平成10年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成10年10月5日(月曜日)
   

1開会  午前10時5分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 佐藤嘉成
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 森 達也
議事管理主査 熊谷正則

1説明員
企業局長 佐藤克郎
企業局次長 松 浦 彦次郎
企業局技師長 藤原伸彦
総務課長 伊東隆臣
経営管理課長 滝田勇夫
業務課長 武蔵繁明
 
監査委員 一戸克夫
監査委員 佐藤文子
監査委員事務局長 飛澤重嘉
総務課長 青木 拓
監査課長 小 田 中  善 治 郎
 
財政課長 千葉 弘
   

〇藤原委員長 これより本日の会議を開く。
 これより議事に入る。
 認定第1号平成9年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算までの3件を一括議題とする。
 認定第2号平成9年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、企業局長から説明を求る。

〇佐藤企業局長 それでは、企業局が所管する認定第2号平成9年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明申し上げる。
 決算書の説明に入る前に、電気事業と工業用水道事業の平成9年度における経営の概況について御説明申し上げる。
 まず、最初に電気事業についてであるが、昭和32年に胆沢第二発電所の運転を開始して以来、県内の適地に発電施設の整備を進めてきた結果、11カ所の発電所を運転しているところであり、その最大出力はあわせて13万8、750キロワットと、公営電気事業としては全国でも有数の規模となっているところである。しかしながら、本県の電力自給率が低い状況にあることや、水力発電が二酸化炭素などの有害物質を発生しないクリーンで再生可能な純国産エネルギーであることから、その開発に一層の期待が高まっており、今後においても、計画的かつ積極的な開発が求められておる。したがって、平成9年度においても、平成12年度の運転開始に向けて早池峰発電所の建設工事に着手する一方、平成10年度の着工に向けて柏台発電調査事務所を開設し、各種調査を実施したところである。
 また、平成9年度における県営11発電所の総供給電力量は、出水が好調であったことから5億8、000万キロワットアワー余となり、目標に対する達成率は104・8%となっておる。
 事業収支では、供給電力量が目標を上回ったことから、電力料収入が増加したことなどにより、純利益は前年度を上回る13億4、700万円余となっておる。
 次に、工業用水道事業についてであるが、昭和53年度に北上中部工業用水道の給水を開始して以来、その後第二及び第三の北上中部工業用水道並びに2カ所のろ過施設を整備し、平成9年度においては、平成8年度より1社多い誘致企業19社に給水したところである。また、平成9年度における年間総給水量は増量契約があったことから、1、502万立方メートル余と、前年度を4・1%上回ったところである。
 事業収支では、給水収益の増加や高利率の企業債の繰り上げ償還に伴う支払い利息の減少などにより、純利益を4、800万円余計上することとなった。
 なお、この工業用水道事業については、平成3年の12月に、自治省から経営健全化対策実施団体の指定を受け、平成10年度を最終年度とする経営健全化計画を策定し、現在、この計画の達成に向け、鋭意、経営の改善に努めているところであり、平成9年度においては計画どおり黒字決算となったところである。しかしながら、累積欠損額が12億5、000万円余あることから、今後においても、一層、関係部局との連携を密にしながら水需要の拡大を図るとともに、経費の節減に努め、安定した経営の確立に努力してまいる考えである。
 以上、電気事業及び工業用水道事業の経営概況について御説明いたしたが、企業局といたしては、今後とも事業の健全経営に一層努力するとともに、高度化、多様化する県民のニーズに的確に対応しつつ、公共の福祉の増進と地域の振興に積極的な役割を果たしてまいりたいと考えておるので、県議会並びに関係の皆様の一層の御指導をお願い申し上げる次第である。
 それでは、お手元の決算書に基づいてその概要を御説明申し上げる。
 まず、認定第2号平成9年度岩手県電気事業会計決算であるが、決算書の1ページをお開き願う。
 1ページの収益的収入及び支出であるが、収入の決算総額は55億7、300万円余、支出の決算総額は41億8、900万円余である。
 その収入の内訳であるが、第1項営業収益51億9、800万円余は電力料がその主なものであり、また、第2項財務収益2億5、300万円余は株式配当金及び預金利息などで、第3項事業外収益1億2、100万円余は、松川発電所建設に係る利子補給金及び固定資産の売却等に伴う雑収益である。
 次に、支出の内訳であるが、第1項営業費用34億4、800万円余は、発電所11カ所の運転及び管理運営に要した費用で、第2項財務費用5億7、900万円余は企業債の支払い利息で、第3項事業外費用1億6、100万円余は、消費税及び地方消費税納付額及び固定資産の売却等に伴う雑損失である。第4項予備費の支出額330万円余は、消費税及び地方消費税に不足を生じたため支出したものである。
 次に、2ページをお開き願う。2ページの資本的収入及び支出であるが、収入の決算総額は2億3、900万円余で、支出の決算総額は13億1、200万円余である。
 その収入の内訳であるが、第1項企業債1億2、200万円は、早池峰発電所建設事業に係る起債であり、第2項負担金100万円余は、共有施設の改良に係る負担金で、第3項長期貸付金償還金1億800万円余は、工業用水道事業会計からの償還金で、第4項補助金600万円余は、柏台発電所調査費に係る補助金で、第5項固定資産売却代金17万円余は、不要となった固定資産の売却収入であり、第6項雑収入100万円余は、岩洞ダム水利権調査に係る業務受託に係る収入金である。
 次に、支出の内訳であるが、第1項建設費2億500万円余は早池峰発電所の建設費であり、第2項改良費5億2、700万円余は、各発電所の発電施設の改良や更新などに要した経費である。第3項電源開発費1億2、600万円余は、今後の水力発電開発のために要するダム建設工事負担金及び開発可能性調査などの費用であり、第4項企業債償還金4億5、300万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金である。
 なお、資本的収入額が資本的支出に不足する額10億7、200万円余は、2ページの下段欄外に記載してあるとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額及び減債積立金などをもって補てんしておる。
 次に、3ページの損益計算書であるが、営業利益は15億5、200万円余となっており、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失2億400万円余を差し引いた当年度純利益は13億4、700万円余となっておる。
 次に、4ページをお開き願う。4ページの剰余金計算書の利益剰余金の部についてであるが、減債積立金から5ページの中小水力発電開発改良積立金までの年度末の積立金合計額は51億円余となっており、また、当年度の未処分利益剰余金は13億4、800万円余となっておる。
 次に、6ページをお開き願う。6ページの資本剰余金の部であるが、国庫補助金以下3科目の合計額は5億8、700万円余となっておる。
 次に、7ページの剰余金処分計算書(案)であるが、当年度の未処分利益剰余金13億4、800万円余のうち、翌年度以降の企業債償還金に充当するための減債積立金として4億200万円、発電所の改良工事などに充当するための建設改良積立金として5億6、400万円、中小水力発電開発改良積立金として3億8、200万円をそれぞれ積み立て、残額の89万円余を翌年度に繰り越ししようとするものである。
 次に、8ページをお開き願う。8ページから11ページまでの貸借対照表であるが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ343億8、100万円余となっておる。
 以上で、電気事業会計の説明を終わらせていただく。
 次に、認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明いたす。
 決算書の1ページをお開き願う。1ページの収益的収入及び支出についてであるが、収入の決算総額は11億6、700万円余、支出の決算総額は11億600万円余である。
 その収入の内訳であるが、第1項営業収益11億6、600万円余は、一般水及びろ過水の給水料金が主なものであり、第2項の財務収益100万円余は預金利息で、第3項の事業外収益24万円余は過年度分の返還金などの雑収益である。
 次に、支出の内訳であるが、第1項営業費用8億円余は、各工業用水の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用2億8、000万円余は、企業債と電気事業会計からの借入金の支払い利息で、第3項事業外費用2、500万円余は、消費税及び地方消費税納付額である。
 次に、2ページをお開き願う。2ページの資本的収入及び支出であるが、収入の決算総額は4億9、900万円余、支出の決算総額は8億8、900万円余である。
 その収入の内訳であるが、第1項企業債2億5、700万円は、第三北上中部工業用水道建設事業に係る起債であり、第2項出資金1億3、200万円余は、経営健全化対策に基づく一般会計からの出資金である。また、第3項補助金1億1、000万円余は、第三北上中部工業用水道建設事業に対する国庫補助金である。
 次に、支出の内訳であるが、第1項建設費4億5、300万円余の主なものは、早池峰ダムの工事に係る負担金などの第三北上中部工業用水道の建設事業に要した経費であり、第2項改良費800万円余は、建物や機械装置などの改良に要した経費である。また、第3項企業債償還金3億200万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債の償還金であり、第4項の他会計からの長期借入金償還金1億2、400万円余は、一般会計及び電気事業会計から借り入れした資金の償還金である。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額3億9、600万円余については、2ページの下段欄外に記載してあるとおり、繰り越し工事資金、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額及び損益勘定留保資金で補てんしておる。
 次に、3ページの損益計算書であるが、営業収益は3億2、700万円余となっておるが、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失2億7、800万円余を差し引いた当年度純利益は4、800万円余となっておる。
 次に、4ページをお開き願う。4ページの剰余金計算書であるが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金13億300万円余から当年度純利益4、800万円余を差し引いて12億5、500万円余となっておる。また、資本剰余金38億6、700万円余は、国庫補助金が主たるものである。
 次に、5ページの欠損金処理計算書であるが、当年度の未処理欠損金12億5、500万円余は、翌年度へ繰り越しをするものである。
 次に、6ページをお開き願う。6ページから8ページまでの貸借対照表であるが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ138億3、300万円余となっておる。
 以上で、企業局関係2会計の平成9年度決算の説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇藤原委員長 ただいまの企業局長の説明に対し質疑ないか。

〇伊藤委員 自由公明県民会議の伊藤勢至である。会派を代表いたし質問するので、よろしくお願いをいたす。
 まず最初に、平成9年度決算の評価と平成10年度の見通しについてお伺いをいたす。
 まず、電気事業会計についてであるが、本県の県営発電所は現在11カ所の発電所が運転、営業しており、その発電最大出力は13万8、750キロワットで、全国屈指の規模を誇るまでに発展してきたと認識をしており、大変喜ばしいことと考えておる。
 事業報告書によると、平成9年度の総供給電力量は目標を上回る5億8、000万キロワットアワー余となっており、また、事業収支においても13億4、700万円余の純利益となっており、前年を大きく上回る利益を計上しておる。局長は、このような電気事業会計の決算をどのように評価しておいでなのかお伺いをいたす。
 次に、工業用水道会計についてであるが、工業用水道事業会計では、多額の累積赤字を抱えて非常に苦しい経営状況が続いていたところであるが、平成9年度決算においては4、800万円余の純利益を計上し、黒字決算となっておる。単年度ではあるが、黒字を計上した平成9年度の決算をどのように評価しているのかお伺いをいたす。
 また、平成10年度も半年過ぎたところであるが、電気事業会計及び工業用水道事業の平成10年度の見通しはどうか、あわせてお伺いをいたす。
 次に、先般、県は北本内ダム建設休止を発表したところであるが、これに関連して、発電計画と工業用水の転用の見通しについてお伺いをいたす。
 企業局は、現在、3カ所のダム式発電所の開発計画決定地点を有しており、そのうち、早池峰発電所は昨年10月定礎式を挙行し、鋭意、工事中であることは承知のとおりである。しかし、残る2カ所のうち、この北本内については電源開発計画に組み込まれておったようであるけれども、ダム事業が休止となることが決定をされたところである。このことについては、県内均等にという部分については、私個人としてはこの決断に評価をするものであるが、このことを受けて、発電所建設事業についてどのように対処するつもりなのかをお伺いする。
 次に、北本内ダムの建設休止に伴う代替水源の見通しについてであるが、北本内ダムは岩手中部地区の水道用水の確保もその目的としているところである。仮に建設中止ということになれば、ダムに予定していた水道用水の水源確保が重要な課題となってくるものと考えられる。新聞報道などによれば、来年度までにダム建設にかわる代替策を検討していくとのことであるが、その一方で、県営工業用水道事業では多量の未利用水を抱えている状況にある。今後の企業立地の動向によるものと思うけれども、新聞報道にもあるような、例えば入畑ダムを水源としている第二北上工業用水の転用について、企業局としてどのようにお考えなのかをお伺いいたす。
 次に、電気料金の改定について伺う。
 平成7年12月の電気事業法改正以来、電気料金を取り巻く状況は大きく変化しており、新規に中小火力発電の参入による安価な卸料金が設定され、また、現在も電力の部分自由化が検討されているなど、電力料金を国際的コスト水準に近づけることを目標に論議が取り交わされているところである。電気事業者側においても経営効率化の努力を強く求められ、その結果、東北電力株式会社は、平成8年2月に電気料金改定において6・09%という大幅な引き下げを実施しておる。今回の料金改定交渉においては、このような状況の中で行われたものであると存ずるが、当然、電力会社からは電気料金の引き下げ要求がなされたものと思われる。その交渉経過と結果はどのようであったか、お伺いをいたしたいと思う。
 また、このような状況下において、今後における電気事業の経営見通しについてどう認識しているのかもお伺いをいたす。
 次に、県営発電所の今後の具体的新規開発計画について伺う。
 国においては、平成5年6月に水力新世紀計画を策定し、純国産のクリーンエネルギーである水力発電の開発の重要性を考慮し、開発を加速的に進めることにしておる。また、水力開発促進のため、平成7年度から未開発地点開発最適地調査を実施し、第5次発電水力調査の見直しを行うなど、今後においても水力開発を積極的に進めることとしておる。
 ことしの6月にまとめられた電気事業審議会需給部会中間報告においては、長期エネルギー供給見通しから、平成22年、西暦2010年までに一般水力にあっては設備容量2、120万キロワット、平成9年3月末では1、978万キロワットとする目標を掲げたところである。特に、二酸化炭素の排出規制と地球環境問題への関心が高まる中、クリーンエネルギーとして水力への期待はさらに大きくなるものと考えられる。
 一方、岩手県にあっては、現在、早池峰発電所の建設を行っているとともに、平成8年10月に運転開始した松川発電所の下流に柏台発電所の建設を計画しており、今年度建設工事に着手する予定であると承知しておるが、今後の新規地点開発について状況はどのようになっているのかお伺いをする。

〇佐藤企業局長 何点かの御質問があったけれども、電気料金の改定の関係それから県営発電所の今後の具体的な開発計画、この2点については武蔵業務課長の方からお答えさせる。
 まず私の方から、最初に平成9年度の決算の評価、それから平成10年度の見通しというお尋ねについてお答え申し上げるが、まず、電気事業については平成9年度の決算、営業収益の面においては9年度出水率に恵まれたということ、あるいはまた平成8年10月から松川発電所が通年運転をしたという、そういった要因によって大幅な収益の増加が、また、営業費用の面においても費用の節減効果等もあり、単年度の事業収支においては、前年度の純利益を上回る13億4、700万円余の黒字を計上し、また、減債積立金であるとか建設改良積立金といった各種の積立金についても、予定どおりの確保ができたのではないかと考えておる。
 また、電気事業の10年度の見通しであるが、この8月末の現在で申し上げると、料金収入で目標に対する達成率は101・3%となっておる。今後の気象条件などにもよるわけであるが、現時点での事業運営はおおむね順調に推移しておるので、10年度当初予算で計上しておる収益的収支として10億5、000万円ほどであるが、この額については確保できるのではないかという見通しを持っておる。
 次に、工業用水道事業会計の決算の関係であるが、工業用水道事業会計を取り巻く環境というか、特に企業を取り巻く経営環境というものが非常に厳しい状況にある中で、契約量については前年度を上回る日量1、285トンの増量契約を取りつけておる。また、経営健全化計画に基づいて一般会計からの支援により、企業債の繰り上げ償還による財務費用の大幅な縮減などによって、単年度4、800万円余の純利益を計上することができたと考えておる。この純利益によって累積赤字を若干圧縮されたわけであるが、まだ多額の累積赤字を抱えておる。そういうことで、経営状況は依然として厳しい状況にあるわけであるから、今後とも水需要の拡大とかあるいは経費の節減等に努め、効率的な事業運営に努めていく必要があると考えておる。
 10年度の見通しであるが、8月末現在で料金収入が前年実績を上回る2・5%増程度になっておる。
 そういうことで事業運営はおおむね順調に推移しておるので、現時点では平成10年度の収益的収支においても、黒字を確保できるのではないかと考えておるところである。
 それから、次に北本内ダムの建設休止に関連して、まず発電所の建設についてのお尋ねがあったが、北本内発電事業については、これまでダム工事の工程に合わせて、土木部との基本調定に基づいてダム事業の負担金の支払いであるとか、あるいは発電に係る基本設計など実施してきたところである。ダム事業のこれが休止ということになれば、このダムの計画に共同事業者として参加しておる発電事業についても、休止の方針に沿って見合わせるということになるものと考えておる。
 それから、代替水源のお尋ねであるけれども、代替水源として工業用水の転用ということをどのように考えておるのかという御質問である。
 現在、工業用水道全体としては契約率がまだ半分にいっていないと、47%程度である。このうち入畑ダムを水源とする第二北上中部工業用水道については、計画給水量が日量約4万8、000トンである。このうち契約水量が約1万6、000トンということで、約3万2、000トンほどの未売水を抱えておる。そういった中で、私どもとしては、この未売水を早期に解消していくということが大きな課題である。そういったことで、このたびの北本内ダムの休止ということで、岩手中部広域水道企業団の水道用水に係る水源の確保ということが一つの課題として出されておるわけであるが、この代替水源については、今後、関係機関で検討をされていくというふうに考えておるが、一つの選択肢として、入畑ダムを水源とする第二北上中部工業用水道の転用も検討の対象になるのではないかと考えているところである。ただ、この場合、第二北上中部工業用水道、現在、岩手中部工業団地に給水をしておるわけであるけれども、これに加えて北上南部工業団地、ここに約1万8、000トンほどの供給も見込んでおるわけである。そういった状況も踏まえながら、県全体の利水調整の中で検討されていくべきものではないかと考えておるところである。

〇武蔵業務課長 電気料金の改定についてであるが、平成10年、11年度の今後2年間の電力需給契約に係る料金ということで、ことし1月から電力会社と交渉をいたし、3月に妥結しておる。電力会社からは当局に対して、経営効率化とかあるいは事業報酬率の引き下げというような要求が出てまいったが、当局としては、事業のより一層の効率化とかあるいは健全経営を図るという観点から、必要な経費とかあるいは事業報酬が織り込まれるよう強く要求いたした。交渉はかなり厳しいものがあったけれども、最終的には平成8年、9年の料金単価8円42銭に、平成8年10月から運転開始をした松川発電所を合算して算出した単価8円57銭から一括で8円59銭に引き上げることで合意をして需給契約を行っておる。
 今回の交渉に当たっては、電力会社の小売料金がことしの2月10日から6・09%引き下げられたと、その後の交渉という状況の中では、まずまずの結果ではなかったかと考えておる。全国的には、15の道県等が契約更改を実施しておるが、料金単価では平均0・21%のアップになっておる。本県の場合は、0・23%のアップになっておる。
 今後の見通しであるが、現在、公営電気の経営は安定的に推移しているわけであるが、事業報酬率の見直しが求められているなど、今後も公営電気を取り巻く状況は一層厳しいものになるものと予想されておる。これまで以上の経営効率化を進めるとともに、総括原価主義のもとで、適正な費用あるいは適正な事業報酬が電気料金に盛り込まれるように努めてまいりたいと思っておる。
 それから、県営発電の具体的な新規開発の見通しについてであるが、ただいま委員御指摘のとおり、二酸化炭素の排出規制など地球環境問題の関心が高まっておる。その中で、クリーンエネルギーとして水力発電への期待はさらに大きくなるものと考えておる。このような状況の中にあり、本県においても新規開発の必要性を十分認識しているところであり、新規開発地点として、現在、雫石町の有根沢地点それから一関市の槻木平地点などについていろいろ調査を実施しているところである。
 有根沢地点については、これまで国の助成制度を活用して地質調査とか概略設計を行っておる。今年度も引き続き地質調査、ボーリングなどを実施しているところである。それから槻木平地点については、同様に国の助成制度を活用して、流量調査とかあるいは概略設計を実施しているところである。それから、南本内地点など5地点については、引き続き流量観測を実施することとしているところである。

〇伊藤委員 県内の電力の消費量に対する県内の施設の供給電力量が21・7%という大変少ない量だと思うが、そういう中で、県内の河川は北上川、米代川、馬淵川、1級河川3本あるいはその系列206、それから2級河川を含めると104河川、あわせて310河川ぐらいの河川がある。こういう中で、県内の自給率という部分、それから多くのまだ河川があるという部分、今、鋭意新規の調査を進めていると、こうおっしゃったが、一体この岩手県の消費電力量に対する自県の供給量をどこまでアップしたらいいのか、どこら辺が妥当だとお考えなのか。これは河川の形態によってはダムを設けれるところ、設けれないところもあるのかもしれないが、一体、企業局としては、県の発電総量をどこら辺のレベルに行くのが妥当だとお考えになってこれを進められるのか、その辺についてまずお考えをお示しいただきたい。

〇武蔵業務課長 ただいま自給率についてお尋ねであるが、御指摘のとおり、県内では約2割となっておる。本県の自給率が低い原因ということについては、本県には大型火力とかあるいは原子力といった大規模な発電施設がないことが挙げられておる。県内の電力需要に対して安定的な供給を図っていくためには、自給率の向上が望まれるわけであるが、平成9年度における企業局の年間総供給量が、県内の年間消費電力量に占める割合が全体の6・9%になっておる。それから、県内の施設が供給した電力量に対する割合は30・2%となっておる。
 ただいまお話しあったような、企業局が開発を行っている中小水力発電では、一生懸命やっても大幅な自給率の向上は難しいものと考えておる。ただ、今後とも新規の電源開発に努め、自給率の向上に少しでも寄与してまいりたいと考えておる。
 それ以外にもRDFとか太陽光、風力などの発電なんかもあり、岩手県新エネルギービジョンによれば、2000年度には11万1、000キロワットの導入目標を掲げているというようなこともあるので、これらについても地域エネルギーとして活用するために取り組んでまいりたいと思っておる。

〇伊藤委員 総発電量の目標というか目的というか、そういった部分は当面ないけれども、徐々に地道にやっていくしかないと、こういうことであろうか。
 というのは、そういうことでどこまで自県の電力消費量をアップしていくかというのは、やはり自主独立の精神を持つという中において、食い物とかあるいはエネルギーぐらいは自前でもっていこうと、こういう部分の議論をしていく際に必要な部分だと思う。どうしても足りないというのであれば、それを補うものとして火力がいいのか、あるいはもっと論を進めて原子力までいくべきか、そういった部分まで入っていかないと、21世紀の岩手のエネルギーという部分に入れないと思うからお聞きをしているわけであり、やはり目標というか何年ごろには何%ぐらいをどういった部分で、そして足りない部分は何でいくのかという、そういう議論もぜひお持ちをいただきたいと思う。
 それから、先ほど県内河川の中でそれぞれ調査をしておられるとおっしゃった。局長は冒頭の説明の中で、県内の均衡ある発展に努力をしたいと、こう申された。そういう中で振り返って、県内には46カ所のダムがある。つまり、発電機能を持っている持っていないにかかわらず46カ所のダムがあって、その中で発電機能を有するのが11カ所と、こういうことだと思うが、このダムの立地の場所を岩手県の平面図的に見ると、どうもあるところに偏っているのではないかと、そういう感がする。
 例えば、盛岡市をとってみると、御所ダム、四十四田ダム、綱取、今度議論をしたいが簗川、あるいは岩泉にある岩洞という部分もやや盛岡かと思うが、盛岡にはぐるっと周囲に五つものダムが集中をしておる。あるいは内陸の方、これは川の性質かもしれないけれども、そういう中にあって、一方、沿岸等においては、農業用あるいは洪水調節用のダムまで含んでダムがほとんどない地域がある、偏在をしておる、こう思う。そういった中で、ダムの設置をした後、効果だけではなくて、ダムを設置することによって人工湖ができる。人工の湖ができる。そうすると、そういうところに大体県立自然公園というものが張りついてまいる。湖を利用したレジャーとかあるいは周辺を利用したレジャーとかそういった部分。これはダムの一つ目の投資効果、プラスの効果があるわけであるが、そういうのがない地点においては二つも三つもの外れがあるのだと、こう思う。もちろん、ダムをつくるには河川の性質という部分もあるのであろうが、こういう偏在性があったのではないかという部分について何かお考えがないであろうか。

〇佐藤企業局長 まず最初に、企業局の電力、発電能力をどの程度までというお話があったが、先ほど担当課長の方から御説明申し上げたように、現在11カ所の発電所のほかに新規の開発ということで、いろいろ条件的には、現実には厳しくなってきておる、山間の地域に新たな開発をしていかなければならないというようなことで。ただ、いずれ私どもの水力開発については、先日というか、今年度公表された県の新エネルギービジョンにおいても、平成7年度末で、これ自家用も含んでおるけれども26万3、125キロワット、これを2010年度には28万5、000キロワットに引き上げるという目標値を掲げておる。したがって、私どもも水力については今後ともその開発については、鋭意、努力してまいりたいと思う。
 それから、ダムの立地の場所が偏っているということに関連してのお話であるが、ダム式の発電所を私どもも幾つか北上川の水系を中心にして運転をしておるわけであるが、ダムについてすべて発電をやっているということではない。これはいろんな条件があり、例えばダムの形態によってある程度、何というか傾斜というか流量というものが確保できるかとか、そういう条件があってなかなかダムが開発された場合乗れないという事情もあったわけで、現在、北上川水系を中心に発電を実施しているわけであるが、いずれ、今後なかなか新しいダムの建設というものも難しいような状況にはなろうかと思うけれども、前段申し上げたような形で、できるだけ適地を調査しながら、特に今年度は県央とかあるいは県南の方についても新たに調査をしてみたいということで、今、専門機関、調査機関の方にも委託して検討しておるので、いずれ、できるだけ適地を探しながら新しい水力の開発に努めてまいりたいと考えているところである。

〇伊藤委員 あと2点ほど伺って終わりにしたいと思う。
 そういう中で、ダムの河川における立地の問題等があって先行きが相当厳しいということであった。企業局はかつて、発足以来、電気事業それからもちろん今の水道もであるけれども、そのほかに観光事業あるいは有料道路事業というものを持っておられた。そういった中で今、経営が当時どうだったかは別にして、道路については、田野畑の明戸から太田名部まで抜けるかつての有料道路、あるいは宮古の浄土ケ浜有料道路、これらはいずれも今は現地にとって大変重要な足となっている道路である。観光施設についてはちょっとわからないけれども、いずれこの部分がかつてうまくいかなかったからといって、次なる新しい分野を開拓しないということでは困ると思う。その中で、先ほどお話があった新しいエネルギー開発に取り組むんだと。そういう中でRDF発電あるいは太陽光、風力等々いろいろやっておると、こういうことであるが、その際の情報収集というか、全国に先駆けていろんな動きをしていくんだという中で、どのような情報収集をされながら新規分野、新しい部門を持とうという努力をされておるのか。かつてあった二つ、三つの部分がなくなって電気と水道だったら全然進歩がない。だったら名前をもとに戻してもいいのではないかという議論さえあるやもしれないけれども、いずれ新規開拓をしながら、県内の均衡ある発展に努力をするとおっしゃるのならば、有能なスタッフ、それからノウハウをいっぱい持っている企業局であるから、新しい分野に向かって大いに取り組むべきだと思うのであるが、そこら辺をもうひとつ考え方、取り組み方、情報収集をどのようにされておるのかお伺いをしたいと思う。
 それからもう一つ、簗川ダムという部分が出てまいるが、この簗川ダムは従来のダムと全く様相が違うのではないかと思うのは、簗川ダムが位置をする堤体の位置は、現在の106号の道路の真上に堤体が来ると、こういうことであるから、この堤体工事に入る前には、106号の切り回しが完了していなければこの堤体工事に入れないのかと、こう思うわけであり、これは宮古、下閉伊の県民にとっては大変関心の高い部分である。したがって、現在の106号が7・5キロ水没をするから新しいルートを6・5キロ通すと。トンネルが3本、14本の橋と、こういう大変大きなお金のかかる仕事だと思うが、進め具合等のスケジュールについてお知らせをいただきたい、この2点をお伺いする。

〇佐藤企業局長 簗川ダムに関連の御質問については、武蔵業務課長の方から御答弁させる。
 まず、新規事業の分野に取り組むに当たっての情報収集をどうやっているのかというお話であるけれども、私ども、いろいろと電気工業用水道事業以外の新しい事業について、企業局として取り組む分野がないのかということでずっと検討しておるわけである。これについては民間サイドとのすみ分けの問題であるとか、あるいは仮に公営企業として実施していく場合に、これは独立採算という前提から考えて長期の収支の見通しがどうなのかと、いろんな検討が必要なわけであるけれども、そういったことから、現在、具体の事業化に至っていないという状況なわけであるけれども、現在、私どもの方で取り組んでいるものとしては、新エネルギーの分野ということで一般廃棄物を利用したRDF発電であるとかあるいは風力発電、さらには県内にはたくさん、一つのこれは大きな課題になっておるけれども、間伐材を活用したバイオマス発電であるとか、そういった取り組みを現在しておるわけである。
 RDF発電については、実は全国的にも各自治体で取り組みが進んでおり、そういう取り組みの状況等を今情報収集しているわけであるけれども、特に私ども去年の6月に全国のRDF自治体会議というものができたのでこれに積極的に参加して、特に知事に副会長についていただき、積極的な情報収集に努めておるところである。
 また、風力発電についても、かなり民間サイドで技術開発等が進んでおるので、そういうものについても民間の方に来ていただいて、そういった技術開発の状況等を把握しておるし、また、バイオマス発電についても、最近、国の方でも発電について検討をする方向にあるやにも聞いておるので、関係の林業水産部にも働きかけながら、一緒にこの事業について取り組んでいきたいということで、いずれ、できるだけアンテナを高くして、この新エネルギーの分野についてはいずれ日進月歩、すごく早い状況であるので、タイムリーな情報収集には努めているところである。

〇武蔵業務課長 簗川発電所の建設見通しについてであるが、簗川ダムの維持放流を利用して最大2、000キロワットの発電を行う発電所を計画しておる。簗川ダムは平成4年に建設採択され、平成8年度用地補償協定が整い、現在、ダムの地質調査やつけかえ道路工事を進めていると聞いておる。
 簗川発電所の建設については、これまで基本設計、環境影響調査などの諸調査とか設計を実施してきており、今後はダムの工程に合わせて建設に着手してまいりたいと考えておる。
 今、お尋ねの106号の切りかえについては、現時点では詳細のところまでは承知しておらない。一応、当初計画で我々も発電に参加したいということで予定しておる。

〇伊藤委員 最後であるけれども、今、情報収集をアンテナを高くしてやっていきたい、そしていろいろ検討していきたいと、こういうお話であった。しかし私、この3年間いろいろお伺いをしてきた中で、情報を集めよう、検討しよう。全く「検討局」。こういうことであり、さっぱり一歩を踏み出していないんじゃないかと。つまり、私たちあるいは県民は、集めた情報そして検討した結果、ぜひ一歩を踏み出していただきたい、こういうことを願っているわけであり、最初からサマージャンボ宝くじが1回買って当たるなどと思っていない。であるから、いずれそういうものを買いながら努力をしてほしいと、こういうことを願っているわけである。
 例えば、通産省においては、ニューサンシャイン計画の中でさまざまな技術開発に取り組んでおる。例えばCO2排出抑制等に重点を置いたアモルファス太陽電池、あるいは自動車用のリチウム電池。リチウム電池というのは今の電話が携帯になっているが、この携帯にも使われている大きな役割を担っている電池であり、これからの電気自動車の電池にはこれが最適だろうと言われておる。
 そういう中で、9月9日に宮崎県に委員会で行ったときに、海水からリチウムを採取して、これを今通産省が積極的にやっていて技術が大体確定されたような報道があった。これ一部おあげしていたけれども。そこで、私単細胞であるから思ったが、このリチウムというのが黒潮に多くて親潮に少ないかどうだかわからないが、三陸沖というのは黒潮と親潮がぶつかるところだと。だったら、両方の潮流からリチウムが採取できないか、こういったものに取り組んでいただけないかと、今、県庁内にお願いをしているわけであるが、いずれ、これからの環境創造元年をうたっている岩手県の部分には、こういったものも大変役立つ部分であろうと思うから、情報収集をされたらぜひ一歩を踏み出していただきたいと、そういう部分を強く要望しておいて終わりたいと思う。

〇佐々木(一)委員 新エネルギーのRDFに関連してお尋ねするが、知事が全国の副会長というお話は賜っておった。そこで生活環境部が2014年と記憶しておるが、今の県内のごみの広域化計画を徐々に各地区で進めており、老朽化したものは広域的に新設にして、県内6カ所と伺っておるが、この新エネルギーのRDFと生活環境部の広域化計画と、これはどのように企業局で現在調整を進められておられるのか。これは2014年と先の話であるが、もう既に生活環境部が動いておるので、それについてお伺いしたいと思う。特に環境ISOの14001、これを取ろうということで今議会でも補正等も出ておるので、よろしく御答弁をお願いする。

〇佐藤企業局長 市町村における一般廃棄物の広域化計画に関連してRDF発電の取り組みということであるけれども、私どももこの生活環境部でまとめた広域化計画ができる前から、RDF化さらに発電の事業化の可能性について検討してきたわけであるけれども、今回そういった形で6カ所であろうか、6ブロックで一応の広域化計画が整理されたということで、今年度はそのブロックを前提にして具体的な、例えばごみの収集量がどれぐらい確保されるか、あるいはそれによってどの程度の発電が可能なのか、それによってどの程度採算性としてどういう形になるのか、これをベースにした専門の調査機関に今年度委託調査を依頼しておる。年内にはある程度の調査結果は出てこようかと思うので、それを踏まえてさらに事業化に向けた検討を進めたいと思っておるし、それから、生活環境部の方でもRDF化の推進ということで協議会をつくって、これ外部の先生方も入っておるようであるけれども、そういう協議会を設けてRDF化の推進のための組織で検討しておるので、そういうものの進展具合、検討の進展の状況等を見ながら、発電事業の可能性について引き続き検討していきたいと考えておる。

〇堀口委員 電力自給率ということについて、本県としてはやっぱり21世紀の県民生活ということで最大の大きな県政課題だと、こう常に思っておる。人類が生きていく上で水、空気、食料と、これに加えて今日は電気がなければ、人間はもう死ぬというくらいの人類の生活に最大の問題だと、こう言われておる。そういう意味で自給率ということは果たして--お隣の県に大規模電源があるから電気の場合は引っ張ってこれるから、どの程度自給率ということが重要なのかはさて置いて、やっぱり本県としては電力、電気の自給率ということを、21世紀に対して重要課題として検討する必要がある。これ県勢発展計画の中に、そういう長期計画があると思うけれどもどう組み込まれておるか、そういうことをひとつお聞きしたい。
 この大規模電源がないという本県は、どうしても東北6県で一番ネックになっておるが、この大規模電源に対する今後の本県導入計画に加え、自給率ということについて、21世紀の本県県政上どういう位置づけをしておるか。これは企業局だけの県政のことではないけれども、岩手県全体の県政の21世紀に対応する重要な一つの課題であろうと、こう思うので、そういう長期展望を含め、本県県政上、電気の自給率ということについてひとつお考えを示していただきたいと思う。

〇佐藤企業局長 大変大きな問題であるけれども、実は、エネルギーの長期見通しあるいは需給確保というか、そういった問題については、企画振興部の方で所管しておるわけで、私どもはその一環として水力なり、あるいは新エネルギーの開発に努力しているわけである。今委員おっしゃるとおり、本県にとって電力の自給率が2割程度であるということで、今後の21世紀の状況を考えると、これは向上させていくということが本当に重要な課題であると私たちも思っておる。そういうことで、先ほどもちょっと申し上げたが、水力についても約2万キロワット程度を2010年度までにふやしていくという計画となっておるので、さらには、新エネルギーについても、2010年度までに約11万キロワットに持っていくと、そういったビジョンが示されておるので、私どももその方向に沿って、水力の開発あるいは新エネルギーの取り組みを精いっぱいやっていきたいと考えておるところである。

〇堀口委員 水力であるけれども、中国の長江のような、ああいうことまでは別として、本県でももっと大きい水力の対象になるところがないものかと。かつてどこかの学者が、あれは八戸に水道でダムという問題が起きたときに、馬渕川に50万キロワットぐらいの水力発電が可能であるというのを言ったことがあるのである。だから、2万とかそんな小さな問題ではなく、もっと大きい水力をつくれる対象が県内にあると思う。そういう検討をひとつしてもらいたい。

〇藤原委員長 御要望であろうか。

〇堀口委員 要望ではない。過去に学者でそういうことを言った人もあるから、やるところはないであろうか。

〇佐藤企業局長 大変遠大な計画を持ったらいいのではないかというお話であるけれども、藤原技師長の方から答弁させる。

〇藤原技師長 ただいま、大規模電源を用意したらよろしいのではないかという御指摘であったけれども、私どももそれなりに大きな夢は持ってはいるのであるけれども、例えば揚水発電であるとか、そういうものも内々研究をしてみたことがあるのであるが、東北電力との系統の関係であるとか、あるいは開発費用が数千億円という大台になる、そういうことで、また国の方針として、そこまで公営電気には期待をしていないということから、私どもでは、夢は夢として温めてはおるけれども、当面、ここ何年かの間に実現するとは、今のところは考えておらない。

〇千葉(伝)委員 私からは、大きく4点お伺いしたいと思う。まず最初に、危機管理の観点からお伺いしたいと思う。
 去る8月26日から9月1日にかけて、大雨洪水災害及び、9月3日岩手県南西地震、またその後も台風等があり、周辺地域においては大きな被害を受けたところである。被害に遭われた方々に対し心からお見舞い申し上げる次第である。
 さて、企業局では、県内各地において発電施設、工業用水道施設を運営し、いわゆるライフラインの一翼を担っているわけである。そこでまず、企業局において地震や台風等の発生時にどのように対応しておられるのかお伺いする。
 次に、岩手山の火山活動への対策についてもお伺いする。
 県は、岩手山の火山活動の活発化に伴い、6月24日に災害警戒本部を設置するとともに、7月には岩手山西側の水蒸気爆発を想定したハザードマップを作成し公表するなど、早急かつ積極的な対策を講じていることは承知しているところである。また、岩手山が噴火し相当規模の災害が発生した場合に、県庁内の各部局が緊密な連携のもとに、迅速かつ的確な応急対策が実施できるよう、各部局において万全の準備を行っておくことは大変重要なことであると思う。
 そこで、企業局としての対策はどのようになっているのかお伺いする。
 企業局では、岩手山周辺には松川発電所を初め、北ノ又発電所、北ノ又第二発電所が位置しておる。特に、岩手山北側の予想される水蒸気噴火口に近いところに位置しておる松川発電所では、もし岩手山が噴火した場合、被害を受ける恐れはあるのであろうか。その場合、施設の維持に当たる職員等の安全や施設被害を未然に防ぐ対策はどのように講じているのかお伺いする。
 また、火山灰などの北上川への流入による工業用水への影響も心配されるが、その対策はどのようになっているのか、あわせてお伺いする。
 次に、災害に関連して大雨の際における発電状況について、この際伺っておく。
 先般の大雨で北上川下流の県南部で大きな冠水被害をこうむったわけであるが、ダム式の発電所にあっては、どのような運転を行っているのかお伺いする。

〇佐藤企業局長 企業局における災害時の対応についてのお尋ねであるが、私ども、発電所と工業用水道施設を運転管理しているわけであるが、この施設については、定期的な巡視点検とか、あるいは常時の運転監視を行い、施設の良好な維持管理に努めておるところである。
 また、地震や台風の発生により災害発生の恐れがある場合には、事故、故障に直ちに対応できるような勤務体制を敷いておるし、また、応急対策用の資材の調達であるとか、あるいは復旧要員の確保ができるように関係業者と協定を結んでおるところである。
 今委員お尋ねの岩手山火山活動への対応についてであるが、岩手山周辺においては、北ノ又、北ノ又第二発電所、それから松川発電所、さらに柏台発電所の建設事務所がある。これらのうち、特に松川発電所については、先般公表された西側のハザードマップ、これによると、10センチ程度の降灰が予想される区域内に、大地獄谷から3キロメートル下流の焼切川溪流の取水設備がある。それから、第二次災害として土石流の発生が予想される区域内には松川発電所とその取水設備があり、土石流が発生した場合にはこれらの施設へ影響が及ぶ、そういったことも予想されておるわけである。松川発電所については、現在常駐の職員を配置しておらないけれども、定期的に点検に参っておるわけである。そういう状況であるが、取水地点には監視カメラを設置しており、盛岡市内の施設総合管理所から24時間体制で監視しているところである。したがって、もし災害の発生が認められるような状況であれば、直ちに遠隔操作により取水ゲートを閉鎖したり、あるいはまた、同時に発電機を停止する体制ができているところである。
 また、工業用水道への影響であるが、災害の大規模化に伴い大量の火山灰が河川に流入した場合、北上川の水質の変化が生じる事態も考えられることから、北上中部工業用水道事務所、さらには各ユーザーへの迅速な火山情報等の連絡体制を現在組んでおる。さらに、河川の水質監視体制を含む防災行動計画を策定し不測の事態に備えているところである。
 なお、先月には、企業局全体で職員の非常招集訓練を実施したわけであるが、今後とも火山観測情報等に十分注意しながら、関係施設の防災に対応していきたいと考えておる。
 それから、先般の8月末から9月にかけての大雨に際しての発電状況ということであるが、北上川水系にあるダム式の発電所の運転については、ダムを管理しておる建設省と常に密接な連携をとりながら発電放流しておるところである。先般の大雨に際しては、ダム管理者である建設省の方の要請に基づいて、仙人発電所については8月31日の16時から翌9月1日の5時まで、発電放流を停止しておる。また、御所発電所においても、同様に16時から翌日の9時まで、2台の発電機のうち1台を停止しておる。もう1台の発電機についても出力を40%程度に下げ、そういうことで発電放流の停止あるいは抑制を行ったところであるが、いずれ、今後ともダム式の発電所については建設省の方と密接な連携を図りながら運転してまいりたいと考えておるところである。

〇千葉(伝)委員 県営ダムあるいは国の関係のダム等、さまざまあるかと思うが、この危機管理については、今定例会の一般質問等、さまざまな観点から質問されておる。その中で、企業局の管理する部分については、やはり県の方、いろいろな関係部署あるいは関連の国とか、さまざまあろうかと思う。そういった意味で、今後危機管理については、災害はないに越したことはないけれども、万全の体制を整えて地域の住民あるいは事業の推進というようなこともあろうと思う。ぜひそういった意味で御配慮願いたいと思う。
 次に、早池峰発電所と柏台発電所の建設事業の進捗状況についてお伺いする。
 企業局は、現在ダム式3カ所、水路式1カ所の合計4カ所について開発計画決定地点を有しており、水力開発を積極的に推進していると承知しておる。まず、ダム式発電所である早池峰発電所については、平成9年10月に行った定礎式以降、現在までに相当部分の工事が進められたものと思われるが、その工事の進捗状況についてお伺いする。
 一方、水路式発電所としては、一昨年の10月に運転開始した松川発電所の下流に建設を予定している柏台発電所が、今年度建設工事に着手する予定であると承知しておるが、その見通しについてお伺いする。

〇武蔵業務課長 早池峰発電所の建設の進捗状況についてであるが、早池峰発電所は、早池峰ダムに参画した最大出力1、400キロワットのダム式発電所であり、現在、ダムの岩盤掘削とか、あるいはコンクリート打設を施工中である。平成9年4月に建設事務所を開設して、発電所本体工事に着手して、ダムの工事工程に合わせて平成12年度の運転開始を目指して工事を進めておる。総事業費は約13億4、000万円となっており、平成10年9月まで約4億3、000万円が執行されておる。進捗率としては、発電所基礎工事及び水圧管路基礎工事が約1億8、000万円で約56%の進捗率となっておる。それから、水圧鉄管工事が約1億8、000万円で54%の進捗率、水車発電機が約7、000万円で約10%の進捗率となっておる。全体では約30%の進捗率となっており、おおむね順調に推移しておる。
 それから、柏台についてであるが、この発電所は、平成7年度に概略設計に着手して以来、基本設計とか環境影響調査、地質調査などの調査あるいは設計を行っておる。現在、水利権とか保安林解除等に係る関係機関の協議を進めており、今年度にはその協議が整う予定となっておる。これまでのところは、本事業はおおむね順調に推移しているところである。

〇千葉(伝)委員 早池峰ダムの定礎式には私も出席し、これから大きなダムがどんどん立派に完成するのであろうと見てきており、お伺いしたところ、現在まで30%ほど、おおむね順調に推移しているということである。ぜひそのまま事業推進についてよろしくお願いしたいと思う。
 先ほどの質問にちょっと関連するのであるが、柏台の発電所の進捗状況も、現在のところはほぼ順調ということであるが、先ほどの岩手山の火山との関連で、そういったこれまでの火山情報とか、さまざまな部分からすると、若干建設事業への影響が出てくるのではないかという感じでおるけれども、その辺の状況についてはいかがであろうか。

〇武蔵業務課長 現在、今年度工事に着手するところまで事務的には進んでおる。ただ、今お話あったとおり、岩手山火山活動が今後どうなるかということについては、状況をよく見きわめながら、関係機関と協議も進めながら適切に対応していきたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 3番目。次に、岩洞ダム水利権の進展状況についてお伺いする。
 岩洞ダム水利権については、平成9年度の決算特別委員会において、河川維持水量の確保について今後どう対応されるのかという質問に対し、企業局は、現在更新手続のための諸調査を実施しているという答弁があったが、その後どう進展しているのか、また、その調査の内容はどのようなものであり、いつまでかかるのか、手続の完了する時期はいつになるのかお伺いする。
 また、かねて地元住民から要望の強かった大川への放流について、昨年10月、企業局では暫定放流を行ったが、その英断については敬意を表したいと思う。この際、その他の河川への放流についてどうお考えなのかお伺いする。

〇武蔵業務課長 水利権の進展状況であるが、岩洞ダムの水利権は昭和35年に許可を受けたものであり、昭和63年、水利権の更新に当たり建設省から、各取水口下流の水質とか、あるいは水生生物の保護、景観への影響を検討し、河川の必要流量を確保するための調査を行うように指示されておった。これまで、ダムの共同事業者である農林水産省などと河川の流況調査などを行ってきておるが、この間、水利権の更新は保留されておった。しかし、ことし6月、建設省東北地方建設局長から、平成12年3月末までということで前と同じ条件で許可をいただいておる。今回の許可に当たっては、引き続き河川維持流量を出すための調査を実施した上で、平成12年2月までに水利権更新に関する手続をするように建設省から指導があった。現在、専門機関に委託して、河川流量確保のための諸調査を行っておる。今年度内にこれらの調査は終了する予定となっておる。
 それから、その他の河川への放流ということであるが、現在暫定放流している大川以外については、ただいま申し上げた河川維持流量の諸調査の結果を踏まえて水利権更新を行い、その許可後に放流施設を順次整備して正規の河川維持流量を放流することになると考えておる。

〇千葉(伝)委員 この岩洞ダムの水利権、建設省なり農水省、さまざまなところとの交渉というか話が必要であるということで、今お聞きすると、その調査については今年度中に完了するということであろうか、ありがたい。
 それで、先ほどの質疑の中で伊藤勢至委員の方から、ダムを使ったいろいろなこともできるのではないかということがあった。そこの岩洞ダムの位置しているところは、玉山村が大部分なわけである。そういったところから、ダムを地域の皆さん、あるいは村内外からいろいろな--先ほどの話のとおり、ダムを景観として自然に親しむ、あるいはレジャーとか観光とか、そういった周辺施設の整備とか、こういったものにも村だけではなく、あそこは県立公園の中というようなこともあるけれども、いろいろそういった配慮をしていただければありがたいと思う。
 玉山村では、夏はあそこで岩洞湖まつりをやっておるし、真冬、いわゆる外山、藪川の本州一寒いところを宣伝しようということで、スガフェスタというようなこともやっておる。そういった地域、あるいはいろいろなところから多くの人に来ていただくということを考えると、先ほどの川の放流の話になってくるけれども、自分の水であるということでなく、いろいろな場面で水を使った地域とのつながりということで、玉山村から、向こうに行くと岩泉もある、そういったことを地域の連携としてやれるような形になれば、このダムのまた別な意味の目的ができるのではないかと思う。そういったところもぜひお考えいただきたいと思う。これは要望である。
 最後に、工業用水道事業の経営の健全化対策についてお伺いする。
 御承知のとおり、工業用水道事業は、水源確保のための多額のダム負担金や県の工業団地計画で予測した用水型企業が思いどおりに立地しなかったことにより工業用水道事業が伸び悩むなど、その事業経営は多額の累積欠損金を抱える厳しい財政状況にあったところであるが、平成3年度に国の経営健全化団体の指定を受け、各種の経営健全化策に取り組んできているところである。その結果、これまで各年度とも、欠損金が発生したとはいえ、着実に経営の改善が図られていることに対する企業局の御努力に敬意を表したいと思う。特にも、全国的な景気の低迷が長引く中で、平成8年度、9年度には、最近にない工業用水の増量契約が進み、増収に大きく貢献しておることは喜ばしい次第である。
 そこでお伺いするが、経営健全化計画の最終年度を迎え、事業経営の健全化策は当初計画と比較しどのような進みぐあいなのか、平成9年度までの実績と計画達成の見通しはどうなのかお伺いする。
 また、9年度決算において黒字となった大きな要因に、一般会計からの各種支援策が大きく寄与しているものと思われる。特にも、企業債の繰り上げ償還は、後年度の財政負担を抑制する点で効果があったものと考えるところであるが、その具体的な効果と、今後も繰り上げ償還を計画していくお考えがあるのかお伺いする。

〇滝田経営管理課長 3点についてのお尋ねがあったが、まず、経営健全化計画の9年度末までの進捗状況である。
 水需要の拡大については、契約水量が日量4万1、218トンとなり、9年度末の計画目標5万3、500トンであるが、これに対して77%の達成率となっておる。特にも、景気が低迷する中で8年度と9年度の2カ年で日量2、555トンの増量計画を結ぶことができ、収益面で大きく貢献しているところである。
 料金の改定については、9年度の引き上げ計画、45円から50円の計画があったけれども、これを見送ったものの、平成4年に36円を45円に改定し、これまで約7億7、000万円の増収を図ったところである。
 それから、一般会計からの支援についてであるが、補助金、出資金として約22億円の繰り入れを受け企業債の元利償還に充て、さらに、繰り上げ償還の資金として約24億3、000万円を借り入れ、高金利の企業債の繰り上げ償還を行ったところである。その他にも、高利率の企業債の借りかえや一部業務委託の見直しなどにより経費の節減を図ったところである。
 このことにより、9年度の単年度収支が計画どおりの黒字転換ができ、また、累積欠損金の計画額を約4億円圧縮でき、約12億5、000万円となったものである。
 次に、計画達成の見通しについてであるが、景気低迷と厳しい経済環境の中で水需要計画が目標数値を達成できない点はあるが、一般会計からの支援などの計画については、おおむね順調に推移していると考えておる。
 また、10年度の見通しについても、これまで講じてきた健全化対策により、9年度に引き続き黒字を見込んでいるところである。
 次に、企業債の繰り上げ償還であるが、昭和50年代に借り入れを受けた高金利、6%から8%ぐらいの高金利の企業債について、償還資金を一般会計から借り入れ、6年度と8年度、先ほど申し上げたけれども、総額約24億3、000万円の繰り上げ償還を実施したところである。その効果については、後年度における利息、約12億5、000万円の軽減を図ったところであり、経営基盤の改善に大きな成果を上げたところである。
 委員御指摘あったが、企業債の繰り上げ償還は、各種の健全化策の中で最も効果的な改善策の一つと考えられるので、計画最終年度である今年度も実施したいと考え、現在、関係機関と協議を進めているところである。

〇千葉(伝)委員 計画達成に向け、なお御努力願いたいと思う。
 一つだけ、料金の話が出た。9年度は値上げしないでやったということで、この料金値上げについて、今後の見通し、考え方はいかがであろうか。

〇佐藤企業局長 工業用水道の料金の引き上げについては、ただいま担当の課長から申し上げたとおり、健全化計画では引き上げる計画であったわけであるけれども、あそこに立地されている企業の状況とか、あるいは料金を上げなくても健全化計画を達成できるといった状況を踏まえて見送ったわけであるが、今後についても、当面は引き上げということについては考えておらないところである。

〇佐々木(大)委員 岩洞湖の水源の質というか、小本川への放流、本当に企業局の努力により維持流量を流していただいたということで、大変地元でも喜んでおるし、評価されていると思う。今後、そういう中であの地域の実態を考えると、13流域の中の一つを流していただいたということであるが、地元の希望は、技術的な問題があると思うけれども、できれば本流のところに流していただければもっと間が切れないでいい川になるのではないかと、そういう希望があるので、その点の御検討をいただきたいと思う。
 水源の、大体あそこが5、000ヘクタール、5、000町歩あるということで言われており、その13の流域から岩洞湖に取水されているわけであるけれども、小本川の源流が北上川の源流に加わったというようなあの地域なわけであるけれども、それなりの事業としての、また社会的な成果を上げてきているわけである。前回ちょっと申し上げたけれども、そういう中で、あそこの水が流れてくる量が、あの辺で見ていくと、この30年余の間で相当水量的には減っているということが言われておる。そういう面で、ダムの取水地の情報、上方の5、000ヘクタールの山に対して水源としての手入れがもっともっと必要ではないかと。水源地を確保する意味で、ぜひ企業局の方でも、その水源確保のための山の維持のための手当てを今後検討していただきたい。一度申し上げたことがあるけれども、重ねて局長の方から御所見をいただきたい。

〇佐藤企業局長 岩洞ダムからの放流についてであるが、昨年は大曲沢から暫定放流ということで0・1トン放流したわけであるけれども、いずれ、先ほど武蔵課長の方からお答え申し上げたとおり、今後水利権の更新の申請に向けて、維持流量の調査を現在やっておるので、その結果を踏まえて、ただいま委員の方からお話のあった小本川本流への放流、こういったものについてもあわせて検討していくことになろうかと思う。
 それから、水源確保ということのお話であるが、私ども、岩洞湖の水量を今後いかに確保していくかということが本当に大きな課題に思っておる。水源涵養林を企業局としても考えていかなければならないのではないかということで、先日、営林署の方ともいろいろ協議をしておる。岩洞湖周辺は大体国有林が大半であるので、ただ、その中で林野の施業計画というか、活用計画については、今いろいろ営林署の方でも検討しておるようであるので、そういった中で具体的に、例えば企業局の方で何らかの形で水源涵養のための方策が可能なのかどうか、そういったものも含めて引き続き検討してまいることにしておるので、御了承賜りたいと思う。

〇藤原委員長 執行部側に申し上げるけれども、答弁の方はひとつ簡潔にまとめてお願いしたいと思うし、元気よく発言していただきたいと思う。

〇上澤委員 まず最初に、電力の関係で質問する。
 当年度末で77億9、700万近い内部留保金を持っているわけであるけれども、今後、設備の改善等、あるいは新規の事業など、新たな計画があるのかどうか。まず、そういうことを聞いておく。
 私は、一問一答式に聞くので、よろしくお願いする。

〇佐藤企業局長 電気事業の内部留保資金の活用についてのお尋ねであるが、これについては、今後の事業計画に基づいて充当していくということであり、例えば、現在建設中の早池峰発電所であるとか、あるいは平成13年度に運転開始予定しておる柏台発電所、さらには、現在県南部に所在する事業所の集中化を図るということで、仮称ではあるが、県南施設管理所の整備構想がある。そういったもの、さらには新規の開発として現在調査しておる有根沢あるいは槻木平地点、そういったものに要する自己資金として、今後活用を見込んでおるところである。

〇藤原委員長 上澤委員に申し上げるけれども、世話人会の申し合わせをやっており、一問一答式、結構おありのようであるので、まとめられるものはまとめて一括して御質問いただくように御要望申し上げる。

〇上澤委員 大体言われてしまったからそういうようにしておったが、次に、電力への売電単価の、契約単価の根拠を先ほど言われたけれども、再度伺っておく。
 もう一つは、日本の電力単価は欧米諸国に比べて割高である。それで、現在の通産省の認可制から自由化をしたらどうかということも考えられておるという情報があるが、そういうところをどうとらえておるのか。
 それではもう一つ聞いておくが、新エネルギーの取り組みとして、まず、廃棄物の発電であるとか、バイオマス発電であるとか、風力・太陽光発電などというのがいろいろ話題にはなっておる。これが果たして経済効率ということを考え合わせた上で、岩手県の企業局ではどういう分析をして取り組もうとしているのか、これをまず聞いておく。

〇佐藤企業局長 売電単価の算定の根拠、これについては武蔵業務課長の方からお答え申し上げる。
 まず、電力料金に関連して自由化のお話があったけれども、現在国においては、電力料金の小売自由化の問題が通産省の審議会において検討されておるところである。現在の審議会の状況の中では、全体の自由化ということではなく、大口需要家を中心とした部分的な自由化と私ども承知しておる。ただ、こういう自由化の方向が具体化された場合については、いずれ市場原理が電力料金にはね返ってくることになろうかと思うので、私どもの卸発電、電力会社に卸しをしておるわけであるけれども、その料金単価についてもいろいろ影響が出てくるものではないかと思っておる。
 それから、新エネルギーの取り組みとして廃棄物発電あるいはバイオマス発電等の事業化、コスト的にかなり難しいのではないか、今後どう対応していくのかという趣旨の御質問であるが、いずれ委員御指摘のとおり、新エネルギーについては全般的に発電単価は、例えば水力とか、そういうものに比べて高いのではないかと思っておる。特に火力との比較で申し上げると、コスト的に相当程度高くなるのではないのかといった感じがしておる。
 いずれ、私どもはこれについては、例えば風力発電については、この4月から電力会社の方で新しい料金単価の設定がされた。キロワットアワー当たり約11円といった商業目的とした単価設定もされたので、将来的には事業化の可能性もこれについては出てくるのではないかといった感じをしておる。また、さらに廃棄物発電についても、単価的には現在のところは事業化ということになるとかなり厳しい面はあると思うが、今後、国庫補助制度の充実であるとか、あるいは技術開発に伴う設備のコストの低減、そういったものも進んでくると思うので、いずれ、引き続き事業化に向けての検討はしてまいりたいと、このように考えておるところである。

〇武蔵業務課長 契約料金単価の根拠ということであったが、電気料金の仕組みとしては、まず、公営の水力の場合は、総括原価主義というものになっておる。それで、必要な経費と適正な利潤を加えたものということになっておる。原価としては、人件費とか修繕費あるいは減価償却費といったような、いわゆる費用があり、これらは過去の実績とか、あるいは将来の、今回の契約でいうと10年、11年度の予定額、こういったものを積み上げて計算する。それに事業報酬ということで支払い利息とか減債等積立金、特別積立金などというものがあり、これはそれぞれ起債に対する利息であるとか、それに対する資金繰りの原資であるとかというルールに従って積み上げておる。
 それから、単価を出すためには供給する電力量というものも必要であり、これらも過去の実績とか修繕計画とか、そういったものを加味して計算しておる。今回の契約では、それらを割ったものが8円59銭になっていると、こういうことである。

〇上澤委員 それでは次に、工業用水の水道会計についてお伺いする。
 単年度で黒字が出たということは、努力はそれは評価しなければならないところであるが、ただ、先ほどまで言われていたとおり、累積欠損金が12億5、500万余と多額なわけである。計画当初と大きく差が出た水需要については、景気の低迷など、社会的な要因が大きく、それらは容易に考えられるところであるけれども、ただ、事業を進めていく側からすれば、日本全国どこでも同じ状況であるからという判断をしたのであっては、これは経営の改善にはならないであろうと、こう思うのである。そういう意味で、過年度にわたる決算状況を分析したり、所期の目的を完遂するという戦略や努力目標というものがなければならないと思っているところである。そういったところで、辛らつな考えでもあればお伺いしたいと思うし、特にも、多くの企業をその場所に張りつけるという努力は、県及び市町村もそのとおりであるけれども、それらはすべて重点政策なわけである。それぞれの担当部局との綿密な連携が最も必要なことであろうと思っておる。そういう意味で、常日ごろどのような協議がなされているのかもあわせてお伺いしておく。

〇佐藤企業局長 工業用水道事業の健全経営に向けてどういった取り組みをするのかということであるが、委員御承知のとおり、これまで国の健全化計画への団体指定を受け、一般会計の支援等をいただきながら、何とか平成9年度、計画どおりの黒字計上までたどり着いたわけである。ただ、これまでの取り組みは取り組みとして、今後、例えば早池峰ダムの工事の完了後においては、ダム負担金に係る企業債の支払い利息、そういったものが生ずることから、今後、黒字基調をずうっと継続していくということはなかなか難しい状況にあると思う。いずれ私どもとしては、工業用水道経営の基盤というか、基本になる水需要の拡大に今後とも一生懸命取り組んで、未売水の解消に努めるとともに、さらには、内部経費の節減等にも努めて一層の経営健全化に向けて努力してまいりたいと考えておる。
 また、これに関連し、日ごろ企業誘致の担当部局とどういった連携をしておるのかといった御質問である。用水型の企業誘致ということは、まさに未売水を解消する上で最も重要なことである。そういうことで、私どもも県の企業誘致の担当部局や、あるいは地元の北上市、これらが実施するさまざまな企業誘致活動、例えば企業ネットワークいわてであるとか、あるいは工業団地の分譲説明会、そういったものに私どもも一緒に参加し、工業用水のPRを行っており、今後ともこういった関係機関と一体となり一層の水需要拡大のための誘致活動を積極的に展開していきたいと考えておるところである。

〇藤原委員長 上澤委員の質問中であるけれども、この際、昼食のため休憩を……。

〇上澤委員 1回でいい。終わる。最後の質問である。
 この経営の健全化計画の中で、今後どの程度の一般財源を投入していかなければならないのかということをまず示していただかなければならない。安易に一般会計からの投入ということだけを考えながら健全経営という目標を立てるのであれば、これは受け身であってなかなか前に進んでいく事業にはならないであろう、前向きな事業ではないであろうと、私はそう思う。そういう意味で、一般会計から繰り入れるための資本的な考え方、根拠、そういうものはどういうところにあるのか、それをまず最後に聞いて終わりにする。

〇伊東総務課長 一般会計からの繰り入れの関係であるが、工業用水道も含め、地方公営企業というものの経営は独立採算が基本である。したがって、今回経営健全化計画期間中において国が繰り入れ基準を定めたということで、それに基づいて繰り入れを行っている。したがって、10年度を経過すると、一般会計からの繰り入れについては、基本的には貸し付けとかそういうものに限られてくるであろうと考えておる。

〇菅原委員 まず、両会計とも健全な経営、立派な成績をおさめているわけであり、敬意を表する次第である。
 ところで、電気事業会計は利益が出ているわけであるが、この利益を県民に還元する、そういう意味において、いわゆる企業局会館をつくるべきであると。今、公会堂の問題も出ておるわけであるが、ホールとか会議室とか、いわゆる多目的に利用できるような会館をこの際つくるべきであると、そのように思う。
 それから、企業局が入っておる庁舎の使用権、恐らくこれは固定資産計上になっているわけで2、400万あるわけであるが、その他の経費はどのようになっておるのかお伺いする。

〇佐藤企業局長 現在、合同庁舎に企業局が入っておるけれども、その入庁に関連したお尋ねについては総務課長の方からお答え申し上げる。
 ただいま、西口県有地に県民還元として企業局会館をつくるべきではないかというお話があったけれども、これについては、この西口県有地、現在企画振興部が中心になり基本計画の構想がこの3月に策定され、引き続き計画策定に向けた取り組みがされておることから、私どもも、この計画の中でどのような形で企業局として関与できるのかどうか、関係の部局とも十分協議してまいりたいと考えている。

〇伊東総務課長 庁舎使用権であるが、これは固定資産として県庁舎に入る際に取得したものであり、減価償却を今行っておるところである。
 それから、庁舎に係る費用としては、今合同庁舎に入っておるわけであるが、その電気料であるとか、あるいはいろいろな分担金については、年間を通して合同庁舎の割り当て分を支払っているということである。

〇菅原委員 西口開発は何年も前からの課題である。進展しないのである。であるから私は、今の公会堂の跡に企業局会館をつくれと、こういうことである。

〇藤原委員長 御要望と承る。

〇菅原委員 要望ではない。

〇佐藤企業局長 西口の県有地とは別の場所に企業局会館をつくってはどうかというお話であるが、現在私ども、ただいまのお話については、長期的な見通しの中で地域還元、現在、電気事業で生じた収益については使途が制約されているということもある。そういったことを含め研究させていただきたいと思う。

〇藤原委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前12時5分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇千葉副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 企業局関係の説明に対する質疑を続行する。

〇菊池(雄)委員 私も電気事業については新エネルギーの開発、これを企業局の新規事業として促進するためにはどうするかと、こういったようなことを中心に質問しようと思っておったが、午前中、皆さんからいろいろ積極的な御意見があり、重複する部分もあるけれども、認識の違いもあるから勘弁をしてもらって質問をさせていただきたいと思う。
 一つは、政府資源エネルギー庁などの水力開発に対する政策、考え方の矛盾、こういうものについてであるが、一つは、最近の電気事業審議会の新長期電力需給見通し案では、2010年までに約140万キロワットの水力発電を開発することを計画しておる。その前段、その前に、平成5年9月であるけれども、資源エネルギー庁の広域事業部長の私的諮問機関である水力新世紀計画策定委員会というところで、開発に当たって特に公営電気事業者に協力を求めなければならないと、こう言っているわけである。つまり、環境問題とか地域の古い慣行による水利権の問題など、民間ではなかなか水力開発というのは限界があると。したがって、自治体にやってもらうと、こういう方針が出されてそして水力発電の再評価、コスト低減策として新技術の開発とか補助制度の拡大、9電力の協力と、こういったようなことがうたわれておるが、これはどうなっているであろうか。
 それから、先ほど来もいろいろお話しがあったけれども、平成7年12月に改正された電気事業法、これは電気事業の規制緩和ということで、民間がその発電部門に新規参入することができるようになったと。それからまた、一般電力会社以外の、9電力以外の小売電力供給が限定された地域で可能になったと、こういったような問題もあるが、料金制度については先ほど来お話しあったように総括原価方式。つまり、生産原価に一定の利潤を加えた方法で今までやってきたわけであるけれども、これをヤードスティックというか、わかりやすく言うと例えば釜石の製鉄所の発電所、あれは入札、卸売の単価をどうするかという入札制度でやったわけであるけれども、そういう民間の電気料金を基準とした算定方式、ヤードスティック、そういう方式になるのではないかと、こういったようなお話がある。つまり、一方では公営企業で水力発電をやるべきだと言いながら、公営事業の電力事業に対する阻害要因のようなものがつくられているということについて、どういうお考えを持っているであろうか。

〇佐藤企業局長 2点の御質問と承ったが、電気事業法の改正に関連した御質問に対しては武蔵業務課長の方からお答え申し上げる。
 私の方から、水力発電の見通しについて申し上げたいと思うけれども、昨年の12月の地球温暖化防止京都会議で、二酸化炭素等の地球温暖化ガスの削減目標が設定されたわけであるけれども、これに対応して、国では長期的な視点に立った総合的な資源エネルギー施策の一環として、非化石エネルギーの開発導入を進めることとしておる。こうした中で、ことしの6月に取りまとめられた通産省の電気事業審議会、これの新しい長期電力需給見通しの中間報告、これによると、2010年度における一般水力の供給目標、この長期目標の構成比については、1996年度の8・2%を9%程度に引き上げるというかそういった数値になっておる。したがって、こうした状況から、水力開発を促進するために策定された、これは平成5年であるけれども、水力新世紀計画の基本的な考え方、方針というものは今後とも堅持されていくのではないかと考えておる。
 また、新しい技術開発についてであるが、これについても国においては開発コストの低減に向けて、例えば水力発電の効率向上技術開発などが実施されており、本県においても現在建設を進めておる柏台発電所、ここにおいて新しい技術の実証試験として水圧管路等自動システム施行技術、こういったものを導入しているところである。
 また、水力開発についての助成制度の拡充強化についても、平成6年度に中小水力の発電開発費補助金、この補助率が5、000キロワット未満の発電所にあっては、15%から20%に引き上げられておる。そういった形で、逐次この助成制度についても拡充強化がされておるのではないかと考えておる。

〇武蔵業務課長 料金のヤードスティク査定の導入ということであるが、ヤードスティック査定というのは、電力会社の料金認可において各電力会社の経費率などを相互に比較して、その経営効率化の度合いに応じて査定を行うというような制度である。そして、効率化努力目標額分を料金の引き下げに織り込むというような制度である。これは平成7年度、電気事業法改正のときに導入されており、一般電気事業者である電力会社の料金認可において適用されておる。現在、公営電気事業者の卸料金は総括原価方式で、通産省の認可が必要となっておるが、ヤードスティック査定の導入とかあるいは総括原価方式そのものに対する見直しといった動きはないと承知しておる。

〇菊池(雄)委員 その動きはないのであろうけれども、この改正された法律を見ると、公営電気事業者が民間と別だという法律もない。つまり、公営電気事業者が今卸電気事業者と、旧法ではそうなっているわけである。しかし、新しい法律では卸供給事業者と、こういうことになるわけである。民間と変わりない。であるから、だんだんには--これは学者によっては15年くらいの経過措置があるけれども、15年間ぐらい過ぎるとヤードスティックの採用になるのではないかというような話がある。であるから、これはやっぱりゆゆしい問題であるから、県としてもそうならないように、つまり、総括原価方式でやってもらいたいと。さっき言ったように、これから奥地化それから小型化になっていく。そうなった場合のいろんなコスト問題が出てきて、当然、公営電気事業者がやらなければならないけれども、金がかかるということであるから、ぜひそれは守ってもらうように努力をしてもらいたいと思う。
 それから、これは平成7年度に日鐵鉱業釜石鉱山が廃坑の坑道や地下水を利用して水力発電所を建設しておる。この発電所はどうなっているのであろうか。
 それから古い話であるけれども、遠野市のたかむろ水光園にある水力発電所の経営状況、特に設備利用率などはどうなっているであろうか。
 それから、企業局の岩洞第一発電所はダム水路式の発電所で、北ノ俣第二、松川は水路式の発電所でダム式ではない。水路式の発電所がふえてきているわけである。このような水路式の発電所のメリット、デメリット、こういったようなものについて御説明を願いたいと思う。

〇武蔵業務課長 日鐵鉱業釜石鉱山が建設した水力発電所についてであるが、これは大橋地下発電所というようなことであり、鉱石採掘跡地の空洞を利用して、我が国初の地下調整池式水力発電所であるということである。この発電所の特徴としては、発電施設のすべてが既存の地下空洞を利用して建設されたものであり、そのわき水については長期間にわたる測定の結果、年間を通じほぼ一定の湧水量が確認されたことから、毎秒約0・08立方メートルの地下水を調整池に集水し、最大有効落差294・85メートルにより、最大出力450キロワットの発電で、平成7年度の運転開始以来、現在も順調に稼働していると聞いておる。
 それから、遠野の水光園についてであるが、これは水道用水を活用した自家用の水力発電所として建設されたものであり、昭和56年度に運転開始しておる。この発電所は最大出力が150キロワットで、この施設で必要な電力量を十分賄えるものであり、さらに余剰電力については東北電力に売電しているということで、経営状況としては良好だと聞いておる。
 設備利用率については、水道用水を活用しているということから、90%台の利用率だと聞いておる。
 それから、ダム水路式と普通の水路式の発電所のメリット、デメリットについてであるが、今お話しあったとおり、うちの場合は両方あるわけであるが、ダム水路式発電所としてはダムに附帯して建設されることから、建設費とかあるいは最近であると工期がダムの本体工事の影響を受けるということがある。それに対して水路式発電所は共同事業ということはないので、当局の計画に沿った建設が可能であるという特徴がある。

〇菊池(雄)委員 簡単に御説明していただきたい。
 県の水力発電所の建設計画は先ほどもお聞きしておるが、今お話ししたように、民間や市町村でもいろんな条件を工夫して小規模な発電所をつくっておる。我が国は100万キロワットを超える巨大な原子力発電所や火力発電所をつくってスケールメリットで電力の供給をふやしておるが、そのことについて私は反対するわけではないけれども、そこに安全性とか環境問題という大きい障害が出てきていることもまた事実である。水力や風力、太陽光など、ソフトエネルギーの資源は無限であるけれども、密度が薄いという弱点がある。したがって、小さな発電所をたくさんつくると。これからソフトエネルギーの、資源エネルギーの開発というのはそういう傾向にならざるを得ないと私は思うが、それで、さっきもいろいろお話しあったけれども、電気事業は毎年度利益剰余金を出してこれをいろんな形で積み立てをしておる。その剰余金の計算書によると、積立金の合計額が51億円、さらに貸借対照表には一般会計に対する長期貸付金が30億円、それに9年度の純利益13億4、000万円をあわせると、約94億円の将来開発に必要可能な資金を持っていると。このうち、いろんなお話しあった。さっき公民館的なものをというようなお話もあったけれども、それを新電気エネルギー、新電気の開発に例えば50億円ぐらい投資できないのか、今の積立金を。これはどうであろうか。

〇佐藤企業局長 私から小規模発電についてお答え申し上げる。それから、電気事業の活用可能資金に係る御質問については、総務課長の方から答弁させたいと思う。
 ただいま委員の方から御指摘あったように、小規模の発電所を数多くつくっていくということは、私ども今後安定したエネルギーを確保するという観点から言っても、極めて大事なことだと思っておる。ただ、小水力とかあるいは風力、太陽光などのそうした規模の小さい発電所は、総体的に例えば100キロワットオーダーであるとかという形で、発生電力量が少ないわけである。そういったことで、さらに建設単価も比較的高いということで売電コストが割高になるといったことで、現時点ではなかな事業化するというのは難しい状況にあるのではないかと思っておる。ただ、いずれこうしたクリーンエネルギーは環境にも優しく、また、本県にとっても極めて貴重な地域エネルギーと考えておる。したがって、私どもは今後とも技術開発の動向等も見ながら、引き続き小規模の発電については取り組んでまいりたいと考えておる。

〇伊東総務課長 積立金等の資金の活用の方策であるが、これは各種積立金、減債積立金とか建設改良積立とかあるわけであるが、原則、この積み立て目的以外には使用できないということになっておるものであり、現在、そのほかに貸付金もあるわけであるが、一般会計あるいは林業公社等あるわけであるが、これらの貸し付けについてもやはり貸し付けの際の条件設定があり、償還時期等の関係もあって直ちにはなかなか活用できない資金ではないのかと。
 それから、利益があるわけであるが、ことしは13億4、000万円ほどであるが、これは先ほど申し上げた剰余金処分案のとおり、それぞれ積み立て処分をするものと考えておるところである。
 ただ、こうしたいわゆる内部留保資金の活用についてはいろんな制約があるわけであるが、損益勘定留保資金、いわゆる現金の支出を伴わない費用である。減価償却であるとか固定資産の除却費とか、そういうものの合計額があるわけであるが、そういうものについてはこれまでも太陽光発電あるいはRDF発電、それから風力発電等、クリーンなエネルギーの開発について実証試験とか実証調査の可能性調査の費用とか、そういうものに具体的に充てており、今後ともそうした資金の活用を図ってまいりたいと考えておるところである。

〇菊池(雄)委員 確かにそういうことだろうと思うけれども、例えば建設改良積立金とか中小水力発電開発改良積立金、これは約50億円ある。こういうものは政策的な意図を持って新しい電気の開発に使っても構わないと私は思うが、ぜひこれは検討してもらいたいと思う。
 それから、風力発電であるけれども、これは1990年代の発電、日経新聞の産業のフロンティアという特集であるけれども、アメリカのカリフォルニア州で発電用の風車が1万5、000基も林立し、あわせて220万キロワット、これは大型原発2基分に相当する電力を供給していると。さらに、1、000万キロワットの風力発電が建設計画中ということであったから、現在かなりの発電規模になっていると思う。我が国でも1993年、平成5年、通産省所管のNEDOが風力発電の適地全国マップ、風況マップを作成した。本県でも、平成8年度岩手県地域エネルギービジョン策定事業報告書として、広域生活圏別の風況マップを作成しておる。風力発電の実用化を本格的に議論できる基盤が整ったと私は考える。本県でも、年間の平均風力が6メートル、8メートルの適地、標高1、000メートル以下の高山地帯とか建物が密集する市街地などを除いた実現可能地はかなりある。市町村の研究開発レベル、特殊な観光施設レベルから、企業局が風力発電を電気事業として取り組むべきタイムリーな時期に来ているのではないかと、そう考えるがいかがであろうか。

〇武蔵業務課長 風力発電は国産のクリーンエネルギーということで国がその導入を積極的に進めておるが、企業局では、平成6年に1年間、岩洞第一発電所付近の天峰山というところで風況観測を行った。そしてよい風況が得られたので電力会社と協議した経緯があるが、その時点ではコスト面で若干難しいというようなことであった。
 ことしの4月から、電力会社においては風力発電の利用促進の観点から、商業目的とした電力購入の単価が設定されておる。したがって、来年度新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOと言われるところであるが、そことの共同事業である風力開発フィールドテスト事業のシステム設計に応募したいということで、現在事業化に向けて詰めた検討を考えているところである。
 それから、一戸町西岳山ろくのすこやか子どもランド整備予定地においては、昨年度に短期の風況観測を実施しておる。今年度、NEDOとの共同事業である風力開発フィールドテスト事業の中の風況精査に採択されたので、今後1年間、風況観測を実施することとしておる。

〇菊池(雄)委員 観測ばかりしていないで、実現できるようにぜひ努力をしてもらいたいと思う。
 工業水道の問題であるけれども、今、我が国では現在多くの工業用水道事業に未売水が、売れ残りの水がある。1995年、平成7年度、工業用水道の計画配水能力2、900万トンに対し、未売水が1、060万トンもあって契約率が63%しかないと。これが全国的な工業用水道の赤字の原因になっていると、こうなっている。本県でも契約水量は入畑ダムで配水能力4万8、000トンに対して、現在1万6、000トンと今説明があったとおりであるが、計画能力に対する契約率は、さっき局長は47%と言ったけれども33%、非常に低い。それで、さっきも話があったように、最近、北上、花巻市などの上水道確保のために北本内ダムの建設休止を決定して、県土木部は入畑ダムの給水能力に余裕があるのでこれを転用すると、こういう話があった。転用する場合、これは北本内ダムのいろんな各省庁の補助とか水利権の問題ではなくて、入畑ダム、企業局が支払ったアロケーション、負担金、それから各補助金の清算はどうなるのであろうか。新しい水道事業に水を分けてやると、こうなった場合に、我が方、我が方というか、企業局の方の清算はどうなるのであろうか。
 それから逆に、現在、北上川流域というのは我が国でも鉱工業出荷額が最高の水準である。右肩上がりにずっと来ている。最近はちょっと下がったというのであろうか横になったようであるけれども、いずれ北上川流域、花北から一関までの間のここは我が国でも最高の水準に鉱工業出荷額が伸びている。であるから、ここに工業団地の利活用が促進をされると。さっきあったように、北上南部の工業団地なんかがどんどん企業が入ってきたと、こういったような場合には今度は水の余裕が、工業用水の余裕がなくなってしまうというようなことになったらどうするのか。であるから、この問題は本会議からずっと聞いていると、検討するということだけれども、あっちの方を切るわけであるから、あっちの方というのは北本内の方を切るわけであるから、恐らくここに水源を求めてくるのではないかと私は思うが、これやっぱりかなり慎重にやる必要があると思うが、いかがであろうか。

〇佐藤企業局長 工業用水道の契約水量の関係であるが、私、先ほど伊藤委員の御質問に対してお答え申し上げた47%というのは、第一から第三までの工業用水全体の契約率ということで申し上げたもので、第二工水は委員御指摘のとおり33%という、現在の契約率になっておる。
 それで、ただいま北本内ダムの建設の休止、これに伴って工業用水道にこれが仮に転用と、工業用水道が転用するとなった場合、ダム負担金であるとかあるいは補助金の関係がどうなるのかといった御質問であるが、いずれ仮に工業用水道が転用するということになった場合については、水源としてダム施設の整備に当たっては国庫補助金等を受けておるわけであるので、返還等の手続についてはいずれ必要になってくるのではないかと思うけれども、いずれ、今の問題が具体的にならないと現時点では何とも申し上げがたい点もあるわけであるけれども、いずれ、国などと協議を行うということになろうかと思う。
 また、今後、工業用水の需要が急増した場合の対応という御質問であるが、確かに現在33%というかなり低い契約率になっておるが、それに加えてというか、実は第二北上中部工業用水道については、今後は北上南部工業団地、これに約1万8、000トンの供給を見込んでおるわけである。したがって、委員御指摘のとおり、もし仮に工業用水を転用するということで、代替案の検討に当たって工業用水を転用するという検討に当たっては、そういった今後の企業立地の動向、さらにはあそこの工業団地全体の水需要の動向、そういったものを慎重に見きわめながら検討していく必要があるのではないかと、このように考えておる。

〇菊池(雄)委員 最後であるから。
 工業用水道の場合、私は忘れてもらって困るのは、経営改善計画での一般会計の繰り出しなどもあったけれども、例えば入畑ダム、これは工業用水の負担金は52億円、アロケーションが52億円であるけれども、河川分、つまり治水ダム分の県負担は35億円ある。県負担である、これは。補助金なんか除いた純然たる県負担が35億円。それから早池峰ダムの工業用水負担金は30億円であるけれども、河川分の、つまりダム分の県負担は156億円もある。この河川分の負担金両方あわせて182億円、これは工業用水が先行投資として県の一般財源から支払われているわけである。これを忘れては困る。とにかくおんぶにだっこで、企業誘致とか何とかの必要で工業用水にこういう県費の負担をしてもやっていくと。これは政策としてやっているんであろうし、今の経済状況の中でやむを得ないかもしれないけれども、それは忘れてならぬと。
 それから、今おっしゃったように、アロケーションだけでなくて莫大な県費の負担で工業用水道は現在も動いているのだと、これを忘れてもらっては困ると、このことを申し上げて私の質問を終わる。

〇堀口委員 今の菊池雄光エネルギー博士の質問に関連して、局長はアーヘン方式というのを知っているであろうか、ドイツの。(佐藤企業局長「申しわけない。」と呼ぶ)局長が知らなかったら、中に知っている人はいないであろうか。
 だれも知らなければ質問をやめる。

〇斉藤委員 2回に分けてお聞きする。
 第1は、北本内ダムの休止にかかわる問題についてお聞きする。
 北本内ダムの休止の方針について、県土木部とこの間どういう協議があったであろうか。経過を含めて示していただきたい。
 北本内ダムの企業局分負担金は平成10年度まで幾らになっているであろうか。
 昭和61年からダム事業が始まっているが、企業局の負担金が平成4年からとなっているのはなぜであろうか。
 県土木部との基本協定はいつ結び、どういう内容であろうか。
 北本内ダム休止は、企業局を含め共同責任と考えているであろうか。
 二つ目。北本内ダム休止にかかわる代替案について、この間議論もされている。利水の代替案について、具体的に協議されているのであろうか。どういうレベルで協議されているであろうか。
 入畑ダムの第二北上中部工業用水道は、平成9年度実績で計画給水量4万8、000トンに対して2万9、760トン。これは現給水能力が2万9、760トン、実績は1万6、158トンとなっている。これは、計画給水量に対して33・4%、現給水能力に対しては半分の54・3%となっている。実績は平成4年度以降、6年間ほとんど変わっていない。計画と実績が大きく乖離している工業用水を上水に利用することは、むだと浪費を解消する上で極めて重要だと考えるが、いかがであろうか。工業用水を上水に転換して利用する上での問題点があれば示していただきたい。
 工業用水の今後伸びる見込みも見受けられないが、あわせて見込みについてもお聞きする。
 一つは経済成長の問題もある。もう一つは、産業構造の問題として、今企業はリサイクルをしている。であるから、高度成長の時代のように、経済成長に合わせて水が単純にふえるという状況ではないのではなかろうか。これもあわせてお聞きする。

〇武蔵業務課長 北本内ダム休止にかかわる問題について4点ほどあったかと思うので、それについてお答えする。
 第1点目、協議についてであるが、昨年度に土木部から北本内ダム建設の見直しについて検討している旨の説明を受けておる。ことしには、休止について説明を受けておる。
 それから、2点目の負担金の額であるが、約2、000万円となっておる。4年度からということであるが、これは北本内発電所の発電計画が平成3年度に確定したことから、平成4年度から共同事業者として参加しておる。
 それから、基本協定についてであるが、平成4年6月3日付で締結しておる。中身としては、北本内ダム建設を施行するために必要な基本的事項について関係者間で定めたものであり、その内容は、共同工事の内容や共同工事費の負担割合などである。
 それから、共同責任ということであるが、これは企業局としては基本協定に基づいて今後関係機関と協議してまいりたいと、こう思っておる。

〇滝田経営管理課長 まず、利水の代替案についての検討と工業用水を上水に利用すべきことについてであるが、北本内ダムにかわる利水調整については、今後、関係機関で検討されていくものと考えておる。この検討の中で、入畑ダムを水源とする第二北上中部工業用水道からの上水道への転用についても、一つの選択肢として検討されるものと思われる。
 次に、工業用水を上水道に転換して利用する上での問題点となることであるが、御承知のとおり、県営工業水道は本県の工業振興や雇用促進の一翼を担っておるので、水源転用の検討に当たっては、今後の企業立地や水需要の動向を見きわめながら、関係機関で十分に議論していく必要があるものと思われる。
 また、ダム施設の整備には国庫補助金を受けておるので、水源転用を行う場合には通産省との協議が必要になってくるものと思われる。
 それから、工業用水の伸びる見込みについてであるが、委員御指摘のとおり、回収水の企業における取り組み、そういうものも含めて、第二北上中部工業用水道の契約水量は伸び悩んでいる状況にある。現在、北上南部工業団地が分譲中である。今後、用水型企業の立地を期待しているところである。

〇斉藤委員 北本内ダム休止にかかわる問題について経過を聞くと、土木部から説明があったと。私は本会議の質疑でも聞いたが、結局、ダムを推進してきたのは土木部で、今まで調査事業費にことしまで52億円かけたと、環境アセスもやったと。実際に建設に着手したら地すべりが発覚して、これ600億円の事業になりそうだからやめようと、利水も問題があると、こういうことになった。私は共同事業で共同責任だから、今までの負担は全部それぞれチャラにすると、こういうのが土木部長の答弁である。私は経過からいくと、休止についてもまともに協議されていないんじゃないであろうか。本当は休止を決めるときに、皆さんと協議をしてどうなんだと、共同事業者だというんであれば。説明を聞いただけていいのであろうか、これは。そして今までの負担金だけは共同事業者として払いっ放しと。私はこれは土木部も税金だし、皆さんのところだって公の機関なわけであるから、私は局長にお聞きしたい。今の答弁の経過で、共同事業者として対応してきたと思えないけれども、これはいかがであろうか。
 それと代替案について、私は工業用水道の実績というのは大きく乖離してきたと、今まで。これが大きな赤字の原因だった。そのために経営改善計画を立ててきた。このときに、今、未売水を解消する条件があると、私は前向きにいったらいいと思う。であるから、北上南部の計画はそのとおり配慮して、もう7割近い未売水を今まで抱えてきて、これの解決に真剣に取り組まないとしたら私はこれは大問題だと思うけれども、その点二つ、局長にお聞きする。

〇佐藤企業局長 北本内ダムの休止にかかわる経過についてであるけれども、先ほど担当の課長の方から申し上げたような形で、私どもはそういった経緯については承知をいたしておる。ただ、この北本内ダムの建設について、私ども土木部それから北上の企業団だと思うけれども、基本協定を取り交わしておるわけである。この基本協定は、ダム建設工事を施工するために必要な工事の内容であるとかあるいは工事費、あとはそれに伴う負担割合、そういったものを定めておるわけであるので、何というか、休止に関連して例えば基本協定の改定であるとかそういったものが必要かどうかということについては、これはなお土木部と今後協議をしていきたいと思っておる。
 それから、第2点の工業用水道に係る転用の問題であるけれども、これについては私ども厳しい経営を強いられているというか、ちょっと語弊があるかもしれないけれども、工業用水道の経営をしている立場からすると、かなり多くの未売水を抱えているということは非常に心苦しいことであるし、いろいろ今後の経営に当たっても、早くこの未売水については解消したいというのが率直な考え方である。ただ、北本内の水源の転用、代替案の問題については、これから私ども工業用水の問題はやはり企業立地を所管する商工労働観光部とかあるいは企画振興部、そういった関係課もあるし、また、地元の北上市とのいろんな意見調整をしていく必要があると。しかもこれについては当面の問題だけではなくて、ある程度中長期の立場に立った工業振興をどうしていくかと、企業誘致をどうしていくかと、そういう問題も含めて、工業用水道の場合、先行投資的な意味合いもあるわけなので、そういうものを十分議論して、この問題については対応していくべきではないのかといった考え方を持っているところである。

〇斉藤委員 工業用水道については、先行投資は私は認めるけれども、過大投資だと、結果的には。未売水の今の状況というのは、簡単に先行投資という規模ではないと思う。であるから、経営健全化計画まで出さなければだめなわけであろう。私はそこをもっとシビアに見て、もちろん北上の上水がすぐ足りなくなるというような状況ではない、私見てみたけれども。花巻、北上、今の給水能力の5割、6割程度であるから、今すぐということではないと思うが、しかし企業局とすれば未売水をどう効果的に活用するかと。一つは前向きの立場を表明したから、そういう方向でひとつやっていただきたい。
 次に、工業用水道について、平成9年度は4、855万円の黒字となったということは評価できると思う。しかし、一般会計からの繰り入れは出資金として1億3、214万円余あった。真に黒字そして自立したとは言えないのではないであろうか。一般会計からの繰り入れは今後も続くのか、今年度限りなのか教えていただきたい。
 最後、食料費問題について。
 決算資料に食料費の明記がなかった。なぜであろうか。同じ企業局会計の医療局は決算資料にあったが、企業局がないのはなぜであろうか。
 食料費支出について、予算額に対して決算額はどうなっているであろうか。この間の推移を含めて示していただきたい。
 電気事業会計分を見ると、平成7年623万円余から平成9年は163万円余と、4分の1に大幅に削減をされている。どういう努力がされたのであろうか。削減の中身について示していただきたい。
 私は予算審議のときに、企業局にかかわる食料費の不正支出436万円余について詳しく質問したが、まともな答弁がなかった。この不正支出分は、何の名目でどのように返還されたのであろうか。OBの協力もあったのであろうか。
 続いて、佐藤監査委員に対してお聞きする。
 食料費の調査結果について、企業局の食料費不正額は55件、436万2、935円だったのであるが、不明分が237件、1、631万円。これは調査総額の36・8%が不明だった。土木部全体の不明額よりも多かったと私は予算委員会でも指摘したが、3月の予算審議のときにはまともな答弁がなかった。食料費調査を行った監査委員に、第1、これだけの不明額でまともな食料費調査と言えるのであろうか。
 第2、食料費の支出が確認されたというが、不明額の支出は具体的にどう確認されているのであろうか。
 第3、不明額が正当な支出と判断する根拠はあるのか。本来、返還の対象とすべきだったのではないであろうか。お隣の宮城県は不明分を含めて返還対象に入れておる。全国的な食料費調査で不明額はどう対応されているのであろうか、お聞きをする。

〇滝田経営管理課長 一般会計からの繰り入れが今後も続くかというお尋ねであるが、工業用水道の経営については、経営健全化計画に基づく各種の健全化策により9年度黒字となったが、依然として多額の累積欠損金を抱えていることから、今後、一般会計と協議をしながら、一層の経営健全化に向けた取り組みが必要であると考えておる。

〇伊東総務課長 決算資料に食料費の明記がないというのはどういうことかということであるが、電気事業、工業用水道事業の勘定科目の区分については、それぞれ公営企業法の施行規則によって定められており、病院事業については節区分が食料費ということであり、電気事業とそれから工業用水道の特別会計については、その区分が雑費ということで区分されているものである。したがって、決算書には明記していないということである。
 それから、額の関係であるが、平成9年度の2月補正後の予算額は、電気、工水合算して474万1、000円であった。それに対しての決算額は、両方であわせて執行額は179万7、550円ということである。
 減少した理由等であるが、これは懇談件数が減少したということである。内容といたしては、全国及び県内の電気事業者関係あるいは工業用水道のユーザー関係等の懇談あるいは諸会議に要する茶菓等であるが、それらの件数が減ったということである。
 それからOBの返還の関係であるが、協力をいただいておるものである。

〇佐藤監査委員 食料費調査委員会においては、平成4年度から平成8年度までの食料費の支出件数3万7、547件、支出額15億1、160万8、000円を対象に、個々の実施伺、支出関係書類及び懇談の相手方からの確認状況について、必要に応じて抽出調査を行いながら適正に審査点検いたした結果、県が実施した調査は真剣かつ誠実に行われており、適正に実施されたものと判断いたし、本年2月に知事に報告いたしたところである。また、適正、不適正な判断に至らなかったものは、支出関係書類から支出の事実までは確認できたものである。
 なお、食料費調査委員会の業務は、調査方法等の審議、調査内容の審査、点検及び調査結果に基づく助言、提言等を行うことであるので、委員会として判断することはしておらない。
 全国の状況については把握しておらないし、その他のお尋ねについてのコメントは今の立場上、控えさせていただきたいと存ずる。

〇斉藤委員 ちょっと答弁漏れが一つ。
 私、ちょっと追加して聞いたのであれだったのであるが、不正支出分について、どういう名目で返還をされているか、総額は幾らか、OB分は幾らかと、わかったら答えてもらいたい。
 今、佐藤監査委員から答弁があった。大変御苦労をされたということについては、私、感謝申し上げる。しかし、全体の調査で25%が不明、企業局の関係では全体調査の36・8%不明である。それで、不明分というのは平成4年、5年に集中しているが、6年、7年でどのぐらいの不正があったかというと、不正額は25%である。いわば、まともに調査をすれば25%不正になるのに、資料がないということでほとんどが不明になってしまった。だから宮城県ではこういう考え方である。私、全国市民オンブズマンに聞いた。どういう考え方で対処したかと。それは、例えば5年間さかのぼって調べると。調べたけれども、適正という証拠を出せなかったと。なぜかというと、予・決算の関係書類は5年間保存である。それはそのために保存しているわけである。附属資料は確かになくなったかもしれないが、適正と証明できる資料がなくなったら、これは適正に入らない。
 私はこれ以上答弁を求めないけれども、そういう点で、企業局の36・8%というのはやっぱり結果として残念な、これでまともな調査とは言えないのではないかと。
 答弁漏れの分だけ答えてもらいたい。

〇伊東総務課長 返還の額であるが、平成9年度の雑収益として509万8、480円を返還、歳入で受け入れているものである。
 OB分等についてはちょっと今不明であるので、御勘弁願いたいと思う。

〇千葉副委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉副委員長 質疑がないようなので、企業局関係の質疑をこれで終わる。
 お諮りする。認定第1号平成9年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算まで、以上3件についての意見の取りまとめの方法であるが、午後2時から議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議を願い、その結果を待って、午後2時15分から委員会を開き、結論を出すことにしたいと思うが、これに御異議ないか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉副委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 この際、意見の取りまとめのため午後2時15分まで休憩する。
   午後1時59分 休 憩
   午後2時18分 再 開

〇藤原委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 決算3件に対する各会派の意見の取りまとめについて協議した結果について御報告する。
 認定第1号平成9年度岩手県立病院等事業会計決算については、厳しい医療環境にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関としてその使命を果たしてきた努力は評価するところである。しかしながら、県立病院の経営は、施設の整備充実などによる諸経費の増加が見込まれるとともに、医療制度の抜本改革が予定されていることから、今後、経営環境が大きく変化し、さらに厳しい経営環境に置かれることも予測されるので、引き続き国に対し、財政措置の強化などを積極的に要望するほか、経営の効率化・合理化を進め、より一層経営の健全化に努めるとともに、医師の確保を初め、高度医療設備の整備充実等、将来に向けた県立病院等事業経営計画の着実な推進を図り、もって、県民医療サービスの充実、向上に努力をせられたい。
 認定第2号平成9年度岩手県電気事業会計決算については、今後とも引き続き健全な経営の推進に努めるとともに、新規電源の開発についても、なお一層の努力をせられたい。
 認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算については、関係機関と密接な連携をとり、積極的に需要の拡大に努めるとともに、経営の健全化にさらに一層の努力をせられたいとの意見を付し、認定することにした次第である。
 これより採決する。
 認定第1号平成9年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求める。
   〔賛成者起立〕

〇藤原委員長 起立多数である。よって、認定第1号平成9年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第3号平成9年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、認定することにした。
 次に、認定第2号平成9年度岩手県電気事業会計決算について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求める。
   〔賛成者起立〕

〇藤原委員長 起立全員である。よって、認定第2号平成9年度岩手県電気事業会計決算については、ただいまの意見を付し、認定することと決定した。
 以上をもって、当特別委員会に付託された案件の審査は全部終了した。委員各位の御協力に対し深く感謝申し上げる。
 これをもって決算特別委員会を閉会する。
   午後2時22分 閉 会


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