平成10年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成10年3月10日(火)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長村上勝治
議事課長及川宣夫
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕

1説明員
副知事 千葉浩一
副知事 吉永國光
 
総務部長 大隅英喜
総務部次長 合田 武
県立大学整備室長 川崎 功
総務学事課長 藤沢政則
人事課長 照井 崇
財政課長 千葉 弘
税務課長 佐藤 健
消防防災課長 小野寺 禎 夫
 
企画振興部長 武居丈二
企画振興部次長 小野寺   修
企画振興部次長 福岡勝夫
企画調整課長 上野賢一郎
地域政策課長 邨野善義
市町村課長 久保隆男
情報科学課長 高島竜祐
交通政策課長 瓦林康人
広聴広報課長 小原公平
   

〇村上議会事務局長 年長の委員を御紹介申し上げる。
 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておる。出席委員中、山崎門一郎委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。山崎門一郎委員、どうぞ委員長席に御着席願う。
   〔年長委員山崎門一郎君委員長席に着く〕

〇山崎年長委員 ただいま紹介のあった山崎門一郎である。よろしく御協力をお願い申し上げる。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行う。
 何とぞよろしくお願いを申し上げる。
 お諮りする。委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山崎年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山崎年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別委員長に、折居明広君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した折居明広君を、予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山崎年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した折居明広君が予算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された折居明広君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 折居委員長、委員長席にお着き願う。
   〔予算特別委員長折居明広君委員長席に着く〕
   (拍手)

〇折居委員長 一言ごあいさつを申し上げる。
 平成10年度の予算審査に当たり、予算特別委員長に御指名をいただいたことはまことに光栄であり、心から感謝を申し上げる次第である。
 もとより、私はふなれなものであるから、審査に当たっては皆様方の御指導と御協力に待つよりほかない。慎重な中にも円滑な委員会運営が図られるようお願い申し上げ、ごあいさつとする。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることに決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 予算特別副委員長に、佐々木大和君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した佐々木大和君を、予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した佐々木大和君が予算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された佐々木大和君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 佐々木副委員長、ごあいさつを願う。

〇佐々木副委員長 ただいま副委員長に選任をいただいた佐々木大和である。初めてのことであるが、皆様方の御指導、御鞭撻、そして御協力をいただいてその役を務めてまいりたいと思う。どうぞよろしくお願い申し上げる。(拍手)

〇折居委員長 お諮りする。当予算特別委員会に付託された議案34件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程案のとおり、本日から13日まで、及び16日から19日までの8日間は、関係部局長の説明を求め質疑を行うこととし、議案34件に対する意見の取りまとめと採決については、19日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 これより議事に入る。議案第4号から議案第24号まで、議案第32号から議案第38号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号、議案第49号、議案第50号及び議案第53号、以上、34件を一括議題とする。
 これより、平成10年度予算の総括説明を求める。

〇大隅総務部長 総括について御説明申し上げる。
 特に資料は配布しておらないけれども、まず、国の予算と地方財政計画についてである。
 国においては、昨年制定いたした財政構造改革の推進に関する特別措置法で定めた各歳出分野における改革方針や量的な縮減目標に沿って歳出全般の徹底した見直しを行い、一般歳出の伸びをマイナスとすることを基本として予算編成が行われた。この結果、平成10年度の国の一般会計予算規模は77兆6、691億円余と、前年度に比較して0・4%の伸びとなったが、国債費、地方交付税交付金を除いた一般歳出では1・3%のマイナスとなっておる。
 地方財政計画については、国、地方を通ずる財政の健全化が最重要課題となっていることから、財政構造改革の推進に関する特別措置法等を踏まえ、歳出全般にわたる徹底した節減合理化により地方一般歳出を抑制することを基本としながら、特別減税に伴う減収分7、597億円余については減税補てん債の発行などにより、また、引き続き生ずることとなった財源不足額4兆6、462億円については、地方交付税で2兆7、562億円の増額と財源対策債1兆8、900億円の増発により補てんし、当面の財政運営に支障が生じることのないよう配慮されたところである。この結果、地方財政計画は0・0%の伸びとなり、公債費等を除く一般歳出は1・6%のマイナスとなっておる。
 地方財政計画の主な内容であるが、まず歳入については、地方税は3・9%の増、そのうち県税は8・5%の増と見込まれておる。地方譲与税は、消費譲与税の廃止等により44・0%の減、地方交付税は2・3%の増、また、国庫支出金は2・1%の減と見込まれておる。地方債は、地方財政の健全化を目指して発行規模を抑制することを基本としながら、自主的、主体的な地域づくりや安心できる地域社会づくりなどを重点的に推進することとし、全体で7・3%の減となっておる。また、使用料、手数料については、1・4%の伸びが見込まれておる。
 歳出においては、経費全般について徹底した見直しを行い節減合理化を図るとともに、自主的、主体的な活力ある地域づくりと、地域住民の生活の安定と福祉の充実のための施策を重点的に推進することとしているところである。
 次に、本県の予算についてであるが、本県の財政を取り巻く環境は、国、地方を通ずる厳しい財政事情や停滞している景気の動向などから、これまでになく厳しいものとなっておるが、本県では今、21世紀への橋渡しとなる重要な時期を迎え、活力ある地域づくりを支える基盤の着実な整備や、3県総後期実施計画に掲げる施策の計画的な推進などが求められておる。このため、県の行財政システムを、変化の激しい経済社会情勢や新たな行政課題にも的確に対応できるような、機動的で効率的なものに改革することとし、昨年10月、行財政システム改革指針を策定したところである。したがって、平成10年度予算はこの指針に掲げる改革を実現することを基本とし、国の予算編成方針や地方財政計画の内容にも留意しながら、事務事業の徹底した見直しや、緊急度、重要度の高い施策の一層の重点化を図るなど、限られた財源の効果的な活用が図られるよう努めたところである。
 予算の概要について申し上げると、歳入面では、現下の景気動向から、県税、地方交付税の伸びを見込めないとともに、国の財政構造改革の影響などにより、国庫支出金が減少する中にあって、県債の発行と基金の取り崩しを抑制する一方、歳出面では、事務事業評価システムの導入による既存の事務事業の徹底した見直しを行うとともに、推進すべき施策の重点化を図ったところである。この結果、当初予算規模は8、435億9、500万円余で、前年度当初予算対比で3・8%の減と、骨格予算を除くと、昭和25年度の当初予算以来の対前年度比マイナス予算となったものである。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げる。
 便宜、お手元の予算に関する資料の1ページをお開きいただきたいと存ずる。
 平成10年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表、歳入のうち自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、6分担金及び負担金、7使用料及び手数料、さらに9財産収入から13諸収入までであり、その総額は2、986億1、800万円余で、昨年度の当初予算に比べると0・4%の減となるが、歳入に占める割合は35・4%と、前年度より1・2ポイント上昇しておる。これは、基金からの繰入金が減少したものの、地方消費税とその清算金が増加したことなどによるものである。また、依存財源は、3地方譲与税、4地方交付税、5交通安全対策特別交付金、8国庫支出金、14県債であるが、この総額5、449億7、700万円余で、前年度に比べると5・5%の減となり、その構成比は64・6%となるものである。これは、財政構造改革の影響等により国庫支出金が減少するとともに、県債の発行を抑制したことなどによるものである。
 次に歳出であるが、主要事業については、それぞれの所管部局の審議の際、関係部局長から詳細に御説明をするので款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げる。
 ただいまごらんの予算に関する資料の3ページをお開きいただきたいと存ずる。平成10年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず人件費は、表の右側の増減の欄をごらんいただくと1・0%の増となっておる。同様に、物件費は8・1%の増、維持補修費は6・1%の減となっておる。4ページの扶助費は4・1%の増である。補助費等は18・1%の増であるが、これは、地方消費税の平年度化に伴う収入の増に伴い、市町村に対する交付金や都道府県間の清算金が増加したことなどによるものである。普通建設事業費は16・7%の減となっており、そのうち単独は26・4%の減と大幅な減となっておるが、これは、県立大学の整備が完了したことに伴う減少が主な要因であり、これを除いた場合は普通建設で6・6%、単独で3・4%の減となるものである。次に、5ページの災害復旧費は3・8%の減と見込んでおる。公債費は14・4%の増となっておるが、これは、平成4年度以降の国の経済対策に伴う地方負担額の財源とされた補正予算債等の元金償還額が増加していることなどによるものである。積立金は8・2%の増である。出資金は26・6%の大幅な減となっておるが、これは、平成9年度に行った財団法人岩手県林業労働対策基金に対する出捐がなくなったことなどによるものである。貸付金は4・8%の減である。繰出金は18・0%の減となっておるが、これは、自治振興基金のうち、インターハイ関係施設の整備がピークを過ぎ、貸付金の需要が減少したことなどによるものである。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであるが、特別会計については所管部局において説明申し上げるので、私からは省略させていただく。
 なお、歳入、その他については、合田総務部次長から御説明申し上げるのでよろしくお願い申し上げる。
 以上で、総括説明を終わる。

〇合田総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げる。お手元の議案その2の1ページをお開き願う。
 議案第4号平成10年度岩手県一般会計予算であるが、第1条は、歳入歳出の総額を8、435億9、591万7、000円と定めるものである。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等を定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものである。第5条は、職員の給与についての流用を定めたものである。
 次に、歳入について御説明する。
 便宜、予算に関する説明書、分厚いものであるが、その3ページをお開き願う。
 まず、1款県税1項県民税は278億6、100万円余で6・7%の減となっておるが、1目個人は特別減税の実施等により、2目法人は企業の業績見通しにより、3目利子割は預貯金の利率の低下により、それぞれ減収が見込まれることによるものである。
 4ページの2項事業税は、289億800万円余で11・4%の減となっておるが、これは、企業の業績見通しから企業収益は前年度を下回るものと見込まれることによるものである。
 5ページの3項地方消費税は、地方財政計画等をもとに125億8、500万円余、170・1%の増を見込んでおるが、これは、今年度から導入された地方消費税の平年度化等による増を見込んだものである。
 次に、6ページの4項不動産取得税は、46億3、300万円余で3・8%の減となっておるが、これは、住宅などの建築分が減少する見込みであることなどによるものである。
 次に、5項県たばこ税は22億2、000万円余、次の8ページの6項ゴルフ場利用税は7億5、200万円余、7項特別地方消費税は9億1、600万円余となっておる。
 次に、10ページをお開き願う。8項自動車税は204億6、800万円余で3・5%の増となっておるが、定期賦課台数の増加が見込まれることによるものである。
 次に、11ページの9項鉱区税及び12ページの10項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案し、それぞれの収入見込み額を計上したものである。
 11項自動車取得税は58億4、600万円余で10・8%の減となっておるが、これは、消費の低迷による新車の登録台数の減を見込んだものである。
 次に、14ページをお開き願う。12項軽油引取税は227億5、600万円余で7・0%の減となっておるが、これは、景気動向による物流への影響等を見込んだものである。
 13項入猟税は狩猟者登録税と同様、課税実績等を勘案し計上したものである。
 次に、16ページの14項は、平成元年度に実施された税制改正に伴う旧法による税である。
 以上、県税の合計は1、270億6、600万円余で、前年度当初予算額に比べ1億3、200万円余、0・1%の増となるものである。
 次に、17ページ第2款地方消費税清算金は265億8、600万円余、217・6%の増となっておる。これは、一たん各都道府県に納付された税収を、各都道府県ごとの消費に相当する額に応じて案分し再配分する仕組みとなっていることから、本県が受け取る額を見込んだものであるが、地方消費税と同様、平年度化されることによる増を見込んだものである。
 次に、18ページの3款地方譲与税であるが、1項地方道路譲与税は27億6、900万円余、2項石油ガス譲与税は3億3、800万円余、次の20ページの3項航空機燃料譲与税は2、300万円と見込んでおる。次の21ページの消費譲与税は、地方消費税の導入により平成9年7月の譲与をもって廃止されたことから、前年度の額を加えたものである。
 次に、22ページの4款地方交付税であるが2、424億9、700万円余、1・3%増を計上しておる。
 次に、23ページの5款交通安全対策特別交付金は6億9、300万円である。
 次に、24ページをお開き願う。6款分担金及び負担金であるが、1項分担金は、土地改良の圃場整備事業等に係る分担金であり、2項負担金は、総務、民生、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金を計上したものである。
 次に、少し飛んで28ページをお開き願う。7款使用料及び手数料であるが、1項使用料の主なものを申し上げると、2目民生使用料では肢体不自由児施設使用料、5目農林水産業使用料では漁港施設使用料、30ページの7目土木使用料では空港施設使用料、道路占用料、河川占用料、そして県営住宅使用料、9目の教育使用料では高等学校の授業料が主なものであるが、31ページの下段にあるように、新たに県立大学の授業料を計上しておる。これらの使用料の総額は、31ページのとおり84億9、700万円余で600万円余の減となっておるが、これは、県立大学授業料の増が見込まれるものの、県営住宅の使用料の制度改正による減などが影響したものである。
 次に、32ページをお開き願う。2項手数料であるが、1目総務手数料から若干飛ぶが35ページの9目教育手数料まであわせて、36ページに記載のとおり総額28億900万円余で1億1、700万円余の増となっておる。これはちょっと戻るが、35ページの一番下、9目教育手数料の県立大学入学検定料、入学料の増などによるものである。
 次に、37ページ8款国庫支出金であるが、1項国庫負担金の主なものを申し上げると、1目民生費負担金では、7節の児童扶養手当23億4、100万円余、9節の生活保護30億9、800万円余であり、38ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務18億8、700万円余、4目土木費負担金では中小河川改修事業、砂防事業などがその主なものである。5目教育負担金では、義務教育人件費に係る国庫負担金がその主なもので、6目の災害復旧費負担金を含め、国庫負担金の総額は、39ページのとおり600億6、700万円余となっており、0・6%の減となっておる。
 次に、40ページの2項国庫補助金であるが、その総額は、59ページまで飛んでいただき、1、089億3、300万円余で11・6%の減となるものであるが、これは、国の財政構造改革の推進に伴う公共事業費の縮減や地方に対する補助金の縮減が影響したことなどによるものである。
 次に、60ページの3項委託金であるが、1目総務費委託金の7節参議院議員選挙の増などによって、総額は63ページに記載してあるとおり24億7、100万円余で70・1%の増となっておる。
 次に、64ページの9款財産収入1項財産運用収入は、2目利子及び配当金の基金運用収入の増などにより23億1、400万円余を見込んでおり、2項財産売り払い収入は、土地の売り払いなどによる12億3、300万円余を見込んだものである。
 次に、66ページ10款寄附金は1、000万円余を計上し、11款繰入金1項特別会計繰入金は6億600万円余となっておる。
 次に、68ページ2項基金繰入金は360億7、700万円余となっておる。これは、県債の償還に充てるため、県債管理基金から150億円、東北新幹線盛岡以北の整備などの建設事業に充てるため、公共施設等整備基金から200億円繰り入れることとしておるが、前年度は県立大学の整備等のために550億円余を取り崩していることから、対前年比では189億8、000万円余、34・5%の減となるものである。
 なお、平成9年度末の基金残高は、財政調整基金は53億4、300万円余、県債管理基金は801億9、600万円余、公共施設等整備基金は438億8、300万円余、3基金の合計で1、294億2、300万円余と見込んでおる。
 次に69ページ、12款繰越金は整理科目である。
 70ページ、13款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は2億8、900万円余を計上しておる。
 次の2項預金利子は、金利動向等から1億2、000万円余としておる。
 72ページ、3項公営企業貸付金元利収入は103億1、800万円余で、県立病院等事業会計からの収入が主なものであり、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生などの各行政分野における貸付金元利収入であり、合計額は少し飛んで75ページに記載してあるとおり、581億6、100万円余となっておる。
 76ページ、5項受託事業収入の総額は、77ページのとおり、28億200万円余となっておる。
 次に78ページ、6項収益事業収入は宝くじ収入及び競馬収入であるが、岩手県競馬組合の競馬収益を考慮するなど、前年度より1億800万円余増の29億9、300万円余を見込んでおる。
 7項利子割精算金収入は1、200万円余、次の80ページの8項雑入の総額は、84ページまで飛んでいただくが73億8、500万円余を見込んでおる。
 次に、14款県債であるが、その総額は、87ページに記載してあるとおり1、211億8、400万円余であり、前年度比で187億5、800万円、13・4%の減となるものであるが、これは、県債の発行を抑制したことなどによるものである。
 次に少し飛んで、324ページをお開き願う。県債の現在高見込みであるが、平成9年度末では、前年度末現在高見込み額の計で9、358億4、300万円余、平成10年度末では、同じく計の欄の右端になるが1兆27億9、900万円余と見込んでおる。
 以上で、歳入についての説明を終わらせていただく。

〇折居委員長 ただいまから総括質疑に入るわけであるが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっておる。代表質疑は各会派1人ずつとし、発言時間は答弁を除き、自由公明友愛県民会議45分、自由民主党、社会民主党、県民クラブ及び清和会はそれぞれ30分となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。自由質疑は、答弁を除き1人15分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先して質疑を認めることになっておる。また、世話人会の申し合わせにより、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 これより代表質疑に入る。

〇長谷川委員 県民会議の長谷川忠久である。
 会派を代表して、平成10年度当初予算に対して総括的に質問をするので、前向きで積極的な答弁をよろしくお願いを申し上げる。
 まず最初に、財政問題についてお伺いをする。
 県においては昨年10月、国、地方を通ずる厳しい財政環境の中にあって、財政の健全化に向けた歳出の抑制を図る一方、それによる県民サービスの低下を招かないよう、県民の視点に立った行政運営を推進するため行財政システム改革指針を策定し、平成10年度から、今世紀中の3年間に集中的に改革に取り組むこととしておる。本会議でも答弁があったように、平成10年度の当初予算の編成は、この行財政システム改革指針に掲げた改革を実行に移すことを基本とした予算編成を行うこととし、編成作業に当たってはさまざまな創意と工夫を凝らしたと答弁され、その中の具体例の一つとして、財政の中期見通しを策定したことを挙げておられる。国、地方を通じて、財政の健全化が急務とされ、停滞傾向にある景気や目まぐるしく変化する経済社会情勢の中にあって、国庫支出金や地方交付税、地方債などの国の財源等に多くを依存しなければ財源を確保することが難しい本県において、今後の財政を見通すことは大変難しいことであると思うのであるが、このような事情にあればこそ、本県の財政の現状と今後の推移をとらえることは極めて重要なことであると思うのである。
 そこでお伺いするが、中期見通しによる本県の財政はどのようなものになっているのであろうか。今後の財政の見通しの特徴、主要な財政指標の今後の動向などについてあわせてお聞かせをいただきたいと存ずる。

〇千葉副知事 財政の中期見通し等についてであるけれども、本県の財政も県債残高が増加して公債費等の義務的経費が年々増嵩してきている状況にある。したがって、県においては、財政の健全化を図っていくことが最重要課題であると考えているところである。このため、本県の財政の現状を把握するとともに、今後の推移について推計を行い、平成10年度の予算編成や今後の財政運営の指針とするため、今般、本県の中期財政見通しを策定したものである。
 本県の財政状況であるけれども、まず歳入にあっては、自主財源の大宗をなす県税の伸びに期待ができない状況にあるけれども、そういう中にあって、国の財政構造改革による公共事業費の縮減や地方に対する補助金の削減の影響等により、国庫支出金の額が減少してまいる。それから、平成12年度までに歳入に占める県債依存度が10%未満になるよう抑制することを目標としているところから、県債の発行が減少していくということになる。
 一方、歳出にあっては、公債費などの義務的経費が増嵩する中にあって、国の公共事業の縮減等により普通建設事業費が減少していくことになる。
 こういうことになるわけであるけれども、その結果、平成11年度以降、数百億円程度の財源不足額が見込まれるところである。
 次に、各種財政指標であるけれども、県債残高は平成10年度に1兆円を超え、13年度には約1兆700億円程度になるものと見込んでおる。平成14年度以降は、県債の発行の抑制に伴い県債残高は減少していくものと考えておる。
 それから、公債費比率であるけれども、今後20%程度にまで上昇すると見込んでおるけれども、県債発行を抑制することによってその後改善されていくものと考えているところである。
 それから、経常収支比率であるけれども、今後90%程度にまで上昇すると見込んでおるけれども、県債発行の抑制に伴って、その押し上げの要因となっている公債費の伸びが鈍化するところから、その後改善されていくものと考えているところである。

〇長谷川委員 主要な財政指標であるけれども、今、公債費比率と経常収支比率であったが、もう一つ、例えば財政力指数、総務部長に後で答弁してもらいたいが、財政力指数というのも大変重要な指数だと、こう思っており、総務部長に答弁を求めたいと思う。
 次に、今後の行財政運営についてお伺いをする。
 本県の財政は今後硬直化の傾向が強まり、ますます厳しさを増してくると見込まれる状況にあるようである。平成10年度末の県債残高見込みはついに1兆円を超え、既に平成9年度末の残高は県の年間予算を超えるまでになっており、また、今後とも景気動向や国、地方を通ずる厳しい財政事情などから、県の予算規模は今後とも抑制基調化することが見込まれる中で、県債残高は増加の一途をたどることから、予算規模との格差がどんどん広がっていくことによる財政の一層の硬直化が懸念される状況にあると思うのである。
 しかしながら、本県は21世紀を目前に控えて、広大な県土を有するがゆえに立ちおくれている社会資本の整備などに積極的に取り組むことも求められているわけである。
 そこでお伺いするけれども、県ではこのような厳しい財政状況にあって、今後どのような財政運営を行っていくお考えなのであろうか。今後の県債発行に対する基本的な考え方も含めてお答えをお願いする。

〇千葉副知事 本県の財政を取り巻く環境は、停滞傾向にある景気や国の財政構造改革の影響、さらには行政改革と財政の健全化が急務とされておる地方財政の現状などから、歳入面では自主財源の大宗をなす県税の伸びが期待できないことに加え、国の財政構造改革の影響による国庫支出金の減少や県債発行の抑制などにより、歳入総額の増加が期待できない、そういう状況にある。
 一方、歳出においては、公債費の大幅な増嵩や3県総の後期実施計画に掲げるプロジェクトの計画的推進などのため、引き続き増加が見込まれるそういう状況にあることから、中期財政見通しでは平成11年度以降、先ほど申し上げたとおり数百億円程度の財源不足が見込まれると、そういう状況である。このため、今後の財政運営に当たっては、事務事業の評価制度の一層の徹底を基本としながら、施策の重点化と事業コストの縮減、あるいは大規模施設の建設抑制や建設時期の調整、県、市町村、民間等との役割分担の明確化などによって歳出の一層の縮減と合理化を図り、限られた財源のより重点的、効果的な活用に努める必要があると考えているところである。
 また、歳入面では、国庫支出金の効果的な導入や使用料、手数料の適時適切な見直しを行うとともに、特に県債の導入に当たっては、将来の財政運営に支障を来すことのないように留意しながら、県債を充当する事業について緊急性と重要性を見きわめるとともに、後年度に交付税措置のある県債の活用を図ることといたしておるところである。特に、財政の健全化目標として、平成12年度までに歳入に占める県債の依存度を、財源対策債を除いて10%未満となるように発行を縮減することとしたところである。今後においては、毎年度の予算編成を通じて、この目標の達成に向けて努力してまいりたいと考えておる。

〇大隅総務部長 財政力指数についてのお尋ねがあったけれども、中期財政見通しにおいては財政力指数そのものが実績の3カ年平均ということで出しているものであるから、算出いたしておらない。ただ、傾向を申し上げると、平成4年度が0・259だったものが7年度には0・28、それから8年度には0・29と少しずつ改善されてきている状況にあるので、大幅に伸びていくことは昨今の情勢から考えられないけれども、少なくとも向上に向かっているという方向にはいっているということである。

〇長谷川委員 次に、県の自主財源の確保についてお伺いをする。
 県の歳入構造は、県税などの自主財源が少ないことから、財源の多くを国庫支出金や地方交付税、県債といった国等の財源に多くを依存し、その比率は、自主財源が35%、依存財源が65%という数値となっておる。この数値に示されるとおり、本県の財政基盤は弱く、本県がみずから考え、みずからが実践するための財源が限られていることから、国の政策に左右されざるを得ないのが現状である。国においては、地方分権という耳ざわりのよい言葉を流し、中央集権から地方分権に移行し、地方の独自性を重視するかのごとく言っておるけれども、地方分権推進委員会の4次にわたる勧告を見ても、国の事務の委譲はあっても税財源の委譲の関係になると、確かなものが見られないと思うのである。本会議冒頭の知事の所信表明では、地域主権社会ということを述べられておったけれども、県の財政の現状、そして国の地方分権への取り組みを見ると、現実には極めて難しいことであると考えるのである。
 そこでお伺いするけれども、県においては、自主財源の確保についてどのような考えをお持ちで、そのためにどのような取り組みをしようとしているのかお聞かせをいただきたいと思う。

〇千葉副知事 本県の財政構造は、県が自主的に収入し得る県税等の自主財源の割合が少なく、財源の多くを地方交付税、国庫支出金あるいは県債に依存せざるを得ない、そういう状況にある。したがって、本県のような財政基盤が弱い団体にあっては、国の財政事情に左右されずに、地域の特性に応じた施策が展開できるような自主財源の安定的な確保が図られることが不可欠であると考えているところである。このためには、税源の涵養はもちろんのことであるけれども、国から地方への税財源の委譲などが必要である。さきの地方分権推進委員会の第2次の勧告においては、地方税の充実確保を図るとともに、中長期的な課題として税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築と、国と地方との税源配分のあり方について検討するとし、さらには税源の偏在による地方公共団体間の財政力の格差を是正するため、地方交付税の額の安定的確保を図るということにされておる。県としては、この勧告の中で今後検討するとされた諸課題や、明確に記述されていない国から地方への税源の委譲などについて十分な検討がなされるよう、全国知事会等と一体となって、地方分権推進委員会や政府に対して機会あるごとに要望してきたところであるけれども、今後も引き続き強力に要望してまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 一部識者では、地方分権を進めるということになると、どうしても3割自治から7割自治と、少なくとも7割は自主財源でなければ本当の意味の知事のおっしゃる地域主権社会というものはできないと、こういうことを言っておられる識者もおられるわけであり、これからも国の方に働きかけると同時に、自主財源の涵養をよろしくお願いをいたしたいと、こう思うわけである。
 次に、国の動向と県の財政についてお伺いをする。
 県においては、県としての主体性を持って行財政システム改革指針を策定し、財政健全化に向けて歳出規模の抑制、歳入に占める県債への依存度の縮減、財政調整基金など3基金の確保という具体的目標を定めるなど、厳しい財政の現状を踏まえた上で、将来の財政事情も展望した財政運営を考えておられるようである。国においても、年間予算の3倍にも達する国債残高を抱え、主要先進国中最悪とまで言われる財政事情にあって、財政構造改革の推進に関する特別措置法を制定してまで、財政の健全化に努めようとしているところである。しかしながら、最近のマスコミ報道等を見ると、現下の国の動向では、次の世代への負担を軽減し財政の健全化を推進するよりは、景気対策を重視すべきだという声が高まり、平成10年度の政府予算案の審議をしている段階において、既に景気対策のための補正予算が議論され、今や現実味を帯びてきている状況にある。このような情勢を考えると、県としても平成10年度開始早々に、国の経済対策に対応した補正予算を検討せざるを得なくなるのではないかと思うのである。
 そこでお伺いするけれども、行財政システム改革の実現に全庁的に取り組もうとする県の方針と国の動向とは相反する面があると思うのであるが、その整合性をどのように図っていくお考えであろうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 国においては、昨年11月に財政構造改革の推進に関する特別措置法を制定して、平成12年度までを集中改革期間と定め、徹底した歳出の縮減や合理化などを図ることとしておる。また、地方公共団体に対しても、国の財政構造改革の施策に呼応して、並行して財政構造改革と財政の健全化を図るよう求めているところである。
 一方、本県においては、これに先駆けて地方分権の時代を展望して財政の健全性を確保しながら、内外のさまざまな変動に機動的、効率的に対応できるような行財政システムの確立を目指した指針を策定したところであり、平成10年度当初予算は指針に基づく改革の実行を基本としたところである。このような中にあって、国においては、ただいま委員御指摘のように、補正予算により経済対策を実施する場合においては、財政構造改革を最重要課題と位置づけた上で、それとの整合性を図りながら、その時々の経済情勢に配慮した経済対策が行われるものと考えているところである。経済対策は国と地方が一体となって施策を展開することにより、初めてその効果が発揮されるものである。また、その実施により停滞傾向にある県内経済の活性化が期待されるところから、県としては国の動向や経済情勢を見きわめながら、機動的に対応していくことが必要であると考えているところである。

〇長谷川委員 知事は、知事演述の中で、右肩上がりでない経済社会というお言葉を2度、3度にわたって使っておられるわけである。現状はそのとおりであり、それに対応しなければならないということには異議はないわけである。しかしながら、私は政府の行っている6大改革であるとか、野党の主張するところは少なくとも右肩上がりの経済をこれからも構築していきたいということではなかろうかと、こう思っておるわけである。私は、高度経済成長というのは望むべくもないわけであるけれども、やはり3%ぐらいの安定した経済成長が必要なのではないかと。それがなければ、私は財政の構造改革などというのはあり得ないと、このように思っておるわけである。
 クリントン大統領が1カ月ぐらい前に、アメリカの財政赤字を数年短縮して解消できると。これもアメリカの経済が好調で、そして安定した経済成長があったわけであり、やはり安定経済成長を目指すというのが私は本筋ではないのかと、こう思っておるわけである。福祉や教育においても、私はやはり安定して発展する社会というものが必要なのだろうと、こう思うわけである。だれもが、自分の子供、自分の孫が自分の時代よりも豊かであってほしいと、住みよい社会であってほしいと、こう願うのは当然である。右肩上がりでない経済社会であり、どうも自分のことばかりを考え、どうも社会構造上、非常に大きな指摘が出てくるのではなかろうかと、こう思っておるわけであり、もし補正予算を組んで経済対策を行うのであれば、ぜひ積極的に県の方は対応していただきたいということを要望しておきたいと思うわけである。
 次に、行政改革についてお伺いをする。
 私は、右肩上がりの経済社会から成熟した社会に移行しつつある今の時代にあっては、国と地方公共団体が経済社会の中で果たしていく役割は今後次第に縮減していくべきであり、主役は民間、行政は民間を補完するという役割分担が一層顕著になっていくべきであると考えるのである。例えば、広域公園のような大規模な都市公園を整備する場合、これまでのように国庫補助事業を導入して県事業として行うといたしても、公園内の道路や植栽は行政、レストラン等の休憩施設や宿泊施設は民間が整備するなどといった土地を有効に利用しながら民間の事業展開がやりやすくなるような、民間の活力を最大限に引き出すことができるような、そういう方法を考えていくべきであろうと思うのである。
 また、行政改革に対する取り組みについては、県の取り組みと民間の取り組みを比較した場合、やはり厳しさの面で差が出るような気がしてならないのである。例えば、組織の見直しにおいては、部局や課といった組織の垣根をなくし、仕事の繁閑に応じて職員間の応援体制がすぐとれるような制度を導入したり、昇進に当たっては年功序列を廃止し、有能な職員は能力に応じた適材適所の処遇を行うなど、さまざまな取り組みとなっておる。これらの改革に共通しているのは、私は、職員が職務に熱意を持って取り組めるような環境は何かということを考え、実践していくということにあると思うのである。また、こうした民間の改革の流れは大きなものとなってきており、これまでのように行政の場合は各種法令に基づく制度のしばりがあるからなじまないなどと、行政の立場、枠組みの中で物事を考えることは、もはや通用しないところまで来ているのではないかと考えるものである。このような意味で、県が平成10年度予算に、民間の経営管理手法を取り入れた行政運営の診断を行うなど、新たな行政改革に向けた取り組みを始めようとしていることに期待をしているものである。
 そこでお伺いするが、県ではどのような基本的な考えのもとに行政改革に取り組まれるのか、また、そのためには前例にとらわれることなく、新たな発想のもとに進めることが必要ではないかと考えるのであるが、いかがであろうか。あわせてお聞かせをいただきたいと存ずる。

〇千葉副知事 新たな行政改革に取り組むに当たっては、四つの基本的な考え方に立って進めることになっておる。
 一つは、これからの県行政は県民が主役であることを強く意識いたして、これまで以上に県民の声を行政に反映させ、さらに県民の視点に立った行政サービスを提供するとともに、県民が行政に積極的に参画できるように努めることが必要であると、こういう一つの基本的な考え方に立っている。
 二つ目として、地方分権の進展に対応して、市町村の果たす役割がますます重要となってきているところから、県と市町村とは、ともに地域づくりを進めるパートナーとして、その役割を相互に尊重し合いながら適切な機能分担と支援協力関係を基本とした体制づくりを進める必要があるということ。
 三つ目に、地方分権の進展に対応して行政運営に当たって、みずからの責任で政策の効果を常に点検し不断に改善を加えていくことが重要であることから、PLAN−−企画立案、DO−−実施、SEE−−評価の機能を高め、これら一連の流れをシステム化していく必要があるなど、地方分権に対応した行財政システムを構築していく必要があることとしておる。
 それから四つ目として、職員一人一人が県民サービスの提供者として、また、地域づくりの担い手として県民が何を求めているかを常に意識して、柔軟な発想で行政を進めるよう職員の意識改革に努めるとともに、地方分権時代にふさわしいチャレンジ精神や自立心にあふれる職員の育成に努める必要があると、この四つを基本的な考え方としているところである。
 また、新しい行政改革を進めるに当たっては、職員一人一人が前例踏襲や困難な課題の先送りなどをせずに、民間の発想や手法なども積極的に取り入れ、経営感覚、コスト感覚を磨いていく必要があると考えておる。また、職員は、仕事を進めるに当たっては、県民サービスの提供の直接の担い手として、県民がどのような行政サービスを求めているかを常に意識するとともに、その満足度を高めるため、柔軟な発想で取り組むよう意識改革を進める必要があると考えているところである。

〇長谷川委員 ちょっと不十分だと思うけれども、次に進ませていただく。
 次に、食糧費問題についてお伺いをする。
 県における食糧費の執行に関する全庁的な調査の結果によると、平成4年度から8年度までの5年間で1億5、000万円余に上る不適正な支出があったとされており、本県においてこのような不適正な支出の実態が明らかになったことは、まことに残念な結果であると言わざるを得ない。お隣の秋田県では、3度にわたる調査を実施し、そのたびごとに新たな不適正支出が明らかにされておるが、本県がそのような不手際を繰り返さないためには、今回の全庁調査の方法が、公正で客観的に信頼性のある調査であったということを県民に示すべきであると思うのである。
 そこで、お伺いするけれども、食糧費の執行の形態にはさまざまなものがあったと思う。県では、そのような個々の事案に対してどのような判断基準を持って適正か、不適正かの判断を行ったのであろうか。その基準を明らかにすることにより、調査に対する県民の信頼を得ることが必要であると思うがいかがであろうか、お聞かせをいただく。

〇大隅総務部長 今回の食糧費執行状況調査によって、不適正なものが明らかになったということは大変申しわけなく存じておる次第である。適正、不適正についてのお尋ねがあった。懇談に係るものについては、基本的に、懇談の日時、場所、出席者等が記載されている実施伺書をもとにして、出席者に対する事実確認により調査をしたものである。
 その適正、不適正の判断基準であるが、適正としたのは、県側の場合、県側主席者の3分の2以上の出席が確認された懇談で、一方、相手方出席者に肯定者がある場合、または否定者がなかった場合、これは適正としておる。また、日程表や出席者名簿その他の関係資料で懇談の事実が明確に確認された場合、これも適正としておる。
 次に、不適正としたのは、実施伺どおりに懇談が行われていない場合であり、これは、内容的には2次会の処理であるとか、内部懇談等の処理のために、実態と異なる処理を行ったものである。
 また、茶菓等の懇談以外の経費のうち、会議における茶菓子とか弁当、あるいは不特定多数の来客者への湯茶のための経費については、懇談とは異なることから、支出関係書類によって確認を行ったところである。
 また、食事券については、支出関係書類により、経費の支出は確認されたものの、関係者、関係書類等からの確認によっては、適正な配付が行われたかどうか判断できず、また、社会通念上、許容の範囲とは認めがたいというところから不適正としたところである。

〇長谷川委員 大分よくわかってまいった。
 次に、今後は関係した職員の処分や返還などについて適切な対応を図るとともに、県民の信頼回復に向けて、職員が一丸となった再発防止に取り組むことが肝要であると思う。このような不祥事件が明らかとなったことに対しては、県及び個々の県職員が真摯に反省することは当然であるけれども、このことをもってして、職員が食糧費の支出に過敏に反応し過ぎて必要な懇談を行わなくなったり、今後の職務遂行に支障が生じたり、勤務意欲がそがれるようなことがあっては決してならないと思うのである。したがって、今後の改善方策を確実に実行することをここで明らかにすることにより、食糧費問題に区切りをつけ、新たな気持ちで職員が県勢発展のために尽力すべきであると思うが、いかがであろうか、今後の改善方策についてお聞かせを願う。

〇千葉副知事 このたびの食糧費執行状況調査の結果、不適正な事務処理が明らかとなったことによって、県政に対する県民の皆様の信頼を大きく損ねたことは、まことに遺憾であって申しわけなく思っているところである。事務方の責任者として私からも改めておわびを申し上げる次第である。今後、公務員倫理の確立あるいは職員の意識改革、並びにチェック体制の充実、強化を図るとともに、情報公開の推進に努め、さらには既に制定した食糧費執行要領に基づいて、より一層適正な食糧費の執行を行うなど、これらの改善方策を着実に推進して、事務の公正な執行と透明性の確保を図り、一日も早く県民の皆様の信頼を回復するよう努めてまいりたいと考えておる。
 また、今後、これを契機として、執務意欲を失うことなく、公務員の原点に立ち戻って、県のため、県民のために奉仕するという使命を改めて自覚し、誠心誠意仕事に取り組むとともに、職員提案制度や職場活性化実践運動などの一層の充実に努めて、職員の県政への参加意欲の高揚と活力ある職場づくりを進め、職員の士気の高揚を図ってまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 私は、改善方策で一番重要なのは、多分情報公開だろうと、こう思っておるわけである。インターネットでは食糧費の公開もしているようであるけれども、それは総務部が幾らとか、保健福祉部が幾らかというところのようであるけれども、それでは大変不十分だと、こう思っておって、例えば、官官接待であると相手側の氏名まで、相手側は公人であるから公表しろなどという判例もないわけではないと、こういうわけであって、私は、個人情報みたいなものはこれは別として、行政執行上大きな支障がないものはぜひ公開するような前向きな対策をとっていただきたいと。職員の中には、私はこうこうこういう懇談をしたと堂々と言いたい人もいるのではないだろうか。こういう中においてはあると思う。また、懇談をするときに、懇談をしない罪というのも私はあると思う。こういう風潮の中ではなかなか懇談できないと。本当に懇談をして成果を上げる、しなければならないときできないと、こういう風潮は早く脱していただきたいと、そのように思っておるわけである。
 次に、地域づくりの推進についてお伺いをする。
 現在、全国各地において、みずから考えみずから行う地域づくりへの取り組みが行われておるけれども、私も、地域の活性化を図る上では、各地域の個性や特色を生かした地域振興が重要と考えるものである。ともすれば、自分たちの生活パターンや価値観だけに基づいて、昔に栄えたものに対してまで不要といったレッテルを安易に張る傾向があるけれども、私はこのこと自体に疑問を呈することが、地域づくりの第一歩であると考えるものである。地域の持つ個性や特色は、その地域の人々にとって、なれ親しんでいるがゆえに、地域では見過ごしがちな場合が多くある。例えば、人口減少に悩む地域においては、この地域は何もなくて、地域づくりといってもといった話が出ることも珍しくないが、今、人口減少になっているということは、昔はもっと多くの住民が居住し、働き、お祭りなどの地域の文化を伝承し、その上に立った新しい生活と文化を生み出してきていたのである。そこには、その地域の自然環境を活用し、人的、物的な生活、文化、産業が伝承されているはずであり、それは現代の感覚で言えば全国に通用するものではないかもしれないけれども、それぞれの風土の中に自覚的に位置づければ、そこにしかない唯一無比の光を放つ存在たり得るし、その存在との出会いを求めて、他の地域から人々が訪れるような吸引力を持つこともあり得ると考える。
 他県の先進地を視察し、そのノウハウを導入しようとして成功している例は必ずしも多いとは言えないし、私は、全国各地の動向は参考にしつつも、まねをせずに、むしろ他の地域と違う個性をどうやって出すのかを考え進めるべきものであると思うのである。そのためには、地域の文化や資源を見詰め、地域の持つ個性や特色は何なのか、それをどのように活用していくのか、さらには、新しい個性や特色をつくり出していくための方策など、地域において真剣に議論されなければならない。このためには、まず地域において、市町村を中心に官民一体となって取り組むための仕組みが必要であると考えるが、県は、こうした地域づくりについて市町村に対してどのように指導、支援しているのであろうか。また、地方振興局の地域づくりへの役割について、どう考えているのであろうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 地域づくりは、地域みずからが地域の文化や資源を活用することとともに、新たな個性や特色を創造して、特色ある地域づくりを行うとともに、行政と民間が連携して取り組むことが重要である。市町村はもちろん、県においてもこうした地域の自主的な取り組みに対して、できる限り支援する必要があると考えておる。これまで全国的な顕賞を受けた二戸市のカシオペアアカデミーや住田町のすたーうおっちんぐ種山ケ原、先日、自治大臣表彰が決定した陸前高田市のイベントを通じた住民参加のまちづくりなどの事例は、いずれも地域主体の行政と民間との連携の成果であると考えているところである。
 このようなことから、県としては、地方振興局を通じて、地域づくり団体や市町村との連携を緊密にするとともに、地域活性化事業調整費を充実するなど、支援の強化に努めてきたほか、市町村に対しても、こうした取り組みや国の関連施策の計画的、効果的な導入について助言してきたところである。さらに、今年度からは、新たに市町村、地方振興局が一堂に会しての情報提供や事例紹介の機会を設けるとともに、地域づくり団体なども加えての研修や情報交換を行うなど、行政と民間が一体となった取り組みが行われるよう努めているところである。
 今後、地方分権化が進む中にあって、地域づくりには、地域みずからが考え行動することが従前にも増して必要となる。これを支援する地方振興局におけるコーディネート活動などもより重要となることから、新たに地方振興局に地域づくりのコーナーを設けて、地域からの相談や情報提供の体制を充実するなど、地域住民や市町村とのつながりを一層深めて、行政と民間が一体となった地域づくりに対する支援をさらに強化してまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 次に、仙人峠道路の整備についてお伺いをする。
 御案内のとおり、国道283号は沿岸と内陸部とを結ぶ幹線として、県土の均衡ある発展を図る上で必要不可欠な路線である。昨年、仙人大橋付近で凍結路面対策として、無散水消雪施設の工事が行われたことから、今年の積雪に対してはその効果を発揮し、利用者から、安全走行が可能になったと好評を得ているところであるが、仙人峠の区間、特に釜石側は急勾配、急カーブの連続であって、通行車両にとっては難所中の難所である。そして、やっとの思いで峠を登ったその先には、狭い仙人トンネルという第2の関門が待ち受けておって、まさに交通の隘路となっておる。このことから、内陸部との時間的距離が相当長く、沿岸部と内陸部との格差の解消がなかなか進まない一因になっていると思うのである。内陸部の高規格幹線道路等の沿線地域においては、産業の振興や人口の増加などが図られ、高速交通体系の恩恵を直接に享受しておるが、この効果を沿岸部にまで波及させるためには、仙人峠を克服することが必要不可欠である。国と県においては、このようなことから、平成4年度に仙人峠の抜本的改良に着手されたところであるが、既に事業着手から5年余りを経過しておる。そこで、お伺いするけれども、早期完成を一日千秋の思いで待っている沿岸地域住民や県内外の利用者のために、工事の現在の進捗状況と、事業促進に向けた県の取り組みについてお聞かせを願う。

〇吉永副知事 一般国道283号仙人峠は、御指摘のとおり、最大の隘路として沿岸部と内陸部の円滑な交流を妨げているところであって、その整備については県としてできる最大のことを行いつつ、国に対しても強く要望してまいったところである。この工事は、現在、建設省の直轄権限代行事業と県が行う国庫補助事業のこの二つによって抜本的な改良に着手したところである。全体の計画18・6キロメートルのうち直轄施行区間が13・2キロメートル、県施行区間が5・4キロメートルであって、総事業費は500億円を超えるものである。
 進捗状況であるが、着手以来、詳細設計等諸調査や用地取得等を継続しながら、直轄施工区間は平成9年度に本道路最長の仙人トンネルに着手し、現在、工事用道路が完成したところであって、平成10年の半ばには本格的なトンネル工事に入る予定である。一方、県施工区間においても地権者の協力を得られたところから、平成8年度に秋丸トンネルに着手し、現在、本格的なトンネル工事を進めているところである。進捗状況を数字で言うと、国、県合わせて10%を超えたところといったような状況である。
 そのほか、県では直轄施工区間の事業促進に向けて、釜石市地内の用地の先行取得等を行っておるし、また、遠野側では仙人峠道路に接続する一般国道283号の上郷道路の整備についても県道路として進めているところである。本道路の整備には、御案内のとおり膨大な事業費を要するものであって、完成までにはなお相当の期間を要するものと思うわけであるが、委員がおっしゃっておった、孫子には今よりいいことを残してやりたいというそういう点から言うと、誇りを持って岩手の次の世代に残せる財産であると思うので、私どもとしてもあらゆる努力を払い、早期完成に努めてまいりたいと考える次第である。

〇長谷川委員 副知事、相当な期間がかかると言うが、仙人峠道路は国では7年間の事業なのである。であるから10年に着工すれば少なくとも平成17年には完成しなければいけない事業なのである。公共事業が縮減されたとはいっても物流の特別枠などあるわけである。少なくとも、どうなんであろう、17年まで完成するとは言えないかもしれないが、それまで頑張るとか、延びても一、二年ぐらいしか延ばさないとか、何かその辺、具体的に答弁できないか。

〇吉永副知事 具体的な答弁はなかなか難しいわけであるが、先ほどの物流の特別枠は確かにあるが、国においてはこれは高規格幹線道である。これはまさにそれに当たるわけではあるけれども、その中の配分においては、やはり高規格幹線道の中でももっと需要その他で見込めるところに重点を置くということになっておるので、なかなかそういったところについては国に対してはもっともっと私ども強く働きかけ、先ほど申したとおり、私はこの仙人峠は岩手県のいろんな道路の中では、やっぱり最も優先されるべきものだと考えておるので、私どもとしては県としてあらゆる力を注いで、その早期完成に頑張ってまいりたいということでお許しいただきたいと思う。

〇長谷川委員 大いに期待をする。
 次に、県北・沿岸地域への企業誘致についてお伺いをする。
 県北・沿岸地域は、地理的な条件や生産基盤、高速交通基盤の整備のおくれなどから、企業の立地件数は少なく、北上川流域を中心とした内陸部に多数の企業が立地している状態に比べると、若者が安心して働き、定住できる場が少ないという現状となっており、各地域においては、その確保が大きな課題となっているところである。県においては、久慈、二戸地域への拠点工業団地の整備を進めるなど、企業誘致の促進に向けて積極的な工業振興施策の推進に努めておられるが、最近の企業立地動向を見ると、設備投資などの回復の兆しは見えるものの、企業立地の本格的な回復には至っておらず、企業は工場移転や設備投資に対し慎重な姿勢を崩していないのが現状である。企業誘致をめぐる環境は依然として厳しいものとは認識しておるが、県北・沿岸地域への企業立地を促進することは、雇用の場の確保を通じた人口の定住はもとより、地域の活性化を促し、県内の格差を解消し、県勢の発展に大きく貢献するものと考えるところである。そこで、お伺いするけれども、最近の県北・沿岸地域への立地の状況と、県北・沿岸地域の企業立地のため、どのような取り組みをされておられるのか、あわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 県が最近5年間において誘致した企業のうち、県北・沿岸地域に立地した企業は10件である。県としては、久慈、二戸地区の立地環境整備の一環として、御指摘の拠点工業団地の整備を進め、本年4月から分譲開始することにしておる。また、昨年度、県北・沿岸地域等の市町村を対象として新たな助成制度を創設したところであって、これらも活用しつつ分譲に力を注いでまいりたいと考えておる。
 また、企業誘致には市町村長が直接企業誘致活動を展開する場を提供するということが非常に重要であると考えておるので、今年度、東京、大阪で開催した企業ネットワークいわてや、昨年の7月に八戸市で開催した−−これは53社ぐらいの参加があったが−−経済交流促進懇談会といったようなものを工夫を凝らしつつ、そういう企業誘致に努めているところである。
 また、県北・沿岸地域には、既に県内に立地している企業の2次展開というのも7事業所あるので、さらなる2次展開を図るための活動といったものにも積極的に取り組んでいるところである。今後、県土地開発公社、地域振興整備公団等の関係機関や、いわゆる拠点工業団地を有しておる市町村を中心として、企業誘致活動を展開しておる岩手県企業誘致推進委員会という、こういうのがあるわけであるけれども、この組織を見直して、その中に県北・沿岸地域への企業誘致体制を行う組織を置いて、そういう市町村と一体となった活動といったものを強化するといった、そういった工夫を行ってまいりたいと考えているところである。

〇長谷川委員 次に、沿岸地域への工業技術センターの研究成果の波及についてお伺いをする。
 工業技術センターは、平成6年に本県の工業技術振興を担う拠点施設として整備され、岩手に根差した技術の確立を理念に、先端技術から伝統技術に至る県内工業の発展を目的とした研究、技術指導、人材育成、情報提供など、多彩な事業を展開しているところである。新聞報道等によると、工業技術センターは、鋳物の無公害熱処理の研究を初め、新たな機能を持つ有機化合物の研究、微生物によって生ごみを分解する新技術の研究、さらには、針葉樹の用途拡大を目的とした海外の大学との共同研究を行うなど、着実に研究成果を上げているとのことである。
 一方、地域産業を取り巻く環境は、国際競争の激化や技術革新の進展など大きく変化してきておるが、このような状況に的確に対処し、本県産業の高度化を図っていくためには、企業の技術開発力の向上が極めて重要であり、そのため、工業技術センターの研究成果を積極的に地域企業へ移転していくことが求められておる。そこで、お伺いするけれども、地理的にも遠距離にあり、アクセスにハンディのある沿岸地域に工業技術センターの研究成果をどのように波及しようとしているのか、お示しを願いたいと思う。

〇吉永副知事 県内企業の技術開発力の向上や新製品の開発等に対する支援は、県の工業技術センターの担っておる重要な役割だと考えておる。そのため、工業技術センターの研究員や技術アドバイザーとして委嘱しておる、これは87名ぐらいの大学教授等の専門家が直接企業を訪問し、技術指導等積極的に行っているほか、沿岸地域等に対しては研究成果の普及を図るために、平成8年度から移動工業技術相談会といったものを開催しておる。9年度においては大船渡において、最大300名の参加者を見て開催したところである。
 また、先端的な技術開発を推進するために、企業との共同研究や沿岸地域等の企業から技術者を受け入れて、研究活動の実践を通じた研修といったものも行っているところである。さらに、地域企業の新分野進出や技術開発力の向上、あるいは人材育成等を支援するための拠点施設として、釜石・大槌地域産業育成センターに今年度知的所有権センターの特許情報を検索できる端末機を設置することとしておる。今後はこうした事業の充実を図りながら釜石・大槌地域産業育成センターとの連携を強化し、工業技術センターの研究成果が沿岸地域に一層円滑に普及するよう努めてまいりたいと考えている次第である。

〇長谷川委員 積極的にお願いをする。
 次に、本県の港湾行政についてお伺いをする。
 本県には、重要港湾4港があるが、いずれも同じような整備が進められており、各港の特性が十分に生かされていないと思うのである。したがって、公共投資の縮減が進められている今、それぞれの地域特性を生かした効率的な港湾開発を進めるべきではないかと思うのである。そこで、お伺いするけれども、最近、海運業界においては激化する国際競争の時代にあって、輸送の効率化を図るため船舶の大型化が進んでおる。本県の港湾においても、少なくとも4港のうちの1港は、従来のパナマックス船対応岸壁から、より大水深の岸壁の港湾として整備すべきであると思うのであるが、いかがであろうか。同様に、少なくとも1港は国際コンテナ基地として整備すべきであると思うのであるが、いかがであろうか。
 また、現在、開発研究が進められている浮体式人工地盤ともいえるメガフロートは埋め立てを伴わないため、環境や漁業と共生することが可能と思われるが、これを港湾で利用することについては、どのように考えておられるのであろうか、あわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 本県でパナマックス級が接岸できる公共岸壁は、大船渡港のマイナス13メートル岸壁である。それから、ばら貨物をというか、ばら貨物を集積するだけの大型岸壁、あるいは国際コンテナ基地、どちらについても言えるわけであるけれども、国の基本的な現在の考え方は、中核、中枢港湾中心ということで、重要港湾の中でも特定重要港湾、特定重要港湾の中でも4大港湾に集中するという、そういう方向を強く出しておる。そういった流れの中で私どもとして、その中で私どもの港湾をいかに育てていくかということを今、考えている次第である。本県港湾を利用するばら貨物、これも先ほど申したとおり物流コストの削減のため、国は大きいところへ集中という方向を出しているわけである。現在、本県の港湾を利用するばら貨物は、マイナス12メートルあるいはマイナス13メートル岸壁等を利用しておって、現在の背後企業の状況からは既存の施設の能力を超える船舶の寄港というのは想定しにくいわけではある。しかし、中長期的には高規格道路の整備進展、あるいは背後の新たな産業の立地等による需要の動向によっては大水深岸壁が必要となるということが考えられるので、今後、内陸企業への港湾利用の働きかけなど、一層のポートセールス、そういったものを取り組んでまいりたいと考えている次第である。
 国際コンテナ基地についても、国の考えは中枢、中核港湾重視であるので、現在、本県においてこうした現在の国の考えに合うような中枢、中核港湾に並ぶようなコンテナ貨物の発生量というものは、数字で計算すればないわけである。しかし、今後、高規格道路の整備進展、あるいは県を挙げてのポートセールスといったそういったものに相乗効果を十分上げていけば、そうしたコンテナ貨物の発生量が認められた場合には、国際コンテナターミナルの整備も検討する必要があると考えている。いずれにしても、そういった私どもの努力、それから国に対しての働きかけ、そういったものは非常にこれは重要ではないかと考える次第である。
 それから、メガフロートの利用であるが、メガフロートは水深等に左右されにくく、環境に優しいなどの特徴があって、海上交通、流通基地等への用途が考えられているわけであるけれども、まだ世界にも例がなく、現在、官民により技術的、法律的な問題について調査研究が行われている段階であるので、県としても、今後こうした調査の動向に注視しながら勉強してまいりたいと、そう考える次第である。

〇長谷川委員 大船渡港であっても中長期的に見れば、私は無用の代物になるような気がしてならないのである。大体釜山港であれ、大船渡の人がおるから失礼なのであるが、シンガポールであれ、高雄であれ、大水深である。コンテナ船であれ何であれ大水深である。今、仙台港はやっぱりパナマックス船対応の港なのである。それを1メートル、2メートル水深を深くしようとしているのである。それを中長期的に考えて、輸出であればせいぜい11メートルでいい。ばら積みであれば、あるいは国際コンテナ基地であれば少なくとも15メートルは必要である。13メートルなどというのは余りにも、これは大船渡だけでない、釜石もそうであるし、宮古もそうであるし、久慈もそうなのである。何か無用な金を投じているようにしか私は思えない。やはり特徴を持った港をつくっていかなければいかぬと。中長期的な視点に立って港湾を整備していかなければならないと、そのようなことを主張しておきたいと思う。
 次に、港湾の利用促進についてお伺いをする。
 本県のポートセールス体制はどうなっているのであろうか。港湾の利用促進のためには、土木部のみならず、部局を横断した取り組みを強化する必要があると思うが、いかがであろうか。
 また、工業が集積している内陸部の企業に対し、港湾の利用促進を積極的に働きかける必要があると考えるのであるが、いかがであろうか、あわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 本県の港湾施設の多面的かつ高度な利用を図るために、昭和62年度から土木部内に専任の港湾振興担当職員を1名配置して、港湾物流の活発化、港湾利用型企業の誘致及び客船等の誘致という、この三つを柱として、首都圏を初めとする船会社や誘致企業等に対して本県港湾の利用を働きかけるなど、積極的なポートセールスに取り組んでいるところである。これまでも土木部と商工労働観光部が連携をとりながら物流動向の実態把握を行うとともに、港湾貨物の積極的な掘り起こしや港湾利用型企業の誘致などについても取り組んできたところである。今後においてもこうした関係部局は十分な連携を図りながら、港湾の利用促進に努めてまいりたいと思う。
 内陸部の企業へのポートセールスであるが、港湾貨物の増大を図るためには、工業が集積しておる内陸部の企業に対する働きかけが重要と認識しておる。その利用促進にも努めているところである。これまで金ヶ崎町に立地する関東自動車工業の完成品の積み出し、あるいは北上市のいすゞ自動車関連企業の原材料の陸揚げ等が実現しているところである。県としては、港湾所在地の自治体に積極的な取り組みを期待するとともに、内陸部の企業を含む県内事業所の物流実態の把握に努めながら、より一層広範なポートセールスに努めてまいりたいと、そう考えている次第である。

〇長谷川委員 ポートセールスは、港湾課に振興主査1人なのである。秋田はポートセールスは7名いるのである。それで、秋田は大体北上とか、北上川流域までポートセールスをしている。これは強い危機感を抱いてもらわぬといかぬ。たった1人が、横断的にはやっておるであろうけれども、秋田だって横断的にやっていると思うのである。1人対7人であるから、これは全然太刀打ちできないというような状態であることは、当然御認識しておられるであろうからそれはいいのであるが、もっとより積極的な体制をとっていただきたい。
 それから、内陸部なのであるが、前にも1回お話し申し上げたことあるのであるが、福島と郡山なのであるが、福島は幾ら努力しても郡山に追いつかぬと、それは何なのかと、郡山にはやはり小名浜港という港湾が控えているということで、福島は相馬港をつくろうという機運である。あれは相馬市の努力はもちろんあるわけであるけれども、主体的なのは福島市が相馬港をつくろうと立ち上がったのである。であるから港湾というのは沿岸地域だけの問題ではない。これは内陸部と連携して初めて港湾というのが有効に活用されると、そして活用することによって内陸部もますます発展すると、そういう施策を十分とっていただきたいと思う。
 次に、下水道を初めとする汚水処理施設の整備についてお伺いをする。
 私は、本県の恵まれた環境を守り、県民の快適な生活環境づくりや企業の県内進出、さらには若者のUターンの推進など、県勢の発展を図っていく上で、下水道を初めとする汚水の適正処理の果たす役割は極めて大きく、この全県的な展開に立つ県民の要請は、ますます高まってきていると考えておる。県においても、この推進に向けた努力をされており、平成6年度には、岩手県全県域汚水適正処理構想を策定し、関係部局が連携して、下水道事業、農業集落排水事業、漁業集落排水事業、そして合併処理浄化槽設置事業などの関係する事業の総合的、体系的な整備に取り組んでいるところである。しかしながら、本県の汚水処理施設の整備状況を見ると、昨年度末で37%と、いまだ全国平均の62%を大きく下回っており、特に46町村の平均整備率は20%にすぎず、13市の平均48%と比較すると大きな格差が生じておる。
 各町村では、その整備の必要性は十分認識しているものの、厳しい財政事情にあっては、膨大な事業費と業務量を必要とすることから、財源と技術職員の確保に大変な苦労をしているのが現状である。私は、県民がどこに住んでも同様の行政サービスを享受できることが行政の基本であると考えておる。今後、特に町村における汚水処理施設の整備を推進することが、県行政を推進する上で大変重要なことであると思うのであるが、そこでお伺いをする。その実現のためには県の一層の積極的な支援が不可欠であると考えるが、いかがであろうか、県の考えをお聞かせ願う。

〇吉永副知事 下水道を初めとする汚水処理施設の整備については、県及び各市町村では、平成6年度に策定した全県域汚水適正処理構想に基づいて、その整備に積極的に取り組んでいるところであるが、全国に比較して特に町村部において大きく立ちおくれているのは委員御指摘のとおりである。県が昨年10月に実施した銀河系いわてモニターアンケートにおいても、このことはよくあらわれていて、今後整備、充実が必要なものとして県民が望んでいるものは、下水道というのは2番目に多くあらわれているわけである。また、県政懇談会等においても、下水道等のおくれが企業進出の障害になっていると指摘いただいているとおりである。市町村においても、その整備の必要性は十分に認識しているところであるが、政府の平成10年度の予算案の汚水処理施設整備関係の国庫補助事業費が今年度と比較して7%の減となっているところであって、汚水処理施設の整備については厳しい財政環境にあって、各市町村とも膨大な事業費と業務量に対して大変苦労していると、そういう状況にある。こうした下水道の整備というのは特に市町村において必要なわけであるが、その実現のためには、まず近接する処理場間での汚水や汚泥の処理を共同で行うことによって事業費の大幅なコスト縮減が可能となることから、平成10年度にはそのガイドラインとなる県汚水処理施設共同管理基本計画を策定して、その成果に基づいて事業費を縮減し、効率的、経済的な事業推進を図ることによって、市町村の財政負担の軽減に努めてまいりたいと考えておる。
 また、これまで県単独による下水道事業債償還基金費補助や採択要件を満たす過疎町村に対する公共下水道県代行事業等による支援に加えて、新たに平成10年度から岩手県下水道公社の体制を整備して、市町村事業への技術資金の支援、そういったものも取り組んでまいりたいと考えておる。県としては、県内各市町村の均衡ある発展を図るためにも、今後とも市町村と密接に連携をとりながら、この汚水処理施設の整備推進に努力してまいりたいと考えている次第である。

〇長谷川委員 次に、景観対策の実態をお伺いする。
 本県には、豊かな自然や歴史、文化、風土等によって形成された恵まれた景観があり、これらのすばらしい景観は、先人が地域の中で自然との共生を図りながら、長い時間をかけて営々と築き上げてきた本県の貴重な財産である。これを受け継いだ我々は、この景観を守り、育て、よりすばらしいものにして次の世代に引き継いでいくことが、課せられた責務であると思う。県においては、3県総において、美しい町並みや歴史的、伝統的な景観の保存と活用を図るとともに、自然や町並みとの調和のとれた街路や道路、河川等の整備の推進を考え、平成5年度には岩手の景観の保全と創造に関する条例を制定して、すぐれた景観の保全と創造の実現に向けて力を注いでいるところであるが、地域のすぐれた景観を形成するためには、それぞれの地域が有する景観資源を活用し、県、市町村及び地域住民が一体となった息の長い取り組みを行うことが必要だと考えるものである。このため、県では、岩手山、八幡平周辺地域を対象に、景観形成重点事業として指定すべく準備を進めていると聞いておるが、この地域において景観形成をどのように進めていこうとしているのであろうか、お聞かせを願う。

〇吉永副知事 本県は、国立公園十和田八幡平、陸中海岸を初めとして、すぐれた自然景観や平泉文化に代表される歴史的な建造物などのさまざまなすぐれた景観資源に恵まれているところである。中でも、岩手山ろく・八幡平周辺は、岩手山の雄大な山容、八幡平の広大な森林や高山植物等の変化に富んだ自然景観を中心とした本県を代表する景観を形成しておる。このすぐれた自然景観を県民の郷土に対する愛着と誇りをはぐくむ共有の財産として、地域の発展と調和を図りながら次代に引き継ぐことが大切であると考えておる。このため、岩手山ろく・八幡平周辺を岩手の景観の保全と創造に関する条例に基づく景観形成重点地域に指定すべく、関係市町村及び岩手県景観形成審議会の意見の聴取、指定案の縦覧等を行ってきており、ことし4月に指定の予定である。岩手山ろく・八幡平周辺景観形成重点地域においては、地形や土地利用に応じて四つの区域に区分し、山岳景観保全区域において自然景観の保全を図る等、各区域の特性に応じた景観形成重点地域を定めて、比較的小規模な建築等の行為に対しても届け出を指導、助言を行い、景観形成をきめ細かく指導することとしておる。さらに、関係市町村との連携や地域住民の景観形成の取り組みへの重点的な支援等を総合的に推進し、自然景観と調和する景観形成に努めることとしているところである。

〇長谷川委員 次に、福祉問題についてお伺いをする。
 まず、いわゆる新ゴールドプラン、エンゼルプラン及び障害者プランに対応する県の保健福祉予算と、今後の計画推進についてお伺いをする。
 国においては、最重要課題として財政構造改革を掲げ、徹底した歳出削減の方針のもとに平成10年度政府予算案を編成し、現通常国会で審議されているところであるが、このような厳しい予算の編成方針の中にあって、新ゴールドプラン関連予算は、前年対比5・5%の伸びを示しておる。また、エンゼルプランの一環としての緊急保育対策等5カ年事業関連予算は7・8%、障害者プランの数値目標関連予算は5・9%の伸びとなっておる。政府の予算規模が前年対比で0・4%の増であることから見ると、これら3プラン関連予算は異例とも言える伸びであり、各プランに関連する各種事業の重要性を認識した上で、計画どおり推進する強い決意を示したものと私は受けとめておる。そこで、お伺いするけれども、国の3プランに関連する県の平成10年度の福祉関係予算案はどのようになっているのであろうか、お示しを願う。
 また、県は、国の3プランに関連する岩手県高齢者保健福祉計画、岩手県すこやか保育等プラン及び岩手県障害者福祉行動計画を策定しておるが、今後とも計画どおり各種事業が推進できる見通しであるのか、お伺いをする。

〇千葉副知事 国の福祉計画と本県の福祉予算の関係であるけれども、新ゴールドプランに対応する平成10年度の県予算は73億6、700万円余であって、前年対比で4・2%の増である。それから、障害者プランの数値目標関連予算に対応する県予算は19億4、600万円余であって、前年対比で17・0%の増である。これらの予算が前年度より伸びた主な要因であるけれども、介護保険制度の円滑な実施に向けての高齢者介護サービス体制整備支援事業費の増額や、障害者の自立を促進する授産施設の拡大に伴う運営費の増額等によるものである。
 一方、エンゼルプランの一環としての緊急保育対策等5カ年事業関連予算に対応する県予算であるけれども、こちらは31億7、500万円余であって、前年対比でマイナス5・2%である。マイナスとなった主な要因は、保育所の改築整備に係る国庫負担金が県予算を経由せず市町村に直接交付される公立保育所の整備が多いこと等の事情によるものであって、この施設整備費を除くと予算は実質、前年度を上回るものとなっておる。したがって、国のプランに関連して県が策定した高齢者保健福祉計画、すこやか保育等プラン、あるいは障害者福祉行動計画に関しては、非常に厳しい財政環境下にあるけれども、必要な予算は確保されておって、これまでと同様に、計画どおり各事業を推進できるものと考えておる。

〇長谷川委員 次に、リハビリテーションセンターの拡充整備についてお伺いをする。
 県では、リハビリ医療の中核施設としていわてリハビリテーションセンターを開設し、県内各地の患者を受け入れて、高度なリハビリ医療の提供を行うとともに、地域のリハビリ活動に対する支援を行ってきているところである。患者の退院後の機能訓練の問題や介護保険制度の施行など、地域におけるリハビリ医療の充実は、これからの高齢社会を考えた場合にあっては、重要な課題であると考えるものであるが、いわてリハビリテーションセンターにおける地域の支援は、これまで理学療法士、作業療法士を市町村に派遣する地域支援事業に取り組んできている程度で、必ずしも十分ではなかったと思うのである。
 また、本県においては、自立した生活の確保を図るための社会的リハビリや、職業的リハビリの支援体制についても不十分であると思うのである。そこで、お伺いするが、これらの課題に対応していくためには、社会的、職業的リハビリを含めた体制の充実が必要であると考えるのであるが、いかがであろうか、県のお考えをお伺いする。

〇千葉副知事 いわてリハビリテーションセンターにおいては、平成5年の開設以来、リハビリに関する地域支援、教育研修などの事業を行って、県内各地域の保健センターや老人関係施設等で行われているデイサービス事業等のリハビリ活動を支援してきたところである。公的介護保険制度の施行を控えて、今後さらに地域のリハビリ機能の充実を図っていくために、リハビリテーションサービスの提供機関の連携、あるいはネットワークの強化に向けた調査研究を現在行っているところである。平成9年度においては、リハビリ先進県の調査を実施した。引き続き平成10年度においてはモデル地域を設定して、ネットワークの構築に向けて具体的な検討を進めることとしておる。
 いわゆる社会的、職業的リハビリ体制の充実についても、これを視野に入れて検討することとしておる。医療機関と福祉施設あるいは障害者職業訓練等に係る労働分野等が相互紹介等、より緊密に連携することによって、本県のリハビリテーション体制がさらに充実するよう取り組んでまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員 副知事、元気な高齢者対策は割愛をするから、ひとつよろしくお願いする。
 次に、視聴覚障害者情報センターの整備についてお伺いをする。
 本県には現在、盛岡市内に目の不自由な視覚障害者のための情報提供施設として、県立点字図書館があるが、御案内のとおり、この施設は老朽化が著しく、また、狭隘なために点字図書などの収蔵量も限界に近づいておることから、県民や関係者から早急な整備を図るべきだという声が上がっておる。
 また、耳の不自由な聴覚障害者のための情報提供施設については、現在県内には存在しないことから、約6、000名にも及ぶ聴覚障害の方々は、情報化社会が進展する中で、情報サービスから取り残された状況に置かれており、同様に施設の早期整備が求められておる。このような状況にあって、県では、当初予算に図書情報総合センターの整備構想のための予算を計上し、その事業の中では視聴覚障害者情報センター整備のための費用も盛り込まれておる。そこで、お伺いするけれども、この視聴覚障害者情報センターは、いつごろ、どのような形で設置される見通しなのか、お示しを願う。

〇千葉副知事 視聴覚障害者情報センターについては、機能の類似性や施設の効率化に着目して、県立図書館並びに公文書館との複合施設として整備したいと考えておる。この施設の整備に当たっては、これまでも障害者関係団体等の意向を伺って構想を進めてきたところであるけれども、図書情報総合センターの基本構想の策定に当たっても、障害者の方々の御意見、御要望等を十分お伺いして、視聴覚障害者の利便性なども考慮しながら、障害者や高齢者に配慮した人に優しい施設として、できるだけ早期に整備したいと考えておる。
 また、視聴覚障害者情報センターは、視聴覚障害者のための県内唯一の施設となるところから、利用される方々が県内のどの地域に住んでおっても、ひとしく情報を活用できるよう、市町村関係施設との情報ネットワークの構築を図るとともに、全国的な情報提供システムとのネットワーク化などについても、検討を進めてまいりたいと思っておる。

〇折居委員長 長谷川委員の質疑中であるが、この際、昼食のため、午後1時まで休憩する。長谷川委員、御了承願う。
   午前11時54分 休 憩
 
   午後1時3分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇長谷川委員 次に、農業問題についてお伺いをする。
 農業白書を見ると、農業従事の世代は、30年ほど前は40歳を中心とした山型のグラフであったが、今は70歳を中心とした山型のグラフとなっておる。つまり、30年前から農業を担ってきた人々が70歳になったということを示しており、あと数年たったら農業を担うのは、農地を守るのは、一体だれになるのであろうか。農業分野でよくもてはやされるのは、都会から移り住んだ脱サラの人々が、報道などのコメントでは、雄大な自然と澄んだ空気を褒め、農作物をつくる技術は3年、5年ではまだまだと必ず言う。しかしながら私は、農業は毎年違う気象条件に合わせて、親から子へ、姑から嫁へと、ともに働きながら伝えられるものであると思うのであり、海外の雨季、乾季が分かれる風土と違い、目まぐるしく変わる日本の風土ではきめ細かな技術伝達が不可欠だと思う。しかしながら、国行政は自由化の波の中で、専業中心、規模拡大しか考えていないのである。
 そこでお伺いする。私は、農業を守っていくには90%以上を占める兼業農家の農業生産も大事にしながら、地域全体の生産力を高めていくことであると思うのであるがいかがであろうか、お伺いをする。

〇吉永副知事 農家の経営志向は多様化してきており、農家数の大半を占める兼業農家の中には、花卉や野菜などを意欲的に生産いたして、その経営の維持、拡大を図ろうとする農家もいるところである。この兼業農家に対しては、個々の志向に応じた農業経営が展開できる十分な支援を行うこと等により、今後とも地域農業の一翼を担っていただかなければならないと考えており、兼業農家の重要性は委員御指摘のとおりである。このため、県では、集落の話し合いによる合意づくりを進めながら、それぞれの経営志向に応じて、農業で生計を営む主業型農家や兼業を志向する複業型農家が相互に連携を深め、例えば兼業農家が主業型農家への稲作作業の委託により生じた労働力で園芸等の他部門を拡大するなど、お互いに利益が確保される仕組みづくりを促進しているところである。
 今後においても、こうした地域ぐるみ農業を支援するため、育苗や生産流通施設の整備、農地、労働力等の利用調整活動を促進するなどにより、地域全体としての農業生産力の向上に努めてまいりたいと考えている次第である。

〇長谷川委員 次に、農産物価格の低迷による農家の実態についてお伺いする。
 昨年の農産物の価格は、米価は大幅な下落と在庫、減反にあえぎ、果物の豊作年なのかミカンも米価以下、リンゴも10キロ2、000円の平均価格と、売値よりも肥料、農薬、人夫賃を支払うと手に全く残らないというのが実態で、借金もままならず不安を抱える人によく出会う。子牛価格、肉牛価格も大幅下落で、岩手のトップブランドである前沢牛を抱える胆江地区を中心に、急速な牛離れが起きていると聞いておる。
 そこでお伺いするが、認定農家、主業型農家など、名前だけが立派な専業農家ほど、借金で唇にのりを塗るような心細い生活をしている実態を県ではどうとらえているのであろうか、お聞かせを願う。

〇吉永副知事 平成9年産の農産物価格は下落あるいは低迷しているという現状であり、自主流通米価格は前年産と比較すると60キロ当たりで2、000円以上、リンゴは10キログラム当たり約300円の下落となっておる。また、肉用牛についても、子牛価格が1頭当たり40万円を切って横ばいで推移しており、枝肉については自由化の影響は少ないと言われておった黒毛和種でも、特に中クラス以下に影響が出てきておる。こうした価格の低下が農業所得に大きな影響を与えており、例えば稲作専業の10ヘクタール規模の農家について所得を試算すると、前年度対比で約180万円、21・3%の減少となっており、経営規模が大きく、農業依存の高い農家ほど委員御指摘のとおり厳しい状況にある。県は、こうした価格変動に対処して、経営の安定を図るため青果物等価格安定事業や肉用牛子牛価格安定対策事業、肥育牛価格安定事業等の各種価格安定対策を実施しているところである。さらに、稲作については、国の新たな稲作経営安定対策への加入促進のほか、大規模稲作農家を金融面で支援する稲作経営安定化資金を平成10年度の当初予算に提案しているところである。農業者、特に専業農家については、農産物の価格変動に柔軟に対応していく足腰の強い経営を確立していくことが何よりも大事なことと考えており、今後とも、生産コストの低減の工夫あるいは野菜、花卉など、収益性の高い作目導入など、あらゆる手段を通じて農業所得の安定確保を図られるよう支援してまいる所存である。

〇長谷川委員 間伐材の利用促進は割愛をする。
 次に、魚類栽培の推進についてお伺いする。
 昨年10月、天皇、皇后両陛下の御臨席を賜り、大槌町で開催された全国豊かな海づくり大会は、私にとっても忘れることのできない思い出となった。本県の水産業や新たな魚類栽培の取り組みはもとより、豊かな自然、文化など、岩手のよさを全国に向けて発信したすばらしい大会であったと思っておる。県では、この大会を契機として21世紀に向け、豊かな岩手の海、活力と潤いのある漁村を実現するため、未来を切り開く栽培漁業の推進を柱とするアクションプログラムを示した。本県は豊かな三陸漁場に恵まれ、サケ、アワビ、ウニ、カキ、ホタテガイなどの栽培漁業への依存度が極めて高いことから、その積極的な推進が必要であると考えるものである。とりわけ、県が現在進めておるヒラメ、マツカワの魚類栽培については、一日も早い施設の完成と種苗生産が待たれるところである。
 そこでお伺いするが、県が海づくり大会会場地を中心に整備していくことにしているヒラメ、マツカワの種苗生産施設についてはどのような計画により整備を進めていくお考えなのであろうか、お示しを願う。

〇吉永副知事 本県における栽培漁業の生産額は沿岸漁業全体の約8割を占めており、漁業者の所得向上に大きく寄与しており、今後とも恵まれた漁場環境を生かした栽培漁業の充実強化を一層図っていく必要があると考えている次第である。このため、県としては、新たな栽培漁業を積極的に進めるため、ヒラメ、マツカワを対象とする岩手県魚類栽培事業化推進計画を作成したところである。この計画では、当面、ヒラメ110万尾、マツカワ10万尾の放流用種苗の生産を行う施設を整備することとしておる。整備に当たっては、施設の規模が大きいことから平成10年度から3カ年にわたる計画として、かつ、既存の施設の利用によるコストダウンを図るために、おおむね3センチサイズまでの種苗を生産する施設は県栽培漁業協会大船渡事業所内に、その後の放流サイズまでの育成施設については、御指摘あった海づくり大会が開催された大槌漁港用地に整備することとしておる。
 なお、施設の一部稼働により、平成12年にはヒラメ50万尾の種苗放流を見込んでいるところである。

〇長谷川委員 漁協の経営基盤もカットする。
 次に、水産食品におけるハセップ方式の導入への対応についてお伺いする。
 このハセップと呼ばれる新しい食品衛生、品質管理システムは、アメリカのアポロ計画の中で、宇宙食の安全性を高度に保証するシステムとして考案されたものであるが、PL法の施行やO−157による食中毒事件を契機に、最近、量販店を中心に消費者に販売する食品の安全性を確保するため、食品の製造業者に対して、この方式を取り入れた食品の製造管理を行うよう求める動きが強まっておる。本県の多様な水産物は、新鮮でおいしいがゆえに、素材の持ち味を生かした生鮮品や生食品としての出荷が多く、中でもイクラや一粒ガキなどは築地中央卸売市場においても高い評価を受けているところであるが、一方では、生鮮、生食品であるがゆえに商品には高い製造管理が求められており、このような食品を取り巻く情勢を見ると、早い時期にこれらイクラや一粒ガキにおいてもハセップによる製造管理が求められてくることが想定される。しかし、ハセップに対応していくためには、それ相応の施設整備が必要であるが、本県のような零細な水産加工業界にとっては過大な負担となってくるものと考えられる。
 そこでお伺いするが、県においては、水産食品におけるハセップ導入をどうとらえ、また、本県水産加工業にどのように対応しようと考えているのかお伺いをする。

〇吉永副知事 委員御指摘のとおり、ハセップ方式は、食品の安全性の確保と品質管理上の最良の手法とされており、既にアメリカやEU内においては水産食品を初めとして国産品に加え、輸入品においても義務づけられており、日本国内においても、量販店を中心に水産食品へのハセップ対応を取引条件にする動きが出てきているところである。本県の水産物はイクラやカキなど、生鮮品や生食品が多く御指摘のとおりであり、より安全性の確保が重要であり、他県に先んじた積極的なハセップ方式の導入によって県産水産物の差別化を図り、水産加工業の一層の振興に努めていきたいと考えている次第である。
 ハセップ方式の導入に当たっては、まず何よりも関係者の食品衛生に対する意識を改革し、主要水産物ごとにマニュアルを作成して啓発普及することが必要と考えておる。このため、平成10年度においては、ハセップ方式の導入を推進するため、生産、流通、加工等の関係者からなる協議会を設置するとともに、水産技術センターにおいては技術指導の充実強化を図ることといたしておる。また、ハセップ方式に対応した施設整備に当たっては、国や県による融資制度や施設整備等補助事業の活用によって支援していきたいと考えている次第である。

〇長谷川委員 次に、第23回全国菓子大博覧会における環境への配慮についてお伺いする。
 本県は、平成4年度に、釜石を主会場にして開催した三陸・海の博覧会などの大規模なイベントの開催を通じて、これまで地域文化の向上や地域産業の振興、そして交流人口の拡大などを図ってきたところである。来年度には、全国菓子大博覧会が4月24日から5月17日までの24日間の会期で、滝沢村の岩手産業文化センターにおいて盛大に開催されることになっており、その中では海外や全国のお菓子が集まり、さまざまなパビリオンで子供たちや女性を初め、訪れた多くの方々に楽しい夢のある企画が展開されるものと聞いておる。しかしながら、今までのこうした大規模なイベントの場合、大量のごみが会場にあふれる嫌いがある。
 昨年暮れ、京都で温暖化防止京都会議が開催されたが、この地球温暖化とも深くかかわるごみ問題の対応に配慮した、環境に優しいイベントの開催が今求められているのではないであろうか。ドイツやデンマークなどでは、法令による規制に基づき、ごみの総量を減量させるなど効果を上げておる。こうした法令のない我が国の現状では、対応にもおのずと限界があるとは思うが、私は、環境への優しい配慮は全県民の願いであると考えるのである。
 そこでお伺いするが、全国菓子大博覧会における環境に配慮した取り組みはどうなっているのであろうか、お聞かせを願う。

〇吉永副知事 平成10年度は、岩手県が環境共生社会の実現に向けてスタートを切る環境創造元年と位置づけられており、当博覧会はその年度最初のイベントということになる。そういう意味からも、委員御指摘のとおり、ごみ処理においても環境に配慮した問題のない対応ということが求められていると考える次第である。
 具体的には、まず、ごみの総量を抑制するためにごみを出さないように呼びかけていきたいと考えておる。来場者に対しては、ごみの持ち帰りを要請する。飲食関係から排出される生ごみについては、出展者持ち帰りとする。会場内に生ずるごみについては、可燃、不燃、リサイクル別に分別するよう行う。また、自動販売機などが設置されるわけであるけれども、そういった設置業者に対しては空き罐、空き瓶をそれぞれの責任において適切な処理をするよう要請する。また、出展者に対しては、お菓子であるけれども、そういった過剰包装の禁止、あるいは梱包資材の省力化、でん粉容器など省資源対策容器の活用など呼びかけていきたいと考えておる。その他いろいろと対策をやっていきたいと思う。
 なお、会場内のごみ箱あるいはベンチといったものの塗装においても有機溶剤を使用しないなど、低公害、省資源といったような観点から配慮しているところである。

〇長谷川委員 産業廃棄物問題についてもカットする。
 ただ、一つだけ要望しておくけれども、最終処分場の問題であるけれども、厚生省の調査によると、岩手県においても14カ所が不適合になっている。これ、やっぱり市町村をよく指導して、最終処分場問題を落ち着けていただきたいということをまず要望して、最後の質問に入る。
 公営企業会計の工業用水道についてお伺いをする。
 工業用水道は、工業集積の促進を図る重要な産業基盤の一つであり、本県の工業振興に大きな役割を果たしているところであるが、これまで経営環境は厳しいまま推移してきたところである。このため、企業局においては、一般会計の支援を得ながら経営の改善に取り組み、その結果、平成3年度に策定した経営健全化計画も順調に推移して、平成9年度においては、単年度収支で黒字に転じる見込みであると聞き及んでおる。しかしながら、工業用水道事業会計における累積赤字は12億円余も見込まれており、先行投資という面があるとは言っても、大量の未売水を抱える一方で、ダムにかかわる水源費の負担が増嵩することなどを考えると、今後、その解消を図っていくことはこれまで以上の努力が必要になると思っておる。最近の産業の動向を見ても、企業の海外進出など産業の空洞化が進む中にあって、仮に景気回復が実現したとしても、今後、大幅な水需要の拡大を見込むことは厳しいのが現状ではないかと思うのである。
 そこでお伺いするが、このような状況下にあって、当初の計画水量の見直しという点も含めて、工業用水道事業経営の今後の見通しについてどのようにお考えであろうか、お聞かせを願う。
 以上で、私の質問を終わる。

〇吉永副知事 県営工業用水道事業は、企業誘致を促進するための基盤として、本県の工業発展や雇用促進に大きな役割を果たしてきたところである。御指摘のとおり、多額の累積欠損金を抱え、自助努力による健全経営は極めて困難な状況にあったことから、平成3年度に自治省の経営健全化団体の指定を受け、水需要の拡大や一般会計からの繰り入れを得て、高利率企業債の繰り上げ償還を行うなど、経営健全化に向けて全力で取り組んできたところである。その結果、御指摘のとおり、平成9年度の最終予算では、単年度収支で約2、000万円の黒字を見込んでいるところである。しかしながら、累積欠損金は依然として9年度末で約12億8、000万円見込まれるところである。
 今後の収益収支の見通しとしては、ここから数年間は単年度の黒字を確保することはできると考えているわけであるが、第三北上中部工業用水道の水源となっておる早池峰ダムの工事完了後においては、このダムの負担金による企業債の支払い利息等が生ずることから、その影響の大きい間は黒字基調を維持していくことは難しい状況になると考えておる。
 工業用水道事業を安定的に経営していくためには、何といっても御指摘の未売水の解消、すなわち水需要の拡大が最も重要なことと考えられていることから、給水しておる既存企業への増量要請を行うことはもとより、現在、分譲が進められておる北上南部工業団地への用水型企業の誘致に積極的に取り組んで水需要の拡大を図り、累積欠損金を早期に解消するよう努力してまいりたいと考える次第である。

〇山内委員 それでは、自由民主党を代表し総括質疑をさせていただく。
 本定例会における一般質問、質疑でたびたび指摘されてまいったとおり、本県財政の状況は大変厳しい環境にあるわけである。この状況に対応して県は、これまでの答弁で、本県の中期財政見通しを策定し、将来の県財政を見据えた上で財政健全化の目標として、一つ、歳出規模の抑制、二つ、歳入に占める県債依存度の縮減、三つ、財政調整基金などの主要な3基金の残高確保を掲げた上で、平成10年度の当初予算を、改革を実行する予算と位置づけ、事務事業の評価システムの導入による歳出の縮減と合理化を図る一方、優先度、緊急度の高い施策の重点的な推進に努めたとしておる。恐らくは、この考え方がしばらくの間、県政運営の基本中の基本、いわば原理になるものと思われるので、このことについて幾つか伺ってまいりたいと存ずる。
 県は、重点施策を決定するに当たり、事務事業評価要綱及び要領の定めるところに従って、可能な限り指標を用いて客観的に事業の優先度、緊急度を決定するシステムを用いておる。この方法によれば、効率性は確保できると思うけれども、非公共事業等指標を用いることが困難な事業、効率性のみを追求できない行政分野や行政施策、例えば直ちに投資効果は期待できなくとも、今、投資することによって一定期間経過後には効果が期待できるといった事業が軽視されないような評価基準が大切であると思うのであるけれども、この点評価システムにおいてどのように配慮されているのかお示し願う。

〇千葉副知事 事務事業評価システムは、県の行財政システムを改革するための一つの方策として県独自に検討し導入することとしたものであるけれども、その目的は、事務事業を担当する職員が常にコスト意識を持ち、担当する事務事業について、これまでの実績にとらわれることなくゼロベースの視点から、可能な限り指標によって客観的に評価することにより、廃止、縮減が可能なものについてはこれを行い、一層推進すべきものはこれを行おうとするものである。
 評価のもととなる指標化に当たっては、評価するにふさわしいものを複数選択し、事務事業の実施の効果や全国水準との対比などについて時系列的に比較するほか、指標化が難しいものについては事務事業評価基準等により行うこととしておる。例えば時代の要請に的確な対応をなし得ているか、住民ニーズや特定地域とのかかわりなどの項目について検討を行うこととしているものである。
 このように、事務事業のすべてについて指標のみによって評価することは不可能であると考えており、指標はあくまでも評価のための参考として用いて、指標以外の要素も総合的に勘案した上で部局としての評価を行うこととしているものである。また、公共事業等の投資的経費の評価に当たっては、投資の効率性に加え、必要性、重要性、緊急性、及び事業の実施の熟度等を評価の項目に加え、これらを全体として評価するシステムとしているところである。

〇山内委員 評価要領を私も拝見させていただいた。指標にかわる評価方法の導入をすると、こういうことであり、例えば県北・沿岸地域等の状況、住民ニーズ等の状況、こういったものも指標にかわるものとして用いていくんだと、取り入れていくんだと、こういったことである。ぜひとも、一つの指標にのみとらわれないで、例えば熟度と今言われたわけであるが、熟度というと地域的な多分恐らくは偏在化というのが出てくるのだろうと私は思う、それのみとらえれば。幅広い判断をひとつお願いを申し上げておきたい、このように思う。
 次に伺う。
 その事務事業評価要綱を見ると、事業の評価は3年に1度実施するが、総務部長が特に個別に評価の条件を付した事業については、当該条件に沿った年度にも行うとなっておる。
 そこで第1点、総務部長が特に個別に評価の条件を付する場合、どういった場合であるのか。また、付される条件とはどのようなものであるのか知らせてもらいたい。
 第2点であるが、また3年に1度評価するということであるけれども、新しい制度の運用初年度ということであり、そういった運用初年度というものは必ずといっていいほど反省点というものが常に発生してくるのだろうと、こう思う。評価システムが定着する間、不断の評価が必要ではないかと思うけれども、御所見を伺いたいと思う。

〇大隅総務部長 県が行う事務事業は、一たん予算化され事業化された場合、翌年度以降継続事業ということで、その都度十分な見直しを行われないという場合が往々にしてある。したがって、これまでそういうことを防ぐためにも事務事業の終期設定、いわゆるサンセット方式を導入し、3年とかあるいは5年とかという区切りで見直すということにしてきておるものである。今年度から、新たに導入した事務事業評価システム、これは各それぞれの事業部がみずから評価をするというシステムである。県の事業には環境、福祉、農林水産あるいは土木、教育等もあるし、非常に多様な部門にわたっておる。また、法令等により実施しなければならない事業あるいは国庫補助など、さまざまな性格を持っておる。
 このような中にあって、一律に3年ということで見直すということは必ずしも適当でないと考えており、例えば近々国の制度の改正が見込まれるもの、あるいは補助金や貸付金などでどの程度の需要があるかということを見きわめなければならぬという新規のものもあるわけであるので、こうしたことは3年と言わずに翌年なりあるいは2年後に見直すということが必要だと考えており、そうしたものを新規の査定の際に条件をつけておき、また、明年度見直してもらいたいというものを付するというものである。このシステムは本県が独自に検討し考えたものであるが、今後、問題はこれからいいシステムになるように検討を加えていく必要があると思っており、弾力的な対応をしなければならないと考えておる。
 評価システムを導入した結果、総体としてはその成果は得られているとは思っておるけれども、長期にわたり継続した事業について原点に立ち返って検討するという意味は大変効果的であったと思うけれども、まだまだ指標の選択あるいは様式等さまざま改善すべき点がある。これらは今後十分検討を加え、より一層効果のあるものにしていきたいと考えておる。

〇山内委員 ぜひ、今御答弁にあったとおり、弾力的な運用というものに常に心がけていただきたいと思う。また、今回の評価作業というのは予算編成と同時並行的に行われたと伺っており、事務当局、大変な御苦労をされたとも伺っておる。評価作業の時期等に工夫をされながら不断の見直しが行われるように、私からも強く求めておきたいと思う。
 次に伺う。
 三重県の行財政改革が注目をされているわけである。節減された事業費の一定割合を、各事業部に割り当てるといった制度をとっておられると。それから、補助金の交付先決定に際し競争入札制度を導入すると。それから、事業の横断的な立案を行う総合企画局等、評価を行う総務局の設置を柱とする機構改革。さらには、どのような理由により事業が予算化されるに至ったのかを記載した目的評価表の全面開示などなど、旧弊にとらわれない改革案を打ち出しておられる。私は、この三重県の打ち出したこれらの改革を高く評価しているものであるけれども、県当局は、三重県のこれら一連の行政改革の動きをどう評価しているのであろうか、御所見を伺う。
 特にも、意思形成過程を明らかにすることの是非論から、今日まで全面開示されることのなかった目的評価表、これは三重県のものであるが、これの公開は県政の透明度、県民の県政への参加意識の高揚といった観点から大いに学ぶべきものがあると思うけれども、本県の評価システムの中の例えば事業評価調書、施策評価表等の公開についてどのようにお考えになっているのか、あわせてお知らせをいただきたいと思う。

〇千葉副知事 三重県の行政改革というか、それの評価ということであるけれども、三重県の行政改革は住民の満足度の向上そして生活者の視点と、この二つを改革の理念として掲げているようである。そしてこの考え方に立って、分権・自立型、公開・参画型、そして簡素・効率型のシステムを目指すと、こういうのが三重県の行政改革の主たる内容のもののようである。今、申し上げたことは本県における現行の行財政システムを生活者主権、地域主権の視点に立ったものに改善していく際に参考となるものであり、三重県の行政改革というものについては注目しているものである。
 なお、県の行政改革の一環として、他県との職員との交流を挙げておるけれども、平成10年度に三重県に職員を1名派遣して三重県の行財政改革について研究させることにいたしておる。
 それから、評価調書等の公表についてであるけれども、事務事業評価はあくまでも予算編成のための参考として作成したものである。したがって、内部の意思決定のための資料の域を出ていないものである。また、調書が公開され、廃止・縮減事業のすべてが公表されることになった場合に、公開された後の外部との対応等を考慮すると、各部局の判断に少なからぬ影響を与えることが予想されるところである。来年度以降のシステム本来の目的が損なわれる可能性が高いところから、調書については公開することは考えていないところである。
 なお、他県の事例については事務事業の評価システムの導入が多くの県で試みられてきているところから、本県のシステムがよりよいものになるよう、今後、研究を重ねていきたいと考えておる。

〇山内委員 1名を三重県の方に交流派遣ということであるが、1名と言わずに5名、10名とどん欲に学ぶべきは学んでほしいと、こう思う。
 また、調書についてはということでのお話があった。これは公表するお考えはないと、こういうことである。ただ、私は、意思形成過程を明らかにしていくことの大切さというのは先ほど申し上げたとおりであるので、この調書に限るということではないけれども、そういった工夫というものも進めるべきではないのかと、このように思う。
 次に、財政問題についてお伺いをする。
 予算に関する説明書の中の地方債現在高調書を見ると、平成10年度末の現在高見込み額は、10年度当初予算額の8、435億円余をはるかに超えて1兆27億9、900万円余となっておる。県が本年2月に示した中期財政見通しによると、年度末残高は、平成11年度が1兆465億円、12年度が1兆684億円、13年度1兆718億円、14年度が1兆576億円となっておるし、また、他の指標、先ほど議論があったところであるけれども、経常収支比率、公債費比率等の見通しに照らし合わせてみても大変厳しいものがある。
 県債残高には、一つには、平成4年度以降の国の経済対策等に伴っての地方負担額の財源とされたもの、それから二つ目には、6年度以降の地方財源不足に対処するための臨時的なもの等が含まれており、これらはその償還が後年度、地方交付税で措置されるいわば優良起債であって、これを除いた純県負担額はおおむね5割程度である旨これまでも御説明をいただいているところでもあるけれども、平成14年までの純県負担額の見通しはどうなっているのかについてまずお示しをいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 公債費のうち、純県負担額についてであるけれども、県債のうち、元利償還金に対して後年度に交付税算入されるものは、地方公共団体が自主的な判断のもとに行う地方単独事業を中心に、例えばふるさとづくり事業や緊急防災基盤整備事業、ふるさと農道・林道緊急整備事業などかなりのメニューに上っており、交付税算入率も20%台から50%台と多種となっておる。また、減税に伴う減収額を補てんする減税補てん債や国の補助率カット分を補てんする臨時財政特例債のような交付税算入額が100%というものもある。県においては、県債の導入に当たっては、優先的に有利な県債を活用するという方針としておるが、11年度以降、今御質問にあった交付税に算入される額を除いた純県負担額、試算をしたところでは平成11年度は441億円、平成12年度491億円、平成13年度554億円、平成14年度596億円と、各年度の公債総額の約44%程度と、こう推計しておる。

〇山内委員 5割程度、44%という前後というお答えがあった。なお、優良起債の導入について御努力をいただきたいと、このように思う。
 ところで、私の雑駁な解釈で大変恐縮であるけれども、基準財政需要額と収入額の差を埋めるものが地方交付税であって、なお、そこから不足が生じたとき、これを埋めるのが後年度交付税措置のある財源対策債であると理解をしているところである。そうなると、財源対策債等後年度交付税措置される起債が増加することにより交付税額が増加されなければならないと、こういうことになろうかと思う。実際、中期財政見通しでも、11年度以降の各年度において地方交付税は11年度が5・6%、12年度が4・4%、13年度が3・8%、14年度が3・4%のそれぞれの伸びを見通しているようであるけれども、財源対策債発行に起因する交付税額が占める割合はどのように推移していくのであろうか、お示しをいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 財源対策債は地方の財源不足額を補てんするために発行されておる建設地方債であるが、御案内のとおり、平成6年度以降大幅に発行額がふえておる。この財源対策債の元利償還については、その80%から100%が交付税措置されるということであり、毎年度、地方交付税の基準財政需要額に所要額が算入されておる。本県においては、平成10年度に約50億円、平成14年度には約160億円と算入が見込まれることから、基準財政需要額に占める割合もここは1・4から3・9まで上昇するという見込みがなされるところである。したがって、基準財政需要額の総額についても、財源対策債以外の交付税算入される公債費の伸びや経常経費の伸びなどとあわせて、平成11年度以降3・6%、3・7%、3・4%、2・9%と、それぞれの伸びを見込んでおるところである。

〇山内委員 次に移る。
 県債残高は増加するものの、年度年度の発行額は逓減される見通しのようである。平成10年度と14年度の発行額の差は454億円の減少というか縮減になっていると、こういうことである。その発行額減少幅の多くは、財源対策債の発行の減少分238億円であり、財源対策債以外は依然として高い水準で発行されるようである。このことは、後年度交付税措置のないものが多く残るという、逆に言えばそういうことになろうかと思う。財政運営上の懸念なしかどうかと、この辺についての感想を聞かせてもらいたい。

〇大隅総務部長 今後の県債発行についてであるけれども、国においては財政構造改革の当面の目標として、平成15年度までに赤字国債の発行をゼロとし、地方財政についても平成15年度までに財源対策債の発行をゼロとするなどの改革を進めることとしておる。このため、本県の中期財政見通しにおいても同様の考え方に立って、財源対策債の発行を順次逓減するという推計をしているものである。
 一方、歳出の投資的経費の推計においては、3県総の主要プロジェクトなど現時点で予測できる要素を盛り込んでおる。そしてこれらの財源としては、現行制度を前提として、地域総合整備事業債など後年度に交付税措置があるもの、そういう有利な県債をできるだけ活用するような考え方で算定をいたしておる。
 御懸念のいただいたような点については、十分配慮して今後の財政健全化の目標としておる財源対策債以外の県債の抑制、これを図りながら、しかし一方で県債の導入も必要であるので、優良な県債の選択的導入、活用を図って、健全財政の確保に努めてまいりたいと思っておる。

〇山内委員 中期見通しによる県債依存度の変化、平成10年度が14・4%、平成11年度が13・4%、平成12年度が12・0%、平成13年度が11・3%となっており、3・1ポイント低下することになる。一方、財源対策債を除いた県債依存度は、平成10年度が10・9%、11年度が10・7%、目標年度である12年度が9・9%、10%をここで割るわけであるが、その後13年度、14年度やはり9・9、9・8ということで1・1ポイントの低下にとどまる見通しとなっておる。このことからのみ判断をすればであるけれども、後年度において交付税で措置されるものが逓減する、こう判断されるわけであり、一層の工夫をお願い申し上げておきたいと、このように思う。
 ところで、平成10年度当初予算を見ると、地方交付税の伸び率は1・3%である。後年度の伸び率と比較した場合、大きなものとはなっていない。このことは、基準財政需要額の増減と基準財政収入額の増減が1・3%の差でほぼ見合っていると、こういうことであるが、これは需要額が抑えられたことによるものなのか、収入額が伸びたことによるものなのか、どのように判断をすればよろしいのであろう、お示しいただきたい。

〇大隅総務部長 本県の当初予算における地方交付税の伸び、これは1・3%である。低率になっておる。これは基準財政収入額にあっては、地方消費税以外の税収の伸びが見込めないという状況にある。しかしながら、地方消費税については平年度化もされるということであり、大幅な伸びが見込まれるということで、結果として全体で1・1%の増と見込まれるものである。
 一方、基準財政需要額の方は、県債の元利償還に対する交付税算入が増加するけれども、公共事業の抑制等に伴って需要に算入される投資的経費、これは減少するということがある。基準財政需要額自体の伸びが結局それほど多く見込めないということで1・1%であるとかあるいは予算の方では1・3%と、結果的に予算額別では1・3%となっておる。
 なお、地財では2・3%となっておるが、いずれ本県の実態に合わせた実績値等からの推計をしこのような数字になっているということであり、両面あるかと思う。

〇山内委員 次に、基準財政収入額の算定基礎となる県税収入の伸びは、対前年度比、先ほども説明があったとおり0・1%であり、ほとんど伸びておらない。これでは、公債費の償還財源として県債管理基金からの取り崩しに依存せざるを得ないのではないかと思うけれども、主要3基金の約3分の2を占める県債管理基金残高の確保にどのような配慮がなされているのかお知らせいただきたい。あわせて、中期見通しにおける県債管理基金の残高の推移について、どのように見通しておられるのかお聞かせをいただきたいと思う。
 また、中期財政見通しによると、県債の年度末現在高は平成13年度をピークに減少に転じると、これは御答弁にもあった。そのようであるけれども、公債費は見通しの最終年度の14年度でも依然右肩上がりである。現時点での見込みとして、公債費のピークはいつか。また、その時点での公債費の額並びに公債費比率は何%になるものと見ておられるのかお示しをいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 財政の健全性を確保するためには、単年度のみならず、将来の財政需要をも考慮に入れた長期的な視野に立った財政運営を行うことが必要である。そのため、財政調整基金などの基金を設置して毎年度の需要や財政状況を勘案しながら、それぞれの設置目的に沿った取り崩しあるいは積み立てを行っているわけである。その中で、県債管理基金は県債の償還に必要な財源をあらかじめ確保して、県債償還の適正な管理を行うことにより財政の健全性を確保するためのものである。県債管理基金は、平成10年度に150億円取り崩すことといたしておる。そして、10年度末の残高は661億円程度になると見込んでおる。
 行財政システム改革指針では、財政健全化の目標の一つとして、平成12年度末における主要3基金の合計残高を700億円以上確保するとしておる。このうち県債管理基金については、過去に償還費が交付税措置されているものがある。平成13年度以降のその償還財源として留保しておくべき額、これが計算上約210億円ということに算出されるので、今後の公債費の増嵩に備えてその倍、450億円程度、これは確保したいということで目標を定めたものである。また、中期財政見通しにおいては、平成13年度以降、県債管理基金を含めて大幅な基金の取り崩しは行わないと推計しておるものである。
 それから、今後の公債費であるが、中期財政見通しにおいては公債費は平成14年度まで毎年増加をし続け、公債費比率も20%程度まで上昇すると、このように見込んでおる。平成15年度以降の推計は行っておらないけれども、いずれこの方針で起債をセーブしてまいるので、平成14年度以降は今回の見通しにおいては県債発行の抑制に伴って残高は減少していくと、ふえることはないと見込んでおり、公債費比率もしたがって改善されていくものだと考えているところである。

〇山内委員 わかった。14年度までしか見通していないまさに中期見通し、そこまでしか計算をしていないと、こういうお答えであるが、私も感想を申し上げれば、なお右肩上がりでという感が否めない。本当に大変な環境であるので、これまた御努力をお願いしたいと思う。
 さて、そうは言いながらも、こういった厳しい財政状況の中にあっても、今後の県の総合計画に基づく施策の推進に支障が生ずることがないように努力してまいると、こういった答弁がたびたびなされる。しかし一方では、施策の重点化と事業コストの縮減、大規模施設の建設抑制や建設時期の調整、県、市町村、民間等の役割分担の明確化等により云々とされており、当局の苦衷というのがしのばれるわけである。
 そこで伺うけれども、この大規模施設の建設抑制、建設時期の調整の対象となる事業とはどういったものが挙げられるであろうか。格差拡大につながるようなことがあってはならないと、こういう思いからあえてお伺いをする。

〇大隅総務部長 昨年10月に策定した行財政システム改革指針においては、財政運営面の改善方策として、事務事業評価システムの導入や横断的な課題への全庁的な取り組みなどとともに、大規模県立施設の建設抑制についても項目として掲げておるところである。平成10年度の予算編成における具体的な事例としては、これは単独であるけれども、職員公舎の建設あるいは職員の研修施設である自治研修所の整備、これなど直接的に県民サービスに影響が及ばない事業については繰り延べることとしたところである。今後においては、現在策定中の新しい総合計画におけるプロジェクト等を勘案しながら、大規模施設整備についても、施設の必要性やあるいは施設の規模を十分吟味するとともに年度間の平準化を図るなど、毎年度の予算編成を通じて個別に検討してまいりたいと考えておる。
 なお、公共事業の配分等については、県土の均衡ある発展に十分配意しながらこれを行ってまいりたいと存じておる。

〇山内委員 例えば100億円かかる長大橋1個建設をすると、あるいは1億円の生活道路にかかる橋を100個建設すると、こういった場合に大変悩まれるのだろうと思う。こういったところにも十分意を用いて県政執行に当たっていただきたい、このように思う。
 また、県政が県内格差解消の方向にあるかどうかについて、一つ一つ本来であれば具体的施策をもって検証されなければならないと、こう思うけれども、時間が限られておるので全般にわたってただすことができない。概括的に1点お伺いをしたいと思う。それは、森林保全対策の推進についてである。
 まず、森林保全対策のこの推進であるけれども、平成10年度の地方財政計画を拝見すると、歳入歳出規模は87兆964億円であり、これまた御説明があったとおり、対前年度比0・0%の厳しい抑制基調にあるわけである。その中で農林漁村地域が果たしている国土保全のための多面的な役割の重要性にかんがみ、地方団体が国土保全対策を総合的に推進する経費に対し、新たに地方財政措置が講じられることとなる。具体的に申し上げると、農地、森林が果たしている国土保全機能を守るための各種事業、例えば小規模農地や耕作放棄地の整備、公益的機能の維持増進のための森林の整備などのハード事業に約1、500億円、それから農地、耕作放棄地や森林の管理対策の充実であるとか、Uターン・Iターン者の受け入れ対策などを行うソフト事業に約600億円、合計約2、100億円が地財計画に計上されているところである。それぞれの財源措置については、ハード事業についてはその元利償還額の一定割合が地方交付税で算入される起債が制度化されるし、ソフト事業については本県分が50億円、市町村分550億円として地方交付税に算入されるやに聞いておる。
 私は、この国土保全を前面に打ち出したこの支援措置を高く評価するとともに、事業主体となる市町村の積極的な取り組みに大きな期待を抱いておる。特にも、国土保全対策の契機となった森林保全、森林管理対策については、とりわけソフト事業について各市町村がそれぞれ創意と工夫を凝らして取り組んでいく必要があると考えるけれども、県当局はどのように市町村を指導されるおつもりなのか御所見を伺いたいと思う。

〇吉永副知事 御案内のとおり、国においては、平成10年度の森林、山村にかかわる地方財政措置に従来からの森林、山村対策に加えて、国土保全の観点から、市町村による間伐を中心とした森林の保全整備にかかわるソフト事業に、全国で550億円程度の財政支援をする国土保全対策を制度化することとしたものである。この制度は、国土保全のための森林の保全整備事業を、市町村がみずからの創意工夫により実施できるよう普通交付税で財政措置するものである。本県の各市町村にも多額の交付税が交付されることから、これを十分活用することにより、各市町村においては森林の保全整備にかかわるもろもろの対策を充実することができるものである。これは委員御指摘のとおり、普通交付税であるのでよく市町村を指導してやらないと、所期の目的に使われるかどうかわからないという確かな問題がある。これは委員がよく御指摘になったとおりである。
 本県の森林資源はいまだ育成途上にあり、適正な間伐等の実施により、健全な森林を育成することが国土保全対策の観点から喫緊の課題となっていることから、この地方財政措置を使って、市町村が従来予算上の問題等から十分に取り組めなかった間伐等の森林整備の推進に重要な役割を果たすことが期待されているところである。このため、県は、間伐関係の国庫補助事業では助成対象とはならないが、間伐の推進上必要な間伐材の搬出、運搬に対する助成事業あるいは農山、漁村の高齢者や女性の林業活動を支援する高齢者等生きがい対策事業、さらには若手の林業後継者の定着や活動を支援する担い手対策事業など、森林の保全整備に必要な事業をメニューとした事業内容の一覧表を作成いたして、市町村がこの国土保全対策のソフト事業にかかわる単独事業の創設に当たっては参考となるよう、既に通知しているところである。
 今後とも、この地方財政措置の趣旨が損なわれることのないよう、各市町村が地域の特色を生かしながら、みずからが創意と工夫を凝らした事業が創設され、間伐等の森林整備による国土保全対策が促進されるよう、強く指導してまいりたいと考えている次第である。

〇山内委員 他にも質問を用意しておったのであるけれども、先ほど申し上げたとおり時間の制約上割愛をする。
 次の問題に入る。
 食糧費不適正支出問題について伺う。
 議会より選出された監査委員としての立場もあり、この問題に触れることの是非をみずからに問うてきたのであるけれども、今後、適正執行が確保されてほしいとの思いからあえて触れたいと存ずる。
 不適正支出とは、事務手続上における疵があった場合を指すと思うのであるけれども、これは事務手続の改善により解決し得る部分である。より重要な問題は、今回の食糧費執行状況調査により、法に抵触するような不正支出と思われるものはなかったと判断しているかどうかである。個人の利益のためになされたものは厳しく対処すべきと考えるがいかがであろう、お伺いする。

〇大隅総務部長 今回の食糧費問題について調査の結果であるけれども、不適正支出とされるものについて、これはいずれも請求書等の支払い関係書類が保存をされており、支払いの事実は確認をされているところである。これは二次会の経費あるいは食糧費の単価を超過した分の支払いの処理や、あるいは本庁と出先機関の情報交換のための内部懇談による支払いの処理等について、安易に前例を踏襲したりあるいは業務の延長と認識して行われていたことなどが認められ適正を欠くものである。しかし、職員が故意にみずからの利益を図るために行ったという事例は認められなかったところである。

〇山内委員 認められなかったと、こういった言葉遣いに苦悩が感じられる。
 次に移る。
 不正な支出の有無と同様に重要なことは、事務手続の改善によってもなし得ない問題、言いかえれば、構造的な問題にどう踏み込むかである。
 伊沢議員は一般質問で、制度疲労から来るものでもある旨指摘しておられたけれども、私も同様の思いを一部持っておる。実態からかけ離れた旅費や超過勤務手当、さらには交際費の抑制等も不適正支出の遠因となっているのではないかと思うのである。
 ちなみに、国体開催年であった昭和45年の当初予算額は、以下、概数で申し上げるが822億円である。交際費は1、880万円余となっており、その比率は0・023%である。
 ちなみに、私が議員となった昭和58年度は、当初予算額4、252億円余、交際費は2、542万円余−−この交際費は交わるの交際費である。そして比率は0・006%。そして平成10年度は当初予算額、これは御承知であるから割愛をするが、交際費は合算で2、853万円となっており、構成比は0・003%まで下がっておる。
 昭和45年当時と現在とでは交際費そのものの持つ性格も県民の抱くイメージも大きく変わっているであろうから、私もふやせばいいといったような単純な議論をするつもりはない。ただ、知事はその演述の中で、県行政を岩手県株式会社に例えておられるけれども、企業であれば当然、企業活動推進のため経費、その中には対人費用も含まれるが、そのようなものが必要となる。政策決定過程における対人費用といったものをいつまでも鬼っこ扱いせずに、正面から論ずるべきではないであろうか。構造的問題に関する所感をあわせお示しいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 まず、対人費用というお話があったわけであるが、地方公共団体が取り扱う公金、これは地方自治法の財務に関する規程など、法令の定めるところにのっとって、公正を旨として適正な予算措置及びその執行を図ることとされておるところである。県の科目としては交際費であるが、地方公共団体の長やその他の執行機関が行政執行上、あるいは当該団体の利益のために当該団体を代表して外部とその交渉をするために要する経費である。その執行の範囲及び額については必要最小限にとどめるべきものとされているところである。このようなことから、本県においてはこれまで過去の実績等を勘案しながら、必要最小限の経費を予算措置してきているところであるが、今後においてもさらに精査を行い、真に必要な経費については相応の措置がなされるよう努める必要があると考えておる。
 なおまた、構造的な問題ということについてのお話があったけれども、今回の食糧費の執行に係る不適正な処理の反省点の一つに、食糧費の執行に係る詳細な事務処理の方針や基準等が存在しなかったという点がある。このことが結局、各部局独自の判断による処理を可能として、結果として不適正な処理につながったと考えておる。昨年9月に食糧費執行要領を制定して、その方針やあるいは手続等を明確にしたところであって、今後その適切な執行に努めてまいる考えであるが、例えば旅費などにおいても一部の不適切な事務の執行があった。これは旅費の支給事務の処理過程において、制度本来の趣旨に沿った適切な運用がなされていなかったことがあった。そういうことも踏まえて、いずれ諸制度は委員おっしゃるように不断に見直しを行って、その時々の実態に適合させていくことが必要だと思っておる。今後においても実態をよく把握をして、改善すべき点があれば改めるなど、適切かつ円滑な業務執行を行ってまいりたいと存じておる。

〇山内委員 お答えをいただいたけれども、構造的な問題というのはこれは機構的な問題という意味で私は用いたのではないわけである。要するに、そうしなくてもよかったのにやってしまったというものと、そうせざるを得なくてやってしまったと、これは明らかに本質が違ってくると思う。私の言葉足らずになるかもしれないけれども、意は通じるはずである。今後ともぜひ検討をしていただきたいと思う。
 そして、さらに伺うのは、今回不適正とされた支出の返還について、給料の特別調整額の支給を受けている管理職としたと、このように答弁があった。知事等について別途どのように対応されるおつもりなのか、御所見を伺いたいと思う。

〇千葉副知事 食糧費の不適正支出に係る返還については、職員で構成する食糧費返還会を組織したところである。会長は私であるけれども、この団体が、不適正な支出と判断された額に、法定利息相当額を付して一括県に返還することとしておる。この返還は、私以下、給料の特別調整額の支給を受けている管理職までの協力を得ながら行うこととしておる。
 なお、知事については、公職選挙法の制約によって、一切の寄附が禁止されているところである。したがって、この食糧費返還会への協力などはできないものである。

〇山内委員 そういった法に抵触するために一切の寄附はできないと、こういった解釈は正しかろうと私も思う。ただ、しかし、他の方法によってなし得るのではないのかと、こう思う。平成7年度、これは私どもの統一地方選挙を終わって知事も就任をされた以降、7年、8年とかかわっているわけである。条例、これは略称であるけれども特別職の給与等に関する条例、これらの改正によって減俸処分にした例が過去にもあるわけであるけれども、そういったことについても一切お考えないと、こういうことであろうか。

〇千葉副知事 ただいまの御指摘の点については、別途検討しておる。

〇山内委員 別途考えていただきたいと思う。
 次に、特別職の指定に関する条例は地方公務員法第3条第3項第4号の規定に基づき、次に掲げる職の専任の秘書1人の職を特別職として指定する。一つ、知事の職、二つ、議会の議長の職と規定しておる。このことについて2点伺う。
 この条例に基づき、現在、知事は、言うところの政務秘書を配置しておる。質問の一つであるが、この政務秘書の職務は何か。
 二つ、直接の上司たる知事の命に基づかない行動は制度上あり得るのか。言いかえると、政務秘書の行動は、知事の命、意向を受けたものに限られると思うのであるけれども、そうではない行動が許され得るのかということである。
 以上、御見解を賜りたい。
 第2点、昨年12月の決算総括質疑において、佐藤正春委員が議会の機能強化についてただしたところ、千葉副知事は、議会事務局職員の役割は極めて重要との認識を示した上で、これまで行ってきた共同研修をさらに充実し、相互の人事交流を一層推進するなど、事務局の機能強化について支援強化してまいりたいと答弁されておる。平成10年度からは調査主査4名を配置するとも伺っているところであるが、そこで、次の3点についてお伺いをする。
 一つ、平成10年度当初予算では、さきの答弁を踏まえて、どのように配慮されたのか。
 また、同様に、増員配置などについて佐藤委員は求めているわけであるが、10年度の組織体制の整備の考え方はどうか。主査の配置のみにとどまるのかと、こういうことである。
 議長の政務秘書の配置について、どう判断をされるのか。
 この3点である。

〇千葉副知事 政務秘書の職務についてであるけれども、知事は、地方公共団体の長として行政事務をつかさどるほか、一般職と異なって公選による職であることから、政治的な行動を行う場合があるわけである。このような政治的な行動にかかわる秘書業務や行政事務と政務との調整など、一般職の秘書に対応させることが適当でない業務への対応がその職務であると考えておる。
 また、知事の命に基づかない行動については、一般職については、地方自治法第173条に、吏員は、上司の命を受け、事務を掌ると、こういう規定があるわけであるけれども、特別職の職員については、制度上このような特段の定めはないものとなっておる。
 次に、議会の機能強化についてであるけれども、平成10年度においては、政策立案能力や法制能力などの育成に関する研修を強化することとしておる。これらのことについての共同研修を実施するということにしておる。それから、県議会の調査機能の強化に資するため、議会事務局が行う各種情報の収集検索活動の情報化の推進に関する事業が、平成10年度当初予算に計上されているものである。
 それから、職員の増員配置等の組織体制の関係であるけれども、議決機関たる議会と執行機関たる長とは対等の関係である。法に定められた権限の行使を初め、職員の配置などの内部管理事務を含めて、議会当局が自主的に機能が発揮されるべきものと考えているところである。したがって、県議会事務局の組織体制の整備についても、その意向を尊重しながら可能な限りこれまでも支援してまいったし、今後も支援してまいりたいと考えておる。なお、平成10年度においては議会事務局の調整スタッフ機能の充実強化を図るため、一部内部組織の見直しを行ったと聞いているところである。
 それから、議長の政務秘書の配置の関係についてであるけれども、この議長の政務秘書の関係については、県議会サイドにおいて検討されるべきものと考える。

〇山内委員 議会事務局の機能強化については、これからもさらなる理解を賜るようにお願いを申し上げたいと思う。
 それから、政務秘書についてであるけれども、これは逆に言えば命を受けなくても行動し得ると、独自の行動がみずからの判断でし得ると、こういうことの意味でよろしいわけであるか、確認のために伺う。

〇千葉副知事 政務秘書の任用は知事と政務秘書の信頼関係に基づいているものである。したがって、その職務の遂行については、おのずとその信頼関係の枠の中で行われているものと考えておる。

〇佐藤(正)委員 関連。政務秘書について。
 昨年12月29日付県内紙の囲み欄、風土計、これは非常に権威のあるところであって、この中に、中村知事や工藤知事に比べるとまだ重量感がないし、最近は知事のトップダウンが強まり、事務レベルでは消化不良を起こしている。知事を気遣いすぎる周囲の姿勢もちょっと鼻につくことがあると、こう論じているのである。私は、知事を気遣うより、ごまをする部長とか、あるいは知事の足を引っ張っている秘書という話はよく耳にするわけであるが、これでは真意というものは知事に入らないはずである。こういうことであっては。そこで、知事はやむを得ずトップダウンという手段をとらざるを得ないのではないであろうか。その仲介役である副知事、あなたの御所見と、また総務部長の御所見もあわせてお伺いする。

〇千葉副知事 政策決定についての知事からのトップダウンが強いのではないかという、こういう御指摘であるけれども、増田知事になってから政策決定の手法で大きく変わったものに二つあろうかと思う。一つは、政策を決定する場、庁議のほかに政策会議という一つの会議があるわけである。これは県政を遂行する上での重要な案件について協議する場であるけれども、かつての政策会議というのは三役と関係部長だけの政策会議であった。現在の知事になってからの政策会議というのは、庁議メンバー全部でもって構成し、横断的にいろんなものについての協議、検討がなされるというような手法がとられることになった。したがって、従前のような関係部局だけが承知しているというような内容のものでなくて、県政の重要な課題については全庁各部局にわたって内容が周知されるような、そういう状況になったと考えておる。
 それから、もう一つは、各部局について知事が先頭となっていろんな事業のヒアリングを行っておる。これは総務部以下、教育委員会も含めていろんな各事業のヒアリングを行っておる。それは各部局長以下、関係課長というか、その課長全部が参加して、知事に対して各部局が持っている懸案事項等について説明する、あるいは重要課題について説明する、それについて知事がいろんな意見を申し述べると、こういうようなシステムを今、採用しておる。したがって、それらについては極めて民主的な形でもって政策が決定されていると言ってもよろしいかと思う。したがって、今いろいろな御指摘を受けたわけであるけれども、むしろ以前にも増して全庁挙げて政策を決定される、そういう体制がとられているということを申し上げたいと思う。

〇佐藤(正)委員 大変いいことだと思うのである。ただ、この風土計というのは非常に増田県政に好意的なのである。好意的にもかかわらずこういうことが出ているということは、かなりやはり内部でいろんな問題があるのではなかろうかと、私は想像するのである。その一つは、やはり県民の声−−県民の声ということは議員の声、あるいは陳情団の声、そういうものを遮断する人がいるのではないか。例えば、今申し上げた政務秘書、実はここに私に投書が2通来ている。いずれも庁内の県職員の声、あるいはいわてを浄化する県民の会であると、2通来ている。内部のこの人たちはこれはかなり詳しいのである。こういう内容を見ると、佐々木順一秘書なるものが真意を知事に伝えず裸の王様にしていると、こういうことなのである。内部で一生懸命やっているのだけれども、それを遮断している人がいる。この秘書についてはかつて私は3年前、トラの威をかる秘書、これはかつて自民党の岩手県連の下級職員にいた。私はよく知っている。この佐々木なる秘書が、県内首長の知事陳情に対して、自分の気に入らない県議の同行する陳情団を後回しにしたりということを、実例を挙げて注意を促してきた。しかるに、いまだに公私混同して当たり前。いやしくも、ある県議会議員−−現在おられる−−某県議会議員に対して特定政党に入党を迫った。知事の影をちらつかせながら、おれは知事の秘書だよということでしつこく迫った。
 また、仄聞するところによると、みずからも知事秘書の看板をもって来年4月の県議選には石鳥谷から出馬するとか、このような状況を知ってて秘書として重用しているのかどうか。私は知事室へ行ったことはないが、非常に敬愛する知事のためにも、県民のためにも直訴せざるを得ない、こうなってくると。どうであるか、その点について。もう一度お答え願う。

〇千葉副知事 ただいまの委員が御指摘あったような事項については、私は具体的に承知しておらない。
 なお、先ほど来、知事の方にいろんな意見がいかないのではないかという御指摘があったけれども、私の職務の一番重要なことの一つとして、職員と知事との距離感をなくすというか、それが一番重要な仕事であろうと考えておる。もし職員と知事との温度差等があるのであれば、私の努力の足りないところであると考えておる。今後も留意して頑張ってまいりたいと思う。

〇佐藤(正)委員 議事進行について。今、私の質問に対して、こういう事項があったということは、副知事は承知していないと言うのである。これではやはり私も敬愛する知事に対して直訴せざるを得ない、これは。田中正造の気持ちだ、今では。知事を呼んでもらいたい、ひとつ。だめである、これでは。直訴しておく。

〇折居委員長 この会場に……、今であるか。(佐藤(正)委員「来て申し上げなければだめだ。副知事は承知していないと言うのだから。こんなでは県議会議員に対して、いやしくも某政党に勧誘をしたり、おれは知事の秘書だと、次は石鳥谷から県議会議員に出るなんて……。」と呼ぶ)

〇折居委員長 それでは……、議事進行……。(佐藤(正)委員「私の方が議事進行かけている。」と呼ぶ)ただいまの件について世話人会を開くので、暫時休憩させていただきたいと思うが、よろしいか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 暫時休憩する。
   午後2時21分 休 憩
 
   午後3時2分 再 開

〇折居委員長 再開する。
 世話人会で協議の結果、私委員長から知事政務秘書について、そのあり方等議論があったことを詳細に知事に伝えること、及びその結果を総括の最後に報告することで世話人会は合意に達した。御了承願う。

〇佐藤(正)委員 私の尊敬する委員長の権限である。また、私自身がお選びした委員長の言葉であるので、そのとおり納得する。
 申し上げることは、今まで申し上げたとおり、私どもは知事を非常に大切にして尊敬している。県民とともに増田県政を支えていくという立場にありながら、一番その首根っこにおいて知事の足を引っ張っていると、非常に見るに見かねて私は知事に直訴申し上げたいと、こう申し上げたわけであるから、どうかひとつその点について御留意をお願い申し上げて、私の質問を終わる。

〇折居委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩する。
   午後3時3分 休 憩
 
   午後3時18分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇久保田委員 先ほどはお二人の格調の高い質問に接して大変感銘を受けておって、関連質問もあってかなりの時間休ませていただいた。ありがたい。私の内容は極めて単純で、重複することもあるが、よろしくお願いしたいと思う。社会民主党を代表して総括をさせていただきたいと思う。あらかじめ通告をしておる内容に従って順次質問をするが、まず財政の健全化に関し2点お伺いをする。
 一つは、地方債依存度の削減目標についてである。
 県債依存度は、平成6年度から10%を超え、平成9年度は16%まで上昇しておる。財源対策債を除く依存度でも12・2%となっている。本県の中期財政見通しによると、10年度から14年度までの5カ年の見通しが示されておる。行財政システム改革の指針によると、財政健全化の目標として、平成12年度までに県債依存度を財源対策債を除き10%未満まで縮減することを目標としておるが、今後予想される新たな経済対策への対応や花巻空港整備等への措置、基幹道路の整備、下水道などの社会資本整備の進捗を考慮した場合に、目標どおりに依存度を維持することが可能であるかどうかということについてであるが、御所見をお伺いする。
 第2として、平成14年の歳入及び県債発行額は的確に見通しされるものなのかどうか。
 また、健全化目標の二つ目に掲げておる財政調整基金等3基金について、平成12年度末における基金合計を700億円以上とする目標であるが、基金積み立ての理念と財源の捻出の手法についてまずお伺いをする。

〇千葉副知事 まず、県債依存度についてであるけれども、本県の県債発行残高は、平成4年度以降の数次にわたる国の経済対策に呼応して、公共事業等を実施してきたことや、東北新幹線盛岡以北の整備や県立大学の開設などの県民の福祉の向上のための単独事業などを、県債を活用しながら実施してきたことなどによって、近年、増加してきているところである。しかしながら、今後の内外のさまざまな変動に機動的かつ効率的に対応していくためには、弾力性のある財政構造を確立していくことが必要であることから、行財政システム改革指針を策定して、その中で、財政健全化目標の一つとして、平成12年度までに歳入に占める財源対策債を除く県債の依存度を10%未満まで縮減することと定めたところである。このため、平成10年度の当初予算においては、県税や地方交付税の伸びを期待できず、厳しい財政環境の中にあって、歳出の縮減と合理化を図ることなどによって、御案内のとおり、財源対策債を除いた県債依存度を10・9%までに縮減したところである。今後とも限られた財源のより効果的な活用に努め、目標が達成されるよう努力していく考えである。
 それから、平成14年の財政見通しについてであるけれども、中期財政見通しにおいては、平成10年度当初予算の額をもとに、現行制度を前提としながら、現時点まで公表されている国の経済指標あるいは財政試算等を基礎とするとともに、今後予定される主要なプロジェクトを見込むなど、現時点で予測される要素を可能な限り盛り込み、平成14年度までの県財政の推移を推計したものである。しかしながら、今後の経済情勢の予測は難しく、また、現在とられている地方財政対策が恒久的なものでないことなどから、今後における経済情勢の推移、地方財政対策の動向等を見きわめながら、適時、弾力的な見直しを図っていく必要があると考えておる。
 3基金についてであるけれども、財政の健全性を確保するために、県では特定の目的のための基金を設置して運用しておる。後年度の財政需要や毎年度の財政状況等を勘案しながら、それぞれの設置目的に沿った取り崩しや、資金の積み立てを行ってきたところである。行財政システム改革指針では、財政健全化の目標の一つとして、平成12年度末におけるこれら3基金の合計残高を700億円以上確保することとしたところであるが、これは、基金の設置の目的や県債の償還計画、今後の施設整備計画、さらには東北各県の基金残高の状況などを総合的に勘案して定めたものであるけれども、具体的には、平成12年度末の基金残高をピーク時−−平成8年度末1、564億円であるけれども−−ピーク時の半分程度を確保するということにしたものである。平成10年度の当初予算では、財政環境が厳しい中にあって行財政システムの改革に取り組んで、これら3基金の取り崩しを360億円と、前年当初予算よりも190億円抑制し、平成10年度末残高見込みを952億円としたところであるが、今後とも厳しい財政状況が続くことが見込まれるので、この目標が達成できるよう努力してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、事務事業評価システム導入による10年度予算の特徴と効果について質問する。先ほど山内委員の御質問に対するお答えもいただいたが、別な角度からちょっとお尋ねするものである。
 まず、255件の事業が廃止及び縮減され、見直しが行われたわけであるが、廃止、縮減に至る検討の経過と、今後さらに廃止、縮減を進めていくための視点と課題は何か、また、その成果と教訓についてお伺いをする。
 さらに、廃止、縮減を図った事業の事例の幾つかをお示しいただきたいと思う。
 第2点として、評価システムは、あくまでも当該部局職員の自主点検による評価によって改善措置されるシステムになっておるが、より客観性を持った的確な視点から効果のある評価を行うためには、さまざまな方法が考えられるわけであるが、来年度以降の評価システムのあり方について所見をお伺いする。

〇千葉副知事 事務事業の評価システムは、本県の行財政システムを改革するための方策の一つとして導入したものであるけれども、これは職員が常にコスト意識を持ち、既存の事業について、これまでの実績にとらわれることなく、客観的な目で不断に事務事業を見直すことを基本として行ったものである。
 具体的には、既存の事務事業について、事業の実施効果や全国水準との比較、3県総の目標達成度合いなどを指標化するとともに、事業の緊急性や重要性についての評価を行って優先度を明らかにするほか、指標化になじまないものについては、指標ではなくて評価・審査の基準により行うこととしたものである。その結果、県民サービスを優先させるため、職員公舎建設計画の繰り延べや、いわて青年海外セミナーを初めとする三つの船の事業の日程の見直しによる傭船料の縮減、観光宣伝費に係る事業の総合化など、255件の事務事業について廃止または縮減が実現したところであって、総体としては相応の成果を上げたものと考えておる。
 しかしながら、本県独自の方法であり、また、導入の初年度でもあったことから、指標の選択が難しい事業があったことや、作業が予算事務と重なり時間的に負担が大きかったことなど、反省点もあったことから、今後さらに検討を重ね、よりよいシステムとなるよう検討を加えていく必要があると考えておる。
 このシステムは、予算編成の作業に際して、歳出を削減するために事務事業の見直しを行うのが目的ではなくて、県の事務事業を実際に担当している職員あるいは組織がみずから可能な限り客観的な指標を用いて評価、見直しを行い、その結果、廃止、縮減が適当と判断されるものはこれを行う一方、推進すべきものについては、重点化を図って一層推進することを目的としたものである。
 しかしながら、今年度は導入初年度として改善すべき点もあったことから、平成10年度は、外部の目から本県の行政運営全般について診断調査を行って、必要なものについては民間の経営管理手法を導入するなど、その改善を行うこととしておるけれども、事務事業の評価についてもこの中で調査を行って、改善すべき事項は改善するなど、よりよいシステムになるよう今後とも検討を加えていきたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、公共事業の見直しとコストの縮減について質問をする。
 本県における普通建設事業の平成8年度までの過去8年間の決算による事業別状況を見ると、産業基盤整備事業に係る道路、橋梁が占める割合は21・3%から23・3%の範囲内で構成され、また、農業基盤整備にあっては17・1%から21・5%の割合で配分されている。また、国土保全事業に係る河川については7・2%から8・6%の割合、治山事業にあっては1・9%から2・5%の範囲内で配分をされておる。また、生活関連施設事業に係る教育関係では3・9%から8・2%の割合であり、都市計画にあっては2・3%から3・2%の範囲内で配分されてきた。
 そこで伺うが、公共事業の配分のあり方について、10年度予算においてはどのような観点から見直しが検討されたのであろうか。10年度予算においては、事業費の配分に変化はあったのであろうか。
 また、公共事業のコスト縮減策は、具体的にどのような方法で行っているのかについて、あわせてお伺いをする。

〇千葉副知事 平成10年度の当初予算においては、いわゆる財政構造改革法による国の歳出の縮減と合理化が推進されたところである。特に、公共事業にあっては7%の縮減が行われたところから、これまでになく厳しい予算編成を強いられたところである。
 しかしながら、公共事業の実施により、地域間交流の活発化や安全な生活の確保など、県民の快適で健康な日常生活や生産活動を支える重要な基盤の整備が促進されることから、平成10年度の予算編成に当たっては、厳しい財政環境にありながら、優先度、緊急度の高い事業については、可能な限り国庫補助事業の確保と、県単独事業の重点配分を行うこととしたところである。
 その結果、公共事業全体では、昨年度当初対比で3・6%のマイナスにとどめ、国の予算の伸びマイナス7・8%、地財計画の伸びマイナス10・4%を大きく上回る予算額を確保することとしたところである。その中でも、県民の生活に身近な住宅、下水等については4・4%の増を確保したほか、農業農村整備はマイナス3・4%、自然公園の整備は2・1%の増、さらには、東北新幹線盛岡以北や花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備などの高速基盤の整備については、大幅な予算額の増を図るなど、公共事業の重点化を図ったところである。

〇吉永副知事 公共工事コストの縮減対策についてお答えする。
 平成9年5月に庁内関係12課で連絡調整会議を設置して、県行動計画の検討を進め、国と同じ10%以上の縮減を目標とする公共工事コスト縮減対策岩手県行動計画を策定し、さらに関係部局ごとに具体的な行動計画を定め、全庁的な取り組みを行っているところである。本県の主な公共事業を担当しておる土木部の行動計画では、県行動計画に掲げる計画手法の見直し、設計方法の見直し、公共工事の平準化の推進、積算の合理化、建設副産物対策、新技術の推進の6項目を重点施策としておる。具体的な取り組みについては、既に今年度より計画手法の見直しによる下水道汚泥処理の集約化や、設計方法の見直しによる鋼橋上部工ガイドライン設計の採用などによるモデル工事等を設定し、試行を進めているところである。また、積雪寒冷地である本県にとって特に効果の大きい公共工事の平準化の推進については、さきの2月補正予算審議においてゼロ国債、ゼロ県債の大幅増額をお認めいただいており、その円滑な執行に努めているところである。このほかにも、全庁挙げてコスト縮減対策に多岐多様にわたって取り組んでおるところであって、引き続き10年度、11年度と段階的に拡大し、11年度末にはすべての施策に着手するよう努めてまいりたいと考えているところである。

〇久保田委員 次に、10年度予算が本県経済に及ぼす影響についてお尋ねをする。
 公共事業は、本県経済に多大な影響を与え、経済の活性化に効果を与えてきた。平成8年度決算審査で小原宣良委員がこのことを取り上げておる。答弁によると、平成8年度末の県公共事業契約実績は、本工事費ベースで2、269億4、500万円であり、産業連関表により試算すると、第1次波及効果は3、260億円、第2次波及効果470億円と試算され、本工事費の1・65倍、3、730億円の経済波及効果が見込まれたと分析されておる。そこで、お伺いするが、10年度当初予算における公共事業費の経済波及効果はどれほどに試算され、期待されているのであろうか。分野別にそれぞれ与える効果についてお答えいただきたいと思う。

〇武居企画振興部長 平成10年度予算による公共事業については、県営工事の本工事費ベースで1、580億円余となっておる。これを岩手県産業連関表を用いて試算すると、建設業に対する直接効果及び建設資材などの生産を通じて、他産業の生産を誘発する間接効果をあわせた第1次波及効果が2、290億円程度、また、雇用の新たな創出や所得の増大に伴う生産誘発効果である第2次波及効果が330億円程度となっておって、これらを合わせると本工事費の1・65倍に当たる2、620億円程度の経済波及効果が見込まれるところである。同様の方法によって分野別に経済波及効果を試算すると、農林水産業関連分野では860億円程度、建設、土木関連分野では1、350億円程度、代表的なものとしては学校とか病院等があるが、こういったその他の分野については410億円程度と推計されるところである。

〇久保田委員 次に、環境影響評価にかかわってお尋ねするわけであるが、環境に配慮した施策の展開と公共事業の実施にかかわる環境影響評価の推進について、環境と調和と保全を掲げておるわけであるが、これまでにない格調のある施策の展開が盛り込まれていることを率直に評価したいと思う。その理念となる環境の保全及び創造に関する基本条例が制定されることは、まことに好ましく、知事の言う環境創造元年にふさわしい手ごたえを感ずるわけである。今後、施策の推進方法と事業の成果に期待するものであるが、そこでお伺いする。体系的な施策の展開のためには、推進体制を整えることが不可欠である。そのため、岩手県環境対策推進連絡会議が平成9年1月に設置されており、しかるべき機能していると存ずるが、環境影響評価制度創設に当たって、連絡調整がどのように図られているものであろうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 環境影響評価制度の創設に当たっては、本県のよりよい環境保全を目指して、産業経済の振興にも留意した環境施策を講じなければならないという観点から、県政全体を視野に入れながら対処してまいりたいと考えているところである。そのため、庁内調整のための環境対策推進連絡会議を開催することにしておるけれども、そのほかに政策会議において議論するなどその推進を図っているところである。今後は、市町村や関係団体、県民の皆さんの御意見をいただくとともに、関係する審議会における議を経て、最終的には県議会の御審議をいただくということになるものと考えておる。

〇久保田委員 次に、廃棄物ゼロを目指す資源循環型社会、いわゆるゼロ・エミッション社会の構築と地球温暖化防止対策についてである。
 ゼロ・エミッションに関することについては、さきの県政調査会で課題提起させていただいたところである。その取り組みに参画することによって私は今後に期待するものであるが、全国ネットワークに参画して国際会議の参加が想定されておるが、全国ネットの組織の状況や国際会議の性格と会議の参加の意義についてお知らせをいただきたいと思う。
 また、国際的環境課題である地球温暖化防止対策に関し、本県としてどのような取り組みの施策が講じられるものであろうか、全庁的で先進的に取り組むべき環境課題だと考えるが、取り組みへの御所見をお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 最初に、ゼロ・エミッション全国ネットワークの組織の状況であるけれども、ゼロ・エミッション全国ネットワークは、国連大学高等研究所が中心となって、地方自治体を初め、産、官、学界、国際機関等が連携する組織として計画しているものである。現在、国連大学高等研究所長を委員長とする設立委員会で細部の検討が行われており、平成10年度当初に全国ネットワークへの参加を呼びかける予定と伺っているところである。
 それから、ゼロ・エミッションの構想は、1994年に国連大学が提唱したものであって、廃棄物、排出物の発生を限りなくゼロにすることを目指すものである。ゼロ・エミッション国際会議は、この考え方に即した取り組みについて、企業経営者を初め地方自治体、政府関係者などに広く理解を求めていくことを目的に、国連大学と開催国政府の主催により開催されてきているものである。この会議では、異なる分野の科学者、技術者等による学術的研究や取り組みの成果の発表、ゼロ・エミッション型の新しい産業集団の構築、企業戦略としてのみならず政府機関における政策としての応用、さらには地域の自治体の具体的な実践の検討などが行われるものである。本県におけるゼロ・エミッションを推進する上で、このような広範囲な分野の研究成果や実践事例等の情報を収集するとともに、人的ネットワークの形成を図ることが重要であると考えて、この会議に職員を派遣するものである。
 次に、地球温暖化防止に対する取り組みであるけれども、地球温暖化は、化石エネルギーの消費など、私たちの日常活動や通常の事業活動に伴って排出される二酸化炭素を主な原因としている地球的な規模の環境問題である。昨年12月に開催された地球温暖化防止京都会議で決定された二酸化炭素等の排出削減目標を達成するために、本県としても地球的見地から役割を果たすことが重要であり、そのためには、すべての県民が地域において環境に配慮した行動をとることが大切であると考えているところである。県においては、これまで温暖化防止対策として有効な地熱発電などの新エネルギーの導入促進や、県民一人一人が容易に取り組める行動としてアイドリングストップ運動を進めてきたところである。また、県内各地で開催される環境問題に関する研修会等に環境アドバイザーを派遣して地球温暖化についての普及啓発を図ってきたところである。県としては、今後策定する環境基本計画において、太陽光発電などの新エネルギーの導入促進や低公害車の普及など、地球温暖化防止に向けた施策を盛り込むとともに、具体的な数値目標を設定して、県民の協力を得ながら、積極的に地球温暖化防止対策に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、ダイオキシン類の排出抑制に関して質問をする。
 市町村が処理する一般廃棄物焼却施設については、基本的な抑制対策が講じられ、広域化処理施設整備と財政措置が示されているが、ダイオキシン類排出抑制対策として計上されている廃プラスチック類用途開発費及び農業用廃プラスチック緊急対策事業の内容についてお尋ねする。
 焼却処理によるダイオキシン抑制は、廃プラスチックの始末の仕方によって大きく影響しているので、特に取り上げるものである。また、ダイオキシン問題での大きな課題は、産業廃棄物処理に係る対策がどうなっているかということである。埼玉県などの一部企業が自己責任でダイオキシンの検出検査を行っている程度で、ほとんどで手つかずの状態である。本県の産業廃棄物焼却施設における検出検査はいつ、だれが、だれの負担で行い、その結果の公表はいつ予定されているのか、県の指導監督はどう進められているのかについてお伺いをする。

〇千葉副知事 廃プラスチック類用途開発費は、産業廃棄物の有効利用を図るため、廃プラスチックをコンクリート等の建築廃材と混合して、新たな建築資材や舗装用の材料として再利用するために研究を行うものである。この研究は、工業技術センターが平成10年度から平成12年度までの3カ年の継続事業として、国の資源環境技術総合研究所、愛媛県及び広島県の工業技術センターと共同で研究に取り組むものである。
 農業用廃プラスチック適正処理緊急対策事業の内容についてであるが、県は平成6年2月、農業団体や農業フィルム商業会など県農業用廃プラスチック適正処理協議会を設立して、先進事例や処理方法の調査研究、適正処理の意識啓発などに努めてきたところである。お尋ねの事業については、昨年8月の廃棄物処理法の一部改正により処理基準の規制強化に伴って、市町村段階における適正処理の一層の推進を目的に、市町村推進体制の確立を図るとともに、排出量、処理量の的確な把握のもとに、分別回収や処理方式、回収処理経費の負担方法などの検討を行って、地域の実情に即した回収処理システムの早急な構築を図るほか、微生物分解性マルチフィルムなど、プラスチック使用量を抑制する生産資材の実証展示などの取り組みを行おうとするものである。
 次に、排ガス中のダイオキシン類測定については、施設の維持管理の一環として、設置者がみずからの負担により、年1回以上行うこととされているほか、本年6月の改正廃棄物処理法の適用においては、設置者が測定結果を含めた維持管理状況を記録して、生活環境の保全上、利害関係を有する者の求めに応じ、閲覧させることになると伺っているところである。県としては、立入検査等において、これらの検査結果を把握しながら、施設の適正な維持管理について監視、指導することとしておる。
 なお、産業廃棄物の焼却施設からのダイオキシン類の排出実態に関するデータがほとんどない状況にある。したがって、平成10年度においては県としても、焼却施設の種類、能力別に対象施設を抽出して、事業者の協力を得ながら排出実態調査を行って、その結果を踏まえて、燃焼管理や施設の構造の改善等を指導して、12月からの規制基準の施行に適切に対処してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 産業廃棄物処理施設の現状について、よろしく点検をし指導されながら万全を期していただきたいと思う。
 次に、下水道の整備促進に関して質問する。
 汚水処理施設の整備率が全国に比較して低水準に位置していることは、先ほどの前の質問でもあった。社会資本の整備が立ちおくれている典型的な事業なわけである。環境創造元年の名のもとに、重点的に本県が取り組むべき施策の一つであると思う。全県域汚水適正処理構想によると、平成22年に73%の整備と構想されているが、現状の見通しはどうであろうか。
 各種事業による効率的な整備促進が図られておるであろうか、どうであろうか。推進体制に問題はないであろうか。策定委員会は十分に機能しているかどうか。さらには、総合調整がどのように働いておるであろうか。
 飛躍的にこの整備を促進するに当たって何が必要だとお考えであろうか。整備促進に臨む御所見をお伺いする。

〇吉永副知事 御指摘のとおり、おくれておる汚水処理施設の整備を促進することは、県として重点的に取り組むべき課題だと考えておる。汚水処理施設整備の見通しについては、国の第8次下水道整備5カ年計画が、平成12年度を目標年度とする5カ年計画から平成14年度を目標年次とする7カ年計画に2カ年延伸されるなど、汚水処理施設の整備についても厳しい財政環境にある。この中で国庫補助事業費の確保に努める一方、コスト縮減への積極的な取り組みなどにより、目標達成に向け努力してまいりたいと考えておる。
 各種事業による効率的整備の促進と推進体制についてであるが、平成6年度に各種事業の関係部による部局横断的な委員会を設けて、総合的な調整を図りながら全県域汚水適正処理構想を策定し、各事業の地域区分や整備目標等を定めたところであって、整備に当たっては、この構想に基づき、各種事業による効率的な整備に努めているところである。一層の効率化を図るため、現在、委員会において構想の見直し作業を行っており、関係部局や市町村と調整を図りながら、整備促進に努めたいと考えておる。
 飛躍的に整備促進を図るための方策については、各種事業への着手市町村数をふやすこと、効率的な事業の推進及び市町村に対する支援の拡大が必要と考えておる。このため、平成10年度においては、下水道事業で1町、農業集落排水事業で4町村、漁業集落排水事業で1市、計6市町村での新規着手、経済的な処理場建設のガイドラインとなる岩手県汚水処理共同管理基本計画の策定、及びこれまでの県単独費による財政支援に加えて、新たに岩手県下水道公社による市町村事業への技術支援といったようなことに取り組んでまいりたいと考えているところである。

〇久保田委員 次に、人口減少社会への対応と少子対策について質問をする。
 私たちは、21世紀は少子・高齢化社会になると口癖のように言っておるわけであるが、それはどういう結果をもたらす社会になるのかについては深く考えてこなかったような気がする。私は娘が2人あるが、それに子供がまだない。殊さら意識するのかもしれないが、このまま放置して、少子・高齢社会が現状のままに推移していけば、それは確実に人口減少社会への道を突き進むことになると考えるわけである。人口減少の社会は、若者がいない衰退した社会になる。労働力は減少し、富の再生産が失われ、社会保障の将来が根本から崩壊する社会になってしまうことを意味していると思うわけである。このように考えるのは私の思い過ごしであろうか。
 高齢者福祉と同時に、少子対策を真剣に考えなければならないと思うのである。少子対策は、結婚、出産、育児、保育、教育、労働環境、住宅問題、個々人の意識等々にかかわる問題であり、若者のみならず社会全体の生活の問題である。そして、女性の権利と共生社会の実現が伴う課題である。本県の出生率の推移はどうなっているか。本県として、人口減少社会への対応と少子対策についてどのように考えておられるのか、御所見と対策をお伺いする。

〇千葉副知事 本県の出生率の推移についてであるけれども、1人の女性が一生の間に産むと推計される子供の数であらわされる合計特殊出生率で見ると、昭和30年の3・01からほぼ一貫して低下を続けておる。昭和51年に、人口がふえもしない、減りもしないという率であるけれども、これが2・08と同率となって、平成8年には1・58と、過去最低の水準となったものである。このような少子化の進行は、子供の成長にとっても好ましくない影響を及ぼすとともに、地域社会の活力の低下が懸念されるところから、本県においては、子供を安心して産み育てることのできる社会環境の整備を図るため、平成7年3月に岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定して、官民一体となって子育てと就労の両立支援や子育てをしやすい生活環境の整備など各般にわたる施策を総合的、計画的に推進しているところである。
 少子化の対応については、昨年10月、厚生大臣の諮問機関である人口問題審議会から報告が出されたところであって、今後、国においても本格的な取り組みが行われると思われるところであるけれども、県においても、平成10年度に実施する少子化に関する意識調査も踏まえ、県民全体に少子化についての議論を深めていくとともに、子供を産みたいと願っている方々が安心して産み、健やかに育てることのできる環境づくりを今後とも積極的に進めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、介護保険導入に向けた整備体制等福祉施設の整備についてお伺いをする。
 介護保険法施行に向けての議論が一般質問でも取り上げられた。私は法が施行される前にまずやるべきことがあると考えておる者の一人である。私の調査では、この保険の適用を最も早く望んでいる人は、重度の要介護者とその家族である。しかも、在宅介護ではなく施設に入所を希望し待機している人たちなわけである。老人保健福祉計画の進捗状況を特別養護老人ホームについて見ると、平成9年度4、250床となり、計画が100%クリアされる見込みとなっておるわけである。ところが、私の選挙区の4区内の4市の調査を2月現在で調べた内容がある。それによると、入所待機の状況を見ると、4市で148人が待機していることがわかった。圏域での進捗状況に照らしてみても、なぜこれほどの待機者が存在しているのか、施設設置計画が過少でなかったのかどうかという疑問があるわけである。県は、入所希望者が待機している現状をどのように把握しておられるのか、お伺いをする。
 また、県は、重度の要介護者への配慮をまず考え、しかるべき対策をとるべきと考えるが、どうであろうか。そして、老人保健福祉計画全体の達成を図るため支援する必要があるわけであるが、一連の計画に基づく市町村間のあるいは圏域間の格差があるわけであるが、この解消と均衡をどう図るお考えであろうか、介護サービスの基盤を整備すべきと考えるが、御所見をお伺いする。

〇千葉副知事 特別養護老人ホームの入所待機者は、平成9年12月末で988人である。そのうち、在宅の待機者は266人、26・9%である。その他の722人、73・1%は、医療機関に入院ないしは老人保健施設等の施設に入所中の方である。
 特別養護老人ホーム、老人保健施設の整備については、これまで県の高齢者保健福祉計画に基づいて逐次整備を進めてきておるが、平成9年度の着工ベースで、進捗率はそれぞれ特養ホームが101・7%、老健施設が88・8%となっているところである。
 特別養護老人ホームの整備については、本県は高齢者保健福祉計画の整備目標を上回っており、今後の国の事業採択は極めて困難な状況にあると考えておる。しかし、在宅サービスを十分に提供しても家庭での生活が困難な高齢者が多い圏域については、施設の整備について国の理解を得られるよう努めてまいりたいと考えておる。
 なお、ホームヘルパー、デイサービス、短期入所の市町村格差については、平成5年には10倍以上あったものが平成8年には約6倍と、年々縮小してきている状況にある。保健医療、福祉の有識者等が直接市町村に出向いてサービス水準の向上、効率化などを指導、助言する在宅福祉サービス評価事業等を実施しながら、格差の縮小に向け市町村を支援してまいりたいと考えておる。
 今後においては、11年度の介護保険事業支援計画の策定とあわせ、現行の高齢者保健福祉計画を見直し、介護基盤の整備を促進してまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、県立病院などの県施設の整備についてお伺いする。
 知事はさきの演述において、県立大迫病院の新築工事の着手と一戸・北陽病院、伊保内病院の整備を述べられておる。このことに関連して質問したいと思う。
 さきに県立久慈病院の落成のことが報道されておった。県事業により、大規模な施設が誕生することは、その地域にとって新たなまちづくりの基盤となり、まちづくりの中核的存在になるものと思う。したがって、都市部においては、都市計画の将来像が描かれた中に位置づけられる存在であると思う。特に病院は、豊かな自然環境やすぐれた景観を保全し、美しい生活空間を創出するシンボル的存在であってほしいと思う。そのための配慮は、敷地の確保と設計の段階から、周辺の道路、上下水道の環境と交通体系の整備が同時に計画され、推進されていかなければならないと思うのであるが、久慈病院建設に当たって、関係部局間においてどのような協議が事前に行われ、また、関係市町村との事前の協議がどう行われてきたのかお伺いをする。また、今後、県施設の整備に当たって、配慮すべきことがあれば、この際お聞かせをいただきたいと思う。

〇千葉副知事 今月1日に開院した久慈病院の整備については、用地選定あるいは基本構想策定の段階から、久慈市あるいは久慈地方振興局を初めとする関係機関と、病院へのアクセス機能の確保や排水対策等の協議を重ねてきたところである。その結果、市道門前源道線、上水道及び排水路などの整備が開院に合わせて整備されたところである。さらには、バス路線の新設のほか、既存道路の交通渋滞を緩和するため、JR八戸線踏切の拡幅や旧国道45号の時間帯右折禁止などの措置が関係機関の協力により実現したところである。また、病院の建築に当たっては、周辺の環境との調和、あるいは患者さんに安らぎと温かみのある快適な療養環境に配慮して整備したものである。
 県の施設の整備については、これまでも施設の性格や機能、規模に応じて、それぞれの設置目的に沿ってその機能が十分発揮できるよう、利用者の利便性などを含めて総合的に判断して整備を進めているところである。今後は、これに加えて病院整備の例で言えば、保健、医療、福祉が一体となった地域ケアシステムの構築を目指した施設づくりを行うなど、その施設が利用者のみならず、地域の生活の核となる施設づくりを進めていくことが必要であると考えているところである。また、整備に当たっては、市町村のまちづくりとの整合性や周囲の自然環境、景観などに配慮しながら進めていくことも重要であり、このためには、地元市町村、地方振興局、県の関係部局などの関係機関との連携を密にしながら進める必要があると考えているところである。

〇久保田委員 次に、特定産業集積活性化事業についてお伺いをする。
 この事業は、昨年3月31日に公布された特定産業集積の活性化に関する臨時措置法に基づいて国の承認を受けて実施される事業である。花巻、北上、水沢、江刺の4市及び金ヶ崎町が指定地域とされたものであることは承知しているところである。
 さて、当該地域の工業出荷額と企業立地の状況はどのような推移であろうか。平成5年との比較がわかればお示し願いたいと思う。また、最近における当該関係企業の雇用状況はどうであろうか、お聞かせいただきたいと思う。
 新年度予算に計上されている事業の内容と配分額及び実施することによって期待されるものは何であろうか。この事業に対する今後の支援措置の見通しについてもお伺いをする。

〇吉永副知事 昨年9月に承認された北上川流域基盤的技術産業集積の活性化に関する計画の対象地域である4市1町の工業出荷額は、平成5年の6、922億円に対して平成8年は8、308億円と、おおむね20%の増加を示しておる。また、誘致企業数であるが、これは累計で平成8年度まで18社ある。その従業員数は約500名であるが、全体の地域の総従業員数は8年度末で3万5、729名となっているものである。
 次に、平成10年度当初予算に御提案申し上げている本事業の関連部分の合計額は5億7、600万円であるが、この中には、主なものとしては、岩手県工業技術センター及び岩手県南技術研究センターの試験研究機器等の導入費用として4億3、100万円、それから花巻市起業化支援センター、北上基盤支援センター(仮称)等の整備に係る助成措置である北上川流域産業集積活性化施設整備費補助金として5、100万円等である。この平成14年度までとなっておる産業集積の活性化に関する計画においては、新規産業創出の拠点施設として花巻市起業化支援センターの増設が位置づけられており、県としても、その整備促進とともに県工業技術センター、財団法人岩手県高度技術振興協会との適切な機能分担のもと、人材育成、産学官交流事業等の充実強化を積極的に推進してまいる所存である。

〇久保田委員 次に、本県における雇用情勢と対応についてお尋ねする。
 長期不況によって雇用情勢が悪化しておるわけであるが、次のことについてお伺いする。
 第1、1月末現在の雇用保険受給者数はどうなっているであろうか。
 第2、平成9年度、本県の高校卒及び大学卒業生の就職内定状況はどうであろうか。求人倍率についてもお知らせいただきたいと思う。
 第3、職業安定所管内別の求人倍率と就職内定状況について。
 以上の結果に対する所見と対策をお願いする。

〇吉永副知事 平成10年1月末現在での雇用保険受給者数は、前年同期比9・1%増の9、171名となっておる。この9・1%という伸びであるが、4月から9月ぐらいまでは大体3%から4%だったのであるが10月以降増加しており、1月末まで8%から9%となっている次第である。
 ことし3月の新規学卒者の就職内定状況であるが、平成10年1月末現在で、4年制大学では前年同期比0・1ポイント減の70・6%、短期大学では3・1ポイント減の51・4%、高卒者では0・2ポイント減の90・3%となっておるところであるが、最終的には、大学及び短期大学卒業予定者では昨年並みの就職内定になると思っておる次第である。
 また、高卒者については厳しい情勢であるが、卒業までには100%の就職内定が可能と考えている次第である。
 次に、地域別の求人倍率であるが、平成10年1月末現在で、盛岡地域は0・67倍、一関・花巻間の県南地域では0・90倍、宮古・大船渡間の沿岸地域は0・58倍、二戸・久慈の県北地域は0・39倍となっており、地域間の格差というのは存在しているということがわかるわけである。
 また、就職状況については、平成9年4月から10年1月末までの各地域在住者の就職件数は、盛岡地域で7、974名、県南地域では1万460名、沿岸地域は7、000名、県北地域は5、198名で、合計3万632名と前年同期比で合計で0・8%減少しておる。
 今後の雇用対策については、新たに一部の公共職業安定所に企業を訪問して求人の開拓を行う求人開拓推進員というのが認められておるわけであるが、これについては雇用環境の最も厳しい県北・沿岸地域の就職促進が図られるよう配意しつつ配置し、各般の対策を講じてまいりたいと考えている次第である。

〇久保田委員 次に、農林水産関係の部門に入ってまいる。
 認定農業者及び担い手育成事業についてお伺いする。
 米価の下落と減反の強化によって、稲作認定農家に対し、農政に対する不満と生活への不安を与えておる現状である。認定農家は、このことに自信を喪失していると見なければならない。認定農家における担い手予定者は、希望が見えない農業の先行きを敏感にとらえて大規模経営の危険を察知しておるわけである。より安全な兼業の道を選択しなければならないと考えているわけである。将来の食糧不足の予測をもって農業に期待を引きとめようとしても、現実に米が60キロ当たり1万5、000円を割り込むという予測がされている現状では、担い手が育つ環境はほぼ失われたと見なければならない。担い手の青年の言葉が非常に気になるわけである。それは、3年のうち1年間は、農家にとっても雇用保険と同じような制度がなければもうやっていけない。農協の職員並みの収入が保証されない農業はもうやる気がない、こういうことを言っている若者が多いわけである。この言葉をどのように受けとめられるであろうか、所見をお伺いしたいと思う。
 新年度の新たな対策について、この機会にお示しをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 米価の低落によって稲作所得は減少し、特に認定農業者など大規模な稲作農家ほど大きな影響を受けているわけであり、さらに来年度からは生産調整面積が拡大されるという事情がある。委員御指摘のような農業青年の声は、こうした情勢の影響を最小限に抑えて、希望を持って取り組んでいけるような農業の実現を求める切実な訴えとして重く受けとめておるところである。県としては、このような方々の不安を払拭するとともに、意欲を持って経営を継続していけるよう、できるだけの施策を講じ支援していく必要があると考えておる。このため、来年度から新たに担い手育成生産調整支援事業を創設し、稲作経営面積が一定規模以上の認定農業者など大規模稲作農家の転作率を軽減するとともに、こうした農家への農作業の委託を進める地域ぐるみの取り組みに対して助成することといたしておる。また、認定農業者が農地保有合理化法人から農地を買い入れ、規模拡大したときは助成金を交付するとともに稲作経営安定化資金を創設し、種苗や肥料などの購入に必要な経営資金をこれまでにない1%という超低利で融通することとしておる。さらに、農協が行うリース業に助成し、規模拡大に伴う機械等への投資が単年度に集中するリスクを軽減することといたしておる。こうした経営面での支援とあわせて、転作営農高度化条件整備事業を創設し、転作地での野菜のビニールハウス団地の形成、花卉の鉄骨ハウスを導入するなど、認定農業者を核とした望ましい水田営農を確立してまいりたいと考えている次第である。

〇久保田委員 次に、転作による水田麦、大豆生産振興緊急対策についてお伺いをする。
 減反強化に対する緊急対策として、転作作目に麦と大豆を選んで作付を実施しようという計画があるわけであるが、私たちは食糧自給率を高めるために転作田に麦や大豆を栽培させ、これに政府が価格補償すべきを主張したところである。そして、新農業基本法に対する要望としては、自給率の向上を促し価格補償を明確にすべきを主張してきたところである。この緊急措置が将来につなぐことができるとすれば、大いに歓迎したいのである。しかし、この対策は2年間の緊急措置であり、担い手農家や意欲的に取り組む農家が、どれほど魅力を持って迎えられているのか極めて疑問がある。その努力に敬意を表するものであるが、その手法について疑問なしとしない。仮に米にかわって本格的に取り組むまでに要する時間を考えると、2年間の営農実証では作付への自信が出るとは思われないと考えるからである。
 そこで伺うが、第1に、この事業の概要を示してもらいたい。第2に、この事業にどれほどの農家の参加を予定しておるであろうか。第3に、適地適作の地域はどの地域を選ぶ考えか。第4に、岩手麦の新しい品種の研究開発はどのようになされておるであろうか。大豆はどうであろうか。第5として、麦や豆の連作障害の防止についての研究はどのように進んでおるであろうか、以上の点についてのお伺いをする。

〇吉永副知事 5点にわたって御質問があったので順次お答えする。
 第1点目のこの対策の概要であるが、麦、大豆を生産する場合に湿害の克服、収量向上などの技術対策や団地化、組織化などの生産体制の整備を図る必要があるが、この対策は、こうした課題に計画的に取り組む農業者や生産集団に対して技術レベルに応じて助成するものである。
 具体的には三つのタイプを考えており、まず、基礎技術タイプ。これは、排水溝など簡易な排水対策などを実施した場合、これには助成額10アール当たり5、000円である。
 その次が、標準技術タイプ。これは、基礎技術に加えて暗渠排水等を実施した場合。
 第3が、地域特認技術タイプ。これは、その標準技術タイプにさらに機械収穫を行いつつ、地域のまとまりを持って取り組む技術を実施した場合、こういった場合には、最終的には助成額は10アール当たり1万7、000円と、こういうシステムになっているわけである。
 2点目の、この事業にどれほどの参加を予定しているかであるが、現在、各地域ごとに集落で座談会を開催し、転作作物の選定の詰めが行われているところであり、いまだ作付面積を把握できる段階にないので、条件の整うところからできるだけ多く作付していただきたいと考えておる次第である。
 第3点目の、麦、大豆の栽培適地であるが、小麦については、多雪地帯を除き県下全域で栽培が可能である。それぞれ気象条件が異なるので、地域に合った3品種を奨励品種としているところである。大豆については、わせからおくてまで4品種を奨励品種としており、これら高冷地を除き県下全域が栽培に適しておる。
 第4点目が、それぞれの新品種の開発であるが、小麦についてはこれまでナンブコムギなど3品種を選抜し普及を図っておるが、現在農業研究センターでは、これら品種に続く製麺性や穂発芽がしにくい性質を持った有望な系統について比較試験を実施しているところである。その中から優良なものも出てきている次第である。大豆では、ナンブシロメ、スズカリなど4品種を選抜し普及を図っておるが、現在、農業研究センターでは、これらから奨励品種決定調査等を実施しているところである。本県の適応性が確認され次第、普及を図ってまいりたいと考えておる。
 5点目の連作障害防止の研究であるが、現在、土壤病害の防除や有機物等の施用効果の試験を進めているほか、麦、大豆の機械化輪作体系の確立試験を実施するなど、鋭意取り組みを進めているところであり、得られた成果については、その都度現地に速やかに普及してまいりたいと考えている次第である。

〇久保田委員 次に、間伐対策事業についてである。
 総合的な国産材を供給するために、鋭意取り組みを行ってきた本県にとって、良質な木材を生産することは森林県として誇りであり、また、その使命があるわけである。良質で市場価格を高めるには、適時適切な間伐が必要である。その有効利用は、森林管理上も不可欠なことである。新年度、間伐材利用緊急対策事業が導入されたことは時宜を得たもので、その促進による成果を期待するものである。
 そこでお伺いするのであるが、一つは、事業の概要と新用途開発のプログラムはどのようになっておるであろうか。これまでの間伐材の利用実績はどうであったであろうか。
 第3に、新たな開発に期待するものはどのようなものであろうか。
 以上、3点についてお伺いをする。

〇吉永副知事 間伐材利用緊急対策事業は、国庫補助事業により平成10年度から取り組む事業で、河川や公園整備等の公共土木事業に間伐材の利用を促進するために、県及び岩手県森林組合連合会が実施主体となり、土木用製品カタログの作成や講演会などを行う木の香る環境整備促進事業と、県内の林業関係団体が事業主体となってログハウス等のキット製品化など、新用途開発や試作品の製作、展示を行う構造用間伐材利用推進対策事業、この二つからなっているものである。
 本県における新用途開発の進め方については、主に構造用間伐材利用推進対策事業の中で、1年目は、製品開発に向けた企画委員会の開催あるいはキット製品の設計、2年目は、製造ラインなど加工システムの設計や試作品の組み立て、展示、3年目は、新用途製品の普及定着を図ることとし、3カ年の期間を予定しているところである。
 本県における間伐材の利用実績であるが、間伐対策を本格的に始めた昭和56年度から平成8年度までの16年間の平均で見ると、年間約10万6、000立方メートル、利用率で56%となっているものである。この数字は、全国平均を10%程度上回っているものである。このうち約7割が建築材、梱包用材などの製材用品として利用されておる。
 なお、平均9年度の間伐材利用実績は、8年度より1万立方メートル程度の拡大を見込んでおる。
 今後、間伐材の一層の需要拡大を図っていくためには、公共土木事業の未利用分野への積極的な利用を推進していくとともに、間伐材は小径木が主体で強度が低いということを克服し、一般材並みの利用が可能となる集成加工など、エンジニアリングウッドの製作や製品のキット化などの新たな分野の利用開拓が重要であると考えている次第である。

〇久保田委員 次に、栽培漁業の推進についてお伺いをする。
 本県の栽培漁業は、沿岸漁業振興と経営の近代化に寄与してまいった。地域の漁業を活性化させ、安定的漁獲の展望を切り開いてきたものと評価している。この成果は、本県の水産技術センターの研究の成果に負うところが大きいと理解をしておる。新年度、ヒラメ、マツカワの魚類栽培施設の整備が図られるようであるが、この概要と現状でのマツカワに関する情報をお聞かせいただきたいと思う。
 昨年、全国豊かな海づくり大会において、天皇陛下の手により放流されたマツカワのことであるので、そのことに思いをいたしお尋ねするものである。
 予定の施設ができることにより、どのような本県の漁業栽培への期待が可能であろうか、あわせてお伺いをするものである。

〇吉永副知事 魚類栽培設備については、当面、ヒラメ110万尾、マツカワ10万尾の放流用種苗生産を行う施設を整備することとしておる。整備に当たっては、施設の規模が大きいことから平成10年度から3カ年にわたる計画として、かつ、既存の施設の活用によるコストダウンを図るため、おおむね3センチサイズまでの種苗生産する施設については県栽培漁業協会大船渡事業所内に、その後の放流サイズまでの育成施設については、御指摘あった海づくり大会が開催された大槌漁港用地内に整備することといたしておる。
 事業効果については、ヒラメ110万尾、マツカワ10万尾の放流により、それぞれ120万トン、マツカワ10トンの増産を期待しているところである。
 なお、幻の魚と言われているマツカワについては、冷水性で成長が早く三陸の海に適していること、また、味がよく高価格であることなどから、県水産技術センターにおいて研究に取り組み、水温コントロールによる雌の安定確保、質のよい卵を得るための親の飼育など、種苗大量生産に向けた技術の確立を今努力してやっているところである。

〇久保田委員 次に、漁業系廃棄物の処理についてお伺いをする。
 自然環境が年ごとに汚染されておるし、破壊される状況にある。海も山も里もそういう状況である。知事は演述で、21世紀は人々の暮らしぶりから産業の仕組みまで、社会のあり方そのものが環境を価値観の中心に据える環境の世紀と言った。海の汚染が魚に影響を与え、食物連鎖によって生態系に変化を引き起こしていることを私たちは学んでおる。したがって、海洋を汚染し大気を汚染する廃棄物の不適正焼却処理などは絶対許してはいけないし、抑制しなければならないわけである。新年度、漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業を行うことは今日的課題にこたえた施策であり、その成果を待ちたいと思う。この事業の目指す目標は、ダイオキシンの抑制のこともあるであろうし、資源再利用を図るリサイクルのこともあるであろう。過般、一般質問であった貝殻などの処理の適正化の問題もあるであろうが、それらの事業の内容についてお伺いをする。

〇吉永副知事 平成10年度予算案に御提案申し上げておる漁業系廃棄物再資源化処理システム開発促進事業は、漁業生産に伴って発生する事業系一般廃棄物であるカキ、ホタテなどの貝殻等、いわゆる漁業系廃棄物について資源としての再利用や適切な処理システムの開発等を検討することにより、養殖漁業の振興を図ることを目的としているものであり、ダイオキシン対策というものを第一の目的としているものではない。この事業では、岩手県漁業協同組合連合会が実施主体となって、行政と漁業関係団体との参画のもと、カキやホタテなどの貝殻等についてその実態を調査するとともに、地域に適した処理方法や体制づくりを検討することといたしておる。県としては、この事業の実施によって漁業系廃棄物の適切な処理が図られるよう、指導してまいりたいと考えておる次第である。

〇久保田委員 最後の質問になる。
 花巻空港の整備についてお伺いをするものである。
 平成10年度政府予算案において、県民の悲願であった花巻空港の整備事業が盛り込まれ、10年度からの着工が実現することとなったところであるが、今後は早期完成を目指して整備事業の推進が図られることを大いに期待するものである。一般質問でも村田議員がお伺いをしておるわけであるが、私もこの機会であるからお伺いしたいと思う。
 まず第1は、事業実施の前段になる環境影響評価はどのような手順で行われるのであろうか。
 この環境影響評価については新たな導入に基づくものであるから、これまでにない空港騒音対策など、吟味した調査が必要になるものと思っておる。そういう観点からすれば、今後の調査を私どもは十分吟味してやっていただかなければいけないことではないか、こう思っておるわけであり、あえてこの機会にお伺いするもである。
 第2は、施設変更許可申請についてである。
 私が去年の9月の一般質問で質問している事項であるが、当時の答弁によると、本年10月ごろ施設変更の許可申請と御答弁いただいている記憶があるが、その時期はどうであろうか、再確認をさせていただきたいと思う。
 第3に、用地買収に伴う地権者との協議はいつごろになる見通しであろうか。御案内のように、さきの東北横断道花巻−東和間の地権者会が調印しておるわけであるが、こうした動向を見ると、用地交渉に対する関心が地権者の間に大変高いものがあると思う。用地交渉の協議については大変神経の使うことだと思うが、この協議に臨む姿勢についてお伺いをしたいと思う。
 第4に、これは極めて地域の要望が強いものであるが、アクセス道路やつけかえが必要な道路について、特に生活道路との関係について、地元との事前協議や調整が何としても必要だと私は思うわけである。
 以上のことについてどういう状況になっておるか、お伺いをするものである。

〇吉永副知事 花巻空港拡張整備に係る環境影響評価は、昭和59年に閣議決定された環境影響評価実施要綱及び運輸省所管の大規模事業に係る環境評価実施要綱に、その環境影響評価の実施が必要な事業が定められており、これに基づき行われるものである。
 環境影響評価の実施に当たっては、関係部の間で密に連携を図りながら進めているところであるが、本事業においては、7年度から対象地域の現況調査などを行ってきたほか、現在、騒音、大気汚染等の公害防止や自然環境保全の観点から、事業の実施や環境に及ぼす影響の予測や評価などを行うなど、環境影響評価準備書の作成に取り組んでいるところである。委員の言われるとおり、この空港は大変重要な空港であるので吟味して行いたいと考えている次第である。10年度早々には、環境影響評価に係る公告、準備書の縦覧、説明会を開催するなどして準備書に対する意見の把握に努め、さらに検討を加え、これを評価書として作成した上で運輸大臣に送付する手順となっておる。環境影響評価の手続については、およそ6カ月程度を要するものと考えている次第である。
 次に、航空法に基づく飛行場施設変更許可申請についてであるが、環境影響評価の手続後に運輸大臣に提出することになっておる。飛行場施設変更許可申請から許可までは、通常3カ月程度の期間を要することとなっておることから、平成10年末の許可を目標に、関係機関等と調整を進めていくことといたしたいと考えておる。
 次に、花巻空港整備用地の買収に係る地権者との協議についてであるが、これまでも空港等に関係する地権者で組織した花巻空港拡張対策宮野目地権者会を交渉の窓口として、買収等に伴う協議を重ねてきたところである。用地買収時期は、航空法に基づく飛行場施設変更許可を得て事業用地の範囲を確定する必要があるので、飛行場施設変更許可後となる見込みである。
 用地買収に当たっては、地元地権者の方々とより十分な対話を行うことが重要であることから、平成10年4月、花巻空港建設事務所を設置し、貴重な土地を提供いただく地権者の方々と十分な協議を行うなど、地域住民の皆様の御理解、御協力を得ながら、できるだけ早期に用地買収に着手できるよう、適切に対応していきたいと考えている次第である。
 次に、空港アクセス道路における地元との調整であるが、平成9年2月に、地元に基本的な計画ルートを示し了解を得ているところである。滑走路延長に伴い、つけかえが必要となる市道については、現在、道路管理者である花巻市と協議を行いながら調査設計を行っているところである。これから工事の本格化に伴って、道路工事に係る安全対策等、地元との調整が一層重要になることから、関係自治体や地域住民との対話を十分に図りつつ、事業を進めてまいりたいと考えている次第である。

〇久保田委員 一連のことについて御答弁ありがたかった。
 最後に要望であるが、最後の空港についてであるが、この事業の推進についてはかつての深い経験もあるわけであり、そういうことを踏まえながら、住民対話については十分に配慮していただいて推進に努めていただきたいことを要望して終わる。

〇水上委員 県民クラブの水上信宏である。
 予算審議に当たり、会派を代表させていただき総括的にお伺いする。地域課題が入っていることをお許し願う。
 まず、質問に入る前に、お礼と要望を申し上げたいと存ずる。
 県御当局の御尽力により、県北・沿岸住民の悲願であった県立久慈病院が完成を見、3月2日から診療が開始された。高度の医療機器を備え、救命救急センターを併設した最新の総合病院であり、住民の期待には大きなものがある。スタッフの確保や診療面でのサービスの向上など、今後とも一層の御高配を賜るようお願いするとともに、病院周辺の環境の整備及び関連施設の整備についても地元市町村との連携の上、引き続き努力していただくようあわせてお願いをする。
 それでは、順次質問をする。
 初めに、本会議冒頭での知事演述に関連してお伺いする。
 増田知事はその演述の中で、生活者主権、地域主権の視点に立った行財政システム改革の推進について述べられておる。その中で、生活者主権、地域主権を推進するため、県行政を岩手県株式会社に例えながら、業務の遂行に当たっては、地域ごとに効果や成果に責任を持つ分社化を推進すると述べられたが、本庁−−例えば本社であるが−−との機能分担、連携を、とりわけ行政責任の所在についてどのように考えればよいのであろうか。
 一例を挙げれば、宮古市で発生したトネリコの伐採の際には、土木部長が議会で説明し陳謝したが、地方振興局長が権限委譲とあわせて責任を持つとするならば今後はどうなるのであろうか。県行政に対する最終的な責任は知事が負うというものの、行政機関の行った行為についての責任の配分は、本社である本庁と分社である地方振興局とでどのような配分になるのであろうか。いずれにせよ分社化された場合、本庁と地方振興局の権限と責任の所在について、あるいは連携システムはどのようになるのか、具体的に理解できるように御答弁願う。
 また、演述の中に、本庁と地方振興局が対等の立場に立ちという文言があるが、これまで本庁と地方振興局とはどのような立場にあったと認識しておられるのか。
 私は、組織というものは一般的にピラミッドのような階層的システムではないかと理解しており、対等の立場というものがよく理解できないのであるが、一歩譲って対等な立場となった場合、本庁と地方振興局である業務の執行について、見解が正反対となった場合に県組織全体としてはどう対応するのであろうか。これらの点について御所見をお聞かせ願う。
 あわせて、地方振興局の職員についても、今後ますます権限と責任が与えられることに伴い、みずから判断し行動する職員が求められると思うが、どのように養成していくのかお尋ねする。
 知事演述について、もう一つ気になることがあるのでお尋ねする。
 それは、初めにといういわば序論のところで述べておられるが、これからの私たちの行動いかんによっては、21世紀の新たな価値観に対応した、品格のある地域社会を形成することができる無限の可能性を秘めておるということについてである。知事がお考えになっている品格のある地域社会とは、今我々が先人から受け継ぎ、はぐくんできた地域社会と異なるものなのか。また、異なるとすれば、どのような地域を品格のある地域として定義づけされようとしておられるのか、まずお伺いする。

〇千葉副知事 地方振興局のいわゆる分社化を進めるねらいであるけれども、これは地域における県民サービスの向上を図り、業務遂行上の効果や成果についての県民への説明、責任を一層徹底する観点から、住民や市町村に近いところで、行政を担う地域振興局が地域課題の解決のために、現地で決定権を持って、地域の実情に即した迅速な行政が行われるようにすることにある。
 分社化が進んだ場合の本庁と地方振興局の役割分担についてであるけれども、知事の最終的な責任のもとに、地方振興局は責任ある地域経営の主体として事業実施に伴う権限と責任を第一義的にねらい、本庁は県全体の政策の企画立案・調整と地方振興局の行う事業の評価を担うと考えているところである。
 両者の連携システムについては、必要に応じた庁議、政策会議等への地方振興局長の出席や総合計画策定への地方振興局の参画などを通じて、政策決定過程への参加の機会を、今後、拡充してまいりたいと考えておる。
 なお、御質問のような事案が発生した場合の今後の対応についてであるけれども、現地での原因調査、地域住民への説明、現状回復の措置などの直接事業に伴う対応については地方振興局が、一方、チェック体制の徹底など、全県を対象とした再発防止対策等については本庁がそれぞれ担っていくものと考えているところである。
 それから、これまでの県の行政機構においては、事業の効率性と全県的な統一性、公平性を重視する観点から、本庁と地方振興局が縦割り的あるいは階層的な関係になりがちであったと考えておる。しかし、これからは生活者主権、地域主権の視点が重視されることから地域住民や市町村との連携を深め、地域の実情に即した現場重視の地域経営を推進するため、対等の関係にしなければならないと考えているところである。
 本庁と地方振興局の見解が異なった場合の対応については、地方振興局は責任ある地域経営の主体であり、本庁は県全体の政策の企画立案・調整及び地方振興局の実施する事業の評価を担うというそれぞれの機能を認識しながら、必要に応じた庁議など政策決定への参画や相互の情報のやりとりなどを通じて、十分に連携をとりながら統一的な対応を図ってまいりたいと考えておる。
 具体的には、例えば地域性の強いものや現地での迅速な対応が必要なものなどについては、第一義的には地方振興局の判断を、それから、県下全域に影響があるものや全国的な視野からの判断が必要なものなどについては本庁の判断を、それぞれ優先させるべきものと考えておる。

〇大隅総務部長 地方振興局の職員の養成についてであるが、地方振興局の職員は常に県民の立場に立って、地域のことは地域で完結させていくという意識を持つとともに、地域づくりの担い手としての自覚と誇りを持ち、柔軟な発想で仕事に取り組んでいく必要があると考えておる。このため、市町村職員との合同研修あるいは職員の民間企業への派遣、さらには新しい総合計画地域編の策定作業への主体的な参画や職場活性化実践運動、職員提案などの県政への職員参加、さらには県民サービス向上のための行動計画の策定や、その実践などにより職員の意識改革を促し、前例踏襲や困難な課題の先送りなどの考え方の一掃に努めてまいりたいと考えておる。また、個々の職員がやる気を起こして仕事に創意工夫を凝らし、住民の福祉の増進に資する成果を上げることを通じて、満足感を得られるような職場環境の醸成にも努めてまいりたいと考えておる。
 こうした方策を通じて、変化に対し臨機応変に対処したり、あるいは積極性を発揮して仕事に挑戦する地域経営を担うにふさわしい職員の養成に努めてまいりたいと存じておる。

〇武居企画振興部長 知事演述に関する表現についてお尋ねがあった。
 21世紀を間近に控え、人々の間に真の豊かさを求める動きが強まっておる。こういったことは、20世紀の物の豊かさを優先する社会から豊かな人間性を追求する社会への転換でもあると理解するところである。品格のある地域社会とは、このような21世紀の価値観に対応した、言ってみれば人の心に通じる社会、また、別の言葉で申し上げると、豊かな人間性にはぐくまれ、また、物事の本質的な価値が大切にされる中で、志の高い人々が矜持を持って地域を支える社会、こういったものではないかと考えておるところである。
 これは知事演述の中で、先ほどの品格のある地域社会の前のところに、多様な自然や風土、よき伝統・文化などの日本の心とも言える良質な部分がしっかりと岩手には残されていると触れているところであるが、そういった日本の心という、こういったものとも関連してくるわけであるが、岩手には先達がしっかりと守り育ててきたゆとりと安らぎであるとか、人と人との触れ合いであるとか、21世紀の価値観に通じる豊かな特性がしっかりと根づいていると考えているところであるし、また、時代や地域を先導する幾多の人材を輩出してきたひとづくりの伝統が着実に受け継がれているところである。したがって、私どもも現在と全く異なる地域社会を目指すということではなくて、こうした私どもの地域社会の特性などをさらにはぐくみ育てながら、県民がそれぞれの地域に誇りを持って暮らし、一人一人が将来の夢や人生の目標をしっかりと抱いていけるような社会、これは別のところではドリームランド岩手というような表現も使ったりもしているが、こういったものにも通じるものであると私どもで理解しているところである。

〇水上委員 質問と大分かみ合わない部分もあるが、先を急ぐので。
 次に、地方分権に対する市町村の取り組み状況等についてお伺いする。
 平成7年に地方分権推進法が施行され、その後、第1次勧告から昨年の第4次勧告、そして本年6月ごろには政府において推進計画が策定され、その計画に基づいて、各省庁において法令改正や通達の見直し等が行われ、いよいよそれぞれの施策が実施に移される見通しのようである。県においては、かかる経過と見通しの結果と思われるが、その先取りのごとく県機構の見直しを実施し、その対応に努めているものと存ずる。地方分権をめぐっては、単に権限の委譲のみではとか市町村の受け皿づくりがどうとか、人的あるいは財政的に可能かとか厳しい世論のようである。
 そこでお伺いしたいのであるが、地方分権に対する県内市町村の取り組みや対応はどのようになっているのであろうか。市町村に対する指導状況も含めお伺いしたいと思う。

〇千葉副知事 地方分権の主たる受け手である市町村は、地域における総合的、効率的、しかも個性的な行政を展開するにふさわしい行政体制を整備、確立する必要がある。地方分権推進委員会の勧告においては、市町村みずからが取り組む改革方策として、行政改革や広域行政の推進、地方議会の活性化あるいは行政の公正の確保と透明性の向上などが要請されているところである。県においては、昨年9月、全国地方6団体と共催で地方分権推進フォーラムを開催したほか、地方分権推進市町村連絡会議や分権担当課長会議等によって、市町村の取り組みに対して助言、指導に努めてきたところである。県内各市町村においては、分権時代に対応した行財政システムが確立できるよう、組織機構や事務事業の見直し等の行財政改革や情報公開条例の制定などを進めているほか、分権時代の市町村行政を担う職員の資質の一層の向上を図るため、民間派遣研修や政策形成研修等を実施して、職員の意識改革や人材育成に取り組んでいるところである。さらに、気仙広域連合の設置など、従来の市町村の行政区域を越えた積極的な広域的連携などの動きも出てきているところである。
 また、今後の県と市町村との関係についてであるけれども、県においては、地域住民や先端行政を担う市町村とのつながりを一層深め、地域からの視点でともに考える行政を推進するため、地域の拠点となる地方振興局の機能を強化して、分権時代にふさわしい県と市町村との新しい協調、連携の関係をつくり上げてまいりたいと考えておるところである。

〇折居委員長 おおむね5時になるが、水上委員の質疑を続行したいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。続行する。

〇水上委員 次に、食糧費の問題についてお伺いする。
 この問題については、本会議の場でも先輩議員から質問があったが、私からも若干触れさせていただきたいと存ずる。
 食糧費調査の結果によれば、平成4年度から8年度までの5年間で1、806件、金額で1億5、000万円余が不適正支出であることが明らかにされ、また、実施伺が保存されていないため可能な限り調査を行ったが、適正、不適正の判断に至らなかったものが件数で4、853件、金額で3億7、000万円余ということである。全くもって遺憾とせざるを得ない事態である。
 知事から、関係者の処分、不適正支出分の返還の道筋が明らかにされておるが、5年間について起きた不祥事件について、果たして公平な処分や返還ができるものなのか大いに疑問を持つものであり、また処分される職員、返還に協力する職員の方々の中にも割り切れない気持ちの方が多くいるのではないかと思うのである。いずれ、何よりも大事なことは、今後に向けこのような不祥事が起こらないようにすることである。このため、どのような執行体制を整えていくお考えなのか。特にも、食糧費の不適正支出が行われるに至った原因を追及し、これを是正しない限り根本的な解決にはならないと思うので、この点を含め御答弁をお願いしたいと思う。
 また、食糧費の返還協力に関連し、執行部と両輪の関係にある議会の議員あるいは監査委員に対しては協力を求めないのであろうか。私個人としては、私が当選した後の平成7年度以降の分については責任があるのではないかと思っておるが、当局の御見解をお伺いする。

〇千葉副知事 このたびの食糧費執行の不適正な事務処理が行われていた要因としては、各部局予算経理主管課や出納機関などの関係機関のチェック体制が十分でなかったこと、管理監督者が不適正な事務処理を防止できなかったことなどが挙げられる。まず、このため、内部考査の充実を図るため、一つには、実施要領の見直しを行うこと。二つ目として、本庁による内部考査に加えて地方振興局による内部考査も実施すること。三つ目として、新たに人事課、各部局主管課及び各地方振興局総務部に行政考査主査を配置することとしたところである。また、出納機関のチェック体制の充実を図るため、一つとして、支出負担行為の確認に当たっては、履行確認の内容のチェックを徹底すること。二つ目として、会計事務職員の研修を充実して、その資質の向上と会計事務の適正執行に係る意識の徹底を図ること。三つ目として、会計実地検査を拡充することとしたところである。さらに、不適正支出が行われた背景としては、二次会等の経費支払いのための処理や情報交換のための内部懇談が安易な前例踏襲により行われていたことなどが考えられるので、今後、ただいま申し上げた改善方策を着実に推進して、かかる事態が二度と引き起こされることのないよう適切に対応してまいりたいと考えておるところである。

〇大隅総務部長 食糧費の返還協力についてであるが、今回の食糧費の執行状況調査の結果、不適正な支出と判断されたものについては、職員で構成する食糧費返還会が金融機関から借り入れを行い、一括返還することとしているところである。今回の事態が生じたことは、職員一人一人の公金の支出に対する基本的認識が希薄になっていた結果であり、これは職員に対する指導監督が不十分であったこと、また、管理監督を行う立場にある職員が不適正な事務処理を防止できなかったことに大きな要因があると考えているところである。したがって、返還に当たっては、管理職の協力とさらにはOBの協力などもいただきたいと考えておるけれども、いずれ職員同士で協力し合い完済をしてまいりたいと存じておるところである。

〇水上委員 質問に答弁がない部分があるが、ちょっと差しさわりがあるかどうか、あったら早目に、ちょっと時間ないから。

〇大隅総務部長 県議会議員の皆さんから御協力をいただくということは全く考えていないところである。なおまた、ちょっと申し上げにくいのであるけれども、監査委員については常勤である代表監査委員に対しては、御相談を申し上げたいと考えているところである。

〇水上委員 要は、これから絶対このような不祥事がないようにやっていくことが先決と思うので、よろしくお願いする。
 次に、県の退職職員の再就職についてお伺いする。
 高齢化社会をよりよいものに実現するために、高齢者の社会貢献を前提としたさまざまな社会経済システムの見直しが行われておるが、その一つとして挙げられるのが雇用の問題である。働く意欲と能力を持った高年齢者の知識、技能、経験を積極的に活用することが社会全体の活力に欠かせないからである。ところで、公務員の民間企業への再就職については、これまでにもいろいろな厳しい批判なり議論なりといったことがあったが、近年は、相次ぐ不祥事件を背景に、その規制を強化すべきではないかという声すらある。しかしながら、私は、県職員として長年培った専門的知識や技術力を生かして民間企業に再就職することについては、単に公務員の問題にとどまらず、高齢者各人が目指すような高齢期の新しい働き方を実現させるためにも、これを前向きに考えるべきと思うが、いかがであろうか。要は、退職後も自分の知識、経験を生かして何らかの形で社会貢献をしたいと考えている県職員と、他方では、そうした退職者の知識、技能、経験を生かして、さらに業績を上げたいと考えている民間企業との間の合意こそが大事にされるべきと思うのであるが、お伺いする。

〇千葉副知事 県の退職職員が営利企業へ再就職する場合には、職務と密接に関係する企業への再就職を自粛させたり、再就職を希望する者には、一定期間、県の公共事業等に係る営業活動に従事しないよう要請するなどの制約を設けて対応してきたところである。
 しかしながら、人口の高齢化の進展に伴って、高齢者の労働力の活用は社会的な要請となってきているところである。また、年金制度の改正に伴って、60歳代前半の生活は雇用と年金を主体として営んでいくことが必要であるところから、高齢者の豊かな知識と経験を生かして、その雇用を促進していくことが、社会の重要な課題となってきているところである。県の退職職員についても、高齢社会における人材の有効活用や社会の活力の維持といった観点から、その意欲と能力を社会的に活用していくことは、望ましいことであると考えているところである。なお、再就職に当たっては、採用する側との双方の自由な意思に基づいて円滑に行われることが重要であると考えておる。

〇水上委員 次に、介護保険制度についてお伺いする。
 昨年の12月に法案が成立し、平成12年度から実施されることとなっている介護保険制度は、そのねらいとして、老後の最大の不安要因となっている介護を社会全体で支え、利用者の選択により高齢者介護に関する福祉サービスと医療サービスを総合的、一体的に受けられる制度で、介護を医療保険から切り離し、社会的入院をなくして医療費のむだを解消し、公的機関のほか、民間活力を利用して多様なサービスの提供をするとした、全く老後に不安のない制度のねらいのようである。しかし、法案は成立したものの、詳細についてはこれからのようである。そこで、お伺いしたいのであるが、保険者は市町村となっておる。この場合、これが実施に当たって各市町村の事務処理、体制、財源の確保や施設の整備、専門職員の確保や育成等々、これから相当な取り組みがなされなければ対応ができないのではないかと思うのである。一つの例を申し上げると、保険料徴収を見ても、年金受給者からは天引き、個人は国民健康保険税と同様の納付の仕組みのようである。それでなくとも農林漁業者、自営業者は、国民健康保険税や国民年金の納付に今でさえ大変苦慮されていると聞いておる。すなわち、保険税や国民年金の未納者が年々多くなっているようである。前段に申し上げたように、介護保険制度のねらいは理解できても、いざ保険料の納付となれば、今でも大変であり、死活問題になるとも言われているようである。こうしたことから、実施に向けて、県はもとより各市町村においては、しっかりとした体制の整備と住民の理解が今、最も大切と思われるが、現時点での県の対応と考え方及び市町村への指導状況についてお聞かせ願いたいと存ずる。
 また、施設の受け入れ態勢は間に合うのであろうか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 平成12年度から施行される介護保険制度の円滑な導入を図るためには、高齢者のニーズに応じた介護サービスの確保とともに、保険者である市町村への支援、県民への制度の周知が必要であると考えておる。このため、県においては、保健福祉部長寿社会課に介護保険システム整備監など7名の専門スタッフを新たに設置し、制度施行後の介護サービス提供量などを定める介護保険事業支援計画の策定や、新たに必要となる介護支援専門員の養成に着手するとともに、介護認定審査の試行的な実施による市町村の審査体制の整備や、保険料徴収等の市町村の事務処理体制について、支援を強化してまいりたいと考えておる。また、市町村と連携しながら、パンフレットの配布やシンポジウム、各種説明会の開催などによって、県民への制度の周知に努めてまいりたいと考えておる。なお、市町村の準備事務に対する財政支援として、介護保険事業計画策定などに対する地方交付税措置、保険事務の電算化などへの国庫補助などの措置が講ぜられることになっておる。
 それから、市町村への指導状況についてであるけれども、ことし1月に市町村の担当課長会議を開催して、平成12年度の制度施行に向けた準備内容やスケジュールなどを示して、準備に向けた体制を強化するよう指示したところである。また、地方振興局を中心に、制度施行に向けた地域課題の検討や市町村の準備事務への支援を行っているところである。
 施設の受け入れ態勢についてであるけれども、入所施設である特別養護老人ホーム、老人保健施設の整備については、これまで県の高齢者保健福祉計画に基づいて逐次整備を進めてきておる。平成9年度末の進捗率は、着工ベースで特別養護老人ホームが101・7%と既に目標を達成したほか、老人保健施設も88・8%となっておる。このままのペースで整備が進めば、制度が施行される平成12年度までに、おおむね目標を達成するものと考えているところである。

〇水上委員 たしか施設は間に合わないと思う。何とか頑張って間に合うように努力していただきたいと思う。
 少し次からは早く話しするので、わからない点があったら話ししてもらいたい。
 次に、道路の整備についてお伺いする。
 まず、八戸・久慈自動車道の整備状況と今後の見通しについてである。広大な県土を有する本県にとって、内陸と沿岸の格差を是正し、互いに豊かさを実感できる生活の実現が重要であり、そのためには、高速交通体系の整備促進が必要不可欠と認識されておる。特にも、県北・沿岸部は高速交通体系の整備の立ちおくれから、豊富な海洋資源等を生かし切れず、経済の低迷、雇用や人口の減少等さまざまな課題を抱えているところである。このような中、八戸・久慈自動車道の整備が建設省の直轄事業として鋭意進められていることはまことに心強く、関係機関に対し心より敬意を表するものである。しかしながら、まだ久慈市から階上町間の路線発表もないことや、昨今の公共事業に対しての逆風等を考えると、整備がかなりおくれているのではないかと危惧しているところである。
 そこで、お伺いするが、八戸・久慈自動車道の整備状況と今後の見通しについて、お聞かせいただきたいと思う。
 次に、主要地方道軽米種市線の整備についてお伺いする。
 本路線は、東北縦貫自動車道や新幹線二戸駅等に通じる重要路線であり、沿岸北部や県北地域の発展にはなくてはならない道路と認識しておる。この路線については、県当局の御高配により着々と整備が進められており、特にも交通の隘路区間であったノソウゲ峠の登坂車線の整備によって交通の安全確保がなされ、地域ともども喜びにたえないところである。
 そこで、お伺いするが、同路線の未改良区間である荒屋敷−館野間の改良事業が着手されており、一日も早い完成が待たれるところであるが、現在の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせ願う。
 次に、県北沿岸部と内陸を結ぶ国道281号の平庭峠の改良の見通しについてお伺いする。
 国道281号の整備については、昭和58年度の県単高速交通関連道路整備事業から現在の新交流ネットワーク道路整備事業に至るまで、久慈ルートとして重点的に交通隘路区間の解消等に努められてきたところである。これまでの整備により、危険箇所の解消と時間距離の短縮が図られるなど、その成果は着実に上がってきていると認識しており、その取り組みに対し敬意を表するものである。しかしながら、本路線の状況を見るとき、葛巻町や久慈市内等、交通の隘路区間がまだまだ多く残されておる。特に、冬期の円滑な交通を阻害する峠部は、現在、大坊峠において整備が進められておるが、平庭峠については、急勾配や急カーブの連続する最大の難所として残されており、その整備は地元の悲願となっておる。現在、国では財政構造改革が議論され、公共事業、特にも地方の道路事業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあると聞いておる。このような状況下にあって、国道281号の大きな課題である平庭峠の改良の見通しについて、お聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 順次お答えする。まず、八戸・久慈自動車道であるが、本路線については、平成5年12月に久慈市内の3・2キロメートルが供用されておって、現在、国において青森県側から重点的に整備が進められておる。このうち八戸ジャンクションと八戸南インターチェンジ間8・6キロメートルについては八戸南環状道路として平成3年度事業化され、現在、用地買収が進められておる。また、八戸南インターチェンジから階上間約9キロメートルは八戸南道路として平成7年度に事業化され、測量等の調査が行われておる。残る未着工区間の本県側27キロメートルと青森県側2キロメートルの合計約29キロメートルについては、関係機関の努力と地元の熱意によって、平成9年2月に予定路線から基本計画区間に格上げされたところであって、現在、国においてルートの検討や調査が行われているところである。
 続いて、主要地方道軽米種市線である。お尋ねの荒屋敷−館野間の改良事業についてであるが、平成9年度、国庫補助事業として県単独の地方特定道路整備事業により事業着手したところである。全体延長は2・2キロメートルであって、車両はもとより沿線住民の交通安全にも配慮し歩道設置をすることとしておって、その事業費は約11億円を要する見込みである。進捗状況については、現在用地交渉を進めているところであって、地権者の理解が得られ次第、速やかに本工事に入りたいと考えておる。今年度末までの進捗率は事業費ベースで約18%である。本事業は平成13年度完成を目指しておるが、財政環境の厳しい折、コスト縮減等の努力も重ねながら、早期完成に向け努力を重ねてまいりたいと考えておる。
 続いて、国道281号平庭峠であるが、これは御案内のとおり、平庭峠はこの路線の中でもヘアピンカーブが連続するなど、交通の難所であることから、特に冬期交通の安全確保上、大きな整備課題であると認識しておる。また、日本有数のシラカバ林を有する久慈平庭県立自然公園を通過することから、平庭高原の豊かな自然環境を活用した、地域活性化に資するエコパーク平庭高原構想等との整合を図った道路計画とすることが重要と考えておる。これについては、現在これらのことを念頭に置いて、航空測量による概略調査を実施しているところであって、今後、現地の地形測量や地質調査等の必要な調査を進め、ルートの比較検討など計画熟度を高めてまいりたいと考えている次第である。事業化については、大規模な改築となることから、国庫補助の導入時期を勘案するなど、道路整備プログラムを策定していく中で検討してまいりたいと考えている次第である。

〇水上委員 次に、防災ヘリコプターの燃料補給体制の整備についてお伺いする。
 県では、平成8年10月から防災ヘリコプターの運航を開始し、上空からの消火や人命の救助、緊急患者の搬送などに活躍されているところである。特にも、昨年5月に石鳥谷町、紫波町で発生した山林火災においては、地上の消防隊と連携しての火災防御活動は見事なものであり、今後、同じような災害が発生した場合においても、空からの力強い消防隊として活動してくれるものと心強く感じた次第である。県においては、過去に発生した林野火災の教訓を踏まえ、久慈市を初め、県内6カ所に空中消火用の資機材等を備えた補給基地を整備されておるが、石鳥谷町、紫波町の林野火災を契機に、新たに防災ヘリコプター用の燃料備蓄庫を整備したところである。燃料備蓄庫は、常駐基地の花巻空港から離れた沿岸や県境で防災ヘリコプターが活動するためにはぜひとも必要であり、今回整備されたことについて、高く評価し感謝するものである。そこで、この補給基地にはどれだけの燃料が保管されているのか、不足はないのか、また、実際にこれを活用した事例はあるのか、以上3点についてお伺いする。

〇大隅総務部長 防災ヘリの燃料補給体制の整備についてであるが、昨年5月の林野火災の教訓を踏まえて、花巻空港に近い消防学校を除く他の二戸、久慈、宮古、三陸、花泉の県内5カ所の空中消火等補給基地に、関係市、町及び消防本部の協力を得て、ドラム罐4本、800リットルのヘリコプター用燃料をそれぞれ保管する備蓄庫を整備したところである。このことによって、防災ヘリコプターひめかみは、燃料補給のため運航基地まで戻ることなく活動時間を現地で約2時間延長することが可能となった次第である。
 なお、さらに、活動のための燃料を要する場合においては、航空機燃料販売業者と締結しておる災害時における航空機燃料の調達及び輸送に関する協定によって、活動に支障を来さないよう陸路により燃料の追加供給を受けることとしているところである。
 次に、保管燃料の活用事例としては、本年1月に行った種市町八木港沖合における行方不明者の海上捜索で、久慈地区空中消火等補給基地の燃料を活用して捜索活動を支障なく行ったところである。

〇水上委員 次に、三陸鉄道の経営改善策についてお伺いする。
 三陸鉄道は、年々利用客が減少し続けていること等により、経常損益が3年連続して赤字になるなど、厳しい経営状況にあると伺っておる。マイカーの普及や観光客の低迷など、社会経済的な要因も指摘されているところであるが、やはり地域住民の三陸鉄道に対する意識、開業時の熱き思いに変化が見えてきていることも一因があると考える。私は、昨年の予算特別委員会でも提言したが、利用客をできるだけふやすため、また、利用客に気持ちよく乗っていただくための工夫やアイデアを出していただきたいということである。他県においては、例えば、子供たちに車体に絵をかいてもらい、鉄道に対して小さいころから親しみを持ってもらう、あるいは幼稚園児などの体験乗車促進、駅でのコンサートの開催、地域住民による応援組織の育成等々、利用促進やマイレール意識の醸成に向けたさまざまな取り組みがなされているところである。
 また、本県においては、昨年夏に、久慈−仙台間直通のリアス・シーライナー号が運行され、10年度も引き続き実施すべく予算が上程されているようである。そこで、お伺いするが、いろいろな工夫やアイデアを凝らして利用促進を図っていくことがぜひとも必要と思われる。このことへの県のお考え、仙台直通列車やその他の事業においてどのような取り組みがなされるのか、具体的にお示し願いたいと存ずる。
 さらに、今後の経営改善を進めていく上で、県の役割が一層重要になると思われるが、いかがお考えなのか、お聞かせ願いたいと思う。

〇武居企画振興部長 三陸鉄道の経営改善策についてであるが、委員御指摘のとおり、積極的な利用促進を図ることによる増収、これが経営改善に向けた最大の課題であると認識しているところである。本格的な経営改善策に着手した昨年以来、三陸鉄道、それから沿線市町村、県が一体となって利用促進の取り組みを強化しているところである。具体的に一部例を申し上げると、会社の独自の増収策の一環として、一日フリー切符であるとか、ファミリー割引乗車券などの企画割引乗車券の充実を図っているところであるし、沿線市町村などの協力も得ながら、陸中海岸健康ウオーキング、川柳交流会などの沿線住民の交流イベントの開催を行っているほか、来月、全国菓子大博覧会が開催される時期には、三陸沿岸部から盛岡直通列車を運行するという新たな試みも行うこととしているところである。
 また、委員御指摘あった仙台直通のリレー列車運行事業についても、昨年に引き続いてこの夏にも実施することとしておるが、昨年の運行実績などを踏まえて、今回は昨年よりも長くしてお盆を含む20日間以上の期間を設定して、沿線市町村はもとより観光協会などとも連携を密にしながら、事前PRや歓迎イベントなどの事業に一層積極的に取り組んでまいる計画である。
 これらの取り組みと並行して、県という話があった。県としては、昨年度取りまとめた経営安定化対策に対する調査結果に基づいて、今後とも、地元市町村における何よりもマイレール意識というものがこれは大切になってこようかと思うが、こういった意識が盛り上がるよう機運の醸成に努めるとともに、会社、市町村と一体となって各方策の積極的な展開を進め、経営改善の早期実現に努めてまいりたいと考えている次第である。

〇水上委員 次に、視覚または聴覚の障害を持つ方々に対する県政広報についてお伺いする。
 知事は日ごろ、県政推進の基本姿勢として、県民に開かれた、わかりやすい県政の実現を掲げ、県政の主役は県民であることを強く意識し、県民との間にしっかりとしたパートナーシップを築き、相互の理解と協力のもとに県民のニーズに即した施策を展開する必要があると述べておられる。このような方針のもと、県政に対する理解と協力を得ていくためには、すべての県民がひとしく県政に関する情報を得ることが肝要であると考える。特に、視覚または聴覚に障害を持つ方々にとっては、情報を入手する機会と方法に制約があると思われ、県において、可能な限りこのような方々に対する情報の入手の機会と利便の確保を図ることが必要ではないであろうか。ついては、視覚または聴覚に障害を持つ方々に対する県政広報について、どのように取り組んでおられるのか、お伺いする。

〇武居企画振興部長 県民に開かれたわかりやすい県政の推進に当たって、委員御指摘あったが、県民との情報の共有、こういったものが大変重要になってくると私ども考えているところである。特にも、視覚とか聴覚の障害をお持ちの方々に対する県政広報については、可能な限り、そのニーズに即した情報の提供を図っていく必要があるものと考えておる。
 このため、視覚障害者の方々を対象にして県の総合広報誌であるいわてグラフを点訳した点字広報いわてを毎月発行するとともに、各部局で発行しておる広報誌などを点訳した点字広報いわて特集号を年4回発行して、点字を解読できる個人の方々を初め、点字図書館、盲人ホーム、盲学校、各市町村の社会福祉協議会などに配布しているところである。
 また、聴覚障害者の方々を対象にして、毎週土曜日及び日曜日の午前中に放送しておる県政テレビ番組において、月1回手話を取り入れた放送を実施しているほか、文字放送によって観光やイベント情報、募集案内あるいは各種県政情報などを、NHK総合テレビの放送時間帯に合わせて、これは常時であるが放送しているところである。
 また、先般であるが、ある障害者の方から、インターネットで県政に提案できるようなこういう形がとれて大変うれしいというメールも届いたところであるが、これはどちらかというと聴覚とか、あるいは一般的な障害を持った方々の利用が多いかと思うのであるけれども、インターネットについては、障害者の方々にとって県政情報の入手のみならず、県政に対する意見であるとか提言を行う手段ともなることから、こういった新しい情報通信手段についても、機器の開発であるとか普及状況を見ながら、今後とも適切に対応を図ってまいりたいと考えておる。
 いずれにしても、本庁ベースもそうなのであるが、各地方振興局におけるいろいろ配慮ある取り組みというものが大変重要になってこようかと思うので、ホームページの作成もそうであるし、昨年4月には機構整備によって、保健福祉サービスの一体化や企画機能の充実強化が図られたところであるので、こういった各部門との連携や総合性を発揮しつつ障害を持つ方々に対し、より身近なところできめ細かな県政広報を実施してまいりたいと考えておる。

〇水上委員 次に、農業ふれあい公園についてお伺いする。
 私から申し上げるまでもなく農業・農村をめぐる情勢は、輸入農産物や他産地との競合の激化、さらには、米の消費量の減少や農産物価格の低迷など、まことに厳しいものがある。こうした状況のもとで、特に必要なことは、消費者ニーズにこたえた農産物の生産により、国内産農産物のよさを知ってもらうとともに、国土や自然環境の保全など、農業・農村が果たしている役割、機能の重要性について国民の理解を求めていくことであり、それが今後の農業・農村の振興を図る上で大変重要なことであると考えるものである。また、国民の生活スタイルの変化等に伴い、農業・農村への期待が高まってきていることにこたえ、農業サイドからの積極的なPRも重要である。こうした消費者の信頼と理解の得られる農業・農村の構築については、さきに国の食料・農業・農村基本問題調査会から出された中間取りまとめの中でも、改めてその重要性が指摘されたところである。県においても、消費者等への農業・農村のPRを通じた理解の醸成に積極的に取り組むべきであり、その意味で、私は北上の農業研究センターの隣接地に整備すると伺っている農業ふれあい公園に大いに期待しているものである。そこで、お尋ねするが、この農業ふれあい公園は、具体的にどのような施設、機能を有し運営されるものか、お伺いしたいと思う。

〇吉永副知事 農業ふれあい公園は、本県農業の歴史と特徴など農業に関する資料の展示及び研修を行うとともに、農業の体験学習の場の提供などを通じて、委員御指摘のとおり、農業・農村の果たしている多様な役割と機能について広く県民の理解を得る目的で整備しているところである。主な施設であるが、17・1ヘクタールの広い敷地に現在の県立農業博物館の機能を移転し、本県の未来を担う児童生徒が農業を楽しみながら学ぶことができる内容を加え、充実した農業科学博物館や農業者等への農産物加工研修の場を提供する加工工房を設置するほか、野外には、芝生広場、食用植物の見本園、小川を模したせせらぎ水路、田植えなどが体験できる農園などの施設を設置しておって、全体として、レクリエーション等の公園施設も有する施設としたいと考えておる。その運営に当たっては、隣接する農業研究センターが当たることとしておるが、県民に開かれた、より親しみの持てるものにするために土曜、日曜日も開くなどとしておって、本公園が持つ多様な機能が幅広く活用されるよう努めてまいりたいと考えている次第である。

〇水上委員 次に、津波対策についてお伺いする。
 津波対策事業は、建設省を初め関係4省庁で実施しているわけであるが、今回は、背後に漁業集落があり、多くの住民が生活している漁村における津波対策についてお伺いする。
 一昨年は、明治29年の三陸大津波から100年目に当たり、改めて津波対策の重要性を認識した年である。本県は、この三陸大津波のほかに、昭和8年の三陸津波、昭和35年のチリ地震津波など、数多くの津波災害に襲われており、多くのとうとい生命や財産が一瞬にして失われておる。また、最近においても、北海道南西沖地震や阪神・淡路大震災等の地震や津波による惨事は記憶に新しいところである。幸いに本県においては、チリ地震津波を契機として、津波対策事業や海岸事業を実施してきており、沿岸各地に津波防潮堤が建設されてきた。これによって、背後の漁業集落の多くが津波から守られてきており、これまでの県の取り組みに対して感謝するものである。しかしながら、沿岸を見て回ると、背後に住家が密集しているにもかかわらず、いまだに防潮堤工事が継続していたり、整備が必要と思われる漁村地域が見受けられる現状にある。そこで、お伺いする。現在の漁村地域における津波防潮堤の整備状況はどのようになっているのであろうか。
 また、現在実施している第6次海岸事業7カ年計画の中で、漁村地域での事業について今後どのように進めていく予定なのか、お聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 本県の全海岸延長は708キロメートルに及んで、そのうち105キロメートルは津波や浸食による災害発生のおそれがあることから、海岸法に基づいて海岸保全区域として指定されており、既に所要の対策が行われているか、あるいは今後行うこととしている海岸である。この105キロメートルの海岸保全区域のうち、背後に漁業集落があることなどから、水産庁が所管しておる漁港海岸の延長は54キロメートル含まれておる。本県の津波対策の中でも漁港海岸での防潮堤等を整備しておる漁港海岸事業の役割は、こういう意味においても特に重要なものと認識しているところである。
 漁港海岸事業は、平成8年度を初年度とする第6次海岸事業7カ年計画に基づいて実施しておるが、漁港海岸を津波等から守るためには約44キロメートルの防潮堤を整備する必要がある。平成9年度末の整備完了見込みは24キロメートル、整備率にして54%となっているところである。今後の整備に当たっては、平成14年度を目標とする現行計画に従って進めてまいるわけであるが、平成9年度末までには全体計画の32・4%が完了見込みとなるなど、着実に進んでいるところである。平成10年度から御存じのとおり財政構造改革に基づく公共事業の抑制が行われているわけであるが、海岸事業予算も非常に厳しいものであるが、漁村地域の住民の生命、財産を守るため、現在実施しておる箇所の早期完成を図る等、着実な整備に努めてまいりたいと考えているところである。

〇水上委員 次に、第4次急傾斜地崩壊対策事業5カ年計画の策定についてお伺いする。
 急傾斜地の崩壊防止対策は、崖崩れによる災害から県民の生命を保護し、安全で快適な生活を実現するための根幹的な事業であると思う。国では、毎年のように頻発するがけ崩れ災害に対し、国民の生命、財産を守り、活力ある安全な地域づくりを行い、真に豊かさを実感できる国民生活の実現に向けて、引き続き事業を緊急かつ計画的に推進するため、平成10年度を初年度とする新たな第4次急傾斜地崩壊対策事業5カ年計画を策定したと聞いておる。このことは、立ちおくれている本県のがけ崩れ対策の推進に当たり、非常に心強く感じるところである。そこで、お伺いするが、新5カ年計画の内容はどのようになっているのであろうか。
 また、本県のがけ崩れ対策をどのように実施していくお考えなのか、お示しいただきたいと思う。

〇吉永副知事 平成10年度から平成14年度までの第4次急傾斜地崩壊対策事業5カ年計画は、公共事業が抑制される厳しい中にあって、現計画に対して3%増しとなる総投資額1兆1、900億円とする計画が1月30日に閣議了解されたところである。その内容は5、800カ所の整備を図り、整備率を25%から33%に引き上げるものである。本県の急傾斜地崩壊危険箇所は、全体で795カ所あって、そのうち要対策箇所は673カ所、整備状況は9年度末で26%という水準である。このようなことから、県としても国の5カ年計画に呼応して、県版の5カ年計画を策定し、期間内に44カ所の完成を図り、国の整備目標の33%を目指し急傾斜地崩壊対策事業の推進に努力してまいりたいと考えている。

〇水上委員 次に、林業問題についてお伺いする。
 御案内のとおり、本県は県土の8割を森林が占める全国有数の森林県である。しかしながら、消費木材の8割近くを輸入に依存していることもあり、国産材の価格が長期にわたって低迷し、一方では、林業経営費の増加という要因によって、収益率は低下し、林業経営をめぐる環境は厳しさの一途をたどっていると聞いておる。我が国の木材供給基地の確立を目指している本県にとって、林家の安定的な経営は重要な課題であると考えるが、その対策はどのようになっているのであろうか、お伺いする。

〇吉永副知事 本県の森林は、昭和30年代の後半から本格的な植林が開始され、森林所有者の努力によって、現在34万ヘクタールの人工林を造成しており、その8割が35年生以下の保育、間伐を必要とする若い森林である。したがって、今日、最も行政として取り組まなければならないことは、間伐の適正な実施や経営コストを引き下げるための路網の整備など、そういったことであると考えておる。将来の林業収入の増大が期待できる山づくりを指導していき、長期的視野に立った林業経営の安定と、そういったことを図っていきたいと考えておる。これら人工林の多くが本格的な収穫期に至るまでには、あと少なくとも10数年の年月を経なければならないということがあって、この間はシイタケを初めとする特用林産物を林業経営の中に組み込んだ複合経営を推進し、農林家所得の確保による林業経営の安定に努めることが重要であると考えておる。
 以上の取り組みを支援していくために、各地方振興局に配置しておる林業改良指導員が中心となって、各地域において林業経営に熱心に取り組んでいる指導林家や青年林業士などの地域リーダーと一体となりながら、地域の林家の経営指導を従来にも増して強力に推進していきたいと考えているところである。
 また、平成8年5月に制定された、いわゆる林野三法に基づいて、県としては、平成9年1月に林家の経営目標となる指針について、林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本構想を策定、公表したところである。この中で、林業経営改善計画の認定を受けた林業経営体に対して、経営規模拡大のための林地取得に対する助成やシイタケ等の特用林産物を組み合わせた経営の複合化に対する無利子資金の貸し付けを行うなど、林家の経営の安定に資する諸施策を講ずることとしているところである。

〇水上委員 視覚、聴覚と、それから県の姿勢について2点ほどお尋ねしたいと思う。
 視覚、聴覚についてであるが、傍聴席に聴覚の障害を持つ人が来たとき、手話通訳等を考えておられるかどうか、ひとつお願いする。後で議会と相談してもらいたい。
 それから、きょう知事が在庁かどうかお聞きしたいと思う。

〇折居委員長 これ、委員会……。

〇水上委員 いろいろ県民の目線に立って県行政をするために、大事なことは言葉や普通の話だけでなく、そのときそのときにやっぱり一生懸命対応するという姿勢が大事だと思う。少なくとも県議会議員が全部集まって総括質疑等のときぐらいは県庁にいて、何か有事の際には出動し、いろいろ指示なり答弁するのが筋だと思うので、要望して私の質問を終わる。大変ありがたかった。

〇折居委員長 はい、わかった。
 お諮りする。続く代表質疑はあす行うこととしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。あす以降は毎日午前10時から開会するので、よろしく御協力をお願いする。
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時41分 散 会


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