平成9年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 以下、通告の順にお伺いをいたします。
 質問の第1は、現在策定作業中のポスト四全総に対する本県の対応についてであります。
 国においては、ポスト四全総策定に向け、国土審議会において鋭意検討されており、昨年12月に中間報告がなされたところであります。特徴的な点は、国土構造は時代の変化とともに変遷するものであり、変化を主導する要因も移り変わる。21世紀における望ましい国土構造形成のビジョンを描き出すためには、これまでの国土構造変遷の長い歴史を踏まえて、これからの経済社会のありようを規定する要因を展望しなければならない。とし、これからの50年を展望すると、国土を取り巻く諸条件は、戦後から現在までの50年とは大きく異なるものになるとの見通しを示しております。さらに、これからの経済社会のありようを規定する大きな条件変化として次の4点を挙げております。
 その一つは、人々の価値観、生活様式の多様化、二つ目は環境・資源的制約の顕在化や人、物の移動、情報の伝達に要する時間・費用を大幅に削減する技術革新等に伴う地球時代、三つ目は人口減少・高齢化時代の到来、それに四つ目として高度情報化時代であります。
 こうした基本認識のもとに、新しい国土軸の形成、そして望ましい国土構造の姿として、四つの国土軸を構想しているのであります。こうした国土審議会中間報告を、知事はどのように受けとめているでしょうか。
 また、この間、国等に対して、提言あるいは要望等を行っているとすれば、その内容をお示しいただきたいと存じます。
 次に、新しい県の総合計画の策定についてお伺いいたします。
 新しい県の総合計画につきましては、本年の2月議会において、諮問からおおむね2カ年程度をかけて計画を策定することとしたと伺っております。また、計画策定のプロセスを従来以上に重視することとし、そのため県民の1%を対象としたアンケートを実施するほか、県民からの夢や提言の募集、県内各地域で県民の声を聞く地域デザイン会議の開催など、さまざまな手法を用いて県民意向の把握に努め、県民提案型、県民参加型の計画づくりを進めることとしていると伺っております。次期県総計画は、まさに21世紀に飛び立つ、希望に満ち、躍動感にあふれるものとなることを期待するのでありますが、策定に当たっての知事の基本認識と今後の策定スケジュールについてお伺いいたします。
 また、この計画の策定を進めていくに当たっては、県内外を問わず、有識者を含め多くの方々から御提言をいただき、これを計画の中に反映させていくと伺っておりますが、今後の岩手の発展方向を見据えたとき、例えば、外国の大学、研究機関等との人的ネットワークを構築していく必要があると思うのであります。その場合、地勢や産業等の特性を考えますと、北米、すなわちアメリカやカナダとの交流を促進してはどうかと考えますが、こうした国際交流のあり方について、県は今後どのように検討されるお考えか、お伺いをいたします。
 次に、地域連携の促進についてお伺いいたします。
 先ほどお伺いいたしました次期全総計画策定に向けた国土審議会の中間報告では、地域連携の内容として、1、流域圏、沿岸域等での国土管理、防災、環境の保全の観点からの連携、2、暮らしの高質化を目指した中小都市と周辺中山間地域等との連携、3、高次都市機能の集積及びその活用のための地方中枢・中核都市と、周辺地方中心・中小都市との連携、4、地域レベルでの国際交流を推進するための広域的な連携、5、産業、福祉、教育・文化、観光等の特定の機能に着目し、それらを生かし合う連携などを推進するとしております。
 こうした地域連携を形成する媒体としては、道路、川、海などがあり、既に道路を媒体とした連携においては、本県と秋田県間で形成されつつあります。一方、近年、川を媒体とした流域連携も注目されております。建設省岩手工事事務所では、これまでの交通体系を中心とした軸に加えて、水環境をテーマにした新しい考え方を交流軸に据えて北上川を位置づけ、地域の歴史、文化等の特色を生かした交流の核となる水辺プラザを中心に河川周辺整備を進め、それを有機的に結びつけるネットワークとして、北上川歴史回廊を構想しているところであります。これは、活力ある地域社会を形成する上で、非常に大事なテーマであると考えます。
 質問の第1は、川を媒体とした地域連携をどう形成しようとしているかであります。
 先ほど述べましたように、国の直轄河川である北上川については、建設省が構想している県内11カ所の水辺プラザを中心に有機的連携を図ろうとしております。県は、この構想とタイアップして、どのような地域連携を図ろうとしているのか、お伺いをいたします。
 質問の第2は、岩手、秋田両県をつなぐ横断軸の形成であります。
 それぞれ歴史的に見ても古くからの交流があり、それは今日的姿においても同様のものでありますが、太平洋と日本海を結ぶ横断的地域連携をどう展望されているのか、お伺いをいたします。
 次に、環境影響評価、いわゆる環境アセスメントについてお伺いいたします。
 御案内のとおり環境アセスメント法案は、さきの国会で可決、成立いたしました。この法律は、大規模な開発事業の実施の前に、事業者が、事業が環境に及ぼす影響について調査を行うとともに、地方公共団体、住民等の意見を聞く手続を規定し、これらの結果を踏まえて、事業の許認可等を行うことにより、事業の実施において環境の保全に適切な配慮がなされることを確保しようとするものであります。こうした法制度を持たない国は、OECD--経済協力開発機構--加盟国では日本だけであったことを考えれば、遅きに失したとはいえ一定の評価をすべきものと言えます。しかし、この法律は、幾つかの問題を抱えており、県行政にも直接かかわる面もあろうかと存じますので、幾つかお伺いする次第であります。
 質問の第1は、環境影響評価の対象事業が、国の事業と国が関与する事業に限定されていることから、国のアセスメント法の対象とならない開発行為等については、別途対策を必要とする点であります。こうした面に対応するためには、諸規定の整備が必要な時期にあると思われますが、県では、今後の対応をどうお考えか、お伺いをいたします。
 第2は、自治体を含む地域住民との合意形成の手続が不十分な点であります。法律によれば、事業者が作成する環境影響評価方法書及び環境影響評価基準書について、市町村を通じて公告、縦覧し、説明会を開催するなどとなっているようでありますが、県、市町村が意見を述べる場が設定されているものでしょうか。
 第3は、このアセスメントは計画策定段階には適用されないようであります。科学的、客観的な影響評価を確かなものにするためには、あらゆる段階での住民参加と第三者機関によるチェック手続を確立すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、奥地産業開発道路、いわゆる奥産道、沢内村道安ケ沢線に係る環境影響評価についてお伺いをいたします。
 この道路は、沢内村と秋田県太田町を結ぶ奥産道路で、昭和47年度に整備計画の指定を受け、岩手側は昭和50年度から、秋田側は昭和48年度から事業着手されているものであり、それぞれ県代行事業であります。現在、岩手側の工事地点は、和賀川源流部を西側に越え、極めて急峻な地帯に入っており、同時に、貴重な動植物の生息地帯でもあります。この一帯は、湯田営林署管内では最も自然度の高い地域であり、環境庁の自然環境保全基礎調査において、特定植物群落和賀岳のブナ林のAランクに選定されているなど、すぐれた自然を有している地域であり、また、青森営林局では、今年度中にこの地帯を奥羽山脈縦断自然樹林帯に設定すると聞いているところであります。この沢内村道安ケ沢線の県独自の環境影響評価の実施についてでありますが、このことについて、昨年の12月議会決算特別委員会で吉永副知事より、自然と共生する道路整備を行うという観点から、本路線周辺の動植物などの自然環境に与える影響については、十分調査する必要がある旨の答弁をいただいているところであります。ついては、この調査が、いつどのような方法によって行われるのか、お伺いいたします。
 なお、この地帯は厳しい豪雪地帯であり、当然のことながら毎年雪解け時には崩壊箇所も多く見られ、その復旧、維持、管理には多額の費用を要することは明らかであります。今後の当該道路建設のあり方を再検討すべきと考えますが、検討委員会等を設置する考えはないのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 今日、安全な食料の安定的な供給とその生産基盤を支えることは、世界的にも国内的にも極めて重要な政策課題となっております。国連の人口推計によりますと、1995年の世界人口は57億人、2000年には62億6、000万人、2025年には85億人になるとしております。しかし、こうした人口増加に対応した食糧生産と供給の見通しは、極めて悲観的なものがあります。例えば、FAO--国連食糧農業機関は、現在においてもアジア、アフリカを中心に約8億人が飢餓と極度の栄養不足に苦しんでいると警鐘を鳴らしており、一方、生産基盤である農用地については、世界で毎年600万ヘクタールが砂漠化しているなど、世界の食料の見通しは極めて深刻な状態にあるとされております。こうした中で、日本の食糧自給率は全体で33%であります。農地面積についても、現在の約500万ヘクタールが2005年には480万ヘクタールになるとの予測もあります。
 さて、このように食料を取り巻く環境が大変厳しい中にあって、日本の農業とそれを支える岩手の農業はどうあるべきか、真剣な議論が必要であります。
 時あたかも、東和町は自主減反方針を打ち出しました。現在の減反方針は、国内的米余り現象の中で、転作奨励金を出して他の作物に転換して米の需給バランスを図ろうとするものであります。しかし、米の価格に匹敵する所得を大規模な面積で上げる作目は見当たらず、転作奨励金に依存する体質となってきたことは、勢い地域農業の衰退につながってきたとも言えると思います。いずれ地域農業を担う若者が育たない背景には、苦労が報われない実態があるからにほかなりません。
 しからば、こうした現状を打開する方法は何でしょうか。米の需給調整を図りながら、国の食糧自給率を高めつつ、米並みの所得を多面積で確保する方法であります。それは、麦、大豆を基幹とした穀類の米並みの価格の保証以外にはないのではないでしょうか。この点については、2月議会予算特別委員会で、中村農政部長からやや同じニュアンスで答弁があったように記憶をいたしております。
 そこで、お伺いをいたしますが、いわゆる減反政策について、県は国に対しどのような具体の提言をなさろうとしているのか、その方針を明らかにしていただきたいと存じます。
 質問の第2は、中山間地農業に対する直接所得補償方式、いわゆるデカップリングの導入についてであります。
 これは、農業や環境を守るための農業所得の補てん、条件不利地域や景観、環境の保全が必要な地域の農家への助成を内容とするものであります。これらは、ウルグァイ・ラウンド農業合意の保護削減の対象とならないことから、緑の政策としてヨーロッパ等で盛んに行われており、むしろこの直接所得補償の対象を条件不利地域に限らず、穀物にまで拡大し、積極的に進めているものであります。こうした中山間地域農業へのデカップリングの導入について、県はどのように考えているのか。また、国に対し、どう働きかけていくお考えか、お示しいただきたいと存じます。
 次に、林業の振興についてお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、林業は林産物の生産の場であると同時に、多面的、公益的機能を有する極めて重要な役割を担っているものであります。しかし、その担い手である農山村は、高齢化や後継者難によって集落そのものが大変困難な状況に立ち至っており、林業振興とともに、農山村ぐるみの活性化対策は急務となっております。こうした中にあって本県においては、各般の施策が積極的に行われており、今後に期待するところ大なるものがございます。
 質問の第1は、流域管理システムについてであります。
 流域の一体性を図りながら、林業振興に当たるとの趣旨からしますと、ただ単に生産の場に限らず、農山村全体の活性化を基本とした施策の展開が必要であると考えますが、流域管理システムを今後どう展開するお考えか、お伺いいたします。
 第2は、営林署の統廃合の問題であります。
 林野庁は、国有林野事業の財政悪化などを理由に、今年度35署の営林署統合・改組計画を明らかにしております。仮に、このまま実施され、本県にも影響が出てくるとすれば、林業県岩手にとって過疎化の進行、山村振興の低下など、憂慮すべき事態となることは明らかであります。こうしたことから、県は国に対し、本県にこれ以上の影響を及ぼさないよう強く申し入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、林業振興に関連いたしまして、去る5月2日に石鳥谷町、紫波町で発生いたしました山林火災の復旧対策についてお伺いいたします。
 まずもって、このたびの山林火災で被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。同時に、一日も早い復旧がなされますことを願う次第であります。この間、県当局におかれては、被災者を初め、石鳥谷町、紫波町ほか、関係機関と一体となって復旧活動に当たってこられ、迅速な対策がとられていることに敬意を表するものであります。
 去る6月17日に、県議会林業議員懇談会の方々と一緒に現地調査の機会を得ることができました。その際には、中村林業水産部長を初め林業水産部の皆様にも御同行いただきました。現地では、両町長、森林組合長さんなどから状況説明があり、今回の山林火災の実態、復旧対策などをお聞きし、被害の甚大さと一日も早い復旧が必要であることを痛感した次第であります。両町とも、5月中に被害者復旧意向調査を実施しておりますが、石鳥谷町と紫波町のほとんどの方が復旧したいと考えており、高い意欲が感じられます。一方、復旧しないと答えた一部の方は、その理由として資金不足、労働力不足、天然林にしたい、などのようであります。もちろんこの数字は現在では変化しているかもしれませんが、大方の傾向は出ているものと思います。県は、今議会に復旧対策等関連予算を提出しておりますが、実効ある復旧対策が急務であります。
 質問の第1は、被災者並びに石鳥谷町、紫波町の災害復旧に対する支援についてであります。
 その一つは、県は、このたびの林野火災を激甚法適用に準ずる災害と位置づけて所要の対策を講じているところであり、国に対して、両町における消火活動や災害復旧等についての財政支援を、特別交付税の面においても強く要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。特に、石鳥谷町、紫波町からの特交交付の国への要請に当たっては、県の適切な指導が必要と思われますので、この際、お伺いする次第であります。
 また、被災者に対する森林経営上の支援策についてでありますが、復旧に当たっては、経済的負担が伴うことから、融資制度の活用等、森林経営支援策についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 質問の第2は、2次災害防止対策にかかわって、病害虫対策があろうかと存じます。
 この病害虫発生防止のために、県はどのような対策をお考えか、お伺いいたします。
 質問の第3は、県の防災ヘリコプターの一層の効果的活動についてであります。
 防災ヘリひめかみは、状況把握と地上の消防団への的確な情報提供、そして消火活動等、有効に機能したと高く評価されております。今回の山林火災出動の経験から、今後改善すべき点等をどう把握しておられるのか、お伺いいたします。
 次に、平成11年開催の全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイ関連施設整備の状況についてお伺いいたします。
 この大会は、技能の向上はもとより、21世紀を担うたくましい青少年を育成し、地域の活性化と活力ある岩手を創造しようとする意義のある大会であります。平成11年の夏季大会は、陸上競技を初め28競技が行われるようでありますが、いよいよ来年、平成10年にはプレ大会が行われ、本番に向けた諸準備は最終段階に入るものと思われます。それぞれ各競技種目を受け持つ市町村においても、施設整備が行われているのでありますが、その整備状況はどうなっているでしょうか、お伺いいたします。
 この施設整備は、市町村負担が多いことも特徴的であります。県では、財政的支援措置としては、インターハイ関連スポーツ施設整備事業において、一定の支援は行っているところでありますが、いよいよ全体の整備状況はほぼ把握できる段階にあると思われますので、これら施設整備に係る市町村支援についてどう措置されるお考えか、お伺いいたします。いずれこれらの施設は、県民のスポーツ振興に資する施設となるものでありますから、県の積極的な支援を強く期待するものであります。
 次に、中学校、高校の選手強化と相まって、教員の勤務形態についてであります。
 この点については、県教育委員会としても十分配慮されていることとは思いますが、教員が過度の負担にならないよう人員配置がなされる必要があります。この際、学校現場の対応をどうお考えか、お伺いいたします。
 次に、いわゆるカラ出張、カラ懇談の問題についてお伺いいたします。
 このことが各県で問題となっており、県によっては、職員による個人弁償という形で処理されている県もあると聞いております。新聞等の報道によりますと、本県においても、いわゆるカラ出張、カラ懇談が指摘されているようであります。私は、この問題を考える際に、職員のモラルを軽視するつもりはありませんが、根本的には、会計処理上の諸規定に不足があるのではないかとの思いが強いのであります。出張命令または必要な会議、その後の懇談を行うについては、必ず、どの段階であれ上司の決裁を必要とし、支出段階において、必要な書類が整っていないものは支出しないという原則を貫くこと。原部原課においては、必ず必要な書類上の手続をとるという極めて初歩的事務行為を行うということであります。いずれ会計処理システムをしっかりと確立すること、現場が生き生きと仕事ができるシステムを確立することに尽きるのではないかというのが私の考えであります。
 そこでお伺いいたしますが、現行旅費規程を含め、会計諸規定上改善を要する点はないのでしょうか、いかがお考えかお伺いいたします。
 次に、職員が自分の負担として公務にかかわっているケースはないでしょうか。これらも一緒に調査されたらいかがかと考えますが、御所見を賜ります。必要な措置は予算上当然とるべきと考えますが、総務部長の御見解を賜りたいと存じます。
 以上で私の本席からの質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい全国総合開発計画の中間報告に対する所見と国に対する要望についてのお尋ねでございますけれども、この報告の内容につきましては、北東国土軸を初め、四つの国土軸から成る新しい国土構造が提示されたこと、また、計画の推進方式といたしまして、参加と連携を掲げるなど、地方が計画の推進主体とされたことなど、本県の考えに沿ったものとして一定の評価ができるものと、このように考えております。
 また、東北地域の整備の基本方向につきましては、国土軸の形成を展望しながら地域連携軸の形成を図ることとされているほか、交通・情報通信基盤の整備や産学官の連携、交流によります学術、技術、情報機能の高度化、地域資源を生かした新規産業の新たな展開、さらには、特色ある自然的、歴史的環境の保全活用などの施策の展開方向が示されておりまして、これらは本県の推進する施策と同じ方向を目指しているものと、このように考えているところでございます。
 なお、国に対しましては、昨年の9月に私の方から直接国土庁の計画・調整局長に本県の考え方を説明をしたわけでございますし、また、本年の1月に行われました中間報告に対する意見の交換会、そして、3月には文書による意見聴取などの機会がございました。こうした機会を通じて意見を申し述べるとともに、去る5月26日には吉永副知事を国土庁に派遣いたしまして、国土事務次官などに対して本県としての要望を行ったところでございます。
 これらの機会を通じて行いました要望等の主な内容について申し上げますと、国土構造に関する事項といたしましては、国土の均衡ある発展という基本的な考え方を堅持すること、そして、社会資本の整備に当たりましては、望ましい国土構造の構築に向けた先行投資という観点を重視することなど、また、本県に関連する事項といたしましては、北東北3県の地域連携、高規格幹線道路などの社会資本の整備などでございまして、今後におきましても、最終的に取りまとめられますこの計画にこうした内容が盛り込まれるように、国に対して引き続き働きかけていく考えでございます。
 次に、新しい本県の総合計画策定に当たりましての基本認識と策定スケジュールについてお尋ねがございましたが、人々の価値観、生活様式が大きく変わりつつある中で、少子・高齢化や高度情報化の急激な進展、国境を越えた地域間競争の一層の激化など、我が国は、これまでの経済構造や社会構造、それを支える制度や仕組みでは解決できない事態に今直面しているところでございます。このため、国におきましては、財政構造改革を初めとする各種の構造改革に取り組んでおりますし、多軸型国土構造への転換、21世紀における望ましい国土構造の形成を目指す、先ほどお尋ねがございました新しい全国総合開発計画の策定を今進めているところでございます。このような時代の大きな転換期にありまして、21世紀に向けて県勢の新たな発展を図り、いわゆるドリームランド岩手を築いていくためには、自由で新鮮な発想のもと、国際化や高度情報化の急激な進展などの経済社会情勢を的確に見据えながら、新時代に向けての明確な戦略を持って取り組んでいくことが従来以上に求められているものと、このように考えております。
 また、地方分権が国、地方を通ずる現下の極めて重要な課題となっている中で、今後におきましては、住民に身近な行政は地方が担い、地方の自主性、自立性を高めて個性的な地域づくりを展開するなど、地方のことは地方で考えていくことを基本とする分権型の地域社会の創造を目指していく必要がある、このように考えております。
 私は、このような基本認識のもとで、21世紀初頭、すなわち2010年ごろまでというふうに考えておりますが、2010年ごろまでを展望した新たな総合計画の策定に取り組むこととしたものでございまして、このため、来月の下旬には県の総合計画審議会への諮問を行い、この後、計画の策定を従来以上に重視するという観点から、おおむね2カ年程度をかけまして、平成11年の夏ごろには計画を策定していきたい、こういうふうに考えております。
 なお、その前の来年の秋ごろにはそれまでの検討状況を中間報告という形で県民の前に明らかにいたしまして、改めてこの中間報告に対する意見を求めるなど、計画の策定プロセスを大切にしながら、この計画の策定を進めてまいりたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願い申し上げます。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕
〇生活環境部長(吉田敏彦君) まず、今後の国際交流のあり方についてでありますが、本県におきましては、国際親善を目的とした友好交流を初め、文化、スポーツを通じた交流、教育、学術の交流、産業経済の交流など、さまざまな分野での国際交流を展開しているところであります。御指摘の外国の大学、研究機関などとの人的交流によって、国際的な視野に立った人材の育成や先進的な技術の研究開発を進めることは本県の発展にとってまことに有益であると考えております。県内では、従来から岩手大学や盛岡大学などが海外の大学と交流を進めているほか、工業技術センターにおける海外の大学との共同研究や試験研究機関の研究員の海外派遣、海外研究員の受け入れなどを推進しているところであります。
 今後の国際交流につきましては、岩手の将来の発展方向を見据えながら、外国の大学、研究機関などとのネットワークを構築し、技術導入や研究開発など、本県の産業振興にも結びつくような交流を推進する必要があると考えており、そのような観点に立って、御提言のありました北米地域を含め、幅広い地域との交流を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、環境影響評価法の対象とならない開発行為等への対応についてでありますが、同法は、地方公共団体が対象事業以外の事業に係る環境影響評価、その他の手続に関し、必要な規定を定めることを妨げるものではないと規定していることでもあり、法の対象事業以外の事業について、県独自の制度を定めることができるものと考えております。
 県といたしましては、法の対象となる開発行為等が限定されたものとなっており、例えばレクリエーション施設など、県段階での環境影響評価を要する開発行為なども想定されますので、法の対象とならない開発行為等への対応について検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、県、市町村が意見を述べる場についてでありますが、法の規定では、都道府県知事は、環境影響評価を行うか否か、国の裁量となっている--第2種事業と申しますが--判定の場合、環境影響評価方法書の送付を受けた際及び環境影響評価準備書の送付を受けた際の、この3段階で意見を述べることとされております。また、知事が環境影響評価方法書の送付を受けた際及び環境影響評価準備書の送付を受けた際には、市町村長の意見を求めることとされております。
 次に、住民参加と第三者機関によるチェック手続の確立についてでありますが、御指摘のとおり、計画策定段階における環境影響評価につきましては、中央環境審議会や国会においても種々審議されたと聞いておりますが、現時点では、具体的な手続について結論を得るためにはなお検討を要する事項が多いことなどから、今後、制度化に向けて検討を進めることとされたと伺っておりますので、その動向を見守ってまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) まず、北上川の水辺プラザ構想と地域連携についてでありますが、建設省においては、岩手、宮城両県にまたがる北上川流域の人々の連携と交流を目的とした北上川歴史回廊構想の中で、その交流拠点となる水辺プラザを本県に11地区計画したところであります。この水辺プラザは、国と市町村が一体となって船着き場や親水護岸、多目的広場などを備えたにぎわいのある水辺空間の創出を図るもので、平成8年度から水沢等3地区において整備に着手したところであります。
 一方、民間におきましても北上川流域連携交流会等が組織され、北上川を中心とした両県の人々の交流が盛んになってきております。
 県におきましても、北上川支川において水辺プラザと一体となった河川公園等の整備を行っていくとともに、各種交流会やイベントに参加し、さらに水辺プラザ等の整備促進並びに道路網との連携を国や関係機関に働きかけるなど、北上川を軸とした上下流の広域的交流による地域連携に対しまして積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、沢内村道安ケ沢線の環境影響調査についてでありますが、御指摘のとおり、本路線の改良計画区間の一部が特定植物群落和賀岳のブナ林区域等であることから、自然環境への影響を最小限にとどめるなど、慎重に進めてきたところであります。しかしながら、この区域は法律等により規制されているものではありませんが、動植物など自然環境に与える影響について十分調査する必要があると考え、本年度から生態学や造林学の専門知識を有する方や自然保護に造Xの深い方々の参画を得て、(仮称)村道安ケ沢線・環境影響調査委員会を7月中旬をめどに発足すべく準備を進めておるところであります。本委員会では、計画路線周辺のブナ等の植生調査やイヌワシ、クマタカ、オオタカの猛禽類等貴重な動物について生息調査を実施いたしまして、具体的な対策について御提言いただき、自然と共生できる整備のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 次に、本道路建設のあり方についての検討委員会等の設置についてでありますが、当面、工事としては暫定施工区間の概成を図ることとし、未着手区間の今後の進め方につきましては、本委員会の提言などを踏まえ、慎重に検討してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、太平洋と日本海を結ぶ横断的地域連携についてでありますが、現在、国道107号沿いなどに北緯40度Bライン地域連携軸推進協議会など民間団体を主体としてさまざまな連携、交流事業が展開されているところであり、また、市町村レベルでの推進組織や北上市、釜石市、横手市の人事交流なども見られるなど、両県を結ぶ横軸連携は官民を挙げて着実に形成されつつあるものと存じております。さらに、本年3月の秋田新幹線こまちの開業や、来る7月23日に予定されている東北横断自動車道釜石秋田線の湯田-北上間の開通によりまして、両県の連携、交流が一層活発化する契機となるものと期待しているところであります。
 岩手、秋田の横断的な地域連携は、東北地域における横断軸の中でも太平洋側の北東国土軸と日本海側の日本海国土軸との結びつきを深め、厚みと広がりのある圏域を形成していく上でますます重要になってくるものと考えているところであり、今後とも地域高規格道路の整備など、連携、交流を支える基盤の整備や青森県も含めた3県共同の地域連携フォーラムの開催などを通じて、連携、交流のための諸条件の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、石鳥谷町及び紫波町で発生した林野火災についての国に対する特別交付税の要請についてでありますが、特別交付税は、御案内のように普通交付税における算定方法によっては捕捉されない特別の財政需要などがある地方公共団体に対して当該事情を考慮して交付されるものであり、県におきましては、毎年度各市町村の財政事情を聞きながら、国に対し要望を行っているものであります。
 このたびの林野火災におきましては、石鳥谷町及び紫波町では、消火活動等や復旧対策の実施に伴い緊急の財政負担が生じているところでありますが、県といたしましては、当該経費に係る一般財源所要額が特別の財政需要に相当すると考えられることから、両町から事情を聞いた上で、災害直後に上京いたしまして、今後の要望に備えて被災概要の説明をしたところであります。今後は、両町の財政負担の確定内容等も含めまして、さらに財政需要額の把握をしながら、特別交付税の要望時期に合わせて国に対して適切に要望を行ってまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) まず、減反政策に係る国への提言についてでありますが、平成8年度から実施されている新生産調整推進対策におきましては、面積が大幅に増加し、過去最高の転作率となっている中で、生産者を初め、関係者は目標達成に苦慮しており、既に面積的には限界感があるものと受けとめております。また、その制度や手法についてもさまざまな意見や要望が出されていることは承知しているところでありますので、今後の生産調整のあり方について、国において十分検討されるよう要望することとしたところであります。
 この生産調整につきましては、今日の農政課題全般にかかわる問題でありますので、幅広い観点から要望してまいりたいと考えており、先般、市長会、町村会及び農協中央会からも意見、提言をいただいたところであります。現在、これらを事務的に取りまとめておりますが、大きくは生産調整の仕組みの整備を初め、本県など、将来とも農業生産を担う、いわゆる総合食糧供給基地に対する施策の重点化、担い手の育成、確保に対する支援の強化、さらには、中山間地域に対する我が国独自の所得補償制度の創設等を柱とした今後の基本政策にかかわる内容になるものと考えております。
 次に、中山間地域への直接所得補償制度の導入についてでありますが、中山間地域は、農業生産はもとより、県土の保全や自然環境の維持など、多くの重要な役割を担う地域でありますが、平場と比べて農地が分散し、傾斜地が多いなど不利な条件に置かれております。このため、この地域で農業を営む方々は多くの負担を余儀なくされておりますことから、できる限りこうした不利な状況を軽減し、その努力が報われるよう、所得補償的な施策を講じていくことは極めて重要であると認識いたしております。ヨーロッパで行われているような直接所得補償制度につきましては、日本とは歴史的、社会的背景や農業構造が異なっておりますので、国民的なコンセンサスが得られるか、農業者だけを支援することが地域社会に受け入れられるのか、また、兼業農家が多い中で補償はどうあるべきかなど、国の農業基本法に関する研究会などにおいて指摘されているところであります。今後、国の食糧・農業・農村、基本問題調査会において、新たな農業基本法の検討項目となっている中山間地域農業のあり方の中で直接所得補償制度について幅広く議論されるものと伺っております。県といたしましても、中山間地域に住む方々には国民生活に欠かせない多様な機能を維持していただいているという観点から、国に対し、本県の抱えている実情を理解いただきながら、我が国独自の所得補償制度を創設するよう、政府予算統一要望を初め、機会あるごとに引き続き強く働きかけてまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) まず、流域管理システムの展開についてでありますが、本県におきましては、平成3年度に北上川中流流域を初め、五つの流域を設定し、順次、この推進母体となる活性化センターを設置し、林業の活性化に努めてきたところでありますが、平成8年度、国においていわゆる林野3法が制定され、川上と川下の一体的連携を強化するための総合的支援策が用意されたところであります。したがいまして、県といたしましては、流域管理システムの一層の定着化による地域の活性化を図るため、この林野3法による施策を積極的に取り入れ、従来から取り組んできた森林整備の推進等、川上対策を主体とした施策に加え、木材安定供給体制の整備など、新たに川下対策を充実することにより、流域全体を通じ林業、林産業の活性化を推進し、農山村の振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、営林署の統廃合問題についてでありますが、本県における国有林野面積は約40万ヘクタールで、本県森林面積の約3割を占め、山村地域の経済社会の発展に寄与してきているところでありますが、国有林野事業は、昭和50年以降経営の悪化が進行したことから、昭和53年から数次にわたり改善計画が策定され、組織機構の簡素化、合理化の一環として営林署の統合、改組が行われてきたところであります。平成9年度は35署の統合、改組が行われることとされておりますが、今のところ具体的な本県における統合、改組数については明らかにされていないところであります。本県の森林林業、林産業の活性化を図っていく上で国有林は重要な位置を占めておりますことから、県といたしましては、今後とも国有林が果たしてきた役割が低下することのないよう、機会あるごとに国に対し要望してまいる考えであります。
 次に、被災者に対する支援策についてでありますが、被災した森林の整理や作業路開設には林業改善資金による無利子の融資制度等があり、また、シイタケ経営の安定化を図るためには、生産者が協同で資材購入や施設整備を行う場合、県単独事業等による助成の道が開かれております。県といたしましては、被災された方々が今後の森林経営に希望が持てるよう、林業改良指導員を中心として、町、森林組合と密接な連携を保ちながら、融資制度の活用を図るなど濃密な指導を展開し、経営の安定化に努めてまいる考えであります。
 次に、被害森林の病害虫発生防止対策についてでありますが、林野火災により被害を受けた森林に発生する病害虫としては、総体としては杉林の場合その発生は少ないものの、アカマツ林等には放置しておくとキクイムシ等の害虫による被害や土くらげ病の発生が心配されるところであります。したがいまして、被害木を放置しておくと害虫による2次災害の発生源となるおそれがあることから、被害木の伐採、整理の復旧対策を早急に実施すべく、今議会に県単独事業の創設の補正予算を提案しているところであります。
 なお、アカマツ林に発生する土くらげ病の対策としては、アカマツ等松類の被害跡地造林を少なくとも1年以上の期間を置いて実施するよう、適切に指導してまいりたいと考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、防災ヘリコプターひめかみの効果的な活動のための改善点についてでありますが、今回の林野火災への出動を振り返りますと、連絡調整に使用した地図がそれぞれの関係機関で異なり、位置確認等に戸惑いもあったことや、5月3日の鎮圧宣言以降、残火確認の一つの手段として偵察飛行を繰り返したところでありますが、地表下の厚い腐葉土や木の根などの残火は発見できなかったところであります。これらのことを踏まえ、緯度、経度やヘリポートのほか、警察署、消防署などの関係機関を表示した防災航空マップを作成、配布することとしております。
 また、残火の確認のため、携帯用赤外線画像装置を整備することとしております。
 さらに、運航基地である花巻空港から遠隔地での林野火災においても十分な活動ができるよう、県内5カ所の空中消火等補給基地に一定量の燃料を備蓄することとしております。
 なお、現在、消防庁において林野火災における消火・広域応援体制に関する調査検討委員会を設置し、ヘリコプターと地上部隊との連携等について広く検討を進めているところであり、県といたしましては、国の動向をも視野に入れながら、効果的な消火活動のあり方について検討を加えてまいりたいと考えております。
 次に、旅費規程、会計諸規定に改善を要する点はないかとのお尋ねでございますが、今回の一連の不適切な事務の執行は、規定内容の問題というよりは、例えば旅費の支給事務の処理過程において、制度本来の趣旨に沿った適切な運用がなされていなかったことなどにその原因があったものと考えているところであり、まことに遺憾に存じております。
 また、職員が自分の負担として公務に携わっているケースはないかとのお尋ねについてでありますが、公務として従事するものについては予算上必要な措置がなされているものと存じております。
 今後におきましては、御指摘の点に十分留意しながら、事務の適切な執行について指導を徹底するとともに、実態をよく把握いたしまして、運用面等において改善すべき点があれば改めるなどして、適正かつ円滑な業務の執行ができるように配意してまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) インターハイ関連施設整備等の状況についてでありますが、まず、インターハイの会場地となる市町村における競技会場の整備につきましては、競技運営が円滑に行われるよう施設の整備に積極的に取り組んでおり、順調に進捗しております。このうち、新設の花巻市総合体育館、宮古市民総合体育館など4施設が既に完成しているほか、総合開会式会場となる北上市の陸上競技場など8施設が今年度中に完成の予定であります。残る施設につきましても、平成10年度末までには完成する予定であります。
 また、施設整備に係る市町村への支援措置についてでありますが、これまで関係市町村が高規格の施設を整備する場合に補助制度を創設するなど、できる限りの支援を行ってきているところであります。
 今後におきましては、整備された各施設において、県民体育大会や高等学校総合体育大会等の各種大会の開催はもとより、広く県民が参加できる生涯スポーツの場として積極的な活用がなされるよう、市町村及び関係団体と連携を図りながら、施設の効率的な活用について検討していく必要があると考えております。
 次に、選手強化に伴う教員の勤務形態についてでありますが、教育委員会としましては、中学校や高等学校への外部指導者の導入を拡充し、部活動指導による教員の負担軽減に努めているところであります。
 また、県高等学校体育連盟におきましても、組織体制を整備するなど努力されておりますが、今後とも関係団体と連携を深めながら、教員の負担が過度にならないよう配慮してまいりたいと考えております。
〇28番(小原宣良君) 再質問をさせていただきます。
 一つは、環境アセスメント法の制定に伴う諸規定の整備にかかわってでございます。吉田部長。
 先ほどの答弁では、環境アセスメント法の適用にならない事業について、県としても一定の諸規定の整備が必要だと、こういうふうに受けとめたわけでございます。そこで、その環境アセスメント法の制定に伴って、その法律が適用にならない範囲の事業について、県はどのような整備をなさろうとしているのかということでございます。例えば、環境基本条例ということがあるでしょう。同時に、この環境基本条例に基づいたそれぞれ具体の実効あるそうしたアセスメントを行う方法、手続、これらを定める諸規定が必要でございましょう。これらの制定についてどのようにお考えですか、スケジュールを含めて、お考えがあればお聞かせをいただきたい。これが1点でございます。
 それから、自然環境保全指針の策定でございます。
 この指針の策定については、大変御努力をいただいておりまして、敬意を表する次第でございます。そこで、これについても本県の自然環境の実態ということでは、個々の調査、それぞれ事業を行った前段の調査とか、いろいろな面の調査資料が個々にはあると思います。しかし、その実態を総合的に評価したもの、これはないわけですから、当然それをどのように質的に評価をしていくのかと、そしてどういう形で保全を図っていくかと、こういうことを定めていくのが自然環境保全指針であろうかと思いますけれども、こうした点で、昨年度においては、市町村、振興局を通じまして身近な自然ということで資料の収集が行われたようでございます。
 そこで、お伺いをいたしますが、この身近な自然--昨年度で収集をいたしました身近な自然の資料について、整理はどうなされておられるかということです。特徴的な点についてひとつその点でお知らせをいただきたいというふうに思います。最終的にこの環境保全指針の策定スケジュールはどのようになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
 特にも、これからの作業としては、大変学術的なあるいは専門的な知識を必要とする、そういうすぐれた自然ということにかかわってくるようでございますので、それら資料の収集あるいはその質的評価を行う体制と方法、これについてもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
 それから、農政部長、デカップリングであります。確かにヨーロッパ型という形はこれは歴史があるでしょうし、日本型ということを考えていかなければいけない、こういうことだろうと思います。岩手には岩手として、しからば岩手型あるいは岩手方式というものがあってもこれはいいと思うんですが、そういうことを含めながら、農政部長が中心となりまして、そうした事項を検討していく、そういう対策会議が設置をされたということのようでございますが、この対策会議はどういう内容を検討され、そしていつごろをめどにしながら一定のそうした結論といいますか、方向づけを出し、同時に国に対する意見反映というものを、いつの時期でどうなさるお考えでしょうか、あわせてその点もお伺いをいたしておきます。
 それから、総務部長、この旅費規程でありますけれども、現在の旅費単価というのは現状に合っているんでしょうか。これはどれぐらいのスパンでこの旅費規程というのは手直しをするものかということです。これが1点。
 それから、出張なんですけれども、昔は--昔と言いますのは、新幹線ができる前なんですが、例えば東京に出張するということになると夜行で行きましたね。北星というのがありました。そして、朝早くに着いて昼の会議に出て、夕方にかかればまた夜行で帰ってくると、2泊3日はついたわけですね。今は新幹線ですから、朝早く行って、夜最終の新幹線に乗りますと、盛岡では11時半ごろでしょうか、着くわけですね。日帰りということになります。その場合に、どの時点、時間的な区切りとして宿泊がつくと、あるいは半泊ということもあるでしょうね。そういう規程は今あるんですか。いずれ日帰りだと夜の12時になっても帰ってこいと、こういうことになるものかどうか、この辺の規程上の問題はどうなんでしょうか。なおまた、夜遅く帰ってきて家に帰るということになると、これはもうタクシーしか交通手段ないですね。朝早くも同様、こういった問題もあるんだろうと思います。もっと言いますと、1泊がついて次の朝早く帰ってくる、あるいは夜遅くに帰ってきてその次の日に勤務につくと、こういった場合には、出張命令がありながらいるんじゃないかと、カラじゃないかと、こういう指摘を受ける要素もありますね。それらはやはり今の交通体系に合わせ、状況に合わせて旅費規程というのは整備をする必要があるんじゃないですか、その点お考えがあればお伺いをしたいと思います。
 それから、カラ懇談の指摘があることはまことに残念なことでございます。この会議をした、あるいはその食事代が支出されたと、その場を持ったということですね。こうした場合には当然請求書が添付をされまして、そして会計処理されることだと思うんですね。それ以外の形態があるということはこれはおかしなことでありまして、そういう意味ではこの会計処理の面でそうした会議を行った、食事代がかかったという場合には、請求書を添付して支出の手続をとればいい話でしょう。なぜそこにカラという問題が出てくるのか。その指摘をしている部分はよくわからないのですが、それは出席している人がよくわからないというふうなことを意味するのか、その懇談あるいは会議それ自体が全くなかったものだったんだということであるとすれば、これは実におかしい話ですね。こうした疑問を受けられない、そうした体制というものはしっかりとっていく必要があると、こう思います。せっかく職員の皆さん頑張っておられるわけですからね。この点はひとつしっかり体制整備をしてほしいと、このように思います。
 それから、この予算にかかわりまして、私は常に思うわけですが、予算完全消化主義と、これは私の造語ですけれども、要するに、予算があるんだからこれは全部使わなきゃいかぬと、こういう物の考え方がありはしないだろうかという意味でございます。予算編成に際しても前年度の決算ベース、実績というものが一つ参考にはなると思うんですが、そういうものが一つあるんではないかと、したがって、前年度の実績というのは減らされないと、減らしては予算が減るというふうな物の考え方がないかということなんですね。それから、予算執行の面におきましても、全部使うあるいはぎりぎり目いっぱい使われたということが、よく仕事をしたというふうな評価になっていやしないだろうかという感じは率直にございます。したがって、これらは予算の執行についての評価、頑張っていい仕事をして、効率的に仕事をして予算が残ったということについては、よくやったという評価の仕方がなければこれは全部使うことになりますよ。年度末にかなり多くの件数で出張があるとか、こういう現象をそこに導いてしまうということになりはしませんか。したがって、私はこの予算執行にかかわる仕事の評価というもの、これをひとつやはり見直していくことがこうしたものを防ぐといいましょうか、発生させない要因の一つになるんではなかろうか、こういう感じがしてなりません。総務部長、ひとつ御所見があればお聞かせください。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕
〇生活環境部長(吉田敏彦君) まず、制定することとしている--仮称でございますが--環境基本条例は、単なる理念や宣言ではなくて、県の環境関連条例あるいは計画、そして施策の上位に位置づけまして、本県の環境施策の基本的方向を示すものになるというふうに考えているところでございます。制定はできるだけ早期にしたいと考えておりますが、内容が広範囲にわたるとか、あるいはプロセスも大事にしなきゃならないというふうなことがありますので、できるだけ早期に制定するように努力を傾注していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから次に、本県の新しい環境アセスメント制度の策定作業についてでありますが、有識者で構成する環境影響評価制度検討委員会における検討を行うこととしているところでございますが、そのほか環境影響評価法の施行がおおむね2年後でございますので、その間に、政令や各省の省令等が、逐次、制定されるというふうなことになっておりますので、できるだけ早期に制度化したいとは考えておりますけれども、そのような政省令の動向を勘案しながら、条例化するかどうかも含めて考えていきたいというふうに思っているところでございます
 なお、策定作業に当たりましては、策定のプロセスを大切にしながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから次に、自然環境保全指針の策定につきましては、平成8年度から平成10年度までの3カ年事業として実施しているところでございます。初年度の平成8年度は、御指摘のように身近な自然につきまして、市町村から1、682カ所をリストアップしていただきました。その内容といたしますと、大きく分類しますと、身近な緑、そして身近な水辺、身近な文化、身近な野外レクリエーション空間の四つの抽出基準により類型別に整理をしているところでございます。特徴といたしましては、身近な文化が多くございまして、例えば城跡あるいは寺社の境内、あるいは町並みなどというものが830カ所ということで、約半数に達しているところでございまして、これに次いで身近な緑の分類では屋敷林あるいは並木、田園など496カ所というふうなことになっているところでございます。
 次に、すぐれた自然の選定、評価の方法等についてでありますが、現在、学識経験者で構成する自然環境保全指針策定検討会議で検討をいただいているところでございます。今までのところ、自然環境保全地域など、法によって指定がなされている地域のほかに、特定植物群落や貴重な野生動物が生息している地域などを文献や市町村への照会により選出いたしまして、それぞれの地域について、動植物の生息状況や地形、地質、自然環境を構成する主要な要素を重ね合わせまして、総合的な評価を行う方向で検討をしているところでございます。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) 岩手型デカップリングについての検討と、こういうお話でございますが、本県におきましても、国でこの新基本法の制定に向けまして食料・農業・農村、基本問題調査会というのをつくったわけですが、こうした動きに対応しまして本県でも、新基本法に向けた岩手県農業農村対策検討委員会というのを農政部内に設置をしたところでございます。したがいまして、この委員会におきまして検討してまいるわけですけれども、特にも、本県は中山間地を多く抱えているということからも、いろいろな地域課題がたくさんございます。そういったことからどういった所得補償的な対策が必要なのかということで、現在情報収集に努めているところでございますけれども、国におきましては、この基本法はことしと来年の2カ年での検討ということにしておりますので、部内の検討につきましては9月ごろに中間取りまとめをしながら、来年の2月ごろには報告書の形でまとめて、そして国の方にも要望していきたいと考えております。いずれいろいろ皆さんからも広く意見を聞きまして対策の方向を何とか見出して、国に対し積極的な働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、旅費単価についてでありますが、単価は一般的に利用されている宿泊施設の料金や食事料金の状況、さらには、国の動向、物価変動等を考慮いたしまして適時に検討を加えているものでございます。
 それから、宿泊のつけ方についてでありますが、宿泊を要するかどうかは旅行命令権者が出張の用務内容、経路の難易度等のほか、職員の健康管理面といったような諸事情を総合的に勘案して判断しているところでございます。
 次に、いわゆるカラ懇談の指摘がなぜ起きるかとのお尋ねでございますけれども、懇談に当たりましては事前に開催を予定される日時、場所、相手方、県側出席者などを内容とした実施伺を作成して懇談を行い、その実施を確認の後、請求書の提出を待って支払う手続となっております。この取り扱いでは、食糧費実施伺に記載されている出席者は予定者でありまして、実際の出席者が異なる場合もあるわけでありますが、実施確認等が不明確であったために、後日に至り適切な懇談であったか否かの証明ができない、そういうケースなどがあるのではないかと思っております。したがいまして、その辺のチェックシステムの吟味を行わなければならないと考えているところでございます。
 次に、予算の完全消化というお尋ねでございますけれども、財政運営の基本は、御案内のとおり最小の経費で最大の効果を上げることでございます。そのため県といたしましては、予算の編成を通じまして事業の必要性や実施効果、緊急性などを考慮しながら、適正な事業量に応じた必要最小限の経費を調整した上で予算措置をすることとしておりまして、予算編成後に生じた経費の増減等につきましては、最終的には2月予算補正をもって過不足が生じないように調整し、それでも残額が生じた場合には当然予算の執行残として決算することとしております。御説のとおり、予算執行に係る評価は、最小の経費で最大の効果を上げたかどうかで判断されるものであり、また、実際そのようになっていると思っておりますけれども、御指摘の点、十分留意して今後予算執行を行ってまいりたいと存じます。
〇38番(小原宣良君) 知事、今、地方分権の時代でありまして、それはまさに地方の側から切り開いていかなければならない、そういう重要な時期であると、このように思っております。こうした際に、職員が生き生きとやりがいを持って働ける職場づくり、これを行っていくことは、この地方の時代に対応すること、同時にまた、地域間競争がいい意味では激しくなっている時代でもございます。そこで、知事を先頭に、元気を出して働ける職場づくり、これにぜひとも御努力を願いたいと思うわけでありますが、御所感があればお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 職員が元気を出して働ける職場づくりに、私が先頭に立って頑張れと、こういう言葉だというふうに思っております。今、私ども職員を、私どもを初めといたしまして公務員に対する国民の目というのは、大変厳しいものがあるというふうに深く認識をしているところでございまして、そうした中で私どもがやはりこれから職場づくりをしていくためには、多角的にいろいろなやり方をしていかなければならない。職員一人一人の意識をもちろんしっかりと持っていくような、そういうことをしていかなければいけませんし、それからまた、さまざまな面での研修、この人材を育てていくと、こういうことも大変重要だろうと思います。
 それからまた、お話ございましたとおり、いろいろな面での職場環境をよくしていくと、こういうことも重要だろうというふうに思っています。従来から職場の中でさまざまな点を職員一人一人が提案していくという、職員の提案制度ですとか、これとリンクしたような職場の活性化実践運動などということを県庁でもやってきたわけですけれども、こうした制度も、より一層参加体制の充実を図る。ことしからさらにやり方を変えていくことにしておりますけれども、そうしたことで職員全員の意識なり、それから参加、そして職場の機運というものを盛り上げていくと、こういったこともしたいと思っていますし、それから研修の関係では海外派遣研修、これはことしからは振興局の中堅の人たちにもどんどん海外に行ってもらいたいというふうに思っています。
 そういうことで今準備をしていますし、大学院派遣研修といったようなことで、一層質、量ともこうした職員の研修体制も充実をしていきたいと、それから当然のことながらいろいろな面で遅くまで残業している職員もいるわけで、健康管理にもなお一層十分気をつけなければならない、そんなふうに思っています。私も毎月、今、何カ所か振興局を夕方から行きまして職員の人たちに集まってもらって、直接意見を聞くということをやっております。
 まず、私自身がよく実態をさらに深く知るということが重要だろうと思いますし、そうした中で環境条件をさらに整えて、それこそチャレンジ精神を持って物事に前向きに取り組んでいくという、そういう県庁職員の養成に一層努めていきたいと、こういうふうに考えております。
〇議長(那須川健一君) 次に、佐々木博君。
   〔7番佐々木博君登壇〕(拍手)

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