平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(船越賢太郎君) 県民クラブの船越賢太郎でございます。
 県政に参画させていただきまして第2回目の登壇でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、前回と同様、本県の魚、サケの販売と価格向上について質問をいたします。
 世界全体のサケの生産数量は、約85万トンと言われております。そのうち、我が国の国内生産は約二十数万トンとされております。かつて、三、四年前までは、1キログラム当たりの平均価格が650円ほどでございましたのに、本年度は1キログラム154円、すなわち4分の1までの大暴落であり、浜はパニックとも言うべき状況であります。関係者一様に、漁業の前途に危機感を抱いているのであります。今のところ、何ら起死回生の妙薬は見出せない状況であります。地味ではありますが、原点に帰りまして、安いからこそ皆さんに食べてもらう方法から始めるべきと思うのでございます。余りに価格が安過ぎるために、加工の手数をかけるわけにまいらないことから、手数と時間を省くことによって、ますますおいしくない製品が出回るという悪循環をたどっていると思うのであります。例えば、川に上ったサケは、現在格づけの中では最下等物とされているのでありますが、津軽石住民の人々が時間をかけて、手順を省かないでつくり上げた川ザケ新巻は、何物も及ばないサケの味を保持し続けている伝統を知っているのであります。サケに限らず、浜には魚をおいしく食べる伝統的な技術があると思うのであります。浜の技術をも、もっと生かすべきであります。
 去る1月末、防災対策特別委員会の研修視察の折にも調べてまいりましたが、九州地方では値段が非常に高いので豊富には普及されていない模様でありました。また、中国方面への輸出量も2万トン余りの数量に増加しており、急速な経済の発展を遂げる12億の人口を有する輸出先であって、21世紀を展望した世界の食糧不足が伝えられる情勢の中でも、今しばらくの忍耐が必要ではなかろうかと思うのであります。いてつく寒風、荒波を乗り越えて水揚げされたサケも買い手がつかず、敬遠されている産地魚市場の現状に接するとき、世界人口50億の中で、8億人が栄養不足を訴え、1日1万人の餓死者がいるというとき、人類の知恵と国連の無力さを痛感するのでございます。さらなる付加価値向上が切に望まれるときに、先般、サケソーセージを初め、多くの開発について水産技術センターから発表になりましたが、まことに心強い限りであります。沿岸水産業の加工原料を支えておりますのがサケであります。安くともされどサケであります。7万3、000トンのサケ資源の活用と販路について、再度お伺いするものであります。
 次に、漁協統合問題について質問いたします。
 本問題も、ようやく去る2月26日、水産団体によって統合を目標とした専門委員会が結成されたところでありますが、私の見るところでは、それぞれの組合長さん方は、個々の考えが錯綜し定まらない状況であります。今までの長い伝統と歴史の積み上げが姿を消すことでありますから、短期間で改編し得るものではないと思うのであります。漁連会長が180度大転換ののろしを上げ、一挙に1県1漁協を標榜いたしましたが、内情は必ずしも早期に足並みがそろうには容易でないとも感じるものでございます。
 そこで私は、サケ漁に大部分のウエートを置きました本県漁協界は、それぞれの所属市町村の経済構成の一因として、まずもって長い間歴史的愛着を持つ自治体の力を借りて、市町村ごとに1漁協に統合して地域重要産業の担い手として充実することこそが、息の通った発展を遂げるものと確信するものでございます。かつて、高級魚であったサケにすがる経営だけでは、自立は非常に難しい時代となりました。利害関係と従来の惰性を引きずる業界だけでは、理想的にして健全な1県1漁協としての脱皮はいまだ時間があると思われるのであります。私はこの際、行政当局の強力にして賢明なリーダーシップと、より一層の援助がぜひ必要であると思われるのであります。この際、一番のネックとなって合理化を阻んでおりますのが、それぞれが持つ固定化債権の処理問題であるのであります。
 そこで私が提案申し上げますことは、かつて太平洋戦争中、食糧確保に貢献いたしました漁業界が、戦後GHQによって解体されまして、やがて昭和24年、新制度の漁業法が施行されたときに、政府が一切の漁業権を一たん買い上げたことがございました。その資金をもって、ロッチデールの精神に基づく新生漁業協同組合が発足し、今日に至ったのであります。自来、約50年を経ましてガット・ウルグァイ・ラウンド等の世界経済の変動を受けて、制度疲労とも言うべき今日の現況と相なったのであります。しかしながら、世界人口の動態と食糧の将来的展望に立ちまして、水産物や穀物ともに飽食になれた日本は輸入国となったところであります。鉱物資源はなし、特に石油の時代に石油のない日本ででき得ることは何か、食糧の生産以外にないことを思うとき、ともすれば崩れようとする食糧生産産業を断じて国家の基本産業として位置づけることこそ、現代政治に課せられた重大なる使命であると思うのでございます。そのために、県政と国政がタイアップいたしまして、漁協を再編整備して、来るべき21世紀の日本の将来を築く組織体に育て上げるべきものと思うのでありますが、当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、私も日本海におけるロシアタンカー重油流出事故について質問いたします。
 去る3日、この問題については浅井議員より質問がなされたところでありますので、私は簡略に述べてまいります。
 今回の重油流出事故は、延長700キロにも及ぶ三陸海岸を擁する本県にとって、決して他人事ではございません。名にし負う濃霧の立ち込める三陸沖航海の油送船についても、絶対に事故なきものと何人が断言できましょうや。人知の行われるところ、必ずや事故は予測しなければならないものと察するものでございます。かつて何年か前に、5万トン型新造船ボリブァー丸が野島沖で真っ二つに折れた遭難事件がありました。ただ流通コスト節減のためにのみの何十万トン級タンカーの建造競争がなされている現状では、地球環境維持が叫ばれている今日、人類共存のためにも、制限と責任を厳重に負わせるべきものと考えるのであります。善後策のないままに、経費節約のためにのみタンカーの大型化は、今日的課題として提起されているところでもございます。我が国では、船舶の検査や運航上の規制及び船員の技術等を含めまして実に厳格であります。私は、宮古湾の埠頭で各国の船を見ておりますが、見るからに整備された、ペンドルアップされたロシア船をかつて見たことがございません。このような老朽船で、よくも度胸よく乗船しているものだと、いつも感心させられているのでございます。ナホトカ号事件で明るみに出ましたが、海運国であって石油大消費国日本に、流出油回収専用船の備えが甚だ希薄であるということは驚きでありました。また、ロシアに油回収船があるのに日本にないとは、これまた驚きでございます。また、人海戦術と称しまして、ひしゃくでのくみ取り作戦は、あたかも戦時中のB29爆撃機に対する竹やり訓練をほうふつさせるものがございます。
 そこで私は、人類の英知は月面探査も可能ならしめた今日、海洋国家日本として万一事故発生の際、流出油が接岸する以前に、荒天時においても速やかに回収できる性能の優秀な油回収専用船を国で早急に開発完備し、自衛隊などに配備することを県として国に要望すべきであると思いますが、御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、防衛問題について知事に御質問を申し上げます。
 政府は今、沖繩基地移転問題で大変難航しているところであります。しかし、本件は国家間問題であるから我関せずと、遠ざかるべきものではないと思うのであります。痛みをともに分かち合うべきものと思うからであります。宮城県王城寺原演習場を初め、何県かに防衛庁は交渉しているようでありますが、住民の反響を恐れてか、いずれも拒否をいたしております。最近、山口県が受け入れる模様でありますが、さわらぬ神にたたりなしの心理かもしれませんが、私は大いに不満を抱くものでございます。第2次大戦後50年の経過の中で、いろいろと論議されてまいりました世界各国が核ミサイルを保有しているときに、我が国の自衛隊の編成を補完するために安保協定が存在するものと思います。本土に復帰したとはいえ、大田知事の苦悩ははかり知れないものがあると思われるのでございます。日本全体の問題であるのに、なぜ沖繩だけがとの感情は強いと思うのでございます。戦後半世紀、平和になれ浸った人々は、防衛とか基地とか、そんなものは漫画で見るとかゲーム機以外に関心のない層が多い時代となりましたが、遺憾ながら世界の現状は、より強大な武装の裏づけによって平和が維持されていることもまた事実でございます。沖繩は、昭和20年6月21日をもって米軍の猛攻に対し、住民を交えて二十数万人のとうとい犠牲の中終えんし、手りゅう弾を抱き集団自決したかのひめゆり部隊の少女たちから、洞窟に潜み幼子を親の手で殺さざるを得なかった惨劇の数々の歴史的事実、いまだきのうのごとく鮮烈に残るのでございます。しかるに、現代のエリートたちは、平然と収賄に身を崩しておるときに、50年前沖繩を戦場として、東大生を初め幾多のエリートたちは操縦悍を握り締めて爆弾を抱き、後に続く者を信じつつ、沖繩の夏雲を墓標として、米軍のVT信管の弾雨に多くが散華したのでありました。日本国民たる者、国防の必要性を認めるならば、沖繩の痛みを皆で分かち合う知恵と勇気が、今こそ必要なときではないかと思うのでございます。たかが平和なときの勇気ではございませんか。何となく都合の悪いことは、総理にだけ任せて逃避することはひきょうであり、皆で理解し合うべきもので、国民全体で責任を負うべきと考えるのであります。嫌なことは他人に押しつけて、耳ざわりのよい方にだけ偏るならば、輝ける国家の未来はあり得ないと思うのでございます。
 紀元前アテネ時代、既にソクラテスの弟子であるプラトンは、民主主義の名のもとに、政治家が国民の反発だけを恐れて、欲望の進行に奉仕するだけでは国家に将来はなく、政治家は失格であると喝破いたしております。かの栄華いんしんをきわめたギリシャ文明やローマ帝国も、果てしない役人の退廃と紊乱の蔓延により、あえなく夷狄の攻略に滅亡した歴史が教えているのでございます。
 我が岩手の総面積は広大で、実に四国4県に匹敵すると言われます。増田知事には、防衛と県の役割について国家に望まれた場合いかにお考えか、所信をお伺いするものでございます。
 次に、鮭博物館建設について申し述べたいと思います。
 新潟県三面川に、サケの博物館が存在することは皆様の知るところであります。三面川のサケの地域への貢献度、そして貴重な歴史もまた大きいものがありました。そこで、いかに低価格とは申せ、県の魚として、また、岩手の水産の主役でありますサケを除いて岩手の水産は語れないのであります。なるがゆえに、もっともっと世界の人々にサケを普及していくために県下一の水揚げ港である宮古市に、そして本邦随一の津軽石河畔に鮭博物館を建設すべきであると提言をいたすものでございます。
 ちょうど津軽石川河口に市営運動公園がありまして、それに支流的な入り江が存在いたします。その水面を利用いたしまして、実際に遡上する実態を体験観察するコーナーをつくり、あらゆる資料とあり余るサケ製品を陳列して販売し、皮製品の制作体験や料理法を指導するなどして、川にまつわる歴史の公開等で内容を充実することができると思うのでございます。岩手県の魚、サケを世にアピールするためにまことに有意義と存じますが、当局の関心のほどをお伺いするものであります。
 次に、本県農業の60%を占めると言われる中山間地農業問題について質問いたします。
 平成8年予算の中で、農林予算は約1、100億円余りでありました。当局の鋭意なる努力によりまして、実に山間部の奥地に至るまで、農道、林道そして排水溝、中小河川の整備と、着工完成状況にはすばらしいものがあり、感謝を申し上げる次第でございます。農林水産物は御承知のごとく、ウルグァイ・ラウンドの合意によりまして価格に大影響を与え続けまして、働く意欲さえ失いかけているのであります。都市部に住む者は、労働時間を短くし多くの給料を得ようとする。その陰で、米をつくる者、牛乳を搾る者、あるいは寒風荒波の中で魚をとる若者たちが1人消え、また1人去り、食糧を生産する若者が村からいなくなったらと思うとき、国家の存立が憂えるのであります。やがて21世紀には、食糧が不足するであろうことを予見する人々も少なくないところでございます。特に、中山間農業にいそしむ若者たちに、希望を与える努力をしていくことが極めて重要であると思うのでありますが、当局の見解についてお尋ねいたします。
 また、今月3日、東和町の農政審議会が、町から諮問された米の生産調整を、自主的参加方式にする内容を盛り込んだ東和町型自治体農政推進に係る基本方針を、ほぼ原案どおり認める答申を行ったことがたちまち全国的に報道されていますが、きょうは毅然とした知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、教員採用について質問をいたします。
 世界のリーダーを自負しております米国は、一方では世界最大の武器輸出国でもございます。その米国クリントン大統領は一般教書演説の中で、世界最高の教育を確保することが、今後4年間の優先事項であるとも声明いたしました。私は、この政策が功を奏し、米国での銃社会が一掃され、悲惨な殺人事件が根絶されることを心から願うものでございます。人間の命は地球よりも重いと言われながらも、世界各地でのテロや民族紛争が絶えず、多くの人命が失われている現状にあります。殺りくをなくし、人類に平和を望むことは万人の願いであり、これを解決する道もまた教育以外にないと思うのであります。
 私は、ある高校のPTA会長を17年務めました。そのとき、三つの高校の汽車通学生がたくさん乗りおりする無人駅のトイレを、3年間、毎朝掃除を続けたある校長先生と出会い、感動を受けました。私は、宮古湾漁連会長として、産地魚市場の欠損金の処理や浜特有の感情に悩む沈滞ムードを一掃するためには、事務能力や経理にたけた天才たちではないと考えました。私は、かつての名提督山本五十六元帥の名言に倣いまして、みずから実行しおれについてこいの人物こそ必要と確信し、この校長先生の定年を待って専務に迎えたのでありました。大方の人々は、この人事を3日も務まるものかと笑っておりました。私の予想にたがわず、校長先生は、見事にその体制刷新を成し遂げてくれたのでありました。
 私はこの経験を踏まえ、次代を担う子供たちの教育に当たる教員の採用に当たりまして、学術も大切でございますが、まず、理念に燃えた志操堅固な、人間性を重視した人物の採用に努めることが肝要ではないかと思うものでございます。このことが、いわゆるいじめを初めとする子供たちを取り巻くもろもろのトラブルから逃げないで、真っ向からこれに立ち向かえる教師の育成につながると思うからでございます。
 教育制度改革、教員採用の見直しが言われておりますが、日本の教育、我が岩手の教育の振興は、教師の資質にありと思うのでありますが、教育長の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 最後に、平成9年度予算のうち、県単独継ぎ足し補助金の見直しについてお伺いいたします。
 県は、1月31日の市町村財政担当課長会議の席上で、農道、林道、漁港整備事業における県単継ぎ足し補助金の見直しを平成9年度から実施するとの方針を示されましたが、市町村にとってはまさに晴天のへきれき、突然降ってわいた驚きで茫然としているところでございます。各市町村が、平成9年度の予算編成の作業が終了している状況を考える場合、極めて深刻な問題であります。県は、市町村に財政負担をかける問題ではないと強調されておりますが、関係市町村は一様に不信を強めておるのであります。県の考えは、従来の継ぎ足し補助金を廃止し、臨時公共事業債をもって措置し、この起債に対しては地方交付税が交付され、さらに不足する分については、県が新たに創設する公共事業債償還基金費補助による助成を行うので、市町村の負担は増加しないというものでございます。しかし、制度上、理論上では言い得ましても、不確実的要素の多い地方交付税措置に切りかえることは、交付税の対象事業を特定するか、つまり、ひもつきで交付措置される保証でもない限り市町村の負担増は免れず、また、臨時公共事業債は公債費負担比率の算定にも含まれることから、財政の硬直化を招く問題点があると思うのでございます。見直し対象の事業は、農道、林道、漁港整備事業ですが、これらはいずれも農林漁業の生産基盤であり、特に漁港は生活のよりどころであり人命のとりででもあります。農山漁村の整備を後退させる見直し政策は、関係市町村にとっては受け入れがたいものでございます。今、国、地方を問わず、行政改革は避けて通れない課題でありますが、この改革を着実に推し進めていくためには、これまで以上に県と市町村の密なる連携は肝要であるのに、このたびの県の姿勢は甚だ遺憾きわまりないと思うのでございます。
 そこで、知事に次の3点をお伺いいたします。
 市町村財政が逼迫している状況の中で、さらに借金を増すような県の指導のあり方はいかがなものか、疑問に思います。平成9年度から実施しなければならない理由は何か、この際、市町村との対話を深められて実施年次の見直しを再検討する考えはないのか。
 二つ目、知事は対話の県政を標榜いたしまして、市町村や関係機関との連携を密にして県政課題に取り組むとして精力的に県内各地を回っておられますが、今回のように、市町村との理解が不十分のままで物事を進めようとするやり方は、一方的で全然感心できないのでございます。知事選公約の中でも、特に県北地方と沿岸の格差を是正すると約束をしたはずでございます。知事は、今後とも市町村との連携を密にして県政に取り組むとのお考えでしょうか、真意のほどをお伺いいたします。
 三つ目、知事は平成7年に、就任後第三次県総合発展計画の後期計画を策定されましたが、水産業の振興上重要な漁港、漁村の整備を推進するとしております。また、国に対する予算要望でも、毎年最重点項目として取り上げております。今回の見直しは、特に漁港事業への影響が大きいと思われますが、沿岸地域における漁港、漁村の役割と事業計画の見直しをお示しいただきたいのでございます。
 以上をもちまして、壇上よりの質問は終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 船越賢太郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、沖繩基地移転問題についてでございますけれども、ただいまの御指摘のとおり、沖繩県におきましては、さきの戦争において多くの犠牲者を出し、また、戦後のいわゆる基地問題などによりまして、沖繩県民の皆様がさまざまな御苦労をなさっておられまして、その心情につきましては十分理解をし、また、今後もさらに理解を深める必要があると考えているところでございます。また、その成り行きにつきましても、大きな関心を抱いているところでございます。
 防衛と県の役割とのことでございますけれども、日米地位協定の問題を含めまして、個々の防衛の問題につきましては国政レベルで十分に議論されるべきものと考えているところでございまして、県としての意見を申し述べることは差し控えたいと考えております。
 次に、東和町の農政審議会において自主的転作の方針が答申をされたことについてでございますけれども、米の需給が大幅に緩和している状況のもとで、少しでも需給バランスが崩れることになりますと、価格は大幅に低落をするおそれがございます。こうしたことから、生産調整につきましては、生産者の御理解を得ましてその実効性を確保していかなければならないと考えております。したがいまして、本件は町としての方針ではございますけれども、他地域、他市町村にかかわる問題でございますので、町の考え方をお伺いいたしますとともに、こうした私どもの考え方につきまして御理解を得ていく考えでございます。
 次に、県単継ぎ足し補助金の見直しについてでございますけれども、国、地方を通じまして、財政環境は今後とも一層厳しい状況で推移することが見込まれておりまして、行財政改革の推進は、国、地方、双方にとりましてまさに喫緊の最重要課題とされているところでございます。こうした中にございまして、本県におきましても、平成8年1月に策定をいたしました行政改革大綱に基づきまして、行政機構の再編整備などとあわせまして、財政運営についてもその健全性の確保を図ることといたしまして、平成8年度--今年度--におきましては、零細補助金の額の引き上げ、県単補助金の終期、終わりの時期でございますが、この終期の設定などを実施いたしました。また、平成9年度予算の編成に当たりましても、事務事業の徹底した見直しや使用料、手数料の改定、県単補助金の整理合理化などに取り組んだところでございます。
 ただいまの議員お尋ねの補助金の見直しもこの一環でございまして、具体的には、農道、林道及び漁港関係事業の市町村へのいわゆる県単継ぎ足し補助金につきまして、地方財政対策として確実に措置される優良な地方債を十分に活用することによりまして市町村全体としての交付税の増額を図り、県の持ち出しを少なくする一方で、個々の市町村の負担についても全く増加させることなく、かつ公債費比率や起債制限比率への影響も少ない方法といたしまして、これまでの事業費補助方式から市町村の減債基金への補助方式、この方式に改めることとしたものでございます。このような内容となっていることから、今回の見直しにつきましては市町村の御理解は得られるものと考えてございますが、また、私どももさらに御理解を得るべく努力をしていく考えでございます。
 次に、市町村との連携についてでございますが、市町村は、県民に最も身近な行政主体といたしまして、地域の実情に応じた地域づくりを推進する重要な役割を担っておりますことから、今後一層市町村と連携を密にいたしまして、一体となりまして、個性豊かで活力ある地域社会づくりを進めていく考えでございます。
 次に、沿岸地域におきます漁港、漁村の役割についてでございますけれども、我が国におきましては、動物性のたんぱく質の供給量に占めております魚介類の割合が約4割と非常に高くなっておりまして、漁港は、これら魚介類など、水産物の生産の場として、こうした豊かな魚食文化の展開に大きく寄与してきているところでございます。さらに、漁港は漁村における貴重な公共空間でもございまして、物資や人の交流の場としての役割を有しておりますとともに、すぐれた自然景観、新鮮な魚介類あるいは自然との触れ合いの場を提供しているところでございます。また、過疎地域や辺地などに立地しております本県の漁港、漁村の整備を通じまして、地場産業の育成や生活環境の改善を推進することは地域の活性化を促しまして、心豊かな地域社会の創造、また、県土の均衡ある発展を図る上で極めて重要なことであると、このように認識をしております。
 現在までの漁港、漁村の整備につきましては、第九次漁港整備長期計画に基づきまして、平成6年度から6カ年計画として現在実施をしているところでございまして、平成8年度末における事業進度は52・8%でございまして、全国平均を2・7%程度上回ったものとなっているところでございます。今回の県単継ぎ足し補助制度の見直しによりましても、この漁港整備長期計画に基づきまして計画的に事業を実施することとしているところでございまして、漁港事業推進への影響はないものでございます。県といたしましては、今後ともこうした活力あふれる漁港、漁村の建設に最善の努力を傾注していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願い申し上げます。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) まず、秋サケの魚価対策についてでありますが、秋サケの価格は、平成4年度キロ当たり695円であったものが、平成8年度は154円と平成4年度の4分の1以下まで下落したことから、7万3、000トンと史上最高の水揚げがあったにもかかわらず水揚げ金額は107億円と、最盛期を100億円も下回る結果となっております。このため、漁業者のみならず、地域経済に与える影響が大きいことから、秋サケの魚価対策が喫緊の課題であると認識しております。
 本県の秋サケの約7割はブナザケであり、この付加価値向上を図るため、水産技術センターによって加工技術の開発が進められており、これまでサケハンバーグ、サケフレーク、サケソーセージ等、加工原料として大口消費が期待される製品が開発されているところであります。また、中骨罐詰のヒットに触発され、漁協や青年水産加工研究グループによる商品開発も活発になっており、例えば寒干しサケ、ちゃんちゃ焼き、しょうゆイクラなどが大変好評を得ております。
 さらに、議員御指摘のとおり、津軽石川には新巻のおいしいつくり方があるように、浜には浜特有の伝統的な海産物の料理方法や保存方法があり、また、秋サケは低カロリー高たんぱくの魚であり、動脈硬化の防止や脳の働きによいDHAや骨粗鬆症の予防に大切なビタミンD等の成分を多く含むなど、幼児から老人に至るまで健康によい食品であります。このため、これら料理方法を広めることによって多くの人々にサケを食べてもらえないか、また、その伝統料理の中から新しい製品の開発ができないものかと、こういった観点から、平成2年度から4年度にかけて地域水産物有効利用推進事業において、水産技術センターが漁協婦人部の全面的な協力のもとに本県沿岸の浜料理を調査したところであります。その成果は、ザ浜料理インいわてというタイトルで九戸、下閉伊、上閉伊、気仙のそれぞれの地域ごとに冊子にまとめたところであります。全収録料理数254点のうち秋サケの料理が70点と最も多く、本県沿岸で昔から行われてきた料理方法がほとんど網羅されるなど、豊かな魚食文化が展開されており、これを沿岸地域はもとより、内陸部の皆さんにも普及していくことが肝要であると考えております。県といたしましては、秋サケの消費のすそ野を広げていくことが大変重要でありますので、昨年8月、漁業者、加工業者、流通業者等の関係者で結成した岩手県秋さけ消費拡大推進協議会を中心として、学校給食への普及、料理教室の開催、イクラのブランド化、新商品の開発等、秋サケの消費拡大対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、漁協統合問題についてでありますが、県は、これまで平成5年3月に策定した岩手県漁協事業基盤強化基本方針に基づき、県下4地区において漁協の合併及び事業統合を推進してきたところであります。このような中で、昨年11月に全国漁業協同組合連合会から各県の漁業団体に対し、1県1漁協、または1県複数自立漁協の実現を目指した漁協系統事業・組織改革のための指針が示されました。これは、21世紀に向けて漁協系統がその機能を十分に発揮し、また、漁業を国民の食料産業として位置づけ、その中核的担い手として役割を果たしていくために事業と組織の強化を図る際の指針であると承知しております。これを受けて、本県漁業団体は、おのおのの代表者から成る岩手県漁協系統事業・組織改革検討委員会を設け、先般、具体的な検討を開始いたしたところであります。本委員会には県も参加いたしておりますが、21世紀に向けた本県漁業の一層の振興のためには、経済事業や資源管理の実施主体として自立可能な漁協組織の構築は不可欠との観点から、本委員会等を通じて、業界全体と県が足並みをそろえ、一致団結してこれを推進することが肝要であると認識しております。したがいまして、県といたしましては、国との連携のもと、漁協合併等に係る諸制度の活用を図りながら、地元市町村、系統団体と一体となって漁協の再編整備に努力してまいる所存であります。
 次に、鮭博物館についてでありますが、御提言のように、県民の皆様が資料や体験を通して水産に親しんでいただくことは大変有意義なことと考えております。このため、県では、宮古市浄土ケ浜に県立水産科学館を設置したところであります。水産科学館では、県の魚であるサケについては特に力を入れて展示するとともに、ウニやアワビなどの生態を解説しているほか、岩手の漁業の歴史や漁具、漁法など、広範囲にわたる資料の収集と展示を行い、また、漁業の体験学習や磯の生物の観察会等を催しております。また、本年度は開館10周年記念事業としてビデオ、大型マルチスクリーンなどの視聴覚資料を一新するとともに、入り口部分には本県漁業のシンボルであるサケのモニュメントを設置し、その他、建物の改修工事を行っております。御提言の鮭博物館につきましては、県の魚サケをアピールするための貴重な御意見と承りますが、既に広く県民に親しまれ、新装なった水産科学館の展示内容や行事の企画を充実強化することにより、サケが一層県民に親しまれ、地域の発展に寄与するよう努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) 重油流出事故対策についてでありますが、今般のロシア船籍ナホトカ号の事故に際しましては、関係機関による懸命な作業が続けられたにもかかわらず、流出油の一部が日本海の沿岸各地に漂着し、多大な被害を及ぼしたことは極めて残念であり、水産業や観光はもとより、さまざまな面で県民生活に深いかかわりのある三陸沿岸を有する本県といたしましても、この事故から得られた教訓を今後の対策に生かしていくことが極めて重要であると考えております。
 外洋で流出油事故が発生した場合には、まずもって迅速かつ的確な初動活動により、洋上で流出油を回収することが基本であると考えているところであり、そのためには、議員御指摘のとおり、油回収船の配備が極めて有効であると存じております。このため、過日、全国知事会を通じ、外洋対応型の油回収船の配備を初めとして、流出油の回収、漂着防止等の活動を迅速かつ的確に行うための体制の確立について国に対し緊急要望を行ったところであり、関係機関において実効性のある流出油対策が早急に講じられるよう強く期待するものであります。県といたしましては、これらの実現に向け、今後とも関係機関と連携を図り、国に要請するとともに、海上保安庁、海上自衛隊等との協力関係を一層密にしながら、情報連絡体制の整備や関係資機材の適正配備など、重油流出事故に備えた体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) 中山間地域農業にいそしむ若者に希望を与える環境づくりについてでございますが、中山間地域は、御案内のように、農業生産を行う上で農地が分散し、傾斜地が多いなど不利な条件にありますが、本県の場合、総面積の8割を占め、農業者の6割の方々が居住する地域でありますので、とりわけ地域の将来を担う若者がこうした不利と言われる条件を克服し、安心して暮らしていける環境づくりを進めていくことが肝要であると考えております。幸いにして本県の中山間地域におきましては、気象、標高差、清流など、地域の多彩な資源を巧みに生かすとともに、先進的な経営感覚を持ってハイブリット系のユリやバイテク苗利用のリンドウ、ワサビ栽培、消費者との交流をベースとした農産加工、さらには、地域の先頭に立って広域的な組織活動を展開している野菜、花卉の研究グループやパソコンを活用した酪農経営など、各方面でチャレンジ精神を持って生き生きとして農業生産に取り組んでいる若者の例が数多く見られてきているところであります。
 県といたしましては、今後におきましても、こうした地域に根差した若者の取り組みが各地で展開できるよう、新いわて農業再編総合対策事業や活力あるむらづくり促進対策事業等により、新たな作物の導入や加工から流通までの一貫した取り組みによる付加価値の高い農業を促進するとともに、地域の他産業と連携した体験民宿や農産物直売所、農村レストランといった都市との交流活動を行う拠点施設の整備など、農業振興対策を広範に展開し、支援してまいりたいと考えております。
 また、こうした対策とあわせまして、地域活性化の取り組みに対しまして、専門指導員を派遣する中山間地域広域支援活動推進事業の活用や農業担い手育成基金の活動を通じた青年の異業種間交流など、ソフト面の活動を助長するとともに、山村振興等農林漁業特別対策事業や中山間地域総合整備事業等により、住みよい生活環境の整備を促進するなど、各般にわたる施策を積極的に講じ、中山間地域の若者がそこに住むことの誇りと魅力を実感しながら、意欲を持って農業にいそしめる環境づくりに努めてまいる所存であります。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) まず、教員採用についてでありますが、教員採用候補者の選考に当たりましては、従来から教科指導力はもとより、教員としての意欲、責任感、向上心など、人物面の評価を重視してきたところであります。特に、本県では1次試験合格者の枠を拡大し、最終候補者選考における人物面の評価を一層重視するなど、知識のみにとらわれない人物本位の選考を行うよう努めているところであります。
 さらに、筆記試験中心の1次試験におきましても、思考力を問う小論文の作成や、必要に応じ水泳、ピアノ等の実技試験を実施しておりますし、2次試験におきましては、個人面接のほか、模擬授業や集団討論等を取り入れ、使命感や教育愛、社会性や実践的指導力など、多方面から評価できるような選考試験を実施しているところであります。
 また、平成8年度採用から実施しておりますスポーツ特別選考試験におきましても、人物重視の立場から筆記試験は行わず、スポーツ面の実績と人物面を重視して選考しているところであります。今後におきましても、多面的に人物を評価する選考方法の改善充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、教育の振興についてでありますが、教育は、県民の参画を得ながら、関係機関一体となって推進してこそ初めて充実するものであります。特にも学校機能の充実は、御指摘ありましたように、教育愛に燃えた教員の資質に負うところ大であると考えておりますので、採用時はもとより、教員のライフステージに応じた研修を推進しながら教員の資質向上に努めてまいりたいと考えております。
〇23番(船越賢太郎君) 再質問を四つほど申し上げたいと思います。
 タンカー事故については、総務部長から国の方に力強く働きかけるということでありまして、本当に心強く感じるわけでございます。宮古も貿易港でございますから、我が漁業協同組合等でも救助船などがあって例の道具を使ってやっているんだけれども、あれはやっぱり1斗罐や、せいぜいドラム1本ぐらいのやつのようでございまして、まことに幼稚でございまして、大きなタンカー事故等には全然問題にならないと私は常日ごろ感じております、訓練に参加いたしまして。だから、やはり国単位で、そして大きな立派なものを備えなければ絶対に石油を消費する以上だめだということを痛感しておりますので、力強くやっていただきたいと思います。
 それから、2点目の教員養成は、きのうも教育長の答弁の中で、ベテラン中堅教員たちの指導によって云々という新人教育の話がございましたけれども、なかなかベテランとか中堅教員の言うことを聞かないというんです。若い人たちは今は聞かなくなっているということで、どうしても手の負えようがないと。だから、やっぱり採用前あるいは採用直後でもいいでしょうが、特別教育しなければ、どうも今は大人のテストというのがないから、子が子を生むというような時代でございますので、教育がなかなか容易でないといったようなことだから、先生方もなかなか、親が一緒になって文句をつけてくるということだから、本当に先生方も容易ではないということだから、日本の将来のために本当にがっちり教育できるような親を養わなければならないんだと思うために今のような発言をしたので、教育長は先ほどの言明を厳正に、ペーパーだけにとらわれないで、そして、人間を見据えて採用するようにやって、だめなのは早く更改するというぐらいの勇気を持っていただきたい。
 それから、3点目の漁協合併でございますが、この問題は5年ごとに第5期か6期ぐらいまで水産庁がずっとやってきているんですが、なかなか思うようにいかないということは、それだけの歴史を持っているわけでございますから、今ここで日にちが来たから、法律がつくられたから、さあやりましょうといったところで、けさあたりも金融機関の合併とか、そういったようなのが叫ばれておりますけれども、漁協とても金融機関、そして、今まで歴史があってきたものが、ある日突然、何月何日までに一緒にならなければなりませんよということで漁業権を含む全財産をもって、はい、どうぞと、こういうことは恐らく私は不可能に近いと思うんです。だから、やはり全財産というものをもって水産会館に預けるというような心境になるまでには私は時間があると思う。だから、漁連会長は自信を持って県知事と朝飯食うとか夕飯を食うとかといつもしゃべっているけれども、大いなる県知事のバックアップがあろうかと思いますけれども、やっぱり具体的に何をどうしてくれるんだということがなければ漁協単協は乗ってこないと思います。全財産を預けるんですから、本当にこれは勇気が要るわけでございまして、組合長たちの統制は得ても、地区に帰って理事たちが津々浦々でそれぞれ頑張っている連中を説得するということはまず大変だと思うので、この辺はやはり業界だけは絶対だめだと、私は業界の長でありながら実感してそう思うわけでございますので、行政が入って、そして県知事が先頭に立って、県知事は絶対に漁連会長に信頼があるようでございますから、前にもしゃべったけれども、非常にいい関係だから、よろしく行政の力でもって御指導願いたいということが3点目でございます。
 最後に、継ぎ足し補助でございますが、これは、県知事からもいろいろと心配はかけないと。これからそんなに犠牲は強いないからという力強いお言葉をいただきましたけれども、そうだったら、急にこんなに変更しないでそのままでよかったんじゃないかとさえ思うけれども、やはり国内外の情勢からそれに対応していかなければならないということで、その点は了解いたしましたけれども、前よりも絶対に悪くならないということを総務部長からもさらに補足的に、県知事のあれはベテランの私も専門家として心配かけないからというのをもう1点聞きたいと思います。総務部長から力強い、県知事の話を裏づけるような話。
〇議長(堀口治五右衛門君) 船越議員に伺います。前3点は御要望と思いますが、4点目を答弁させます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) 今般の補助金見直しに当たりましての県単独継ぎ足し補助金の問題でございますけれども、先ほど知事から申し上げましたとおり、国におきます財政諸制度、これを最も有効に活用いたしまして、県全体でプラスになる、県、市町村をあわせてプラスになる方向で考えた今回の見直しでございます。お話のありました市町村への影響でございますが、これは金額的に従前よりは全く下回るということはないものでございまして、従前同様の市町村の負担内容となるものでございます。このことにつきましては、制度上確実に保障されておるものでございます。ただ、日程的に予算を調製していく過程でこれは形成されてきたものでございますから、時間的な問題等で市町村等に御迷惑をおかけした点がございますが、この点は反省をいたしまして、御理解をいただきながらぜひ実現をしてまいりたいと思っておりますので、御協力をお願い申し上げたいと思います。
〇35番(菊池勲君) 2点について知事にお伺いいたします。
 船越議員の質問、防衛問題についてまず第1点。
 知事の御答弁は、国間の協議でありますから、一県の知事であろうとも答弁を差し控える答弁。見事な答弁でありますけれども、特に平成5年、我が岩手県は百年に一度あるかなしかの大災害をこうむった時代があったですね。そのときに、友好関係にある沖繩県の石垣島、岩手がつくったオリジナル品種ゆめさんさ、かけはしを頼んで平成6年の種子をつくってもらったその友好県である沖繩県の心情を質問したはずなのに、あなたは防衛庁長官でもないし外務大臣でもないから答弁はそうかもしれないけれども、少なくとも大田知事の心情と岩手県の友好関係の増田知事の心情ならばそれに近い御答弁があっていいと思うんだが、再度それを伺いたい。
 2点目、昨日も中屋敷議員から質問がありました。日本で初めての減反政策に対する提言、我が岩手県の59市町村の中の東和町の提言です。私は、一農民とすれば大変すばらしい提言だと思うんだけれども、岩手県政、後期計画の推進に当たっては、大変大きな石を、問題を投げかけた東和町の農政審議会の答申である。知事の答弁は大変いい答弁であります。積極的に理解を深めながら、生産調整の効率を確立しながら指導してまいりたい。きょうも同じ答弁。私は、一農民も議員の立場も踏まえて、知事の答弁には、事態の深刻性に私は実感として心に受けてこない。確かに、増田知事は日本一の若い知事でありますから、この程度の問題ならば私はちゃんとやっているという自信のほどとすれば、何をか言わんや、それでいいわけでありますけれども、私は他市町村にこれがもし波及した場合に、日本じゃなく、岩手県でですよ、知事は大変大きな問題を抱えてはしまわないかなと。実行するのは平成10年と言っていましたけれども、今問題を提起して来年から実行するとなれば、この議会は25日で終わりますけれども、終わったら私も平成9年度の水稲作付のために種もみの準備をしなければならない。一農民であれば、今、約2町4反ほど休耕しておりますけれども、それを全部水田に変えて米をつくったら、今のグリーンアスパラよりは大変私は収穫が多く上げられるわけですよね。だけれども、岩手の農政、日本の農政を案じるからゆえに減反政策に協力したわけでありますから、一農民とすれば大変不安だと。知事、知事の決意のほどを御答弁願います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいまのお尋ねにつきましてお答えを申し上げます。
 まず第1点目の沖繩県におきます種々の問題についてのお尋ねでございますけれども、この問題につきましては、沖繩県民の皆様がさまざまな御苦労をなされておりまして、その心情につきましては十分理解をし、また、今後もさらに理解を深める必要があると考えているところであり、その成り行きについても大きな関心を抱いているところであると、このように先ほど船越賢太郎議員にお答え申し上げたとおりでございまして、私も、こうした沖繩県の問題について大変な関心を抱いているということでございます。また、そのことと県としての個々の防衛問題についての意見を申し述べることとは違うことであるというふうに理解をいたしておりまして、こうした国政レベルで十分に議論をされるべき個々の問題につきまして、県としての意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと、このように考えております。
 それから、米の生産調整に関します東和町の方針についてでございますけれども、米の在庫はこの秋には全体で約300万トン、これは全体としての適正水準の2倍に当たる量になると、こういうふうに見通されるところでございまして、こうした中で米の需給バランスを保ちながら、結果として個々の農家が損をすることが決してないようにするということが極めて重要であるというふうに認識をしております。したがいまして、町の真意を十分にお伺いをしながら、生産調整の実効性の確保を図るという、こうした私どもの考え方に御理解を得るべく努力をする考えでございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、斉藤信君。
   〔1番斉藤信君登壇〕(拍手)

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