平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(藤原泰次郎君) 清和会の藤原泰次郎であります。
 質問に先立ち、去る8月13日に御逝去されました藤倉正巳議員に対しまして、謹んで哀悼の意を表し、心から御冥福をお祈り申し上げるものでございます。
 さて、今定例会におきまして一般質問の機会を与えていただいた議員各位に対し、深く感謝申し上げる次第であります。
 本年度は、増田県政3年目となりますが、知事は、県政推進に当たっての基本姿勢として、県民に開かれたわかりやすい県政を掲げ、この広大な県土を精力的に駆けめぐり、数多くの県政懇談会を開催し、本県が抱えている諸課題を直接県民の皆さんと語り合われ、また、来るべき21世紀の本県のあるべき姿に思いをはせながら、日夜、御努力されているところであります。本年度も後半となりましたが、増田知事は、21世紀を間近に控えたこの数年間を、自由で新鮮な発想のもと、輝きのある岩手を創造していくための貴重な準備のときと位置づけられております。また、主要施策の概要の中で4つの柱を掲げて、これに基づく諸計画に積極的に取り組まれ、各事業が順調に執行されておりますことはまことに喜ばしい限りであり、さらには、災害時の早急な対処、復旧等について県民から高く評価されているものと認識いたしておるのであります。今後、なお一層の御活躍を期待し質問いたしますので、よろしく答弁をお願いします。
 まず、来年度の予算編成についてお伺いします。
 国の財政は、平成8年度末の国債残高が約241兆円と、国の一般会計予算規模の約3倍に相当するまでに膨れ上がっており、また、公債費も年々増嵩し、政策的経費に充てる財源を圧迫するまでになるなど、主要先進国の中では最悪の危機的状況にあると言われております。国債の発行は、建設国債については昭和41年度から今年度まで毎年度発行され続け、赤字国債についても中断はあるものの、最近では平成6年度以降、毎年度発行されております。このように、長期的な展望を持たないまま毎年度の予算を編成するための財源確保として国債に依存し続けた結果、今日のような最悪の財政事情を招いたことは当然の帰結であると思うのであり、財源不足により予算を編成できないという極めて憂慮すべき事態となっております。このようなことから、国におきましては、財政構造を改革して財政再建を果たすことが喫緊の課題であり、一刻の猶予も許されないとして、6月3日の閣議において財政構造改革の推進について決定を行いました。それによりますと、平成15年度までに財政赤字対GNP比を3%、赤字国債発行ゼロとする財政健全化目標の達成を目指すこと、今世紀中の3年間を集中改革期間として定め、その期間中は一切の聖域なしに歳出の改革と縮減を進めることとしております。
 そこでお伺いいたしますが、本県のように財政基盤が脆弱で、また、社会資本の整備も立ちおくれている県にとって今般の国の財政構造改革の推進は極めて大きな影響があると思いますが、県では、この厳しい財政環境の中にあって、来年度の予算をどのように編成するお考えなのかお聞かせ願います。
 次に、農政問題についてお伺いします。
 ことしは冷夏の予報が出され、農作物への影響を心配していたところでありますが、幸いにして天候に恵まれたことと、生産者の御努力はもちろんでありますが、県当局と農業団体が一体となり、きめ細かい御指導により出来秋を迎えることができ、深く敬意を表する次第であります。今、各地で農産物のフェアも開催されており、私の地元でも昨日フルーツの里まつりが開かれ、収穫の秋を大変喜んでいるところであります。水稲も、暑い夏の到来と病害虫防除の徹底などにより順調に生育し、近々また発表があるようでございますが、8月15日現在の作況指数では本県が102のやや良で全国と同じ指数になっており、出穂後の低温や日照不足により今後どうなるか心配な面もありますが、現在のところ農家の皆さんも安堵しているところであります。
 しかしながら、この豊作を手放しで喜んでいられないのが今日の米情勢ではないかと思うのであります。聞くところによりますと、この秋には米の在庫数量が適正水準を大幅に上回る見込みとなっており、こうした米余りを反映して米価が年々下落してきております。特に、先般、東京で行われた自主流通米価格形成センターの入札結果によりますと、本県産のみならず、全国的に基準価格を大幅に下回る価格で落札されております。また、自主流通米の農家手取りが政府米価格を下回るという、これまでは考えられなかったいわゆる逆転現象が起こってきているのであります。加えて政府は、米の需給調整を図るため来年度の生産調整面積を大幅に拡大するのではないかと報じられております。これでは私は、農家の経営が年々悪化するばかりか、特に稲作を経営の柱として取り組んでおられる方々の生産意欲を根底から喪失させてしまうのではないかと危惧しているところであります。私は、特に稲作は本県農業の基幹であり、地域経済の活性化を図るためにも、従前にも増してその振興に努めていくべきものと考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、国の生産調整面積の拡大の動きに対する知事の御所見を承りたいと存じます。
 また、国は、こうした米をめぐる情勢の変化に対応して、新しい米政策について検討に着手したと報じられておりますが、現時点で把握されている見直しの内容についてお示し願います。
 農政問題の第2点目の質問は、圃場整備事業などの農業農村整備事業の今後の実施見通しについてであります。
 先ほど述べましたように、国におきましては財政構造改革の推進方策を決定し、公共事業については平成10年度予算を前年度対比で7%削減することとしており、また、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策についても公共事業費を減らし、非公共事業費との比率を見直すとともに、対策期間を2年間延長するとしております。そうした中で農林水産省の平成10年度の概算要求が発表されましたが、農業農村整備事業についても6・3%の削減が示され、本県における事業費も大幅に縮減され、農業農村整備におくれが出るのではないかと懸念されるところであります。
 また、新食糧法の施行に伴う米の流通システムの導入など農業を取り巻く環境が急激に変化し、産地間競争が一層激化する中で、生産基盤の整備、特にも生産コストの低減と担い手育成に直結する大区画圃場の整備を早急に進めるとともに、農家の人たちの生活の場である農村を快適で若者が定住し得る生活環境にするために、農業集落排水施設等の整備をこれからますます推し進めていくことが農村の活性化にとって重要であると考えるものであります。県でも各地域で大区画圃場整備事業や農業集落排水事業を積極的に実施していることは承知しておりますが、このような情勢では、現在行っている地区を早期に完成させ、また、今後新たに着工を待ち望んでいる地区の要望に十分対応できるのか危惧されるところであります。
 そこで、国の財政構造改革を受けて、県では、今後、圃場整備事業や集落排水事業の実施に当たり、どのように対応しようとされるのかお聞かせ願います。
 次に、環境保全対策についてお伺いします。
 まず、ダイオキシン対策についてであります。これにつきましては先ほど先輩の菅原議員が質問された部分もありますが、御了承願いたいと思います。
 ダイオキシン類は、廃棄物の燃焼や化学物質の製造過程で生成される強い毒性や発がん性を有する化学物質とのことですが、これまでは排出を規制する法律はなく、市町村のごみ処理場を対象とした厚生省のガイドラインがあるだけでありました。ところが、ことしの4月、厚生省が公表したごみ処理施設からのダイオキシンの排出実態調査結果では、緊急に対策を必要とする基準であるところの80ナノグラムを超過した施設が全国で100カ所を超えるなど、周辺住民のみならず、全国各地に大きな不安を与えたところであり、本県におきましても、久慈市、大東町など5カ所のごみ焼却場がその基準を超えていたことは御案内のとおりであります。このような状況の中、去る8月29日に大気汚染防止法と廃棄物処理法の政令等が改正され、ダイオキシンを大気汚染防止法の指定物質に追加しての規制が12月1日から始まると報道されました。また、対象施設につきましても、市町村のごみ焼却場、産業廃棄物処理施設、電気炉の約1万2、000施設と大幅にふやされ、ダイオキシンの発生を抑える構造や維持管理の基準も施設の種類や規模ごとに定められ、今後、対策が進むものと期待しております。
 ところで、ごみ焼却場のダイオキシン削減対策には連続的に焼却できる大規模な施設が有効と言われており、中小施設の多い本県の場合、今後、広域化が必要と思われますが、広域処理のごみ焼却場となると、どこにおきましても総論賛成、各論反対となり、広域化が進まないことも懸念されます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、将来にわたり良好な環境を維持するためにはダイオキシン対策が緊急の課題であると考えますが、今般の政令等の改正を受け、県はどのように対処しようとしているのかお伺いいたします。
 これに関連して、次に、仮称環境保健センターの整備についてお伺いします。
 ことしの12月に京都で地球温暖化防止条約の第3回締結国会議の開催が予定されており、これを契機に地球環境問題についての関心が高まっていくものと思いますが、本県におきましても、自然環境をも含めた環境の保全と創造に向けての調査研究や環境に関する情報を提供していく必要があると考えております。
 一方、保健分野では、高齢化社会の進展に伴う疾病構造の変化への対応や、本県の風土に根差した農林業従事者の健康に関する調査研究などは、今後、県民の健康づくりを考える上で大切なことであります。さらには、昨年来本県でも発生しているO-157感染症を教訓として、感染症発生時等の緊急時の検査体制の充実を図ることは、県民の健康を守る観点からもぜひ必要であると感じているところであります。
 このような状況のもとで、県では現在の公害センターと衛生研究所を統合し、環境と保健分野の科学的、技術的中核機関として環境保健センターを整備することとし、3県総の後期実施計画の重点事業にも位置づけておりますことは、まことに時宜を得たものと評価するものであります。この環境保健センターの平成9年度当初予算には用地の賃借と地質調査経費が計上されているところでありますが、環境保健センターの整備に関する検討経過と今後の見通しについてお示し願いたいと思います。
 次に、ことしの5月2日に発生した紫波町、石鳥谷町の林野火災復旧対策についてお伺いします。
 このたびの林野火災は、御案内のとおり、乾燥注意報と強風注意報が発令されている最中に発生したものであり、その結果、被害森林面積が304ヘクタール、被害額が7億6、000万円余りと、本県内陸部における林野火災としては過去最大級の被害となったものであります。被害状況の把握や調査などに当たりましては、御多忙にもかかわらず、知事みずからヘリコプターに搭乗されて現地をつぶさに視察され、また、県議会におきましても、先輩、同僚議員各位の大きな御支援を賜りましたことに対しまして心から感謝申し上げるものであります。
 被災当初は、国の財政援助が可能な局地激甚災害に該当しなかったことや、被災森林所有者の多大な経済的損失などから、今後の森林経営に対する意欲消沈ぶりが直ちに伝わり、私は、現状のまま放置された場合の土砂流出に伴う二次災害の発生や水資源の枯渇、さらには、黒焦げた立木が立ち並ぶ景観上の問題など、地域の発展に大きな障害となることを憂慮いたしました。しかしながら、県当局におかれましては、この厳しい財政環境にもかかわらず速やかに補正予算を組まれて6月議会に提案され県単独事業を創設するとともに、国庫補助事業を導入して被害木の伐採整理や治山事業などの所要の復旧対策を講ずることとされました。このような県の早急かつ手厚い支援に対し、地元出身議員として被害森林所有者に成りかわり厚く御礼申し上げる次第でございます。幸い、現地におきましては草木類の自然復旧も一部に見られるほか、何よりも喜ばしいことは、地元被災森林所有者の多くの方々の復旧への意欲が喚起され、事実、この8月からは森林組合が中心となって被害木の伐採整理や作業路の開設が始まっており、この上は一日も早くあの緑の山が再びよみがえることを念願しているところであります。
 県では、被災森林所有者に対する意向調査結果を踏まえ、本年度は被害木の伐採整理等を中心に実施する予定と伺っておりますが、その進捗状況と今後の見通しについてお示し願います。
 次に、教育に関する諸問題のうち4点についてお伺いします。
 第1に、県立高等学校の施設整備についてでありますが、私は、常々生徒がよい教育環境のもと、快適な学校生活を送ることによってより高い学習効果が期待できるものと信じておりますと同時に、教育環境を整備充実することは、今後、文部省が重点的に推進しようとしております心の教育にとりましても必須の条件であると考えております。今年3月の本県の中学校卒業者の高校進学率が97・1%と全国平均の95・9%を超えている現在、これらの生徒すべてがよい教育環境で学習できるように配慮する必要があります。
 県におきましては、これまでも施設の耐久力などから県立高校の計画的整備を行ってきたところであり、その結果、県立高校の諸施設の整備が近年飛躍的に進むとともに、その内容も年々充実してきておりますことは関係者の御努力のたまものであると考えております。しかしながら、個々の県立高校の実態を見ますと、中にはかなり老朽化したものも見受けられるところであります。
 そこでお尋ねしますが、県立高校の校舎などの整備状況はどうなっているのか、また、今後予想される公共事業費抑制の中でどのように整備を進めていかれるのか、その基本的な考え方をお示し願います。
 第2は、生徒の減少と高校再編のあり方についてであります。
 社会の進展に伴って生徒の高等学校に対するニーズが大きく変容していることから、国では教育課程の基準の改善を図るなどの施策を講じてきているところであります。本県におきましても、岩谷堂高校の総合学科設置や杜陵高校の単位制導入に見られるように多様化を図ってきているところでありますが、今後とも生徒がそれぞれの個性に応じて学校の選択ができるよう、さまざまなタイプの学校、学科が設置されることが望ましいと考えるものであります。
 しかしながら、出生数の減少に伴って、今後、生徒数が相当減少していくことが目に見えております。県立高校の中には現在でも定員割れを起こしている学校や学科が見受けられますが、近い将来、学科はもちろんのこと、学校の維持そのものが危うくなってくることが予想されるため、早急に中長期的な展望に立った県立高校のあり方を示す必要があると思うのであります。このような生徒急減期における県立高校の再編成をどのように進めようとしておられるのか、現在の取り組み状況と今後の見通しについて御所見をお示し願います。
 第3は、いじめの問題についてであります。
 平成6年末に愛知県でいじめが原因とされる中学生の自殺事件が発生し、大きな社会問題として世間の耳目を集めたことは御案内のとおりであります。以来、新聞紙上にはパシリと呼ばれる使い走りや金銭強要、暴力・暴行事件、果てはそれを苦に自殺などの記事が後を絶たない状況にあります。将来ある青少年がいじめを苦にみずからの命を絶つなどということはあってはならないことであり、大変残念な事態であります。しかも、いじめられている側はもちろんのこと、いじめる側もいまだ成長しつつある子供でありますから、こうした発育の段階に合わせて他人を思いやる心をしっかり育てることが必要であり、学校現場での真剣な取り組みが求められていると思います。また、学校でのいじめの発生を減らす努力が大切であることは論をまたないところでありますが、それ以上に必要なことは、いじめが起きた場合に学校がどう対処しているのか、いじめを早く見つけてその場で子供たちに生き方、思いやり、正義などをきちんと適切に指導しているのかどうかではないでしょうか。
 そこでお伺いしますが、全国並びに本県のいじめの実態はどのようになっておりますか。学校ではその解消に努力しているものと存じますが、そうした指導の結果はどのようになっているのでしょうか。また、県教育委員会としてはどのような施策を進めておられるのかお示し願います。
 第4点として、平成11年に本県で開催されます全国高等学校総合体育大会についてお伺いします。
 御承知のとおり、この大会は、全国の高校生の精鋭が一堂に会して競技を行い、日ごろの錬成の成果を披露するもので、本県における高校生の体育、スポーツの振興に大きく貢献するものであります。大会を目の当りにする県内の高校生はもとより、中学生や御父兄などが大会で活躍する選手の活気に触れ、スポーツに取り組む心構えを新たにするなど、県民のスポーツに対する関心が高められ、生涯スポーツの振興にも寄与するものと存じております。また、昭和45年の国民体育大会岩手大会以来、実に30年ぶりのスポーツのビッグイベントであり、全国から選手、監督、競技役員など6万人を超える参加者が見込まれており、応援に訪れる生徒や御父兄などを加えますと相当数の来県者が予想され、この方々に岩手の豊かな自然に触れていただくことにより、観光立県を目指す本県を全国にPRする絶好の機会でもあります。
 県におかれましては、大会開催の決定以来、これまで県実行委員会を中心として、開催基本方針、各種事業計画の策定、競技会場の調整、総合開会式の構想づくりなどに取り組まれてこられたものと存じます。また、各種競技種目別大会を開催することとなる県内各市町村におきましても、それぞれ競技会場となる施設の整備や実行委員会の設立など各種の取り組みがなされており、大会成功を願う者として大変心強く思っているところであります。
 そこでお伺いしますが、大会開催まであと2年を切った現在、県並びに市町村などにおける大会推進体制はどのようになっているのでしょうか。また、各競技会場に予定されている施設の整備状況はどのようになっているのかお示し願います。
 最後に、こども・女性110番の店の設置状況についてお伺いします。
 最近の全国の犯罪情勢を見ますと、兵庫県や福岡県の児童を対象とした殺傷事件、熊本県の女子大生誘拐事件など、社会的に弱者と言われる子供や女性の方が被害者となる凶悪な事件が相次いでおります。幸い本県におきましては、県警察を初め、防犯団体や関係機関の御尽力によりこの種の凶悪事件は発生しておらず、関係各位の日ごろの御努力に感謝申し上げる次第であります。しかし、伺うところによりますと、本県におきましても子供や女性に対する執拗な声かけなどが発生しているようであり、このような事案は、誘拐や婦女暴行、さらには殺人事件といった重大な事件の前兆でもあり、心配しているところであります。そのような折、過日、新聞やテレビで子供や女性が身に危険を感じた場合のいわば駆け込み寺としてこども・女性110番の店が設置されたとの報道がありましたが、官民一体となって安全な社会をつくるためには極めて意義のあることと思われます。
 そこで、このこども・女性110番の店の設置状況と今後の取り組み方針について警察本部長の御所見をお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 藤原泰次郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、来年度の予算編成についてでございますが、本県の財政は、現在におきましては御案内のように県税などの自主財源に乏しく、国庫支出金、地方交付税、県債に財源の多くを依存せざるを得ない体質にございまして、国において喫緊の課題として取り組んでおります六つの改革、特に財政構造の改革は来年度の本県の予算編成に大きな影響を及ぼすものであると、このように考えております。しかしながら、このような厳しい財政環境にございましても、本県においては、21世紀の活力に満ちた地域社会の実現に向けて、少子化、高齢化や高度情報化の進展などの社会情勢の変化や3県総に掲げる施策の計画的な推進、多様化する県民ニーズへの対応などの諸課題に的確に対応していくことが求められているところでございます。
 したがいまして、今後の行財政運営に当たりましては、従前にも増してスクラップ・アンド・ビルド原則の徹底などによりまして歳出の合理化を図る一方で、施策を重点的、効率的に実施するなど、限られた財源の効果的な活用を図っていくことが肝要であると、このように考えております。このため、新たな視点に立った地方分権の今のこの時代にふさわしい機動的で効率的な行財政システムを確立するための指針づくりを現在進めているところでございまして、お尋ねのございました来年度の予算編成につきましては、この指針に基づく改革の初年度と、こういうことで、指針に定める具体的方策を速やかに実行に移すことを基本として編成をしたいと、このように考えているところでございます。この中におきましては、特に事務事業の新たな評価制度の導入による事業の見直し、部局横断的な課題への全庁的な取り組み、行政と民間の分担すべき役割の明確化などによりまして、優先度、緊急度の高い施策の重点的な推進を図るなど、創意と工夫を凝らした予算編成を行ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、国の生産調整面積の拡大の動きについてでございますけれども、米をめぐる情勢は、ここ数年引き続いております豊作や消費の減退などによりまして、この10月末の数字でございますが、国の当初計画を大幅に上回る370万トンもの在庫を抱えるものと、このように見込まれているところでございます。さらに、本年におきましても全国的な豊作が予想されておりまして、このまま推移しますとさらに大量の在庫を抱えかねない、こうした事態にあるわけでございます。こうした米の需給が著しく緩和をしている、こういう状況のもとで、先日の入札結果におきましても、本県の平成9年産の自主流通米価格が基準価格に対しまして9・4%も値下りをするといったような状況も見られております。米価は低落の一途をたどっており、稲作経営は極めて深刻な状況に置かれているものと、このように認識しております。
 国におきましては、米の需給と価格の安定を図るためには、現在の供給過剰状態の解消が喫緊の課題であると、こういうような認識で、平成8年度から3カ年の予定で実施をしております新生産調整推進対策を、1年繰り上げて2カ年に短縮をして来年度から生産調整面積を拡大するとともに、新たな対策として実施する方向で検討が行われていると、このように聞いているところでございます。しかしながら、本県の実情を見ますと、現対策におきましては大幅に面積を拡大されておりまして、転作率が過去最高の27・6%となっている中で、もう、今現在でも既に面積的に限界感があると、また、生産調整の実施者と非協力者との不公平感が強まるといった多くの問題を抱えていると、このように考えているところでございます。したがいまして、生産調整面積の拡大につきましては、単に面積そのものを拡大するということだけでは、もはや到底、生産者や地域に受け入れられない状況にあり、実施者に明確なメリットが与えられるような制度として改善が図られるものでなければならないと、このように考えているところでございます。県といたしましては、国のこうした面積拡大の動きに対しまして、先日も本県のこうした実情について強く訴えてきたところでございまして、今後、制度改善の中におきまして、本県の考えておりますこうした考え方が取り入れられるように、さまざまな機会を通じまして要望を強めていきたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願い申し上げます。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、国の新しい米政策の検討内容についてでございますが、今日の米をめぐる環境は大幅な需給緩和にあり、この10月末の持ち越し在庫量が全体で370万トン程度、このうち政府米につきましては適正水準とされております150万トンの2倍近くになるものと見込まれております。また、こうした米余りの状況を背景に、生産調整を実施しているにもかかわらず自主流通米価格の低落が続いておりまして、稲作農家の経営に多大な影響を及ぼしているところであります。一方、生産調整そのものにつきましても、面積的な限界感や非協力者との不公平感が指摘されており、また、その仕組みややり方につきましてもさまざまな意見や要望が出されているところであります。こうした現行制度の抱えている諸問題に対処するため、現在、国におきましては、一つには、政府米をいかに流通させるかなどの備蓄の運営、2点目としまして、現在の問題点を踏まえた生産調整の仕組みの改善、さらには稲作農家の経営安定対策として、農家所得の減収額を補てんする基金の創設の3点を大きな柱として、米政策の再構築に向けた総合的な検討が11月をめどに進められているところであります。国におきましては、この結果を踏まえ、来年度の予算編成に反映させるとともに、新たな制度として実施されるものと考えております。県といたしましても、生産者の期待にこたえ得る制度として見直しが行われるよう、国に対し、一昨日も重ねて強く要望してまいったところであります。
 次に、農業農村整備事業の今後の実施見通しについてでありますが、県におきましては、国際化の急激な進展に対応できる効率的な農業構造を確立するため、担い手を育成、確保するとともに、農地の利用集積を図り、低コスト水田農業の確立を目指す担い手育成基盤整備事業などによります大区画圃場の整備を進めてまいったところであります。一方、都市に比べて立ちおくれております生活環境を整備し、地域社会に活力を与え、快適で潤いのある農村社会を建設するため、農業集落排水事業の推進は極めて重要でありますので、現在、全県域汚水適正処理構想に基づき、その整備を進めているところであります。御指摘のとおり、国におきましては、財政構造改革の趣旨を踏まえ、農業農村整備事業の概算要求を対前年比93・7%と厳しく縮減し、中でも新規採択枠を対前年比90・3%と大幅に抑制しておりますことから、今後の計画的な進捗が懸念されているところであります。このため、県といたしましては、整備水準のおくれなど、本県の実情につきまして国の御理解を得ながら、担い手育成基盤整備事業や集落排水事業などの予算確保に努めますとともに、これらの事業の実施に当たりましては、重点化、効率化を行い、より一層のコスト縮減を図りながら、継続地区の早期完了と新規地区の計画的な着工により、事業の円滑な推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕

〇生活環境部長(吉田敏彦君) 本年8月の廃棄物処理法の政省令の改正を受けてのダイオキシン対策でありますが、一般廃棄物について、緊急対策を必要とした県内の5施設のうち2施設は休止し、他の3施設については、本年3月までに燃焼管理の改善や施設の一部改良による対策を講じ、県内すべてのごみ焼却施設で暫定基準である80ナノグラムを達成いたしております。また、今般の政省令の改正を受けて、9月に改めて平成14年11月末までの早い時期に、1ないし10ナノグラムの規制基準を達成するよう指導したところであります。一方、ごみ焼却場からのダイオキシンの排出抑制には連続してごみ焼却ができる大型炉が有効なことから、厚生省では、平成10年度から、1日の処理能力が100トン以上の施設に限り施設整備補助を行うことに方針を転換したところであります。県としては、市町村が施設整備を円滑に行うためには国庫補助を受けることが必須なことから、広域化計画に取り組むこととし、その指針となるごみ処理広域化計画を市町村等の意向を踏まえ、調整を図りつつ策定したいと考えております。
 次に、産業廃棄物については、政省令の改正により、新たに一般廃棄物と同様の構造及び維持管理の基準が明確に定められたところであります。このため、廃棄物焼却炉の設置者等を対象とした説明会を振興局ごとに開催するなど改正内容の周知徹底に努めるとともに、処理施設の設置に係る融資制度などを積極的に活用しながら、新設された規制基準ができるだけ早期に達成されるよう指導してまいります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) 環境保健センター、これは仮称でありますが、この整備に関する検討経過と今後の見通しについてでありますが、当センターは、21世紀に向けて県民の健康の保持、増進や本県のすぐれた自然環境の保全のための環境保健行政の科学的、技術的中核機関として整備することとしており、平成6年度以降具体的な検討を進めるとともに、昨年12月からはさらに機能面の充実について検討するため、県内外の保健、環境分野等の有識者、専門家からなる検討会を随時開催し、さまざまな意見、提言を得てきたところであります。
 御提起のありました今後の大きな課題となる廃棄物処理等環境の保全や本県の健康づくりに関する調査研究、O-157など、新たな感染症に対応した試験検査体制の充実、また、調査研究結果の県民への情報提供などは環境保健センターとして果たすべき重要な機能であると考えており、今後とも、機能面の充実に向けてさらに検討を加えてまいりたいと考えております。
 整備の今後の見通しにつきましては、本年4月、盛南開発地区内の整備予定地の用地関係事務を盛岡市に委託したところであり、現在、大方の民間地権者と合意を得ているところであります。県においては、本年度内にさらに地質調査を実施する予定といたしております。
 来年度以降は、建物の設計や建設に必要な関連工事を予定しており、今後とも、盛岡市や地権者等の理解と協力を得ながら、平成12年度の竣工を目指して事業を推進してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕

〇林業水産部長(中村陽兒君) 紫波町、石鳥谷町の林野火災復旧対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県内陸部における過去最大級の被害となったことから、県単独事業を創設するなど、総合的な復旧対策を本年度から実施することとしたものであります。
 お尋ねのありました被害木の伐採整理につきましては、町、森林組合、地方振興局など関係者が一体となって直ちに現地調査を実施し、また、被災森林所有者の意向も集落座談会等により十分に把握の上、被害を受けた林木5万4、000立方メートルのうち、約8割に当たる4万2、000立方メートルを伐採整理する復旧計画を策定したところであります。本年度は、そのうち8割を実施することといたしております。現在、岩手中央森林組合と石鳥谷町森林組合が中心となって作業が進められておりますが、8月末現在の進捗状況は、本年度計画量3万4、000立方メートルに対し約9、000立方メートルが実施され、26%の実績となっております。また、被害木の搬出に必要な作業路の整備につきましても、10月末ごろまでには大部分のものが使用可能な状態となる見通しであります。
 このように、現在の進捗状況はおおむね順調に進んでおり、本年度に予定している計画につきましては、年度内に十分達成できるものと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕

〇教育長(細屋正勝君) まず、県立高等学校の施設整備についてでありますが、いわゆる老朽校舎等につきましてはその度合いに応じて改築し、また、耐震補強等、建物を維持するための大規模改造を行っているほか、特色ある施設づくりに努めているところであります。今年度は、遠野高校の校舎や紫波高校等の体育館の改築のほか、盛岡第一高校の改築に向けての設計、また、花巻北高校ほか15校の大規模改造、並びに大槌高校等における太陽熱利活用のプール上屋などの整備を行っております。
 今後におきましては、厳しい財政環境が続くものと予想されますが、ゆとりと潤いがある教育環境の充実を図り、教育効果を高めるため、施設整備につきましては、可能な限り計画的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、今後の県立高校再編成のあり方についてでありますが、平成12年度以降は、御指摘のように生徒減少が一層激しさを増すことに加え、社会の変化や生徒の進路志望の多様化等がなお一層進むことが予想されることから、今後における県立高等学校のあり方を検討するため、本年3月に、県立高等学校長期構想検討委員会を設置したところであります。これまで、県立高校の現状や国の高校改革の状況の把握、さらには中学生、高校生及び保護者の意識調査を実施し、検討委員会において調査結果の分析検討を行うとともに、県内の教育関係団体等から意見を聴取するなど、県立高校の将来構想に関し鋭意検討を進めているところであります。教育委員会といたしましては、検討委員会における検討結果を踏まえて、県立高校の再編成計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に、いじめの問題についてでありますが、平成7年度は小学校、中学校、高等学校をあわせて全国で6万件を超え、本県でも357件と平成になって最悪を記録しましたが、平成8年度は全国はまだわかりませんが、本県では251件と、前年度と比較して106件、約30%減少しております。いじめの問題の指導に当たりましては、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないとの基本認識に立った毅然とした対応が何よりも大切であります。学校におきましては、担任等による早期発見、早期対応に努めるとともに、児童生徒との普段からの十分なコミュニケーションや親身な相談と指導、学校全体の取り組み、家庭、地域、関係機関等との密接な連携を進めているところであります。教育委員会といたしましては、いじめの問題については、教師の指導力の向上を図ることが何よりも重要であると考え、いじめ問題等対策研修講座の実施や筑波大学で実施しているカウンセリング講座への派遣を積極的に行うとともに、スクールカウンセラーの配置等による教育相談体制の充実を図っているところであります。
 次に、全国高校総体に向けた推進体制についてでありますが、県におきましては、去る5月に、知事を会長とする実行委員会を設立し、競技種目別大会の日程や総合開会式の基本構想等を決定するなど、準備業務は順調に進展しております。また、会場地となる20市町村においてもそれぞれ組織等の整備を進め、各競技種目別大会の開催に向けた準備を精力的に遂行しているところであります。さらに、この大会運営の主力となります県内高校生の活動母体である全国高校総体岩手県高校推進委員会において、一人一役運動の計画策定など、大会に向けた活動を開始しております。
 次に、施設の整備状況についてでありますが、既に整備を完了しているもののほか、総合開会式の会場となる北上市の陸上競技場、新水沢市体育館、紫波自転車競技場などが今年度末までに完成する見込みであります。残る盛岡市の水泳場や一関市の体育館等も、大会開催の前年度内には完成の予定であり、ほぼ順調に進捗していると考えております。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕

〇警察本部長(池田克彦君) こども・女性110番の店についてお答えいたします。
 まず、こども・女性110番の店設置につきましては、県内のコンビニエンス・ストアあるいはレンタルビデオ店等により組織されます岩手県深夜営業店防犯協力会が社会の安全のために寄与したいとの意向から、子供や女性が身の危険を感じた際に助けを求めて駆け込める、いわば緊急避難所として営業中の店舗を活用してもらおうと自主的に発案されたものでございます。県警察といたしましても、このような意向を歓迎いたしましてこのたび設置される運びになったものでございますが、このような試みは全国で初めてであると聞いております。
 その運用につきましては、店舗の見えやすい場所にこども・女性110番の店というステッカーを掲示いたしますとともに、従業員用の緊急連絡マニュアルを備えまして、子供や女性が助けを求めてきた場合の保護、そして警察への通報など、その対応には遺漏がないように図られているものでございます。また、このほかに紫波町や岩手町におきましては、一般家庭及び事業所、学童安全連絡所、あるいはこども110番の家としてこの種の犯罪の予防に御協力いただいているところでございまして、その数は既に42カ所となっております。今後は、この種の緊急避難所的な場所をさらに拡大するように努めますとともに、官民一体となった防犯活動を展開することにより、また、犯罪捜査を徹底することによりまして、子供や女性に対する声かけあるいはつきまとい事案などの発生を抑止してまいりたいというふうに考えております。


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