平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 既に代表質問や一般質問で御登壇された議員の皆さんの質問と重複する項目がありますけれども、通告の順に従い質問いたしますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 最初に、地方分権と市町村への事務委譲について質問いたします。
 初めに、地方分権推進委員会の第1次勧告に関連してお伺いをいたします。
 知事は、分権型地域社会の創造、これを県政運営の基本方針にとらえることを表明いたしました。住民に身近なところで政策が決定されることは分権自治の基本的な考えであり、私は大いに賛同するところであります。
 さて、地方分権に関する論議は以前から進められておりましたが、一昨年の7月に地方分権推進法に基づく地方分権推進委員会が発足をいたしました。昨年3月には中間報告が出されてから急速に論議が進んでまいりました。こうした中で、地方分権推進委員会は昨年12月20日に第1次勧告を首相に提出いたしましたが、この勧告に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 私は、勧告の中で、中央集権型の行政システムを変革し、国と地方の関係をこれまでの上下から対等、協力の新しい関係に転換させるために、機関委任事務の廃止を明示した点は画期的なものであり、評価するものでありますが、機関委任事務の中で、今後とも存続が必要な事務は原則として(仮称)自治事務としながらも、もう一つ、(仮称)法定受託事務を多数残していることには問題があると考えていますが、いかがでしょうか。
 また、中間報告でも今回の勧告でも継続して検討することになっている二つの点についてお伺いいたします。
 その一つは、国庫補助負担金と税財源問題であります。今回の第1次勧告には財源問題は先送りされておりますが、本県の県債残高を見れば将来的に不安を覚えるところであり、地方における財源確保対策について、地方税のあり方も含めて第2次勧告にどのような期待をされるのかお伺いいたしたいと思います。
 もう一つは、地方事務官制度についてであります。昨年の岩手県議会9月定例会では、社会保険行政に携わる地方事務官制度の廃止を求める意見書を全会一致で採択したところであります。地方分権推進委員会は、機関委任事務の廃止に伴うこの制度の今後の対応について、本年6月にも取りまとめが予定されている最終報告に向け現在も検討を加えており、厚生省や社会保険庁、そして全国知事会にもヒアリングを行ったと伺っています。そうした中で、全国知事会は、地方分権推進委員会のこのヒアリングに対応するため、全国の知事の考えを確認する目的で、1、国の直轄、2、法定受託事務、3、その他のうちどれを選択するのかアンケートを実施したと伺っております。増田知事はこのことについてどのようにお考えなのでしょうか、お示しいただきたいと存じます。
 次に、市町村への事務委譲についてお伺いいたします。
 この件につきましては我が会派の久保田議員も代表質問で触れておりますが、重ねてお伺いいたします。
 私は、最初に述べたとおり、住民に身近な自治体で政策が決定されることが地方自治の基本であると考えております。したがって、県が地方振興局や市町村に対して事務委譲を行うことには賛成するものでありますが、市町村の協力体制が確立されることが最低限の条件になると思います。
 そこで、まずお伺いいたしますが、これまで岩手県では市町村に事務委任を行う場合、昭和55年に制定された市町村に対する事務委任規則に基づいて手続を進め、既に147事務を市町村に委譲してきているようでありますが、これらの事務は具体的にどのようにして委任を行ってきたのでしょうか、お示しいただきたいと思います。
 また、今回、100項目に及ぶ事務委譲項目を例示しておりますが、これを市町村に委譲していく場合の手順についてお示しいただきたいと思います。
 最後に、市町村が事務委任引き受けの条件として県に対して求めるのは、財政の裏づけと指導を含めた人的な協力体制であると考えますが、県として具体的にどのようにこたえていこうとしているのかお示し願います。
 次に、福祉施策についてお伺いいたします。
 まず、児童福祉法の改正案についてお伺いいたします。
 現行の児童福祉法は、戦後の混乱と窮乏の中にあった昭和22年に制定され、ことしは50年の節目を迎えます。法律がつくられた当時は、18歳未満の子供の数は約3、300万人と全人口の約40%を占めていたものですが、現在では約20%の2、500万人にまで減少しております。児童を取り巻く社会の環境も大きく変わってまいりました。このような中で、国は児童福祉法等の一部を改正する法律案を取りまとめ、去る2月21日、厚生大臣が中央児童福祉審議会長に法改正要綱を諮問いたしました。
 そこでお伺いいたしますが、今回の改正案の中には保育所への入所の仕組みや保育料の負担決定方式の変更が盛り込まれているようであります。利用者への負担が増加することはないのでしょうか。一部には、措置を外すことで公的責任が後退し、将来的に補助金が減らされるのではないかとの不安が出されていますが、県としてどのように受けとめているのかお示し願います。
 また、放課後児童健全育成事業に関する事項や、新たに設置される児童家庭支援センター、さらには教護院の名称変更と児童の自立支援体制強化などが盛り込まれており、県や市町村のこれまでの児童福祉に関する施策に影響が及ぶものと考えられますが、市町村との綿密な連携も必要なことから、これまでの法律改正に関する動きの中でどのような取り組みをされてきたのかお伺いいたします。
 次に、知的障害者福祉についてお伺いいたします。
 平成6年の社会福祉総合動態調査によりますと、本県の知的障害者の数は5、555人とされております。このうち、施設において生活をしている約2、000人は、専門の職員のもとでの職業指導のほか、季節の行事や社会訓練、余暇指導など、きめ細かいさまざまな場が提供されております。これに対して、約3、000人を超える在宅の方々は外に出る機会も少なく、多様な社会的体験をする場がまだ不十分であると私は感じているところであります。ノーマライゼーション理念の普及とともに、障害者の社会参加の場も拡大されてきており、近年、県内においても、身体障害者を中心に、スポーツや文化、芸術などの分野において障害者自身が楽しんで参加し、県民との交流を深める機会がふえてきておりますことはまことに喜ばしい限りであります。私は、在宅の知的障害者においてもスポーツや文化活動などを積極的に楽しみ、地域の人たちと交流する機会をさらに拡大することにより、知的障害者に対する県民の一層の理解が進むことを願うものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県では、こうした知的障害者の社会参加についてどのような施策を考えられておられるのかお示し願います。
 また、グループホームや授産施設などの整備については、第三次岩手県社会福祉基本計画に基づいて進めていると承知しておりますが、それぞれの事業の拡充を求める声もあることから、現時点での目標に対する整備状況についてお示しいただきたいと存じます。
 次に、環境保全施策についてお伺いいたします。
 県は、本年1月24日に岩手県環境対策推進連絡会議を発足させました。その設置要綱には、環境保全に関する事項について協議、連絡調整を行い、もって総合的な環境施策を推進するための岩手県環境対策推進連絡会議を置くとあります。我が党は、毎年予算編成期に県民生活の向上に向けた要望書を知事に対して提出してきております。この要望書の中には、本年度も岩手のかけがえのない自然を守り、後世に伝えるために県の事業全体を進めるに当たり、環境保全を横断的な視点でとらえ、総合的、計画的に進めることという項目を掲げていたことから、このような行政の部局の枠を超えた組織の発足を私は待ち望んでいたものであり、高く評価するものであります。
 そこで、まずお伺いいたしますが、この連絡会議の位置づけと今後の運営方向についてお示しいただきたいと存じます。
 私は、これまでも環境保全対策は、環境や自然保護の担当部署のみが躍起となって努力しても成功しないものであると考えておりましたし、開発と自然保護や環境保全については二者択一方式で論議するのではなく、総合的に検討していくことが必要であると思っております。そのためには、以前から我が会派の小原宣良議員が提案してきている環境基本条例の制定が不可欠であると考えておりましたが、知事は、この条例の制定に前向きに取り組む決意を申し述べられましたことに敬意を表するものであります。この上は、一日も早い時期に制定されるよう心から望むものであります。つきましては、環境基本条例の制定に向けた手続と今後のスケジュールについてお示し願います。
 次に、新年度からの機構改革に伴う環境保全担当組織についてお伺いいたします。
 私は、地域保健法の施行に伴う保健所再編成に当たって、この間、環境や公害、そして食品衛生などを担当する対物保健部門の強化を求めてまいりました。特に、広い県土を有する本県の自然環境を保全していくためには、法律や条令による規制の強化も必要ですが、実際の監視、指導に携わる専門職員の配置と機動力が不可欠となると考えてきたからであります。
 そこでお伺いいたしますが、保健所における環境保全業務の組織がどのようになるのかお示しいただきたいと存じます。
 次に、容器包装リサイクル法についてお伺いいたします。
 ふえ続ける一般廃棄物の処理を行うために多くの自治体が大変な苦労を重ねてきていますが、本年4月から容器包装リサイクル法が施行されることになりました。大量生産、大量消費というこれまでの社会構造を変換させ、廃棄物の処理についても、これまでのように燃やして埋める、この方式から、可能な限りリサイクルを行い、持続可能な循環社会へと変換させる引き金になることを大いに期待するところですが、リサイクルされる廃棄物が限られることや、市町村が分別収集に当たることから協力体制の確立が必要になりますし、何よりも県民一人一人の意識の改革が求められることになると考えられます。
 そこでお伺いいたしますが、県において、これまでこの法律の施行に向けて取り組んでこられた内容と今後の計画についてお示し願いたいと存じます。
 また、この法律による廃棄物の減量効果についてどのように考えておられるのか、あわせてお示し願います。
 次に、遺伝子組みかえ作物に関連してお伺いいたします。
 昨年3月に策定された第三次新いわて農業確立計画後期推進計画の第3章には、革新技術の開発普及と市場競争に打ち勝つ産地の形成、これを掲げています。本年4月にスタートする農業研究センターを中心に、岩手生物工学研究センター等との連携によって試験研究体制の強化を図るとされており、21世紀の岩手の農業を支える研究成果が期待されるところであります。既に平成5年度からは岩手生物工学研究センターにおいて本格的にバイオテクノロジー利用による商品性の高い独自品種を目指して研究が進められ、遺伝子組みかえ技術等によるオリジナル品種の開発も目指しており、私は、近い将来、岩手の土壤に適合した水稲を初めとする多くの作物がつくられるものと信じております。しかし、御承知のように、アメリカなどで遺伝子組みかえ作物が現実としてつくられた今、日本のみならず、世界の各国で食品としての安全性が問題にされているわけであります。安全性に対する対策や周知の仕方が現在の状況のままでは、遺伝子組みかえ作物は不利な状況が生まれるのではないでしょうか。遺伝子組みかえ技術による新たな作物の開発研究は、安全性の確認があって初めて有効なものになります。本県においても、既にこれまで進めてきた研究の過程において、環境や生態系に対する影響、そして、食品としての安全性に関する調査を行ってきているものと考えられますが、新たな技術を用いた研究成果とともに、これまでに行ってきている対応と今後の計画についてどのようになっているのか農政部長にお伺いいたします。
 第2点目は、食品としての表示の問題です。
 厚生省は、昨年9月にトウモロコシ、菜種、大豆、バレイショなど4作物7品目の遺伝子組みかえ作物の輸入を許可いたしました。このことにより、日本の食卓に遺伝子組みかえ技術を応用した食品が並ぶことになるわけですが、現時点で食品や家畜の飼料として利用した場合、安全性などに問題があることを掲げている研究者もいることから、ヨーロッパの多くの国では、生産や輸入に当たって遺伝子組みかえ作物であることを表示する義務づける法案を整備しつつあると伺っております。しかし、日本は、これらの作物の輸入を認める時点で、穀類の自給率が極端に低く、輸入に頼り切っているという事情があったことも原因しているのではないかと思いますが、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会が安全であると評価したことにより、表示義務を課しませんでした。このため、国内の研究者や消費者団体等が中心となって、日本においても遺伝子組みかえ食品である旨の表示を法律で義務づけるよう求める運動が展開されております。私は、食品の安全性を確保することは、県民の健康を守っていくために最低限必要なことであると考えており、ヨーロッパの各国のように表示義務を課すことが必要ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
 また、食品衛生法については厚生省の所管であることは承知しておりますが、先ほど申し上げたように、本県におけるバイオテクノロジーの研究は国内でも高い水準で進められていることから、岩手県内で新たに開発される遺伝子組みかえ作物について、食品としての安全確認試験を県内で進めていくことが必要になると思いますが、いかがでしょうか、環境保健部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、交通政策についてお伺いいたします。
 まず、JR岩泉線の存続問題に関連してお伺いいたします。
 私は、本年2月9日に大型バスによる国道340号の調査に参加する機会がありました。実際に茂市から岩泉町までの道路を見てまいりました。この目的は、JR岩泉線の廃止時においてバス代替運行もその一つの案と言われていることから、狭くて急な坂とカーブが続く峠の雪道を大型バスが安全に走れるかどうか、これを確かめることにありました。結果は、現在の道路状態ではバスの代替運行は無理であることが判明いたしましたが、特に押角トンネルやその前後の峠道が厳しく、ベテランのバスの運転手さんも、厳しいな、このことを訴えていたほどでございました。私は、今回の調査で、交通弱者と言われる高齢者や児童生徒の足を確保するためにも、JR岩泉線や山田線を守ることとあわせて、道路の整備も必要なことを改めて感じてまいりました。
 そこで、まずお伺いをいたしますが、これまでも茂市から岩泉までの道路の改良工事が進められてきておりますが、現在までの進捗状況と今後の計画についてお示しいただきたいと存じます。
 また、一昨年、JR岩泉線について、JR盛岡支社から沿線の自治体に対して勉強会の申し入れがなされ、関係市町村との話し合いも継続されていると伺っていますが、これまで県としてどのようにかかわってこられたのか、現在までの経緯と今後の対応についてお示しいただきたいと存じます。
 次に、東北本線の701系電車についてお伺いいたします。
 東北本線の盛岡から一関までロングシート形式の701系電車が導入されてから4年を迎えております。導入当時は多くの利用者から座席の不足や冬期間の車内温度の低さなどに対して不満が噴出したこともあり、JR東日本が車両数の増加などを行ってきたにもかかわらず、いまだに利用者からの苦情が新聞の投書欄に載っているのが見受けられます。また、この間、この電車の改良を求める請願が沿線の市町村議会に提出され、既に前沢町などで採択されていると伺っております。私は、この問題は民間会社であるJR東日本の経営問題であると同時に、通勤、通学の交通に関する極めて公共性の高い問題であると考えることから、県としても積極的に対応していくべきものと認識しております。
 そこで、この問題に対する県としての基本認識と、JR東日本に対してこれまでどのような働きかけを行ってきたのかお伺いいたします。
 最後に、教育行政に関係して教育長にお伺いいたします。
 21世紀を担うのはこれからの子供たちであります。今の子供にはゆとりが少ないと言われています。社会の要請なのか、よい会社に入るためにはいい学校に入る、そのためには学習塾へも通って学力向上を図ることが求められてきました。また、クラブ活動などでも勝利至上主義となり過ぎてはいないでしょうか。その結果、子供の評価として、高得点と勝利することが尺度となって、競争で人間関係が崩れてくることになり、いじめや不登校の要因につながることになるのではないでしょうか。私は昭和22年生まれであります。自分が小学校や中学校のころを思い出しますと、学校は実に楽しいところであり、中学校のころなどは学校林、林があったわけであります。学校林へ行って下草刈り作業を行うこともありました。勉強が不得意でも学校に来ない子供はいませんでした。みんなで一緒に遊んでいたものであります。もちろん学校週5日のそういう制度はなかったわけであります。
 そこでお伺いいたしますが、現在の学校行事のあり方や教育課程の改善など、幅広い改正が必要なものと考えられますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 また、教職員の業務内容も昔と異なってきているのではないでしょうか。研究授業や義務的な研修などがあり、日常業務も子供たちと直接かかわりのないものが多く、子供と接する機会が少なく、子供の悩みを聞くことも相談を受けることもできないこともあると言われていますが、学校現場の状況をどのように把握しておられるのかお伺いいたします。
 また、学校指定公開や教職員の研修などについて、これまで改善してきていると伺っておりますが、その内容についてお示しいただきたいと存じます。
 初任者研修も始められてから数年が経過いたしました。定着してきているとの考えもあるわけでありますが、現場で指導に当たる指導教員の配置や校外研修時の対応に十分なのでしょうか。私は、直接教育に携わっている者ではありませんが、新任の先生が育っていくために大切なことは、学校現場や地域の活動を通じた子供や親との交流が一番大切なような気がいたすわけであります。教育長の御所見をお伺いいたしまして、私のこの場からの一般質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊沢昌弘議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、国の地方分権推進委員会が昨年の12月に内閣総理大臣に提出をいたしました第1次勧告についてでございますが、この勧告は、対等、協力を基本といたしました国と地方公共団体の新たな関係を構築するための抜本的な改革を目指したものでございまして、機関委任事務制度の廃止、国の関与の基準や国と地方公共団体との間の紛争処理のための第三者機関の創設などのほかに、各行政分野の具体的改革にも踏み込んだ内容となっておりまして、地方分権推進の見地から、全体の方向といたしましては評価をしているところでございます。
 次に、機関委任事務を廃止した後の法定受託事務についてでございますけれども、今回の勧告におきまして、法定受託事務に区分をされましたものは、国政選挙事務、旅券の交付事務、生活保護の決定、実施に関する事務など、いわゆる統一性、国民の利便性あるいは事務の効率性の観点から、地方公共団体が受託して行うこととされたものでございまして、国の関与を必要最小限にとどめるとともに、十分な財源措置の伴うものであればやむを得ないものと、このように考えております。
 また、今回の勧告におきまして結論が出ていない他の機関委任事務があるわけですけれども、これにつきましては、地方の自主性及び自立性を高めると、こういう観点から、法定受託事務の範囲を極力限定いたしまして、可能な限り自治事務として整理されるべきであると、このように考えております。
 次に、地方事務官制度についてのお尋ねでございますけれども、この制度は、現行の地方自治法の施行に際しまして、従前、都道府県に勤務をしておりました官吏が原則として地方公務員に切りかえられた中にありまして、社会保険関係など、一部の機関委任事務に従事する職員を当分の間ということで国家公務員にするという暫定的な制度でございます。これまで、私は全国知事会を通じまして、国の地方分権推進委員会に対してこの地方事務官制度を廃止するように意見を述べてきているところでございます。現在、地方事務官が処理をしております社会保険関係の事務でございますが、これは国が保険者となりまして全国一律に運営される国の事業ではございますけれども、利用者の利便性や事務の効率性を勘案いたしますと、こうしたこの事務を都道府県の法定受託事務といたしましてその事務は地方公務員が処理することとするのが最も望ましいと、このように考えているところでございます。地方事務官制度につきましては、今後とも県議会の御意向もございまして、これも踏まえまして適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、地方における財源確保対策についてでありますが、県といたしましては、地方分権の推進のためには、地方税財源の抜本的な強化を図り、住民生活に密接に関連する施策については地方公共団体が自主的、主体的な判断と責任のもとに、それぞれの地域の実情に応じた取り組みが展開できるような行財政システムに転換していくことが何よりも重要であると考えております。このため、税につきましては、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するように、偏在性がなく、かつ、安定性を備えた税源の充実を図ることが不可欠であり、また、地方交付税についても、地方公共団体間の財政力の格差を是正するとともに、その総額の安定的確保を図るほか、地域の実情に即した算定方法となるような財政調整機能の強化を図ることが重要であると考えております。したがいまして、今後とも、このような本県の考えを十分に反映した前向きな取り組みがなされるよう、地方分権推進委員会に対して、統一要望はもとより、北海道東北地方知事会や全国知事会の場等を通じ、要望活動を積極的に展開していく必要があると考えております。
 次に、市町村への権限委譲についてでありますが、県といたしましては、住民に身近な行政は住民に身近な行政主体において処理すべきであるという考え方に基づき、県と市町村とは、ともに県民生活に密着した地方行政に携わるパートナーとして適切な機能分担と支援協力関係を基本として、住民の利便性などの観点から、市町村が執行することが適当と考えられる事務につきましては、積極的に権限委譲を図ってまいりたいと考えているところであります。
 県におきましては、これまでも権限を委譲する際には説明会を開催するなど、各市町村と十分に協議を行い、かつまた必要な財政措置を講じてまいったところであります。今般の権限委譲に当たりましても、県民サービスの向上の観点等から、市町村が執行することが望ましい項目について市町村の意向等を踏まえながら本年度内に権限委譲に係る指針を取りまとめ、来年度以降、県と市町村による協議機関において協議を行い、各市町村との合意のもとに委譲を進めていく考えであります。
 また、財政的な支援につきましては、委譲初年度に係る準備事務とその後の事務処理に係る財政措置を講ずるほか、人的な支援につきましても必要に応じて各種研修会の開催やマニュアル等の作成、事務指導を行うなど、適切な事務の執行に遺漏のないよう配慮してまいりたいと考えております。
   〔生活福祉部長佐々木孝太郎君登壇〕
〇生活福祉部長(佐々木孝太郎君) まず、児童福祉法改正案要綱についてでありますが、御案内のとおり、国におきましては、昨年12月、中央児童福祉審議会から、児童福祉制度の見直しについての中間報告が提出され、これを受けて児童福祉法等の一部を改正する法律案要綱を取りまとめ、審議会に諮問し、さきに答申が行われたところであります。これによりますと、保育料につきましては、これまでの応能負担の方式から保育費用や児童の年齢等に応じた負担に改めることとされております。また、中間報告におきましては、保育料負担の適正な水準を確保するため、引き続き所要の公費負担を行うことが必要とされておりますが、具体的な保育料徴収の基準案については、いまだ示されていないところであります。県といたしましては、今後とも、国における検討の動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、公的責任につきましては、中間報告において、公費負担などの面において全体として公的責任が後退することのないようにすべきであるとされておりますが、改正案要綱においても、公費負担のあり方を変更する内容は含まれていないところであります。
 次に、これまでの県の取り組みについてでありますが、放課後児童健全育成事業を法律上に位置づけることなどにつきましては、従来から、国に対し県議会ともども政府予算統一要望を通じて、その法制化等を要望してきたところであります。さらに、教護院の名称改正や児童家庭センターの設置などにつきましても、いずれも市町村を初めとする関係機関等と大きなかかわりを有する内容となっておりますことから、県といたしましては、審議会における審議の段階から市町村の担当課長会議を開催するなど、関係方面に対して情報提供を行ってきたところであります。今後におきましても、改正法案の動向を見守りながら、関係機関等との連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、知的障害者の社会参加を促進するための施策についてでありますが、知的障害者が地域の人々と一緒にさまざまな活動に参加し交流する多くの機会を持つことは、知的障害者に対する県民一人一人の理解を深め、障害のある人もない人も、ともに生きる地域社会を創造していく上で、極めて大切なことであると考えているところであります。このため、県といたしましては、これまでも岩手県福祉交歓大運動会や県内11地区におけるスポーツ大会の実施のほか、障害者文化芸術祭の開催など、多様な施策に積極的に取り組んできたところであります。さらに、9年度から新たに在宅の知的障害者を対象として、身近な地域でスポーツやレクリエーション、文化などの多様な分野において、幅広い社会参加活動に取り組む精神薄弱者社会活動総合推進事業を創設することとしており、今後とも知的障害者の社会参加と交流を図るため、総合的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 また、グループホームや授産施設等の第三次岩手県社会福祉基本計画の目標に対する整備状況についてでありますが、知的障害者が共同で生活するグループホームは、平成12年度61カ所の目標に対しまして現在40カ所が設置されており、東北では最も多い設置数となっております。精神薄弱者通所授産施設は、12カ所の目標に対して現在8カ所の設置となっているところであります。平成9年度におきましては、東北初の設置となります精神薄弱者福祉工場の整備や通所授産施設の増設を行うこととしており、今後とも積極的に施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) まず、岩手県環境対策推進連絡会議の位置づけと今後の運営方向についてでありますが、今日の環境を取り巻く状況は、従前の自然環境や生活環境の問題にとどまらず、地球規模の環境問題の対応や開発と保全との調整、河川の水質保全、廃棄物の適正処理、エネルギー対策等、幅広い分野にわたり複雑化かつ多様化し、また、これらが関連してきております。このような状況に的確に対処するためには、これまでのような分野ごとの対応では不十分であり、環境を総合的にとらえた施策を講ずることが必要であることから、庁内関係課長により構成する連絡会議を設置したところであります。この連絡会議におきましては、当面は環境影響評価制度の創設や自然環境保全指針の策定に関して協議するとともに、全庁的に情報交換を行い、環境施策についての連絡調整を図っていきたいと考えております。
 次に、環境基本条例についてでありますが、条例の内容としては、本県における環境保全の基本理念、行政、事業者、県民の役割と責務及び基本施策の方向等を盛り込むことを考えております。
 条例制定の手続と今後のスケジュールについてでありますが、このほど庁内で検討に着手したところであり、今後は環境審議会等の意見を伺うとともに、県民の意見を十分反映できるよう配慮しながら検討を行い、可能な限り早期に条例の制定について取り組み、議会にお諮りしてまいりたいと考えているところであります。
 次に、機構改革に伴う保健所における環境保全業務の組織についてでありますが、多様化し増大する生活環境問題に対応するため、これまでの衛生課を衛生環境課として再編強化することとし、また、同課に環境保全行政を専門に担当する組織として、環境係を新たに設置することといたしております。
 次に、容器包装リサイクル法についてでありますが、この法律は、市町村が策定する分別収集計画に基づき消費者が分別排出し、市町村が分別収集し事業者が再商品化するという、それぞれの役割分担により容器包装廃棄物のリサイクルの促進をしようとするものであります。これまで取り組んできた内容ですが、県においては、市町村計画の策定のために説明会の開催や個別指導を行い、その結果、昨年の11月までにすべての市町村において計画が策定されました。また、県においては、昨年12月にこれらを取りまとめ、さらに分別収集促進のための施策をも盛り込んだ岩手県分別収集促進計画を策定したところであります。また、分別排出については、住民の協力が何よりも重要であることから、テレビ等により県民に広く周知を図ってきたところであります。今後は、さらに県、市町村、関係団体等により構成する協議組織を設置し情報交換を行うとともに、市町村の抱える個別の課題についての解決について支援をし、効率的な分別収集体制の整備を促進してまいりたいと存じます。
 また、この法律による廃棄物の減量効果についてでありますが、一般廃棄物の中で重量比で約3割を占める容器包装廃棄物のリサイクルが促進されることにより、ごみの排出量に対する再資源化量の比率は、平成6年度の約6・2%から計画最終年度の平成13年度には約11%になるものと推定されるほか、市町村における焼却処理コストの節減や最終処分場の延命化等が図られるものと考えております。
 次に、遺伝子組みかえ食品についてでありますが、食品の表示については食品の安全性の確保を図る観点から、食品衛生法の規定に基づき、食品添加物等について一定の基準が定められておりますが、穀類、豆類等の農産物については、表示の基準が定められていないところであります。遺伝子組みかえ食品の表示については、国では、伝統的な手法で改良された既存の食品等と同様であるとの理由により、特に他の食品と区別して食品衛生法に基づく基準を定めることは適切でないとしております。
 一方、消費者からは、食品表示は食品選択の上で重要な情報であるとの意見もあることは十分に承知いたしておりますが、この問題は法律上の問題であることから、県といたしましては、国の動向を見きわめつつ対応してまいりたいと考えております。また、遺伝子組みかえ食品は、高度な先端技術を応用するものであり、食品分野への応用経験も少ないことから、国においては製造指針及び安全性評価指針を定めるとともに、第一義的に安全性確保を図る責務を有する製造業者は、製造に当たってはこの指針に基づき厚生大臣に確認を求めることができることとされております。県といたしましては、県内で遺伝子組みかえ食品が開発される場合は、指針に基づく確認の申請の際にその内容を十分審査し、必要に応じて現地調査を行うとともに、適正に製造が行われるよう指導してまいる考えであります。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) まず、遺伝子組みかえ作物の研究成果についてのお尋ねでございますが、生物工学研究センターでは、安全対策に十分配慮しながら遺伝子組みかえなど、最先端の技術により、冷害に強い水稲や新しい花の色のリンドウ、病気に強いリンゴなど、産地間競争に打ち勝つ特色ある品種の基礎となります交配母本の開発に取り組んでいるところであります。現在、水稲やリンドウなど4品目につきまして遺伝子組みかえの効果を確認中でありまして、そのうちトルコギキョウでは、全国で初めてウイルス病の抑制効果を確認したところであります。
 次に、遺伝子組みかえ作物の安全対策の現状と今後の計画についてでございますが、組みかえ作物の開発、実用化のためには、その安全性確認が第一であるとの認識のもとに、既に国の支援を得て閉鎖型の温室や隔離圃場など、国の指針に適合した安全性確認のための施設を整備しているところであります。今後、遺伝子を組みかえた作物は、順次これらの施設で国の指針に従いまして花粉の飛散性、雑草化や有害物質など環境や生態系への影響など、安全性の確認に万全を期してまいることとしております。
 なお、水稲など、食用に供する作物につきましては、環境などへの安全性が確認されました段階で食品としての安全性確認に着手することとしております。
 県といたしましては、生物工学研究センターでの研究内容や安全性確認の状況を公開するなど、今後とも県民に対しまして正確な情報を提供しながら、バイオテクノロジー研究についての理解が一層深められますよう努めてまいる考えであります。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 国道340号の整備についてでありますが、本路線は、陸前高田市を起点として青森県八戸に至る総延長約240キロメートルの道路であり、国道4号と45号の中間部を縦走し、県土の産業経済の発展と生活を支える重要な幹線道路であります。これまで県としては、この路線の重要性にかんがみ鋭意整備に取り組んでいるところでありますが、路線全体の改良率は約74%であり、県平均の国道の改良率に比べ整備がおくれているのが実情であります。御指摘の新里村茂市から岩泉町落合に至る約36キロメートルの区間につきましては、谷間の急峻な地形の間を通りしかも鉄道が並行していることから技術的に難しく、また、多額の事業費も要することからこれまで整備がおくれてきており、昨年完成いたしました刈屋バイパス約6キロメートルを含めても、当該地区間の改良率はまだ27%にとどまっている現状であります。このような状況であることから、整備を進めなければならない区間が多く残っておりますが、当面、現在事業中の岩泉町川代地区900メートルの整備促進に努めるとともに、今後、新たな工区として新里村和井内地区5キロメートルの整備を進めてまいりたいと考えております。また、新里村と岩泉町の境界付近には、交通の難所となっております押角峠がありますが、現在、この峠に向かって両側より逐次整備を進めているところであり、全線の早期完成を目指して努力してまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) JR岩泉線についてでありますが、御案内のとおり、岩泉線は地域住民の日常生活の足として重要な役割を担っているほか、観光や産業などを通じた地域の振興にも深いかかわりを持っていることから、その将来のあり方については地域住民が納得し得るものでなければならないと認識しております。このため、JRに対しましては、地元への勉強会開催の申し入れに関する報告を受けた際も含め、公共交通機関としての重大な責務を踏まえまして、地元との間で十分な協議を尽くすよう要請を重ねるとともに、地元の宮古地区広域圏鉄道対策協議会とも密接な連携を図っているところであります。両者の間では、これまで3回の勉強会が開催されまして、輸送密度の実態でありますとかサービス改善の可能性等についての考え方を相互に交換するなど、岩泉線の現状に関する共通理解の確立に向けた話し合いが引き続き行われているところでありますが、県といたしましては、当面は両者の間で率直な意見交換に専念したいとの意向もございますので、引き続き協議の動向を注視し、地域住民の交通に係る安全性と利便性を確保する観点から、必要に応じまして両者の協議に参加することも含めまして適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、701系電車についてでありますが、県といたしましては、JRが使用する車両の仕様や設備の内容等は、基本的にはJRが経営上の観点も踏まえて判断すべき問題でありますが、同時に、議員御指摘ございましたように、公共交通機関として利用者の意向をも反映した利便性の高い輸送サービスの提供が必要であるものと考えております。御指摘の701系の電車につきましては、平成6年12月の導入以来、これまでスピードアップや定時性の向上、冷房装置の新設等に対して好意的な評価がある一方で、主に通勤時間帯を中心にしまして座席数の減少でありますとか連結車両数の削減に伴う混雑等に対する改善を求める意見も見られることから、県といたしましては、JRに対し、利用者の声を踏まえて車両増結等の改善措置をとるよう、さまざまな機会をとらえまして要望を行ってきているところであります。その結果、JRにおいては、既に混雑時における一部列車の増結を初めとしまして、つり革位置や暖房方式等の改善を実施してきたほか、今月の22日にダイヤ改正が予定されておりますが、この中で車両増結のさらなる拡大でありますとか新規増発によって、一層の混雑の緩和を図る計画があると伺っております。
 県といたしましては、今後とも、利用実態や市町村等の要望をきめ細かく把握しながら、必要に応じましてJRに対する要望を行い、利便性の向上の実現に努めてまいる考えであります。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) まず、教育現場のゆとりの現状についてでありますが、多様化、効率化してきている社会の影響や少子化に伴う子供への過度な期待などさまざまな要因から、ゆとりのない状況が指摘されているところであります。このような状況を踏まえまして、学校では可能な限り教育活動全体の見直しを図るとともに、児童生徒が個性や能力を発揮し、充実した学校生活を送ることができるよう、指導内容、指導方法の工夫改善に努めているところであります。しかし、現行の学習指導要領のもとにおける工夫改善には限界があることから、現在、国においては、教育課程審議会で教育内容の大幅な精選等を検討しているところであり、県としては、その動向を見きわめながら学校教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 一方、教員の多忙化の解消を図るため、県におきましては研究指定校や教員研修の見直しを図っており、研究指定校につきましては平成6年度から県の指定校を半数に削減しておりますし、研修につきましても、総合教育センターにおける研修講座を精選するとともに、教員みずからの課題に応じた研修内容や学校の事情に応じた研修時期の選択ができるようにするなどの改善を進めており、この4月から実施することとしております。
 次に、初任者研修についてでありますが、新任教員が配置された学校におきましては、経験豊かな教員を中心に、授業の進め方や児童生徒の理解等について、組織的、計画的に指導、助言を行う体制をつくり、研修の定着が図られるよう配慮しているところであります。
 また、総合教育センターなどで行われる校外研修において、初任者が学校をあける場合には非常勤講師を措置するなど、学校運営や児童生徒の学習に支障を来さないようにしております。
 また、御指摘のように、新任の教員にはPTAや地域社会での活動が有益であることから、これらに積極的に参加を促しておりますが、今後におきましても、学校の外にも視野を広げ、情熱と使命感を持った教員として育つよう指導に努めてまいりたいと考えております。
〇12番(伊沢昌弘君) 各部長、知事の御答弁ありがとうございました。
 何点かにわたって再質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、地方分権についてでありますが、知事の御答弁の中に、全体的に地方ですべきことはしろと、こういうことでの勧告がなされていて、評価をしているということであったわけであります。私も、全体的な部分で地方が物事をやっていく、そのためにこの勧告が速やかに法制化をされて法律として出てくるということを一つは期待をしているわけでありますけれども、ただ、この勧告の中に重大な部分があるというふうに私は思っているんです。国から地方に権限が委譲される、地方公共団体の役割が大きくなっていくわけであります。この地方分権推進委員会は、この勧告の中で、地方公共団体の行政体制の課題、いわゆる県とか市町村の地方公共団体に対して課題ということで行政改革の推進を同時に掲げているわけであります。本県はこれまでも職員管理、これを徹底をしてきたわけでありますが、定数の削減、そして縮減を行いながら新たな行政需要に対応してきているわけであります。本格的な地方分権がなされた場合、今、国が言っている中身にのっとっていろいろな部分が自治事務、さらには法定受託事務ということになっていくわけでありますけれども、その業務の中で職員定数をふやさないでこのままやっていけるのかどうか、私は大変難しい問題があるのではないかというふうに思うわけであります。代表質問の中で、我が会派の久保田議員がこれからどうするんだということに、総務部長は、適正な人事管理を行ってまいりますと、こういう言い方をしているところがあるわけでありますが、これ以上の分権が進む中で、国が言うように、権限もやるけれども行革も進めて肥大化をするなというやり方に本県が本当に対応していけるのかどうか、この辺に大変疑問を覚えるところであります。総務部長の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 次に、環境保全に向けた組織関係についてお伺いいたします。
 保健所の統廃合に当たりましては、監視体制の確立をする、そういうことでそれぞれの課を設けたという御答弁をいただいたわけであり、一定の努力に評価をさせていただきたいと思いますが、環境保全組織に関連をして、監視業務と密接な関係にあります試験検査体制について環境保健部長にお伺いしたいと思います。
 従前、盛岡、北上など6カ所の保健所において、ある程度集中をして検査業務を行っていたわけであります。今般の機構改革の中で、4カ所にこの検査をする保健所が集約をされるということでお示しをされたわけであります。ところで、その4カ所を見た場合、北上川流域テクノポリス計画の中心地であります北上保健所、さらには花巻保健所がその中には含まれていないわけであります。いわゆる指定保健所でないことに私自身大変疑問を感じるわけであります。この理由と、今後の対応についてどうしていくのかお示しをいただきたいというふうに思っているわけであります。
 また、この四つの保健所というのは今後とも固定をして動かさないのか、こういうことをあわせてお伺いをしたいというふうに思います。4月からスタートする時点で、スタートしない前にこれから先のことを聞くのは大変おこがましいわけでありますが、初めが肝心と思いますので、ぜひ御答弁をお願いをしたいと思います。
 次に、遺伝子組みかえにつきまして農政部長と環境保健部長に御答弁をいただきました。現時点で大変ぎりぎりの御答弁ではないかというふうに思うわけであります。若干私の考えを申し上げながら、重ねて両部長の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。
 農政部におきましては、ただいまお示しをいただいたように、大変御苦労されて新しい分野に道を開いてきた。花等に対するやり方というのは、これはできて美しい。そして、生態系に影響がなければ、それで私は終わりだと思うわけであります。ただ、食品ということになりますと、これはやっぱり、今、部長からお話がありましたように、きちんとした対応の中で、現場で実際に作物としてつくる段階で食品としての安全性がやっぱり必要だというふうに思うわけであります。そういった意味では、視点を持たれてこれまで研究をされているということに大変敬意を表するわけでありますが、食品の部分で、国の問題だと。いろいろな制度とか取り扱いについては国の指針にのっとってやっているという環境保健部長のお言葉をいただいたような気がするわけであります。私がこの問題を取り上げたのは、岩手県が力を入れてこれまで開発をしてきた。農政部長がおっしゃったように、他県ではない成果ができつつあるというふうに思うわけであります。そういった中で、今、この遺伝子組みかえの作物に対して全国的に関心が高くなっている、そういう時点で、県としての責任ある対応があってもいいのではないかというふうに考えたからであります。国が決めればいいのだということではなくて、県としても、今、農政部がつくっているものに対して、環境保健部が食品として出ているときにどういう対応をするのかということを側面からいわばフォローする、そういうことが必要ではないかと思ったわけであります。国と県のこれまでの横割りといいますか、国の部分、県の部分、そういう横割りの部分、さらには農政と環境保健部という縦割り行政の枠を超えて、県民に責任を負う、こういうことで研究を進めていくということが大切であるというふうに思ったわけであります。そういった意味では、食品に至る時点で、農政部長は安全性も含めて取り組みたい、こういうお話をされたわけでありますが、環境保健部長の御見解の中では国だということがあったわけでありますので、ここは環境保健部長の御答弁の中に改めて御所見をお伺いしたいものだというふうに思うわけであります。
 最後になりますが、企画調整部長にお伺いをしたいと思います。
 JR岩泉線の関係でございますが、土木部長から御答弁があったように、国道340号、これは大変な改良工事をこれまでもやってきたと思うわけであります。今後も押角トンネル等を含めて開通をする、大変な予算と時間がかかるものだということを私自身見てまいりました。したがって、本質問の中でも触れたわけでありますが、昭和58年に代替は無理だと言った時点と今も全く同じではないのかと。路線が通じていなければバス代替は無理だということになるわけであります。したがって、今、岩泉線に関してはそれぞれの市町村と勉強会をしているということの中で、県もきちんとした対応をされているというふうには思っているわけでありますが、58年当時と比べてこの道路がバスが使えるという時点がない状況の中で、これはやっぱり市町村と一緒になる形で、改めてJRの方に存続とダイヤの改正を含めた利便性をとっていただくということが必要になると思うわけであります。そういった意味で武居部長の御所見をお伺いをしたいというふうに思います。
 また、要望になりますが、土木部長には、本県の大変広い県土、4号と確かに45号の真ん中にある340号であります。均衡ある県土の発展といった場合に、まさにあの道路は均衡を欠く、そこをつくっているものだと思うわけであります。道路の整備というのは、人が通る、経済効果を中心としながらものをやると思います。しかし、340号沿線にも人は住んでいるわけであります。林業を営む方もいるわけであります。そういった中で、産業興し、その地域の方が脈々とその場所で生きていくためには、少なくとも国道と名のつく部分について整備をきちんとしていくというのは県としての責務ではないかと、こういうふうに思うわけでありますので、今後とも計画を進めるという御所見をいただいたわけでありますので、ここは御要望を申し上げておきたいというふうに思います。
 大変多い再質問になりましたけれども、御答弁をお願い申し上げます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) 職員定数についてのお尋ねでありますが、職員の配置につきましては、事務量に応じて配置することを基本とし、毎年度事務事業の見直しなどによる効率化を図るとともに、新規行政需要の動向などを的確に把握しながらその配置を行ってきているところであります。今後におきましても、多様化する県民の行政ニーズに的確に対応して、施策の円滑な推進を図るため、地方分権の推進による事務量の動向をも勘案し、新たに生ずる行政需要には適切に職員を配置しながら、最少の人員で最大の効果を上げることを基本に適正な職員配置に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) 保健所の試験検査体制についてのお尋ねでございますが、昭和48年度以降、技術的に比較的難度の高い試験検査機能を備えた保健所6カ所をいわゆる指定保健所として整備してきたところでございます。一方、今日の保健所におきます試験検査は、規制基準の変化とか検査項目の増大等によりまして、より効率的、また、技術的難度や精度のより高い検査機能の充実が求められているところでございます。このたびの保健所の機能強化や再編整備に伴いまして、より高度の検査機器を整備したり、あるいは限られた専門職員をより効率的に活用するという観点から、これまでの指定保健所制度を廃止いたしまして、新たに保健所における検体の搬送あるいは試験検査等に係る実態、さらには、交通事情等を勘案いたしまして県内を四つのブロックに分け、これは県北、県央、県南、沿岸の4ブロックに分けて、それぞれのブロック内の特定の保健所に高度な検査施設設備を整備することといたしたものであります。今後は、ブロック内の各保健所がこの検査施設設備を共同で活用していただくとともに、ブロック内における各保健所が相互に連携を図りながら、広域的に試験検査に対応することといたしております。
 なお、住民の利便性を損なわないように、住民の検査依頼の受け付け、検体採取あるいは結果の通知等につきましては、従前どおりすべての保健所で行うことといたしております。
 また、このような試験検査体制につきましては、試験検査に係る今後の社会状況等を踏まえて、必要があれば適宜見直し、対応してまいりたいと考えております。
 次に、遺伝子組みかえ食品についてでございますが、先ほど申し上げましたように、県といたしましても国任せということではなくて、いろいろ確認とか、あるいは製造業者の製造に係る指導等に努めてまいりたいと考えておりますが、特にも県が開発しようとしている新たな遺伝子組みかえ作物、これは食品になる可能性があるわけですが、このような食品につきましては、国のみならず、農政部とも十分に連携を密にいたしまして、同じ県でございますので、農政部と十分に連携を密にいたしまして、製造指針や安全性評価指針に基づいて安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) 遺伝子組みかえ作物の安全性確保についてでありますが、生物工学研究センターでのバイオテクノロジー研究の推進に当たりましては、環境保健部を初め、本庁関係部及び試験研究機関で構成されておりますバイオテクノロジー研究調整会議を通じまして研究課題や成果の活用などにつきまして調整をするなど、連携を深めてきているところでありますが、特にも御指摘がありました食品の安全性につきましては、今後ともこうした場を有効に活用しながら、国の指針はもとより、なお一層この遺伝子組みかえ作物の安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) JR岩泉線についての御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、協議を行っている宮古地区の広域圏鉄道対策協議会とJRの双方から、共通理解を深めていく上では、まず、岩泉線の現状と問題点について客観的なデータをもとに多角的な観点から両者がそれぞれの考え方を相互に交換する必要があるということで、現在まだその一部にとどまっているため、当面は率直な意見交換を引き続き進めていきたいと、こういった意向があるというふうに伺っております。県といたしましても、この問題は関係者の信頼関係というものが何よりも大切であるというふうに考えているところでありますので、このような両者の意向を十分尊重した上で、協議の内容の詳細な把握により協議に参加する必要性につきましても判断してまいりたいと思いますし、こういった話し合いがまとまっていく過程で、地元の考え方というものも十分踏まえながら対応を進めてまいりたいというふうに考えております。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、中屋敷十君。
   〔8番中屋敷十君登壇〕(拍手)

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