平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(小野寺好君) 自由公明友愛県民会議の小野寺好でございます。
 さきに通告しておりました事項について、知事及び関係部長に質問してまいりますのでよろしくお願いいたします。
 まず、県財政の見通しについてお伺いいたします。
 昭和から平成に変わって、早いもので10年目になりました。十年一昔と言いますが、1年程度ずつでは気がつきにくいわずかな違いでも、10年もたってみてびっくりするようなことがあります。県債残高もその一つで、10年間で3倍近くまで膨らんでしまいました。去る12月議会では、平成8年度の一般会計決算を認定いたしましたが、この年度の公債費は723億円、県債残高は8、122億円でありました。将来的には返済額のピークは平成13年の1、100億円の見通しであると決算特別委員会でお伺いいたしました。しかし、このたびの資料によりますと、平成13年の県債残高は1兆718億円、平成14年の公債費見込みは1、360億円ということであり、見通しが随分変わってきております。県債には優良な起債があり、その償還のおよそ半分は国からの交付税措置で手当てされるので余り心配はないと聞いてはおりますが、少子・高齢社会での国及び地方の担税力や政府の財政難を考えるならば、県は強固な財政構造基盤を確立すべきであると思いますが、知事はいかがお考えでしょうか。
 右肩上がりの経済、中央集権下での諸制度といったこれまでどおりの手法がさまざまな分野で通用しなくなってきております。つまり、国、地方にかかわらず、制度疲労という言葉に象徴される現象が生じてきているのであります。本県でも、社会の変化に即応した制度改革をし、余計な出費やイベント、事務事業、組織はないか等々検証し直し、昨今要請の強い福祉、保健、医療、教育といった関係の事業に重点的に取り組んで、心のこもった行政を展開していくべきでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、県立大学についてでありますが、自主財源比率が低いため、弾力性に欠ける本県の予算から考えて、総合大学を設立するということは大変なことでありますが、平成6年の構想発表から、わずか4年で開学まで達成してしまったことに改めて驚異を感じるものであり、また、関係者の皆様の御労苦に敬意を表します。
 いよいよ開学でありますが、21世紀につなぐ最大の事業ととらえ、県民こぞって盛り立てていきたいものであります。大学でありますから、柱は教育と研究ということになりますが、当面は教育に重点を置くべきではないかと思います。卒業生を出すまでの最初の4年間が肝心で、特に今春入学の1期生は宝であり大きな期待がかかっております。建物や周辺の環境整備も大事ですが、すべては人で決まります。数ある大学の中から、しかも若者の心をくすぐる有名校主義を顧みることなく、岩手県立大学を選び入学するという意欲を持った学生を大切にしていきたいものであります。また、そのような学生のために、全国から御参集の教授陣にも感謝と敬意の念を抱くものであります。私学と違って、公金での運営という制約のある県立大学ですから、優秀な指導者を招致するにはそれなりの条件整備ということでかなりの御苦労があったと推察いたします。これから学生がふえていき教授陣もそろうと思いますが、財政環境が厳しい中にあっても、所期の目的を達成するには運営費等は将来とも確実に確保していく必要があると思います。
 そこでお伺いいたしますが、今後、県が負担していく経費はどれほどになっていくのかお示し願います。また、日本の大学経営は、学生が負担する授業料等に負うところが多過ぎるのではないかとの指摘もありますが、この点についてはいかがお考えでしょうか、お伺いいたします。
 優秀な知性の持ち主が、その能力を社会のためにではなく、我が身の資産形成と遊興のために駆使して国民の怒りを買っているという事件が続発しております。このような中にあってこそ、我が岩手県立大学の学生は何のために学ぶのか、大学の指導者また県民は、学生に何を期待しているのかといった目的意識を明確にしておく必要があるという観点から、いわば建学の理念をこの際確認しておきたいと思いますので、知事にお伺いいたします。
 また、大学生といえども、大方は未成年で、先輩のいない大学に入学してくるわけでありますから、精神的なあるいは経済的な悩みなども1人で抱えるかもしれません。研究機関というより人間を育てるところと考えた場合、制度や規則を楯に押し返すことなく、学生とともに悩み考える担当者なども必要であると思いますので、その対応についてもあわせてお聞きしたいと思います。
 次に、県が出資している団体についてお伺いいたします。
 新年度予算の歳入不足額は360億円で、今回は基金を取り崩して充当したようですが、次年度以降について、歳入不足額があれば出資団体の見直し等によって行うことも可能ではないかとの観点からお尋ねいたします。
 県が出資している形態や団体はさまざまで、放送局や銀行といった公益性の高い株式会社への出資もあれば、土地開発公社のように、地方公共団体でなければ出資することができないとされているような法律に基づいて設立された法人のものもあります。出資形態によって外郭団体とか管理団体と呼ばれたりしているようでありますが、社会の変化や新たな需要に対応するため次々に設立されてきました。しかし、設立後の運営状況は当初の目的どおりになっているのか、また、だれが最終的に責任を負うのかなどが明確になっていなかったり、場合によっては、その団体が県の職員定数の避難場所とか天下り先になってしまうおそれもあります。このような団体への補助金、委託金、貸付金の合計はかなりの額になっていると思いますので、この際お伺いいたします。
 現在、県の出資法人は県外も含めると126法人で、このうち県が25%以上出資しているなど、県と密接な関係にある法人は53法人あり、出資合計額は253億円、出向の県派遣職員は155人で、県職員の役員就任は延べ129人、県職員のOBの役員、いわゆる県からの天下り就任は44人となっております。本来、それぞれの団体が独自に職員を募り、その中から役員も出せるようでなければ、その団体固有の職員の育成と士気の高揚は図れないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、経営面についてですが、どうせ赤字は県で補ってくれるのだという安易な姿勢があってはなりませんが、現在、赤字の出資法人数及びその額はどのような状況にあるのかお伺いいたします。
 県の昭和59年の出資法人の整理合理化実施要綱により、県職員の法人への役員就任は、平成6年12月までに39法人において97人の縮減をしたほか、1件の出資の引き揚げを行ったと聞いておりますが、その後の経過及び今後の出資の引き揚げや統廃合の見通しについてはどのようにお考えでしょうか。
 次に、職員研修についてお伺いいたします。
 優秀な職員だけをそろえているはずなのですが、知事や部長に陳謝を重ねさせるようではいけませんので、県職員のさらなる資質向上を願って質問いたします。
 県民の期待にこたえ得る職員の育成ということで、さきの知事演述では、職員一人一人が県民サービスの提供者としての自覚云々とおっしゃっていますが、県民が窓口でたらい回しに遭ったり、話も聞いてもらえないなどということがないよう、真に県民のための奉仕者であってほしいものだと願うものであります。
 県自治研修所で発行している冊子で研修概要を見ますと、なるほどきちんとしたカリキュラムのもとで、優秀な研修成果を修めているのだなということがわかります。その中で重点事項の3番目に、公務員倫理の高揚と接遇の向上が掲げられておりますが、知識を与えその習熟度を図るのと違い、倫理と接遇はさぞかし大変だろうと推察いたします。特に、近年の時代感覚、多様な価値観を持つ新採用職員に対し、伝統的研修では対応し切れないのではないかと心配いたします。そのような観点から、地域活動やボランティア活動、さらには民間交流を積極的に行うべきことを提案いたしますが、いかがお考えでしょうか。
 県警察本部の場合は、コンピューターや金融犯罪に対応するための民間企業への職員の派遣研修を実施していると聞いていますが、これとは別の意図で、県の一般職職員は、県民全体への奉仕者であるという観点で民間交流を行うべきであります。一昨日、伊藤勢至議員に対する知事答弁ではこれに前向きの意向を示されましたが、時期、規模、内容等についてもう少し具体的にお示しいただければと思います。実際に、民間企業で仕事をすることによって、その中で接遇や効率的運営、金銭感覚が培われ、視野の拡大と資質の向上が図られるものと思います。職員の公費支出の認識についても厳しく問われている現在、有効であると考えます。
 もう1点は、異動といいますか配置転換に関してであります。
 技術職以外は数年で部署をかわるというのが当然のことになっていて、それも大きく見れば実務を兼ねた職員研修と言えると思いますが、違う分野で勉強し直すよりも、本人の能力、意欲を尊重し、異動することなく固定の部署でスペシャリストになってもらった方が効率的であると思いますが、いかがでしょうか。最先端の職員もそうですが、部長、課長も同様であります。長年、人の動きだけを管理してきての退職では、第2の職場は天下り管理職を探すしかないというのが霞ヶ関の実態のようであります。片や広く業務を覚えるのも結構でありますが、磨きをかけた専門職としての誇りを持って、その分野だけで働くこともいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、乳幼児、妊産婦医療費の公費による助成についてでありますが、これに関しては、当議会で複数の議員からさまざまな意見が出され、また、請願も提出されてまいりましたが、やっとのことでことし8月1日から、幼児は4歳未満児まで対象を拡大するための措置が新年度予算に計上されたことは高く評価したいと思います。しかし、所得制限と給付方法については、もう一歩踏み込むべきではないかと考えます。国の児童扶養手当の所得制限を準用するものの、国は当該手当の所得制限を強化するが、県は現行を維持するから御安心をとの説明ですが、少子化傾向の中で本気で子育てを支援しようというのであれば、このような所得制限は撤廃した方がすっきりすると思いますが、いかがでしょうか。
 また、償還払いでありますが、現在、この方法をとっているのは、全国で21道府県と伺っています。現物給付であれば当座のお金がなくても、窓口に受給者証と健康保険証を持参するだけで済みますから、ありがたさが身にしみてきます。片や償還払いは、一たん窓口で医療費の支払いを済ませてから、後で病院か役所に所定の書類を出して、およそ2カ月後に払い戻しを受けるのですが、同じ額の医療費補助でありながら、まるでありがたさが違ってきます。これは、厚生省が現物給付では受診率がふえ、結果として医療費の高騰につながるとして、現物給付を行う地方自治体に国民健康保険の国の負担額を減額するペナルティーを科しているためであると聞いております。国の言いなりになるのではなく、地方主権の必要性が叫ばれている今こそ、県民のため現物給付を選択すべきであると考えますが、いかがでしょうか、県当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、乳幼児突然死症候群の予防対策についてお伺いいたします。
 ついさっきまで元気だった赤ちゃんが、すやすやと眠っている間に突然死んでしまった。このときつけられる病名が乳幼児突然死症候群であります。日本や欧米諸国のような医療先進国では、かつてのように感染症や栄養失調で亡くなる赤ちゃんは激減し、乳児死亡率は下がっています。そして関心を集めるようになったのが、乳幼児突然死症候群であります。日本では年間約600人がこれによって亡くなっており、乳幼児死亡率原因の第1位になっています。出生した赤ちゃんの2、000人に1人の割合で発生しているといいますから、これを本県に当てはめれば年間およそ6人ということになりますが、実態はいかがでしょうか。
 また、原因と予防対策、この病気で赤ちゃんを亡くしたという親への精神面での支援策等についてお伺いいたします。
 次に、痴呆性高齢者対策についてお伺いいたします。
 正月早々一関市で発生した母親殺害事件は、各方面に大きな衝撃を与えました。ひとり暮らし老人が死後しばらくしてから発見された場合とは違って、一緒に生活している自分の母親をその手で死なせたという、悲惨な事件でありました。母親が痴呆性高齢者であることによる看病疲れと生活苦が原因であったらしいと報じられました。平成6年の資料によりますと、県内の60歳以上の痴呆性老人は944人となっていますが、その後、人数及び痴呆症の重度化傾向が強まっていると聞いております。家庭内生活上の障害、昼夜を分かたぬ徘回等、痴呆性老人を抱える家族の苦悩は深刻であります。先進的な取り組みを行っている地方自治体では、徘回老人の早期発見のため、警察や消防、さらにはタクシー会社に協力を要請したり、緊急通報ペンダントとかPHSを持たせたりして対応するなどして、その家族を支援していると伺っています。我が県でも地域で痴呆性老人家族を支えるネットワークづくりを進めたり、デイサービスセンターの整備、活用、痴呆性老人のためのグループホームの拡充などの取り組みが急がれております。痴呆性高齢者とその家族の実情についての知事の御認識と、今後の具体的取り組みについてお伺いいたします。
 次に、悪質商法対策についてでありますが、悪質商法被害は安穏な家庭を破壊する原因の一つになっておりますが、悪質商法と言われるものには、資格講座や商品販売、先物取引の電話勧誘、催眠商法、連鎖販売取引、いわゆるマルチ、アポイントメントセールス、キャッチセールス等々さまざまな形態があります。いわゆるひっかかったという人から相談を受けることがあるのですが、欺罔やおどしを受けてからも被害届を出すまでの要件を満たしていなかったり、クーリングオフ期間を経過してから後悔してしまっているというケースが目立ち、家庭内不和、支払い不能という結果を招いている例があります。法律のすきをくぐり抜けて、人柄のいい岩手県人を商売の相手にしようという魂胆ですから、結果は明らかであります。行政が手厚い社会保障を目指していても、一方でこうした悪質商法の被害者になっていく年少者や高齢者がふえていくのでは、片手落ちであると思います。宮城県警は、先月、土木や建築の資格講座をかたって詐欺行為を働いた者を逮捕したと報道されましたが、全国規模の犯罪だけではなしに、ローカル的な悪質商法にも対処するのだなと、認識を新たにいたしました。世の中が不景気であるだけにこうした被害者が増加していますが、一般的に、大きな被害が発生しなければ警察は関与しないものなのかどうか、お尋ねしたいと思います。
 訪問販売法等の法律による規制強化もむなしく被害が増加しているように思いますし、県民生活センター等における相談件数も増加していると聞いています。このような状況の中で、経済企画庁は、来年の消費者契約法制定に向けて本格的に作業を開始したようでありますが、現在の救われない被害者がどうであるか、その実態と対策についてお伺いいたします。
 最後に、県庁所在地盛岡市の中心部への県のかかわり方についてお尋ねいたします。
 まず、繰り返し指摘されております中心部の交通渋滞であります。高速道路や幹線道路から市の入り口までの渋滞の中からやっとの思いで中心部に入っても、ここでもさらに渋滞で難儀します。昨日の朝の大渋滞では県立盛岡短大の入学試験の開始時刻を変更したとのことでありました。車の数量だけではなく施設の配置と道路の構造上の問題もあります。ごらんのとおり行政機関は県庁、市役所以外に国の裁判所、法務省等の施設もあったり、緊急車両を有する警察署、消防署、医大や救急センター等のほか、報道、金融機関、その他の企業も密集しております。
 昨年夏の盛岡市民意識調査では、73・7%の市民が交通渋滞を嘆いていると報じられております。このような状況下で、今度盛岡東警察署の現在地での改築が計画されております。これまでの県内の警察署の改築は、機動性を重視しているためか、主要幹線道路沿いになされてきたように見受けられます。しかるに、当警察署は、渋滞の中心部とも言うべき場所での改築計画ということでありますので、その意図をぜひお伺いしたいと思います。
 なお、今後においては、県の施設を含む公共、公用施設については交通渋滞を緩和する観点から、盛岡市の中心部を避けて立地していくべきものと考えます。
 もう一点は、盛岡駅西口開発についてであります。
 現在、盛南大橋を渡って盛岡駅に向かうと、迷路に入ったとの感がいたします。普通は幹線道路が開通すると地域開発が促進されるのでありますが、盛岡駅西口開発については逆になってしまい、先に完成した施設の有効利用がおくれております。また、同地には、平成9年度に販売を見込んでいた公有地約2、800平方メートル、8億7、000万円相当が売れ残り、今後の計画への影響が懸念されております。このようなことから、県道本宮長田町線の早期開通が期待されておりますが、仮称中央大橋を含めた本路線の整備について、昨今の財政事情からどのような見通しになるのか、お尋ねいたします。
 加えて、ここにある9、000平方メートル余りの県有地でありますが、前述の中心部の渋滞緩和と利便性の増進という観点から、現在改築を検討中の県立図書館を設置してはどうかとのまちの声もありますが、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。
 以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県の財政構造についてでございますが、行政改革と財政の健全化が、国、地方を問わず喫緊の課題とされている中にございまして、本県の財政も、県債残高が御指摘のように増加をしております。公債費等の義務的経費も年々増嵩してきておりますことから、今後の内外のさまざまな変動に機動的かつ効率的に対応していくためには、弾力性のある財政構造を確立していくことが極めて重要であると、このように考えております。このため、本県の中期財政見通しを策定いたしまして、将来の県財政を見据えた上で、財政健全化の目標として、歳出規模の抑制、歳入に占める県債依存度の縮減、財政調整基金など主要な3基金の残高の確保、この三つを掲げたところでございまして、また、平成10年度の当初予算を、改革を実行する予算と、このように位置づけをいたしまして、事務事業の評価システムの導入による歳出の縮減と合理化を図る一方で、優先度と緊急度の高い施策の重点的な推進に努めてきたところでございます。
 その結果、県税や地方交付税の伸びが見込めず、公共事業費縮減による国庫支出金の減少など、厳しい財政環境にはあるわけでございますが、財政健全化の目標に沿いながら、保健、福祉に係る施策の充実や、住宅、下水道などの県民に身近な基盤の着実な整備を図ったほかに、新たな時代に対応した、次代を担う人材の育成や地域情報化の推進などの四つの施策については、重点的に予算措置を行ったところでございます。今後におきましても、限られた財源を重点的、効果的に活用しながら、財政の健全化に努めて、県民の福祉の向上を図ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、県立大学の建学の理念についてでございますが、岩手県立大学は、自然、科学、人間が調和した新たな時代を創造することを願い、人間性豊かな社会の形成に寄与する深い知性と豊かな感性を備え、高度な専門性を身につけた自律的な人間の育成を目指すこと、これを基本理念といたしておりまして、豊かな教養の修得と人間尊重の精神の涵養など、五つの基本的方向を定めております。この建学の理念には、豊かな教養に裏づけられた深い人間愛の精神で、社会的な実践に献身をいたしました宮沢賢治の精神に学び、4学部を有する総合大学として、学部間の交流連携を図りますとともに、この岩手という地域に根差して、実学実践を重視しながらも、普遍的で世界にも通用する水準の高い教育研究を目指す、このような願いが込められているものと認識をしているところでございます。したがいまして、私は、県立大学の学生諸君が、まさしくこの建学の理念の精神を体して、4年間の学生生活の中で、豊かな知性とみずみずしい感性をはぐくみ、西澤先生も述べておられますように、地球人の一人として、世界にどのように貢献していくかを把握し、そのための学問をしっかりと身につける、このようなことを期待しているところであります。そして、この県立大学の卒業生が、来るべき新たな時代におきまして、その時代や社会が要請するさまざまな課題の解決に、この岩手はもとより日本全国で、さらには、世界の各地で大きく貢献することを念願しているところでございます。
 次に、痴呆性高齢者対策についてでございます。
 議員御指摘の一関市で発生をいたしました事例につきましては、私も、大変痛ましいことと心を痛めているところでございまして、平成8年度の県の実態調査に基づきますと、在宅の痴呆性高齢者は、寝たきりの状態にある者を除いた数で約1、500人ということでございまして、その人たちの介護に当たる者の約4割は65歳以上の高齢者、しかも多くは女性であるということでございます。こうした中で、在宅で介護している家族にとりましては、痴呆性高齢者が妄想などの症状や徘回、危険行為などの問題行動を伴うことが多いことから、常時目を離せない場合もございまして、精神的にも肉体的にも大きな負担となっているというふうに認識をしております。このため、痴呆性高齢者が住みなれた地域で暮らせるように、保健所、在宅介護支援センターなどにおける痴呆性疾患についての知識の普及や相談、訪問指導の充実を図りますとともに、老人性痴呆疾患センター、これは実は県内に2カ所ございます。この老人性痴呆疾患センターによる専門的な診断、治療などを実施しているところでございます。また、家族の介護負担の軽減を図るため、毎日通所型のデイサービス、特別養護老人ホームなどで夜間預かるナイトケアというものがございますが、このナイトケアや少人数で共同生活を送るグループホーム、こうしたことなど在宅介護サービスの拡充に努めているところでございます。さらに、徘回老人を早期に発見、保護するためにSOSネットワーク、これは警察の方で中心になってネットワークをつくっておりますが、このSOSネットワークや家族の会、ボランティアなどによる幅広い支援体制を整備するなど、総合的な対策を推進してまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、県立大学の運営についてでありますが、県立大学はその基本理念を踏まえ、岩手の地に進取の気性に富み、新しい時代を創造できる人材育成の場として、最先端の学内情報システムや教授陣にふさわしい研究費を確保し、全国に誇り得る教育研究環境を備えた大学として整備しているところであります。
 お尋ねの運営経費についてでありますが、平年ベースとなる開学4年後の平成13年度で、盛岡、宮古の両短期大学を含め70億円程度と見込まれるところであります。この内訳は、教職員の人件費が約34億円で運営費全体の48%を占めており、学内情報システム経費を含めた管理費等が約36億円、52%となっております。その財源としては、授業料等収入が約13億円で19%となっており、そのほか公立大学の運営に対する地方交付税措置として約15億円、22%が見込まれるところであります。なお、現在設置しております短期大学の運営経費が10億円程度となっておることから、県立大学としての純増経費は32億円程度と推計されるところであります。今後、大学の運営に当たりましては、県民の期待にこたえ、建学の理念の実現が図られるよう全力を尽くすとともに、県立大学が公費をもって運営されていることを常に念頭に置きながら、効率的、効果的な運営に努めてまいる必要があるものと考えております。
 次に、県立大学の学生生活への支援についてでありますが、県立大学では、学生が健全で快適な学生生活が送られるよう、施設整備においては、四季を通じて周囲の自然との触れ合いが持てるとともに、人との触れ合いを通じ、学生が豊かな人間性をはぐくむよう、潤いとゆとりのあるキャンパスとしております。学業や課外活動等の学生生活や健康、あるいは進路や就職に関するさまざまな悩みや問題を抱える学生に対しては、学生相談室を初め、健康管理センター及び就職情報センターを管理棟内に設置し、相談に応ずることとしております。これらの具体的な運営に当たりましては、教務・学生委員会や就職委員会など、学生生活に関する全学的な組織と密接な連携を図りながら、また、教員予定者の中には、医学、看護学、心理学、教育学などの専門分野でカウンセリングを行える教員も含まれていることから、これら教員を中心に学生生活に対する支援体制を充実してまいりたいと考えております。さらに、各学部においては、ゼミ、研究室あるいはアドバイザー制度での履修指導など、学生が気軽に教員に相談できるような体制を整えたいと考えております。
 次に、県の出資法人についてでありますが、まず出資法人固有の職員の育成と士気の高揚を図ることについてでありますけれども、県におきましては、県が出資している法人で県行政の推進と密接な関係を有し、その業務の円滑な推進の必要性がある場合には、その法人の要請に応じまして、退職職員を含む県職員が役職員に就任しているところであります。これら退職職員等の役職員就任に当たりましては、当該職員の人格や識見、経営管理能力などを総合的に判断して推薦しております。また、法人の固有の職員、いわゆるプロパー職員につきまして、有能な人材を積極的に幹部職員に登用することにより、職場全体の士気の高揚と事務能率の一層の向上を図ることは、極めて重要であると認識しております。このことから、県といたしましては、法人職員の能力開発を推進するため、法人内の研修の充実を図るほか、必要に応じて法人間の共同研修を実施するなどにより、法人の自主的かつ主体的な運営体制の整備が図られるよう、指導しているところであります。
 次に、出資法人の累積欠損の状況でありますが、県出資等法人指導監督事務要綱により、常時指導監督をしている53法人中、平成8年度決算において累積欠損金を計上している法人は7法人で、その総額は18億6、000万円余となっているところであります。
 次に、出資法人の整理合理化についてでありますが、県におきましては、昭和59年6月に決定した出資法人の整理合理化実施要綱及び平成8年1月に決定した行政改革大綱に基づき、出資法人への県職員の役員就任の縮減や出資目的が達成された法人の出資の引き揚げ等を推進してきたところであり、平成7年1月以降現在まで、役員の就任については、12法人19人を縮減し、また、出資については、5法人の引き揚げをそれぞれ実施したところであります。県といたしましては、行政改革大綱及び行財政システム改革指針に基づき、引き続き対象となる法人の御理解を得ながら、県職員の役員縮減や出資目的が達成された法人の出資の引き揚げを推進するとともに、民法法人の統廃合等についても、計画的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、職員研修についてでありますが、これまでも自治研修所の研修等において、民間企業の講師の活用や幹部社員との合同研修、あるいはハンディキャップ体験や手話入門等の研修を通じて、接遇の向上、経営感覚や福祉の心の醸成など職員の視野の拡大と資質の向上を図ってきたところでありますが、一方で、職員が自発的に社会貢献活動に参加できるよう、その条件整備にも努めているところであります。昨年策定した行財政システム改革指針においては、新たな時代を切り拓く人材を育成するためのプログラムを策定することとしたところであり、地域の方々との交流や民間企業での業務体験などを通じ、常に県民の視点に立って考え、行動するという県職員としての基本姿勢を学ばせるために、地域のボランティア体験や民間企業派遣をその中に盛り込むこととしております。さらに、研修体系についても、従来の機会均等重視型から、職員の意欲を引き出し、能力を高めるための効果重視型への移行を図ってまいる考えであります。
 なお、新年度からは、民間企業派遣研修の内容を拡充し、新たな試みとして流通企業などに職員を派遣して、じかにその現場を体験させ、民間企業の発想や手法を肌で感じることにより、経営感覚やコスト意識を磨くとともに、民間企業サイドから見た行政の望ましいあり方についても学ばせたいと考えております。
 また、固定の部署でスペシャリストを養成すべきではないかということについてでありますが、社会経済情勢の変化に的確に対応していくため、幅広い知識や豊かな経験を兼ね備え、総合的な判断をできる職員の養成を引き続き図っていく一方、今後ますます複雑、高度化、専門化していく行政ニーズに的確に対応していくため、さらに高度の専門的な知識、技術を有する人材の活用も一層必要になってくるものと考えております。このため、その職務内容や個人の能力、意欲などにふさわしい人事配置に配意し、それぞれの組織や業務において必要とされる人材の育成を図ってまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) まず、乳幼児、妊産婦医療費助成事業の所得制限についてでありますが、限られた財源の中で、ますます増大する福祉施策への多様なニーズに積極的に対応するため、福祉サービスの分野においても、それぞれの能力に応じて負担をいただくという観点から、所得制限を導入しているものであります。
 次に、給付方法についてでありますが、議員も御指摘されましたが、現物給付方式を採用いたしますと、国では市町村の国民健康保険に対する国庫負担金を減額することといたしております。このため、本県におきましては、厳しい財政環境の中で福祉施策の充実を図るため、市町村を初め関係団体とも十分に協議を重ねた上で償還払い方式としているものであり、現物給付方式を採用することは、現状では困難であると考えております。
 なお、市町村と連携を図りながら、償還払い方式について、受給者の方々の御理解をいただくよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
 次に、乳幼児突然死症候群についてでありますが、乳幼児突然死症候群は、乳幼児が予測できず突然に死亡するものであり、原因は不詳とされております。本県において平成7年に乳幼児突然死症候群により亡くなった方は4名で、いずれも乳児であり、乳児死亡に占める割合は8・7%で、乳児死亡原因の第3位となっております。
 乳幼児突然死症候群の原因につきましては、呼吸中枢機能の異常との関連が指摘されており、また、疫学的には、うつぶせ寝、母親の喫煙、やわらかいマットの使用等との因果関係について報告がなされているところでありますが、現段階においては十分に明らかにされておりません。現在、国においては乳幼児突然死症候群について全国的な実態調査を行っており、本県においても保健所の保健婦が訪問による聞き取り調査を行っております。今後この結果を踏まえ、予防対策を検討してまいりたいと考えております。
 また、乳児を亡くされた両親に対しましては、保健所保健婦等による訪問相談や情報提供等を行っているところでありますが、今後とも一層の支援をしてまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕
〇生活環境部長(吉田敏彦君) 県民生活センター等に寄せられている悪質商法に関する相談の状況とその対策についてでありますが、相談ケースとしては、学習教材などの家庭訪問による夜間や長時間の販売行為、また、日用品を無料で配り冷静な判断を失わせて高額な布団などを売りつける行為、さらに悪質なケースとしては、一度被害に遭った人を再度勧誘して前の被害を救済するように見せかけて契約をさせる行為などがあり、平成8年度は遺憾ながら相談件数が約1、600件にも上っております。したがいまして、不当な取引等による被害防止のため、県民生活センターや各地方振興局の消費生活相談室においては、消費者からの一方的な解約ができる制度、すなわちクーリング・オフの確認等について相談者や業者への指導を行っているほか、警察本部や弁護士会等と密接に連絡を取り合いながら被害の未然防止を図るとともに、新たな被害の拡大防止に努めているところであります。今後におきましては、相談者の年代による被害の傾向を踏まえた各種啓発講座等の開催はもとより、県の消費者情報誌くらしのひろばや市町村の広報紙に加えて、テレビ、ラジオ等の広報媒体等を通じ悪質商法に関する情報提供を行い、住民みずからがお互いに悪質商法の被害に遭わないよう、自覚を高めるための啓発になお一層努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 県道本宮長田町線の整備の見通しについてでありますが、本路線は現都心と盛岡駅西口地区及び盛岡南新都市地区を結び、新しいまちづくりに向けた軸状都心を形成する上で重要な道路として、平成9年1月に、盛岡市中央通りから国道46号西バイパス交差点まで、約2、760メートルを県道認定したところであります。
 この路線の整備状況でありますが、旭橋交差点から鉄道を越え、雫石川左岸堤防までを盛岡市施行の土地区画整理事業により、また、雫石川を渡り中央公園内を含めた仮称中央大橋につきましては、県が街路事業により、さらに中央公園南端から国道46号西バイパスまでにつきましては、地域振興整備公団施行の土地区画整理事業によりそれぞれ整備を進めているところであり、旭橋からマリオスへのアクセス道路につきましては、平成11年春供用をめどに整備が進められているところであります。また、仮称中央大橋につきましては、現在、自然環境や景観に配慮した整備を目指し有識者の方々から御意見を伺っているところであり、今後、この意見を踏まえて詳細設計を進めるとともに、地元地権者の御理解と御協力を得ながら、できるだけ早期に本格的な工事に着手したいと考えているところであります。
 県といたしましては、公共事業を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、本路線の重要性にかんがみ、事業費の確保に努めながら、地域振興整備公団や盛岡市と十分に連携を図り整備を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) 県立図書館の駅西口地区への設置についてでありますが、新しい県立図書館につきましては、これまで複合施設化の方向で関係部局で協議の上、交通アクセスや周辺環境などの立地条件を考慮しながら、県有地や盛岡市提示の用地等を含め検討してきたところであります。
 今後におきましては、県立図書館と視聴覚障害者情報センターや公文書館との複合施設として整備する図書情報総合センター構想の中で、市町村図書館等との情報ネットワークの中核施設にふさわしい建設地を早期に選定してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君) まず、悪質商法についてお答えいたします。
 被害者のスキにつけ込むいわゆる悪質商法には二つのタイプがございます。一つは、訪問販売型と呼ばれるものでございまして、消防署員とかあるいはNTTの職員、こういうものを装って消火器や電話機を売りつけたり、あるいは興奮状態の中で高額な布団を売りつけると、こういうタイプのものでございまして、岩手県内にありましても被害の多少に関係なく、過去3年で5事件、13名を検挙しております。今一つは資産形成型と言われるものでございまして、最初にもうけ話でつりまして、最終的には多額の金品を詐取するというものでございます。一家離散というような悲惨なケースを招くことが多いのもこのタイプでございます。
 この後者の場合の問題点は、被害者が、被害が相当大きくなるまで、自分がだまされていることに気づかないということでございます。幸い、岩手県にありましては、後者のタイプの具体的な被害申告はございませんが、被害者が気がついていないもの、あるいは泣き寝入りをしているもの、こういうものがある可能性もございますので、広報紙等で広報啓発に努めているほか、警察本部や警察署でも積極的に相談を受け付けております。これらの相談があった場合には、警察といたしましては、被害の多寡にかかわらず、迅速に対応してまいりたいというふうに考えております。
 次に、盛岡東警察署を現在地に建てかえる理由でございますが、警察署の位置につきましては、住民の利用に便利であること、他の官公署との連絡が容易であること、それから警察事象に即応できる場所であることなどを勘案して決定をすることとしております。
 現在地は、公共輸送機関に恵まれておりましてアクセスが容易であること、それから各官公署に近接していると、管内における事件・事故発生地域のほぼ中心に位置しているというようなことから、警察署の位置として最も適当であると考えたものでございます。
 また、ヘリポートあるいは交通管制センターといったような、県下全域をカバーする機能をもこの施設に有する予定でございますので、地盤が強固で大震災にも強く、かつ、警察本部とも近接している現在地は、この面でも最適ではないかと考えている次第でございます。
〇5番(小野寺好君) いろいろ御答弁いただきましたけれども、再度お伺いしたいと思います。
 まず、先ほどの知事の答弁の中で、三つの基金の残高を確保していきたいという御答弁があったんですけれども、その辺ちょっと心配だなということで再度御質問させていただきます。
 財政見通しと出資法人の関係の問題になりますけれども、増田知事の就任1年後の平成8年度当初予算では、基金から310億円の繰り入れをして、そのときはまだ財調等に1、532億円あるという説明をいただきました。ところがまた翌9年度、今度は550億円基金からの繰り入れ、そして今回出ている予算書では360億円の繰り入れとなっております。相次ぐ基金の取り崩しと県債の増発、こういったことが続いておりまして非常に危険な感じがします。そこで、早急に経費節減等を考える必要があると思います。そういったことで私は、人件費と出資団体についてまず検討したらどうかと提案するものでございます。
 県職員の総定数、あと、この総定数を膨らませて県から出向の形をとって出資団体への派遣職員155人でございますが、この点どうお考えになっているのか改めてお伺いいたします。
 また、出資比率25%以上の法人53についてでありますけれども、平成になってから設立されたのが新たに14団体あります。私はもう、これ以上設立は抑制すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、出資団体改善計画といったようなものを策定し、団体の自主性、自立性を尊重し、団体の事業、組織、役員数、報酬、県の財政支出等、数値目標を明示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 この際、事務所経費の節減、事務事業の民間委託、常勤役員、職員の定数基準の確立、役職者の報酬、退職金の見直し、民間からの人材登用、県職員OBのいわゆる天下り禁止、複数の出資法人の役職兼任の禁止なども検討すべきではないかと思います。非常に多忙な知事、副知事におかれましても、多数の法人の代表者になっておりますけれども、果たしてきちんと目が届いて責任を果たせるものかちょっと心配しております。ちなみに、25パーセント以上の出資法人53のうち、知事が代表になっているのは12、そのうち赤字は5団体、吉永副知事におかれましては5団体、赤字は二つ、千葉副知事は三つでありますが全部黒字と、そういったことになっております。
 なお、平成元年の県出資等法人指導監督事務要綱に基づいた定期的な実地検査がなされているとは思いますが、地方自治法第221条第3項に言う元利保証、損失保証等債務を負担している法人への責任と、こういった立法趣旨を考えれば、出資比率25%以上の県と非常に密接な関係にある53の法人について、進んで経営状況または監査状況を公表していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。現在、私どもに公表されておりますのは、地方自治法第244条の3第2項に基づいて議会に提出されております法人27だけでございますが、そういった点も公表していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次、乳幼児医療費の公費による助成についてでありますが、先ほどの部長答弁では、能力に応じた負担、所得制限の、そして償還払いについては困難であると、残念な答弁でございましたけれども。
 まず所得制限についてでございますが、乳幼児の親の所得によって扱いを異にすると、いうこういう現状は、まるで不足しているところに施しを与えるというような感じがして、私はいかがなものかと思います。岩手に生まれた子に対しては、生まれた親の所得にかかわりなくひとしく公費で助成をされることが日常化されてこそ、真の福祉ではないかと考えます。繰り返しますけれども、福祉は決して施し物ではないと、公明はそのように主張してまいりましたけれども、当局の御所見をお伺いいたします。
 また、国からのぺナルティーを避けるための償還払いについてでありますけれども、口で地方分権、地方主権が大事であると言いながら、政府の言いなりになっていた方がいいというのは、中央集権体制への追従であります。どうすることが住民のためになるのか、はっきりと表明すべきであります。実際、幼子を抱えて家庭、病院、役所、こういったところを往復する姿を思い浮かべれば、県民のためにはどちらがいいか明々白々であります。これまでも幾つかの国の制度の中には、ペナルティーを恐れることなく自治体独自の制度を推進した結果、後で国が制度化したという例もあります。子育て支援、地方主権という観点から、現在の償還払いについて再考をお願いしたいところでございますが、再度お伺いしたいと思います。
 次に、乳幼児症候群でありますけれども、欧米の場合、既に80年代後半からこれに対して防止のキャンペーンが繰り広げられているようでございます。これによって発生率が激減したと、このように報告されております。そのキャンペーンというのは五つ内容がございまして、1、仰向けで寝せよう。2、なるべく赤ちゃんを1人にしない。3、温め過ぎに気をつけよう。4、親はたばこをやめよう。5、できるだけ母乳で育てようといった、五つの呼びかけてございます。親への啓発活動と病院、保育所などへの予備知識の普及、浸透を図ることなどを徹底していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 最後でありますけれども、県都盛岡の件であります。仮称中央大橋でありますけれども、この県道に関してさっき部長答弁はできるだけ早期にという、そういう御答弁でありましたけれども、もうちょっと具体的に本当はお聞きしたかったんですが、かつておととしの話でございますけれども、知事が平成10年代半ばに一部を供用したい、そのようにお話しになっておりますけれども、報道によりますと、環境や景観に配慮しながら調査検討が続けられているということではありますが、設計作業や本格着工を前にして国の公共事業関連予算が削減されるなど、財政面で非常に厳しい状況下になってしまいましたけれども、具体的な見通し、こういったものをお伺いしたいと思います。
 また、県有地の活用についてお尋ねいたしますけれども、さきにマリオスと一体となるツインビル、こういったものを計画しているというように伝聞したことがございます。いきなり結論を発表するのではなく、途中経過を示しながら県民の声を聞いて進めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 教育長の方には、県立図書館はどうでしょうかというふうにお聞きしましたら、早期に決めたいと。これまたそっけないお話だったんですけれども、こっちで具体的にこの場所はどうですかと聞いたんですが、いいとか悪いとか、こういう条件でよくないとか、そういった御答弁をお聞きしたかったと思いますので、もう一度お聞きしたいと思います。
 以上でございます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、出資団体への職員の派遣等についてでありますが、出資団体に職員派遣を行うに当たりましては、その所管部局におきまして、毎年度県が積極的に援助または配慮することの必要性の有無、派遣先の団体における業務内容、いわゆるプロパー職員の状況などについて総合的に検討し派遣を決定しているところであり、適正な状況にあるものと考えているところでありますが、行財政改革を推進する中で、定員管理のあり方、出資法人との望ましい関係、出資団体の適切な指導等について不断の検証を加えていく必要があるものと存じております。
 次に、出資法人の設立抑制についてでありますが、県におきましては、新たな出資等につきましては、出資等適正化調査委員会においてその必要性や県行政との関係などについて十分検討し、設立が真にやむを得ないと認められるものについて出資を行っているところであります。
 次に、出資団体改善計画等の策定についてでありますが、県では県出資等法人指導監督事務要綱により、法人の事務事業や組織体制等について指導を行っているところでありますが、国におきまして地方公社等の経営改善指針を現在検討しており、これらの動向を注視しながら適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、知事が代表に就任している法人についてでありますが、県では、行政改革大綱に基づき県職員の役員就任の縮減を図っており、知事の役員就任につきましても計画的に縮減をしてまいりたいと考えております。
 次に、出資法人の経営状況または監査状況の公表についてでありますが、県の出資比率25%以上の法人につきましては、監査状況につきましては県報により公表をいたしているところでございます。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) 乳幼児・妊産婦医療費助成事業の所得制限についてでありますが、社会福祉制度は弱者救済にとどまらず、県民生活の安定を支える役割も期待されているところではありますが、当該事業につきましては、限られた財源の中で増大する福祉施策に対応し、また、社会的公平を図るため、受益者がその能力に応じて負担するという考え方を取り入れているものであります。
 また、償還払いについてでありますが、福祉行政を進める上でも地域主権や生活者主権の考え方は重要と考えており、また、国のペナルティーを科すというやり方が果たしてベストの指導方法であるのか、これは必ずしも疑問なしとはしない面もあるかとは思いますが、現状としましては、本県としましては償還払いに改めることによって県と市町村あわせて9億円の財源が生じており、これを財源として新たな福祉施策の充実を図っているものであります。
 なお、償還払い方式は通常、受給者が市町村の窓口において申請することになりますが、本県におきましては、受診の際、医療機関の窓口で申請ができるように措置するなど、受給者の負担が極力軽くなるよう配慮しているところであります。
 次に、乳幼児突然死症候群につきましては、関連因子を明らかにし予防対策を講じるため、現在、平成9年度の厚生省の乳幼児死亡の防止に関する研究において、就寝時の姿勢や育児環境等について全国規模の調査を実施しているところであり、今後、この調査の結果等を踏まえ、乳幼児の保護者、医療機関、保育所等の児童福祉施設等に対しまして、育児習慣を含めた予防のための知識の普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 県道本宮長田町線の整備についての見通しについてでありますが、先ほどできるだけ早期にと述べましたのは、関係の方々の御理解を得て本格的な工事にできるだけ早くかかりたいという意味でございます。
 また、仮称中央大橋の供用時期についてでございますが、国におきましては、厳しい財政制約のもと、事業の重点化により整備効果を早期に発現できるよう、予算の重点配分を行う方針としているところであります。県といたしましても、盛岡駅西口地区及び盛岡南新都市地区の事業の促進を図る上で極めて重要な路線でありますことから、重点的に予算確保に努め、平成10年度半ばの供用に向けて努力してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 盛岡駅西口地区の県有地の活用に関するお尋ねがございました。これにつきましては、昨年3月に県有地の活用に当たっての基本的な考え方を取りまとめ、また、公表も行いまして、本年度はその考え方に沿って、特に県民全体の貴重な財産でございますので、まず建物ありきではなく、導入にふさわしい諸機能を重点に置きまして、具体的に検討を鋭意進めているところであります。検討に当たりましては、新しい総合計画の策定に際しての県民意向調査でございますとか、関係部局において把握しているところの県政懇談会などでの県民の意見、提言なども参考にしながら、また、特にこれからの県民生活でございますとか行政の役割、こういったものも展望しながら、今年度末を目途に基本構想の取りまとめ作業を行っているところであります。
 なお、来年度以降はこの構想をもとに、各機能ごとに具体的にどのような施設が必要となるかなどにつきまして調査検討することといたしておりますが、県民の皆様との情報の共有は大変重要だというふうに考えているところでございまして、今回取りまとめる基本構想につきましても、取りまとめ後は情報を提供しまして、多くの方々の御意見を参考としながら次の段階の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) 先ほどお話しありました盛岡駅西口地区の県有地でありますが、ただいま企画振興部長から答弁ありましたように、県全体の施設としてどうするかという観点であの場所は検討されております。さらに、図書館として考えた場合に、駐車場の確保がどうなるか、そういう観点もありますけれども、有望な候補地の一つというふうに考えております。
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後3時32分 散 会

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