大限に引き出し、効率的な組織の運営に努めていくことが必要であることから、適材適所を基本とする職員の配置に努め、人材の登用を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) 小中学生の森林内作業の体験学習についてでありますが、県内には学校と地域が一体となって組織している約150の森林愛護少年団等に約7、000人の児童生徒が所属し、植樹や刈り払い、樹木の観察など、森林愛護や自然愛護の活動に取り組んでいるところであります。本県におけるこのような森林に関する体験的な活動は、全国的にも高い評価を得ており、全国表彰を受けている団体も数多くあります。県教育委員会におきましても、その活動を積極的に奨励し、すぐれた成果を表彰しているところであります。
 また、各学校においても、本県独自に作成している副読本、岩手の森林・林業などを活用しながら、森林の現状やよりよい森林環境の理解が図られるよう指導しているところであり、今後とも環境教育としての体験活動や野外活動等における指導を通して、緑の大切さや森林に対する理解を深める教育を推進してまいりたいと考えております。
   
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時54分 散 会

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