平成8年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成8年12月2日(月曜日)
1開会    午前10時5分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長        村上勝治
  議事課長        及川宣夫
  議事課長補佐      西田幸男
  主任議事管理主査    駿河勉
  議事管理主査      中澤悟
  議事管理主査      上柿聡
  議事管理主査      木村稔
  議事管理主査      南敏幸
1説明員
  副知事         千葉浩一
  副知事         吉永國光
  出納長         高橋洋介
  総務部長        大隅英喜
  総務部次長       合田武
  県立大学整備室長    川崎功
  参事兼人事課長     飛澤重嘉
  総務学事課長      藤沢政則
  財政課長        佐藤勝
  税務課長        佐藤健
  地方振興課長      馬場竹次郎
  消防防災課長      本田敏秋
  企画調整部長      武居丈二
  企画調整部次長     渡辺勲
  企画調整部次長     土田健治
  企画調整課長      照井崇
  地域計画課長      上野賢一郎
  交通政策課長      瓦林康人
  資源エネルギー課長   相原正明
  副出納長兼出納局次長  山岸進一
  総務課長        小国平二
  出納課長        浅沼昌明
  監査委員        源新義弘
  監査委員        橋本光男
  監査委員事務局長    川村禎佑
  総務課長        小野寺禎夫
  監査課長        山瀬宗光
〇村上議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定によって、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておるので、年長の委員を御紹介申し上げる。出席委員中、山崎門一郎委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。山崎門一郎委員、どうぞ委員長席にお着き願う。
   〔年長委員山崎門一郎君委員長席に着く〕
〇山崎年長委員 ただいま紹介された山崎門一郎である。何とぞよろしくお願いする。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行う。
 お諮りする。委員長の互選の方法については指名推選の方法によりたいと思うが、これに異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇山崎年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇山崎年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。 決算特別委員長に吉田洋治君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した吉田洋治君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇山崎年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した吉田洋治君が決算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された吉田洋治君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 吉田委員長、委員長席にお着きを願う。(拍手)
   〔決算特別委員長吉田洋治君委員長席に着く〕
〇吉田委員長 ただいま決算特別委員長に御指名をいただいた吉田洋治である。歴史と伝統ある岩手県議会の決算特別委員長に御指名をいただき、緊張かつ光栄に存じておる次第である。副委員長予定者、そして世話人の皆さん、各委員の皆様方の御理解、御協力のもとに、円滑かつ中身の濃い委員会審査を展開させていただきたいと思う。よろしくお願い申し上げる。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田委員長 御異議なしと認め、さよう決定をした。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長の互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 決算特別副委員長に工藤篤君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した工藤篤君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した工藤篤君が決算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された工藤篤君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。 工藤副委員長、ごあいさつを願う。
〇工藤副委員長 ただいまは、図らずも副委員長にご推挙賜った工藤篤である。微力ながら委員長を補佐し、当委員会の円滑な運営のために微力を尽くしてまいりたいと思う。各位の御協力を心からお願いを申し上げて、ごあいさつとさせていただく。(拍手)
〇吉田委員長 お諮りする。当決算特別委員会に付託された決算12件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程案のとおり、本日から12月6日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決については、12月6日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより議事に入る。
 認定第1号平成7年度岩手県一般会計歳入歳出決算から、認定第12号平成7年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算までの12件を一括議題とする。
 これより高橋出納長から決算の総括説明を求める。
〇高橋出納長 平成7年度歳入歳出決算の概要について御説明を申し上げる。
 平成7年度の一般会計の歳入歳出予算は、第三次岩手県総合発展計画の施策の基本方向に基づいて編成されたものであるが、当初予算は、いわゆる骨格予算であって、7、161億2、631万円余となっておる。これにいわゆる肉づけ予算や国の経済対策に呼応した公共事業費及び県単独事業費の追加など954億7、275万円余の追加補正が行われたところである。さらに、前年度からの繰越事業費411億9、653万円余を加えた予算現額は8、527億9、561万円余となって、前年度に比べ20億7、089万円余、0・2%の増となったものである。
 それでは、お手元に配布しておる歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書、厚い方であるが、これの383ページをお開き願う。
 ただいま申し上げた予算現額に対する決算額は、お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は8、225億581万円余、これに対して歳出総額は7、967億251万円余であって、歳入歳出差し引き額は258億330万円余となっておる。また、歳入歳出差し引き額から翌年度へ繰り越すべき財源251億5、845万円余を差し引いた実質収支額は6億4、485万円余の黒字となっておる。
 次に、恐れ入るが歳入歳出決算書の2ページと3ページをごらんいただきたいと思う。薄い方である。
 まず、歳入についてであるが、収入済額は8、225億581万円余で、前年度に比べると45億7、859万円余、0・6%減少しておって、収入済額の割合は、予算現額に対して96・4%、調定額に対しては99・9%となっておる。
 なお、収入未済額は、前年度に比べて3、593万円余増加しておって、11億3、801万円余となったわけであるが、この主なものは県税である。
 次に、4ページ及び5ページの歳出についてであるが、支出済額は7、967億250万円余で、前年度に比べると119億9、654万円余、1・5%減少しておる。予算現額に対する支出済額の割合は93・4%となっておる。
 また、翌年度繰越額は557億2、324万円余で、前年度に比べると145億2、670万円余の増加となっておって、その主なものは、農林水産業費及び土木費である。
 なお、不用額は3億6、985万円余となっておるが、これは経費の節減によるものである。
 以上、一般会計の決算の内容について御説明申し上げたが、その特色としては、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことである。前年度において、特定資金公共事業債、これはいわゆるNTT債であるが、これの繰り上げ償還を行ったことから、償還の財源となる国庫支出金と償還金を歳入、歳出にそれぞれ314億1、950万円余計上しておって、そのため、平成7年度の決算規模は、歳入で45億7、859万円余、歳出で119億9、654万円余前年度を下回ったわけである。この特殊要因を差し引いてみると、歳入では268億4、091万円余、3・4%、また歳出では194億2、295万円余、2・5%とそれぞれ前年度を上回っているものである。
 第2の特色としては、県税収入が引き続き増加をして、一般財源の構成割合も増加したことである。県税収入は、個人県民税、法人事業税、不動産取得税等が伸びたこと等によって、前年度に比較をして37億7、491万円余、3・2%の増と、前年度に引き続き増加をしたところであって、地方交付税が前年度に比べて21億5、084万円余、0・9%減少したにもかかわらず、一般財源総額は前年度を1億9、612万円余上回って、歳入に占める構成割合も48・7%と、前年度を0・3ポイント上回ったものである。
 第3には、県債の発行額が大幅に増加したことである。県債の発行額は、国の経済対策に呼応して普通建設事業費が増加したことなどによって、1、419億6、300万円となって、前年度に比べて309億2、360万円、27・8%と大幅に増加をした。
 なお、県債の現在高は、平成7年度末で7、028億9、227万円余となり、前年度末に比べて1、089億2、284万円余、18・3%の増となっておる。
 第4には、投資的経費の伸びが堅調であったことである。道路橋梁費などの県単独事業費が、前年度と比べて6・2%増と伸びたことなどによって、普通建設事業費などの投資的経費は3、378億494万円余となって、前年度に比べて162億9、162万円余、5・1%増加をして、歳出総額に占める構成割合も42・4%と、前年度を2・6ポイント上回ったものである。
 第5には、繰越額が多額となったことである。国の経済対策に呼応して、県においても公共事業及び県単独事業の追加などが行われたところであるが、設計及び工法の検討に不測の日数を要したことなどによって、翌年度に繰り越した金額は557億2、324万円余となって、平成5年度の579億2、131万円余に次いで多額となったものである。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の決算内容について御説明申し上げる。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明を申し上げたいと存ずるので、歳入歳出決算書の20ページをお開き願いたいと思う。
 母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の歳入合計額は、25ページに記載のとおり409億1、801万円余であって、収入未済額は13億1、263万円余となったが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などである。
 歳出合計額は、28ページに記載のとおり373億2、602万円余であって、各会計とも実質収支は黒字となっておる。
 以上で決算の概要説明を終わるが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしておるので、御参照いただきたいと存ずる。
 なお、決算内容の詳細については、審査日程に従って、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっておる。
 また、監査委員から御意見のあった事項のうち、措置を要するとされたものについては、既に関係部局において所要の措置を講じているところである。会計事務の適正な執行については、今後とも、各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じておる。
 よろしく御審議の上、御認定くださるようお願いを申し上げて、説明を終わらせていただく。
〇吉田委員長 これより総括質疑に入る。
 最初に代表質疑を行う。代表質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、新進・公明、自由民主党、社会民主党、県民クラブの順に行う。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。なお、7年度決算の審査であるので、できるだけ当該年度に関する質疑とし、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をされるようお願いする。
 これより代表質疑に入る。
〇渡辺委員 新進・公明の渡辺幸貫である。
 新進・公明を代表して、平成7年度の決算について、総括的に質問させていただくので、よろしくお願い申し上げる。
 さて、平成7年度は、景気の回復が進まない経済情勢下にあって、オウム犯罪という驚くべき事件や住専問題の発生、半世紀にわたる食糧管理法に基づく政府による米の全量管理制度の終焉など、戦後50年という節目を迎えて、これまでつくり上げてきた経済構造や社会構造、そして、それを支える制度や仕組みの見直しが求められてきた年でもあったと思うのである。
 社会経済情勢について見ると、政府の懸命な経済対策にもかかわらず、景気の回復が思わしくない中にあって、産業の空洞化や雇用の不安が継続するとともに、金融問題や食糧費問題が発生するなど、暗い話題が多い一方、東北新幹線盛岡-八戸間のフル規格による工事着工や、花巻空港へのA300機の就航、平成10年冬季国体の本県開催決定など、未来に向けて新たなスタートを切った年であったとも言えると思うのである。
 そこで、まずお伺いする。こうした平成7年度の県政全般を顧みて、どのように評価されておられるのであろうか、お伺いする。
〇千葉副知事 平成7年度の県政全般についての評価の関係であるけれども、平成7年度は3県総前期実施計画の最終年度に当たった。また、増田県政がスタートした年でもあったわけであるけれども、急激な円高の進行やウルグァイ・ラウンド合意の実施、さらには、阪神・淡路大震災などを契機とした防災対策の見直しなど、経済社会情勢は厳しいものがあったわけであるけれども、本県の抱える諸課題の解決に向けて、県民に開かれた、わかりやすい県政の実現を念頭に置きながら、計画に掲げる重点事業を中心に、施策の積極的な展開に努めたところである。
 以下、主な施策の状況であるけれども、まず県土の整備については、県民生活や産業経済活動の基盤となる高速交通幹線の整備など広域的な交流を促進する交通ネットワークの構築や、上下水道の整備など生産、生活両面にわたる基盤整備に努めるとともに、本県のすぐれた環境と景観の保全、創造にも積極的に取り組んだところである。
 また、阪神・淡路大震災の教訓をもとに、地域防災計画を見直すとともに、防災ヘリコプターの導入など消防防災体制の整備や、高規格救急車の導入など救急業務の高度化の促進に努めたところである。
 次に、産業の振興であるけれども、農業については、大区画圃場等の生産基盤の整備を進めるとともに、中山間地域の活性化を図るため、新たな特産品の産地づくりに取り組んだところである。
 また、林業については、アカマツなど県産材のブランド化の促進などに努めたほか、水産業については、新たにヒラメやマツカワなどの魚類栽培を積極的に推進したところである。
 商工業については、産学官の共同研究などによる中小企業の技術開発を促進するとともに、情報化に対応した物流の効率化を図るなど、流通機能の強化に努めたところである。 また、観光については、観光地のイメージアップを図るとともに、各種キャンペーンの展開によって観光客の誘致拡大に取り組んだところである。
 また、福祉の関係については、老人保健施設の整備促進や在宅ケアの充実、県立久慈病院の移転新築工事の着手、循環器疾患専門施設の整備促進を図るなど、総合的な保健医療サービスの充実に努めたところである。
 また、ひとにやさしいまちづくり条例を制定して、豊かで住みよい地域社会づくりに積極的に取り組んだほか、在宅福祉サービスの一層の充実や、子育て支援など、社会福祉の充実に努めたところである。
 人づくりについては、生涯学習推進センターの整備や市町村等と連携した学習情報のネットワーク化を図るなど、生涯学習環境の整備に努めたところである。
 また、インターハイ関連のスポーツ施設の整備を進めるとともに、県立美術館の整備に向けて取り組むなどスポーツ、文化の振興に努めたところである。
 以上、平成7年度における主要施策重点事業を中心に、その成果の一端について申し上げたところであるが、このほかにも各分野において積極的な施策の展開を図ったところである。したがって、県勢は着実に発展して、県民生活の向上が図られたものと考えているところである。
〇渡辺委員 次に、財政問題についてお伺いする。
 平成7年度の地方財政対策は、地域の特色を生かした自主的、主体的な地域づくりに資する事業を積極的に実施するため、地方単独事業を増加し、地方特定道路の整備などの、公共投資基本計画に沿った住民生活に身近な社会資本の整備を進めるとともに、ウルグァイ・ラウンド農業合意対策や少子化・高齢化対策、消防力の充実対策等を推進することとしたところである。しかしながら、7年度においても、所得税、住民税の減税などにより地方財源に不足が生じることから、交付税特別会計における資金運用部からの借り入れによる地方交付税の増額や、建設地方債の発行などの措置を講じて所要の財源確保が図られたところであって、地方財政は依然として厳しい状況が続いておる。
 また、本県の財政についても、平成7年度の決算を見ると、歳入面では、国庫支出金と地方交付税が前年度よりも減少する一方、県債の発行が増加するなどの特徴が見られるところである。
 そこで、お伺いするが、国、地方を通じる厳しい財政状況の中にあって、県では、平成7年度決算について、どのように分析しておられるのであろうか、お伺いする。
〇千葉副知事 平成7年度の決算の分析であるけれども、平成7年度の地方財政は、経済動向等から過去最大の財源不足が見込まれたところである。交付税特別会計の借入金による補てんや財源対策債の発行等によって財源を確保するなど、厳しい財政環境にあった。 そういった中で本県の決算の関係であるけれども、県税収入は、個人県民税、法人事業税、不動産取得税、自動車税等が伸びたことによって前年度より増加したが、地方交付税が前年度を下回り、また一方、県債が大幅に増加するなど厳しい財政環境にあった。
 歳出面では、国の経済対策に呼応した農業農村整備、道路等の公共事業や県単独事業に積極的に取り組んだところである。しかしながら、全体の決算規模が前年度を下回る結果となったのは、特定資金公共事業債、先ほど出納長からも説明があったわけであるけれども、いわゆるNTT債の繰り上げ償還に要する経費に対する国庫補助金が皆減したことなどによるものであって、NTT債の繰り上げ償還経費を除くと、歳出合計は2・6%、204億円の増となるものである。
 財源確保対策としては、使用料、手数料の見直し31件、法人県民税の超過課税の継続、マイナスシーリング、県単独補助金の整理合理化59件、県単独事務事業の見直し101件などにより、財源確保に努めたところである。
 また、新規施策としては、ふるさと市町村圏基金造成事業、介護実習・普及センター整備事業、ふるさと自然の道整備事業、いきいきふれあい公園整備事業など、52件の新規事業を予算化するなど、県勢の着実な発展のために鋭意努力したところである。
 財政構造についてであるけれども、東北6県の財政指標から本県の財政構造を見ると、自主財源比率はこれは高い方から第5位である。それから、一般財源比率もこれは高い方から第4位である。経常収支比率は低い方から第1位、義務的経費比率は低い方から第3位、公債費比率は低い方から第2位、普通建設事業費の割合は高い方から第2位、県単独普通建設事業費の割合は高い方から第2位という状況になっておる。これらの指標は、本県の財政構造が依然として脆弱ではあるものの、財政運営に当たっては、財源確保に努め、経常経費を可能な限り節減して、社会資本の整備を積極的に推進するなど、限られた財源を重点的かつ効率的に配分するように努めた結果であると考えておる。東北各県と比較した場合でも、健全財政を維持しているものと考えておる。今後とも、行財政運営の簡素、合理化に努め、さらに健全な財政運営に努めてまいりたいと考えておる。
〇渡辺委員 次に、県税の決算についてお伺いする。
 平成7年度の国税収入は、大蔵省が発表した決算概要によると、51兆9、308億円と、前年に比べて1・8%増加し、5年ぶりに前年を上回ったところである。また、自治省によると、都道府県の税収は前年に比べて2・2%程度の増となるものの、地方財政計画の当初見込みに対しては1、290億円下回り、4年連続の計画割れになるとされておる。
 一方、県税の平成7年度決算について、歳入歳出決算事項別明細書で見ると、収入済額は1、212億3、332万円余と、前年度に比べて3・2%増加しており、補正後の予算額を1億5、784万円上回った結果となっておる。このことは、税収の確保を図るため、鋭意努力されてきた県御当局の努力の成果であると敬意を表する次第であるが、全国的に税収が伸び悩む中にあって、本県の伸びが全国平均を上回ったのは、どのような税目で伸びを示した結果であろうか。また、本県の県税収入が前年度の決算に比較した場合、主な税目ごとの増減内容とその要因についてお示し願いたいと思う。
〇大隅総務部長 県税の決算についてであるが、平成7年度の県税収入について、本県の伸びと全国の伸びとを比較した場合、県民税利子割と自動車取得税で全国平均の伸びを下回ったけれども、個人県民税、法人二税、不動産取得税などにおいて、それぞれ全国平均の伸びを上回ったことから、総額において前年度対比3・2%増となり、全国平均の伸びを1ポイント上回ったものである。
 次に、本県の県税収入を前年度の決算額と比較した場合、主な税目ごとの増減内容とその要因について申し上げると、平成7年度の決算額は、1、212億3、332万円余で、県民税利子割のほか6税目が前年度決算額を下回り、25億3、731万円余の減収となったものの、個人県民税ほか8税目で前年度決算額を上回って、63億1、223万円余の増収となったことから、総額で37億7、491万円余の増収となっているものである。
 まず、増収となった税目についてであるけれども、個人県民税が、所得控除のうち一部の人的控除の引き上げがあったものの、課税所得金額が4・5%増となったほか、特別減税の大幅な縮減等があったことから、12・6%増の伸びとなって、21億7、979万円余の増収となっているものである。
 法人事業税については、景気の回復基調から製造業を中心に企業収益の持ち直しが見られ、法人区分別の状況では、本県本店法人が13・7%増、他県本店法人が3・1%増、県内法人が1%増となって、収入額全体で4・1%増と伸び、11億2、995万円余の増収となっておる。
 これを業種別の状況で見ると、製造業では、半導体や通信機器及び自動車関連部品の好調から電気が31・5%増、機械が45・1%増と伸びたことにより、製造業全体では、16・9%増と大幅な伸びとなっておるものである。
 また、非製造業では、金融業が利ざやの拡大等により29・8%増と大幅な伸びとなったものの、卸・小売業が個人消費の低迷を反映して6・4%減となったほか、建設業、不動産業、運輸通信業でも落ち込んだことから、非製造業全体では1%増と小幅な伸びとなっておるものである。
 また、不動産取得税は、住宅建築が堅調であったこと、ホテル、レジャー施設等の大口取得があったこと及び宅地評価土地の取得に係る課税標準の特例措置の縮減があったことなどから、24・9%増と大幅な伸びとなって、11億8、824万円余の増収となっておる。
 自動車税は、課税台数1台当たりの税額が伸びたことから、5%増となって、8億5、579万円余の増収となっておる。
 また、減収となった税目では、県民税利子割が預貯金利率の低下によって、29・3%減と大幅に落ち込んで、24億7、922万円余の減収となっているものである。
〇渡辺委員 次に、歳計現金の運用についてお伺いする。
 歳入歳出決算事項別明細書によると、諸収入の預金利子のうち歳計金利子は3億4、519万円余となっておって、昨年度の11億5、128万円余と比較すると、実に8億円余り、70%の減少となっておる。今日のような超低金利の時代にあって、県御当局としても鋭意努力された結果の数字であるとは思うが、公金の運用に当たっては、有利な方法によることが当然求められるわけであって、そこでお伺いするが、県では、7年度における歳計現金の運用の状況と今後の運用方針について、どのようにお考えになるのであろうか。
〇高橋出納長 平成7年度の歳計現金の運用利子は、御指摘のように、前年に比べて70%の減少というような大幅な減少となったわけである。これは、委員も御指摘のように、昨年9月に公定歩合が最低の0・5%ということで引き下げになって、それに伴って市場金利が下がる。したがって、私どもの運用に係る平均利回りが、平成7年度は前年度に比べて1・29ポイントも低下したということが主な理由であるが、そのほかにも運用額が減少したというようなこともある。そういうようなことで大幅に減少したわけである。したがって、私どもとしてはそのような厳しい金利情勢下にあることから、運用に当たっては、地方交付税等の収入によって余裕資金が生じた場合には、支払い資金の見通しなり金利動向を勘案して、大口定期預金とか譲渡性預金、外貨預金などの商品を組み合わせて、可能な限りきめ細かな、また、効率的な運用に努めてまいったところである。また、預金先の決定に当たっても、地元金融機関などを対象とした利率の見積もり合わせというような方法によって、確実かつ有利な運用を図ってきたわけである。数字で申し上げると、大口定期預金は68回、1、914億円、外貨預金は66回、2、569億円など、年間の預金回数は164回、これは2日に一遍ぐらいずつ回していると、こういうようなことであって、そういうようなことできめ細かな運用を行ったところである。
 今後の運用方針についてであるが、今後もそういうようなことで大変厳しい状況下にあるので、8年度においても引き続き運用利子の減少は避けられない、そのような見通しであるので、各部局と連携をとって歳入金のこれをできるだけ早く確保する。そしてまた、歳出金の方は、より計画的な執行を図るというようなことで、できるだけこの運用できる余資を確保して、金利動向を的確に把握しながら、一層きめ細かな運用を図っていきたいと、そのように考えておる。
〇渡辺委員 次に、県債についてお伺いする。
 平成7年度の県債の収入済額は、1、419億6、300万円と、前年度の1、110億3、900万円余と比較すると309億円余り、27・8%の増加となっておる。
 また、歳入に占める割合も17・3%と、前年度の13・4%と比較すると3・9ポイント上昇しており、当然のことながら公債費比率も、前年度の13・2%から13・5%へと0・3ポイント上昇しておる。平成7年度は、国において、景気の回復を図るため、4月の緊急円高、経済対策を初めとする3度にわたる予算の補正を行ったところであり、県においても、これを受けて、公共事業の追加補正など、国の施策に積極的に対応してこられた結果であると考えるのである。しかしながら、景気の低迷が長期化し、かつてのような高度経済成長を見込むことが難しい時代にあって、将来の財政構造の弾力性を制約することとなる県債の発行に依存していくことは、決して好ましいことではないと考えるのである。
 そこで、お伺いする。今後における県債の導入の考え方についてお示し願う。
〇大隅総務部長 平成7年度一般会計の県債の発行額、委員お話のとおり1、419億6、300万円、前年度に比べると309億2、300万円の増である。このことによって年度末の県債の残高は7、028億9、200万円となっておる。また、県債の元利償還額は613億6、900万円で、NTT債を除いた平成6年度の決算額に比べると、16億2、000万円の増となっておる。
 増加した要因は、平成4年度以降の数次にわたる経済対策に伴う地方債の発行や、地方財源不足に対応するために行われた地方債の発行などによるものである。
 御指摘のように、公債費の増高は財政の硬直化を招く要因となるけれども、本県においては、立ちおくれている社会資本の整備促進を初めとする、3県総後期実施計画に掲げる重点事業を計画的に実施していかなければならないと考えておる。したがって、県債の導入に当たっては、将来の財政運営に支障を来すことのないよう、県税財政の維持と世代間の負担の公平等に留意しながら、その有効な活用を図るとともに、地域総合整備事業債や臨時地方道路整備事業債、ふるさと農道などの元利償還金について交付税措置のある優良な起債を優先的に導入するなど、後年度の財政負担の軽減にも配慮してまいりたいと考えておる。
 また、公債費の増高については、本県のみならず地方財政全体の問題となっていることから、財源対策債等の借入金依存による財政措置を避け、一般財源所要額の安定的確保を図っていただくよう、国に対し強く求めてまいりたいと考えておる。
〇渡辺委員 次に、福祉問題についてお伺いする。
 まず、高齢者世帯の住宅対策についてであるが、本県は全国を上回る速さで高齢化が進行しており、平成7年には、65歳以上の高齢者数が15歳未満の子供の数を上回るまでになっておるし、これに伴って高齢者の世帯も著しく増加してきており、2010年にはほぼ3世帯に1世帯が高齢者世帯になると予想されておる。
 このようなことなどから、国においては、21世紀初頭の本格的な高齢社会の到来に備え、人生80年時代にふさわしい経済社会システムの構築を目指して、平成7年12月に高齢社会対策基本法を制定、施行するとともに、ことし7月には高齢社会対策大綱を定めたところであるし、本県においても、平成7年7月にひとにやさしいまちづくり条例を制定するなど、総合的な高齢化対策を推進してきているところである。
 さて、高齢者住宅対策として、公営住宅法がこの8月に改正され、高齢者世帯の入居資格が弾力化されるとともに、デイサービスセンターなどの福祉施設の併設を積極的に推進する方向が打ち出されたところである。県では、高齢者に配慮された今回の法改正にどのように対応するお考えなのであろうか。
 また、高齢者が住宅を担保にして地方自治体などから老後の生活資金の融資を受ける制度は、東京都武蔵野市などで既に実施しておるが、亡くなられた後の住宅の売却返済制度、すなわちリバースモーゲージ制度について、国も検討に着手したようである。本県としての取り組みはいかがであろうか、あわせてお伺いする。
〇吉永副知事 高齢者世帯の住宅対策であるが、まず、高齢者に配慮した公営住宅法改正への対応であるが、今回の法改正は、今後の長寿社会に対応するために高齢者等の真に住宅に困窮する方の居住の安定を図るということを目的として、高齢者世帯等については管理主体の裁量で一般入居者より収入基準を引き上げることができることとし、また、公営住宅の建てかえに当たっては、デイサービスセンター等の福祉施設を併設する場合には、建てかえの要件が緩和されるなどの措置がなされておる。委員御指摘のとおり、21世紀に向かって高齢化が進み、我が県はほかよりももっと速い勢いで進んでいるわけであって、高齢者世帯の増加というのは必至の状況であるので、県としても、今回の法改正の趣旨を踏まえて、市町村と連携を図りながら、高齢者の福祉の増進に一層積極的に取り組んでいけるように、県営の住宅管理条例などの見直しを行ってまいりたいと考えているところである。
 次に、リバースモーゲージ制度への取り組みであるが、この制度は委員御指摘になられたとおり、住宅に住み続けながらその住宅を担保にして老後の生活資金の融資を受け、亡くなられた後からその住宅を売却して融資の返済に充てるという制度である。資産を有する高齢者の居住の安定というものに貢献すると言われておる。我が国では武蔵野市あるいは東京都世田谷区等の一部の地方公共団体や、民間の信託銀行で実施されておる。ただ、融資総額の確定がかなり困難なことや、不動産評価の変動によっては担保切れといったようなことも発生した場合、そうした場合の対応など、まだ問題も幾つかあって、現在ではその件数は非常に少数にとどまっておる。建設省においても検討委員会を本年設置して、普及に必要な条件の検討を進めているところである。本県においては、大都市圏に比べて資産価値というものが必ずしも大きくないといったような問題はある。実施するに当たってはさらに検討すべき点が多いものと考えておって、当面は国などの動向の把握等に努めてまいりたいと考えているところである。
〇渡辺委員 次に、高齢者住宅のリフォームの普及は、高齢者の在宅を助ける大きな要素であるが、県はPR活動を初め、どのように普及、啓発に努められるお考えであろうか、お伺いする。
 また、本県の身体障害者は、現在約4万人おられ、近年、我が国における少子・高齢化社会の進展とも相まって、本県の障害者も年々高齢化し、また、重度化の傾向が進んでいると伺っておる。このような中で、県が実施した岩手県社会福祉総合動態調査によると、中・重度の身体障害者で、日常生活において介護を必要とされる方は5割にも上るものの、施設の利用を希望される方は約1割程度であり、残りの9割の方は在宅での生活を希望されておる。このことから、今日、障害のある方でも、家庭や地域社会の中で、通常の生活ができるような社会づくり、すなわちノーマライゼーションを基本とする社会の実現を図ることが主要な課題になっているものと思われる。
 そこで、お伺いするが、これら在宅での日常生活を希望される介護が必要な身体障害者の方々に対して、どのような支援策を講じてこられたのか、また、今後どのような施策を展開していかれるのか、お伺いする。
〇千葉副知事 まず最初に、高齢者住宅のリフォームの普及の関係であるけれども、高齢者の方々ができる限り住みなれた地域において、安心して生活できるようにするためには、高齢期の身体機能に応じた住宅のリフォームが極めて重要であると考えておる。県としても、高齢者総合相談センターや介護実習・普及センターにおいて、県民の方々からの相談に応じているわけであるが、市町村においても、これらの機関などとの連携をとりながら、在宅介護支援センターなどにおいて、身近な相談に応じているところである。
 県では、平成7年度から、段差解消や手すりの設置などの住宅改善に要する費用を助成する高齢者や障害者にやさしい住まいづくり事業を実施しているところである。この事業の実施に当たっては、市町村や建築士会の協力を得て、住宅改善に関するパンフレットや事例集を作成して広く配布したほか、介護実習・普及センターによる地域講習会や福祉機器展など、さまざまな機会をとらえて、普及啓発に努めているところである。今後とも、高齢者や障害者にやさしい住まいづくり事業の一層の充実を図るとともに、関係機関との連携や各種広報媒体を活用しながら、高齢者の住宅リフォームの必要性に関する普及啓発を積極的に図ってまいりたいと考えている。
 次に、身体障害者の介護支援の関係であるが、近年、身体障害者の高齢化、重度化の傾向が強まる中で、身体障害者の介護支援は重要な課題となってきているところである。このような状況を踏まえて、在宅での日常生活を希望する介護が必要な身体障害者に対しては、老人福祉施設との相互利用を含めて、ホームヘルプサービス事業あるいはデイサービス事業、これは43カ所で、利用者は延べ5万9、157人となっておる。また、短期入所事業、これは14施設で、延べ利用日数は2、024日と、こうなっておるが、これらの居宅生活の支援事業を展開して、介護支援に努めてきたところである。
 また、在宅の重度身体障害者の日常生活の便宜を図るため、特殊寝台など43品目の介護機器を給付する日常生活用具給付事業を実施して、各種用具の給付、貸与を行っているところである。
 また、平成8年度からは新たに身体障害者自立支援事業を開始して、身体障害者向けの公営住宅等で生活している重度の身体障害者に対して、介助サービスを提供して地域社会での自立を支援しているところである。
 今後においては、3県総の後期の実施計画に基づいて、ホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスの拡充を図ることとしておって、身体障害者デイサービス事業については新たに9カ所で事業を創設し、そのうち2カ所については専用のデイサービスセンターを整備した上で、より介護の度合いが高い障害者への支援を行う予定になっておる。
 また、身体障害者自立支援事業についても、実施箇所の拡大を予定しているところであって、市町村との連携をさらに密にしながら、身体障害者の介護支援に努めてまいりたいと考えておる。
〇渡辺委員 今お話があったホームヘルプサービスに関連して、ホームヘルパーについてお伺いするが、厚生省では、今臨時国会に介護保険法案を提出された。全国的に在宅介護の中心となるホームヘルパーが不足しており、将来介護に携わりたいと考える40代から50代の主婦を対象にした養成講座も順番待ちという状況であると聞いておる。しかも、資格を持つ人すべてが介護に従事するわけでもなく、また、ヘルパーの待遇も非常勤などで決してよいとは言えないと思う。そこで、お伺いする。ホームヘルパーについて、県はどのように確保対策を市町村に指導、支援しながら在宅介護を支えていくお考えなのであろうか、お伺いする。
〇千葉副知事 ホームヘルパーの確保対策についてであるけれども、ホームヘルパーについては、市町村の老人保健福祉計画の目標達成に向けて、指導、支援を行ってきたところであるけれども、平成8年度において1、185人が確保される見込みである。ホームヘルパーの養成に当たっては、県の社会福祉研修所等において、市町村のホームヘルパーを養成する研修を実施しておるが、このほかに県が指定する社会福祉協議会やJAなどの養成研修によって、受講機会の拡大に努めるとともに、市町村や福祉人材センターに研修修了者に関する情報を提供して、就労の促進に努めているところである。
 また、ホームヘルパーの待遇の向上については、人材確保の面においても重要であるところから、毎年度手当などの補助基準額を引き上げるなど、改善に努めてきたところである。今後とも待遇改善を国に要望してまいりたいと考えておる。
 今後、高齢化の進展と家庭介護力の低下が見込まれる中で、ホームヘルパーによる早朝、夜間等のサービス提供など、高齢者個々のニーズに応じた質の高いサービスの提供が求められているところから、これらに対応したホームヘルパーの確保と在宅介護サービスの充実に努めてまいりたいと考えておる。
〇渡辺委員 次に、医療問題についてお伺いする。
 21世紀初頭の医療提供のあり方を検討している厚生省の国民医療総合政策会議は、11月13日、医師の削減、つまり、大学医学部の入学定員の削減を図るとともに、病院のベッド数についても、一般病床数が必要数の120万床を5万床上回っていると指摘しておる。大病院に患者が集中する問題を解消するため、地域のかかりつけ医師を第一線とした病院との機能分担や連携強化を図ることについては言われて久しい問題であるが、県立病院に依存する医療体制の中で、医師の地域的な偏在で慢性的な不足に陥っている地域のある本県において、県としてどのように対処していくお考えなのであろうか。高齢化の進む岩手県としては、深刻な問題であると思うが、御所見をお伺いする。
〇千葉副知事 医師の不足に対する対処の関係であるけれども、医師の不足している地域については、これまでも自治医科大学での養成医師の積極的な市町村への派遣、あるいは市町村がみずから養成した医師のその地域への勤務に対する積極的な支援などを図ってまいった。これらの地域への医師の誘導の施策も展開をこれまでしてきたわけであるけれども、今後とも引き続き医師の確保に努力してまいりたいと考えておる。
 現在、改定作業中の第三次岩手県保健医療計画における保健医療圏ごとの地域保健医療計画の見直しの中においても、医師不足地域における病院と診療所との連携、僻地中核病院、僻地医療支援病院による診療応援体制の整備促進を図ることなどを検討しておる。限りある医療資源の有効活用によって、医師不足地域における医療の確保に努めてまいりたいと考えている。
 なお、医師の定着を図るため、今後、岩手医科大学等の協力を得ながら支援体制の整備促進など、医師不足地域における医師確保を支援する方策について検討してまいりたいと考えておる。
〇渡辺委員 次に、北上川流域テクノポリス開発計画についてお伺いする。
 本県では昭和62年3月に、テクノポリス法に基づき、平成7年度を目標年次とする北上川流域テクノポリス計画を策定し、その推進を図ってきたところである。この計画に基づき、ハイテク産業の誘致に重点を置いた産業振興戦略の展開が図られてきた結果、北上川流域は、電気機械産業を中心とする機械金属工業の集積が進み、現在、東北地方でも有数の工業の集積地として発展しているところであり、県、関係市町村、関係者の御努力に対し、敬意を表するものである。
 そこで、まず、平成7年度末で第1次計画が終期を迎えた北上川テクノポリス開発計画の目標達成状況はどうなっているのか。また、去る3月には、最近の産業の空洞化の地方圏への広がりなど、新たな情勢の変化に対応するため、北上川流域高度技術産業集積計画が作成されたところである。この計画では、北上川流域の将来像として、未来の豊かな社会実現に貢献する我が国有数の高度技術産業拠点の形成を目指すとしておるが、このような基本的な考え方のもとに、その推進に取り組もうとしておられると思うが、お考えをお伺いする。
〇吉永副知事 北上川流域テクノポリス開発計画と北上川流域高度技術産業集積計画についてお答えする。
 まず、北上川流域テクノポリス開発計画の目標達成状況であるが、圏域の工業出荷額の半分以上を占める電気機械関連業種の高い伸びに支えられ、現在、新しい統計がとれるのは実は平成6年度現在であるので、その数字で申すと、平成6年度現在の数字の目標年次である7年度の目標に対する達成率を見ると、工業出荷額で113・3%、従業員数で90・3%、付加価値額で82・2%と高い伸びを達成しているところである。御案内のとおり、全国に26地域のテクノポリス圏域があるが、これらと比較すると、これはまだちょっと数字がさらに平成5年までになるわけであるが、昭和55年から平成5年度までのそれぞれの伸び率を見ると、工業出荷額では北上川流域が年平均で9・7%程度伸びており、これは全国26のうち2位である。それから、従業員数はこの期間北上川流域は3・62%伸びており、これはマイナスがほかの地域が多い中で全国でトップである。それから、総付加価値額の伸びで見ても、北上川流域のテクノポリスは7・96%で、これも全国26テクノポリス中1位である。こういったことを考えると、北上川テクノポリスは1つの最優秀のテクノポリスと言うことができるかと思っている次第である。また、この本計画の主要プロジェクトとしては、岩手県工業技術センターを初め、岩手県立高度技術専門学院、生物工学研究所などを開設し、ほぼ計画どおりの進捗を見ているところである。現在、盛岡市において研究開発型企業の育成機能や情報提供機能等を担うテクノポリス・サポートコアの整備が進められているところである。
 次に、北上川流域高度技術産業集積計画の基本的な考え方であるが、これらの第1期テクノポリス開発計画の成果を踏まえて、国内製造業の生産機能の海外移転が進む中で、この本計画では第1に、地域独自技術形成による独創的な先端的な研究開発の推進、第2には、新技術、新製品等の研究開発に取り組むベンチャー企業の育成、あるいは新規創業の促進による内発的な産業の振興、第3には、岩手における物づくりを支える基盤的な技術産業あるいは研究開発型企業、産業支援サービス業等の集積、そういったことを基本方向として掲げておる。県としては、これらの基本方向に沿って国の産業立地政策の有効な活用も図りながら、北上川流域の工業のさらなる発展のために各般の施策を展開してまいり、委員もお聞きになった未来の豊かな社会実現に貢献する我が国有数の高度技術産業拠点、そういったものの形成に邁進してまいりたいと考えているところである。
〇渡辺委員 次に、第3セクターの振興についてお伺いする。
 地場産業の振興を図るため、第3セクターによって地域おこしを進める市町村が多くなっていると思う。はしりは、湯田町の牛乳公社や大迫町のエーデルワインなどであり、市町村と農協、漁協、森林組合や企業との共同出資で、多くは地場産品や観光物産の事業を中心にふえる傾向にあると思う。しかしながら、国の行財政改革が叫ばれる中、もともと経営が難しい中でスタートをしたところが多いこともあって、陸前高田市、藤沢町、田野畑村などの地方自治体において、中山間や僻地などのより一層の振興を目指したものの、所期の目的を十分に実現するに至っていない第3セクターもあり、市町村の財政を圧迫している例もあると聞く。現状をどう認識されておられるのであろうか。県として、関係市町村に対し、これまでどのように指導し今後どう対応されるのであろうか、お伺いする。
〇大隅総務部長 市町村の第3セクターについてであるが、それぞれの地域における産業や観光の振興などの観点から、市町村が自主的、主体的に取り組んでいるものであり、これらは時代の要請にこたえながら、地域の活性化や住民福祉の向上に貢献してきているものと認識いたしているところである。しかしながら、厳しい社会経済環境のもとで、業績不振から累積赤字を抱えるなど、運営上の課題が生じている第3セクターも御指摘のとおり見られるところである。もとより、第3セクターの設立、運営に当たっては、事業の必要性や公共性についての判断が求められるものであるが、あわせて、採算性や効率性についての視点も必要とされるものである。県としては、第3セクターの設立に当たっては、事業の性格や運営方式、採算性などの検討を十分に行うことや、既に設立した第3セクターの運営に当たっては、社会経済情勢の変化を踏まえ、経営の状況や将来の見通し、業務の効率化などを点検し運営の改善を図ることなど、設立団体の財政運営に影響を及ぼすことのないよう、市町村に対し指導、助言を行ってきたところである。今後においても、市町村が中長期的展望に立った安定的かつ適正な財政運営が図られるよう、指導、助言を行ってまいりたいと考えておる。
〇渡辺委員 次に、農業の問題についてお伺いする。
 本年の稲作の取り入れも終わり豊作となったが、11月20日現在の検査数量は22万1、151トンで、うるち米の1等米比率は92・4%と、過去最高を記録した7年産を同期比で1・8ポイントも上回っておる。ひとめぼれの97%を初めとして、あきたこまち、ササニシキの主力品種は95%前後で過去最高の水準である。この中で、県のオリジナル品種であるゆめさんさは87・6%の1等米比率で、かけはしに至っては61・8%にとどまっておる。特にかけはしは県北部、山間部の作付が多く、もみの充実度が不足して落等になったケースや、もみそのものが大きい品種特性と思われるが、1・9ミリのふるいでも未熟米がまじり思わしくなかったと聞いておる。いもち病対策費を処置して、品質の向上を目指し、作付農家の評判も増収等おおむね良好と聞いておるが、かけはしのこのような結果について県ではどう考えておられるのであろうか。
〇吉永副知事 かけはしの品質についてであるが、かけはしは、耐冷性が強く食味のよい品種であり、たかねみのりにかえて県北部や山間部に作付を推進しているところである。ことしは春先から低温、日照不足に経過した中でかけはしは生育よく、いもち病防除の実施などにより、県が実施しておるモデル展示圃場等の成績では収量がたかねみのりを上回るなど、この品種の特性が発揮されたと思っておったわけであるが、品質については、委員御指摘のとおり、青未熟等の未熟米等が多く、1等にとどまっているものは60%台という状況である。県北部や山間地の気象条件のもとで、県南部のような高い1等米比率を確保するのはなかなか難しいものがあるわけであるが、かけはしは沖繩県の協力のもとに緊急に種子増殖した経緯もあり、ぜひとも普及定着を図ってまいりたいと考えているものである。本年のこうした結果をさらに検証いたし、適期刈り取りや適切な乾燥調製、さらには等級管理などを徹底してまいって、こうした地域においても着実に品質が向上するよう指導の徹底を図ってまいりたいと考えているところである。
〇渡辺委員 次に、主要食糧の需給と価格の安定に関する法律、いわゆる新食糧法が昨年の11月に施行されてちょうど1年となる。御承知のとおり、国の役割は、平成5年の凶作を教訓とした米の150万トンを目安にした政府米買い入れによる備蓄と1年後の備蓄米の売却であるが、米価の値下がり傾向の中で、古米が新米より高くなる逆転現象が2年も続きそうで窮地に陥っておる。6年産政府米は、ことし10月までの1年間に売却する予定であったが、値引きをしても買い手は冷ややかで、農林水産省の9米穀年度需給見通しによると、来年10月末の在庫は300万トンを超すと見られておる。一方、これらの備蓄経費は、ミニマムアクセスに基づく外国産米の輸入に際して、政府が徴収する売買差額によって賄うのが原則である。しかしながら、外国産米の販売は思わしくなく、現状のままでは破綻しかねない状況にある。
 そこでお伺いするが、県内の持ち越し在庫を含め、新米を保管する倉庫事情はどのようになっているのであろうか。また、倉庫建設に対する国の補助制度がなくなって久しいのであるが、このような事態に、もみ保管のためのライスミルのような安価な保管庫の建設を県も考えてはどうであろうか、お伺いする。
〇吉永副知事 県内の米の倉庫事情であるが、本県の米倉庫の総収容力は、カントリーエレベーターを含めて約31万トン程度となっておる。一方、平成6年、7年産米の持ち越し在庫と今年産米分をあわせると約30万トンと見込まれており、県全体としては何とか収容できるものと考えている次第である。また、このうち長期収容のための低温、準低温倉庫について見ると、地域によっては不足するというところは出てまいる。一部民間の営業倉庫を借り上げているといったような実情もある。この間、農協間で調整していただくことにより、ぎりぎり収容可能ではないかと考えている次第である。また、保管庫の建設については、既存の国庫補助事業で一般的なサイロ方式のカントリーエレベーターのほか、委員御指摘のとおり平床式の乾燥調製貯蔵施設、いわゆるライスミルを整備することは可能であるので、地域からの要望があったら検討してまいりたいと考えている次第である。
〇渡辺委員 次に、農産物の販売促進についてお伺いする。
 近年の農畜産物の輸入拡大など、農業の置かれている環境の厳しくなる中で、岩手農業に元気を取り戻させようとアメリカ・ロサンゼルスにアンテナショップを設置し、生産物の消費宣伝にと農産物海外マーケット展開事業費5、426万円、県産リンゴ対策費補助146万円余などを歳出化したわけであるが、この事業実施の結果と今後についてどう考えておられるのであろうか。また、先ごろ史上初の世界食糧サミットが開催され、ふえ続ける人口、飢餓難民の増加、不透明感を増す食糧需給、ウルグァイ・ラウンド農業合意に伴う中小農業者への打撃の深刻さなどの課題が討議された。出席した東久雄農林水産省審議官によると、国内自給の重視、持続的な農業の推進や環境保全など、農業の多面的な機能を強調する国が大半で、貿易問題一色だったウルグァイ・ラウンド交渉時とさま変わりをしたと言っておる。世界一の輸入国であり食料品の最も高い日本国内こそ、県として販売努力すべきであると思うのであるが、本県のPRについてはこれまでどのように講じてきたのであろうか。また、今後はどう取り組むおつもりなのであろうか、お伺いする。
〇吉永副知事 農産物の販売促進についてであるが、まず、農産物等の海外展開事業のことであるが、これは県産品の海外販路の開拓、あるいは米国における流通マーケットの研修といったようなことをねらって7年度から実施しているところである。ロサンゼルスのヤオハン・ニュートーランス店で、県のアンテナショップを開設し、これを拠点として米国内で試験販売や普及宣伝活動を始めて約1年を経過しておる。その販売額はおよそ4、000万円である。私も10月開催された1周年セールに出席し、現地の行政関係者あるいは流通関係者あるいは地元の消費者の方々とお話し合いをしたり、あるいは県産品の売り込みをやってまいったところである。どういったのが売れているかというと、南部せんべい等のお菓子、あるいはサンマの蒲焼き、あるいはワカメといったようなものが本場物のよさということで非常に浸透しているようである。また、冷麺とかジャジャ麺とか、そういったものも飛ぶように売れているようである。他方、むき身のホヤが売っていたけれども、これはどうも売れていないといったような状況である。
 また、今回初めて日本の企業が多く進出しておるニューヨークへ県産品を出展いたしたが、特別セールを実施した10月11日から20日までの売り上げは450万円余であった。これは、このセール期間中のヤオハン全米6店の売り上げの3割を占めるという、やはりニューヨークにおいても県産品に対する高い関心が寄せられたところである。今後において、これまでの結果を踏まえて、より広い地域への販路開拓も視野に入れながら、恒常的な海外への販売といったことに結びつけるよう販売展開を進めてまいりたいと考えているところである。
 県産リンゴの輸出振興対策であるが、この事業はニュージーランドとアメリカとの輸入の相互解禁される状況の中で、ずっと6年度から実施しているところである。ニュージーランドへは6年度、7年度、アメリカへは昨年初めて試験輸出し、現地の県産リンゴに対する評価調査やPR活動を行っているところである。こうしたリンゴについても、今後、努力してまいりたいと考えているところである。
 他方、委員が御指摘になったとおり、日本は世界一の食糧輸入国である。農産物も国内の方が値段がよいのではないかと。であるから、海外もさることながら、国内も力を入れるべきであるという御指摘は私はそのとおりと考えておる。国内においても非常に産地間競争が激しいので、そうした産地間競争に打ち勝つためには、本県のすぐれた生産環境や品質の確かさ、安全性といったことを強調いたした純情産地いわてといったものを統一イメージとして、首都圏、名古屋、大阪などの消費者を対象に銀河系いわてフェア、いわての花キャンペーン、純情りんごフェア、いわて牛フェアなどのイベントやキャンペーン等を実施してきたところであり、いずれのイベントも消費者の関心を集め多くの参加者を得るなど、大きな成果をおさめたものと考えておる。
 また、知事と一緒に市場を視察する会や、あるいはいわて牛枝肉の共励会などにおける市場関係者に働きかけ、いわて純情野菜常設店あるいはいわて牛取扱推奨店の設置、さらには、岩手の米、牛肉に関する情報を発信するインターネットホームページの開設など、多彩な宣伝活動を展開しているところである。
 近年、国際化の進展に伴う輸入農産物が増加しているところで、我が国の市場においても産地間競争はいろんな意味で激化しているところである。国内外の多様な農産物がある中で、消費者に県産農産物を購入していただくということとするために、国内における販売対策を一層強化する必要があるということは、私どもも肝に銘じているところである。 こうした観点に立って、今後においては豊かな自然や美しい農村、特色のある食文化など、本県の独自性をより強調した販売対策を推進することといたしておる。具体的には、大変大成功であった食文化プラザ'96、そういったことの成果を生かしつつ、消費者の食に対する安全、健康、こだわり等の志向に的確に対応し、食にまつわる本県の風土や文化、歴史などの特徴を前面に打ち出し、岩手ならではの食の文化、そういったものを消費者にPRする戦略、いろんな手段を使って努力してまいりたい考えているところである。
〇渡辺委員 次に、平成7年度の道路事業の成果と今後の取り組みについてお伺いする。 県は、これまで東北縦貫自動車道を軸とする肋骨道路の整備を、古くは県単高速道路整備事業による2時間連絡構想、そして平成3年から7年までの交流ネットワーク道路整備による100分構想の実現に向け、積極的に推進されてきておる。私は、地域の格差是正はやはり道路にゆだねる部分が大半を占めていると考えるのである。
 そこでお伺いするが、平成3年度からスタートし平成7年度で終了した交流ネットワーク道路整備事業による整備状況についてお伺いする。また、本年度から新交流ネットワーク道路整備事業を創設され、従来の交流ネットワーク道路整備事業に加え、交流促進型広域道路にも着手するとされておるが、その取り組み状況についてもお伺いする。
〇吉永副知事 平成7年度の道路事業の成果と今後の取り組みであるが、まず、御指摘あった交流ネットワーク道路整備事業による整備状況であるが、平成3年度からスタートした交流ネットワーク道路整備事業では、広域生活圏相互を結び、かつ、高速交通体系と一体となってその効果を全県的に波及させるために、13ルート、22路線からなる道路ネットワークを選定し、これら道路網で隘路となる峠道あるいは高速関連道路の体系的かつ効率的な整備を進めてきたものである。平成7年度までの5カ年間で、計画事業費515億円を大きく上回る県単独費、国庫補助事業費あわせて629億円余の事業費を投入し、54工区の整備に取り組んだところである。これを細かく言うと、県単独事業では計画事業費230億円に対して259億円の事業費を投入して、着手した工区数は国道397号江刺市伊手工区など30工区で、このうち10工区が平成7年度までに完了しておる。
 主な完了箇所については、釜石ルートの国道396号大迫町外川目工区、大船渡ルートの国道107号住田町世田米工区などであり、交通隘路区間の解消と交通の円滑化といったところがこれら図られているかと考えるわけである。
 次に、国庫補助事業では、計画事業費285億円に対して実績額370億円余で、経済対策等を活用して集中投資したところであり、着手した工区数は国道283号仙人道路など24工区、このうち11工区が完了しておる。主な完了箇所については、大船渡ルートの国道107号北上市新珊瑚橋、水沢ルートの県道玉里水沢線江刺市田原工区などであり、交通隘路区間の解消と交通の円滑化並びに峠道の解消を図ったところである。
 次に、新交流ネットワーク道路整備事業の取り組み状況についてであるが、この事業は従来の交流ネットワーク道路整備事業を衣がえいたし、交流促進型広域道路や地域高規格道路の整備を加えて高速交通ネットワークの形成を目指そうとしているものである。本事業は平成12年までの5カ年計画であるが、県単独費400億円、国庫補助575億円、あわせて975億円を投入し、16ルート、24路線、64工区の整備を進める計画としておる。
 細かく申すと、県単独事業では、従来の交流ネットワーク道路整備事業で計画しておった水沢ルート、国道397号住田町下大股小股工区など12ルート、15路線、20工区に、新たに小本ルート小本工区や大規模トンネルとして計画しておる早坂トンネルなどの建設に着手する予定となっておる。今年度は、新たに早坂トンネル、浄法寺バイパス、小本港湾関連道路に着手したところである。国庫補助の方では、県単独事業と同様に、従来の交流ネットワーク道路整備事業で計画していた釜石ルート国道283号仙人道路など、10ルート、13路線、16工区に、沢内ルート県道花巻大曲線小黒山川舟工区などを加え、14路線、21工区の整備を進めるとともに、新たに交流促進型広域道路として国道281号平庭など、5ルート、7路線、11工区に着手することといたしておる。本年度は、新たに遠野市上郷道路、山形村下川井工区、盛岡市簗川道路に着手したところである。
 新交流ネットワーク道路整備事業については、今後ともこうした事業計画に基づき、計画的、効率的に事業の執行を図るとともに、県都圏と県内各都市間及び広域生活圏相互間の時間距離の短縮を図り、かつ峠道の整備を推進し、冬期交通の円滑化と安全な確保を図り、県土の均衡ある発展に資してまいりたいと考えている次第である。
〇渡辺委員 次に、道路予算の確保についてお伺いする。
 来年度予算の編成期を前に、道路を取り巻く環境はかつてない厳しい状況下にあると言われておる。1つは、消費税の引き上げに際し、石油業界、自動車業界からガソリン税や自動車取得税等の道路特定財源の税率の軽減や廃止すべしとの動き、また一方では、旧国鉄債務の返済に道路特定財源を回せといった議論、さらには、行政改革に関連して公共事業のあり方を見直せといったやりとりなどが展開されている。これらの議論、考え方は、関連業界や中央のオピニオンリーダーたちから出されているようであるが、私は、地方においてはこれと全く逆の意見があふれているのが現状であると思うのである。
 そこでお伺いするが、このような状況下にあって、平成9年度の国の道路整備予算の確保はかなり難しいと考えられるが、県ではどのように認識しているのであろうか。また、これまで、県としてどのような取り組みをなされてきたのであろうか、お伺いする。
〇吉永副知事 道路予算をめぐる情勢がかつてないほど厳しいというのは、委員御指摘のとおりである。国においては、来年度予算編成に向けてこの来年度を財政構造改革元年と位置づけており、既存の歳出に思い切ったメスを入れることを考えておる。また、御指摘のとおり、ガソリン税を初めとする道路特定財源、これ自体を引き下げるあるいは道路特定財源の一般化といったようなことも言われているところである。このような国の動きから見ると、まことに道路整備を取り巻く環境は極めて厳しいわけであるが、この厳しい状況を厳しいとだけ言っておると、社会資本の整備というものがおくれておる地方というのは、事業確保はより一層難しくなるというおそれがある。こういうことであるので、私どもとしては国に対してはまず道路特定財源を堅持すべきということ、それから地方に対してはその実情を勘案し、地域活性化に資する予算配分はこれまでどおりやっていくべきであるという、その2つを要望しているところである。県としても、今後も限られた財源の中で効率的な道路整備を行うため、重点的、計画的な事業執行に努めてまいるとともに、9年度の道路整備予算を確保するためには、さっき申し上げた2つのことを目指して各種の取り組みということを行ってきたところである。具体的には、9月の県議会やあるいは県内市町村議会で平成9年度の道路関係予算の確保という意見書が可決され、これを国の関係省、関係大臣に要望しておる。また、10月末道路関係7団体の主催による道路整備促進岩手県総決起大会、あるいは県内各地域での道路整備総決起大会においても同様な趣旨について決定していただいており、同時に道路特定財源堅持等に関する署名活動等も行い、国の関係機関への陳情を行っているところである。また、先月の14日、初めて東京で開催いたした岩手県高規格幹線道路整備促進期成同盟会の8年度総会においても同様の決議をしたところである。同日、あわせ開催した銀河系いわて道づくりシンポジウムにおいては、県民の声を直接関係機関に伝えるなど、積極的な要望活動を展開しているところであり、こういったものは例年と比べて大きな動きを示しているところである。さらに、この14日の次の日の15日の県の予算統一要望においても重点事項として道路整備財源の確保等、それから具体的に岩手県に対するいろんな個別の道路名を挙げた上での道路整備予算の確保ということを強くお願いしてまいったところである。今後とも、大蔵省あるいは建設省、いろんなところに対していろんな機会をとらえて粘り強く頑張ってまいりたいと考えている次第である。
〇渡辺委員 次に、言いづらいことであるが、一般質問を通じて、また、マスコミ報道などで、職員の旅費の不適正な支出が指摘されておる。その内容は、花巻振興局税務部と県衛生研究所の2件であるが、監査結果はこの2件だけであろうか。また、本年度は旅費を重点項目として監査したとのことであるが、平成7年度分のうちどの程度監査できたのであろうか、お伺いする。
〇源新監査委員 旅費の監査結果についてということであるが、定期監査に係る旅費の監査結果、留意改善を要するものとして、旅行命令どおり出張されず変更手続がとられていないものやおくれているものが3件あった。衛生研究所5人、支出額39万3、485円、花巻振興局2人、10万7、240円、花巻土木事務所4人、20万2、500円である。そのほか、旅行用務が支出科目に沿わないものや、旅行命令と交通手段が相違しているものがあった。これらについては、必要な措置や今後の留意改善を求めたところである。
平成7年度旅費の支出に関する監査については、計画対象機関198機関の下半期の県外出張について、その支出手続や出張内容等を監査したところである。その結果、県外出張の命令件数は1万2、997件、支出額10億4、756万7、000円であった。
〇渡辺委員 最後に、監査制度のあり方を検討すべきであるという声も多々あるわけであるが、それについてどうお考えであろうか。
 以上をもって、私の質問とさせていただく。
〇大隅総務部長 監査委員制度は、県行政の公正で効率的な運営を確保するための内部検査機関として重要な役割を担っているところであり、公費の適切な執行を確保いたし、不正を防止し、県民の地方自治に対する信頼性を維持する観点から、本制度に期待するところはまことに大きいものがあるものと認識いたしておる。
 監査制度のあり方については、その独立性や専門性を高めるため、本年4月、地方制度調査会において公認会計士など、専門家による監査や地方公共団体が共同で設置する外部監査機構による監査など、外部監査の導入を含めた報告がなされておる。また、最近において報ぜられるところによると、同調査会では都道府県、政令市、中核市には法律で外部監査を義務づける、他の地方公共団体については、必要がある場合に条例で定め、条例を定めない市町村の場合は議会の判断などで個別に外部監査を実施することなど、具体的な検討を行っており、来年にも答申が提出される見込みであると聞いておる。これは、法改正を伴う事柄であるので、今後の国の状況を注視してまいりたいと考えておるところである。
〇菅原委員 自由民主党の菅原温士である。
 自由民主党を代表して、平成7年度決算について総括的に質問をする。
 まず、平成7年度予算の附帯意見に対する対応についてお伺いをする。
 平成7年度予算に対し、昨年2月の県議会において、1つ目に、経費の削減合理化を図ること、2つ目に、財源の効率的活用に一層努めること、3番目に、多様化、高度化する県民の行政需要に適切に対応するため、3県総に即した各種社会資本の整備促進などに資する各般の施策を社会情勢の変化等に対応した新たなものを盛り込みながら積極的に推進すること、4番目に、活力ある地域社会の形成と地域の特性を生かした県土の均衡ある発展に努力すること、以上、4点を付したところである。これらに対する主要な措置状況はどのようになっておられるのであろうか、まずお聞かせを願いたいと思う。
〇千葉副知事 平成7年度の一般会計予算には4つの附帯意見が出されたわけであるけれども、これに対応して措置したものとしては、まず、経費の節減合理化の関係については、経常的経費の5%のマイナスシーリングを敷いたところである。また、県単独補助金の整理合理化59件、県単独新事業の見直し101件というように努力したところである。また、財源の効率的な活用については、使用料、手数料の見直し31件、法人県民税の税率の特例、これは標準税率100分の5を100分の5・8にしたところである。それから、地域振興基金の取り崩しなどの努力をしてまいった。また、多様化、高度化する県民の行政需要や社会情勢の変化等に対応した新たな施策の展開については、県立大学の整備事業あるいはインターハイの関連スポーツ施設整備費補助など、人づくりの事業、生きがい対策事業、介護・普及センター設置運営事業などの長寿社会に対応した事業、中小企業地域情報センター事業費補助や情報処理教育設備整備費などの高度情報化に対応した事業、農業研究センター(仮称)整備事業や生物工学研究所整備事業などの技術革新に対応した事業、外国青年招致事業や国際交流推進費などの国際化を推進する事業などを実施するなど努力をしたところである。また、活力ある地域社会の形成と県土の均衡ある発展については、例えば東北新幹線の建設促進対策事業、交流ネットワーク道路整備事業、岩手県林業労働対策基金への出捐金、地域活性化事業調整費、地域総合整備事業など県土の均衡ある発展に十分留意しながら、地域の実情に応じて、その特性を生かした生活、産業基盤の整備に鋭意努力したところである。
〇菅原委員 次に、市町村に対する県の財政指導等についてお伺いをする。
 今日、景気の低迷による税収不足から、国、地方とも慢性的な財源不足の状況が続いておる。加えて、将来の負担となる莫大な借入金を抱え、大変厳しい財政状況にあると認識いたしているところである。これらの状況の中で、住民に身近な社会資本の整備、地域福祉施策の充実、自主的、主体的な地域づくりなど、市町村の果たすべき役割はますます増大してきていると思うのである。また、市町村においても、地域の要請にこたえるべき積極的な事業展開を図っているところから借入金が大幅に増大することなど、厳しい財政運営を強いられているところである。県と市町村は、県勢の発展にとって車の両輪ともいうべき関係であり、市町村の果たすべき役割は真に大きなものがある。このような厳しい財政状況のもとで、市町村がその機能を適切に果たしていくためには、市町村みずからの努力が求められるところであるということは申し上げるまでもないことである。財政運営の健全化や事業計画に対する指導等、県の果たすべき役割が重要であると考えているところである。
 そこでお伺いするが、県は、市町村に対してどのような指導体制を行っているのか、さきに公表された平成7年度決算の特徴とあわせてお伺いをするものである。
〇大隅総務部長 市町村に対する県の財政指導等についてであるが、近年、国、地方ともに厳しい財政環境が続いており、本県市町村においても大変厳しい財政状況にある。平成7年度の岩手県市町村普通会計決算について、平成6年度決算と比較して申し上げると、決算規模は歳入で3%の増、歳出は2・8%の増となっておる。その中で、歳入のうち、地方税、地方交付税等の一般財源は3・8%の増と一定の伸びを示しておるけれども、単独事業が12・5%増と大幅な伸びを示すなど、事業の積極的な展開が図られていることから、地方債収入が16・6%増と伸びているところである。また、財政の弾力性を示す経常収支比率は76・8%と、前年度と同じ水準にあるけれども、公債費比率は13・6%で、前年度より0・1ポイント上昇しており、また、地方債現在高も11・6%増加するなど、全体として財政の硬直化の傾向が見られるところである。県としては、市町村に対しこのような厳しい状況を十分に踏まえて、それぞれ行政改革の一層の推進による行政経費の節減合理化を図るとともに、税収入の確保、受益者負担の適正化等財源の確保に努め、また、あわせて各種施策の優先順位についての厳しい選択を行い、財源の計画的、重点的な配分に徹し、財政の健全化を図るよう指導しているところである。また、交付税措置等のある優良な地方債の導入を進めるとともに、今年度、県の自治振興基金の貸付総額や対象事業を拡大するなど、市町村の事業展開を積極的に支援しているところであり、今後とも、市町村の事情を十分に見きわめながら適切な指導、支援を行っていく考えである。
〇菅原委員 次に、県立大学の整備に関してお伺いをする。
 去る11月6日に、知事から、県立大学の学長予定者として半導体工学の分野での世界的権威である西澤潤一先生をお迎えすることが内定したとの発表があったわけである。県立大学は、本県のこれからの飛躍的な発展を支える有為な人材を育成すると、そういう場として、また、本県の学術文化振興の拠点として、県民は大きな期待を寄せているところであるが、世界的に著名な西澤先生を初代学長にお迎えできることは、まさしく快挙である。県民にとって大きな喜びであると思うのである。関係者各位の御努力に深甚なる感謝をささげる次第である。
 さて、平成6年度から着工いたしておる県立大学の整備も、平成10年4月の開学まであと1年余りとなったわけである。県立大学用地では、大型の工事用機械が稼働するなど、いよいよ県立大学整備も目に見えて本格化してきたと、また、起工式も間近に迫っておるというようなことのようであるわけである。
 そこでお伺いするが、県立大学の施設整備はどのように進捗をいたしておるのか。また、校舎等の建築工事の入札については諸般の事情によってこれは大きな問題があったようであるが、延期のやむなきに至ったようである。開学までに施設の整備が間に合うのかどうかということを心配いたしておるわけであるが、その見通しも含めてお聞かせを願いたいと思う。
〇大隅総務部長 県立大学の施設整備についてであるけれども、その内容は、地質調査、測量調査、建築設計等の各種調査、設計、用地造成工事、校舎等の建築工事、外構、植栽工事、教員住宅建設工事などである。このうち、各種の調査、設計、用地造成工事は既に完了しているところであり、また、建物本体の基礎工事の一部となるくい打ち工事についてもこの8月から工事に着手し、先月中旬をもって終了したところである。構内道路、駐車場、屋外運動施設など、現在取り組んでいる外構工事の11月末現在における進捗率であるが、ことしの8月に着手した構内道路、駐車場工事については31%、10月に着手した屋外運動施設工事については5%であり、現在のところ、これについては当初計画をやや上回る進度で作業が進行いたしておる。校舎等の建築本体工事、植栽工事、教員住宅建設工事については今後着手することになるが、建築本体工事については、本議会において契約議案の審議をお願いしているところであり、議決をいただいたならば直ちに工事に着手したいと考えておる。
 なお、建築本体工事については、入札の延期に伴って当初計画いたした工事期間を約2カ月程度短縮せざるを得ない状況となったが、工事計画全体の見直しを行って、工程計画上、種々の施工上の工夫を積み重ねるなど最大限の努力を傾注いたし、平成10年4月の開学に向けて万全を期したいと考えているところである。
〇吉田委員長 菅原温士委員の質疑中であるが、この際昼食のため、午後1時まで休憩する。
 菅原委員、御了承願う。
   午前11時58分 休 憩
   午後1時6分 再 開
〇吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 総括関係の質疑を続行する。
〇菅原委員 先ほど冒頭に申し上げればよかったんであるが、一般質問、あるいはまた、前者の渡辺委員等々の質問と重複する点があろうかと思うが、御了承願う。
 今、御答弁いただいた県立大学の件であるけれども、実はこれとそのほかに土木部長がいた方がいいというような感じで考えておったわけであるが、土木部長おらないから、3つお話を聞きたいと思ったんであるが、そのうちの1つだけこの場をおかりしてお尋ねをしたいわけである。
 県立大学の校舎の発注公告を取り消したと、こういうことになっているわけである。これはWTOを前面に出したんだと、いわゆるそういうことによって県内業者が参入を抑制されたと、こういうことであるわけである。そこで、県内建設業者の反発を買ったわけである。そうして取り消した。一たん決めたことを取り消したと、こういうことなんである。朝令暮改--朝令暮改というのは、いい面も悪い面もあるんである。やっぱり過ちは速やかに訂正する、直すという意味もあるから、悪いとだけは私は考えておらないわけであるけれども、そういうことであるわけである。県立大学はいわゆる我々がつくるんだと、県民がつくる大学だと、県単事業であるわけであろう。計画、運営からすべて県民の手で行う。最高責任者は知事であると、こういうことになるわけである。こういうようなことであるから、なぜこのWTOを前面に出してこういうような計画を組んだのかということは、これは我々議員以外にも、業界、一般の県民もおかしいんではないかという声が実はあるわけなんである。このことについてはどなたか一般質問でおやりになったというようなことも聞いているわけであるが、そういうことなんである。もっともっと柔軟な姿勢がとれなかったのかと、こういうことなんである。県内業者も今では相当力もついているわけであるから、高度な技術を有している企業もどんどんどんどんふえてきているわけなんである。ところが、県内業者の参入はほんの一部だけだったと、こういうようなことであるから問題が発生したが、もっともっとやはり私は県内業者を優先的に参入さすべきだと、このように考えておるわけである。県内業者が工事をするということになると、いわゆる民活、あるいはまた、県内の経済効果の波及、これは大きいものなんである。そういうことを期待されるわけであるが、なぜこういうふうになったかと、こういうことなんであるが、こういう校舎の発注の計画、これだれが行うか。どことどこと協議して、だれが決定するものなんであるか。まず、この点をお聞きしたい。
〇吉永副知事 県立大学の入札に係る経過であるが、だれが行うかというものに対しては、前後のその参加資格の問題等もあるので、あわせてお答えしてよろしいであろうか。
 まず、今度の県立大学の工事であるが、これはWTO政府調達協定が平成8年1月に発効しておって、それで一般競争入札対象工事は21億6、000万円以上と決められておって、今回の県立大学の工事はこれを超えるものであるので、このWTOの政府調達協定に服した形で入札を行わなければならないということがまずあった。しかし、このWTO政府調達協定が発効して初めて県として行う工事であった。この入札に係る経過であるが、初めて行うこういう形での一般競争入札参加資格の基準をまず決める必要がある。その後にその具体的な参加資格を公示、告示した後、それに基づいて審議会を開いて入札の公告を行うと、そういう手続になっているわけである。一般競争入札参加資格基準の公示については、これはまず建設委員会、これは私が議長となって、各部の部長等を委員とする建設委員会で審議の上で、知事の決裁をとった上で告示するということになっておる。その後の具体的な入札の公告は一般競争入札審議会の審議を経た後、これを部長決裁でもって入札の公告を県報に対して行う。そういう形になっておる。御質問の趣旨にすると、どういう企業が一般競争入札の参加資格があるかという、その点数を決めるのは、今申し上げたとおり知事の決裁をとって行っているというものである。
〇菅原委員 そうだと思うんである。だけど変更したわけであろう。変更したんであろう。変更できるものだったら当初から考えるべきじゃなかったかと、こういうことなんである。どうであるか。
〇吉永副知事 経過を申し上げると、そういう意味においては、先ほど委員の御指摘あった過ちを改めたと考えていただいていいかと思うわけである。その過ちはすべて私を含めた県のこれにかかわった職員の責任だと考えているわけである。経過を申し上げると、平成8年6月14日の建設委員会で、今申し上げた一般競争入札参加資格の基準を審議した。そのときは、いわゆる業者に点数をつけるわけであって、一定の点数以上の業者のみがその入札に参加できるというものである。この点数のつけ方が、その当時まだWTO協定発効間もないので、他県の例あるいは国の例、その他を参考にしながらその点数をつけたわけであるが、私どもとしてはその時点では最善なものとして点数を考えた。それほど厳しくもなく、それほど甘くもなくということでそれを決めたわけであるが、そしてそれを6月21日に参加資格の基準を、さっき申したとおり知事決裁をとった後、県報に登載した。これに基づいて入札の審議会を経た上で、7月2日に一般競争入札の公告が県報に登載された。その後、7月、この基準では県内企業を含む中小建設業の参入機会がちょっと不足するんではないかという旨の陳情が7月に県建設業協会から土木部に対してあった。また、8月の県議会の土木常任委員会においても、同趣旨の要望があった。そういう要望があったほか、その後、6月時点で私どもが決めたときはまだ他県の例とかなかったわけであるが、これは事実として7月、8月になって他県の例がどんどん出てみると、私どもが決めた点数よりももっと緩いところで決まっているということが判明してまいった。そういったことを経て、これはちょっと再検討の必要があるのではないかということで、私ども判断してこれをまずもう一度再検討しようということで、知事に御報告の上、8月9日に一般競争入札公告の取り消しをまず行ったわけである。その後、8月29日に再び、さっき申した参加資格の基準を定める建設委員会をもう1回開いて、そこでもうちょっと県内企業を含む中小建設業の参入機会が広がるような形に変えた基準にした上で、一般競争入札審議会を9月9日に経て、9月17日に再び再公告したと、そういう事実経過である。
〇菅原委員 まず、わかったが、ここで論議しても始まらないんであるが、いずれこれからは県内業者、できる限り優先という姿勢で行政を行っていただきたい。秋田県の場合は、県内業者の発注率は90%以上と聞いている。岩手県は大型物件はほとんど大手という形になっておるから、やはり県内業者に仕事をさせるということ、そうするとどんどんどんどん力もついてくるんである。これからそういうことを念頭に置いてひとつ進めていただきたい。この件は終わる。
 次に、航空路線の充実についてお尋ねをする。
 花巻空港については、今まさに、滑走路2、500メートル延長整備の第7次空港整備5カ年計画への参入の可否が決まろうとしている緊迫した情勢にあるわけである。私は、花巻空港の機能の強化を図る上では、航空路線の充実もまた重要であると考えておる。
 最近の航空業界を見ると、規制緩和が叫ばれる中で、幅運賃制度の導入による業界の競争激化や地方空港の整備促進等を背景として、航空各社における新規路線の開設が相次いでおるわけである。このような中で、我が花巻空港では、11年ぶりの新規路線として福岡線が開設されたことは、まことに喜ばしい限りであるが、同時期に山形空港や秋田空港でも福岡線が開設されたことを考えると、今後利用客の確保、観光客等の誘致をめぐって、各県の競争が激化することが予想されるわけである。福岡線の利用促進に向けた積極的な取り組みが必要と考えられるわけである。
 そこで、お伺いするが、開設以来の福岡線の利用状況はいかがであろうか、できれば、他の空港との比較で御教示をお願いしたいわけである。また、今後、福岡線の利用促進、特に九州地方からの誘客にどのように取り組んでいくお考えであろうか、御所見をお伺いしたいわけである。
〇武居企画調整部長 空港路線の充実に関して、福岡線の利用状況についてであるが、本年6月1日に週3便で開設された花巻福岡線の10月まで5カ月間の利用者数は1万6、317人で、座席数に対する利用者数の割合である利用率は平均すると77%に達するなど、これは採算ラインが60%の真ん中ぐらいと言われているので、利用実績としては大変好調に推移していると認識しておる。
 他県の状況ということであったので、ちょっと私どもの方で調べたわけであるが、同じような時期に週3便で開設された路線が、東北方面では秋田福岡線と、それから山形福岡線がある。秋田福岡線については平均で67%、それから山形福岡線は平均で48%というような形で、これと比較しても花巻福岡線は大変好調に推移していると認識しておる。この間、例えば県議会の委員方におかれても、福祉文教委員会が7月の末であったか、九州方面に調査で福岡線を利用していただいたということもあるが、私どもも鋭意そういったことで、今後もこういった状況が続くように努力してまいりたいと考えておるが、最近は、利用率が80%を超える便も数多く見られて、むしろ便によっては座席を確保しにくい状況さえ生じているところでもあって、私どももこれが航空路線の充実にさらにつながればと考えておるので、こういった実績をもとにして、利便性の向上のための増便、さらには、できればデーリー運航というものも将来的には視野に入れながら、航空会社に働きかけてまいりたいと考えておる。
 県においては、この福岡線に関して申し上げると、6月以降、例えば県の部局であると商工労働部なんかと共同で、観光のためのいろいろの事業を福岡で実施したり、あるいはデパート等を活用してその物産展を開催したり、テレビコマーシャルのスポットを流したりとか、そういったこともやっておるし、観光キャラバンの実施等も実施して、鋭意福岡側からの観光客の誘致に努めてきたところである。九州と東北というのはこれまでなかなかどちらかというと、むしろ処女地というか、交流の面からいくと今までなかなか手つかずのところだったんであるけれども、こういったことを機会にさらに航空路線の充実の実績づくりに努めていきたいと考えておる。
〇菅原委員 次に、交通安全対策についてお伺いする。これもさきの一般質問と重複する点があると思う。
 最近、新聞などを見ておれば、必ずと言っていいほど交通事故の記事があるわけである。テレビでもそのとおりであるわけである。本県の交通事故の死者数の状況は、ここ数年はおおむね大体130人台から160人の間を推移してきたわけである。昨年の亡くなった方は119人と、昭和61年から過去10年間では最も少ない死者数であったことである。このことは非常に喜ばしい限りであるわけである。しかし、ことしの交通事故による死者数の状況は、11月末現在で123人である。昨年同期対比12人の増加と、こういうことになっておるわけである。まことに憂慮にたえない次第で実はあるわけである。交通事故の防止策には特別の決め手というものはないんである。特効薬もないんである。したがって、交通安全の教育、交通規制、取り締まりや交通安全施設の整備等と、ソフト、ハードの面、両面にわたって各種の対策を強力に継続していくと、これが積み重なって効果が出てくるんではないかと、そんな感じをしているわけである。
 また、来年度からは行政機構改革再編整備案によれば、従来、交通安全対策を専門に担当してきた交通安全対策室が廃止されると、こういうことになるわけであるが、私は、現在の交通事故の状況から見て、依然として交通安全対策は重要な県政の課題でもあるし、施策の1つでもあると私は考えているわけである。
 そこで、お伺いするが、県においては現在のこのような交通事故の状況をどのように認識をしているか、また、今後の交通安全対策をどのように考えておるのか、そして、行政機構再編整備案による交通安全対策室の廃止は、県民にとって重要な交通安全対策の低下につながらないのかと、その点をお尋ねするわけである。
〇千葉副知事 まず、現在の交通事故の状況に対する認識であるけれども、交通事故の現状については、委員からただいま御指摘があったとおり、平成3年以降、5年連続減少してきた交通事故の死者数が、関係機関あるいは団体の努力にもかかわらず、残念ながらことしは増加に転じている状況にある。ことしの交通事故の特徴としては、青年ドライバーと高齢者の死者が多く、死者数の全体に占める割合が両者で70%と高い比率になっておる。したがって、これらに対する対策が必要であると認識しているところである。
 また、今後の交通安全対策であるけれども、ことしの7月に国、県、市町村の関係者からなる岩手県交通安全対策会議を開催して、本県の今後5カ年間の交通安全対策の大綱となる岩手県交通安全計画を策定したところである。この計画においては、これまでの交通事故の状況あるいは特徴等を踏まえて、高齢者の交通事故防止対策やシートベルトの着用を重点課題と位置づけて、これとあわせて道路交通環境の整備、あるいは交通安全教育の推進など、各般にわたる交通安全対策を積極的に推進していくということにしているところである。今後は、この岩手県の交通安全計画に基づいて、国を初め関係機関、団体等の協力をいただきながら、各種の対策を実施してまいりたいと考えておる。
 次に、交通安全対策室の廃止についてであるけれども、県民の安全を図る上で重要な交通安全業務について、今回新たに県民生活を担当する生活環境部の総務生活課に統合することとしているわけであるが、交通安全対策は、今後も積極的に推進していく必要があると考えておって、担当区分を明確にし、実効が上がるような運用をしてまいりたいと考えておる。
 また、総務生活課は、県民運動やボランティア施策も所管することとしておる。交通安全対策の推進に当たっては、県民運動あるいはボランティア団体との連携によって、相乗効果が期待できるものと考えているところである。いずれにしても、交通安全対策の必要性、重要性については、今後とも変わることがないものと考えておるので、行政機構再編整備後においても、県民の皆様から交通安全対策の後退であるというような批判を受けることのないよう、十分配意してまいりたいと考えておる。
〇菅原委員 全国の、話おかしいんであるが、都道府県において交通安全対策をどのように進めているかということを調べてみたんであるが、まず交通安全対策を表示している県が18あるんである。交通安全対策課、交通安全対策室、それから対策とは入っていないんであるが交通安全課というのも3つあるんである。そのほか交通対策課、恐らく岩手県でもあるんであるが、そういうところと一緒になっているんではないか。生活消防課などというところもあるんである。県民生活課というところ、ないわけではないんである。幾らもないんであるが、平成8年5月現在であるから、来年はどのような機構改革になるかそれはわからないけれども、いずれ総体的に交通安全とうたっているのは三十七、八あるんである、47都道府県のうち。それから、警察から派遣されている職員、これどのぐらいあるかということを調べてみたんであるけれども、課長として入っているのがあるんである。警視、これは6カ所ある。それから、警視の対策官、主幹、参事というのもいっぱいあるんである。室長は、警視が8県ある。青森あたりも警視の室長である。それから、警視の副課長、参事、主幹、こういうのも実はあるんである。それから、交通対策局というところもやっぱり警視の派遣もあるんである。いずれ警察からの幹部級の職員が大分入っているんであるが、岩手県も今あるわけであるが、こういう関係は一体これからどうなんであるか。これをまずお尋ねしたいわけである。
〇大隅総務部長 ただいま交通安全対策の部署についての御質問であるけれども、行政改革で小規模組織の統合ということの大目的があって、そうした観点からの統合と伺ったわけであるが、しかしながら、交通安全について大変事故もふえているということもあって、どうあるべきかということはさまざま議論したわけである。結論的には総務生活課というところで統合して処理するということになったわけであるが、職の設置あるいは人員配置等については、ただいま検討しておるところであって、これからの事項となるわけである。しかしながら、先ほど副知事からも申し上げたように、なるたけその職の設置等においても明確な形でその形があらわせられるようなことを検討してまいりたいと思っておるし、体制についても少なくとも後退することのないようなものにしていきたいと考えておる。警察当局等の連携も十分に協議をしながら図ってまいりたいと考えておる。
〇菅原委員 わかった。行政改革は私は賛成であるが、まずこれらの交通安全運動というのはボランティア活動が多いわけである。交通安全協会、母の会、そのほかいっぱいあるんである。そういう方々の意欲が低下しないような体制を、より以上強力なものにしていただきたいと、そのように考えておるわけである。
 それから、もう1つ、3県総後期計画の中に、これ仮称であるが、いわゆる交通安全センターの設置の調査事業調査があるんである。これはやっぱり強力に推進をしていただいて、県民ひとしく交通安全思想の普及等々、ハード、ソフト両面にわたってのセンターができるようなことをお願いしたいんであるが、これの取り組みについてお尋ねをする。
〇千葉副知事 交通安全センターの関係については、3県総に調査事業として位置づけられているわけであるけれども、現下の交通事故の発生状況、極めて深刻な状態にあるわけである。委員からただいま交通安全センターの設置についての強い要望があったわけであるけれども、御趣旨に沿うよう努力してまいりたいと考えておる。
〇菅原委員 わかった。
 次に、これも重複するかと思うけれども、福祉人材の養成と資質の向上についてお伺いする。
 本県においては、これまで福祉施設の積極的な推進が図られ、本県の福祉サービスの提供水準は、全国的に見ても高い水準にあると承知をしておるわけである。当局のこれまでの御努力に対して心から敬意を表するものである。県民の福祉ニーズは増大かつ多様化しておる。今後の少子・高齢化社会に向けて、福祉施設のなお一層の充実が必要となっておるわけである。申し上げるまでもなく、福祉サービスは人を相手として人が行うサービスであるわけである。県民ニーズに的確に対応するためには、特養ホーム等社会福祉施設の増設やホームヘルパー等の増員など、量的な充実はもとより、福祉に従事するすぐれた人材の養成と資質の向上は極めて重要であると思うわけである。
 さらに、国においては、現在、介護保険制度についての論議が進められており、本県においてもこのような動向に対応して質の高い福祉サービス提供体制を整備する必要がある。介護福祉等の人材の確保対策をなお一層積極的に推進をする必要があると考えておるわけである。
 そこで、お伺いするが、福祉推進の根幹である福祉人材の養成と従事者の資質の向上について、県は今後どのような対応を図っていくお考えかをお示し願いたいと思う。
〇千葉副知事 福祉にかかわる人材の養成と資質の向上についてであるが、本年3月に策定した岩手県社会福祉基本計画の後期の実施計画の基本方向において、人材の養成、確保と福祉従事者の資質の向上を、主要な柱の1つとして掲げたところである。そして、県立社会福祉研修所の整備拡充、県立大学への社会福祉学部の設置、介護福祉士養成所施設の整備、ホームヘルパーの確保のための民間団体を含めた研修実施体制の強化、福祉人材センターにおける潜在的な人材の発掘など、福祉人材の養成、確保と資質の向上に向けて積極的に施策を展開することとしているところである。
 平成8年度においては、介護福祉士養成施設について、民間法人による既存の2校に加えて、新たに2校の整備が進められており、これが開校すると入学定員は既存の2校の89人と合わせて249人となって、大幅な増員が図られるものである。
 また、介護従事者のリーダー的役割を担う人材の県内への定着と確保を図るため、介護福祉士の修学資金の貸付人数を増員するとともに、ホームヘルパーの資質の向上を図るため、新たに特別研修を実施したほか、社会福祉研修所における施設職員などの現場研修の充実に現在努めているところである。
 今後においても、介護保険制度の創設の動向も踏まえながら、進展する少子・高齢化に的確に対応した福祉人材の養成、確保にさらに積極的に努めてまいりたいと考えておるところである。
〇菅原委員 もう1つ福祉関係あるんであるが、時間も切迫してくるからこれは後でまた時間があれば御質問したいと思うわけである。
 次に、中小企業の高度情報化対策についてお伺いをする。
 今日、情報化をめぐる状況は、世界的規模でインターネットが急速に普及しており、ネットワーク化の時代を迎えておる。最近の新聞記事を見ると、政府がAPEC地域内での電子商品取引を行うとか、大手電機40社がアジア5カ国において生産、調達、運用支援システムの実験を行うといったように、大企業を中心として、情報ネットワーク化への取り組みが活発化しているところである。
 一方、中小企業においても、パソコン等の普及は進んでおるけれども、概して、ネットワークと高度情報化への対応はおくれている状況と思うわけである。したがって、大企業との格差はむしろ拡大している状況にあると、そのように認識をしているわけである。このために、中小企業者の経営を強化するためには、やっぱり県においても、情報ネットワーク化など、中小企業者の高度情報化を積極的に支援していく必要があるのではないかと、そのように考えるわけである。県当局のお考えになっていることがあればお示しを願いたいと思う。
〇吉永副知事 中小企業の情報ネットワーク化など高度情報化対策の推進についてであるが、中小企業者の高度情報化対策について、まず企業における情報化というのは急速に進展しているというのは委員御指摘のとおりである。そういった事柄は中小企業者にとってもその重要性は高まっていくものと考えられる。県としてはこれまで、中小企業者がコンピューターを利用する場合に生ずるさまざまな課題に対応できるよう指導する、情報化対応診断、情報化を促進するための交流の場としての情報化プラザ事業及び個別のソフトウエアの相談にも応じる中小企業ソフトウエアアドバイザー事業等の情報化対策などの施策について、岩手県中小企業振興公社を通じて、中小企業情報化の取り組みに必要な支援を実施してきたところである。しかしながら、大企業を中心として、委員がお挙げになったようないろんな取引先企業の業務データの共有化、あるいは取引の電子化、そういった高度情報化の取り組みが一層進展し、こうした流れに適応できない企業は取引に支障を来すといったような例も見られるなど、情報化への対応が企業の存続にかかわる重要な課題となってきているわけである。
 今後、県内企業においても、これらの動向に応じて経営の革新を進め、取引先の拡大に結びつけていく必要があって、県はこれまでの施策に加えて、インターネットの活用方法やホームページの作成について指導するとともに、卸売と小売間、発注企業と下請企業間の情報ネットワーク化や電子商取引などを実施しようとしている企業に対しても、これを支援する方策について研究を進め、委員御指摘のとおり、中小企業者の高度情報化を積極的に進めてまいりたいと考えているところである。
〇菅原委員 次に、農業問題についてお伺いをする。
 本年は春先の天候が不順で農作物のできが心配されたわけである。また、O-157感染症の発生が引き金となって、生鮮野菜等の消費が落ち込んで、価格が下落するなどの問題等が発生したわけであるが、農家の方々の御努力によって、水稲は2年ぶりに平年作を確保することが確実になると、全体的にはまずまずの出来秋を迎えたのではないかと思うわけである。したがって、本県農業の強さを認識するとともに、関係者ともども収穫の喜びを分かち合いたいと思うわけである。
 ただ、残念なことは、既に新聞などで報道されておるように、米の作況は全国で104と、豊作が見込まれるわけである。その結果、米余りというような現象が出てくるわけである。農家の方々が、減反面積や米価がどのようになるか大きな不安を抱えている現況である。平成9年度の減反面積は昨年並みに据え置かれたわけであるが、政府米価格は6年ぶりに1・1%引き下げが決定されたわけである。米を含め、農産物の価格はその時々の需給情勢が反映されるわけであるが、余剰米の解消対策が明らかでない現状の中にあって、米価の引き下げは、農家の方々にとってまた1つの不安材料がふえたことには変わりはないのではないかと、そのように思うわけである。
 こうしたことが、懸命になって農業に取り組んでいる農家の方々の農業意欲に影響は出てこないかと、私は大変心配をしているわけである。本県農業をさらに発展させるためには、まずもって、地域農業を担っている農家の方々に元気を出して農業を営んでいただくような、そういうような対策が必要であるわけである。県当局も積極的に農政の進展に対して御努力をなさっていることに対しては心から敬意を表するわけであるが、県は今後どのような考え方、いわゆる農家の方々の意欲の向上対策、あるいはまた、経営の改善や地域農業の振興をどのように図っていこうとしているのか、お考えをお示し願いたいと思う。
〇吉永副知事 元気を出して農業を営んでいただく方々をふやしていくために、県としては一生懸命に頑張っていかなければならないわけであるが、近年の農業、農村を取り巻く情勢というのは、委員が御指摘のとおり急激に変化してきておる。しかし、農業は本県経済の基幹産業であるというよりも非常に、その一番土台をなすものであるので、今後ともその発展を図っていくということが私どもの行政の一番重要なところにあるかと考えておる。
 具体的にそうしたらどうやってそういうふうに農家の方々に元気を出してやっていただくかということであるが、農家の方々の経営能力が最大限に発揮され、豊かさや楽しさが実感できるような農業、そういったものを実現することが非常に重要なことだと考えておる。地域が有する農地あるいは労働力、機械、施設等の農業資源を高度に活用する地域ぐるみ農業、そういったものを推進することが重要であると考えておる。こうした観点に立って、県としては気概のある農家の方々に対する施策の重点配置、あるいは認定農業者制度、農家の方々の経営改善に向けた取り組みを支援するとともに、がんばるファーマーの証を交付するなど、意欲の喚起を図っていくところである。
 また、今年度から新たに、圃場整備地域や地域特産物の生産を拡大しようとしている地域などを対象として、県、関係機関、団体との連携のもとに、農家の方々と一緒になった話し合いを通じて、営農の方向と支援策とを明らかにした地域ぐるみ農業推進計画を策定し、これに基づき、きめ細かな対策を講ずることにより、地域ぐるみ農業の形成を促進していくこととしておる。この地域ぐるみ農業推進計画の策定に当たっては、何といっても、それぞれの農家の方々がみずからの経営改善計画をつくっていただき、集落の中で話し合いの場を設定するなど、それぞれの農家の方々が抱えている経営上の問題の解決方法や、地域の農業をよくするアイデアを出していただくことが基本と考えておる。
 今後においては、こうした取り組みの成果をずっと全域的に波及させることにより、農家の方々の農業所得の向上と体質の強い地域農業の確立を図っていきたいと考えている所存である。
〇菅原委員 林業問題2つ、それから、いわて川づくりについては下水道整備についても予定しておったんであるが、時間の関係でこれはそれぞれの部局の審議のときにお話をさせていただきたいと思う。
 最後、県職員の一連の不祥事についてお伺いをする。
 まず、総務関係の副知事は千葉さんであると思うが、管理職の定義というものはどういうことかということを、まずお尋ねをしたいわけである。
〇大隅総務部長 管理職の定義ということのお尋ねであるけれども、いずれ大変、特にも県などにおいては大きな組織になっておるわけである。個々の事務を執行するに当たって、それを監督し、さらには管理するという専門の職がどうしても必要になってまいる。したがって、管理者に要求されるものは、まずその基本的な専門的知識が必要であるが、それをさらに部下職員を指揮監督、指導するという人的管理能力というものが要求される。したがって、今回大変申しわけない事態になったわけであるけれども、そういう管理者としての、いわば本来果たすべき役割、これを十分認識をして活用していただかなければならないと存じておるところである。
〇菅原委員 これ難しいんである、管理者の定義というのは。ただ、まことに明快な答えが出ることはある。これは、管理職の定義は機会損失を防止すると、この言葉で全部適用するんである。いわゆるいろんな機会がある。工事をやるか、何をしないか、いろんな機会があるわけである。それによっての損失を防止するんだと、こういうこと、いわゆる機会損失の防止と、私はこのように思っておる。今回の事件は、いわゆる機会損失の防止ができなかったわけである。一連の事件の内容を見たり聞いたりしておるけれども、やっぱり管理者の職務管理能力がきちんと発揮されておらなかったからではないかと、そう思うんである。言いかえれば、管理者が仕事の実務を担当する部下職員に任せ切りだったと、本来行うべきチェックを怠っているのではないかという、そういう疑問がわいてくるわけである。出たことをどうして出たとか何とかそんなことを追及する気持ちはないが、今後、余りこういう不祥事が起きないような体制を組んでいただきたいなと、そのように思うんである。我々は県議会議員として県政に参画する者にとっても、まことにこれは憂慮にたえない次第なんである。そこで、お伺いするけれども、これらの事件によって損なわれた県民の信頼の回復を、一体今後どのような方法で進めていくのか。そして、再びこのようなことが発生しないような対策、方策を講じていかなければ再びこういう事件が発生をしてくるんではないかと、危惧の念を抱かざるを得ない。
 そこで、時間もないが、まず当局の今後の対策、いろんな答弁聞いておると、それらがないように十分気をつけて対策を講じるという話は聞いておるけれども、これから一体どのような方法、これから検討するのかもしれないけれども、まず忌憚のないお考えをお聞かせ願いたいと思うわけである。
〇大隅総務部長 今回のような一連の不祥事、これの再発防止に向けてどういうことをやるかというお話であるが、今も御指摘いただいたわけであるが、こうしたことの防止については常日ごろ注意をし、我々戒めておるわけであるけれども、こういう事態がまた発生をしたということで、具体的には、私、総務部長が委員長となっておる行政管理委員会、ここを通じて、また改めて公務意識の徹底、あるいは管理監督者についての自覚を求めるという必要性があるなと思っておるし、さらに事務の適正化については、監査委員による監査とか、あるいは出納による出納検査とかあるけれども、それのみならず我々の各部単位でそれぞれの内部のチェックを徹底してやっていく必要があると思っておる。さらには、何といっても通常の組織の中で係とか班とか課を通じて相互のチェックシステムが本来あるわけであるので、その辺をいわば気を抜くというか、いわば意識の欠如ということがあるので、さらにこれを徹底的に注意を喚起してまいりたいと思っておる。いずれこういうことがたびたび起こることのないように全力を尽くして努力してまいりたいと考えておる。
〇小原委員 社会民主党の小原宣良である。順次お伺いをする。
 初めに、盛岡土木事務所の一連の不祥事について、私からも一言申し上げなければならないことは、まことに残念なことである。子は親の背中を見て育つと申すが、部下の不祥事は、上司の不祥事でもある。県の行政機構の中にたるみがあったのではないか。すなわちそれは特権意識である。市町村職員の人事配置の場合は、まず税務部門、市民課など直接住民に接する部門を経験させ、税の大切さや市民への接遇態度を教えるのである。県の場合は専門職が多いため、なかなかそうはいかないのであろうが、対県民、対業者に対しておごりの気持ちがあるのではないか。私は、一連の事件の背景をそのような角度から見ているのであるが、これら職員の不祥事について改善策を含め、どのようにお考えか、お伺いをする。
〇大隅総務部長 このたびの盛岡土木事務所における職員の収賄容疑など、一連の不祥事についてまことに遺憾なことであって、申しわけなく存じておるところである。従来から、ただいま申し上げたけれども、服務規律の確保、適正な事務処理、不正の未然防止などについては、機会をとらえて意を用いてきたところではあるが、今回このような事態に至ってまことに残念に存じておる。申すまでもなく、職員は公務の遂行に当たっては、常に県民全体の奉仕者としての地位を自覚して、公共の福祉のために全力を挙げて職務に専念することが肝要であって、いやしくも職員の意識の中に御指摘のようなおごりであるとか、県民意識との乖離があってはならないものと認識しておる。
 今後とも県民の負託にこたえ得る公務員としての倫理観、使命感の涵養に努めるとともに、今後、行政管理委員会を通じて、管理監督体制の確立、相互点検機能の強化などを徹底するとともに、全職員に対して、公務員としての自覚を強く求めて、公務意識の高揚を図ってまいりたいと存じておる。
〇小原委員 このことについては万全の対策と職員の意識の高揚を切に願う次第である。 次に、財政問題について一括してお伺いをする。
 地方財政の大きな特徴は、構造化した地方財源不足と地方債の発行、いわゆる借金による財源補てんにあると思う。ここ3年間の地方財政対策を見ると、平成6年度の地方財源不足額は5兆8、800億円、平成7年度が6兆9、500億円、平成8年度が8兆6、300億円となっているようである。この補てん措置としては、資金運用部からの借入金、財源対策債、減税補てん債などによって賄われているのである。昨年12月に地方6団体は決起集会を行い、地方交付税率の引き上げを国に求めたところである。これは、毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が、各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政もしくは地方行政にかかわる制度の改正または第6条第1項に定める率の変更を行うものとするとの地方交付税法の定めによって行われたものである。残念ながら、この要望は実現しなかった。そこで、お伺いをする。
 第1は、平成7年度の財源対策の特徴はどのようなものであったのか。また、ことしの地方6団体の要望内容は、厳しい財政状況の中にあるだけに、どのようなものとなるのか、お伺いをする。
 第2は、県単独事業についてである。
 バブル経済崩壊後の国の総合経済対策に呼応して、地方財政もその中に組み込まれたことから、国、地方挙げての財政出動となったわけであるが、それに伴い、県単独事業も大きな規模となってきた。本県における県単独事業は、平成5年度は約1、131億円、平成6年度は約1、135億円、平成7年度は約1、202億円となっているようである。当然のことながら、これらは全額地方負担によって行われるものである。貴重な一般財源や地方債の発行によって行われた事業であるだけに、その事業も厳選し投資効果も考えながら行われたものと思うが、これら県単独事業の主なものと、その投資効果についてどう把握しているのか、お伺いをする。
 第3は、地方債についてである。
 ただいま申し述べたように、地方債への依存度が近年非常に高くなってきておる。この背景には、単独事業における起債充当率が高いことなどに起因していると思う。いわば借金の勧めである。つまり独自財源の現ナマ分が少なくても、かなりの事業ができるからである。勢い地方債への依存度が高くなるという仕組みである。今の状況は、低金利に助けられている向きもあるのであるが、将来、金利引き上げとなると、この公債費の管理は非常に厳しいものになると思われるが、こうした心配はないものなのであろうか、いかがかお伺いをする。
 あわせて、公債費比率の現状と将来予測をどうお持ちか、お伺いをする。
〇大隅総務部長 平成7年度の財源対策の特徴についてであるけれども、平成7年度の地方財政は、所得税、住民税の減税による財源不足額2兆6、925億円と、経済動向等による通常の財源不足額4兆2、572億円の合計6兆9、497億円の財源不足が見込まれたところから、地方財政対策として、交付税の特別会計が資金運用部資金から3兆3、399億円の借り入れを行って地方交付税として3兆9、401億円、地方債の発行により3兆96億円の財源措置がなされたところである。
 財源対策として発行された地方債のうち、減税による不足分については、元利償還金の全額が交付税措置される減税補てん債で措置され、それから通常の財源不足分については、元利償還金の80%が交付税措置される財源対策債が措置されたところである。これによって地方財政の運営に支障のないよう措置が講じられたものと認識しておる。しかしながら、交付税特別会計の借入金残高は、8年度には14兆円余となり、これを含む地方全体の公債残高は136兆円余と多額に上っており、また、本県財政においても、同様に公債費が毎年増高する状況にある。したがって、国に対しては、財源対策債等の借入金依存による財政措置を避けて、一般財源の安定的な確保が図られるよう、全国知事会等のいわゆる地方6団体を通じて要望する必要があると存じておる。
 なお、本年度の地方6団体による要望であるけれども、あす決起大会を開催して決議することになっておるけれども、内容としては、交付税等の引き上げ等により、地方交付税の所要総額を安定的に確保するよう求める内容となっておる。
 次に、単独事業のお話であるけれども、県としては、現下のような厳しい財政環境の中にあっても、産業基盤、生活基盤の両面にわたる社会資本の整備などの必要な施策については、これを着実に推進することが重要と考えておる。国の経済対策にも呼応して、単独事業の積極的な推進に努めているところである。平成7年度においても、地方財政計画の伸びを上回る5・2%増の事業量を確保したところである。
 その主な内容を若干例示すると、大学整備事業、これは15億円、それから農業研究センター整備事業、仮称であるけれども59億円、ふるさと農道緊急整備事業33億円、ふるさと林道緊急整備事業49億円、地域環境保全林整備事業21億円、地方特定道路整備事業65億円、生涯学習センターの整備事業15億円という状況にある。
 なお、平成7年度の県単独普通建設事業の投資効果についてであるが、その総額である約1、202億円をもとに、産業連関表によりその効果を試算すると、およそ1・6倍に当たる1、964億円の生産額が、直接、間接に誘発されたものであって、県単独事業が県内経済に及ぼす効果に極めて大きなものがあると考えているところである。
 次に、地方債についてのお話であるけれども、平成7年度の県債の元利償還額は613億6、900万円であって、NTT債を除いた平成6年度の決算額と比較すると、16億2、000万円の増となっており、今後とも増加することが見込まれておる。
 増加した要因は、平成4年度以降の国の経済対策に呼応した地方債の発行、それから地方財源不足に対応するために行われた地方債の発行、さらには、地域づくりの地方単独事業に係る地方債を充当して県単独事業を積極的に実施したことなどによるものであるが、これらの地方債の多くは、元利償還金の一定額が交付税措置される優良な起債であるため、元利償還額については、交付税算入される額を控除していわば純負担ベースで見ると、元利償還額のちょうど半分程度と算定されておるところである。
 委員御指摘のとおり、将来の県債発行時に金利が引き上げられた場合には、その利子償還額に直接影響を及ぼして、公債費の増嵩につながるというものであるけれども、その時点において、地域総合整備事業債などのような交付税措置のある優良な起債があれば、極力こうした起債の優先的な導入に努めるなど、将来にわたり健全財政を損なうことのないよう配慮してまいりたいと存じておる。
 平成7年度における公債費比率であるけれども、13・5%となっておって、前年度と比較して0・3ポイント上昇しておる。公債費比率は、標準財政規模に対する当該年度の起債の元利償還に要した一般財源の額で算定されることから、地方債の発行額、標準税収入額等及び普通交付税の推移に大きく影響されるものであって、予測することは大変困難であるけれども、8年度においては14%台に入ると考えておる。また、9年度以降の数カ年について、政府の財政の中期展望におけるデフレーター等により各年度の標準財政規模等を推計して算定しても、若干上昇していくと予測しているところである。
〇小原委員 あす地方6団体の決起集会があるということであるので、特にも地方交付税の引き上げについては実効あるものにしていただくように、ひとつ頑張っていただきたいと思う。
 次に、3県総についてお伺いをする。
 3県総後期実施計画が昨年度実施され、今年度から後期5カ年の実施期間に入ったのであるが、どうも、いまひとつ方向性が見えないのである。目指すべき岩手の未来像がはっきりしないと思う。私は、こうした岩手のイメージを鮮明にできない理由の1つに、自然環境への対応があると思っておる。岩手は、自然を大切にする県であることに対し、インパクトが弱いと思われてならない。こうした自然を大切にすること、空気や水や自然景観を大切にすることが岩手であるということを明らかにすることによって、住環境を整え、農業を初めとする環境関連産業が一躍本県から立ち上がっていくと考えるからである。
 以下、お伺いをする。
 質問の第1は、平成7年度までの前期5カ年において、目指すべき岩手の姿を県民に的確に示し得たかどうか、示し得たとお考えかどうか。もし、不足があったとしたならどういう点なのか、あわせてお伺いを願う。
〇千葉副知事 3県総についてであるが、21世紀に向けて県勢の新たな発展を図るため、3県総基本計画においては、豊かな自然の中に活力と希望にあふれ、心のふれあうふるさと岩手の創造を基本目標に掲げておる。それを実現するため、各般にわたる施策を積極的に展開してきたところである。その結果、これまでに総合的な交通網や下水道などの基盤整備が進み、また、各種試験研究機関や保健医療、福祉の体制、さらには生涯学習環境の整備充実が図られてきているところである。このような中で、人口もわずかながら増加し、県民の所得水準も向上するなど、県勢は着実に発展してきているところである。前期5カ年における目標をおおむね達成できたものと考えているところである。しかしながら、人々の価値観がますます多様化する中で、高度情報化の急速な進展あるいは環境保全への要請の高まりなど、本県を取り巻く経済社会情勢は大きく変化してきているところである。このような情勢を踏まえ、また、本県の豊かで美しい自然環境は、全国に誇れる次世代に引き継ぐべき貴重な財産であるという認識のもとに、人と自然との望ましい共生の実現など、7つの視点に留意しながら、今年度を初年次とする後期実施計画を策定したところである。県としては、各地域の美しい自然や景観を守り育てるとともに、自然との触れ合いの場の創出など、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところである。
〇小原委員 続いて、施策を展開するに当たっての考え方についてである。
 本県は、広域的でしかも分散的な状況にあると思っておる。だからこそ、逆に各広域圏が持つ特性を十分発揮できる可能性を持っているものでもある。それぞれ広域圏で中核となっている都市、地域の諸機能の強化と圏域内外との協調を一層促進させることが大切である。県都盛岡の機能強化も大切であるが、岩手版一極集中では、本県が持つ活力を隅々から発揮することはできないと考えるものである。そこで、活力ある地域づくり、住みよい地域づくりのために、どのような施策をどのような基本的な考えのもとに展開したのか、また、今後どのように展開されるお考えかお伺いをする。
〇武居企画調整部長 活力ある地域づくり、住みよい地域づくりについてである。
 県内の各地域がそれぞれ自然的、社会的あるいは経済的諸条件が大きく異なるところであるので、地域の振興を図るために各地域がそれぞれの特色を生かしながら、地域の発展可能性を最大限に引き出していくことは極めて重要であると私どもも認識しているところである。そのため、3県総においても、県土の均衡ある発展を基本といたし、それぞれの地域がその特性を生かしながら、主体的な地域づくりを進めることを施策展開上の1つの重要な視点として位置づけているところである。
 ただいま御指摘あったように、今までどのような考えでというお話あった。広域圏のあり方なり方向性という観点からは、これまでも広域生活圏計画とかあるいは広域市町村圏計画、こういった策定等を通じ、それぞれの広域圏の目指すべき地域のあり方等の全体の方向性を明らかにし、その上で土木あるいは保健医療、福祉、あるいは農業、林業等の各分野において地域ごとに、それぞれどういった方向の事業を行えるかということを考えた上で各種事業の実施に努めてきたところである。また、これまで例えばテクノポリスであるとかリゾートあるいは地方拠点都市であるとか頭脳立地、最近では21世紀活力圏等の国のいろいろの施策があるが、こういったものも広域的な視点ということに立っておるものであるから、こういった事業についても積極的に取り入れるなどして、それぞれの地域の特性に合わせたきめ細かな施策展開を図っているところである。また、委員御指摘あったように、こういった広域圏の特性を発揮するためには、当然のことながら、牽引力となるべき中核的な都市の機能の充実を図ることは大変重要だと私どもも考えておる。具体的には、例えば町並みとかあるいは景観に配慮した、そういった魅力ある都市空間の形成を図るであるとか、あるいは生活とか文化創造の拠点として例えば商業集積機能の充実を図るとか、そういった面も大事であるし、さらには公園とか街路とか下水道等の快適な都市生活を図るための基盤整備、こういったことも重要になってまいろうと思う。さらに、最近であると広域とか連携とか私ども申し上げておるが、特に圏域内外の交流が大変活発になってきておる。従来以上に、これはモータリゼーションの進展以外にも、例えば高度情報化の進展といったことも影響していると思うけれども、人とか物とか情報の流れが従来以上に圏域内外で活発になってきているという状況も見られることであるので、そういった点にも留意しながら、地域間の連携とか交流、こういった点に配慮しながら各般の施策を充実していきたいと考えておる。
 なお、当然ながら、そういった際には、基盤としての広域的な交通基盤の整備であるとかあるいは情報通信基盤の整備、こういった社会インフラの整備を積極的に対応していきたいと考えているところである。
〇小原委員 この項の第3点であるが、地域連携の推進についてである。
 県内的な面では、例えば北上中部拠点都市地域と三陸地方拠点都市地域について、もちろん、それぞれ独立したエリアでの事業展開ではあろうが、両地域を横につなぐ方法を取り入れてもよいと考えるのであるが、県はこのことについてどう考えておられるのか、県として具体的対応があったならお知らせ願う。
 また、岩手、秋田両県との連携であるが、ポスト4全総は、横軸形成にあると言われている中で、両県の地域連携軸の形成に向けてどのような取り組みがなされてきたのか、特徴的な面についてお知らせ願う。
 第4は、地域活性化事業調整費についてである。
 これまで、それぞれ振興局ごとに創意工夫のある事業に対して、県が支援してきた効果は大きな成果としてあらわれておる。各圏域の特性を生かし、活力ある地域を築いていく誘導的な役割を一層高める意味でも、この活性化事業調整費は現在の予算枠を大幅に拡大すべきであると考えるが、平成7年度の成果を踏まえ、どのようにお考えかお伺いをする。
〇武居企画調整部長 まず、地域連携の推進に関連して拠点都市地域の連携についてである。
 県内各地域で既存の行政単位の枠を超えた広域的な連携や交流が必要になると、それぞれの地域の特性を生かしながら、相互に機能を補完し合うことによって総体としての地域の発展を図る、こういうことが重要になってくるということは先ほど私申し上げたところであるが、例えばこれまでも連携、交流を支える基盤として総合的な交通網の整備、こういったものを着実に実施してきておるし、例えば観光面では広域観光ルートの設定あるいは整備。例えば最近の例であると、ことし実施された賢治、啄木生誕祭であるとか、食文化交流プラザ'96においてもかなり広域的な観点からイベントを実施し、観光とか文化とかあるいは農業面での連携も図ってまいるとか、さらには企業の情報ネットワークによる産業面での連携の促進であるとか、広域的な医療あるいは福祉対策の充実等を図っているところである。
 お尋ねのあった北上中部あるいは三陸の両地方拠点都市間においては、委員御案内のように、特に北上中部地域では先端技術産業であるとか自動車産業などの企業集積が急速に進みつつあるし、また、三陸地域では三陸縦貫自動車道の建設促進であるとか、あるいは港湾機能の高度化等が図られつつあることから、それぞれの機能を有機的に結びつけながら、両地域の産業経済活動の一層の活発化を図っていくことが重要であると考えておる。さらにその際には、単に両地域だけではなくて、例えば遠野地域であるとかそういった周辺地域との連携もやはり重要になってこようかと考えておる。このため、東北横断自動車道釜石秋田線を初めとする幹線道路などの連携、交流を支える基盤の整備を着実に図っているところであるし、今年度は県では両地域間を中心にした物流、貿易に係るところの実態調査を実施しているところである。また、国においては、平成8年度、平成9年度の2カ年で、秋田それから岩手中南部地域における広域連携整備計画調査、こういったものも実施しており、こういった観点から調査を実施する中でその成果も踏まえて、今後、両地域の物流、産業面での連携を促進してまいりたいと考えているところである。
 それから、岩手、秋田の地域連携軸の形成に関してどのような取り組みがなされたのかというお尋ねであった。委員御指摘あったように、今までは国土づくりという際にはむしろ東京などの大都市圏を中心にして、それとの軸をどう整備していくかということに大変重点が置かれておった。これに対して、国において新しい全国総合開発計画の今現在検討中であるけれども、そういった中で昨年12月に公表された21世紀の国土のグランドデザイン、こういった調査結果の中でも横軸、地域連携軸と申すが、そういったものの重要性が大変強く指摘されておる。本県においても、3県総の後期実施計画の中で、地域の連携とか交流の促進というものを掲げて、県内外におけるさまざまな地域間の連携、交流の促進に努めているところであるが、具体的に秋田との連携、交流については、つい先般も秋田との間で、雫石町でフォーラムを実施させていただいたところで、大変多くの市町村長さん初めいろいろの方に集まっていただいて成功裏に終わったわけであるが、特に基盤という面になると秋田新幹線であるとか、これは来年の3月に一応開通予定であるが、東北横断自動車道などのその基礎となる交流基盤の整備、こういったものが大変重要になってまいるし、先ほど申し上げたフォーラムの開催等による機運の醸成とか、そういったものも重要になってまいろうかと思う。
 平成6年度から両県及び国土庁が共同で地域連携軸事例調査というものを実施してきたところであるが、さらに先ほど申し上げたように、今年度と来年度の2カ年で交通基盤施設の総合的な整備計画を策定するため、関係省庁により秋田、岩手中南部地域における広域連携整備計画調査が実施されているところである。またさらに、最近の動きとしては、平成7年度には北上市であるとか横手市など11市が北東北地域連携軸構想推進協議会というものを設置したし、あるいは雫石町、角館など7町村が北東北地域連携軸構想推進46号地域協議会というものを設置しているところであるし、さらに、民間レベルでは両県の商工会議所青年部が北緯40度Bライン--Bというのはバストという、要するに40度よりちょっと下がったところであるけれども--Bライン連携軸推進協議会を組織して、共同で物産販売であるとか行商キャラバンというものを行ったり、あるいは両県の企業経営者が中心になって郷土書、郷土の本のフェアを開催したりといったような民間の動きも最近特に活発になってきておる。今後においても、秋田県との連携、交流については引き続き地域連携、交流を支える基盤の整備を進めるとともに、産業、福祉、教育、文化など、さまざまな分野における連携、交流の促進を図ってまいりたいと考えておる。
 最後に、地域活性化事業調整費についてのお尋ねがあった。地域活性化事業調整費については、御案内のように地方振興局長の権限により、管内の各分野の事業調整や補完、さらには市町村と一体となって推進する地域振興施策の支援誘導をするために活用されるもので、平成7年度においては総額3億4、988万余円、248事業に配分したところである。各地方振興局とも、それぞれの地域の特性を生かした個性ある地域振興事業を実施する、こういったことのために積極的に活用していただいているところである。平成8年度には新たに御案内のように広域連携分を創設するなどして、全体として7億円に倍増して、各地域の振興、連携、交流に資するさまざまな事業が実施されているところである。次年度の調整費についてはこれまでの実績等を踏まえつつ、全体としてどの程度の額が必要かなどの点を中心に、その内容の充実について鋭意、検討を進めているところである。
 今後とも、地域振興に当たっては、それぞれの地域の実情を踏まえ、地域の個性を大切にしながら、さまざまな分野の課題に取り組んでいくことが何よりも重要であると考えており、その際には、調整費は大変大きな役割を担っていくものと認識しているところであるし、また、地域にあっても調整費がより効果的に活用されることを期待しているところである。
〇小原委員 ぜひ頑張っていただきたいと、こう思っておる。
 次に、高齢者対策についてお伺いをする。
 高齢化社会の到来に対応して、福祉分野の各種施策が行われてきたところであるが、特にも寝たきり老人ゼロ作戦や高齢者生きがい対策等については、国において地方負担分の地方交付税算定上、特段の財源措置が図られてきているようであるが、本県は全国ペースを上回る速度で高齢化社会を迎えている現状から、この対応は極めて緊要である。
 そこで、平成7年度において、これら高齢者福祉に係る事業をどのように実施してきたのか、その成果をお伺いしたいと思う。
〇千葉副知事 高齢者対策についてであるけれども、本県においては全国を上回って進行する高齢化の状況を踏まえて、岩手県高齢者保健福祉計画に基づくデイサービス、ショートステイなどの在宅サービスや特別養護老人ホーム、老人保健施設といった保健、福祉サービス基盤の充実に努めるとともに、高齢者が健康で生きがいを持って生活ができるよう、各種施策の推進に積極的に取り組んできたところである。県単独による主な事業としては、高齢者が長年培ってきた知識、経験を生かすため、高齢者大学の拡充やシルバー洋上セミナーの内容の充実により、地域活動に挑戦するリーダーを養成したところである。また、老人生きがい対策事業として、生き生き就労センターによる生きがい就労を初め、健康維持増進、社会参加交流などの促進を図ったところである。また、高齢者サービス総合調整推進事業を新たに単独で実施し、保健福祉医療サービスを総合的に行うとともに、介護実習・普及センターの整備による県民への介護知識、技術の普及、高齢者や障害者にやさしい住まいづくり事業による住宅の改善、移動入浴車の整備を促進したほか、寝たきり予防を啓発するシンポジウムの開催や、骨粗鬆症検診事業などの保健福祉対策を推進したところである。
〇小原委員 次に、地域福祉基金の運用状況についてお伺いをする。
 この基金は、ふるさと創生の福祉版として、在宅福祉の向上や健康づくりの課題に対して、地域における民間福祉活動を育成、助長するために創設されたものと聞き及んでおる。本県においても、長寿社会振興財団の高齢者福祉基金に相当額を出捐するなど、所要の措置を講じてきたものである。また、市町村においても同様に積み立て、この運用益で各種の民間福祉活動の助長に充てられているものと承知いたしておる。この基金は、通常の施策では補うことのできない、地域の実情に応じたきめ細かな対応を可能にした点で高い評価を受けているものであるが、一方で、助成内容を十分検討しなければ、真に必要な事業への助成とはならないのではないかとの懸念が当初はあった事業である。こうした点にどう配慮し、助成実績を上げておられるのかお伺いをする。
〇千葉副知事 高齢者保健福祉基金は、高齢者などの保健福祉の増進を図るための事業のうち、民間団体が行う生きがいづくりの推進、ボランティア活動の活性化、保健福祉普及向上のための事業などの先駆的、先導的な事業に対して助成することを目的とし28億円の造成を行って、岩手県長寿社会振興財団に設置したものである。この基金による助成に当たっては、市町村の地域福祉基金や岩手県福祉基金などとの調整を図るとともに、県や関係団体の代表者で構成する助成審査委員会において慎重に内容の審査を行った上、長寿社会振興財団の参与会で決定しているものである。審査に当たっては、民間団体の持ち味を生かして地域の実情に即したユニークな事業を採択することといたしており、これまでの助成実績は152事業、3億円余となっておるものである。平成7年度の助成事業の主なものとしては、高齢者大学の卒業生が呼びかけて結成したグループによるシルバー観光ガイド養成事業や地域高齢者向け情報誌の発行、文化伝承活動、ボランティアグループによる痴呆性老人を地域ぐるみで支える活動、公衆浴場を活用した高齢者のふれあい交流事業、いのちの電話による高齢者健康啓発事業、介護専門職員による在宅ケア支援情報システム形成研究事業などがある。
〇小原委員 次に、水道事業の経営健全化対策についてお伺いをする。
 この上水道事業は、原価主義に基づく独立採算制を基礎として、かつ、市町村経営を原則として営まれているものである。現状は、各事業者ごとに水道管敷設年次、水源構成、施設稼働の状況などに差異があるため、その反映として水道料金に著しい格差が生じておる。しかし、特にも災害時においてはライフラインとしてその重要性が指摘され、社会資本としての整備が強く求められるものである。
 質問の第1は、高料金対策である。
 国の基準の見直しが行われたことから大変厳しい経営が心配されたが、県からの要望等もあり、当面、激変緩和がとられたところであるが、今後、どう措置されると見ているのか、県の対応も含めてお伺いをする。
 第2は、水道水質検査機器整備に対する支援策についてである。
 水道水質の検査、管理は、国の水質基準の見直しなどもあり、高い精度が求められるものである。国庫補助を受けた共同検査施設に対し、県からの助成を強く求めているのであるが、いかがお考えかお伺いをする。
〇千葉副知事 まず、水道事業における高料金対策についてであるけれども、水道事業の高料金対策は、自然条件等によって建設改良費が割高のため、給水原価が著しく高額となっている上水道事業について料金格差の縮小に資するため、資本費の一部について一般会計から繰り出しを行った場合、その経費の一部について地方交付税で措置するものとなっているものである。平成7年度から繰出金の算定方法が変更になったことに伴って、平成7年度において水道会計が減収となったところである。このため、県としては、割高な資本費に伴うところの料金格差が依然として大きいところから、国に対して経過措置等を要望した結果、要件の見直しによる影響額が特に大きな団体等について激変緩和措置として平成7年度から9年度までの間、経過措置がとられたところである。今後とも、高料金対策について制度の存続を国に対して要望してまいりたいと考えておる。
 また、県として、水道料金の基礎となる水道施設の建設改良の負担軽減を図るため、上水道の水道水源開発に要する費用あるいは広域化のための施設整備、管路の耐震化等の事業に対して国庫補助制度の導入に努めているわけであるが、市町村に対してもより経費の節減等が行われるよう、施設整備計画の細部にわたっての指導を積極的に行ってきたところである。今後とも、国に対して国庫補助率の引き上げあるいは採択条件の緩和、本県に対する補助枠の拡大等を要望してまいりたいと考えておる。
 次に、水道水質検査機器の整備に対する支援策についてであるけれども、新水質基準が平成5年12月から施行されたことに伴って、県では水道事業者等と協議の上、水道水質の安全性あるいは信頼性の確保を図るため共同検査施設の整備、水道水源の監視等を内容とした水道水質管理計画を平成5年12月に策定したところである。共同水質検査施設は、8広域水道圏のうち、現在、盛岡圏等4カ所の圏域において国庫補助の導入により整備され円滑に機能しているところである。残る圏域については、水道法指定の民間検査機関等により当面対応していくこととしておるけれども、できるだけ早期に共同検査施設の整備が図られるよう、指導してまいりたいと考えておる。
 共同水質検査施設については、水道事業の一環として整備することとされておるところであるが、水質検査機器の整備については、国に対して国庫補助率の引き上げなど要望してまいるとともに、県としてもその対応について研究してまいりたいと考えておる。
〇小原委員 ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思う。
 加えて、大変恐縮であるけれども1点要望させていただきたいと思う。
 企業債償還利息の一部に対する財政支援についてであるが、各事業者は水道水源開発や施設整備事業に多額の資金を要しており、国庫補助金以外のほとんどを企業債で賄っているのが現状である。したがって、これら企業債の償還利息の一部に対し県の財政支援措置を講じられるよう、強い要望のあるところであるのでぜひ御検討賜りたいと、このように思う。
 次に、環境問題についてお伺いをする。
 問題の第1は、環境影響評価、いわゆる環境アセスメント制度についてである。
 申し上げるまでもなく、この環境アセスメントは、開発事業に当たって事前に環境に及ぼす影響を予測、評価し、必要な環境保全策を講じる手続を定めるものであるが、残念ながら、いまだ我が国では法制化されていないところである。しかし、平成5年度に制定された環境基本法の中に、環境アセスメント制度化に向けた条文が書き込まれたこと。さかのぼって、アセスメント法案が廃案になった翌年の昭和59年の閣議決定による環境アセスメント実施要綱により、環境に与える影響を事前に評価する仕組みが義務づけられたこと、また、各自治体においても条例もしくは指導要綱などが制定されたことで、開発と自然保護の関係に対する関心は具体的な形となって高まりを見せてきたと思う。ここで一番大切な問題として指摘しなければならないのは、現行制度は事業の計画が確定した段階、いわゆる実施計画段階で手続が開始されるという点にあると考える。これでは、影響評価を通じて得られた問題点や、あるいは地域住民の意見が事業内容に反映されにくいこととなる。開発事業者にとっても、極めて不都合である。したがって、アセスメントの実施時期は事業の基本構想、基本計画、実施計画など、計画プロセスに応じて柔軟に適用されるべきである。同時に、事業着手後あるいは供用後においてもアセスメントは必要であるが、これらの定めが全くないのが現状となっているわけである。したがって、不確実な予測評価であってもひとたび審査を通過すれば、仮に事業着手後や供用後に予期しない影響が出ても、事業者に具体的対応措置をとらせることが難しい状況にある。環境影響評価をめぐる問題点について指摘したが、県はこれまでの具体の例などからどのように認識されているのかお伺いをする。また、これら環境アセスメント法制定についての基本認識もあわせてお伺いをする。
〇千葉副知事 環境アセスメント制度についてであるけれども、閣議決定された環境影響評価実施要綱等に基づく現行の制度では、事業の概略が固まった段階で環境影響評価が開始されるというところである。この段階での環境影響評価では、評価結果が事業内容の変更等に反映されにくいものと考えておる。また、事業着手後の手続が具体的に定めていないところであるところから、予期しなかった影響を把握し対策を講ずるためには、工事中や供用後の環境の状態、あるいは保全対策の実施状況等を調査する必要があることは委員御指摘のとおりであり、検討を要する大きな課題であると承知しているところである。
 現行の環境影響評価制度については、これらのほかにも対象事業や調査項目の選定、住民の関与、許認可への反映方法、国と地方との関係等、より有効な環境影響評価を実現するために解決すべき多くの課題があると考えておる。現在、国では、次期通常国会への環境アセスメント法の法案提出を目指して、中央環境審議会において審議が続けられていると聞いているところである。環境影響評価制度については、昭和59年に環境影響評価実施要綱が閣議決定されてから10年余を経過いたし、その実績が着実に積み重ねられているところである。また、多くの地方公共団体でも制度化され、OECD加盟27カ国中、日本を除く26カ国がすべて環境影響評価の一般的な手続を規定する法制度を有しているところである。こういった点にかんがみて、環境アセスメント法がさきに申し述べたとおり、現行制度の問題点を解決しつつ環境の保全と開発との調整を図るため、より有効な制度を提供するものとして制定されることを期待しているところである。県としても、環境影響評価制度の法制化の動向を見定めつつ、環境影響評価の対象となる事業等を見直すこととしているところである。
〇小原委員 前向きの認識をいただき、ありがたい。
 問題の第2は、環境問題とあわせて奥地等産業開発道路、いわゆる奥産道についてである。
 本県において、奥産道として事業着手している道路は何路線あるのであろうか。その進捗率はどうなっているであろうか。
 また、東京に社団法人奥地開発道路協会という団体があるが、どういう役割を持っている団体なのであろうか。本県とのかかわりはあるのかどうか、あわせてお伺いをする。
〇吉永副知事 いわゆる奥産道として事業を着手している道路は何路線か、その進捗率はどうかということである。
 奥地等産業開発道路、いわゆる奥産道は、昭和39年に制定された奥地等産業開発道路整備臨時措置法に基づいて指定された道路であり、平成5年度を初年度とする第8次奥地等産業開発道路整備計画--これは平成9年度までの5カ年計画であるが--に基づいて、計画的にその事業実施をしてきているところである。本県における第8次整備計画では、県道雫石東八幡平線など県道9路線、村道安ケ沢線など町村道5路線の計14路線について整備することとしており、このうち、平成8年度に事業を行っている路線は、県道が6路線、町村道が4路線の計10路線である。進捗率については、県道は9路線で指定延長約253キロに対して、平成7年度末までの改良済み延長は約168キロ、その進捗率は66%となっておる。町村道は5路線で、指定延長約56キロに対して7年度末の改良済み延長は約39キロで、その進捗率は69%となっておるところである。
 次に、社団法人奥地開発道路協会とはどういう役割を持っている団体か、本県とのかかわりという御質問であるが、この協会は建設省の認可法人であり、国土の均衡ある発展のために道路の果たす役割は特に重要であることにかんがみ、地域開発に資する各種開発道路の建設を促進し、もって要開発地域における産業の発展及び文化の向上に資することを目的として設立され、奥産道に関する調査、研究及び企画や建設促進といった事業を行っておる。本協会を構成する会員の状況は、道府県会員が36団体、市町村会員が47団体、これはそれぞれ協議会等の代表である。その他個人会員を含めて95団体となっておる。岩手県は会員としてこの会に登録しており、また、町村にあっては、協議会が例えば岩手県産業開発道路整備促進協議会といったようなものがその会員となっているところである。また、先ほど申し上げた調査研究という点においては、業務委託としては、岩手県に関するものとして昭和31年度の奥羽中部縦貫産業開発道路調査を初め、9件の委託業務を行ったところである。
〇小原委員 この項については、詳しくは担当部局の審査でお伺いをすることにしたいと思う。
 第3は、昭和47年度に奥産道整備計画で指定を受け、昭和55年から県が代行事業として整備を行っている沢内村道安ケ沢線についてである。総延長1万4、085メートル、うち岩手分6、540メートル、秋田分7、545メートル、総事業費約111億円を予定しているものである。平成7年度の岩手分の工事状況は、道路整備172メートル、事業費1億2、600万円で、1メートル当たり73万円となっているようである。平成5年度ごろからであろうか、いよいよ和賀川源流部西側に工事が入ってまいった。この箇所は、奥羽山脈中心部の極めて急峻な地形箇所である。しかも、昭和56年に国が指定した和賀岳を中心とする自然環境保全地域に隣接し、この指定地域の外べりを縫うように計画路線が設定されているのである。青森営林局は、平成9年度にも今工事に入っている箇所を含めて奥羽山脈自然樹林帯に設定するとのことであるが、県は承知しているのであろうか。また、当該地域は、環境庁が実施している自然環境保全基礎調査において特定植物群落Aに選定されているようであるが、県が現在策定中の自然環境保全指針とのかかわりで、当地域をどのように評価しているであろうか。また、県独自の環境影響評価を実施する考えはないか、あわせてお伺いをする。
〇吉永副知事 御質問のうち、まず沢内村道安ケ沢線の評価のうち、奥羽山脈自然樹林帯の設定について県が承知しているかどうかというものについてお答えをする。
 青森営林局では、平成8年3月に、森林の生態系のより効果的な保全を図ることを目的といたし、青森県八甲田山から宮城県蔵王山に至る延長400キロメートルに及ぶ奥羽山脈沿いに、約7万6、700ヘクタールの自然樹林帯を設定するいわゆる奥羽山脈縦断自然樹林帯整備構想を策定し、平成8年度から5年間で関係する営林署単位に順次樹林帯を設定していく方針であり、本県では湯田営林署を初めとする5営林署、約4万800ヘクタールが対象となっておる。青森営林局の計画によると、委員御指摘の村道安ケ沢線については、平成8年3月の計画区域には入っているものの、具体的な設定作業は平成9年度に現地の実態を精査した上で決定していくと聞いているところである。
 もう1つの質問は、千葉副知事が答えるが、もう1つ、この沢内村道安ケ沢線の県独自で環境影響評価を実施するかどうかという御質問についてお答えする。
 沢内村道安ケ沢線の県代行事業区間の一部は、環境庁が行った自然環境保全基礎調査において特定植物群落の選定された地域内にある。この地域は、法律等により開発が規制されるものではないが、自然と共生する道路整備を行うという観点から、本路線周辺の動植物などの自然環境に与える影響については、県としては十分調査する必要があると考えており、その調査は実施してまいる所存である。
〇千葉副知事 安ケ沢線の評価と自然環境保全指針とのかかわりであるけれども、奥産道安ケ沢線は、昭和53年度に和賀岳のブナ林を中心とした原生林もしくはそれに近い自然林として、特定植物群落に選定された地域の南端を通って秋田県へ通じる予定となっているものである。自然環境保全指針については、平成10年度を目途に策定するものであり、まだ具体的にはこの地域を指針とのかかわりで評価するまでには至っておらないけれども、今後、この地域が特定植物群落としてすぐれた自然域となっていることを十分考慮に入れて調査、評価し、指針の策定を進めてまいりたいというふうに考えているところである。
〇小原委員 ひとつ十分な調査をお願い申し上げたいと思う。
 第4は、完成のめどについてであるが、この県代行による奥産道、沢内村道安ケ沢線が秋田県境まで工事完了するまでに、どの程度の年数と経費がかかると見通されているのかお伺いをする。
〇吉永副知事 県代行事業区間は総延長6、540メートルのうち、現在3、483メートルが整備済みとなっておる。秋田県境までの残延長は3、057メートルである。そういう意味で、整備率は延長比ベースで53・2%である。この残延長区間は地形が急峻であり、秋田県境には長大トンネルの築造が計画されており、その概算工事費は約41億円と計算され、本路線の完成までは相当の期間を要するものと考えられる。
〇小原委員 質問の第5は、県代行事業のあり方についてである。
 県代行事業は、該当する市町村1カ所が原則となっているようであるが、沢内村は特別豪雪地帯である。現在、村道として村が整備している和賀川東部幹線道路などは生活、環境両面から整備が急がれている路線である。安ケ沢線については、秋田県側との関係から、沢内村としては直接何らかの意思表示をすることは困難な立場であるかもしれない。ここで、県が大局的に判断すべきものと考えるが、いかがお考えか御見解を承る。
〇吉永副知事 県代行事業は、特別立法の過疎地域活性化特別措置法、山村振興法、豪雪地帯対策特別措置法により、指定を受けている地域の幹線市町村道の整備に当たって、事業規模が大きくかつ高度な技術を要し、しかも市町村の強い希望がある路線について県が市町村にかわって実施しているところである。この特別立法に基づき、地域指定を受けておる市町村は50市町村で、このうち平成8年度現在23市町村、23路線について県が代行事業を実施しているところである。また、新たな路線の事業採択に当たっては多くの市町村より要望があることから、その整備目的、効果、整備計画の成熟度等を総合的に勘案して対応してまいることといたしておる。
 御指摘の沢内村道の東側幹線の整備については、沢内村が平成6年度から内沢地区、高間木地区の延長約2キロについて国庫補助事業や地方特定事業などの導入により、平成9年度の完成を目指して整備を進めているところである。この本工区以外の未整備区間については、国庫補助事業等の導入により、早期に事業化が図られ早期に完成できるよう、県としても指導してまいりたいと考えているところである。
〇小原委員 これは私は一連の問題として提起をいたしたわけであるので、今後、十分な検討を賜るように私からもお願いを申し上げておきたいと、このように思う。
 次に、異業種交流等、企業交流ネットワークの形成についてお伺いをする。
 県内各地域において、工業の振興が図られているところであるが、特にも北上川流域テクノポリス開発計画に基づく工業振興拠点の整備は、本県工業の先導的役割を担う意味で極めて重要である。同時に、各企業間の交流を深める中で、地域中小企業の技術力の向上を図ることも重要な課題となっておる。こうした課題を前進させるため、平成7年度において各種施策が行われてきたのであるが、その成果と今後の対応策をお伺いする。
〇吉永副知事 企業の技術開発力の向上や新たな事業分野への展開を図っていくためには、異業種交流あるいは企業の交流、そういったものが活発化することが重要ということは委員御指摘のとおりである。そのために、平成7年度においては、企業の交流の場として技術市場交流プラザを開催したところであり、製造業、サービス業、建設業など、さまざまな分野から26企業が参加して研究会や講演会など、活発な活動が展開されたところである。また、異なる業種の企業が事業協同組合を組織し、共同で新製品、新技術を開発する場合の支援措置として中小企業融合化開発促進事業というのを実施しておるが、平成7年度は4組合に対して金属鋳造法による新たな材料製造技術が確立するなど、企業の技術開発力の向上が図られたところである。さらに、岩手県中小企業振興公社を通じて、下請企業振興事業の一環として新たな事業分野を開拓するため、異なる業種の企業で組織する研究会への支援を行っており、平成7年度においては5グループの研究会に助成し新製品を開発するなど、新分野への進出の促進が図られたところである。
 なお、企業交流ネットワークの形成については、社団法人岩手県工業クラブや地域の工業クラブ等においても企業交流の促進を図るため、工業展や企業視察会など幅広い活動を展開しておる。また、技術・市場交流プラザに参加した企業等が自主的にテクノプラザ岩手を組織し、海外研修など活発に活躍しているところである。さらに、岩手大学の教官を中心として、企業やあるいは行政機関の職員等で岩手ネットワークシステムを組織し、産学官の交流の積極的な促進が図られているところである。こうした施策は、平成8年度についても継続しているところであり、中小企業者から有効な施策として活用されており、インターネットを活用した企業の交流等新たな視点を加えながら、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えているところである。
〇小原委員 よろしくお願いを申し上げる。
 次に、物流拠点の整備、特にも内陸通関基地の設置についてお伺いをする。
 内陸通関基地、いわゆるインランドデポは、内陸部にある通関機能と保税機能を兼ね備えた物流拠点と理解をいたしておる。従来、貿易においては、税関官署と保税地域は、空港、港湾のある地域に設置されてきたのであるが、近年は内陸部の工業地域を中心に、税関官署と保税地域を必要とする形態がふえてきた。そこで、従来の空港、港湾のある地域と区別し、内陸部で税関官署と保税地域を備えた基地設置の要望が各地に強まってきておる。現在、インランドデポは、宇都宮、つくば、諏訪、浜松など全国17カ所にあり、東北では山形に立地しておる。これらの地域は、いずれも近隣に工業地域を控えた地域である。インランドデポが近くに立地している場合の効果であるが、輸出の場合、従来は横浜港、東京港、成田空港などに搬送し、一たん付近の倉庫に保管して順番を待ち、その後に通関手続を行い積み出しているところである。インランドデポ設置により地元でスムーズに通関でき、積み出し日程に合わせて計画的な運送管理が可能となる。一方、輸入の場合は、従来は横浜港等に到着した貨物を荷揚げ後、一たん付近の保税倉庫に保管して順番を待ち、その後検査、通関を行って地元に輸送しておるが、インランドデポの設置により、未通関のまま輸送し地元の保税倉庫に保管しておき、必要に応じてスムーズに通関できるわけである。
 さて、北上市や北上商工会議所、北上工業クラブが中心となり、平成3年6月を皮切りに幾度となく県に対しインランドデポ設置の要望を行ってきた。この間、先進地視察、輸出入に関するアンケート調査、インランドデポ設置に係る要望調査などを行ってまいった。昨年、平成7年10月には、北上インランドデポ設置促進協議会を設置し、さらに強力な運動を展開しておる。
 ところで、このインランドデポの設置について、秋田県の動向を注意深くかつ心配しながら見てきた。ことし8月6日、横手市を初め周辺地域と流通業者で横手インランドデポ設置促進協議会の設立総会が行われ、横手市長は、北上など隣接地域とも連携したいとあいさつしたと8月7日付河北新報は報じておる。やはりという感を強くした。秋田県は秋田大学と連携し、戦略的にその立地箇所を横手としていること。それは、北上を初めとする岩手側の物流をも視野に入れていることは明らかである。このインランドデポの背景には、FAZがあることも当然の構想である。岩手側の動きが余りにも鈍い。岩手の物流に決定的影響を与えるであろうインランドデポ設置に県はどう対応してきたのか、これからの方針も含め、御見解を承りたいと思う。
 午前中の吉永副知事の答弁でも、北上川流域テクノポリス圏域は全国有数の圏域との認識も示されたところであるので、決しておくれをとることのないよう、決意を込めて御答弁をいただきたいと思う。
〇吉永副知事 インランドデポの重要性については委員御指摘のとおりであり、国際化に対応した物流体制の整備を図るための検討課題の1つと位置づけ、これまで県は、平成2年6月に設置した岩手県・函館税関行政連絡会の定期的な開催による函館税関との情報交換あるいはインランドデポに対する県内輸出入関連企業利用意向の把握、あるいはインランドデポに関する講演会等の開催による県内企業等の意識啓発、他県におけるインランドデポの先進事例の調査などを実施しながら、その可能性について検討してきたところである。特に、県内輸出入関連企業のインランドデポの利用意向については、これまで平成2年及び本年1月の2回にわたって調査を実施してきたところである。この結果によると、県内企業のうち、インランドデポを利用したいとする企業の通関貨物量は他地域のインランドデポの通関実績と比較して、残念ながら著しく低い水準にある。また、企業のインランドデポ設置希望も残念ながら多くないというのがこの調査結果である。インランドデポ設置に向けては、まずもって新たな民間の需要を発掘するなど、施設の設置にふさわしい輸出入貨物を確保することが前提となるものと考えており、県としては委員御指摘の秋田の動向についても注意深く見守りつつ、今後とも県内企業の貿易の促進やインランドデポに対する啓発等により施設の利用意欲の喚起に努めるとともに、税関との定期的な情報交換等によって関係機関との密接な連携を図りながら、その設置可能性を検討してまいりたいと考えているところである。
 私事にわたる私自身は、税関についてはある程度仕事を関係したことがあるし、東京に参って非常に親しくさせていただいている大蔵省関税局長は、岩手県で何か希望があるか、何でもやってやるぞと言ってくださっているわけであるが、今現在、言った数字が余りにもまだ熟していないという状況であるので、もし数字がもうちょっと熟してきたならば、これは私自身、一生懸命頑張りたいと思っておるが、そういうところで、まず民間の人たちに重要性をもっとわかってもらうというか、そういうことが今必要なことかと考えている次第である。
〇吉田委員長 小原委員の質疑中であるが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間程度休憩をする。
   午後3時5分 休 憩
   午後3時24分 再 開
〇吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
〇小原委員 インランドデポの件について吉永副知事からは、大蔵関係者も強い関心を持っているというお話をお伺いして、大変心強く思っているわけである。ところで、認識の問題であるけれども、物流がこれらに対応するだけないという認識があるようであるけれども、しかしこれはそうした施設整備というものを含めて、その可能性、意欲というものを含めて物、物流というものはそこに形成をされていくと思うんである。こういう点をひとつ先取りをしていただきたいと思うわけである。同時に、秋田の場合、横手の場合であるが、この保税倉庫についても一定の準備というか、あるいは建設段階にあるとも聞いている。これは必ずしもパフォーマンスとかいうもので片づけることはできないだろうと思うんである。そういう意味でぜひ、十分な物流があって100%の条件が整っているということであれば、これはそれぞれの流域、地域においてもそう心配のないところであるし、しかしある程度の物流はあると、それを集約をして、周辺、他県を含めて集約をするんだという意欲がこれに結実をしていくことなんだと思う。それを誘導していくのが県の役割じゃないか。その点をぜひ強く要望申し上げておくので、万全の対策をとっていただきたい。このことをお願いを申し上げておく。
 次に、農業問題についてお伺いをする。
 ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意後の国内対策として、平成7年度から平成12年度までの6年間で6兆100億円を投入し、基礎食料の安全、安定供給、農業生産の振興による国内自給政策を堅持し、農業者、国民の不安にこたえていくこととしてきたところである。この対策の1つとして農家負担軽減支援のための特別融資対策が設けられてきたが、この利用状況についてお知らせ願う。
 あわせて、北上山系入植農家経営安定緊急対策が行われておるが、その内容と成果、また、今後の対応についてもお知らせ願う。
〇吉永副知事 まず、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策として農家負担を軽減するために設けられた資金には、平成7年度に新たに創設された農家負担軽減支援特別措置資金、このほか従前からある資金について貸付限度額を引き上げるなどの改善措置が講じられた自作農維持資金及び農業経営基盤強化資金の3資金があることは御案内のとおりである。この3資金の利用状況であるが、初年度の平成7年度は115件で約27億円、本年度は10月末現在で46件、11億7、000万円、合わせて161件、38億8、000万円の承認実績となっておる。このうち7年度創設された農家負担軽減支援特別資金が33億8、000万円と全体の87%を占めておる。この農家負担軽減支援特別資金は、農業信用基金協会の債務保証を活用できることから、担保あるいは保証人というものの必要性が軽減されていること、あるいは対象を固定負債等に限る必要がない等、そういったメリットがあったわけであるが、こういったことが生かされているかと考えているわけである。この農家負担軽減支援特別資金の借り入れ状況を作物別に見ると、畜産が16億3、000万円と半分を占めて、次いで果樹の5億9、000万円、稲作の3億5、000万円、野菜の3億3、000万円となっているところである。本対策の柱となる農家負担軽減支援特別資金は、制度の普及に伴って、もっともっと資金需要が多くなることが予想されるから、今後とも融資枠の確保ということに努めながら、この3資金を有効に組み合わせて、県内の農業者の方々の経営改善が早期に図られるよう支援してまいりたいと考えているところである。
 次に、北上山系入植農家の経営安定緊急対策事業についてであるが、北上山系開発で入植された農家の方々は、入植以降、牛乳需給の不均衡による計画生産の実施や、あるいは乳価の低下、さらには、牛肉輸入自由化の影響による子牛価格の下落、これは往時の40%ぐらいまで下がっておる。また、廃牛価格、これも3分の1ぐらいまで下落している事例がある。こういったことから計画どおりの収益を確保できないという状況にある。このため、県としては、抜本的な対策を講ずる必要があると考えて、平成7年度から市町村あるいは農業団体と一緒になって、入植農家の方々が借りられた既往の制度融資のすべてを無利子化するという、効果のある北上山系入植農家経営安定緊急対策事業を実施したところである。さらに、この対策とあわせて、専門の営農アドバイザーによる技術指導等を重ね、経営の安定化に努めてきたところである。
 平成7年度の収支を見ると、農家の経営努力と相まって、逐次、経営が改善されてきておって、元金が償還できる見通しができたことから、農家は意欲的に経営改善に取り組んでいるところである。私も葛巻町の入植農家を9月に訪問したが、多額の負債を抱えている方々であるが、意欲的に営農に励んでおられ、非常に厳しい状況の中で一生懸命仕事に取り組んでおられる姿には大変感銘を覚えたものである。この外的条件というか、予定した自分の動かし得ないところでいろんな価格、子牛の価格あるいは牛乳、あるいは廃牛価、そういったものが下がったことによって、そういう中において一生懸命仕事をしておられる。そういう額に汗をして働いておられる方々が報われるような、そういうふうにしていかなければならないと考えているところである。
 今後ともこの対策を継続実施するとともに、地域営農指導班や山系営農アドバイザーによる経営や技術指導を強化しながら、経営が1日も早く軌道に乗るよう支援してまいりたいと考えているところである。
〇小原委員 一層の対応強化をお願い申し上げる。
 次に、営林署統廃合問題についてお伺いをする。
 首相の諮問機関である林政審議会の森林・林業基本問題部会が、国有林野事業の抜本的な立て直し策の審議に入ると報じられておる。国有林野事業は昭和50年以降赤字経営に転じ、財政投融資からの借入残高が平成7年度末までに、3兆3、000億円になるなど大変厳しい経営を余儀なくされておる。この主な原因は、外材などに押された木材販売の低迷にあるわけであるが、一方、国有林野事業は、そもそも経営になじまない水源涵養林などの自然、環境保全を目的とした公益林分野を抱えていることから、独立採算を求めることが基本的に無理な性格を有していることも事実である。
 本県においては、広大な国有林野を有しており、森林、林業、林産業の振興とも相まって、営林署の果たしている役割は大変大きなものがある。一昨年も県議会は、議長を先頭に各派の代表によって林野庁に対し、本県の営林署統廃合をしないよう要請行動を行ったところであるが、県としてどのように情報収集に努め、対応しておられるのか、お伺いする。仄聞するところ、かなり大規模な統廃合が行われるやに聞いており、心配しているところである。いかがであろうか、お伺いをする。
〇吉永副知事 本県における林野庁所管の国有林面積は、県土の約3割を占める39万ヘクタールとなっており、県土の保全や水資源の涵養など公益的機能のほか、林産物の生産や森林の整備に伴う地元雇用の創出など、山村の振興に大きく寄与しているところである。このような中にあって、国有林野事業は昭和50年以降赤字に転じ、昭和53年から平成3年までに4回の経営改善計画が立てられ、事業運営の能率化、経営管理の適正化、収入の確保等各般にわたる経営改善の推進に努めてきており、この一環として、営林署の統合、改組が行われてきたところである。特に、平成3年に立てられた第4回目の改善計画では、職員の縮減とあわせて、平成3年度当初316署あった営林署の3分の1程度を平成12年度までに統合することとし、これまでに本県の2営林署を含めて、既に全国で52署の統合、改組が行われているところである。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、国有林野事業の累積債務は、こうした努力にもかかわらず平成7年度末で3兆3、000億円に達しており、このままでは平成22年度までに収支を均衡させるという現行の経営改善計画の目標は達成が困難となっているようである。このため、国では国有林の経営の健全化を図る方策を検討するために、林政審議会に森林・林業基本問題部会を設置し、第1回部会を平成8年11月20日に開催したところである。承るところによると、この会議では営林署の統廃合の具体的な数とかそういう案とかが検討されたものではないけれども、部会の雰囲気というものは、これまでの経営改善計画の延長ではなくて、行財政改革の一環として国有林野事業を根本から見直すという、そういう意気込みがかなり強かったと伝えられておる。この部会は今後、毎月1回程度の会合を行って、具体的な検討を進め、平成9年8月を目途に中間答申、さらに12月までに最終的な取りまとめを行う方向であると聞いておる。
 いずれにしても森林・林業基本問題部会は、国民共有の財産である森林を守るために、国有林経営の再建策を審議するものと認識しておるが、広大な面積のこういう国有林を抱える本県については、その検討の結果によっては、林業、木材産業のみならず、過疎化や高齢化の進展する山村地域の活性化にも大変大きな影響を受けるものと懸念されるので、県としては重大な関心を持っており、今後とも、この部会の検討経過については、速やかに情報収集を行うとともに、本県においては、国有林が果たしてきた役割がいささかも低下することがないよう、対処してまいりたいと考えているところである。
〇小原委員 よろしく対応方お願いをしておく。
 最後に、河川の水資源対策についてお伺いする。
 私たちが快適な生活を送るための生活用水の確保や新たな水利用に対応するためには、ダム建設など総合的な対策が必要となってまいる。もちろんその中には緑のダムと言われる森林機能の充実も含まれるのであるが、いずれにしても河川の水量を確保し、地域住民に安定的に水供給を図ることは本県にとっても重要な課題である。国においては、平成6年度に引き続き、昨年度も、水資源開発事業の中で、ダム水利施設等の緊急整備に係る施設改良事業の所要の予算措置がなされたのであるが、本県において、この事業をどのように活用してきたのか、お伺いをする。
 また、この際、関連してお伺いするが、湯田ダムに景観保全等の役割を持つ、通称第2ダム建設の要望が近年、地元住民から強く出されておるが、国の動向について把握しておられればお知らせをいただきたいと思う。
 以上で質問を終わる。
〇吉永副知事 まず、ダム施設改良事業の活用についてであるが、国においては平成6年度の新規施策として、ダムのより安全な操作の確保及び施設の老朽化対策とあわせて、ダムの持つ治水、利水等の機能の向上を図るため、ダム施設改良事業を創設したところである。岩手県の建設省所管補助ダムは、完成年度が新しく、現在のところ施設改良事業導入の予定はない。しかし、建設省所管の直轄のダムでは、例えば田瀬ダムでは、円滑な貯水池の水位維持及び下流河川環境の向上を図るため、平成6年度から施設改良事業に着手しており、平成10年度完成予定と伺っておる。
 次に、湯田第2ダム建設にかかわる国の動向であるが、湯田ダムが現在抱えておる問題については、県としては十分理解しておって、第2ダム、いわゆる副ダムの建設等が事業化できるよう、その実現を図るためにこれまで繰り返し国に対して働きかけをしていたわけであるが、平成9年度の政府統一要望の重点事項の1つとしても強く要望してきたところである。国は、そうした私どもの要望については十分理解していると言っているところである。今後ともあらゆる機会をとらえて国に対する働きかけを強めていきたいと考えているところである。
〇船越委員 県民クラブの船越賢太郎である。県民クラブを代表し、平成7年度の決算に関し総括的に質問を行うが、本機会を与えていただいた同僚県民クラブの諸氏に心から感謝を申し上げる。また、質問に際しては、既に一般質問により、あるいは先輩各委員から広範にわたる質疑があり重複する点もあると思うが、よろしくお願いをする。
 まず、第1点、東北新幹線盛岡以北の建設促進についてお伺いする。
 昨年4月に盛岡-八戸間が全線フル規格による工事実施計画の認可がなされたとともに、5月には建設工事の起工式が行われたことは記憶に新しいところであるが、現在、おおむね平成13年の完成を目指して工事が進められていると聞いておる。
 そこでまず、工事の具体的な進捗状況について伺う。盛岡以北の全線フル規格による早期実現を図ることは、県北地域が首都圏に直結する意味から、地域住民を初め県民の長年の悲願であるし、それが青森まで延伸させることにより、本県と青森県及び北海道などとの一層の交流の活発化が期待されるところである。そのためにも、盛岡-八戸間の計画どおりの工事完成は言うまでもないが、八戸以北について、早期の工事着工を図る上から、本年中に定められると伺っている整備新幹線にかかわる新たなスキームに着工が明示される必要があると思う。新スキームについては、本年1月から連立与党整備新幹線検討委員会による検討が続けられてきたが、先般の総選挙後は、自民党の整備新幹線建設促進特別委員会を中心に検討が進められることになったと新聞報道されているところである。
 そこで、お伺いするが、県として、中央におけるこれらの検討に対しどのように対応してこられたのか。
 あわせて、新スキームの決定が盛岡-八戸間の建設に与える影響についてもお示し願う。
〇武居企画調整部長 東北新幹線盛岡以北の建設促進に関するお尋ねである。
 盛岡以北の工事の進捗状況についてであるが、平成3年9月から沼宮内-八戸間が、また平成7年5月からは盛岡-沼宮内間がそれぞれフル規格で着工されておって、建設主体の鉄道建設公団では、現在、長大トンネルを中心とする工事を鋭意進めているところである。盛岡-八戸間の完成予定時期はおおむね平成13年度とされているところであるが、これまでに、陸上では世界最長となる岩手一戸トンネルを初め、9つのトンネルで16の工区について工事の発注が完了しておって、工事発注された区間が総延長に占める割合は約43・5%に達しておる。しかしながら、事業費ベースでは、当初想定された総事業費の約4、550億円に対して、平成8年度末までに見込まれている累積事業費は約697億円と、その約15・3%にとどまっているため、県としてはオリンピックの開催を控えて事業費が重点的に配分されてきた長野新幹線の建設工事が来年度に終了することから、これを踏まえて、今後は盛岡-八戸間に事業費が重点配分されるよう、国に対する働きかけを強めていくこととしておる。
 また、東北新幹線八戸-青森間を含む未着工区間の取り扱い等に関する新たなスキームについては、本年1月から連立与党の検討委員会によってその策定に向けた検討が本格的に進められたところであって、現在は委員御指摘のあったように、自由民主党の整備新幹線建設促進特別委員会において最終的な新スキームを確定するための大詰めの調整が行われているところと聞いておる。この新スキームにおいては、八戸-青森間の本格着工の可否やその着工順位が決定されることとされているため、青森県と一体となって高い優先順位のもとでの本格着工が明記されるよう働きかけてきているところである。
 今回の新スキームについては、未着工区間の扱いを主な内容としているため、既にフル規格で進められている盛岡-八戸間の建設自体に影響を与えるものではないと考えておるが、県としては、委員御指摘のあったように、北東北あるいは最終的には北海道まで視野に入れた、広域的な交流促進に資する盛岡以北の全区間の早期完成を求める立場から、国において最終的に新スキームの内容が確定されるまでの間、八戸-青森間の着工の明記が確保されるよう、青森県ともども引き続き適時適切な働きかけを続けていきたいと考えておる。
〇船越委員 次に、三陸鉄道についてお伺いする。
 沿岸地域の生活及び観光路線として大きな役割を担っている三陸鉄道は、平成5年度から3年連続で赤字を計上しておるが、全国初の第3セクター鉄道として開業した当時の熱気を考えると、まことに残念であると言わざるを得ない。会社も沿線市町村もそれぞれに営業努力や利用促進に努めておられると存ずるが、このままでは将来に大きな不安がもたらされるところであり、将来を見据えた抜本的な改革が必要ではないかと思う。
 三陸鉄道では、この6月に社長が交代し、新社長に大内氏が就任された。氏は国鉄や民営化後のJRでの鉄道事業の経験が豊富にある方と伺っており、その経験に裏打ちされた手腕を発揮することが期待されておるが、三陸鉄道の経営改善は一朝一夕に実現するものではなく、地道な努力が必要であり、何よりも地域住民のマイレール意識を基盤とした地域を挙げての支援なくして経営改善は成り立たないと思う。
 そこで、お伺いするが、会社においては、今後、経営改善のためにどのような施策を講じられるのであろうか。
 また、県及び沿線市町村は、どのように三陸鉄道を支援していくのか、これまでの取り組みも含めお伺いする。
〇武居企画調整部長 まず、三陸鉄道の経営状況についてであるが、三陸鉄道を取り巻く経営環境は近年急速に悪化しておって、特にマイカー利用の増加であるとか、沿線人口の減少等により、開業初年度の昭和59年度に約270万人を記録した年間利用者数は、昨年度には約180万人と、90万人落ち込むような状況になっておる。その結果、収支も平成5年度に初めて当初ベースで赤字に転落して以来、6年度、7年度と経常ベースでそれぞれ4、000万円、あるいは5、800万円と赤字を計上してきておって、経営悪化が深刻化しつつある。今年度においても、10月までの利用者数は前年同期比で約97・4%にとどまるなど、利用者の減少に歯どめがかかっておらず、当面、経営環境の好転は期待できない状況にある。 このような経営悪化に対して、三陸鉄道においては、既に車両運行のワンマン化であるとか、保守業務の外注化等を通じて経費の削減の徹底を図るとともに、冷房化等のサービスの改善や企画乗車券の発売等により収益力の向上に努めてきたところである。特に本年度からは、委員御指摘もあったこの6月に就任した新社長のもとで、業務の一層の効率化や兼業部門の強化を初め、経費削減と増収の両面にわたる施策に社員が一丸となって意欲的に取り組んでおって、県としても、今後において、合理化に向けた自助努力が積極的に続けられていくものと期待しているところである。会社が進める自助努力と並行しながら、これまで県においては、国鉄からの転換交付金を原資とした三陸鉄道運営助成基金を活用して経常赤字の補てんや施設の近代化に対する補助等の支援を行うとともに、経営悪化が利用者へのサービスの悪化に直結しないように努力してきたところである。しかしながら、近い将来に車両の更新に伴う大規模な資金需要が想定されることを考慮すると、基金の活用を通じた支援には限界があるのではないかと考えておって、今後においては、可能な限り利用者の減少に歯どめをかけるなど、行政としても経営改善に資する環境づくりに、より以上に積極的に取り組んでいく必要があると考えているところである。
 このため県においては、関係市町村とともに構成する岩手県三陸鉄道強化促進協議会による今年度の特別事業として、経営改善を実現するための方策について調査することとしたところであって、健全な経営のもとで地域の鉄道を維持するためには、会社、沿線住民、それから関係市町村、さらには県が一体となった対策が不可欠であるとの基本的な考えに立って、現在、会社及び関係市町村と協議しながら、それぞれの主体が経営改善に果たすべき具体的な役割について検討を進めているところである。その一環として、先般、旅客流動実態や沿線住民の意識に関する調査等を実施したところであるが、今後は、これらデータをもとに鉄道経営の専門家の助言も得ながら、年度末を目途に、委員御指摘もあったように、年度当初のあの熱気というものが最近少し薄れているんではないかという危機意識もある。マイレール意識を反映した実効的な方策を今後取りまとめてまいりたいと考えておる。
〇船越委員 ありがたかった。よろしくお願いする。
 次に、本県の防災対策についてお伺いする。
 平成7年度、県消防防災課所管の防災関係決算は約16億円と、従来の4倍にも上り、これは、阪神・淡路大震災を契機に、防災対策の大幅な見直しがなされ、本県でも、地域防災計画の見直し、防災ヘリコプターの導入などの施策を講じられてきたことの証左であると考えるものである。そこで、地域防災計画の見直しに関連し2点お伺いする。
 まず、本県の地域防災計画の見直しの視点はどのようなものか、また、その見直しを受け、具体的に本県の防災体制、とりわけ沿岸14市町村の住民にとって宿命であると言われておる津波防災対策について、どのような施策を推進されているのであろうか。
 さらに、県の地域防災計画は住民に最も身近な市町村の防災計画と両輪の関係にあると言われるが、市町村における防災計画の見直しに関し、県はどのような指導をされてきているのであろうか、あわせてお伺いする。
〇大隅総務部長 県地域防災計画の見直しについては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、昨年度は、大規模災害が発生した場合に、各種対策を適切かつ円滑に実施できる体制を早急に整備する観点から、災害応急対策を中心に、全面的な見直しを行ったところである。本年度は、引き続き災害予防対策及び災害復旧対策を重点的に見直しを進めているところであって、それと並行して、見直した計画の具体化を逐次図っているところである。見直しに伴う施策としては、防災ヘリコプターの導入を初めとして、初動体制を整備するために携帯電話、ポケットベルの配備や、緊急初動特別班を設置するとともに、衛星通信車のぎんが号の機能の強化、警察ヘリコプターへのテレビ伝送システムの搭載、さらには、全市町村への計測震度計の設置など、通信情報体制の整備を進めているところである。 また、北海道・東北8道県や県内全市町村による相互応援協定の締結など、防災関係機関との応援、協力体制の整備を図るとともに、防災パンフレットの全世帯配布、県立総合防災センターの全面改修、冬場の市街地を会場とした訓練など実践的な防災訓練、あるいは地域住民が身近に使用できる救助、救護用資機材の整備など、県民の防災意識の高揚や自主防災組織の育成に努めているところである。
 さらに、各部局との連携のもとに、防災施設等を効率的かつ計画的に整備するため、地震防災緊急事業5カ年計画を取りまとめたほか、活断層調査の実施や被害想定調査に関する検討を進めているところである。
 津波防災対策としては、今申し上げた各種施策に加えて、防潮堤や水門等の整備を初めとして、地震津波職員参集システムを導入し、津波に対する情報の早期伝達体制を整備するとともに、大船渡市で実施した総合防災訓練における大々的な津波避難訓練の実施や、地震・津波災害について考える県民のつどいの開催など、津波防災に対する住民の意識の高揚にも努めているところである。
 また、岩手大学等と共同で、沿岸住民を対象に、津波に対する意識、行動、行政に対する要望等についてアンケート調査を実施し、現在その調査結果を踏まえ、沿岸市町村と緊密な連携を図りながら、避難場所の見直しや、過去の津波浸水水域を表示したマップの作成等について検討を進めておる。
 なお、毎年国に対して要望を行っている三陸沿岸地域における地震・津波観測体制の強化については、今後とも引き続き、国に強く働きかけていくこととしておる。
 次に、市町村地域防災計画の見直しについてであるけれども、各市町村においても、それぞれの地域の実情を踏まえ、例えば沿岸市町村では、津波防災訓練や避難場所の総点検、自主防災組織の結成育成、地震津波に関する学習会の開催、あるいは津波観測システムの導入など、さまざまな事業に取り組みながら、同時に地域防災計画の全面的な見直しを進めているところであるので、県としてもこれらの取り組みが円滑に進むよう、消防防災主管課長会議等を随時開催するとともに、県計画の見直しに当たっての検討資料や見直しのポイントを示した手引を提供するなど、その指導に努めているところである。
〇船越委員 よくわかった。
 次に、市町村障害者計画の策定の促進についてお伺いする。
 昨年12月に国が策定した障害者プランを実効あるものとするためには、地方自治体、とりわけ市町村が障害者福祉施策を積極的に実施していくことが、一番大切なことではないかと思うのである。そのためには、障害者基本法では策定に努めなければならないこととされている市町村障害者計画を県内各市町村が速やかに策定し、地域性豊かな障害者福祉施策を総合的、計画的に推進していくことが不可欠ではないであろうか。そこで、お伺いするが、現在の市町村障害者計画策定の取り組みはどのような状況にあるのか、また、今後、県はどのように指導していくのか、お示し願う。
〇千葉副知事 市町村の障害者計画の策定の状況であるけれども、市町村の障害者計画については、国が策定した市町村障害者計画策定指針を受けて、県において昨年11月に市町村障害者計画策定実施要領を定めて、市町村に対して計画策定に当たっての基本的な考え方を示したところである。今年度は全市町村を対象にして、地方振興局単位で会議を開催して、計画策定の指導に当たったところである。
 現在のところ、障害者計画を策定した市町村は山田町1町のみとなっているところであるけれども、計画策定のための予算措置や策定委員会の設置など、何らかの形で計画策定作業に着手、あるいは年度内に着手を予定している市町村は36市町村である。
 障害者が地域の中でともに暮らす社会を実現するためには、住民にとって最も身近な市町村が、障害者に対して各種の福祉サービスを総合的、計画的に提供することが必要である。したがって、国の障害者プランあるいは本年4月に県が策定した新岩手県障害者福祉行動計画の後期計画などを参考に、できるだけ多くの市町村が本年度中に計画策定に着手するよう、市町村を指導、支援してまいりたいと考えておる。
〇船越委員 ありがたい。よろしくお願いする。
 次に、岩手医科大学附属循環器医療センターについてお伺いする。
 人口の高齢化などに伴う疾病構造の変化により、県民の成人病医療に対する需要が増大しており、中でも心疾患は、本県の主要死因において、悪性新生物や脳血管疾患と並んで、近年、死亡率が高くなってきておることから、専門的医療を行う医療施設が必要であるとされてきておる。
 こうしたことから、県においては、第三次保健医療計画において、循環器医療対策などを初めとする高度特殊医療等の充実を掲げ、その促進を図ってきているところであると思う。
 平成7年度歳入歳出決算を見ると、岩手医科大学附属循環器医療センターに対する県の建設費補助が2億7、000万円支出されておるが、これは今申し上げた高度特殊医療の充実強化の一環であると思う。
 そこでお伺いするが、この岩手医科大学附属循環器医療センターの整備内容や進捗状況がどうなっているのかをお示し願いたいと思う。
〇千葉副知事 岩手医科大学附属循環器医療センターは、本県の死因の第3位を占めておる心疾患に対応するため、その高度専門医療施設として、病床数115床、うち集中治療室等21床、地下1階、地上10階建て、延べ床面積1万1、739・96平方メートルの施設として、超高速CT、循環器専用MRI、超音波診断装置など高度な医療機器を整備するものであって、総事業費は約89億円となっているものである。
 進捗状況であるけれども、建設工事の工期は平成6年12月から平成9年1月までの2年2カ月間の予定であるが、建物完成後、医療機器を設置して、開設は平成9年6月を予定しているものである。なお、平成8年10月末の建物工事の出来高率は全体の約84%となっているものである。
 当センターの整備や循環器医療対策の充実が図られ、本県医療の向上に大きな役割を果たすものと期待されているところから、県としても助成を行うこととして、平成7年度、8年度の2年度で15億円余を補助することにしているものである。
〇船越委員 次に、中小企業対策についてお伺いする。
 11月12日に発表された政府の月例経済報告によると、景気は回復の動きを続けており、民間需要は堅調さを増していると、これまでの景気判断を4カ月ぶりに上方修正しておる。しかしながら、県内の中小企業は、バブル経済崩壊後の長引く景気の低迷や、経済の構造調整の進展などにより、必ずしも景気の回復傾向にあるとは言えず、依然として厳しい状況に置かれておる。こうした厳しい環境のもと、県内の中小企業は懸命な努力を続けているわけであるが、年末の資金需要期を迎え、資金繰りの逼迫が一層懸念されるところである。
 県においては、中小企業対策として各般の施策が講じられているところであるが、中でも単独融資制度が非常に重要であり、特にも、信用力の乏しい中小企業向けの融資枠が十分確保されることが肝要と考えるものである。そこで、お伺いするが、最近の県単融資制度の利用状況を含め、これからの年末の資金需要期を迎えるに当たり、どのような対策を講じているのか、お示し願う。
〇吉永副知事 県単融資制度の利用状況及び年末の資金需要であるが、県の制度融資の利用状況についてであるが、平成8年10月現在で、全体の利用実績が総額で324億円となっておる。これは前年同期に比べて177億円、前年比2・2倍の増加である。特に、運転資金及び設備資金に利用されておる商工観光振興資金については125億円、2・3倍、中小企業経営安定資金については143億円、2・6倍と大幅に伸びている状況である。これは平成8年度に融資条件が改善されたわけであるが、中小企業経営安定資金の例えば貸付限度額は3、500万円から5、000万円に引き上げられた。また、貸付期間も商工観光振興資金が、例えば設備資金について10年から15年、それから据置期間も中小企業経営安定資金の場合2年から3年と、こういうふうに融資条件の改善を平成8年度に行ったわけであるけれども、それが非常に功を奏したんではないかと考えている次第である。
 融資枠については、この9月の補正予算等において、商工観光振興資金、中小企業経営安定資金について75億円を増枠しておって、8年度の融資枠としては全体で420億5、000万円を確保していることから、年末資金としては十分対応は可能ではないかと考えている次第である。
 貸付金利については、現在、商工観光振興資金については年2・7%、中小企業経営安定資金については年2・6%となっておるが、これは制度発足以来最低の金利水準であるし、かつ東北各県の制度融資の中では最も低い水準となっておる。これから年末の資金需要期を迎えるに当たって、既に県内の各金融機関等との金融懇談会を開催し、中小企業に対する金融円滑化が図られるよう要請してきたところである。
 また、本日12月2日から27日までは年末商工金融110番を設置して、県、各地方振興局、商工会議所、商工会にそれぞれ相談窓口を開設したところであり、金融機関、信用保証協会など関係機関との連携を密にしながら、県の制度資金の普及、利用促進、金融相談、経営指導、労働相談など、きめ細かな対応を図り、年末の中小企業金融対策に万全を期してまいりたいと考えている次第である。
〇船越委員 ありがたい。よろしくお願いする。
 次に、秋サケの学校給食への利用促進についてお伺いする。
 今、サケは大漁貧乏に次ぐ大漁貧乏を続けておる。秋サケは本県の最も重要な水産物であり、その漁獲状況や価格の動向が非常に気になるところである。県当局の発表によると、本年の漁獲量は前年を上回っているものの、価格は逆にこれまで最も安かった前年をも大きく下回っておる。大変憂慮されるところである。秋サケは本県沿岸漁業の最も頼りになる魚種として、本県の漁協や沿岸漁家の経営に大きく貢献していたところである。しかし、近年、国内全体の生産量に加え、輸入量の増大に伴う供給過剰などの影響により魚価が下落をし、水揚げ高が大幅に減少している現状にある。このような状態が続くならば、漁業者や漁協のみならず地域経済に及ぼす打撃が非常に大きいことを考えると、秋サケの消費拡大に積極的に取り組むことが何よりも重要であると考えておる。
 このために、県、関係者が一体となって組織した秋サケ消費拡大推進協議会を中心に、関東、関西での消費宣伝、県内での料理講習会、料理コンクールの開催、イクラのブランド化や新商品開発の推進など、県内外において各般にわたる施策を展開しているところであるが、消費拡大をより一層効果あるものにするためには、学校給食による魚食普及を大いに図るべきであると考えておる。児童生徒に秋サケを食べ親しんでもらうことにより、現在はもちろん、将来の消費拡大につながるものと考えられるからである。
 そこで、お伺いするが、県はこれまで秋サケの学校給食への利用促進についてどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組まれるのかお示しを願う。
〇吉永副知事 秋サケの学校給食への利用促進についてであるが、秋サケの今漁期の漁獲は11月20日現在3万2、000トンと量的には昨年の1・5倍と好調な水揚げとなっておるが、魚価は2割ほど安いことから、金額では約54億円、昨年の1・2倍と量で金額をカバーしているという状況にあって、委員御指摘のとおり、魚価対策が何よりも重要な課題と認識しているところである。このため、県はこれまで秋サケの魚価対策として消費拡大を図るということが何よりも重要であるということから、県、関係者が一体となって、県内はもとより、首都圏や関西の大消費地等で消費宣伝を行うとともに、イクラのブランド化や消費者ニーズにマッチした新商品の開発を推進してきたところである。
 また、サケは私どもの身近にあってビタミンAやビタミンD、あるいは頭の回転、記憶力をよくするDHA--ドコサヘキサエンサンなどを多く含む栄養面でもとてもすぐれた魚であって、このため、児童生徒がこういう頭のよくなる秋サケを食べる習慣を身につけることは、健康の増進にも役立つという観点からも将来にわたる消費拡大を図りたいと、非常に大事なことだと考えておる。秋サケの学校給食利用促進は平成2年度より盛岡、釜石、久慈市など一部地域で実施してきたところであるが、今年度からはこれらにかかわる予算を対前年比10倍ぐらいにふやして、対象校を全県下の全小中学校に拡大して、その消費拡大に努めてきたところである。
 また、秋サケ製品の小中学校への供給実績は、メニューで見ても4種類から12種類にふやしておって、昨年の9倍の約34万食と大幅に増加しており、児童の評価もいいようである。また、これまで供給実績のなかった一関、花巻、北上市などほぼ全県下の小中学校に拡大し、学校給食への利用促進を大きく前進しているところである。秋サケの学校給食への一層の利用促進を図るため、今、県内水産加工業者が組織した水産加工品学校給食利用促進連絡会議において、栄養士グループの研修会等で秋サケ製品の製品説明会を開催するなど、積極的にPRをしているところであって、今後とも県や市の教育委員会とも連携を緊密にしながら、今まで以上に全県下で小中学校での秋サケの利用拡大が図られるよう、子供さん方や栄養士の方の声も聞きながら、ニーズに合った秋サケの製品開発あるいは秋サケの給食へのもっともっとの拡大といったことを図っていきたいと考えている所存である。
〇船越委員 県政と業界が今ほどいい状態はないと思うので、よろしくお願いする。
 次に、アワビなどの密漁防止対策についてお伺いする。
 本県は、これまで沿岸域の恵まれた漁場条件を有効に活用して、アワビ、ウニなどの定着性資源の増大を図るため、増殖場や種苗生産、中間育成施設の整備、種苗の大量放流について、関係者が一丸となって取り組んできたところである。
 また、沖合域のスケトウダラ等の底魚資源についても、沖合底びき網での網口開口板の使用を禁止するなど、資源の維持に努めてきたところである。しかしながら、これら関係者の地道な増殖努力や資源管理をあざ笑うかのように依然として密漁は後を絶たず、特にアワビにおいては、暴力団が介在するなど、その手口は広域、巧妙化しており、密漁を撲滅しない限りアワビの資源の回復は望めないとまで言われておる。今後展開するヒラメ、マツカワなどの魚類栽培をも視野に入れた水産業の振興等を一層充実させ、水産業を夢の持てる魅力あるものとしていくためには、漁業秩序の維持を一層図っていくことが重要であると認識しているところである。
 そこで、お伺いするが、漁業者の増殖努力や資源管理への意欲をそぎかねないこれら密漁の防止対策をどのようにお考えなのか、お示しをお願いする。
〇吉永副知事 密漁対策であるが、本県では昭和54年度からほかの県には例のない漁業取締事務所を設置しておって、密漁対策には取り組んできておる。そうした効果を一層高めるために、平成4年以降、県警本部から警部1名の派遣を受け取締体制の強化に努めてきたところである。また、平成4年7月には、広域的な組織密漁に対処するため、岩手、宮城、青森の3県の海上保安部、警察本部、水産主務部、漁業協同組合連合会からなるアワビ等密漁撲滅連絡協議会を設立し、隣県各機関との連絡を密にして実効のある対策に取り組んできているところである。現在、県では、漁業監視員253名を委嘱するほか、県下の漁業協同組合においても、監視船30隻程度を保有し、独自に監視員を配置するなど、県と漁協は連携をとりながら密漁監視に努めているところである。
 また、アワビ採捕の禁止期間や夜間の潜水器漁業の禁止などについて、岩手、宮城両県の漁業調整規則を平成5年に統一し、両県の取締機関が、より協調できるよう措置したところである。これらの取り組みによって、暴力団が関与した高速船によるアワビ密漁事件の発生は一定程度沈静化しているわけであるが、依然として2ないし3基の船外機を搭載した不審な高速船の係留や出没が報告されており、また、一般の小型漁船を装った密漁船の出現や、複数の車両を用いて地上から新たな手口の密漁など巧妙なアワビ密漁事件が発生している。また、沖合では、他県の沖合底びき網漁船が本県沖では禁止となっている網口開口板を用いて操業するといった違反も発生しておる。このため、これまでの諸対策を継続するとともに、老朽化した漁業取締船にかわって最高速力40ノットの最新鋭船を平成9年8月末までに竣工させ、秋サケ、アワビ、沖合底びき網漁業などの取り締まりを効果的に行うとともに、引き続き、県と漁協が一体となって密漁防止を推進していく所存である。
〇船越委員 次に、平成9年度から適用される漁獲可能量制度、通称TAC制度についてお伺いする。
 海洋法条約は、昭和57年に国連で採択され、平成6年11月に発効したが、これを契機として、我が国も本年6月に同条約を批准し、あわせて、関連する国内法を制定した。御承知のように、同条約は、沿岸国に200海里排他的経済水域の設定を認め、この水域内での天然資源の開発などに関する主権的権利を認める一方で、魚類などの生物資源の保存と管理のための漁獲可能量制度の導入を義務づけている。本年6月に制定された海洋生物資源の保存と管理に関する法律によると、国は、明年1月1日から、特定の魚種について、年間の漁獲可能量、すなわちTACを定め、農林水産大臣が管轄する漁業は大臣みずからが、また、知事が管轄する漁業については、国から漁獲可能量の割り当てを受けた知事が、それぞれ資源の管理を行うこととされておる。この制度は、欧米では既に定着していると聞いておるが、我が国では初めての導入ということで、来年1月1日からのTAC制度の発足に当たり、県は制度の円滑な導入について、どのような対応を行ってきたのかお伺いする。
 また、魚種ごとのTACは、去る10月2日に、サンマが30万トン、スケトウダラが26万7、000トン、マアジが37万トン、マイワシが72万トン、サバ類が63万トン、ズワイガニが4、815トンと設定されたところであるが、それぞれの魚種の本県知事が管理する漁業への割り当て量はどのようになっているのか、さらに、これまでの本県の漁獲実績から見て本県漁業に与える影響についてお伺いする。
 最後に、この画期的な制度により、本県漁業が一層発展するよう、関係機関の適切な対応を切にお願いするものである。
〇吉永副知事 漁獲可能量制度についてお答えする。
 漁獲可能量制度--TAC、タック制度は、本年の7月20日、我が国が国連海洋法条約を締結したことに基づいて、魚種ごとに漁獲の上限を定めて過剰な漁獲を防止するなど資源管理を行う制度である。この制度の円滑な導入を図るために、県は、本年4月から新たに海洋資源対策主査3名を配置して、情報収集に努めるとともに、関係者に対して説明会を開催するなど、制度の普及を図ってきているところである。このTAC制度による漁獲可能量については、国が10月2日に各県への漁獲割り当て量等を内容とする基本計画を策定したところである。県は、基本計画を受けて県計画、岩手県の海洋生物資源の保存及び管理に関する計画を12月中に策定することとしているところである。計画の策定に当たっては、新たに設置した関係漁業団体等を構成員とする岩手県漁獲可能量協議会の意見等を10月30日に聴取したほか、今後、海区漁業調整委員会に諮問し、さらに国の承認を得るということになっておる。
 本県へのTACの割り当て量については、サンマが8、000トン、それ以外の5魚種は若干となっておる。この若干というのはその数量の上限が明示されていないということであって、そういった資源に対する漁獲圧力が低い、あるいはそういう規制を行うことが困難な場合ということであって、数字がないという状況と考えていただければいいかと、数字がないというか、割り当て量がない、上限がないと考えていただければいいかと思うわけである。数量を明示されたサンマを漁獲する漁業は、10トン未満船のサンマ棒受け網漁業と定置網漁業であるが、過去5年の平均漁獲量は2、371トンであって、最大の漁獲量を揚げた平成7年度も約6、000トンであるので、TACの割り当て量の8、000トンというのは余裕のある数量ではないかと考えている状況である。また、そのほかの5魚種については、TACの割り当てが若干となっているため、先ほど申したとおり、漁獲量についてはその上限がないと考えていただければいいかと思う。
 これらのことから、平成9年の本県知事の管理する漁業に対するTACの配分量は十分に割り当てされておるし、本県漁業には大きな影響を与えないと考えている次第である。
〇船越委員 よくわかった。
 次に、宮古港マリーナの整備についてお伺いする。
 近年、我が国の経済社会の発展とともに、余暇時間の増大と価値観の多様化によって、国民の多くは物質的な満足から精神的な満足への傾向が強まってきておる。このような状況の中で海という大自然とじかに触れ合い、スポーツの楽しみや精神的安らぎを求めるなど、海洋性レクリエーションに対する需要が高まってきておる。特に宮古市は、古くから県内で最もヨット活動が盛んなところであり、今年の広島国体では高校女子のヨット競技で見事宮古高校が優勝をしておる。また、平成11年のインターハイでは、宮古市がヨット会場に決定されたことからも、平成7年度に着工した宮古港神林地区マリーナ整備事業に、宮古市民はもとより、海に親しむ県民の大きな期待が寄せられているところである。
 そこで、お伺いするが、インターハイ開催に向けて、宮古港マリーナの整備にどのように取り組まれているのか、お示しお願いする。
〇吉永副知事 宮古港マリーナの整備についてであるが、海洋性レクリエーションの需要が高まる中で、青少年の健全育成の場として活用するため、現在、主に高校生が利用しておるディンギーヨットを中心とした宮古港の神林地区にマリーナ整備を計画したものである。平成11年に本県で開催されるインターハイでは、宮古市がヨット競技場に決定されていることから、インターハイに利用できるよう平成7年度に事業に着手したところである。これまで宮古漁協を初めとする関係漁協や地元の方々の全面的な御協力のもとに、漁業権消滅の同意をいただき、さらに、埋立免許を取得するなど工事着手に向けた諸手続も順調に進んでいるところである。これには委員の御尽力によるところが極めて大きいと考えておる。
 このため、ことし10月には防波堤工事に着手し、基礎捨て石工事及びケーソンの製作など鋭意工事を進めているところであり、防波堤や係留施設等の基本施設を平成10年度までには概成させ、インターハイの開催まで供用が間に合うようマリーナの整備に最大限の努力をしているところである。
〇船越委員 わかった。
 次に、津軽石川三陸高潮対策事業についてお伺いする。
 今年は、明治三陸大津波からちょうど100年目の節目の年であるが、この100年の間でも昭和8年の三陸大津波、昭和35年のチリ地震津波、昭和43年の十勝沖地震津波など数多くの死傷者を出しており、改めてその恐ろしさに思いをいたすものである。県においては、昭和35年のチリ地震津波を契機として防潮堤や水門など本格的な津波対策施策の整備に着手されたと認識しておる。岩手県の沿岸部は、リアス式海岸の湾奥部に市街地が形成され、人口や資産が集積しているために、拠点となる市街地を激甚な津波被害から防御すべく、海岸高潮対策事業や三陸高潮対策事業により防潮堤等の整備が進められていると承知しておる。宮古市の南部に位置する津軽石地区においても、近年、宅地化が進み、人口、資産が増加し、市の運動公園も整備されるなど、背後地の利用も盛んとなっておる。
 そこでお伺いするが、現在進めている津軽石川の三陸高潮対策事業についても早期完成が望まれるところであるが、現在の整備状況と今後の取り組みについてお示し願う。
〇吉永副知事 津軽石川三陸高潮対策事業であるが、津軽石川三陸高潮対策事業は、宮古市の津軽石地区を津波から守るために、明治29年の三陸大津波による実績最大潮位、これは8・5メートルを計画潮位といたし、現在、6メートルの既設防波堤を延長1、060メートルに当たるものであるが、これのかさ上げ、それと津波対策水門の新設を行う計画である。本事業は、平成元年度に着工し、これまで防潮堤については全延長の約60%に当たる660メートルを整備し、水門については平成5年度から着手し、7径間中2径間の整備を終え、今年度からは中間部2径間の工事を進めているところである。平成8年度末における事業全体の進捗率は総事業費115億円の約40%となる見込みであり、早期完成に向けて事業の推進に努めてまいりたいと考えておる次第である。
〇船越委員 次に、耐震強化岸壁についてお伺いする。
 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災は、兵庫県などの多数の港湾に甚大な被害をもたらしたのは記憶に新しいところである。特に、我が国の代表的な国際港湾である神戸港では大半の岸壁が使用不可能となり、国内外の社会経済活動に多大な影響を与えた。また、この地震では、道路交通網は完全に麻痺し鉄道も壊滅するなど、避難及び復旧活動等の大きな障害となり、その中でわずかに残った岸壁が被災者や救援物資の運搬など、緊急海上輸送の拠点として大きな威力を発揮し、改めて港湾の持つ役割の重要性が認識されたところである。これを教訓に、国の第9次港湾整備5カ年計画では、災害に強い港湾を目指して耐震強化岸壁の整備を施策の1つに掲げておる。本県では、これまで幾度となく地震による津波被害を受けており、いつ大地震に遭遇しても不思議ではない状況にあり、急峻な北上山地に阻まれ、内陸部とのルートが限られる沿岸地域は、震災時に陸上交通の麻痺により孤立化をすることも考えられ、地域経済活動への多大な影響が懸念される。
 そこでお伺いするが、震災時に陸上交通を補完し、海上交通の拠点として重要な役割を担う本県の耐震強化岸壁の整備をどのように取り組まれておるのか、お示し願う。
〇吉永副知事 耐震強化岸壁についてであるが、港湾施設については、従来から地域別の地震発生頻度や規模及び各施設の重要性を考慮して、国が定めた基準に基づき耐震設計を行ってきているところである。しかし、平成7年1月の阪神・淡路大震災において、道路や港湾施設等の公共施設が大打撃を受けた教訓から、震災時における住民の避難や緊急物資の海上輸送の確保が重要であるとの認識に立ち、国においては委員御指摘のとおり、第9次港湾整備5カ年計画においてこれまでより安全度を高めた耐震強化岸壁、大体震度6にも耐え得るバースが1バース港にあると、そういったようなことのようであるけれども、そういった整備を推進するということを考えているようである。県においても、岩手県地域防災計画において、震災時における迅速かつ的確な災害応急対策が実施できるよう、県内の重要港湾を緊急輸送物資等の輸送、集積度の中核となる輸送拠点の1つとして位置づけており、港湾施設の耐震性の確保に努めることといたしておる。現在、港湾施設の地震対策としては、耐震強化対策に先立ち、地震によって生ずる地盤の液状化による構造物の破壊を防止するため、これまで各港での液状化対策の調査を実施してきているところである。
 委員御指摘の耐震強化岸壁についても、今後の港湾整備を進めるに当たって、こうした調査結果を踏まえながら各港の港湾計画に耐震強化岸壁を組み入れ、早期に事業着手できるよう、国に要望してまいりたいと考えているところである。
〇船越委員 次の質問は、他人のはかまに足を入れるような感じがするのでじくじたるものがあるが、農協の広域合併についてお伺いする。
 最近の農業を取り巻く環境は、新食糧法の制定、金融の自由化や諸規制の緩和など、重大な局面を迎えておる。このような社会情勢の変化に伴い、農業者の生活や営農に対するニーズの多様化、高度化などのため、農協経営にも大きな影響が及んできておる。このため、農協の広域合併は全国的に進められ、本県においても21世紀までに12の農協に合併する計画があり、既に平成6年3月に遠野地方農協が広域合併の第1号として発足しておる。また、私の地元である宮古・下閉伊地区においても、去る10月14日に合併予定の3農協がそれぞれ臨時総会を開催し、来年3月1日に合併することを正式に決定をいたした。その他の地域でも、合併に向けた取り組みが鋭意進められていると仄聞いたしておる。私は、農協の合併は何よりも農民のため、かつ、農協本来の使命を十二分に果たすことができる機能を有するものでなければならないと存じておる。合併は、それぞれの農協みずからの責任で行うことであるが、その実現のために県の力強い御指導、御支援をよろしくお願いいたしたいと思う。
 そこでお伺いいたすが、これまでの農協の広域合併に対する県の助成制度の利用状況と広域合併に向けた取り組みの進捗状況はどのようになっているのかお示し願う。
〇吉永副知事 農協の広域合併に対する助成制度についてであるが、農業協同組合経営強化対策事業として実施してきているものである。これは合併農協が引き継いだ欠損金を解消するために、金融機関--県信連の借入金の利息支払い額の一部を市町村が助成する場合に、県がその2分の1を補助するというものである。この事業の利用実績としては、平成6年3月に合併した遠野地方農協に対し利子助成を行った遠野市ほか3市町村にこれまで545万円を補助しており、今年度も128万円を補助する予定である。この遠野地方農協の場合は、平成7事業年度の決算で繰越欠損金が大幅に縮小しており、こうした成果があらわれていると考えるわけである。
 続いて、広域合併の進捗状況であるが、遠野地方農協に続いて広域合併に向けた取り組みが各地区で進められておる。中でも、委員御指摘のあった宮古地区、岩手地区及び東磐井地区の3地区においては、合併調印及び各農協の総会議決が終了いたし、それぞれ来年3月には広域合併農協として誕生する予定となっておる。この結果、御指摘のとおり21世紀までには12農協という、そういった目標に対して、今年度末では3分の1の達成という状況になるわけである。このほか、花巻地区及び西磐井地区の2地区については、平成10年3月、また、胆江地区においては平成10年4月を目途にそれぞれ合併に向けての準備が進められておる。残る5地区についても、合併研究協議会あるいは組合長会議におけるそういった方向に向けての鋭意取り組みが進んでいるところである。
〇船越委員 やがて漁協も合併せざるを得ない時代がまいろうかと思うので、あわせてよろしくお願いする。
 次に、中山間地域の農地開発についてお伺いする。
 本県の農業振興を図るためには、農業粗生産額で県全体の約6割を占める中山間地域の活性化を推進し、そこに住む農家の方々の所得の向上を図ることが極めて重要であると考えておる。この中山間地域活性化のための方法としては、担い手の育成、就業機会の確保や生活環境の整備による定住の促進、そして地域の立地特性を生かした収益性の高い農作物の導入など、種々の推進方策の的確な実施が肝要であるが、中山間地域は平地農業地域に比べて1戸当たりの耕地面積が少ないことから、私はさらに農家の経営規模を拡大するための農地開発が大切ではないかと考えておる。
 そこでお伺いするが、本県の中山間地域において、現在実施中の県営農地開発事業の実施状況及び川井村で実施している農地開発事業の進捗状況についてお示しをお願いする。
〇吉永副知事 中山間地域の農地開発事業であるが、本県の中山間地域は、御案内のとおり県土の60%を占め農業生産の重要な場であるとともに、多くの農業者が定住する地域となっておる。このため、中山間地域の活性化を図るとともに、本県農業の振興を目的として、農地の開発や生活環境の整備を実施しているところである。農業の経営規模拡大のためにも、農地開発が重要という委員の御指摘はまさにそのとおりだと考えておる。現在、県営農地開発事業を普代村など3カ所で実施しており、約756ヘクタールを造成、整備する計画となっておる。平成7年度までにこのうち約432ヘクタールを施工済みとなっておる。
 委員御指摘の川井村の門馬地区は、平成元年度から農地総合開発整備事業を実施しており、平成7年度までに55・3ヘクタールの農地造成を終え事業進度は約80%となっておる。今後は、営農飲雑用水施設や道路など生活環境の整備を行い、平成9年度までに完了する予定である。門馬地区では、平成5年度から大根の作付をしており仙台市場等に出荷しておるが、冷涼な気候を生かした品質のいい大根と評価を得られているようである。このように、この地域は地域特性を生かした収益性の高い営農が展開されるかと考えておる。今後とも、中山間地域の農地開発は非常に重要だという認識のもとに積極的に進めてまいりたいと考えているところである。
〇船越委員 次に、木炭産業の振興策についてお伺いする。
 本県の木炭産業は、豊富な広葉樹資源を背景に山村地域の農林家の所得向上を図るための重要な産業として定着し、全国第1位の生産県として不動の地位を堅持しておる。昭和34年度には、固形燃料から液体燃料への転換により木炭の生産量は激減したところであるが、近年、国民生活の向上により、ゆとりと潤いのある生活を求める機運が高まってきたことから見直され、業務用やレジャー用のほか、水質浄化や土壤改良など新たな分野で活用されるなど、その生産量は徐々に回復してきたところである。このような状況の中で、平成5年度から久慈市など九戸高原の6市町村を対象として木炭を核とした地域おこしを目的に、日本一の炭の里づくりが進められておる。これまでに、近代的な生産施設の整備や労働環境の改善、木炭研究所設立の調査検討などが着々と進展していると聞いており、県北・沿岸地域の振興のためにまことに喜ばしいことと存ずる次第である。しかしながら、木炭の流通は旧態依然として燃料店など一部の集荷業者を通して行われており、生産者の意向が価格形成に反映できない状況にある。日本一の炭の里づくりを機に、新たな流通体制の構築を図ることが何よりも重要であると存ずるが、木炭の流通体制の整備にどのように取り組もうとしているのかもお伺いする。
〇吉永副知事 木炭産業、特に流通体制の整備についてであるが、木炭産業の振興策を考えるに当たり、本県の木炭の生産量は現在約7、000トンであり、全国生産量3万1、000トンの23%を占め、首都圏あるいは関西圏を初め全国各地に出荷されているところである。この本県の木炭の流通であるが、協同組合を通じたものやあるいは集荷業者を仲介とする流通などあるが、近年のアウトドアブームを背景にレジャー用木炭の需要が伸びており、一般消費者に対する流通を考えた場合は、御指摘のとおり、今後ますます大型スーパーなどの量販店の取扱量が増加すると考えておる。このような流通構造の変化にも対応できるような木炭流通体制が求められているところである。このような中で、平成4年から取り組んでおる日本一の炭の里づくり構想の一環として、山形村においては森林組合が事業主体となり、木炭流通の拠点となる集出荷施設を本年3月に完成させ、需要に対応できる安定的な供給体制の確立や価格の変動に応じた出荷調整の実施など、生産者主体の流通体制づくりに取り組んでいるところである。こうした動きを強め、流通構造の変化に対応できるような流通体制を確立していきたいと考えているところである。
〇船越委員 最後の質問であるが、次に畜産におけるアメニティーの形成についてお伺いする。
 本県においては、広い耕地や豊富な草資源を活用した酪農及び肉用牛経営が各地で展開されてきているところであり、これによる牧歌的で魅力ある本県独自の農村景観が形成されているところである。一方、最近の消費者が農業に求めるニーズの多様化に合わせ、農村、農家サイドでは、生産活動のみならず、消費者との積極的な交流や農業体験宿泊等のグリーンツーリズムに向けた取り組みも見られてきているところである。このような活動は、畜産においても、売ることを強く意識した生産活動の展開として今後ますます重要となってくるものと考えるところであるが、このためには生産農家のゆとりの創出とあわせ、遠くから見ても近くに寄って見ても消費者に好ましい農村のイメージを与えることのできる農場、及びその周辺の環境整備がまだまだ必要不可欠な状況であると考える次第である。また、快適で美しい農場は、後継者の就農意欲を喚起する上でもまた大きな原動力となるものと考えておる。
 そこでお伺いするが、畜産分野からのグリーンツーリズムの一層の促進を図るために、本県畜産の特にも主要な位置を占め、かつ、牧歌的な傾向を含めたアメニティーの形成しやすい土地利用型畜産における景観整備について、どのようなお考えをお持ちなのかお示し願う。
〇吉永副知事 畜産におけるアメニティーの形成についてであるが、次の3点の方向で取り組んでいるところである。
 第1には、家畜ふん尿の適正処理などの環境整備である。これについては、県営畜産経営環境整備事業等を活用しながら、堆肥化処理施設の整備や耕種農家との連携により、堆肥の有効利用等に取り組んでいるところである。
 第2に、個々の畜産農家の環境美化への取り組みを促すためには、委員御指摘のとおり、まず畜産農家の経営のゆとりを確保することが重要であると考えておる。このために、畜産農家では年間を通して家畜の飼養管理のため、経営のゆとりを生み出しにくい状況にあるので、酪農や肉用牛のヘルパー組織の普及あるいは作業の外部化の促進などにより、ゆとりの創出に努めてまいりたいと考えておる。また、大規模な酪農家に対しては、フリーストールあるいはミルキングパーラー等の省力化施設の普及拡大を推進してまいりたいと考えておる。
 第3に、地域ぐるみの景観形成への取り組みであるが、グリーンツーリズムに関する県の基本方針等に基づき、農村における地域住民の自発的な景観づくりに対する機運の醸成を促進し、遊歩道や体験交流施設等の整備を進めていくとともに、公共牧場での消費者との交流を促すいわゆるふれあい牧場といったものの整備を進めてまいりたいと考えておる。今後とも、ハード、ソフトの多面的な取り組みにおいて、畜産におけるアメニティーの形成に努めてまいり、委員が言われる牧歌的で魅力ある農村景観、遠くから見ても近くに寄っても好ましい農村イメージをつくってまいりたいと考えているところである。
〇吉田委員長 以上で代表質疑を終わる。
 次に、自由質疑を行う。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先することになっておる。ただいま無所属クラブ、緑政会、日本共産党から申し出があるので、この順に発言を許す。
 なお、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いする。
〇須藤委員 無所属クラブの須藤敏昭である。会派を代表させていただき、総括的に順次質問を行うのでよろしくお願いする。
 まず、本県の救急業務体制についてお伺いする。
 阪神・淡路大震災を契機に、県では消防防災体制の拡充強化に重点的に取り組まれてきたところであり、県御当局の労を多とするものである。しかしながら、本県では、毎年、急病、交通事故等により、県民約50人に1人が救急搬送されるなど、大災害発生時のみならず、定時における救急業務の強化は県民にとって日常の身近な重要な問題である。このような状況の中で、平成3年に救急救命士法が施行されたが、広大な本県では救急患者の搬送、収容、従事者の養成、資機材の配備と市町村のみの力ではそのシステムの確立は容易ではない。県は、津波等の広域的大災害はもとより、平常時の消防救急業務体制の現状をどのようにとらえられ、その施策を進められてきたのかお聞かせ願う。
〇千葉副知事 消防救急業務体制の現状であるが、平成8年4月1日現在、救急自動車が92台で、その救急業務に従事する救急隊は79隊、968人となっておる。平成7年中に救急搬送された傷病者は2万7、000人余となっており、前年と比較して6・7%増加しているものである。その74%が急病と交通事故となっており、委員御指摘のとおり、大災害時はもとより、平時における救急業務の重要性は近年とみに高まってきていると認識しているところである。このような背景を踏まえ、救急業務の高度化を推進するためには、救急救命士の養成あるいは高規格救急自動車の整備方針のもとに、特にも高規格救急自動車の平成16年度までの全県配備を促進するため、県単補助制度を拡充するなどの方策を講じて各消防本部を指導してきたところである。その結果、平成7年度末には救急救命士は40名、高規格救急自動車16台が計画どおり配備されたところである。また、その導入に伴うところの救命効果も向上していることが立証されたところから、さらに救急業務の高度化を計画的に推進したいと考えておる。また、救急救命士が高度な応急処置を行うためには、医療機関の協力が不可欠である。平成7年度に、医療機関、消防機関の参画を得て岩手県救急業務高度化推進連絡会を設置し、随時協議を重ねてまいりその円滑な推進の確立に努めるとともに、先般、運航開始いたした防災ヘリコプターによる救急業務活動が円滑に運用できるよう、あわせて検討を進めているところである。
 なお、先般の阪神・淡路大震災の教訓として、緊急消防援助隊が組織されており、県内はもとより、近隣県及び全国で発生した大規模災害において迅速に対応できる広域応援体制が整備され、また、県地域防災計画の医療保健計画において、災害拠点病院の後方医療体制も明確に位置づけられたところから、大規模な災害時における救急業務体制の一層の確立に向けて関係機関ともども努めてまいりたいと考えておる。
〇須藤委員 了解した。
 次に、外国人留学生の本県理解の増進についてお尋ねする。
 県内に在住する外国人の方々は、平成元年に比べ平成7年は約1・4倍の増、また、県内の大学等に在籍する外国からの留学生も、平成元年度26人から平成8年度は155人と、大幅に増加しているとお聞きしているところである。これら留学生の多くは、帰国後、母国でそれぞれの分野で中心となり活躍されるものと推測されるところである。したがって、これらの方々に本県の自然や風土、また、産業など、幅広く十分に理解していただき、帰国後に本県のすばらしさについて母国の方々にPRしていただき、また、本県との交流のかけ橋になっていただければと期待するところである。
 そこで、県内の大学等に在籍している留学生に対し、本県の状況を理解してもらえるよう、どのような取り組みをなされているのか、また、帰国後の本県とのかかわりの持ち方はどのようになっているのかお伺いする。
〇大隅総務部長 御案内のとおり、本年10月現在、岩手大学を中心に県内の7大学等に155人の留学生が在籍しており、国別では多い順に、中国、マレーシア、韓国、インドネシア、フィリピン、バングラデシュなどの21の国々から来県いたしておる。御指摘のとおり、この方々は、一定の期間岩手で勉学した後本国に帰国され、それぞれの国や地域において将来を担うことが期待される皆さんである。このため、岩手県での生活が心に残る有意義なものとなるよう、国際交流プラザの利活用をいただく一方、本年度から新たに留学生交流事業を始めたところであり、具体的には8月において3日間であったが留学生いわて講座を開設いたしておる。この講座は、岩手の歴史文化や産業経済、自然などの講義と、見学や体験を通じてトータルに学んでもらうことを目的としたものであり、岩手大学の留学生のほか、ドイツから研修で来県いたしておった大学生も参加したが、ホームステイ交流を含む全体のプログラムに対して大変有意義であったという感想をいただいているところである。今後とも、このような取り組みを充実して岩手への理解を深めていただくよう、努力してまいりたいと考えておる。
 次に、留学生に対する援助対策としては、昭和63年度から私費留学生に対して月額1万円の奨学援助金支給事業を実施しており、平成7年度の対象は25人、8年度は27人となっておる。また、今年度から留学生等が帰国する際に希望者をいわて親善大使として委嘱し、海外における岩手のよき理解者として本県とのかけ橋となっていただくための事業を始めており、多くの留学生に呼びかけていきたいと思っておる。今後とも、このような取り組みを通して、留学生と岩手との心のきずなというものを強化してまいりたいと存じておる。
〇須藤委員 次に、公共事業の上半期の契約状況についてお伺いする。
 県においては、今年度4月当初に上半期の県営公共事業の契約目標率を定め、公共事業の施工促進を全庁を挙げて取り組んでいるようであるが、私も公共事業の積極的な推進は本県の社会資本の充実のみならず、本県の景気の回復にも好影響を与えるものと認識しているところである。
 そこでお伺いするが、平成7年度における県営公共事業の上半期の契約目標達成率とその評価をどのようにとらえられているのか。さらに、今年度の上半期契約額と契約率はどの程度であったのか、また、その結果による県内経済への波及効果をどのように見通されているのかお伺いする。
〇武居企画調整部長 本県においては、従前から積雪寒冷地という地理的な条件や公共事業の県内経済に与える効果等を勘案して、公共事業の積極的な早期発注と施工促進に努めてきたところである。
 お尋ねのあった平成7年度について申し上げると、国の経済対策をも勘案しながら、上半期の契約目標率は80%に設定したところである。一方、その実績は率で76・2%、契約額で1、566億円余りとなったところである。これは、県の平成7年度の当初予算が骨格予算であり、6月補正に計上された一部の事業の設計開始がおくれたことなどにより目標率を3・8ポイント下回ったわけであるけれども、契約額はその前年、すなわち平成6年度同期に比べて60億円余り上回り、県内経済の活性化に資するという目的は果たしたものと考えているところである。今年度は、御案内のように、国の予算の成立がおくれ5月に入ってから成立するという状況にあったが、県としては、景気回復基調をより確実なものにするために早期に目標率の設定をすることが必要であるという認識のもとに、4月当初段階で上半期の契約目標率を前年度と同様に80%に設定し、全庁挙げて施工促進に取り組んだところである。その結果、上半期の実績は契約率で79・7%、契約額で過去最高額の1、765億円余りとなっており、当初の目的は十分に達成されたものと考えておる。
 なお、これによる県内経済への波及効果を産業連関表を用いて試算するとおよそ1・65倍という形になるわけであるけれども、これで計算すると2、906億円程度の県内生産が直接、間接に誘発されたものと推定されるところである。
〇須藤委員 次に、障害者の方々の福祉施策の推進についてお伺いする。
 障害者プラン、ノーマライゼーション7カ年戦略に基づく市町村の計画等についてはさきに船越委員が示されたが、重ねて伺うが、このプランの特色は何か。また、このプランを踏まえ、本県ではこれらの方々の状況をどのようにとらえられ、障害者の方々の福祉対策をどのように推進されているのかお伺いする。
〇千葉副知事 障害者の福祉施策の推進の関係であるけれども、まず、障害者プランの特色と具体的な施策の目標であるが、昨年12月に国が策定した障害者プランは、ノーマライゼーションの理念を踏まえて、地域でともに生活することや社会的自立の促進などの視点から、平成14年度までの7カ年にわたり、施策の重点的な推進を図ることとしているところである。その特色としては、まず、平成5年3月に国が策定した障害者対策に関する新長期計画を具体的に推進していくための重点施策実施計画と位置づけられていることである。
 2つ目として、関係省庁で構成される障害者対策推進本部が策定したことにより、障害者の生活全般にわたる施策が横断的、総合的に盛り込まれたことである。
 3番目として、保健福祉分野に数値目標を設定するなど、具体的な施策目標を明記したことが挙げられるものである。
 次に、障害者プランで示された平成14年度までの具体的な施策の目標の主なものとして、地域における障害者の日常生活を支援するグループホーム、福祉ホームの定員を現状の4倍に当たる2万人分とすること、2つ目として、障害者の働く場を提供する授産施設、福祉工場の定員を現状の1・7倍に当たる6万8、000人分とすること、3番目として、重度の障害者に対して常時介護しながら治療を行う身体障害者療護施設の定員を現在の約1・5倍に当たる2万5、000人とすることなどが保健福祉分野を中心に盛り込まれたところである。
〇須藤委員 了解した。
 次に、生物工学研究所の研究推進状況についてお伺いする。
 本県では、平成5年に県生物工学研究所を北上市に設置し、同時に全国から優秀な研究者を募り、バイオテクノロジーの集中的研究を行ってきていると承知しておるが、この間、報道によると、水稲ではいもち病の抵抗性遺伝子の導入、花ではトルコギキョウにウイルス抵抗性遺伝子の導入などがなされたとある。農業が国際化への対応など、近年にない厳しい局面を迎えている今、岩手の農業者が夢を持って取り組めるよう、農業の生産体制の構築が急がれるところであり、このためには生産性の飛躍的向上など新しい技術の開発が重要であると思う。
 そこで、研究開始以来、4年を経過する生物工学研究所での研究取り組みの内容、及びその進捗状況や成果の活用などについてお伺いさせていただく。
〇吉永副知事 生物工学研究所の研究進捗状況であるが、県では品種開発等のバイオテクノロジーの応用学研究を支援、促進するために平成5年度に生物工学研究所を設置し、最新の設備と優秀なスタッフをそろえて最先端のバイオテクノロジー技術を駆使しながら、水稲や野菜、花等の園芸作物、キノコ、清酒酵母等を対象として遺伝子組みかえによる品種開発や細胞培養による大量増殖技術、ウイルス病等の遺伝子検査技術の確立に取り組んでいるところである。研究開始以来4年目であるが、その進展度合いは当初計画を上回っていると考えておる。水稲、リンドウ等の一部作物については、耐病性や耐冷性、優良遺伝子の採取、導入を終え、現在その導入いたした遺伝子の効果発現の確認、特性評価という段階に入っておる。今後、生態系への影響等の安全性評価を経て、それから試験場での実用化試験ということになるかと思うわけであるが、もう少し、もう少しと言ってもこれが何年になるのかわからないが、3年になるのか4年になるのか5年になるのか、もう少し待てば目をみはるような成果が出てくるのではないかと期待しているところである。
 具体的には、水稲では、御指摘のあった本県オリジナル品種のかけはしにいもち病や低温に対する抵抗性遺伝子を導入して、その抵抗性についての評価を確認中ということがある。また、園芸作物では、リンドウから花の色の変化に関与する遺伝子を採取、導入し、その効果を評価中である。また、ウイルス病抵抗性遺伝子をトルコギキョウに導入し、病気を抑える効果を確認したところである。リンゴでは、主力品種のふじへ黒星病等のカビ病抵抗性遺伝子の導入に成功しているところである。また、生物工学研究所では、開発される研究成果は毎年開催されるバイオテクノロジーの研究成果検討会等を通じて、順次、関係試験場に伝達し、実用化に向けた応用化研究に活用することといたしておる。
 今後とも、再編整備される農業研究センターを初め、関係試験場といったものと一層緊密な連携を図り、遺伝子組みかえによる優良品種の開発や大量増殖技術等の確立をより加速し、研究内容を充実強化してまいりたいと考えているところである。
〇須藤委員 目をみはるような大いなる進展を期待いたしておる。
 最後に、まちなみ整備事業についてお伺いする。
 近年、都市の整備については、ゆとりや潤いのある空間の創出、景観に配慮した魅力ある整備が求められてきているところである。近年においては、地域の魅力の向上と活性化を図ることを目的として、釜石や大船渡市等の市街地の中心部においてまちなみ整備事業により歩道のカラー化や街路の整備を進められており、大いに期待されているところである。この事業は、中心市街地、特に商店街において地域の活性化等々、大変有効な事業であると思われるが、当事業の進捗状況と今後の取り組み予定についてお伺いさせていただく。
〇吉永副知事 まちなみ整備事業は、地域と一体となった計画的なまちづくりや各種イベントやプロジェクト等を支援するために町並みを整備し、その魅力向上と活性化を図ることを目的として、平成3年度、県単独事業として創設したものである。委員御指摘のとおり、地域活性化に大変有効な事業と考えておる。事業実施に当たっては、地元商店街等の参加による委員会を設置し、地域の活性化に連動したまちづくりの計画を策定し、安らぎと潤いを与える都市景観や交通弱者に対する優しさに配慮した道路環境の整備により、まちづくり等への支援を行うものである。その整備内容は、歩道のカラー化、植栽、電柱の美装化、照明、案内標識設置等である。7年度末までに山田町山田駅前、大船渡市茶屋前等5カ所で整備が完了し、町並みが明るくきれいになり、商店街等のイメージアップにもなったと好評を得ているところである。現在、花巻市の花巻空港駅前と宮古市の合庁前の2地区で整備を実施中であり、新たに平泉町毛越寺前等2地区で事業化に向けた具体的な取り組みが進められているところである。このほか多くの構想が、事務的には検討を進められているところである。今後とも、安らぎと潤いのある魅力的な町並みの形成に向け、地元の方々と一緒に計画の策定あるいは整備の手法等を検討して、よりよいまちづくりに努めてまいりたいと考えているところである。
〇藤原(泰)委員 緑政会の藤原泰次郎である。私からは5点ほどお伺いしたいと思う。 まず、身近なところからお伺いするが、農業振興の柱は何と言っても水の問題が大事であるわけであり、私ども、地元の関係については山王海地区の排水事業ということで、非常に国、県等から御支援、御援助をいただいて深く感謝申し上げるところである。
 さて、この国営かんがい排水事業については、県内の7地区において実施されておるわけであるが、中でも山王海地区については、昭和20年代に築造した山王海ダムにより恒常的な用水不足は一応解消されたわけであるが、しかし、その後の農地面積の増加や営農形態の変化等によって再び農業用水の不足を来したことから、昭和53年度から国営かんがい排水事業として着工され、今までに葛丸ダムや幹線用水路について整備が行われたところである。また、この地域の基幹的な用水源である山王海ダムのかさ上げについては、先般定礎式が行われたことから、今後、本格的に工事が進められていくものと期待しておるが、全国的にも例のない大規模な工事と伺っており、完成までには相当の年月を要するのではないかと考えているところである。農業、農村を取り巻く環境が一層厳しくなる中で、体質の強い農業と活力ある農村を建設するためには、何と言っても圃場整備やかんがい施設などの農業生産基盤の整備が重要かつ緊急の課題であろうと思うわけである。当地域は、水田の大型化や生産の組織化などにより、低コスト農業に積極的に取り組んでおり、この取り組みについては、今後、農家の方々が安心して農業経営を営むためにも用水の安定供給が急がれるところである。ついては、この事業の今後の見通しをどのように持っておられるのかお伺いしたいと思う。
〇吉永副知事 国営かんがい排水事業山王海地区の進捗状況であるが、山王海地区は紫波町、矢巾町並びに石鳥谷町の3町にまたがり、水田面積は約4、000ヘクタールを超える県下有数の穀倉地帯である。本事業は、本地域の恒常的な用水不足の抜本的な解消を図るために、新山王海ダム及び葛丸ダムの建設並びに幹線用水路の改修など、総事業費約642億円を投じて実施するものである。既に葛丸ダムや幹線用水路については、1期事業として平成3年度に改良し部分的に効果が発現されているところである。新山王海ダムは、現在のダムより約4倍の貯水能力を有し、また、葛丸ダムとはトンネルで相互に結ばれることから、水の有効かつ効率的な利用が図られることとなっておる。新山王海ダムの建設については、平成2年度から2期事業として着手されているところであり、平成7年度までの進捗率は約69%となっておる。ダムの盛り立て工事は本年度から3カ年で実施する予定であり、その後貯水試験を経て平成13年度には事業が完了する予定となっておる。県としても、できるだけ早く事業完了が図られるよう、今後とも国に働きかけていくとともに、関連事業である県営かんがい排水事業や圃場整備などについても、国営事業と並行して鋭意推進してまいりたいと考えているところである。
 この国営事業というか、かんがい排水事業、山王海地区を含む国営土地改良事業は、地区別の事業費の決定が12月の予算案の政府案決定のときに事業別の箇所がそれぞれ具体的に決定されるという、こういったたぐいの予算の箇所に対する数字の決定がそのときに決まってしまうという、ある意味では珍しいものであるが、この中の12月の決定に対して十分な事業費がつくように今現在、大蔵省、農水省等に対して強く働きかけ、その実現を訴えているところである。
〇藤原(泰)委員 いろいろ歴史的な水けんかのあったところであるので、ひとつ今後そのようなことのないように、いろいろ予算の獲得については特段の御配慮をお願い申し上げたいと思う。
 次に、防災行政情報通信ネットワークについてお伺いする。
 先ほどもあったように、災害の関係はいろいろ委員からあったわけであるが、昨年発生した阪神・淡路大震災による被害の状況はまことに悲惨なものであり、いまだに強く目に焼きついておるわけである。ことしは、本県だけでも1万8、000人を超える死者が出た明治三陸大津波あるいは阪神・淡路大震災と同規模であったと言われる陸奥地震からちょうど100年目にあたることもある。県民の防災に対する関心は極めて高いものがある。さきの大震災によって災害応急対策の有効な実施のためには、被害状況の収集、伝達、応急対策の支持、伝達、さらには地域住民に対する正確な情報の提供など、災害関連情報の迅速かつ的確な伝達が極めて重要であることが再認識されたところである。本県は、昭和55年度から防災行政無線システムにより、各地区合同庁舎、各市町村、各消防本部等、関係機関との間で通信運営をしてきておるが、今日、情報通信の分野は技術革新が目覚ましく、また、防災対策を取り巻く情勢も大きく変化してきておる。
 そこでお伺いするが、県は情報通信方式、機器等の進歩に対応したシステムの高規格化あるいは阪神・淡路大震災の教訓など、その後の情勢変化等に対応して防災行政情報通信システムなど、どのように改良、整備されてきたのか、その状況をお聞かせいただきたいと思う。また、今後、防災行政情報通信ネットワークの整備をどのように進めるのか、その方針についてもあわせてお聞かせいただきたいと思う。
〇大隅総務部長 防災行政情報通信システムについてであるが、平成3年度から3カ年事業で約70億円の事業費を投入して衛星系の無線網を整備するとともに、従来の地上系についても通信回線の増設など機能強化を図って、地上系と衛星系の2系統からなる信頼性の高いネットワークとして平成6年度から現在運用しているところである。このネットワークの機能をさらに高めるため、電話と同様な通話方式の移動用無線系を整備して高規格化を図ったほか、県警の本部に衛星用映像受信装置を設置し災害映像の受信を可能とするなど、ネットワークの改良整備を行ったところである。さらに、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、県庁の統制局が被災した場合にその代替ができるよう、衛星通信車ぎんが号に一斉指令装置等を整備したほか、知事公館に、災害時等でNTT回線が不通の場合に備えて衛星通信用設備を設置し、一層の機能強化を図ったところである。
 今後の防災行政情報通信ネットワークの整備方針であるが、昨年度大幅に見直しをいたした岩手県地域防災計画に基づき、将来的には災害現場に持ち運びが可能である可搬型の衛星通信施設の整備、移動用無線の機能強化など、情報通信技術の進展をも念頭に置きながら、ネットワークの機能拡充を図ってまいりたいと存じておる。
〇藤原(泰)委員 次に、市町村における保健婦の確保の状況についてお伺いする。
 御承知のとおり、地域保健法の改正に伴い、県は広域的、専門的、技術的拠点としての保健所の機能強化に努めるとともに、各市町村は住民に身近で頻度の高い保健サービスを一元的に提供することとなっておる。これにより、市町村では母子保健事業等の身近な保健サービスが保健所から移譲されることになり、平成9年度からは母子保健から老人福祉まで、生涯を通じた健康づくりをきめ細かく展開することとなるわけである。これを具体的に実施するためには、特にも、保健活動の主たる担い手である保健婦の確保が極めて重要であると考えておる。市町村の中には、近年の厳しい財政事情などの理由により、その確保が難しいところもあると聞いておるが、市町村における保健婦の確保状況はどうなっておられるであろうか。また、県は保健婦の確保について市町村をどのように指導し、また、どのように支援していくお考えなのかお伺いする。
〇千葉副知事 市町村における保健婦の数は平成8年4月1日現在で、常勤393人、嘱託保健婦6人を加えて399人である。人口に対する保健婦数は全国で3番目に高い設置率となっているものである。また、本県では、昭和44年に未設置市町村が解消をされ、昭和58年からは全市町村で複数配置が図られておる。他県に比較して保健婦の確保は進んでいるものと認識しているところである。
 地域保健各法の改正に伴うところの市町村の保健婦確保に対する県の指導支援の関係については、全市町村に対して平成9年度に移譲される業務の準備状況や人員確保等に対する個別のヒアリングを実施いたして、必要に応じて実施体制の整備等の指導を行っているところである。また、国においても、市町村保健婦の確保のため年々地方交付税の改善が図られているところから、これをもとにして市町村に対して保健婦の確保をお願いしているところである。
 なお、小規模町村の保健活動支援事業の実施により、経験が浅く研修の機会の少ない保健婦を抱える2つの村を対象として資質の向上等のために保健所が直接指導を行うなど、きめ細かな指導支援を行っているところである。今後も、なお、一層努力してまいりたいと考えておる。
〇藤原(泰)委員 次に、知的障害者の福祉施策についてお伺いする。
 平成6年の社会福祉総合動態調査によると、本県の知的障害者数は5、555人とされておる。そのうち、3、030人の方が在宅で暮らしていると聞いておる。最近のノーマライゼーション理念の普及等により、施設での生活から住みなれた家庭や地域で暮らす方向へと障害者や家族の意識も変化してきておる。国の施策も障害者プランに明らかなように、知的障害者が地域でともに生活できる社会の実現を目指して、住まいや働く場の確保などの生活支援策を打ち出しているところである。
 そこでお伺いするが、県においてはこれらのことを踏まえ、知的障害者が地域で暮らすためにどのような施策を講じておられるのであろうか。また、とりわけ在宅の知的障害者にとって、社会参加と自立を図る上で授産施設等の働く場の確保が非常に大切であると考えるが、今後の県の取り組みについてお伺いしたいと思う。
〇千葉副知事 知的障害者の福祉の施策についてであるけれども、平成6年の社会福祉総合動態調査によれば、県内の知的障害児--これは障害者も含むけれども--この方々のニーズは在宅指向へと変化してきておる。したがって、これに対応するための住まいや働く場の確保が重要な課題となってきているところである。こうした状況を踏まえ、県では、障害者が生活指導を受けながら地域の民間住宅等で共同生活ができるグループホームの設置について、東北では最も多い40カ所の整備を行ってきたのを初めとして、就労する障害者の住居として福祉ホーム、あるいは通勤寮を4カ所整備するなど、知的障害者が地域で安心して暮らすための環境づくりに努めてきているところである。さらに、一般就労の困難な方に対しては自宅から通所しながら働ける授産施設を9カ所、生活訓練を行う通所の更生施設を3カ所整備するとともに、27カ所の福祉作業所に対して運営費の補助を行うなど、働く場や活動の場の確保に取り組んでいるところである。
 今後における授産施設の整備等については、3県総の後期の実施計画に基づき、今後さらにその拡充整備を図ることとしておるが、通所授産施設を新たに4カ所、福祉工場を1カ所創設するほか、8年度において重度の障害者に対して補助内容を拡充した福祉作業所やグループホームなどの整備をするなど、積極的に知的障害者の働く場の確保に努めているところである。
〇藤原(泰)委員 次に、地域環境保全林整備事業についてお伺いする。
 本県の森林面積は、120万ヘクタールに及び、県土の77%を占めておる。御案内のとおり、この森林の果たす役割としては、木材の安定供給はもちろんのこと、水資源の涵養、県土や生活環境の保全、保健休養の場の提供など、140万県民の受ける恩恵ははかり知れないものがある。また、最近、経済社会の発展に伴い、都市化の著しい進展と自由余暇時間の増大、生活様式の多様化などから、自然志向、山村志向が高まってきており、自然と触れ合う機会や、青少年の情操教育の場が森林あるいは山村に求められてきておる。このため、森林の持つ多様な公益的機能の維持、増進を図るとともに、都市と山村の交流を通じて、山村地域の活性化を図る上からも、環境保全林の整備を積極的に進めることが肝要ではないかと考えるものである。
 平成5年度から地域環境保全林の整備に対し、国による財政支援措置が講じられたと聞いておるが、本県においては、これまでにどのような整備を行ってこられたのか、お伺いしたいと思う。
〇吉永副知事 地域環境保全林整備事業についてお答えする。
 この事業は、環境保全、保健林用等のすぐれた価値を有する森林を公の施設として取得するとともに、その保全、活用を図るための施設を整備して、県民の皆様方のレクリエーション、自然体験学習の場、憩いの場として活用できる森林空間の提供と、すぐれた自然環境の保全を図ろうとするものである。この事業の計画は、平成6年度から10年度までに、金ヶ崎町の六原地区、二戸市の織詰地区、矢巾町の煙山地区及び三陸町の大窪地区の4カ所約2、000ヘクタールの森林を取得するとともに、東屋、散策路などの施設の整備を進めることとしており、全体の事業費は約84億5、000万円を見込んでおる。
 これまでの取り組みとしては、平成6年度と7年度の2カ年で4カ所の森林の取得を終了し、これらの森林内にあずまや、展望台、散策路や連絡管理道等の施設整備を順次進めており、今後ともこれら森林の総合利用が推進されるよう、各種施設の整備を進めてまいりたいと考えているところである。
〇斉藤委員 日本共産党の斉藤信である。
 まず最初に、消費税問題についてお聞きする。
 消費税の5%増税がさきの総選挙の最大の争点となった。消費税3%で95年度の影響額はどうなっているであろうか。
 消費税5%増税の場合、1%分が地方に還元されると言うが、自治省の試算によると地方財政は1、560億円マイナスとなると指摘されている。本県の場合どうなるんであろうか。
〇大隅総務部長 消費税3%分について正確に算出することは困難であるけれども、仮に平成7年度一般会計決算額の歳出額について推計すると、約92億円程度と見込まれるところである。
 次に、消費税の税率改定等の税制改正に伴う財源不足額については、平成6年10月、自治省と大蔵省との協議によって、地方税財政措置として新設する地方消費税と地方交付税の税率の引き上げによって、全額補てん措置する旨決定されておる。したがって、本県への影響はないものと考えておる。
〇斉藤委員 山形市の試算によると約10億円の減収となると、恐らく盛岡市も同様であろう。市町村の場合、影響が大きいのはなぜであろうか。
〇大隅総務部長 この影響額については、正確に申し上げると試算が不可能である。したがって、果たして、実際市町村が多いものかどうか、私は判断しかねる。
〇斉藤委員 ちょっと答弁不能という感じで残念であるが、自治省の試算どおりにやっていただければ僕はできると思うんである。あした聞こう。
 次に、大型店の元旦初売り営業問題についてお聞きする。
 県内に進出している大型店の状況、大店法規制緩和以降の状況とその影響についてどう把握しているであろうか。
 第2点、ダイエー、イトーヨーカドー、ジャスコ、マイカル東北盛岡南サティなど、大型店が結束して来年の元旦初売り営業を強行しようとしているが、地元商店街や関連業界への影響を含め、どうとらえているであろうか。
 第3点、ダイエーはことし全国400店舗のうち約40店舗で自粛した。来年も仙台では自粛のようである。地元の世論、この反映である。私はぜひこの問題で商工団体の意を受けて、知事、副知事として具体的な対応をしていただきたいと思うが、いかがであろうか。
〇吉永副知事 県内に進出しておる県外資本の大型店については、平成8年11月1日現在で出店届が出されている店舗数は、店舗面積3、000平方メートル以上のいわゆる第1種大型店が27店舗あり、店舗面積3、000平方メートル未満のいわゆる第2種大型店が59店舗となっているところである。また、大規模小売店舗法が大幅に改正されて、規制緩和が実施された平成4年1月以降、第1種、第2種大型店とも出店舗数が増加し、第1種、第2種合わせて、それまで年平均約3店舗であったものが、平成4年度から7年度までは年平均約9店舗となっておる。本年度に入ってからは、11月1日現在で4件とやや落ちついてきている、そういう状況である。このような状況から、大型店が出店している地域の商店街や中小小売店に影響が出てきているものと考えられて、本年度、県内の商工会議所等と連携して中小小売店及び消費者を対象とした影響調査を今、行っているところである。
 次に、元旦営業についてであるが、消費者ニーズの多様化などに対応して、ことしから一部大型店が開始したところであるが、来年はその数が増加するものと見込まれておる。これに対して、都市部を中心とした商工団体等が、商店街の一大イベントである初売り開始日が2日になっているという商慣習を乱すこと、あるいはゆとりある生活を実現しようとする社会一般の流れに反するといったようなことを理由に、元旦営業を自粛するよう大型店に要請していると聞いておる。
 大規模小売店舗法においては、年間休業日数の届け出義務はあるが、元旦営業など特定の日の営業は制限されていないことから、元旦営業そのものは法に抵触するものではない。これに対して大型店と商工団体、地元商店街等との間で、消費者の利便性と地域の実情を踏まえた十分な話し合いが行われ、円満な解決が図られるよう期待しているところである。委員御指摘の具体的な店においても平成8年と来年では対応が違うところもあるし、また、ほかのところにおいても地元の話し合いによって、平成8年は元旦はやったけれども9年は取りやめたというところもあるので、そういったところの話し合いで円満な解決が図られるよう、私どもとしては期待していると、そういうところである。
〇斉藤委員 ぜひ県が音頭をとって大型店と商工団体との話し合いができるように努力していただきたい。
 次に、奥産道雫石東八幡平線についてお聞きする。
 1つ、今回の原生林伐採事件の県、盛岡土木事務所、元請、下請業者のそれぞれの責任は具体的にどうなっているか。
 2つ目、植生被害、地形、地質被害の具体的な状況はどうか。
 3番目、被害箇所は十和田八幡平国立公園第1種特別地域となっているが、それはどういう内容であろうか。
〇吉永副知事 まず、奥産道雫石東八幡平線のそれぞれの責任であるが、土木事務所を含める県の責任としては、自然公園法第17条3項に基づく国立公園特別地域内の土石採取にかかわる環境庁長官の許可手続、また、森林法第34条1項及び2項に基づく土石の採掘等にかかわる県知事の許可手続を欠いたこと、及び請負業者に対する適正な指導監督行為が行われなかったことだと考えておる。請負業者については、現地が国立公園第1種特別地域並びに水源涵養保安林に指定された地域であり、周辺の環境への留意が必要であることについては、事前に土木事務所と確認済みであったにもかかわらず、作業を実施した業者への指示の不徹底、連絡体制の不備、現地立会時の状況確認不足など、監理、監督体制に重大な過失があったと認められたことである。
 次に、植生及び地形、地質の損傷の状況であるが、運搬路として測量道と別のルートを新たに通行したことにより損傷を与えたものであって、その延長は470メートルで、最大幅が15メートル、面積にして0・35ヘクタールである。植生の損傷状況は、バックホーの通行によるチシマザサの踏圧、バックホーによるチシマザサの掘り返し、アオモリトドマツの引き抜き、放置、枝の破損、広葉樹の引き抜き、放置、倒木移動の際の下層植生の撹乱ということである。具体的には、アオモリトドマツが約58本、最も多く、広葉樹は35本、その中はダケカンバ、コシアブラ、ミネカエデといったようなものである。
 地形、地質の損傷状況は、バックホーの通行によるキャタピラのわだち、バックホーのバケットによる掘削の跡、盛り土、土壤の削剥、赤土の露出、谷部、やぶの水みちでの土壤の流出、それから4メートル四方で深さ3メートルといった取水用の穴の掘削といったようなものである。
 次に、国立公園第1種特別地域の内容のお尋ねであるが、公園の風致を維持するために、公園計画に基づいて環境庁長官が指定するものである。第1種特別地域は、これは特別地域に4つあるが、特別保護区に準ずる景観を有し、特別地域のうちで風致を維持する必要性が最も高い地域であって、現在の景観を極力保護することが必要な地域を言うということになっておる。
〇斉藤委員 奥産道雫石東八幡平線については、これまでも開発と自然環境保全に関してさまざまな議論がこの議会でも県民の間でもあった。運動もあった。その結果、10年間凍結された経過もあった。私もすべて議事録を読ませていただいた。工事再開後にも自然環境保全に対する考え方、価値観、この間大きく変わっている。今回の事件は、1、000メートルのトンネルを通す、このこと自身が自然環境への取り返しのつかない破壊につながることの警告ではないだろうか。道路建設のルートを見ると、三ツ石湿原付近の沢、赤川源流部と思われるところを横断することになっている。このルートでは三ツ石湿原の破壊につながりかねないと思われるがどうであろうか。
 松川工区では既に崩壊、地滑り箇所が発生している。現状をどう認識しているであろうか。山岳関係者や自然保護関係者の調査報告によると、水分を含むと20倍にも膨張するモンモリロナイトの地質地帯と指摘されているが、環境アセスでは調査されていなかったのであろうか。
〇吉永副知事 まず、計画ルートが三ツ石湿原の破壊につながらないかということであるが、これは計画に当たっては、環境影響評価を行い、環境庁との協議の中で、自然防災上の観点から総合的な検討を行い、三ツ石湿原に影響を及ぼさないためにトンネルとすることなど、現ルート案で昭和58年に環境庁より基本的に了承されたものである。しかしながら、現在その事業をさらに進めるかどうかについては、現在いろんな意見があることから、当面は、特に本年度は復旧に第1に重点を置くということで、これをどう進めるかについてはいろんな意見があることから、慎重に検討しているという、そういう状況である。 次に、松川地区の地滑り等であるが、崩壊が発生している箇所付近においては、一帯が地滑り地形である。今後とも注意深く追跡調査を行い、適切に対応することが必要であると考えているわけである。環境影響評価は昭和57年度までに行っているわけである。この中で地滑り地帯及び温泉変質地帯ということの、その地滑り地帯及び温泉変質地帯についてはその存在が指摘されておる。
 お尋ねのモンモリロナイトというものの分布については明示されておらない。モンモリロナイトについては斉藤信委員に教えていただきたいんであるけれども、これは私どもが調べたところでは凝灰岩などが風化してできる粘土鉱物であって、水を含むと、さっき20倍とおっしゃっていたけれども、膨張し不安定になる。そういうものだそうである。一般的にその存在は局部的に分布していることが多くて、エックス線分析などで、そういう特殊な検査で確認されるというものである。本県においては、道路工事に伴って、宮古市や北上市等でその存在が確認され、アンカー工法などの採用によって構造物の安定化を図ってきておる。なお、葛根田周辺においてはその存在が言われておって、事業実施に当たっては注意深く排除していくというような、あらかじめそこをわかるためにはエックス線か何かで全部見ないとわからないということであるので、またその存在がわかったときにはその対処の仕方はあるわけであって、そういうことを考えながら注意深く対処していると、そういう状況である。
〇斉藤委員 57年の環境影響調査報告書、これである。その中には今お話にあった地滑り崩壊地等地滑り跡地が見られている。実はここに指摘されていないところが崩落しているんである。これが航空写真のところである。端から行って、ここに大きな崩落箇所があるけれども、ここは崩落箇所に指定されていないところが大きく崩落をしている。そして、道路の上も崩れて、これは道路の上であるけれどもこういう形の工事をしている。いわば松川工区は工事されているけれども、その工事されたところからどんどん崩れて、赤川源流部にどんどん流れているという、大変深刻な事態である。いわば松川工区の工事自身が重大な自然環境を破壊し、これからこの道路が守られるのかという、こういう問題を指摘しているから、私はその点をぜひ調べていただきたいと思うわけである。
 奥産道雫石東八幡平線は、国立公園第1種特別地域にも指定されている貴重なブナ、オオシラビソ原生林地帯である。本来保全されるべきものである。また、保全されてこそこの地域の価値も高まるものである。全国的には尾瀬沼や隣の白神山地など、道路建設をストップして自然環境を保全し、かつ自然にも親しめる経験も生まれている。全国的な状況をどう把握し、奥産道にもどう反映させるか、お聞きする。
〇吉永副知事 全国的な状況をどう把握し、奥産道にどう反映させるかということであるが、開発と環境という問題について、全国的には、今、委員が御指摘になったようないろんな地域でそういうことが起きているわけであるが、開発が、例えば絶滅の危機にある種、エンデンジャード・スピシーというか、そういったものの生態系に影響を及ぼすと、そういうときには開発が抑制されるという、そういう例はあると承知しているわけである。しかし、一般には開発と環境の問題については、私ども人類がかけがえのない地球環境の一部であるということについては、十分に認識しつついろんな事業を行っているということだと考える。この雫石東八幡平線については、これについては先ほど来言っておるとおり、また本会議の一般質問において知事が答弁しているとおり、今現在いろんな意見が寄せられているところであるので、今後、事業を進めるかどうかについては慎重に検討を重ねてまいりたいと、そう考えているところである。
〇斉藤委員 ぜひ慎重にやってほしい。既に道路工事したところは崩れているし、トンネルを通そうとして原生林伐採のこういう事件が起きたんだから、今改めてあの貴重な自然を守るという点で原点に立ち返って検討していただきたい。
 次に、奥産道沢内村の安ケ沢線について、小原委員も聞いたけれども私も一言聞かせていただく。
 1972年に指定された当時と比べて、整備目的の意味、趣旨が変わっているのではないか。例えば、産業の総合的開発の道路、地域間交流、花巻大曲線の代替道路と位置づけたが、もう高速道路も通って107号線も整備をされて、こうした意味はもうなくなっているんじゃないか。その点をお聞きする。
〇吉永副知事 奥産道の安ケ沢線についてであるが、本路線は、御案内のとおり昭和45年から沢内村及び青森営林局より、林業振興のための併用林道等として整備が進められてきたものである。47年に、交通条件が極めて悪く、産業の開発が十分に行われていない山間奥地における産業の総合的な開発の基礎となるべき道路の整備を促進するために、奥地等産業開発道路の指定を受けたものである。その後、昭和50年から54年までに沢内村が国庫補助事業で整備を行い、昭和55年から岩手県が、特豪代行事業--豪雪地帯対策特別措置法に基づく県代行事業として継続整備を行っているところである。その整備目的が変わったのではないかということであるが、例えば産業開発という点では依然林業振興、それから交流という点では岩手県の西和賀地区と秋田県の仙北地区の歴史的交流の復活、あるいは両地域の活性化促進、並びに依然として湯田町と秋田県の六郷町を結ぶ主要地方道花巻大曲線の代替道路としての機能は相互にあると考えられるので、そういう整備目的については変わっていないのではないかと考える。そうすると何が変わったかということであるが、これはやはり環境と開発についての考え方が昭和40年代と現在では変わっていると考えられるわけである。それは委員御案内のとおり、先ほど申したけれども、人間とは何かといったようなこと、人間もかけがえのない地球環境の一部であり、それとの共生を図っていかなければ人間自体も滅ぶという、そういう考え方が一般的になってきたと、そういったことを考えつつ、道路整備に当たってもこうした環境と開発についての一般的な考え方の変化を反映し、常に自然環境との共生を図りつつ進めていくという、そういった点が変わったと考えられる。
〇斉藤委員 そもそも安ケ沢線については、20年工事しているけれども地元の住民ほとんど知らない。そして、今、林業振興と言ったけれども、これは特定植物群落に選定された原生的ブナ原生林地帯である。こんなところで林業振興をやったら大変なことになる。私はそのことをもう1回聞く。
 あわせて、環境影響調査を行うという先ほど答弁があった。ぜひ工事を凍結してこの影響調査を行うべきだと思うが、いかがであろうか。
〇吉永副知事 最初の林業の問題についてはもう少し勉強させていただくが、私どもの立場としては、これは産業開発をする林業振興には役に立つ。今ある林道、営林局が使っている林道というのは非常に悪くて、これを使えば林業振興という、その箇所だけを見るんじゃなくて全体としての林業振興としては意味はあると、そういう考えを持っておる。
 次に、休んで行えということであるが、この地域、沢内村道安ケ沢線の県代行事業区間であるが、この地域は法律等によって開発が規制されているというわけじゃないが、自然と共生する道路整備を行うという観点から、先ほどお答えしたとおり、本路線の周辺の動植物などの自然環境に与える影響については、県としては十分調査する必要があると考えておって、その調査は実施したいと考えておる。ただ、この環境影響調査に当たって工事を中止するべきだということあったが、事業実施に当たって調査に当たって、これは事業実施に当たっては関係機関との協議を終え工事を進めているという区間であるので、今までも改めて環境影響調査のために工事を中止したという事例はないと考えておる。
〇斉藤委員 林道では工事を中止してやるという林野庁のマニュアル、夏油線もそうなっている。あと詳しくは土木でやる。
 次に、岡光前事務次官を中心とする厚生省汚職が東北地方にも広がりを見せている。県としてかかわりがなかったか、調査されたか、お聞きする。
〇千葉副知事 岩手県は厚生省の今回の一連の不祥事件とはかかわりがないものである。また、彩福祉グループとの一切の接触もない。
〇斉藤委員 私にこういう情報が寄せられた。時期が時期なのでお聞きする。
 岡光前事務次官はここ数年来にわたって、特に1月から2月にかけて岩手県によく来ていた。また、厚生省の職員も平日スキーに来ていて、その際は県職員が出張扱いで接待していると、こういう情報が私に寄せられたので、ぜひその実態を調査していただきたい。
〇千葉副知事 厚生省の岡光前事務次官が本県に冬場に来県されたということについては承知しておらない。ただ、厚生省の職員が冬場にスキーに来たということは聞いておる。ただし、これに出張命令等を出して公的に対応したという事実はない。平日に行ったとするならばそれは有給休暇をとって行ったものと承知しておる。
〇斉藤委員 休暇をとって接待したということになるのかどうか。ぜひさらに精査していただきたいと思う。
 次に、官官接待、カラ出張問題についてお聞きする。
 この間、花巻振興局と県衛生研究所の2件のカラ出張が明らかになった。これは後で返却すれば済むという問題であろうか。
〇大隅総務部長 この件に関しては業務が多忙であったという事情があったものの、旅費の返却がおくれたということは、当事者である職員自身の公務意識に欠ける点があったということとともに、これを監督すべき立場にある管理監督者がその責任を十分に果たしていなかったというふうに考えておるところである。まことに遺憾に存じておるところである。
〇斉藤委員 県衛生研の場合は、内部告発が発端だと聞いているが、この際全部局で調査すべきじゃないであろうか。
〇大隅総務部長 今回の旅費の執行について、不適切な事務処理があったので、先ほども申し上げたけれども、行政管理委員会を通じて、各部局における服務規律の確保、それとともに内部考査の徹底を図ってまいりたいと考えておる。
〇斉藤委員 私は岩手県にもカラ懇談会があるのではないかという、こういう問題、一貫して取り上げてきたが、実は昨年3月の1カ月だけで、これ22日間であるけれども、95件の官官接待が行われていた。私はこれは大変異常な事態だと思う。それで、昨年3月の本庁関係の東京出張を調べてみた。その結果、東京出張者がいないにもかかわらず懇談会が開催されている。これは本当に懇談会やられたんであろうか。
〇大隅総務部長 食糧費については、例えば今のお話であるけれども、本県から必ずしも出張しないで東京事務所の職員によって懇談をするということもあるので、少なくともいわゆるカラ懇談、そういうものはないと思っておる。
〇斉藤委員 具体的に聞こう。総務部関係で21件の懇談会があったが、12件はカラの疑いである。例えば、去年の3月8日、秘書課支出の懇談会、1日で3件やられている。相手は3件合わせて10人、県側は11人である。27万1、383円の支出である。出張者は非開示の1件のみである。3月9日、秘書課支出分の懇談会、1日2件、相手が6人、県側は8人、出張者なし。3月13日、総務学事課分の懇談会、相手は4人、県側4人、これは22万6、442円、1人当たり2万8、305円の接待であるけれども、本庁の出張者はない。3月23日、総務学事課分の懇談会、3件1日でやられている。相手が8人、県側は11人、総計32万8、652円、出張者は財政課の3人だけ。東京事務所の行政課の職員10人であろう。全部総出だって足りないぐらいの懇談やっているんである。3月29日、1日で2件の懇談会があった。相手11人、県側9人、出張者はこれ4人いるけれども。3月31日はこれは1件であるけれども、相手が8人、県側3人、出張者なし。これ総務部だけの話を私はしている。21件の懇談会のうち、こういう状況で本当にカラ懇談がなかったと総務部長言えるか、調べたか。
〇大隅総務部長 今お話の件であるけれども、カラ懇談はなかったものと承知しておる。
〇斉藤委員 中央官僚を接待するクラスはどういうクラスであるか。
〇大隅総務部長 それは事案と時と場合によるから、どのクラスということは特に何も定まっているわけではない。
〇斉藤委員 私の質問に対して調べたのかどうか。
〇大隅総務部長 個別に詳しい内容を調べたわけではないけれども、私も総務部を所管しておるので、委員は総務部のお話、今お話あったので、いわゆるカラ懇談のようなものはないと信じておる。
〇斉藤委員 これはぜひ私は具体的に指摘しているのだから、調査した上で答えていただきたい。あした総務部の審査だから、私はそのことを強く求めて私の質問を終わる。
〇吉田委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田委員長 質疑がないようなので、総括に対する質疑はこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。あす以降は毎日午前10時から開会するので、よろしくお願いする。
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時55分 散 会

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