平成9年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成9年3月18日(火)
   

1開会  午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 村上勝治
議事課長 及川宣夫
議事課長補佐 西田幸男
主任議事管理主査 駿河 勉
議事管理主査 中澤 悟
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸

1説明員
林業水産部長 中村陽兒
林業水産部次長 篠田隆一
林業水産部次長 飯岡主税
林政課長 大槌典男
森林造成課長 秋山英男
松くい虫対策室長 塩井常文
林産振興課長 井上 榮
木材振興対策室長 佐々木 健 策
森林土木課長 橋本利一
漁政課長 中村博文
全国豊かな海づくり大会推進室長 篠谷 隆
漁業振興課長 上村俊一
漁港課長 小林貴史
 
農政部長 中村盛一
農政部次長 佐 藤 徳兵衛
農政部次長 熊谷良夫
農政部次長兼地域農政推進室長 猪股正二
技術参事兼畜産課長 菊地茂樹
農政企画課長 赤津征男
農村振興課長 藤巻正耕
農地計画課長 平野達男
総合国営対策室長 佐々木 忠 正
農地建設課長 渕沢光雄
農蚕課長 佐々木 正 勝
畑作振興課長 石川格司
畜政課長 橋本裕治
全国和牛能力共進会推進室長 帷子剛資
地域農政推進監 千田 勉
 
財政課長佐藤 勝
   

〇藤原委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第6号から議案第25号まで、議案第27号、議案第32号から議案第49号まで、議案第51号から議案第68号まで、議案第70号から議案第72号まで、議案第74号から議案第84号まで、及び議案第86号、以上72件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部及び農政部関係を終わるように進行したいと思うので、よろしく御協力をお願いする。
 なお、この際、委員各位に申し上げるが、質疑に当たっては、項目が複数ある場合は1問1答で行わないとする先例に従い、質疑事項の全部について一括質疑を行い、議事進行に御協力をお願い申し上げる。
 これより林業水産部関係の審査に入るわけであるが、去る3月11日の総括質疑の際、山内隆文委員の漁業生産組合の理事の兼務、兼任状況に関する吉永副知事の答弁中、後日答弁するとしていた部分について林業水産部長から発言の申し出があったので、これを許可することとし、議案に対する説明の後、引き続き発言させることとしているので、御了承願いたいと思う。
 林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇中村林業水産部長 平成9年度の林業水産部関係の予算について御説明申し上げる。
 予算の御説明に入る前に、まず、平成9年度の林業水産施策の推進に当たっての基本的な考え方を申し上げる。
 まず、林業であるが、御案内のとおり、本県は県土の77%を森林で占める全国有数の森林県であり、その資源は年々充実してきておる。この豊かな森林資源を有効に活用し、林業、山村の活性化を図るため、林業基本計画後期実施計画の基本目標である木材供給基地の形成、全国に誇る特用林産物の産地づくり、潤いある森林空間の創造に向けて、特に、県産材の安定供給体制の整備を目指した拠点づくりと、おくれている間伐の促進、21世紀の国産材時代を担う林業労働者の育成、確保を推進するとともに、平成8年度に施行されたいわゆる林野3法に基づく施策を総合的に展開してまいる考えである。
 次に、水産業であるが、近年の水産業を取り巻く情勢は、漁業資源の減少や魚価の低迷など厳しい状況にあり、また、健康、安全、本物志向など、多様化する消費者ニーズへの対応が迫られているところである。このため、平成9年度においても、平成8年に作成した第三次岩手県水産業基本計画後期実施計画の2年目として、つくり育てる漁業の新たな展開を図るため、これまでに培った成果を踏まえながら魚類栽培を推進するとともに、沿岸漁場の整備開発を初め、漁港施設整備など、生産基盤の整備及び漁村環境の整備を推進するほか、漁業経営の活性化を図るため、秋サケを初めとする水産物の消費拡大など、水産振興対策を総合的に推進してまいる考えである。
 また、本年10月に大槌漁港で開催される第17回全国豊かな海づくり大会を契機として、積極的に資源の培養、増養殖生産の拡大に努めてまいる考えである。
 それでは、林業水産部関係の議案について御説明申し上げる。
 まず、議案第6号の平成9年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その2の7ページをお開き願う。6款農林水産業費のうち、4項林業費と5項水産業費及び9ページの11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費の一部をあわせた総額529億6、178万6、000円が当部関係の予算である。これは、前年度当初予算対比で0・5%の増となっており、一般会計予算の総額に占める割合は6%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、予算の内容については、お手元に配布しておる平成9年度の予算に関する説明書により、主なものについて御説明申し上げる。
 予算に関する説明書の186ページをお開き願う。6款農林水産業費4項林業費1目林業総務費27億7、852万円余の主なものは、人件費などの管理運営費と県有林事業特別会計に対する繰出金である。次に、187ページの2目林業構造改善対策費18億5、843万円余の主なものについては林業構造改善事業費であるが、県内33地域において、市町村等が実施する林道などの生産基盤や木材加工施設などの整備に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、3目林業振興指導費48億1、057万円余の主なものであるが、説明欄3行目の木材産業振興対策事業費から木材産業再編整備促進事業費までの三つの事業は、県内木材産業の経営の安定を図るため、素材の共同購入に要する運転資金を低利で貸し付けるほか、木材製品の高次加工施設の整備などに要する経費に対し助成しようとするものである。次に、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大やブランド化の確立、乾燥材の安定供給対策を総合的に実施しようとするものである。次に、188ページの三つ目の木の肌・木の味・木の香推進事業費補助は、県産木材の利用拡大を図るため、市町村等が公共施設等を木造で整備する経費に対し助成しようとするものである。次に、森林組合経営体質強化資金貸付金から林業振興資金貸付金までの三つの事業は、森林組合の経営安定を図るため、運転資金などを岩手県森林組合連合会に貸し付けるほか、森林組合の広域合併の促進を図ろうとするものである。次に、二つ飛んで、財団法人岩手県林業労働対策基金出捐金は、林業労働力確保支援センターの事業を充実し、林業事業体の経営基盤の強化と新規林業労働者の育成、確保等を図るため、岩手県林業労働対策基金に出捐し、基金造成額の総額を36億円に増額しようとするものである。次に、少し飛んで189ページ中ほどの流域総合間伐対策事業費から間伐総合特別促進対策事業費補助までの三つの事業は、間伐を総合的に推進し、森林資源の有効利用と森林の適正な管理を図ろうとするものである。次に、190ページの1行目の森林計画樹立事業費は、北上川中流森林計画区の地域森林計画の樹立に要する経費である。次に、六つ飛んで、乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費から特用林産振興総合対策事業費までの四つの事業は、すぐれた品質を誇る県産シイタケの生産施設の整備や原木の確保、流通対策などの産地体制の整備、強化に要する経費である。次に、191ページの4目森林病害虫等防除費2億5、445万円余は、松くい虫などの森林病害虫を防除するとともに、被害の拡大を防止するほか、五葉山周辺のシカ被害防止対策に要する経費である。次に、5目造林費28億7、810万円余の主なものであるが、説明欄の造林事業費は、人工造林や保育事業などに要する経費である。次に、192ページの健康とゆとりの森整備事業費は、二戸市の折爪岳と三陸町の大窪山において県民の憩いの森を整備しようとするものである。次に、6目林道費121億4、791万円は、素材の生産体制を整備するとともに、山村の生活環境を改善するため、県営74路線、市町村営45路線で行う林道整備などに要する経費であるが、193ページの3行目の木材生産団地路網整備事業費は、新規事業として、森林資源が成熟した県行造林地を中核に木材生産団地を設定し、高性能林業機械の作業システムの導入による素材生産コストの低減を図るため、林内路網を重点的に整備しようとするものである。次に、193ページの7目治山費65億3、849万円余は、森林の適正な管理により県土を保全するため、山腹崩壊地の整備など231カ所で行う山地治山工事などに要する経費である。次に、194ページをお開き願う。8目林業技術センター費4億4、949万円余は、林業技術センターの人件費などの管理運営費及び試験研究に要する経費である。
 以上で林業費を終わって、次に、水産業費について御説明申し上げる。
 196ページをお開き願う。5項水産業費であるが、1目水産業総務費5億8、767万円余の主なものは、人件費などの管理運営費及び水産科学館の運営に要する経費である。2目漁業構造改善対策費30億5、212万円余の主なものであるが、説明欄の1行目沿岸漁場整備開発事業費は、水産物を計画的に生産するため、沿岸漁場の整備を図ろうとするものであるが、アワビ、ウニの増殖を目的とした地先型増殖場9カ所のほか、ヒラメの増殖を目的とした広域型増殖場4カ所などの造成をしようとするものである。次に、197ページの説明欄8行目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、漁業近代化施設等7カ所の整備に対し助成しようとするものである。次に、3目水産業振興費24億3、519万円余の主なものであるが、説明欄の3行目、さけ、ます増殖費は、サケ、マスの資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げに要する経費及び増殖施設の整備やサケが遡上する16河川の環境整備等に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、二つ飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、海域の持つ生産能力を十分発揮させ、つくり育てる漁業の強化を図るため、種苗放流事業等に要する経費に対し助成しようとするものである。次に、一つ飛んで、サクラマス資源増大対策事業費は、サケ、マス類の中で、品質のすぐれたサクラマスの経済効率の高い放流手法を開発するため、幼魚の秋放流を実施しようとするものである。次に、198ページをお開き願う。説明欄の1行目、魚類栽培推進事業費は、魚類栽培の一層の推進を図るため、これまで実施してきたアワビ、ウニ等に加え、ヒラメ、マツカワの魚類栽培を推進しようとするものである。次に、四つ飛んで、海洋法対策事業費は、国連海洋法条約の締結による新たな漁業制度の導入に伴い資源管理計画を策定するとともに、漁業制度の改正、漁獲可能量の配分、管理体制の整備及び関係漁業者への指導等を行おうとするものである。次に、一つ飛んで、資源管理型漁業推進総合対策事業費は、水産資源の効果的な培養及び資源水準に見合った漁業管理により、資源管理の将来方策、適正な漁獲方法を明らかにし、資源管理型漁業の振興を図ろうとするものである。次に、八つ飛んで、青年水産加工協議会支援事業費補助は、水産加工業の振興を図るため、岩手県青年水産加工協議会が行う新製品の開発や、人材育成などに要する経費に対し助成しようとするものである。次に、一つ飛んで、秋さけ等利用拡大推進事業費は、秋サケを中心とした県水産物の利用拡大を図るため、販路開拓、消費宣伝を行うとともに、いわてのいくらのブランド化を図る経費に対し助成しようとするものである。次に、199ページに移って、説明欄中ほどの漁業経営改善促進資金貸付金は、中小漁業者の経営合理化のための資金の原資として、岩手県漁業信用基金協会に対し資金を貸し付けようとするものである。次に、二つ飛んで、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、本県の栽培漁業の推進を目的に設立された社団法人岩手県栽培漁業協会の事業の円滑な運営を確保するため運転資金の貸し付け等を行い、協会の育成を図ろうとするものである。次に、五つ飛んで、全国豊かな海づくり大会開催事業費は、平成9年10月に大槌漁港で開催される第17回全国豊かな海づくり大会について、会場の整備等、大会開催に必要な準備を行うとともに、大会実行委員会に係る経費を負担しようとするものである。次に、4目水産業協同組合指導費2億8、785万円余の主なものであるが、200ページをお開き願う。説明欄の1行目、漁業協同組合事業基盤強化総合対策資金利子補給は、漁業協同組合事業基盤強化基本方針に沿って、財務内容の改善など事業基盤の強化を総合的に図ることを目的として、漁業協同組合が借り入れた資金に利子補給をしようとするものである。次に、一つ飛んで、漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期、低利の施設整備資金を融資する金融機関に対し利子補給をしようとするものである。次に、一つ飛んで、水産加工業協同組合経営安定化資金利子補給は、水産加工業協同組合に加工原料等の購入資金を融通する金融機関に対し利子補給をしようとするものである。次に、5目漁業調整委員会費7、408万円余及び6目漁業調整費7、372万円余は、海区漁業調整委員会の管理運営や漁業調整などに要する経費である。次に、201ページの7目漁業取締費5億3、744万円余は、漁業取締事務所の人件費及び管理運営に要する経費のほか、説明欄の4行目の漁業取締船代船建造事業費は、現有の第3はやちねの代船として、時代に即応した新船を建造しようとするものである。次に、202ページをお開き願う。8目水産技術センター費12億4、645万円余及び9目内水面水産技術センター費1億614万円は、水産技術センターなどの試験研究や管理運営に要する経費である。次に、203ページの10目漁港管理費1億1、684万円余は、県管理漁港の維持管理などに要する経費である。次に、11目漁港建設費117億9、921万円余は、漁港及び海岸関係事業に係る県営延べ75港、市町村営延べ58港の整備に要する経費である。
 以上で水産業費を終わって、次に、少し飛んで265ページをお開き願う。11款災害復旧費について御説明申し上げる。1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費2億5、004万円余、266ページの3目治山災害復旧費1億2、413万円余、4目漁業用施設災害復旧費2、000万円及び267ページの5目漁港災害復旧費5億3、483万円余は、いずれも現年災害の復旧に要する経費である。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わる。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。恐れ入るが、再び議案その2の13ページをお開き願う。
 林業水産部関係は、事項欄の35から14ページの40までの6件であるが、これらは、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した造林事業資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償及びいわて優良木造住宅建設資金など、五つの資金の融通に伴う利子補給について、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものである。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げる。同じく議案その2の26ページをお開き願う。議案第9号平成9年度岩手県県有林事業特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ51億3、487万8、000円である。
 次に、27ページの第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び県債が主なものである。
 次に、28ページの歳出の主なものは、1款県有林事業費であるが、これは、県行造林造成事業や模範林造成事業等の新植、下刈り及び素材の生産などに要する経費である。
 次に、第2表地方債についてであるが、これは、県有林事業費に充当するため、その限度額を22億2、900万円にしようとするものである。
 次に、29ページの議案第10号平成9年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてであるが、歳入歳出それぞれ15億117万円である。
 次に、30ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び貸付金元利収入がその主なものである。
 次に、31ページの歳出であるが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者などに対し、無利子の林業生産高度化資金などを貸し付けようとするものである。
 次の2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合や木材加工業者などに対し、木材生産などに必要な運転資金を低利で貸し付けるため、その原資を金融機関に預託しようとするものである。
 次の3款林業就業促進資金貸付費は、新規林業就業者の技術研修や資格の取得、住居の移転等に要する資金を無利子で貸し付けようとするものである。
 次に、32ページをお開き願う。議案第11号平成9年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてであるが、これは、沿岸漁業従事者等が自主的にその経営の改善を行うことを積極的に助長するための奨励措置であり、歳入歳出それぞれ3億894万1、000円である。
 次に、33ページの第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金及び貸付金収入がその主なものであり、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、近代的な漁業技術の導入を促進し、漁業経営の改善を図るため、沿岸漁業者に対し、無利子の経営改善資金等を貸し付けようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。同じく議案その2の75ページをお開き願う。議案第22号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成9年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村である大船渡市ほか16市町村に負担願おうとするものである。
 次に、77ページの議案第23号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成9年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村である大船渡市ほか13市町村に負担願おうとするものである。
 次に、お手元の議案その3の67ページをお開き願う。議案第60号岩手県木材業者及び製材業者登録条例の一部を改正する条例、さらに、68ページの議案第61号県民の森条例の一部を改正する条例、69ページの議案第62号緑化センター条例の一部を改正する条例、70ページの議案第63号林業技術センター条例の一部を改正する条例、72ページの議案第64号水産科学館条例の一部を改正する条例、74ページの議案第65号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例についてであるが、これらは、消費税率の改正に伴う消費税相当額及び諸経費の増加などを勘案して、それぞれ使用料または手数料の額を増額しようとするものである。
 なお、水産科学館条例の一部を改正する条例については、学校週5日制に対応した学校外活動の充実に資するため、児童生徒に係る入館料を無料とするよう、また、岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例については、県民の負担の軽減を図るため、漁港施設に工作物を設置する場合における占用期間の上限を延長するほか、所要の整備をあわせて行おうとするものである。
 以上で林業水産部関係の議案の説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。
 次に、先ほど委員長から発言を許された去る3月11日の予算特別委員会総括質疑において、吉永副知事が後日お答えするとした漁業生産組合の理事の兼務、兼任状況について御説明する。
 まず、本県の定置漁業権のうち、漁業生産組合が関係しているものが13件、このうち、漁業生産組合が単独で取得しているものが11件であることは先日お答えした。この11件のうち、理事、監事が完全に一致しているのが山丸、山田の二つの生産組合である。残る九つの生産組合のうち、理事、監事が一部重複しているのが二つある。その他の7生産組合では理事、監事の重複はない。
 以上で説明を終わる。

〇藤原委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇伊藤(勢)委員 最初の御指名ありがたい。
 漁業振興について、漁業全体という部分と、特に秋サケ対策についてお伺いしたいと思う。
 漁業は、魚をとる人、売る人、食べる人によって完結をするものと思っておって、私は、食べる人の立場から質問をしたいと思う。今や200海里時代であって、1海里は1・85キロ、つまり370キロの専管水域をどうするか、こういう部分にかかわる部分が多くなっていると思う。この以前は、海に対して世界じゅうが無責任で、魚もとりたいだけとっていたわけである。オイルタンカーが日本近海に油を流しても文句を言う権利がなかったのである。しかし、海のルールが整備されるに従って、世界の漁業者が真剣に漁業資源の保全に取り組んできているところである。海には国際管理機関があるにもかかわらず、そこに加盟しないで漁を行っている国もある。
 そこでお伺いをする。日本は国連海洋法条約を批准したが、一つ、近隣諸国でこの国連海洋法を批准していない国はどこか。
 二つ、過去10年ぐらいの中で日本の漁船が拿捕された件数はどうなっているか。その中で岩手の船はどのくらいあるか。
 3、日本が過去に外国の船を拿捕したことがあるか。あったら教えていただきたいと思う。

〇中山漁政課長 まず、日本の近隣諸国で海洋法を批准していない国があるかという御質問であるけれども、近隣諸国の中で、まず、ロシアは、現在国連海洋法条約を批准してない。それから、韓国及び中国については条約を締結済みである。そのほかは具体的には承知してない。
 それから、日本漁船が外国に拿捕されたことがあるかということであるけれども、海上保安庁白書によると、日本の船舶、漁船を含む船舶であるが、外国に拿捕された隻数は、近年では平成5年で16隻、6年で10隻、7年が9隻、その大部分は漁船であると承知しておる。平成8年についてはまだ公表されておらない。
 それから、日本が外国の漁船を拿捕したかという点であるけれども、平成5年に50隻、6年に26隻、7年に15隻、これはいずれも漁船である。出典は、申しおくれたけれども、海上保安庁白書である。

〇伊藤(勢)委員 いずれ遠洋漁業というのは大変厳しい状況にある。言ってみれば、遠洋漁業、今となっては自国の200海里から相手の200海里の瀬戸際に行って操業するということであるから、当初侵犯をしたという気がなくても、風とか波とかによってついついと、こういうこともあるようで、いずれ厳しい状況にある。かつて岩手の水産業のリーダーと言われた人たちの中には、遠洋漁業の権利が億円台で売れた十数年前に漁業から撤退をした人たちもおる。先見の明というか、あるいはまた沈み行く船から船長が先におか上がりをしたとか、批判はいろいろあると思うが、現在、若手の遠洋漁業の経営者たちはいろいろ情報交換をし、勉強し、日本人の食ぜんに欠かすことのできないマグロについて情熱を持って取り組んでおる。このマグロ漁については国の権限であり、県単位では支援対策は今のところないものとも思われるけれども、ぜひとも近い将来にそういう支援対策を講じるように、これは強く要望しておきたいと思う。
 次に、近海漁業についてお伺いする。
 いわゆるTACを批准したことにより、イワシ、サンマ、サバ、アジ、スケトウ、ズワイ、この6魚種が規制をされることになった。総量規制である。
 そこでお伺いをするが、1、量というのはどれくらいの量か。
 二つとして、本県の漁業に対する影響はどう考えているか。
 3番目として、将来規制される魚種がふえると思うが、その見通しはどうなっているか。
 4番目として、現在、台湾、中国、韓国などの漁船が日本海にひしめき合っている状況にある。これはかつての李承晩ラインを逆手にとられているという点もあろうかと思うが、これらが近い将来、あるいは近々三陸沿岸に外来してくる可能性が大いにあると思うのであるが、こういう点についての見通しをどのようにお考えになっているかお伺いをする。

〇中山漁政課長 まず、TACについての量であるけれども、本県はサンマについて8、000トンのTACの割り当てを受けておる。
 それから、今後の追加の見通し、6魚種以外について追加の見通しということであるけれども、この追加については、国の方、水産庁を中心に今後検討が進むと考えておるけれども、その要件としては、まず、漁獲量が全国的に見ても多いこと、それから、資源状態が悪化していること、それから、外国人が漁獲していること、こういった条件の中から順次追加されていくものと考えておる。
 それから、韓国、中国、台湾漁船の操業状況であるけれども、まず、韓国と中国について申し上げると、現在の日本の200海里法は、完全には韓国、中国には適用されておらない。その理由は、両国と日本とでそれぞれ個別の漁業協定を結んでいるからである。
 その操業状況を申し上げると、ほとんどが九州、山陰地方の日本海に集中しておる。太平洋側では、韓国についてはトロール、これは北海道の周辺のみである。それから、イカ釣り、サンマ棒受け漁業が操業している模様である。中国については、太平洋側においてイカ釣りと、極めてまれにトロール漁船が視認されておる。台湾については、サンマ棒受け網と、まれにイカ釣り漁業が視認されておる。
 特に韓国、中国についての今後の動向という御質問であるけれども、これについては、現在、日本のTAC法というものが完全には適用されてない。その隘路は、先ほど申し上げた2国間の協定というのが隘路になっておるので、これは国の方においてその協定を改定するか、あるいは廃止するか、今後早急な検討、協議が行われていくと聞いておる。

〇伊藤(勢)委員 一つ答弁が落ちていると思うが、完全にはTAC協定を批准していない。しかし、そこには領土問題というのがある、竹島、尖閣諸島等。これは国における部分であるが、三陸の漁業を語るときにどうしても触れなければならない部分で、国においてという部分であるが、我が県においてもこれは承知をしておかなければならない部分だと思う。漁業組合の組合長たちにお伺いをすると、ロシアの部分についてであるが、混獲ならまだしも、船団を組んで母船方式で三陸沖に来てイカをごっそりとっていく。そういう部分について、いわゆるルールに乗っていない国であるから、ルールにのっとってという部分が言えない部分がある。しかし、これは県の漁政という観点から及ばない部分があるかもしれないが、三陸の海にはそういう部分が現実としてある、こういうことを私たちはまず認識をしてかかっていく部分があると思うので、それぞれ国の機関に働きかけをするなり、あるいは私たち委員もそうであるけれども、背景というものを承知をしていかなければならない。そういうことをこれは強く、所定の手続を踏んでいきながら、国に働きかけをするものはやっていく、そして、三陸の漁場を守っていく、こういう部分が必要だと思うので、これも要望、指摘にしておきたいと思う。
 次に、秋サケの消費拡大についてお伺いする。
 本年は7万トンの漁獲量があった。1匹当たりの魚体は年々小さくなっておる。大体4キロくらいで、6キロというのは余りない。これを中をとって1匹当たり5キログラムとして7万トンを割ると、実に1、400万匹、こういうことになる。岩手県の140万県民が赤ん坊からお年寄りまで1人当たり10匹を消費しないとさばけない、実に膨大な量でもある。しかもこのほかに、外国のサケを初め、他の漁獲物がどんどん日本に入ってきている、こういうことがまた重なってまいる。
 そこでお伺いをするが、では、外国から入ってくるというサケあるいはそれ以外の漁獲物、これはだれが買っているのであろうか。まさか漁協が買っているのではないと思うが、まず、それを一つ。
 それから、岩手県の漁港は、おかげさまで逐次立派になってまいった。そのことで仕事はやりやすくなっているものと思うが、では、その漁港が立派になったことによって漁獲物の価格の上昇があったのかどうか、この二つをお伺いしたいと思う。

〇上村漁業振興課長 第1点の外国から入ってくる水産物であるが、だれが買っているのかという御質問であるけれども、これは、一般には商社だと考えている。ただ、割り当て--IQの問題については決まっているので、商社以外では全水加工連、全国水産業加工業協同組合等だと考えておる。
 それから、漁港がよくなったことによって、これが価格の上昇にはね返っているだろうかということであるけれども、やはり水産物はとってくるだけではなくて、揚げた後、付加価値をつけることが一番大事だと思っておるし、特に秋サケ等については、今までであると、とりっ放し、揚げっ放しというのが結構多かったのであるけれども、やはり揚げた後、付加価値をつけることが大変大事なことになってくるので、そのためには漁港が整備され、そこにいろいろな施設が整備されることは大変いいことだと思っているので、そういうことによって価格は上昇しているというふうに--具体的には数字を持ってないが--見ておる。

〇伊藤(勢)委員 本当は余り目立って上がっていない。例えばホタテとかウニ、ワカメ、昆布、そういったものは余り上がっていない。その部分を実際の最前線の漁民の方に聞くと、外国から入ってくるためにと、こういう短絡的な考えというか、そういう部分に非常に不満を持っておられるが、我々政治に携わる者が外国から入ってくるものに対して体を張って阻止をしたかというと、国会議員を初め、余りないように思う。外国から入ってくるときは衛生的な管理もそんなに難しくなく入ってくるが、日本からのものを出してやるときは大変厳しい、こういう部分もあったりして、またこれも国に係る部分であるかもしれないが、こういう部分も知っておかないと私たちは漁業というものを語っていけないと、こういうこともあろうと思う。
 時間が余りないので、これはまた後でやりとりをしたいと思うが、そこでまた重ねるけれども、岩手県は秋サケについて、毎年ふ化事業に高額の補助を投入しておる。市町村もやっておる。結果は、処理し切れずにフィッシュミールになる。あるいは犬、猫のえさづくりに補助をしていることにならないかと指摘する厳しい声もあるようである。ただ、これは巨視的な視野からいえば、21世紀の食糧不足の時代には貴重な動物たんぱく質であるから、何としても価格安定と消費拡大を図りながら次の世代にこの部分を引き継いでいかなければならない、こういうことが漁業に対して指導していく県の一番のネックだと思う。
 そこで伺う。県当局はこのことについて、つまり秋サケ対策をどのように上昇に持っていこうとするのかということについてどのようにお考えになっているのか。
 それから、この解決に当たっては、漁業関係者と行政だけで足りるのか、一般県民の協力は要らないのか、これが2点である。
 そして3点目として、県民の協力が要るということであったら、どういう点において県民に協力を願いたいのか、この3点をお伺いする。

〇上村漁業振興課長 秋サケの魚価対策についてはこれといった妙案はないのであるけれども、ただ、先ほどお話があったとおり、平成7年は史上最高7万3、400トンの水揚げがあった。ただ、魚価が昨年度をまた下回って最低の154円だということから、金額も107億円にとどまった。これをちょっと分析すると、107億円の85%、約90億円は雌なのである。雌はなぜ高いかとなると、イクラ、いわゆる卵を持っているからである。これが何と岩手県の水揚げ金額の107億円の85%を占めているということがある。昨年度はO-157の影響で生食に対する警戒感があって、イクラも値段が下がった。前年から約1、000円程度下がっておる。それが魚価にはね返ってきたのではないかと考えておる。したがって、今後はこのイクラを何とか岩手県のキャッチフレーズである安全、新鮮ということをキーワードにして、岩手のブランド化を図っていきたい。昨年度から久慈地区を対象にしていわてのいくら品質向上モデル事業をやっておる。2年目に入るけれども、ぜひこれを物にして、魚価の向上に努めてまいりたいと思う。
 さらに、こういった新製品、あるいは品質の向上を図っても、秋サケ製品等の消費のすそ野が広がらないと意味がないので、昨年8月、加工業者、流通業者あるいは漁業者等でつくった岩手県秋さけ消費拡大推進協議会を中心として、消費宣伝、これはサケ祭りとか、あるいは料理講習会等の開催であるけれども、そのほかに販路開拓等のサケ消費拡大キャンペーンを張っていきたいと思っておる。そのほかに、秋サケ7万3、400トン揚がるけれども、市場によっては取り扱いがばらばらである。規格化がなされておらない。これについても、ある程度規格化がなされると価格の向上につながるから、そういった規格化に向けて関係者の合意形成に努めてまいりたいと考えておる。
 さらに、消費者拡大を図るためには、一般県民の御協力を得なければならないので、これまでもやってきたけれども、学校給食等の拡大、あるいは御老人、高齢者等に対する提供、あるいは病院等々に対する提供、あらゆる面から御協力をいただいて、何としても秋サケを1円でも2円でも上げていくことに努めてまいりたいと思うので、よろしくお願いする。

〇伊藤(勢)委員 サケは、我が岩手県にあっては古く繩文の時代から、各遺跡からサケの骨が出てくるくらい古くからかかわっておるわけである。宮古湾の東側の山、月山というところがあるが、ここに月山神社という余り大きくないが神社がある。これは普通、私の思いであると、神社というのは東とか南、つまり太陽に向かってあると思っておったが、この月山神社は宮古湾内を向いて、早池峰の方を向いてあって、大変不思議な神社と思っておった。そうしたところ、この前、宮古地区に慶応大学の民俗学の教授たちが来て、民俗学の調査をした中にちょっとその部分があったのであるが、実は10月末、11月初めであろうか、宮古湾に最初に入ってくるサケの雄と雌を持ってそこの神社に上がるのだそうである。そしてハラコを神社の社にかけて白子をかける。そしてみんなで拝む、こういうことなのである。その心は、言ってみれば湾奥にある人たちがそれをやるのであるが、そうすることによって神社の神様がお怒りになって、湾内にしけを持ってくる。そうすると、湾内にある定置がみんな流れてしまって奥の方にサケが入ってくる。こういうことを願うという、いろいろなこれも民俗であるから、風俗であるから、そういういろいろな部分がありながらかかわってきた部分が多いと思う。神様も大変迷惑をしていると思うが、いずれそういう神頼みもありながら、このサケという部分については大変岩手県は特にかかわりが多かった。その中で、確かに繩張り意識や繩張り争い、こういったものもあったと思う。湾内においてもこのとおりであるから、海を接する隣同士の中にもあるいは定置についての争いもあるかもしれない。
 ただ、私たちが今最も注意をしなければというか、気持ちをそこに置かなければならないのは、何よりもむしろ宮城県との海区をどう調整をするのかとか、あるいはTACを批准していない国からどうして三陸の漁場を守るのかということとか、あるいは魚価の安定をどう図って、価格、後継者不足をどう解決するかとか、そういう部分が根幹的な漁業に対する考え方でなければならない、こう思うわけであるが、これは大変大きな問題であるが、これについて、やはり部長から御所見をお伺いしたいと思う。

〇中村林業水産部長 沿岸域の市町村あるいは生活をなさっている方々あるいは漁村は、漁業生産に大変大きく依存しているわけである。漁業の浮沈が地域社会の経済の浮沈、あるいは地域社会の活性化にも大きな影響を及ぼすと認識しておる。また、全国有数の漁場である三陸沿岸を活用した漁業生産の活性化は、県民の方々に大変豊かな魚食文化を提供するという観点からも、漁村地域の活性化は大変重要な課題と認識しておるわけである。漁業を取り巻く環境は大変今厳しいわけであるけれども、魚価の安定対策から始まって、あるいは漁港、漁村の整備等々を含めて、今後とも真剣に漁業の振興に取り組んでまいりたいと思っておる。

〇伊藤(勢)委員 手短に進めてまいる。
 ただいま振興課長から、秋サケの対策について県民の協力が必要である、そういうことであった。そのとおりだと思う。そういうことであれば、やはり物事はやりとりであるから、例えば魚を食べてもらう立場の人たちの要望という部分も海の人たちも聞き入れていく、そこで初めてやったりとったりができるんだと思う。そういう中で、県民の海に対するニーズという部分が二つ三つあるわけであるが--それ以上あるかもしれないが--、その大きなものの一つは、海を開放してほしいということがあるようである。例えばスキューバダイビング、三陸の海は日本の中で残された秘境と言われている。群青色の海、大変興味のある部分だそうである。これは、県内の水産高校の生徒たちがいろいろな海に関する提言をした中にも、広田水産高校の生徒から出ておった。こういう子供たちが次の将来を担う、あるいは漁業者になるかもしれない子供たちであるから、こういう部分も聞き入れていくことが必要だと思う。
 そしてさらに、これは昨年の決算特別委員会でも申し上げたが、河川におけるサケの一本釣りをぜひとも許可をしていただきたい、こういうことである。北海道の標津町の忠類川では既にやっている。しかも釣りということではなくて、調査ということでおやりになっているわけであるので、1キロ150円とかそういう部分で悩むよりも、それはそれとしても、今ある個体をどう高く売っていくか、どう観光ベースに乗せるか、こういう点について、これはぜひとも御検討いただきたいと思うし、例えば海に潜りに来る人、あるいはサケ釣りに来る人たちも、海に来た人が買って帰るのはほとんどがやっぱり魚介類だと。そういうことに思いをすると、広い海での漁業振興にもつながるもの、このように思うわけであるが、これについてまず御見解をいただきたいと思う。

〇中山漁政課長 まず、河川におけるサケの一本釣りであるが、河川でのサケの採捕というのは水産資源保護法で厳しく規制されており、ふ化放流事業のための親魚--親の魚の確保や、サケに関する試験研究など、極めて例外的な場合に限定して特別採捕の許可として認めているところである。したがって、河川で自然状態にあるサケを釣りによってとるということは極めて困難と考えておる。
 なお、委員が御指摘のように、特例的にではあるが、北海道の忠類川では平成7年度以降、これは町が試験研究の実施主体となって、調査の採捕従事者を一般から募るということにより、実態上河川でのサケの釣りというのが行われているということは承知しておる。しかし、これは以下の経緯があるということで、一つには、この川--忠類川に遡上したサケ親魚というのは、平成6年度までは増殖用親魚の確保のための特別採捕として、採捕施設による採捕が許可されておった。これは釣りではない。ところが、平成7年度以降は、この川、この忠類川での増殖用の親サケ、親魚の採捕は行わないということになったわけである。このことから、地元の漁協あるいは町が忠類川に遡上するサケの親--サケ親魚を増殖用の親魚としての利用以外の利用として有効利用する方法はないか、そのような試験研究をするために、道庁の水産部あるいは水産庁と協議した結果、標津町を実施主体として釣りによる試験研究が平成7年、平成8年、特例的に認められたと聞いておる。
 本県においては、実態上、サケの親、親魚が遡上する河川のほとんどでふ化放流事業が行われておる。したがって、試験研究が認められた忠類川とはかなり事情が異なるものと考えておる。また、本県の内水面漁業調整規則では、試験研究等の適用除外事項として、試験研究、教育実習、増殖用の種苗の供給、その他特別の事由ということを掲げておるけれども、本県における長年にわたる漁業者を中心としたサケのふ化放流の努力の歴史をも考慮すれば、ここで言っている試験研究の範囲というのは慎重に判断すべきだと考えておる。

〇伊藤(勢)委員 最後であるけれども、いずれ、そういうかたい部分でやっていると何事も進展をしない。であるが、立場としてはわかる。皆さんは法律、条例の方から入ってこられる。私たちは素朴な考え方から、いや、そうだったらこうした方がいいのではないかと、こういうことから入っていくわけであるが、常にその中にぶつかり合いがありながら、やはり先駆けてやった人たちはそこを上手にやってきた部分で、やはり県民にサケの販路拡大、消費拡大といった部分についてお願いをするという観点をお持ちなのであれば、それはやっぱり県民の要望も聞いていこうと、これで、やりとりで、こういう部分が私は必要だと思うし、これがギブ・アンド・テイクだと思う。そういう部分にかかわると思うので、ぜひともこれは御検討をさらに進めていただいて、やるからには、本州でまず岩手県が一番先にやる、こういうことに価値があると思うので、これを強く要望しておきたいと思う。
 またさらには、今は各家庭において大体出刃包丁がない時代である。サケをおろすことがほとんどない家庭である。魚はスーパーから買ってくればいいのだと、そういう感覚である。したがって、まず根本的に物流の基本は私は物々交換でもいいのではないのかと、このように思っておる。いわゆるサケと穀物類、野菜類を交換する、食の部分の物々交換にあってもいいのではないのかと、そうも思うし、あるいは今いろんな部分で産直販売というのを大いにやっておる。これは全国マグロ協会でも、マグロの産直販売を既にやっておる。また、大船渡などでは、ゆうパック等でサンマとかあるいはイカとかを全国に3、000箱も4、000箱も既に出している。こういう部分を頭に入れながらやっていただきたいし、例えば小さい話であるが、いろんな食堂に参るとお子様ランチというのがあるが、いまだかつてシルバーランチというのがあったためしがない。そのシルバーランチ、これはサンマとかあるいはサバとか、そういったところにあるいわゆる人間のボケ防止の栄養のある部分もあるわけであるから、穀物とこの魚とそれから野菜のいっぱい入ったみそ汁、こういう部分でつくる私はシルバーランチがあって、しかもおかずは海草類と、こういうことでもいいと思う。ぜひ、そういう部分も考慮に入れながら、新しい販路拡大に努力をしていただきたいと思う。
 最後であるが、飯岡次長にお礼を申し上げたいと思う。
 このたび次長におかれては、後進に道を譲られると伺った。昭和45年から50年初めは、岩手県のサケの水揚げは1、000トンしかなかったそうであるが、次長のサケの権威としての研究と実践によって本年は7万トン、70倍の水揚げを記録したわけである。これは飯岡次長の県庁生活の成果であるとの、ある水産関係の方からお伺いをしたところである。現在は、消費拡大と価格安定に四苦八苦しておるが、21世紀の食糧危機の時代には貴重なたんぱく資源となると確信しておる。この間のサケの権威者としての研究と実践の部分に心からお礼を申し上げたいと思う。今後におかれても、どうぞこのサケという部分、岩手県の大事な漁業の根幹のサケという部分に思いをいたし、大所高所からも御意見をちょうだいをいたすように、心から感謝を申し上げて私の質問を終わる。ありがたかった。
   〔「議事進行について。」と呼ぶ者あり〕

〇水上委員 世話人にさせていただいてこのような話をするのはまことに申しわけないが、吉永副知事の答弁を部長にやったことは先例でいいかどうか、一言。
 それから、これは世話人会で申し合わせているわけであるが、予算特別委員会の審議における質疑については、多数の委員の発言を確保するため、複数の項目がある場合はまとめて一括して行うように各会派で周知徹底しているつもりと思うので、委員長からよろしくお願い申し上げる。

〇藤原委員長 わかった。ただいまの水上委員の議事進行について、第1番目については、冒頭、私の方から皆様方にお諮りをいたして御了承いただいて進めておるので、よろしくお願いする。
 それから、2番目の点については仰せのとおりである。委員各位の皆様方、並びに執行部の皆様方、ひとつよろしく申し合わせのとおり、議事進行には今後とも御協力を賜るようお願いを申し上げる。

〇山内委員 今お話しのとおり、3点あるが、その3点について触れさせていただく。
 5項水産業費中、3目水産業振興費、4目水産業協同組合指導費、並びに漁業調整委員会費、これらにかかわって3点伺う。
 まず第1点は、先ほど部長の方から御報告のあったその問題についてである。御報告のとおりであり、全く同一の理事者が二つの生産組合を運営していると、こういった例はほかにないわけである。
 そこで重ねてお伺いするわけであるが、この山丸及び山田の生産組合、定置漁業生産組合、組合員数それぞれ15名と聞いておる。この構成メンバーはどのようになっておるのか。というのは、個々人の名前は結構であるが、違った方々で組合員というものが構成されているのかと、こういう意味である。
 それから、この問題についてもう1点お伺いするのは、さきの吉永副知事に対して行った質問であるけれども、この二つの生産組合、佐藤正春委員のみずからの調査によればと、こう申し上げたわけであるが、両組合は登録住所こそ別であるけれども、同一の事務所で同一の事務員によって事務が行われていると。
 それから、使用する漁船、それから漁具、漁網、倉庫も共同使用、そして佐藤委員の話によれば、何よりも問題なのは従業する漁民も同一であるようであるがと、こういった実態にあるのか、どのように把握しておられるのかお伺いをしたいと思う。
 それから質問の第2点である。これは漁協の統一の問題についてである。
 昨年12月に、全漁連が1県1漁協あるいは1市町村1漁協、それから単協の信用事業の県信漁連への譲渡、こういったことを柱とする方針を打ち出した。これに伴って、県漁連でも漁業事業組織改革検討委員会といったものの中で1県1漁協を目指していこうと、こういった方針を打ち出したと聞いているわけである。そこで、県はこの動きに対してどのような方針で臨まれるのか、また、この統合に向けての県としての今後のスケジュールをどのように考えているのか。全漁連の方針であると、10年後、平成19年をめどにと、こういうようであるけれども、それに向かって県はどのように対応をしていかれるのかと、こういった点について基本姿勢をお示しいただきたいと思う。
 質問の第3点。これは海区調整委員会の問題である。
 水産庁の通達に反した形で知事指名の委員が選任をされていると、こういったことについて私どもは問題ありやなしやと、こういったことを論じているわけである。
 そこでお伺いするのは、以前に水産庁通達、これは平成4年の通達であるけれども、これがきっかけとなって当時の、今もそうであるわけであるが、当時の鈴木会長が辞任届を出されたと。これはその辞任の理由に、被選挙資格を有する者の知事選任委員は、水産庁通達に違反する旨説明を受けたため私は辞任をいたすと、こういうことで辞任の届けがあったと伺っておる。この事実確認をしたいと思うわけである。また、聞くところによると、県はそういった辞任願を受けて、海区調整委員会にこの辞任願の理由は正当なものであるかどうかという問いを発しておられると聞いておる。その問いに対して海区の方では、県に対し、正当な理由に当たると判断をされたと、こう私は聞いているが、その事実確認をさせていただきたいと思う。
 以上3点である。

〇中村林業水産部長 3点の御質問があったわけであるが、1点目の漁業生産組合の実態調査の結果についてさきの調査をするということについてのお答え、それから、2点目の漁業協同組合の合併についてどういう方針で臨むのか等々についての2点目、3点目の海区調整委員会の海区の委員の選任の件についてであるが、まず1点目であるが、さきの質問の中で今山内委員おっしゃったように、両生産組合の事務は同一の事務所で同一の事務員により行われ、使用する船あるいは漁具、漁網、倉庫など共同使用となっているのではないかと、実態を調査してほしいという旨の発言があったわけである。両漁業生産組合の事務所については、実態上は同一の事務所で同一人によって行われていると承知いたしておる。同一人による事務については、職員の兼職が原則的には禁止されておらず、問題はないと考えておる。
 なお、事務所については、同じ職員による経理等の事務が便宜上片方の事務所で行われているものの、事務所の正式な住所については、両組合の登記簿どおりの住所に存在していると考えており、特に問題は生じていないと、生じないと考えておる。
 それから、次に両組合が所有する漁船について、両組合が単独にそれぞれ所有する漁船と共有名義となっている漁船があることを確認いたしておる。これについてであるが、これらの漁船のうち共有名義となっている漁船については、共同で使用しているということを承知いたしておる。したがって、共有名義となっている漁船を共同で使用することについては、これまた何ら問題がないと考えておる。
 それから、単独所有の漁船を他の組合が使用していることについては、事実関係を把握はしておらない。
 それから、次に倉庫の問題であるが、御指摘にあった倉庫であるが、倉庫については共有する倉庫があることは承知しておるが、実際の使用状況についは承知しておらない。しかしながら、共有する倉庫を共同利用しているとしても、共同利用という観点からこれも特に問題は生じないと考えておる。
 次に、漁具、漁網についてであるが、当該漁業生産組合が営んでいる漁業が定置網漁業という特定の漁場を敷設して使用する性格のものであることから、ほかの組合のものを共同で使用することはないものと考えておる。
 それから、漁協の合併問題についての基本的な考え方であるが、山内委員御指摘のとおり、昨年10月に全漁連の方から、1県1漁協または1県複数自立漁協の実現を目指した漁協系統事業組織改革のための指針が出されたわけであり、これを協議するために本県においても、それぞれの代表者からなる岩手県漁協系統事業組織改革検討委員会、そのもとに小委員会が設置をされておる。当委員会については県も参画しておるわけであるが、この県の考え方であるけれども、本県としては、21世紀に向けた本県漁業の一層の振興を図るためには、経済事業や資源管理の実施主体として自立可能な漁協組織の構築は不可欠と認識しておる。したがって、これは業界全体と県が足並みをそろえて一致団結してこれを推進していくことが大変重要であると認識しておる。したがって、そのような基本的な認識を持ってこの漁協合併については取り組んでいきたいと考えておる。
 それから、海区調整委員会の件については漁政課長の方から答弁させる。

〇中山漁政課長 漁業法における海区漁業法96条では、海区漁業調整委員は正当な理由がなければ辞任することができないという規定があるので、これは平成4年の7月21日に行われた海区漁業調整委員会において検討がなされて、それでこの辞表を認めるという回答を受けておる。それをもって県の方では辞任の辞令を交付しておる。

〇山内委員 それぞれ答弁ありがたかった。
 海区の方からまいる。
 今まで我々の問いに対して、県では、いろいろなことを言われて正当な選任であるということを言われているわけである。その中で、例えば本県水産業の振興を第一に考えるには、県としては、これらの厳しい状況に対処できるように長年にわたって本県水産業界をリードし、また、かつ全国の漁業団体の役員も経験するなど、漁業に関し豊富な経験を有する方として適切な人選を行ったと、こう結論づけておられるわけである。しかし、そういう人材であるならば、堂々と選挙に打って出て漁民代表として出られるべきではないのかと、こういったことを申し上げたいと思う。また同時に、みずからがその辞任の理由の中で、水産庁の通達に従って辞任をするんだと、こういうことを過去に言われているわけである。そういった方を改めて県が選任をしていくということに、私は疑問を感じるわけである。正当な理由とみずからも認め、海区も認めている。にもかかわらず、知事選任でまた迎えてくる。どうも矛盾を感じてならないわけである。こういった観点から、これからも私はこの問題について関心を持ってまいりたいと、以上申し上げておく。
 それから、漁協の合併統一問題についてである。
 今後のスケジュールについてちょっとお話がなかったのであるけれども、先ほど申し上げたとおり、全漁連の方では10年後を目指して統一をしていくのだという方針であるようである。いずれ、今の厳しい漁業状況というものを考えれば、こういった方向というのはやむを得ないのかと、また、むしろ進めるべきなのかと、こういった感じは持つのであるけれども、いざ、実際に合併をしていくということになると、いろいろな問題が出てくるだろうと、こう思っておる。私はその中の一つには、固定化債権と言ったらいいであろうか不良債権と言ったらいいであろうか、そういった問題の処理が出てくるだろうと思っておる。
 そこでお聞きするのは、この固定化債権、不良債権と言われるものは県下38漁協中総額で幾らぐらいになるのか、そして全く回収の見込みのない金額というものはそのうち幾らになるのだろうか、こういったことをお聞きしたいと思う。
 それから、山丸、山田、両定置の漁業生産組合についてである。
 先ほど部長は、事務所の住所が別々に登録されておるから問題はないと、こういう御答弁と聞いた。私はこれは実態と離れておったら問題あるのではないか。登記上そうだから問題はないということなのであろう、部長の答弁は。であるけれども、実際にその場所にいる、いないということ、この実態を見て判断をすべきではないであろうか。これは虚偽の登録にならないであろうか、そういうこと。私はおかしいと思う。であるからこそ問題になるのではないであろうかと、私あえてまたこう御指摘申し上げたいが、先ほどの御答弁のさらなる御説明を求めるものである。

〇中山漁政課長 まず第1点目、漁協の固定化債権という御質問があったが、これは幾つかの理由から、まず、1点目は固定化債権の定義というものであるが、これは御承知のように、1件1件厳しく精査した上でのことになろうかと思う。そういうことで、額というのが非常にきちんとした調査がなされているか、精査がなされているか否かという点にかかわってまいる。
 2点目は、これがまた漁協の経営状況に直接影響する、あるいは一般の評価、予断を与えかねないものであることからという点が1点。さらには、これはあくまでも漁協という県とは別の組織の経営上の問題である。そういう点から、大変恐縮であるが、現時点でこれをどのような値があるとかいうことは申し上げかねるので、御了承いただきたいと考える。

〇中村林業水産部長 同一の事務所で同一人が事務をとっているということは一つではないのかというような御指摘だと思うが、これについては確かに実態上、同一の事務所で経理関係等ベテランが事務をとっていることは承知しておるわけであるが、繰り返しになるけれども、職員が二つの事務所の事務についてやるということについては兼職はだめなんだと、職員が兼職することはできないというようなことは原則的に禁止されていないわけであり、そこはやはり通常の事務の実行の中では、あるいは社会の行われている業務の中では、そのような同一人による事務は行われるということは、これはあるものと私どもとしては考えておる。

〇中山漁政課長 非常に細かい技術的なことかもしれないけれども重要なことだと思うが、県に対する両生産組合の、これはいろんな報告書等があるけれども、これはそれぞれ別の住所を事務所とする旨の報告書が来ておる。当然ながら、法の細かい規定で定めておるいろんな備えつけ、義務化されている書類等、例えば定款であるとか決算書類であるとか、こういうのが事務所に備えつけていなければならないと。これが備えつけられている事務所が我々が報告を受けている、ここに住所があるというところの住所だと考えておる。実際上の具体の事務というものが必ずしも世の中で、その住所とそれから具体的に事務をやっている住所が完全に一致するということは100%ないと考えておる。我々としては諸報告から見て、この二つの法人は別の住所に存在すると考えておる。(「ちゃんと税金を払っているのであろう、両方とも。」と呼ぶ者あり)

〇山内委員 税金を払っていれば何でも許されるというような意見が一部にあるようであるが、私はそうは判断できない。今の御答弁でも、今なお私自身は納得できないと思っておる。例えば、両組合の所在地ということで8地割53番地、一方は8地割46番地と、こういった住所を登記しているわけである。その登記に反した実態にあるということが本当に問題がないのであろうか。これ一つの例である。それは確かに、皆さんは上がってきた書類上、それがそうだと考えておるという答弁にしかならないのかもしれないけれども、実態としてどうなのかということを再度調査を私は求めたいと、こう思う。
 それから、この問題についてさらに新たな観点から二つお聞きする。
 これは佐藤正春委員の質問の中にあった文言である。そのまま読み上げさせていただく。
 水産業協同組合法によれば、漁業生産組合は、漁民が共同化して漁業生産を行う組織であるので、加入漁民の3分の2以上が組合の事業に常時従事すること--いいであろうか--加入漁民の3分の2以上が組合の事業に常時従事すること、あるいは組合事業に常時従事する者の2分の1以上が組合員でなければならない、こういった定めがあるわけである。これは先ほど答弁漏れであるが、両組合の構成組合員といったものが全く別個のものになっているかどうかということ、ちょっと私が聞き漏らしたのかどうかであるが、そこを確認した上でこういった問題意識を提起申し上げたいわけである。その点について。

〇中山漁政課長 組合員も同一である。

〇山内委員 そうすると、これ実態的には全く同一法人である。全くの同一法人。それで問題がないというお答えがずっと続いておられるわけであるけれども、ただ、漁業法なりさまざまな法律の精神に照らし合わせた場合に、しかも県の漁業の指導的立場にある方が、こういった行動をとられることが本当に県民の理解を得られるのであろうかと、私は得られがたいものがあると、こう御指摘を申し上げる。
 これは平成5年のサケ稚魚買い上げ計画案なる文書があるけれども、この山丸、山田、両漁業生産組合、全く同じ数字で並んでおる。稚魚の買い上げ金額等も全く同一の金額で出ている。こういったことから考えれば、両生産組合というのは全く一つの法人と考えるべきだと、その上で指導をしていくべきだと、こう思うが、いずれ先ほどの御答弁には、先ほど申し上げたとおり納得できない部分が多いのであるから。というのは答弁の中にあるとおり、と考えておると、と考えておると。実態がこうだという御答弁がなかなかにないものであるから、考えているだけではなくて、実態の調査に進んでいただきたいと、このことを要望するわけであるが、考え方についてお知らせをいただきたい。

〇中山漁政課長 まず、水産業協同組合法で定める組合員の3分の2の関係あるいは2分の1の関係、それぞれ80条、81条にあるが、両組合はいずれも要件を満たしておる。
 それから、サケ稚魚の、特に単価の方が同じだということがあったけれども、この事業は国の補助事業を受けて県が実施しているものであるので、県下すべて同種の稚魚であれば同一の単価で県が購入して、それを直ちに放流(山内委員「買い入れる量が同じだということ、単価が同じというのは知っている。」と呼ぶ)

〇藤原委員長 明確に答えてもらいたい。

〇中山漁政課長(続) 単価は同じである。量については、それぞれのふ化放流事業計画というものがあろうと思うので、その計画にのっとった数字だと考えておる。
 それからあと、法の趣旨内というお話があったけれども、まず、その法の趣旨に照らしてという御議論も一方ではあろうかと考えるが、一方では、私どもとしては、この二つの生産組合が法の定める要件を満たして、それぞれに存在しているということも事実であると認識しておる。

〇山内委員 この問題についてはどうも堂々めぐりになっておるけれども、法の趣旨というものがあるわけである。大体こういった状態が存在することを法はそもそも想定していたのだろうかと、慣習法なり常識の中で、こういった状態が許されるということが法が制定されたときに想定しておったのかどうかと、こういった根源的な問題も私は含んでいると思う。したがって、先ほど申し上げたとおり実態について、書類上の審査だけではなくて、実態についてぜひ調査を進められるように強く求めたいと思う。
 それから、合併問題についてであるけれども、先ほど明確な金額はさまざまな理由によって示されなかったが、一説によれば40億とも50億とも言われておる。こういった言うところの不良債権を処理していかなけば、こういった合併に向けて大きな阻害要因になっていくのであろうと、こう思っておる。そうした中で、この不良債権処理について、県漁連の幹部の方と県の幹部の方、この方々が既に県費を投入する約束ができているのだという喧伝をなさっておられる方がある。こういった事実はおありなのであろうか。県費を投入するということの約束が関係機関と協議済みなのであろうか。その確認をさせていただきたい。

〇中村林業水産部長 承知いたしておらない。

〇山内委員 わかった。今の段階ではそういう話は全くないと、出ていないということである。
 そこで、今後のスケジュールということにかかわってくると思う。例えば今喧伝をしているような、要するに、もう県と話がついて県費投入が決まっているのだと喧伝しておられる方がおられるけれども、もしそうなった場合に、他の組合、例えば農協であるとか森林組合であるとか、そういったところの整合性をどうするかという大きな問題が私は生じてくると思う。いずれも同じような環境状況にある組合である。そういったときに、この漁業なら漁業を救うということと同時に、林業あるいは農業といったものを広げて考えていかなければならないと、こう思うわけである。その辺の整合性を林業水産部とすればどのように判断をしていくのか、この点をお伺いして質問を終わる。

〇中村林業水産部長 漁協の合併を促進する上でいろいろな課題はあるわけである。その課題がどういった、この中はどういう形で基本的に漁協の自主的な努力も含めてどういう方向でいくのかということについては、十分漁協の系統団体を中心として私どもも一体となりながら今後詰めていきたいと思っておる。
 先ほどの、例えば漁協にだけやるというような場合についてはほかにも影響があるのではなかろうかということであるが、漁業協同組合の合併問題はいずれも重要な課題であるということであるので、県全体としてどう、その必要性も含めて検討をしていかなければならないのではないかと思っておる。

〇船越委員 農林水産委員会では委員長から、船賢、簡潔にということで制約されるし、ここへ来ると、当該委員だから余りしゃべらない方がいいということで制約されるし、県議会というのは非常に窮屈なところだと、私、非常にがっかりしているわけであるが、一つだけ。
 今、いろいろたくさん委員から申し上げられておるけれども、みんな根源は同一である。私も今焦げつきとか何とか、私は当事者であるので非常に頭が痛いわけであるが、きのう17日図らずも、1県1漁協を急ごうというのが新聞にダンと出た。そういうことの根源は、今定置の権利問題も出ておるけれども、要するにみんなが定置に殺到するということは、50%前後が利益になる。100万円水揚げあると約50万円ぐらい。48%もあるし53%もあるけれども、その経営者によっては多少差があるけれども、どこにもあるが、大体50%ぐらい利益があるから、これが漁協経営の根幹になってきたわけである。ところが、サケが4分の1になったと。たちまち協同組合経営がピンチになったと。そこで1県1漁協を急ごうと、こういうのが段取りである。そういうことで、定置のサケをとる漁業権に関しては、みんなウの目タカの目。そして水産庁もそこで順位を決めて、優先順位は漁業協同組合だといったようなことで優先順位を決めて、そして新生協同組合の発展のために道を開いたと。ところが、なかなかそのことがうまくいかないと。かつて昭和24年にも、そういった封建的な漁業権を解放するために、政府が買い上げたということを、私、一般質問で申し上げた。そして公平にやったがまだ残っているということで、今13県、そのうち云々ということで、私は細かいことはいろいろあるから申し上げないが、要するに部長初め課長、どうも元気がない答弁である。あなた方は、岩手県の漁業がどのような、1県1漁協を急ごうということは根幹はどこにあるのだと。どこだとすれば、これが解決するのだという意気込みが全然感じられない、きょうの答弁から。あなた方1人か2人ではなく、全員でもって岩手県の漁業を生かすためにはどういう勇気が必要であるかと。私は理屈とか答弁より文言より、勇気が必要だと思う、岩手県の漁業は。であるから、その抱負について、英知に満ちた勇気の入った答弁をお願いしたい。おれはこうやっていく、これからこうやらなければならないと。この1県1漁協というのも、我々業界だけでは権利とか欲とか因習というのが錯綜して、とても業界だけではできない。どんなうまいことを言っても、絶対に。であるから、私は行政が中に入ってそしてまとめてくれなければだめだということを主張している者の1人であるが、その行政のあなた方が、市町村よりはよほど権限があるつもりのあなた方が元気がない。であるから、少し元気のある答弁をお願いする。

〇藤原委員長 元気のある答弁をお願いする。

〇中村林業水産部長 漁協は漁業生産の担い手として大変重要な組織である。これの発展は、当県の漁業の発展そのものに通じるとかたく認識しておるわけである。そういう観点から、漁協の合併についてはどうやって自立漁協を構築していくのかということが最大の課題であるので、私ども県あるいは系統団体それから町村とも一体となりながら、この問題について取り組んでまいりたいと思っておる。

〇菊池(勲)委員 部長、課長、ずっと答弁を聞いていると話が聞こえない。聞こえるように答弁できない状態があるのだ、そこに。
 平成4年7月に水産庁の指示でこの方が、Sさんが、好ましくないからと言って辞表を出して受理したと、委員会で。そして今度再選されるまでの間、何ヵ月やったか何年やったか知らぬけれども、その不合理な点がどう解決したのか。それをまずひとつ聞かせてもらいたい。

〇中山漁政課長 大変失礼であるが、最後の方がちょっとメモをとっており聞き取れなかった、申しわけない。

〇菊池(勲)委員 ちゃんと聞いてもらいたい。声高い、私は。マイク要らないけれども。(「速いのだ。」と呼ぶ者あり)速いのか。
 先ほど山内委員ばかりではない、これは何回となく本会議も含めて委員会、予算、決算も含めてこの問題がずっと出てきた。何となく、私は内容は知らなかったから、例えば、発言するのが、卑しいような発言の仕方かなと思っておった。聞いてみたら中身は全然違う。これだけ厳しい水産業の時代に、その指導のトップにある人だと聞いているから、私顔も知らないけれども、Sさんとか、いい、Sでも。だけれども、トップに立つ人が、例えば部長の答弁だと、ちゃんと報告書は住所が違うところから組合が二つで、ごくあると課長言っておったけれども、どうも歯切れが悪い、はっきりと。しゃべる人は違っても、答弁の歯切れが。事務所が一つで同じ職員で、そして同じものを使って作業をしていて、それは認められないであろう、あんなこと組織には。出先の機関はないのか、県庁には。地方振興局とかいっぱいあるであろう。ずっと前の話であってもいまだに答弁はっきりしていないのだもの。そんな答弁して、水産業は救えないのか、あなたは。部長、課長もだ。

〇中村林業水産部長 海区調整委員会は申すまでもなく漁業調整に関する大変重要な委員会である。この委員については、したがってことしの1月--大変漁業を取り巻く環境が大きく変わってきておる。ことしの1月からはいわゆるTAC制度が開始されたというようなことで、つくり育てる漁業を推進していく必要があるということ、あるいは今漁業をめぐる秋サケを中心として非常に厳しい状況にあるという、そういう岩手県の漁業の実態を十分踏まえてこの委員の選任については決定をしたと、私どもはそう決定をいたしておる。

〇菊池(勲)委員 時間がたつだけである。全然答弁同じである。平成4年のときはなぜ、どんな理由でやめたのであろうか、そうしたら。それから今度指名するまでは、そのだめな理由である。水産庁の指示に従ってだめな理由でやめたであろう。内容はわからない、私は。それを今度指名するまでにどう改善されたかと聞いている。ただ重要だ重要だと言ったって、こんな重要なときに、こんな具合ではよい水産業もできっこないではないか。

〇中山漁政課長 平成4年に海区の委員の辞表が出ておるが、その2カ月ほど前に水産庁長官からの通達を海区漁業調整委員会会長の方に示しておるので、それが辞任の大きな理由になったろうと考えておる。その後、辞任を受けて先ほども申し上げているように、本県の漁業、これは全国的なものも含めて事情は大いに変わっているわけである。そういった状況の変化を受け、特に業界等それから行政とが一体となって漁業の振興を図るという観点から選任したものである。

〇菊池(勲)委員 もう1回でやめる。全然いい答えが出てこない。これ最後である。
 課長、その答弁はさっきから聞いている。私が質問しているのは、平成4年のときに何かの理由で辞退をしたであろう、この方。そして新たに選んだ、辞退した、抵触した理由がこの指名するまでにどういう改善をされたかと聞いている。それ知らない、私知らないから聞いている。それを知らないために、事態が変わったと言ったって、水産環境が変わったと言ったって、本人の抵触した部分がどう改善されたかをわかっていなければ示したってだめではないだろうか。であるから、こんな形になっているのではないのか。いい人ならこんな質問は出てこない、絶対に。何でこんな人にさせなければならないのか。水産業もそうである。午後やる農政もそうである、今度は。午後の農政もそうである。何で岩手県からこんなもの出てくるのか。(「午後からだ。」と呼ぶ者あり)であるから、午後出てくるのだ、それが。

〇中山漁政課長 辞職を認めておるが、この辞職、平成4年7月22日に県は辞職承認による辞令書を交付しておる。罷免ではない。それで、正当な理由ということであるけれども、これは辞任の場合は通常、本人が辞意を表明した場合、それをなかなか覆すことは一般的には不能である。したがって、その辞意が、不当な辞意というのが一般的にあるかという問題であるけれども、一般論的にも辞意というものは正当な理由の一つとされていると考えられているということである。それで、御質問に戻るが、そういう意味ではほかの海区委員の肩書等若干の変更はあったかと思うけれども、基本的な資格というものは変わっておらない。

〇斉藤委員 私は当初から予定していたから、ここで質問させていただきたい。
 海区調整委員の選出について。
 改めて平成4年の水産庁通知以降の辞任に至る具体的な経過と理由について示していただきたい。
 二つ目は、これまでの定置漁業権はどのように推移しているのか。いまだに生産組合、個人の定置漁業となっているのはどのぐらいあるのか。その理由は何か。漁業法の精神から見て、このS氏がかかわる二つの生産組合のやり方は、漁業権を調整する立場から見て私は好ましくないと思うけれどもいかがであろうか。

〇中山漁政課長 経緯を申し上げる。
 平成4年6月3日に、県は水産庁長官から6月1日付の文書を受け取った。平成4年6月24日に、関係者、海区の漁業調整委員会であるとか市町村長について、次期の改選に当たってはこの通達に沿って選任したいということを申し上げておる。6月29日に、辞任届が提出されておる。それから7月21日で海区においてこの件が協議され、7月22日に県として辞任による辞令書を交付しておる。以上が事実関係である。
 次に、定置漁業権の推移であるけれども、推移ということであるのでちょっと過去にさかのぼるが、昭和54年3月に免許した当時は全体で82件、以降5年ごとに更新しておるので、昭和59年に84件、平成元年に98件、平成6年には95件となっており、全体的にはその数は増加傾向にある。
 それから、最も新しい免許である平成6年の漁業権者別で見ると、まず、単独経営と共同経営に別れるが、単独経営としては漁業協同組合、これが39件ある。それから漁業生産組合、これが11件ある。それから会社組織、5件ある。個人が4件ある。
 次に共同経営であるが、これはいろんな組み合わせがあるので、漁協あるいは生産組合、会社、個人等々がさまざまの組み合わせで計36件ある。したがって、本県の定置漁業の主流は単独経営である。その単独経営の推移を10数年程度で見ると、漁協経営の件数は増加傾向にある。個人経営は減少傾向にある。生産組合はほぼ横ばいである。
 その個人なり生産組合というのはなぜ免許されたかということであるけれども、これは定置漁業権の免許に当たっては漁業法に詳細な規定がある。まず、免許申請者について適格性を審査すると。適格性があれば、その申請者について定置漁業の免許の優先順位という規定があるので、それによって優先順位をつけ、第一番の順位の申請者に免許しておる。そういうことで、最終的に生産組合、個人あるいは漁協という具合に免許されているものである。

〇斉藤委員 経過からいけば、この水産庁通知の一番のポイントになったのはここである。依然として選挙制による委員の被選挙権、選挙資格を有する者が知事選任委員になっている例が見られると。このような事態の是正に積極的に取り組まれたいというのが水産庁通知で、これを説明してそれに対して抗議の辞任をしたのだ、それを海区調整委員会に諾否を求めて、それは正当な理由だと、歴史的経過はこうである。
 それでもう一つ、私は、それでは今の岩手県の漁業権はどうなっているかというと、この20年余の間で漁協に漁業権が推移してきたというのが実態である。漁協の漁業権の推移を見ると、今報告あったけれども、現在95の漁業権のうち漁協単独が39、漁協と漁協、漁協と生産組合、漁協と会社、漁協と個人あわせると65である。であるから、全体として一番利益が上がるそして組合員に還元できる漁業権として、漁協がこの定置を持ってきたというのが時代の趨勢であり当然の流れである。ところが、漁業組合長であり県漁連の会長を務める人物が、自分のところでいつまでもこれを生産組合という形態であろうと持ち続けるということは、私はこれはこの人物のやっぱり姿勢が問われる問題だと思う。法的に聞けば、これは違反するかしないかは私は裁判にかけなければわからないぐらいの複雑な問題だと思うけれども、しかし政治的、道義的に見たらこれははっきりしていると思う。そういう点で、私は辞任した歴史的な経過から言っても、この間漁協経営の立場から見て、この定置漁業権が漁協に推移しているという立場から言っても、このS氏の選任は極めて異常な政治的な選任だったと言わざるを得ない、そのことを指摘して終わる。

〇藤原委員長 この際昼食のため、午後1時まで休憩をする。
   午前11時58分 休 憩
 
   午後1時3分 再 開

〇久保田副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。
   〔菊池雄光委員「関連」と呼ぶ〕

〇久保田副委員長 菊池雄光委員、ちょっとお待ちいただきたい。午前中の質疑の関連の関係は終わったこととなっておるので、改めて発言をしていただきたい。

〇小原委員 私からは、森林組合の経営状況について1点お伺いをする。
 林業を取り巻く状況は、御案内のとおり大変厳しいわけで、外的要因、そして内的な要因、それぞれ困難な状況にある。
 そこで端的にお伺いするが、本県の森林組合の経営状況、これはどうなっているのか。どのように見ておられるのか。
 同時にまた、この予算にもあるように、運転資金関連ということで部長から御説明があった。こうした資金活用を含めて、森林組合の育成強化という点についてどう対応されるお考えか。同時にまた、今、抱えている課題についてどのように把握をされておられるかお伺いをする。

〇井上林産振興課長 森林組合の経営の状況であるが、まず、林業の現状、造林事業が大変減少してきておる。さらにまた、木材価格が低迷をしておって、全体的に森林組合の活動が停滞をしておるという現状にある。
 経営は一般的に厳しいという状況にあるが、特に取り扱い事業量の減少、さらには組合の管理費の割合が増大をしてきているという状況もある。そういう状況の中で、平成8年の森林組合の決算の状況を見てみると、現在、森林組合は県下に32組合がある。既に31組合が決算を終わっておって、そのうち当期剰余金を計上した組合が25組合ある。金額にすると8、350万円余である。さらに、当期欠損金を計上した組合が6組合ある。額にすると5、200万円余の金額である。さらに、当期末の未処理欠損金を抱えている組合が、32組合のうち、まず、欠損金を抱えている組合は15ある。約半分の組合が累積の欠損を抱えているという状況であるし、残りの組合が黒字を持っておる。トータルで申すと、組合全体で平成8年約4億2、500万円ほどの累積の欠損がある。これは、前年に比べると減少しておって、最近この累積欠損金は減少傾向にあると思っておる。
 さらに、組合の経営の改善であるけれども、多額の欠損金を抱える組合については、経営指導、特にも経営改善の策定の指導を県と森林組合系統の上部団体である県森連と連携をとりながらしてきておる。この計画を策定した組合については、計画に基づいて必要な資金の貸し付けを県が現在行っておる。平成9年度は、先ほども説明があったように、3億1、000万円の資金の貸し付けを低利あるいは無利息で予定をしておるところである。
 森林組合については、ただいま申したように、大変厳しい状況、特にも経済事情が停滞をしておるということ、さらには基盤が非常に弱体であるということ、さらには執行体制についても、財務基盤についてもまだまだ強固にしていかなければならないという現状にあることから、現在、県においては、森林組合の合併基本目標を策定して森林組合の合併を進めておるところである。現在までに、平成4年以降4地区で合併が進められて、国の合併助成法が今年の3月31日で切れる関係で、国においてはさらに合併助成法の延長を考えているということで、県においても引き続き合併については強力に推進をしていきたいと考えておる。

〇小原委員 わかった。
 そこで、経営が悪い、欠損を抱えている、そういう森林組合の経営悪化の特徴というのは何か。その原因がわかればそれらに対応する処方せんが出てくるだろうと思うが、その点を教えていただきたい。
 それから、この合併の特例法が期限切れになるけれども延長の向きであると、こういうことなのであるが、合併を促進したことによって、国の助成等もあるのであろうが、どういうメリットをお考えなのか。経営悪化同士合併してもなかなか困難だと思う。あるいは健全経営をなさっておられる森林組合が経営悪化の組合と一体になった場合に、そこにマイナス要素が出てくることも考えられると思うが、この合併のメリットについてどのようにお考えであろうか。

〇井上林産振興課長 組合の経営の悪化している原因である。これは、まず一つには、共通して言えることは、先ほど申したように、事業量の安定的な確保ができないという状況にあるということが一つあるし、それから、組合の経営基盤がまだまだ弱体である。さらには、自己資本等の財務基盤がまだまだ弱体であるということが言えようかと思う。
 合併については、助成法で現在推進してきておるが、合併のメリット、デメリットいろいろある。温度差のある組合を合併するということについては大変問題もある。そういった中で、可能な地区から合併を進めているわけであるけれども、合併のメリット、いろいろあるが、まず、出資金などが増大をされるということが一つ言えるのかと思っておる。この出資金あるいは自己資本等が増大されることによって財務基盤が強化をされるということが言えるし、それによって事業が多角化される、あるいは生産性の向上が図られるということが可能になる。さらに組合員の増加、さらに組合所有面積の増加によって経営基盤が強化されるということで、これが事業量の安定確保、さらには経営の安定化につながると考えておる。また、常勤の役職員がふえる。これによって執行体制が強くなる。したがって、職員の資質の向上とか、あるいは適正な人事配置などが可能になって、これによって効率的な組合事業の運営が図られるということが考えられる。さらに、多角的な事業の取り組みが可能になることによって、森林整備の充実とか木材生産などにかかわる付加価値の高い事業が期待されると考えておる。
 いずれにしても、国の合併助成法を受けて、森林組合合併指針に基づいて、平成12年度までに12の森林組合、さらに長期的にいえば県内六つの森林組合を目指して合併を推進していきたいと考えておる。

〇小原委員 最後にするが、経営改善という部分では、経営の良好なところ、あるいは悪いところと、取り巻く客観的な環境という点では、ある意味ではやや同じような環境下にはあるんだろうと思う。しかし、それは経営努力ということも一つはあるであろう。そういう点でいうと、やはり健全化に努力をしている森林組合というものの努力というか、そういう姿というものを一般化していく必要があると思う。経営能力というところまで言うつもりはないが、いずれそうした面というもの、経営力というもの、これらも十分にかかって要素になっているのではないかという感じもする。いずれ個別の指導あるいは相談ということはおやりになっているんだろうと思うから、今、大変困っている森林組合もあるように私も見ておるし、実際私も相談をかけられているところもあったものであるから、そこのところは個別の指導の中でぜひお願いを申し上げたいと思う。
 それから、言われておる林業労働者の後継者、高齢化になっていると、そして若い従事者がなかなか育っていかない、こういう環境もお聞きするわけであるが、この林業労働者、従事者の後継者対策、これについてどのようになさっておられるか最後にお聞きする。

〇井上林産振興課長 林業労働者の育成確保であるが、現状を申し上げると、林業労働者、年々減少しておる。平成8年度で申し上げると3、400人ほどに減少してきているわけであるが、この減少を食いとめ、さらに新たな参入を図っていくという観点から、現在、林業労働力確保基金を設置して、この中で労働力確保の対策を講じておる。なかなか目に見える成果は上がっていないけれども、林業が活性化していく中で林業労働力の確保は大変重要だと考えておる。この基金の事業と、それから県の従来からの施策、さらには昨年、林業労働力確保法、いわゆる林野3法の一つであるけれども、これが制定をされておる。この法律に基づいて、昨年10月、岩手県においては全国に先駆けて支援センターを設置しておる。この支援センターに新たに事業を導入して、特にも優秀な林業事業体を育成していく、さらには林業機械化の促進などを図っていくという観点から、それらに関する事業を新たにこのセンターで支援をしてまいるというふうに考えておる。それによって新規林業就業者の確保を図っていきたいということである。この支援センター事業を効率的に、あるいは安定的に推進するために、今回新たにこの基金に6億円の追加の出捐をお願いしておるところで、この果実を有効に活用しながら支援センター事業を進めてまいりたいと思っておる。

〇大久保委員 私の方からは、県有林事業について一括して3点お伺いする。
 まず、県有林事業についてであるが、これは一般質問において村田委員の方からもあったけれども、一部重複することもあると思うけれども、よろしくお願いする。
 本県の県行造林は戦後すぐ始められて、今では全国一の面積を有していると聞いておる。この県行造林も既に伐採の時期をもう数年で迎える。この山林を提供した所有者の方々は、分収金が入ることを大いに期待していることは事実なわけである。しかし、ここ最近、数年の木材価格の長期にわたる低迷と申すか、安いということ、それで果たして満足に交付金がもらえるだろうかという心配をしている森林の所有者も非常に多いように私自身聞いておる。
 そこで、この分収金を当然多く払わなければいけないであろうけれども、森林の所有者に交付することが、今のままであると当然赤字が予想される。交付金、非常に難しいのではないかと私は考えるが、このことについて県はどのような対策を講じているのか、まず1点お伺いしたいと思う。
 次に、2点目であるが、いわゆる県有林事業の現場作業、これは県から委託を受けた岩手県造林事業協同組合が実施していると聞いておるが、先ほど小原委員の方からも話があったけれども、森林組合の経営が非常に厳しい。そのような中で、地元の森林組合にこういう事業を果たして委託できないものかどうか、その点を2点目でお伺いする。
 3点目は、全く今の質問とは関係ないけれども、本県は松くい虫の被害が非常に多いということは私も承知しておる。そこで、これは私も勉強不足であるけれども、杉のトビクサレ被害、正式な名前が何かスギノアカネトラカミキリという難しい名前であるけれども、この被害が最近北海道あるいは青森県、そして本県にも大分出ているということであるけれども、これは形態としては、幹の表面からはなかなか判定できない。中の方だとしか私は承知しておらないけれども、樹齢が20年から30年ごろが一番発生する。一番いい、それこそこれからというときにこういう被害が起きてきたら、まさしくこれは大変なことだと思っておるけれども、この杉のトビクサレ被害の本県においての分布というか、状況というか、あるいはそれに対しての対策をどのようにお考えか、この3点についてお伺いする。

〇秋山森林造成課長 私の方から県有林事業について2点お伺いあったので、お答えしたいと思う。
 まず、1点目の県有林の分収金についてであるが、御存じのように、県行造林は、森林資源の整備、造成を図るために、地域の方々の御理解と協力を得ながらこれまで進めてきたところで、21世紀の初頭には主伐期を迎えることになっておる。しかしながら、木材価格、今、委員御指摘のように、長期にわたる低迷のために大変低い価格で抑えられている状況である。こういう中で、主伐期を迎える県行造林においても、森林所有者の皆様方は、果たして自分のところに分収金が来るのだろうかという心配をしている方も多々おると思っておる。そこで、県行造林の分収金についてであるが、御案内のとおり、基本的には木材を売り払い収入した、その収入からそれまでにかかった生産経費と申すか、それを差し引いて、残った分を一定の分収割合に基づいて分け合うという内容のものである。そういうわけで、森林所有者の方々にはその持ち分として交付金ということで行くという形になるわけであるが、木材価格がこのように低迷している中で、分収交付金をいかに高めるかということになると大変難しいわけであるが、伐採するときの生産経費、そういったものをいかに縮めて、行く行くは交付金を高めるということにつなげなければならないということで、今、いろいろと取り組んでいるところである。こういうことから、一つは、県行造林地内の作業道、路網整備を積極的に推進していきたいということで、林内路網密度を高めることによっていわゆるコストを下げ、生産経費を少なくするということに取り組んでいきたいということで、今かかっているところである。このため、平成9年度には県の単独事業で木材生産団地路網整備事業を創設したいということで今議会にお願いしているところである。
 それから、2番目の県有林事業の委託に関してのお尋ねであるが、御存じのように、昭和25年からこの県有林については県が任命しておる看守員の方々によって管理、保全をしてきたところで、昭和45年になるが、この看守員の方々と現場で作業している作業員の方々が相寄って、中小企業等協同組合法に基づいた岩手県造林事業協同組合を設立したところで、その45年以降、この協同組合に県有林の現場業務を委託している、それが実態である。御存じのように、県有林については植栽から生育まで50年以上という長い年月を要するわけで、その間、適時適切な育林作業をやっていかなければならないということもある。そういうことで、それらの作業を確実に実施できる、そういったところに委託してお願いしているという状況である。そういう関係で岩手県造林事業協同組合に委託しているところであるが、森林組合においてもその作業を確実にできる組合もあるわけで、そういう組合についてはお願いしているというのが実態である。現在、総雇用延べ人数ということで、どのくらいの人数がこの県有林事業に携わっているかということであるが、全体の総雇用延べ人数のうちの約1割が森林組合の雇用している人たちであるという状況である。

〇塩井松くい虫対策室長 杉のトビクサレ被害の実態についてであるが、トビクサレ被害は、スギノアカネトラカミキリというカミキリムシが枯れ枝から幹に侵入して、食害して、その枯れ枝の死に節の周辺を暗褐色に変色させて、そして普及させるという被害で、その被害部が時間が飛び飛びに生ずることからトビクサレと呼ばれておる。スギノアカネトラカミキリは日本のほぼ全土に生息しておって、本県でも生息していることが確認されておる。本県のトビクサレの被害は、県南部、それから沿岸中部、県北部の一部に見られているところである。
 被害の対策としては、スギノアカネトラカミキリは枯れ枝から材に侵入するので、木に枯れ枝をつけないように枝打ちを行う必要がある。林分がうっ閉というか、枝が触れ合うようになって枯れ枝が発生する前に枝打ちを行うため、これは無節の良質材生産にも結びつくわけであるので、枝打ち促進対策事業などの補助事業で杉の枝打ちを積極的に推進しているところである。

〇大久保委員 県行造林に関しては、いずれそういう収穫伐採の時期が来れば、歴然とそこで赤字になるのか交付金が多くなるのかわかるわけであるから、ぜひひとつ、少しでも多く林家の方々に配当できるように御努力をお願いする。
 また、森林組合の件であるけれども、造林事業協同組合が実施しているのが9割ということであるから、しかし、今、本当に森林組合、いろいろ私どもにも加工場を持っている組合があるけれども、正直申し上げて何をやってもいい方向にいかない、木材も価格が低迷していることは事実であるから。だから、こういう事業を造林協と整合性を保ちながら、地元の組合に少しでも多く作業をさせていただくことを、これは要望しておく。
 また、この病気のことであるけれども、松くい虫のように、まだそこまでいっていないかと思うけれども、早め早めにやっていかないと、結果的に価格は下がる、虫に食われるでは全くそれこそ救いようがないと思う。やっぱり50年、60年で売れるような一大事業というか、そういう事業であるから、特に何十町歩、何百町歩と県行造林をやっている人にとっては死活問題だと思う。だから、病気のこともそうであるけれども、一番林家のためになるように、最近組合と名がつくのは、農協にしろ森林組合にしろ余りぱっとしないような感じがする。だから、もう1回原点に戻っていただいて指導していただきたい。これは要望としてお話ししておく。

〇佐々木(一)委員 1点のみお伺いする。
 第17回全国豊かな海づくり大会についてお伺いする。
 まず第1に、この大会が本県になった開催県決定までの経過、招致運動についてお伺いする。また、現在の準備状況についてお伺いする。
 第2に、平成9年度予算として林業水産部では8億8、300万円初め、土木部では基盤整備のために1億500万円、また、警察本部の方でも予算の方で計上しておるようで、あわせると本年だけでも10億円を超えるという予算案であるが、このうち、国からというか、農林水産省からの助成はどの程度になっているかお教えいただきたいと思う。
 第3に、参加者を1万5、000人と見込んでいるけれども、実は、昨日の商工労働部の審議でもいろいろあったわけであるが、観光面から考えた場合に、県外からのお客さんはどの程度見込んでいらっしゃるか。また、商工労働部との連携はいかになっているのかお伺いしたいと思う。
 第4に、前年の開催県の反省を含めて、本県としてどういう前年度の県との差別化を図りながらこれをPRしていくか。また、先ほど言ったように、大分多額の予算を投じられるということで、県民の方々に対するPRもこれからかと思うが、この辺についてどうお考えかということである。
 最後に、この会場、埋め立てて開催されるわけであるが、その跡地利用について地元の大槌町からも要望があるようであるが、これについて漁業振興の面からどのようにお考えか、これについてお伺いする。

〇篠谷全国豊かな海づくり大会推進室長 私の方からは、会場の跡地利用以外について答えさせてただきたいと思う。
 まず、開催地の決定の経過についてである。平成9年の第17回の大会については、当初、長崎県で開催されるということであった。私どもの県は10年以降ということで希望しておったものである。長崎県で事情があって開催できなくなったということから、水産庁から平成6年に本県に打診があって、急遽本県で開催されるということになったものである。ついては、委員お話のあったいろいろな競合とか、そういったものは特になかったと考えておる。
 また、大会の準備状況であるが、平成6年11月に大会の開催が決定されて、平成7年4月には海づくり大会の推進室を設置させていただき、また、同年の10月27日には沿岸市町村とか、あるいは漁業関係団体等で構成する岩手県実行委員会、それを設置したところで、今月28日に第3回の実行委員会を開催して、基本実施計画の決定をいただくことにしておる。
 また、県民への浸透ということと関連するわけであるが、平成7年度には大会テーマを広く県民に公募して、魚もぼくもウキウキワクワク海づくり、これを大会テーマに決定をしたところで、これまで大会のPR用のパンフレットの配布、あるいは県の広報媒体等を活用して、さらには県庁の県民室に大会の記念水槽を設置する等々、沿岸市町村や漁業関係団体と一体となって県民への浸透を深く図ってきたところである。
 平成9年度においては、大会本番の年である。大会の実施本部をまず設定をして、リハーサルの実施などを進める。さらには、100日前プレイベントとして、ちょうど海の日が7月20日である。この日に内陸部と沿岸部の連携ということを視野に入れながら、豊かな海と森を歌う集い、こういったものを盛岡市で開催をいたしたい。こういった各種プレイベントあるいは共催事業を通して広く機運の醸成を図っていきたい。また、そういったことによって大会の開催に万全を期してまいりたいと考えているところである。
 また、国からの助成措置というお話であるが、国からの助成は特にない。主催が豊かな海づくり大会推進委員会、中央団体があるわけであるが、そこと開催県の岩手であるが、そちらの推進委員会の方からはポスターの作成経費として若干の負担金がいただけるということになっているだけである。
 それだけで県民の理解が十分得られるのか、大分お金を使うがどうかというお話である。これについては、経済の波及効果ということとあわせてお話を申し上げるけれども、私どもは、まず、この大会を一過性に終わらせたくないということが基本的な考え方で、それがまず肝要なものであると考えておる。そのため、他県に比べていろいろ多様なイベント等を開催してきているところである。具体的には、海づくりフォーラムの開催あるいは三陸鉄道デザイン車両の運行、これはちょうど14沿岸市町村を結ぶものであるし、大きな期待を込めて運行しているところであるが、そのほか、各沿岸市町村への海づくり少年団の結成等々、多様な取り組みを進めてまいった。
 また、大会においては、全国から1万5、000人の方々、特に県外からというお話であるが、県外の招待の方々は2、000人である。県内2、000人、あとは県民の方々とか、大会の関係者になるものである。こういう方々をお迎えして、岩手の産業あるいは自然や観光、さらには文化、温かい人情、そういったものを通して広く岩手のPRをまず図りたい。また、大会の整備あるいは大会運営にかかわる県内業者を積極的に活用する。あるいは大会会場では商工労働部等々と連携を持って物産の展示販売を行う。あるいは県外招待者の宿泊、また、県内各地への視察コースの設定、そういったことで、私ども、先ほど言った一過性のものに終わらせないということは、1日で終わらない取り組みをやることがまず肝要だと思っておるので、そういったことによって波及効果が大きく見込まれると考えておる。
 また、こういった取り組みが大会の終了後においても定着事業と申すか、それらが継続されることによって本大会の目的としておる水産業の振興あるいは地域の活性化、そういったものをどんどん推進する契機ともしてまいりたい。そうすることによって、そのための投資ともなり得るものだと考えているものである。

〇久保田副委員長 簡潔に願う。

〇篠谷全国豊かな海づくり大会推進室長(続) 大体そういったところである。
 差別化である。差別化については、特に大会時においては、本県でなければできないもの、そういったものを実施したい。具体的には、ヒラメ、マツカワ等々の放流によってまさに魚類栽培を振興したいととらえておるので、それを大きく盛り上げる契機とする。また、先ほど言った海づくり少年団の大会への積極的な活用によって、大会を明るく楽しいものにしたい。あるいは、最近よく言われている森と海の連携、そういったものを十分に各部門に認識させながら、内陸部と沿岸部の取り組み、また、さらには、特にサケが低迷しているということで、サケのつかみどりコーナー、そういったものを実施して、それらにも十分配慮してPRをしてまいりたい。それがいずれ岩手らしさなり岩手の特徴に結びつくと考えているものである。

〇小林漁港課長 大会会場の跡地利用の件であるが、豊かな海づくり大会で利用する用地は全体で11・8ヘクタールである。このうち7・1ヘクタールは、漁網等の修理場及び資材置き場として利用されておる。残る4・7ヘクタールについては、第九次漁港整備長期計画に基づいて造成しているものである。大会後においては、岩手の新しい魚類栽培を展開すべく、ヒラメ、マツカワ等の種苗生産施設のほか、潤いのある漁港とするための公園、さらには増養殖漁業のための作業基地として利用するものである。

〇佐々木(一)委員 いずれ10月5日には天皇、皇后両陛下をお招きしての大きな大会になるかと思う。育てる漁業ということで午前中からもいろいろとお話があったけれども、これを契機に大会が盛会裏に終わることを御祈念申し上げて質問を終わる。

〇菊池(雄)委員 先ほど関連質問で申し上げようと思ったのであるが、定置漁業の問題である。さっきのS氏も出てくるわけであるが、私は、昭和50年代からずっと委員会でお話をしてきたが、今までお聞きして、依然としてそのS氏は頑強に健在であるし、行政当局は弱気で、ちょっとはっきりしていない。こういうことであるから二、三お尋ねするが、先ほど漁政課長であるか、定置の許認可の条件として、生産組合あるいは漁業協同組合、こういったものに優先的に許認可をすると。さっきの山田の法人組織は、生産組合は法的には何も問題がないんだと、こういうお話であった。この法的に問題がないというのは、根拠法は何なのか。民法なのか、水協法なのであるか、それが第1点である。
 それから、ずっと私問題にしてきたけれども、資源管理型漁業、こういうことと定置網漁業というのは非常に私は矛盾している面を持っている、相反する面を持っていると思う。定置の網で大量の稚親魚を乱獲する、これは資源に悪影響を与える。だから、網目を規制すべきだと、こういう話を何回もしたが、これに対して県は、それは海区調整委員会でやることだと、こういうことを言ってきた。海区調整委員会の長は今言ったようにそういう方がなっておられるということであるから、なかなか網目が規制にならない。今どうなっているのか、この網目はどういう状況になって、そして資源管理型漁業と敵対するような格好にはなっていないであろうか。
 それから、定置でサケが約97%とか98%漁獲されているのだそうであるが、ほとんど定置で漁獲されている。昭和50年代に5万トン計画が達成されるころに、漁民の中にサケという資源の公平な分配をすべきだという世論が高まってきた。これに対して県もいろいろなことを考えて、そして、はえ繩漁法、そういったようなものをやらせるようにしたという経過があるが、公平な資源の分配、配分ということについてどういうお考えを持っておられるか。

〇中山漁政課長 まず、漁業生産組合であるが、この山田あるいは山丸といった漁業生産組合を含めて、漁業生産組合は、水産業協同組合法の中の協同組織の一つとして位置づけられておる。したがって、漁業生産組合は、基本的には水産業協同組合法に基づいて設立されておる。一般的な原則はもちろん民法とか適用されるけれども、基本的には水産業協同組合法である。
 それから、定置網と資源管理の問題であるけれども、それぞれに底びきであるとか釣りであるとかはえ繩とか、いろいろな漁業があるけれども、それぞれに特色があるものと考えておる。資源の管理の観点からいうと、この定置網漁業というのは、御指摘のように待ち受け型の漁業であるので、漁獲努力量というか、それの融通がしにくい漁業であるということは否めないと考えておる。一方で、定置漁業というのは、非常に低コストというか、省エネルギーというか、燃油を非常に使わない漁業といったことで、自然に優しい漁業という観点もあろうかと思っておる。例えば底びき漁業についても、稚魚の保護からの問題はあるけれども、いずれにしても、すべての面において完璧というか、資源に影響のない漁業というのはないので、その範囲の中で資源管理を図っていくべきだと考えておる。
 それから、資源の、特にサケ資源の分配の問題であるけれども、これは、委員御指摘のように、本県の秋サケというのは定置でおおむね80ないし85%、10ないし15%がそのほか、あるいは川に上がってくるものがあるけれども、10ないし15%はサケのはえ繩漁業でとられておる。特に最近、平成8年漁期でもそうであったけれども、若干サケはえ繩漁業の漁獲が減少しておる。これは、特にサケはえ繩漁業の操業が制度上不利になったということではなく、むしろ操業隻数自体も減っておるし、それから、大きくは、時々には海況の問題がある。海況で沖合に回遊する場合、沿岸に回遊してくる場合があるので、サケのはえ繩漁業というのは現に知事許可漁業として認めておられるので、しかるべく公平な分配は行われているものと考えておる。

〇菊池(雄)委員 圧倒的に定置でとっているわけであろう。今まで県はサケのふ化放流事業に対して昭和51年から平成7年までに約268億円も投資しているわけである。それから、毎年、これは漁協も含むと思うけれども、約15億円ぐらいの金を使ってふ化放流をしてきているわけである。だから、私言っているのは、こういう非常に公共性が高い、投資をして、そしてサケ資源というものが上がってくる。それを特定の方がとってもうけをひとり占めにするということでは資源の公平な分配ということにはならないのではないか。もっと多数の働く漁民の懐に入るようなことを考える、そういう意味からいうと、協同組合が定置を持ってやる方がより公平な資源の分配ということになるのではないかと、私はそう思うが、いかがであろうか。
 それから、さっき法的根拠として水協法を出したが、いずれ法律というのは、さっきもどなたか話したが、やってはならないという条項がなければ何をやっても構わないんだと、こういうことにはならないと思う。私は、水協法というもの、水協法は正直なことを言って戦後できた法律であるから、法体系として確立されていない。しかし、農協法にしろ水協法にしろ、生産組合の場合、とにかく多数の生産者が一緒になって協同して良好な協同経営をやる、こういうことで生産組合なり何なりというものはつくられるものだと。これに対して行政も積極的にそういう組合を援助していくということだと思う。名前を使って、大義名分をあれして1人か2人の人間が独占して経営体というか、資源を独占したりもうけを独占したりするというやり方は、決してこれは公平ではないと私は思うが、いかがであろうか。

〇中山漁政課長 定置網によるサケ漁獲の分配、定置網に限った分配という観点からいうと、まず、漁業法の中で定置漁業権の優先順位というのが掲げられておる。概要をかいつまんで申し上げると、1番優先順位の高いのは地元の漁業協同組合、これは水協法に基づく漁業協同組合。2番目に優先順位が高いのが水協法に基づく協同組織である漁業生産組合。それから、3番目には、その他、会社であるとか、個人、大ざっぱに言うとそのような優先順位が掲げられておる。漁業生産組合も、それから漁業協同組合も、いずれも水協法に基づく協同組織である。しかしながら、その構成等は法律要件によって違うけれども、いずれも協同組織であるという点に留意し、かつ漁業協同組合の方が、委員御指摘のように、より大きいというか、総合経済事業、その他も含めて大きい組織として存在しているものであるから、定置漁業権の優先順位に当たっては生産組合よりも上位に設けられているものと考えておる。
 現実の漁業権の免許の実態を見ると、そこは漁業法の中で非常に細かく優先順位を規定しておるので、申請実績に基づき、一つ一つ法律の手続に照らして免許が与えられておる。そして、その漁業法の手続そのものは、公平という観点から決められているものである。したがって、その水協法に基づく法人に対し漁業法に基づく規定に基づいて免許が与えられた結果、これは我が岩手県だけではなく、全国において定置漁業権が免許されているということである。

〇菊池(雄)委員 定置の形態が大きく変わってきているということを私は言っているわけである。前はあなたがおっしゃるような理論で、理論というか、水協法にあるように、協同組合がまず第一だけれども、その他の組合なり、あるいは会社でもいいと、こういうことだったと思うけれども、さっき私が言ったように、かなりの公共投資をしてサケのふ化放流をやり、あるいはその他インフラ設備もつくって、そして非常に公共性の高いサケのようなものが定置の主流になってきているという今日において、やはり私は公平な資源の配分ということに重点を置いた許認可というものを与えるべきではないか、見直すべきだということを言っているわけである。
 それから、さっきちょっと答弁がよくわからなかったけれども、定置網の網目を規制する。つまり網目をもっと大きくしないと、例えばタラの稚親魚なんかあのころ大量に入って、そして死んでしまうわけだから、だから、そういう環境ではなく生育をすると大量に漁獲できる。これが実際問題できなくなってきているという、そういうことに対して、私は網目を規制すべきだということを言ったのに対して、それは海区調整委員会がやることだと、こういうことだったのである。それがどうなったかということを聞いたのであるが、答えがなかった。
 それから、今の法律の逐条のあれを読んでくれとか、何とかと言っているのではない。法律の精神が何なのかということなのである。水協法だったら、やっぱり水産業あるいは水産に携わっている働く多くの漁民を中心にして物事を考えてやらないと、特定の人の利益ということではなくて、大多数の働く漁民の利益を考えるということを根拠にしてやらなければならない。水協法の精神もそうなっているはずであるから、私はそのことを言っているのである。

〇中山漁政課長 一つ一つの行政を行う場合には、法の規定というもの、まずもってそれを遵守すべきだと思うけれども、全体の施策を行う際には、常に委員がおっしゃられたような漁業の実態、浜の実態、それから法の精神ということを念頭に置き、進めてまいりたいと考えておる。

〇伊藤(勢)委員 関連で1つ質問というか、お考えをお伺いしたいと思う。
 サケの定置については私も不勉強な部分があるが、先ほど飯岡次長にお礼を申し上げた中で、昭和45年から50年代初めは本県のサケは1、000トンの水揚げであった。ここ二、三十年で7万3、000トンまで上がってきたと、こういう部分だと思う。今の先輩の皆さんの議論をお伺いしておると、何だかサケの定置網をやっている方が独占的に、排他的にやっているというようにちょっと聞こえるわけなのであるが、そういった過去の1、000トンから7万3、000トンまでの流れの中に、確かに年々漁獲が上がってくる、ふ化放流が実を結んできた、こういう流れがあると思う。そういう中で、これはいいぞ、いけるぞということで、それまで例えば宮古湾内においては、先達であるが山根三右衛門翁という方たちがやってきた部分がだんだんに漁協の方に集まるようになってきた。みんなのために漁協でやろうと、こういうことになってきたと私は思っておる。しかし、今日、7万3、000トンも揚がって、大変言いづらい部分であるが、半分以上がフィッシュミールになっていると、こういう状況である。したがって、一たん漁協に集積をしてきたこの定置網の権利が、言ってみれば、今現在はその部分が大変ネックになって、これを持っているために赤字がかさんできているという状況にあると私は聞いておる。しかもそういう中で、漁協全体の経営を圧迫しておるから、言ってみれば離したいんだ、権利を売ってもいいんだと、こういう流れにあると私は聞いておる。それを裏づけるものとして、過去四、五年前には密漁という部分が大変盛んにあったようである。密漁によってサケ御殿を建てたとか、いい車を買ったとか、大変そういう話があったのであるが、今はそういうことはほとんど聞かなくなった。今は一般の漁師は、はえ繩漁をするよりも、黙ってウニとかワカメとか、そういった養殖の方をやっていた方がまだお金になる。確かにはえ繩にはかかるけれども、それをとって持ってきても売れない、処分に困ると、こういうことでやっているわけである。
 ちょっと聞くけれども、排他的に定置網の権利を云々と言うけれども、5年ごとに更新をするという中で、だれか申請をした者を押しのけていわゆるSさんという人たちが継続をしてきたのか、新規の申請があったのを排他的にやったか。私はそうではないと思うが、まず、その数の部分をお伺いしたい。

〇中山漁政課長 5年ごとの定置漁業権の推移は概要をつかんでおるけれども、個々の入れかわりの状況については、大変恐縮であるけれども、手元に資料を持ち合わせていない。申しわけない。

〇伊藤(勢)委員 確かに流れの中で全体で判断をしていく部分があろうと思うが、今、10年ぐらいずれた話になっているのではないのかと私は思う。今、岩手県の漁業を語るについて最も肝要なことは、先ほど言ったけれども、TACを批准していないロシアの船団が母船方式で三陸沖に来てイカをごそっととっていく。そういうことをどうするのか。あるいは耕す漁業と言われる、守り育てると言われる漁業をどうしていくのか。あるいはもっと大きく言うと、定置網云々、隣の漁協同士のやりとりの部分ではなくて、宮城県との海区の調整をどうするのか。私はこっちの方が岩手県の県益に係る漁業の部分にとっては大変大きな問題だと思う。そういう中で、Sさんと言われる人をして、岩手県の県益にかかわる海区調整のために、押し出しをもって、宮城県が言ってきている金華山沖云々というのをもっと宮城県側に押してやってくれ、こういう部分があったものと私は思っておる。いかがであろうか。

〇中山漁政課長 特に人選ということでは、県の中の意思決定過程の中であるので、発言を差し控えさせていただく。
   〔「議事進行について。」と呼ぶ者あり〕

〇山内委員 ただいまの伊藤勢至委員の関連質疑の中で、先輩の方々は定置をやっている方々が排他的に行っていることを云々と言われた部分があったものであるから、そのことについて委員長の方でお取り計らいを願いたいということである。
 というのは、私の質問の本意は、定置をやっている方々すべてのことについてお話をしているものではないということである。まさに今、伊藤委員がいみじくも言われたとおり、本県漁業界のリーダーシップを発揮なさるべき方が、こういった、いわば同じ理事者、代表、それから監査、組合員が同じ、こういったことで、全く同一のものをあえて二つの生産組合で申請をしていることに私は疑義を呈していると、こういうことであるので、その点、伊藤委員には誤解なきようお願いを申し上げたい。議事進行である。

〇久保田副委員長 当問題については、御意見の趣旨を体しながら今後の運営に努めていきたいと思うので、よろしくお願いする。
 議事を進行する。

〇斉藤委員 若干お聞きする。
 最初に、林業、水産業費に占める公共事業の割合はそれぞれどうなっているのであろうか。
 第2点、林業の担い手育成対策について。
 林業労働者は、昭和63年と比べて2、952人減少している。54%である。平成6年、前年と比べても378人減少で10%の減、現在3、442人となっている。そのうち50歳以上が2、565人で74・5%、担い手対策は急務中の急務となっておるけれども、県の担い手対策は、こうした林業労働者の急減に対応するものとなっているのかどうか、具体的に示していただきたい。
 松くい虫対策について。
 学者、研究者によると、松くい虫被害の原因について、環境などの複合要因を指摘するものがある。政府も来年度、松くい虫被害に及ぼす環境影響調査、予算800万が新設をされた。林業技術センターなどでは、こうした研究や対応はされているのであろうか。
 最後4番目、魚価対策とセーフガードの発動について。
 食用魚介類の自給率は61%、これは94年である。10年前の86%に比べて大きく落ち込んでいる。無秩序な水産物の輸入により、94年の産地価格は前年比、平均5・6%も低下しており、特に岩手の場合はサケ、アワビ、ホタテなど、輸入水産物との関係で特に低迷をしておる。魚価対策、セーフガードの発動、新たな商品開発や付加価値対策など、特段の取り組みが必要と考えているが、来年度の予算ではどう措置されているのであろうか。

〇大槌林政課長 御審議をいただいておる平成9年度の林業関係の一般会計の総予算は320億9、000万円で、そのうち公共事業費は219億3、900万円と、その割合は68・4%となっておる。

〇中山漁政課長 水産業費については、208億7、200万円のうち、公共事業費は149億6、100万円、71・7%となっておる。

〇井上林産振興課長 林業の担い手対策である。近年の過疎化の進展、さらには木材価格の低迷などにより、林業労働者が急速に減少、かつ、高齢化をしておりお話しのとおりである。林業への新規参入の促進とあわせて労働環境の改善、さらには林業事業主の経営基盤の強化、これらを一体的に進め、林業労働力の育成確保を図るということが重要であると認識をしておる。このような状況に対処するために、国庫補助事業の導入によるほか、平成3年度から岩手県林業労働対策基金を設置し、関係団体、市町村、県、3者による5億円の基金を造成いたしておる。引き続いて平成5年度から国の3省庁による森林山村対策による地方財政措置、これの活用によって計画的に基金を造成しており、現在30億円の基金を造成したところである。さらに、平成9年度6億円の増資を先ほど申し上げたがお願いをしており、これが実現をすると合計36億円の基金造成となる見込みである。これらの基金の運用により、福利厚生施設の整備、林業労働安全衛生への意識の高揚など、林業労働の環境改善あるいは月給制の採用などによる若年労働者の新規参入の促進、高性能林業機械の操作技術の習得などによる優秀な技術者の養成、さらには退職金制度、社会保険への加入促進などにより、福利厚生の充実を図りながら林業労働力の育成確保を図ってきたところである。特にも、昨年5月に施行された林野3法の1つである林業労動力の確保の促進に関する法律に基づいて、全国2番目であるけれども林業労働力確保支援センターを設置したところである。今後とも、優秀な林業労働者の確保のためには、意欲のある事業体による雇用の近代化、事業の合理化、高性能機械による就労状況の改善を図ることが極めて重要と考えておる。そのようなことから、新たに新規林業労働者の委託募集、期間的な林業労働者の研修、高性能林業機械のリースレンタル事業への支援など、林業労働力の育成確保対策を総合的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇塩井松くい虫対策室長 林野庁が平成9年度から5カ年で取り組みたいとしておる松くい虫被害に及ぼす環境要因影響調査については、大気汚染や降水量等の気象条件との環境要因と松くい虫被害との関係について調査分析を行うとともに、これらの環境要因の実態に応じたより効果的な森林施業について検討し、松くい虫被害対策の推進に資することを目的にしているものである。国では、近いうちに専門家による検討委員会を設置し、調査の進め方等について検討すると聞いておる。本県においても、調査の要請があった場合には、林業技術センターの今までの長年にわたる松くい虫の研究蓄積を生かして積極的に協力してまいりたいと存じておる。

〇上村漁業振興課長 確かに委員おっしゃるとおり、産地卸売価格の中の産地価格は低迷しており、5・6%低下しておる。特にも本県の主要な魚種であるサケ、アワビ、ホタテ等の影響であるけれども、まずアワビについては、これは今のところ高い値段を保っているので影響はないと思うけれども、ホタテについては北海道が大分ふえておるので、これがまた岩手の特徴である活貝、鮮魚で出す方向が出てきて、これによって本県に大分影響を受けてくるので、平成9年度においてこの調査、流通調査を実施したいと思い、今御審議願っているところである。
 次に、主要な秋サケであるけれども、先ほど答弁したことに加え、やはりイクラのブランド化、それから市場の取り扱いの規格化に加え、秋サケはやはりブナ毛が多いものであるから、ブナ毛の増産に努めるとともに、ブナ毛の付加価値向上を図っていきたいと。これらはやはり紅とかそういったものにないいいものを持っていると、低脂肪、高たんぱくということからこういった特徴を生かした製品開発を図っていきたいと。特に大口の原料消費という観点から、岩手県水産技術センターでもって、先般新聞にも出たけれども、サケハンバーグとかあるいはサケスナックとか、あるいはソーセージといったものの原料の消費を図れるような加工技術を図ってまいりたいと。と同時に、宮古漁協が先鞭をつけた骨罐等々の、浜には浜なりの加工方法があるものであるから、伝統の料理方法があるものだから、こういったものをどんどん開発して付加価値向上に努めてまいりたいと考えておる。さらに、消費拡大の点から、昨年度、10倍の予算を使って実施してきた学校給食、おかげさまで目標の60万食に近づいておる。来年も引き続き、こういった事業を展開して県民の皆様に、特に次代を担うお子さん方にサケの味を知ってもらいたいという努力をしてまいりたいと思う。
 次に、セーフガードであるけれども、これはやはり輸入水産物あるいは輸入サケが大分多いものであるから、これが国内ものを圧迫しているという観点から、国に対しては秩序ある輸入を、確立を要望してきたところである。引き続き要望してまいる考えであるけれども、御存じのとおり、このセーフガードについてはいろんな問題があり、なかなか難しい因果関係等の証明等あり難しい問題があるが、業界等の要望等を踏まえて今後とも引き続き国に対して要望してまいる考えである。

〇斉藤委員 林業、水産業、それぞれ予算の中で公共事業が占める割合が68・4%、71・7%。私は今漁業も林業も大変深刻な危機的状況になっているときに、この県政の施策の中身が変わらなければだめだと思う。林業の問題で私担い手対策を聞いたけれども、確かにこういう担い手対策に着手したのは評価できるが、例えば先ほどの林業労働対策基金事業、若年労働者新規参入促進事業は平成8年度、対象20人である。そして退職金への補助というのも、結局1日300円のうち120日を超える分の半分を措置すると。しかし、これは林業労働者の手持ちがふえるというわけではない。私はであるから、働いている林業労働者がやっぱり実入りがよくなる、そして保障も改善されるというふうにしないと、私は今の深刻な状況は改善されないと思う。例えば、そういう点で私は公共事業の比率を聞いたのは、やっぱりそういうところにこそ思い切って施策を重点的に進めるべきだと。例えば林道の場合で私はもう一つ聞きたいけれども、ふるさと林道緊急整備事業、去年の私決算で五大堂線について聞いた。なぜ冬閉鎖されるような道路を30億もかけて舗装してやるのかと。イヌワシもいるような通りじゃないかと。26路線、総事業費が2、996億800万、これがふるさと林道の岩手県の予算である。そして実態を幾つか聞いてみると、これは地元住民からの要請にこたえてやるのではない。先に事業ありきで、大体市町村のこういう道路が、山岳道路が5メートル舗装である、これは。林業の振興なのか道路を通すことが目的なのかよくわからないような道路が多い。そういう点で、私はそういうところに公共事業費がこう大きくなってきた理由があると思うので、漁業対策でいけば、さっき言ったような魚価対策、特に秋サケについて本当に研究してほしい。生協に行っても、県内サケが見えない。生協の関係者に聞くと、どういうことかというと、色が悪いという。そして冷凍ものは、やっぱり冷凍して出したものは、味ももうひとつ落ちるのではないかという声もある。であるから、せっかく先ほど言ったような低カロリー、高たんぱくというこういうメリットあるわけであるから、こういうのを生かすようなものを私は開発すればもっともっと普及も広がるのではないか、そういうところに思い切って林業、水産業の施策の内容を改善していただきたい。部長、一言でいいから。

〇中村林業水産部長 本県の森林面積は極めて広大であり、また、漁港、漁村についてもいわゆる沿岸の延長に比して非常に漁港の数も多いということで、公共事業の適正な運用という、実施というのは極めて大事だと思っておる。この点については、今後ともしっかり進めてまいりたいと思っておるが、また、委員が言われた魚価の対策とかあるいは消費拡大あるいは林業労働力対策、これについてもしっかり推進してまいりたいと思っておる。

〇久保田副委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇久保田副委員長 質疑がないようなので、これで林業水産部関係の質疑を終わる。
 次に、農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇中村農政部長 平成9年度の農政部の当初予算等について御説明申し上げる。
 予算の説明に入る前に、農業を取り巻く最近の状況と9年度における農業施策の推進に当たっての基本的な考え方について申し上げる。
 申し上げるまでもなく、近年の農業、農村を取り巻く環境は、ウルグァイ・ラウンド農業合意の実施による国内外の産地間競争がますます激しさを増す中で、労働力の減少、高齢化の進行や中山間地域における活力の低下が懸念されるなど、大きく変貌しておる。このような状況に対処し、21世紀における本県農業、農村の一層の発展を図ってまいるため、平成12年度を目標とする第3次新いわて農業確立計画後期推進計画を昨年3月に策定し、諸施策の推進に取り組んでまいったところである。また、平成8年度においては、春先の天候不順等にもかかわらず、米は作況指数101となったことに加え、一等米比率が90%を超えるなど、生産農家、関係各機関の努力が実った年でもあった。また、園芸、畜産においても、前年並みの生産額になるものと考えておる。特に、昨年は全国農業青年交換大会、全国食文化交流プラザの2つの全国イベントが開催され、県民の方々、関係各位の盛り上がりにより大成功をおさめることができ、本県農業、農村の知名度向上とイメージアップが図られたものと深く感謝しているところである。
 平成9年度は、後期推進計画の早期実現に向けて、米や畜産の生産体制の強化と園芸部門の重点的な振興により、収益性の高い農業への再編を加速するとともに、地域農業を担う主業型農家等を育成確保しながら、これらの農家の方々を中心とした生産効率の高い地域ぐるみ農業の形成や農業生産基盤、生活環境施設の整備を積極的に図ってまいりたいと考えておる。また、この4月からスタートする農業研究センターにおいては、農業者のニーズに対応した研究を進めるとともに、情報提供システムの構築を図ることとしておる。さらに、9月に開催される第7回全国和牛能力共進会の成功に向けて、鋭意、その準備に取り組んでまいりたいと存じておる。
 それでは、ただいま議題となっておる農政部関係の各議案について御説明申し上げる。
 まず、議案第6号平成9年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その2の7ページをお開き願う。農政部が所管する予算は、6款農林水産業費1項農業費、2項畜産業費、3項農地費及び9ページの11款災害復旧費の一部とあわせた総額1、005億6、134万円で、前年度当初予算に比較して25億8、000万円余、率にして2・5%の減となっておる。また、県の一般会計予算総額に対し、当部の占める割合は11・5%となっているものである。
 以下、予算の内容については、予算に関する説明書により御説明申し上げる。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げるので御了承願う。
 予算に関する説明書の158ページをお開き願う。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費は、農業委員会等に対する運営費の補助、市町村が行う国土調査法に基づく地籍調査等の実施に要する国土調査事業費補助等である。2目農業金融対策費は、農業近代化資金利子補給、中山間地域活性化資金利子補給など農業者等の資本装備の高度化、農業経営の近代化等を図るため融資した資金の利子補給に要する経費及び農家負担軽減支援特別資金利子補給、農業経営基盤強化資金利子補給補助等、市町村、農協等が利子補給する場合に助成しようとする経費であり、いずれも農家等の負担軽減を図り、農業経営の安定と農業生産の向上を図ろうとするものである。農業経営改善促進資金貸付金は、農業経営基盤強化促進法に基づいて、農業者が認定を受けた経営改善計画の早期実現のため、農業経営改善促進資金を融資した融資機関にその原資を預託する岩手県農業信用基金協会に対し、無利子資金を貸し付けようとするものである。3目農業構造改善対策費であるが、農山漁村でゆとりある休暇推進事業は、中山間地域等を主とした農村の活性化の推進、都市との共存関係の構築等を図るため、グリーンツーリズムの事業を支援しようとするものである。農業構造改善事業は、農業、農村の活性化を図るため、土地基盤及び近代化施設等農業生産基盤の整備、集落環境条件の改善等を地域の態様に応じ総合的に実施する事業で、岩手町岩手地区ほか1地区を予定しているものである。地域農業基盤確立農業構造改善事業は、望ましい農業経営体を早期に育成するため、経営の基礎的条件である土地基盤の整備、経営利活用施設の導入に対し補助しようとするもので、前沢町前沢地区ほか20地区を見込んでおる。地域農業経営確立総合対策事業は、担い手の育成と農地利用集積の早期実現を図るため、土地基盤、近代化施設等の整備を促進しようとするものであり、西根町ほか1地区を予定しておる。4目農業改良普及費は、県内17の地域農業改良普及センターの管理運営費、新規就農者経営確立支援事業費補助は、意欲ある担い手を安定的に育成確保するため、新規就農者の営農初期段階の経営の早期安定を図ろうとする事業である。5目農業振興費であるが、基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業は、財団法人岩手生物工学研究センターにバイテク応用化研究推進のため、遺伝子組みかえ等の基礎的研究を委託し、農作物等の新品種の作出及び微生物利用技術の開発を進めようとする経費である。山村等振興対策事業は、山村における農林業の振興、安定した就業機会の確保や所得の向上を図るため、生活環境の整備及び山村地域社会の形成を促進しようとするもので、江刺市ほか31地区を予定しているものである。美しいむらづくりモデル地区特別整備事業は、快適さ、美しさという新たな視点から地域資源を生かした農村空間を形成しようとするもので、胆沢町、遠野市を見込んでいるものである。次のページに参って、いわて純情米マーケティング戦略展開事業は、ひとめぼれ、ゆめさんさ、かけはしを中心とした県産米販売促進を図ろうとするものである。163ページに参って、新いわて農業再編総合対策事業は県単事業であるが、地域ごとに特徴のある農業への再編を推進するため、生産から流通に至る各種の条件整備に対し助成しようとするものである。6目農作物対策費であるが、164ページに参って卸売市場整備事業費補助は、第6次岩手県卸売市場整備計画に基づいて金ヶ崎町に整備する市場への補助である。次のいわて純情米いきいき生産体制確立事業は、稲作生産の安定化を図るため、ソフト、ハード両面から、条件整備を引き続き推進しようとするものである。地域調整推進事業費補助及びとも補償定着化推進事業費補助は、農協等が行うとも補償事業に対し助成するものである。いわて純情米品質・食味ワンランク・アップ事業は、県産米の品質、食味水準の向上を図り、安定した取引を確保しようとする事業である。いわてオリジナル水稲品種安定生産緊急対策事業費補助は、本県オリジナル品種かけはしについて、いもち病防除技術の定着化を図る観点から、昨年度に引き続き9年度に限り助成するものである。7目畑作振興費であるが、まず、農業生産体制強化総合推進対策事業は、国際化の進展に対応して、県内農業生産体制の強化を図るため、経営体育成を加速化するための土地基盤整備や産地加工の促進、高付加価値型農業の育成など、各種事業を実施しようとする経費である。中ほどの県産りんご輸出展開事業費補助は、リンゴ流通の国際化に積極的に対応するため、東南アジアを対象として、市場性調査や消費宣伝活動を実施する経費に助成しようとするものである。166ページをお開き願う。野菜産地総合整備対策事業は、共同利用施設の整備や高付加価値型農業の推進など、産地力強化のための総合的な整備を促進しようとする事業である。いわて純情野菜日本一産地育成対策事業費補助は、野菜全体の生産振興を図るため、かつて日本一の生産を誇ったキャベツを牽引役と位置づけ、その生産拡大のための先導産地育成基金を創設する経費に対し助成しようとするものである。8目北上奥羽山系開発費であるが、広域農業開発事業償還金は、事業完了地区の建設費用の地元負担金等を農用地整備公団に償還するもので、葛巻地区ほか9地区の償還金である。また、北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助は、広域農業開発事業で北上山系に入植し経営不振に陥っている負債農家に対し、経営改善を図るための支援を行おうとするものである。9目植物防疫費は、病害虫防除対策指導費等病害虫の発生予察、防除指導、農薬安全使用などの防除事業に要する経費である。168ページをお開き願う。10目農業協同組合指導費は、農協系統組織が進めておる組織再編を促進するための補助及び農協の指導監督に要する経費である。11目農業共済団体指導費は、岩手県農業共済組合連合会及び県内13共済組合の運営費補助等である。12目食糧管理費であるが、米穀集荷調整費補助は、計画出荷基準数量及び政府買い入れ基準数量の設定等、米の集荷が円滑に実施されるよう市町村に補助しようとするものである。13目農業研究センター費は、同センターの農業ふれあい施設等の整備、管理運営費、試験研究費である。170ページをお開き願う。14目農業大学校費は、管理運営、施設整備等の経費である。15目蚕業費であるが、養蚕ブランド産地活性化対策事業は、生産者、製糸業者等が一体となって良質繭生産を行う経費に対し補助しようとするものである。16目繭検定所費は管理運営費である。172ページをお開き願う。農業試験場費、園芸試験場費、蚕業試験場費は、試験研究機関の統合に伴う整理科目である。
 2項畜産業費1目畜産総務費であるが、管理運営費は畜産関係従事職員の人件費等であり、畜産団体育成対策費のうち、岩手県肉牛生産公社経営改善資金貸付金は同公社の経営健全化を図るため、無利子資金を貸し付けしようとするものである。2目畜産振興費であるが、174ページの中ほどの畜産再編総合対策事業費のうち粗飼料、稲わら等広域生産利用対策事業費補助は、畜産農家と耕種農家の連携を図り、稲わら等資源の有効活用と土づくりに寄与する事業である。家畜改良増殖対策事業のうち、系統豚高度清浄化対策事業費補助は、県経済連が実施するイワテハヤチネのSPF化事業に対し補助しようとするものである。畜産新技術普及事業は、農業研究センター畜産研究所において搾乳ロボット実用化事業の施設整備等に要する経費である。家畜畜産物価格安定対策事業は、肉用子牛、肥育牛、肥育豚の価格安定対策に要する経費に対し補助するものである。176ページをお開き願う。第7回全国和牛能力共進会岩手県実行委員会負担金は、ことし9月、産業文化センターをメーン会場に開催される同共進会に要する経費である。3目草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであるが、団体営草地畜産基盤総合整備事業は、岩泉町小川地区ほか11地区、畜産基盤再編総合整備事業は、下閉伊南部地区ほか4地区、県営畜産経営環境整備事業は、二戸西部地区ほか4地区となっており、これらの事業を通じて畜産生産基盤、経営基盤の整備を図ろうとするものである。また、畜産基盤再編総合整備事業等資金貸付金は、同事業等の農家負担分を低利の基金で措置しようとするものである。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防など、家畜の衛生対策に要する経費等である。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営費、試験研究費及び本館建設等の施設整備費である。178ページをお開き願う。6目牧野費は、種山牧野の管理運営、施設整備費である。179ページの畜産試験場費は整理科目である。
 180ページをお開き願う。3項農地費1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等である。2目土地改良費から184ページの4目開墾建設事業費までは、農業農村整備の公共事業が主なものである。かんがい排水事業費は、胆沢平野地区ほか8地区、9年度の用排水路の整備延長は2万2、620メートルを見込んでいるものである。農道整備事業は、広域農道で西磐井地区ほか7地区、一般農道で久慈市滝地区ほか28地区、農免農道で沢内村新町第1地区ほか30地区、ほ場整備事業は、花巻市豊沢川地区ほか42地区となっており、当年度の整備面積は855ヘクタールを見込んでおる。中山間地域総合整備事業は、大野村林郷地区ほか21地区、農村総合整備事業は盛岡市都南地区ほか46地区、団体営土地改良総合整備事業は北上市大谷地地区ほか46地区、農業集落排水事業は陸前高田市下矢作地区ほか29地区、ふるさと農道緊急整備事業は県単事業であるが湯田町柳沢地区ほか37地区。183ページをお開き願う。国営土地改良事業費負担金は、国が事業実施しておる山王海1期ほか17地区の負担金である。防災ダム事業費は根石ダムほか2ダム、ため池等整備事業は雫石町御所地区ほか32地区。184ページをお開き願う。開拓地整備事業は三陸町殿畑地区ほか27地区となっておる。土地改良関係のこれらの公共事業の総額は556億6、000万円余となるものである。5目農地調整費であるが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など、農地保有の合理化を促進するため、岩手県農地管理開発公社等の行う事業に対し助成しようとするものである。
 次に、ページを飛んでいただいて265ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、団体営農地等災害復旧事業等であるが、これは平成7年災、8年災及び現年災の災害復旧事業に要する経費である。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。
 議案その2に戻っていただき、12ページをお開き願う。第2表債務負担行為の表中、9から34までの26件が農政部所管に係るものである。これらは、岩手県農地管理開発公社が行う農地の借り入れ等に要する資金についての損失補償、農業近代化資金等の各種資金の融通に伴う利子補給、農業農村整備事業など、工期等が翌年度以降にわたる事業について、それぞれの期間及び限度額を定めて債務負担しようとするものである。
 次に、23ページをお開き願う。議案第8号岩手県農業改良資金特別会計予算についてであるが、当該予算の総額は、歳入歳出それぞれ17億4、241万4、000円を計上しようとするものである。その内容については、予算に関する説明書の346ページをお開き願う。能率的な農業技術、合理的な農業生産方式の導入、特定地域における新たな農業部門の経営開始、経営規模拡大、青年農業者等の育成を促進し、農業経営の安定と生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金、経営規模拡大資金、特定地域新部門導入資金のそれぞれの貸付金について貸し付け限度額、期間を定めて無利子資金を計上しようとするものである。349ページをお開き願う。就農支援資金貸付費は、認定就農者に貸し付ける就農支援資金の貸し付けに要する原資を財団法人岩手県農業担い手育成基金に貸し付けようとするものである。
 次に、まことに恐縮であるが、議案その2に戻っていただき61ページをお開き願う。議案第21号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは9年度において県営で実施するかんがい排水事業、ほ場整備事業等農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものである。
 次に、議案その3の21ページをお開き願う。議案第39号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例、35ページの議案第43号繭検定手数料条例の一部を改正する条例、36ページの議案第44号岩手県牛馬寄託手数料条例の一部を改正する条例、ページを飛んでいただいて、63ページの議案第56号農業博物館条例の一部を改正する条例、64ページの議案第57号卸売市場条例の一部を改正する条例、議案第58号蚕種売買業者等取締条例の一部を改正する条例、66ページの議案第59号岩手県種山牧野条例の一部を改正する条例、以上、7議案のうち、農業博物館条例は、児童生徒の入館料を無料とする改正内容であり、そのほかの6議案はいずれも平成9年4月から消費税の税率改定等に伴い、使用料、手数料の額をそれぞれ改定しようとするものである。
 以上で説明を終わらせていたただく。よろしく御審議賜るようお願い申し上げる。

〇久保田副委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。

〇渡辺委員 まず、東和町の生産調整に関連して伺うわけであるが、農民の心情として、つくるだけつくって余ったものは発展途上国への食糧援助、ODA等を通じてやったらどうかという意見があるようであるが、この認識について部長に伺うわけであるが、ODAの政府開発援助は、現在も国家予算の77兆円のうちODAは実に1兆1,686億円ということで、飛び抜けて世界一であり援助疲れだということで、今度の新しい予算でも一番抑制されておる中であるけれども、そういう中で人道的援助ということで10万トンやるわけであるが、これがやっとで大量援助は不可能ではないかと思うわけである。なぜならば、ODAはOECD経済協力開発機構の合意を得なければならないし、両方とも貧困、教育、森林など、環境保護、医療など幅広い検討となっているものである。まして、ガット・ウルグァイ・ラウンドの後のWTO世界貿易機関では、ただ同様の輸出では、補助金つき輸出で全く認められないと思うものである。第一、ラウンドの合意の際のミニマムアクセスの導入をせざるを得なかったという時期は、特に米価が内外価格差が大きかったということで外圧が大変強かった。皆さんの御記憶のとおりだと思う。そういう意味で、防戦一方であった日本が、ただ同然の輸出を仮にやったということであれば、今後3年後は、今暫定措置であるから今後の交渉の中で全く自分みずからが自由価格となるようなこと、つまり大暴落につながるということになるのではないかと危惧をするわけであるが、この余剰米輸出論に対して部長の所感をまずお聞かせ願いたい。

〇中村農政部長 生産調整をやめて余剰米を海外援助にというお話であるが、ウルグァイ・ラウンド農業合意に基づいて、我が国の米はWTO農業協定上、関税化の特例措置の対象となったわけであるが、これは平成12年までの6年間は関税化をしないということである。ただし前提条件として、効果的な生産制限措置がとられていることというのがあるが、そういうことから、生産調整をやめて余剰分は海外援助に回すということになると、前提条件に抵触するということになり、国際ルールに反するとの指摘を受けるおそれがあると伺っておるところである。また、国産米を海外援助に回すことになると、経費的にも1トン当たり30万円程度の財政負担を伴うということから、大量の国産米を海外援助に回すということは膨大な予算が必要となり、財政面からも難しいと思われる。ちなみに申し上げると、今回輸入米を含める政府米10万トン程度を輸出するということを決定しておるわけであるけれども、この10万トンの輸出でも財政負担が200億円程度になると言われておる。そしてこの食糧援助に対する財政負担は、お話しあったように外務省計上のODA予算と食糧管理特別会計で負担することになっており、今回の10万トンの輸出においてもODAの予算で47億5、000万、残りの全額については、この食管会計で賄うと伺っておるところでなかなか厳しいと考えておる。

〇渡辺委員 次に、東和町が1年をかけて生産調整を決めていくという話が伝わっておるわけであるが、生産調整はおわかりのとおり、新生産調整推進助成補助金並びにとも補償なり自主流通米の計画流通対策費、とも補償定着化推進事業という四つの事業で成り立っているわけである。基本額の方は確かに国なり県なり市町村が配分をしてそれを確認していくということになるが、それに付随するものは新食糧法の骨子に基づいてこれができていると。つまり、例えば、新生産調整推進対策地域調整推進事業等においては多くの生産者が生産事業に参加し、新生産調整推進事業においては生産者団体が、市町村長ではなくて、生産者団体がこれまで以上に、主体的かつ積極的に生産調整に取り組むことが必要であると。そしてまた、生産者団体が地域のとも補償の設定及び運営を推進するため新生産調整推進対策推進事業を実施するものとすると、こう書いてあるわけである。そしてまた、例えば暴落に対して今の新食糧法は、これはあるのはわずかに自主流通法人、つまり全農と察するわけであるが、調整保管の生産量の増大による供給の過剰に対応して必要な数量の米穀を在庫として保有することを行うと、第29条第2項ということであるから、つまり、政府はみずから買い主導によって価格の引き上げを行うということではなくて、専ら系統農協の調整保管という自主的措置で回復するのだと、こういうことであるから、例えばこの間東和町では町と農協が対立しておると、そこで、生産者団体である中央会はもちろんのこと、土地の東和町農協も米の生産調整については農業団体の意見を尊重して決めてほしいと、こういうことであるから、まさに法律から言っても農協が大きなものをかついでいるわけであるから、それを無視してやっていくというのはいかがなものかと、できないのではないかと私は思うわけである。ちなみに、市町村が事務手続をしなければできない仕組みになっておるから、この辺、私が言ったことに一応確認をしたいということと、次の今言った助成金は、東和町にどのくらい交付をされているかということついてお伺いする。

〇中村農政部長 生産調整に対する市町村の事務であるが、大きく3点あり、農業者ごとの生産調整対象面積の決定と、それを決定してそれを農業者に通知をすると。それから米穀の生産調整の確認、それから生産調整の確認に係る通知、こういう三つの事務があるわけである。これらの三つの事務がきちんと法令に基づいて事務手続が適正に行われなければ、助成金についても農業者の方々に交付されないということで、自主的な参加方式の場合にはその辺が懸念されるところである。結局、生産者が交付しないで手を挙げたとしても、それをまとめただけで県の方に申請してきても、きちっとした配分をしないということでは、手続が的確になされたということにはならないわけである。また、町に交付されておる生産調整関連の補助金等であるが4種類あり、平成8年度で申すと、総額で2億926万円余りとなっておる。内訳について、新生産調整推進助成補助金、いわゆる転作奨励金であるが、これが4、686万円余。内訳として基本額が3、658万円余、加算額が1、027万円余。それに地域調整推進事業、いわゆる国のとも補償事業の補助金が9、687万円余、自主流通米計画流通対策費については現在まだ確定はされておらないが約6、370万円と見込んでおる。このほか、県単事業のとも補償定着化推進事業の補助金が180万円余、あわせて2億926万円となっておるところである。

〇渡辺委員 今、2億円という大変な金額であるが、報道によると、東和町ではすべて調整水田から稲作の復帰で所得を確保できると考えておるとも聞こえておる。仮に調整水田100ヘクタールを水田に戻すとすると、私の試算では8俵とれて高く見積もって1万9、000円で、100ヘクタール掛けると1億5、200万であるが、町もそんなようなことで計算をしておるようであるが、これは厳密に言えば総生産額であるから、ここから生産費をずっと引いていかなければならない。この間まで確定申告なんかあるが、農業なんかであるとせいぜい7%か10%ぐらい純利益として計算するのがせいぜいではないであろうか。実際、赤字で兼業収益から埋めているのが実態だろうと思う。そうなってくると、例えば1割なりいくらなりというと、1億5、000万の1割だとすると1、500万、7%ぐらいだともっと1、000万近くなるかもしれない。逆に言えば、さっきの2億円に対して10分の1以下。例えば、そういう収入であれば、大変な少ない金額でどうやって--東和町はこれをつくる自由、売る自由というスローガンに乗って、残りは創意工夫だということで本当にやっていけるのかと思うが、県は東和町の試算をどう見ていらっしゃるのかお伺いする。

〇中村農政部長 東和町の試算内容であるが、東和町が生産調整推進対策方針において自主参加方式をとった場合の所得比較を行っておるわけであるが、その中で目標が未達成になることを想定して助成金は減少するものの、お話しのように調整水田100ヘクタールが稲作に復帰することによってほとんどカバーできるのだとしておる。しかしながら、委員御指摘のとおり、米による増収については所得ではなく粗収入で計上しているところである。また、町が法令に基づいて行うこととされておる事務手続のやり方によっては、転作奨励金の基本額部分も交付されないことが想定されるわけであるけれども、私どもが試算した結果では、この転作奨励金部分を含めなくとも、1億円を超えるマイナスになるのではないかと見ているところである。

〇渡辺委員 今3回に分けて聞いたが、数字的にも議論の余地がないと私は思う。であるから、この辺については今後県は、東和町はもちろんのことであるが、全体的にきちっとした基本的なPRをしていかなければならないと思うわけである。その辺をどうやっていくかということである。これをお尋ねしたい。
 あと、生産調整はたくさん皆さん意見があると思うから、あともう1点、土地改良区のことをお伺いする。
 土地改良区は一つの町に二つや三つさまざまあるが、ただ、残念ながら農業従事者の高齢化なり兼業化の中で、農業用の排水施設等の適切な管理がますます困難になってきておる。そういう中で、土地改良区の基盤強化のための合併についてどう考えておられるかお伺いする。

〇中村農政部長 私の方からは助成制度についてのPRについて申し上げさせていただく。
 生産調整の助成制度についてのPRであるが、生産調整の目標面積を達成した場合には、先ほど申し上げたようにいわゆる転作奨励金を初めとも補償に対する補助金、あるいは自主流通米の計画流通対策費などの国の助成制度に加えて、政府米としての買い入れも行われることになっておる。このほか、県単独のとも補償定着推進事業など、各般の施策が講じられているところである。また、これらの助成金のうち、転作奨励金については、団地化あるいは組織化の取り組み、あるいはとも補償に対する補助金については、地域の生産者の皆さんの合意による事業への参加割合に応じてより単価が高くなるような仕組みとなっておるところである。したがって、今後の推進に当たっては、こうした助成補助金等を有効に活用していただきながら生産調整の実効性を確保するとともに、可能な限り望ましい営農が実現されるよう、市町村あるいは農業団体と連携しながら、生産者に対して生産調整に係る助成制度の周知徹底を図ってまいりたいと考えておる。

〇平野農地計画課長 私の方からは、土地改良区の合併について御質問があったのでお答えしたいと思う。
 御承知のように、土地改良区は基本的には組合員からの賦課金収入によって運営されており、昨今の厳しい農業情勢を反映して、その運営については非常に厳しいものがあるという認識については委員と全く同じである。こうした事態に対応するため、運営の合理化による経費節減やあるいは組織体制の強化、そうしたことのために水系単位あるいは市町村単位で土地改良区の合併を進めることは極めて効果的な方法であると考えており、従来から推進してきているところである。具体的には、県は土地改良区統合整備計画というものを策定しており、現在その計画に基づいて土地改良区の統合整備を進めているところである。平成8年度は照井大江・舞川・平泉土地改良区、これは一関市と平泉町にある土地改良区であるが、この土地改良区の照井土地改良区という、これは新しい名称であるが、合併を初めとして2つの合併が実現しており、引き続き合併の機運の盛り上がっている地区についての支援をやっていきたいと思っておる。ちなみに、本県は全国的に見ても合併をかなり推進してきており、その成果が確実に上がっているという県でもあり、1土地改良区当たりの面積は本県は大体1、100ヘクタールであるが、全国では大体400ヘクタールを割っているということで、極めて高い評価を受けていると思っておる。いずれにしても、合併は土地改良区間の話し合いの積み重ねであるので、これからも関係土地改良区とか市町村とか、そういうところと緊密に連携をとりながら効果的な土地改良区の合併を進めてまいりたいと、このように考えておる。

〇久保田副委員長 関連の方は、生産調整、自主減反にかかわってあと何人おるであろうか。
   〔関連質問者挙手〕

〇久保田副委員長 わかった。この際世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩してから再開させてもらいたい。
   午後3時5分 休 憩
 
   午後3時22分 再 開

〇藤原委員長 休憩前に引き続き会議を開いて質疑を続行する。

〇菅原委員 委員長、少し質問が長くなると思う。よろしくお願いしたいと思う。

〇藤原委員長 簡潔明瞭にお願いする。

〇菅原委員 それでも30分以上かからないから。
 今、全国的に大きな問題となっておる東和町の米の自主生産問題についてお伺いしたいと思うわけである。
 その前に、東和町の平成7年度の農業粗生産額は41億9、500万円である。県に対するシェアは1・3%である。そのうち、米は23億5、200万円である。この東和町の総生産額に占めるシェアは56・1%。だから、東和町はやっぱり米依存型の農業と言っても過言ではないのではないか、そんな感じをするわけである。
 ところで、交通信号機があるけれども、赤では全部とまるということに実はなっているわけである。だれも飛び出してはいかぬと、こういうことになっているわけである。これを飛び出そうとしているのが東和町ではないか、そんな感じがするわけである。みんなで渡れば恐くない方式で、みんなで渡ったらどうなるかということなのである。交通秩序は乱れる、社会不安、大きな問題に展開するわけである。
 そこで、心配なのは、みんなで米をつくろうと、もう政府の減反政策には協力しない、みんなでつくろうと、こういう状況になるわけである。いわゆるオープンな形になると。仮になったとすればどうなるかと、こういうことなのである。東和町の進めている生産調整は、信号機の中で飛び出すから先に向こうに渡れると、こういうことなのである。みんなで渡れば先に行かないのである。だから、みんなで米をつくるということになると、岩手県の農業に与える影響はどうなるか。岩手県の米の生産額は1、093億3、000万円である。農業全体の粗生産額に占める割合は34%なのである。非常に大きいのである。一番大きい、シェアが高いのである。そうすると、まず、うまくない米はつくっても売れないという状況なのではないだろうか。しかも価格が2分の1ぐらいになるのではないであろうか。そうすると、岩手県の県北とか、あるいはまた県南の室根村あたりの米は自主流通米でも売れない、要らないというような米なのである。そういう所の米はつくっても売れない、こういう状況になるから、大きな問題が発生すると、こういう状況になるわけである。
 昔の農民文化、米の文化というのは、やっぱり米から発祥しているわけである。そういう状態になると、いわゆる米の文化、農民の文化、農村文化というものは壊滅するわけである。昔は、畏敬の念、恐れ多い、敬う、そういう精神から米の稲作農業というのは発達してきたわけである。そういうことになるから、これは大変な問題になるのではないかと、そんな感じをしておるわけである。今、全国的に展開されておる米の減反政策、これはやっぱり農民の運命共同体の姿ではないかと、私はそのように感じておるわけなので、農政部は、将来の稲作農業ということに対してどういうことになるか、見解をまずお聞かせを願いたいと思うわけである。

〇中村農政部長 生産調整についてはいろいろな御意見やら御要望やらもあるわけであるが、そういう中において、現状で需給バランスを欠くことによって農家所得が安定しない、不安定になるということは大変になるわけであって、現状ではこれ以外、いい方法があれば別であるけれども、こういう安定を期していくという中では、やはり一部の人たちだけ外れてやるということではなく、やはりみんなが協力して実効を上げていくということが大事だと考える。

〇菅原委員 まさにそのとおりだと、そのように思うわけであるが、今、減反政策は、いいことだという人もあるだろうし、私は反対だという思想もあろうと思うが、今の段階では、やっぱり政府の示した減反政策に協力するのが一番賢明なやり方ではないかと、そんな感じをしておるわけである。そういう中で、自主減反して転作するとか、いろいろな水田の管理をしているわけであるが、これはやっぱり大きな自然環境の保全、水の涵養あるいはまたダム効果、そういうものに大きな効果をあらわしているわけである。皆オープンにすると農地が崩壊するわけである。こういういろいろな自然環境の保全、こういう効果が全然ゼロになってくるわけである。国土保全上からも大きな課題になるわけである。こういう大きな問題であるが、天明から安政に生きた二宮尊徳先生、この人は大農学者、篤農家でもあるわけであるけれども、日本の農業に大きな影響力を与えた方であるから、この方が生存しておれば、先生、どうするかと聞いてみたいぐらいなのである。そういう感じがしておるわけである。
 そこで、法律によって市町村は減反政策をすると、協力することになっておるが、この食糧法、法律は一体どういう内容の法律であるのか、改めてお聞きしたいと思う。

〇中村農政部長 食糧法の施行令の中にあって、生産調整に関する市町村事務、法令で定められておるのは、市町村長が農業者ごとに生産調整の対象水田の面積を決定し、そして、それを通知する。それから、生産調整を確認し、確認した後農業者に通知をする。大きくはこの三つの事務である。

〇菅原委員 法律に定められたことを東和町はしないと、こういうことになるわけである。しないということになると、それの制裁が実はあると思うわけであるが、それについては先ほど渡辺委員の質問で答えられたようであるけれども、どういう結果になるか、もう1回ひとつ説明をしていただきたいと思う。

〇中村農政部長 一つは、手挙げ方式による場合には、そういう法令に基づいて市町村長がやる事務が行われないということになれば、そういった助成金が来ない。生産調整をして面積を配分したということにならないものであるから、やはりきちっと農業者に面積を配分、通知するという行為、それから、それを確認して改めて通知をするということがあって初めて出るもので、それが全くそういう配分あるいは面積を決定して通知をされなければ、幾ら手を挙げても生産調整を実施したということにはならないものである。

〇菅原委員 町が手続をしないと、農業団体が自主的に減反割り当て面積を達成してもいろいろな交付金がゼロだと、こういうことになるわけである。そういう大きな問題を抱えておるので、このごろ東和町内の農家においては、いわゆる不協和音が発生しているわけである。農民も非常に不安を覚えているのではないかと、そんな感じをしておるわけであるから、大きな課題である。岩手県の農業、日本の農業にとっても大きな課題であるけれども、大変御苦労であるけれども、県は積極的な対策を、東和町に対しても重ねて協力してもらうような対策をしていただくようにお願い申し上げて終わる。

〇藤原委員長 委員各位に申し上げる。
 あと16人質問者がある。申し合わせの予定時間は5時であるが、進行上、どうぞ御協力をお願い申し上げたいと存ずる。

〇菊池(勲)委員 休憩前にどなたか関連と手を挙げたんだけれども、同じような質問を私も通告している。恐らく小原宣良委員も同じような通告だと思う。関連をやると全部通告はゼロになってしまう可能性がある。だから、順番を守って、私は正規の質問に立ちたいと思う。

〇藤原委員長 関連ではなくて正規の質問か。

〇菊池(勲)委員 正規の質問をしたい。関連だと全部なくなってしまう。

〇藤原委員長 関連の方を優先するので。

〇菊池(勲)委員 だから私は議事進行で今頼んでいるのである。今、委員長に指名をもらったから私は発言できるけれども、関連だとみんな先取りされてしまう、通告からすれば。だから、この問題だけは関連は不可能だと思って私は休憩前に話したわけである、委員長、副委員長交代したが。だから、正規の形で質疑はできないが、私は今、……。

〇藤原委員長 関連の方を優先する。これは申し合わせである。御了解いただきたい。

〇菊池(勲)委員 では関連でいく。
 とにかくおかしいぐあいに流れているわけである。3月4日、東和町の報道が新聞紙上に、朝刊に載った。私は心配をして、11時から議運だったんだけれども、1時間早く農政部長の部屋に飛び込んだ。この問題は放っておくと大変なことになると、緊急性があるという形で農政部長に相談したところが、農政部長はすぐに、私との会談はせいぜい五、六分、そして知事の部屋に飛び込んでいって話した後に、農政部長が私の部屋にその結果を持ってきてくれた。それからずっと時間をかけて今日まで、毎日のようにテレビ、新聞で報道されている。もう日本じゅうがそうなるべき形に流れておる。先般、うちのせがれから、沖繩県の琉球新報という新聞の記者をやっているけれども、そこからも電話が来た。もちろん沖繩県は日本であるから、全国放送である。岩手がこれを始めたら大変喜ぶ人があるけれども、結論的には農家は死ぬのである、これは絶対に。協力して、いやが応でも協力して、生き延びるための施策の中に我々は協力している、農民は。だれも喜ぶ人は1人もない。私も3・3ヘクタールの水田を休耕してアスパラをつくっているのである。これは喜んでつくってないのである。政策を維持しなければ食糧県岩手の農業など壊滅状態になる、これは絶対に。1首長のこんな発言で、農政部はすっかり惑わされている。岩手の農政をどういうふうにとっていくのか、部長、これを聞きたい、まず。

〇中村農政部長 東和町の生産調整については、やはり従来から生産者一体となって、そしてそういう中で所得の安定確保を図るように努めてきたわけであるので、今回もみんながそういう方向でもって進められると大変好ましいということを考えておって、また引き続き、町はもとよりであるが、それぞれ今9年度の関係でもいろいろ入っておるので、そういう中でも生産者の皆さんにも御協力賜るようにしていきたいと思っておる。

〇菊池(勲)委員 きょう農政部の審査があることはもちろん日程で知っておったんだけれども、たまたまきのう、渡辺幸貫委員がさっき発言したが、渡辺幸貫委員の地元にライズみちのくという大きな米業者があるわけである。そこに勤めている方とたまたま夕べばったり会った。その人にすれば、業者であるから大賛成なのである。そうすると米の値段は半分で買えると言っている。半分である。今も安い、安いと我々苦労しているときに、この現況の値段の半分で買えると言っている、その業者に勤めている人は。先生、賛成である、それはという話なのである。私は怒った。すぐ帰ってきた。あなたと酒を飲んでもしようがないからと怒って帰った来たのであるけれども、もうそういう状態、目に見えない闘いを、今、業者が熾烈に闘っているわけである。これを実行していただくことを喜んで、これでは農民は壊滅状態になる。平成10年から実行するといっても、ことしからである、問題は。これをいつまでも放っておくと大変なことになる。再度ひとつ部長。

〇中村農政部長 米の潜在生産力が需要を上回っている。これのバランスが崩れると大変な米の低落になるということなわけであるが、ある学者先生の研究結果によっても、供給量が10%変化すると価格が33・3%変化するというデータ、これは何か価格とあれの弾性値なのだそうであるが、そういうことから推測しても、やはりみんな協力し合いながら、当面はこの制度でいかなければならないと考えている。

〇菊池(勲)委員 農政部長に何遍質問しても同じ答弁しか出てこないと思う、今の状態だと。私ども県議会にも五つの委員会があって、農林水産委員会というのがあるわけである。少なくとも議会の立場からもこの問題は当局に支援する必要が私はあると思う。だから、委員長にお願いしたいが、当委員長名で、議長にお願いしながら、そんな組織をして当局と一体となって、東和町をいじめるんじゃなくして、フォローしながら、やっぱり現況に復帰するような形の着地点を見つけてあげないと不可能だと私は思う。首長も命をかけて、次の選挙には立たないと言っている。選挙はまだ1年も先の話である。立たないという話はないんだと私は思う。それだけやっぱり政治家として命をかけているわけだから、私は着地点を見つけるためには当局と議会と一緒になって支援すべきだと思う、委員長。

〇藤原委員長 御提案は世話人会で後ほど相談をさせていただきたいと思う。要望を承る。
 進行する。

〇千葉(浩)委員 生産調整について、関連で質問させていただく。
 先般の代表質問において、私も生産調整に対する高知県知事の発言を出して、本県の対応について知事の所見を聞いた経過がある。今回の東和町の件について、私からも考え方をお聞かせ願いたいと思っておる。
 生産調整についてはさきも知事の答弁があったわけであるが、農家に損をさせることはできない、県としてもしっかりやる、こういう力強い答弁があったわけである。東和町の方針が出たのはこの直後、翌日なわけで、私も大変びっくりしたというのが実態である。今、いろいろ言われておるとおり、全国から全く注目を浴びておるし、県としての適切な対応が求められておると思う。私は、この生産調整について、大幅な米余りということであるし、国の制度として実施しておるわけであるが、しっかりやらなければならないというのが私の立場である。そういうことで、東和町の方針は決して私は理解することはできないと思っておる。一つの政策として提言するのであればともかく、現行の法令も否定し、自分だけがよければよいということであるが、結局は減反政策そのものが成り立たなくなるし、私は、やっぱり一番重大なことは、今も菊池委員が申したとおり、本県の稲作が完全に壊滅的な打撃をこうむるという実態が出てくるのではなかろうかと思っておる。しかも、東和町は、国、県に対する挑戦ともとれる行動をとっておる。全く私は目に余るものがあると思っておる。
 東和町が3月15日付で町民に配布した広報、ここに私持っているが、この中を見ると大変なことが記載されている。県でもいろいろ持っていると思うが、まず、いろいろな書き方がずっと出ているわけであるが、最も重要な問題を私は指摘したいと思うが、この中で、県は何ら農業の政策を持たずに、農家が損をしないようにと何度も繰り返すばかりである。何もやってないと。ただ損しなければいいんだということだけしか言ってないんだと、県は。対応してないんだというのがここにあるわけである。それから、国の言うなりになっていると国の独裁になってくる、こういう文章もあるわけである。それから、私一番気になったのは、岩手県議会という問題がここで取り上げられているということである。岩手県の県議会の大方の先生方は、この東和町の方針に対して、政策に対して大賛成している。そして、大方の先生方は東和町を支援するということをはっきり書いているわけである。こういうことは県議会で、常任委員会はやったと思うが、全体でやった記憶も私はない。それから、アンケートをとられた覚えもないし、何を根拠にこういうことを言っているのか、私はわからない。それから、市町村でも、県内市町村の80%が東和町に賛同している。賛成している。しかもまだまだ賛同者がふえていくんだと。そういう一つの広報を、これは東和町の農林課というところで出しているわけである。これは後で回すが、こういう資料を、聞けばこれは3、000枚つくって3、000戸に全部、各戸配布であるから、そういうことでやっているのだそうであるが、ただ、東和町だけではない。こういう資料はあるところにも流れている。そうすると、県議会というのは本当に東和町に賛成しているんだなと、こういう誤認識--誤った認識を持った方もあるやに聞いた。私も聞かれた。先生、県議会では大勢は決まって賛成しているのかという問いかけもあったわけであるが、いや、まだ何もやってないと。予算委員会で恐らくあるはずであるという話はしておいたが、こういう資料について、県も熟知していると思うが、この資料の中身についてどう受けとめておるかお聞かせ願うし、また、この東和町の生産者に対して、生産調整の趣旨なり、法令に基づく町の事務手続についても適切な情報を県は提供すべきだと思うが、まず、お聞きする。

〇藤原委員長 進行するけれども、そのコピーを事務局とっていただきたい、要望があるから。

〇中村農政部長 ただいま委員からお話しの資料については私も見た。これをどう受けとめているかということであるが、町の自主的参加方式があくまでも町としての考え方にすぎないという前提で申し上げると、仮にそうした場合、町として、まず生産者に対して今後どういう施策を展開し、農家の経営安定を図るかという観点に立って作成すべきものだと考える。そして、生産から流通まで幅広く、まさに生産者の知りたいことをPRすべきだと考えるものであるが、今回の資料を見ると、そういったことよりも、県あるいは国などに対する批判めいた内容となっておるところである。それぞれあるかと思うが、国、県においてもそれぞれの立場で今日まで町農政の推進に鋭意努めてきた経緯もあり、また、知事初め、委員の方々にも心配をいただいているところである。そういう状況の中で、相手を批判することによって自分の方に理解を求めるやり方ということについては、それはいかがなものかという感じがする。そういう面からすると、町が今回配布した資料については、町として多少適切さを欠くのではないかということで、私たちも大変残念であると思っているところである。
 また、情報の提供ということであるが、町に対しては、これまでも食糧法上あるいは自主的参加方式の問題点、法令に基づく町の手続事務の必要性、さらには、町の生産調整推進対策の方針において試算した中身の誤りなどについては指摘しておるところであるが、末端の生産者までこうした情報が伝わっておらないようであれば、やはり生産者の皆さんが誤った判断を招きかねないと憂慮もしているところである。したがって、県としては、地域からそういう要請があれば、直接出向いて生産者の皆さんに正しい情報をお伝えしながら、町に対しても鋭意指導してまいりたいと考えておる。

〇千葉(浩)委員 事実がそのとおりである報道であれば、そういうものであれば私は、賛成も反対も両論いろいろあると思う。いろいろあると思うんだけれども、事実でないものを広報として全戸配布して、そしてとにかく東和町は正しいんだ、全部がそういう形に乗っているんだということをやるというのは、これは私は断じて許せない。ましてや県議会ということになると、今までもないことをあたかもそうなったかのような印象を与える、そういう誘導的な広報をもって知らしめるということは全く卑劣なやり方だと思うので、これは委員長にお願いしたらいいか、部長にお願いしたらいいのかわからないが、何はともあれ、これは真実でないんだと。そういう県議会ではないんだと、議会の中はそうではないんだと。今、皆さんもいろいろ関連で質問した。大勢は東和町の方針に反対だと、私はそう受けとめて、ほとんどの方は私はそうだと思っている、県議会の中は、委員たちは。これは何も採決したわけでも何でもないからはっきりした数字なんかはわからないが、何はともあれ大勢は、今の増田県政というものの減反政策については支持していく、推し進めていくというのが県議会の方向にあると、こういうように私は認識している。違う方もあると思う。違う方もあると思うが、私は、大勢はそうだと思っておるので、ぜひそういうことを踏まえて、ひとつそちらの方に御一報なり、申し入れか何かわからないが、そういう形をとってもらえないかということをお願いする。
 それから、もう1点ついでにやってしまう。
 現在の生産調整、今、東和町のことがある。あるが、何をもって最良の方法かといえば、いろいろ議論があるわけであるから、不満があるのもこれまた事実である。そういう中で、減反を否定するわけではないが、みんなで知恵を出して、これからいろいろな岩手県の方針にしても減反政策に対する取りまとめ、どういうものがあるのか。国にどういうことを要望したらいいのか、どういうふうに転換してもらいたいのか、そういう県としての方針というものをはっきり打ち出して、そして国に陳情する、お願いするというのが私は岩手県の部長の立場ではなかろうかというような気もするので、その辺について何かあったらひとつお答え願いたい。

〇中村農政部長 町に対する指導ということであるが、県としても、現在UR対策だとかいろいろあるわけで、そういう中で、足腰を強くするように、整備するものは整備をしながらと考えておるところであるし、生産調整については今後とも協力が得られるように要請をしてまいりたいと思う。
 それから、国に対する要望をすべきというお話であるが、生産調整については、先ほど来お話があるように、生産者等の皆さんからいろいろな意見や要望が出されておる。例えばつくる自由を認めてほしいとか、強制感を伴う配分はやめてほしいとか、あるいは生産調整面積についても限界に来ているんだとか、いろいろあるわけであるが、そういうことで、現行制度についてはいろいろな課題があることは事実と思っておる。特にも生産者の皆さんからは、生産調整に義務的に取り組むということではなく、みずからの問題としてより進んで転作営農に取り組んでいただけるような制度として改善を図っていただく必要があるという考えもある。したがって、県としては、次期対策においては、このような生産者あるいは団体等の意見が十分反映され、そういう中で実効性が確保される制度として整備されるように、機会をとらえ、国に対しても要望してまいりたいと考えておる。

〇藤原委員長 千葉浩委員の前段の御要望については、委員長としてお伺いする。後ほど世話人会で相談をさせていただくので、御了承お願いする。

〇斉藤委員 私は、東和町の自主減反方針は大変勇気のある決断だったと、このように思う。なぜ勇気ある決断なのか。町長は、なぜ今回の自主減反に踏み切ったのかということで、新聞のインタビューにこう答えている。国の言うがままの農業では魅力がなく、後継者は生まれない。次代を担う子供たちが誇りを持って農業に従事できるよう環境整備するのが我々の使命だと。そして、こうも言っている。全国に東和町のような町が出てきたら、国が危機感を持って減反政策の改善や輸入米やらを検討するのではないか。そして、農家を奮い立たせる意気込みが国や県にない以上、小さな町からのろしを上げたい。地方の意見をきっちり国へ言うことが全体の利益につながる。私は、この町長の意見は、文字どおり全国の、岩手の農民の魂に響く声だと思う。
 それで、部長に聞きたいのだが、どういう国の政策が行き詰まっているのか。輸入しながら減反だ、そして、減反しても米価はどんどん下がる。ここに国の政治の行き詰まり、減反政策の破綻がはっきり示されているのではないか。私は、そういう点でこの根本的転換を求めているのが東和町の今回の方針だと思う。部長、どうか。

〇中村農政部長 私どもとしては、この生産調整は、潜在生産力が需要を大幅に上回っているということの中で、米価の暴落を防止するということから、農家経営の安定を図るため実施しているものだと考えておって、そういう意味からすると、一部であっても取り組みがなされないということになっていくと今後の円滑な推進に支障を来す。ひいては制度そのものの大きな崩れともつながって農家経営に多大な影響を及ぼすことになるということで、現時点ではやはり稲作農家全体で取り組んでいただきたい。そして、その実効性を確保するようにお願いしたいという考えである。

〇斉藤委員 国の言うとおりにやってどうなったか。今、米価は政府米で9年度、1万6、217円。これはいつの水準の米価かというと、昭和50年、1万5、570円の次である。20年前の米価になっている。自主流通米はどうか。ことし2月の岩手県の自主流通米の米価は1万9、526円だった。これは、平成5年と比べて3、234円も落ち込んでいる。国の言うとおりにやって、米価が20年も前の米価であり、自主流通米も数年前と比べてもう3、000円以上も落ち込んでいる。そしてさらに、外米はどんどんこれからふえてくるのである。40万トンからことしは50万トン台である。来年は60万トン台である。そして、40万トンのうち、実に30万トンぐらい売れてないのだから、その倉庫代だけで35億円かかっている。完全に国の政策は行き詰まって破綻している。そして、聞きたいけれども、全国で何県、何市町村が減反未達成になったか。

〇中村農政部長 政府米あるいは自主流通米の価格の変動についてであるが、政府買い入れ価格については、米の販売農家の生産費の動向あるいは食糧法施行後は自主流通米の入札価格の動向を踏まえながら、米の再生産を確保することを旨として国で算定をしておるわけであるけれども、政府買い入れ価格については、昭和58年から61年までは農機具等の高騰によって生産費の水準が一時高かったわけであるが、その期間を除くとほぼ一定している。そんなに幅がないという、そういう状況になっておる。また、自主流通米価格についてであるが、入札制度が発足した平成2年以降、先ほど委員数字を挙げられたが、平成5年は冷害の年であったので大きく2万2、760円となっているが、それを除くと大体2万円ちょっとぐらいで推移しているという状況である。
 それから、未達成の状況ということであるが、ことしの2月7日に発表した昨年9月末現在の平成8年度の新生産調整推進対策の推進状況によると、目標達成できないと見込まれる都道府県は12あると伺っておる。具体的な市町村数については把握しておらない。

〇斉藤委員 全国12県が減反未達成になった、これは極めて重大なことである。いわばもう限界を超えているということであろう、全国的にこういう未達成が出たというのは。全国の市町村は、岩手県の3市町村を含めて250市町村である。いわばもう完全に限界を超えているということである。農業の破綻がどこにあらわれているか、一番自給率である。今、食糧自給率はカロリーベースで42%である。42%というのはどういう自給率かというと、国民1人当たり2、100カロリー。これは、昭和20年代、30年代の食糧自給の状況なのである、戦後の一番落ち込んだときの。そういう食糧しか今確保できないようになって、世界最大の輸入国になっている。昨年11月のローマ会議、だから食糧増産を打ち出したわけであろう。世界で8億人が飢餓に直面して、世界的に主食を含めた食糧増産をしなければならない、こういうときに日本が輸入しながら減反を押しつける。ここに私は破綻があると思うので、私はそういうことを受けとめて、そして東和町の本当の気持ちをどういうふうにやっていくのかというのが行政ではないかと思う。だから、そういう点で、これが広がったら大変だという被害妄想ではなくて、今、この問題提起を受けとめて、今、本当にどんどん縮小されている、行き詰まっている農業をどう打開するかということで県が腰を上げていくべきじゃないか。
 具体的に幾つかお伺いする。
 県内の市町村の減反面積、水田比率は平均27・46%であるけれども、20・94%から67・42%と幅がある。

〇藤原委員長 斉藤委員、お話し中であるけども、関連質問は冒頭に質疑を表明している委員よりも優先をして発言を認めているものなので、その性格上、関連性の強いもののみについて、短時間、簡潔にお願いをしたいと思う。
 よろしく御協力をお願いする。

〇斉藤委員(続) 岩手県が減反を市町村に割り当てた、これは20%台から67%までこんなに幅広くある。高く割り当てられたところは、それを達成しなければ達成にならないのである。達成しなければ政府米も買われない。私は、こういうのは極めて不公平だと思う。最初から不公平な減反目標で競争させられる。高い目標のところは、達成しなければそれで未達成で、さまざまな不利益をこうむったら大問題ではないか、どうか、これは。

〇中村農政部長 市町村ごとの生産調整対象水田面積の決定ということであるが、これは、それぞれの市町村の水田面積を基本としながら、地域農業の進行方向に即しながら、稲作の主産地度あるいは畑作、畜産の特化度などを考慮して決定をしているということである。

〇藤原委員長 斉藤委員、東和町の減反問題についてのことに集約をしてお願いする。

〇斉藤委員 私は、そもそも県が割り当てた減反面積自身が極めて恣意的だと。市町村で全然違うのだから、割合が。それで、高くても達成しなければさまざまな不利益をこうむるというのはおかしいのではないか、大体競争の土俵が違うのだから。
 それで、関連で最後に、私は総括でも少し聞いてまともな答弁はなかったけれども、農林水産事務次官通達、新生産調整推進のための条件整備について、ここにこういう重大なことがあるわけである。事業の優先措置等、市町村または生産調整の目標の達成がその事業の実施により確実と認められる市町村の要請に優先的に配慮する。18事業、水田にかかわるすべての事業がここに列挙されておる。私は、これは新食糧法の精神に反するのではないかと思う。これはどういうことであろうか。

〇中村農政部長 お話のように、優先措置の対象となる事業は、水田に係る土地基盤整備あるいは水稲及び転作作物に係る施設や機械の整備など、水田営農と関連した補助事業である。国では、これらの事業の実施に当たっては、生産調整に積極的に取り組んでいる市町村の要請に優先的に配慮するということになっておって、事業から申し上げると18ある。これに対して、一方、事業要望のあるすべての市町村の要望にこたえるということは不可能であるので、必要度に応じながら配分をせざるを得ない。そういう場合の選択基準として生産調整の目標を達成した市町村を優先をすることとされておるところである。

〇斉藤委員 私は、先ほども言ったけれども、最初から目標面積割合が違って競争して、それを達成しなければこういう18事業のペナルティーを受けるというのは全く不当である。私は、岩手県は絶対こういうことはすべきじゃない。国にもきちんと従来どおりの対応をするように強く求めて関連を終わる。

〇小原委員 米の生産調整についてである。
 関連でも幾つか出た。最初に、本県のいわゆる減反の達成状況、これをお聞かせいただきたい。そして、県内市町村で未達になっている市町村は幾らかということである。これを最初にお聞きする。
 そして、先ほどあったように、全国都道府県においては12の都道府県において未達があったと、こういう状況があったが、これは、いわゆるペナルティーということを言われているわけであるが、都道府県に関しては、このペナルティーというのは対国との関係でどのようなことになるのか。

〇佐々木農蚕課長 平成8年度の本県の生産調整の達成率は101・9%ということになっておる。それから、本県の未達市町村は3市町村ある。
 それから、全国で未達になった場合の国の補助事業との関連であるけれども、先ほどの優先措置通達というものが考慮されるものと思っておる。

〇小原委員 やはり都道府県について未達の場合はペナルティーがあると、こういうことであろう、今の答弁は。
 それから、県内3市町村が未達であると。これは確定なのか。確定をしたということであれば、そのペナルティーという部分は、この3市町村にはかかると、こういうことなのであろうか。

〇佐々木農蚕課長 3市町村の未達ということについては、面積的にはごくわずかであるけれども、確定しているものである。
 それから、その3市町村について優先採択ということについては、今、具体的な話にはなっておらない。

〇小原委員 ペナルティーというのは、いろいろなところで使われている部分がある、国と都道府県、市町村、自治体とのかかわりで。これはよくないと思う、基本的に。だから、これはぜひやめさせるようにした方がいい。3市町村未達の場合でも、具体的にそのことがどうこう俎上には上っていないというのは、最大限努力をしたという結果の中で、多少許容範囲の中だと、こういうことなんだろうと思うが、いずれ基本的に、このペナルティーをもって、統制をもって支配をするという物の考え方自体、特にも農業、食糧という部分については、これはいかがなものかと疑問を呈しておきたいと、こう思う。
 それから、2点目は、これは用語の解説のようなことになって大変恐縮であるが、米の生産調整と言っているわけである。かつては、今もお使いになっているかどうか、水田利用再編と言っておった。生産調整と水田利用再編というのは、これは基本的に違うのではなかろうかという感じがある。例えば、生産調整の場合は、復田、田んぼに返すという部分を予定している。要するに凶作、不作になった場合は、転作田においても田んぼに返して生産に充てるということを想定している、前提にしている、こういうことであると私は解釈する。例えば、事実を指定すれば、平成5年の不作、凶作の際があったが、平成6年、田んぼに返すということで復田面積が示された、こういうことである。そして、翌年以降またさらに減反が強化をされたという意味からすると、この生産調整という意味合いは、足りないときはつくってくれと、多いときは休んでくれと、こういう調整弁という意味合いを持っているのではないか。それから、水田利用再編という意味合いは、まさしく水田を畑地化する、こういう意味合いがあるのではないかと思う。だから、水田利用再編という物の考え方から生産調整というふうに、ある意味では統一をされてきているという部分についてはどうお考えであろうか。

〇佐々木農蚕課長 水田利用再編と生産調整の持つ意味であるけれども、私は、両方兼ね備えた意味を持つものだと思っておる。生産調整については、委員おっしゃられるとおり、そういう復田という意味合いも持っているわけであるけれども、そこには、やっぱり将来的に望ましい営農を実現していくという意味では水田利用再編という意味合いも含まれているものだと思っておるし、もう一つは、生産調整というのは、そういう復田という意味も含めて、全体的に農家が経営志向に応じて生産調整をやっていくというような、とも補償的な意味での生産調整という意味合いも含まれていると思っておって、そういう意味では、両面の意味合いを含めているものだと思っておる。

〇小原委員 区切って大変恐縮であるが、御了解いただきたい。
 そういう意味合いを含めて、いわばつくったり休んだりしろと、こういう意味合いを持っているのである。これはある意味ではたまったものではない。これはごく最近経験したことである。こういう状況が一つある。そういう意味では、日本の農政あるいは米の需要供給の計画、需給計画それ自体に確固たるものがないということを裏づけていることでもあろうかと思って、これは将来課題になろうかと思う。
 そこで、改廃面積、農地の改廃面積というのは年々本県においても拡大をしているのではなかろうか。例えば山間地における耕作放棄水田の状況あるいは平場における、特に都市部においては土地区画整理等において水田が宅地化をされていく、こういうことを含めた改廃の面積というのはどういう推移をたどっているのか、全国の傾向を含めてお知らせいただきたい。

〇平野農地計画課長 本県の農地面積及び最近の改廃面積あるいは耕作放棄地ということもあったかと思うが、お尋ねであったのでお答えする。
 本県の農地面積については平成2年に17万3、400ヘクタールあって、これは平成7年には16万9、400ヘクタールということで、この5年間で4、000ヘクタールぐらいの減となっておる。この間、5年間という期間で区切ってお話しするけれども、農地転用面積については大体4、500ヘクタールぐらい、それから、耕作放棄地については平成2年の3、940ヘクタールから大体5、000ヘクタールということで、大体1、000ヘクタールぐらい耕作放棄地面積がふえておる。
 なお、全国の農地面積については、大変恐縮であるけれども、今、手元にそれを用意しておらなかったので、後ほど資料等をお届けしたいと思う。

〇小原委員 わかった。
 いずれかなりなスピードで、いわゆる生産調整、減反とは別に水田面積が減少傾向にある、こういう状況が一方であるわけである。ここのところは十分にとらえていく必要があるのだろうと思う。
 そこで、先ほども出たけれども、減反が始まった際には、多く言われたのは減反はやむを得ないと。やむを得ないという理由の中には、食管を何としても守っていかなければいけないんだと。食糧管理制度を守っていく、農家自身が身を切って食管を堅持するんだと、こういう思いが強かったと思う。その1点に支えられて減反にやむなく応じたという状況があったと思う。しかし、そのことも現状の状況にあるということなのであるが、同時に、その見返りというか、そういう犠牲の上に何を求めたかというと、やはり米価、価格の安定あるいは向上、このことを求めてきた。これは連綿として転作が続き、そしてそれに応じ、その結果において米価はどういう推移をたどったか、先ほど来の議論のとおりである。やはりそこのところを一つ押さえていかなければいけない。これは、減反に応じていきながらも、将来これからにわたって米価というものに対して確たる確信を持てない、こういう状況が一方に存在をする。そしてまた一方には、地域農業の担い手がなかなか出てこない、あるいは高齢化している、こういう状況。そうなってくると、担い手あるいは専業農家が育たない。地域農業を支えていく中核農家、農業者、これが育っていかないというところに、あるいは東和町が出されているような自主減反という方法、その方法のいかんについてはもちろん議論のあるところ。しかし、その思いというのは、地域農業をしっかりと支えていく、そういう人たちを求めていきたい、それがなくなるのではないか。平等に、要するに横並びでどんどん衰退をしていくのではないか、こういう危機感というものがあるいはそこに問題提起として大きく含んでいる、私はそのように受けとめるわけである。そういう意味で、この減反という部分について将来にわたって継続をするにしても、進むも地獄ということではないけれども、やはりこのまま進んでも横並びで推移としては低下をしていくと、こういう状況、ここから一つを出るためにどうするかということがこれからの特に食糧の供給基地を自認する我が県であるから、この中にやはりその思いというものを、東和町が言っている、町長が言っているような、そうした現状というものをある意味では受けとめていかなければいけない。受けとめて岩手方式というような、あるいはどう言おうか、そういう、ともに立っていけるような地域農業を確立する手段というものを今県農政は考えていかなければならない。ともに苦悩する、そういう立場に立っているのではないか、私はそのように思えてならないわけである。そういう点で、この米価の推移は先ほどあった。私からは農業の担い手、これから地域農業をしっかり守っていこうという意気にあふれるような地域農業者、これをどのように育てていくか、ここのところはひとつ部長から見解を承りたい。

〇中村農政部長 若い農業後継者、担い手の育成確保ということだろうと思うが、本県においてはここ数年、毎年80名前後ぐらいの新規就農者がある。ただ、県の計画でまいると、倍ぐらいの担い手の方に就農していただきたいという要望を持っているわけであるが、いずれそういう新規の就農の方が入りやすいように制度資金だとかあるいは農地の集約、あるいはそういう農業大学校での研修だとかそういったものも行って、そして就農者の確保に努めていきたいと思っておるが、いずれ現行の生産調整を初め、いろんな制度にも課題があるわけである。したがって、そういったものをどうするかということについては、どういう面について、先ほど委員からも提言の趣旨が述べられたが、いずれどうしたらいいかということについては、県としてもどういう方向で前向きに検討できるかということを検討して、いろんな機会をとらえて国の方にも要望してまいりたいと考えておる。

〇小原委員 制度上東和町が打ち出している自主減反というのは、現行の制度上問題ありというのは、これは確かに問題があると思う。ただ、問題があるからそれで東和町が国の方針に従っておればそれでいいのだということにはならないのではないか、こういう現実の悩みがあるわけである。すべて農地を集約しても専業の中でやっていこうと思っても、減反がつきまとうわけである。減反がつきまとっていく、こういう現実がある。これは制度上の問題である。そこのところをクリアする、そこのところをひとつ元気を出してやっていけるような形にやってやる、制度上こうなれば両方立っていけるということをここでじっくりと考えていく、しっかり考えていくという局面にあるのではないだろうか。そういう意味で東和町問題は我々は受けとめるべきだと、私は少なくともそのように受けとめている、こういう状況である。であるから、今部長から言われたように制度上の課題はある。確かにあると思う、いろいろある。であるから、この制度上の課題というものをこれからどうすると、今の減反の計画期間は平成10年度までである。であるから、平成11年度からまた新たな生産調整への計画期間に入っていくわけであろう。では、その場合にどうする、どうあればいいのだと、国としても考えてくれということ。その場合に、ヒントになるような我が岩手としてこうしたらどうだということ、ここを考えていかなければならないと思う。それから、新しい農業基本法の制定というものも俎上に上っておる。こういうときに、どうしていけばいいのかということを積極的に提言をしていけるような、そういう見識というか、そういうものをぜひ持ち合わせていただきたいと思う。
 それから最後であるが、新食糧法、言われておる新食糧法、これはつくる自由、売る自由と当初言われたが、これはどうもかけ声と中身は違う。要するに、つくる自由は結局はなかったということである。この点は検討違いをしておった部分があるのではないかと思うが、部長、いかがであろうか。
 それから、生産調整の対象水田面積を定める際に、農業者の動向を参酌して定めるものとすると、こうある。これは国から県の段階もそうである。県から市町村の段階についてもそうである。こう農業者の動向を参酌して定めると、こうある。この参酌して定める、これは農業団体を指しているのだろうと思うが、農協を指しているのではないだろうか。ここのところはどう解釈をすればいいのであろうか。

〇中村農政部長 最初の第1点の制度の関係であるが、現在国においても本格的に農業基本法に取り組むということにしているし、また、県としても、まず農政部においてそれに取り組んで国に対して本県の農業の事情等、要望、提案等を出すために部内でまず検討会を行いながら、そしてその後農政審議会だとかマスコミだとか、幅広く意見をお聞きしながら国に対して要請をしていきたいと考えておるが、生産調整の中でどうということについて申し上げると、自給率からすると米は非常に余っていると。ところが、それ以外の大豆だとか麦だとか、そういったものは非常に自給率が低くて外国から輸入しているということであるので、そういったいわば転作を誘導しながら、そういったものにかわる作物についても同等の助成をして、そして余り米とそっちの方と差がないように要望していくことも一つではないのかなというようなことも考えているし、ちょっと国の方にも話をした経緯がある。
 それから、作る自由がなくなったと、これも法制度ができる前の国の新しい新食糧法をどうするかというたしか審議会の中ではつくる自由、売る自由ということがあったように記憶しておるが、いずれ実際の法の制定の段階では、そういうことがなかなか現段階ではそこまで行くことが厳しいということになったと理解をする。
 それから、もう一つのどう解釈するのかということについては農蚕課長から。

〇佐々木農蚕課長 農業者の動向を参酌してというような、確かにそういう表現になっているわけであるけれども、これは農業者が毎年度営農計画を立てやすいように国は新食糧法に基づいて自給計画を定めることになっておる。その自給計画に基づいて転作の方針も出てくるわけであるけれども、こういう方針を示しながら、営農の目安としてそういう数字的なものを示すということになっており、それはさらに県とそれから農協中央会それから経済連で生産調整の調整会議を持つということになっておるわけであるけれども、そういう場所を踏まえて農業者の動向を参酌していくということになっているものである。

〇小原委員 本当に最後である。
 農政部長にぜひ御要請を申し上げたいが、いわゆる議論があったように、東和町が掲げている自主減反という問題、これはぜひひとつ、先ほど来申し上げておるように、これは冷静に受けとめていただきたい。それぞれ悩みは東和町だけではない。そういう悩みを抱えているという状況下にあるということをぜひ前向きにとらえてもらいながら、そして冷静にこれを受けとめて、どうこれからの農政、農業、地域農業の発展というものは成し得るかという観点で、あるいはともに悩み、ともに考えていくと、こういう姿勢の中で受けとめていただきたいことを要望して終わる。

〇藤原委員長 重ねて委員各位に申し上げるが、残りあと10人ぐらい質問者がある。議事進行にぜひ御協力していただきたいと思うが、一括をして御質問していただいて、そして重ねて質問することはこれは御自由であるので、よろしくお願いを申し上げたいと思う。

〇高橋委員 私から3点の問題について質問させていただく。
 まず第1点は、ただいまも大変東和町の問題でいろいろ議論されたわけであるが、執行部の皆さん方は大変御苦労され県農政に精力的に努力されておることには大変敬意を表するわけであるが、しかし、農業者から言わせれば、何か皆さんの御努力が十分浸透されておらないのではなかろうかと思うわけである。いろいろ聞いておると、まず、今の農業は大変厳しいと、一向にいいことがないと、こういうお話が返ってくるわけである。そこで、今回の新規重点事業が多く組み込まれておるわけであるが、このことについて、まずこの事業が実施された暁には、地域にはどのような反響がもたらされるのか、そしてまた農業者にどのように受けとめられるような期待が持たれるのか、その点についてお伺いしたいと思う。
 それから、180ページの農道整備事業についてお伺いしたいと思う。
 この農道整備延長距離、これはどの程度あり、その整備実態がどうなっておるのか、その点について。
 それから、いわゆる国土保全ということが大変注目されておるわけであるが、たまたま中山間地域には大変導水路とかそういう荒れた箇所が散見されるわけであるが、こういう実態をどのように把握されておるのか、そしてまた今後どのようにこの点について前向きな姿勢を持たれておるのか、そういうことについてお伺いしたいと思う。

〇中村農政部長 私からは、最初の御質問についてお答えをさせていただく。
 いろんな県の施策があるけれども、それが実施された場合に地域あるいは農家にどのような影響を与えるかということであるが、本県の農業の特色について申し上げると、一つは、他県に見られない広大な農地あるいは変化に富んだ気象条件など、我が国有数の農業資源を持っていると。そしてそういう中にあって米、園芸、畜産を基幹とする体質が強く収益性の高い農業への再編を目指す、いわゆるトライアングル構想の実現を図ることをうたっているところである。こうした観点に立って、まず平成9年度においては、農業の戦略作目として園芸部門の振興を重点的にやろうということにしておる。具体的には、産地の形成あるいは高品質あるいは長期安定出荷体制の確立を図るためにキャベツを牽引役とした日本一の野菜産地の育成、あるいは全県的な産地づくり、米についてはやはり主産地としての地位を確保するということから、いわて純情米品質ワンランクアップ運動を展開することにしておるし、畜産については、飼料基盤の整備あるいは飼養管理技術の向上によって生産体制の強化を図ることにより、高品質安定生産を推進するということにしておる。また、こうした中で主業型農家の重点的な育成あるいは試験研究センターによる革新技術の普及を図るなどを行って、効率性の高い地域ぐるみ農業の形成を推進したいと思っておるし、そしてまたそのように生産者の皆さんによって生産されたものについては、消費者あるいは市場食品産業のニーズに合うようにしながら生産をしていただいておるわけであるから、それらを本県の安全健康志向を前面に出したマーケティング活動を強化していきたいと、そしていわて純情米、いわて純情野菜など、県産農産物のブランドの確立に努めて、後期推進計画で目指しておる岩手ならではのたくましい農業が構築されるように頑張っていきたいと思っておる。

〇渕沢農地建設課長 農道整備事業の整備実態及びどの程度の延長があるかというお尋ねだったわけであるが、新いわて農業確立計画では平成3年から12年度まで、この10カ年で450キロメートルの基幹農道を整備すると、そう計画を立てており、平成7年度までの実績は193キロの基幹農道を整備したところである。本県の農道は、かつては平場地帯を中心というか、そういうところを中心に実施した傾向があったが、今日ではむしろ中山間地域にその重点を置いて実施しておるところである。今、なお、中山間地域農道整備水準がおくれているというようなことで、今後ともさまざまな事業を組み合わせながら中山間地域の農道整備を推進してまいりたいと、そう考えておる。

〇平野農地計画課長 私の方からは、中山間地域の導水路というか小河川の整備のこれからの方針ということに御答弁させていただきたいと思う。
 山沿いの導水路については、御承知のように農業用水路、ほとんどが農業用排水路としての役割を担っておるし、そうした直接の農業生産にかかわる役割だけではなくて、地域環境の保全であるとかあるいは洪水を円滑に下流に流すといったいわゆる公益的機能を有しておるので、こうした小河川の整備あるいは用排水路の整備と管理というのは、地域農業の発展のためにも国土の保全のためにも極めて重要であると考えており、こうした施設の整備については、従来から農地防災事業であるとかあるいはかんがい排水事業であるとか、そういった事業を活用してその整備に努めてきたところであるけれども、今後とも、地域からの要請等を踏まえて計画的な整備を進めていきたいと、このように考えておる。

〇高橋委員 今までも決算等々あったわけであるが、たまたま明許繰越あるいは減額補正等々があったわけであるが、その際の額が大変大きいわけである。したがって、せっかく予算を大体地域の皆さん方に知らせるわけであるから、うちの地域は今回こういう事業があるという期待を持たれる場合もあるわけである。そういう中にあって、たまたま年度末になると減額補正あるいは明許繰越が非常に額が大きいということであるから、何といってもこういったものをできるだけ少なくして、その年度内に事業を実施できるという方向に努力していただきたいものだと、このように考える次第である。

〇谷藤委員 大分活発な御意見が出た後で大分お疲れであろうが簡単に質問させていただくが、先ほども担い手対策についての質問があったけれども、本県では大体80人ぐらい新規で入られたということであるけれども、これらの分野というか、農業でもいろいろ幅広いと思うけれども、この分野でどういう方向に進むというような形、またはどういう方向で指導されておられるのかと思うわけである。特に、農水省の方でもいろいろ指導しているようであるけれども、長野でも、この間は就農準備校とかというのがつくられたようであるし、それから岡山では、ニューファーマーズ就農夜間塾というのがある。それから北海道帯広では、十勝ふるさと農学校などというものを開校されて、いろいろ指導されて勉強会なんかもやっているのだろうと思う。そういうことで、どういう方向に導こうとしているのか、その辺をちょっとお聞かせをいただきたいと思う。
 それから、農業担い手基金というのがあるけれども、これ金利がかなり低迷していて大変な状態かと思ったりもするが、これら活用した事業例というか、それらというのはあるものであろうか。その辺ちょっとお聞かせをいただきたいと思う。
 それから、今盛んとお話しされていた中で、農地をさらに確保していくというのはこれは難しいような会話になっているような気がしたが、ただ、農地の果たしている役割というものは非常に大きなものがあるのでないかと思っておる。特に環境保全型というとらえ方の農業に対する考え方、特にも、水田の持っている一時的に水をためることによる洪水防止機能とか、いろんな田んぼとか畑とかそれぞれ果たしている役割というのはたくさんあるだろうと思うけれども、これらをどう評価していくかということがあるのではないかと私思っておる。というのは、民間のシンクタンクのアンケート調査があるけれども、これを見ると、農地は生産のほかに、農地が果たしている環境保全というものに対する金額にして評価した場合に、どういう形になるのかということを一般の方々から2、000人のアンケートをとった数字があるけれども、これを見ると、1世帯当たり10万1、000円負担してもいいと、感覚としては、そういう意識を持っておる。全国これを足していくと4兆1、000億、それぐらい、農業生産とは別に、それぐらいの価値があるという、環境問題も含めて、果たしているというとらえ方をしている。これは平成6年の米の算出額が3兆9、000億であるから、これをはるかに超えるものが評価されてきておるわけである。そういうことで、ここではまさに先ほどから話も出ておったけれども、岩手方式というか、まさに環境という問題、環境保全の果たしている、農地の果たしている役割、これを県として単独で何らか支援していくという方向をとる気はないであろうか。
 それからもう1点、盛岡競馬場跡地である。
 これまさに競馬組合の方、非常に莫大な資金を投入して新競馬場をつくった関係もあって、早くこれを処分しないと大変だという話であるけれども、農政部として今の跡地の検討状況、それからどういう段階で売却ができるのかという見通しをどの辺に持っておられるのかお聞かせいただければと思う。

〇藤原委員長 執行部に申し上げるけれども、質問者の内容について、結論を具体的に簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思う。

〇藤巻農村振興課長 農業者の研修関係についてであるけれども、ほかの県で確かに就農準備校とかそういうのは設置しているけれども、岩手県では主要な研修のところとしては県立農業大学校というものを設置してこの前整備したばかりであるが、そこの方にできるだけ誘導していきたいということである。
 なお、県の農業大学校の方に本科2年課程があり、あと研修課程というものを充実したので、そちらの方で新規就農者なんかも受け入れて研修していきたいと思っておる。さらに今後とも多様な就農形態が考えられるので、県立農業大学校の方にそれらも受け入れるかどうかというものをさらに調査検討も進めていきたいと思う。
 もう1点、県の農業担い手育成基金の主な事業、活動内容ということであるけれども、まず、小中学生にも将来農業にうんと関心を持ってもらいたいということで、そこを対象にした農業体験学習活動をやっておるし、あとは農業高校の学生さんたちには農業のクラブ活動に研究活動ということで助成をしたり、あとはIターン、Uターン関係を想定して就農相談員を配置して就農相談をやっておるということである。そのほかに、現在既に農業に従事している青年方を対象にして、海外研修などをできるように予算措置をしているということである。ただ、基金は今20億を持っておるけれども、このとおり金利が低いということで、年間約6、000万円のところで運転しているということでなかなか厳しいものがあるけれども、そこは知恵を出し合って広い面で事業を展開しているという状況である。

〇平野農地計画課長 農地のいわゆる多面的機能に着目した何らかの措置が講じられないかという御質問だったと思うが、基本的にはいろんな考え方があるかと思うけれども、優良農地をまず確保するということが基本的な考え方であると考えており、具体的には最近耕作放棄地などがふえておるけれども、そうした耕作放棄地の解消であるとか面積の拡大に歯どめをかけるために、例えば規模縮小農家あるいは遊休農地、そういったものを規模縮小農家の農地であるとか遊休農地を地域の担い手農家に渡すというような流動化政策であるとか、その前提となるような圃場整備であるとか、農道、いわゆるアクセス条件の改善なんかを図るわけであるが、そういった事業を今推進しておるし、それからいわゆる農地法、農振法で法の網をかぶせて今優良農地の保全を図っているわけである。これについては、宅地などの投資的需要に弾力的にこたえるということも重要であるけれども、やはり農振制度あるいは農地法の精神にのっとり、農業生産力の高い農地、農業に対する公共投資の対象となった農地、あるいは集団的に存在している農地の転用は原則として認めないということに立っており、優良農地の確保に努めており、こういうことが先ほど申し上げたように、洪水調整機能を初めとした環境保全機能の維持にも役立っているのではないかと、このように認識しており、今後とも優良農地の確保については万全を期してまいりたいと、このように考えておる。

〇赤津農政企画課長 私からは旧盛岡競馬場跡地の関係についてお答え申し上げたいと思うが、跡地の利用については、現在、窓口は企画調整部で担当しておる。全庁的な観点からの検討が進められていると理解しておるところであるが、お話にあったように、どういう段階で処分できるのかというお話であるが、それについては、あの跡地の利用について具体的な利用計画が定まった時点からだろうと考えておる。

〇千田地域農政推進監 農地の保全管理について県として保全、負担するということは考えないかという御質問だったと思うが、委員先ほど御指摘いただいたように、農地の評価についてはさまざまな民間機関での試算があるわけである。いろいろと評価が試みられてきているわけであるけれども、この評価、そういった機能の存在、これをどのような形で国民の方々あるいは県民の方々に理解し得るのか、そういった理解の求め方、そういったこともいろいろと今後議論があるだろうということも言われておる。したがって、そういった議論を経ていろんな全国的な形で検討されていくべきものかと思っておる。

〇谷藤委員 先ほど優良農地を確保していくと、そしてまた農振法というか、そういうことを大切にしていきたいというような御答弁もいただいたわけである。そこの中でまさに今大型店、ショッピングセンター問題さまざま出ておるけれども、やはり大切な農地を守っていくのだというような気持ちをきっちり持って対応していただきたいと思うところもある。それは、時としては必要に応じて開発をしていくということもあるであろうけれども、本当に大切な農地の果たしている役割というものをきっちり持ちながら対応していただくようにお願いを申し上げて質問を終わる。

〇伊藤(勢)委員 まず、165ページの農産物海外マーケット展開事業費8、407万9、000円についてであるが、これがまずどういう部分なのか詳しくお伺いしたいことと、これに絡めて当然アメリカに行って、ニューヨークであろうか、マーケット展開をして岩手県産品を販売をしてくると、こういうことだろうとは思うが、せっかくお行きになるのであれば、この際独自に、岩手県独自に、アメリカの農業事情を調査されるべきでないのかと思うのである。今、日本は、ホームレスでさえ栄養をとり過ぎて糖尿病になっていると言われておるが、これは全くの虚像であり、本当は日本の国は食糧的には危機的なというか、米とはまた違った観点で輸入物が多いということにかかわっては、大変おっかない部分にいるのではないのかと思う。米の備蓄についてはあるであろうが、仮に海外に日本が90%以上頼っておる例えばトウモロコシあるいは小麦、大豆、そういったものがあるとき突然プツリととまると、全部志向が米に向くわけであるから、米の備蓄といってもそんなにそんなに長くあるわけではないであろうし、1年サイクルで考えるとやはり不安があるのではないのか。しかもアメリカのいろんな部分、農業にかかわっての本を見ると、アメリカの表土が大分薄くなっている。つまり、アメリカに初めて開拓者がやってきたときは、最も肥沃なアイオワ州の表土の厚さは60センチあったそうであるが、現在はこれが15センチないし20センチしかないと。つまり、建国200年が終わったばかりであり、相当の表土が薄くなっている、やせてきたと、こういう部分があるようである。今度はやせた部分には当然根の長いものは育たないので、そういうところには牧草をまいて牛に食わせると。すると、どんどんまたやせていって砂漠になると。したがって、アメリカもそうそういつまでも長い間輸出国という名文を立てて威張ってはいられないだろうと、こう本に書いてあるので、せっかくアメリカに行かれるのであれば、岩手県が独自にそういう調査をされてその上に立って将来の、例えば種もみとかあるいはいろんな種子の備蓄という部分を考えていくべきではないのか、このように思い、これは重ねて、絡めてお伺いをしたいと思う。
 それから、167ページの北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助であるが、これどうして緊急なのかお伺いをいたしたいと思う。
 私の今回の一般質問の中で、北上山系のかつて宮古市にわたる亀ケ森とかあるいは東金沢山の農地開発等についての総括をお伺いしたところ、総じて成功したと、こういう答弁をいただいたところであるが、そういう観点から見ると、緊急に対策的に補助をしなければならない。こういう予算はどうして緊急なのかと思うと同時に、北上山系の農地開発事業は失敗したのかと、こういう心配があるわけであり、この部分をまずお伺いをしたいと思う。
 この167ページの北上山系の部分にかかわってであるが、今回県は、下閉伊北部というところでこのような農地開発事業を展開されようということである。実はこの北上山系の亀ケ森とか東金沢山の中で、確かに成功して順調に業績を上げている農家もあるわけであるが、反面、大きな借金に相変わらず苦しんでいる人たちもいるようである。その分大きな借金に苦しんでいる人たちのいろんな部分を分析してみると、事業を始めるに当たって、例えば何ヘクタールの農地をあるいは牧舎をどうする、こうする、サイロをどうする、あるいは農耕機械をどうする、こういった部分が1人前、一丁上がりで1億円とか1億5、000万の、こういう事業でやるようであるが、成功した人というのは、農用地公団であろうか、サイロのメーカーはこれにしてもらいたい、そしてトラクターはこれにしてもらいたい、そういう部分を信じてそのまま買った人は後からのメンテナンス、維持管理の部分で大変大きな借金を背負っていると、こういうことである。しかも、この仕事に取っつく前に、入る前にいろいろ研究をして、例えばサイロについてはどこのメーカーが一番いいようだから私はこれでいく、あるいはトラクターについてはこれがいいようだからこれでいくと、そういう部分を勉強してぜひともこれでなければやらないと、こういうことでやった人は、そういうメンテナンスの部分で大変上手に回転をして助かっている。しかも、この1基3、000万もするようなサイロの心臓部が壊れると修理に200万も300万もかかる、こういう状況にあるようであるので、こういう部分が心配であるので、こういうことがないように、そういう部分こそを指導して、次の下閉伊北地区の220億を投入してやろうとする事業に、そういう部分がないようにと危惧をするものであるので、そういうことを参考にして指導して、本当の意味の成果が上がるようにしていただきたいと思うわけであるが、これについてもお伺いをする。
 それから最後であるけれども、遺伝子組みかえ食品ということで伊沢委員を初めいろんな方からも質問があったわけであるが、これについてお伺いをする。
 例えば、大豆とソラマメを一緒にして遺伝子を組みかえて、つまり大豆の実の質をもう少しかたく、もう少し大きくやりたい、こういうことで遺伝子組みかえをした大豆が出てくると、表示がないとその大豆を食べた人は、例えばアトピーとかあるいはアレルギーとかそういうものを持っていても、自分は大豆を食べたのにソラマメを食べたことになっているわけであるから、ソラマメを食べたつもりがないのに、大豆を食っているのにアトピーにかかるとか、そういうことが心配だと、こういうことのようである。特に大豆にかかわっては、日本人の食生活に深いかかわりを持つ納豆、豆腐、油揚げ、あるいはきな粉いろいろあるわけなので、やはりこういった部分はぜひとも表示をしていかないと県民の生活に不安が出てくるのではないかと、こういうことのようであるので、ひとつあわせてお伺いをしたいと思う。

〇中村農政部長 私の方からはアンテナショップの開催に当たって、現地の農業事情調査をすべきではないかというお話について答弁をさせていただく。
 これまでも特別セールを年4回やっておるが、そういった際には、現地での消費者に対する県産品の宣伝普及だけでなく、いろいろなところも調査させていただいておるわけであるが、一つには、ロサンゼルスでアメリカの米作産業協会、これはアメリカの国内外に対して米の販売促進を行ったり、政府に対して米作に対する規制の働きかけを行ったりしているところだとか、あるいはロングビーチの港湾局では物流の調査、あるいはリンゴの大規模な調査だとかあるいは野菜の農園等に参って生産のみならず、販売、流通についても研修しておるところである。しかしながら、委員の御提言があったので、特にも食糧事情は世界的には大変逼迫しているということもあるので、そういう観点にも立ちながら、9年度においては、ただいま予算の方ではニューヨークにおいて10日間ほどの短期のアンテナショップも予定しているところであるので、そういった視点からも幅広く現地でもって調査したり研究をしてまいりたいと考えておる。

〇千田地域農政推進監 北上山系入植農家経営安定緊急対策事業の緊急とはということであるが、入植農家の方々については、制度資金の借りかえとかそういうことをいろいろと手を尽くしてまいったわけであるけれども、なかなか経営が思うようにいかないというような実態もあった。そういう農家の方もおられたわけである。こうした入植農家の方々の経営、一刻も早く確立していきたいということであり、平成7年度に創設した制度である。この内容については、借り入れした既存制度資金の利子、これをすべて無利子となるように県、市町村それから農業団体と協調して補助しているものである。今後とも、こうした対策の実施とあわせて専門家による山系営農アドバイザー、経営のアドバイザーを委嘱するなど、指導の強化を図りながら経営の安定に努めていきたいと考えておる。

〇平野農地計画課長 農用地総合整備事業下閉伊北地区についてお尋ねがあったのでお答えする。
 同地区については、御承知のように、平成9年度から国が事業主体となってその実施の可能性についての地区調査を行うということになっておる。事業の内容については、普代村から岩泉にかかる幹線農道の整備を主体としており、あわせて農道周辺の水田であるとか畑の圃場整備あるいは土層改良などの基盤整備を行うということにしておる。今、委員の御指摘の中に当初の事業費と完了時の事業費が違って受益者農家の負担が大変なものになっているという御指摘があったけれども、今回の事業でも、圃場整備とか土層改良については農家負担がかかる。当初の積算に、見積もりに誤りがないように、なおかつ事業実施については計画に沿った事業を実施するよう、事業実施主体、この場合は恐らく農用地整備公団になるのではないかと思うけれども、そういう公団に要請するとともに、しっかり監視をしていきたいと、このように思っておる。
 なお、今委員のお話にあったサイロとか畜舎とかいわゆる畜産の施設の導入の整備の事業を念頭にの御質問であったと思うが、この下閉伊北については、先ほど御答弁申し上げたように、農道と圃場整備それから土層改良のいわゆる基盤整備を中心とした整備であるので、事業内容が若干違うということをちょっと申し上げておきたいと思う。

〇赤津農政企画課長 遺伝子組みかえによる食品の表示の関係についてお答えいたしたいと思う。
 この問題については、言ってみれば全国的な問題でもあろうかと考えておる。現在、農林水産省では、平成9年度の予算で表示のための研究を進めると伺っておるし、厚生省においても欧州の動きなどについて情報収集をするということを聞いておるところである。私どもとしては、環境保健部等とも連携をとりながら、こういったことが適切に進められるよう、要望その他いろいろ対応してまいりたいと考えておるところである。

〇伊藤(勢)委員 いろいろ答弁ありがたかった。アメリカの穀倉地帯と言われるミシシッピー川流域の穀倉地帯という部分をぜひとも調査研究をするという部分にお願いをしておきたいと思う。
 それから、食糧備蓄という部分について御答弁がなかったが、今国内のいろんな地域で廃校になっておるとかあるいは教室が余ってきた小学校等に、防災対策の観点から食糧を備蓄をしていこうと、こういう動きがあるようである。そういった部分にも備蓄をしても構わないと思うが、やはり自分のところの食糧は自前で確保すると、こういう観点をお持ちになって、やはりぜひ自主独立の気持ちを持つということはまず食の確保にあろうと思うので、そういう点をぜひ御検討いただきながら進めていただきたいと要望して終わる。

〇水上委員 昨年のO-157の影響についてお伺いする。
 いろいろ一般質問でも申し上げさせていただいたが、大分カイワレダイコンを初め野菜農家そして畜産に打撃があったと思うが、調査した結果、農家にどのような影響があったか。そしてその影響について農政部としてどのような方策をとり、その損というか、欠損についてどのような今度の予算に上げているかということが第1点。
 それからもう一つは、新競馬場についてお伺いしたいと思うが、競馬場の駐車場の敷地はどれぐらいか、そして話を聞けば、ことしから駐車代を取るというような話も聞いているが、そのことについてお伺いする。

〇石川畑作振興課長 O-157の野菜産地への影響とそれから県の対応はどうしたかというお話だったろうと思うが、委員お話しのように、昨年春先からの不順天候、これが8月以降に出荷が集中したと。さらにO-157の発生によって、非常に野菜の価格が低落したということである。そういうことに対して、O-157に対しては関係機関と一緒になりながら、2次汚染、本来野菜、体内に菌を取り込むものではないが、表面に付着するといったような2次的な汚染ということを防ぐために、生産出荷段階の衛生管理を徹底したと。あるいはそれと一緒に8月から10月にかけて13回、延べ61検体について検査を実施しながら、その安全性を確認しながら、それを公表し市場でもPRしていったということをやっておる。さらに、価格安定対策ということで価格補給をしておるが、4億6、000万にも上る価格補給をしておるし、さらに融資対策等についても実施しておる。平成9年についても発生するというふうなこと、これをぜひそういうことのないようにということで願っておるわけであるが、なお一層いわて純情野菜の安全性という確保と、それから消費者に対する信頼確保といったような観点でもって、引き続き農業団体と一緒になりながら衛生管理の徹底を図って、普及啓蒙を図ってまいりたいと思っておる。
 なお、このことについては全国的な対応が必要であることから、国に対しても野菜の安全性の全国的な普及宣伝あるいは生食野菜、特にもレタスについては夏場に需給が崩れることから、特にもそういった調整対策といったものを国に対しても要請してまいりたいと思っておる。

〇橋本畜政課長 新盛岡競馬場の駐車場についての御質問であるが、駐車場については3、000台収容の規模の駐車場ということである。それについては、ファンサービスの改善の観点、あるいは経営改善を図っていくという観点から、来年度から駐車代を徴収するということで考えていると聞いておる。

〇水上委員 当局の答弁に少し積極性が欠けると思っておる。ことしもO-157が出るか出ないかでなく、そのことでいろいろの損害をこうむった農家にどのような方法、手だてをしてくれるかという質問をしているから、答弁は要らないから、何とかいろいろ考えていただきたいと思う。
 それからもう一つ、競馬場の方はやはりファンサービスというのは、取るより取らない方がサービスだと思うし、それから4分の1入るから、200円という--今、普及率が庶民というかみんなでたくさん、女の方々もたくさん行くようになったから、200円と言っても少し大きいと思うので、200円ずつ4回買えば大体200円が取れると思うので、ことしはもう予算に組み入れたと思うので、来年から何とか指導するようにお願い申し上げ終わる。

〇橋本畜政課長 大変恐縮である。ただいまの答弁、若干ちょっと間違っており、来年度から経営改善の一環として駐車場の面積を拡大していくと、これがファンサービスの観点からということである。それに伴って料金をいただくということになっておる。大変失礼いたした。

〇大久保委員 私の方から簡単に2点質問させていただく。
 農業後継者の問題に関して、私、一般質問で何回か質問させていただき、部長の方から力強い答弁をいただいた経過があるけれども、先般、私の地元で農村農業青年クラブ40周年記念というのに私呼ばれて行き、随分多くいるのかと思ったらそれは4Hクラブというか、その関係だったらしいけれども、地元でたった14人しかクラブ員がいないということであった。これは後継者である。それで、その14人といろいろ話をする機会があり話を聞いていたら、いわゆる農業大学校、前は農業短大であろうか、そこをほとんどの方が卒業していると。それで、地元において専門に農業に従事しているのがたった1人しかいないと。あとの残りの13人の方は全部それぞれ全く異業種についているということで、何でそうなんだという具体的に話をしたらいろいろ言っておったけれども、これからの農業に不安があるのでより安定している工場だとかいろんなところに勤めているという話を聞いた経緯がある。
 そこで私質問申し上げるのは、この県立農業大学校における最近の応募者と入学状況、そして卒業する方々の卒業生の進路、これがどのぐらい就農しているのか。また、聞くところによると、ここ数年来大学校の方が定員割れをしているということも聞いておるけれども、その辺の状況を御説明をお願いする。
 2点目であるけれども、この4月、農業技術センター、県北軽米町に4月オープンするということで地元でも大変期待をしているということで感謝申し上げる次第であるが、現在の農業試験場の県北分場の跡地、これかなり広大だと私見ておるけれども、この跡地をどのように利用されるのか、公共利用を考えておられるようであるが、地元の軽米町も利用構想を練っているということで聞いておるが、この跡地の利用に関して県の方はどのように考えているのか、あわせて2点お伺いする。

〇藤巻農村振興課長 県立農業大学校の最近の応募者あるいは入学者の状況、進路状況であるが、県立農業大学校は平成8年度に農業大学校として、それと同時に定員110名としておる。8年度の応募者状況は104人に対して入学者80人、約80%。9年度は応募者91人に対して入学予定者71名、これも約80%という入学の状況ということになっておる。こうして、ここ数年応募者あるいは入学状況というのは減少傾向であるけれども、これは全体の少子化傾向で高校生が少なくなっていること、あるいは大学とか専門学校への入学志願というのが、どっちかというと多くなっているというようなことでそうなっているであろうと思う。こうして定員割れが続いておるわけであるけれども、その対応策であるが、私たちは今高校生なんかを対象にして体験入学をして早くから農業大学校のことを理解してもらうということを広くやっておるということと、あとは、入ってからの研修科目に海外研修を導入するということで、できるだけ魅力あるカリキュラムにしていくということで対応しようとしておる。あと、先ほどもあったけれども、小中学生、年齢の低い段階から農業にできるだけ関心を持ってもらうということで、農業担い手基金なんかと一緒になって農業への魅力というものをわかってもらう努力をするということで、長期的対応をしていきたいと思っておる。
 あとは、卒業後の就職状況であるけれども、これ卒業してすぐ就農するというのは、先ほど言った80人とかその辺の入学者のうち、大体11%ぐらいが即就農と。ちなみに、平成8年度は即就農10人であった。そのほかには、農業に関連する企業、例えば農機具会社なんかであるが、22%、あと、農協なんかの農業団体に約20%、あと、公務員というか、大体市町村の公務員であるが、それが約10%ということで、あわせると、農業そのものは少ないけれども、地域に帰って兼業をやりながら農業をするというケースが非常に多くなっておるということである。一たん農外に就職するけれども、親が農業をリタイアするのに合わせて本当に専業をやっていくというケースが県内で多くなっているという状況である。

〇赤津農政企画課長 農業試験場の県北分場の跡地利用の関係についてお答えする。
 当該跡地については、県で利用する計画がないということから、平成6年度に地元軽米町に跡地の利用について照会をしておる。その結果、公共用地として利用したいという旨の回答をいただいておる経過がある。現在、軽米町においては、民間にも委託しながら具体的な利用計画を検討中と伺っておるところで、県としては、この跡地利用は、まずもって地元市町村の意向を最大限に尊重してまいりたいと考えているところである。

〇千葉(伝)委員 私からは、本県農業の3本柱として振興しておる、米を除く畜産及び園芸振興の二つについてお伺いする。
 議事の進行に協力し、前段を省略して、第1点は、畜産に関してであるが、本県酪農の安定的推進を図るためには、今、抜本的対策が必要と考えるということでお聞きしたいと思う。県では平成17年度を目標とする第3次酪肉近代化計画を推進している折、酪農振興を図る観点で、以下についてお伺いする。
 第1点は、本県酪農の現状、特に経営収支に直接関係する乳価、その乳価を左右する飲用向け、加工向けの比率はどのような現状にあるのか。北海道、東北等の比較をあわせてお示し願いたいと思う。
 第2点は、本県で生産された牛乳の大部分が大消費地に販売される一方、県内には北海道あるいは青森等から流入というか、入ってきていると認識しておるが、この流通販売対策にどのように取り組んでいるのかお示し願いたいと思う。
 第3点は、経営規模拡大に伴う人的対応、すなわち労働力についてである。酪農経営にとり、毎日欠くことができない朝夕の搾乳作業は休日もほとんどとれない状況にあり、規模拡大とともに一層の労働過重となっていると認識する。生産性の高い専業農家を育成していくためにも、省力管理や労働力の縮減化は欠くことができない対策と思うわけであるが、飼養管理技術面で、これらに対しどのような指導、施策を講じているのかお聞きしたいと思う。
 第4点は、畜産環境保全についてであるが、家畜のふん尿処理については、農家がみずから堆肥化等を含め鋭意取り組んでおるが、なかなか大変だという話を聞いておる。そういったことから、農業農村の環境整備といった立場で、この整備に当たっての助成を含めて、対策にどのように取り組んでいるのかお示し願いたいと思う。
 続いて、園芸作物の振興策についてお伺いする。
 本県農業の3本柱と位置づけられているわけであるが、先ほど農政部の審議の冒頭、部長からは、その方針の中で園芸を推進するということを述べておる。それに関して、これから飛躍的な展開を目指した園芸振興が必要なわけであるが、その中では野菜、果樹、花卉、園芸特産物など、それぞれあるわけである。私は、その中で、特に畑作振興の面からお伺いしたいと思う。
 URの農業合意後の新たな国際環境とか新食糧法、先ほどもさまざま質疑があったわけであるが、そういった時代に対応して、より収益性の高い農業の確立が求められているということで、これらを実現するためには、畑作、特に野菜づくりという点において、岩手の特性を生かした作物あるいは産地づくりということが必要であり、また、その生産から販売まで一体となった取り組みが必要と考える。
 そこでお伺いしたいのは、予算説明書の166ページに関連するけれども、野菜産地総合整備対策事業費である。この中で、日本一の野菜産地の育成に関した事業を展開するということであるが、その内容についてお示し願いたいと思う。

〇中村農政部長 まず、私の方からは、牛乳の流通販売対策と園芸の振興策について答弁させていただく。
 酪農家の所得の向上を図るという面からすると、飲用向けの比率を高めていくことが重要であると考えておる。したがって、本県の指定生乳生産者団体である経済連においては、消費者を対象に県産牛乳のブランドマークを活用したPRあるいは消費拡大のキャンペーンの実施、また、首都圏の乳業者に対して県内の生産現場の見学会の実施など、本県の安全で高品質な県産牛乳のイメージの定着化を図るために、消費拡大あるいは販売に努めているところである。県としても、こうした経済連の取り組みとあわせて、牛乳の普及協会を通じてフォーラムや、あるいはイベントを開催して消費拡大に取り組んでいるところである。いずれ競争が厳しい牛乳の世界の中において、今後ともこれらの取り組みを推進しながら、飲用向け生乳販売量の拡大とあわせて県産牛乳のシェアの拡大に努めてまいりたいと考えておる。
 それから、野菜の関係であるが、お話のとおり、園芸は本県の農業再編の戦略作目として、生産者の所得の向上を図る上で極めて重要であると考えておる。特にも、園芸部門の総生産額の3分の2を野菜が占めておる現状から、それの生産拡大が喫緊の課題であると思っておる。本県の野菜では、キュウリだとかホウレンソウについては夏秋期を中心に首都圏の市場から高い評価を受けておって、一層の生産拡大と長期継続出荷が要請されている状況にある。こうした中でも、さらにキャベツ、ピーマン、ネギについては着実に伸びている品目もあるので、こうした品目を中心に、転作田や、あるいは低利用の農用地を活用しながら作付の拡大を図ってまいりたいと思っている。特にも野菜については、労働力事情がなかなか厳しいということもあるので、まずは省力化対策が重要だということから、共同の育苗施設の広域的な利用の促進を図りながら土地利用型野菜の機械化あるいは果菜類の管理作業の省力化も進めてまいりたいと思っておる。
 また、お話のあった、いわて純情野菜日本一産地育成対策事業についてであるが、これは、対象はキャベツであるが、県と農業団体とで価格低落時でも安定的に継続出荷できるよう、運賃を助成する基金を造成して生産農家の安定経営を図る。それから、キャベツを牽引役として、他の野菜も含めた野菜全体の振興を図るということで、事業主体が経済連であるが、産地拡大のための研修会あるいは現地検討会なども行おうとするものである。
 いずれ、この事業とあわせて、いわて純情園芸産地パワーアップ推進事業の拡充を図って、県庁段階の組織強化をし、そして、ビジョンを作成しながら事業の適正配置をして実効の上がる産地づくりに努めてまいることとしておるし、特にも、来年度にはこうした新規の作目あるいは既存の事業を活用しながら、平成8年度に大型野菜経営者協議会というのを設立して、野菜専業で頑張っている人たちの活動を助長するということにしておるが、こういった人たちにも働きかけながら、全国に誇る野菜の主産地としての地位を高めるように、生産者団体、関係機関が一丸となって取り組んでまいりたいと考えておる。

〇橋本畜政課長 本県の乳価、飲用比率の状況についてお答えする。
 岩手県のプール乳価については年々低下の傾向にある。平成8年度の4月から1月期の平均では84円75銭、前年の同期比で3円15銭の減となっておる。また、飲用向け比率については66・7%であって、前年同期に比べて6・5ポイントの低下となっておる。
 それから、本県のプール乳価と各県の比較についてであるが、プール乳価については基本的に公表されてない。それで、各県の畜産課に直近のプール乳価を聞き取って、その結果によると、北海道に比べると岩手県のプール乳価は大幅に上回っておる。ただ、残念ながら、東北の中では5番目ということになっておる。
 それから、本県の飲用向け比率の各県比較であるが、これについては、北海道の23・6%に比べて本県では66・7%と43・1ポイント上回っておるが、東北の中では最下位となっておる。
 それから、抜本的なふん尿処理対策についてお答えする。
 家畜のふん尿処理については、県としては、資源の有効活用を図るという観点、それから、消費者の安全、健康等のニーズにこたえるいわて純情米、それからいわて純情野菜の産地づくりの推進を図る、こういった観点からも、適正な処理による堆肥化、農地土壤への還元、こういったものが基本となると考えておる。本県では、これまで県営畜産経営環境整備事業等の導入によって、畜産農家、子牛農家の共同利用による堆肥化施設の整備、それから、農協営等の広域堆肥センターの整備などを行ってきておって、今後ともこうした処理施設の整備を推進していくこととしておる。ただ、より効果的な堆肥化施設の整備を進めていく上では、やはり低コストなふん尿処理技術の開発あるいは堆肥の販売方策などを念頭に置いた整備、こういったものが求められているところである。こうした中で、国においては、来年度から低コスト化を視野に入れたふん尿の高度処理、利用技術の確立に取り組むこととしておる。また、県としても、良質堆肥の生産技術や有効活用技術の開発、また、望ましい堆肥流通システムのあり方について研究開発に取り組むこととしておる。こうした試験研究成果を活用しつつ、効果的なふん尿処理対策を講じてまいりたいと考えておる。

〇菊地技術参事兼畜産課長 次に、酪農経営の規模拡大に伴う省力管理、労働時間の短縮対策についてであるが、現在、酪農経営における労働時間は、50頭規模以上で1人当たり3、314時間となっておって、新いわて農業確立計画の目標労働時間である2、000時間を大幅に上回っておる。このことから、県としては、現在、フリーストールミルキングパーラー方式やTMR、混合飼料であるが、これらを給与する管理方式あるいは粗飼料生産の共同作業やコントラクター--飼料生産請負組織--等の育成、さらには酪農ヘルパー制度の利用定着等、省力管理の導入に取り組んでいるところである。
 今後、この労働時間をさらに短縮するためには、搾乳作業が総労働時間の45%を占めておるので、これをいかに短縮するかということが重要なわけであるが、最近開発された搾乳ロボットを使って、これにコンピューターによる個体管理あるいは飼料給与、ふん尿処理の自動化、これらをシステム化して、実証研究に取り組む搾乳ロボット実用化事業を当初予算で計上しておるところである。このシステムを有効に利用すると労働時間を全体で65%程度削減できるものと考えておるし、通常は1日2回の搾乳であるが、これを導入すると3回搾乳ということが可能になる。したがって、その3回目の搾乳、搾乳回数を多くすることによって約15%の乳量増加が期待されておる。今後、この新しい飼養管理システムの早期確立に努めて、規模拡大志向農家の労働時間、生産性の大幅な改善を図られるよう積極的に取り組んでまいりたいと思っておる。

〇千葉(伝)委員 いろいろ御答弁ありがたかった。
 いずれ畜産の中の酪農という部分では、それぞれいろいろな事業を進めながら酪農家のために一生懸命頑張っているということであるけれども、産地間競争という観点から考えた場合、販売戦略、流通販売面のことであるが、県内外でさまざまイベントをやっている。牛乳普及協会、県、指定生産者団体ともどもやっているということで、農業関係だけのイベントという形で頑張っているのであるが、もう一つ、その部を超えた、いろいろなイベントのときに岩手の牛乳といったことの販売のやり方、そういったこともどんどんやっていくべきだと考えているわけである。また、もう一つは、県内の一元化のプール乳価ということで進めているのであるが、岩手のみならず、東北全体とか、そういったところでの新しい生産の面を考えていくこともこれからは必要になってくるのではないかと思う。そういったことで、その面でコメントがあったらお願いしたいと思う。
 それから、労働力等については、50頭規模でようやく3、500時間という話である。私があちこち回って歩いていると、3、500時間どころではなくて、農家によっては5、000時間までやっているような農家もある。そういったことから、そういった過重労働と言っている面を、さまざまヘルパー制度とかあって、休日あるいは休暇がとれるということも一部ではあるけれども、今後とも余裕の持てる管理を進めるという上で、ぜひそういった管理技術の指導をよろしくお願いしたいと思う。
 それから、環境保全についてお聞きしたいわけであるが、時間の関係上、要望にとどめるが、さまざまな制度を利用しながら環境整備に御努力いただいているわけであるが、助成の関係がなかったのであるけれども、東北の中では助成の制度上は少し高めにはなっているけれども、北海道は農家がもっと有利な制度を使っているということもあるので、ぜひそのふん尿処理の方策については、県の方でもきちんとした、国とあわせ、そして、岩手の畜産をといったことでの力強い施策の展開をお願いしたいということである。
 もう一つ、農業というか、園芸作物、簡単に、日本一を目指してキャベツ、いわゆる南部甘藍を進めるということで、大変結構な話で、私も応援したいわけであるが、ちょっと心配しているのは、昔の部分もあるので、つくったはいいが、販売、売るところで問題がある。これは園芸に限らず、先ほどの米の話もそうであるが、そういった観点で、今後の販売の方の戦略を、日本一を目指したところでどう考えているか、簡単にで結構である。
 以上、聞くのは2点である。

〇橋本畜政課長 ただいまの県産牛乳の消費拡大対策についてであるが、委員御指摘のとおり、牛乳のみでのイベントを経済連であるとか、あるいは牛乳普及協会とかでやっておる。また、昨年で申し上げれば、食パラダイス岩手で牛乳もあわせてやったところであるし、また、9年度においては、首都圏で新たに県で開催する銀河系いわてブランドフェア、これにも出展する予定である。こういった場を活用して県産牛乳の普及拡大には今後とも努力してまいりたいと考えておる。

〇石川畑作振興課長 野菜の販売対策をもっと強化してほしいということであるが、まさに今回のいわて純情野菜日本一産地育成対策事業、キャベツに対するこういった対策であるが、安定的に市場に出荷するということはまさに力であるので、そういったところの支援をしてまいりたい。そして、本県のキャベツが価格形成力を高めるようにしてまいりたいということであるし、さらに、ほかの野菜についても同じようなことが言えて、安定的に定時定量出荷して本県の野菜を市場にとにかくPRするんだということをなお一層強めてまいりたいと思っておるし、そういった消費宣伝にも努めてまいりたいと思っておる。

〇藤原(泰)委員 時間も大分経過しておるので、簡単に申し上げる。
 私からは1点だけであるが、本県における果樹振興対策の基本的な考え方についてお伺いする。
 本県の果樹はおおむね10の作目になっておるわけで、リンゴ、ブドウでその主流を占めておるわけである。およそ78%ぐらいになっておるわけであるが、その中でリンゴについてであるが、昭和40年の面積は大体6、280ヘクタールで生産量は6万3、300トン、それから、平成6年では3、790ヘクタール、その中でも生産量は6万3、600トン。面積では、昭和40年対比では平成6年は60%になっておるけれども、生産量は非常に高くなっておるわけである。これはもちろん生産者の御努力の成果ではあるが、やはり何といっても県御当局のそれなりの適切な御指導、御援助があったればこそということで、その成果に対して深く敬意を表するものである。
 現在、国ではUR対策の最重点事業として矮化栽培への改植を全国的に推進しておるし、また、本県でも昨年から盛んに取り組んでおられるわけである。こうした状況の中で、本県としては、長期的な需給バランスや品種構成、また、消費者ニーズなどを勘案しながら、その振興を図っていく必要があると考える。
 それからもう一つは、二つ目のブドウの関係であるが、本県は寒冷地であるがゆえに、現在、耐寒性のあるキャンベルアーリーが主力の品種となっておるわけである。今後、産地づくりや改植、新植を進めていく上で、リンゴと同様、品種の動向や消費者ニーズ等も視野に入れながら振興していかなければならないと思う。私が心配するのは、第2のミカンにならないようにと。新聞、テレビ等でかつて広く報道された経過がある。いわば汗水を流しながら植栽したミカンを残念ながら切り倒して生産調整に協力したという歴史があるわけである。そういうことを思うがゆえに、今後、本県においてのリンゴ、ブドウの振興を図っていく上で、その対策をどのように講じていかれるのか、県の基本的な考え方をお伺いする。

〇中村農政部長 本県の果樹振興対策についてであるが、まず、本県のリンゴ生産については、全国に先駆けて矮化栽培を集団的に導入し、作付の拡大あるいは高品質生産に努めた結果、その普及率は65%と全国一となったところである。特にも、その中でジョナゴールドについては消費地から好評を博するなど、リンゴ産地として高い評価を受けているところである。
 また、ブドウについては、お話のように、キャンベルアーリーの偏った生産から、県の中南部を中心に高品種の紅伊豆などがふえてきているところである。県としては、昨年3月に岩手県果樹農業振興計画を策定したわけであるけれども、果樹全般にわたって省力低コスト生産に配慮しながら、しかも消費動向を見きわめ、活力ある産地形成に努めなければならないと考えておるが、具体的には、リンゴについては、これまでのリンゴの矮化栽培等緊急推進対策事業に加えて、9年度からは国が開発した盛岡系台木の普及促進をねらいとした新台木苗緊急養成事業によって次世代の矮化栽培を他県に先駆けて進めようとしているところである。
 また、これとあわせて、県産オリジナル品種のきおうの作付拡大によって、わせあるいはなかてのウエートを高めながらバランスのとれた品種構成に切りかえてまいりたいと思っておるし、ブドウに関しては、既存産地の老齢樹の改植を推進しながら、雨よけ栽培などにより、作柄の安定と高品質に向けて、あわせて県中南部を主体に紅伊豆などの高品質品種の計画的導入に努めてまいりたいと考えておる。
 いずれ生産者が意欲を持って取り組めるような魅力ある果樹経営の構築に努めるとともに、体質の強い果樹産地の確立に向けて関係団体ともども努力してまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 いろいろ誠意のあるお答えをいただいて心強く思ったわけである。殊にも果樹の関係については、成木とは言わないまでも、なり始めには3年なり4年かかるわけである。そういうことで、県としてもいろいろ機械等の補助については特段の御配慮をいただいているわけであるが、ただ、私の知る限りでは、たしか県下で1台しか入っておらないような記憶があるが、リモコンで薬剤散布ということもなされているところもある。今後そうした機械面での、薬をみずからかぶることのないこれからの作業でないとなかなか後継者も育たないということもあるので、今後、施策の中では十分御検討いただきたいと思う。
 以上、要望である。

〇黄川田委員 当該常任委員会に所属しておるので、1点のみお伺いする。
 農政部では、10年以上も前から課や係、出先機関などの職場の枠を超えた組織横断的なグループにより調査研究会が開催されておる。農業の各部門の振興ということで、ともすれば各担当者は視野が狭まり、専門的になりやすいわけであるが、若手職員が中心となって一つのテーマを定めて調査、研究するというこのような活動は大いに評価されるものと思う。
 ところで先般、この研究グループの活動成果報告会が開かれ、ちょっと気にかかる提案があったのでお尋ねする。
 それは、農業試験場や農業大学校の方々の研究グループによる外国人の農業研修生の受け入れについてと題する職員の提案である。その中では、本県を含め、多数の日本人農業関係者がアメリカやヨーロッパで研修を受けているが、逆に研修生の受け入れには極めて消極的で、日本農業を学ぼうとする東南アジアなど、開発途上国の人々の期待にこたえていないと指摘しておる。そしてまた、本県の行政対応も必ずしも積極的とは言えず、外国人研修生の受け入れ実態も十分把握されていないという内容である。過日、教育委員会の予算審議において、世界のかけ橋推進事業では、高校生の米国、欧州のみへの派遣ということで、アジアの時代の認識が欠けておったように私は感じたわけであるが、我が農政部にはそのような姿勢はないと考えておるので、このような指摘もあるが、その実態はどうなのか。改めて外国人農業研修生の受け入れについて、これまでどのように取り組んでこられたのか具体的にお示しいただきたいと思う。

〇赤津農政企画課長 海外研修生の受け入れの実態等についてということであるが、県においては、昭和57年に岩手県海外技術研修員受け入れ制度を創設しておる。これは、総務部の国際交流課所管ということになるが、この制度に基づいて、開発途上国及び本県出身のいる南米移住国からの技術研究員を受け入れ、必要な技能あるいは技術の取得に協力、援助を行っているということである。
 農政部関係、いわゆる農業分野についてであるが、これまで要請のあった13カ国39名について、県農業関係試験場のほか、農業大学校あるいは農協、それから農業生産組織などで受け入れをしているところである。国別には、パラグアイが17名、中国が7名、インドネシア5名、タイ1名ということになっておって、主な研修内容としては、稲作、野菜、果樹等栽培技術の習得が16人、農業機械の修理技術等の習得が14人、畜産、獣医師等技術の習得が9名という状況になっておる。

〇黄川田委員 やはり本県の対応としては総務部の国際交流課だけではなく、農政部の基本的な方針、研修生に対する支援制度を速やかに確立されるとともに、農業試験場、農業大学校などの積極的な活用も大事なことだと考える。全国的には先進事例もあり、研修生の受け入れにより国際交流の輪が広がるものと考えるので、最後に、この提案を踏まえる中で、そして、平成9年度には農政部においても農業研究センターが設置されるなど、本格的に組織の改編が検討、実施されるところであるので、今後、この研修生の受け入れ方についてどのように展開されていくのか、その方向性についてお示しいただきたいと思う。

〇赤津農政企画課長 今後ということであるが、基本的な考え方としては、当面、これまで同様、岩手県海外技術研修員受け入れ事業実施要綱、これに基づいて進めてまいりたいと考えておるが、お話あったように、部内の職員による研究グループ等からの報告等もある。こういったものについては今後さらに総合的な観点から検討を加えながら、より効果的な農業分野での受け入れに努めてまいりたい、そのように考えておる。

〇斉藤委員 5項目まとめて一括して聞くので、答えは簡潔明瞭でいい。
 第1点、農協合併問題について。
 東和町の自主減反方針に当たって、町長は、広域合併で地域農業に責任を持てるのかという危惧を提起しておった。この間の広域合併でも、支所などの統廃合と職員の削減によって最も大切な営農指導や経済事業が弱まっているのが現状ではないのか。農水省の調査では、大規模農協ほど組合員の利用率は低下し、信用事業においても経営が健全だと言えない状況で、農家の農協離れが進んでいると指摘しているが、岩手の場合はどうであろうか。
 新岩手農協がさきに合併設立された。ところが、労働組合つぶしをしていると告発をされている。一方で、職員の引き継ぎを定款で定めておきながら、2月末に約270名の臨時、パート職員全員を解雇した。これは約束違反ではないのか。県は、こうした状況を掌握しているのか、どう指導しているのであろうか。
 新岩手農協は、いまだに職員の給与など、雇用状況を定めていないと聞いているが、本当であろうか。初めに合併ありきで、農民、職員の利益、権利を後回し、こういう状況になっているのではないか。
 第2点、農業土木事業の実態と農政のあり方について。
 平成8年度の農政部予算のうち、農業土木事業は63%、平成9年度は61%となっていることは、農政の異常なゆがみ、実態を示すものである。真に農家の要求にこたえた施策に価格保証制度の充実を軸に転換を図るべきと思うが、いかがであろうか。
 事業のための事業と思われるものが多いので、具体的にお聞きする。
 馬淵川沿岸地区国営かんがい排水事業について。総事業費496億3、000万円に及ぶ大規模なものであるが、農家の要望から出発したものであろうか。大下ダムは本体で159億円、用地費を含めれば262億円と聞くが、初めにダムありきではないのか。とても営農計画が立たないとの声を聞くけれども、これだけ投資する具体的理由、根拠、見通しを示していただきたい。また、県の負担分はどうなるのか、県営かんがい排水事業も含めて示していただきたい。
 藤沢地区の国営・県営事業はそれぞれどうなっているのであろうか。総事業費、進捗状況を示していただきたい。特に国営農地開発事業の場合、当初計画の631戸が現在82戸、23法人となっておる。計画と大幅に変わっているのではないか。町の負担額は32億2、700万円、農家負担が19億3、500万円となっておるが、これから償還が始まるわけであるけれども、大変厳しい状況だと思うが、いかがであろうか。
 3番目、海外アンテナショップのこの間の売り上げ、県関係者の旅費、事業費をそれぞれ示していただきたい。この海外アンテナショップの見通しはあるのか。海外視察、旅行のためのイベントになっていないであろうか、今後の見通しも含めて示していただきたい。
 4番目、県の農業基本計画と規模拡大化路線について。
 県の基本計画の試算と現在の米価、乳価など、生産者価格の乖離が大きいと思われる。基本計画の修正が必要ではないであろうか。規模拡大農家こそ現在の価格低落の影響を受けていると思われるが、どうか。その対策を考えているであろうか。
 特定認定農家の数とスーパーL、スーパーS資金の活用状況はどうなっているであろうか。特定認定農家はどのようなメリットを受けているであろうか。
 最後、競馬組合問題について。
 収益配分金が2年連続大幅に減少して、96年度は2億円、県分1億1、000万円となった。ところが、テレトラックの場合、発売金額の1%を関係市町村に負担金として交付していると聞いているが、どういう規定となっているのか。95年度、96年度の交付金総額は幾らか。構成団体配分金を大幅に減額してテレトラック関係には今までどおりの交付金を交付するやり方でいいのであろうか。
 田舎館村、十和田市へのテレトラックの進出の計画があるけれども、地元住民、例えば田舎館村では反対署名が住民の半分を超えて、予定地の700メートル付近に高校新設が予定されている。こういうところにテレトラックの進出はいかがなものであろうか。

〇藤原委員長 簡潔明瞭に答弁をお願いする。

〇中村農政部長 私からは、農業土木の事業よりも価格保証制度を充実してはどうかという件についてお答えする。
 農業土木事業については、ウルグァイ・ラウンド合意期間中の平成12年までに我が国農業の体質強化を緊急的に図るということから予算措置がされてきているところである。県としては、現在、水田では本県の整備率51に対して全国が55、東北58というように立ちおくれておるし、また、地域からの要望が多いということから、農業農村の整備を積極的に推進するため、農業生産基盤や生活環境施設等の整備に重点的に取り組んでいるところである。
 また、このような生産あるいは生活の両面にわたる条件整備に加えて、やはり農家の方々の経営の確立と安定を図っていくためには農産物の価格保証が極めて重要であるという認識に立って、県としては34品目の青果物を対象として、価格が著しく低落した場合に生産者補給金を交付するほか、肉用子牛あるいは肥育牛、肥育豚農家を対象にした生産者補給金制度や山間地域の園芸作物を対象とした農産物価格支持制度など、県単独の助成措置も講じておるところである。今後においても十分に意を配ってまいりたいと考えておる。

〇猪股農政部次長農業経済課長事務取扱 農協の合併問題についてであるが、委員御案内のように、農協は大変苦労しておって、自由化されるし、あるいは取扱量も少なくなるということであるので、御指摘のように、今、組合内部で大変な努力をなさっておる。特に、組合員の負託にこたえるということからすれば、まず第1に、組合みずからの体質を強化しなければならないということで、今現在それが最大のテーマになっているということで、現在、そういう視点で経営の基盤強化を図るということで農協合併を進めているということである。
 東和町にかかわっての農協合併ということになると、生産調整の問題は、合併にかかわらず各農協がそれぞれ協調して取り組むということであるので、大きな影響があるとは実は考えていないところである。
 それから、岩手地区農協の合併に伴うパートなり臨時職員の雇用の問題であるけれども、これは、労組の方からも連絡があって内容は承知しておる。これは、基本的には農協と従業員との労使間の問題であるので、まずもって当事者間で話し合っていただきたいということで、中央会にもその旨指導をお願いしているということで、聞くところによると、この3月7日と12日に両者の話し合いが持たれて、現在進行中ということになっておるので、そのように指導してまいりたいと、こう思っておる。

〇佐々木総合国営対策室長 国営事業についてお答え申し上げる。
 まず、国営かんがい排水事業馬淵川沿岸地区については、年間降水量の少ない二戸市、一戸町の畑地帯において、付加価値の高い作物の導入や地域の立地条件を生かした多彩な農産物の生産拡大を図るためには水の導入が必要であるとの認識に立った農家からの要望に基づき、事業の経済効果や地元負担の妥当性を検討した上、平成5年度から事業着手したところである。大下ダムについては、この水を確保するための水源施設として位置づけられているものである。
 国営かんがい排水事業の県負担であるが、ダムについては25%、揚水機場及び幹線用水路については30分の7、幹線以外の水路については35%になっておる。また、国営に付帯する県営事業については、今後の国営事業の進捗状況を勘案しながら計画的に進めることとしているところであるが、事業化に当たっては県営畑地帯総合整備事業を想定しており、この場合の県の負担率は30%となっておる。
 次に、国営農地開発事業藤沢地区であるが、本地区の総事業費は355億円で、平成8年度までの進度率は90%、県営かんがい排水事業藤沢地区の総事業費は111億円で、8年度までの進度率は同じく90%の見込みとなっておる。
 国営事業藤沢地区の受益者数であるが、当初の631戸が現在82戸、23法人となっておることについては委員御指摘のとおりである。これについては、町として将来を見据えた農政を展開するに当たり、造成された広大な農地を活用し、高収益、低コスト生産による大規模畑作営農を展開するためには農業生産法人による経営体を中心とした営農の展開を図ることが好ましいとの判断から、農業生産法人の育成に努めた結果、現在のような受益者構成になったものと理解しておる。
 事業完了後の翌年度から始まる償還については、地元負担の軽減を図るため、償還に係る利子補給制度や平準化などの償還制度を有効に活用し、可能な限り償還の円滑化を図ることとしておる。また、こうした償還の円滑化のためには、償還制度の活用とあわせ、何にも増して着実な営農の展開がなされなければならないと考えており、県としても町と連携をし、今後とも一層の営農指導の強化を図ってまいることとしておる。

〇石川畑作振興課長 海外アンテナショップについてであるが、海外マーケットの展開事業であるが、農林水産省の補助事業として平成7年度から3カ年計画で実施しておるものである。これは、県産農産物や加工食品の海外での販路開拓の可能性あるいはそういったものの調査、流通の仕組み等について研修しようというねらいでもって実施しておるものである。
 平成7年11月にロサンゼルスに常設のアンテナショップを設置して以来、平成9年1月までの売り上げであるが、4、750万円余となっているところである。
 また、旅費についてであるが、7年度には15名、8年度には13名、合計28名参っておるが、その合計の旅費が1、921万円となっておる。さらに、事業費であるが、7年度は5、426万円、8年度は6、618万円ということで、2分の1が国庫補助となっているものである。
 さらに、渡航した際のアンテナショップでの業務ということだろうと思うが、この常設のアンテナショップにおいては、オープニングのセールあるいは1周年セール、リンゴの消費宣伝会など、これまで7回ほどの特別セールを実施しておるが、その機会に現地での消費者あるいは流通業者に対して直接県産品の売り込みあるいはアンケートの調査などを行ってまいっておるが、そのほかに、出店市町村との職員とともにアメリカの農業の実態あるいは食品流通の仕組み等について調査研修しているものである。
 なお、今後の見通しというお話であるが、これまで1年4カ月ばかりにわたって試験販売活動を行っておって、それで売れ筋商品が明らかになってきておるし、商業ベースでの流通の可能性といったものも見られてきておるところから、これらの商品の重点的な普及宣伝あるいは現地での消費者ニーズに即した商品開発を進めてまいりたいと思っておる。
 県産農産物の販売促進については従来から国内で積極的に展開してきておるわけであるが、今後ともそういったことに努めていくとともに、こういった国際化が進行する中で、この海外マーケットの取り組みというものも、農業者や、あるいは食品製造業者の方々の生産意欲につながるような形で進めてまいりたいと考えておる。

〇千田地域農政推進監 農業経営基盤強化促進法に基づいて作成した県の基本方針の修正のことについてであるけれども、この県の基本方針は、おおむね5年ごとに見直しを行うこととしておる。したがって、経営指標についてもこの見直しの時点で検討することになっているものである。
 それから、規模拡大農家の関連であるけれども、農業者、特に規模拡大農家については、農産物の価格変動に柔軟に対応していける足腰の強い経営を確立していくことが何よりも大事だと思っておる。したがって、今後においても、経営改善を図るため、経営診断システムを活用するとか、あるいはこれに沿った診断指導を強化する、そういったことによって農業者の経営志向に応じて、面積や頭数の拡大だけではなくて、収益性の高い作物を導入したりとか、あるいは新しい技術を取り入れるなど、経営の合理化によって生産コストの低減が図られるよう、そしてまた、農業所得の拡大が図られるように支援指導してまいりたいと考えておる。
 それから、スーパーL、S資金の利用状況である。平成8年12月末現在でスーパーL資金が80件、10億7、000万円、スーパーS資金が36件、19億5、000万円で、前年度の同期に比べるとそれぞれ136%、278%増加しておる。
 なお、認定農業者のメリットについてであるけれども、先ほど申し上げたように、低利で長期の制度資金を利用できること、二つ目としては、市町村の経営改善支援センターの支援指導を優先的にというか、積極的に受けられること、それから、農用地の貸し借りや農作業の受委託の申し出があった場合に優先的にあっせんされる、それから四つ目、税制上の優遇措置などが受けられる、こういったものが挙げられる。

〇橋本畜政課長 競馬組合についてお答えする。
 競馬の発売金収入については、競馬法等に基づいて、その約75%が勝ち馬投票券払戻金として払い戻される。また、地方競馬全国協会公営企業金融公庫に一定割合を納付することが義務づけられておって、その残りが競馬開催地等に充てられておる。競馬組合では、この開催地等の中から、テレトラック設置の際の設置市町村との取り決めに基づいて、発売所の周辺環境の維持及び整備、そういった事業を実施する場合の経費を環境整備負担金として、前年度の場外馬券売上金額の100分の1の範囲内で翌年度に交付していると聞いておる。
 また、テレトラックを設置している4町村に対しての環境整備負担金については、平成7年度で約1億6、000万円、平成8年度で約1億5、000万円となっているということである。この環境整備負担金については、地元市町村での環境整備の必要に応じて組合で予算化し、支払われているものである。したがって、盛岡市においても平成7年度まで、水沢市においても平成8年度まで、構成団体配分金とは別に支払われてきているところである。
 それから、テレトラックの設置についてであるが、テレトラックの設置については、地元からの誘致に係る要請をもとに、地元市町村長等の同意、また、競馬組合議会の議決、それから国の設置許可を得た上で進められるものと聞いておる。

〇斉藤委員 私は、農政の予算に農業土木事業の占める割合が61%ということの異常さを指摘して、具体的な国営事業だったけれども、今の答弁を聞いても、声は高かったけれども、中身は深刻で、大体631戸が82戸、23法人になって、これから借金を32億円町が抱えるというのは大変なことである、これは。そして、これからやろうとしているのが馬淵川なのである。農家からの要望で始まったというなら、その根拠を具体的に示していただきたい。専門家は、あの地域は営農計画は立たないと言っている。だから私は、本当に最初に事業ありき、ダムありきではないのか。500億円近い事業をこれからやるというときに、私は、今見直すべきは見直した方がいいと思うけれども、いかがであろうか。
 テレトラック、構成団体の配分金は15億円から7億円、2億円である。来年はゼロだと競馬組合は言っている。そういうときにテレトラックの環境整備負担金交付金だけが1億四、五千万円まで払われるというのは、これはバランスを欠くのではないかと思う。そういう点を私は指摘しておきたい。
 最後に、この間、平成7年度の農業粗生産額は299億円減少した。そのうち米の減反分が221億円である。そして、平成8年度はどうかというと、これまた減反で6、000ヘクタール減少、1万500トン米の収量を減少している。私は、だから、国なりのそういう政治でいいのかと。今、本当にこういう破綻しつつある危機的な状況から岩手の農業を守る、農家を守る、そのためには農業予算のゆがみも正して、価格保証は予算の0・5%であるから、ぜひそういう改善を思い切って進めていただきたい。最後は要望を述べた。答えるところは答えていただきたい。

〇平野農地計画課長 国営馬淵川地区について、最初にダムありきではないかというお話があったけれども、この事業については、事業計画をつくった段階で関係農家に計画をきちっとお示しして、今の法律の中では全体の3分の2以上の同意を得なければ事業はできないとなっておって、この地区についてはほぼ100%に近い同意をいただいたという経過がある。したがって、事業の概要、その他については関係農家も十分熟知していると理解している。ただ、事業を発足した時点と最近の状況では、農業情勢についても非常に急激に変化しているということがあって、本当に水利用がこれで大丈夫かということについての危惧があるということは理解しておる。そういった関係農家の意見もお伺いしながら、国営事業、県営事業については弾力的な対応を必要によってはやっていく必要があるのかと考えておる。

〇藤原委員長 そのほか質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原委員長 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後6時19分 散 会


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