平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号1997年度岩手県一般会計補正予算並びに第2号、第3号について反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、不況打開のための経済対策とは言うものの、既に破綻している公共事業偏重、借金拡大の従来型の補正予算となっていることであります。
 現在の戦後最悪の不況、不景気の原因は、橋本自民党内閣による消費税の5%への増税、医療費の値上げ、特別減税の廃止による9兆円の国民への負担増によるものであることは明らかであります。不況打開のためには、9兆円の負担増を押しつけるやり方を改めることこそ求められています。消費税5%増税を当面3%に戻すこと、1年限りの特別減税ではなく、人的控除を内容とする低所得者に手厚い恒久的減税を実現すること、医療費値上げ、改悪ではなく、社会保障の抜本的充実こそ国民の消費を拡大し、不況を打開する道であります。
 反対する第2の理由は、公共事業偏重路線が県政をゆがめ、財政危機を加速させているということであります。
 今回、提案されている公共事業の中には、当然県民要求に基づくものもあります。しかし、公共事業の補正予算の約9割を占めるのが農政部関係の予算ですが、今回の補正で97年度の農政部予算は1、171億8、800万円となり、その62・6%、733億7、800万円が公共土木事業という状況にあります。今、農民は、米の輸入自由化と新食糧法による米の暴落、33・6%、3割以上もの減反拡大という危機的状況に直面をしています。農家が求めているのは再生産を保障する価格補償であり、減収の補てんであります。見通しのある農業生産であり、食糧自給率の向上であります。
 一方で農業生産の条件を、そして土台をないがしろにし、他方では基盤整備の公共事業を推進することは農政の最悪のゆがみを拡大するものであります。
 公共事業の内容も、ばらまき型公共事業と言うべきもの、農家負担を一層深刻にしかねないものも少なくありません。藤沢町の総合交流ターミナル施設は総事業費4億6、950万円で、今回補正額が2億円となっています。既に国営農地開発事業で多額の借金を抱えている中で、一層負担を大きくするのではないでしょうか。一戸町釜石地区の農地開発事業は農家1戸当たりの負担金が平均252万4、000円となっていますが、厳しい農業情勢のもとで本当に農家のためになるのでしょうか。広域基幹林道夏油湯田線は、専門家による環境調査でイヌワシ、クマタカなどの絶滅危惧種の生息や貴重種であるトガクシショウマの群落が確認をされているところで、雪崩の常襲地であり、路線の回避が望ましいと指摘されているところであります。豪雪地帯であるこうした工事をなぜ前倒しで行う必要があるのでしょうか。
 反対する第3の理由は、こうした公共事業の推進によって新たに38億500万円の県債を発行し、県債残高が9、165億5、676万円と、予算規模を大幅に上回る借金体質と財政危機を一層悪化させるものとなっていることであります。これは、財政破綻に対応する新年度予算にも逆行するものであります。
 第4に、1億4、870万円余の臨時福祉特別給付金も、消費税増税、医療費値上げの負担増から見るなら極めて不十分なものと言わなければなりません。国民には9兆円の負担増を押しつけ、大蔵省汚職の共犯者でもある贈賄銀行に30兆円も国民の税金を投入することは絶対に許されないものであります。
 また、補正予算の中には、中小企業振興費として35億5、800万円余が計上され、県単融資制度の融資枠を100億円拡大し、県信用保証協会への出捐金を1億5、680万円増額し、積極的な信用保証の推進で中小企業者への円滑な資金供給を支援していくこととしていることは当然のことであります。現状は、金融機関による貸し渋り、債権回収とも言うべき深刻な状況も寄せられており、こうした状況を許さないよう県の対策を強化する必要があります。
 最後に、189億円の従来型の経済対策と213億円余の債務負担行為、あわせて402億6、261万円に及ぶ補正予算を提案した当日に採決を強行しようとすることは、議会の審議、調査、監視を軽視するやり方と言わなければなりません。
 議案第2号、第3号は、農業関係の建設事業に要する経費の一部を関係市町村に負担させようとするものであり、反対するものであります。
 以上で反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(那須川健一君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第1号から議案第3号までを採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、議案第1号から議案第3号までは委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後3時37分 散 会

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