平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇34番(菅原温士君) 自由民主党の菅原温士であります。
 質問に先立ち、去る8月13日に御逝去なされました藤倉正巳議員に対しまして、謹んで哀悼の意をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げる次第であります。
 まず、新しい総合発展計画についてお伺いをいたします。
 現在、県では、第三次県総合発展計画にかわる新しい総合発展計画、いわゆる次期県総の策定に向けて、県民100人に1人の割合で実施する大規模アンケート調査や、地域住民の提言を聞く地域21デザイン会議の開催等、提案、参加型の計画づくりを進めております。去る7月28日には、知事は、県総合計画審議会に対し、正式に新しい総合計画の基本方向について諮問を行ったと聞いております。いよいよ21世紀初頭の本県のあるべき姿を描くべく、実質の論議が行われるべきときが来たのでありますが、県民参加の計画づくりについては、単に形式のみを整えたというそしりを受けることがないよう、そこで得られた意見や提言は、誠意を持って的確に反映するという観点に立ち、可能な限り採用していくという積極的な姿勢が必要であります。特に、基本計画の地域編を策定するに当たっては、地元市町村と県の総合出先機関である地方振興局とが綿密なる打ち合わせを重ね、みずからの主体的判断、選択により、それぞれ地域の特性を生かした個性豊かな計画となることを目指すべきであり、また、地域編の計画の決定に当たっては、基本的にその地域にゆだねるという方針で取り組んでいく必要があるのではないかと思うのであります。
 そこでお伺いいたしますが、今般の計画策定に当たっての地方振興局の果たすべき役割をどう認識されているのか、知事の御所見をお願いいたす次第であります。また、あわせて、計画策定作業の現在における進展状況についてもお伺いをいたします。
 次に、県の行財政システム改革のための指針策定についてお伺いをいたします。
 先般、知事は、財政運営の一層の健全化、効率化を図るとともに、県民の視点に立った行政運営を推進していくため、行財政システム改革のための指針を策定すると記者発表したところであります。政府における歳出の徹底した削減等を目指した財政構造改革の決定により、本県の財政環境も確実に厳しくなるという見通しのもと、平成10年度予算の編成作業に間に合うスケジュールで、こうした取り組みを行おうとすること自体は高く評価できるものであります。しかしながら、何よりも大事なのは、国の財政構造改革の決定があったから、今、県の行財政の見直しを進めるということではないのであり、また、単に歳出削減のみを実現できればそれでよろしいということでもないのであります。要は、21世紀に向けて、高齢化、少子化、高度情報化等、社会経済情勢の変化に適切に対応し、多様化、高度化する住民ニーズに機動的、弾力的にこたえることが可能となる行財政運営を確保していかなければならないという観点に立って、現在の県行財政システムに内在するさまざまな非効率的な面を徹底的に洗い出し、改善しなければならないという切実なる問題認識を県みずからが持ち、そこを原点として、国からの押しつけではない、独自の視点であらゆる業務、仕組みを見直すという姿勢こそ、肝要であろうと思うのであります。この点について、知事はどのようにお考えなのか、当該指針策定に当たっての御所見をお伺いいたします。
 次に、財政構造改革に関連した公共事業の抑制による本県への影響についてお伺いをいたします。
 財政構造改革会議の最終報告を受け、政府は、公共事業関係の長期計画の延長と平成10年度の公共事業費予算の対9年度比7%、6、300億円の削減を決定いたしております。これを受けて、8月末に締め切られた各省の公共事業費についての概算要求の状況を見ると大幅に絞り込まれ、すべてマイナス要求となっております。我が国の財政が危機的状況にあることを踏まえた政府ぎりぎりの決断であると思いますが、公共事業費の一律削減は、こと社会資本の整備がおくれている本県にとっては、非常に大きな影響があるものと懸念されるところであります。しかし、状況は各県とも同じであり、逆の言い方をするならば、こうした厳しい環境の中にあってこそ、知事の真の行政手腕が問われるものと言え、全国一若い知事には、柔軟な発想と斬新なアイデアでこの難局を乗り越えていくべく、全身全霊で県政に邁進していただきたいと考えておるものであります。
 さて、財政構造改革に関連した影響について、一説によれば、公共事業費7%削減時の県内総生産減少額は約397億円、推定雇用者減少数は5、000人余とも言われております。これは、民間の研究機関がはじいた数字でありますが、県においても当然、独自に公共事業の抑制に係る県内への影響について試算、分析していると思いますので、その状況、結果をお伺いいたします。
 なお、さきの6月定例会に知事は、地域の発展にとって必要となる社会資本の整備について万全を期していく必要があり、国に対して強く要望していく旨答弁しておられましたが、困難に立ち向かうためには、まずもって正確な状況把握が必要であることは言を待たず、何事においても具体の数値をもって理論武装することが重要であります。私は、県みずからの分析結果を求めるのは、それによって県がどの程度の危機意識を持っているかわかるからであり、このような趣旨を踏まえて御答弁をお願いするものであります。
 次に、地方振興局の機能強化の成果についてお伺いをいたします。
 この4月1日に、土木事務所と保健所が地方振興局に統合され、それぞれの地方振興局の土木部、保健福祉環境部となり半年が経過しようといたしております。また、企画振興部門も優秀な若手職員が増員配置され、地方振興局の体制は、外形的には従来にも増して格段に強化されたと言ってもよろしいと思うのであります。しかし、問題はその内容であります。知事は、常々、地方分権の時代に対応した地域振興策の総合的な推進の必要性を唱えており、地方振興局の総合性、自己完結性への向上を図るべく、このような機構改革を実行されたと聞いております。
 そこで、当初見込んだとおりの成果が上がっているかどうかについて、知事はどのような認識を持っておられるのか、お伺いをいたします。
 なお、成果を検証するには期間が短すぎるということもあろうかと思いますけれども、現時点での率直な感想をお伺いいたします。
 また、地方振興局が地元住民と一緒になって考え、地元住民から信頼され得る真の総合出先機関となっていくためには、地域経営の感覚を磨くなど、職員の資質の向上を図るということが重要ではないかと思うのであります。この点についても、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、廃棄物処理に関する問題についてお伺いをいたします。
 まず、ダイオキシン問題についてであります。
 一般ごみ焼却炉施設から発生する猛毒物質ダイオキシン類の濃度調査結果において、本県の五つの施設が厚生省の定める新ガイドラインの基準値を上回り、中でも、久慈市の久慈地区清掃センターでは国の基準の6倍、全国で5番目に高い値のダイオキシンが検出され、また、大東町の大東清掃センターでも、全国7位の排出量であることが指摘されたところであります。その後、久慈市の施設では、燃焼方法の改善により、当該基準値を下回ることができたとのことでありますが、大東町の施設では、新施設完成までの間、隣接する他の施設へ処理を委託するということとし、当該施設の使用を中止する事態になっておるのであります。県内の多くの一般ごみ焼却施設は、老朽化が進んでいるということに加え、それぞれの施設が、その日ごとに炉を立ち上げをする中小炉であることが、ダイオキシン発生の大きな要因となっていると指摘されております。このことは、生命の危機に及ぶ重要問題であり、県として、一般廃棄物処理は市町村の責務だからと言って、看過することは許されないのであります。
 そこでお伺いいたしますが、この問題に対する県の処理方針はどのようになっているのでしょうか。また、ダイオキシンの抑制のためには、より排出濃度の低い大型焼却炉への集約が必要であるとし、国では、今後、1日当たりの処理能力が100トン以上の施設でないと補助対象にしない方針と聞いております。今後、施設の更新期を迎える広域事務組合等に対して、県としてどのような形で調整、誘導を行っていくおつもりか、あわせてお伺いをいたします。
 これに関連して、RDF化施設の導入等についてお伺いをいたします。
 このほど厚生省では、生ごみなどを乾燥させて固形燃料にするRDF化施設の建設を積極的に推進することを決めたところであります。RDFは、廃棄物のままの状態に比較し運搬に適しているという利点や、同省が目指している一般ごみ燃焼施設の広域化に効果が期待できることに加え、燃焼が安定的でダイオキシン対策としても有効であるとの理由からであります。また、RDFを燃焼することに伴って発生する熱エネルギーを利用した発電も、省エネルギー、省資源に有効であることから、積極的に取り組むことは意義があると思うのであります。このような状況にあって、県は今年6月、RDF化の推進を検討している自治体が集まり、情報交換や政府への要望を話し合うために設立されたRDF全国自治体会議の設立に参加し、知事は副会長に就任されたと伺っております。こうした団体への加入は、先進的な取り組みと高く評価したいと思うのであります。RDF化施設への既存の一般ごみ焼却施設からの転換のためには新たな負担を伴うことから、広域自治体の理解と合意を得ながら推進しなければならないなど、困難な問題もあると予想されるのでありますが、今後の県としての取り組み方針についてお伺いをいたします。
 また、RDF発電については、栃木県が平成13年度を目途に稼働させ売電する方針のもと、この11日に行われました東京電力の卸電力入札に参加するなど、現実に導入する自治体が出てきておるのであります。企業局においても検討していると聞いておりますが、目下の状況はいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、東和町の米減反問題についてお伺いをいたします。
 知事は去る7月30日、国に対し、農家の自主性を生かした減反の仕組みの整備を含む農業振興施策の要望を行ったところであります。そこに至る経過については、自主減反に係る東和町との一連のやりとりがあったにせよ、要望は、生産調整に対する限界感を知事自身が痛感されてとのことであり、制度の改善を求めるその姿勢は、多くの支持を集めるものと思うのであります。しかし、一方では、先般の提言の内容そのものは、現行制度の改善を求めるということにとどまり、具体性に欠けるという点でいささか物足りなさを感じたのは、私一人だけではないのではないでしょうか。
 そこで、この際、米の生産調整に関しまして、真に自立した農業、言うなれば農家の自主性を発揮し得る農業を確立していくため、具体的にどのような制度、施策が必要と考えておられるのか。国に対して行った要望の内容についても、さらにもう一度突っ込んだ知事のお考えについてお伺いをいたします。
 次に、大型店の進出問題についてであります。
 大手スーパーのダイエーを含む三つの業者が、盛岡市やその近郊にそれぞれ大型ショッピングセンターを出店する計画であるとの新聞報道があってから数カ月が経過いたしたところであります。この間、県はこの問題に対してどの程度情報収集を行い、どのような対応策をとってこられたのか。また、これらショッピングセンターが地元商店街に与える影響について、どう分析しているかということについてまずお伺いをいたします。
 このことについては、多くの地元商業関係者が大きな不安を感じ、一部では、既に出店阻止のための街頭署名活動も始まっていると聞いております。しかし、この問題は単に大型店と地元商店街だけの問題ではなく、市民生活環境、まちづくり、文化等、多面的な問題につなげたもっと大きな視点でとらえるべき問題であろうと思います。今後、県はどのようなスタンスで係る事態に対応していくおつもりなのか、この問題に対する当局の基本的な考えをお伺いいたします。
 次に、盛岡大学問題についてお伺いをいたします。
 このたびの同大学の公金をめぐる金銭疑惑は、これまで築いてきた県民の信頼に傷をつけることになり、極めて残念なところであります。私学は、申し上げるまでもなく本県の教育に大きな役割を有しており、これまでそれぞれ建学の精神に基づき、特色ある教育を展開し、着実な成果を上げてきているところであり、県民の寄せる期待も大きいものがあります。このようなことを踏まえ、私学の教育振興の充実、向上の観点から、運営費補助や施設整備費補助等による支援が行われてきたものであります。同法人に対しても、これまで多額の県補助金が交付され支援されてきたはずでありますが、まず、最近の交付実績についてお伺いをいたします。
 さて、前同大学理事長が引き出した金銭は、大学の口座からのものとはいえ、学校法人盛岡大学が所有、管理するものであります。とすれば、補助金の交付を受けた同法人は、これまで交付された県の補助金を適正に使途したのか、あるいは私的に流用されたことはないのかということについて、疑念なきを得ないものであります。同法人においては、人心を一新して、再建に向け一歩を踏み出そうとしていると聞いておりますが、県民の前に早急にその実態を明らかにし、県民の信頼を一日も早く回復されることを願っておるものであります。今後、同法人に対しいかなる指導がなされるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、少子化問題についてお伺いをいたします。
 近年の少子化の動向については、将来にわたる大きな課題を包含しておりますが、その対応となると隔靴掻痒の感、もどかしさの感じがなきにしもあらずと受けとめているのは、私一人だけではないと思うわけであります。本県の昭和25年の0歳から14歳までの年少人口は全人口の37・8%でありましたが、それが昭和50年には24・4%、そして平成8年には16・5%と激減をいたしております。また、国立社会保障・人口問題研究所が本年5月に発表した将来人口推計によると、本県の人口は、2025年には現在よりも1割以上も少ない124万1、000人となるが、特に年少人口の減少が著しく、3割近く減って17万2、000人となり、人口構成比も13・8%になるものと予測されております。県内の地域の集落によっては、ほとんど子供を見かけないところもあります。今、県内各地で秋祭りが行われてにぎわっておりますけれども、祭りの主役であります肝心の子供は少なく、華やかな祭りの中にも寂しさを感じているところであります。地域によっては、集落の存続が危惧されるほど、少子化が進行いたしているのであります。こうした少子化の進行は、子供同士の触れ合いの機会が少なくなり、自主性や社会性が育ちにくくなるといった子供自身への影響はもちろん、労働人口の減少による社会保障費用の現役世代の負担の増大、産業の衰退、地域社会の活力の低下等、将来の社会経済全体の活力の低下を招くことも危惧されておるのであります。年少人口が著しく減少している本県としては、目前に迫った21世紀を、希望にあふれた地域社会とするため、全力でこの難問に取り組んでいく必要があると考えております。
 そこでお尋ねいたしますが、このような少子化問題への対応をどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、県民生活の安全確保という観点から、交通事故防止対策についてお伺いをいたします。
 殺された1人の人間は悲劇の存在だが、大量の死傷者は統計上の数字でしかない。これは、現在の交通事故情勢と交通事故に対する県民の意識を端的にあらわす言葉であります。昨年、県内では室根村の総人口に匹敵する6、348人の方が、交通事故により死傷いたしております。また、今年8月末現在では、既に湯田町の総人口に匹敵する4、415人の方が死傷するなど、極めて憂慮すべき事態になっております。中でも、高齢化社会の進展に伴い65歳以上の高齢者の事故が年々増加の一途をたどっており、県内の交通事故の死者に占める高齢者の割合は、昨年は35・1%、今年8月末では38%と極めて高い比率となっているなど、高齢者の交通安全対策が緊急の課題となっているところであります。こうした情勢の中、県では、昨年度から県単事業として高齢者の参加・体験型の高齢者交通安全教育を取り入れたことは、まことに時宜を得たものと高く評価いたしているところであります。昨年千厩町では、県交通安全対策協議会の委託事業を、ことしは千厩警察署が千厩地方振興局の地域活性化事業より、管内6町村の高齢者を対象とした参加・体験型の高齢者交通安全教室を開催し、交通の危険性を具体的に体験できるとし受講者から好評を得ておりますが、高齢者の交通安全対策として有効なものであると考えているものであります。また、真に安全かつ快適な交通環境を確保するためには、道路整備等にあわせ、子供から高齢者に至る県民各層に、交通安全思想を普及徹底するための交通安全総合研修センターを早急に整備する必要があると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、現在、県で実施している県単事業の高齢者の参加・体験型交通安全教育を全市町村に拡大すべきものと考えておりますが、いかがでしょうか。また、現在、第三次総合発展計画に調査事業として位置づけられておる交通安全総合研修センターの検討結果等、現在までの進捗状況についてもあわせてお伺いをいたします。
 最後に、コミューター航空についてお伺いをいたします。
 県では、このたび花巻新潟線を、株式会社ジェイ・エアをその運航主体として開設することとしたところであり、これにより、これまで交流の薄かった北陸方面との観光や産業面等における交流が一層活発化することとなるなど、県民の当該路線に寄せる期待は大きいものがあると思います。県においては、これまでも福岡線や沖繩線など、花巻空港からの航空ネットワークの充実に鋭意努めてこられたところでありますが、県当局の努力を多といたしたいところであります。平成7年度に策定した岩手県総合交通体系基本計画におきましては、全国1日交通圏の拡大に当たっては、航空ネットワークの充実が時間距離の短縮に特に有効であることから、今後の航空需要の動向を踏まえながら、主要都市への路線開設に努めるとしておりますが、今回この線を開設するに当たって、その航空需要をどのように見込まれたのかまずお伺いをいたします。
 また、コミューター航空の場合、運航費用に占める機材費等の固定費の割合が大きく採算面で極めて厳しいとされておりますが、今回の路線開設に当たって、コミューター関係地方団体協議会への参画を通じた所要の財政支援措置、すなわち運航費補助を講じることとしたところでありますが、今後、当該路線維持に当たっての県の今後の財政負担の見通しはどうでしょうか、お伺いするものであります。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 菅原温士議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、新しい総合計画策定に当たっての地方振興局の役割についてお尋ねがございましたが、今回の計画の策定に当たりましては、私は、その策定過程を特に重視をしたい。できる限り多くの県民の方々に計画づくりにかかわっていただきまして、県民提案型・県民参加型の計画づくりを進めていきたいと、このように考えております。
 また、従来のような右肩上がりの成長は望めない、そうした経済社会の状況におきましては、これまでの社会を支えてまいりました仕組みや構造自体の変革が求められておりまして、地方におきましても、このような状況を踏まえ、それぞれの地域経営に取り組んでいかなければならないと、このように考えております。したがいまして、地方分権の進展もあわせて考慮いたしますと、地域のことは地域が考え、行動し、その結果については当然のことながら地域みずからが責任を持つという、いわゆる分権型地域社会の構造を目指していくと、こういうことが必要であると、こういうふうに考えております。
 このような観点から、地域振興の総合的な拠点でございます地方振興局につきましては、企画部門を中心とした組織体制の強化など、逐次その機能の充実を図ってきているところでございまして、今回の計画策定を進める上からも、その重要な策定主体として、その持てる能力を十分に発揮させていく考えでございます。特に、各地域の計画でございますいわゆる地域編につきましては、従来からの考え方を変えまして、それぞれの地域の整備の方向性をより明確でわかりやすく示すなど、こうした作業を地方振興局を中心に検討を行っていただく、そして、その内容を充実したものにしたいと、こういうふうに考えておりまして、地域住民の方々あるいは各市町村から幅広くいただきました意見、提言につきまして、みずからの地域で何をなすべきか、また、何ができるのかといった議論を深めることによりまして、それぞれの地域の個性と特徴を生かし、各地域の発展方向が明らかとなるような計画にしてまいりたいと、このように考えております。
 また、今、計画策定作業の進展状況についてお尋ねがございましたけれども、先般、総合計画審議会を開催いたしまして、新しい総合計画の基本的方向について諮問を行いますとともに、審議会の運営方法を決定していただいたところでございます。また、庁内の計画策定組織でございます銀河系いわて21デザイン会議を設置するなど、計画策定体制を整えまして、広域生活圏ごとの地域21デザイン会議や市町村長の方々との懇談会、さらには、県議会の御協力をいただきまして先日開催いたしました岩手こども議会、こうしたものを順次開催をしているところでございます。そのほか、現在、県民の皆様方や企業を対象といたしました大規模なアンケート調査を実施するなど、各界各層の意向把握に努めているところでございます。
 今後は、さらにきめ細かな意向把握に努めるとともに、これらの結果をもとに、地方振興局を含め全庁的に議論を重ねまして、また、審議会におきましては、環境共生など五つの小委員会ごとに審議を深めていただきまして、来年11月ごろに公表を予定しておりますが、中間報告に向けた計画策定作業を着実に進めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、行財政システム改革のための指針についてお尋ねがございましたけれども、県におきましては、平成8年1月に行政改革大綱を定めまして、地方分権の時代を展望して、機動的で効率的な行財政運営の確立に向けた取り組みを進めてきたところでございます。一方、我が国は、今、少子化や高齢化の急激な進展、経済構造の変化、国民の価値観の多様化など、さまざまな分野で構造的な変化に直面しているところでございまして、国におきましても六つの改革を最重点課題として掲げまして、その推進を図っていると、こういう状況でございます。本県におきましては、こうした国の動向を踏まえながら、今後一層厳しさを増すことが見込まれる財政環境にありまして、豊かな自然環境の保全、時間、距離の制約を克服するための地域情報化の推進、さらには次代を担う人材の育成など、取り組むべき諸課題への対応--これはほかにも課題は幾つかあるわけでございますが--、こうした大きな課題への対応を図りまして、21世紀に輝きのある岩手を創造していくことが今求められているわけでございます。
 したがいまして、今後におきましては、従前にも一層増して事務事業の見直しによる歳出の合理化と施策の重点化を図りまして、限られた財源の効果的な活用を図るとともに、より県民の視点に立った行政運営を推進していくことが肝要であると、こういうふうに考えております。このため、現在の行財政システムの見直しを行う必要がある、こういうふうに考えておりまして、その改革のための目標や具体的な方策などについて定めます行財政システム改革のための指針を策定することとして、現在、作業を進めているところでございます。この指針におきましては、事務事業の評価制度の導入や部局を横断いたします課題への全庁的な取り組み、それから、財政の健全性の確保などの財政運営の改革方策を定めますとともに、県民サービスの一層の向上や行政手続のさらなる簡素合理化、組織・定員のあり方などについての方向を定めるなど、行財政全般にわたる改革に取り組むことと、このようにしているところでございます。
 次に、地方振興局の機能強化についてお尋ねがございましたけれども、地方振興局におきましては、本年4月に土木事務所の統合、保健医療部門と福祉部門の組織的な連携の強化、本庁からの大幅な権限の委譲、企画部門の職員の増員、新進気鋭の職員の重点的な配置などを行いまして機能強化を図ったところでございます。その運営につきましては、地域住民の皆様や各市町村の御理解、御協力、そして職員の創意工夫と努力によりまして着実に軌道に乗ってきておりまして、おおむね所期の目的を達成しつつあるものと、現在ではこういうふうに認識しているところでございます。
 また、地方振興局の職員は、常に住民の立場に立って、地域のことは地域で完結させていく、こういう意識を強く持って仕事に取り組むことが大切であると、このように考えております。このため、地方振興局と市町村との合同の研修や新しい総合計画のそれぞれの地域にかかわる計画--先ほど申し上げましたいわゆる地域編でございますが--、この地域編の策定作業への参画などを通じまして、職員の意識改革と政策形成能力の向上に努めているところでございます。
 今後におきましても、引き続き本庁の有しております権限の計画的な委譲を進めていきますほか、より機動的かつ効率的な組織体制となりますように不断に見直しを行いますとともに、職員の一層の資質向上に努めるなどいたしまして、その総合性、自己完結性をさらに高めまして、県民が望む質の高いサービスを提供してまいりたい、このように考えております。
 次に、米の生産調整についてお尋ねがございました。
 自立した農業を確立するために必要な制度、施策についてでございますけれども、生産調整は、これまで御案内のとおり四半世紀にわたりまして生産者の皆様方の御理解と御協力をいただきながらその推進が図られてきたところでございますが、既に面積的にも限界感がございます。また、大規模稲作農家が育成されにくいなどのさまざまな問題が内在している、こういうふうに考えております。こうした状況のもとで、今後、生産調整の実効性を確保するとともに、自立農家の育成を図るためには、まずもって生産調整の実施者が明確なメリットが得られる制度としてこれが整備される必要があると、このように考えております。例えば米価が低落した場合の所得の補てん制度など、効果的な経営安定対策が不可欠であると、こういうふうに考えております。
 また、自立農家の育成という観点からは、認定農業者などのいわゆる担い手に対しまして、融資や補助制度などにおいて特別の支援対策を講ずることが肝要であると、こういうふうに存じております。同時に、米の潜在生産力が需要を一方で大幅に上回る、こういう現状の中で、転作の定着化による体質の強い水田農業の確立が急務の課題となっておりますので、国内におきます自給率の目標を掲げながら、地域の実情に即し、適地適作による転作作物の導入拡大など、転作営農の実現に向けた支援策をさらに強化する必要があると、このように考えております。今後、こうした事項の実現につきまして、国に対してもさらに強く要望をしていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) まず、公共事業の抑制による本県への影響についてでありますが、民間の研究機関が行った公共事業費削減の影響についての試算は私どもも承知しているところでありまして、国の財政構造改革による抑制の直接的な対象とならない県、市町村それぞれの単独事業及び公営企業関係の事業も同様に一律7%削減されるものと仮定した場合に、マクロベースで影響額、すなわち総付加価値額が議員御指摘のように400億円弱といった大きな影響を受けるものとしたものであります。一方、国、県、市町村あるいは団体等の事業実施主体相互の事業費が一部重複していることもありますが、これらを考慮せずに、現在ある資料から一定の仮定のもとに国の財政構造改革の直接的な削減対象とならない地方公共団体の単独事業でありますとか公営企業を除いた公共事業について、民間の研究機関と同様に岩手県産業連環表を用いて試算いたしますと、影響額、すなわち総付加価値額が200億円強と見込まれるところであります。
 このような一定の仮定のもとにおけるそれぞれの試算結果になりますが、いずれにしましても大きな影響が想定されることから、国における公共投資予算の配分に当たっては、単に採算性や効率性のみを優先し、画一的な基準で行うことなく、21世紀の望ましい国土構造をいかに構築していくかという観点や、生活関連資本などについて、立ちおくれている地域への重点化を図るという考えに立って行われるよう、引き続きあらゆる機会をとらえて強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、コミューター航空についてでありますが、今般、花巻と新潟を結ぶ航空路線を年内を目途に開設、運航することについて、日本航空系のコミューター航空会社ジェイ・エア及び関係県との合意に達したところであります。
 県におきましては、花巻空港の機能強化を図る上では、滑走路延長等の事業と並行して路線や便数の拡大を通じて利便性を向上させていくことが不可欠であるとの考えから、近年、航空会社等への働きかけを強化しておりますが、今回の新潟線もその一環で取り組んできた路線でありまして、福岡線、沖繩線に続く花巻からの6番目の航空路として、新潟県を中心とする北陸地方との地域間交流の新たなパイプとなることを強く期待しております。
 新潟県との交流人口につきましては年間約11万人と北陸地方では最も多く、県におきましては、新幹線利用に比べて移動に要する時間が大幅に短縮され、また、費用も低減されることを考慮し、19人乗りの機材による1日1往復の運航で少なくとも年間約8、000人の利用者を得て、我が国の都市間コミューター全路線の平均値である約60%の座席利用率を確保することを目指しているところでありまして、新潟県側の関係機関にも働きかけながら積極的な利用促進に努めてまいる考えであります。
 また、運航に対する支援につきましては、関係県、市が構成するコミューター関係地方公共団体協議会において、それぞれの路線ごとに航空機リース料、着陸料、航空機燃料税等から算出された額を同協議会を通じて助成することとされておりまして、花巻新潟線の場合、平成10年度までの各年度に約1、800万円を見込んでおりますが、11年度以降は、利用動向や会社の収支等を踏まえ算定方法等を見直すこととされており、関係県と十分に協議してまいりたいと考えております。
 県といたしましては、当面はこのような助成も通じ、本県初の都市間コミューター路線として順調に発展していくよう万全を期すとともに、現在の1社乗り入れ体制からの脱却や都市間コミューター航空運営に関するノウハウの蓄積等につきましてもそういった機会を利用しまして十分に活用してまいる所存であります。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕

〇生活環境部長(吉田敏彦君) まず、ダイオキシンの問題についてでありますが、いわゆる暫定基準値の80ナノグラム以下が適用されるのは平成10年12月1日からであり、既に県内のごみ焼却施設につきましては、燃焼管理の徹底などによりこの基準を達成している状況にあります。さらに、恒久対策基準は、平成14年11月末までに1ないし10ナノグラム以下にすることが義務づけられておりますので、可能な限り早期に恒久対策基準に合致できるよう、計画的に施設の改善や更新、そして新設を行うよう指導を行ってダイオキシン類の排出の抑制に努めてまいります。
 また、平成10年度以降に設置されるごみ焼却施設の国庫補助につきましては、ダイオキシンの排出を抑制するため、24時間連続運転が可能な1日の処理能力が100トン以上の施設でなければならないとなっております。こうしたことから、一般廃棄物の処理につきましては市町村の固有の事務ではありますが、今後、県として、市町村等が行うごみ処理施設の整備の方向性を示すため、その指針となるごみ処理広域化計画を市町村等の意向を踏まえ、調整を図りつつ策定したいと考えております。
 次に、既存のごみ焼却施設から廃棄物を固形燃料にする、いわゆるRDF化施設に転換することについてでありますが、リサイクルを推進したとしても資源化できない可燃廃棄物について、燃料化し、熱回収することはエネルギーの有効利用策の一つと考えております。一方、毎日のごみ処理を担っている市町村では、ダイオキシンの排出を早期に低減させることがまさに喫緊の義務であり、5年以内に規制基準に合致させるためには、ここ一、二年のうちにも改善計画を立案の上、工事に着手しなければならない現状にございます。こうした中で、RDF化には、RDF化できない廃棄物をどうするか、乾燥に用いる燃料や輸送を含めた投入エネルギーが大きくならないか、市町村にとって財政負担がどうなるかなど、解決すべき課題があると言われております。
 県といたしましては、今後、一般ごみのRDF化に係るこれらの事柄の環境への負荷等に関するデータの収集を市町村ともども行いながら、廃棄物処理の一つの方策として、鋭意、調査検討を行っていきたいと考えております。
 次に、交通事故防止対策についてでありますが、御提言のありました参加・体験型の高齢者交通安全教育事業につきましては、平成5年度から国のモデル事業を導入し、その後、県交通安全対策協議会事業、県単独事業を加え、市町村等に委託し実施してきたところであり、現在までの実施市町村は、本年度実施分を含め24市町村となっております。これらに加え、最近においては、市町村単独で、あるいは地方振興局の地域活性化事業調整費を活用して参加・体験型の高齢者交通安全教育事業が実施されるなど、モデル事業としての趣旨が生かされてきております。
 今後におきましても、各市町村、各種団体等との連携のもとに、これらの事業が早期に全市町村で行われるよう、その普及に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、仮称交通安全総合研修センター整備調査事業の進捗状況についてでありますが、既に山口県交通安全学習館を初め、主な他県施設についてそれぞれの特徴、運営状況等を調査するとともに、本県の交通事情の調査分析等を行ったところであります。現在、これらを参考にしながら、広大な県土、気候、高齢化の見通しなどを踏まえ、庁内に設置した交通安全総合研修センター整備調査委員会において、本県の交通環境に合った施設機能のあり方、交通安全教育のネットワーク化など、ハード、ソフト両面から検討を進め、新しい総合計画の中での位置づけを視野に入れながら鋭意取り組んでいるところでございます。
   〔企業局長佐藤克郎君登壇〕

〇企業局長(佐藤克郎君) RDF発電の検討状況についてでありますが、RDF発電は、未利用エネルギーの有効活用などの観点からも有意義なものと考えられますことから、その導入可能性について、これまでRDF化の見通しやごみ処理を含めたシステム全体としての収支の見通しなどについて検討を行ってきたところであります。
 RDF発電の事業化に当たりましては、まず、一定量のRDFをいかに安定的に確保するかということが大きな課題であり、一般廃棄物の収集や処分を担っている市町村におきましてRDF化への取り組みが必要であると考えておりますが、ごみ焼却施設の更新時期の兼ね合いなどがありますことから、RDFの見通しについて引き続き検討してまいりたいと考えております。
 また、採算性の確保も課題であり、特に売電料金につきましては、現在、入札あるいは余剰電力として売電する方式に限られており、いずれもコストに見合う収益を確保することが難しい状況にありますことから、RDF全国自治体会議等を通じて、水力発電と同様の原価主義に基づく料金制度の導入や発電施設等の整備に対する財政支援措置の拡充強化などについて国に対して要望しているところであります。
 企業局といたしましては、今後ともコストの低減等に向けた国の制度改善や技術開発の動向などを踏まえながら、RDF発電の事業化の可能性についてさらに詰めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 大型店の進出問題についてでありますが、盛岡市やその近郊への大型ショッピングセンターの出店に関する情報収集につきましては、株式会社ダイエーの出店構想に関して、盛岡市からその出店計画概要について入手するとともに、県としても内々に会社側から説明を受けているところであります。それによりますと、売り場面積が約11万5、000平方メートルであり、相当規模のものと承知いたしております。また、他の大型店に関する情報につきましては各方面からの情報収集に努めているところでありますが、具体的な計画が一切明らかにされていない状況で、新聞報道以上の情報は把握していないところであります。
 県といたしましては、出店の届け出が行われていない現段階では、庁内関係部との情報交換や他県の大型ショッピングセンターの情報入手など、可能な範囲での情報収集に努めてきているところであります。
 地元商店街に与える影響につきましては、現在、盛岡商工会議所において影響予測調査を行っている最中と聞いているところでありますが、青森県の大型ショッピングセンターの影響調査結果から判断して、来街者数や売上高の面で相当規模の影響が生じるものと考えております。いわゆる大店法では、消費者利益の保護と周辺中小小売業の事業機会の確保という観点からのみ大型店の事業活動を調整することとされており、市民生活環境やまちづくりへの影響などの諸問題については、その調整に当たって考慮されるべき要因には含まれていないところであります。しかしながら、このような諸問題の重要性にかんがみ、現在、国におきましては、大店法の見直しを検討する審議会の場においてさまざまな議論が行われていることは承知しているところであり、大型店問題に関する都市政策的な観点からの議論が深まっていくことを期待しているところであります。
 このような中で、県といたしましても、去る9月8日に開催されたこの審議会の東北・関東ブロックの地方ヒアリングにおいて、大型店出店に伴う環境問題への対応や各種都市計画事業との連携など、まちづくりの観点に立った総合的な施策展開の必要性について強く要望してきたところであります。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) まず、学校法人盛岡大学に対する県補助金の最近の交付実績についてでありますが、私立学校は、本県学校教育の充実発展に大きな役割を果たしてきていることから、県といたしましても、これまで運営補助金を初め、各般にわたる助成措置を講じ、支援してきたところであります。学校法人盛岡大学に対しましても、同法人の設置する高等学校、幼稚園、専修学校に係る運営費及び授業料減免事業に対し補助金を交付してきたところであり、最近3カ年の交付実績は、平成6年度1億7、500万円余、平成7年度1億8、700万円余、平成8年度1億8、900万円余となっているところであります。
 次に、今後における同法人に対する指導についてでありますが、大学を含む私立学校を設置する法人については文部省が直接指導監督を行う所轄庁となっており、現在、文部省において、同法人の真相調査委員会の調査結果報告等をもとに管理運営等の問題について調査を行っている最中であります。
 今後におきましては、所轄庁である文部省とも連携を図りながら、法人の管理運営、経理の適正化等につきまして、県の所轄する範囲において必要な指導や助言を行い、補助金の適正な執行に努めてまいる考えであります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) 少子化問題への対応についてでありますが、近年、少子化の進行に伴い、健やかに子供が生まれ育つ環境を整えることは重要な課題となっております。このことから、国においては、社会全体で子育て支援策を推進するため、エンゼルプランを作成したところであります。本県におきましては、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定し、これに基づき育児休業制度の普及、すこやか保育支援事業などにより、子育てと就労の両立支援を進めるとともに、妊産婦、乳幼児に対する保健医療サービスの充実や児童館の整備など、子育てをしやすい生活環境の整備に努めております。さらに、児童の健全育成のため、母親クラブなどの地域活動の推進や子育てについての意識啓発に努めるなど、指針に示された各般の施策を総合的、計画的に推進しているところであります。また、本庁及び地方振興局において幅広い分野の方々からなる子育てにやさしい環境づくり推進協議会を設置し、子育てに関する各種イベントを開催することなどにより、民間団体や企業を含め、社会全体で子育てを支援する機運の醸成に努めているところであります。
 県といたしましては、今後とも、官民一体となって子育てにやさしい環境づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。

〇34番(菅原温士君) 5点について再質問をいたします。
 まず、東和町の減反問題でありますけれども、先ほど知事から答弁があったわけでありますけれども、この東和町の減反問題は、日本の農家にとりまして大きな話題を呼んだ、小原町長は時の人になったと、こういうことであるわけでございます。この減反制度というのは大きな国の政策であるわけです。やっぱり、これに従うという我々の姿勢が必要ではないかと。
 例えで申し上げれば、交通信号、赤信号ではみんなとまっているわけです。その中を信号を無視して飛び出すという形、こうなりますと交通秩序が崩壊するんですね。東和町のとろうとした措置はこれに等しいのではないか、これは私は賛成をできないと、そういう形になっておるわけであります。
 稲作農家の心情はわからないわけではないのでありますけれども、稲作農家は運命共同体だと、そういう認識に立たなければいけないと、私はそのように思っておるわけであります。したがって、別の角度から農業振興、いろんな対策、そういうものを積極的に進めると。これは先ほど知事からお話ありましたから了承いたしますけれども、そういうことが肝要ではないかと。
 報道によれば、平成10年度はまた減反が強化されるというような報道もあるわけでありますけれども、こうなりますと減反問題がまた大きく問題化してくるのではないかと、そんな感じをいたしますから、今後、岩手県内におきましても米の生産調整には国の施策に従うんだという、そういう基本方針を強く打ち出して問題が起きないように、そのようにお願いをいたしたいと。これは答弁要りません。
 次に、少子化の問題なんですが、先ほど答弁があったわけでありますけれども、この原因はいっぱいあるんですね。未婚率、晩婚化、それから女性の社会進出あるいは家庭環境、経済的なこと、あるいはまた健康的なことも実はあろうかと思いますけれども、そういうことで、いわゆる子供を産む人が少なくなってきていると、こういう形になるわけであります。これの対策といたしましては、先ほど話がありましたようにいろんな環境の対策、いわゆるエンゼルプラン、これは厚生省あるいは県もあるわけでありますけれども、それを読んでみましたけれども、いわゆる産んだ子供に対してはこういう施策をしますというプランがありますけれども、もう少し産めと、そういうようなことはないんですね。これはなかなか大きい声では言えないんです。産めとか産むなとかというのは国民の基本的人権の問題にかかわりますから、それは大きい声では言えませんけれども、やはり子供を産むという、そういう産んでもらうというものの考え方、これを少し何と申しますか強調してこれからいかなければいけないんではないかと。私は最終的に労働力の供給が低下しますから、そういう関係で全般に社会問題になります。したがって、私はいろんな国際間の競争にもあらゆる分野で負けていくんではないかと、おくれをとるというような心配を実はいたしております。そういうことで、これからひとつ県当局におきましても、もっと産めよふやせよ、ちょっと言葉が戦前的になりますけれども、そういう方面でひとつものの考え方を進めていただきたいと、そのように思うわけであります。
 知事は日本一若い知事で、まだ若いんですから、どうですか、この際もうひとつ頑張ってみる気はありませんか。
 それから、交通安全問題ですけれども、新しい総合発展計画はこれから策定していくわけなんです。やっぱりそれまでには、仮称ですがセンターの設置ですね、これができるようにひとつ最大限の努力をしていただきたいと。これは緊急課題ではないかと、そのように思うわけであります。
 それからコミューター航空でありますけれども、かつて岩手県におきましてはヘリ・コミューターを運航いたしたわけであります。第1回は63年、第2回は平成元年、第3回目は平成2年にやっているわけです。これらを総合しますと、利用率と申しますかこれは32%であったわけです。したがって、これは採算上合わないという会社の方針、あるいはまた県の財政上の問題等もあろうかと思いますが、これは取りやめになったわけであります。今度は先ほど申し上げましたようなコミューター航空、新潟までやるということになりますが、これは県の財政負担が大きいわけであります。先ほど答弁があったわけでありますが、将来的にはやっぱり負担が大きくなるということ、あるいは利用率が低いというような状況になれば、これはこれに参画しないというような状況になるわけでしょうか。この点についてお尋ねをいたします。
 農業問題はいいですから、後のものは答弁していただきます。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) 少子化の問題につきましては、さきにお話ししましたようにいろいろ取り組んでいこうといたしております大変重要な問題であると考えております。また一方、結婚や出産の問題は、個人の選択や価値観にもかかわる性格を有するものであります。私も大変晩婚でありまして、やっと岩手に来てから子供ができたということですが、これは一人一人それぞれの考え方や家庭の考え方等もあるかと思います。したがいまして、県といたしましては、県民全体で少子化について議論を深めていくとともに、例えば思春期の男女に対する乳幼児の触れ合いを図る保健・福祉体験学習事業などを進めておりますが、このような事業も含めまして、子供を産みたいと願っている方々が安心して産み、健やかに育てることのできるような環境づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) コミューター航空に関するお尋ねでございます。
 花巻新潟線におきまして導入を予定しているコミューター航空のネットワーク、これはいわゆる大都市間を結ぶ、通称ジェット路線等とか申しますけれども、こういったものとは異なりまして採算に乗りにくいという状況がございますが、近年、非常にこういった路線における利用客の数というものが急激にふえてきております。これは地域間交流とか、そういった従来にないような地域を越えた交流の輪が広がってきているということもございますが、そういったこともございまして、先ほど申し上げましたように基本的にはコミューター関係地方公共団体協議会を通じまして、関係地方公共団体による支援を前提に運航することとしたところでございます。将来的に運航を継続していくか否か、あるいはその場合の支援をどのようにするか、こういったことにつきましては、これも先ほどちょっと触れましたけれども、その都度定期的に見直す取り決めになっておりますので、そのような見直しの際には新潟線の利用状況等も踏まえながら、航空会社や関係県とも十分に協議し、適切に対処してまいりたいというふうに考えておりますが、いずれにしましても、先ほど議員御指摘ありましたように利用率の向上、これは大変重要でございますので、私どもも官民挙げて、可能な限りそういったものの利用率が向上できるよう、また、県議会の先生方の御支援もいただきながら、一生懸命頑張っていきたいというふうに考えております。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕

〇生活環境部長(吉田敏彦君) 交通安全総合研修センターの構想でございますが、新しい総合計画の策定までに構想をつくるようにというお尋ねのように伺いましたが、新しい総合計画の策定までに本県に合ったような形のセンターがどんなものがいいのか、そういった構想をできるように、鋭意、関係者と協議しながら努力してまいりたいというふうに存じております。


前へ 次へ