平成8年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(谷藤裕明君) 自由民主党の谷藤裕明であります。
 質問に先立ちまして、昨日来登壇された先輩方の質問と若干重複する点があろうかと思いますが、よろしく御対応いただきますようお願い申し上げます。
 今春、日本高校野球連盟は、高校野球特別規則の禁止項目にトリックプレーの禁止を盛り込んだところであります。例えば走者2、3塁のとき、投手が2塁へ偽投、遊撃手が取り損ねたように転んだり、ジャンプしたり、演技をする。その後、投手はだまされて飛び出した走者を刺そうとするものであります。いわばこれはフェアではなく、スポーツマンらしからぬというのがその理由であります。スポーツのルールは我々の生活の基本ルールそのものであり、特にも政治の分野においても求められるべき行動原理と存じておりますが、県政を負託された我々も、いかなる場合にあっても自己の信念に沿って、フェアに--これは公正と言いかえてもよろしいでしょう--、正々堂々と邁進すべきことが県民の信頼を得るものと考えております。
 ところで知事は、昨年6月の就任後の所信演述において、未来を見据えながら、常に県民の先頭に立ち、渾身の力を込めて県勢の発展と県民生活の向上に取り組む決意、と表明され、また、答弁にても、もとより公正な県政の実現は私の基本姿勢であり、透明性の高いわかりやすい県政を推進するとも述べられ、特定政党の支持を受けているとはいえ、公正な県政を訴えられておられました。しかるがゆえに、私は、支持政党の違いはあるとしても、知事に御期待申し上げてきたのであります。申し上げるまでもなく、特定政党の利益のみに走ることは最も回避すべきことと存じるものであります。知事にあっては、まさしく140万県民の指導者として、県民の利益のために公に尽くすことこそその行動原理であるべきなのであります。
 さて、知事は、先月14日、衆議院選挙への対応を問われた記者会見の席上、適切に対応すると発言され、その数時間後、特定選挙区の特定候補の演説会に駆けつけ応援演説を打ち、見事その候補を当選せしめたのであります。その後、知事は、その行動については直前になって決めたと正直に発言されておられます。政治信条として、日ごろ公正さを至上とする知事において、直前まで態度を表明しなかったのは、よもや高度なトリックプレーを企てたということはありますまいから、結局のところ、最後の最後までお迷いになられたのではないかと存じるものであります。すなわち、知事とはいえ、御自身がおっしゃっておられたように、公選で選ばれたものであることから、おのずと政治的な主張を持つとはいえ、県民の利益を第一に考えるべき立場の知事としては、特定政党の特定候補の支持を表明することについては、政権与党との関係でいかなる影響があるのかを考え、逡巡されたのではないかと失礼ながら心中を察するものでありますが、透明な県政を標榜される知事、その心情を今こそここに県民に正直に吐露してくださいますようにお願いしたいのであります。
 また、知事は、衆議院選挙中の10月14日の記者会見にて、当該選挙にては適切なる対応をする旨を発言されたのでありますが、適切というのは、知事としての発言であるならば、県民の利益の観点に立っての適切か否かであると存じますが、このたびの特定政党、特定候補への応援はどこが適切であったのか、その御所見についてお聞かせ願いたいのであります。
 また、県政の負託を受けた政治家の信念とは、みずからの信じる信条について強く訴え、県民、有権者の信頼を獲得することであるとすれば、なぜ特定選挙区の候補者1人のみを応援し、他の選挙区の候補者については応援しなかったのでありましょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、知事は、県民の利益を確保するとたびたびおっしゃっておられますが、特定政党の支持を継続することは、政権政党との関係で、必ずしも県民の益に利することにはならないのではないかとの見方があり、特に心配されるのが、まず、統一要望であります。知事は、さきの記者会見において、統一要望などは県民すべての要望であり、県民の利益を確保するためそれぞれの立場で努力するものであるとして、大きな影響はないとの認識を示されたところであります。限られた予算上の制約の中で、優先順位により選択するのが政治であるとすれば、統一要望は地域の実情を訴え、地域課題を熱望し、政治に訴え、実現する好機であります。言うなれば、県政において最も重要かつ喫緊の課題解決について国の支援によらんとするものでありますことから、議会も執行部も一体となってその早期実現を迫ることに主眼があるということは異論のないところであります。したがって、県民の期待するところは、県民140万を代表する知事が、党派を超えて県の課題について各省庁の最高責任者、トップ、大臣に対して本県の実情を訴え、熱望することであろうと存じます。さすればこそ、さすが増田知事、我らが選んだ我がリーダーであると称賛の声もほうはいと沸き上がってくるのではないかと確信するのであります。かかる期待があるからこそ、議会ともども上京し、お願いするのであります。しかし、いかなることでしょう、ことしで通算4回目になる統一要望においても、そのトップ、大臣に会えないままの要望となってしまったことは御案内のとおりであります。数々の要望項目の実現性はどうでありましょうか。県東京事務所だけでなく、知事みずから進んで努力され、再度大臣の約束を取りつけ、実現する必要はないのでしょうか、お伺いいたします。
 折も折、来年度、建設省においては公共事業の見直しを行い、施行箇所の実施箇所を絞り込んで重点投資することとしておりますが、他県に比較し、立ちおくれている道路等の社会資本整備がまだまだ必要な本県は全力を挙げて取り組む必要がありますが、重点投資すると言っている中にあって、ますます厳しい状況が見込まれるところでありますが、本県への影響をどう考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、県政の諸課題についてお伺いいたします。
 まず、行政改革に関連して、機構改革について伺います。
 知事は、このたびの県議会において、部設置条例の一部を改正する等の条例を提案し、行政機構の肥大化を抑止し、簡素で効率的な行政運営の確保を目指すこととしていることは御案内のとおりであります。特にも知事は、歴代の知事がなし得なかった土木事務所を地方振興局の中に取り込むことについても、さまざまな異論があった中にあってその理解を求め、関係方面の賛意を取りつけるなど、着々とその実を上げてこられたことはまことに御同慶の至りであります。かくなる上は、当該改革が看板のかけかえだけで、その経費の分だけがかかり増しであったということがないよう、実りあるものにするという観点に立って数点の具体的な課題についてただしたいと存じますので、御答弁のほどお願いいたします。
 まず、地方分権とのかかわりでありますが、目下のところは地方分権推進委員会において国の機関委任事務などの廃止及び自治事務や法定受託事務の創設が検討されているところであります。それに伴って県段階における新たな業務量の増大も予想されるところでありますが、それに適切に対応するためには、組織もともかく、県全体の事務事業のスリム化がもとより必要であると存じますが、その整理状況はいかがでしょうか、お示し願いたいと存じます。
 また、本庁機構をよりスリムにし、地方振興局の権限を拡充強化するということにつきましては、地域に密着した事務は可能な限り地域において完結できるようにするといったことがそのねらいとされていると伺っており、市町村や地域住民の寄せる期待も大きいものと存じております。
 そこで伺いますが、地域に密着した事務に関連して、本庁から地方振興局への権限の委譲の見通し、加えて市町村の権限との役割区分の調整はいかになっているのでありましょうか、あわせて御答弁をお願いいたします。
 次に、競技スポーツ振興に関連して、ナショナルトレーニングセンターの誘致についてお伺いいたします。
 県は、このたびの政府予算統一要望において、21世紀の我が日本の競技スポーツの浮沈を左右する選手強化の拠点、ナショナルトレーニングセンターの設置について盛り込んだことは、まことに時宜を得たものと心から歓迎いたすものであります。御承知のとおり、アメリカや韓国など、いわゆるスポーツ先進国にあっては、トレーニングのみならず、医、科学の研究施設を備えた選手強化拠点施設を既に有し、好成績を上げておりますが、我が国における当センターの取り組みにつきましては、メダル14個と予想外に振るわなかったアトランタオリンピックを契機として、その早期実現を求める声は日増しに強まり、それを受け、文部省におきましても平成9年度の概算要求に1、500万円の調査費を盛り込んだところであります。一方、日本オリンピック委員会は、平成4年秋に長野県佐久市の高原を候補地として調査した経緯があって、その計画構想によれば、1、600ヘクタールの広大な敷地に各競技団体が必要とする最先端のハイテク技術を備えたトラック、体育館、プール等、さまざまな施設を民間企業の協力により建設しようというもので、その費用は1、000億超との試算でありましたが、景気の低迷により、立ち消えになったのであります。しかし、同委員会では、平成9年において東京都内に国立スポーツ科学センターが着工され、格闘技などの練習施設が整備され、また、同じく来年においては福島県にサッカーを中心とした大規模練習施設が完成するなど、競技ごとに各地に強化拠点を整備するとの動きがあることから、今後、規模縮小を含め、作業部会をつくり、検討することにしたと聞いております。今後それらの構想が示されたとしても、いずれ立地について国内各地での綱引きが予想され、極めて厳しい状況に置かれるのではないかと予想されるのであります。
 そこで伺いますが、県としては、具体的に最適な立地条件を有する場所とはどこを構想し、要望しているのかお聞かせ願いたいと存じます。
 また、現在、調査が進められている総合的なスポーツ施設との有機的な連携を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、花巻東京線の復活に向けた取り組みについてであります。
 御承知のとおり、来春、羽田空港沖を埋め立てて整備している新C滑走路の完成に伴い、当該空港の離発着の枠が40便ほど拡大されると伺っており、運輸省では、今月、公平な増便枠の配分方法を探るべく、第三者機関配分基準懇談会を発足させ、検討に着手したと聞いております。昭和60年の東北新幹線の上野開業から3カ月後に休止に追い込まれました花巻東京線については、申し上げるまでもなく、東京羽田から国内各地への航空路の円滑なる乗り継ぎを確保する上で必要不可欠なるものであり、本県としても幾度か関係機関に要望してきた経緯がありますし、また、県外からの誘致企業を初め、多くの県内企業からも強い要請があると聞いております。県におきましても、総合交通体系基本計画の中の航空ネットワークの整備の項において、国内各地への乗り継ぎの利便性向上の確保を図るべく、花巻東京線の復活を掲げているところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで、今回の離発着枠の増回を好機として、強くその復活を働きかけてまいる必要があると存じますが、県としてのこれまでの取り組みと実現の可能性について御答弁をお願いいたします。
 次に、盛岡駅西口に立地が計画されている複合交通センタービルの建設について伺います。
 当該センターは、盛岡駅西地区都市開発整備事業による高次都市施設として位置づけられていることは御案内のとおりであります。北東北の拠点機能の優位性を生かし、バス路線等の新幹線へのフィーダー機能をいかんなく発揮してもらうためには、何といっても複合交通センタービルの早期整備が不可欠であります。当該センターの事業主体については盛岡市であるとは申せ、県都の拠点機能の充実を図ることは県としても極めて重要と考えるものであります。この観点からするならば、私は、その早期完成に向けた取り組みを今より関係機関と十分意見調整をしながら取り組んでまいるべきものと考えるものであります。県におきましても、特にも盛岡市を指導支援していくことが必要と存じますが、現在の取り組みの状況はどうでありましょうか、お伺いいたします。
 次に、産業の空洞化対策についてお伺いいたします。
 最近における製造業の海外シフトなどによる国内産業の空洞化は、国内雇用に深刻な影響を及ぼしかねないとの危機感が強まっております。通産省の海外展開企業調査の結果によりますと、急激な円高がその原因であるとされたこの空洞化は、日本経済の高コスト化等により円安傾向になっても進み、その結果、国内の製造業の雇用は平成12年度までに約120万人分も失われるとのことであり、本県においても少なからぬ影響が懸念されるところであります。本県における誘致企業の製造業におけるウエートは雇用状況や工業出荷額でも大きな比重を持っていることから、これら企業の産業活動の波及効果が大きいだけに、その動向いかんによっては地場の中小関連企業へのしわ寄せや雇用状況の悪化を招くなど、そのマイナスの影響も大きいものと見込まれるのであります。さらには、開学する県立大学は平成14年に初めて卒業者を世に送ることになるわけでありますが、それら卒業生の受け皿として、その雇用機会を確保しなければならない差し迫った状況にもあるということに留意すべきであります。私は、2月定例会でも申し上げたところでありますが、避けては通れない国際経済の激動の中にあって、今後の産業振興対策は、現在の企業誘致に重点を置く、いわゆる立地重点施策に加え、新たに景気動向に比較的左右されない民間の研究所や研究開発型企業の誘致に積極的に取り組んでいくべき時期に来ているのではないかと考えるものであります。それら整備により関連地域産業が育成されることが期待され、ひいては雇用機会の確保が着実になし得ることともなるものと存じるからであります。創造的な仕事に従事するにふさわしい自然環境のすぐれた本県の優位性を生かし、研究所や研究開発型企業の誘致を積極的に展開していくことこそが最も適切であると存じますが、いかがでしょうか、御所見を賜りたいと存じます。
 そのような意味で、とりわけ重要なのは盛岡西リサーチパークであると存じます。企業の研究所及びソフトウエア業などの産業支援サービスの集積を促進するための中核的な業務用地、いわゆる盛岡西リサーチパークは、地域振興整備公団を事業主体としてこの5月において着工したところであり、平成9年中の完成が予定されているところであります。県としても、将来にわたる雇用確保対策や、さらには地域振興の観点からも、対象とする業種の誘致についての優遇措置を設けるなどして、今から積極的かつ早期に取り組んでいくべきであると考えますが、いかがでしょうか、当局の御所見をお伺いいたします。
 最後に、食品の安全確保についてお伺いいたします。
 このほど開催された日本の地域の伝統食を見直し、新たな食文化の創造を目指すことなどを趣旨とする全国食文化交流プラザ、食パラダイス岩手'96は成功裏のうちに終了したところであり、御同慶の至りであります。今後はその成果を継承してまいらなければならないと存じますが、これは、このたびの盛況をどう認識するかによってくるのであります。当初の予想を大きく上回る多数の人々が参集したということでありますが、これは、いかに食に対する人々の関心が高いものであるかということの証左でありますが、近年、ライフスタイルの変化等により輸入食品の割合が大変な増加傾向を示すなど、県民の食生活環境が多様化してきている状況や、特に輸入外米の汚染問題等をあわせ考えてみるならば、私は、食品に対する安全性について常に不安を抱き、その安全性を求める人々が多数いるのだと受けとめた次第であります。当プラザが食の安全に揺るぎない信頼を寄せられている地域の伝統食文化にスポットを当てていたことからも明らかであると存じます。国際経済の進展の中で、外国産食料品、食品の輸入は今まで以上に活発化してくると存じますが、そのような中にあって、これまで以上に食品に対する安全確保が要請されているのであります。農畜産物の輸入自由化を我が国に迫ってきたアメリカでは、明年12月からハサップ方式、いわゆる危害度分析重要管理点方式を適用し、輸入食品の安全性を確保することとし、我が国においてもハサップ方式の導入がなされると聞いております。本県においても、今回のプラザ開催を契機として、これまで以上に食品の安全に対する意識の高まりにこたえた施策の推進が求められると存じますが、今後のお取り組みについてお示しを願いたいと存じます。
 まだ時間が若干ありますけれども、以上で質問を終わらせていただきます。答弁をいただきながらまた再質問をする機会もあろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 谷藤裕明議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、特定の政党の候補者のみの応援をしたことに対する私の信条などについてのお尋ねでございますけれども、私は、政治家としての一面を持つというその立場から、熟慮の上、私の信条、信念に基づきまして、総合的な政治的決断ということでみずからの行動をとったところでございます。もちろんそのことによって生じます数多くの御意見、昨日来本議場におきましてもいろいろな先輩方からの御意見が出ておりますけれども、こうした御意見というものについても謙虚に耳を傾けてまいりたいと、このように率直に思っているところでございます。いずれにいたしましても、本県の発展のために、県政の推進にその責任者として最大限の力を尽くしてまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、政府予算統一要望についてでございますけれども、去る11月15日に、御承知のとおり、各省庁の概算要求に盛り込まれた項目を中心といたしまして、県政推進上重要な72の項目につきまして、制度改正あるいは本県への事業導入が図られるように、政府及び関係機関に対しまして、県議会の御協力も賜りながら一体となって要望してまいったところでございまして、本県の実情及び要望の趣旨につきましては、それぞれの関係省庁、機関におきましても十分御理解いただいたものと、このように考えております。
 一方で国の財政は例年にも増して厳しく、特に地方にとりましては逆風下にあると、こういう状況でございまして、本県の要望がこの政府予算の中に確実に盛り込まれるかどうか予断を許さないという状況でございます。もとより、これらの要望事項は、いずれも県民の切実な願いの結集でございますので、県といたしましては、引き続き議会の方の御協力もいただきながら、あらゆる機会をとらえまして、関係省庁に対し積極的に本県の実情を訴えるなど、その実現に向けまして、引き続き努力を重ねてまいりたいと存じております。
 次に、民間の研究機関、そして研究開発型企業の誘致についてのお尋ねでございますけれども、本県産業の付加価値生産性を高めるためには、こうした研究所や研究開発型企業の導入が必要であると、こういう認識のもとに、従来からその誘致に努めてきたところでございます。この結果、これまで超電導工学研究所、そして海洋バイオテクノロジー研究所のほか、研究開発型企業につきましても、北上川の流域を中心といたしまして、相当数の立地を見ているところでございまして、こうした研究所あるいは研究開発型企業の集積が本県の産業の振興に大きな効果があったものと、このように考えているところでございます。
 一方におきまして、本年11月の通商産業省の海外展開戦略に係る企業調査報告書と、こういうものがございまして、これの内容によりますと、近年の円高、そして東アジア地域の工業技術力の向上などを背景といたしまして、汎用品を中心とする製造業の海外移転は今後とも進むとの厳しい予測がなされているところでございまして、本県におきましても、このような環境変化のもとで、工業出荷額の伸び悩みや企業立地件数の低迷などが現実に生じてきているところでございます。このような中にありまして、県内におきます工業構造を高度化すると、そして活力ある産業活動を実現していくためには、製造業のみならずこれを支援する研究機関などにいわゆる産業の頭脳部門、この頭脳部門の導入を図りまして、両者が一体となった産業活動が展開されることが望ましいと、このように考えているところでございます。
 本県におきましては、東北縦貫自動車道を初めとする高速交通体系の整備とあわせまして、これらの産業の受け皿となります盛岡西リサーチパークなどの整備にも着手をし、また、自然環境にも恵まれているということなど、ただいま議員からお話があったような研究機関の立地に適した条件を有しているわけでございますので、今後は、成長分野として期待される住宅関連、そして医療、福祉関連などの内需型業種に加えまして、研究機関やソフトウエア産業などのいわゆる産業支援機能の業種、こうした業種のほか研究開発型企業ですとか、先端技術産業などの創造性豊かな企業の誘致を積極的に進めてまいる考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長の方から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) まず、建設省における公共事業の見直しに伴う社会資本整備への影響についてでありますが、本県におきましては、県土の均衡ある発展を図ることを基本として、多様な地域連携、交流の促進による自立的な地域社会の形成のため、道路交通網の整備や下水道を初めとする生活関連インフラの整備など、より一層の社会資本整備が求められております。このようなことから、道路や河川、下水道など、本県の立ちおくれている社会資本整備を推進するため、日ごろから国及び関係機関に対して本県の実情を説明し、積極的に事業の導入に努めてまいったところであります。
 一方、建設省におきましては、近年の公共事業のあり方や地方分権をめぐるさまざまな意見を踏まえ、これまでも計画的、重点的な社会資本整備が進められてきたところでありますが、本県におきましても、同様に、限られた財源で効率的に社会資本を整備するため、重点的な事業の執行に配慮してまいったところであります。建設省においては、来年度につきましても厳しい国の財政事情のもとで、重点化等による投資効果の向上、省庁間を横断した政策テーマについての連携、建設コストの縮減、既存ストックの有効活用などを進めるとともに、補助事業については国と地方の適切な役割分担のもとに事業箇所の絞り込み、重点配分を行うこととされております。このような建設省の動向により、本県を初めとする社会資本整備の立ちおくれている地方においては、事業の確保が今後厳しくなることが懸念されるところであります。
 こうした状況を踏まえ、先般の統一要望の実施に当たりましても要望事項を厳選し、本県の実情を説明するなど、その実現について理解を得るよう努めてまいったところであります。このほか、県民の声を直接関係機関に伝えるため、公共事業の財源確保や道路等公共施設の整備促進に関する総決起大会が開催されるなど、県民と一体となった積極的な要望活動を展開しているところであります。今後とも機会をとらえて本県の置かれた状況を強く唱え、本県の発展基盤である社会資本の整備が促進されるよう、一層努力を重ねてまいる所存であります。
 次に、盛岡駅西口地区の複合交通センターの建設についてでありますが、本地区の都市開発整備事業は、県都盛岡の現都心部への1点集中型の都市構造から生じる都市整備上の課題に対処しつつ、魅力ある都心を創出し、北東北の拠点都市としてふさわしい高次都市施設や生活基盤施設等の整備を図ろうとするものであります。この地区開発の先導的施設であり、地区のシンボルでもある地上20階建ての地域交流センター、いわゆるマリオスが、来年10月の完成を目指して急ピッチで建設が進められており、一方、周辺の駅前交通広場や人工地盤、道路等の基盤施設も着々と整備が進められているところであります。複合交通センターは、駅前交通広場等と一体となって、バスターミナル、駐車場等の複合的な交通機能のほか、観光交通情報の提供や商業業務等の機能を持つ施設として計画されており、西口地区都市開発整備事業の主要な施設の1つであると認識しております。盛岡市では、この施設の実現に向けてJR東日本や岩手県バス協会、盛岡商工会議所、県等の関係機関による調査検討委員会を設置し、導入施設や規模等の基本構想を取りまとめたところであり、現在この構想を踏まえて、採算性や建設手法等について具体の検討が進められているところであります。県といたしましても、複合交通センターの重要性にかんがみ、早期に事業化が図られるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、事務事業の見直しについてでありますが、県におきましては、これまでも社会経済情勢の変化や新たな行政課題に的確に対応するため、事務事業の必要性、効率性や、民間、市町村との役割分担などの観点から不断に事務事業の見直しに取り組むとともに、効率的な事務執行に努めてきたところであります。今般の行政改革におきましても、平成7年度に全庁的に事務事業623件に関し総点検を行い、そのうち363件について、平成8年度から平成12年度までに、事務事業の廃止、電算化、権限委譲などの改善策を検討の上、計画的に整理合理化を行うこととし、毎年度の行政改革推進方針などの中で、事務事業の簡素、効率化を推進してまいる考えであります。
 次に、地方振興局及び市町村への権限委譲についてでありますが、県といたしましては、地方の自主性と自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するためには、地域に関する行政は、できる限り住民に身近な行政主体において処理することが望ましいと考えておりまして、先端行政を担う市町村と、それを広域的に支援する地方振興局の役割が、今後ますます重要になってくるものと認識しております。
 このような認識のもとに、行政事務の迅速かつ効率的な執行による県民サービスの向上を図るため、地方振興局及び市町村への権限の委譲を、今後おおむね5年間に年次的、計画的に行うことを主な内容とする指針を策定したいと考えておりまして、現在その作業を鋭意取り進めているところでございます。
 地方振興局に対する権限の委譲に関しましては、地方振興局が地域における県の総合出先機関として、61年度に創設されて以来、果たしてきた実績を基礎といたしまして、さらに県民の利便性の向上、事務処理の完結性の向上、市町村、広域行政の支援機能の充実などを図ることを重点といたしまして、事務類型別にガイドラインを設定し、本庁権限の委譲を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 また、市町村に対する権限移譲につきましては、市町村が当該市町村の実情に応じた行政を主体的に担い、地域の独自性に基づいた特色ある施策をみずからの責任において決定し、地方振興局は、総合的、広域的な見地から市町村の地域づくりを支援するという、役割分担を基本とし、地域住民の利便性の向上等の観点から見て、市町村が中心的に担うことが適当と考えられる事務について、県、市町村を通じた条件整備を図りつつ、各市町村と十分に協議をしながら、逐次、県事務の移譲を進めてまいる考えであります。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) 花巻東京線の復活についてであります。
 御指摘のとおり、本年度末に予定される羽田空港の新滑走路供用開始に伴う発着枠の拡大を控えまして、現在、航空各社による増便、路線新設に向けた検討や、運輸省が設けました懇談会における発着枠の配分基準に関する審議が進められております。県におきましては、これまで首都圏との交流の拡大や羽田からの航空路線へのアクセスの改善に期待される役割が大きいことを踏まえ、航空各社を初めとする関係機関に対して、花巻東京線の復活に向けた働きかけを続けてきております。発着枠拡大の見通しが明確となった本年におきましても、夏、それから今回の冬の2回の統一要望の際も含めまして、さまざまな機会に要望活動を行っているところであります。しかしながら、運輸省の懇談会は、路線ではなく各社への枠配分の調整を目的としており、新たな枠に充てる個々の路線の選択は、一義的には、航空会社各社が経営上の観点から判断することとされております。航空各社は近年の競争激化により経営悪化が続いている上、今回の配分に際しましては、高収益路線のみの運航を目指す、新聞にも一部報道されておりますHIS等の新会社の参入も考えられますことから、各社の自社枠の縮小さえ予想されることなどを背景に、要望先の航空各社からは、会社として以前にも増して需要の確実さや、収益性を重視せざるを得ないため、新幹線と競合する花巻東京線を取り巻く環境は大変厳しいとの感触を得ているところであります。県といたしましては、このような状況を踏まえつつも、花巻空港の利用者数が近年大幅に著しく伸びている実績等も十分に強調しながら、今回の枠配分が決着するまでの間、航空各社に対する働きかけに全力を挙げてまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君) 盛岡西リサーチパークについてでありますが、このリサーチパークは、いわゆる頭脳立地法に基づく盛岡地域集積促進計画の中核的なプロジェクトとして位置づけられており、現在、平成10年3月の分譲開始に向け、順調に造成工事が進められているところであります。経済のソフト化、サービス化や国内製造業の高付加価値化が進展する中で、ソフトウエア業、デザイン業、研究所などの産業の頭脳部門の集積を目指す盛岡西リサーチパークの整備は、本県産業の高度化に大きく寄与するものと考えております。
 本リサーチパークへの企業誘致の取り組みにつきましては、昨年10月、県、地域振興整備公団及び地元滝沢村の三者による、盛岡西リサーチパーク企業誘致促進協議会を設立し、首都圏を中心とする産業支援サービス業を対象としたアンケート調査の実施や、パンフレット等を作成、配布するなど、既に平成10年の分譲開始に向けた企業誘致活動を積極的に行っているところであります。本年度におきましては、本リサーチパークの視察を希望する、ソフトウエア業を初めとする県内外の企業を対象に、7月に盛岡西リサーチパーク現地視察会を開催したほか、10月及び11月に開催されました名古屋地区、東京地区の企業立地フェアいわてにおいても、本リサーチパークの宣伝活動や企業立地情報の収集を行うなど、積極的な企業誘致活動を展開しているところであります。
 県といたしましては、今後とも、県、地域振興整備公団及び滝沢村一体となって、誘致についての優遇措置なども検討しながら、積極的な企業誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 食品の安全性の確保についてでありますが、食をめぐる環境は、輸入食品の増大、食品製造技術の高度化、流通の複雑化等に伴い、食品の安全性に係る問題が複雑多様化しており、県民の食品の安全性に対する関心が高まりを見せていることは御指摘のとおりであり、県といたしましても、食品の安全性確保を一層推進することが極めて重要であると認識しているところであります。今後の食品の安全性確保に関する取り組みにつきましては、地域保健法の趣旨を踏まえ、保健所の機能強化を図るなどにより、食品関係営業施設等の監視指導を充実し、特にも大量広域に流通する食品の製造施設、学校給食施設及び大規模調理施設等について微生物学的検査を取り入れた現場検査の実施など科学的な監視指導体制を確立し、食品の安全性確保の推進に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、輸入食品を含めた市場流通食品についても、添加物、残留農薬等の各種検査を一層充実してまいる所存であります。
 また、食品衛生法ではハサップの導入について、当面、乳・乳製品、食肉製品に適応されることとされていることから、県では営業者がハサップシステムによる衛生管理の計画等を策定する際に専門的立場からモニタリング方法等の必要な支援、指導を行ってまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) ナショナルトレーニングセンターの誘致についてお答えいたします。
 現在、文部省が構想しているナショナルトレーニングセンターにつきましては、まだ概算要求の段階にあり、その規模等は明らかになっておりませんが、どのような規模の施設であっても、必要な用地を本県に確保することは可能であるというふうに考えております。したがいまして、現時点ではまだ候補地の想定はしておりませんが、夏季のスポーツはもとより冬季スポーツにも適した自然環境を有し、加えて高速交通体系の整備も進んでいることから、本県は最適な立地条件を備えているものと考え、誘致に乗り出したところであります。また、本県では二巡目の国民体育大会等の開催に向けてスポーツ施設の総合的な整備を図ることとしておりますが、ナショナルトレーニングセンターとの連携が図られればなお望ましいと考えております。ナショナルトレーニングセンターの誘致につきましては、他県との競合もあり大変厳しいものがあると予想されますが、県といたしましては、今後とも国の動向を的確に把握しながら、本県誘致に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇21番(谷藤裕明君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。数点にわたりまして再質問させていただきたいと思います。
 まず、知事にお伺いをしたいわけでございますけれども、知事とそれから政治家という立場、それぞれあろうかと思いますけれども、10月14日の時点で表現された適切なというのは、知事自身にとってではなくて、県民の利益にとって適切なということであると、私なりに考えておりましたが、このたびの知事の行動は県民の利益に相通ずるものでしょうかと、私はちょっと疑問を実は持ちます。すべての県民が納得できる形での御答弁をこれはお願いをしたいなと思っております。
 また、統一要望についてでありますけれども、政府・与党の我が自由民主党は、知事の支持政党が違うからというだけの理由で大臣に会わせないというほど狭量ではないと思っております。昨日も佐藤正春先輩が申されましたけれども、現に大臣との約束、つまりこれは我が党の鈴木俊一厚生政務次官が、県当局からは橋渡しのお願いも何もなかったと述べられておりますし、また、その用意が実はあったけれども打診も何もなかったと、これは県民の利益を第1に考えるならば、積極的にお願いすべきではなかったのかと、私は残念に実は思っております。むしろこのたびの問題は、公正を旨とする知事の行動による影響が出たのではないか。すなわち、知事を支える事務方、職員において、知事の支持する政党が政権与党と違うからという理由で、最初から遠慮というよりは、むしろあきらめてはいやしなかったのか、言うなれば、県当局の統一陳情にかける熱意喪失により、事前の準備に周到さが欠落していたのではないかと憂慮されるのでありますが、いかがでしょうか。
 県勢発展のためには、県政万般にわたり、国政の支援、協力が不可欠であるのでありますが、このたびの統一要望のときのように、今後、公正な知事と政権与党との関係を余りにも気にして、このような形で県当局が萎縮するのでは、将来にあしき影響が出てきては困ると存じますが、いかがでしょうか。知事は先ほどもあらゆる機会をとらえてと、今後の対応も含めてですが、そういうことを御答弁いただいたわけですけれども、今後のあらゆる機会という中にはあらゆるそういうことも含まれているということになろうかと思います。いずれ前向きに県民のためにどのように今後行動していけばいいのかということを含めて、知事の御所見を求めたいと思うものであります。
 次に、地方振興局の権限委譲に関してでありますが、そのことにより、当然のことながら地方振興局においては、それに係る事務量が増加するわけでありますが、それを円満に消化できるためには、それぞれに応じた人員体制がとれていることがもとより必要であります。そこで、留意しなければならないのは、例えば、今回の奥産道に関連して、県、県職員2名が森林法等に違反して書類送検された残念な問題のようなケースであります。法令による業務執行を常とすべき公務員が、法令を失念したり、ましてや無視したりすることは本来考えられないのでありますが、これは、日ごろの業務量が適正規模であったのかどうかという問題も提起しているのではないかと存じる次第であります。要は、実情に合った人員体制が必要なのであります。今後、いかに本庁機構や人員体制がスリムになっても、実情を無視した人員体制を取り続けるのであるならば、またこのたびのような不祥事の再発なしとは言えないのであります。事業量と人員のバランスにおいて土木工事の監督や部下の仕事に目が届かないなど、チェック体制に無理があるのではないかと察する次第であります。特に道路等の社会資本整備を今後とも積極的に推進しなければならない本県にとっては、土木行政部門への手厚い布陣が必要と考えますがいかがでしょうか、この点についてお伺いをいたします。
 次に、見事機構改革が成し遂げられたとしても、そこで働く職員の方々のやる気が重要であります。そこで、職員の育成、強化について伺います。
 産能大学がこのほど、都道府県や市町村を対象に実施した行政運営実態調査におきまして、自治体職員の育成、強化の取り組みは、全体として鈍いものとされ、職員の研修制度を整備しているのは、検討中も含め全体の約9割に達するわけですが、職員のやる気を引き出すような人事制度を導入しているケースはまだ少なく、特にも大学、企業への派遣や、多様な職種を経験させるローテーション制度等の取り組みがおくれていると指摘しているところであります。本県においても、多様な経験を積んでもらい、視野の広い、やる気を持った、積極果敢な職員を育成し、強化する必要があると存じますが、いかがでしょうか。すばらしい知事のもと、一将功成りて万骨枯るということはないと存じますが、本県の取り組みはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、盛岡駅西口開発に係る問題について伺います。
現在、西口地区におきましては、平成9年10月の完成を目指して、地域交流センタービル・マリオスの整備が急ピッチで進められております。盛岡市においては、当該ビルへの進出企業の誘致を求めて、企業立地情報交換会を開催するなどしておりますが、景気の低迷等によりなかなか思うに任せない中にあって、一昨日ようやく1社の入居が決まったようであります。さらなる企業誘致に当たっては県の協力も必要と思いますが、その取り組み状況はいかがでしょうか。
 また、先導的な施設の立地が期待される企業局用地については、盛岡市幹部によれば、県が早期に構想を示さなかったことが今回のマリオスへの企業誘致のネックになっているとの発言もあったようでありますし、本日の岩手日報朝刊が報じているように、早期の取り組みを求める声も強いようであります。県としても、いたずらに放置していたというのではなく、さまざまな角度からさまざまなプロジェクトについて県民の利益になる方向で真剣かつ熱心に検討を加えてきた経緯があるものと認識しておりますし、当マリオスには県も応分の出資をし、さらには県関連の会社をテナントとして入居させるなど、協力してきていると私は認識をしております。思うに任せない企業誘致の不振の原因を県に負わせるというのはいかがかとは存じますが、いずれにしろ、早期の構想を示すことが重要であります。県は、全庁的な体制のもとで企画調整部にて検討中と聞いておりますが、目下における取り組み状況についてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、食品の安全性確保についてでありますが、これは、食糧供給基地を標榜し、多くの農畜産物を供給している本県の食糧販売の戦略上も極めて重要な課題であると存じております。時あたかも、厚生省ではこのほど、これまで原則的に非公開であった農産物の残留農薬のデータを初めて公開し、今後は引き続きデータの収集、公開を進める方針であると伺っておりますが、これは、本県の農畜産物についての安全性についての優位性を生かすまさに好機到来と考えるべきものであります。例えば、現在構想中の環境保健センターにおいて、検査技術体制をこれまで以上に充実強化し、本県産の農畜産物の検査結果を明示することなどにより、本県の農畜産物の安全性についての優位性を訴え、ブランド化を進めるということも考えられるものと存じますが、いかがでしょうか。これは、農政部と環境保健部、機構改革後は保健福祉部が連携して取り組むべきものと存じますが、いかがでしょうか、御所見をお願いいたします。
 なお、このような部局をまたがる新たな行政需要に対応するためには、今まで以上に関係部局が有機的連携を図り、効率的な対応に努めていくことが必要であると存じますが、この点要望しておきたいと思います。
 最後に、教育長にお伺いをいたしますけれども、ナショナルトレーニングセンターについてでございますけれども、長野市は、長野冬季オリンピック後のオリンピック選手用の強化施設をナショナルトレーニングセンターとして残すよう要望したと聞いておりますが、このようなことは本県の描く構想に対して大きな影響が懸念されるところであります。そういうことで、本県も負けないで積極的に打って出るという姿勢が必要だろう。常に待ちの姿勢が多いのではないかと思っております。先ほども土地は幾らでもあるというようなニュアンスでありますけれども、具体的にこういうところがあって、長野のそちらよりもすぐれているんだというものをアピールしなければ、これだけの四国4県に匹敵する岩手県でありますから、それはどこにでもそれだけの面積を補えるところはあるでしょうけれども、それだけじゃなくて、もっと積極的に優位性を訴えていく、そのような姿勢が大切だろうと思っておるわけですけれども、この点については要望といたしておきたいと思いますが、いずれ前向きに打って出ていく、その姿勢が今、岩手県には求められているのではないかと、このように思っております。どうぞ御答弁の方、よろしくお願いいたします。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、私の方に2点お尋ねがございました。
 まず、さきの衆議院選挙に対する対応について、私が適切な対応と発言したことに対するお尋ねについてでございます。
 これは、ちょうど選挙戦が終盤に近づいた時期でございましたけれども、いろいろな記者会見の場で、政党の方から支援要請も来ているようだけれども、こうしたものに対してどういうふうに対応するんだという御質問がございました。このことにつきまして、私はそうしたものに適切に対応すると。これは、すべての責めはいずれも我が身に帰するということを念頭に置きまして、自分自身熟慮の上に、そうした要請というよりもみずからの信条、信念に従って判断を行う、こういうことでそのように申し上げたところでございます。もちろん県民のために県政の責任者として行動していくということで事に当たりたい、この点については御指摘のとおりでございます。
 また、知事と政権与党との関係に係る御意見、特に県の職員がこうしたことで萎縮することのないようにと、こういうことでの御意見かと存じますけれども、私が県民の負託にこたえまして、県の職員ともども、あるいはまたその先頭に立って県政の推進に全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございまして、いずれにいたしましても、本県の21世紀に向けての発展のために全力を尽くし、また、いろいろな事柄に対しては誠意をもって事に当たってまいりたい、このように考えているところでございます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、土木行政部門の人員体制についてでありますが、職員の配置につきましては、これまでも毎年度、事務量や新たな行政需要の動向を把握しながら職員の適正配置に努めてきているところであります。土木行政部門につきましても、公共事業の推移に対応した技術職員の適正な配置に努めるとともに、道路パトロール業務、設計業務等の外部委託やOA機器を導入するなど、執行体制の充実と事務処理の効率化に努めてきたところであります。今後におきましても、事務量の推移に応じ、適正な職員配置に努めてまいりたいと考えております。
 次に、職員の育成、強化についてでありますが、多様化、複雑化する県民のニーズに的確に対応しながら効率的に行政を推進するためには、その担い手である職員の資質の向上と能力の開発を図ることが肝要であると考えております。このため、現在、自治研修所における政策形成能力の向上を図る研修カリキュラムの導入や日本貿易振興会等の民間への派遣、あるいは海外派遣研修により幅広い経験を積ませる一方、若手職員に多様な部署を経験させるとともに、意欲あふれる職員の登用に努めるなど、視野の広い、創造性に富む積極的な職員の育成に努めているところであります。今後におきましても、時代の変化に即応した政策形成能力と創造的能力を有する意欲ある人材の育成を図ってまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) まず、統一要望についてでありますが、この春以降、企画調整部を中心に、各部局と十分に連絡をとりながら概算要求に向けた各省庁の検討状況の情報収集に努めるとともに、本県の要望内容の調整、取りまとめを行い、夏の統一要望を実施したところであります。夏の統一要望以降も、国の財政が例年にも増して極めて厳しい状況にあることから、これまで以上に概算要求内容について詳細に分析、整理し、特に新規施策のうち、県の施策として導入可能なものについては今回の統一要望項目に追加するなど、要望の取りまとめ及びその実現に向け鋭意努力を重ねてまいったところであります。今後におきましても、県議会の御協力もいただきながら、国の予算編成作業の最終段階に至るまで、各省庁に対し、粘り強く、萎縮することなく要望活動を行うなど、全力を傾注してまいりたいと思います。
 次に、盛岡駅西口地区の企業局所有地の活用に関する取り組み状況についてであります。
 当該用地は、盛岡圏域の全体としての北東北の拠点性の向上や県内各地域間との連携、交流の促進を図る上で地理的に極めて重要な位置づけにあること等から、平成8年6月末より、一企業局の課題としてではなく県政全般にわたる重要な課題として、全庁的な体制の中でその活用について幅広く検討することとされたところであります。このため、去る9月には、新たに当部次長をキャップといたします関係課長で構成する盛岡駅西口地区県有地活用検討委員会を設置するなどして、当該用地の活用に当たっての方向性の検討や各般の庁内調整等を現在鋭意進めているところであります。また、これと並行しまして、全国の先進事例の調査、収集を、近県では東北の周辺から九州に至るまで、私も幾つか調査に出向いたわけでございますが、こういったことを実施いたしますとともに、建設省等や県内外の都市工学あるいはまちづくりの専門家等から意見、助言等を聴取し、同時に、盛岡市や盛岡地域交流センターなどとも意見交換を行っているところであります。これらの検討過程において、当該用地の活用を図る上で最も重要だと考えておりますのは、この用地に配置されるべき施設は単に西口地区に整備される1つの施設という位置づけではなく、県民全体の貴重な共有財産として、公用、公共用を含め、広く利活用させるものでなければならないということであります。すなわち、これまでの企業局としての検討過程においては採算性の確保という点が大変重要な要素でありましたが、全庁的な検討を進める上では、このような観点がより重要になるべきものと考えているところであります。現在、庁内各部局においては、将来を見通してさまざまな施設の準備が検討されているわけでありますが、この中には、平成9年度予算編成作業を通じまして検討されていくであろうものもあれば、あるいは内部的に構想を現在温めているものもあり、その状況はさまざまであります。これらを全庁的立場で把握し、西口地区への立地の可能性やその是非について一つ一つ整理しながら作業を進め、構想策定に結びつけていかなければならないものと考えております。また、当該用地に配置される施設は、規模的に見ましても、例えば仮に敷地面積が9、000平米あるわけでございますが、これに容積率限度いっぱい--これは600%でございますが--の建物を建設しますと現在のマリオスと同程度の規模になります。これは、イメージとしましては、現在の県庁舎の本庁舎の1・7倍を超える大きな規模のものとなりますし、金額的にも数百億円を要するようなものになることが想定されるわけでありまして、本県の厳しい財政事情を勘案しますと、整備される施設が最大限に有効活用されることに留意しなければならないというふうに考えております。さらには、県北地域あるいは県南地域あるいは沿岸部等からも極めて容易にアクセスできるという恵まれた立地条件にあるという観点や、周辺施設との相乗効果の発揮あるいは周辺環境全体で現在欠けている機能を補完できないか、こういった視点も重要だろうと考えております。
 なお、先ほど申し上げました建設省や専門家等との意見交換の中でも、バブルの時代とは全く異なる環境下にあって、これからの経済社会の潮流を的確にとらえていくことが極めて重要ではないかということで、これからなかなか難しい問題ではあるけれども、形だけの整備を急ぐことには慎重であるべきではないかといった意見も出されておりまして、こういった意見も十分に参考にしながら検討を進めていく必要があろうかと考えております。いずれにしましても、企業局用地の活用につきましては大変重要な課題と認識しておりますので、以上の点を踏まえながら、本年度中に基本的な考え方をまとめまして、私自身が先頭に立って、次のステップに移れるよう努力してまいりたいと考えております。
   〔商工労働部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働部長(佐藤孝司君) 地域交流センタービルマリオスについてでありますが、現在建設中のマリオスは、盛岡駅西口開発の先導的施設であるのみならず、北上川流域テクノポリス開発計画の主要プロジェクトであるテクノポリス・サポートコアとして、本県産業高度化を図っていく上で大きな役割を担っているものであります。県といたしましては、株式会社盛岡地域交流センターに対する出資はもとより、いわゆる民活法に基づく施設整備補助金や無利子融資の導入による会社経営基盤の充実を支援したほか、会社経営上の指導、助言を積極的に行ってきたところであります。また、企業誘致活動につきましても、テナント企業を対象として9月に開催された盛岡駅西口地区視察会や東京都下で11月に開催された企業立地情報交換会に参加するなど、県といたしましてもできる限りの支援、協力を行ってきているところであります。今後とも、平成9年11月の開業に向けまして、盛岡市を初めとする関係機関との緊密な連携のもと、マリオスへの企業誘致活動について積極的に支援してまいる考えであります。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) 県産農産物の安全性確保によります販売戦略ということでございますが、今日、国内外の産地間競争が激化しております中で、県産農産物の有利販売を行っていくためには、やはり食糧に対します消費者のニーズであります新鮮で安全で健康に配慮したものが必要であると考えております。したがいまして、県産の農産物のすぐれた点を前面に打ち出しながら販売戦略を展開することが重要であると考えております。今後におきましても、これまで以上に関係部とも連携をとりながら、安全な県産農産物の生産販売に取り組んでまいりたいと思います。
   
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時48分 散 会

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