平成8年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(水上信宏君) 県民クラブの水上でございます。
 議長のお許しをいただき、2回目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝をしながら質問させていただきます。
 以下、通告に従いまして順次お伺いいたしますが、質問の中には順番等の関係で重複する部分や地域に偏った部分もあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
 昨日の一般質問でも先輩議員からも質問があったわけでありますが、立場、立場でいろいろな考えがあることを勉強させていただきましたが、私も県民クラブの1人として質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 知事は、就任以来今日まで、県民の生の声をみずから聞くため県政懇談会を設定して県内各地を回り、さらには、若い人たちの声をも県政に反映させたいとして各種懇談会等を精力的にこなし、県民との対話を重視してまいりました。その開催地では寸暇を惜しまず数多くの現地視察を積極的に行い、県内をくまなく知ろうとする意欲的な姿勢は、地元大久保議員ともども同行させていただき、私も高く評価し、敬意を表するところであります。しかし、残念ながら、再びここにおいて知事の政治姿勢を質問せざるを得ない状況となりましたので、私見を含め、お尋ねするものであります。
 去る10月20日行われた総選挙は、御案内のとおり、新しい選挙制度のもとでの初めての選挙であり、選挙民の高い関心の中で行われた選挙であったかと思います。反面、本県の場合、知事自身の動向もまた注目された選挙とも言えると思います。私は、昨年9月の質問の中で、知事は一党一派に偏ることなく、県民党的立場で知事としての手腕を発揮願いたいと申し上げておきましたが、今回の選挙で知事が特定の候補者の応援をされたことはまことに残念なことでありました。このことについて、知事は、自分の信条、信念に従って行ったとしておりますが、昨年質問した際の答弁では、究極の目標は、県民一人一人が心から幸せを感じ、夢を抱き、生きがいを持って暮らすことのできる生活を実現すること。そのために、清新で公正な県政を実現すること等を基本として県政の運営に当たると言われておりました。私は、知事選の経緯等から、立場の苦しさややむを得ない面も、ある程度理解するものでありますが、知事が言っている公正な県政を実現するためには、やはり一党一派に偏らないことが肝要かと存じます。(発言する者あり)--だんだんにわかるから。権威ある議長のお許しをいただいて話ししているのだから、私の時間だから黙って聞いてください。
 知事はどのように感じておられるのか、今の心境についてお聞かせ願いたいと思います。
 また、今回の選挙のように激戦が予想されればされるほど政策論争より中傷合戦になると言われておりますが、私の選挙区ではまさにそのことが証明されたようなものでありました。その方は、さきの県議会でも議論された知事の選任した委員であり、県内屈指の団体の会長として指導的存在でありますが、その方の今回の選挙応援での発言はまさに中傷以外の何物でもなかったのであります。各首長の批判に終始したり、聞いている人が耳を疑うような、あってはならない言動をとられたのであります。知事は、当時その方を選任するに当たり、困難な時期、その道に堪能な人だからと言われておりますが、幾らその道に精通されていても、片や公僕の一面もあると考えるとき、やはりあらゆる面から検討を加える必要があると思います。今後においては、広く県民から意見を聞いて人選をすべきものと存じますが、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、過日の報道によれば、ある県の国への統一陳情の際、選挙のしこりから国会議員と知事との間でかなりのやりとりがあったというのがありましたが、そのときは他県のこととはいえ残念なことと拝見しておりましたところ、16日の新聞報道で、本県の統一要望においては各大臣への面会ができなかったとのことであります。このような状況が生ずることは県民だれしもが望んでいないと思うのであります。私どもは、選挙時を含め、論戦すべきときは大いに論戦しながらも、その後は、戦い終わって波なしとまではいかないにしても、お互いに良識を持って県勢発展のため努力すべきものと存じますが、知事はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、O-157発生に伴う農家対策について伺います。
 ことしの夏の腸管出血性大腸菌O-157による全国各地での食中毒の発生は、本県にも飛び火して盛岡市では220人の患者等の発生を見ましたが、去る10月29日に一応の終息宣言がなされ、県民ともどもひとまず安心したところであります。しかしながら、御承知のとおり、この問題の発生を契機として、レタスなど生食用野菜の摂取に消費者の不安が生じ、これに伴って消費の低迷を招き、これが生野菜の市場価格の低落に結びつき、本県を初めとする主要産地に大きな影響を与えたところであります。私は、O-157の発生は、人に対する問題もさることながら、野菜生産農家の経営に与える影響が大きかったのではないかと考えるものであり、とりわけ園芸産地づくりに一生懸命頑張っておられる生産農家の意欲の減退を強く危惧しているところであります。県は、さきに第三次新いわて農業確立計画後期推進計画を策定され、平成12年までに農業粗生産額を4、216億円に高め、このうち園芸部門を1、087億円にまで引き上げることを目標として産地拡大に鋭意取り組まれてきておりますが、これに対する県並びに関係団体の指導、援助が極めて大事であると考えます。また、このような価格低落の状況にあっても、生産者が安心して営農に取り組めるように支援していただくことも重要であると思うのであります。このような状況のもとで、県は、ことし夏のO-157の発生に伴い、野菜生産農家の経営にどのような影響を及ぼしたと認識しているのか、また、この問題に対しどのような対応策を講じられたのかお伺いします。
 次に、行政機構再編整備にかかわる諸課題についてお伺いいたします。
 県においては、来年度、本庁組織を含めますと昭和51年以来の大幅な機構改革を実施することで、今定例会に岩手県部設置条例の一部を改正する等の条例を提案されているところであります。総務部を初め、企画調整部や生活福祉部、環境保健部などの改組にあわせて、地方振興局の強化など、時代の要請に即応した大胆な機構の再編であると認識しているところであり、知事の積極的な姿勢がうかがわれるところであります。
 そこで私は、日ごろ感じていることを交えながら、機構整備にかかわる課題について6点ほど質問させていただきます。
 まず、職員数の配置についてでありますが、私の議員としての経験といいましてもほんの1年半程度にしかならないわけでありますが、県職員の仕事ぶりや勤務体制を見させていただく中で、連日のように遅くまで残業している職員の多いことが気になるのであります。行政改革の目的は、肥大化する行政の簡素化を行い、新たな行政需要に力を注ぐことと認識しているところでありますが、ともすれば人員の縮減のみが主たる目的となり、複雑、多様化する行政需要に見合わない職員数の配置となっているのではないかと憂慮されるのであります。組織は改めたものの、それに見合う職員数を配置しないのであればまさに片手落ちであると思いますが、知事は、職員の適正配置についてどのように考えておられるのか、基本的な見解をお示し願いたいと存じます。
 次に、東北各県の状況について伺いますが、私は、時代とともに県民のニーズが確実に複雑化し、多様化していると感じており、それに伴って業務の処理や対応も複雑、多様化してきているものと思います。例えば、20年前の業務と現在の同じ業務では、処理の方法やそれに要する時間等が大きく変化しており、難しくもなっていると推察するものであり、残業しなければならない原因の多くはこの辺にあるように思われます。
 そこで伺いますが、県職員の数は東北6県と比べてどのような状況となっており、どう評価しておられるのかお知らせいただきたいと存じます。
 次に、超過勤務手当についてであります。
 最近また連日のようにカラ出張やカラ接待などの公費の不適正処理問題に係る報道が多く見られるわけでありますが、俗に言う裏金の使途の一部は、超過勤務、いわゆる残業した時間に見合う予算がないため、その補てんする経費として職員に支給されていたとの実態が明らかにされております。このような報道を見るたびに思うわけでありますが、岩手県においては職員の超過勤務手当の支給はどうなっているものでしょうか。よもや報道されてきた他県などのようなヤミ支給があるとは思いませんが、予算的にどうなっているのか。残業に見合った支給がなされているのか、また、なされていないとすれば、いわゆる超過勤務手当の支給されないサービス残業となると思われますが、超過勤務手当の現況をどう把握しておられるのかお伺いしたいと思います。サービス残業が多くなればなるほど報道されているような事態を生じさせる原因を内包することとなると考えるものであり、あえてお聞きするものであります。
 次に、これらの改善策についてでありますが、私は、知事がせっかく大胆かつ時代に即した大幅な機構整備を行おうとしているのですから、あわせて、職員の数、手当なども実態により近接した形での改善がなされるべきと思うのであります。先日報道された特異な例は別として、サービス残業に明け暮れる勤勉な多くの職員の働く意欲を鼓舞し、次代に飛躍する大事な時期に、職員の大いなる士気高揚に努めることも大切なことと思うのでありますが、残業時間の縮減策を含め、どのようにお考えなのかお伺いしたいと存じます。
 次に、保健所の振興局への統合と再編について伺います。
 私は、県民サービスを第一義とするのが知事の県政を推進する上での基本姿勢であると理解するものですが、これまでの地域における保健所が果たしてきた役割や機能を考えますと、現在の15カ所から10カ所、2支所、1出張所に再編されることは、やや性急に過ぎる感じがしてなりません。統廃合される地域の住民からは、距離が遠くなることも問題ですが、医療機関が少ない地域での地域保健の核が失われることもあり、住民サービスの大きな低下と不安を訴える声が聞こえてまいります。また、報道によれば、ある町長は激変緩和の措置を求めたい旨を表明しており、何らかの対応策が必要ではないかと考えるものでありますが、県は、住民サービスの低下や不安をどのように解消しようとしているのかお伺いいたします。
 次に、本年4月に地域計画課の課内室として新たに発足した特定地域振興室についてお伺いします。
 県北沿岸地区の出身である私にとって、この室の発足はまさに我が意を得たりというべきものであり、長年の地域格差是正の切り札として大きな期待と評価をしており、感謝を申し上げるものであります。幸いにも、今度の行政機構再編整備(案)で示された中にも存続が認められており、今後さらなる期待が持てると一安心しているところであります。実は、4月以来、この特定地域振興室の業務成果を注目してまいりました。しかしながら、具体的な姿が見えないと言っては大変失礼とは存じますが、期待の大きさからか、いま一つ訴えるものが不足しているのではないかと感じているものであります。発足して直ちに成果をと期待する私もせっかち過ぎるかと思いますが、今年度、室においてどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。また、今後どのような取り組みを行おうとしているのでしょうか。特定地域の振興について、あしたの姿が具体的に見えるようお聞かせ願いたいと存じます。県北、沿岸と内陸との格差是正が課題とされてから久しいわけですが、目に見える形で、希望の抱ける企画なり取り組みを期待している県民がいることを念頭に置かれまして、積極的な対応をお願いするものであります。
 次に、道路整備についてお尋ねいたします。
 まず、いわゆる奥産道路問題についてでありますが、先般、県は、一般県道雫石八幡平線のトンネル建設に伴う三ツ石湿原への影響を調べる目的で行ったボーリング調査で、十和田八幡平国立公園内の原生林を破壊するという重大な事態を引き起こしました。私も過日、現地の状況を視察させていただきましたが、本県が全国に誇る原生林が無残にもなぎ倒された現場を目の当たりにし、自然保護に配慮するために行った影響調査が逆に自然を破壊してしまうという皮肉な結果になってしまったことに、県民の1人として極めて残念でなりませんでした。県は、この損なわれた自然環境を極力現状に復旧する方策を策定するため、学識経験者から成る技術検討委員会を設置、数回にわたる委員会の議論を経て復旧計画をまとめられ、このたびこれに基づいた本年度の復旧工事が完了したと伺っておりますので、この工事により所期の成果が得られることを心から願うものであります。かかる事態を招いた責任は、調査を実施した業者はもちろんではありますが、これを指示、監督する県にもあることは論をまたないところであり、その究明は当然行わなければならないものと考えます。しかしながら、私は、この問題が発生したことによって、県が昭和41年に事業着手して以来、自然保護をめぐるさまざまな事態を経ながらもここまで進められてきた奥産道路の整備が凍結されることを懸念するものであります。この奥産道路は雫石町と松尾村とを結ぶ唯一の路線であり、地域間交流の活発化による農林、畜産業の振興や本県を代表する観光地である小岩井農場と十和田八幡平国立公園を結ぶ新たな周遊観光ルートの創設など、沿線地域のみならず、本県の産業経済に及ぼす効果は極めて大きいものと考えられます。したがいまして、私は、県のこの問題についての事後処理ができるだけ速やかに、そして適正に進められますとともに、本事業が凍結されることなく、一日も早く工事が再開できますよう心から願うものでありますが、県は、この奥産道路を今後どのように進めようとしているのか、そのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、八戸久慈自動車道の整備についてお伺いします。
 本県の高速道路を代表する東北縦貫自動車道は、昭和52年の一関から盛岡南間の開通を皮切りに、順次北に開通区間を延ばし、平成元年の安代から一戸間を最後に、県内を南北に貫く大動脈として全線開通したところであります。この間、本路線の沿線地域では、岩手中部地域を中心に先端技術産業を初めとする企業の進出が目覚ましく、また、人口の伸びも見せているほか、所得水準も向上するなど、高速道路の整備効果がはっきりとあらわれてきております。この例からもわかるように、高速道路が地域の産業、経済、文化などに及ぼす波及効果は極めて大きく、いわば地域振興の起爆剤と言っても過言ではなく、私は、県土の均衡ある発展を図る上からも、三陸沿岸地域にも早期に高速ネットワークの整備が重要であると考えております。特に、八戸久慈自動車道は、沿岸北部の低迷する水産業や農林業の振興、さらには、企業誘致や地場産業の発展のためには不可欠の高速道路であることから、その一日も早い整備は沿岸地域住民の悲願ともなっているのであります。本路線は、現在、建設省により積極的に整備が進められており、その取り組みには心から敬意を表するものでありますが、国の財政事情から道路整備も影響が心配される面もありますので、八戸久慈自動車道のこれまでの進捗状況及び今後の見通しについてお伺いいたします。
 最後に、携帯電話のサービスの実態と今後の対策についてお尋ねいたします。
 御案内のとおり、情報化の進展は、社会経済システムを従来の物のエネルギー中心から情報、知識への重視へと転換し、新産業の創出や産業の活性化、また、豊かな国民生活を実現するための重要な手段として期待されているところであります。中でも、携帯電話等の移動通信サービスは、いつでも、どこでも、だれとでも手軽に連絡がとれる通信手段として、また、災害時の緊急時の連絡手段としても有効なことから、近年、その利用者数は飛躍的な伸びを示しているところであります。新聞報道によりますと、平成7年度においては、激しい競争市場の実現により料金が急速に低廉化、多様化したことや端末の低価格化、技術革新による小型、軽量化が向上したことなどにより、携帯、自動車電話の契約者数が1年間で2倍以上に増加するとともに、それに対応する移動通信施設設置に要した投資額が急激に増大しているとのことでありました。私は、昨年の9月県議会において、テレビ、ラジオ等の難視聴地域の解消と携帯電話の実態について質問させていただいたところでありますが、特に携帯電話については、県北沿岸では、大野村を初め、通話ができない町村が多いと認識したところであります。このような中で、種市町の一部が通話可能となりましたことは県当局の御指導のたまものであり、深く感謝を表したいと思います。しかしながら、県南においては、過疎地域を中心に移動体通信サービスを初めとした情報基盤の未整備地区が多く存在し、その解消が重要な課題となっているのが現状であります。
 そこで伺いますが、移動通信サービスの県内における実態はどうなっているでしょうか。また、今後その解消に向けて、県はどのように指導、対処しようとしているのかお聞かせ願いたいと思います。
 以上、私の思うところについて種々申し述べまして質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 水上信宏議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、さきの衆議院の選挙で、特定の候補者を応援したことに対します私の現在の心境についてのお尋ねがございました。このことにつきましては、私は、みずからの信条、信念に基づき総合的に判断した結果の、その上での行動をとったものでございますけれども、そのことに対してただいまの議員のお話でございますとか、あるいは昨日の本会議におきます数々の御意見がございましたけれども、そうしたものについては謙虚に耳を傾けていきたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、県政の責任者という立場がございますので、公平、公正な県政の実現ということに向けまして、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、委員の選任についてのお尋ねでございますけれども、かねてから、その選任に当たりましては、法の趣旨を踏まえながら、広く県民や県勢の発展につながるよう、また、公正な立場から人選をしてきたつもりでございますけれども、今後とも、こうした考え方が反映をされました選任となるように努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、論戦すべきときには論戦をしながらも、その後はお互いに良識を持って、県勢発展のために努力すべきものという議員の御意見についてでございますけれども、政治的な立場を持つ方々は、それぞれの信条、信念に従うとともに常に国民の負託にこたえ、国民の幸せを第1に考えるというところは、これは政治家はだれしも同じことだろうというふうに思います。私も、常に県民の皆様方が真に何を望んでおられるかということを念頭に、県政を推進してまいりたいと、このように存じております。
 次に、職員の配置の基本的な考え方についてのお尋ねでございますけれども、職員の配置につきましては、事務量に応じて適正に配置することを基本とし、毎年度、事務事業の見直しなどによる効率化を図りますとともに、新たに起こってまいりました行政需要の動向などを的確に把握をしながら、事務量に応じ職員配置の見直しを行いまして、適正配置に努めてきているところでございます。
 また、今般の行政改革に当たりまして、昨年の12月に、各界の有識者で構成をいたします行政改革推進懇談会から最終報告がございました。その中で職員の定数管理につきまして、事務処理の改善などにより効率化が可能な部分は整理合理化を行い、行政需要の増大により人員が必要な部門については、適正かつ効率的に職員の再配置を行うことなどにより、極力総定数を抑制することが必要であると、今申し上げましたような御意見をちょうだいしたところでございます。県といたしましては、この最終報告を十分に尊重してこれを踏まえて策定をいたしました行政改革大綱に基づきまして、本年の2月でございますけれども、平成8年度から平成10年度までの間に、定数の3%程度を縮減することを内容といたしました定数管理計画を定めたところでございますけれども、多様化、高度化する県民の皆様方からの行政ニーズに的確に対応して、施策の円滑な推進を図るためには、新たに生ずる行政需要には適切に職員を配置しながら、全体としての極力総定数の抑制を念頭に置いて、適正な職員配置に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) O-157によります野菜生産農家への影響と対応策についてのお尋ねでございますが、まずもって、野菜生産を振興いたします本県にとりまして、このたびの野菜の消費低迷及び価格の低落は、御指摘のとおりまことに残念な事態であったと思っております。御案内のとおり、本年8月以降の市場価格は、生食用野菜を中心として長期にわたり価格の低落が続き、8月から10月までの県経済連の生食用野菜5品目の販売額は、過去5年間の平均と比べ約2割の減となっております。特にも、レタス、ミニトマトにつきましては、その影響が大きく、約3割の減となっているところであります。これらの原因につきましては、春先の低温によります生育のおくれから、8月以降に出荷が集中したことに加えまして、O-157によります消費減退が重なって、こうした事態になったものと見ておりますが、今後とも野菜の生産拡大を進めようとしているときだけに、来年度以降の生産規模が縮小しないかと憂慮しているところであります。こうした状況の中で、県といたしましては、特にも県産野菜の安全性を確保する観点から、県経済連と連携し、生産現場や流通段階での衛生管理の徹底指導を行うとともに、8月初めから10月末まで、毎週1回、延べ61検体の野菜について検査を実施したところであります。その結果、野菜への汚染は認められず、改めて県産野菜の安全性が確認されましたことから、消費者や市場関係者に対して県産野菜の安全性を強く訴えてまいったところであります。
 また、生産農家の経営の安定化対策といたしましては、青果物価格安定対策によりまして、9月末までの出荷分として約4億4、000万円に上る補給金の交付が見込まれますとともに、農林漁業金融公庫資金の償還期間の延長が承認されておりますほか、県信連によります営農や生活に要する新たな低利資金の緊急融資対策が、目下取り進められているところであります。今後におきましても、関係団体ともども、衛生管理の指導をさらに徹底し、岩手純情野菜に対します消費者の信頼をより一層高めながら、生産農家の経営安定と生産拡大が図られますよう、生産者の方々をも激励しながら、諸対策の推進に努めてまいる考えであります。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、東北6県と比較した本県の職員数についてでありますが、平成7年4月1日現在の定員状況などをもとに、一般行政部門の職員数で比較いたしますと、本県を上回っている県は3県であり、逆に下回っている県は2県となっております。東北各県それぞれ人口、面積、財政規模等が異なりますので、一概に比較は困難でありますが、職員数のみで比較した場合、本県は東北で中位となっていると、こういうところでございます。御指摘のとおり、時代の変化に伴いまして、県民のニーズは複雑多様化してきているところでございまして、行政需要も増加してきているものと認識いたしております。本県におきましては、これまでこのような増大する行政需要に的確に対応し、各種施策の円滑な推進を図るため、事務事業の見直しや業務の民間委託、事務処理の機械化等の改善措置を講ずるなどいたしまして、計画的な定数管理を図りながら、適正な職員配置に努めているところでございますが、今後におきましても、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、超過勤務手当の現況についてでありますが、職員の超過勤務に対しては、各所属において、適切に超過勤務手当が支給されているものと把握いたしております。
 残業時間の縮減策等についてでございますけれども、これまで事務事業の見直し等による事務総量の圧縮、OA化の計画的な推進や外部委託の活用等による事務の簡素、効率化、事務量に見合った職員の適正配置、年間を通じての業務量の平準化等に努めるとともに、定時退庁日の設定等の環境整備、各種会議における超過勤務縮減に向けた意識啓発などを図りながら、超過勤務の縮減に努めてきたところであります。今後におきましても、なお一層の超過勤務の縮減に向けた取り組みが必要であると考えておりますので、新たな方策について検討を進めてまいりたいと存じます。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 保健所の統廃合と住民サービスについてでありますが、今般の地域保健法の改正は、少子・高齢化、疾病構造の変化、地域住民のニーズの多様化などに対応し、サービスの受け手である生活者、すなわち地域住民の立場を重視した地域保健の新たな体系を構築することを基本とするものであります。市町村では母子保健などの業務が移譲され、老人保健とあわせて、身近で頻度の高い保健サービスが一元的に提供できる体制の整備が図られることとなります。
 また、保健所では医療圏を基本として集約化をし、広域的な観点から市町村を支援するとともに、地域保健の専門的かつ技術的な拠点として、その機能の充実強化を図ることとしております。
 お尋ねの住民サービスの低下や不安の解消についてでありますが、保健所間の統廃合による管轄区域の拡大に対処するため、その機動力の確保に努めるほか、対人保健サービスの分野においては、管内市町村に定期的に出向いての巡回等による各種相談や申請受け付け、障害者のためのデイケア事業、在宅難病患者の生活の質の向上のためのきめ細かな訪問サービスなどを実施することとしております。
 また、食品衛生や環境衛生の分野においても、地域のニーズに応じた機動的な体制の整備により、効率的な監視指導の実施に努めるなど、統廃合により影響が懸念される地域において、住民の方々に各種保健サービスが低下を来さないよう、配慮してまいりたいと考えております。
 さらに、緊急時に関しても、専門職員の複数配置や試験検査設備の充実等により適時、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
 なお、再編後の組織形態や事務、事業に関して、さまざまな形で広報活動を行うことにより、今後の保健所運営が市町村、関係団体及び地域住民の方々の御理解と御協力のもとに、円滑に推進できるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) まず、特定地域振興室の具体的な取り組み状況についてでありますが、県北沿岸地域等の振興に当たりましては、それぞれの地域が活力に満ちて個性豊かな地域となるよう、県と市町村が連携を図りながら取り組む必要があると考えております。そのためには、何よりも地域みずからの発想と主体的な取り組みが重要でありますことから、特定地域振興室は、関係地方振興局や市町村の協力を得て地域課題のきめ細かな把握をし、総合的な見地から振興策の立案や事業の導入に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 また、特定地域振興室は、みずから公共事業等の事業を所管する組織ではなく、県北沿岸地域等の振興のための総合窓口として、各部局における事業の連携、調整を図りながら、所期の目的を達成できるよう努めることが何よりも重要であります。このことから、室を事務局として各部局主管課長からなる県北沿岸地域等振興対策検討委員会を庁内に設置し、県北沿岸地域等への事業導入が効果的に実施されるよう努めているところであります。
 さらに、室自身の業務といたしましては、本年度拡充した地域活性化事業調整費の県北沿岸地域への導入や、平庭高原地域など関係市町村の活性化のためのプロジェクトの調査、リゾート施設整備補助などによるリゾート地域の振興、海洋科学技術センターとの共同研究など海洋開発関連施策の推進、加えて、今月上旬には宮古で地域づくりシンポジウムを開催するなど、さまざまな分野の業務に取り組んでいるところであります。今後におきましても、来年度における機構改革の方向性をも踏まえ、これまで申し上げてきました業務への取り組みをさらに充実するとともに、新規施策の立案にも鋭意取り組みながら、県北沿岸地域等の振興に、より弾力的、機動的に対応するよう努めてまいる所存であります。
 次に、県内における携帯電話のサービスの実態と今後の対策についてであります。
 社会経済活動の多様化、国際化に伴い、情報通信が果たす役割が急速に高まっており、とりわけ携帯電話等の移動通信システムの利用が増加している状況にあります。本県におきましても平成8年10月末現在の加入契約数は8万6、400件であり、これは平成8年3月末に比較して約1・7倍と大幅な伸びとなっており、今後さらに加速するものと予想されます。
 一方、利用可能な範囲は、おおむね二戸市から一関市にかけての県央部、それから沿岸の都市部、内陸部の一部がそれぞれ利用可能であり、その市町村数は41市町村、市町村のカバー率にして7割となっております。
 もとより、この携帯電話等の通信網の整備は、一義的には民間事業者がみずから取り組んでいるものでありますが、国におきましても、その整備をさらに促進するため、平成3年度から過疎地や辺地等を対象といたしました電気通信格差是正事業を創設いたしまして、情報通信基盤の整備を進めてきているところであります。
 本県におきましても、この制度を活用いたしまして、衣川村、山形村、それから室根村においてそれぞれ移動通信用鉄塔施設を整備し、利用範囲の拡大を図ったところであります。広大な県土を有する本県におきましては、地域間の情報格差の是正を図ることが、住民福祉の向上と地域の活性化にとって極めて重要でありますし、議員からも御指摘がございましたように、防災上の観点からの重要性もあろうかと思います。したがいまして、移動通信基盤の整備につきましては、さきの統一要望でも最重点項目として国に要望したところでありますし、今後とも、国、市町村との連携を図りながら、事業者に対しましては一層の整備促進が図られるよう要請するとともに、国庫補助制度の活用も含め、積極的に対応してまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) まず、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてでありますが、本路線の道路委託調査に伴う自然破壊問題につきまして、このたび自然公園法並びに森林法違反の疑いで、県及び工事担当者が書類送検されましたことは、極めて遺憾なことであり、このような事態に至りましたことを厳粛に受けとめております。今後は、こうした事態の再発防止に努め、県民に信頼される行政の推進を図ってまいりたいと考えております。この雫石東八幡平線は、御指摘のとおり、雫石町と松尾村を結ぶ唯一の路線であり、地域間交流の活発化による新たな地域連携や、本県を代表する観光地である雫石・網張地区と松川地区を結び、さらには八幡平頂上へと至る新たな周遊観光ルートの形成等のために整備している路線であります。
 今後の事業につきましては、工事を再開し早期完成を目指すべきとの御意見や、一方では自然環境に配慮して事業を見直すべき等との御意見がありますが、現段階では、県としては、引き続き復旧工事に全力を挙げて取り組むことが重要であると考えており、御提言の趣旨も踏まえ慎重に対応してまいりたいと考えております。
 次に、八戸・久慈自動車道の整備についてでありますが、本路線は、三陸沿岸北部地域を有機的に連携し、それぞれの地域の持つ特性を生かした自立的な地域社会を形成するための発展基盤として、極めて重要な路線であります。本路線につきましては、御案内のように、久慈市内は、既に平成5年に3・2キロメートル間が供用されており、残る区間につきましては、青森県側から重点的な整備が進められているところであり、現在、八戸ジャンクションと八戸南インターチェンジ間、8・6キロメートルが八戸南環状道路として用地買収が進められており、また、八戸南インターチェンジから階上町間、約9キロメートルが八戸南道路として測量等の調査が進められております。残る久慈までの約30キロメートル間につきましては、まだ予定路線でありますことから、国では、現在、基本計画策定に向けた概略ルートの検討などの調査を行っていると伺っております。最近特に、道路特定財源をめぐる状況や地方における公共事業を取り巻く環境には厳しいものがありますが、県といたしましては、本路線の重要性や地元の道路整備推進に向けた熱意が伝わり、早期整備が図られるよう、国に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
〇22番(水上信宏君) ただいまは、私の質問に対し、県御当局の誠意ある答弁をいただき、感謝申し上げます。答弁漏れ1つと、3点ほど知事の政治姿勢につきまして、再質問させていただきます。
 答弁漏れと申しますのがサービス残業についての答えがなかったように思われます。
 次からは知事の政治姿勢につきましてでございますので、よろしくお願いします。
 先刻、知事から今後の委員等の人選についてのお考えを伺ったのでありますが、海区漁業調整委員会の知事選任委員の選任については、9月県議会においても、先輩工藤篤議員からも指摘がありましたように、従来ともに水産庁から繰り返し指導があったものであります。本年4月にも、新たに指導通知がなされ、その中でも特に、選挙制による委員の被選挙資格者は避けることが求められており、重ねて高齢者、兼職の多い者、受益者、長期留任者も極力避けることが人選の留意事項とされているものであります。また、さきに県が示した審議会等の委員のガイドラインによっても、若手の委員の登用や兼任の回避などの条件が掲げられているところであります。私は、どのようにしんしゃくを加えましても、知事選任委員となられた方は、今申し上げたいずれの条件からも逸脱する方としか思えないのであります。それも平成4年には、その指導に沿った形で任期途中で辞任された方なのであります。このような方を選任すること自体に問題はなかったでしょうか。報道で知事選の論功行賞と皮肉られたことも、知事はそのとき兼職の数もわからなかった状況を考えますと仕方のないことだとも考えます。本質問で申し上げたように、聞く人の耳を疑わせるような、あってはならない言動は、私や地域の皆さんの心を傷つけただけでなく、ひいては、知事が言うところの公正な県政の実現にも影を落とすことになるのではないかと心配するものでありますが、御所見があればお聞かせ願いたいと思います。
 次に、本県の統一要望についてであります。
 知事は、11月15日の今回の要望でも大臣には会えなかったのでありますが、しかし大臣に会えなかったのは、昨年の冬、ことしの夏の要望の際にもあったわけですから、今回の要望でも事前に想定できたのではないでしょうか。特に、統一要望について知事は、県民いろいろな方々の要望で、議会とも調整したものと、県民代表としての立場を強調したと報道されており、県議会ともども実施する要望でありますので、なおさら県としても、直接大臣に要望できるような努力を、いろいろな角度から講ずる必要があったのではないでしょうか。総選挙のぎくしゃくとした時期とは言いながらも、大同につき、本県選出の国会議員を通じてお願いしてみるのも、1つの道ではなかったかと思うのでありますが、知事は、統一要望に際して、本県選出の国会議員に対し、大臣とのアポイント調整の要請や協力、支援を働きかけなかったのかどうか。また、今後どのように対応しようとしているのか、お考えをお伺いいたします。
 また、私どもは、国政に携わる者、県政に携わる者など、立場は違いますが、戦いが終わった以降はそれぞれが良識を持って行動し、究極の目的である国勢や県勢の発展に力を注ぐべきものと考えるのでありますが、142万県民の代表として自信を持って正々堂々と県民党的立場で、一党一派に属さずに力を存分に発揮していただきたいものと、強く感じるものでありますが、いかがでしょうか。
 私の考えるところを重ねて申し上げましたが、これは知事への強い要望とさせていただきますし、けさのニュースで小山市と青森市でのワールドカップサッカー大会での協力の話があり、ほほ笑ましく感じたことでありますが、今、全国的には不祥事の事件や景気回復が思うようによくならない等のことがありますし、東北、岩手県には首都移転問題やサッカーのワールドカップ誘致、新幹線の延長問題を初め数多くの課題等が山積しているわけですので、今こそ、先刻も申し述べましたように、知事、国会議員、我々県議会議員、各町村議員、そして県民が大同団結し、岩手県、東北発展に力を合わせて頑張っていただきますことを期待し、再質問とさせていただきます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいまの議員からの再質問で、直接的には私に2つのお尋ねがございました。
 初めの海区漁業調整委員会委員の選任についてのお尋ねでございますけれども、先ほど本質問の方でお答え申し上げましたとおり、私は、これまでも適切な選任を行ってきたというふうに考えておりますけれども、さらに、ただいまのあらゆる面から検討を加える必要があるとの議員からの御指摘があることも念頭に置きまして、今後とも、適切な選任となるよう努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、関係大臣との面会についてでございますけれども、これまでの統一要望、今月15日に実施をいたしましたその統一要望も同様でございますけれども、県の東京事務所を通じて、関係省庁に直接面会を申し入れてきたと、こういうのが経緯でございます。結果として関係の大臣の方々には面会はできなかったところでございますけれども、県といたしましては、統一要望の内容は、いずれも県民の切実な願いであるという、大変重要な事柄ばかりでありますので、県議会の方の御協力もいただきながら、関係省庁に対して積極的に本県の実情を訴えるなど、その実現に向けて、引き続き全力を尽くしてまいる所存でございます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) 私の把握いたしておりますところでは、超過勤務手当は実績に応じて支払われているというふうに承知いたします。ただ、大変部署等におきましてでこぼこがございまして非常に多い箇所もございます。そういうところにつきましては個別に事情を聞いたりなどしまして、その解消に努めておりますし、今後におきましても、さらに一層の努力をしてまいりたいと、こう存じております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、瀬川滋君。
   〔19番瀬川滋君登壇〕(拍手)

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