平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇15番(伊藤勢至君) 新進・公明の伊藤勢至でございます。
 一般質問3回目の機会をいただきましたことに感謝をいたしながら、質問通告に従い順次質問いたしますので、どうぞ積極的な御答弁を期待をいたします。
 まず最初に、三陸鉄道についてお伺いをいたします。
 県におかれましては、9年度に仙台乗り入れ直通列車の試験運行を行い、乗客減少などで悪化しつつある同鉄道の経営改善と三陸地方への観光客誘致を図られることとなりました。しかも試験運行の費用770万円を負担いただくなど、増田知事を初め県の関係者の皆様の三鉄を活性化させようという御熱意に対し、沿岸に生活する1人として心から感謝を申し上げたいと存じます。三陸鉄道は、84年度に約268万人を超えた輸送人員が昨年度には181万人まで減少し、94年度には初の経常収支の赤字を計上したところであります。主な原因として、定期利用客の減少や94年2月の脱線転落事故の影響等が挙げられております。しかし、私は根本の問題として、この鉄道を開通させるまでの沿岸住民のマイレール意識の薄れにあるものと思っております。いわゆる、釣った魚にえさはやらなくてもいいとする考えであります。そこで、県が今回の試験運行を行うに当たり、その目的と同時に、沿線の住民に何を語りかけ住民の熱意の喚起をどのように導こうとされておるのか、当局の熱意のほどをお示しいただきたいと思います。
 次に、環境保全という観点から、水質の保全についてお伺いをいたします。
 今回の一般質問の代表質問の劈頭、我が会派の那須川議員の質問に答えて、増田知事が、環境基本条例を策定するとの表明をされましたことは、岩手の環境を保護し、自然と共生を図りながら、ゆとりと潤いのある暮らしを実現すると知事演説で述べられておれらることを端的に示したことであり、まことに時宜を得たことと評価をいたします。そこでその環境保全条例に資するように提言を交えて質問いたします。
 人間の生活に欠くことのできない水道の水質基準は、検査項目が昭和53年の26項目から平成4年には46項目へと増加し、さらに、強制ではないものの快適水質項目13、監視項目26項目、あわせて85項目と約4倍にふえており、このことは、裏返して言えばそれだけ水質を保全することが厳しくなってきたことの証左であります。しかも新しい項目のものは、本来自然界には存在しない、人間がつくり出した化学物質であります。発がん性ありとされるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンがその代表的なものであり、万一これらの物質が地上に投機されると、比重が水よりもはるかに重いということで限りなく地中に浸透するとされております。県内の自治体が水源水質保護保全と水源涵養のために河川の上流の山林を取得することが多くなってきました。このことは、水と空気と安全はただとしていた従来の考え方を大きく転換するものであり評価するものでありますが、その涵養林から流れ出た河川水、表流水と地下水を県内各自治体が上水道と簡易水道に用いていることを考えるとき、原水としての河川の水質が汚染されないように規制しなければなりません。岩手県公害防止条例の第4章水質汚濁に関する規制の第30条から第38条までがこれに該当するものと思います。国の環境庁水質保全局監修水質法令研究会編集の改訂水質汚濁防止法の解説には、第1部総論の中で、水質保全法は後追い行政であったことを認めた上で、都道府県はその条例で国の排水基準、上乗せ排水基準を定めることができることとなったと記してあります。また、第2章各論の排出水の排出の規制のうち予防的規制の中で、特定施設等に構造的な欠陥があり排水基準に適合しない排出水を排出することが予見される場合には、現実に排水基準に違反していなくても、その恐れがあるとして改善命令を発することができる、そして恐れがあると認める主体は都道府県知事であると明記しておりますが、岩手県公害防止条例の第37条の中には、現実に排水基準に違反していなくてもという文意が欠落していると思いますがいかがでしょうか。水質の保全ということを追い求めれば必ず水質汚濁防止法のこの部分にたどり着くと思いますが、当局の考え方をお示しいただきたいと思います。
 次に、農林漁業の振興対策について伺います。今日、地球環境の保全という観点から、農林漁業は一体的関連性があるとの認識がようやく高まってまいりました。地球上に降り注ぐ雨水が山、川、海、そしてまた蒸発によって山へと循環するサイクルの中に農林漁業が成り立っているという理論であります。私はこのような観点から、本県の重要な1次産業である農林漁業の振興策について、提言を加えながら、門外漢であることの面映さをも顧みず当局の考え方を伺いますので、どうぞ積極的な答弁を期待をいたします。
 我が県政調査会にありましては、昨年1月16日、日本女子大学教授今村奈良臣先生を講師に、21世紀は農業が花形産業という題で講義をいただいたところであります。その講義の中で、米国農務省出身の食糧専門家のレスター・R・ブラウン氏の、「だれが中国を養うのか」という論文の紹介があり、タイトルも含めてその内容に大きな衝撃を受けたところであります。その要点は、21世紀には世界の人口爆発、特に中国、インド、アフリカ等によって世界規模での食糧危機が確実にやってくるというものでありました。96年3月16日付日本経済新聞に、米国農務省によると95年から96年の世界の穀物消費量は17億4、500万トンで、生産量16億7、900万トンを上回る見通し。消費量が生産量を上回るのは3年連続で、世界の穀物在庫は2億3、000万トンと前年より22%減少する。年間需要に対する在庫の割合は13・1%で、食糧危機と言われた70年代前半を下回る水準に落ち込むと書いてありました。ここに戦略経済研究所の浅井隆氏の著した、食糧パニック--世界の穀物が間もなく底をつくという本がありますが、以下、その中から幾つか引用します。
 日本の穀物自給率は1960年の79%から現在の29%まで、30年間で信じがたいほど減少してきた。先進国と言われるヨーロッパ連合・EUは、1962年から1992年までの30年間に穀物自給率を77%から126%へと激増させた。6割以上も自給率を上げたことになる。この間、日本は約4分の1へと激減させていた。アメリカはここ30年以上の間、自給率128%以上を維持し、さらに、中国も最近輸入国に転落したとはいえ基本的に自給率95%以上を維持し、それ以外のアジア諸国も基本的にはみずからの食べ物はみずからの手でつくるという自給率100%政策を堅持している。日本の自給率29%を穀物品目別に見ますと、1994年のデータで、米はさすがに120%と必要分を確保していますが、ほかは全く悲惨でありまして、例えばパン、うどん、そば--大部分が小麦で占められている--せんべい等の原料となる小麦粉の自給率はわずか9%。納豆、しょうゆ、豆乳、みそ、豆腐、油揚げ、きな粉等の原料で日本人の食生活とは切っても離せない大豆の自給率に至っては、何とたったの2%であり、この不足分の98%と主に家畜用のえさとなる飼料用トウモロコシの99%をアメリカに頼っているのであります。国連の機関であるFAO・国連食糧農業機関では、世界の食糧安全保障にとっての安全在庫として、トウモロコシ15%、小麦25%、穀物全体17から18%を示しておりますが、今日日本が頼りにしておりますアメリカのトウモロコシの在庫は、96年6月15日4%を切って3・67%、これは史上最低、大豆については96年6月8・25%、これは72年から73年の4・7%に次ぎ二十数年ぶりの低在庫ということであります。
 では、二十数年前に何が起こったか。1972年ペルー沖で海面水温が異常に高くなるというエルニーニョ現象が発生をし、カタクチイワシの世界総水揚げ量の3分の1がこのペルー沖でとれていたため大騒ぎとなった。というのも、カタクチイワシは飼料たんぱくの原料であり、その代替品として大豆に一挙に需要が向かった。そしてその結果、在庫払底を危惧してドルが史上最高値をつけ、慌てた当時のニクソン大統領は大豆の輸出規制を発動し、日本でも大豆パニックが発生し、当時25円の納豆が50円に、50円の豆腐が150円から200円という狂乱インフレを招き、石油パニックに端を発したトイレットペーパー騒ぎとも相まって、日本に戦後最大のパニックと混乱を巻き起こしたのであります。また、穀物は人間だけが食するのではなくて、例えば鶏卵1キロをつくるのに必要な穀物は1・5キログラム、鳥肉では2キログラム、豚肉では5キログラム、牛肉では8キログラム、つまり、穀物をそのまま食べるのに比べて牛肉だと8倍の穀物を必要とするそうであります。昨年の春、英国の狂牛病では大変驚いたのでありますが、これについて農水省家畜衛生試験場の久保正法病理診断室長は、本来は羊の病気スクレイピーにとどまっていたのに、羊の脳などを牛の飼料にしたのが原因、人間に責任があると言い切っております。動物たんぱくのリサイクルによる畜産の経済効率があだとなった新たな人獣共通感染症と言えないかとも言っております。英国の畜産は当然、その飼料を穀物にシフトし直すはずでありますから、その分がまた消費量として減っていくのであります。
 我が国は、日米安保体制という一見盤石に見える枠組みの中で、世界的有事や穀物供給に万が一のことが起こる可能性というものを無視し、ひたすら工業国への道を突っ走り、その結果、食の根本である農業を衰退させ、穀物自給率を縦死の重傷へと追いやってしまったのであります。金さえあれば片がつくさとまだ多くの日本人がたかをくくっているかもしれませんが、その金を生む金の卵ともいうべき貿易黒字は、貿易黒字そのものが日米安保体制のパートナーに、もうけ過ぎだから減らせ、働き過ぎだから休めという圧力によって激減させられております。おまけに米まで買わされて踏んだり蹴ったりの状態、これが現在の日本の農業の姿であり、この結果を生んだのが国家レベルでの危機管理の欠如と農業政策の戦略の欠如であると言わざるを得ません。
 2月27日付朝日新聞の社説の中で、農業は原野を切り開いた点では自然を壊した。しかし、循環する生態系を生み出すことで新たな環境をつくった。メダカやドジョウやフナがいて、螢やトンボが飛ぶ環境である。その農業環境を農薬と化学肥料が壊してきた。コウノトリやトキの絶滅の危機も田んぼの変容と無関係ではない。農薬の使用を減らしたり有機栽培を導入したりしている生産者は、ただの虫の存在を高く評価する。害虫とか益虫という分類は意味がない。生態系ではそのどちらとも言えないただの虫が多いほど、食物連鎖が安定し病害虫の大発生が防げることを知ったからである。経済協力開発機構・OECDの資料によれば、1990年のデータで日本の農薬や化学肥料の使用量が世界でもっとも高い水準にあります。1平方キロメートル当たりの農薬使用量は、カナダ0・1トン、米国0・2トン、ドイツ0・4トン、フランスは0・5トンであるのに対し、日本は1・8トン、実にカナダの18倍の農薬漬けでありまして、これを酒に置きかえますと、カナダ人が1合飲んでいるとき日本人は2升近く飲んでいることで、まさに効くわけであります。さらに社説では、農業環境を守る主役である百姓が消費者に自分の仕事を楽しく語りかけていく運動が必要で、産直や直売はそのために有効な手段だとした上で、農業環境を守るためにトンボやメダカと共生できるような農法を広げなくてはならない。そしてこの道は都市と農村との連帯を通して開かれるのではないかと結んでおります。
 さて、大変前置きが長くなりましたが、ここで岩手の農業の将来展望について3つの提案をし、当局の考え方をお伺いいたします。
 その第1は、もっとも近い将来に必ず到来するであろう食糧危機に備えるため、地方自治体にあっても独自の食糧備蓄を考えるべきだと思います。かつて岩手県では弘化4年--1847年--農民1万2、000名が蜂起した日本で最初の民衆闘争といわれる三閉伊一揆を経験しておりますが、これは政治の貧困と天候不順による大凶作の連続と、特にも非常用の種もみまで取り上げられたことによる義憤の爆発でありました。私は精神的に、岩手は日本から独立するとの気概を持つべきと主張しておりますが、いざ鎌倉のときに腹が減っては戦ができないのも現実であります。現在は、人道的見地からの食糧援助がもてはやされておりますが、衣食足りて礼節を知るのであって、自国の食糧が不足しているときに他国に援助ができるものでしょうか。
 第2点は、自給率9%の小麦とたった2%の大豆、そしてそばに着目するべきと考えます。しかも、今後アメリカから輸入される大豆は、いわゆる遺伝子組みかえの大豆であり問題になると思われます。畑の肉と言われる大豆を世界じゅうで一番上手に利用しているのは日本人であります。我が岩手県の農業を語るとき、中山間地域の農業をどうするかということは、古くて新しくそして永遠のテーマであると確信いたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 大豆も小麦もそばも冷涼地に適した作物でありますから、岩手の中山間地にはまさにうってつけであり、過去にも作付されたこともありましたが、海外産の安い大豆の輸入により価格差で太刀打ちできなかったようであります。大豆は一般の野菜と違い大地に優しい作物であります。一般の野菜は地力を吸収するだけで一方的でありますが、大豆はその根に持っている根粒菌の働きによって、大気中の窒素を大地に取り込むことができる循環機能を有する唯一とも言える穀物であります。そこでネーミングを、地球に優しいクリーン作物大豆と位置づけをし、作付を大いに奨励すべきと提案をいたします。幸いなことに、我が岩手県そして県都盛岡は国内トップの豆腐の消費地でありますから、当然豆腐屋さんが多いはずであります。そこで、豆腐、みそ、しょうゆ、納豆、きな粉等の製造に従事する方々と話し合いの場を持ち、協調を図りながら、双方の価格の安定あるいは契約栽培方式等によって100%地元産の原料での加工ができることになり、まさに一挙両得以上の効果が期待できると考えますがいかがでしょうか。また、中山間地における大豆の栽培は、ヤマバトによって種の大豆を食われてしまうのがネックだということでしたが、その克服のために農政部では移植、いわゆる苗木で増殖する技術を確立していると伺っております。さらに、収穫した後の豆殻は牛馬の好む飼料になるのであります。そのことは岩手のわんこそば、じゃじゃ麺--うどん--冷麺の原料の小麦とそばについても全く同じであると考えますがいかがでしょうか。
 第3点は、農業労働力の確保についてであります。
 人生80年時代と言われる現在、60歳あるいは65歳という年齢での定年は大変もったいないと言われております。そしてそれらの人たちの中には、地球に優しい仕事を見つけて、趣味と健康維持のために、農業とは言えないまでも土に親しみたいという希望を持っている方が大変多いようであります。また国にあっては、もうけ過ぎ、働き過ぎの外圧によって、この4月1日から週40時間労働ということが義務化されます。この人たちの中にも実益を第一に農業を目指す人たちもいるようであります。さらには、3月年度末という構造上、4、5、6ひいては7、8月のころまで比較的手持ちぶさたな建設業の方々の中で、この期間を何らかの生産活動をと考え、農業青年と建設業の若い経営者とで勉強会を持っている人たちもおります。建設業の従業員は機械は扱い慣れており、比較的土とも親しんでおり、私はこの勉強会はひょっとして大変おもしろい展開になりはしないかと期待しているところであります。
 以上、本県の農業、特にも中山間地農業振興について、私の提言も含めて当局の所感をお伺いをいたします。
 次に、漁業の振興対策について伺います。
 岩手県の水揚げ量はここ数年間約25万トン前後で推移しており、現在の沿岸水産資源の漁業生産効率を考えれば、今後もこれを大きく上回ることはないと判断できると思います。一方、国内を見ると、全国的に消費される種でも、年間生産量が10万トンを超すと価格は急落する傾向があり、スルメやサンマがその典型であります。一方、各湾内におけるホタテやカキ、ワカメ等の養殖栽培漁業も盛んでありますが、国内的にはスルメやサンマと同じような傾向であります。そのことから、ある水産物の価格が低下し始めたらその種や製品は食べ切れないほど出回っているということになります。したがって、そのような場合には生産量をふやすのではなく、減らすか価格を上げずに質を高めるかしなければならないのが本来の商いの常道なはずであります。また、極端な例でありますが、ホタテを1キログラム1、000円で500トン販売しても1キログラム500円で1、000トン出荷しても、販売金額では5億円と変わりないのですが、効率は扱い量の少ない方がよいのは明らかで、逆に言えば、必要経費を引いた純利益は扱い量がふえるほど低下するということであります。昨年西日本の各地でアコヤ貝の大量へい死が頻発しました。これについて、有毒プランクトンの発生、えさプランクトン量の不足、陸水からの有害物質の流入などさまざまな原因が推定されていますが、過密な養殖が原因とする説が最も強いようであります。我が岩手県においてこのような心配はないのでしょうか。密殖を避けることによって固体のグレードを上げた方が労力を抑え効率をよくすることになり、少しでも高い価格と安定につながるのではないでしょうか。当局の考え方を伺います。
 また、消費の拡大の観点から、各漁協の婦人部と内陸農協婦人部との交流連携を図られてはいかがでしょうか。あえて婦人部と申しましたのは、食の最前線に位置する人ということで、漁家のお母さん方は農家のお母さん方に、大切な動物たんぱくとミネラルである魚貝類の土産土法の調理方法を教え、農家からは漁家に逆に野菜、山菜等の調理方法を教え合うことにより、同じ岩手県人として本県の生産物を活用し合う気持ちを高揚させ、同時にこの場に必ず次の世代を担う子供たちも同席させることによって、土産土法の食文化を継承させることができるのではないでしょうか。さらに、このような交流から、夏は海浜学校に、秋は林間学校、冬はスキーなどへの交流等が芽吹いてくれれば言うことなしであります。秋サケについても同じことで、140万県民がまだ知らないサケのおいしさを他県に先立って県民に知ってもらう努力が優先するべきと考えます。県民がおいしさを知れば、県産品に誇りを持った営業マンになってくれると考え、あわせて将来の世界的食糧危機まで思いをいたせば、貴重な動物たんぱくとして確実にしかもけなげに放流された川に帰ってくるサケが、必ずや国民から大いなる感謝で迎えられる日が来ると思います。水産部の熱意ある答弁を期待をいたします。
 最後に、国道106号の整備促進についてお伺いをいたします。
 宮古盛岡横断道路に位置づけられた中で、昨年は大変朗報が続きました。都南川目道路が国の直轄施工により平成9年度の着工が決定し、さらには梁川ダム工事に関し、昨年暮れに地権者の方々との用地交渉が円満にまとまり、このことでダムに水没する部分のつけかえ道路もいよいよ図面上にあらわれてくることとなりました。この間の県当局の関係者の方々の御労苦に対し感謝を申し上げるものであります。また、さきに着工しておりました達曽部道路も2つ目の橋とトンネルに着工しており、いよいよ目に見えてこの事業が動き出している実感があり、大変頼もしく思っているところであります。達曽部のトンネル、橋の工事は、ここ一、二年で完了するものと思いますが、まだ急カーブ等が多く、箱石、新里村地内等、達曽部地区の魔のカーブと同等の部分が多くあります。今後の早期着工が待たれるところでありますが、今後の整備計画はどのように進めるつもりかお伺いをいたします。また、国において区界トンネルの件も話題になっているやに伺ったところですが、これに関し差し支えなければ、あわせてお教えをいただければ幸いであります。
 以上で私の一般質問は終わります。再質問は答弁によりましては自席から行わせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、水質の保全についてでございますが、水は命の源で、人の健康に直接かかわるものでございますので、水道水源でございます河川の水質を良好に保全していくことは、極めて重要な問題でございます。このため、水質汚濁防止法におきましては、特定の工場や事業場から公共用水域に排出をされます排水について、全国一律の排水基準を定めておりまして、また、都道府県知事は、事業者が基準に適合しない排水を排出するおそれがあると認めるときには、改善命令などの措置を講ずることができることと、このようにされております。
 一方、水質汚濁防止法の一律の排出基準によっては水質保全が十分でないと認められる場合には、同法の規定に基づきまして、県では条例を定めて、区域を限りまして法より厳しい排出基準を設定できることとされているところでございまして、本県におきましては、釜石湾水域などの2水域につきまして、このようないわゆる上乗せ排出基準を定めているところでございます。この場合におきましても、法の規定に基づきまして、上乗せ排出基準に適合しない排水を排出するおそれがあると認めますときには、改善命令等の措置を講ずることができることとされてございます。
 また、水質汚濁防止法の規制の対象となっていない工場、事業場についても、同法の規定に基づきまして、県条例を別に定めまして、排水を規制できることとなっておりまして、本県におきましては、この部分につきまして公害防止条例を別途定めまして、廃ガス洗浄施設などを有する工場、事業場を規制しているところでございます。
 この場合におきましても、知事は、基準に適合しない排水を排出するおそれがあると認めますときには、当該条例に基づきまして、改善命令などの措置を講ずることができることとなっておりまして、なお、これらいずれの場合におきましても、現実に排水基準に違反をしていなくても、改善命令などの措置を講じられるものでございます。今後とも、これら法令などの適切な運用によりまして、水質保全に万全を期していく考えでございます。
 次に、地方自治体におきます食料備蓄についてでございますけれども、ただいま議員御指摘がございましたとおり、食料は国民の生活にとりまして、最も基礎的かつ不可欠な物質でございまして、しかも安定的に供給される必要がございます。
 一方、農産物の生産は気象変動などの自然的要因に左右されやすく、その供給量は大きく変動する傾向がございまして、また、工業製品などと比べて著しく貯蔵性も劣るものでございます。こうした特性を有しております食料を、安定的に供給をして、国民が安心して暮らせるようにしていくためには、国内生産を基本といたしながら、適正な備蓄などによりまして食料を確保していくことが重要であるというふうに考えております。とりわけ、我が国におきましては、限られた国土条件のもとで、可能な限り生産性の高い農業を展開して、国内での食料供給力を確保することが最も重要であるというふうに認識をいたしておりまして、県といたしましても、我が国の総合食料供給基地を標榜して、生産体制の強化に努めているところでございます。
 また、備蓄につきましては、食料供給の減少という不測の事態に対処するための有効な手段であることから、食料安全保障という国家的な観点に立って、現在、国におきまして、米を初めといたします輸入依存度の高い小麦や大豆、トウモロコシなどについて行われているところでございます。中でも、主食でございます米につきましては、平成6年に制定をされた主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、いわゆる食糧法におきまして、米の生産量の減少によりまして、その供給が不足する事態に備え、必要な数量を在庫保有することとされまして、毎年、国が備蓄の目標数量や備蓄の運営に関する事項を定めることとしておりまして、国家的な観点において取り組むべきものというふうに考えております。
 したがいまして、県といたしましては、これまでも国に対しまして、国際的な視野に立って食料の安定確保対策などについて万全を期するよう要望してきているところでございまして、現在、検討が進められている新たな農業基本法に、備蓄を含めた食料の安全保障についての方針を明確化するよう、国に強く要望していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画調整部長武居丈二君登壇〕
〇企画調整部長(武居丈二君) まず、三陸鉄道仙台直通乗り入れ列車試験運行事業についてでありますが、議員御指摘のとおり、三陸鉄道におきましては、利用者数の落ち込みに伴う経営悪化が深刻化しているため、利用者の回復等により早急に経営の改善を図ることが喫緊の課題となっております。
 このため、県及び関係市町村で構成する岩手県三陸鉄道強化促進協議会におきましては、健全な経営のもとで地域の鉄道を維持していくためには、鉄道会社、沿線住民、関係市町村、そして県が一体となった対策が必要であるとの基本的な考え方に立ちまして、鉄道会社とも十分に協議しながら、経営改善のための具体的な方策について鋭意検討を進めているところでございますが、いかなる方策をとるにしても、大幅に減少した利用者を回復するためには、何よりもまず、地元において開業時のマイレール意識を再び喚起することが前提になるものと考えております。
 同協議会におきましても、マイレール意識の原点に立ち返って実効ある利用促進策を積極的に講じていく計画でありますが、同時に、沿線外、特に仙台等の近隣大都市圏からの観光客による利用の拡大も極めて重要であるというふうに共通認識として持っておりまして、仙台への直通乗り入れ列車の試験運行は、その具体化のために岩手県三陸鉄道強化促進協議会が取り組む事業として位置づけたものであります。
 この事業では、夏休みの期間中の約2週間にわたりまして、JRの協力のもとで三陸鉄道車両による1日1往復の仙台-久慈間直通列車を実験的に営業運行させまして、乗り継ぎに伴う不便の解消を通じまして仙台方面からの乗客の増加を実現したいと考えております。事業の実施に当たりましては、沿線市町村や関係団体が一体となって観光客の誘致に主体的、積極的に取り組んでいただくことはもとよりでありますが、この事業を契機としまして、沿線住民の方々にも、全国に先駆けて開業した三陸鉄道が地元の熱意に支えられて第3セクター鉄道の模範とされてきた、そういったすばらしい歩みとか実績がございますので、そういったことをいま一度思い起こしていただきまして、改めてマイレール意識を強く持っていただくことを期待しているところであります。
 県におきましても、JRや旅行会社との連携により魅力的な企画旅行商品の設定でありますとか、仙台地区における宣伝活動等を積極的に行いまして、三陸沿岸地域の活性化という観点も含め、最大限の事業効果が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) まず、議員御提案の大豆及び小麦の生産振興についてのお尋ねでございますが、我が国の大豆や小麦の生産は、外国産との価格競争などから、栽培面積が減少し、その結果、自給率が次第に低下してきていることは、御指摘のとおりでございます。本県におきましても、これらの作物は、かつて畑作地帯の主要な作物として、また、水田地帯の転作作物として栽培されてきましたが、全国的な動向と同様に、面積が減少してきているところでございます。御案内のとおり、大豆や小麦は、畑地や転作田への導入が比較的容易なことや、地力の維持増進を図るほか、キャベツ、大根等の土地利用型野菜の連作障害を回避するための輪作作物としても、欠かすことのできない作物となっております。特に、近年、遊休農地の増加や水田転作が強化される中で、これらの作物は、土地生産性が低いものの、省力機械を活用した大規模経営により、労働時間が10アール当たり大豆で6時間、また、小麦では8時間と、他の作物に比較して大幅な省力化が可能であり、労働生産性を高めることができる有力な作物と考えております。しかしながら、現状は、生産圃場が小規模で分散しているほか、反収が低いことなどから、面積が伸び悩んでいる状況にあります。
 また、一方では、消費者の安全志向等の高まりを背景として、県内の加工業者などから、県産大豆や麦の生産拡大が求められており、このような消費者ニーズへの対応も重要な課題となっております。このようなことから、県といたしましては、生産性向上のための汎用コンバイン等、大型収穫機械の導入などによります省力、低コスト生産の普及拡大、付加価値を高めるための加工施設の設置など、所要の条件整備に努めますとともに、小麦などの栽培に当たりまして試験研究機関を中心に、新品種の導入と、その安定多収技術の確立、普及に取り組んでいるところであります。
 あわせまして、関係機関、団体等で構成しておりますいわて麦・豆・そば等高度生産対策協議会の活動を通じまして、納豆や豆腐加工についての県産大豆の加工適性や、県産麦を活用しためん類、パン類の品質向上など、付加価値を高めるための検討を進め、その具体化に努めているところであります。この結果、県内におきましても、こうした作物を主体に200ヘクタールを超える大規模経営を行う集団もできておりますし、また、豆腐やみそ、めん類など、生産者みずからが加工、販売する事例も見受けられるようになってきているところであります。
 今後におきましても、関係機関や団体との連携のもとに、地域の立地条件を踏まえ、団地化、集団化によります効率生産に努めますとともに、地元産原料を活用した商品の開発や、加工施設の導入等の対策を積極的に進め、大豆、小麦の生産振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、農業労働力の確保についてでありますが、御指摘のように、農業生産の場で高齢者や異業種の方々との連携を進めることは、労働力の確保、活用を図る上で重要であると考えております。このようなことから、高齢者につきましては、本県におきましては農山漁村高齢者ビジョンを作成し、高齢者が能力に応じて、生産振興に積極的に参画できるよう作業環境の改善などの条件づくりや、高齢者人材銀行などの労働力活用の仕組みづくりを市町村、団体と一体となって進めているところであります。
 その結果、中山間地域を中心として、地域の高齢者が、ホウレンソウやリンドウの優良な産地を支える大きな力となっておりますし、また農産物の加工につきましても、葛巻町の森のそば屋、田老町の青倉味噌、山形村のまめぶ等の特産物として定着している事例も見られることは、御案内のとおりでございます。県といたしましては、今後とも非農家を含めた地域の高齢者の方々に対し、生涯現役として生き生きと活動できますよう支援してまいる考えであります。
 また、異業種からの労働力確保についてでありますが、本県におきましては、主業型農家を中心に地域の資源を有効に活用し、地域ぐるみ農業を展開する中で農業労働力の不足に対処するため、作業の受委託等を進めることにより、農業者相互の労働力の補完を図ってまいったところであります。しかしながら、地域によりましては、営農類型の違いや兼業化、高齢化等の著しい進行によりまして、労働力やオペレーターとなる担い手の確保が困難な例も見られるところでございます。したがいまして、こうした地域では、議員御提言の建設業との連携によります労働力の確保も1つの方法でございますので、受ける農業サイドの農作業の時期等の関係、あるいは農作業の内容、労働関係にかかわります法令との整合など、各方面から今後研究してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) まず、密植の防止による水産物の価格安定についてでありますが、本県はこれまで地先海面の特性を生かしたワカメ、昆布、カキ、ホタテガイ等の養殖の推進に積極的に取り組んできたところでありますが、この結果ワカメは全国第1位、昆布は第2位、カキ、ホタテガイは全国第3位の生産額を誇るまでになっております。平成7年度の養殖生産物の生産状況について見ますと、生産量が7万8、700トン、生産額は153億円と生産量では全体の34%を占めております。近年その生産量はほぼ横ばいで推移しておりますが、生産額は減少傾向にあります。
 議員御指摘のとおり、水産物にはそれぞれの種類に応じた需給バランスも見られるようでありますが、そのような中にあって本県のホタテガイ、カキは、刺身用を主体とした生産など商品の差別化に努力してきた結果、消費地市場等で品質、単価の両面においてよい評価を受けております。しかしながら、本県はつくり育てる漁業の振興に積極的に取り組んでいくことといたしております。そのためには、漁場の適正利用は重要な課題であります。近年、一部のカキ、ホタテガイ養殖地域において、水揚げに要する期間が従来2年程度であったものが、3ないし4年に延びるなど生産性の低下が懸念されるところもありますが、この要因の1つとして密植の影響も考えられます。県といたしましては、市町村、関係漁業者、漁業団体と一体となって適正養殖密度での養殖及び品質のよい生産物の生産指導に努め、実入り、品質がよく、消費者に好まれる養殖生産物の生産に努めてまいる所存であります。
 次に、水産物の消費拡大を図るための漁協と農協婦人部の交流連携についてでありますが、近年、水産物の価格は量販店等による価格破壊や安い畜産物等の増加により低迷しており、とりわけ、本県の重要な水産物である秋サケやホタテなどにつきましては供給過剰も加わり、さらに下落傾向を強めておりますことから、その消費拡大が喫緊の課題であると認識しております。このため県といたしましては、県漁連、漁協、加工業者、市町村など関係者が一体となってサケ祭りやホタテ祭り、料理教室の開催などにより消費拡大キャンペーンに取り組んできたところであります。
 また、漁村部と農村部の地域間交流としては、大船渡漁協で水揚げされた新鮮な魚介類をJA都南の産直所において販売しておりますし、市町村間の交流としては種市町と矢巾町などにおいてお互いの産業祭りや生産者交流等において、水産物や農産物の展示即売や料理方法等の紹介がされております。
 さらに、新しい取り組みとしては、平成8年度から三陸町綾里漁協の青壮年部が番屋でつくった新巻をJA花巻の直販所で販売するといった、サケの生産者が直接農家と交流する事例も生まれるなど、近年、漁村部と農村部の交流がふえてきており、こういったものを通じて議員御指摘の漁協と内陸部の農協の婦人部との交流連携も図られてきております。一方、地域の食材の一番おいしい食べ方は地元の人が一番知っているわけでありますし、漁協婦人部を初め関係者が一体となって、浜料理を県下全域に広めていく努力をすることは非常に重要であると考えております。県といたしましては、今後とも、このような取り組みに対しましては積極的に応援し、水産物の消費拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 国道106号の整備促進についてでありますが、本路線は、宮古広域生活圏と県都盛岡を相互に結び、三陸沿岸地域の産業、経済、観光等の振興を支えるとともに、国道46号と一体となり、太平洋と日本海を結ぶ広域的な幹線道路網を形成することから、今後、多様な地域間の連携と交流による新たな地域づくりに大きく貢献する重要な道路と考えております。
 また、国道106号は、御案内のとおり、平成6年12月、宮古盛岡横断道路として地域高規格道路の計画路線として指定を受けたことから、今後は規格の高い道路として整備を進めることとし、交通のネックとなっている箇所から逐次整備を進めているところであります。現在、川井村達曽部地内や盛岡市簗川地内で整備を進めているところであり、また、平成9年度の事業箇所として要望してまいりました盛岡市川目から手代森間6キロメートルが、先般、国の直轄代行事業としてその新規採択が認められるなど、本路線の整備は着実に進展しているものと考えております。しかし、国道106号の延長は極めて長く、その整備費も膨大になりますことから、新里村地内などを含め本路線全体をどのように整備していくことが望ましいのかを、今後、十分調査検討し、その上で、順次、交通隘路区間から計画的にその整備を進めていく必要があると考えております。当面は、現在進めている達曽部道路の早期完成を図るとともに、整備の緒についたばかりで、今後、多くの事業量が見込まれる簗川道路及び都南川目道路の円滑な推進が図られるよう努力していくことが肝要と考えております。
 また、お尋ねの区界トンネルにつきましては、106号全体の整備の中で、今後、検討してまいりたいと考えております。
 昨今、公共事業を取り巻く環境には極めて厳しいものがありますが、県といたしましては、国道106号の重要性にかんがみ、引き続き、国との連携を密にしながら、本路線の整備促進に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇15番(伊藤勢至君) 知事を初め、各部長からるる御答弁をいただきました。ありがとうございました。壇上の質問と関連をいたしまして2点ほど手短にお伺いをしたいと存じますので、お許しをいただきたいと思います。
 第1点は農業について、特に中山間地農業の振興についてであります。
 県におきましては、現在、下閉伊北地区について総額220億円を投じて農用地総合整備事業を行うべく調査中であると伺っております。本計画の事業の必要性として、これまでの畜産に加え重点的に畑作振興を図り、夏季冷涼な気候を利用した野菜生産に力を入れた複合経営による経営の安定と、高速交通体系に対応した流通条件及び地域内輸送条件等の改善が必要であるとし、この事業による効果については公団事業で整備を行うことにより、事業効果の早期発現が図られ、地域農林水産業の振興と中山間地域の活性化、さらには、都市と農村の交流で有機的な結びつきを持つものと期待されるとしており、かつて宮古市においても東金沢地区と亀ヶ森地区で農用地開発事業を実施し、結果として道路やトンネルの整備などで便利になった反面、一部の入植農家にあっては借金がかさんだというようなことも聞いており、必ずしも農業者のためになっていないような感じもいたします。奥産道よりもはるかに壮大な自然破壊だったのではないかと思うところもあります。この事業が本地区の農業振興にどのように寄与したか、農政部としての総括をまずお伺いをいたします。
 そして、その総括を下閉伊北地区の整備事業にどのように生かしていくのか、さらには、世界の食料事情にかんがみ、事業目的の中の夏季冷涼な気候を利用した野菜生産の部分に、小麦と大豆、ソバの作付を加えるべきと思いますが、いかがでしょうか。迫り来る世界の食料危機に際し、牧草地がすべて穀物の作付が可能であるとの観点を持てば、自然破壊ではなく本当の意味の基本整備と言えるものと思いますが、あわせて農政担当者のお考えをお伺いいたします。
 次に、環境問題に関して水道水質の保全についてお伺いをいたします。
 昨年はO-157が大問題となりましたが、これよりもさらに大きな問題としてクリプトスポリジウムのことがクローズアップされております。これは原虫の一種で、哺乳動物、牛、豚、犬、猫等の消化管内で増殖し感染症をもたらす。これらの感染した動物のふん便にまじってクリプトスポリジウムのオーシストが環境中に排出され、オーシストを経口摂取することにより感染症の被害が拡大するというもので、O-157は100から200個で発症するのに対し、このクリプトスポリジウムは1から3個で発症する場合もあると言われております。しかも、水道原水がこれに汚染されたとなりますと、最悪の場合として取水の停止、取水口の移設、さらには、給水停止なども予測されることから、水道事業関係者の間で大変な緊張感を持って予防対策が始まっているということであります。緊急の予防策として水道法で決められている濁度は2であるのを0・1度以下に維持するのが最も有効とされているようでありますが、これらの対応について、例えば県内市町村の水道原水の汚染の有無を検査する場合など、県が衛生研究所等を使いまして強力に支援をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2点をお伺いいたします。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) まず、宮古市内で実施いたしました広域農業開発事業が、当地区の農家あるいは農業振興にどのように寄与したのか、その総括ということでございます。
 この地区におきまして、事業は56年から62年までの7カ年にわたりまして行われまして、採草地が67ヘクタール、放牧地が233ヘクタールを造成いたしますとともに、広域食肉処理場や38・5キロメートルに及びます農道の整備を進めたところでございます。こうした事業の実施によりまして、肉用牛につきましては、事業開始前の昭和50年は712頭でございましたけれども、現時点では、平成8年には900頭というように1・3倍まで増加しておりますし、あわせまして広域食肉処理場の整備を行いましたことから、産地の処理体制が確立し、特にも豚の飼養頭数が、50年が5、140頭でございましたけれども、8年は1万3、200頭、2・6倍までに大幅に拡大をしております。また、この地区では2つの公共牧場の整備と1戸の農家が入植しておりますが、この地区に入植した酪農家の経営につきましては順調に展開されているところでございます。また、農道の整備の成果につきましては、地域の物流の改善が進み、畜産の振興のみならずシイタケの生産拡大など、他の産物の作物の振興も図られるなど、広域農業開発全体として当該地域の農業振興、あるいは経済活動の活性化に大きな役割を果たしてきたものと存じております。
 次に、下閉伊北地区の農用地総合整備事業をどのように進めていくのかということでございますが、農用地総合整備事業は下閉伊北地区ということでございますが、この地区は岩泉町、田野畑村、普代村の3町村から実施要請を受けまして、平成9年度から国が事業主体となりまして地区調査を行うこととしているものでございます。本調査は2年間の調査期間の中で、事業の実施可能性等を検討した上で地区計画を策定いたしまして、その後、その結果を受けまして諸手続を経て事業の実施ということになるものでございます。地域からの要望を受けまして予定されている事業は、高速交通体系に対応しました農産物の流通条件の改善に資するための幹線道路の整備を主体としまして、あわせまして農道沿線及び周辺の水田や畑の生産性の向上を図るため、圃場整備や土層改良などの生産基盤の整備を行うこととしておりますが、議員御指摘の心配がないように十分意を用いながら、事業の推進に当たりましては生産農家あるいは地域農業活動に活力を与えるよう十分配意しながら中山間地農業の振興を図ってまいりたいというように考えています。また、県といたしましては、幹線農道の路線計画のあり方はもちろん、園芸作物に加えまして小麦あるいは大豆をも含めました将来の農産物の生産計画に対応できる生産基盤のあり方につきまして、農家及び関係市町村等と合意形成を図りながら、国との緊密な連携のもとに地区調査を推進してまいる考えでございます。
 それから、世界の食糧危機に際し牧草地に穀物の作付をしてはということでございますが、一義的には牧草地は大家畜の自給飼料の安定確保のために活用すべきものであるわけですが、議員御指摘のような事態に至った場合には、本県が我が国の枢要な総合食糧基地を標榜しております立場からも、国民食糧の安定供給を図るため牧草地を活用した麦や大豆などの穀物生産も視野に入れていく必要があると考えております。今後大幅な農用地開発が期待できない状況にありますので、そういう意味からも造成された牧草地を将来にわたりいかに有効に活用していくか、極めて重要であると認識しております。したがいまして、今後におきましても優良な農地を維持・確保するために、各種事業の計画的導入を進めてまいる考えでございます。
   〔環境保健部長緒方剛君登壇〕
〇環境保健部長(緒方剛君) クリプトスポリジウムの対応についてのお尋ねでありますが、県といたしましては、厚生省から昨年10月に示されました水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針に則して、市町村の水道事業者等に対して、水道水源の汚染の主要となる糞便性大腸菌群等の検査や浄水場の適切な維持管理の徹底について各保健所を通じて指導してきているところでございます。特に、クリプトスポリジウムの検査につきましては、平成9年度予算案において、衛生研究所にこの検査に対応する微分干渉装置付螢光顕微鏡の整備を計上しておりまして、御審議いただいているところでございます。また、今後とも計画的に水道水源の汚染状況調査を実施するなど水道水質の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
〇15番(伊藤勢至君) 再質問をいただきありがとうございました。
 もうちょっと詳しく聞きたい点もございますが、予算委員会等もございますので、その席でお願いをしたいと思いまして終わります。ありがとうございました。
   
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時21分 散 会

前へ 次へ