平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(中屋敷十君) 吉田洋治議員の財政構造改革による公共事業費削減問題に関連いたしまして、公共工事の依存度が高い県内建設産業の振興策についてお尋ねしたいと存じます。
 県が公表しております平成6年度の県内総生産額は4兆4、735億円となっておりますが、これを経済活動別県内生産額で見ますと、建設業は6、084億円で県内総生産額の13・6%を占め、製造業の9、018億円、サービス業の6、596億円に次いで第3位となっており、また、建設業従事者は実に8万6、000人にも上り、県内就業人口の12%を占め、この数字を見ても建設業が県経済にとって極めて重要な役割を果たしていることが容易に理解できるところであります。しかしながら、9月22日付の岩手日報の論説でも指摘があったとおり、4年前の我が国建設業界を代表する企業の幹部による汚職の反省を機に政府は入札・契約制度の改革を行い、平成6年1月に一般競争入札方式の採用などを内容とした公共工事の入札・契約手続の改善に関する行動計画を決定したところでありますが、改革として導入された一般競争入札方式や公募型入札方式は大企業に極めて有利となり、地方中小建設業の受注機会が大きく制約され、経営悪化の大きな原因となっているものと思われるところでございます。現に、県営建設工事において、県内建設業の受注金額の占める割合が平成5年度から平成7年度までは82%前後をキープしていたものが、平成8年度には77・5%まで落ち込んでおり、平成9年度においてはさらに低下するものと危惧されるところでありますが、まず、平成9年度の県内建設業の県営建設工事の受注見通しをお示し願いたいと思います。
 また、平成10年度において国の公共事業予算が7%削減が見込まれる中で、県内建設業の受注金額の割合を少なくとも平成5年から平成7年度までの水準に戻し、さらにその受注割合を高め、県内建設産業の振興により県勢の発展を図るべきと私は考えますが、具体的な取り組み方途も踏まえ、県の御見解をお示し願いたいと、かように存じます。
 加えて、政府は、去る4月に公共工事コスト縮減対策閣僚会議において平成12年度をめどに公共工事のコストを10%以上縮減することとした行動指針を決定し、地方公共団体にも要請しており、我が県におきましても、現在、公共工事コスト縮減計画を検討中であると聞いておりますが、計画策定に当たっては、コスト縮減意識を先行する余り、大企業に有利になるような発注ロットの設定などは避けまして、公共工事の平準化のためのゼロ県債の拡大、さらには市町村に対しても国の施策に呼応し、ゼロ市町村債の全市町村での制度化と最低制限価格制度の適正な活用を図るとともに、新政府調達協定に基づく特例政令の対象とならない市町村工事については、入札制度の弾力的な運用により、地元建設業の受注確保が図られるよう県が指導するべきと私は考えますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
 いずれにいたしましても、本県においては、昭和61年度に全国に先駆けて土木部内に建設振興課を設置し、また、3県総におきましても建設業の振興策を盛り込み、基幹産業である建設業が公共投資の拡大や高度化、多様化する建設需要に的確にこたえ、豊かな経済社会の創造に一層の貢献を果たすべく、活力と魅力にあふれた産業として発展することが求められているとし、体質の強い活力ある建設業の確立を図る必要性を明記しているところでもありますので、県内建設産業の振興により、県勢の発展を図るべきことを重ねて御要望申し上げまして、関連質問を終わります。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) 公共工事の県内建設業者への発注率等についてでありますが、県内建設業者への発注は、平成5年度から7年度までの平均で1、536億円余、81・9%でありましたが、平成8年度は1、619億円余、77・5%となり、平均と比較し、発注率では4・5%の減少となっておりますが、一方、発注金額では83億円余の増額となっております。発注率の減少は、大規模工事である県立大学整備工事によるものであり、これを除いた場合の県内建設業者への発注率は82%程度と見込まれ、また、平成9年度におきましても、これまでと同水準の発注率になるものと考えております。
 県内建設業者への発注につきましては、これまでも業者の技術レベルの向上を図りながら優先的発注に努めてまいったところでありますが、今後につきましても、県内建設業者への優先的発注に配慮してまいる考えであります。
 また、市町村における県内建設業者の受注機会の確保等につきましては、平成9年度においても、県と市町村の建設業振興地域連絡会議などを通じて指導しているところでありますが、今後とも、市町村の自主性を尊重しつつ指導してまいる考えであります。
   

〇議長(那須川健一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時30分 散 会


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