平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(吉田洋治君) 新進・公明の吉田洋治でございます。
 我々の大先輩藤倉正巳先生が去る8月13日御逝去なされました。痛恨のきわみでございます。ことし2月定例会では15年ぶりの一般質問だと大変な熱の入れようで、堂々と論陣を張り、若い増田知事に21世紀のドリームランド岩手の力強い創造を託しておられました。藤倉先生の御生前のありし日をしのび、謹んで哀悼の誠をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 以下、通告に従って順次質問いたしますので、誠意と実のある御答弁を期待いたします。
 初めに、新しい総合計画についてお伺いいたします。
 知事は、去る7月28日に岩手県総合計画審議会に対し、新しい総合計画の基本的方向について諮問をされました。審議会における審議は今後本格的になるものと考えておりますが、今回は外部委員50名を加えるとともに、環境共生、連携・交流・ネットワークなど新たな視点による小委員会を設置するなど、随所に新味が見られるものとなっております。また、県民1%アンケート調査や広域生活圏ごとの市町村長との懇談の実施など、県民意向の把握についても意欲的に取り組まれていることに敬意を表する次第でございます。しかしながら、価値観の多様化や少子・高齢化の進展、地球規模の環境問題、国の財政構造改革など、県行政を取り巻く情勢は必ずしも今までの計画のように右肩上がりの将来像ばかりを描けるものとは限らないものと考えます。
 そこで知事にお伺いしますが、このような状況の中で、みずからが描く夢と希望に満ちあふれた県土づくり、ドリームランド岩手構想を新しい総合計画にどう位置づけようとしているのか、また、新しい計画ではどのような特色を出そうと考えておられるのか、あわせてお伺いします。
 次に、北東北3県知事サミットについてお伺いいたします。
 本年度一般会計当初予算に北東北3県地域連携推進費を計上しておりますが、来月29日、初めての北東北3県知事サミットが青森県十和田湖畔で開催される予定と聞いており、大変喜ばしく、サミットの意義の大きさを感ずるとともに、その成果を期待するものであります。国において策定中の新しい全国総合開発計画の中に地域連携軸の展開が盛り込まれているところでもあり、これを先取りした3県の連携は戦略的にも極めて重要と考えます。ことし3月には秋田新幹線が開業、7月には東北横断自動車道秋田線北上ジャンクションと秋田南インターチェンジ間が全線開通するなど、岩手、秋田の横軸連携が進み、一方では東北新幹線盛岡-八戸間の建設が促進され、縦軸の交通基盤の整備が着々と進む中での知事サミットであります。第1回のテーマは観光とお聞きしました。北東北は、美しい自然、海、山の幸、そして繩文から平泉など豊かな文化と歴史に恵まれ、いわば観光の宝庫であります。ぜひ北東北3県での共通した観光戦略を展開し、北東北からの情報発信とPRののろしを上げるべきと考えますが、サミットに臨むに当たっての抱負も含めて、知事の御所見をお示し願いたいと存じます。
 次に、公共事業削減に伴う影響等についてお伺いします。
 政府は、財政構造改革により数値目標を盛り込んだ歳出削減策をまとめ、公共事業については10年度予算で9年度比7%削減する要求基準を示し、このほど概算要求がなされました。この7%削減策は、社会資本整備がおくれている本県にとりまして、21世紀の県土づくりに向けた第三次岩手県総合発展計画の推進や当面する本県の経済に極めて重大な影響を与えることは必至であると思料するものであります。また、公共投資の縮減は新規事業の着工を困難とし、継続事業の完成を優先せざるを得なくなってくるのであります。そして、継続事業についても完成年度の延伸、または事業の一時中断、凍結の事態が発生するのではないかと危惧しております。私は指摘したいのでありますが、これまで国においては、いわゆるバブル景気がはじけて以来、経済対策としてたび重なる大型の補正予算を組み、景気対策を実施してきたところでありますが、その効果が目に見えて確実なものとならないこの時期に、手のひらを返したように公共事業を一律に削減しようとすることは、財政改革の名をかりた長期的展望を持たない場当たりの財政運営であると言っても過言ではないと思うのであります。
 そこで質問の第1は、ダム事業の中止への対応及び3県総の見直し等についてであります。
 建設省は日野沢ダム、明戸両ダムの建設事業を中止すると聞いておりますが、そのように認識してよいのでしょうか。また、県として今後どのように対応していくのかお伺いします。
 公共投資の縮減に伴い、このほかの3県総後期計画の重点事業についても計画事業費や期間等の見直しが出てくるのでしょうか。さらに、統一要望との関係で、今般の概算要求の内容について県はどう評価しているのでしょうか、お伺いいたします。
 第2は、ダム建設中止にかかわる国庫補助金などの取り扱い基準の確立についてであります。
 建設省が事業中止を決めた日野沢、明戸両県営ダムに対し、事業着手以来、平成8年度までに日野沢ダムに約3億8、000万円、明戸ダムに約4億円という巨額の血税を投入してきております。事業中止に伴い、国庫補助金は返還するのでしょうか。
 一方で、今後もかなりのダム事業の中止が予想され、ダム事業の中止と見直しの基準を確立すべきと考えますが、土木部長の見解をお伺いします。
 第3は、事務事業の評価制度の導入についてであります。
 県では、行政改革大綱における事務事業の見直しに当たっては、社会経済情勢の変化などに対応し、必要性、効率性の面から不断の見直しに取り組むとしてきたところでありますが、政府の公共事業の削減など県財政が一段と厳しくなることから、事業の効果を指標化し、その継続や中断、新事業への切りかえなどの判断材料にすべく、制度を検討中と聞いております。
 そこで、事務事業の評価制度の導入を県行財政システム改革指針にどう盛り込み、どう推進しようとしているのかお伺いします。
 次に、新しい道路計画についてお伺いします。
 国においては、平成10年度から平成14年度までの新たな道路整備5カ年計画の枠組みが示され、投資規模は総額78兆円と言われております。計画には四つの政策課題が掲げられ、1、新たな経済構造実現に向けた支援、2、活力ある地域づくり、都市づくりの支援、3、よりよい生活環境の確保、4、安心して住める国土の実現をポイントに推進されますが、これらを背景に、県は新たな道路計画の策定にどう取り組む方針なのでしょうか。これまで90分交流圏を基本として新交流ネットワーク道路整備事業を展開してきたところでございますが、岩手の道路整備の将来ビジョン、道づくりの基本理念、そして県民参加型の新しい手法の導入、計画の取りまとめの時期について県の考えをお示し願いたいと思います。
 次に、水沢市の丸伊工業経営破綻に関連してお伺いします。
 非常に残念な出来事でありますが、総合建設業丸伊工業が去る9月16日、経営悪化による破綻を来し、これを受けて同日、佐藤商工労働観光部長を会長とする丸伊工業株式会社対策協議会が開催されましたが、いち早い県当局の対応に敬意を表する次第であります。翌17日には県庁と水沢市に相談所を設置しておりますが、地元水沢市、商工会議所等との密接な連携のもと、積極的な対応を要望するものであります。同時に、関連中小企業に対する影響が大きいと考えられますので、連鎖倒産の防止対策や信用保証協会の別枠保証融資、さらには、離職者対策と雇用確保について万全を期すべく、その対応についてお伺いするものであります。
 次に、エネルギー問題についてお伺いします。
 私は、去る5月、当時の堀口議長を団長に、アイスランド、ドイツを中心にエネルギー事情調査に参加の機会を得て、産業、経済、国民生活の将来を展望した新しいエネルギー開発など、見聞を広め、有意義な旅を体験させていただきました。アイスランドは地熱王国と言われるだけあって、人口26万7、000人、全体の84%が熱水を暖房として活用しており、熱水を利用した温室栽培の研究にも余念がなく、本県の葛根田地熱熱水供給事業と対比しながら調査することができました。ドイツは原子力発電所の新設には消極的で、過去5年間、平均2・8%ずつ電力需要が伸びている我が国日本とは違い、今後10年ぐらいは電力需要は横ばいと言われ、徹底した省エネ政策を導入しながら30年後を展望し、太陽光、風力発電に国を挙げて取り組んでいる様子を見ることができました。
 さて、我が国におきましては、電気事業法の改正により電力市場自由化が図られ、競争原理が導入されましたが、本県では、新日鉄釜石が昨年出力13万6、000キロワットを落札しました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 ことし8月にはミドル対応電源、出力15万キロワット、平成13年7月供給予定の電力卸供給入札に応札、来年1月には落札者の結論が出ると聞いており、釜石市は鉄の町から電力の町に大きく転換しようとしており、活力ある展望が開けてきたところと思います。
 また、ことし4月に成立した新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法が6月から施行され、資源に乏しい我が国の将来を展望するとき、枯渇する心配がなく、環境への悪影響も少ない新エネルギーの普及に力を入れた展開がなされようとしております。新エネ法では、資源確保が容易で環境負荷が低い太陽光や風力のほか、ごみの焼却熱を使う廃棄物発電、燃料電池などを想定しており、特に有力視されているのは太陽光と風力であります。日本における太陽光と風力の合計発電電力は95年度で葛根田地熱1号機よりやや少ない4万4、000キロワットでしたが、通産省では2000年度で約10倍に、2010年度で約100倍まで拡大する目標を掲げたところであります。東北地域における電力需要は昭和30年度で約51億7、000キロワットアワーでしたが、平成7年度は約638億キロワットアワーで実に12・3倍の伸び、実質国民総生産の伸び9・8倍をはるかに上回って、今後も年平均で2%程度の伸びを想定しているのであります。時あたかも県議会に岩手県新エネルギー利用促進議員懇談会が設立され、エネルギー対策特別委員会も新たなスタートを切ったところであり、以下、順次質問をいたします。
 第1に、岩手県の電力自給率は21%台と極めて低く、電源開発はこれからであります。岩手らしい特色あるエネルギービジョンを確立すべきでありますが、その基本的な考えと岩手県新エネルギービジョン策定の検討過程をお示し願いたいと思います。
 第2は、雫石地域熱水供給事業の実用化について、約232億円もの巨費を投じ、15年間の実証調査結果を踏まえ、実用化を前提とした決断の時期が来ていると思うのでありますが、どうでしょうか。
 次に、保健・福祉問題についてお伺いします。
 まず、精神障害者の社会復帰促進についてであります。
 県は、昨年、岩手県精神障害者社会復帰促進計画を策定しまして、平成8年度から12年度までの5カ年間、精神分裂病を中心とする精神疾患を有する人々の社会復帰等について計画的にその促進を図ることとされております。本県には人口の約1%、約1万4、000人が該当すると予測され、そのうち医療を受けている人は約1万人、うち精神分裂病の入院患者は2、907人となっておりまして、複雑な社会世相を反映し、残念ながら年々増加の傾向にあります。一方、近年、精神医学の進歩やノーマライゼーションの理念の定着などにより、精神障害者を取り巻く環境が大きく変化をしてきており、社会復帰のための受け皿づくりが重要な施策となってまいりました。そうした状況下の中で、滝沢村に県内2番目の定員30名、通所授産施設ワーク小田工房が、そして、一関市には4番目となる精神障害者の生活訓練施設ニコニコハウスがいずれも来年4月の開所を目指していることになり、大変喜ばしく、関係者の方々に心から敬意を表するものであります。
 そこで、患者が年々増加する中で、県内精神病院22カ所、病床4、915床もほとんど満床状態であり、社会復帰のための生活訓練施設、福祉ホーム、職業能力開発の授産施設の整備をどう促進しようとしているのかお伺いいたします。
 また、私は、在宅障害者の福祉を充実する観点から、地域において障害者の日常生活を支援する体制の整備や短期間預かるショートステイの確保がぜひ必要と思うのでありますが、いかがでしょうか。
 さらに、グループホームなどの住居の確保についても公的住宅の開放を考えてよいのではないでしょうか。私は、この問題を予算委員会で取り上げてまいったところでございますが、そしてあわせて、働く場の受け皿づくりをどう展開しようとしているのかお伺いいたします。
 第2に、重症心身障害児(者)の支援についてお伺いいたします。
 心身にさまざまな障害を持つ人たち、特に重い障害を持って在宅で生活する重症心身障害児(者)は日常生活のほとんどが全面介助を必要とし、あわせて、在宅化、重度化、そして高齢化の不安がつきまとい、生涯にわたる福祉的処遇体制の確立が急がれております。ことし6月には花巻市で全国重症心身障害児を守る会の第34回全国大会が開催されました。全国で約3万5、000人、本県では約600人の重症心身障害児の課題対応について意思統一が図られ、そして、去る9月20日には盛岡市で親の会である第37回手をつなぐ育成会東北ブロック大会が開催されまして、私も参加させていただきました。守る会は、大会で採択した親の憲章を運動の基本理念としており、その中に、施設は子供の人生を豊かにするために存在するの1項があり、地域社会とのつながりを大切にし、互いの立場を尊重しながら子供たちを守っていこうとする趣旨でもあります。私は、医療や療育訓練の場が整い、教育環境にも恵まれた社会福祉施設が必要と考え、県の積極的な対応を求めるものでありますが、県の方針をお伺いいたします。
 第3に、乳幼児医療費助成事業における対象年齢の引き上げについてお伺いいたします。
 本県では、平成7年より2歳未満児の医療費を無料にする県単独の助成事業を行ってきたところでありますが、1・43人と過去最低を記録した合計特殊出生率の背景や、子供の免疫力が十分になり、そして、乳歯がそろうのも3歳前後という視点から、対象年齢の拡大が検討されてしかるべきであると考えております。今次9月定例会にも医療保険制度改正に伴う県単医療費助成事業の補正予算が計上されております。今後も厳しい財政環境が続くものと思いますが、乳幼児の疾病を早期に発見し、早期治療により病気の未然防止を図るとともに保護者の経済的負担の軽減が重要であり、この際、乳幼児医療無料化の対象年齢を引き上げるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 最後に、全国豊かな海づくり大会に伴う警備についてお伺いいたします。
 私のふるさと三陸の海は、昔、サケやマス、そしてサンマの時期には全国から船団が集結し、大漁旗をなびかせ、浜はいつも生き生きとにぎわっておりました。そして、磯にはウニ、アワビや海藻が豊富で、小魚もたくさん生息しておりました。そのような海づくりを願いながら、大会開催に伴う警備についてお伺いするものであります。
 天皇、皇后両陛下には23年ぶりの行幸啓であり、その警備の準備も大変なことと拝察しております。行幸啓が近々に迫った中で、先般、県警が団結式を行い、警察本部長が力強い決意を示したとマスコミ報道で知り、県警が一丸となっていることは実に頼もしく、一県民として敬意を表するものであります。と同時に、両陛下の御安全と皇室と県民との親和を確保するという非常に難しい問題を抱えているのではと思うのであります。
 そこで、警察本部長に本警備の基本方針とあり方についてお伺いしたいと存じます。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴に感謝をし、また再質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 吉田洋治議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい総合計画におけるドリームランド岩手の位置づけについてお尋ねがございましたけれども、私は、県政の究極の目標は、県民一人一人がお互いに価値観や個性を尊重し合いながら、自然、歴史、文化などの特色を生かした地域づくりが県内の各地域で繰り広げられ、それぞれの県民が将来の夢や人生の目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できるような地域社会、これがすなわちドリームランド岩手ということになろうかと思いますけれども、このドリームランド岩手の実現にあると、このように考えております。今回、策定をいたします新しい総合計画におきましては、このようなドリームランド岩手の姿を、21世紀を通じて岩手が目指すべき地域社会像としてとらえますとともに、今後の施策展開を図る上での目標と位置づけまして、できるだけ県民や県民生活とのかかわりを重視しながら、さまざまな切り口でこれらを具体的に描いてまいりたいと考えております。新しい総合計画の特色につきましては、今後の総合計画審議会における審議などを十分に踏まえながら考えていかなければならないものと、このように考えておりますけれども、あえて現段階における私の考えの一端を申し述べさせていただきますと、まず、最も重要なことは、今後、本格的な少子・高齢社会の到来によりまして、経済の潜在的な活力が低下する中にありまして、行財政システムの改革はもとより、行政と民間の役割分担や県民、市町村とのパートナーシップを強く意識するなど、これからの社会に対応した新しい経済社会システムの構築を目指していくことであると、このように考えているところでございます。このような考え方のもと、今回の計画を、県の行財政運営の指針としてのみとらえるのではなくて、県民や各種団体、民間企業といった多様な主体の参加による自主的、積極的な地域づくりなどの展開に向けました、県民一人一人が地域において活動する際の基本指針としての性格をあわせ持つものにしたいと。計画が、こうした県民一人一人が地域において活動する際の基本指針としての性格をあわせ持つものにしたいと、このように考えているところでございます。また、県民の身近な活動の場である地域を重視いたしまして、それぞれの個性と特色を生かし、各地域の発展方向が明らかになるような、そういう計画でなければいけないというふうに思っておりまして、また、産業間、地域間や人々相互の連携など、本県の可能性をさらに広げる多様なネットワークの構築や、現在の広域生活圏域を越えた、あるいは場合によりましては県境を越えたより広がりある圏域を意識した施策の展開、さらには地球環境問題や国境を越えたさまざまな地域間競争、こうしたものを視野に入れたグローバルな視点からの施策の展開などについても検討をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、北東北3県知事サミットについてのお尋ねでございますけれども、21世紀を展望するときに、岩手を初めといたします青森、秋田の北東北3県がさまざまな分野、レベルでの連携、交流を促進して、それぞれの地域が役割、機能を分担しながら、総体として発展していくことが重要であると、このように考えております。したがいまして、3県知事が共通の政策課題について意見交換を行いまして共通認識を持つことは、3県相互の連携、交流をさらに促進していく上で大変有意義なことであると、このように考えております。今回のサミットでは、日本を代表する運輸、観光業者でございますJR東日本、日本エアシステム、日本交通公社のこの3社の会長、社長をゲストという形でお迎えをいたしまして、北東北3県の観光の将来像について、3県知事ともども意見交換を行うこととしているところでございます。私は、今回のサミットの際には、官民の協力のもとに、北東北における各地域の観光資源のネットワーク化を図るなど、さまざまな条件整備に努めるよう提案をするつもりにしておりまして、例えば大都市圏における3県共同のさまざまな観光事業の実施、PR事業なども共同化をすべきだというふうに思っておりますし、施設の共同化といったようなさまざまな考え方があると思いますが、こうした新たな提案を行いまして、観光事業の具体的かつ戦略的な展開を図ってまいりたいと考えております。
 議員御指摘のとおり、この北東北は緑豊かで雄大な自然に恵まれております。余暇、レジャー資源の豊富さともあわせまして、特にこれからの時代、21世紀の時代におきましては、人々にゆとりや真に豊かな生活を提供し得る可能性にあふれた地域であると、北東北はこういう地域であると確信をしているところでございます。
 今後とも、こうした観光分野のみならず、さまざまな分野における連携、交流を進めることによりまして、その可能性を最大限に引き出しまして、地域連携のモデルとして全国に情報発信してまいりたいと、このように考えております。
 次に、乳幼児医療費助成事業についてでございますけれども、本県におきましては、乳児の適正な医療を確保し生活の安定を図ることを目的として、昭和48年度から乳児の医療費の無料化を実施しておりまして、平成7年8月には、対象年齢を乳児から1歳児まで引き上げるとともに、所得制限を緩和するなど、その充実に努めてきたところでございます。この事業の実施主体でございます市町村に対する県の補助額でございますが、本年度、平成9年度は約2億7、000万円と、このような数字になっております。乳幼児医療費助成事業につきましては、近年、全国的に対象年齢の拡大が図られておりまして、2歳児以上が41都道府県となっておりますし、そのうち入院のみを対象としているものは14道府県と、こういう数字でございます。
 なお、以上のうち18道府県では、患者の一部自己負担制度を導入しているところでございます。一方、県内では、17の市町村が年齢拡大や所得制限の撤廃など、それぞれの市町村の単独事業という形で実施をしているところでございます。
 御提言のございました乳幼児医療費助成事業の対象年齢の引き上げにつきましては、これは乳幼児が健やかに育つ環境の整備に資するものであると、このように考えているところでございまして、さらに医療関係団体などから対象年齢の引き上げの強い要望もあるものでございますので、県といたしましては、現在、国の医療保険制度の改革が行われておりますが、その動向そしてまた本県の財政事情を勘案するとともに、他県や市町村のこうした現在での動き、こういった実施状況を参考にしながら、この対象年齢そして要件などを含めて総合的に検討していくと、こういう考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承願います。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) まず、ダム事業の中止についてでありますが、本県では、日野沢ダムと明戸ダムが中止ダム事業となったところであります。日野沢ダムにつきましては、久慈市の都市用水の需要が現時点でその必要とする量と時期がはっきりしないことから、また、明戸ダムにつきましては、田野畑村のサケのふ化場への養魚用水の需要がなくなったことから、それぞれ中止の決断をしたものであります。一方、建設省においても、平成10年度の概算要求によると、ダム事業の必要性、緊急性、地元の協力体制等の観点から総点検を行った結果、水需要が当分の間見込めないダムとして、本県の2ダムを含む6ダムが中止、また、事業計画を見直し検討するダムとして12ダムが休止、さらに必要最小限の調査だけ行うダムとして、約70ダムが足踏みダムとなっているところであります。
 なお、本県で中止するダムにつきましては、今後とも通常の河川でも行っております流量観測等の水文調査を行うことにより、将来の水需要の増大等、社会経済情勢の変化に的確に対応してまいりたいと考えているところであります。
 次に、ダム事業の中止に伴う国庫補助金の返還についてでありますが、現時点において、建設省では、調査に要した費用に対する補助金の返還はないとしているところでありますが、詳細についてはまだ明確となっておりません。県といたしましては、建設省の指導を受けながら対処していくこととなりますが、中止に伴う補助金の返還がないよう働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、ダム事業の中止と見直しの基準化についてでありますが、本県のダム事業を効率的に推進していくためには地域の実情を踏まえ、治水対策や水資源開発の緊急性が高いダムについて優先的に取り組んでいくことが必要不可欠であります。したがいまして、現在検討しております事務・事業の評価制度の中でダム事業の必要性、緊急性等との指標化についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、新たな道路計画についてでありますが、平成10年度から始まる国の次期道路整備5カ年計画に合わせ、現在、県でも新たな道路計画の策定に取り組んでおります。国では、この計画策定に当たり、これまでの道路政策を見直し、国民の意見や意思をアンケート調査により把握する住民参加型の手法も取り入れるとともに、事業執行に当たっては、客観的な指標により整備箇所を定める評価システムを導入するなど、効率的で透明性の高い道路政策を推進することとしております。このため、県におきましても、この考え方を基本とし、計画の骨子となる道路整備の将来ビジョンの策定に当たりましては、県内各分野の有識者からなる懇談会を設置し、この中で提言された意見を計画に反映するとともに、いわての公共土木施設づくりを考える女性フォーラム等での提言も盛り込みながら素案を取りまとめ、さらに、この素案に対する県民の皆様方へのアンケート調査を行い、その結果を踏まえつつ将来ビジョンを策定し、今月中旬に公表したところであります。このビジョンでは、活力と魅力ある自立した地域づくりを支える道づくり、安心・健やかな暮らしを支える道づくり、自然を大切に自然とふれあう道づくりを三つの基本目標とし、豊かな自然の中で躍動感あふれ、心豊かな地域社会、すなわち、ドリームランド岩手を支える道づくりを基本理念に掲げております。また、これと並行して、道路整備プログラムの策定作業も行っており、計画的、効率的な道路整備を行うとともに、事業の透明性を確保するため、一定規模以上の事業については5カ年の計画期間内に着手、完成、継続する箇所を公表することとしております。特にも、新規着手箇所の決定につきましては、費用、便益など国の評価項目のほかに、道路密度や道路構造など本県独自の評価項目を加え、整備の必要性、緊急性、効率性などについて客観的な指標による評価を行うこととしております。県といたしましては、これら一連の作業を早期に進め、この計画を取りまとめて本年度末には公表してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) まず、公共投資の縮減に伴う3県総後期実施計画の重点事業の事業費や期間等の見直しについてでありますが、国の公共事業に係る各種長期計画の期間の延長などとの関連で、各部局の重点事業として位置づけられた個々の事業の一部について、計画期間等の見直しが必要となることも想定されるところであります。御案内のように、その時期が新しい私どもの総合計画の策定期間と重複いたしますことや、今回の財政構造改革の目標期間が2003年までということになっておりまして、3県総後期実施計画の目標年次が平成12年度ということで2000年になりますけれども、これを超えて行われるものでありますことから、これら作業に現在入っておりますけれども、新しい総合計画の策定作業の中で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 次に、各省庁の概算要求の内容についての評価についてでありますが、国におきましては、平成10年度の公共投資予算を対9年度比7%以上削減することとしており、本県の関係につきましても、関連する公共事業を中心に概算要求額の全国枠が押しなべてマイナスの状況が見られるなど、極めて厳しい内容となっているものと認識しております。本県の要望項目につきましては、花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備に係る滑走路延長実施設計調査、国営農地再編整備事業の新規地区など、国の概算要求の段階におきまして一部箇所を明示して盛り込まれているものもありますが、平成10年度が財政構造改革の集中改革期間の初年度に当たり、財政当局における例年以上に厳しい予算編成が予想されることでありまして、本県の要望が政府予算に盛り込まれるかどうか予断を許さない状況にありますので、県議会の強力な御支援もいただきながら、引き続きその実現に全力を傾注してまいる考えであります。
 次に、新エネルギービジョンの基本的な考えについてであります。
 本年12月に、気候変動枠組条約第3回締約国会議が京都で開催されることとなっておりまして、地球温暖化など環境問題への国民的な関心が高まっておりますが、このような世界の動向の中で、エネルギーの安定的供給の確保と地球環境問題への対応は、国、地方公共団体ともに積極的な施策展開を図るべきものでありまして、特に地球環境問題につきましては、県民一人一人が取り組むべき身近な課題でもあります。このため、本県の豊かな自然を生かすとともに、特に人と自然との望ましい共生を図っていく観点からも、議員御指摘ございました太陽光や風力など、環境に優しい新エネルギーの導入を積極的に促進していくほか、省エネルギー対策につきましても、喫緊の問題として取り組むべき必要があるものと考えております。このようなことから、平成8年度と9年度の2カ年で、新エネルギーに関する長期ビジョンを策定することとしておりまして、8年度に実施した新エネルギーの賦存量等の基礎調査結果を踏まえまして、今年度は新たに新エネルギーいわて21推進委員会を設置し、ビジョンの策定作業を進めているところであります。委員会におきましては、専門家の方々から、本県が日照や風況に恵まれている地域であることを生かし、岩手らしさを出すべきであるなどの貴重な御意見をいただいているところでもあります。今後は、委員会での意見などを踏まえながら、21世紀に向けまして本県の特性を生かし、エネルギーと環境との共生を目指したビジョンの策定を進めてまいりたいと考えております。
 次に、雫石地域地熱熱水供給事業の実用化についてでありますが、地熱エネルギーは環境に優しい貴重なエネルギーであることから、御案内のように、平成7年度から原熱水の直接供給の実現を目的として、国による原熱水供給システム実証調査が雫石町で実施されておりますし、また、本県も引き続き熱水供給事業の調査研究を行っているところであります。しかしながら、平成6年度までの実証調査で課題となっております経済性の確保につきましては、国の支援も得てコストの低減化に取り組み、一定の成果を上げているところではありますが、現時点ではまだこの問題を解決するまでには至らない状況にあります。県といたしましては、こうした調査、研究の成果なども視野に入れながら、当面はコストの低減や造成熱水の効率的利用を進めてまいりますが、他県にない貴重な財産でもありますので、今後とも引き続き有効活用を図りながら、解決すべき課題について積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) 事務・事業の評価制度の導入についてでありますが、国においては、財政構造改革の実現に向けた歳出の改革と縮減が進められているとともに、地方財政についても、国と同一基調での改革の推進が求められるなど、本県の財政を取り巻く環境は、これまでになく厳しいものとなっております。このため、本県におきましては、これまでの行財政システムの見直しを行い、新しい視点に立って施策の一層の重点化と効率化を図り、最小の経費で最大の効果が上がるよう財政運営の健全化と効率化を図るとともに、県民の視点に立った行政運営を推進するため、現在、行財政システムの改革の方向を定める指針の策定作業を進めております。
 お尋ねのありました事務・事業の評価制度につきましては、この指針の中で、改革推進の具体的方策の一つとして位置づけ、職員がコスト意識を持ち、これまでの実績に安易にとらわれることなく、客観的な目で事務・事業を見直すようなシステムにしたいと考えております。具体的には、事務・事業について、事業実施効果や全国水準等との比較などを指標化するとともに、事業の緊急性や重要性等についての評価を行い優先度を明らかにするほか、指標化が困難なものについても評価、審査の基準を作成して見直しを行うことなどを考えております。この評価システムを確立することにより、不断に事務・事業を検証し、限られた財源の効果的な活用を図ってまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 総合建設業、丸伊工業株式会社の経営破綻への対応についてでありますが、同社の負債総額は県史上2番目の巨額ともされ、従業員の雇用不安や関連、下請企業への連鎖倒産が懸念されるなど、地元胆江地域はもとより、県内経済全体に及ぼす影響は重大なものがあると認識しております。県といたしましては、部内関係4課、水沢地方振興局、水沢市、水沢商工会議所、県信用保証協会、県商工連合会及び県中小企業団体中央会で構成する丸伊工業株式会社対策協議会を設置し、9月16日、第1回の会合を開催し、情報の交換及び今後の対策について協議するとともに、直ちに県内金融機関に関連企業の資金相談に応ずるよう要請したほか、本庁及び水沢商工会議所内に特別経営相談所を設置し、現地に職員を派遣し相談に当たらせているところであります。また、水沢公共職業安定所に離職者対策連絡協議会を設置し、新たな職場のあっせん、相談等に応ずるとともに、本庁及び水沢地方振興局に特別労働相談窓口を設置し、各種労働相談に対応いたしております。
 なお、相談件数につきましては、9月22日現在、経営相談は11件、労働相談が4件となっております。さらに、9月24日付で中小企業庁長官に中小企業信用保険法の指定を申請するとともに、雇用保険の給付や再就職あっせんの円滑な推進のため、近日中に水沢公共職業安定所において集団面接会を開催するほか、離職者の能力再開発訓練を実施するなど、今後とも、関係機関と密接な連携を図りながら、連鎖倒産の防止と雇用の安定に万全の対策を講じていく考えであります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) まず、精神障害者の社会復帰施設の整備促進についてでありますが、社会復帰施設は、岩手県精神障害者社会復帰促進計画においても県の重要な施策としてその整備、促進を図ることとされております。現在、共同生活を通じ生活訓練等を行う援護寮及び一定程度自立可能な者を対象とする福祉ホームがそれぞれ1カ所、通所の授産施設が2カ所設置されております。平成9年度には御案内のとおり、さらに生活訓練施設と通所授産施設を各1カ所の整備を進めているところであります。この社会復帰促進計画においては、平成12年度までに生活訓練施設と授産施設について複数の保健医療圏ごとに1カ所程度の整備を促進することとされておりますことから、これに基づいて、今後さらに医療機関、家族会、市町村、福祉団体等の関係者への働きかけを行いながら、整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、在宅の障害者に対する支援体制についてでありますが、精神障害者が地域で生活していくためには、在宅支援サービスの充実も重要であると考えております。現在、在宅の精神障害者に対し相談や日常生活の援助を行う地域生活支援センターは県内1カ所のみで、在宅における処遇が一時的に困難となった障害者が短期入所するショートステイはいまだ設置されていないことから、今後は社会復帰福祉施設の整備に合わせ、これらの在宅支援機能についても地域の需要に応じ、その整備に努めてまいりたいと考えております。また、グループホームなどの住居の確保についてでありますが、現在、グループホームは民間住宅において県内5カ所で実施されておりますが、平成8年の公営住宅法の改正に伴い、公営住宅のグループホームへの活用が可能となったことから、今後は公営住宅の活用も含め、グループホームの拡充を図り、精神障害者の住居の確保に努めてまいりたいと考えております。さらに、精神障害者の働く場の受け皿づくりについてでありますが、障害者の作業訓練の場としての小規模作業所は現在県内に15カ所、また、通常の就職が困難な障害者が一定期間訓練を行ういわゆる職親制度は、登録事業所が111カ所となっております。小規模作業所については、平成12年度までにすべての保健医療機関において1カ所以上の設置を促進するとともに、職親制度につきましても一般事業者の協力を得ながらその拡充を図るなど、働く場の受け皿づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、重症心身障害児(者)の支援についてでありますが、現在、本県には約580人の重症心身障害児(者)の方々がおられます。そのうち約半数の方々は在宅で生活をしておられ、その日常生活は家族の介護によって支えられており、県では介護負担の軽減を図るため、各種在宅福祉サービスや地域で利用できる通所の場の充実に取り組んでおります。また、施設への入所が必要な方々については、国立療養所の重症心身障害児病棟への委託を行っており、現在226人が入所しているところであります。岩手県が昨年行った実態調査では、在宅で生活している障害者のうち、さらに約130人の方々が施設への入所を希望している状況でありますが、これに対し、県内の国立療養所は常時満床で対応できない状況にあり、施設入所を望む多くの障害者や家族の願いにこたえる福祉的処遇を有する施設の充実が重要な課題となっております。県といたしましては、このような現状を踏まえ、家族の高齢化等に伴う介護不安を解消するとともに、入所需要に対応するため、重症心身障害児施設の整備を第三次岩手県総合発展計画の重点事業に位置づけ、平成12年度までにその整備促進を図ることとしているところである。本施設は、県内全域の重症心身障害児(者)を対象とするもので、医療機能をもあわせ持つ唯一の民間の社会福祉施設となることから、今後、関係機関、団体や整備を行う法人と連携し、施設整備の早期実現が図られるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
   

〇議長(那須川健一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕

〇警察本部長(池田克彦君) 全国豊かな海づくり大会に向けた警備対策についてお答えいたします。
 全国豊かな海づくり大会は、国体、植樹祭と並ぶ天皇陛下の三大行幸の一つでありまして、いわゆる反皇室闘争の大きなターゲットとなっております。そのような厳しい情勢を踏まえまして、一昨年4月に県警内に対策本部を設置いたしまして、自来、諸対策を鋭意推進してきたところでございます。本警備は、両陛下の御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏等によります事故防止が絶対条件でありますが、あわせて、皇室と県民との間の親和を妨げないソフトな対応につきましても警戒員一人一人に徹底しているところでございます。
 また、今次警備は、その御順路の総距離が約350キロメートルに及びまして、沿道沿線には相当数の歓送迎者が予想されることなどから、全国の警察から過去に例のない千数百名に上る支援を受けまして、合計約2、500名の体制でその万全を期す所存でございます。行幸啓まであと10日もございませんが、今後はさらに計画に穴がないか詰めるとともに、計画が予定どおり実施されるよう個々の警戒員にさらに徹底してまいりたいと考えておりますので、関係各位のなお一層の御理解と御協力を賜りたいと存ずる次第でございます。

〇31番(吉田洋治君) ただいま知事を初め、執行部の皆さんから実のある、誠意ある答弁をいただきましてありがとうございます。
 まず、知事に御要望を申し上げておきます。
 私も13日の日でしたが、初めての岩手こども議会を傍聴する機会を得たのでございますが、まさに21世紀の主役は僕たちなんだと、こういう子供たちの非常に熱意ある質疑応答が展開されておりまして、非常に頼もしく思いました。同時にまた、21世紀の主役になるべきああいう子供たちの夢や希望がかなえられるような県土岩手の計画策定、新しい岩手の計画というものをきっちりとつくっていただきたいし、また、知事は、選挙公約は夢県土岩手、まさにドリームランド岩手の創造、これを県民に公約として掲げてまいりまして、前期2年間を見ておりますと、非常にそうした着実な実践がなされたと、こういうように評価しておりますし、今後におきましても、後期の展開、新しい計画の策定にぜひ増田カラーを十分に出しながらひとつ頑張っていただきたい、このように思います。
 次に、地熱熱水事業に関しまして部長から御答弁があったわけでございますが、担当副知事である吉永副知事にぜひひとつ質問をさせていただきたいと思います。
 御答弁にもございましたが、貴重で豊富な資源であります熱水をいかに実用化していくかということが我が県政の重要課題にもなっているわけでございます。御案内のとおり、15年もの歳月と、国費で約183億円、県費で約48億円、あわせて約232億円の巨費を投じてきたプロジェクトなわけです。本県でも中村県政時代、いわゆるマグマポリス構想と、こういうことで、これの本格的な実践のために、相当な人的な、あるいは予算的な措置を加えてまいったところでございます。私は、これの実用化に向けた戦略が、もう少し知恵が欲しいと思っております。そのためには、こうしたプロの産業あるいはまた学術的な方々、また、執行部、産学官の英知を集めて実用化のためのプロジェクトチームを早期に設置しなければならないのではないかと。そして、あらゆる角度からこの実用化に向けた検討を加えまして、いずれ結論を出さなければならないと、こういうことだと思っております。しかもこの事業の重大な実証試験の一つであったんですが、有害な砒素あるいは珪酸を除去する。熱水を熱交換機を介さずに直接利用できる技術の確立、これも相当研究をしてきたわけですけれども、明るい展望も開かれたと、このように承知しております。
 吉永副知事は、先般、先ほど申し上げました海外のエネルギー事情視察を私どもと御一緒なされまして、アイスランドの地域暖房、あるいはあそこでなされておりました温室栽培、あるいはまた温水プールもございました。そして、首都レイキャビックのエネルギー公社、これも視察いたしまして、幅広く熱水供給事業、特に暖房を中心とした事業についていろいろ勉強をしてきたわけでありますが、そこで、ああいうアイスランドの事業、今日、本県で雫石熱水供給事業を進めているわけでございますが、対比しながら、副知事が見聞した所感をお伺いしたいわけでございます。
 それと、これまで増田知事も表明してまいったわけでございますが、西暦2000年の6月には本県で世界地熱会議が開催されることが決定いたしました。これは、大分の八丁原あるいは本県の葛根田を中心とする地熱、そうした前期、後期の開催はございますが、日本国で西暦2000年の6月に世界の地熱会議が開催される。非常に喜ばしいことでございますし、日本の地熱、特に本県における地熱開発のこれまでの経過あるいは今後の展望、こういうものを世界各国に知らしめる絶好のチャンスだと、私はこのように思っています。今回、アイスランドに居住する国際地熱協会会長のフリードリフソンさん、今度の2000年の世界地熱会議の会長さんをお務めする方でございますが、その方とも一行は親しく、あらゆる角度から懇談をする機会もございましたが、フリードリフソンさんは、世界の地熱の研究者が、あるいはまた技術者が約1、500人も集まるんだと。本県にも過去に来ておるそうでございますが、岩手大会に大きな期待をされておると、そして、大会を心待ちにしているというお話でございました。私は、大会の成功に向けまして、諸準備に県を挙げて万全の体制を期すように願っているものでございますが、その所感も含めてお伺いしたいわけでございます。
 続いて、先ほど質問しましたが、障害者の関係で職業能力開発のお話があったのでございますが、本県の身体障害者及び精神障害者の雇用についてお伺いいたします。
 県の平成8年6月1日現在の調査報告によりますと、障害者の雇用の促進に関する法律において定められました法定雇用率、民間企業は1・6%、これに対しまして雇用障害者数は1、853人、実雇用率は1・66%で、若干ポイントを上げました。27人対前年増加ということでございました。非常に改善の跡が見られまして評価するものでありますが、一方で雇用率の未達成企業が45・6%、前年に比較して1・2ポイントほど上がっております。特に金融、保険、不動産業、これは実に88・9%が未達成ということで、他の業種に比較して突出しております。一方、地方公共団体、これは非現業的機関で2・0%ということでございます。法定雇用率は1・9%と定められておりますけれども、県の機関で職員総数、いろいろ試算の方法もあるようでございますが、1・6%と、法に未達であるわけでございます。やはり行政が率先して未達状況を解消するべきだ。これは過去にも私は2度ばかりこの問題を取り上げておりますが、現状はそのときから変化してないというふうに思います。したがって、本県の障害者雇用率の向上に今後どのように取り組んでいくのか、この点についてお伺いしたい。
 続けて、障害者福祉対策、県主催のイベント等への手話の通訳、これの配置について積極的な対応をすべきだと、こう思います。先ほど一般質問にも出しましたが、先般、第37回の手をつなぐ育成会東北ブロック大会が県民会館で行われまして、東北各県から約1、000名の障害を持つ親たちや、また、介護に当たった人々が集まりました。そのときは私は通訳があるのではないかなと思ったんですが、手話通訳の配置がございませんでした。本県の福祉レベルを他県にああした形で見せていくということは非常に残念だ。やっぱりああいうのには岩手の福祉はこうなんだということを積極的にアピールすべきではないかと、こう思うんです。県主催大会等の、すなわち県が構成員となっている団体が全県を対象として開催する大会等には、私はやはり手話通訳者を派遣すべきだと。これについては、本県も4月からこの取り扱い方について実施をしておるんですが、この実施状況、また、県主催行事には、主催者からの要請の有無なく、私は積極的に派遣をしていくべきだと、こう考えていますが、いかがでしょうか。
 次に、市町村における障害者計画の策定なんですが、やはり福祉の問題というのは、特に障害を持つ人々の施策というものはまさに地域からほうはいと上がってこなければだめだと。地域の政策の立案があって初めて地域の皆さんを包含した形の中でこれは具体的に前進するものだと、こういう理解をしているわけです。国におきましては、市町村の障害者計画策定指針を作成しまして、各自治体、市町村自治体に計画の策定を求めているわけです。本県でもいち早くこうした国の指導に基づきまして計画を策定しました。本当にすばらしい計画が出されているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、障害者福祉サービスの主体は地域住民なんです。そして、その地域住民に最も身近な市町村、これができるだけ早くそうした計画を策定しなければこれは前進しない。そうした積極的な対応を私は前にも求めたんですが、どうも遅々として進展しないように思うわけでございます。したがって、現在の計画策定状況、今後の見通し、これにつきましてお伺いしたいと思います。
   〔副知事吉永國光君登壇〕

〇副知事(吉永國光君) まず、雫石地域地熱熱水供給事業の今後についての所感でございますが、先般、堀口前議長を団長とした新エネルギー利用促進議員懇談会の先生方にお供いたしました新エネルギー海外事情調査において視察いたしましたアイスランドの地熱利用については、唯一とも言えるエネルギー資源である地熱資源を最大限に利用いたしまして、議員御指摘の非常に厳しいエネルギー状況、岩手よりももっと厳しい寒さ、例えばガソリンの値段も日本の2倍という乏しい資源状況、そうした逆境を見事に克服している、そういう姿に深く感銘した次第でございます。
 今日、環境負荷の小さなエネルギーの開発利用が重要課題とされており、その中でも、貴重な国産エネルギーでもあります地熱資源の開発は国家的要請とも考えられます。このような観点から、再生可能で二酸化炭素の排出も極めて少なく、環境に優しいエネルギーである地熱資源は、環境を県政の大きな柱とする本県における貴重なエネルギー源として位置づけられるものであります。しかしながら、現時点では、経済性の確保等越えなければならない幾多の問題があることも事実でありますが、議員の言われるとおり、産学官の英知を結集することで熱水造成コストの低減化と造成熱水の効率的利用の取り組み等を進めていき、その中で、本県の貴重なエネルギーである地熱熱水の開発利用が21世紀に向けた我が国や本県のエネルギー政策の先駆的事業として位置づけられるべきものと考えている次第でございます。
 続きまして、西暦2000年世界地熱会議開催についての所感でありますが、本県での開催日程は西暦2000年の6月5日から7日までと決定され、70カ国以上の国々から約1、500人の参加が見込まれております。さきの新エネルギー海外事情調査でのアイスランド視察に際しましては、議員御指摘のとおり、国際地熱協会会長のフリードリフソン氏から、先駆的な地熱資源開発が積極的に展開されている岩手においてこそ世界地熱会議を開催するのにふさわしいとのお言葉をいただきました。さらには、国際地熱協会のインターネットのホームページと本県のホームページをリンクし、世界の会員に岩手を紹介したいとの申し出があり、現在では国際地熱協会の2、000団体余の会員が協会のホームページから岩手のホームページに簡単にアクセスできるようになっております。会長が岩手県に対して示しておられますこのような好意に感謝するとともに、会議の成功に向けて一層準備に邁進せねばならないと気を引き締めているところでございます。
 県といたしましては、地元における支援行事や県民参加行事などを検討するため、関係者で構成します西暦2000年世界地熱会議岩手県推進連絡会議を設置し、今後、国内組織委員会の準備活動を見据えつつ、県議会の御指導と御支援を仰ぎながら、この会議の成功に向けて準備に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 障害者雇用率の未達成企業に対する指導についてでありますが、従来から県及び各公共職業安定所では啓発活動や個別の指導を実施しており、この結果、御案内のとおり、県内企業の平均の障害者雇用率は平成5年以来法定雇用率を上回って推移しておりますが、御指摘のとおり、業種間、企業規模間におきまして雇用率に格差が見られるところであります。
 県といたしましては、岩手県障害者雇用促進協会と連携し、今後とも障害者を対象とした集団面接会の開催や雇用促進キャンペーンを実施するほか、各種助成措置を活用した障害者の雇用促進に一層努めてまいることとしております。
 また、未達成企業に対しましては、雇い入れ計画作成命令及び同計画の適正実施勧告の発出を行うなど、引き続き強力に指導を行ってまいりたいと考えております。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) 県における障害者の雇用率についてでありますが、障害者の雇用につきましては、これまでも各任命権者において法定雇用率を上回るように努めてきているところでありますが、教育委員会におきましては、平成6年に障害者の雇用率の算定に係る国の運用が改正されたことや、職員採用において障害者の受験者がほとんどいないことから法定雇用率を下回っている現状にあります。
 県といたしましては、今後とも各任命権者それぞれにおいて、身体障害者を対象とした選考試験の実施などにより受験者の積極的な募集に努めながら障害者の雇用率の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) 平成9年4月に制定した県主催大会等への手話通訳者の派遣事務取扱に基づきまして、10月までに手話通訳者を派遣、または派遣を予定している大会並びに手話を挿入した県政テレビ番組はあわせて21件でございます。この手話通訳者派遣の主な大会としては、例えば5月に開催された第18回日本文化デザイン会議'97岩手がございますし、10月には第17回全国豊かな海づくり大会など六つの大会で派遣を予定いたしております。
 ノーマライゼーションの理念のもとで、聴覚障害者が各種の社会活動に参加するためにはコミュニケーション手段の確保は特に重要でありまして、今後さらに障害のある人もない人もともに参加できるよう、県が主催、または県が構成員となっている団体が主催する大会等に手話通訳者を派遣することを関係機関に対して積極的に働きかけていきたいと考えております。
 次に、市町村における障害者計画の策定についてでありますが、御案内のとおり、障害者が地域の中でともに暮らし、また、健常者と障害者が日常生活の中で触れ合い、交流していく、このような社会を実現するためには、地域の住民にとって最も身近な市町村が障害者に対して各種サービスを総合的、計画的に提供することが必要でありまして、全市町村が障害者計画を速やかに作成することが求められていると考えております。平成9年9月現在で障害者計画を策定した市町村は全県の約2割に当たる12市町村となっております。また、計画を策定していない市町村についても、すべての市町村が計画を策定する予定を持っており、本年度--平成9年度末までに48市町村が策定する見込みであります。県としては、引き続き市町村に対して指導、支援を行い、平成10年度までにはすべての市町村が計画策定できるよう努めてまいりたいと考えております。


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